図面 (/)

技術 回転電機制御装置、および、これを用いた電動パワーステアリング装置

出願人 株式会社デンソー
発明者 鈴木崇志
出願日 2015年10月13日 (5年1ヶ月経過) 出願番号 2015-201958
公開日 2017年4月20日 (3年7ヶ月経過) 公開番号 2017-077048
状態 特許登録済
技術分野 交流電動機の制御一般 走行状態に応じる操向制御 パワーステアリング機構
主要キーワード 判定範囲外 メカリレー SW素子 短絡相 オンオフ作動 片側駆動 正側母線 軸電流補正値
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2017年4月20日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (16)

課題

回転電機が回転している状態にて短絡箇所を特定可能である回転電機制御装置、および、これを用いた電動パワーステアリング装置を提供する。

解決手段

モータ制御装置1は、複数の巻線組810、820を有するモータ80を制御する。対応する巻線組810、820と、インバータ120、220との組み合わせを「系統」とし、異常が生じている系統を異常系統、正常である系統を正常系統とする。正常系統を用いてモータ80を駆動しているとき、リレー制御部は、バッテリ5から異常系統である第1系統101の第1インバータ120への電力供給遮断するように、第1電源リレー部180を制御する。異常判定部は、異常系統の端子電圧Vu1、Vv1、Vw1に基づき、短絡箇所を特定する。これにより、モータ80が回転している状態にて、短絡箇所を特定することができる。

概要

背景

従来、多相回転機制御装置が知られている。例えば特許文献1では、故障した系統において生じるブレーキトルク打ち消すよう、故障していない系統のスイッチング素子を制御する。

概要

回転電機が回転している状態にて短絡箇所を特定可能である回転電機制御装置、および、これを用いた電動パワーステアリング装置を提供する。モータ制御装置1は、複数の巻線組810、820を有するモータ80を制御する。対応する巻線組810、820と、インバータ120、220との組み合わせを「系統」とし、異常が生じている系統を異常系統、正常である系統を正常系統とする。正常系統を用いてモータ80を駆動しているとき、リレー制御部は、バッテリ5から異常系統である第1系統101の第1インバータ120への電力供給遮断するように、第1電源リレー部180を制御する。異常判定部は、異常系統の端子電圧Vu1、Vv1、Vw1に基づき、短絡箇所を特定する。これにより、モータ80が回転している状態にて、短絡箇所を特定することができる。

目的

本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、回転電機が回転している状態にて短絡箇所を特定可能である回転電機制御装置、および、これを用いた電動パワーステアリング装置を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

それぞれ複数相コイル(811〜813、821〜823)を含む複数の巻線組(810、820)を有する回転電機(80)を制御する回転電機制御装置であって、前記巻線組ごとに設けられ、前記回転電機の電力を変換するインバータ(120、220)と、前記インバータごとに対応して設けられ、電源(5)から対応する前記インバータへの電力供給遮断可能な電源リレー部(180、280)と、前記コイルの端子電圧を検出する端子電圧検出部(140、240、165、265)と、前記インバータを制御するインバータ制御部(41、42)、前記電源リレー部を制御するリレー制御部(43)、ならびに、前記インバータおよび前記巻線組の異常を判定する異常判定部(45)を有する制御部(40)と、を備え、対応する前記巻線組と前記インバータとの組み合わせを系統とし、異常が生じている前記系統を異常系統、正常である前記系統を正常系統とすると、前記正常系統を用いて前記回転電機を駆動しているとき、前記リレー制御部は、前記電源から前記異常系統の前記インバータへの電力供給を遮断するように前記電源リレー部を制御し、前記異常判定部は、前記異常系統の前記端子電圧に基づき、短絡箇所を特定し、前記インバータ制御部は、特定された前記短絡箇所に応じ、前記正常系統の前記インバータの制御に係る指令値補正する回転電機制御装置。

請求項2

前記巻線組ごとに設けられ、一端が相毎に前記コイルの端子(111〜113、211〜213)に接続され、他端が結線部(164、264)で結線される抵抗群(161〜163、261〜263)である擬似中性点生成部(160、260)をさらに備え、前記端子電圧検出部(165、265)は、前記結線部の電圧である擬似中性点電圧を前記端子電圧として検出する請求項1に記載の回転電機制御装置。

請求項3

前記端子電圧検出部(140、240)は、前記端子電圧を相毎に検出するものであって、前記異常判定部は、前記異常系統における各相の前記端子電圧の平均値に基づき、前記短絡箇所を特定する請求項1に記載の回転電機制御装置。

請求項4

前記異常判定部は、前記電源から前記異常系統の前記インバータへの電力供給を遮断してから所定の待機時間が経過した後、前記短絡箇所を特定する請求項1〜3のいずれか一項に記載の回転電機制御装置。

請求項5

前記異常判定部は、前記回転電機が一定回転状態であるとき、前記短絡箇所を特定する請求項1〜4のいずれか一項に記載の回転電機制御装置。

請求項6

前記異常系統において、複数相が短絡していると特定された場合、前記短絡箇所に応じた前記指令値の補正が禁止される請求項1〜5のいずれか一項に記載の回転電機制御装置。

請求項7

請求項1〜6のいずれか一項に記載の回転電機制御装置(1、2)と、運転者による操舵補助する補助トルクを出力する前記回転電機と、を備える電動パワーステアリング装置

技術分野

0001

本発明は、回転電機制御装置、および、これを用いた電動パワーステアリング装置に関する。

背景技術

0002

従来、多相回転機制御装置が知られている。例えば特許文献1では、故障した系統において生じるブレーキトルク打ち消すよう、故障していない系統のスイッチング素子を制御する。

先行技術

0003

特許第4831503号公報

発明が解決しようとする課題

0004

特許文献1では、制御部がPWM制御を停止した状態、すなわちモータが停止した状態にて、オン故障したスイッチング素子を特定している。しかしながら、特許文献1では、モータが回転している状態にてオン故障したスイッチング素子を特定することができない。
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、回転電機が回転している状態にて短絡箇所を特定可能である回転電機制御装置、および、これを用いた電動パワーステアリング装置を提供することにある。

課題を解決するための手段

0005

本発明の回転電機制御装置は、それぞれ複数相コイル(811〜813、821〜823)を含む複数の巻線組(810、820)を有する回転電機(80)を制御するものであって、インバータ(120、220)と、電源リレー部(180、280)と、端子電圧検出部(140、240、165、265)と、制御部(40)と、を備える。
インバータは、巻線組ごとに対応して設けられ、回転電機の電力を変換する。
電源リレー部は、インバータごとに対応して設けられ、電源から対応するインバータへの電力供給遮断可能である。
端子電圧検出部は、巻線の端子電圧を検出する。
制御部は、インバータを制御するインバータ制御部(41)、電源リレー部を制御するリレー制御部(43)、ならびに、インバータおよび巻線組の異常を判定する異常判定部(45)を有する。

0006

ここで、対応する巻線組とインバータとの組み合わせを系統とし、異常が生じている系統を異常系統、正常である系統を正常系統とする。
正常系統を用いて回転電機を駆動しているとき、リレー制御部は、電源から異常系統のインバータへの電力供給を遮断するように、電源リレー部を制御する。また、異常判定部は、異常系統の端子電圧に基づき、短絡異常が生じている短絡箇所を特定する。ここで、「短絡箇所を特定する」とは、短絡相を特定するとともに、短絡相が地絡しているか、天絡しているかを特定することを意味する。
インバータ制御部は、特定された短絡箇所に応じ、正常系統のインバータの制御に係る指令値補正する。

0007

本発明では、異常系統の電源リレー部により電源からインバータへの電力供給を遮断した状態にて、回転電機の逆起電力により発生する端子電圧に基づき、短絡箇所を判定している。これにより、回転電機が回転している状態にて短絡箇所を適切に特定することができる。また、短絡箇所に応じて指令値を補正することで、トルクリップルを低減することができる。

図面の簡単な説明

0008

本発明の第1実施形態によるステアリングシステムを示す概略構成図である。
本発明の第1実施形態によるモータを説明する図であり、(a)が模式的な斜視図、(b)が相配列を説明する説明図である。
本発明の第1実施形態による電気角を説明する説明図である。
本発明の第1実施形態によるモータ制御装置を説明する回路図である。
本発明の第1実施形態による制御部を説明するブロック図である。
本発明の第1実施形態による異常判定処理を説明するフローチャートである。
本発明の第1実施形態による短絡箇所特定処理を説明するフローチャートである。
本発明の第1実施形態によるq軸電流補正値を説明する説明図である。
本発明の第1実施形態において、短絡異常が生じていない場合の片系統駆動時の(a)端子電圧平均値、(b)各相の端子電圧を説明する説明図である。
本発明の第1実施形態において、W相地絡異常が生じている場合の片系統駆動時の(a)端子電圧平均値、(b)各相の端子電圧を説明する説明図である。
本発明の第1実施形態において、W相天絡異常が生じている場合の片系統駆動時の(a)端子電圧平均値、(b)各相の端子電圧を説明する説明図である。
本発明の第2実施形態によるモータ制御装置を説明する回路図である。
本発明の第2実施形態において、短絡異常が生じていない場合の片系統駆動時の擬似中性点電圧を説明する説明図である。
本発明の第2実施形態において、W相地絡異常が生じている場合の片系統駆動時の擬似中性点電圧を説明する説明図である。
本発明の第2実施形態において、W相天絡異常が生じている場合の片系統駆動時の擬似中性点電圧を説明する説明図である。

実施例

0009

以下、本発明による回転電機制御装置、および、これを用いた電動パワーステアリング装置を図面に基づいて説明する。以下、複数の実施形態において、実質的に同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態を図1図11に示す。
図1に示すように、回転電機制御装置としてのモータ制御装置1は、回転電機としてのモータ80とともに、運転者によるステアリング操作補助する電動パワーステアリング装置8に適用される。

0010

図1は、電動パワーステアリング装置8を備えるステアリングシステム90の構成を示す。ステアリングシステム90は、操舵部材であるステアリングホイール91、ステアリングシャフト92、ピニオンギア96、ラック軸97、車輪98、および、電動パワーステアリング装置8等を有する。

0011

ステアリングホイール91は、ステアリングシャフト92と接続される。ステアリングシャフト92には、運転者がステアリングホイール91を操作することにより入力される操舵トルクを検出するトルクセンサ94が設けられる。ステアリングシャフト92の先端には、ピニオンギア96が設けられる。ピニオンギア96は、ラック軸97に噛み合っている。ラック軸97の両端には、タイロッド等を介して一対の車輪98が連結される。

0012

運転者がステアリングホイール91を回転させると、ステアリングホイール91に接続されたステアリングシャフト92が回転する。ステアリングシャフト92の回転運動は、ピニオンギア96によってラック軸97の直線運動に変換される。一対の車輪98は、ラック軸97の変位量に応じた角度に操舵される。

0013

電動パワーステアリング装置8は、モータ80、モータ80の回転を減速してステアリングシャフト92またはラック軸97に伝える減速ギア89、および、モータ制御装置1等を備える。すなわち、本実施形態の電動パワーステアリング装置8は、所謂「コラムアシストタイプ」であるが、モータ80の回転をラック軸97に伝える所謂「ラックアシストタイプ」としてもよい。
モータ80は、運転者によるステアリングホイール91の操舵を補助する補助トルクを出力するものであって、電源としてのバッテリ5(図2参照)から電力が供給されることにより駆動され、減速ギア89を正逆回転させる。

0014

図2図4に示すように、モータ80は、3相ブラシレスモータであって、ロータ83、ステータ85、および、2組の巻線組810、820を有する。
図4に示すように、第1巻線組810は、U1コイル811、V1コイル812、および、W1コイル813を有する。コイル811、812、813は、一端が第1インバータ120と接続され、他端が結線部819で結線される。以下、U1コイル811の一端をU1端子111、V1コイル812の一端をV1端子112、W1コイル813の一端をW1端子113とする。

0015

第2巻線組820は、U2コイル821、V2コイル822、および、W2コイル823を有する。コイル821、822、823は、一端が第2インバータ220と接続され、他端が結線部829で結線される。以下、U2コイル821の一端をU2端子211、V1コイル812の一端をV2端子212、W2コイル823の一端をW2端子213とする。

0016

図2に示すように、ロータ83は、ステータ85の径方向内側に配置され、回転軸Oを中心として、ステータ85に対して相対回転可能に設けられる。ロータ83の径方向外側には、極数が(2×m)の永久磁石84が設けられる。mは自然数であって、本実施形態では、m=2である。すなわち、本実施形態のロータ83の磁極数が4であり、1つの磁極機械角90度の範囲に配置されている。
ステータ85には、コイル811〜813、821〜823が巻回されている。

0017

図2(b)は、図2(a)をZ方向から見た模式図である。本実施形態では、ロータ83が、図2(b)の時計方向に回転する場合を正回転、反時計方向に回転する場合を負回転とする。
図2(b)に基づいてコイル811〜813、821〜823の相配列を説明する。図2(b)中では、U1コイル811を「U1」、V1コイル812を「V1」、W1コイル813を「W1」、U2コイル821を「U2」、V2コイル822を「V2」、W2コイル823を「W2」と記載した。

0018

図2(b)に示すように、巻線組810、820は、1つの磁極に対し、基準線Bから、機械角15度ごとに、U1コイル811、U2コイル821、W1コイル813、W2コイル823、V1コイル812、V2コイル822の順で配列されている。
また、本実施形態では、U1コイル811、U2コイル821、V1コイル812およびV2コイル822は、第1方向に巻回され、W1コイル813および第2コイル823は、第1方向と反対方向である第2方向に巻回される。

0019

電気角で見たときの相配列は、図3に示す如くとなる。後述する第1系統101のU相とd軸とのなす角を第1電気角θ1、第2系統201のU相とd軸とのなす角を第2電気角θ2とする。第1電気角θ1と第2電気角θ2との関係を、式(1−1)に示す。また、第1電気角θ1または第2電気角θ2と、後述の電気角θeとの関係を式(1−2)、(1−3)に示す。本明細書では、電気角の単位を[deg]として記載する。
θ1−θ2=30 ・・・(1−1)
θ1=θe+15 ・・・(1−2)
θ2=θe−15 ・・・(1−3)

0020

また、各相の誘起電圧を、式(2−1)、(2−2)、(2−3)に示す。
Eun=−sin(θn) ・・・(2−1)
Evn=−sin(θn−120) ・・・(2−2)
Ewn=−sin(θn+120} ・・・(2−3)
式中のnは、1または2である。n=1のとき、誘起電圧Eu1、Ev1、Ew1は、第1巻線組810の各相に生じる誘起電圧であり、n=2のとき、誘起電圧Eu2、Ev2、Ew2は、第2巻線組820の各相に生じる誘起電圧である。

0021

図4に示すように、モータ制御装置1は、パルス幅変調制御等により、モータ80の駆動を制御するものである。モータ制御装置1は、インバータ120、220、端子電圧検出部140、240、コンデンサ170、270、コンデンサ電圧検出部175、275、電源リレー部180、280、回転角センサ30、および、制御部40等を備える。なお、図4では、煩雑になることを避けるため、制御線等を適宜省略した。

0022

本実施形態では、第1巻線組810、および、第1巻線組810に対応して設けられる第1インバータ120、各検出部130、140、175、第1コンデンサ170、および、第1電源リレー部180等の電子部品を、第1系統101とする。また、第2巻線組820、および、第2巻線組820に対応して設けられる第2インバータ220、各検出部230、240、275、第2コンデンサ270、および、第2電源リレー部280等の電子部品を、第2系統201とする。

0023

以下、3桁で付番した構成について、百の位が「1」である場合、第1系統101に含まれるものであることを意味し、百の位が「2」である場合、第2系統202に含まれるものであることを意味する。また、第1系統101に含まれる構成と、第2系統201に含まれる構成とで、下2桁が同じである場合、同様のものであることを意味するものとする。
以下、第1系統101に係る構成および制御を中心に説明し、第2系統201に係る構成の説明を適宜省略する。なお、第2系統201に係る構成や値の名称は、対応する第1系統101に係る名称の「第1」を「第2」に読み替える、或いは、「U1」を「U2」とする、といった具合に、添え字の「1」を「2」に読み替える。

0024

第1インバータ120は、3相インバータであり、U1上アーム素子121、V1上アーム素子122、W1上アーム素子123、U1下アーム素子124、V1下アーム素子125、および、W1下アーム素子126を有する。
以下適宜、素子121〜126、221〜226を、「SW素子」という。
SW素子121〜126、221〜226は、いずれもMOSFETであるが、IGBTサイリスタ等としてもよい。

0025

上アーム素子121、122、123のドレインは、第1正側母線116と接続される、上アーム素子121、122、123のソースは、それぞれ対になる下アーム素子124、125、126のドレインに接続される。下アーム素子124、125、126のソースは、第1負側母線117に接続される。
対になるU相の上アーム素子121と下アーム素子124との接続点は、U1端子111に接続される。対になるV相の上アーム素子122と下アーム素子125との接続点は、V1端子112に接続される。対になるW相の上アーム素子123と下アーム素子126との接続点は、W1端子113に接続される。

0026

第1正側母線116は、上アーム素子121〜123の高電位側とバッテリ5の正極を接続する高電位側配線であって、第1リレー部180の下流側とする。ここで、第1リレー部180の下流側とは、バッテリ5と反対側であるものとする。第1負側母線117は、下アーム素子124〜126の低電位側とバッテリ5の負極またはグランドと接続する低電位側配線である。

0027

第1電流検出部130は、電流センサ131、132、133を有する。電流センサ131〜133は、それぞれ第1下アーム素子124〜126と第1負側母線117との間に設けられ、第1巻線組810の各相に通電される各相電流Iu1、Iv1、Iw1を検出する。本実施形態の電流センサ131〜133は、いずれもシャント抵抗である。電流センサ131〜133の両端電圧は、それぞれ、各相電流Iu1、Iv1、Iw1に係る検出値として、オペアンプ134、135、136を経由して、制御部40に出力される。

0028

第1端子電圧検出部140は、U1端子電圧検出部141、V1端子電圧検出部144、および、W1端子電圧検出部147を有する。
U1端子電圧検出部141は、分圧抵抗である抵抗142、143を有し、U1端子111と第1負側母線117とに接続される。抵抗142、143の接続点の電圧は、U1端子111のU1端子電圧Vu1に係る検出値であるU1端子電圧検出値Vu1_dとして、制御部40に出力される。

0029

V1端子電圧検出部144は、分圧抵抗である抵抗145、146を有し、V1端子112と第1負側母線117とに接続される。抵抗145、146の接続点の電圧は、V1端子112のV1端子電圧Vv1に係る検出値であるV1端子電圧検出値Vv1_dとして、制御部40に出力される。
W1端子電圧検出部147は、分圧抵抗である抵抗148、149を有し、W1端子113と第1負側母線117とに接続される。抵抗148、149の接続点の電圧は、W1端子113のW1端子電圧Vw1に係る検出値であるW1端子電圧検出値Vw1_dとして、制御部40に出力される。

0030

第2端子電圧検出部240では、抵抗242、243の接続点の電圧が、U2端子211の端子電圧Vu2に係る検出値であるU2端子電圧検出値Vu2_dとして、制御部40に出力される。また、抵抗245、246の接続点の電圧がV2端子212の端子電圧Vv2に係る検出値であるV2端子電圧検出値Vv2_dとして制御部40に出力され、抵抗248、248の接続点の電圧がW2端子213の端子電圧Vw2に係る検出値であるW2端子電圧検出値Vw2_dとして制御部40に出力される。
制御部40では、各端子電圧検出値を抵抗比に基づいて換算し、各端子電圧を演算する。
なお、換算前の各端子電圧検出値は、端子電圧に換算可能な値であるので、第1端子電圧検出部140が端子電圧Vu1、Vv1、Vw1を検出し、第2端子電圧検出部240が端子電圧Vu2、Vv2、Vw2を検出しているとみなす

0031

第1プルアップ抵抗群150は、U1プルアップ抵抗151、V1プルアップ抵抗152、および、W1プルアップ抵抗153を有する。U1プルアップ抵抗151は、第1正側母線116とU1端子電圧検出部141とに接続される。V1プルアップ抵抗152は、第1正側母線116とV1端子電圧検出部144とに接続される。W1プルアップ抵抗153は、第1正側母線116とW1端子電圧検出部147とに接続される。
第1端子電圧検出部140を構成する各抵抗、および、第1プルアップ抵抗群150を構成する各抵抗の抵抗値は、適宜設定可能である。本実施形態では、これらの全ての抵抗の抵抗値が等しいものとする。

0032

第1コンデンサ170は、第1正側母線116と第1負側母線117とに接続され、電荷を蓄えることで、第1インバータ120への電力供給を補助したり、サージ電流などのノイズ成分を抑制したりする。
第1コンデンサ電圧検出部175は、分圧抵抗である抵抗176、177を有し、第1正側母線116と第1負側母線117とに接続される。抵抗176、177の接続点の電圧は、第1コンデンサ170の電圧である第1コンデンサ電圧Vc1に係る検出値として制御部40に出力される。なお、第1コンデンサ電圧Vc1は、第1正側母線116の電圧、あるいは、第1リレー部180の下流側の電圧であるリレー後電圧と捉えることもできる。

0033

第1電源リレー部180は、第1電源リレー181および第1逆接保護リレー182を有する。
第1電源リレー181は、第1インバータ120、第1端子電圧検出部140、第1コンデンサ170、および、第1コンデンサ電圧検出部175と、バッテリ5との間に設けられ、バッテリ5から第1インバータ120側への電力供給を遮断可能である。
第1逆接保護リレー182は、第1電源リレー181と寄生ダイオードの向きが逆向きとなるように、第1電源リレー181と直列に接続される。第1逆接保護リレー182を設けることで、バッテリ5等が誤って逆向きに接続された場合に逆向きの電流が流れるのを防ぐ。
本実施形態のリレー181、182は、いずれもMOSFETであるが、半導体リレーに限らず、メカリレーとしてもよい。寄生ダイオードを持たない半導体リレーやメカリレーとする場合、逆接保護リレー182は省略可能である。

0034

回転角センサ30は、モータ80の電気角θeを検出する。回転角センサ30の検出値は、制御部40へ出力される。
図4および図5に示すように、制御部40は、マイコン等を主体として構成される。制御部40における各処理は、ROM等の実体的なメモリ装置に予め記憶されたプログラムをCPUで実行することによるソフトウェア処理であってもよいし、専用の電子回路によるハードウェア処理であってもよい。

0035

制御部40は、トルクセンサ94(図1参照)から取得されるトルク検出値、および、回転角センサ30から取得される電気角θeに係る検出値等に基づき、上アーム素子121〜123、211〜213および下アーム素子124〜126、214〜216のオンオフ作動を制御することで、モータ80の駆動を制御する。

0036

図5に示すように、制御部40は、機能ブロックとして、第1インバータ制御部41、第2インバータ制御部42、リレー制御部43、および、異常判定部45等を有する。
第1インバータ制御部41は、3相2相変換部410、補正電流演算部411、切替部412、補正部413、減算器414、415、制御器416、2相3相変換部417、デューティ演算部418、および、信号生成部419を有する。
第2インバータ制御部42は、3相2相変換部420、補正電流演算部421、切替部422、補正部423、減算器424、425、制御器426、2相3相変換部427、デューティ演算部428、および、信号生成部429を有する。
第1インバータ制御部41の各演算部と、第2インバータ制御部42の各演算部とは、3桁で付番される下1桁が同じである場合、同様のものであることを意味する。以下、第1インバータ制御部41を中心に説明し、第2インバータ制御部42の説明を適宜省略する。

0037

3相2相変換部410は、第1電流検出部130の検出値に基づいて演算される各相電流Iu1、Iv1、Iw1を、電気角θeに基づいてdq変換し、d軸電流検出値Id1およびq軸電流検出値Iq1を演算する。
補正電流演算部411は、異常判定部45にて特定された第2系統201の異常箇所に応じ、モータ80の逆起電力により生じるトルクリップルを補正するq軸電流補正値Iq1_aを演算する。

0038

切替部412は、q軸電流補正値Iq1_aを出力するか否かを切り替える。切替部412は、異常判定部45から出力される切替フラグFlgB2がセットされているとき、q軸電流補正値Iq1_aを出力し、切替フラグFlgB2がセットされていないとき、q軸電流補正値Iq1_aを出力しない。

0039

第2インバータ制御部42について言及しておくと、補正電流演算部421は、異常判定部45にて特定された第1系統101の短絡箇所に応じ、モータ80の逆起電力により生じるトルクリップルを補正するq軸電流補正値Iq2_aを演算する。
切替部422は、q軸電流補正値Iq2_aを出力するか否かを切り替える。切替部422は、異常判定部45から出力される切替フラグFlgB1がセットされているとき、q軸電流補正値Iq2_aを出力する。切替フラグFlgB1がセットされていないとき、q軸電流補正値Iq2_aを出力しない。
補正電流演算部411、421および切替部412、422における処理の詳細は、後述する。

0040

補正部413は、q軸電流指令値Iq1*を、切替部412から出力される電流補正値Iq1_aで補正する。なお、電流補正値Iq1_aが出力されない場合、q軸電流補正値Iq1_aを0とみなす。すなわち、この場合、q軸電流指令値Iq1*は補正されず、q軸電流指令値Iq1*を補正後q軸電流指令値Iq**とする。本実施形態では、補正部413は加算器であって、q軸電流指令値Iq1*にq軸電流補正値Iq1_aを加算し、補正後q軸電流指令値Iq1**を演算する。
d軸減算器414は、d軸電流指令値Id1*とフィードバックされるd軸電流検出値Id1との偏差であるd軸電流偏差ΔId1を演算する。
q軸減算器415は、補正後q軸電流指令値Iq1**とフィードバックされるq軸電流検出値Iq1との偏差であるq軸電流偏差ΔIq1を演算する。

0041

制御器416は、電流偏差ΔId1、ΔIq1が0に収束するよう、PI演算等により、d軸電圧指令値Vd1*およびq軸電圧指令値Vq1*を演算する。
2相3相変換部417は、電気角θeに基づき、d軸電圧指令値Vd1*およびq軸電圧指令値Vq1*を逆dq変換し、U1電圧指令値Vu1*、V1電圧指令値Vv1*、および、W1電圧指令値Vw1*を演算する。
デューティ演算部418は、電圧指令値Vu1*、Vv1*、Vw1*に基づき、変調処理等を行い、デューティ指令値Du1、Dv1、Dw1を演算する。

0042

信号生成部419は、デューティ指令値Du1に基づき、三角波比較等により、U1上アーム素子121のオンオフ指令するU1上駆動信号U1_H、および、U1下アーム素子124のオンオフを指令するU1下駆動信号U1_Lを生成する。
信号生成部419は、デューティ指令値Dv1に基づき、三角波比較等により、V1上アーム素子122のオンオフを指令するV1上駆動信号V1_H、および、V1下アーム素子125のオンオフを指令するV1下駆動信号V1_Lを生成する。

0043

信号生成部419は、デューティ指令値Dw1に基づき、三角波比較等により、W1上アーム素子123のオンオフを指令するW1上駆動信号W1_H、および、W1下アーム素子126のオンオフを指令するW1下駆動信号W1_Lを生成する。
第2インバータ制御部42においても同様の処理が行われ、U2上駆動信号U2_H、U2下駆動信号U2_L、V2上駆動信号V2_H、V2下駆動信号V2_L、W2上駆動信号W2_H、W2下駆動信号W2_Lが生成される。
生成された駆動信号に基づいて第1インバータ120および第2インバータ220を制御することでモータ80の駆動が制御される。

0044

リレー制御部43は、リレー181、182、281、282のオンオフ作動を制御する。本実施形態では、異常フラグFlgA1がセットされているとき、リレー181、182をオフし、異常フラグFlgA2がセットされているとき、リレー281、282をオフする。

0045

異常判定部45は、各相電流Iu1、Iv1、Iw1、Iu2、Iv2、Iw2に基づき、第1系統101または第2系統201に異常が生じているか否かを判定する。例えば、Iu1、Iv1、Iw1の3相和が0でない場合、すなわち、Iu1+Iv1+Iw1≠0のとき、第1系統101に異常が生じていると判定することができる。同様に、Iu2、Iv2、Iw2の3相和が0でない場合、すなわち、Iu2+Iv2+Iw2≠0のとき、第2系統201に異常が生じていると判定することができる。
以下適宜、異常が生じている系統を異常系統、正常である系統を正常系統とする。

0046

第1系統101に異常が生じており、第2系統201が正常である場合、正常である第2系統201にてモータ80の駆動を継続する。
第1系統101に異常が生じている場合、異常判定部45は、異常フラグFlgA1を信号生成部419に出力する。信号生成部419は、第1インバータ120の駆動に係る駆動信号U1_H、U1_L、V1_H、V1_L、W1_H、W1_Lをオフ指令とし、第1インバータ120の全てのSW素子121〜126をオフにする。
また、異常判定部45は、異常フラグFlgA1をリレー制御部43に出力する。リレー制御部43は、リレー181、182をオフにする。

0047

第1系統101が正常であり、第2系統201に異常が生じている場合、正常である第1系統101にてモータ80の駆動を継続する。
第2系統201に異常が生じている場合、異常判定部45は、異常フラグFlgA2を信号生成部429に出力する。信号生成部429は、第2インバータ220の駆動に係る駆動信号U2_H、U2_L、V2_H、V2_L、W2_H、W2_Lをオフ指令とし、第2インバータ220の全SW素子221〜226をオフにする。
また、異常判定部45は、異常フラグFlgA2をリレー制御部43に出力する。リレー制御部43は、リレー281、282をオフにする。

0048

以下、短絡異常について説明する。U1コイル811と、第1正側母線116または第1負側母線117とが短絡する異常を、U1短絡異常とする。U1短絡異常には、U1コイル811が第1正側母線116と短絡するU1天絡異常、および、U1コイル811と第1負側母線117とが短絡するU1地絡異常が含まれる。

0049

U1天絡異常には、U1コイル811自体が第1正側母線116と短絡する場合、および、U1上アーム素子121にショート故障が生じている場合が含まれる。U1上アーム素子121のショート故障には、素子自体がショートしている場合、および、駆動信号U1_Hが異常である場合が含まれる。
U1地絡異常には、U1コイル811自体が第1負側母線117と短絡する場合、および、U1下アーム素子124にショート故障が生じている場合が含まれる。U1下アーム素子124のショート故障には、素子自体がショートしている場合、および、駆動信号U1_Lの異常である場合が含まれる。

0050

V1コイル812と、第1正側母線116または第1負側母線117との間の電流を遮断できなくなる異常を、V1短絡異常とする。V1短絡異常には、V1天絡異常、および、V1地絡異常が含まれる。
W1コイル813と、第1正側母線116または第1負側母線117との間の電流を遮断できなくなる異常を、W1短絡異常とする。W1短絡異常には、W1天絡異常、および、W1地絡異常が含まれる。
V相、W相の天絡異常、地絡異常の詳細は、U相の天絡異常、地絡異常と同様である。
また、第2系統201側における各相の短絡異常についても同様であるので、説明を省略する。

0051

第1系統101にて短絡異常が生じている状態にて、第2系統201を用いてモータ80の駆動を継続すると、逆起電力による還流電流が生じ、トルクリップルが発生する。
同様に、第2系統201にて短絡異常が生じている状態にて、第1系統101を用いてモータ80の駆動を継続すると、逆起電力による還流電流が生じ、トルクリップルが発生する。

0052

本実施形態では、異常判定部45は、天絡異常または地絡異常が生じている相を、モータ80が回転している状態における異常系統の端子電圧に基づいて特定する。また、短絡箇所に応じたトルクリップル分を正常系統側で補償することで、片系統駆動時における逆起電力に起因するトルクリップルを低減している。

0053

本実施形態における異常判定処理を図6に示すフローチャートに基づいて説明する。図中、第1系統101を「系統1」、第2系統201を「系統2」と記載する。ここでは、第1系統101および第2系統201の少なくとも一方が正常であるものとする。なお、第1系統101および第2系統202が共に異常である場合、リレー部180、280をオフし、モータ80を停止する。また、ここでは、リレー部180、280が正常であることを前提とする。リレー部180、280の異常は、別途の処理にて監視されるものとする。

0054

最初のステップS11では、異常判定部45は、第1系統101が異常であるか否かを判断する。以下、ステップS11の「ステップ」を省略し、単に記号「S」と記す。他のステップについても同様である。第1系統101が正常であると判断された場合(S11:NO)、S21へ移行する。第1系統101が異常であると判断された場合(S11:YES)、S12へ移行する。

0055

第1系統101が異常であり、第2系統201が正常である場合に移行するS12では、異常判定部45は、異常フラグFlgA1をセットし、信号生成部419、および、リレー制御部43に出力する。
S13では、リレー制御部43は、リレー181、182をオフし、バッテリ5から第1インバータ120側への電力供給を停止する。また、信号生成部419は、第1インバータ120の全てのSW素子121〜126をオフすべく、駆動信号U1_H、U1_L、V1_H、V1_L、W1_H、W1_Lをオフ指令とする。図中では、駆動信号U1_H、U1_L、V1_H、V1_L、W1_H、W1_Lを、「(U,V,W)1_(H,L)」と記載した。

0056

S14では、異常判定部45は、リレー181、182をオフしてから、待機時間Tsが経過したか否かを判断する。待機時間Tsは、第1コンデンサ170の放電により、第1コンデンサ電圧Vc1が異常判定可能な上限電圧まで低下するのに要する時間とする。なお、リレー181、182をオフしてからの経過時間に替えて、第1コンデンサ電圧Vc1に基づき、第1コンデンサ電圧Vc1が上限電圧以下となった場合に肯定判断するようにしてもよい。リレー181、182をオフしてから、待機時間Tsが経過していないと判断された場合(S14:NO)、すなわち第1コンデンサ電圧Vc1が異常判定可能な上限電圧より高いと推定される場合、この判断処理を繰り返す。リレー181、182をオフしてから、待機時間Tsが経過したと判断された場合(S14:YES)、すなわち第1コンデンサ電圧Vc1が異常判定可能な上限電圧以下と推定される場合、S15へ移行する。

0057

S15では、異常判定部45は、第1系統101の短絡箇所特定処理を行う。短絡相が1相である場合、切替フラグFlgB1がセットされる。また、短絡相が特定されていない、或いは、短絡相が複数特定された場合、切替フラグFlgB1はセットされない。短絡箇所特定処理の詳細は、図7に示すサブフローに基づいて後述する。
短絡箇所特定処理終了後に移行するS16では、異常判定部45は、切替フラグFlgB1がセットされているか否かを判断する。切替フラグFlgB1がセットされていないと判断された場合(S16:NO)、S15に戻り、短絡箇所特定処理を繰り返す。切替フラグFlgB1がセットされていると判断された場合(S16:NO)、S17へ移行する。

0058

S17では、正常である第2系統201にて、第1系統101の異常箇所に応じたトルクリップルを補償するトルク補償を行う。詳細には、切替部422は、補正電流演算部421にて演算されるq軸電流補正値Iq2_aを出力する。
q軸電流補正値Iq2_aは、補正電流演算部421にて、第1電気角θ1に基づき、第1系統101の異常箇所に応じたマップを用いて演算される。q軸電流補正値Iq2_aの演算に用いるマップを図8に示す。図8(a)はU1天絡異常時、(b)はV1天絡異常時、(c)はW1天絡異常時、(d)はU1地絡異常時、(e)はV1地絡異常時、(f)はW1地絡異常時であって、正回転時のq軸電流補正値Iq2_aを示す。負回転時は、−1を乗じ、正負を反対にした値とする。
図中の「θn」のnは「1」または「2」であって、第1電気角θ1または第2電気角θ2であることを意味する。また、図8では、q軸d電流補正値Iqn_aを、単に「補正値」と記載した。

0059

図6に戻り、第1系統101が正常であると判断された場合(S11:NO)に移行するS21では、第2系統201が異常であるか否かを判断する。第2系統202が正常であると判断された場合(S21:NO)、S11に戻る。すなわち、第1系統101および第2系統201が共に正常である場合、S11およびS21の判断処理を繰り返すことになる。第2系統201が異常であると判断された場合(S21:YES)、S22へ移行する。

0060

S22〜S27の処理は、S12〜S17の処理と対応しているため、適宜説明を省略する。
第2系統201が異常であり、第1系統101が正常である場合に移行するS22では、異常判定部45は、異常フラグFlgA2をセットし、信号生成部419およびリレー制御部43に出力する。

0061

S23では、リレー制御部43は、リレー281、282をオフし、バッテリ5から第2インバータ220側への電力供給を停止する。また、信号生成部429は、駆動信号U2_H、U2_L、V2_H、V2_L、W2_H、W2_Lをオフ指令とする。図中では、駆動信号U2_H、U2_L、V2_H、V2_L、W2_H、W2_Lを、「(U,V,W)2_(H,L)」と記載した。

0062

S24では、異常判定部45は、待機時間Tsが経過したか否かを判断する。待機時間Tsが経過していないと判断された場合(S24:NO)、この判断処理を繰り返す。待機時間Tsが経過したと判断された場合(S24:YES)、S25へ移行する。
S25では、異常判定部45は、第2系統201の短絡箇所特定処理を行う。短絡相が1相である場合、切替フラグFlgB2がセットされる。また、短絡相が特定されていない、或いは、短絡相が複数特定された場合、切替フラグFlgB2はセットされない。

0063

短絡箇所特定処理終了後に移行するS26では、異常判定部45は、切替フラグFlgB2がセットされているか否かを判断する。切替フラグFlgB2がセットされていないと判断された場合(S26:NO)、短絡箇所特定処理を繰り返す。切替フラグFlgB2がセットされていると判断された場合(S26:YES)、S27へ移行する。

0064

S27では、正常である第1系統101にて、第2系統201の異常箇所に応じたトルクリップルを補償するトルク補償を行う。詳細には、切替部412は、補正電流演算部411にて演算されるq軸電流補正値Iq1_aを出力する。
q軸電流補正値Iq1_aは、補正電流演算部411にて、第2電気角θ2に基づき、第2系統201の異常箇所に応じたマップ(図8参照)を用いて演算される。

0065

短絡箇所特定処理に係るサブフローを図7に示す。S15では、n=1とし、後述の第1端子電圧平均値Vt1に基づき、第1系統101の短絡箇所を特定する。S25では、n=2とし、後述の第2端子電圧平均値Vt2に基づき、第2系統201の短絡箇所を特定する。
以下、第1系統101の短絡箇所特定を中心に説明する。なお、第2系統201の短絡箇所特定は、第1端子電圧平均値Vt1に替えて第2端子電圧平均値Vt2を用い、第1電気角θ1に替えて第2電気角θ2を用いる。

0066

S501では、モータ80が一定回転しているか否かを判断する。本実施形態では、モータ80の回転数所定範囲内である状態が所定時間以上継続されている場合、モータ80が一定回転しており、判定可能条件を満たしているものとする。モータ80の回転数に係る「所定範囲」は、適宜設定可能であり、例えば500[rpm]以上、1000[rpm]以下とする。継続時間についても適宜設定可能である。モータ80が一定回転していると判断された場合(S501:YES)、S503へ移行する。モータ80が一定回転していないと判断された場合(S501:NO)、S502へ移行する。
S502では、短絡箇所判定に係る各カウンタリセットし、メインフローに戻る。

0067

モータ80が一定回転していると判断された場合(S501:YES)に移行するS503では、異常判定部45は、端子電圧Vu1、Vv1、Vw1の平均値である第1端子電圧平均値Vt1を演算する。第1端子電圧平均値Vt1は、式(3−1)で演算される。式(3−1)は、抵抗142、143、145、146、148、149の抵抗値が等しい場合の例である。端子電圧検出値Vu1_d、Vv1_d、Vw1_dに乗じる係数は、抵抗値に応じて適宜設定される。式(3−2)も同様である。
Vt1=(Vu1+Vv1+Vw1)/3
=(Vu1_d×2+Vv1_d×2+Vw1_d×2)/3
・・・(3−1)

0068

第2系統201の短絡箇所を特定する場合、異常判定部45は、第2端子電圧平均値Vt2を演算する。第2端子電圧平均値Vt2は、式(3−2)で演算される。
Vt2=(Vu2+Vv2+Vw2)/3
=(Vu2_d×2+Vv2_d×2+Vw2_d×2)/3
・・・(3−2)

0069

補足として、第1系統101の短絡箇所を特定する場合、リレー部180がオフであり、かつ、SW素子121〜126はオフ指令となっているため、端子電圧Vu1、Vv1、Vw1は、モータ80の回転によって生じる逆起電力に起因する。また、第2系統201の短絡を特定する場合、SW素子221〜226はオフ指令となっているため、端子電圧Vu2、Vv2、Vw2は、モータ80の回転によって生じる逆起電力に起因する。

0070

S504では、異常判定部45は、第1電気角θ1がU相地絡判定範囲内である場合、U相地絡判定を行う。モータ80の正回転時におけるU相地絡判定範囲は、240≦θ1≦300であり、モータ80の負回転時におけるU相地絡判定範囲は、60≦θ1≦120である。地絡判定範囲は、第1巻線組810の相配置や、電気角の定義に応じ、適宜設定される。天絡判定範囲についても同様である。

0071

異常判定部45は、第1電気角θ1がU相地絡判定範囲内である場合の第1端子電圧平均値Vt1が、地絡判定閾値Vth_g以下である場合、U相が地絡しているとみなす。地絡判定閾値Vth_gは、検出誤差等を考慮し、0に近い任意の所定値(例えば0.3[V])に設定される。なお、第1電気角θ1がU相地絡判定範囲外である場合、U相の地絡判定を行わない。V相、W相の地絡についても同様である。

0072

U相が地絡していない場合、または、地絡判定を行わない場合(S504:NO)、S506へ移行する。U相が地絡していると判断された場合(S504:YES)、S505へ移行する。
S505では、異常判定部45は、U相地絡カウンタU1_gをインクリメントする。

0073

S506では、異常判定部45は、第1電気角θ1がU相天絡判定範囲内である場合、U相天絡判定を行う。モータ80の正回転時におけるU相天絡判定範囲は、60≦θ1≦120であり、モータ80の負回転時におけるU相天絡判定範囲は、240≦θ1≦300である。

0074

異常判定部45は、第1電気角θ1がU相天絡判定範囲内である場合の第1端子電圧平均値Vt1が、天絡判定閾値Vth_p以上である場合、U相が天絡しているとみなす。天絡判定閾値Vth_pは、検出誤差等を考慮し、第1コンデンサ電圧Vc1に近い値となるように、第1コンデンサ電圧Vc1に応じて、適宜設定される。本実施形態では、天絡判定閾値Vth_pは、第1コンデンサ電圧Vc1に所定の係数(例えば0.9)を乗じた値とする。なお、第2系統202の短絡箇所を特定する場合、第1コンデンサ電圧Vc1に替えて、第2コンデンサ電圧Vc2を用いる。なお、第1電気角θ1がU相天絡判定範囲外である場合、U相の天絡判定を行わない。V相、W相の天絡についても同様である。

0075

U相が天絡していない場合、または、天絡判定を行わない場合(S506:NO)、S508へ移行する。U相が天絡していると判断された場合(S504:YES)、S507へ移行する。
S507では、異常判定部45は、U相天絡カウンタU1_pをインクリメントする。

0076

S508では、異常判定部45は、第1電気角θ1がV相地絡判定範囲内である場合、V相地絡判定を行う。モータ80の正回転時におけるV相地絡判定範囲は、0≦θ1≦60であり、モータ80の負回転時におけるV相地絡判定範囲は、180≦θ1≦240である。
異常判定部45は、第1電気角θ1がV相地絡判定範囲内である場合の第1端子電圧平均値Vt1が、地絡判定閾値Vth_g以下である場合、V相が地絡しているとみなす。

0077

V相が地絡していない場合、または、地絡判定を行わない場合(S508:NO)、S510へ移行する。V相が地絡していると判断された場合(S508:YES)、S509へ移行する。
S509では、異常判定部45は、V相地絡カウンタV1_gをインクリメントする。

0078

S510では、異常判定部45は、第1電気角θ1がV相天絡判定範囲内である場合、V相天絡判定を行う。モータ80の正回転時におけるV相天絡判定範囲は、180≦θ1≦240であり、モータ80の負回転時におけるV相天絡判定範囲は、0≦θ1≦60である。
異常判定部45は、第1電気角θ1がV相天絡判定範囲内である場合の第1端子電圧平均値Vt1が、天絡判定閾値Vth_p以上である場合、V相が天絡しているとみなす。

0079

V相が天絡していない場合、または、天絡判定を行わない場合(S510:NO)、S512へ移行する。V相が天絡していると判断された場合(S510:YES)、S511へ移行する。
S511では、異常判定部45は、V相天絡カウンタV1_pをインクリメントする。

0080

S512では、異常判定部45は、第1電気角θ1がW相地絡判定範囲内である場合、W相地絡判定を行う。モータ80の正回転時におけるW相地絡判定範囲は、120≦θ1≦180であり、モータ80の負回転時におけるW相地絡判定範囲は、300≦θ1≦360である。
異常判定部45は、第1電気角θ1がW相地絡判定範囲内である場合の第1端子電圧平均値Vt1が、地絡判定閾値Vth_g以下である場合、W相が地絡しているとみなす。

0081

W相が地絡していない場合、または、地絡判定を行わない場合(S512:NO)、S514へ移行する。W相が地絡していると判断された場合(S512:YES)、S513へ移行する。
S513では、異常判定部45は、W相地絡カウンタW1_gをインクリメントする。

0082

S514では、異常判定部45は、第1電気角θ1がW相天絡判定範囲内である場合、W相天絡判定を行う。モータ80の正回転時におけるW相天絡判定範囲は、300≦θ1≦360であり、モータ80の負回転時におけるW相天絡判定範囲は、120≦θ1≦180である。
異常判定部45は、第1電気角θ1がW相天絡判定範囲内である場合の第1端子電圧平均値Vt1が、天絡判定閾値Vth_p以上である場合、W相が天絡しているとみなす。

0083

W相が天絡していない場合、または、天絡判定を行わない場合(S514:NO)、S516へ移行する。W相が天絡していると判断された場合(S514:YES)、S515へ移行する。
S515では、異常判定部45は、W相天絡カウンタW1_pをインクリメントする。
なお、図7では、S504〜S515において、U相地絡、U相天絡、V相地絡、V相天絡、W相地絡、W相天絡の順で判定しているが、判定順は問わず、順番入れ替えても差し支えない。

0084

S516では、異常判定部45は、カウント値Cが異常確定値Cdより大きいカウンタが、複数か否かを判断する。カウント値Cが異常確定値Cdより大きい地絡カウンタまたは天絡カウンタが、複数であると判断された場合(S516:YES)、切替フラグFlgB1をセットせず、短絡箇所特定処理を終了する。すなわち、複数のカウンタにおいてカウント値Cが異常確定値Cdより大きく、複数相が短絡相として特定された場合、該当箇所の短絡ではなく、他の異常、例えば、端子電圧検出部の高電位側の分圧抵抗のショートや、プルアップ抵抗のショート等、の虞がある。そのため、他の異常であるにも関わらず、複数相の短絡しているものとしてトルク補償を行うと、トルクリップルをより増大させてしまう虞がある。したがって本実施形態では、複数相が短絡相として特定された場合、トルク補償を行わないようにすることで、トルクリップルの増大を防いでいる。
カウント値Cが異常確定値Cdより大きいカウンタが、1以下であると判断された場合(S516:NO)、S517へ移行する。

0085

S517では、異常判定部45は、カウント値Cが異常確定値Cdより大きい地絡カウンタまたは天絡カウンタが1つであるか否かを判断する。カウント値Cが異常確定値Cdより大きい地絡カウンタまたは天絡カウンタがないと判断された場合(S517:NO)、切替フラグFlgB1をセットせず、短絡箇所特定処理を終了する。カウント値Cが異常確定値Cdより大きい地絡カウンタまたは天絡カウンタが1つであると判断された場合(S517:YES)、S518へ移行する。

0086

S518では、異常判定部45は、カウント値Cが異常確定値Cdより大きい地絡カウンタまたは天絡カウンタに対応する箇所に、短絡異常が生じていると確定する。例えば、U相地絡カウンタU1_gのカウント値Cが異常確定値Cdより大きい場合、第1系統101のU相が地絡していると特定する。換言すると、異常判定部45は、U相地絡カウンタU1_gのカウント値Cが異常確定値Cdより大きい場合、短絡相が第1系統101のU相であり、短絡状態が地絡であると特定する。また、U相天絡カウンタU1_pのカウント値Cが異常確定値Cdより大きい場合、第1系統101のU相が天絡していると特定する。換言すると、異常判定部45は、U相天絡カウンタU1_pのカウント値Cが異常確定値Cdより大きい場合、短絡相が第1系統101のU相であり、短絡状態が天絡であると特定する。他相の天絡、地絡についても同様である。
また、異常判定部45は、特定された短絡箇所に係る情報を、補正電流演算部421に出力する。さらにまた、異常判定部45は、切替フラグFlgB1を、切替部422に出力する。

0087

ここで、第1系統101に異常が生じ、第2系統201を用いた片系統駆動によりモータ80を正回転させる場合のシミュレーション結果を、図9図11に示す。図9図11では、いずれも、横軸を第1電気角θ1とし、(a)に第1コンデンサ電圧Vc1、および、第1端子電圧平均値Vt1を示し、(b)に各相の端子電圧Vu1、Vv1、Vw1を示す。

0088

図9は、第1系統101に、短絡異常以外の異常(例えばオープン故障)が生じている場合の例である。第1系統101に生じている異常が短絡異常以外であれば、駆動信号U1_H、U1_L、V1_H、V1_L、W1_H、W1_Lをオフ指令とすることで、モータ80の回転により生じる逆起電力による電流が第1インバータ120側に流れない。そのため、図9(a)に示すように、第1系統101に短絡異常が生じておらず、第2系統201にて片側駆動する場合の第1端子電圧平均値Vt1は、第1電気角θ1によらず、地絡判定閾値Vth_gより大きく、天絡判定閾値Vth_pより小さい範囲となる。
また、本実施形態では、第1系統101の異常が短絡異常以外であって、第2系統201にて片系統駆動する場合、トルクリップル分を補償するトルク補償を行わない。

0089

図10は、第1系統101において、W相の地絡異常が生じている場合の例である。図10(a)に示すように、第1系統101にてW相の地絡異常が生じている場合、W相地絡判定範囲である120≦θ1≦180を含む角度範囲Rw_gにおいて、端子電圧平均値Vt1が地絡判定閾値Vth_g以下となる。また、U相およびV相の地絡判定範囲の端子電圧平均値Vt1は、地絡判定閾値Vth_gより大きい。これにより、地絡異常が生じている相を適切に特定することができる。

0090

図11は、第1系統101において、W相の天絡異常が生じている場合の例である。図11(a)に示すように、第1系統101にてW相の天絡異常が生じている場合、W相天絡判定範囲である300≦θ1≦360を含む角度範囲Rw_pにおいて、端子電圧平均値Vt1が天絡判定閾値Vth_p以上となる。また、U相およびV相の天絡判定範囲の端子電圧平均値Vt1は、天絡判定閾値Vth_pより小さい。これにより、天絡異常が生じている相を適切に特定することができる。

0091

なお、ここでは、W相が天絡または地絡している例を図示しているが、U相、V相の天絡、地絡については、位相が異なる点を除いてW相の天絡、地絡と同様であるので、説明を省略する。また、第2系統201において異常が生じた場合、第1電気角θ1に替えて、第2電気角θ2とし、第1端子電圧平均値Vt1に替えて第2端子電圧平均値Vt2を用いることで、同様に地絡異常および天絡異常が生じている相を適切に特定することができる。

0092

以上説明したように、本実施形態のモータ制御装置1は、複数の巻線組810、820を有するモータ80を制御する。巻線組810、820は、それぞれ、複数相のコイル811〜813、821〜823を含む。
モータ制御装置1は、インバータ120、220と、電源リレー部180、280と、端子電圧検出部140、240と、制御部40と、を備える。
インバータ120、220は、巻線組810、820ごとに設けられ、モータ80の電力を変換する。

0093

電源リレー部180、280は、インバータ120、220ごとに対応して設けられ、バッテリ5から対応するインバータ120、220への電力供給を遮断可能である。すなわち、第1電源リレー部180は、バッテリ5から第1インバータ120への電力供給を遮断可能であり、第2電源リレー部280は、バッテリ5から第2インバータ220への電力供給を遮断可能である。
端子電圧検出部140、240は、コイル811〜813、821〜823の端子電圧Vu1、Vv1、Vw1、Vu2、Vv2、Vw2を検出する。

0094

制御部40は、インバータ制御部41、42、リレー制御部43、および、異常判定部45を有する。
インバータ制御部41、42は、インバータ120、220を制御する。詳細には、第1インバータ制御部41が第1インバータ120のSW素子121〜126のオンオフ作動を制御し、第2インバータ制御部42が第2インバータ220のSW素子221〜226のオンオフ作動を制御する。
リレー制御部43は、電源リレー部180、280を制御する。
異常判定部45は、インバータ120、220、および、巻線組810、820の異常を判定する。

0095

本実施形態では、対応する巻線組810、820と、インバータ120、220との組み合わせを「系統」とする。すなわち、対応する第1巻線組810と第1インバータ120との組み合わせを第1系統101とし、第2巻線組820と第2インバータ220との組み合わせを第2系統201とする。また、異常が生じている系統を異常系統、正常である系統を正常系統とする。以下、第1系統101が異常系統であり、第2系統201が正常系統であるのものとして説明する。

0096

正常系統である第2系統201を用いてモータ80を駆動しているとき、リレー制御部43は、バッテリ5から異常系統である第1系統101の第1インバータ120への電力供給を遮断するように、第1電源リレー部180を制御する。
また、異常判定部45は、第1系統101の端子電圧Vu1、Vv1、Vw1に基づき、短絡箇所を特定する。ここで、「短絡箇所を特定する」とは、短絡相を特定するとともに、短絡相が地絡しているか天絡しているかを特定することを意味する。
第2インバータ制御部42は、短絡箇所に応じ、正常系統である第2系統202の第2インバータ220の制御に係る指令値を補正する。本実施形態では、第2インバータ制御部42は、q軸電流指令値Iq2*を補正する。

0097

本実施形態では、異常系統である第1系統101の電源リレー部180によりバッテリ5から第1インバータ120への電力供給を遮断した状態にて、モータ80の逆起電力により発生する端子電圧Vu1、Vv1、Vw1に基づき、短絡箇所を特定している。これにより、モータ80が回転している状態にて、短絡箇所を適切に特定することができる。
また、短絡相に流れる電流により生じるトルクが補償されるように、短絡箇所に応じてq軸電流指令値Iq2*が補正される。これにより、逆起電力により短絡相に流れる電流により生じるトルク分が補償されるので、トルクリップルを低減可能である。

0098

端子電圧検出部140、240は、端子電圧Vu1、Vv1、Vw1、Vu2、Vv2、Vw2を相毎に検出する。
異常判定部45は、異常系統である第1系統101の各相の端子電圧Vu1、Vv1、Vw1の平均値である端子電圧平均値Vt1に基づき、短絡箇所を特定する。
これにより、異常系統の端子電圧に基づき、適切に短絡箇所を特定することができる。

0099

異常判定部45は、バッテリ5から異常系統である第1系統101の第1インバータ120への電力供給を遮断してから、所定の待機時間が経過した後、短絡箇所を特定する。これにより、特に天絡異常の誤判定を防ぐことができる。
異常判定部45は、モータ80が一定回転状態であるとき、短絡箇所を特定する。モータ80が一定回転状態ではない場合、コンデンサ電圧Vc1、Vc2が安定していない虞がある。そのて、本実施形態では、モータ80が一定回転状態であるときに判定可能条件を満たすものとし、短絡箇所の特定を行う。これにより、適切に短絡相および短絡状態を特定することができる。

0100

異常系統において、複数相が短絡相として特定された場合、短絡相に流れる電流により生じるトルクに応じた指令値の補正が禁止される。複数相が短絡相として特定される場合、天絡異常または地絡異常ではなく、他の箇所の異常である虞がある。そのため、指令値の補正を禁止することで、補正によるトルクリップルの増大を防ぐ。

0101

電動パワーステアリング装置8は、モータ制御装置1と、運転者による操舵を補助する補助トルクを出力するモータ80と、を備える。
本実施形態のモータ80およびモータ制御装置1は、複数系統からなるので、一方の系統に異常が生じた場合であっても、正常系統を用いた片系統駆動により、モータ80の駆動を継続可能であり、操舵の補助を継続することができる。また、短絡箇所に応じ、正常系統の指令値を補正するので、モータ80のトルクリップルを低減することができる。これにより、正常系統を用いてモータ80の駆動を継続する際に、ステアリングシステム90にて生じる振動騒音を抑制することができる。
なお、第1系統101が異常系統である場合を中心に言及したが、第2系統201が異常系統である場合も同様の効果を奏する。

0102

(第2実施形態)
本発明の第2実施形態を図12図15に基づいて説明する。
図12に示すように、本実施形態の回転電機制御装置としてのモータ制御装置2は、インバータ120、220、擬似中性点生成部160、260、擬似中性点電圧検出部165、265、コンデンサ170、270、コンデンサ電圧検出部175、275、電源リレー部180、280、回転角センサ30、および、制御部40等を備える。すなわち、本実施形態では、端子電圧検出部140、240に替えて、擬似中性点生成部160、260および擬似中性点電圧検出部165、265が設けられている点が、上記実施形態と異なる。

0103

また、本実施形態では、第1巻線組810、および、第1巻線組810に対応して設けられる第1インバータ120等の電子部品を、第1系統102とし、第2巻線組820に対応して設けられる第2インバータ220等の電子部品を、第2系統202とする。
以下、第1実施形態と同様、第1系統102に係る構成を中心に説明する。

0104

第1擬似中性点生成部160は、抵抗161、162、163を有する。抵抗161の一端はU1端子111に接続され、抵抗162の一端はV1端子112に接続され、抵抗163の一端はW1端子113に接続される。抵抗161、162、163の他端は、結線部164で結線される。結線部164を、擬似中性点とする。結線部164は、プルアップ抵抗155を介して、第1正側母線116と接続される。

0105

第1擬似中性点電圧検出部165は、分圧抵抗である抵抗166、167を有し、結線部164と第1負側母線117とに接続される。抵抗166、167の接続点の電圧は、第1擬似中性点電圧Vn1に係る検出値である第1擬似中性点電圧検出値Vn1_dとして、制御部40に出力される。

0106

第1擬似中性点生成部160を構成する抵抗161〜163、プルアップ抵抗155、および、第1擬似中性点電圧検出部165を構成する抵抗166、167の抵抗値は、適宜設定可能である。本実施形態では、抵抗155、161〜163、166の抵抗値は等しく、抵抗155、161〜163、166の抵抗値と、抵抗167との抵抗比は、3:2である。

0107

制御部40は、抵抗166、167の抵抗比に基づいて第1擬似中性点電圧検出値Vn1_dを換算し、第1擬似中性点電圧Vn1を演算する。
すなわち、擬似中性点電圧Vn1は、式(4−1)で表される。また、第2擬似中性点電圧Vn2は、式(4−2)で表される。
Vn1=Vn1_d×{(3+2)/2} ・・・(4−1)
Vn2=Vn2_d×{(3+2)/2} ・・・(4−2)

0108

本実施形態の異常箇所特定処理では、端子電圧平均値Vt1、Vt2に替えて、擬似中性点電圧Vn1、Vn2を用いる。その他の点については、上記実施形態と同様である。
ここで、第1系統102に異常が生じ、第2系統202を用いてモータ80を正回転させる場合のシミュレーション結果を、図13図15に示す。

0109

図13は、第1系統102に短絡異常以外の異常(例えばオープン故障)が生じた場合の例である。第1系統102に生じている異常が短絡異常以外であれば、駆動信号U1_H、U1_L、V1_H、V1_L、W1_H、W1_Lをオフ指令とすることで、モータ80の回転により生じる逆起電力による電流が第1インバータ120側に流れない。そのため、図13に示すように、第1系統102に短絡異常が生じておらず、第2系統202にて片系統駆動する場合の第1擬似中性点電圧Vn1は、第1電気角θ1によらず、地絡判定閾値Vth_gより大きく、天絡判定閾値Vth_pより小さい範囲となる。
また、上記実施形態と同様、第1系統102の異常が短絡異常以外であって、第2系統202にて片系統駆動する場合、トルクリップル分を補償するトルク補償を行わない。

0110

図14は、第1系統102において、W相の地絡異常が生じている場合の例である。図14に示すように、第1系統102にてW相の地絡異常が生じている場合、W相地絡判定範囲である120≦θ1≦180を含む角度範囲Rw_gにおいて、擬似中性点電圧Vn1が地絡判定閾値Vth_g以下となる。また、U相およびV相の地絡判定範囲の第1擬似中性点電圧Vn1は、地絡判定閾値Vth_gより大きい。これにより、地絡異常が生じている相を適切に特定することができる。

0111

図15は、第1系統102において、W相の天絡異常が生じている場合の例である。図15に示すように、第1系統102にてW相の天絡異常が生じている場合、W相地絡判定範囲である300≦θ1≦360を含む角度範囲Rw_pにおいて、擬似中性点電圧Vn1が天絡判定閾値Vth_p以上となる。また、U相およびV相の天絡判定範囲の第1擬似中性点電圧Vn1は、天絡判定閾値Vth_pより小さい。これにより、天絡異常が生じている相を適切に特定することができる。

0112

なお、ここでは、W相が天絡または地絡している例を図示しているが、U相、V相の天絡、地絡については、位相が異なる点を除いてW相の天絡、地絡と同様であるので、説明を省略する。また、第2系統202において異常が生じた場合、第1電気角θ1に替えて、第2電気角θ2とし、第1擬似中性点電圧Vn1に替えて第2擬似中性点電圧Vn2を用いることで、同様に地絡異常および天絡異常が生じている相を適切に特定することができる。

0113

モータ制御装置2は、巻線組810、820ごとに設けられる擬似中性点生成部160、260をさらに備える。
第1擬似中性点生成部160は、一端が相毎にコイル811〜813の端子111〜113に接続され、他端が結線部164で結線される抵抗群である。
第2擬似中性点生成部260は、一端が相毎にコイル821〜823の端子211〜213に接続され、他端が結線部264で結線される抵抗群である。
擬似中性点電圧検出部165、265は、結線部164、264の電圧である擬似中性点電圧Vn1、Vn2を、端子電圧として検出する。すなわち、本実施形態では、擬似中性点電圧検出部165、265が、「端子電圧検出部」に対応する。
このように構成しても、上記実施形態と同様の効果を奏する。また、相毎に端子電圧検出部を設ける場合と比較し、抵抗数を低減可能である。

0114

(他の実施形態)
(ア)指令値
上記実施形態では、上記実施形態では、短絡箇所に応じて補正される指令値は、q軸電流指令値である。他の実施形態では、例えばトルク指令値等、q軸電流指令値以外の指令値を、短絡箇所に応じて補正してもよい。
(イ)電流検出部
上記実施形態では、電流検出素子は、シャント抵抗であって、下アーム素子の低電位側に設けられる。他の実施形態では、電流検出素子は、シャント抵抗に限らず、例えばホールIC等であってもよい。また、他の実施形態では、電流検出素子を、上アーム素子の高電位側、または、巻線組とインバータ部との間等、低電位側SW素子の低電位側以外の箇所に設けてもよい。

0115

(ウ)回転電機
上記実施形態では、巻線組が2組設けられ、これに対応してインバータ部等も2組設けられる。他の実施形態では、巻線組および対応して設けられるインバータは、3組以上であってもよい。この場合、例えば1系統が異常であれば、残りの2系統でトルクリップルを補うように、指令値を補正すればよい。
また、上記実施形態では、第1巻線組と第2巻線組とが、各相の位相が30[deg]ずれて配置される。他の実施形態では、巻線の配置は、どのようであってもよい。また、巻線の配置および電気角の定義に応じ、各相の地絡異常判定範囲および天絡異常判定範囲が設定される。
上記実施形態では、回転電機は、3相のブラシレスモータである。他の実施形態では、回転電機は、3相に限らず、4相以上としてもよい。また、ブラシレスモータに限らず、どのようなモータとしてもよい。また、回転電機は、モータに限らず、発電機であってもよいし、電動機と発電機の機能を併せ持つ、所謂モータジェネレータであってもよい。

0116

上記実施形態では、回転電機は、電動パワーステアリング装置に適用される。他の実施形態では、回転電機駆動装置を電動パワーステアリング装置以外の装置に適用してもよい。
以上、本発明は、上記実施形態になんら限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実施可能である。

0117

1、2・・・モータ制御装置(回転電機制御装置)
40・・・制御部
41、42・・・インバータ制御部
43・・・リレー制御部
45・・・異常判定部
80・・・モータ(回転電機) 810、820・・・巻線組
120、220・・・インバータ
140、240・・・端子電圧検出部
165、265・・・擬似中性点電圧検出部(端子電圧検出部)
180、280・・・電源リレー部

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

関連する公募課題

該当するデータがありません

ページトップへ

技術視点だけで見ていませんか?

この技術の活用可能性がある分野

分野別動向を把握したい方- 事業化視点で見る -

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

  • エドワーズリミテッドの「 誘導電動機制御」が 公開されました。( 2020/09/24)

    【課題・解決手段】誘導電動機を制御する方法、装置及びコンピュータプログラム製品が開示される。本方法は、ロータの回転周波数を初期動作周波数から低い動作周波数に低下させるという指示に応答して、ステータに交... 詳細

  • 三菱電機株式会社の「 誘導モータの動作を制御するモータ駆動装置及び方法」が 公開されました。( 2020/09/24)

    【課題・解決手段】誘導モータの動作を制御するモータ駆動装置が、モータの動作を制御する基準信号を提供する運動コントローラと、モータの変換された状態の動力学を、モータの速度等の変換されたモデルの未知のパラ... 詳細

  • トヨタ自動車株式会社の「 運転支援装置」が 公開されました。( 2020/09/24)

    【課題】 個々のドライバーの運転スタイルに合った運転支援を行うことができるようにする。【解決手段】 運転支援ECU10は、ドライバー固有の操舵操作特性を表すパラメータ(p1,p2,p3,p4)の値... 詳細

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

関連する挑戦したい社会課題一覧

この 技術と関連する公募課題

該当するデータがありません

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ