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技術 信号制御装置および信号制御方法

出願人 パナソニックIPマネジメント株式会社
発明者 岩岡浩一郎
出願日 2015年10月28日 (6年0ヶ月経過) 出願番号 2015-212159
公開日 2017年5月18日 (4年5ヶ月経過) 公開番号 2017-084120
状態 特許登録済
技術分野 交通制御システム
主要キーワード 判定結果テーブル 予兆判定 分岐状況 交通制御装置 車両情報収集装置 内回り 東日本大震災 分岐率
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2017年5月18日)のものです。
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図面 (19)

課題

信号制御によりグリッドロックの発生を防止する。

解決手段

道路走行する車両の状況に関するインフラ収集情報車両情報収集装置(ITSスポット3、電波ビーコン4、光ビーコン5)および交通状況収集装置(車両感知器)から取得して、そのインフラ収集情報に基づいて信号機2の制御条件を決定して信号機を制御する信号制御装置1において、グリッドロックが発生した際に渋滞車列が形成される対象道路に関する渋滞情報および現行の制御条件に基づいて、グリッドロックの発生の可能性の有無を判定し、グリッドロックの発生の可能性があるものと判定されると、グリッドロックの発生を防止可能な制御条件を求めて、その制御条件に基づいて信号機を制御するものとする。

概要

背景

過日発生した東日本大震災の際には、首都圏において地震の当日から翌にかけて大規模交通渋滞が発生した。これは、都市街路の容量を大幅に超える交通需要により、都市街路の中心に、車両が道路上に滞留してほとんど動かなくなるグリッドロックと呼ばれる渋滞現象が発生したためと考えられる。

このグリッドロックは、なんらかの要因で発生したボトルネットとなる交差点先頭にして形成された渋滞車列延伸して、ロ字形状グリッドを一周することでボトルネックとなる交差点で渋滞車列が結合するものであり、グリッド内の車両が身動きできなくなる。このため、グリッドロックが発生すると、グリッド内の渋滞が長時間に渡って解消されない状態となり、さらに、渋滞が周辺の街路に広がることで、大規模な渋滞に発展するおそれがある。そこで、グリッドロックに進展する交通状態を早期に検知して、グリッドロックの発生を防止する対策を講じることが望まれる。

このようなグリッドロックに関する技術として、従来、模擬された複数の車両の挙動に基づいて、グリッドロックの発生を検出するとともに、グリッドロックの発生の要因となる車両の挙動を変更してグリッドロックを解消するシミュレーションを行う技術が知られている(特許文献1参照)。また、グリッドロックの発生条件、すなわち、ボトルネックとなる交差点を先頭にして形成される渋滞車列が延伸してグリッドロックが発生する交通条件が明らかにされている(非特許文献1参照)。

概要

信号制御によりグリッドロックの発生を防止する。道路を走行する車両の状況に関するインフラ収集情報車両情報収集装置(ITSスポット3、電波ビーコン4、光ビーコン5)および交通状況収集装置(車両感知器)から取得して、そのインフラ収集情報に基づいて信号機2の制御条件を決定して信号機を制御する信号制御装置1において、グリッドロックが発生した際に渋滞車列が形成される対象道路に関する渋滞情報および現行の制御条件に基づいて、グリッドロックの発生の可能性の有無を判定し、グリッドロックの発生の可能性があるものと判定されると、グリッドロックの発生を防止可能な制御条件を求めて、その制御条件に基づいて信号機を制御するものとする。

目的

本発明は、このような従来技術の問題点を解消するべく案出されたものであり、その主な目的は、信号制御によりグリッドロックの発生を防止することができるように構成された信号制御装置および信号制御方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
0件

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請求項1

道路走行する車両の状況に関するインフラ収集情報に基づいて信号機制御条件を決定して前記信号機を制御するプロセッサを備えた信号制御装置であって、前記プロセッサは、グリッドロックが発生した際に渋滞車列が形成される対象道路に関する前記インフラ収集情報および現行の前記制御条件に基づいて、グリッドロックの発生の可能性の有無を判定し、グリッドロックの発生の可能性があるものと判定されると、グリッドロックの発生を防止可能な前記制御条件を求めて、その制御条件に基づいて前記信号機を制御することを特徴とする信号制御装置。

請求項2

前記プロセッサは、対象道路の下流側の交差点における交通流分岐状況、対象道路の上流側の交差点における交通流の合流状況、および対象道路の渋滞状況に基づいて、グリッドロックの発生の可能性の有無を判定することを特徴とする請求項1に記載の信号制御装置。

請求項3

前記プロセッサは、グリッドロックに進展する交通条件を規定した所定の条件式成立する場合に、グリッドロックの発生の可能性があるものと判定し、前記グリッドロックに進展する交通条件を規定した条件式は、前記対象道路の全交通量に占める、当該対象道路から下流側の前記対象道路に進行する車両の交通量の割合である分岐率と、交差点において前記対象道路に流入する交通量に占める、上流側の前記対象道路から当該対象道路に進入する車両の交通量の割合である合流比と、により規定されることを特徴とする請求項2に記載の信号制御装置。

請求項4

前記プロセッサは、前記インフラ収集情報に基づいて、前記対象道路における渋滞の発生の有無を判定し、前記条件式が成立し、かつ、渋滞が発生している前記対象道路が所定のしきい値以上存在する場合に、グリッドロックの発生の可能性があるものと判定することを特徴とする請求項3に記載の信号制御装置。

請求項5

前記プロセッサは、前記インフラ収集情報に基づいて、前記分岐率を推計することを特徴とする請求項3に記載の信号制御装置。

請求項6

前記インフラ収集情報は、前記対象道路を走行する車両の走行位置の履歴に関する走行経路情報と、前記対象道路を走行する車両に関する車両識別情報との少なくともいずれかであることを特徴とする請求項5に記載の信号制御装置。

請求項7

前記プロセッサは、現行の前記制御条件に基づいて、前記合流比を推計することを特徴とする請求項3に記載の信号制御装置。

請求項8

前記プロセッサは、対象道路の下流側の交差点における交通流の分岐状況、および対象道路の上流側の交差点における交通流の合流状況に基づいて、グリッドロックの発生を防止可能な前記制御条件を求めることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれかに記載の信号制御装置。

請求項9

前記プロセッサは、グリッドロックを防止する交通条件を規定した所定の条件式が成立するように、前記制御条件を決定し、前記グリッドロックを防止する交通条件を規定した条件式は、前記対象道路の全交通量に占める、当該対象道路から下流側の前記対象道路に進行する車両の交通量の割合である分岐率と、交差点において前記対象道路に流入する交通量に占める、当該対象道路に上流側の前記対象道路から進入する車両の交通量の割合である合流比と、により規定されることを特徴とする請求項8に記載の信号制御装置。

請求項10

前記プロセッサは、前記インフラ収集情報に基づいて、前記分岐率を推計して、前記合流比と前記制御条件との関係式に基づいて前記条件式を満足するように定められた前記制御条件と前記分岐率との関係式を用いて、前記分岐率から前記制御条件を求めることを特徴とする請求項9に記載の信号制御装置。

請求項11

道路を走行する車両の状況に関するインフラ収集情報に基づいて信号機の制御条件を決定して前記信号機を制御する処理を情報処理装置に行わせる信号制御方法であって、グリッドロックが発生した際に渋滞車列が形成される対象道路に関する前記インフラ収集情報および現行の前記制御条件に基づいて、グリッドロックの発生の可能性の有無を判定し、グリッドロックの発生の可能性があるものと判定されると、グリッドロックの発生を防止可能な前記制御条件を求めて、その制御条件に基づいて前記信号機を制御することを特徴とする信号制御方法。

技術分野

0001

本発明は、道路走行する車両の状況に関するインフラ収集情報に基づいて信号機制御条件を決定して信号機を制御する信号制御装置および信号制御方法に関するものである。

背景技術

0002

過日発生した東日本大震災の際には、首都圏において地震の当日から翌にかけて大規模交通渋滞が発生した。これは、都市街路の容量を大幅に超える交通需要により、都市街路の中心に、車両が道路上に滞留してほとんど動かなくなるグリッドロックと呼ばれる渋滞現象が発生したためと考えられる。

0003

このグリッドロックは、なんらかの要因で発生したボトルネットとなる交差点先頭にして形成された渋滞車列延伸して、ロ字形状グリッドを一周することでボトルネックとなる交差点で渋滞車列が結合するものであり、グリッド内の車両が身動きできなくなる。このため、グリッドロックが発生すると、グリッド内の渋滞が長時間に渡って解消されない状態となり、さらに、渋滞が周辺の街路に広がることで、大規模な渋滞に発展するおそれがある。そこで、グリッドロックに進展する交通状態を早期に検知して、グリッドロックの発生を防止する対策を講じることが望まれる。

0004

このようなグリッドロックに関する技術として、従来、模擬された複数の車両の挙動に基づいて、グリッドロックの発生を検出するとともに、グリッドロックの発生の要因となる車両の挙動を変更してグリッドロックを解消するシミュレーションを行う技術が知られている(特許文献1参照)。また、グリッドロックの発生条件、すなわち、ボトルネックとなる交差点を先頭にして形成される渋滞車列が延伸してグリッドロックが発生する交通条件が明らかにされている(非特許文献1参照)。

0005

特開2012−247863号公報

先行技術

0006

大島大輔、大口敬、「シングルグリッドネットワークにおけるグリッドロック現象の発生条件」、土木学会論文集D3(土木計画学),Vol.70,No.5(土木計画学研究・論文集第31巻),I 629-I 635,2014.

発明が解決しようとする課題

0007

さて、道路網に設置された信号機を制御する信号制御により交通状態を変化させることができることから、この信号制御を利用してグリッドロックの発生を防止することが考えられる。

0008

しかしながら、特許文献1では、シミュレーションの手法が開示されているに過ぎず、このような技術では、交通状態に影響を及ぼす条件を変更した場合の効果に関する評価が可能であることは示されているが、グリッドロックの発生を防止するための信号制御については全く言及されていない。また、非特許文献1では、グリッドロックが発生する交通条件に関する知見が開示されているに過ぎず、グリッドロックの発生を防止するための信号制御などの具体的な方策についての記述はない。

0009

本発明は、このような従来技術の問題点を解消するべく案出されたものであり、その主な目的は、信号制御によりグリッドロックの発生を防止することができるように構成された信号制御装置および信号制御方法を提供することにある。

課題を解決するための手段

0010

本発明の信号制御装置は、道路を走行する車両の状況に関するインフラ収集情報に基づいて信号機の制御条件を決定して前記信号機を制御するプロセッサを備えた信号制御装置であって、前記プロセッサは、グリッドロックが発生した際に渋滞車列が形成される対象道路に関する前記インフラ収集情報および現行の前記制御条件に基づいて、グリッドロックの発生の可能性の有無を判定し、グリッドロックの発生の可能性があるものと判定されると、グリッドロックの発生を防止可能な前記制御条件を求めて、その制御条件に基づいて前記信号機を制御する構成とする。

0011

また、本発明の信号制御方法は、道路を走行する車両の状況に関するインフラ収集情報に基づいて信号機の制御条件を決定して前記信号機を制御する処理を情報処理装置に行わせる信号制御方法であって、グリッドロックが発生した際に渋滞車列が形成される対象道路に関する前記インフラ収集情報および現行の前記制御条件に基づいて、グリッドロックの発生の可能性の有無を判定し、グリッドロックの発生の可能性があるものと判定されると、グリッドロックの発生を防止可能な前記制御条件を求めて、その制御条件に基づいて前記信号機を制御する構成とする。

発明の効果

0012

本発明によれば、グリッドロックの発生の可能性(予兆)がある場合に、決定された制御条件に基づいて信号制御を行うことにより、グリッドロックの発生を防止することができる。

図面の簡単な説明

0013

本実施形態に係る信号制御システムを示す全体構成図
グリッドロックを説明する説明図
対象となるグリッドの交通状況を説明する説明図
分岐率の算出要領を示す説明図
走行経路情報を説明する説明図
車両識別情報を説明する説明図
合流比を説明する説明図
合流比の変形例を説明する説明図
グリッド内渋滞判定処理の概要を示す説明図
グリッドロック条件判定処理およびグリッド内渋滞判定処理の判定結果が格納される判定結果テーブルを示す説明図
交通管制センター中央装置1の概略構成を示すブロック図
プロセッサ11で行われる分岐率推計処理の手順を示すフロー
プロセッサ11で行われる合流比推計処理の手順を示すフロー図
プロセッサ11で行われるグリッドロック条件判定処理の手順を示すフロー図
プロセッサ11で行われるグリッド内渋滞判定処理の手順を示すフロー図
プロセッサ11で行われるグリッドロック予兆判定処理および制御パラメータ決定処理の手順を示すフロー図
第2実施形態におけるグリッドロックを説明する説明図
第2実施形態において対象となるグリッドの交通状況を説明する説明図

実施例

0014

前記課題を解決するためになされた第1の発明は、道路を走行する車両の状況に関するインフラ収集情報に基づいて信号機の制御条件を決定して前記信号機を制御するプロセッサを備えた信号制御装置であって、前記プロセッサは、グリッドロックが発生した際に渋滞車列が形成される対象道路に関する前記インフラ収集情報および現行の前記制御条件に基づいて、グリッドロックの発生の可能性の有無を判定し、グリッドロックの発生の可能性があるものと判定されると、グリッドロックの発生を防止可能な前記制御条件を求めて、その制御条件に基づいて前記信号機を制御する構成とする。

0015

これによると、グリッドロックの発生の可能性(予兆)がある場合に、決定された制御条件に基づいて信号制御を行うことにより、グリッドロックの発生を防止することができる。

0016

また、第2の発明は、前記プロセッサは、対象道路の下流側の交差点における交通流分岐状況、対象道路の上流側の交差点における交通流の合流状況、および対象道路の渋滞状況に基づいて、グリッドロックの発生の可能性の有無を判定する構成とする。

0017

これによると、グリッドロックの発生の可能性の有無を精度よく判定することができる。

0018

また、第3の発明は、前記プロセッサは、グリッドロックに進展する交通条件を規定した所定の条件式成立する場合に、グリッドロックの発生の可能性があるものと判定し、前記グリッドロックに進展する交通条件を規定した条件式は、前記対象道路の全交通量に占める、当該対象道路から下流側の前記対象道路に進行する車両の交通量の割合である分岐率と、交差点において前記対象道路に流入する交通量に占める、上流側の前記対象道路から当該対象道路に進入する車両の交通量の割合である合流比と、により規定される構成とする。

0019

これによると、グリッドロックの発生の可能性の有無を精度よく判定することができる。

0020

また、第4の発明は、前記プロセッサは、前記インフラ収集情報に基づいて、前記対象道路における渋滞の発生の有無を判定し、前記条件式が成立し、かつ、渋滞が発生している前記対象道路が所定のしきい値以上存在する場合に、グリッドロックの発生の可能性があるものと判定する構成とする。

0021

これによると、グリッドロックの発生の可能性の有無を精度よく判定することができる。この場合、インフラ収集情報は、車両感知器収集される車両感知器情報(交通状況情報)とするとよい。

0022

また、第5の発明は、前記プロセッサは、前記インフラ収集情報に基づいて、前記分岐率を推計する構成とする。

0023

これによると、分岐率を精度よく推計することができる。

0024

また、第6の発明は、前記インフラ収集情報は、前記対象道路を走行する車両の走行位置の履歴に関する走行経路情報と、前記対象道路を走行する車両に関する車両識別情報との少なくともいずれかである構成とする。

0025

これによると、分岐率を精度よく推計することができる。

0026

また、第7の発明は、前記プロセッサは、現行の前記制御条件に基づいて、前記合流比を推計する構成とする。

0027

これによると、合流比を簡単に推計することができる。

0028

また、第8の発明は、前記プロセッサは、対象道路の下流側の交差点における交通流の分岐状況、および対象道路の上流側の交差点における交通流の合流状況に基づいて、グリッドロックの発生を防止可能な前記制御条件を求める構成とする。

0029

これによると、グリッドロックの発生を防止可能な制御条件を精度よく決定することができる。

0030

また、第9の発明は、前記プロセッサは、グリッドロックを防止する交通条件を規定した所定の条件式が成立するように、前記制御条件を決定し、前記グリッドロックを防止する交通条件を規定した条件式は、前記対象道路の全交通量に占める、当該対象道路から下流側の前記対象道路に進行する車両の交通量の割合である分岐率と、交差点において前記対象道路に流入する交通量に占める、当該対象道路に上流側の前記対象道路から進入する車両の交通量の割合である合流比と、により規定される構成とする。

0031

これによると、グリッドロックの発生を防止可能な制御条件を精度よく決定することができる。

0032

また、第10の発明は、前記プロセッサは、前記インフラ収集情報に基づいて、前記分岐率を推計して、前記合流比と前記制御条件との関係式に基づいて前記条件式を満足するように定められた前記制御条件と前記分岐率との関係式を用いて、前記分岐率から前記制御条件を求める構成とする。

0033

これによると、グリッドロックの発生を防止可能な制御条件を簡単に決定することができる。

0034

また、第11の発明は、道路を走行する車両の状況に関するインフラ収集情報に基づいて信号機の制御条件を決定して前記信号機を制御する処理を情報処理装置に行わせる信号制御方法であって、グリッドロックが発生した際に渋滞車列が形成される対象道路に関する前記インフラ収集情報および現行の前記制御条件に基づいて、グリッドロックの発生の可能性の有無を判定し、グリッドロックの発生の可能性があるものと判定されると、グリッドロックの発生を防止可能な前記制御条件を求めて、その制御条件に基づいて前記信号機を制御する構成とする。

0035

これによると、第1の発明と同様に、グリッドロックの発生の可能性がある場合に、決定された制御条件に基づいて信号制御を行うことにより、グリッドロックの発生を防止することができる。

0036

以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。

0037

(第1実施形態)
図1は、本実施形態に係る信号制御システムを示す全体構成図である。

0038

この信号制御システムは、交通管制センター中央装置(信号制御装置、情報処理装置)1と、信号機2と、ITSスポット車両情報収集装置)3と、電波ビーコン(車両情報収集装置)4と、光ビーコン(車両情報収集装置)5と、車両感知器(交通状況収集装置)6と、ITSスポット用、電波ビーコン用、および光ビーコン用の車載機7〜9と、を備えている。

0039

交通管制センター中央装置1は、地域ごとの交通管制を行う交通管制センターに設置され、車両感知器6から収集した車両感知器情報などに基づいて、信号機2を制御する交通信号制御を行う。なお、交通管制センター中央装置1は、交通信号制御の他に、車両感知器情報や信号制御実績情報に基づいて、渋滞区間などに関する交通情報を生成して、この交通情報を車両の運転者に提供する。

0040

信号機2は、主として交差点に設置され、道路を走行する車両の進行や停止を指示する周知の装置である。交通管制センター中央装置1では、制御パラメータ(制御条件)を含む信号制御情報を生成して、この信号制御情報が信号機2に送信され、信号機2において、信号制御情報に基づいて信号灯器を制御する。なお、制御パラメータは、交通信号表示タイミングを決定する要素となるサイクル長スプリットおよびオフセットである。また、ここでの信号機2は、信号灯器のみならず、信号灯器を制御する信号制御機を含むものとする。

0041

ITSスポット3および電波ビーコン4は、道路上に設置され、車両(プローブ車両)に搭載された車載機7,8との間で無線通信を行うものである。車載機7,8には、走行位置の履歴(各時刻の走行位置)が記録され、この走行位置の履歴を含む走行経路情報が車載機7,8からITSスポット3や電波ビーコン4に送信される。ITSスポット3および電波ビーコン4では、車載機7,8から受信した走行経路情報を交通管制センター中央装置1に送信する。なお、ITSスポット3は、ITS(Intelligent Transport Systems:高度道路交通システム)における情報収集端末であり、電波ビーコン4とは無線通信方式が異なり、より多くの情報を通信することができる。

0042

光ビーコン5は、道路上に設置され、車両に搭載された車載機9との間で光(赤外線等)を利用した通信を行うとともに、直下を通行する車両を光を用いて感知する光学式車両感知器である。この光ビーコン5は、車載機9から送信されるアップリンク情報として、車載機9に付与されたID番号を含む車両識別情報を取得し、この車両識別情報を交通管制センター中央装置1に送信する。

0043

車両感知器6は、道路上に設置され、直下を通行する車両を超音波を用いて感知する超音波車両感知器である。この車両感知器6では、超音波の反射波に基づいて交通量(通過台数)および占有率(直下に車両が存在する時間割合)を検出して、この交通量および占有率を含む車両感知器情報を交通管制センター中央装置に送信する。

0044

次に、グリッドロックについて説明する。図2は、グリッドロックを説明する説明図である。

0045

本実施形態では、都市街路において4つのリンク(対象道路)Lijで構成されるロ字形状のグリッド(シングルグリッド)を対象とする。また、本実施形態では、グリッドにおける外回りの交通で、交差点Iiで右折する車両により渋滞車列が延伸する場合を対象としており、時計回りに走行する車両の進行方向とは逆向き、すなわち、反時計回りに渋滞車列が延伸する。

0046

このようなグリッドにおいて、ボトルネックとなる交差点I0を先頭にした渋滞車列が形成され、この渋滞車列が延伸して、ボトルネックとなる交差点I0で渋滞車列が結合することで、4つのリンクLijの全てが渋滞車列で埋まる状態となると、グリッド内の車両が身動きできなくなるグリッドロックとなる。

0047

なお、交差点Iiでは、ボトルネックとなる交差点I0から渋滞の延伸方向の順に交差点番号(0〜3)である添字iを付して区別する。また、リンクLijでは、交通流の上流側の交差点を示す添字iと下流側の交差点を示す添字jを付して区別する。

0048

このようなグリッドロックが発生すると、グリッド内の車両が身動きできなくなるため、渋滞が長時間に渡って解消されない状態となり、さらに、渋滞が周辺の街路に広がることで、大規模な渋滞に発展するおそれがある。そこで、本実施形態では、グリッドロックが発生する前に、グリッドロックの予兆、すなわち、グリッドロックに進展する可能性が高い交通状態を検知して、信号制御により交通状態を変化させて、グリッドロックの発生を防止するようにする。

0049

次に、対象となるグリッドの交通状況について説明する。図3は、対象となるグリッドの交通状況を説明する説明図である。

0050

4つのリンクLij(図3のL10、L21、L32、L03)で構成されるグリッドにおいて、外回りの交通で、交差点Ii(図3のI0、I1、I2、I3)で右折する車両により渋滞車列が延伸する場合、渋滞を増大させる要因として、右折交通量qrij(図3のqr10、qr21、qr32、qr03)と、交通発生点セントロイドCi図3のC0、C1、C2、C3)からグリッドに流入して右折交通量qrijと合流する交通量Di(図3のD1、D2、D3、D4)とがある。また、渋滞を軽減させる要因として、グリッドから流出する直進交通量qsij(図3のqs10、qs21、qs32、qs03)および左折交通量qlij(図3のql10、ql21、ql32、ql03)とがある。なお、本実施形態では、交通状況を単純化するために、グリッド外から左折でグリッド内に流入する交通量を無視している。

0051

なお、各リンクLijの直進交通量qsij、左折交通量qlij、および右折交通量qrijはそれぞれ、リンクLijの下流側の交差点Iiにおいて直進する車両、左折する車両、および右折する車両の各交通量である。つまり、図3において、リンクL10の直進交通量、左折交通量、および右折交通量はそれぞれ、リンクL10の下流側の交差点I0において直進する車両の直進交通量qs10、左折する車両の左折交通量ql10、および右折する車両の右折交通量qr10である。

0052

また、直進交通量qsij、左折交通量qlij、右折交通量qrij、および各リンクLijにおける全交通量Qij(図3のQ10、Q21、Q32、Q03)では、リンクLijと同様に、交通流の上流側の交差点を示す添字iと下流側の交差点を示す添字jを付して区別する。また、交通発生点からの交通量Diでは、対応する交差点Iiと同様の添字iを付して区別する。

0053

このようなグリッドにおいて、グリッドロックの発生条件として、リンクLijの全交通量Qijに占める右折交通量qrijの割合である分岐率ρij、および交差点IiにおいてリンクLijに流入する交通量に占める、上流側のリンクL(i+1)(j+1)の右折交通量qr(i+1)(j+1)の割合である合流比Miが問題となり、以下に、この分岐率ρijおよび合流比Miで規定されるグリッドロックの発生条件について説明する。

0054

まず、分岐率について説明する。図4は、分岐率の算出要領を示す説明図である。図5は、走行経路情報を説明する説明図である。図6は、車両識別情報を説明する説明図である。

0055

分岐率ρijは、リンクLijの全交通量Qijに占める右折交通量qrijの割合である。本実施形態では、リンクLijの方向別交通量、すなわち、直進交通量qsij、左折交通量qlij、および右折交通量qrijを取得し、次式により、リンクLijの分岐率ρijを算出する。
ρij=qrij/(qsij+qlij+qrij) (式1)

0056

交差点における方向別交通量は、現行の交通管制システムにおいては一部の画像感知器計測可能であるが、交差点付近流動を把握できるための設置箇所の確保が困難であることやインフラ整備予算抑制などの観点から、このような交差点を通過する全ての車両に関する方向別交通量の計測は非常に難しい。しかしながら、車両情報収集装置に着目すると、これらの装置と通信可能な車載機を搭載した車両の交差点での流動は正確に把握できる。よって交通全体の一部ではあるが、このような車両の方向別交通量は計測可能であり、この情報から交差点分岐率を推計することは可能である。つまり、方向別交通量は、ITSスポット3や電波ビーコン4で収集される走行経路情報、または、光ビーコン5で収集される車両識別情報から求めることができる。すなわち、対象とするリンクLijを通過する車両を対象にして、走行経路情報または車両識別情報に基づいて、当該リンクLijの下流側の交差点における各車両の進行方向を取得して、各車両を方向別にカウントすることで、方向別交通量(直進交通量、左折交通量および右折交通量)を取得することができる。

0057

具体的には、図5に示すように、ITSスポット3や電波ビーコン4で収集された走行経路情報に含まれる走行位置の履歴(各時刻の走行位置)に基づいて、対象とするリンクを通過した車両が交差点でいずれの方向に進行したかを判定し、この判定結果に基づいて車両を方向別にカウントして、方向別交通量を取得することができる。

0058

また、図6に示すように、光ビーコン5で収集された車両識別情報に含まれる車両IDを照合して、対象とするリンクを通過した車両が交差点でいずれの方向に進行したかを判定し、この判定結果に基づいて車両を方向別にカウントして、方向別交通量を取得する。

0059

なお、本実施形態では、直進交通量qsij、左折交通量qlij、および右折交通量qrijを取得するようにしたが、リンクLijの全交通量Qijおよび右折交通量qrijを取得して、分岐率ρijを算出するようにしてもよい。

0060

次に、合流比について説明する。図7は、合流比を説明する説明図である。図8は、合流比の変形例を説明する説明図である。

0061

合流比Miは、交差点IiにおいてリンクLijに流入する交通量に占める、上流側のリンクL(i+1)(j+1)の右折交通量qr(i+1)(j+1)の割合である。本実施形態では、右折交通量qr(i+1)(j+1)と、交差方向の直進交通量、すなわち、交通発生点(セントロイド)Ciからグリッドに流入する交通量Diとの合流を考慮する。

0062

ここで、対象とする交差点Iiの下流側のリンクLijが渋滞している場合には、この下流側のリンクLijの渋滞が、交差点Iiから下流側のリンクLijに流入する交通量に影響を与え、右折交通量qr(i+1)(j+1)と交差方向の直進交通量Diとの割合は、交差点Iiの信号機2において右折に通行権を与える現示のスプリット(1サイクルの時間のうち、各現示に割り当てられる時間配分)と、交差方向の直進に通行権を与える現示のスプリットとの割合に比例する。

0063

そこで、本実施形態では、交差点Iiの信号機2において、右折に通行権を与える現示のスプリットと、交差方向の直進に通行権を与える現示のスプリットとを取得し、この右折および交差方向の直進の各スプリットに基づいて、合流比Miを求める。

0064

ここで、図7に示すように、標準的な2現示構成の場合には、交差点Iiにおいて右折に通行権を与える第1現示(φ1)のスプリットSi1と、交差方向の直進に通行権を与える第2現示(φ2)のスプリットSi2とから、次式により、交差点Iiの合流比Miを算出することができる。
Mi=Si1/(Si1+Si2) (式2)
例えば、第1現示のスプリットSi1が60%であり、第2現示のスプリットSi2が40%である場合には、交通合流比Miは、0.6となる。

0065

また、Si1+Si2は100%となるため、式2は次式のように変換することができる。
Mi=Si1/100 (式3)
また、スプリットは通常、百分率で表されるが、スプリットを小数で表すようにすると、式2は次式のように変換することができる。
Mi=Si1 (式4)

0066

また、都市街路の交差点では、右折交通量が多いため、図8に示すように、右折専用現示を追加した3現示構成が採用されている場合が多い。この場合、交差点Iiにおいて右折に通行権を与える第2現示(φ2)のスプリットSi2と、交差方向の直進に通行権を与える第3現示(φ3)のスプリットSi3とから、次式により、交差点Iiの合流比Miを算出することができる。
Mi=Si2/(Si2+Si3) (式5)

0067

次に、グリッドロックの発生条件に基づいてグリッドロックの予兆の有無、すなわちグリッドロックに進展する交通状態であるか否かを判定するグリッドロック予兆判定について説明する。

0068

グリッドロックの発生条件、すなわち、ボトルネックとなる交差点I0を先頭にして形成される渋滞車列が延伸してグリッドロックが発生する交通条件としては、次式(グリッドロックに進展する交通条件を規定した条件式)のように、各リンクLijにおける分岐率ρijの積が、各交差点Iiにおける合流比Miの積を上回るとき、グリッド内の渋滞車列が延伸してグリッドロックが発生する。
ρ10ρ21ρ32ρ03>M0M1M2M3 (式6)

0069

また、グリッド内に渋滞がない場合や、グリッド内の渋滞が軽微である場合には、グリッドロックに進展する交通条件を規定した条件式(式6)を満たす場合でも、グリッドロックに進展する可能性は不明である。

0070

そこで、グリッドロックの予兆の有無を判定する際には、グリッド内で渋滞がある程度以上発生していることを条件に加えて、判定を行う。この場合、グリッド内で渋滞が発生しているリンクの数(渋滞発生リンク数)を所定のしきい値(例えば2や3)と比較してグリッド内の渋滞状況を判定すればよい。

0071

すなわち、各リンクLijにおける分岐率ρijと、各交差点Iiにおける合流比Miとが、グリッドロックに進展する交通条件を規定した条件式(式6)を満たし、かつ、渋滞発生リンク数が所定のしきい値以上となる場合に、グリッドロックの予兆があるものと判定する。

0072

なお、渋滞発生リンク数に関するしきい値は、交通状況などに応じて適宜に設定すればよく、特にユーザが適宜に変更することができるようにするとよい。

0073

次に、グリッド内渋滞判定処理について説明する。図9は、グリッド内渋滞判定処理の概要を示す説明図である。

0074

各リンクLijには車両感知器6が設置されており、この車両感知器6から車両感知器情報(交通量および占有率)を取得し、交通量や占有率を所定のしきい値と比較することで、各リンクLijにおける渋滞の有無を判定することができる。

0075

次に、グリッドロック条件判定処理およびグリッド内渋滞判定処理の判定結果について説明する。図10は、グリッドロック条件判定処理およびグリッド内渋滞判定処理の判定結果が格納される判定結果テーブルを示す説明図である。

0076

本実施形態では、グリッドロック条件判定処理およびグリッド内渋滞判定処理が所定の時間間隔をおいて定期的に実施され、このグリッドロック条件判定処理およびグリッド内渋滞判定処理の各時刻の判定結果が、順次、判定結果テーブルに追加される。

0077

ここで、グリッドロック条件判定処理の判定結果は、グリッドロックに進展する交通条件を規定した条件式(式6)を満たすか否かに応じて判定結果Dをオンまたはオフとする。すなわち、条件式(式6)を満たす場合には判定結果Dをオンとし、条件式(式6)を満たさない場合には判定結果Dをオフとする。

0078

また、グリッド内渋滞判定処理の判定結果として、グリッド内で渋滞が発生しているリンクの数(渋滞発生リンク数Nj)が判定結果テーブルに格納される。

0079

次に、信号制御に用いる制御パラメータを、グリッドロックの発生を防止することができるように修正する制御パラメータ決定処理について説明する。

0080

前記のように、各リンクLijにおける分岐率ρijと、各交差点Iiにおける合流比Miとが、グリッドロックに進展する交通条件を規定した条件式(式6)を満たす場合に、グリッド内の渋滞車列が延伸してグリッドロックが発生する可能性があることから、この条件式(式6)を満たさない場合、すなわち、次式(グリッドロックの発生を防止する交通条件を規定した条件式)を満たす場合には、グリッドロックへの進展を阻止してグリッドロックの発生を防止することができる。
ρ10ρ21ρ32ρ03≦M0M1M2M3 (式7)
また、次式のように、式7における左辺右辺とを等しくした条件式を設定することもできる。
ρ10ρ21ρ32ρ03=M0M1M2M3 (式8)

0081

そこで、本実施形態では、このグリッドロックの発生を防止する交通条件を規定した条件式(式7または式8)に基づいて、グリッドロックの発生を防止する修正制御パラメータを決定する。

0082

ここで、図7および式4に示したように、標準的な2現示構成の場合には、右折に通行権を与える第1現示のスプリットSi1が、合流比Miに等しくなる。また、交差方向の直進に通行権を与える第2現示のスプリットSi2が、1−Miに等しくなる。すなわち、第1現示および第2現示のスプリットを修正した場合にも、修正後のスプリット(修正スプリット)Si1,S′i2と合流比Miとは、次式(スプリットと合流比との関係式)のように表すことができる。
S′i1=Mi (式9)
S′i2=1−Mi (式10)

0083

そして、全ての交差点Iiにおいて分岐率ρijを合流比Miに等しくすれば、グリッドロックの発生を防止する交通条件を規定した条件式(式8)を満たす。この場合、リンクLijの分岐率ρijと、リンクLijの下流側の交差点Iiにおける現示1,2の修正スプリットS′j1,S′j2とは、次式(修正スプリットと分岐率との関係式)のような関係になる。
S′j1=ρij (式11)
S′j2=1−ρij (式12)

0084

具体的には、リンクL10の分岐率ρ10と、リンクL10の下流側の交差点I0における現示1,2の修正スプリットS′01,S′02とは、次式のような関係になる。
S′01=ρ10 (式13)
S′02=1−ρ10 (式14)
また、リンクL21の分岐率ρ21と、リンクL21の下流側の交差点I1における現示1,2の修正スプリットS′11,S′12とは、次式のような関係になる。
S′11=ρ21 (式15)
S′12=1−ρ21 (式16)
また、リンクL32の分岐率ρ32と、リンクL32の下流側の交差点I2における現示1,2の修正スプリットS′11,S′12とは、次式のような関係になる。
S′21=ρ32 (式17)
S′22=1−ρ32 (式18)
また、リンクL21の分岐率ρ21と、リンクL21の下流側の交差点I3における現示1,2の修正スプリットS′11,S′12とは、次式のような関係になる。
S′31=ρ03 (式19)
S′32=1−ρ03 (式20)

0085

ここで、各リンクLijにおける分岐率ρijには、分岐率推計処理で取得した最新のものを用いればよく、修正スプリットと分岐率との関係式(式13〜式20)を用いて、分岐率ρijから修正スプリットS′j1,S′j2を求めることで、グリッドロックの発生を防止する交通条件を規定した条件式(式8)を満たす状態となり、この修正スプリットに基づいて信号制御を行うことで、グリッドロックの発生を防止することができる。

0086

なお、最適化などの手法を用いて、グリッドロックの発生を防止する交通条件を規定した条件式(式7)と、スプリットと合流比との関係式(式10、式11)とを満たす修正スプリットを求めるようにしてもよい。

0087

次に、図1に示した交通管制センター中央装置1の概略構成について説明する。図11は、交通管制センター中央装置1の概略構成を示すブロック図である。

0088

交通管制センター中央装置1は、プロセッサ11と、メモリ12と、通信部13と、を備えている。

0089

通信部13は、専用回線IPネットワークなどの適宜な通信媒体を介して、信号機2、ITSスポット3、電波ビーコン4、光ビーコン5、および車両感知器6との間で通信を行うものである。

0090

プロセッサ11では、メモリ12に記憶された所定のプログラムを実行することで、各処理を実施することができる。本実施形態では、プロセッサ11において、分岐率推計処理、合流比推計処理、グリッドロック条件判定処理、グリッド内渋滞判定処理、グリッドロック予兆判定処理、および制御パラメータ決定処理、が行われる。

0091

メモリ12は、半導体メモリハードディスクなどの記憶装置で構成される。このメモリ12には、プログラム、制御情報、インフラ収集情報、推計交通流動情報、および判定結果情報が記憶される。なお、このメモリ12は、単一の記憶装置で構成される必要はなく、情報を適宜に別々の記憶装置に記憶させるようにしてもよい。

0092

制御情報は、信号機2の制御に用いられるものであり、本実施形態では、信号機2の制御に用いられた制御パラメータ(サイクル、スプリットおよびオフセット)がメモリ12に蓄積される。

0093

インフラ収集情報は、道路網に設置された各種の車両情報収集装置から収集された情報であり、本実施形態では、ITSスポット3および電波ビーコン4で収集された走行経路情報、光ビーコン5で収集された車両識別情報、および車両感知器6で収集された車両感知器情報がメモリ12に蓄積される。

0094

推計交通流動情報は、プロセッサ11で行われる推計処理で取得したものであり、本実施形態では、分岐率推計処理で取得した分岐率、および合流比推計処理で取得した合流比がメモリ12に蓄積される。

0095

判定結果情報は、プロセッサ11で行われる判定処理で取得したものであり、本実施形態では、グリッドロック条件判定処理の判定結果およびグリッド内渋滞判定処理の判定結果、具体的には、判定結果テーブル(図10参照)がメモリ12に蓄積される。

0096

以下に、プロセッサ11で行われる各処理を詳しく説明する。

0097

次に、図11に示したプロセッサ11で行われる分岐率推計処理について説明する。図12は、プロセッサ11で行われる分岐率推計処理の手順を示すフロー図である。

0098

分岐率推計処理では、まず、メモリ12から、対象とするリンクに関する車両情報(ITSスポット3や電波ビーコン4で収集される走行経路情報、または光ビーコン5で収集される車両識別情報)を取得する(ST101)。そして、車両情報が走行経路情報であれば(ST102でYes)、走行経路情報に含まれる走行位置の履歴に基づいて、対象とするリンクを通過した車両を方向別にカウントして、リンクごとの方向別交通量(直進交通量、左折交通量および右折交通量)を算出する(ST103)(図5参照)。

0099

一方、車両情報が車両識別情報であれば(ST102でNo)、車両識別情報に含まれる車両IDを照合して、対象とするリンクを通過した車両を方向別にカウントして、リンクごとの方向別交通量(直進交通量、左折交通量および右折交通量)を算出する(ST104)(図6参照)。

0100

このようにしてリンクごとの方向別交通量を算出すると、次に、リンクごとの方向別交通量から、分岐率の算出式(式1)を用いて、リンクごとの分岐率を算出して、その分岐率をメモリ12に蓄積する(ST105)。

0101

なお、本実施形態では、走行経路情報または車両識別情報から分岐率を推計するようにしたが、走行経路情報および車両識別情報の両方を用いて分岐率を推計するようにしてもよい。

0102

次に、図11に示したプロセッサ11で行われる合流比推計処理について説明する。図13は、プロセッサ11で行われる合流比推計処理の手順を示すフロー図である。

0103

合流比推計処理では、まず、メモリ12から、対象とするリンクに関する現行の制御パラメータ(スプリット)を取得する(ST201)。そして、現行の制御パラメータ(スプリット)から、合流比の算出式(式2)を用いて、交差点ごとの合流比を算出して、その合流比をメモリ12に蓄積する(ST202)。

0104

次に、図11に示したプロセッサ11で行われるグリッドロック条件判定処理について説明する。図14は、プロセッサ11で行われるグリッドロック条件判定処理の手順を示すフロー図である。

0105

グリッドロック条件判定処理では、まず、メモリ12から、分岐率および合流比を取得する(ST301)。そして、分岐率および合流比が、グリッドロックに進展する交通条件を規定した条件式(式6)を満たすか否かを判定する(ST302)。

0106

ここで、条件式(式6)を満たす場合には(ST302でYes)、グリッドロック条件判定の判定結果Dをオンとして、メモリ12の判定結果テーブル(図10参照)に格納する(ST303)。また、条件式(式6)を満たさない場合には(ST302でNo)、グリッドロック条件判定の判定結果Dをオフとして、メモリ12の判定結果テーブルに格納する(ST304)。

0107

次に、図11に示したプロセッサ11で行われるグリッド内渋滞判定処理について説明する。図15は、プロセッサ11で行われるグリッド内渋滞判定処理の手順を示すフロー図である。

0108

グリッド内渋滞判定処理では、まず、メモリ12から、車両感知器情報(交通量および占有率)を取得する(ST401)。次に、車両感知器情報に基づいて、グリッド内の各リンクで渋滞が発生しているか否かを判定し、渋滞が発生しているリンクをカウントして、渋滞発生リンク数Njを求める(ST402)。そして、渋滞発生リンク数Njを、メモリ12の判定結果テーブルに格納する(ST403)。

0109

次に、図11に示したプロセッサ11で行われるグリッドロック予兆判定処理および制御パラメータ決定処理について説明する。図16は、プロセッサ11で行われるグリッドロック予兆判定処理および制御パラメータ決定処理の手順を示すフロー図である。

0110

グリッドロック予兆判定処理では、メモリ12(図10の判定結果テーブル)から、グリッドロック条件判定処理の判定結果と、グリッド内渋滞判定処理の判定結果とを取得して(ST501)、これらの判定結果に基づいて、グリッドロックの予兆があるか否か、すなわちグリッドロックに進展する交通状態であるか否かを判定する(ST502)。

0111

このとき、グリッドロック条件判定処理において、分岐率および合流比が、グリッドロックに進展する交通条件を規定した条件式(式6)を満たし、かつ、グリッド内渋滞判定処理において、渋滞発生リンク数Njが所定のしきい値N0(例えば2や3)以上となる場合に、グリッドロックの予兆があるものと判定する。すなわち、判定結果テーブル(図10参照)において、D=ON、かつ、Nj≧N0となる場合に、グリッドロックの予兆があるものと判定する。

0112

制御パラメータ決定処理では、グリッドロック予兆判定処理でグリッドロックの予兆があるものと判定されると(ST502でYes)、メモリ12から、各リンクにおける分岐率を取得して(ST503)、この分岐率から、修正スプリットと分岐率との関係式(式13〜式20)を用いて、修正スプリットを算出する(ST504)。そして、その修正スプリットを次回の制御パラメータに決定して出力する(ST505)。

0113

一方、グリッドロックの予兆がないものと判定されると(ST502でNo)、修正スプリットの算出処理は行わず、現行のスプリットをそのまま次回の制御パラメータに決定して出力する(ST505)。

0114

以上のように、本実施形態では、グリッドロックが発生した際に渋滞車列が形成される対象道路に関する車両情報(ITSスポット3や電波ビーコン4で収集される走行経路情報や、光ビーコン5で収集される車両識別情報)および現行の制御条件(制御パラメータ)に基づいて、グリッドロックの予兆の有無を判定し、グリッドロックの予兆があるものと判定されると、グリッドロックの発生を防止可能な制御条件を求めて、その制御条件に基づいて信号機を制御するようにしたため、グリッドロックの予兆がある場合に、決定された制御条件に基づいて信号制御を行うことにより、グリッドロックの発生を防止することができる。

0115

また、本実施形態では、対象道路の下流側の交差点における交通流の分岐状況(例えば分岐率)、対象道路の上流側の交差点における交通流の合流状況(例えば合流比)、および対象道路の渋滞状況(例えば渋滞発生リンク数)に基づいて、グリッドロックの予兆の有無を判定するようにしたため、グリッドロックの予兆の有無を精度よく判定することができる。

0116

また、本実施形態では、対象道路の下流側の交差点における交通流の分岐状況(例えば分岐率)、および対象道路の上流側の交差点における交通流の合流状況(例えば合流比)に基づいて、グリッドロックの発生を防止可能な制御条件を求めるようにしたため、グリッドロックの発生を防止可能な制御条件を精度よく決定することができる。

0117

また、本実施形態では、車両情報(走行経路情報や車両識別情報)に基づいて、分岐率を推計して、合流比と制御条件(スプリット)との関係式(式9,10)に基づいて条件式(式8)を満足するように定められた制御条件と分岐率との関係式(式11〜20)を用いて、分岐率から制御条件を求めるようにしたため、グリッドロックの発生を防止可能な制御条件を簡単に決定することができる。特に、分岐率を用いてグリッドロックの予兆判定を行う場合には、そのときに取得した分岐率を用いて制御条件を求めればよいため、制御条件を簡単に決定することができる。

0118

(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。図17は、第2実施形態におけるグリッドロックを説明する説明図である。図18は、第2実施形態において対象となるグリッドの交通状況を説明する説明図である。

0119

第1実施形態は、グリッドにおける外回りの交通で、交差点で右折する車両により渋滞車列が延伸してグリッドロックが発生する場合を対象としたが、この第2実施形態は、図17に示すように、グリッドにおける内回りの交通で、交差点で左折する車両により渋滞車列が延伸してグリッドロックが発生する場合を対象としている。この場合でも、第1実施形態と略同様の要領で、グリッドロックの予兆の有無を判定し、また、グリッドロックの発生を防止する制御パラメータを決定することができる。

0120

ただし、この第2実施形態では、図18に示すように、交通発生点Ciの位置が第1実施形態の場合と異なる。すなわち、交通発生点Ciからグリッドに流入する交通量Diが左折交通量qlijと合流するように交通発生点Ciが設定される。

0121

また、第1実施形態における分岐率ρijは、リンクLijの全交通量Qijに占める右折交通量qrijの割合であるが、第2実施形態における分岐率ρ′ijは、リンクLijの全交通量Qijに占める左折交通量qlijの割合であり、次式により算出される。
ρ′ij=qlij/(qsij+qlij+qrij) (式21)

0122

また、第1実施形態における合流比Miは、交差点IiにおいてリンクLijに流入する交通量に占める、上流側のリンクL(i+1)(j+1)の右折交通量qr(i+1)(j+1)の割合であるが、第2実施形態における合流比M′iは、交差点IiにおいてリンクLijに流入する交通量に占める、上流側のリンクL(i+1)(j+1)の左折交通量ql(i+1)(j+1)の割合である。

0123

したがって、標準的な2現示構成の場合、交差点Iiにおいて左折に通行権を与える第1現示のスプリットSi1と、交差方向の直進に通行権を与える第2現示のスプリットSi2とから、次式により合流比M′iが算出される。
M′i=Si1/(Si1+Si2) (式22)

0124

なお、信号現示において左折は直進と同時に通行権が与えられる場合が一般的であり、左折可能な時間は右折可能な時間より長くなり、左折の交通流は右折の交通流に比較して制限されにくくなる。このため、第2実施形態の場合には、第1実施形態の場合よりグリッドロックが発生しにくくなる。

0125

以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施形態を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施形態にも適用できる。また、上記の実施形態で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施形態とすることも可能である。

0126

例えば、前記の実施形態では、車両が左側通行である場合の例を説明したが、車両が右側通行である場合には、右折を左折に置き換えることで、同様の処理を行うことができる。

0127

また、前記の実施形態では、信号制御の制御パラメータ(スプリット)に基づいて合流比を推計するようにしたが、インフラ収集情報(走行経路情報、車両識別情報、車両感知器情報)に基づいて、各方向の車両を実際にカウントして、合流比を求めることも可能である。また、制御パラメータに基づく合流比の精度を、インフラ収集情報を用いて評価するなど、制御パラメータとインフラ収集情報との双方に基づいて合流比を推計するようにしてもよい。

0128

また、前記の実施形態では、合流比を推計する際に、交通状況を単純化するために、グリッド外から左折でグリッド内に流入する交通量を無視しているが、このような左折交通量を考慮して合流比を推計するようにしてもよい。例えば、直進、左折および右折をそれぞれ分離した現示構成の場合には、各方向に通行権を与える現示のスプリットに基づいて、左折交通量を考慮した合流比を推計することができる。

0129

本発明に係る信号制御装置および信号制御方法は、信号制御によりグリッドロックの発生を防止することができる効果を有し、道路を走行する車両の状況に関するインフラ収集情報に基づいて信号機の制御条件を決定して信号機を制御する信号制御装置および信号制御方法などとして有用である。

0130

1交通管制センター中央装置(信号制御装置、情報処理装置)
2信号機(交通制御装置
3 ITSスポット(車両情報収集装置)
4電波ビーコン(車両情報収集装置)
5光ビーコン(車両情報収集装置)
6車両感知器(交通状況収集装置)
11プロセッサ
12 メモリ

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