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技術 液状レゾール型フェノール樹脂、液状レゾール型フェノール樹脂の製造方法、および物品

出願人 住友ベークライト株式会社
発明者 鈴木裕司
出願日 2015年10月21日 (5年0ヶ月経過) 出願番号 2015-207255
公開日 2017年4月27日 (3年6ヶ月経過) 公開番号 2017-078127
状態 特許登録済
技術分野 抗スリップ物質 フェノ-ル樹脂、アミノ樹脂
主要キーワード 液状レゾール型フェノール樹脂 抽出管 アセトン抽出率 乾性油変性フェノール樹脂 カルドール モル換算 カルダノール フェノール類化合物
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重要な関連分野

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課題

フェノール樹脂の特性である硬化性という観点において優れており、さらに柔軟性に優れた湿式ペーパー摩擦材を得ることのできる液状レゾール型フェノール樹脂、その製造方法、及びそれを含有する組成物硬化物を有する物品の提供。

解決手段

下記一般式(P−1)で表される部分構造を含む液状レゾール型フェノール樹脂[式中、R1、R2及びR3は各々独立して水素原子または−CH2OHを表し、R4は炭素数10以上の直鎖不飽和炭化水素基を表し、*は結合手を表す。]。[化1]

概要

背景

熱硬化性樹脂であるフェノール樹脂は、主に成形品基材となる材料同士を結合させるバインダーとして広く用いられ、優れた機械的特性電気的特性接着性を有することから、様々な分野で使用されている。特に、近年、自動車鉄道車両などにおいてフェノール樹脂をバインダーとして使用した摩擦材の使用量が増加している。

その中でも湿式ペーパー摩擦材と呼ばれる、オートマチック車等の自動変速機等において使用される摩擦材には、一般的に液状レゾール型フェノール樹脂が用いられる。その湿式ペーパー摩擦材用フェノール樹脂に対する要求特性は年々高まっており、特に摩擦特性の向上を目的として、フェノール樹脂の柔軟性向上への要求が高まってきている。しかしながら、一般的なフェノール樹脂の硬化物は、機械的特性に優れる反面、堅くてもろいという性質をもち、柔軟性に優れているとは言えない。

そこで、上記問題を解決する方法として、フェノール樹脂を合成する際の反応において、変性剤として乾性油等を用いて柔軟性を改善する試みが検討されている(例えば、特許文献1。)。このような乾性油変性フェノール樹脂は、柔軟な脂肪族炭化水素基が導入されているため、未変性のフェノール樹脂と比較して柔軟性が高い特徴がある。

ところが、特許文献1に記載の乾性油変性フェノール樹脂では、脂肪族炭化水素基がフェノール構造単位にすべて結合している訳ではなく、柔軟性向上効果が十分でないという不都合があった。また、フェノール構造単位中の架橋点に脂肪族炭化水素基が結合した場合、フェノール樹脂の反応点が減少するため、硬化性が低下するという不都合があった。

また、近年の車両の燃費向上や摩擦材にかかる負荷の向上に対応すべく、さらなる摩擦特性の向上が求められている。このため、摩擦材用フェノール樹脂には、柔軟性を向上することが要求されている。

上記問題を解決するために本発明者が検討した結果、すべてのフェノール構造単位の少なくとも1つ以上のメタ位に、炭素数10以上の直鎖不飽和炭化水素基が結合しているフェノール樹脂が有効であることを見出した(例えば、特許文献2。)。しかし、一般的に、摩擦材用フェノール樹脂の柔軟性と耐久性とはトレードオフの関係にあることが知られている。特許文献2に記載のフェノール樹脂も、柔軟性が向上しているものの、耐久性が犠牲となっている。従って、摩擦材用フェノール樹脂の柔軟性及び耐久性の両方を向上させる観点から、改善の余地があった。

概要

フェノール樹脂の特性である硬化性という観点において優れており、さらに柔軟性に優れた湿式ペーパー摩擦材を得ることのできる液状レゾール型フェノール樹脂、その製造方法、及びそれを含有する組成物の硬化物を有する物品の提供。下記一般式(P−1)で表される部分構造を含む液状レゾール型フェノール樹脂[式中、R1、R2及びR3は各々独立して水素原子または−CH2OHを表し、R4は炭素数10以上の直鎖不飽和炭化水素基を表し、*は結合手を表す。]。[化1]なし

目的

本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、フェノール樹脂の特性である硬化性という観点において優れており、さらに柔軟性と耐久性に優れた湿式ペーパー摩擦材を得ることのできる液状レゾール型フェノール樹脂、その製造方法、及びそれを含有する組成物の硬化物を有する物品、を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
0件

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請求項1

下記一般式(P−1)で表される部分構造を含む液状レゾール型フェノール樹脂。[式中、R1、R2及びR3は各々独立して水素原子または−CH2OHを表し、R4は炭素数10以上の直鎖不飽和炭化水素基を表し、*は結合手を表す。ただし、フェノール性水酸基を有するベンゼン環に結合する水素原子は置換基により置換されてもよい。]

請求項2

請求項1に記載の液状レゾール型フェノール樹脂の製造方法であって、少なくとも1つ以上のメタ位に炭素数10以上の直鎖不飽和炭化水素基が結合しているフェノール類(A1)を、酸触媒存在下反応させてフェノール類化合物(B)を得る第1工程と、前記フェノール類化合物(B)と、前記フェノール類(A1)以外のフェノール類(A2)(ただし、フェノール性水酸基を有するベンゼン環に結合する水素原子は置換基により置換されてもよい。)と、アルデヒド類(C)と、を塩基触媒下で反応させる第2工程と、を含む液状レゾール型フェノール樹脂の製造方法。

請求項3

前記フェノール類(A1)が、下記一般式(A1−1)で表される化合物を含む請求項2に記載の液状レゾール型フェノール樹脂の製造方法。[式中、R4’は炭素数10以上の直鎖不飽和炭化水素基を表す。ただし、フェノール性水酸基を有するベンゼン環に結合する水素原子は置換基により置換されてもよい。]

請求項4

前記フェノール類(A1)が、カルダノールカルドール、2−メチルカルドールの中からなる群より選択される少なくとも一つ以上のフェノール類である、請求項3に記載の液状レゾール型フェノール樹脂の製造方法。

請求項5

基材と、請求項1に記載の液状レゾール型フェノール樹脂を含有する組成物硬化物と、を有する物品

請求項6

湿式ペーパー摩擦材である請求項5に記載の物品。

技術分野

0001

本発明は、液状レゾール型フェノール樹脂、液状レゾール型フェノール樹脂の製造方法、および物品に関する。

背景技術

0002

熱硬化性樹脂であるフェノール樹脂は、主に成形品基材となる材料同士を結合させるバインダーとして広く用いられ、優れた機械的特性電気的特性接着性を有することから、様々な分野で使用されている。特に、近年、自動車鉄道車両などにおいてフェノール樹脂をバインダーとして使用した摩擦材の使用量が増加している。

0003

その中でも湿式ペーパー摩擦材と呼ばれる、オートマチック車等の自動変速機等において使用される摩擦材には、一般的に液状レゾール型フェノール樹脂が用いられる。その湿式ペーパー摩擦材用フェノール樹脂に対する要求特性は年々高まっており、特に摩擦特性の向上を目的として、フェノール樹脂の柔軟性向上への要求が高まってきている。しかしながら、一般的なフェノール樹脂の硬化物は、機械的特性に優れる反面、堅くてもろいという性質をもち、柔軟性に優れているとは言えない。

0004

そこで、上記問題を解決する方法として、フェノール樹脂を合成する際の反応において、変性剤として乾性油等を用いて柔軟性を改善する試みが検討されている(例えば、特許文献1。)。このような乾性油変性フェノール樹脂は、柔軟な脂肪族炭化水素基が導入されているため、未変性のフェノール樹脂と比較して柔軟性が高い特徴がある。

0005

ところが、特許文献1に記載の乾性油変性フェノール樹脂では、脂肪族炭化水素基がフェノール構造単位にすべて結合している訳ではなく、柔軟性向上効果が十分でないという不都合があった。また、フェノール構造単位中の架橋点に脂肪族炭化水素基が結合した場合、フェノール樹脂の反応点が減少するため、硬化性が低下するという不都合があった。

0006

また、近年の車両の燃費向上や摩擦材にかかる負荷の向上に対応すべく、さらなる摩擦特性の向上が求められている。このため、摩擦材用フェノール樹脂には、柔軟性を向上することが要求されている。

0007

上記問題を解決するために本発明者が検討した結果、すべてのフェノール構造単位の少なくとも1つ以上のメタ位に、炭素数10以上の直鎖不飽和炭化水素基が結合しているフェノール樹脂が有効であることを見出した(例えば、特許文献2。)。しかし、一般的に、摩擦材用フェノール樹脂の柔軟性と耐久性とはトレードオフの関係にあることが知られている。特許文献2に記載のフェノール樹脂も、柔軟性が向上しているものの、耐久性が犠牲となっている。従って、摩擦材用フェノール樹脂の柔軟性及び耐久性の両方を向上させる観点から、改善の余地があった。

先行技術

0008

特開平9−59599号公報
国際公開第2013/179660号

発明が解決しようとする課題

0009

本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、フェノール樹脂の特性である硬化性という観点において優れており、さらに柔軟性と耐久性に優れた湿式ペーパー摩擦材を得ることのできる液状レゾール型フェノール樹脂、その製造方法、及びそれを含有する組成物の硬化物を有する物品、を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0010

本発明は以下の態様を有する。
(1)下記一般式(P−1)で表される部分構造を含む液状レゾール型フェノール樹脂。

0011

[式中、R1、R2及びR3は各々独立して水素原子または−CH2OHを表し、R4は炭素数10以上の直鎖不飽和炭化水素基を表し、*は結合手を表す。ただし、フェノール性水酸基を有するベンゼン環に結合する水素原子は置換基により置換されてもよい。]

0012

(2)前記(1)に記載の液状レゾール型フェノール樹脂の製造方法であって、少なくとも1つ以上のメタ位に炭素数10以上の直鎖不飽和炭化水素基が結合しているフェノール類(A1)を、酸触媒存在下反応させてフェノール類化合物(B)を得る第1工程と、前記フェノール類化合物(B)と、前記フェノール類(A1)以外のフェノール類(A2)(ただし、フェノール性水酸基を有するベンゼン環に結合する水素原子は置換基により置換されてもよい。)と、アルデヒド類(C)と、を塩基触媒下で反応させる第2工程と、を含む液状レゾール型フェノール樹脂の製造方法。

0013

(3)前記フェノール類(A1)が、下記一般式(A1−1)で表される化合物を含む(2)に記載の製造方法。

0014

[式中、R4’は炭素数10以上の直鎖不飽和炭化水素基を表す。ただし、フェノール性水酸基を有するベンゼン環に結合する水素原子は置換基により置換されてもよい。]

0015

(4)前記フェノール類(A1)が、カルダノールカルドール、2−メチルカルドールの中からなる群より選択される少なくとも一つ以上のフェノール類である、(3)に記載の製造方法。
(5)基材と、(1)に記載の液状レゾール型フェノール樹脂を含有する組成物の硬化物と、を有する物品。
(6)湿式ペーパー摩擦材である(5)に記載の物品。

発明の効果

0016

本発明によれば、フェノール樹脂の特性である硬化性という観点において優れており、さらに柔軟性と耐久性に優れた湿式ペーパー摩擦材を得ることのできる液状レゾール型フェノール樹脂、その製造方法、及びそれを含有する組成物の硬化物を有する物品、を提供することができる。

0017

以下に、本実施形態に係る液状レゾール型フェノール樹脂、その製造方法、および物品について詳細に説明する。

0018

<液状レゾール型フェノール樹脂>
本実施形態に係る液状レゾール型フェノール樹脂は、下記一般式(P−1)で表される部分構造を含む。下記部分構造を含むことにより、フェノール樹脂の特性である硬化性という観点において優れており、かつ柔軟性と耐久性に優れた湿式ペーパー摩擦材を得るために好適な液状レゾール型フェノール樹脂を得ることができる。

0019

[式中、R1、R2及びR3は各々独立して水素原子または−CH2OHを表し、R4は炭素数10以上の直鎖不飽和炭化水素基を表し、*は結合手を表す。ただし、フェノール性水酸基を有するベンゼン環に結合する水素原子は置換基により置換されてもよい。]

0020

前記一般式(P−1)中、R1、R2及びR3は各々独立して水素原子または−CH2OHを表す。液状レゾール型フェノール樹脂の硬化性向上の観点から、R1、R2及びR3の少なくとも1つがメチロール基であることが好ましい。
前記一般式(P−1)中、R4は炭素数10以上の直鎖不飽和炭化水素基を表す。R4としては、炭素数10〜20の直鎖不飽和炭化水素基が好ましく、炭素数12〜20の直鎖不飽和炭化水素基が好ましく、炭素数12〜18の直鎖不飽和炭化水素基がより好ましい。直鎖不飽和炭化水素基の炭素数が上記範囲の上限値以下である場合、液状レゾール型フェノール樹脂を基材に含浸する際に有機溶剤希釈しやすくなる。一方、直鎖不飽和炭化水素基の炭素数が上記下限値以上である場合、柔軟性が向上しやすくなる。

0021

フェノール性水酸基を有するベンゼン環に結合する水素原子を置換する置換基としては、特に限定されないが、たとえば、アセチル基メチル基等が挙げられる。

0022

本実施形態に係る液状レゾール型フェノール樹脂において、前記一般式(P−1)で表される部分構造以外の構造は特に限定されず、例えば下記一般式(P−2)で表される構造単位、下記一般式(P−3)で表される構造単位、下記一般式(P−4)で表される構造単位からなる群より選ばれる少なくとも1種を含んでいてもよい。

0023

[式中、R1は前記と同様である。]

0024

[式中、R2、R3、R4及び*は前記と同様である。]

0025

[式中、R1、R2、R4及び*は前記と同様である。]

0026

<液状レゾール型フェノール樹脂の製造方法>
本実施形態に係る液状レゾール型フェノール樹脂の製造方法は、少なくとも1つ以上のメタ位に炭素数10以上の直鎖不飽和炭化水素基が結合しているフェノール類(A1)を、酸触媒存在下反応させてフェノール類化合物(B)を得る第1工程と、前記フェノール類化合物(B)と、前記フェノール類(A1)以外のフェノール類(A2)(ただし、フェノール性水酸基を有するベンゼン環に結合する水素原子は置換基により置換されてもよい。)と、アルデヒド類(C)と、を塩基触媒下で反応させる第2工程と、を含む。

0027

本実施形態に係る液状レゾール型フェノール樹脂の製造方法においては、まず、フェノール類(A1)における炭素数10以上の直鎖不飽和炭化水素基の炭素炭素多重結合に、酸触媒から供給されたプロトン(H+)が付加してカルボカチオンが生成する。次に、生成したカルボカチオンと、その他のフェノール類(A1)分子におけるベンゼン環との間で置換反応が生じ、フェノール類化合物(B)は生成しているものと考えられる。なお、上記その他のフェノール類(A1)分子に結合している炭素数10以上の直鎖不飽和炭化水素基についても、別のフェノール類(A1)分子におけるベンゼン環との間で置換反応が生じているものと考えられる。このようにして生成したフェノール類化合物(B)と、フェノール類(A2)と、アルデヒド類(C)と、を塩基性触媒下で反応させることにより、本実施形態に係る液状レゾール型フェノール樹脂を得ることができる。

0028

[第一工程]
第一工程においては、少なくとも1つ以上のメタ位に炭素数10以上の直鎖不飽和炭化水素基が結合しているフェノール類(A1)を、酸触媒存在下反応させてフェノール類化合物(B)を得る。
フェノール類(A1)は特に限定されないが、下記一般式(A1−1)で表される化合物を含むことが好ましい。

0029

[式中、R4’は炭素数10以上の直鎖不飽和炭化水素基を表す。ただし、フェノール性水酸基を有するベンゼン環に結合する水素原子は置換基により置換されてもよい。]

0030

R4’は炭素数10以上の直鎖不飽和炭化水素基を表し、前記一般式(P−1)におけるR4の説明と同様である。また、フェノール性水酸基を有するベンゼン環に結合する水素原子を置換する置換基についても、前記の説明と同様である。

0031

フェノール類(A1)としては、具体的には、3−ドデセニルフェノール、3−トリデセニルフェノール、3−ペンタデセニルフェノール、5−トリデセニルレゾルシノール、5−ペンタデセニルレゾルシノール、メタ位に炭素数15の直鎖不飽和炭化水素基を有するフェノールであるカルダノール、メタ位に炭素数15の直鎖不飽和炭化水素基及び水酸基を有するカルドール、メタ位に炭素数15の直鎖不飽和炭化水素基及び水酸基、オルソ位にメチル基を有するフェノールである2−メチルカルドール等が挙げられる。中でも、コスト面から、フェノール類(A1)が、カルダノール、カルドール、2−メチルカルドールの中からなる群より選択される少なくとも一つ以上のフェノール類であることが好ましい。

0032

第1工程において用いる酸触媒は、特に限定されないが、例えば、酢酸シュウ酸などの有機酸塩酸硫酸リン酸などの鉱物酸、ジエチル硫酸パラトルエンスルホン酸パラフェノールスルホン酸などが挙げられる。中でも、フェノール類(A1)における炭素数10以上の直鎖不飽和炭化水素基の炭素−炭素多重結合にプロトン(H+)が付加させる観点から、硫酸、パラトルエンスルホン酸が好ましい。

0033

第一工程で得られるフェノール類化合物(B)は、少なくとも下記一般式(B−1)で表される部分構造を含む。

0034

[式中、R4、*は前記と同様である。]

0035

[第二工程]
第二工程においては、前記フェノール類化合物(B)と前記フェノール類(A1)以外のフェノール類(A2)(ただし、フェノール性水酸基を有するベンゼン環に結合する水素原子は置換基により置換されてもよい。)と、アルデヒド類(C)と、を塩基触媒下で反応させ、前記一般式(P−1)で表される部分構造を含む液状レゾール型フェノール樹脂を得る。
フェノール類(A2)は、フェノールであって、フェノール性水酸基を有するベンゼン環に結合する水素原子は置換基により置換されてもよい。ただし、フェノール類(A2)が置換フェノールである場合、フェノール類(A1)は含まれない。フェノール類(A2)としては、無置換のフェノールが好ましい。

0036

アルデヒド類(C)は、特に限定されないが、例えば、ホルムアルデヒドアセトアルデヒドブチルアルデヒドプロピオンアルデヒドテレフタルアルデヒドベンズアルデヒドパラホルムアルデヒドアクロレインなどを挙げることができる。使用は1種類に限定されるものでは無く、これらのアルデヒド類を単独又は2種以上を組み合わせて使用することができる。また、これらアルデヒド類の発生源となる物質あるいはこれらのアルデヒド類の溶液を使用することが可能である。通常は、ホルムアルデヒド水溶液を使用することがコストの面から好ましい。

0037

第二工程で用いる塩基性触媒は、特に限定されないが、例えば、水酸化ナトリウム水酸化リチウム水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物アンモニア水トリエチルアミンなどのアミン類カルシウムマグネシウムバリウムなどアルカリ土類金属酸化物及び水酸化物、炭酸ナトリウム酢酸亜鉛酸化亜鉛等の物質が挙げられる。これらは、単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。また、塩基性触媒の使用量は、特に限定されないが、フェノール類(A1)またはフェノール類化合物(B)1000質量部に対して、1質量部以上50質量部以下とすればよい。

0038

第二工程において、反応物モル比は、[アルデヒド類(C)]/[フェノール類化合物(B)+フェノール類(A2)]=0.5〜2.0が好ましく、0.8〜1.5がより好ましい。反応時のモル比を上記範囲とすることで、反応せずに残存するアルデヒド類(C)を低減させることができるとともに、十分な硬化性を有したフェノール樹脂を得ることができる。
また、フェノール類化合物(B)の、フェノール類化合物(B)とフェノール類(A2)との合計に対する比率(以下、「変性率」という場合がある。)は、モル換算で10〜75モル%が好ましく、15〜60モル%がより好ましく、20〜55モル%がさらに好ましい。変性率が上記範囲である場合、液状レゾール型フェノール樹脂の柔軟性及び耐久性の両立の観点から好ましい。具体的には、変性率が上記範囲の下限値以上であることにより、十分な柔軟性を達成しつつ優れた耐久性が得られる。また、変性率が上記範囲の上限値以下であることにより、十分な耐久性を達成しつつ優れた柔軟性が得られる。従って、液状レゾール型フェノール樹脂の柔軟性及び耐久性を両立しつつ、より耐久性の性能が求められる場合には上記範囲内で変性率を低くし、より柔軟性が求められる場合には上記範囲内で変性率を高くすればよい。

0039

<物品>
本実施形態の物品は、基材と、本実施形態の液状レゾール型フェノール樹脂を含有する組成物の硬化物と、を有する。
本実施形態の物品は、例えば液状レゾール型フェノール樹脂を有機溶剤と混合し、基材に含浸または塗布し、これを焼成硬化することにより得られる。
有機溶媒は、特に限定されないが、例えば、メタノールエタノールイソプロパノールブタノールなどのアルコール系有機溶媒アセトンメチルエチルケトンメチルイソブチルケトンなどのケトン系有機溶剤トルエンエチルベンゼンなどの芳香族炭化水素溶媒及びこれらの混合物が挙げられる。
基材としては、特に限定されないが、たとえば、天然繊維金属繊維炭素繊維化学繊維などの繊維類を単独又は2種以上使用した基材が挙げられる。

0040

本実施形態の物品は、湿式ペーパー摩擦材であることが好ましい。この場合、本実施形態の液状レゾール型フェノール樹脂を、湿式ペーパー摩擦材に含ませて用いることが好ましい。上記液状レゾール型フェノール樹脂を含ませた湿式ペーパー摩擦材を製造する方法としては、たとえば、液状レゾール型フェノール樹脂を、金属繊維や炭素繊維及び化学繊維と、カシューダストなどの摩擦調整剤珪藻土などを充填した紙基材へ含浸し、これを焼成・硬化する方法がある。こうすることで、本実施形態に係る湿式ペーパー摩擦材を得ることができる。
本実施形態の液状レゾール型フェノール樹脂を用いて得られた湿式ペーパー摩擦材は、フェノール樹脂の特性である耐熱性や硬化性という観点において優れており、さらに柔軟性に優れる。

0041

以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。また、実施例及び比較例に記載されている「部」は「重量部」、「%」は「重量%」を示す。

0042

<液状レゾール型フェノール樹脂の製造>
(実施例1)
撹拌装置還流冷却器および温度計を備えた反応装置に、カルダノール1000部、パラトルエンスルホン酸15部を添加し、140℃に加熱昇温させ1時間撹拌しながら反応させた。これにトリエチルアミン5部を加えて中和した後、フェノール300部、37%ホルマリン水溶液535部(カルダノール反応物及びフェノールの合計に対するモル比1.0)、50%水酸化ナトリウム水溶液12部を添加し、90℃に加熱昇温させて2時間撹拌しながら反応させた。その後、91kPaの減圧化で脱水を行いながら、系内の温度が65℃に達したところでトルエン280部、メタノール630部を加えて溶解、冷却した。こうすることで、不揮発分45%の液状レゾール型フェノール樹脂1を2100部得た。

0043

(実施例2)
カルダノール130部、パラトルエンスルホン酸2部、フェノール1170部、37%ホルマリン水溶液1050部に変更した以外は実施例1と同様にして不揮発分45%の液状レゾール型フェノール樹脂2を2400部得た。

0044

(実施例3)
カルダノール390部、パラトルエンスルホン酸6部、フェノール910部、37%ホルマリン水溶液900部に変更した以外は実施例1と同様にして不揮発分46%の液状レゾール型フェノール樹脂3を2300部得た。

0045

(実施例4)
カルダノール650部、パラトルエンスルホン酸10部、フェノール6500部、37%ホルマリン水溶液740部に変更した以外は実施例1と同様にして不揮発分45%の液状レゾール型フェノール樹脂4を2200部得た。

0046

(実施例5)
カルダノール1170部、パラトルエンスルホン酸18部、フェノール130部、37%ホルマリン水溶液430部に変更した以外は実施例1と同様にして不揮発分45%の液状レゾール型フェノール樹脂5を2000部得た。

0047

(実施例6)
実施例4のカルダノール1240部、パラトルエンスルホン酸19部、フェノール60部、37%ホルマリン水溶液390部に変更した以外は実施例1と同様にして不揮発分45%の液状レゾール型フェノール樹脂6を2000部得た。

0048

(比較例1)
撹拌装置、還流冷却器及び温度計を備えた反応装置に、フェノール1000部、37%ホルマリン水溶液740部(フェノールとのモル比=1.0)、50%水酸化ナトリウム水溶液20部を添加し、100℃で30分間撹拌しながら反応させた。その後91kPaの減圧下で脱水を行いながら、系内の温度が65℃に達したところでメタノール1000部を加えて溶解・冷却した。こうすることで、不揮発分45%の液状レゾール型フェノール樹脂1’を2100部得た。

0049

(比較例2)
撹拌装置、還流冷却器および温度計を備えた反応装置に、カルダノール100部、フェノール900部、37%ホルマリン水溶液810部、50%水酸化ナトリウム水溶液20部を添加し、100℃に加熱昇温させ、1時間撹拌しながら反応させた。その後、91kPaの減圧化で脱水を行いながら、系内の温度が65℃に達したところでメタノール730部を加えて溶解、冷却した。こうすることで、不揮発分50%の液状レゾール型フェノール樹脂2’を1900部得た。

0050

(比較例3)
撹拌装置、還流冷却器および温度計を備えた反応装置に、カルダノールを500部、フェノール500部、37%ホルマリン水溶液を570部を添加し、100℃に加熱昇温させ、撹拌しながら反応させたところ、反応液の粘度が急激に上昇し、有機溶媒に不要なゲル化物を得た。

0051

(比較例4)
撹拌装置、還流冷却器及び温度計を備えた反応装置に、フェノール1000部、桐油540部、パラトルエンスルホン酸1部を添加し、60℃に加熱昇温させ30分間撹拌しながら反応させた。これに、37%ホルマリン水溶液770部(フェノールとのモル比=1.2)、トリエタノールアミン1部、25%アンモニア水溶液20部を添加し、100℃で2時間撹拌しながら反応させた。その後68cmHgの減圧下で脱水を行いながら、系内の温度が70℃に達したところでトルエン280部、メタノール670部を加えて溶解・冷却した。こうすることで、不揮発分45%の液状レゾール型フェノール樹脂4’を2100部得た。

0052

(比較例5)
撹拌装置、還流冷却器及び温度計を備えた反応装置に、カルダノール1000部、パラトルエンスルホン酸15部を添加し、140℃に加熱昇温させ1時間撹拌しながら反応させた。これに、37%ホルマリン水溶液180部(カルダノール反応物とのモル比=0.8)、トリエチルアミン5部、50%水酸化ナトリウム水溶液10部を添加し、60℃で2時間撹拌しながら反応させた。その後、91kPaの減圧下で脱水を行いながら、系内の温度が65℃に達したところでトルエン280部、メタノール670部を加えて溶解・冷却した。こうすることで、不揮発分45%の液状レゾール型フェノール樹脂5’を2100部得た。

0053

(比較例6)
比較例1ので得られた樹脂1’を460部と、比較例5で得られた樹脂5’を1540部とを混合(重量比23:77)し、液状レゾール型フェノール樹脂6’を2000部得た。

0054

(比較例7)
比較例5の37%ホルマリン水溶液を280部(カルダノール反応物とのモル比=1.2)に変更した以外は比較例5と同様にして液状レゾール型フェノール樹脂7’を2130部得た。

0055

<液状レゾール型フェノール樹脂の評価>
実施例および比較例で得られた液状レゾール型フェノール樹脂1〜6、1’、2’、4’〜7’を用いて、含浸紙を作製した。基材には市販の濾紙(120mm×10mm×厚さ1mm)を使用した。

0056

実施例及び比較例で得られた液状レゾール型フェノール樹脂1〜6、1’、2’、4’〜7’をアセトンで希釈して、樹脂濃度を30%にした溶液中に上記濾紙を含浸し、その後、190℃のオーブンで30分間乾燥、硬化し、試験片を得た。

0057

評価項目
引張り破断伸び:得られた試験片について、JIS P 8113に準じて測定した。なお、単位は、%である。測定条件は、上記方法で作製した試験片を、精密万能試験機AG−IS 5kN(島津製作所社製)を用いて、常温常圧下、1mm/minの試験速度で実施した。
引張り破断伸びの数値が高いほど、硬化物の柔軟性が高いと判断することができる。

0058

硬度:得られた試験片について、JIS Z 2245に従い、Mスケールで測定した。
硬度の数値が高いほど、硬化物の耐久性が高いと判断することができる。

0059

硬化物のアセトンへの溶解分:実施例及び比較例で得られた液状レゾール型フェノール樹脂1〜6、1’、2’、4’〜7’を190℃で30分間硬化させた後、ビーズミル粉砕し、ふるい分けし149μm通過、63μm上残分を試料とした。ソックスレーフラスコガラスビーズを20粒程度入れ、200mlのアセトンを入れた。抽出管円筒濾紙を入れて、濾紙の中に量した試料約3g入れ、コンデンサーを取り付けて湯煎の状態になるように固定して還流させながら、試料をアセトンに6時間浸した後、アセトンを真空乾燥機で乾燥させ、残った重量よりアセトン抽出率を計算した。なお、アセトン溶解分が少ないほど硬化が進行していると判断することができる。

0060

上記評価項目に関する評価結果を、以下の表1に示す。また、変性率(モル%)も表1に併記する。

0061

0062

表1の結果から、実施例1〜6で得られた液状レゾール型フェノール樹脂1〜6の硬化物は、硬度の数値が高いことから耐久性が高いこと、アセトン溶解分が少ないことから硬化性に優れたものであること、引張り破断伸びが大きいことから柔軟性に優れたものであることが確認された。特に、実施例1,3,4,5で得られた液状レゾール型フェノール樹脂1,3,4,5は、柔軟性及び耐久性の両立の観点からより好ましいことが確認された。
また、実際に、実施例1〜6の液状レゾール型フェノール樹脂1〜6を用いて湿式ペーパー摩擦材を製造した場合、柔軟性に優れた湿式ペーパー摩擦材を得ることができた。

0063

比較例1の液状レゾール型フェノール樹脂1’は、フェノール、ホルムアルデヒドから得られた未変性の液状レゾール型フェノール樹脂である。比較例1の液状レゾール型フェノール樹脂1’は、耐久性および硬化性が高いものの、実施例1〜6の液状レゾール型フェノール樹脂1〜6と比較して柔軟性に劣ることが確認された。

0064

比較例2のフェノール樹脂2’は、カルダノールを用いて得られた液状レゾール型フェノールである。比較例2の液状レゾール型フェノール2’は、耐久性が高いものの、実施例1〜6の液状レゾール型フェノール樹脂1〜6と比較して柔軟性および硬化性に劣ることが確認された。比較例2の液状レゾール型フェノール2’が柔軟性に劣る理由は、カルダノール変性率が低いためと推測される。

0065

比較例3では、比較例2よりカルダノールの量を増加したが、反応物がゲル化したため、評価試験を行うことが出来なかった。比較例3の樹脂がゲル化した理由は、カルダノールが有する二重結合に、OH基が不可して急激に樹脂の分子量が増加したためと推測される。

0066

比較例4の液状レゾール型フェノール樹脂4’は、乾性油である桐油で変性された液状レゾール型フェノール樹脂である。比較例4のフェノール樹脂4’は、柔軟性は高いものの、実施例1〜6の液状レゾール型フェノール樹脂1〜6と比較して耐久性及び硬化性に劣ることが確認された。

0067

比較例5の液状レゾール型フェノール樹脂5’は、フェノール類化合物(B)とアルデヒド類(C)とから得られた液状レゾール型フェノールである。比較例5の液状レゾール型フェノール樹脂5’は、柔軟性と硬化性は高いものの、実施例1〜6の液状レゾール型フェノール樹脂1〜6と比較して耐久性が低いことが確認された。

0068

比較例6では、比較例5の液状レゾール型フェノール樹脂5’の耐久性を上げることを目的として、比較例1の液状レゾール型フェノール樹脂1’を混合して液状レゾール型フェノール樹脂6’を得た。比較例6の液状レゾール型フェノール樹脂6’は、柔軟性と硬化性は高いものの、実施例1〜6の液状レゾール型フェノール樹脂1〜6と比較して耐久性が低いことが確認された。比較例5と結果が大きく変わらない理由は、液状レゾール型フェノール樹脂5’と液状レゾール型フェノール樹脂1’とがそれぞれ共縮合していないためであると推測される。

0069

比較例7では、比較例5の液状レゾール型フェノール樹脂5’の耐久性を上げることを目的として、架橋密度を向上するためにアルデヒド類(C)の量を増加し、液状レゾール型フェノール樹脂7’を得た。しかしながら、比較例7の液状レゾール型フェノール樹脂7’は、比較例5の液状レゾール型フェノール樹脂5’と比べて柔軟性がわずかに低下するにもかかわらず、耐久性及び硬化性が向上していないことが確認された。

実施例

0070

以上の結果より、実施例1〜6で得られた液状レゾール型フェノール樹脂1〜6は、柔軟性と硬化性を両立できることが確認された。特に、実施例1,3,4,5で得られた液状レゾール型フェノール樹脂1,3,4,5は、柔軟性及び耐久性の両立の観点からより好ましいことが確認された。

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