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技術 バイオマスフェノール液化樹脂

出願人 リグナイト株式会社国立大学法人京都大学
発明者 白石信夫吉岡まり子
出願日 2015年10月26日 (5年1ヶ月経過) 出願番号 2015-209585
公開日 2017年5月18日 (3年6ヶ月経過) 公開番号 2017-082056
状態 特許登録済
技術分野 高分子組成物
主要キーワード 液化樹脂 各製造物 建築解体材 スギ木粉 バイオマス液 液化原料 硬化反応熱 リグノセルロース類
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課題

低軟化点成形時の流動性が高く、成形加工性に優れ、しかも硬化物を得る際の硬化剤の使用量を低減できる新規バイオマスフェノール液化樹脂を提供することを主な課題とする。

解決手段

本発明として、酸性触媒存在下においてフェノール類フルクトースとの反応により得られる反応組成物、またはモノテルペンアルコールテレビン油もしくはテルペン樹脂を、フェノール類によるバイオマスの液化反応物の添加物として含有することを特徴とするバイオマスフェノール液化樹脂、またはその液化樹脂を用いて製造されるフェノール樹脂加工品を挙げることができる。

概要

背景

20世紀中葉から現在に至る石油化学発展により、耐久性が高く使いやすい合成樹脂が多様に、大量に使われるようになり、人類の生活は随分と便利で快適なものとなってきている。
その反面、大気中の二酸化炭素の濃度が400ppmに達するなど環境問題が深刻となり、また石油資源の減少、枯渇といった資源問題も意識されるようになってきている。そのような背景のもとで、再生産可能な資源である植物を中心とするバイオマスを、材料やエネルギー源としてより多く活用することが世界的に強く求められている。

植物由来原料を使用したプラスチックは、いわゆるカーボンニュートラルの材料であり、石油等の化石資源から製造したプラスチックに比べ、その分、二酸化炭素排出量を削減できる。この事実は、石油依存型社会から持続可能型社会への移行動きに沿うものであり、近年、石油由来物質の代わりにバイオマスを利用して燃料や材料・製品生産する新たな技術がますます求められるようになって来ている。例えば、タイヤメーカーにおいても、100%植物由来のタイヤを開発し、販売するようになっている。

このようなバイオマスを樹脂化して工業的な利用を促進するために、このバイオマスを液化する技術の開発研究が進められている。その一つとして、植物体(バイオマス)を酸性触媒フェノール存在下で加溶媒分解フェノリシス)し液状化した上で、フェノール樹脂として利用する開発が進められている。例えば、特許文献1には、フェノール類(あるいは多価アルコール類)と木粉の混合物とを、工夫した酸性触媒の存在下でより迅速、スムーズに反応させて得られるフェノール樹脂(あるいはウレタン樹脂)が開示されている。かかるフェノール樹脂の耐熱性荷重たわみ温度は、従来材と同等以上であることが確認されている。難燃性および消火性に関しても、自動車用内装材の難燃性基準であるFMVSS(Federal Motor Vehicle Safety Standards)No.302「自動車内装材燃焼速度の規制」による評価に耐えるものであるなど、当該フェノール樹脂は優れたものであることが報告されている(非特許文献1参照)。

また、特許文献2には、グルコースフルクトースデキストリンデンプン廃棄糖蜜、あるいはデンプンの一括酵素処理物とフェノールとを酸触媒存在下で反応させ、下記式(1)で表される化合物(化合物A)を含有することを特徴とするフェノール樹脂が開示されている。化合物Aはフェノール類とヒドロキシメチルフルフラールとの反応物であることが、特許文献2に述べられている。

化合物Aを含有する上記フェノール樹脂は、特許文献2によれば、低軟化点成形時の流動性が高く、優れた成形加工性を備え、しかも硬化物を得る際の硬化剤の使用量を低減しうるものである。
また、特許文献2に類似内容の学術論文発表されている(非特許文献2参照)。

なお、従来は、液化生成物を得た後、フェノリシス反応にあずからなかったフェノールと反応させ、それを消費させるためにホルムアルデヒドを反応させている例が多かった。木粉をフェノールで液化した場合の例としては、特許文献3がある。こうすることによって、低軟化点で成形時の流動性が高く、優れた成形加工性を備え、しかも硬化物を得る際の硬化剤の使用量を低減しうるバイオフェノール樹脂が得られてきていた。バイオマス液化以外のケースでも、リグニンなどのバイオマス成分を利用するバイオフェノール樹脂の場合、そのバイオフェノール樹脂化にあたり、ホルムアルデヒドを反応させている例が多い(非特許文献3〜7参照)。これらの場合はノボラック樹脂レゾール樹脂いずれの形ででも用いることができ、ノボラック樹脂とした場合でも、樹脂の流動性、ひいては成形加工性をより高くでき、更には硬化物を得る際の硬化剤の使用量を低減し得るという結果が得られる。ただし、両者とも樹脂としては、ホルムアルデヒド樹脂範疇に入るものとなり、非ホルマリン樹脂が求められている現状に合わなくなっている。

概要

低軟化点で成形時の流動性が高く、成形加工性に優れ、しかも硬化物を得る際の硬化剤の使用量を低減できる新規なバイオマスフェノール液化樹脂を提供することを主な課題とする。本発明として、酸性触媒存在下においてフェノール類とフルクトースとの反応により得られる反応組成物、またはモノテルペンアルコールテレビン油もしくはテルペン樹脂を、フェノール類によるバイオマスの液化反応物の添加物として含有することを特徴とするバイオマスフェノール液化樹脂、またはその液化樹脂を用いて製造されるフェノール樹脂加工品を挙げることができる。なし

目的

本発明は、低軟化点で成形時の流動性が高く、成形加工性に優れ、しかも硬化物を得る際の硬化剤の使用量を低減できる新規なバイオマスフェノール液化樹脂を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

酸性触媒存在下においてフェノール類フルクトースとの反応により得られる反応組成物、またはモノテルペンアルコールテレビン油もしくはテルペン樹脂を、フェノール類のバイオマス液反応物添加物として含有することを特徴とする、バイオマスフェノール液化樹脂

請求項2

バイオマスとフェノール類との液化反応物に、酸性触媒存在下においてフェノール類とフルクトースとの反応により得られる反応組成物を0.5〜80質量%、またはモノテルペンアルコール、テレビン油もしくはテルペン樹脂を0.5〜50質量%配合することにより得られる、請求項1に記載のバイオマスフェノール液化樹脂。

請求項3

バイオマスが、木材、などの植物体セルロースデンプンプルラン等の多糖デキストリンスクロース等の小糖、フルクトース、グルコースなどの単糖などの植物成分である、請求項1または2に記載のバイオマスフェノール液化樹脂。

請求項4

請求項1〜3のいずれか一項に記載のバイオマスフェノール液化樹脂を含有することを特徴とする、フェノール樹脂加工品

請求項5

酸性触媒存在下におけるバイオマスとフェノール類との液化反応において、フルクトースを液化原料として配合することを特徴とする、バイオマスフェノール液化樹脂の製造方法。

請求項6

バイオマスが、木材、竹などの植物体、セルロース、デンプン、プルラン等の多糖、デキストリン、スクロース等の小糖、フルクトース、グルコースなどの単糖などの植物成分である、請求項5に記載のバイオマスフェノール液化樹脂の製造方法。

請求項7

請求項5または6に記載の製造方法によりバイオマスフェノール液化樹脂を製造する工程、および前記工程により得られたバイオマスフェノール液化樹脂を加工する工程を含むことを特徴とする、フェノール樹脂加工品の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、フェノール樹脂に係る技術分野に属する。本発明は、鋳造用鋳型成形材料エポキシ硬化剤、各種バインダ等に用いられるフェノール樹脂に関するものである。本発明は、特にバイオマスから得られるフェノール液化樹脂に関するものである。

背景技術

0002

20世紀中葉から現在に至る石油化学発展により、耐久性が高く使いやすい合成樹脂が多様に、大量に使われるようになり、人類の生活は随分と便利で快適なものとなってきている。
その反面、大気中の二酸化炭素の濃度が400ppmに達するなど環境問題が深刻となり、また石油資源の減少、枯渇といった資源問題も意識されるようになってきている。そのような背景のもとで、再生産可能な資源である植物を中心とするバイオマスを、材料やエネルギー源としてより多く活用することが世界的に強く求められている。

0003

植物由来原料を使用したプラスチックは、いわゆるカーボンニュートラルの材料であり、石油等の化石資源から製造したプラスチックに比べ、その分、二酸化炭素排出量を削減できる。この事実は、石油依存型社会から持続可能型社会への移行動きに沿うものであり、近年、石油由来物質の代わりにバイオマスを利用して燃料や材料・製品生産する新たな技術がますます求められるようになって来ている。例えば、タイヤメーカーにおいても、100%植物由来のタイヤを開発し、販売するようになっている。

0004

このようなバイオマスを樹脂化して工業的な利用を促進するために、このバイオマスを液化する技術の開発研究が進められている。その一つとして、植物体(バイオマス)を酸性触媒とフェノール存在下で加溶媒分解フェノリシス)し液状化した上で、フェノール樹脂として利用する開発が進められている。例えば、特許文献1には、フェノール類(あるいは多価アルコール類)と木粉の混合物とを、工夫した酸性触媒の存在下でより迅速、スムーズに反応させて得られるフェノール樹脂(あるいはウレタン樹脂)が開示されている。かかるフェノール樹脂の耐熱性荷重たわみ温度は、従来材と同等以上であることが確認されている。難燃性および消火性に関しても、自動車用内装材の難燃性基準であるFMVSS(Federal Motor Vehicle Safety Standards)No.302「自動車内装材燃焼速度の規制」による評価に耐えるものであるなど、当該フェノール樹脂は優れたものであることが報告されている(非特許文献1参照)。

0005

また、特許文献2には、グルコースフルクトースデキストリンデンプン廃棄糖蜜、あるいはデンプンの一括酵素処理物とフェノールとを酸触媒存在下で反応させ、下記式(1)で表される化合物(化合物A)を含有することを特徴とするフェノール樹脂が開示されている。化合物Aはフェノール類とヒドロキシメチルフルフラールとの反応物であることが、特許文献2に述べられている。

0006

0007

化合物Aを含有する上記フェノール樹脂は、特許文献2によれば、低軟化点成形時の流動性が高く、優れた成形加工性を備え、しかも硬化物を得る際の硬化剤の使用量を低減しうるものである。
また、特許文献2に類似内容の学術論文発表されている(非特許文献2参照)。

0008

なお、従来は、液化生成物を得た後、フェノリシス反応にあずからなかったフェノールと反応させ、それを消費させるためにホルムアルデヒドを反応させている例が多かった。木粉をフェノールで液化した場合の例としては、特許文献3がある。こうすることによって、低軟化点で成形時の流動性が高く、優れた成形加工性を備え、しかも硬化物を得る際の硬化剤の使用量を低減しうるバイオフェノール樹脂が得られてきていた。バイオマス液化以外のケースでも、リグニンなどのバイオマス成分を利用するバイオフェノール樹脂の場合、そのバイオフェノール樹脂化にあたり、ホルムアルデヒドを反応させている例が多い(非特許文献3〜7参照)。これらの場合はノボラック樹脂レゾール樹脂いずれの形ででも用いることができ、ノボラック樹脂とした場合でも、樹脂の流動性、ひいては成形加工性をより高くでき、更には硬化物を得る際の硬化剤の使用量を低減し得るという結果が得られる。ただし、両者とも樹脂としては、ホルムアルデヒド樹脂範疇に入るものとなり、非ホルマリン樹脂が求められている現状に合わなくなっている。

0009

特開2007−092008号公報
特開2010−090297号公報
特許第3152421号公報

先行技術

0010

常岡和記ら:機能材料、Vol.30,No.11,22−29(2010).
大久保明浩ら:ネットワークポリマー、Vol.32,No.2、97−100(2011).
C.G. da Silva et. al. : Industrial Crops and Products 42 (2013) 87-95.
Amine Moubarik et. al. : Industrial Crops and Products 45 (2013) 296-302.
Wei Zhang et. al. : International J.Adhesion & Adhesives 40 (2013) 11-18.
Wei Zhang et. al. : Industrial Crops and Products 43 (2013) 326-333.
Elaine C. et. al. : Composites: Part B 43 (2012) 2851-2860.

発明が解決しようとする課題

0011

特許文献1の技術に見られるように、触媒の改良により木粉などバイオマスの液化は効果的に進むようになった。しかし、そこで得られるバイオフェノール液化樹脂は、高軟化点で成形時の流動性が低く、硬化させて最終製品を得るための成形において、成形加工性が満足できるものではない。この問題は、フェノリシス反応にあずからなかったフェノールをホルムアルデヒドと反応させず、減圧留去することに内在する。一方で、ホルムアルデヒドの使用は、非ホルムアルデヒド樹脂が求められている現状に合わない。

0012

また、従来のフェノール樹脂に比べ、硬化反応性が同等以上で、硬化時におけるホルムアルデヒドおよびアミン等の有害な分解ガスの発生を低減させるという視点も重要である。そこで、フェノール樹脂の硬化物を得る際に使用するヘキサメチレンテトラミン等の硬化剤量を減らすことが求められるが、特許文献1に記載のフェノール樹脂では、従来品に比べ同一硬化条件の下では硬化時間が長くなるという問題がある。

0013

そのため、フェノリシス反応にあずからなかったフェノールをホルムアルデヒドと反応させず、減圧留去する場合でも、低軟化点で成形時の流動性が高く成形加工性に優れ、しかも硬化物を得る際の硬化剤の使用量を低減できるバイオマスフェノール液化樹脂の開発が強く求められる。

0014

本発明は、低軟化点で成形時の流動性が高く、成形加工性に優れ、しかも硬化物を得る際の硬化剤の使用量を低減できる新規なバイオマスフェノール液化樹脂を提供することを主な課題とする。

0015

ここで「バイオマス」とは、生物体、特に木材、ヤシの実などの植物体、セルロース、デンプン、プルラン等の多糖、デキストリン、スクロースマルトース等の小糖、フルクトース、グルコース等の単糖、リグニン、ヘミセルロースなどの植物成分をいい、更に、例えば、木材工業およびパルプ工業等における木質系廃棄物間伐材建築解体材稲ワラ、さやガラバガス等の農業廃棄物等、各種のリグノセルロース類、さらには資源米、古古米食品工業廃棄物等を含み、本明細書中では、特に断らない限りこれらの物質を一括してバイオマスという。本発明においては、酸性触媒存在下、単にフェノール類で液化しただけでは溶融粘度が高く、硬化反応性が乏しいものしか得られないバイオマスに対して適用することが好ましく、具体的には、木粉、グラウンドパルプなどの木材、デンプン、デキストリン、スクロース、グルコース等のバイオマスに適用することが好ましい。また、「バイオマスフェノール液化樹脂」とは、木材などのバイオマスを酸性触媒存在下においてフェノール類で液化して得られるフェノール樹脂初期縮合物様樹脂をいう。

課題を解決するための手段

0016

本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、上記課題を解決しうる新規なバイオマスフェノール液化樹脂を見出し、本発明を完成するに至った。
本発明として、例えば、下記のものを挙げることができる。

0017

[1]酸性触媒存在下においてフェノール類とフルクトースとの反応により得られる反応組成物、またはモノテルペンアルコールテレビン油もしくはテルペン樹脂を、フェノール類によるバイオマス液化反応物の添加物として含有することを特徴とする、バイオマスフェノール液化樹脂。
[2]バイオマスとフェノール類との液化反応物に、酸性触媒存在下においてフェノール類とフルクトースとの反応により得られる反応組成物を0.5〜80質量%、またはモノテルペンアルコール、テレビン油もしくはテルペン樹脂を0.5〜50質量%配合することにより得られる、上記[1]に記載のバイオマスフェノール液化樹脂。
[3]バイオマスが、木材、竹などの植物体、セルロース、デンプン、プルラン等の多糖、デキストリン、スクロース等の小糖、フルクトース、グルコースなどの単糖などの植物成分である、上記[1]または[2]に記載のバイオマスフェノール液化樹脂。

0018

[4]上記[1]〜[3]のいずれか一項に記載のバイオマスフェノール液化樹脂を含有することを特徴とする、フェノール樹脂加工品

0019

[5]酸性触媒存在下におけるバイオマスとフェノール類との液化反応において、フルクトースを液化原料として配合することを特徴とする、バイオマスフェノール液化樹脂の製造方法。
[6]バイオマスが、木材、竹などの植物体、セルロース、デンプン、プルラン等の多糖、デキストリン、スクロース等の小糖、フルクトース、グルコースなどの単糖などの植物成分である、上記[5]に記載のバイオマスフェノール液化樹脂の製造方法。
[7]上記[5]または[6]に記載の製造方法によりバイオマスフェノール液化樹脂を製造する工程、および前記工程により得られたバイオマスフェノール液化樹脂を加工する工程を含むことを特徴とする、フェノール樹脂加工品の製造方法。

発明の効果

0020

本発明のバイオマスフェノール液化樹脂(以下、「本発明液化樹脂」という。)は、低軟化点で成形時の流動性が高く成形加工性に優れていることなどから、本発明液化樹脂を用いればフェノール樹脂成形品を容易に製造することができる。また、原料として天然成分を用いているから、その分二酸化炭素排出量を削減することができる。また、フェノール樹脂成形品の製造において、本発明液化樹脂は硬化反応性が高いことから、ホルムアルデヒド発生の原因となる硬化剤(ヘキサメチレンテトラミンなど)の使用量を減らすことができる。さらに、本発明液化樹脂は、その調製にあたり、フェノリシス反応にあずからなかったフェノール類とホルムアルデヒドとの反応を行う必要がないため「非ホルムアルデヒド樹脂」にできるという長所も持っている。

0021

以下、本発明について詳述する。
1 本発明液化樹脂について
本発明液化樹脂は、酸性触媒存在下においてフェノール類とフルクトースとの反応により得られる反応組成物(以下、「フルクトース変性組成物」ともいう。)、またはモノテルペンアルコール、テレビン油もしくはテルペン樹脂(以下、これらをまとめて「配合油」ともいう。)を、フェノール類によるバイオマス液化反応物の添加物として含有することを特徴とする。なお、本発明液化樹脂には、特許文献2に記載の化合物Aは実質的に含まれていない。

0022

本発明液化樹脂中における、フルクトース変性組成物または配合油の含有量としては、前者は0.5〜80質量%の範囲内が適当であり、後者は0.5〜50質量%の範囲内が適当であるが、両者の場合とも1.5〜20質量%の範囲内が好ましく、2.0〜15質量%の範囲内がより好ましい。フルクトース変性組成物、配合油等の含有量が0.5質量%未満であると流動性が充分に得られないおそれがあり、前者は80質量%、または後者は50質量%より多いとそれぞれコスト高になり、また本発明の効果が得られないおそれがある。

0023

本発明液化樹脂には、本発明の効果を損なわない範囲で、例えば、顔料離型剤酸化防止剤シランカップリング剤紫外線吸収剤潤滑剤などの添加剤を含むことができる。

0024

本発明液化樹脂は、例えば、鋳造用鋳型、成形材料、エポキシ硬化剤、布紙強化用バインダ、塗料砥石用樹脂などに用いることができる。

0025

1.1フルクトース変性組成物
本発明液化樹脂は、フルクトース変性組成物を含むことができる。かかるフルクトース変性組成物は、本発明液化樹脂に対し可塑剤ないし硬化促進剤としての機能を有するものと考えられる。
上記フルクトース変性組成物は、酸性触媒存在下においてフェノール類とフルクトースとの反応(フェノール類によるフルクトースの液化)により得ることができる。このものは、当該反応により得られる化合物の集合体であり、未反応物など様々な化合物を包含することから、当該化合物を構造・組成等により特定することは非常に困難である。

0026

上記「フェノール類」としては、例えば、フェノール、クレゾールキシレノールプロピルフェノールブチルフェノールブチルクレゾール、フェニルフェノールクミルフェノールメトキシフェノールブロモフェノールビスフェノールAを挙げることができる。これらの中でも、反応性が高く、しかも入手容易な点で、フェノール、クレゾール、キシレノール、ビスフェノールAが好ましく、フェノールがより好ましい。これら一種を用いても、二種以上を併用してもよい。

0027

上記「フルクトース」としては、純度の高いフルクトースが最も好ましいが、フルクトース含有糖類(例えば、異性化糖)などであってもよい。
フルクトース含有糖類の場合、その固形分全体を100質量部としてフルクトースを5質量部以上含有すればよく、30質量部以上含有することが好ましく、55質量部以上、特に95質量部以上含有することがより好ましい。フルクトース含有量が5質量部未満であると、フルクトース変性組成物を充分量得られないおそれがある。

0028

フルクトース変性組成物を得る際のフルクトースとフェノール類との質量比率としては、フルクトースを1質量部とした際にフェノール類がその1.5〜20質量倍の範囲内が適当であり、2〜6質量倍の範囲内が好ましい。フェノール類がフルクトースの1.5質量倍未満であると十分量のフルクトース変性組成物が得られないおそれがある。

0029

上記酸性触媒としては、例えば、鉱酸類(例えば、塩酸硫酸リン酸等)、有機酸類(例えば、メチル硫酸パラトルエンスルホン酸パラフェノールスルホン酸シュウ酸等)を挙げることができる。この中、メチル硫酸、パラトルエンスルホン酸、パラフェノールスルホン酸が好ましい。
酸性触媒の使用量としては、酸性触媒の種類などにより異なるが、フルクトースとフェノール類との合計を100質量部とした場合、0.1〜50質量部の範囲内が適当であり、0.2〜10質量部の範囲内が好ましい。酸性触媒の使用量が0.1質量部未満であると充分な量のフルクトース変性組成物が生成されないおそれがあり、50質量部より多いと酸分解ゲル化を惹起するおそれがある。

0030

反応温度としては、20〜200℃の範囲内が適当であり、100〜160℃の範囲内が好ましい。反応温度が20℃未満であると充分に反応しないおそれがあり、200℃より高いと過度の分解を惹起するおそれがある。

0031

反応時間としては、0.5〜20時間の範囲内が適当であり、0.5〜3時間の範囲内が好ましい。反応時間が0.5時間未満であると十分な収率でフルクトース変性組成物が得られないおそれがあり、20時間より長いと生産性の低下をきたすおそれがある。

0032

1.2配合油
本発明液化樹脂は、配合油を含むことができる。かかる配合油は、加熱混練による使用において好ましい。当該配合油は、フルクトース変性組成物と同様、本発明液化樹脂に対し可塑剤ないし硬化促進剤としての機能を有するものと考えられる。
上記配合油としては、モノテルペンアルコール、テレビン油、テルペン樹脂が挙げられるが、この中、モノテルペンアルコール、テルペン樹脂が好ましい。

0033

モノテルペンアルコールとしては、例えば、ターピネオールジヒドロターピネオールを挙げることができる。この中、ターピネオールが好ましい。モノテルペンアルコールには幾何異性体光学異性体が存在しうるが、これら単独の異性体(α体、β体、γ体等)でも異性体の混合物であってもよい。

0034

テレビン油は、などの針葉樹由来の原料(松脂等)から蒸留などにより得られる精油であり、ガムテレビン油ウッドテレビン油、硫酸テレピン油亜硫酸テレピン油などがあるが、いずれでもよい。

0035

テルペン樹脂は、テルペンモノマー重合した粘着付与樹脂であるが、本発明に係るテルペン樹脂には、芳香族変性テルペン樹脂テルペンフェノール樹脂、これらを水素添加した樹脂なども含まれが、いずれであってもよい。
これら配合油は、一種を用いても、二種以上を併用してもよい。

0036

2 本発明液化樹脂の製法について
本発明液化樹脂は、例えば、バイオマスとフェノール類との液化反応物に、フルクトース変性組成物、または配合油を混合することにより製造することができる(製法A)。また、酸性触媒存在下におけるバイオマスとフェノール類との液化反応において、フルクトースを液化原料として配合することにより製造することができる(製法B)。

0037

2.1製法A
製法Aは、バイオマスとフェノール類との液化反応物に、フルクトース変性組成物、または配合油を常法により混合することにより実施される。

0038

バイオマスとフェノール類との液化反応物は、既知の方法により調製することができる。例えば、特許文献1に記載の製法により調製することができ、木粉などバイオマスを酸性触媒存在下においてフェノール類と反応させることにより調製することができる。この反応により、バイオマスの加溶媒分解(フェノリシス)が起こり、バイオマス成分の低分子化低分子化物へのフェノール類化が起こる。そのため、当該液化反応物は、低分子化合物の集合体ということができる。

0039

上記液化反応物を得る際のバイオマスとフェノール類との質量比率としては、バイオマスを1質量部とした際にフェノール類がその1.5〜20質量倍の範囲内が適当であり、2〜6質量倍の範囲内が好ましい。フェノール類がバイオマスの1.5質量倍未満であると反応収率が十分でないおそれがある。

0040

上記酸性触媒としては、例えば、鉱酸類(例えば、塩酸、硫酸、リン酸等)、有機酸類(例えば、メチル硫酸、パラトルエンスルホン酸、パラフェノールスルホン酸、シュウ酸等)を挙げることができる。この中、メチル硫酸、パラトルエンスルホン酸、パラフェノールスルホン酸が好ましい。
酸性触媒の使用量としては、バイオマスとフェノール類との合計を100質量部とした場合、0.1〜50質量部の範囲内が適当であり、0.2〜10質量部の範囲内が好ましい。酸性触媒の使用量が0.1質量部未満であると充分な量の当該液化反応物が生成されないおそれがあり、50質量部より多いと酸分解やゲル化を惹起するおそれがある。

0041

反応温度としては、20〜200℃の範囲内が適当であり、100〜160℃の範囲内が好ましい。反応温度が20℃未満であると充分に反応しないおそれがあり、200℃より高いとバイオマスの過度の分解を惹起するおそれがある。

0042

反応時間としては、0.5〜20時間の範囲内が適当であり、0.5〜3時間の範囲内が好ましい。反応時間が0.5時間未満であると十分な収率で当該液化反応物が得られないおそれがあり、20時間より長いと生産性の低下をきたすおそれがある。

0043

未反応のまま残ったフェノール類は、減圧蒸留などで留去することが好ましい。
得られた当該液化反応物に、フルクトース変性組成物を0.5〜80質量%の範囲内、または配合油を0.5〜50質量%の範囲内、好ましくは両者の場合とも1.5〜20質量%の範囲内、より好ましくは両者の場合とも2.0〜15質量%の範囲内で配合し常法により混合することによって、本発明液化樹脂を製造することができる。

0044

2.2製法B
製法Bは、酸性触媒存在下におけるバイオマスとフェノール類との液化反応において、フルクトースを液化原料として配合することにより実施される。バイオマス原料としてフルクトースを追加する以外は、製法Aと同様に実施することができる。その際、バイオマスとフェノール類との質量比率や酸性触媒の使用量におけるバイオマス量は、フルクトースを加えた量と考えればよい。

0045

フルクトースの配合量としては、フルクトース量とバイオマス量の総質量中、1〜50質量%の範囲内が適当であり、2〜25質量%の範囲内が好ましい。1質量%未満では本発明の効果が十分に得られないおそれがある。

0046

3フェノール樹脂加工品について
本発明は、本発明液化樹脂を用いて製造されるフェノール樹脂加工品を含む。かかる加工品としては、例えば、成形品接着剤発泡体炭素繊維結合剤、塗料などフェノール樹脂が使われる加工品であればいずれも挙げることができる。具体的には、例えば、自動車部品エアーコンプレッサー用・パワーステアリング用・テンショナー用の各種プーリ等)、電気電子・重電部品プリント配線基板配電盤ブレーカーマグネットスイッチコンセントプラグ等として)、歯車摺動ライニング軸受などの機械部品をはじめ日用雑貨(お椀、トレイ卓、・やかんのとって・つまみ、アイロンハンドル灰皿等)等の成形品、住宅や冷凍倉庫断熱パネル剣山等の発泡体、合板接着剤等の接着剤、自動車パワステホース断熱材、防火服用繊維、断熱手袋用繊維有害ガス吸着用活性炭素繊維耐火レンガシェルモールド用の結合剤、自動車の下塗り塗料食品用缶内面塗料船舶用塗料化学装置耐食塗料を挙げることができる。

0047

上記フェノール樹脂加工品は、本発明液化樹脂を用いること以外は常法により製造することができる。本発明として、本発明液化樹脂を製造する工程、および前記工程により得られた本発明液化樹脂を加工する工程を含むことを特徴とする、フェノール樹脂加工品の製造方法も挙げることができる。
具体的に上記フェノール樹脂加工品は、成形品の場合、例えば、本発明液化樹脂と、硬化剤、硬化促進剤、内部離型剤充填剤などとを適当な混合機(例、ボールミル混練押出機、2軸ロール混練機等の2軸混練機)を用いて混合し、この混合物を所望の金型充填し、熱圧成形することにより製造することができる。また、本発明液化樹脂を適当な溶媒(例、アセトンメタノール)に懸濁し、それと硬化剤等とを混練し、乾燥した後、所望の金型に充填し、熱圧成形することにより製造することができる。

0048

上記硬化剤としては、例えば、ヘキサメチレンテトラミン、ベンジルアミンベンゾオキサジンアゾメチンエポキシ樹脂メラミンホルムアルデヒド樹脂を挙げることができる。この中、ヘキサメチレンテトラミンが好ましい。

0049

上記硬化促進剤としては、例えば、水酸化カルシウム酸化マグネシウム塩化アルミニウムなどのハロゲン化アルミニウム安息香酸酢酸カルシウムスルフェンアミド類チアゾール類ベンズイミダゾール類三フッ化ホウ素モノエチルアミン錯体マロン酸フマル酸等のジカルボン酸を挙げることができる。この中、水酸化カルシウム、酸化マグネシウムが好ましい。
上記内部離型剤としては、例えば、ステアリン酸亜鉛ステアリン酸カルシウムステアリン酸マグネシウムカルナバワックスを挙げることができる。この中、ステアリン酸亜鉛が好ましい。
上記充填剤としては、例えば、木粉、ナットシェルの粉、セルロース粉末綿繊維細断布、ポリエステル繊維ポリアミド繊維ポリビニルアルコール繊維カーボン繊維芳香族ポリアミド繊維ガラス繊維グラファイト硫化モリブデン炭酸カルシウムマイカシリカ粉末タルク陶土珪灰石を挙げることができる。この中、木粉、セルロース粉末が好ましい。

0050

以下に調製例、実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
各製造物の物性は、次のようにして測定した。

0051

熱流動特性の測定>
熱流動特性は、島津製作所社製島津フローテスターCFT−500を用いて測定した。熱流動温度(Tf)の測定には昇温測定法を、溶融粘度(η)の測定には定温測定法を用いた。各測定時の条件は以下の通りである。

0052

0053

曲げ試験
(1)成形用組成物コンパウンド)の調製
コンパウンドは以下の配合で調製した。

0054

0055

上記の配合でフェノール液合樹脂液化物および各試薬粉砕容器取り、フリッチュ・ジャパン社製Planetary Mono Mill “pulverisette 6 ”を用いて混合し、均一な粉末状のコンパウンドを得た。混合条件は表3の通りである。

0056

0057

(2)熱圧成形による成形物試験片の調製
80×10×4mm寸法の金型にコンパウンド5.8gを充填し、160〜170℃、30MPaで5分間熱圧成形して曲げ試験用試験片を作製した。試験片は室温23℃、相対湿度50%の恒温恒湿下で48時間以上状態調節した後、幅および厚さを各3か所ずつノギスで測定した。

0058

(3)試験方法
曲げ試験には島津製作所社製Shimadzu Autograph AGS-5kNGを用い、JIS K6911に準拠して荷重速度2.0mm/min、支点間距離64mmの条件下で測定を行った。曲げ強度曲げ弾性率同社製ソフトShikibuを用いて求めた。曲げ試験は各試料につき二回ずつ行った。

0059

[調製例1]スギ間伐材粉末とフェノールとの液化反応物の調製
予め酸性触媒として、5質量部のメタノールに3質量部の硫酸を水冷下でゆっくりと滴下し、次いで60℃に加温して30分間、撹拌下で反応したものを用意した。200L容液化装置(轟産業社製)にフェノールと、上記の予め合成したメチル硫酸を、フェノール、メタノールおよび硫酸の質量比が95:5:3になるように、合計100L秤取り、撹拌した。次いで、液化装置にスギ間伐材粉末を、仕込まれたフェノールの1/2.5質量倍導入し、減圧留去により木粉に含まれている水を除いた。その間に液温を130℃まで高め、その温度に到達後50分間フェノール液化反応を行った。

0060

反応後、常圧に戻して計算量の1.1倍量の酸化マグネシウムを加え中和した。次いで再び減圧蒸留のモードに戻し、液温を180℃に上昇させ、未反応のフェノールを留去した。反応終了後高温のバイオマスフェノール液化物平底バットに流し出し、室温まで冷却させた。中和塩難燃材として機能するので生成物中に残存させたまま利用した。
得られたバイオマスフェノール液化物の薄板固形物ハンマー打ち砕いて破片状のものとし容器保管した。この状態のスギ間伐材粉末のフェノール液化物を、以下「大量生産木材液化物」という。

0061

[調製例2]スギ間伐材粉末とフェノールとの液化反応物の調製
上記調製例1の場合と同様に、酸性触媒として、5質量部のメタノールに3質量部の硫酸を水冷下でゆっくりと滴下し、次いで60℃に加温して30分間、撹拌下で反応したものを用意した。
一方、80℃で12時間以上乾燥させた木粉試料9.00gをテフロン登録商標、以下同じ)内筒に秤量し、ここにフェノール、メタノールおよび硫酸の重量比が95:5:3になるように、フェノールと上記の酸性触媒を秤量し加えた。このテフロン内筒にテフロン製のふたをした上で強振し、混合した後、ステンレス製耐圧反応管に入れ、強振して混合したのち、所定の温度(130℃)に設定したオイルバス中に沈め、400rpmで60分間攪拌下での反応を行った。反応後、耐圧反応管を氷水中で15分間冷却し、黒色液体を得た。

0062

残りの黒色液体を大過剰のメタノールに溶かし、硫酸を除去するため酸化マグネシウムを理論当量加えて中和した。ウォーターバスを45℃に設定したエバポレーター濃縮した後、180℃のオイルバス中で50分間減圧することによってメタノールおよびフェノールを留去し液化物を得た。液化物は室温で固体であり、乳鉢粉砕して50mLネジ口ビンに入れ40℃の真空乾燥機で12時間以上乾燥後、デシケーター中で保存した。以下、この液化樹脂を「スギ木材液化物」という。

0063

[調製例3]フルクトース変性組成物の調製
上記調製例1の場合と同様に、酸性触媒として、5質量部のメタノールに3質量部の硫酸を水冷下でゆっくりと滴下し、次いで60℃に加温して30分間、撹拌下で反応したものを用意した。
一方、60℃で12時間以上乾燥させたフルクトース9.00gをテフロン内筒に秤量し、ここにフェノール、メタノールおよび硫酸の重量比が95:5:3になるように、フェノールと上記の酸性触媒を秤量し加えた。このテフロン内筒にテフロン製のふたをした上で強振し、混合した後、ステンレス製耐圧反応管に入れ、強振して混合したのち、120℃に設定したオイルバス中に沈め、400rpmで60分間攪拌下での反応を行った。反応後、耐圧反応管を氷水中で15分間冷却し、黒緑色の液体を得た。

0064

上記で得られた黒緑色液体を大過剰のメタノールに溶かし、硫酸を除去するため酸化マグネシウムを理論当量加えて中和した。ウォーターバスを45℃に設定したエバポレーターで濃縮した後、180℃のオイルバス中で50分間減圧することによってメタノールおよびフェノールを留去し液化物(フルクトース変性組成物)を得た。この液化物は室温で固体であり、乳鉢で粉砕して50mLネジ口ビンに入れ40℃の真空乾燥機で12時間以上乾燥後、デシケーター中で保存した。

0065

[実施例1]
調製例1で作製した大量生産木材液化物を乳鉢で微粉状にし、その2.91gに調製例3で作製したフルクトース変性組成物0.09gを加え、乳鉢で微細化しながら混ぜ合わせ、本発明液化樹脂を得た。これは、フルクトース変性組成物を全体の3質量%ブレンドしたことになる。
その混合物を1g秤取り、フローテスターに供して熱流動試験を行った。得られた熱流動温度は90℃であった。大量生産木材液化物の熱流動温度は112℃であったので、このものにフルクトース変性組成物を3質量%加えることにより熱流動温度が22℃低くなった。また、155℃における大量生産木材液化物の溶融粘度は、フルクトース変性組成物添加前には、45.1Pa・Sであったが、該組成物を3質量%ブレンドすることにより、32.2Pa・Sにまで減少した。従って、フルクトース変性組成物は大量生産木材液化物の熱流動性を高めたことが確認された。

0066

なお、本発明液化樹脂の硬化反応性について、硬化剤(ヘキサメチレンテトラミン;10%)添加下における硬化反応熱示差走査熱量計DSC)で測定したところ、フルクトース変性組成物が存在しない大量生産木材液化物よりも高くなった。このことは硬化剤の配合量を低減しうることを示している。

0067

次いで、前記の通り、上記本発明液化樹脂(フェノール液化物)成形物の曲げ試験片を作製し、曲げ試験を行った。その結果、曲げ強度67.0MPa、曲げ弾性率7.56GPaという値を得た。市販ノボラック樹脂(CP506FB、旭有機材工業社製、以下同じ)を用いて同様に得た成形物の曲げ強度の値は62.0MPa、曲げ弾性率は6.43GPaであったので、ここで得られた結果は市販ノボラック樹脂を上回る曲げ強度および曲げ弾性率を示した。

0068

[実施例2]
予め酸触媒として、5質量部のメタノールに3質量部の硫酸を水冷下でゆっくりと滴下し、次いで60℃に加温して30分間、撹拌下で反応したものを用意した。200mLナスフラスにフェノールと、上記の予め合成したメチル硫酸を、フェノール、メタノールおよび硫酸の質量比が95:5:3になるように、合計33.37g秤取り、45℃のウォーターバス中で15分間、400rpmで攪拌した。

0069

一方、風乾スギ木粉8.10g(含水率9.73%)とフルクトース(含水率1.02%)0.90gを50mL容耐圧反応管(耐圧硝子工業社製)のテフロン内筒に秤量し、ここに上記の混合液を所定の液比(=3)となるよう27.81g秤量し加えた。このテフロン内筒をステンレス製耐圧反応管に入れ、所定の温度(130℃)に設定したオイルバス中に沈め、400rpmで60分間攪拌し、反応を行った。反応後、耐圧反応管を氷水中で15分間冷却し、黒色の液体を得た。

0070

残りの黒色液体を大過剰のメタノールに溶かし、硫酸を除去するため酸化マグネシウムを理論当量加えて中和した。ウォーターバスを45℃に設定したエバポレーターで濾液を濃縮した後、180℃のオイルバス中で50分間減圧することによってメタノールおよびフェノールを留去し液化物(本発明液化樹脂)を得た。液化物は室温で固体であり、乳鉢で粉砕して50mL容ネジ口ビンに入れ40℃の真空乾燥機で12時間以上乾燥後、デシケーター中で保存した。

0071

その液化物粉末を1g秤取り、フローテスターに供して熱流動試験を行った。得られた熱流動温度は124℃であった。同様に調製した「スギ木材液化物」の熱流動温度は140℃であったので、スギ木粉にフルクトースを9:1の質量比で加えて液化することにより熱流動温度が16℃低くなった。また、155℃におけるスギ木材液化物の溶融粘度は、48.3Pa・Sであったが、液化時にフルクトースを該質量比で加えることにより生成した液化物の溶融粘度は29.7Pa・Sにまで減少した。従って、液化時にフルクトースを加えることにより、スギ木粉のみでの液化物よりも熱流動性が高められたことが確認された。

0072

実施例1の場合と同様に、上記本発明液化樹脂(フェノール液化物)成形物の曲げ試験を行い、曲げ強度68.1MPa、曲げ弾性率7.86GPaという値を得た。市販ノボラック樹脂を用いて同様に得た曲げ強度の値、および曲げ弾性率の値に比べて、ここでの本発明液化樹脂成形物も上回った。

0073

[実施例3]
調製例1で調製した大量生産木材液化物を乳鉢で微粉状にし、その23.28gにターピネオール0.72gを加え、ラボプラストミル(東洋精機製作所製、以下同じ)を用いて110℃で10分間、80rpmの混練を行い、本発明液化樹脂を得た。これは、ターピネオールを全体の3質量%ブレンドしたことになる。

0074

その混合物を1g秤取り、フローテスターに供して熱流動試験を行った。得られた熱流動温度は91℃であった。大量生産木材液化物の熱流動温度は112℃であったので、このものにターピネオールを3質量%加えて混練ブレンドすることにより熱流動温度が21℃低くなった。また、155℃における大量生産木材液化物の溶融粘度は、ターピネオール添加前には、45.1Pa・Sであったが、ターピネオールを3質量%混練ブレンドすることにより、35.2Pa・Sにまで減少した。従って、ターピネオールは大量生産木材液化物の熱流動性を高めたことが確認された。

0075

次いで、前記の通り、上記本発明液化樹脂(フェノール液化物)成形物の曲げ試験片を作製し、曲げ試験を行った。その結果、曲げ強度68.0MPa、曲げ弾性率7.78GPaという値を得た。市販ノボラック樹脂を用いて同様に得た成形物の曲げ強度の値は62.0MPa、曲げ弾性率は6.43GPaであったので、ここで得られた結果は市販ノボラック樹脂を上回る曲げ強度および曲げ弾性率を示した。

0076

[実施例4]
調製例1で調製した大量生産木材液化物を乳鉢で微粉状にし、その22.8gにターピネオール1.2gを加え、ラボプラストミルを用いて130℃で10分間、80rpmの混練を行い、本発明液化樹脂を得た。これは、ターピネオールを全体の5質量%ブレンドしたことになる。

0077

その混合物を1g秤取り、フローテスターに供して熱流動試験を行った。得られた熱流動温度は95℃であった。大量生産木材液化物の熱流動温度は112℃であったので、このものにターピネオールを5質量%加えることにより熱流動温度が17℃低くなった。また、155℃における大量生産木材液化物の溶融粘度は、ターピネオール添加前には、45.1Pa・Sであったが、ターピネオールを5質量%添加して130℃で混練混合することにより、36.5Pa・Sにまで減少した。従って、ターピネオールは大量生産木材液化物の熱流動性を高めたことが確認された。

0078

次いで、前記の通り、上記本発明液化樹脂(フェノール液化物)成形物の曲げ試験片を作製し、曲げ試験を行った。その結果、曲げ強度68.2MPa、曲げ弾性率7.81GPaという値を得た。市販ノボラック樹脂を用いて同様に得た成形物の曲げ強度の値は62.0MPa、曲げ弾性率は6.43GPaであったので、ここで得られた結果は市販ノボラック樹脂を上回る曲げ強度および曲げ弾性率を示した。

0079

[実施例5]
調製例1で調製した大量生産木材液化物を乳鉢で微粉状にし、その5.70gにターピネオール0.30gを加え、全体をメタノールで24時間,300rpmの撹拌下で溶解させ、次いでエバポレーターを用いて40℃でメタノールの減圧留去を行い、更に真空乾燥機を用いて40℃で恒量まで乾燥した。これは、ターピネオールを全体の5質量%ブレンドしたことになる。

0080

その混合物を1g秤取り、フローテスターに供して熱流動試験を行った。得られた熱流動温度は89℃であった。大量生産木材液化物の熱流動温度は112℃であったので、このものにターピネオールを5質量%加えることにより熱流動温度が23℃低くなった。また、155℃における大量生産木材液化物の溶融粘度は、ターピネオール添加前には、45.1Pa・Sであったが、ターピネオールを5質量%添加することにより、33.6Pa・Sにまで減少した。従って、ターピネオールは大量生産木材液化物の熱流動性を高めたことが確認された。

0081

次いで、前記の通り、上記本発明液化樹脂(フェノール液化物)成形物の曲げ試験片を作製し、曲げ試験を行った。その結果、曲げ強度69.4MPa、曲げ弾性率7.97GPaという値を得た。市販ノボラック樹脂を用いて同様に得た成形物の曲げ強度の値は62.0MPa、曲げ弾性率は6.43GPaであったので、ここで得られた結果は市販ノボラック樹脂を上回る曲げ強度および曲げ弾性率を示した。

0082

[実施例6]
調製例1で作製した大量生産木材液化物を乳鉢で微粉状にし、その2.91gにテルペンフェノール樹脂(ヤスハラケミカル社製YSポリスター T80、以下同じ)0.09gを加え、乳鉢で微細化しながら混ぜ合わせ、本発明液化樹脂を得た。これは、テルペン樹脂を全体の3質量%ブレンドしたことになる。

0083

その混合物を1g秤取り、フローテスターに供して熱流動試験を行った。得られた熱流動温度は91℃であった。大量生産木材液化物の熱流動温度は112℃であったので、このものにテルペンフェノール樹脂を3質量%加えることにより熱流動温度が21℃低くなった。また、155℃における大量生産木材液化物の溶融粘度は、テルペンフェノール樹脂添加前には、45.1Pa・Sであったが、該組成物を3質量%ブレンドすることにより、34.8Pa・Sにまで減少した。従って、テルペンフェノール樹脂は大量生産木材液化物の熱流動性を高めたことが確認された。

0084

次いで、前記の通り、上記本発明液化樹脂(フェノール液化物)成形物の曲げ試験片を作製し、曲げ試験を行った。その結果、曲げ強度67.5MPa、曲げ弾性率7.71GPaという値を得た。市販ノボラック樹脂を用いて同様に得た成形物の曲げ強度の値は62.0MPa、曲げ弾性率は6.43GPaであったので、ここで得られた結果は市販ノボラック樹脂を上回る曲げ強度および曲げ弾性率を示した。

0085

[実施例7]
調製例1で作製した大量生産木材液化物を乳鉢で微粉状にし、その4.80gに調製例3で作製したフルクトース変性組成物1.20gを加え、全体をメタノールで24時間,300rpmの撹拌下で溶解させ、次いでエバポレーターを用いて40℃でメタノールの減圧留去を行い、更に真空乾燥機を用いて40℃で恒量まで乾燥した。これは、フルクトース変性組成物を全体の20質量%ブレンドしたことになる。

0086

その混合物を1g秤取り、フローテスターに供して熱流動試験を行った。得られた熱流動温度は85℃であった。大量生産木材液化物の熱流動温度は112℃であったので、このものにフルクトース変性組成物を20質量%加えることにより熱流動温度が27℃低くなった。また、155℃における大量生産木材液化物の溶融粘度は、フルクトース変性組成物添加前には、45.1Pa・Sであったが、該組成物を20質量%ブレンドすることにより、27.4Pa・Sにまで減少した。従って、フルクトース変性組成物は大量生産木材液化物の熱流動性を高めたことが確認された。

0087

次いで、前記の通り、上記本発明液化樹脂(フェノール液化物)成形物の曲げ試験片を作製し、曲げ試験を行った。その結果、曲げ強度69.9MPa、曲げ弾性率8.17GPaという値を得た。市販ノボラック樹脂を用いて同様に得た成形物の曲げ強度の値は62.0MPa、曲げ弾性率は6.43GPaであったので、ここで得られた結果は市販ノボラック樹脂を上回る曲げ強度および曲げ弾性率を示した。

0088

[実施例8]
調製例1で調製した大量生産木材液化物を乳鉢で微粉状にし、その20.40gにテルペンフェノール樹脂1.20gおよび調製例3で作製したフルクトース変性組成物2.40gを加え、ラボプラストミルを用いて105℃で10分間、80rpmの混練を行い、本発明液化樹脂を得た。これは、テルペンフェノール樹脂を全体の5質量%およびフルクトース変性組成物を全体の10質量%ブレンドしたことになる。

0089

その混合物を1g秤取り、フローテスターに供して熱流動試験を行った。得られた熱流動温度は82℃であった。大量生産木材液化物の熱流動温度は112℃であったので、このものにテルペンフェノール樹脂を5質量%およびフルクトース変性組成物を10質量%加えて混練ブレンドすることにより熱流動温度が30℃低くなった。また、155℃における大量生産木材液化物の溶融粘度は、テルペンフェノール樹脂およびフルクトース変性組成物の添加前には、45.1Pa・Sであったが、テルペンフェノール樹脂5質量%およびフルクトース変性組成物を10質量%混練ブレンドすることにより、28.8Pa・Sにまで減少した。従って、テルペンフェノール樹脂およびフルクトース変性組成物の混合物は大量生産木材液化物の熱流動性を高めたことが確認された。

実施例

0090

次いで、前記の通り、上記本発明液化樹脂(フェノール液化物)成形物の曲げ試験片を作製し、曲げ試験を行った。その結果、曲げ強度70.2MPa、曲げ弾性率8.30GPaという値を得た。市販ノボラック樹脂を用いて同様に得た成形物の曲げ強度の値は62.0MPa、曲げ弾性率は6.43GPaであったので、ここで得られた結果は市販ノボラック樹脂を上回る曲げ強度および曲げ弾性率を示した。

0091

本発明液化樹脂は、低軟化点で成形時の流動性が高く成形加工性に優れていることなどから、フェノール樹脂成形品を製造する上で有用である。

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