図面 (/)

技術 診断装置

出願人 株式会社デンソー
発明者 陶山博伸鈴木潤竹本英嗣
出願日 2015年10月27日 (3年8ヶ月経過) 出願番号 2015-210333
公開日 2017年5月18日 (2年2ヶ月経過) 公開番号 2017-082633
状態 特許登録済
技術分野 排気の後処理
主要キーワード 配管漏れ 配管圧 ポンプヒータ 品質センサ 下降率 回転下降 総合診断 圧力下降
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2017年5月18日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (9)

課題

尿素水品質を検出するセンサを用いなくても、インジェクタに供給する尿素水の濃度又は粘度と尿素水供給システムの異常とを診断できる診断装置を提供する。

解決手段

診断装置としてのECU19は、ポンプユニット8のモータへの通電開始時におけるモータの回転挙動配管内の圧力挙動として、モータ通電開始から実際にモータ回転が開始するまでの回転開始遅れ時間と、回転数上昇率と、配管圧の上昇率とを取得し、それらに基づき尿素水の濃度やシステム異常を仮診断する。また、モータへの通電停止時における回転挙動及び圧力挙動として、モータ通電停止から実際にモータの回転数下降が開始するまでの下降開始遅れ時間と、回転数の下降率と、配管圧の下降率とを取得し、それらに基づき尿素水の濃度やシステム異常を仮診断する。その後、モータ通電開始時での仮診断結果と、モータ通電停止時での仮診断結果とを集約して、最終的な診断を行う。

概要

背景

従来、内燃機関から排出される排気ガス浄化するシステムの一つに尿素SCR(Selective Catalytic Reduction)システムが知られている。尿素SCRシステムでは、内燃機関の排気管に、尿素水により排気ガス中のNOxを選択的に還元浄化するNOx触媒と、そのNOx触媒の排気上流側に尿素水を添加するインジェクタとが設けられる。さらに、尿素SCRシステムには、インジェクタに尿素水を供給する尿素水供給システムが備えられる。その尿素水供給システムは、尿素水を貯蔵するタンクと、タンクの尿素水を吸い込んで吐出するポンプと、ポンプから吐出された尿素水をインジェクタに導く配管とを含んで構成されている。

尿素SCRシステムに用いられる尿素水の濃度は所望値(例えば32.5%)が定められている。ところが、その所望値に相当する標準濃度に対して想定外の濃度の尿素水が使用されたり、当初は標準濃度であったものが経時変化したりすることがある。また、気温氷点下にまで低下するような寒冷地等での使用においては、停車中にタンク内の尿素水が冷却され、凍結する場合がある。この凍結又は解凍過程においては尿素水における尿素分布偏りが生じ、結果、インジェクタに供給する尿素水の濃度が想定外の濃度となる可能性がある。

インジェクタに供給される尿素水の濃度が想定よりも高い場合には、NOx触媒に尿素が過剰供給されて、NOx触媒からアンモニアが放出されるスリップが発生するおそれがある。反対に、尿素水の濃度が想定よりも低い場合には、NOx触媒でのNOx浄化率が低下するおそれがある。

一方、尿素水の濃度診断とは異なる技術であるが、従来、燃料を吸い込んで吐出する電動ポンプ作動状態に基づいて燃料の粘度を算出する技術の提案がある(特許文献1参照)。特許文献1では、電動ポンプの作動状態が第1の定常状態から第2の定常状態となるまでの時間に基づいて燃料粘度を算出している。

概要

尿素水の品質を検出するセンサを用いなくても、インジェクタに供給する尿素水の濃度又は粘度と尿素水供給システムの異常とを診断できる診断装置を提供する。診断装置としてのECU19は、ポンプユニット8のモータへの通電開始時におけるモータの回転挙動と配管内の圧力挙動として、モータ通電開始から実際にモータ回転が開始するまでの回転開始遅れ時間と、回転数上昇率と、配管圧の上昇率とを取得し、それらに基づき尿素水の濃度やシステム異常を仮診断する。また、モータへの通電停止時における回転挙動及び圧力挙動として、モータ通電停止から実際にモータの回転数下降が開始するまでの下降開始遅れ時間と、回転数の下降率と、配管圧の下降率とを取得し、それらに基づき尿素水の濃度やシステム異常を仮診断する。その後、モータ通電開始時での仮診断結果と、モータ通電停止時での仮診断結果とを集約して、最終的な診断を行う。

目的

本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、尿素水の品質を検出する品質センサを用いなくても、インジェクタに供給する尿素水の濃度又は粘度と尿素水供給システムの異常とを診断できる診断装置を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

尿素水貯蔵するタンク(6)と、そのタンクに貯蔵された尿素水を吸い込んで吐出するポンプ(8)と、そのポンプから吐出された尿素水をインジェクタに導く配管(9)とを備えた尿素水供給システムに適用され、前記ポンプのモータ(10)の回転状態を変化させる制御を実施するモータ制御部(S4、S6)と、前記制御の実施時における前記モータの回転挙動を取得する回転挙動取得部(S11、S31)と、前記制御の実施時における前記配管内の圧力挙動を取得する圧力挙動取得部(S11、S31)と、前記回転挙動及び前記圧力挙動に基づいて尿素水の濃度又は粘度と、前記尿素水供給システムの異常とを診断する診断部(S12〜S20、S32〜S40、S8)と、を備える診断装置(19)。

請求項2

前記モータ制御部は、互いに異なる回転状態に変化させる複数回の前記制御を実施し、前記回転挙動取得部は、各回の前記制御毎に前記回転挙動を取得し、前記圧力挙動取得部は、各回の前記制御毎に前記圧力挙動を取得し、前記診断部は、同一回の前記制御で取得された前記回転挙動及び前記圧力挙動に基づいて、尿素水の濃度又は粘度と前記尿素水供給システムの異常とを仮診断し、その仮診断を各回の前記制御毎に実施する仮診断部(S12〜S20、S32〜S40)と、前記仮診断部による仮診断結果を集約することにより、尿素水の濃度又は粘度と前記尿素水供給システムの異常とを診断する総合診断部(S8)とを備える請求項1に記載の診断装置。

請求項3

前記モータ制御部は、前記モータの回転数を上げる方向に変化させる上昇制御を実施する上昇制御部(S4)と、前記モータの回転数を下げる方向に変化させる下降制御を実施する下降制御部(S6)とを備え、前記回転挙動取得部は、前記上昇制御の実施時における前記モータの回転挙動である回転上昇挙動を取得する回転上昇挙動取得部(S11)と、前記下降制御の実施時における前記モータの回転挙動である回転下降挙動を取得する回転下降挙動取得部(S31)とを備え、前記圧力挙動取得部は、前記上昇制御の実施時における前記モータの圧力挙動である圧力上昇挙動を取得する圧力上昇挙動取得部(S11)と、前記下降制御の実施時における前記モータの圧力挙動である圧力下降挙動を取得する圧力下降挙動取得部(S31)とを備え、前記仮診断部は、前記回転上昇挙動と前記圧力上昇挙動とに基づいて尿素水の濃度又は粘度と前記尿素水供給システムの異常とを仮診断する第1診断部(S12〜S20)と、前記回転下降挙動と前記圧力下降挙動とに基づいて尿素水の濃度又は粘度と前記尿素水供給システムの異常とを仮診断する第2診断部(S32〜S40)とを備え、前記総合診断部は、前記第1診断部による仮診断結果と、前記第2診断部による仮診断結果とに基づいて、尿素水の濃度又は粘度と前記尿素水供給システムの異常とを診断する請求項2に記載の診断装置。

請求項4

前記総合診断部は、前記仮診断部による複数の仮診断結果のうち1つでも前記尿素水供給システムの異常を示した診断結果である場合には、その異常を最終的な診断結果として採用する異常診断部(S52〜S55)を備える請求項2又は3に記載の診断装置。

請求項5

前記総合診断部は、前記仮診断部による複数の仮診断結果の全てが同一の尿素水濃度又は粘度を示した診断結果である場合に限り、その尿素水濃度又は粘度を最終的な診断結果として採用する濃度診断部(S56〜S61)を備える請求項2〜4のいずれか1項に記載の診断装置。

請求項6

前記診断部(S17、S20、S37、S40、S52〜S55)は、前記尿素水供給システムの異常であると診断する場合には、前記配管からの尿素水の漏れに該当するのか、前記尿素水の凍結又は前記モータの異常に該当するのかを診断する請求項1〜5のいずれか1項に記載の診断装置。

請求項7

前記診断部(S16、S19、S36、S39、S58、S60)は、尿素水の濃度又は粘度を診断する場合には、前記尿素水供給システムが想定している標準濃度又は粘度であるのか、その標準濃度又は粘度よりも高い濃度又は粘度であるのかを診断する請求項1〜6のいずれか1項に記載の診断装置。

請求項8

前記回転挙動取得部は、前記回転挙動として、前記制御を開始してから前記モータの回転数変化が開始するまでの遅れ時間と、前記モータの回転数の変化過程における時間に対する回転数の変化率とを取得する請求項1〜7のいずれか1項に記載の診断装置。

請求項9

前記圧力挙動取得部は、前記圧力挙動として前記制御を開始してからの時間に対する前記配管内の圧力の変化率を取得する請求項1〜8のいずれか1項に記載の診断装置。

請求項10

前記モータ制御部は、前記モータの回転数を上げる方向に変化させる上昇制御を行う上昇制御部(S4)を備え、前記回転挙動取得部は、前記回転挙動として、前記上昇制御を開始してから前記モータの回転数上昇が開始するまでの上昇開始遅れ時間と、前記モータの回転数の上昇過程における時間に対する回転数の上昇率とを取得する回転上昇挙動取得部(S11)を備え、前記圧力挙動取得部は、前記圧力挙動として、前記上昇制御を開始してからの時間に対する前記配管内の圧力の上昇率を取得する圧力上昇挙動取得部(S11)を備え、前記診断部は、前記上昇開始遅れ時間が閾値より大きく、且つ前記回転数の上昇率が閾値より小さく、且つ、前記圧力の上昇率が閾値より小さい場合に、前記尿素水供給システムの異常として前記モータの異常又は尿素水の凍結であると診断するモータ異常/凍結診断部(S20)を備える請求項1に記載の診断装置。

請求項11

前記診断部は、前記上昇開始遅れ時間が閾値より大きく、且つ前記回転数の上昇率が閾値より小さく、且つ、前記圧力の上昇率が閾値より大きい場合に、尿素水の濃度又は粘度は、前記尿素水供給システムが想定している標準濃度又は粘度よりも高い濃度又は粘度であると診断する高濃度診断部(S19)を備える請求項10に記載の診断装置。

請求項12

前記診断部は、前記上昇開始遅れ時間が閾値より小さいことと、前記回転数の上昇率が閾値より大きいことの少なくともいずれかが成立し、且つ、前記圧力の上昇率が閾値より小さい場合に、前記尿素水供給システムの異常として前記配管から尿素水が漏れていると診断する配管漏れ診断部(S17)を備える請求項10又は11に記載の診断装置。

請求項13

前記診断部は、前記上昇開始遅れ時間が閾値より小さいことと、前記回転数の上昇率が閾値より大きいことの少なくともいずれかが成立し、且つ、前記圧力の上昇率が閾値より大きい場合に、尿素水の濃度又は粘度は、前記尿素水供給システムが想定している標準濃度又は粘度であると診断する標準濃度診断部(S16)を備える請求項10〜12のいずれか1項に記載の診断装置。

請求項14

前記モータ制御部は、前記モータの回転数を下げる方向に変化させる下降制御を行う下降制御部(S6)を備え、前記回転挙動取得部は、前記回転挙動として、前記下降制御を開始してから前記モータの回転数下降が開始するまでの下降開始遅れ時間と、前記モータの回転数の下降過程における時間に対する回転数の下降率とを取得する回転下降挙動取得部(S31)を備え、前記圧力挙動取得部は、前記圧力挙動として、前記下降制御を開始してからの時間に対する前記配管内の圧力の下降率を取得する圧力下降挙動取得部(S31)を備え、前記診断部は、前記下降開始遅れ時間が閾値より大きく、且つ前記回転数の下降率が閾値より小さく、且つ、前記圧力の下降率が閾値より大きい場合、又は、前記下降開始遅れ時間が閾値より小さいことと前記回転数の下降率が閾値より大きいことの少なくともいずれかが成立し、且つ、前記圧力の下降率が閾値より大きい場合に、前記尿素水供給システムの異常として前記配管から尿素水が漏れていると診断する配管漏れ診断部(S37、S40)を備える請求項1に記載の診断装置。

請求項15

前記診断部は、前記下降開始遅れ時間が閾値より大きく、且つ前記回転数の下降率が閾値より小さく、且つ、前記圧力の下降率が閾値より小さい場合に、尿素水の濃度又は粘度は、前記尿素水供給システムが想定している標準濃度又は粘度よりも高い濃度又は粘度であると診断する高濃度診断部(S39)を備える請求項14に記載の診断装置。

請求項16

前記診断部は、前記下降開始遅れ時間が閾値より小さいことと前記回転数の下降率が閾値より大きいことの少なくともいずれかが成立し、且つ、前記圧力の下降率が閾値より小さい場合に、尿素水の濃度又は粘度は前記尿素水供給システムが想定している標準濃度又は粘度であると診断する標準濃度診断部(S36)を備える請求項14又は15に記載の診断装置。

技術分野

0001

本発明は、インジェクタ尿素水を供給する尿素水供給システムに適用され、尿素水の品質や尿素水供給システムの異常を診断する診断装置に関する。

背景技術

0002

従来、内燃機関から排出される排気ガス浄化するシステムの一つに尿素SCR(Selective Catalytic Reduction)システムが知られている。尿素SCRシステムでは、内燃機関の排気管に、尿素水により排気ガス中のNOxを選択的に還元浄化するNOx触媒と、そのNOx触媒の排気上流側に尿素水を添加するインジェクタとが設けられる。さらに、尿素SCRシステムには、インジェクタに尿素水を供給する尿素水供給システムが備えられる。その尿素水供給システムは、尿素水を貯蔵するタンクと、タンクの尿素水を吸い込んで吐出するポンプと、ポンプから吐出された尿素水をインジェクタに導く配管とを含んで構成されている。

0003

尿素SCRシステムに用いられる尿素水の濃度は所望値(例えば32.5%)が定められている。ところが、その所望値に相当する標準濃度に対して想定外の濃度の尿素水が使用されたり、当初は標準濃度であったものが経時変化したりすることがある。また、気温氷点下にまで低下するような寒冷地等での使用においては、停車中にタンク内の尿素水が冷却され、凍結する場合がある。この凍結又は解凍過程においては尿素水における尿素分布偏りが生じ、結果、インジェクタに供給する尿素水の濃度が想定外の濃度となる可能性がある。

0004

インジェクタに供給される尿素水の濃度が想定よりも高い場合には、NOx触媒に尿素が過剰供給されて、NOx触媒からアンモニアが放出されるスリップが発生するおそれがある。反対に、尿素水の濃度が想定よりも低い場合には、NOx触媒でのNOx浄化率が低下するおそれがある。

0005

一方、尿素水の濃度診断とは異なる技術であるが、従来、燃料を吸い込んで吐出する電動ポンプ作動状態に基づいて燃料の粘度を算出する技術の提案がある(特許文献1参照)。特許文献1では、電動ポンプの作動状態が第1の定常状態から第2の定常状態となるまでの時間に基づいて燃料粘度を算出している。

先行技術

0006

特許第4840531号公報

発明が解決しようとする課題

0007

ところで、尿素水の濃度又は粘度を診断するために、タンク内に尿素水の品質(濃度又は粘度)を検出するセンサを設けることが考えられる。しかし、上記したように尿素水における尿素分布に偏りが生じる場合があり、この場合、センサが検出する尿素水の濃度又は粘度と、実際にポンプからインジェクタに供給する尿素水の濃度又は粘度とが異なる場合がある。すなわち、例えば尿素水の濃度が低くなっている領域に品質センサが設けられ、尿素水の濃度が高くなっている領域にポンプが設けられた場合には、ポンプにより吐出される尿素水の濃度は高濃度であるにもかかわらず、品質センサでは低濃度と検出されてしまう。また、品質センサの設けることによりコストアップにつながる。

0008

また、尿素水の凍結、ポンプのモータ異常、配管からの尿素水の漏れなどの尿素水供給システムの異常が発生する場合がある。

0009

本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、尿素水の品質を検出する品質センサを用いなくても、インジェクタに供給する尿素水の濃度又は粘度と尿素水供給システムの異常とを診断できる診断装置を提供することを課題とする。

課題を解決するための手段

0010

上記課題を解決するために、本発明の診断装置は、尿素水を貯蔵するタンク(6)と、
そのタンクに貯蔵された尿素水を吸い込んで吐出するポンプ(8)と、
そのポンプから吐出された尿素水をインジェクタに導く配管(9)とを備えた尿素水供給システムに適用され、
前記ポンプのモータ(10)の回転状態を変化させる制御を実施するモータ制御部(S4、S6)と、
前記制御の実施時における前記モータの回転挙動を取得する回転挙動取得部(S11、S31)と、
前記制御の実施時における前記配管内の圧力挙動を取得する圧力挙動取得部(S11、S31)と、
前記回転挙動及び前記圧力挙動に基づいて尿素水の濃度又は粘度と、前記尿素水供給システムの異常とを診断する診断部(S12〜S20、S32〜S40、S8)と、
を備える。

0011

本発明者は、尿素水の濃度に応じて尿素水の粘度が変わるという知見を有している。本発明はこの知見に基づいてなされたものであり、尿素水の濃度に応じて粘度が変わり、粘度に応じて、ポンプのモータの回転状態を変化させる制御を実施した時のモータの回転挙動が変化する。さらに、回転挙動に加えて配管内の圧力挙動も見ることで、尿素水の濃度又は粘度だけでなく、尿素水供給システムの異常も診断できる。つまり、回転挙動及び圧力挙動は、尿素水の濃度又は粘度を反映した挙動となり、システム異常が発生した場合には、尿素水の濃度又は粘度を反映した挙動とは異なる挙動となる。本発明では、診断部は回転挙動及び圧力挙動に基づき、尿素水の濃度又は粘度とシステム異常とを診断するので、品質センサを用いなくてもその診断をすることができる。

図面の簡単な説明

0012

尿素SCRシステムの全体構成図である。
尿素SCRシステムの中からインジェクタへの尿素水の供給に関連する構成を抜き出すとともに、ポンプユニットの内部構成を示した図である。
尿素水の濃度と粘度との相関特性を示した図である。
ポンプモータへの通電開始時及び停止時のそれぞれにおけるモータ回転数の挙動及び配管内の圧力挙動を例示した図である。
ECUが実行する尿素水の濃度とシステム異常とを診断する処理のフローチャートである。
図5のS5の具体的な処理であり、モータ通電開始時での尿素水の濃度とシステム異常とを仮診断する処理のフローチャートである。
図5のS7の具体的な処理であり、モータ通電停止時での尿素水の濃度とシステム異常とを仮診断する処理のフローチャートである。
図5のS8の具体的な処理であり、モータ通電開始時での仮診断結果とモータ通電停止時での仮診断結果とに基づき総合診断を行う処理のフローチャートである。

実施例

0013

以下、本発明の実施形態を図面を参照しながら説明する。図1に本発明が適用された尿素SCRシステムの全体構成を示している。尿素SCRシステム1は車両に搭載されて、内燃機関としてのエンジン2から排出される排気中のNOxを浄化するシステムである。エンジン2は、例えば、気筒とその気筒内に燃料を噴射するインジェクタとを備えて、そのインジェクタから噴射された燃料を気筒内で自己着火させるディーゼルエンジンである。

0014

尿素SCRシステム1は、エンジン2の排気管3に、排気中のNOxを選択的に還元浄化するSCR触媒(NOx触媒)4と、そのSCR触媒4の排気上流側又はSCR触媒4に直接に尿素水を添加するインジェクタ5とを備えている。SCR触媒4は、インジェクタ5から添加された尿素水が排気熱により加水分解されることにより生成されたアンモニア(NH3)を貯蔵するとともに、そのアンモニア(NH3)とNOxとの還元反応として例えば下記式1、式2、式3の還元反応を促進させる触媒成分が担持されている。その触媒成分は例えばバナジウムモリブデンタングステン等の卑金属酸化物である。このように、排気がSCR触媒4を通過する間に、NOxは例えば下記式1、式2、式3により水や窒素に分解(浄化)する。
4NO+4NH3+O2→4N2+6H2O ・・・(式1)
6NO2+8NH3→7N2+3H2O ・・・(式2)
NO+NO2+2NH3→2N2+3H2O ・・・(式3)

0015

なお、SCR触媒4は無尽蔵にアンモニアを貯蔵できるわけではなく、SCR触媒4に貯蔵できるアンモニアの最大貯蔵量は、SCR触媒4の温度(触媒温度)によって変化する。触媒温度が急激に下がった場合や、SCR触媒4にアンモニア(尿素)が過剰供給された場合には、SCR触媒4からアンモニアが放出されるアンモニアスリップという現象が発生する。そのため、SCR触媒4の下流には、SCR触媒4から放出されたアンモニアを浄化するための酸化触媒が設けられることがある。

0016

インジェクタ5は、ガソリンエンジンの筒内または吸気ポート内に燃料を噴射する燃料噴射弁と同様の構造を有している。すなわち、インジェクタ5は、噴孔が形成されたノズルと、電磁ソレノイド等からなる駆動部と、尿素水を流通させる尿素水通路やノズルを開閉するためのニードルとを備えた電磁式開閉弁として構成されている。そして、電磁ソレノイドが通電されると、その通電に伴いニードルが開弁方向に移動し、そのニードルの移動に伴いノズル先端に形成された噴孔から尿素水が噴射される。

0017

また、尿素SCRシステム1は、インジェクタ5に尿素水を供給する尿素水供給システムを備えている。その尿素水供給システムは、尿素水を貯蔵するタンク6と、そのタンク6に貯蔵された尿素水を吸い込んで吐出するポンプユニット8と、そのポンプユニット8から吐出された尿素水をインジェクタ5に導く配管9とを含んで構成されている。

0018

タンク6は例えば車両のシャシーフレームに固定され、外気に晒された状態に置かれる。タンク6は補給口7を有した密閉容器にて構成されている。尿素水が少なくなった場合には補給口7からタンク6内に尿素水を補給できるようになっている。

0019

ポンプユニット8は、タンク6内の底面にて尿素水に浸漬した状態で配置されるインタンク式ポンプである。なお、インタンク式ポンプに代えて、ポンプ本体がタンク外に配置される形式のポンプを採用しても良い。ポンプユニット8は、ECU19からの駆動信号により回転駆動される電動式ポンプである。詳しくは、ポンプユニット8は、図2に示すように、ECU19からの駆動信号により回転駆動されるポンプモータ10と、そのポンプモータ10の回転軸に取り付けられたポンプ羽根車インペラー)11と、尿素水中異物を除去する尿素水フィルタ12と、ポンプモータ10の周囲を囲むように設けられてポンプモータ10を含むポンプユニット8内を暖めるポンプヒータ13とを備えている。

0020

ポンプモータ10は、例えば三相誘導モータであり、固定子側(一次側)に付与する駆動信号の周波数を変えることで、回転子回転数を変更可能に構成されている。また、ポンプモータ10は、回転子の回転方向を、インジェクタ5の側に尿素水を吐出(圧送)する正転方向と、タンク6内に尿素水を吸い戻す逆転方向との間で切替可能に構成されている。

0021

このように構成されたポンプユニット8は、ポンプモータ10の回転に伴いポンプ羽根車11が回転し、その回転によりタンク6内の尿素水を吸い込んで吐出し、又は配管9内の残留尿素水をタンク6内に吸い戻す。また、ポンプユニット8は、ポンプモータ10の回転数が変更されることで、尿素水の圧送量ポンプ吐出量)が可変調整できる構成となっている。このとき、ポンプモータ10の回転数が高くなるほど尿素水の圧送量が増加し、その増加により配管9内の圧力が増加する。

0022

また、タンク6内には、尿素水に浸漬する形でタンク6内の尿素水を加熱するタンクヒータ14が設けられている。タンクヒータ14は、ポンプヒータ13に接続されており、ECU19によりタンクヒータ14が通電されることで、ポンプヒータ13も通電されるよう構成されている。

0023

配管9は一端がポンプユニット8の吐出口に接続され、他端がインジェクタ5の尿素水入口に接続されている。ポンプユニット8から吐出された尿素水は配管9内を流れて、インジェクタ5の尿素水入口からインジェクタ5内に供給される。

0024

尿素SCRシステム1には、尿素SCRシステム1の制御に必要な各種センサが設けられている。具体的には、タンク6にはタンク6内の尿素水の温度を検出する尿素水温センサ15が設けられている。また、配管9には、配管9内の圧力を検出する圧力センサ16が設けられている。その圧力センサ16は、ポンプユニット8よりもインジェクタ5側に設けられる。さらに、外気温を検出する外気温センサ17及びエンジン2の冷却水温を検出するエンジン水温センサ18が設けられている。これら各センサの検出値はECU19に入力される。その他、エンジン回転数を検出する回転数センサドライバーによるアクセル操作量(アクセル開度)を検出するアクセルセンサ、SCR触媒4の下流側に設けられて排気中のNOx濃度を検出するNOxセンサなども設けられている。

0025

また、尿素SCRシステム1はECU19を備えている。ECU19は、CPU、ROM、RAM等により構成される周知のマイクロコンピュータを含んで構成される。ECU19は、例えばエンジン2の運転状態やNOxセンサの検出値等に基づいてインジェクタ5による尿素水の添加量を制御する。また、ECU19は、ポンプモータ10に出力する駆動信号を生成するモータ駆動回路20を有して、ポンプモータ10の回転を制御する。また、ECU19は、モータ駆動回路20から与えられる駆動信号(例えば駆動電圧)に対してポンプモータ10に実際に発生する信号(例えば駆動電流や駆動電圧)を検出する駆動状態検出回路21を有する。また、ECU19は、ヒータ13、14の通電を制御する。

0026

さらに、ECU19は、タンク6に貯蔵された尿素水の濃度判定及び該尿素水の凍結などの尿素水供給システムの異常判定の処理を実行する。ここで、この処理の詳細を説明する前に、尿素水の濃度や凍結について説明する。尿素SCRシステム1においては使用する尿素水の濃度(尿素水に含有する尿素の濃度)は所望値(例えば32.5%)が定められている。しかし、その所望値に相当する標準濃度に対して想定外の濃度の尿素水が使用されることがある。また、気温が氷点下にまで低下するような寒冷地等での使用においては、停車中にタンク6内の尿素水が冷却され、凍結する場合がある。尿素水は−11℃で凍結するが、タンク6内の各領域で均一に凍結が開始するわけではなく、外気に近い尿素水の表面側から凍結していく。また、凍結の過程においては、尿素水に含まれた水分から凍結していき、結果、尿素は凍結が進行していない液体側に集まる。その結果、尿素水が一部凍結した状態では、凍結していない部分の尿素濃度が標準濃度よりも高くなる場合がある。このように、凍結の過程においては尿素水における尿素分布に偏りが生じ、このことは解凍の過程においても当てはまる

0027

インジェクタ5に想定外の濃度の尿素水が供給されると、SCR触媒4から余剰のアンモニアが放出されるアンモニアスリップが発生したり、SCR触媒4でのNOx浄化率が低下したりするおそれがある。これを抑制するため、インジェクタ5に実際に供給される尿素水の濃度を判定することは有益である。

0028

また、尿素水が完全に凍結した場合にはインジェクタ5への尿素水の供給が不能となり、尿素水の解凍を待つ必要がある。一方で、尿素水の一部が凍結し、一部は凍結していないときに、ポンプユニット8が凍結していない領域に配置されていた場合には、インジェクタ5への尿素水供給が可能である。この場合に、尿素水の全部が完全に凍結するのを待っていると、SCR触媒4によるNOx浄化の実施が遅れてしまう。そのため、できるだけ短時間で尿素水の凍結状態を判定する必要がある。

0029

本実施形態では、尿素水の濃度が粘度に相関することを利用して濃度判定を実施する。ここで、図3を参照して、尿素水の濃度と粘度との相関特性を説明する。図3に示すように、尿素水の濃度と粘度との相関特性は、ある濃度で変曲点を持ち、その変曲点を境に濃度変化に対する粘度変化の傾向が変化する。具体的には、変曲点を示す規定濃度より低濃度の範囲では、濃度変化に対する粘度変化が小さい。つまり、濃度が変わったとしても、粘度はほぼ一定の値となっている。これに対し、規定濃度より高濃度の範囲では、濃度変化に対する粘度変化が大きい。具体的には、濃度が高くなるほど粘度も高くなる。

0030

また、図3において、変曲点となる規定濃度は、尿素水の標準濃度(32.5%)辺りに設定されている。図3常温ライン実線)において、濃度が32.5%の時の粘度に対する、濃度が34.2%、40%の時の粘度の比は、それぞれ、約1.05倍、約1.3倍となっている。

0031

また、尿素水の粘度は温度によっても変化し、具体的には、温度が低いほど粘度が高くなる。図3においては、低温(0℃)の時の粘度(点線)は、常温(20℃)の時の粘度(実線)よりも約1.8倍高くなっている。また、常温時の濃度と粘度の相関特性(実線)と、低温時の相関特性(点線)とは、濃度変化に対する粘度の変化率は同等となっている。

0032

このように、濃度又は温度に応じて粘度が変わり、粘度に応じて、ポンプモータ10の回転状態を変化させる制御を実施した時のポンプモータ10の回転挙動が変わる。また、配管9内の圧力は、ポンプモータ10の回転に付随して変化するので、ポンプモータ10の回転状態を変化させる制御を実施した時の圧力挙動は、粘度に応じて変化する。このことを、図4を参照してさらに詳しく説明する。

0033

図4は、上から、時間に対するポンプモータへの通電の状態(同図(a))、ポンプモータの回転数の変化(同図(b))、及び配管圧の変化(同図(c))を示している。また、(b)、(c)において、(1)のライン(点線)は、常温且つ標準濃度の尿素水を使用した場合の挙動を示している。(2)のライン(一点鎖線)は、低温且つ標準濃度の尿素水を使用した場合の挙動を示している。(3)のライン(実線)は、常温且つ標準濃度より高濃度の尿素水を使用した場合の挙動を示している。なお、図3で説明したように高濃度ほど粘度が高く、低温ほど粘度が高いので、(1)、(2)、(3)の順に粘度が高くなっている。

0034

モータ通電開始時の回転挙動を説明すると、モータ通電のONから実際にモータの回転が開始するまでの時間(回転開始遅れ時間)は、粘度すなわち濃度が高いほど長くなる。すなわち、回転開始遅れ時間は(1)<(2)<(3)の関係となっている。また、濃度が高い場合における、回転開始から定常状態になるまでの変化過程における時間に対する回転数の上昇率図4(b)の符号100の部分の上昇率)は、濃度が低い場合((1)、(2)の場合)に比べて低くなる。これは、濃度が高いと、粘度が高くなることで抵抗が大きくなって、モータが回転し難くなるためである。

0035

モータ通電開始時の圧力挙動を説明すると、モータ通電のONから実際に配管圧の上昇が開始するまでの遅れ時間は、粘度すなわち濃度が高いほど長くなっており、具体的には回転開始遅れ時間と同様に(1)<(2)<(3)の関係となっている。

0036

モータ通電終了時の回転挙動を説明すると、モータ通電のOFFから実際にモータ回転数の下降が開始するまでの時間(下降開始遅れ時間)は、粘度すなわち濃度が高いほど長くなる。また、濃度が高い場合における、回転下降の開始から定常状態(回転停止)になるまでの変化過程における時間に対する回転数の下降率図4(b)の符号101の部分の下降率)は、濃度が低い場合((1)、(2)の場合)に比べて低くなる。これは、濃度が高いと、粘度が高くなることから、ポンプ羽根車に作用している尿素水がポンプ羽根車から離されにくくなる。そして、このポンプ羽根車に作用する尿素水の流れにより、モータ通電OFF後のモータが惰性(慣性)で連れまわりする時間が長くなるためである。

0037

モータ通電終了時の圧力挙動を説明すると、モータ通電のOFFから実際に配管圧の下降が開始するまでの時間は、粘度すなわち濃度が高いほど長くなっており、具体的には(1)<(2)<(3)の関係となっている。また、濃度が高い場合((3)の場合)における、圧力下降の開始から定常状態(圧力ゼロ)になるまでの変化過程における時間に対する圧力下降率は、(1)、(2)の場合に比べて低くなる。これは、上記したように濃度が高いとモータが惰性で連れまわりする時間が長くなるためである。

0038

なお、濃度が高い場合には、粘度が高くなり、モータ回転に対する抵抗が大きくなって、モータ通電OFF時に速やかに回転数が下降すると考えることもできる。つまり、濃度(粘度)が高い場合には、低い場合に比べて通電OFF時の下降開始遅れ時間が短く、また、回転下降率や圧力下降率が大きいと考えることもできる。しかし本実施形態においては、先に説明したように、濃度が高い場合には、低い場合に比べてモータ通電OFF時の下降開始遅れ時間が長くなり、回転下降率及び圧力下降率が低くなるという知見を採用している。

0039

図4は、尿素水の濃度(粘度)の違いによる回転挙動及び圧力挙動を示しているが、尿素水が凍結した場合などの異常が発生すると、回転挙動及び圧力挙動は発生した異常の種類(尿素水の凍結、モータ異常、配管漏れ)を反映した挙動となる。

0040

ECU19は、図3図4に示す知見を利用して、尿素水の濃度や凍結等の異常判定を行う。以下、ECU19が実行する処理の詳細を説明する。図5はECU19が実行する処理のフローチャートを示している。図5の処理は例えばエンジン2の始動時など所定条件成立時に開始する。

0041

図5の処理を開始すると、先ず、タンク6内の尿素水の完全凍結判定を行う(S1)。ここで、完全凍結とは、インジェクタ5への尿素水供給が明らかに不能である状態を言い、別の言い方をすると、尿素水の全部が凍結した状態を言う。完全凍結判定として、具体的には、例えば尿素水温センサ15が検出する尿素水温が所定の閾値A以下であり、且つ、外気温センサ17が検出する外気温が所定の閾値B以下であり、且つ、エンジン水温センサ18が検出する冷却水温が所定の閾値C以下である場合に完全凍結していると判定し、尿素水温、外気温、冷却水温の1つでも閾値より高い場合には、完全凍結していないと判定する。閾値は、例えば尿素水が凍結する‐11℃よりも低い温度(例えば−20℃)に設定される。なお、上記閾値A、B、Cは、互いに同じ温度に設定されたとしても良いし、異なる温度に設定されたとしても良い。このように、尿素水温、外気温及び冷却水温に基づいて完全凍結を判定することで、尿素水温だけで判定する場合に比べて、正確に完全凍結を判定できる。

0042

完全凍結と判定した場合には(S2:Yes)、ポンプモータ10の保護のために、モータ駆動回路20によるポンプモータ10への通電を停止する(S3)。加えて、尿素水を解凍するためにヒータ13、14を通電して、ポンプユニット8内の尿素水及びタンク6内の尿素水を加熱する(S3)。その後、図5の処理を終了する。

0043

一方、完全凍結していないと判定した場合には(S2:No)、モータ駆動回路20によりポンプモータ10への通電を開始する(S4)。つまり、ポンプモータ10を正転方向に回転させて、インジェクタ5への尿素水供給を開始する。このとき、配管圧の目標値を設定して、配管圧がこの目標値となるようモータ駆動回路20からポンプモータ10に出力する駆動信号の周波数を設定する。なお、S4の処理は、ポンプモータ10の回転数を上げる方向に変化させる上昇制御の一例である。

0044

次に、モータ通電開始時でのポンプモータ10の回転挙動及び配管9の圧力挙動に基づいて尿素水濃度、凍結等を判定する(S5)。具体的には、図6の処理を実行する。

0045

図6の処理に移行すると、先ず、モータ通電開始時のポンプモータ10の回転挙動及び配管9の圧力挙動を取得する(S11)。具体的には、回転挙動については、駆動状態検出回路21により、モータ通電開始後にポンプモータ10に実際に発生する信号(例えば駆動電流)を検出する。この発生信号は、ポンプモータ10の回転数に応じた周期をもって変動する。したがって、発生信号の周期に基づきモータ回転数を求める。このモータ回転数を、モータ通電開始から、モータの回転開始を経てモータ回転が定常状態になるまでの期間にわたって逐次取得する。ここで、モータ回転の定常状態とは、時間経過に対して回転数が一定となる状態を言い、言い換えると、時間に対する回転数の変化率がほぼゼロとなる状態を言う。なお、ポンプユニット8内に、ポンプモータ10の回転数を検出するセンサを設けて、そのセンサによりモータ回転数を取得しても良い。

0046

S11では、取得したモータ回転数の挙動に基づき、モータ通電を開始してから、実際にポンプモータ10の回転が開始するまでの回転開始遅れ時間(本発明の上昇遅れ時間に相当)を算出する。さらに、回転数挙動に基づき、モータが実際に回転を開始してから定常状態になるまでの変化過程における時間に対する回転数の上昇率(回転上昇率)を算出する。具体的には、例えば、回転開始から定常状態になるまでの回転上昇期間における各時点での瞬間回転上昇率を時点毎に求め、得られた時点毎の瞬間回転上昇率の平均値を最終的な回転上昇率として採用する。また、回転上昇期間を所定の時間幅で複数の区間に分割して、区間毎に回転上昇率を算出する。そして、区間毎の回転上昇率の最大値等を最終的な回転上昇率として採用しても良い。

0047

配管9の圧力挙動として、モータ通電を開始してから、配管圧の上昇開始を経て配管圧が定常状態になるまでの期間にわたって、圧力センサ16の検出値を逐次取得する。ここで、配管圧の定常状態とは、時間経過に対して配管圧が目標値で一定となる状態を言い、言い換えると、時間に対する配管圧の変化率がほぼゼロとなる状態を言う。

0048

S11では、取得した圧力挙動に基づき、圧力上昇を開始してから定常状態になるまでの変化過程における時間に対する配管圧の上昇率(圧力上昇率)を算出する。圧力上昇率の算出方法は、回転上昇率の算出方法と同様である。S11で取得した回転挙動(回転開始遅れ時間、回転上昇率)及び圧力挙動(圧力上昇率)は、ECU19内のメモリに記憶しておく。なお、回転開始遅れ時間、回転上昇率は、後述のS12、S14の判定タイミングで算出しても良く、圧力上昇率は後述のS15、S18の判定タイミングで算出しても良い。

0049

次に、S11で得られた回転開始遅れ時間が予め定められた閾値T1より小さいか大きいかを判定する(S12)。閾値T1は、図4(b)において(1)、(2)のラインの回転開始遅れ時間より大きく、(3)のラインの回転開始遅れ時間より小さい値に設定される。回転開始遅れ時間が閾値T1より小さい場合には、尿素水の濃度は標準濃度(例えば32.5%)であり、且つ、ポンプモータ10は正常に作動していると仮診断する(S13)。このように仮診断する理由は、標準濃度の場合は、高濃度の場合に比べて、尿素水の粘度が低くなり(図3参照)、粘度が低いほど回転開始遅れ時間が短くなるためである(図4(b)参照)。また、標準濃度であったとしても、ポンプモータ10が正常に作動していない場合には回転開始遅れ時間が長くなる。つまり、回転開始遅れ時間が短いということは、ポンプモータ10が正常であるといえる。

0050

一方、回転開始遅れ時間が閾値T1より大きい場合には、S11で得られた回転上昇率が予め定められた閾値R1より大きいか小さいかを判定する(S14)。閾値R1は、図4(b)において(1)、(2)のラインの回転上昇率より小さく、(3)のラインの回転上昇率より大きい値に設定される。回転上昇率が閾値R1より大きい場合には、ポンプモータ10は正常であると見做し、次に、S11で得られた圧力上昇率が予め定められた閾値P1より大きいか小さいかを判定する(S15)。また、S13で標準濃度且つモータ正常と判定した場合も、次に、圧力上昇率が閾値P1より大きいか小さいかを判定する(S15)。このS15は、標準濃度か高濃度かを判別するというよりも、標準濃度か配管漏れかを判別するための処理である。閾値P1は、図4(c)において(1)、(2)のラインの圧力上昇率より小さい値に設定される。

0051

圧力上昇率が閾値P1より大きい場合には、モータ通電開始時の判定として最終的に尿素水の濃度は標準濃度であり、且つモータ正常と判定する(S16)。このように、図6の処理では、回転開始遅れ時間が閾値T1より小さいことと、回転上昇率が閾値R1より大きいことのいずれかが成立し、且つ、圧力上昇率が閾値P1より大きい場合に標準濃度且つモータ正常と判定する。これは、図4(b)、(c)に示すように、標準濃度を示す(1)、(2)の挙動においては、(3)の高濃度の挙動に比べて、回転開始遅れ時間が短く、且つ回転上昇率が高くなっているためである。また、図4(b)において(1)と(2)の挙動を比較すると、同じ標準濃度であっても、温度の違いで回転開始遅れ時間が変わり、具体的には、温度が低いと回転開始遅れ時間が長くなる。したがって、図6の処理において、温度が低下したことにより仮に回転開始遅れ時間が閾値T1より大きいと判定された場合であっても、回転上昇率及び圧力上昇率も確認することで標準濃度を確実に検出できる。また、ポンプモータ10が正常に作動していることを前提として、回転上昇率や圧力上昇率が高くなるので、S16では、標準濃度に加えて、モータ正常も判定している。S16の後、図6の処理を終了して、図5の処理に戻る。

0052

一方、圧力上昇率が閾値P1より小さい場合には、ポンプモータ10は正常であるにもかかわらず配管圧が上がらないとして、配管9から尿素水が漏れていると判定する(S17)。この配管漏れは、尿素水供給システムの異常の一つである。なお、S13を経てS17に進んだ場合には、配管漏れであるとともに、標準濃度且つモータ正常でもある。S17の後、図6の処理を終了して、図5の処理に戻る。

0053

S14において回転上昇率が閾値R1より小さい場合には、次に、S11で得られた圧力上昇率が予め定められた閾値P2より大きいか小さいかを判定する(S18)。このS18は、標準濃度か高濃度かを判別するというよりも、高濃度か、システム異常かを判別するための処理である。閾値P2は、図4(c)において(3)のラインの圧力上昇率より小さい値に設定される。なお、閾値P2は、S15の閾値P1と異なる値に設定されたとしても良いし、同じ値に設定されたとしても良い。

0054

圧力上昇率が閾値P2より大きい場合には尿素水の濃度は標準濃度よりも高濃度であると判定する(S19)。このように、図6の処理では、回転開始遅れ時間が閾値T1より大きく、且つ、回転上昇率が閾値R1より小さく、且つ、圧力上昇率が閾値P2より大きい場合に高濃度と判定している。これは、図4(b)、(c)に示すように、高濃度を示す(3)の挙動においては、(1)、(2)の標準濃度の挙動に比べて、回転開始遅れ時間が長く、且つ回転上昇率が低くなっているためである。S19の後、図6の処理を終了して、図5の処理に戻る。

0055

S18において圧力上昇率が閾値P2より小さい場合には、モータ回転も上がらず配管圧の上昇も鈍いことから、ポンプモータ10若しくはポンプモータ10を駆動する回路の異常(以下、単にモータ異常という)、又は尿素水の凍結と判定する(S20)。なお、モータ異常、尿素水の凍結はそれぞれ尿素水供給システムの異常の一つである。S20の後、図6の処理を終了して、図5の処理に戻る。図6の処理による尿素水の濃度等の判定結果、つまりS16、S17、S19又はS20の判定結果はECU19内のメモリに記憶しておく。なお、図6の処理は、尿素水の濃度等を仮診断する処理であり、後述の図5のS8の処理で診断結果が確定する。

0056

図5戻り、S5の後、次にポンプモータ10の通電を停止する(S6)。なお、S6の処理は、ポンプモータ10の回転数を下げる方向に変化させる下降制御の一例である。

0057

次に、モータ通電停止時でのポンプモータ10の回転挙動及び配管9の圧力挙動に基づいて尿素水濃度、凍結等を判定する(S7)。具体的には、図7の処理を実行する。

0058

図7の処理に移行すると、先ず、図6のS11と同様にして、モータ通電停止時のポンプモータ10の回転数の挙動及び配管9の圧力挙動を取得する(S31)。S31では、取得した回転数の挙動に基づいて、モータ通電を停止してから、実際にポンプモータ10の減速(回転数の下降)が開始するまでの下降開始遅れ時間を算出する。また、回転数挙動に基づき、モータの減速が開始してから定常状態(回転停止)になるまでの変化過程における時間に対する回転数の下降率(回転下降率)を算出する。回転下降率の算出方法は、図6のS11の回転上昇率の算出方法と同様である。

0059

また、S31では、取得した圧力挙動に基づき、モータ減速を開始してから回転停止するまでの変化過程における時間に対する配管圧の下降率(圧力下降率)を算出する。S31で取得した回転挙動(下降開始遅れ時間、回転下降率)及び圧力挙動(圧力上昇率)は、ECU19内のメモリに記憶しておく。なお、下降開始遅れ時間、回転下降率は、後述のS32、S34の判定タイミングで算出しても良く、圧力下降率は後述のS35、S38の判定タイミングで算出しても良い。

0060

次に、S31で得られた下降開始遅れ時間が予め定められた閾値T2より小さいか大きいかを判定する(S32)。閾値T2は、図4(b)において(1)、(2)のラインの下降開始遅れ時間より大きく、(3)のラインの下降開始遅れ時間より小さい値に設定される。下降開始遅れ時間が閾値T2より小さい場合には、尿素水の濃度は標準濃度であると仮診断する(S33)。これは、図4で説明したように、標準濃度の場合には、高濃度に比べて、粘度が低くなり、粘度が低いと、モータ通電OFF後のモータが惰性で連れまわりする時間が短くなるためである。

0061

一方、下降開始遅れ時間が閾値T2より大きい場合には、次にS31で得られた回転下降率が予め定められた閾値R2より大きいか小さいかを判定する(S34)。閾値R2は、図4(b)において(1)、(2)のラインの回転下降率より小さく、(3)のラインの回転下降率より大きい値に設定される。回転下降率が閾値R2より大きい場合には、ポンプモータ10は正常であると見做し、次に、S31で得られた圧力下降率が予め定められた閾値P3より大きいか小さいかを判定する(S35)。また、S33で標準濃度と判定した場合も、次に、圧力下降率が閾値P3より大きいか小さいかを判定する(S35)。このS35は、標準濃度か高濃度かを判別するというよりも、標準濃度か配管漏れかを判別するための処理である。閾値P3は、図4(c)において(1)、(2)のラインの圧力下降率より大きい値に設定される。

0062

圧力下降率が閾値P3より小さい場合には尿素水の濃度は標準濃度であると判定する(S36)。このように、図7の処理では、下降開始遅れ時間が閾値T2より小さいことと、回転下降率が閾値R2より大きいことのいずれかが成立し、且つ、圧力下降率が閾値P3より小さい場合に標準濃度と判定する。S36の後、図7の処理を終了して、図5の処理に戻る。

0063

一方、圧力下降率が閾値P3より大きい場合には、圧力の下降が異常に速いとして、尿素水が配管9から漏れていると判定する(S37)。なお、S33を経てS37に進んだ場合には、配管漏れであるとともに、標準濃度でもある。S37の後、図7の処理を終了して、図5の処理に戻る。

0064

S34において回転下降率が閾値R2より小さい場合には、次に、S31で得られた圧力下降率が予め定められた閾値P4より大きいか小さいかを判定する(S38)。このS38は、標準濃度か高濃度かを判別するというよりも、高濃度か、システム異常かを判別するための処理である。閾値P4は、図4(c)において(3)のラインの圧力下降率より大きい値に設定される。なお、閾値P4は、S35の閾値P3と異なる値に設定されたとしても良いし、同じ値に設定されたとしても良い。

0065

圧力下降率が閾値P4より小さい場合には尿素水の濃度は標準濃度よりも高濃度であると判定する(S39)。これは、図4(c)に示すように、高濃度の(3)の圧力下降率は、標準濃度の(1)、(2)の圧力下降率より低くなっているためである。このように、図7の処理では、下降開始遅れ時間が閾値T2より大きく、且つ、回転下降率が閾値R2より小さく、且つ、圧力下降率が閾値P4より小さい場合に高濃度と判定している。S39の後、図7の処理を終了して、図5の処理に戻る。

0066

S38において圧力下降率が閾値P4より大きい場合には、ポンプモータ10が回転しているにもかかわらず圧力が減少しているとして、配管9から尿素水が漏れていると判定する(S40)。その後、図7の処理を終了して、図5の処理に戻る。図7の処理による尿素水の濃度等の判定結果、つまりS36、S37、S39又はS40の判定結果はECU19内のメモリに記憶しておく。なお、図7の処理は、尿素水の濃度等を仮診断する処理であり、後述の図5のS8の処理で診断結果が確定する。

0067

図5に戻り、S7の後、次に、S5の判定結果とS7の判定結果とに基づいて、尿素水の濃度等の総合判定を行う(S8)。具体的には図8の処理を実行する。

0068

図8の処理に移行すると、先ず、メモリから、S5の判定結果とS7の判定結果とを読みだす(判定結果集約)(S51)。次に、集約した判定結果に基づいて尿素SCRシステムの運転継続の支障の有無を判定する(S52〜S55)。具体的には、集約した判定結果の中に配管漏れ判定があるか否かを判定する(S52)。配管漏れは、システム異常のうちでも緊急を要する異常であるので、モータ異常、尿素水の凍結、尿素水の濃度の診断に先立って診断するようにしている。配管漏れ判定がある場合には(S52:Yes)、最終的に配管漏れと診断する(S53)。このように、S5の判定結果とS7の判定結果の中に一つでも配管漏れ判定がある場合には、S5の判定結果とS7の判定結果との一致を問わずに配管漏れと診断する。S53の後、図8の処理を終了して、図5の処理に戻る。

0069

配管漏れ判定が無い場合には(S52:No)、次に、S51で集約した判定結果の中にモータ異常又は尿素水凍結の判定があるか否かを判定する(S54)。ある場合には(S54:Yes)、最終的にモータ異常又は尿素水凍結と診断する(S55)。このように、S5の判定結果とS7の判定結果の中にモータ異常又は尿素水凍結の判定が一つでもある場合には、S5の判定結果とS7の判定結果との一致を問わずにモータ異常又は尿素水凍結と診断する。S55の後、図8の処理を終了して、図5の処理に戻る。

0070

集約した判定結果の中にモータ異常又は尿素水凍結の判定が無い場合には(S54:No)、システム運転の継続が可能であるとして、S56以下で尿素の濃度を診断する。具体的には、集約した判定結果の中に高濃度判定があるか否かを判定する(S56)。ある場合には(S56:Yes)、集約した2つの判定結果、つまりS5の判定結果とS7の判定結果が高濃度で一致するか否かを判定する(S57)。一致する場合には(S57:Yes)、最終的に尿素水の濃度は標準濃度よりも高濃度であると診断する(S58)。その後、図8の処理を終了して、図5の処理に戻る。

0071

S57において2つの判定結果が一致しない場合、つまり一方の判定結果が高濃度判定であり、他方の判定結果が標準濃度且つモータ正常の場合には(S57:No)、尿素水の濃度判定を未確定の状態で保留する(S61)。ここでは、尿素水の濃度が標準濃度であり、且つポンプモータ10が正常に作動していると仮判定して、図5図8の処理を再度実行して、尿素水の濃度等を再診断する。その後、図8の処理を終了して、図5の処理に戻る。

0072

一方、S56において集約した判定結果の中に高濃度判定が無い場合には(S56:No)、次に、集約した2つの判定結果(S5の判定結果とS7の判定結果)が標準濃度且つモータ正常で一致するか否かを判定する(S59)。一致する場合には(S59:Yes)、最終的に尿素水の濃度は標準濃度であり、且つポンプモータ10は正常に作動していると診断する(S60)。これに対し、2つの判定結果が一致しない場合には(S59:No)、上記したS61に進む。S60又はS61の後、図8の処理を終了して、図5の処理に戻る。

0073

図5に戻り、S8の後、次にS8の診断結果に応じた処理(システムアクション)を実行する(S9)。具体的には、図8のS53で配管漏れと診断した場合には、例えばポンプモータ10を逆転方向に回転させて配管9内の尿素水をタンク6に吸い戻し、その後、ポンプモータ10の作動を停止させる。これによれば、ポンプユニット8による尿素水の圧送が停止されるので、配管漏れを抑制できる。

0074

また、配管漏れ診断の場合には、例えばシステム異常(配管漏れ)の可能性があることを車両に設けられた表示器等により警報する。これによって、ドライバーにシステム異常があることを把握させることができ、車両を修理に出すなどして配管漏れ異常を解消できる。

0075

また、配管漏れ診断の場合には、NOx排出量を抑制するようエンジン2の出力を制限する(例えば、燃料噴射量を制限して高負荷での運転を行わないようにする)。これによれば、配管漏れにより尿素SCRシステムが正常に機能しない場合であっても、NOx排出量を抑制したエンジン運転をするので、SCR触媒4を通過するNOx量を抑えることができる。

0076

また、図8のS55でモータ異常と診断した場合には、システムアクションとして、例えば、ポンプモータ10の作動を停止させて、ポンプユニット8による尿素水の圧送を停止させる。これによって、ポンプモータ10の不具合がさらに進行してしまうのを抑制できる。また、モータ異常と診断した場合には、例えば配管漏れと同様に、警報やエンジン2の出力制限をしても良い。

0077

また、図8のS55で尿素水の凍結と診断した場合には、システムアクションとして、例えば、ヒータ13、14(図2参照)を通電して、尿素水を解凍させる制御を行う。この制御(ヒータ通電)を所定時間継続した後、図5図8の処理を再度実行して、尿素水の凍結の有無を再診断する。これによって、凍結したままシステム運転されてしまうのを抑制できる。また、尿素水の凍結と診断した場合には、例えば配管漏れと同様に、警報やエンジン2の出力制限をしても良い。

0078

また、図8のS58で高濃度と診断した場合には、システムアクションとして、例えばインジェクタ5による尿素水の添加量を、標準濃度の時の添加量から減量させる。これによって、SCR触媒4に尿素(アンモニア)が過剰供給されてしまうのを抑制でき、その結果、アンモニアスリップを抑制でき、尿素水の浪費を抑制できる。また、高濃度と診断した場合には、高濃度の尿素水を使用していることを警報しても良い。これによって、例えば標準濃度の尿素水を補給しなおすことで、高濃度の尿素水を使用し続けるのを抑制できる。

0079

なお、図8のS60で標準濃度且つモータ正常と診断した場合には、システムの通常運転を継続する。また、S61で再診断マネジメントと診断した場合には、上記したように尿素水の濃度等を再診断する。S9の後、図5の処理を終了する。

0080

以上、本実施形態によれば、尿素水の品質を検出するセンサを用いなくても、尿素水の濃度や、凍結などのシステム異常を診断できる。システム異常として配管漏れ、モータ異常、尿素水の凍結を診断できる。また、ポンプモータ10の回転挙動及び配管9の圧力挙動を見ることで、ポンプユニット8で実際に吸い込んで吐出する尿素水の凍結を短時間で検出できる。例えば、タンク6内の尿素水の一部のみが凍結した場合に、凍結した尿素水をポンプユニット8が吸い込んだときには尿素水が凍結していると判定でき、凍結していない尿素水をポンプユニット8が吸い込んだときには、尿素水は凍結していないと判定できる。

0081

また、モータ通電開始時での仮診断結果(S5の結果)と、モータ通電停止時での仮診断結果(S7の結果)とを集約して、尿素水の濃度やシステム異常を総合診断するので、その診断精度を向上できる。その総合診断においては、2つの仮診断結果のうち一つでもシステム異常の結果がある場合には、そのシステム異常を最終的な診断結果として採用するので、システム異常の検出漏れを抑制できる。また、総合診断においては、2つの仮診断結果が同一濃度で一致する場合に、その一致する濃度を最終的な診断結果として採用する一方で、2つの仮診断結果が異なる濃度の場合には、今回の診断では濃度を確定しないでの、濃度診断の精度を向上できる。

0082

なお、本発明は上記実施形態に限定されず、特許請求の範囲の記載を逸脱しない限度で種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態では、尿素水の濃度を診断する例を示したが、濃度の代わりに尿素水の粘度を診断しても良い。すなわち、図3に示すように、標準濃度(例えば32.5%)の場合の粘度よりも、高濃度(例えば40%)の場合の粘度のほうが高いので、図6図8の処理において、標準濃度を標準粘度に置き換え、高濃度を高粘度に置き換えれば良い。

0083

また、上記実施形態では、モータ通電開始時における回転挙動及び圧力挙動に基づき尿素水の濃度やシステム異常を診断していたが、モータの定常回転中にさらに回転数を上げる方向に変化させる制御を実施し、その時の回転挙動及び圧力挙動に基づいて尿素水の濃度やシステム異常を診断しても良い。

0084

また、上記実施形態では、モータ通電停止時における回転挙動及び圧力挙動に基づき尿素水の濃度やシステム異常を診断していたが、モータ通電を継続しつつ、モータ回転数を下げる方向に変化させる制御を実施し、その時の回転挙動及び圧力挙動に基づいて尿素水の濃度やシステム異常を診断しても良い。

0085

また、上記実施形態では、モータ回転数を上げる方向に変化させる上昇制御と、モータ回転数を下げる方向に変化させる下降制御とを実行したが、両方とも上昇制御、又は両方とも下降制御を実行しても良い。このとき、例えば両方とも上昇制御を実行する場合には、一方の上昇制御と他方の上昇制御との内容を異ならせる。具体的には例えば、一方の上昇制御はモータ通電開始制御とし、他方の上昇制御はモータ通電中にさらにモータ回転数を上昇させる制御とする。これによっても、一方の上昇制御時での仮診断結果と、他方の上昇制御時での仮診断結果とを集約して総合診断を行うことで、診断精度を向上できる。

0086

また、上記実施形態では、モータ通電開始時及び停止時での2回の仮診断を実施したが、3回以上の仮診断を実施して、得られた各仮診断結果を集約して総合診断を実施しても良い。このとき、例えば、複数の仮診断結果の間での多数決により、最終的にどの診断結果を採用するかを決定する。これによって、より一層、診断精度を向上できる。

0087

また、上記実施形態では、尿素水の濃度診断として標準濃度か高濃度かの2つのレベルの濃度を診断したが、3つ以上のレベルの濃度を診断しても良い。3つのレベルの濃度診断の例として、例えば、標準濃度より低濃度なのか、標準濃度なのか、標準濃度より高濃度かを診断しても良い。このとき、図3に示すように、標準濃度(32.5%)より低濃度では、わずかながら粘度が低下し、粘度が低下すると、モータの回転挙動や配管の圧力挙動が標準濃度の場合の挙動から変化する(例えば回転開始遅れ時間が標準濃度の場合よりもさらに短くなる)。この回転挙動及び圧力挙動の違いを捉えることで、標準濃度より低濃度を判別できる。

0088

また、モータ通電停止時での診断を省略して、モータ通電開始時での診断のみを実施して、その診断結果を最終的な診断結果として採用しても良い。つまり、図5において、S6〜S8を省略して、S5の診断結果をそのまま最終的な診断結果として採用しても良い。これによって、診断を簡素にできる。

0089

同様に、モータ通電開始時での診断を省略して、モータ通電停止時での診断のみを実施して、その診断結果を最終的な診断結果として採用しても良い。つまり、図5において、S5、S8を省略して、S7の診断結果をそのまま最終的な診断結果として採用しても良い。

0090

6タンク
8ポンプユニット
9配管
10ポンプモータ
19 ECU(診断装置)

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

関連する公募課題

該当するデータがありません

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

  • 愛三工業株式会社の「 排気漏れ検出装置」が 公開されました。( 2019/05/23)

    【課題】排気通路における触媒よりも上流側の位置での排気の漏れを検出して、大気汚染を抑制することができる排気漏れ検出装置を提供する。【解決手段】本開示の一態様は、排気漏れ検出装置10において、エンジン1... 詳細

  • トヨタ自動車株式会社の「 内燃機関の排気浄化システム」が 公開されました。( 2019/05/23)

    【課題】本発明は、NOx触媒において、NOx浄化率の低下を可及的に抑制することを目的とする。【解決手段】還元剤供給装置と、選択還元型NOx触媒と、を備えた内燃機関の排気浄化装置に適用される、内燃機関の... 詳細

  • 株式会社クボタの「 収穫機」が 公開されました。( 2019/05/23)

    【課題】エンジン周りでの複数の装置を上下方向にコンパクトに配備できるようにすることが望まれていた。【解決手段】動力源としてのエンジン21と、エンジン冷却用のラジエータ88とが横並び状態で備えられ、エン... 詳細

この 技術と関連性が強い技術

関連性が強い 技術一覧

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

関連する挑戦したい社会課題一覧

この 技術と関連する公募課題

該当するデータがありません

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ