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技術 圧力損失解析方法,そのプログラム及び圧力損失解析装置

出願人 日本碍子株式会社
発明者 宮入由紀夫坂下俊森和也吉田直樹惣川真吾鈴木健司
出願日 2015年10月13日 (4年5ヶ月経過) 出願番号 2015-202114
公開日 2017年4月20日 (2年10ヶ月経過) 公開番号 2017-075543
状態 特許登録済
技術分野 排気の後処理 内燃機関の複合的制御
主要キーワード 開口流路 解析条件設定 加速係数 メッシュ間 微小要素 各微小要素 解析処理プログラム 透過率α
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (15)

課題

粒子状物質堆積状態をより精度良く模擬して圧力損失解析する。

解決手段

解析装置のCPUは、流体解析を行って、微小時間Δt経過後におけるハニカム構造体の流入側内周面上の粒子層堆積分布を表す過渡分布情報導出する(ステップS130)。そして、CPUは、前回導出された過渡的分布情報を加味した流体解析を行って過渡的分布情報を繰り返し導出し(ステップS130〜S150)、その後の粒子層の堆積分布を表す過渡解析後分布情報を導出する(ステップS160)。

概要

背景

従来、流体流路となる複数のセルを形成する隔壁を有するハニカム構造体が知られている(例えば、特許文献1)。ハニカム構造体は、例えば自動車エンジン等の内燃機関排気ガス浄化に用いられ、排気ガスが通過する際の圧力損失予測することが行われている。例えば特許文献1では、ハニカム構造体の圧力損失を構成する要素を、数値流体解析法によって得られた内部圧力分布により四つの要素に仮想的に分解し、四つの要素のそれぞれにおける圧力損失の予測値加算することで、圧力損失を予測している。特許文献1では、これにより圧力損失を精度良く予測できるとしている。

特許文献1は単純にハニカム構造体のセルの開口流路を流体が通過するだけで、セル隔壁表面にコートされた触媒ガスの接触によりガス中の有害成分を無害化する触媒コンバータの圧力損失予測の手法の例である。この他のハニカム構造体の使用例として、セルの入口と出口を交互に目封止してガスがセル隔壁を通過する構造とし、エンジン排気やその他燃焼装置の排気ガス中の粒子状物質濾過する用途や、 水等の液体中の固形微粒子を濾過する用途にも用いられている。この濾過の用途においては、隔壁に粒子状物質が堆積すると隔壁のガス通過抵抗が増加するので粒子状物質が堆積した状態での圧力損失の予測が重要である。従来の、粒子状物質堆積状態での圧力損失予測手法では、たとえば非特許文献1のように隔壁表面に一様な厚さt(t=M/S、M:粒子状物質総量、S:入口セルの隔壁全表面積)が堆積するとして解析されていた。

概要

粒子状物質の堆積状態をより精度良く模擬して圧力損失を解析する。解析装置のCPUは、流体解析を行って、微小時間Δt経過後におけるハニカム構造体の流入側内周面上の粒子層の堆積分布を表す過渡分布情報導出する(ステップS130)。そして、CPUは、前回導出された過渡的分布情報を加味した流体解析を行って過渡的分布情報を繰り返し導出し(ステップS130〜S150)、その後の粒子層の堆積分布を表す過渡解析後分布情報を導出する(ステップS160)。

目的

本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、粒子状物質の堆積状態をより精度良く模擬して圧力損失を解析することを主目的とする

効果

実績

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牽制数
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請求項1

複数の流入側セルと複数の流出側セルとを形成する多孔質隔壁部を備えたハニカム構造体の内部に流体が流れた際の該ハニカム構造体の圧力損失解析する圧力損失解析方法であって、前記ハニカム構造体を複数のメッシュ模擬した対象物情報に基づいて前記ハニカム構造体の内部に流体が流れた場合の流体解析を行って、前記隔壁部の表面のうち前記流入側セルの内周面である流入側内周面に対応する前記メッシュの各々について、前記流体に含まれる粒子状物質堆積した層である粒子層微小時間経過後における状態を導出することで、該流入側内周面上の該粒子層の堆積分布を表す過渡分布情報を導出する粒子層分布導出処理、を繰り返し行い、且つ、2回目以降の該粒子層分布導出処理では前回の該粒子層分布導出処理で導出された前記過渡的分布情報を加味して前記流体解析を行って、複数回の該粒子層分布導出処理を実行した後の前記堆積分布を表す過渡解析後分布情報を導出する過渡解析ステップと、前記対象物情報及び前記過渡解析後分布情報に基づく流体解析を行って、前記ハニカム構造体の内部に流体が流れた場合の圧力損失を導出する圧力損失導出ステップと、を含む圧力損失解析方法。

請求項2

前記粒子層分布導出処理では、前記流体中の粒子状物質の濃度に関する情報と、該粒子層分布導出処理中の前記流体解析で導出された値であり前記流入側内周面に対応するメッシュの各々に流れ込む該流体の流量に関する情報とに基づいて、前記過渡的分布情報を導出する、請求項1に記載の圧力損失解析方法。

請求項3

前記過渡的分布情報及び前記過渡解析後分布情報は、それぞれ、前記粒子層の厚さの分布,透過率の分布,及び流れ抵抗の分布の少なくともいずれかを含む情報である、請求項1又は2に記載の圧力損失解析方法。

請求項4

前記過渡解析ステップでは、前記流入側内周面に堆積した前記粒子状物質の総量が所定の目標量に達するまで前記粒子層分布導出処理を繰り返し行うか、又は前記微小時間の合計が所定の目標時間に達するまで前記粒子層分布導出処理を繰り返し行うか、の少なくとも一方を行う、請求項1〜3のいずれか1項に記載の圧力損失解析方法。

請求項5

前記対象物情報は、前記流入側内周面のうち他の前記流入側セルの流入側内周面と対向している部分の面積を流入−流入対向面積としたときに、前記流入側内周面の面積に対する前記流入−流入対向面積の割合である面積比Aが15%以上であるハニカム構造体を模擬した情報である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の圧力損失解析方法。

請求項6

請求項1〜5のいずれか1項に記載の圧力損失解析方法の各ステップを1又は複数のコンピューターに実行させるプログラム

請求項7

複数の流入側セルと複数の流出側セルとを形成する多孔質の隔壁部を備えたハニカム構造体の内部に流体が流れた際の該ハニカム構造体の圧力損失を解析する圧力損失解析装置であって、前記ハニカム構造体を複数のメッシュで模擬した対象物情報に基づいて前記ハニカム構造体の内部に流体が流れた場合の流体解析を行って、前記隔壁部の表面のうち前記流入側セルの内周面である流入側内周面に対応する前記メッシュの各々について、前記流体に含まれる粒子状物質が堆積した層である粒子層の微小時間経過後における状態を導出することで、該流入側内周面上の該粒子層の堆積分布を表す過渡的分布情報を導出する粒子層分布導出処理、を繰り返し行い、且つ、2回目以降の該粒子層分布導出処理では前回の該粒子層分布導出処理で導出された前記過渡的分布情報を加味して前記流体解析を行って、複数回の該粒子層分布導出処理を実行した後の前記堆積分布を表す過渡解析後分布情報を導出する過渡解析手段と、前記対象物情報及び前記過渡解析後分布情報に基づく流体解析を行って、前記ハニカム構造体の内部に流体が流れた場合の圧力損失を導出する圧力損失導出手段と、を備えた圧力損失解析装置。

技術分野

0001

本発明は、圧力損失解析方法,そのプログラム及び圧力損失解析装置に関する。

背景技術

0002

従来、流体流路となる複数のセルを形成する隔壁を有するハニカム構造体が知られている(例えば、特許文献1)。ハニカム構造体は、例えば自動車エンジン等の内燃機関排気ガス浄化に用いられ、排気ガスが通過する際の圧力損失を予測することが行われている。例えば特許文献1では、ハニカム構造体の圧力損失を構成する要素を、数値流体解析法によって得られた内部圧力分布により四つの要素に仮想的に分解し、四つの要素のそれぞれにおける圧力損失の予測値加算することで、圧力損失を予測している。特許文献1では、これにより圧力損失を精度良く予測できるとしている。

0003

特許文献1は単純にハニカム構造体のセルの開口流路を流体が通過するだけで、セル隔壁表面にコートされた触媒ガスの接触によりガス中の有害成分を無害化する触媒コンバータの圧力損失予測の手法の例である。この他のハニカム構造体の使用例として、セルの入口と出口を交互に目封止してガスがセル隔壁を通過する構造とし、エンジン排気やその他燃焼装置の排気ガス中の粒子状物質濾過する用途や、 水等の液体中の固形微粒子を濾過する用途にも用いられている。この濾過の用途においては、隔壁に粒子状物質が堆積すると隔壁のガス通過抵抗が増加するので粒子状物質が堆積した状態での圧力損失の予測が重要である。従来の、粒子状物質堆積状態での圧力損失予測手法では、たとえば非特許文献1のように隔壁表面に一様な厚さt(t=M/S、M:粒子状物質総量、S:入口セルの隔壁全表面積)が堆積するとして解析されていた。

0004

特開2005−337086号公報

先行技術

0005

SAETECHNICALPAPERSERIES,2002-01-0322

発明が解決しようとする課題

0006

しかし、特許文献1、及び非特許文献2では、粒子状物質の堆積分布については考慮されておらず、ハニカム構造体の内部を流体が流れる際に、隔壁部のどの部分にどのように粒子状物質が堆積するかを精度良く模擬する手法は知られていなかった。

0007

本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、粒子状物質の堆積状態をより精度良く模擬して圧力損失を解析することを主目的とする。

課題を解決するための手段

0008

本発明は、上述した主目的を達成するために以下の手段を採った。

0009

本発明の圧力損失解析方法は、
複数の流入側セルと複数の流出側セルとを形成する多孔質の隔壁部を備えたハニカム構造体の内部に流体が流れた際の該ハニカム構造体の圧力損失を解析する圧力損失解析方法であって、
前記ハニカム構造体を複数のメッシュで模擬した対象物情報に基づいて前記ハニカム構造体の内部に流体が流れた場合の流体解析を行って、前記隔壁部の表面のうち前記流入側セルの内周面である流入側内周面に対応する前記メッシュの各々について、前記流体に含まれる粒子状物質が堆積した層である粒子層微小時間経過後における状態を導出することで、該流入側内周面上の該粒子層の堆積分布を表す過渡分布情報を導出する粒子層分布導出処理、を繰り返し行い、且つ、2回目以降の該粒子層分布導出処理では前回の該粒子層分布導出処理で導出された前記過渡的分布情報を加味して前記流体解析を行って、複数回の該粒子層分布導出処理を実行した後の前記堆積分布を表す過渡解析後分布情報を導出する過渡解析ステップと、
前記対象物情報及び前記過渡解析後分布情報に基づく流体解析を行って、前記ハニカム構造体の内部に流体が流れた場合の圧力損失を導出する圧力損失導出ステップと、
を含むものである。

0010

この圧力損失解析方法では、流体解析を行って、微小時間経過後におけるハニカム構造体の流入側内周面上の粒子層の堆積分布を表す過渡的分布情報を導出する。そして、前回導出された過渡的分布情報を加味した流体解析を行って過渡的分布情報を繰り返し導出し、その後の粒子層の堆積分布を表す過渡解析後分布情報を導出する。このように微小時間経過後の粒子層の堆積分布の解析を繰り返し行うことで、時間の経過に伴う粒子層の堆積分布の過渡的な変化を精度良く解析できる。そのため、過渡解析後分布情報により、微小時間が複数回経過した後の粒子層の堆積状態(堆積分布)が精度良く模擬される。例えば、どの位置の流入側内周面にも同じように粒子層が堆積した状態(粒子層が均一に分布している状態)を模擬する場合と比べて、実際の粒子層の堆積状態により近い状態を模擬できる。そして、この過渡解析後分布情報に基づいてハニカム構造体の内部に流体が流れた場合の圧力損失を導出するから、粒子状物質の堆積状態をより精度良く模擬して圧力損失を解析することができる。

0011

本発明の圧力損失解析方法において、前記粒子層分布導出処理では、前記流体中の粒子状物質の濃度に関する情報と、該粒子層分布導出処理中の前記流体解析で導出された値であり前記流入側内周面に対応するメッシュの各々に流れ込む該流体の流量に関する情報とに基づいて、前記過渡的分布情報を導出してもよい。ここで、流体中の粒子状物質の濃度が高いほど、そして流入側内周面に流入する流体の流量が多いほど、粒子状物質は多く堆積する。そのため、流体中の粒子状物質の濃度に関する情報と流体の流量に関する情報とを用いることで、過渡的分布情報を適切に導出できる。すなわち粒子層の堆積状態を適切に模擬できる。

0012

本発明の圧力損失解析方法において、前記過渡的分布情報及び前記過渡解析後分布情報は、それぞれ、前記粒子層の厚さの分布,透過率の分布,及び流れ抵抗の分布の少なくともいずれかを含む情報としてもよい。厚さ,透過率,及び流れ抵抗はいずれも粒子層を流体が通過する際の圧力損失に影響する情報であるから、粒子層の堆積分布を表す情報(過渡的分布情報及び過渡解析後分布情報)に適している。

0013

本発明の圧力損失解析方法において、前記過渡解析ステップでは、前記流入側内周面に堆積した前記粒子状物質の総量が所定の目標量に達するまで前記粒子層分布導出処理を繰り返し行うか、又は前記微小時間の合計が所定の目標時間に達するまで前記粒子層分布導出処理を繰り返し行うか、の少なくとも一方を行ってもよい。こうすれば、圧力損失の解析を希望する状態(目標量又は目標時間に達した状態)での粒子層の堆積状態を比較的容易に模擬でき、その状態における圧力損失を容易に導出することができる。

0014

本発明の圧力損失解析方法において、前記対象物情報は、前記流入側内周面のうち他の前記流入側セルの流入側内周面と対向している部分の面積を流入−流入対向面積としたときに、前記流入側内周面の面積に対する前記流入−流入対向面積の割合である面積比Aが15%以上であるハニカム構造体を模擬した情報であってもよい。ここで、粒子状物質を含む流体がハニカム構造体を通過したときに、面積比Aが15%以上であるハニカム構造体では、粒子状物質が流入側内周面に均一に堆積しにくい。そのため、粒子層が均一に分布している状態を模擬して導出された圧力損失の値が、同じ量の粒子状物質を堆積させたハニカム構造体での圧力損失の実測値乖離しやすい。すなわち圧力損失の解析の精度が低くなりやすい。本発明の圧力損失解析方法では、面積比Aが15%以上であるハニカム構造体においても、実測値との乖離が少なく、圧力損失の解析をより精度良く解析できる。そのため、面積比Aが15%以上であるハニカム構造体の圧力損失解析を行う場合に、本発明を適用する意義が高い。

0015

本発明のプログラムは、上述した圧力損失解析方法の各ステップを1又は複数のコンピューターに実行させるものである。このプログラムは、コンピューターが読み取り可能な記録媒体(例えばハードディスク、ROM、FD、CD、又はDVDなど)に記録されていてもよいし、伝送媒体インターネット又はLANなどの通信網)を介してあるコンピューターから別のコンピューターへ配信されてもよいし、その他どのような形で授受されてもよい。このプログラムを1つのコンピューターに実行させるか又は複数のコンピューターに各処理を分担して実行させれば、上述した圧力損失解析方法の各ステップが実行されるため、この方法と同様の作用効果が得られる。

0016

本発明の圧力損失解析装置は、
複数の流入側セルと複数の流出側セルとを形成する多孔質の隔壁部を備えたハニカム構造体の内部に流体が流れた際の該ハニカム構造体の圧力損失を解析する圧力損失解析装置であって、
前記ハニカム構造体を複数のメッシュで模擬した対象物情報に基づいて前記ハニカム構造体の内部に流体が流れた場合の流体解析を行って、前記隔壁部の表面のうち前記流入側セルの内周面である流入側内周面に対応する前記メッシュの各々について、前記流体に含まれる粒子状物質が堆積した層である粒子層の微小時間経過後における状態を導出することで、該流入側内周面上の該粒子層の堆積分布を表す過渡的分布情報を導出する粒子層分布導出処理、を繰り返し行い、且つ、2回目以降の該粒子層分布導出処理では前回の該粒子層分布導出処理で導出された前記過渡的分布情報を加味して前記流体解析を行って、複数回の該粒子層分布導出処理を実行した後の前記堆積分布を表す過渡解析後分布情報を導出する過渡解析手段と、
前記対象物情報及び前記過渡解析後分布情報に基づく流体解析を行って、前記ハニカム構造体の内部に流体が流れた場合の圧力損失を導出する圧力損失導出手段と、
を備えたものである。

0017

この圧力損失解析装置では、上述した圧力損失解析方法と同様に、粒子状物質の堆積状態をより精度良く模擬して圧力損失を解析することができる。なお、この圧力損失解析装置において、上述した圧力損失解析方法の種々の態様を実現するように各手段の動作を追加したり他の手段を追加したりしてもよい。

図面の簡単な説明

0018

解析装置10の概略を示す構成図。
ハニカム構造体20の構成の概略の一例を示す説明図。
ハニカム構造体20の隔壁部22及びセル32の説明図。
対象物情報19で模擬されるハニカム構造体20のモデル21の概念図。
解析処理ルーチンの一例を示すフローチャート
過渡解析後分布情報で表される粒子層40の堆積分布の一例を示す概念図。
粒子層40が均一に分布している状態の一例を示す概念図。
変形例のハニカム構造体の流入側セル33と流出側セル34を示す断面図。
変形例のハニカム構造体の流入側セル33と流出側セル34を示す断面図。
変形例のハニカム構造体のセル構造を示す断面図。
変形例のハニカム構造体のセル構造を示す断面図。
変形例のハニカム構造体のセル構造を示す断面図。
変形例のハニカム構造体のセル構造を示す断面図。
変形例のハニカム構造体のセル構造を示す断面図。

0019

次に、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。図1は、本発明の一実施形態である解析装置10の概略を示す構成図である。この解析装置10は、パソコンなどのコンピューターとして構成され、コントローラー11と、HDD15とを備えている。コントローラー11は、各種処理を実行するCPU12、各種処理プログラムなどを記憶するROM13、データを一時的に記憶するRAM14などを備えている。HDD15は、解析処理プログラムなどの各種処理プログラムや解析処理に用いる各種データを記憶する大容量メモリである。なお、解析装置10は、各種情報画面表示するディスプレイ16やユーザーが各種指令を入力するマウスキーボード等の入力装置17を備えている。詳細は後述するが、HDD15には、解析の対象物を模擬した情報である対象物情報19などが記憶されている。この解析装置10は、HDD15に記憶された対象物情報19などに基づいて、対象物情報19で模擬される対象物の内部に流体が流れた際の圧力損失を解析する。

0020

ここで、解析装置10が解析する対象物について説明する。図2は、解析の対象物の一例であるハニカム構造体20の構成の概略の一例を示す説明図である。図3は、ハニカム構造体20の隔壁部22及びセル32の説明図である。なお、本実施形態において、上下方向及び前後方向は、図2に示した通りとする。また、上下方向及び前後方向に垂直な方向を左右方向とする(図3参照)。また、右方向をX方向(X軸の正方向)とし、上方向をY方向(Y軸の正方向)とし、後方向をZ方向(Z軸の正方向)とする。ハニカム構造体20は、例えば、ディーゼルエンジン排ガス中の粒子状物質(パティキュレートマター(PM))をろ過する機能を持つディーゼル・パティキュレート・フィルタDPF)として用いられる。

0021

ハニカム構造体20は、図2に示すように、流体(排ガス)の流路となる複数のセル32を形成する多孔質の隔壁部22と、セル32の端部を目封止する前側目封止部37及び後側目封止部38と、を備えている。このハニカム構造体20の外形は、特に限定されないが、円柱状、四角柱状、楕円柱状、六角柱状などの形状とすることができる。本実施形態では円柱状とした。隔壁部22は、図3に示すように、複数のセル32として複数の流入側セル33及び複数の流出側セル34を形成している。流入側セル33は、断面形状が六角形状であり、一方(前端面27側)の端部が開口され且つ他方(後端面28側)の端部が後側目封止部38により目封止されている。流出側セル34は、断面形状が四角形状であり、一方の端部が前側目封止部37により目封止され且つ他方の端部が開口されている。隔壁部22の表面のうち流入側セル33の内周面を流入側内周面23と称する。隔壁部22の表面のうち流出側セル34の内周面を流出側内周面24と称する。流入側セル33は流出側セル34の上下左右に隣接して位置しており、流入側内周面23のうちX方向に平行な面及びY方向に平行な面が流出側内周面24と対向している。また、複数の流入側セル33は、流入側内周面23のうちX方向及びY方向から傾斜した面が互いに対向している。このように、流入側内周面23のうち他の流入側セル33の流入側内周面23と対向している(流出側内周面24と対向していない)部分を、流入−流入対向面23aと称する。図3右側の拡大図では、中央の流入側セル33の流入側内周面23のうち、流入−流入対向面23aを太線で示している。このハニカム構造体20では、前方から流体が流れると、入口側(前端面27)から流入側セル33内に流体が流入し、流入側セル33から隔壁部22を通過して流出側セル34内に流体が流入し、流出側セル34の出口側(後端面28)から流体が後方に流出する。なお、図3右側の拡大図に矢印で示したように、流入側内周面23のうち流入−流入対向面23a以外の部分に流入した流体は、主にそのまま隔壁部22内を流出側内周面24に向かって通過して、流出側セル34内に流出する。また、流入−流入対向面23a部分に流入した流体は、対向する流入−流入対向面23aからの流れとともに隔壁部22内で向きを変えてから、流出側セル34内に流出する。このように、ハニカム構造体20では、流入側セル33の流入側内周面23のうち流入−流入対向面23aとそれ以外の部分とで、自身を通過した流体の流れ方が異なる。なお、流体が流入側内周面23に流入する際、流体中の粒子状物質は隔壁部22を通過できないため隔壁部22に捕集され、粒子状物質は流入側内周面23上に堆積していく。また、ハニカム構造体20は、流入−流入対向面23aの面積を流入−流入対向面積としたときに、流入側内周面23の面積に対する流入−流入対向面積の割合である面積比Aが15%以上となっている。本実施形態の面積比Aは、1つの流入側セル33の断面の六角形の辺(6つの辺)の合計長さに対する、1つの流入側セル33の断面の六角形のうちX方向及びY方向から傾斜した辺(図3右側の拡大図の太線で示した4つの辺)の合計長さの割合と同じ値となる。なお、ハニカム構造体20は外形が円柱状であるため、ハニカム構造体20の外周面付近には他の流入側セル33とは形状が異なる流入側セル33が存在するが、そのような一部の例外的な形状は考慮せず、面積比Aの値は流入側セル33の繰り返し構造最小単位(本実施形態では1つの流入側セル33)に基づいて導出される値とする。

0022

解析装置10のHDD15に記憶された対象物情報19は、この図2,3に示したハニカム構造体20を複数のメッシュで模擬した情報である。図4は、対象物情報19で模擬されるハニカム構造体20のモデル21の概念図である。本実施形態では、対象物情報19は、ハニカム構造体20のうち繰り返し構造の最小単位の形状を表すモデル21を模擬した情報とした。図4上段は、ハニカム構造体20の前端面27の一部の拡大図であり、三角破線枠内の部分が、ハニカム構造体20のうち繰り返し構造の最小単位である。モデル21は、図4下段に示すように、ハニカム構造体20のうち図4上段の破線枠に含まれる前端面27から後端面28までの部分(三角柱状の部分)のみを抜き出した構造をしている。モデル21は、XY平面に沿った断面で流入側セル33の4分の1と流出側セル34の8分の1とを含んでいる。また、モデル21は、前端面27よりも前方の空間や後端面28よりも後方の空間も含んでいてもよい。図4下段では、モデル21中の流出側セル34は図示せず前側目封止部37のみ図示している。また、図4下段では、流体に含まれる粒子状物質が流入側内周面23に堆積してできた層である粒子層40についても図示している。ただし、後述する解析処理を行う前の対象物情報19は、粒子層40がまだ流入側内周面23に堆積していない状態を模擬している。また、図4下段では、前端面27から流入する流体の流れと、流入側セル33から隔壁部22(流入側内周面23)に向かう流体の流れと、後端面28(流出側セル34)から流出する流体の流れとを白抜き矢印で示している。図4上段の三角の破線枠の各辺や、モデル21の三角柱の外周面は、ハニカム構造体20の構造の対称面に相当する。対象物情報19を、このようにハニカム構造体20の繰り返し構造の最小単位(モデル21)を模擬した情報とすることで、後述する解析処理の精度の低下を抑制しつつ、解析処理に要する時間を短縮することができる。ただし、これに限らず、対象物情報19はハニカム構造体20の繰り返し構造の最小単位を複数含む形状を模擬した情報であってもよいし、ハニカム構造体20全体を模擬した情報であってもよい。

0023

図示は省略するが、対象物情報19は、このモデル21をXYZ方向の各々について複数に分割して、モデル21を複数のメッシュで模擬した情報である。対象物情報19には、複数のメッシュの各々について、例えばそのメッシュがハニカム構造体20のいずれの部分に対応するかを表す種別情報と、そのメッシュの位置情報XYZ座標)と、が含まれている。種別情報は、例えば、そのメッシュが前端面27の前方の空間,後端面28の後方の空間,隔壁部22,流入側セル33,流出側セル34,前側目封止部37,及び後側目封止部38のいずれに対応するかを表す情報である。モデル21をXYZ方向の各々に何分割するかは、必要な解析の精度と解析に要する時間(計算時間)とを考慮して、適宜設定することができる。また、対象物情報19には、隔壁部22の透過率αw[μm2]や、各メッシュのサイズ(XYZ方向の大きさ)など、後述する解析処理に用いられるハニカム構造体20に関する種々のパラメータが含まれていてもよい。

0024

なお、ハニカム構造体20の外周面付近には、繰り返し構造の最小単位(モデル21)とは異なる形状のセル32や隔壁部22が存在する。そのため、そのようなモデル21とは異なる形状を模擬した情報が、モデル21を模擬した情報とは別に対象物情報19に含まれていてもよい。

0025

次に、解析装置10が行う解析処理について説明する。解析処理は、ハニカム構造体20の内部に流体が流れた際に、流体の流入に伴って流入側内周面23に堆積した粒子層40の分布を加味してハニカム構造体20の圧力損失を解析する処理である。図5は、解析処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。この解析処理ルーチンは、ユーザーが入力装置17を介して解析処理を行うよう指示したときにCPU12がHDD15に記憶された解析処理プログラムを実行することで開始される。

0026

解析処理ルーチンが実行されると、CPU12は、まず、解析処理の対象となる対象物情報19を処理対象に設定する対象物情報設定処理を行う(ステップS100)。この処理では、CPU12は、入力装置17を介して対象物情報19に基づく解析を行う旨の指示をユーザーから入力し、入力した指示に基づいて対象物情報19を解析処理の対象に設定する。また、本実施形態では対象物情報19は予めHDD15に記憶されているが、CPU12は解析装置10が読み取り可能な外部記録媒体や他のコンピューターなどから対象物情報19を取得してHDD15に記憶して、記憶した対象物情報19を解析対象に設定してもよい。また、CPU12は、HDD15に記憶した対象物情報19に対するデータの変更指示を入力装置17を介してユーザーから入力して、入力した指示に基づいて対象物情報19のデータの変更を行ってもよい。以下では、図4を用いて説明したモデル21を模擬した対象物情報19が解析処理の対象となった場合について説明する。

0027

ステップS100のあと、CPU12は、解析条件を設定する解析条件設定処理を行う(ステップS110)。CPU12は、例えば予めHDD15に記憶された情報を解析条件として設定したり、入力装置17を介してユーザーから入力した情報を解析条件として設定したりする。本実施形態では、解析条件として、流体流入条件、流体の物性値条件、粒子層40の物性値条件、境界条件、流入側内周面23に堆積した粒子状物質の目標量Mg[kg]などを設定する。流体流入条件としては、例えば、前端面27の前方から流入する流体の流量Q[m3/s]などが挙げられる。流体の物性値条件としては、例えば、流体密度ρg[kg/m3]、流体の粘性μ[Pa・s]及び流体中の粒子状物質の濃度、などが挙げられる。流体中の粒子状物質の濃度は、例えば質量/体積濃度Ds1[kg/m3]としてもよいし、体積濃度Ds2[vol%]としてもよい。粒子層40の物性値条件としては、例えば、粒子層40の透過率αs[μm2]、及び粒子層40の密度ds[kg/m3]などが挙げられる。境界条件としては、例えば、モデル21の入口における流体の圧力Pin[Pa]又はモデル21の出口における流体の圧力Pout[Pa]などが挙げられる。なお、流体流入条件は、時刻tやXY平面上の位置によって変化したりしてもよい。流体の物性値条件は、時刻tによって変化したりしてもよい。

0028

ステップS110のあと、CPU12は、ステップS120〜S160の処理(過渡解析処理)を行う。なお、CPU12は、ステップS100,S110で設定(HDD15に記憶)された対象物情報19や解析条件を適宜読み出して取得(参照)しながら過渡解析処理を行う。過渡解析処理を開始すると、CPU12は、まず、現在の時刻tを解析開始時刻(値0)に設定する(ステップS120)。続いて、CPU12は、対象物情報19に基づいてハニカム構造体20の内部に流体が流れた場合の流体解析を行って、流入側内周面23に対応するメッシュの各々について、流体に含まれる粒子状物質が堆積した粒子層40の微小時間Δt経過後における状態を導出することで、流入側内周面23上の粒子層40の堆積分布を表す過渡的分布情報を導出する粒子層分布導出処理を行う(ステップS130)。ここで、粒子層分布導出処理における流体解析は、有限要素法有限体積法などを用いた公知の流体解析を利用することができる。本実施形態では、有限体積法を用いるものとした。

0029

この粒子層分布導出処理では、CPU12は、まず、対象物情報19に含まれるモデル21のメッシュの1つ1つを有限体積法における微小要素みなす。次に、ステップS100,S110で設定した対象物情報19及び解析条件に基づいて、隣接する各メッシュ間の流れ抵抗Ri[Pa・s/m]等、流体解析の設定条件値を導出する。そして、CPU12は、時刻tにおける各微小要素の状態を用いて1つ1つの微小要素について流体の流れに関する方程式を導出し、全ての微小要素について方程式が成立する解を求める(流体解析)。これにより、CPU12は、時刻tから微小時間Δtが経過した後の各微小要素(メッシュ)の状態に関する値として、隣接する各メッシュ間を流れる流体の流速Vi[m/s]、隣接する各メッシュ間を流れる流体の流量Qi[m3/s]、各メッシュの絶対圧Pi[Pa](全圧)、各メッシュの動圧[Pa]、及び各メッシュの静圧[Pa]などを導出する。CPU12は、導出した値を対応する時刻(時刻t+Δt)及び各メッシュと対応付けて、HDD15にこれらの値を記憶する。なお、解析処理における最初の粒子層分布導出処理(時刻t=0における処理)では、CPU12は流入側内周面23に粒子層40が堆積していない状態(粒子層40を考慮しない状態)で流体解析を行うことになる。

0030

そして、CPU12は、流体解析で導出された値に基づいて、モデル21の複数のメッシュのうち流入側内周面23に対応するメッシュの各々について、粒子層40の微小時間Δt経過後の状態を導出する。なお、流入側内周面23に対応するメッシュとは、隔壁部22に対応するメッシュのうち流入側セル33に対応するメッシュに隣接しているメッシュである。本実施形態では、粒子層40の状態として、粒子層40の厚さTs[μm]を導出するものとした。例えば、CPU12は、まず、流入側内周面23に対応するメッシュの1つを導出対象とし、導出対象のメッシュについて、微小時間経過後の時刻(時刻t+Δt)における、流体中の粒子状物質の濃度(例えばステップS110で設定された質量/体積濃度Ds1[kg/m3])と、今回の流体解析で導出された値であり導出対象のメッシュに対して隣接するメッシュ(流入側セル33に対応するメッシュ)から流れ込む流体の流量Qi[m3/s]と、微小時間Δt[s]との積(=堆積した粒子状物質の重量Mi[kg])を導出する。次に、CPU12は、得られた粒子状物質の重量をステップS110で設定された粒子層40の密度ds[kg/m3]で除し、さらに導出対象のメッシュのうち流入側セル33に面する部分の面積(流入側内周面23の面積)で除することで、粒子層40の厚さTs[μm]を導出する。このように、CPU12は、流体解析で導出された値を用いて、微小時間Δtの間に導出対象のメッシュを通過(流入側内周面23を通過)した流体の流量Qiと流体中の粒子状物質の濃度(質量/体積濃度Ds1)とに応じた粒子状物質がその導出対象のメッシュ(流入側内周面23)に堆積する(捕集される)ものとみなして、微小時間Δt経過後の粒子層40の状態(厚さTs)を導出するのである。そして、CPU12は、導出対象のメッシュを変更して同様の処理を行い、モデル21中の流入側内周面23に対応するメッシュの各々について、微小時間Δt経過後の粒子層40の厚さTsを導出する。こうして導出された、流入側内周面23に対応するメッシュの各々についての粒子層40の厚さTsの値は、流入側内周面23上の粒子層40の堆積分布を表すものである。CPU12は、導出した粒子層40の厚さTsの値を流入側内周面23に対応するメッシュの各々及び時刻(時刻t+Δt)と対応付けて、過渡的分布情報としてHDD15にこれらの値を記憶する。なお、本実施形態では、流体中の粒子状物質は流入側内周面23を通過する際に全て捕集されるものとして解析を行うものとしたが、これに限らず例えば隔壁部22に対応づけられた捕集率のパラメータを加味して、微小時間Δt経過後の粒子層40の堆積分布を導出してもよい。

0031

以上のようにステップS130の粒子層分布導出処理を行うと、CPU12は、時刻tを微小時間Δtだけインクリメントして(ステップS140)、時刻tにおける流入側内周面23に堆積した粒子状物質の総量M[kg]が目標量Mg以上になったか否かを判定する(ステップS150)。すなわち、CPU12は、総量Mが目標量Mgに達したか否かを判定する。なお、CPU12は、例えば、直前の粒子層分布導出処理で導出された過渡分布情報に含まれる各メッシュに対応する粒子層40の厚さTsの値に基づいて、各メッシュの粒子層40中の粒子状物質の総量Mを容易に導出できる。CPU12は、直前の粒子層分布導出処理で導出された、流入側セル33に対応するメッシュの各々における上述した重量Miを記憶しておき、この重量Miの総和として総量Mを導出してもよい。そして、総量Mが目標量Mg以上でない場合には、CPU12はステップS130以降の処理を実行する。すなわち、総量Mが目標量Mg以上になるまで、粒子層分布導出処理と、時刻tを微小時間Δtだけインクリメントする処理とを繰り返す。

0032

なお、2回目以降の粒子層分布導出処理では、CPU12は、前回の粒子層分布導出処理における流体解析の結果を反映させた上で、流体解析を行う。また、CPU12は、前回の粒子層分布導出処理で導出された過渡的分布情報を加味して、流体解析を行う。すなわち、図4に示したように、流入側内周面23上に粒子層40が堆積している状態における流体解析を行う。例えば、CPU12は、流入側内周面23に対応するメッシュのうち、粒子層40の厚さTsの値が大きいメッシュほど、流体がそのメッシュを通過しにくくなるものとして、流体解析を行う。例えば、CPU12は、流入側内周面23に対応する各メッシュについて、粒子層40の厚さTsと流体の粘性μと粒子層40の透過率αsとに基づいて粒子層40の流れ抵抗を導出し、これを加味して流体解析の設定条件値(例えば流れ抵抗Ri)を更新する。そして、CPU12は、更新された設定条件値に基づいて流体解析を行う。そして、CPU12は、このように前回導出された過渡的分布情報を加味した流体解析に基づいて、今回の過渡的分布情報を導出する。

0033

そして、ステップS150で総量Mが目標量Mg以上になった場合には、CPU12は、最後の粒子層分布導出処理で導出された過渡的分布情報を過渡解析後分布情報として導出してHDD15に記憶し(ステップS160)、過渡解析処理を終了して次のステップに進む。なお、本実施形態では、CPU12は、過渡的分布情報をそのまま過渡解析後分布情報として用いるものとしたが、過渡的分布情報に含まれる値を換算するなどの処理を行った情報を過渡解析後分布情報としてもよい。このように、過渡解析処理では、微小時間Δt経過後の粒子層40の堆積分布の解析(過渡的分布情報の導出)を繰り返し行い、総量Mが目標量Mgに達したときの粒子層40の堆積分布を表す過渡解析後分布情報を導出するのである。なお、導出される過渡解析後分布情報の精度の観点から、過渡解析処理中に行われる粒子層分布導出処理の回数は、3回以上とすることが好ましく、10回以上とすることがより好ましく、100回以上とすることがさらに好ましい。流体中の粒子状物質の濃度や目標量Mgの値に応じて、微小時間Δtを適宜設定することで、過渡解析処理中に行われる粒子層分布導出処理の回数を調整することができる。

0034

過渡解析処理を行うと、CPU12は、対象物情報19及び過渡解析後分布情報に基づく流体解析を行って、ハニカム構造体20の内部に流体が流れた場合の圧力損失を導出する圧力損失導出処理を行う(ステップ170)。すなわち、CPU12は、対象物情報19だけでなく過渡解析後分布情報で模擬される粒子層40の堆積状態(堆積分布)も加味して流体解析を行って、圧力損失(モデル21の前端面27と後端面28との間の圧力差)を導出する。この流体解析は、例えばステップS130の粒子層分布導出処理中の流体解析と同様に行うことができ、CPU12は例えば流体解析で導出された各メッシュの絶対圧PiとステップS110で設定された境界条件とに基づいて圧力損失を導出できる。なお、CPU12は、ステップS130とは異なる解析条件で圧力損失導出処理を行ってもよい。CPU12は、この圧力損失導出処理の結果として、導出された圧力損失の値をHDD15に記憶する。なお、圧力損失導出処理中の流体解析で得られた各種の値についても、HDD15に記憶してもよい。

0035

なお、対象物情報19に、繰り返し構造の最小単位(モデル21)以外の構造の情報(例えばハニカム構造体20の外周面付近を模擬した情報)も含まれている場合には、その構造についても上記と同様に過渡解析処理及び圧力損失導出処理を行ってもよい。そして、そのような繰り返し構造の最小単位とは異なる構造部分での圧力損失も加味して、ハニカム構造体20全体としての圧力損失を導出してもよい。

0036

圧力損失導出処理を行うと、CPU12は、上述した過渡解析処理や圧力損失解析処理の結果を解析結果データとして出力する解析結果出力処理を行い(ステップS180)、本ルーチンを終了する。解析結果データには、例えば過渡解析後分布情報や圧力損失の値が含まれる。時刻t=0から総量Mが目標量Mg以上になった時刻までの各時刻における過渡的分布情報についても解析結果データに含めてもよい。解析結果データの出力は、HDD15又は外部記憶媒体などにデータを記憶することで行ってもよいし、入力装置17を介したユーザーの指示に基づいてディスプレイ16に解析結果を出力することで行ってもよい。この解析結果データを用いることで、例えばハニカム構造体20の圧力損失が許容範囲内であるかどうかなど、ハニカム構造体20の圧力損失を評価することができる。

0037

ここで、過渡解析処理で導出される粒子層40の堆積状態について説明する。図6は、過渡解析後分布情報で表される粒子層40の堆積分布の一例を示す概念図である。図7は、粒子層40が均一に分布している状態の一例を示す概念図である。本実施形態のハニカム構造体20は、図3を用いて説明したように、流入側内周面23のうち流入−流入対向面23aとそれ以外の部分とで、自身を通過した流体の流れ方が異なる。具体的には、流入−流入対向面23aと比べて、流入側内周面23のうち流入−流入対向面23a以外の部分の方が流体が流れやすい(流れ抵抗が小さい)傾向にある。これにより、流入−流入対向面23aを通過する流体の流量は小さくなりやすいため、流入−流入対向面23aには粒子層40は堆積しにくい(厚さTsが大きくなりにくい)。本実施形態では、粒子層分布導出処理を繰り返し行うことで、微小時間Δt経過後の粒子層40の堆積分布の解析を繰り返し行うから、時間の経過に伴う粒子層40の堆積分布の過渡的な変化を精度良く解析できる。そのため、過渡解析後分布情報により、微小時間Δtが複数回経過した後の粒子層40の堆積状態(堆積分布)が精度良く模擬される。すなわち、導出された過渡解析後分布情報で模擬される粒子層40の堆積状態は、図6に示すように偏りが生じており、流入−流入対向面23aには粒子層40が比較的堆積していない状態となる。ハニカム構造体20に実際に流体を流した場合も粒子層40の堆積分布は図6のような状態になることが確認されており、本実施形態の過渡解析処理では実際の粒子層40の堆積状態により近い状態を模擬できる。そして、本実施形態の解析処理では、この状態でハニカム構造体20の内部に流体が流れた場合の圧力損失を導出するから、粒子状物質の堆積状態をより精度良く模擬して圧力損失を解析することができる。一方、過渡解析処理を行わずに粒子層40の状態を模擬する手法としては、図7に示すようにどの位置の流入側内周面23にも同じように粒子層40が堆積した状態(粒子層40が均一に分布している状態)を模擬することも考えられる。ただし、これでは実際の粒子層40の堆積状態とは異なってしまうため、この状態で圧力損失を解析しても、実測値との乖離が大きくなりやすく、解析精度は低下しやすい。

0038

なお、図6ではハニカム構造体20の前後方向に垂直なある断面における粒子層40の堆積分布の一例を示しているが、粒子層40はハニカム構造体20の前後の位置によっても堆積状態に偏りが生じる場合がある。そして、本実施形態の過渡解析処理で得られる過渡解析後分布情報は、このような前後方向の堆積分布についても模擬した情報になっている。

0039

ここで、本実施形態の構成要素と本発明の構成要素との対応関係を明らかにする。本実施形態の解析装置10が本発明の圧力損失解析装置に相当し、CPU12が過渡解析手段及び圧力損失導出手段に相当する。なお、本実施形態では、解析装置10の動作を説明することにより、本発明の圧力損失解析方法及びそのプログラムの一例も明らかにしている。

0040

以上詳述した本実施形態の解析装置10によれば、CPU12は、流体解析を行って、微小時間Δt経過後におけるハニカム構造体20(モデル21)の流入側内周面23上の粒子層40の堆積分布を表す過渡的分布情報を導出する。そして、CPU12は、前回導出された過渡的分布情報を加味した流体解析を行って過渡的分布情報を繰り返し導出し、その後の粒子層40の堆積分布を表す過渡解析後分布情報を導出する。このように微小時間Δt経過後の粒子層40の堆積分布の解析を繰り返し行うことで、時間の経過に伴う粒子層40の堆積分布の過渡的な変化を精度良く解析できる。そのため、過渡解析後分布情報により、微小時間Δtが複数回経過した後の粒子層40の堆積状態(堆積分布)が精度良く模擬される。例えば、どの位置の流入側内周面23にも同じように粒子層40が堆積した状態(粒子層40が均一に分布している状態)を模擬する場合と比べて、実際の粒子層40の堆積状態により近い状態を模擬できる。そして、この過渡解析後分布情報に基づいてハニカム構造体20の内部に流体が流れた場合の圧力損失を導出するから、粒子状物質の堆積状態をより精度良く模擬して圧力損失を解析することができる。

0041

また、CPU12は、粒子層分布導出処理では、流体中の粒子状物質の濃度に関する情報(質量/体積濃度Ds1)と、粒子層分布導出処理中の流体解析で導出された値であり流入側内周面23に対応するメッシュの各々に流れ込む流体の流量に関する情報(流量Qi)とに基づいて、過渡的分布情報を導出する。ここで、流体中の粒子状物質の濃度が高いほど、そして流入側内周面23に流入する流体の流量が多いほど、粒子状物質は多く堆積する。そのため、流体中の粒子状物質の濃度に関する情報と流体の流量に関する情報とを用いることで、過渡的分布情報を適切に導出できる。すなわち粒子層40の堆積状態を適切に模擬できる。

0042

さらに、過渡的分布情報及び過渡解析後分布情報は、それぞれ、粒子層40の厚さTsの分布,透過率の分布,及び流れ抵抗の分布の少なくともいずれかを含む情報であり、より具体的には粒子層40の厚さTsの分布を含む情報である。厚さTsは粒子層40を流体が通過する際の圧力損失に影響する情報であるから、粒子層40の堆積分布を表す情報(過渡的分布情報及び過渡解析後分布情報)に適している。

0043

さらにまた、CPU12は、過渡解析処理において、流入側内周面23に堆積した粒子状物質の総量Mが所定の目標量Mgに達するまで粒子層分布導出処理を繰り返し行う。そのため、圧力損失の解析を希望する状態(目標量Mgに達した状態)での粒子層40の堆積状態を比較的容易に模擬でき、その状態における圧力損失を容易に導出することができる。

0044

そしてまた、対象物情報19は、流入側内周面23のうち他の流入側セル33の流入側内周面23と対向している部分(流入−流入対向面23a)の面積を流入−流入対向面積としたときに、流入側内周面23の面積に対する流入−流入対向面積の割合である面積比Aが15%以上であるハニカム構造体20を模擬した情報である。ここで、粒子状物質を含む流体がハニカム構造体20を通過したときに、面積比Aが15%以上であるハニカム構造体20では、粒子状物質が流入側内周面23に均一に堆積しにくい。そのため、粒子層40が均一に分布している状態を模擬して導出された圧力損失の値が、同じ量の粒子状物質を堆積させたハニカム構造体20での圧力損失の実測値と乖離しやすい。すなわち圧力損失の解析の精度が低くなりやすい。上述した実施形態の解析処理では、面積比Aが15%以上であるハニカム構造体20においても、実測値との乖離が少なく、圧力損失の解析をより精度良く解析できる。そのため、面積比Aが15%以上であるハニカム構造体20の圧力損失解析を行う場合に、本発明を適用する意義が高い。

0045

なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。

0046

例えば、上述した実施形態では、ハニカム構造体20は図2,3に示した形状としたが、これに限られない。どのような構造のハニカム構造体であっても、それを模擬した対象物情報を用いることで、上述した実施形態と同様に、粒子状物質の堆積状態をより精度良く模擬して圧力損失を解析できる。図8図14は、変形例のハニカム構造体のセル構造(流入側セル33及び流出側セル34の位置関係)を示す断面図である。なお、図8図14では、識別しやすくするため流出側セル34をハッチングで示している。例えば、セル32の形状は、その断面の形状として三角形状、四角形状(例えば図8〜10,12〜14)、六角形状(例えば図11)、八角形状(例えば図9,10)などの多角形状や、円形楕円形などの形状とすることができる。また、上述した実施形態では、流入側セル33と流出側セル34との形状が異なっていたが、同じ形状であってもよい(例えば図8,11)。また、上述した実施形態では、複数の流入側セル33は同じ形状であり、複数の流出側セル34は同じ形状としたが、流入側セル33と流出側セル34との少なくとも一方が、2種類以上の形状を有していてもよい(例えば図10,12)。例えば図10に示す流入側セル33は、断面が四角形と八角形との2種類の形状を有している。図12に示す流入側セル33は、断面が正方形長方形との2種類の形状を有している。また、上述した実施形態及び図8図14における流入側セル33と流出側セル34とを逆にした構造のハニカム構造体20を採用してもよい。また、上述した実施形態では、流入側セル33は後側目封止部38で封止され流出側セル34は前側目封止部37で封止されていたが、これに限られない。例えば、流入側セル33は後側目封止部38で封止されていなくてもよい。

0047

上述した実施形態では、対象物情報19は面積比Aが15%以上であるハニカム構造体20を模擬した情報としたが、これに限られない。面積比Aが0%以上15%未満のハニカム構造体20を模擬した対象物情報19に基づく解析を行う場合でも、上述した実施形態と同様に粒子状物質の堆積状態をより精度良く模擬して圧力損失を解析できる。ただし、面積比Aの値が大きいほど、そして特に面積比Aが15%以上であるほど、過渡解析処理を行わず粒子層40が均一に分布している状態を模擬して導出された圧力損失の値が実測値と乖離しやすくなるため、本発明を適用する意義が高い。なお、面積比Aの上限は100%であるが、現実的なハニカム構造体の構造としては、面積比Aは例えば90%以下である。

0048

上述した実施形態では、過渡解析処理において、流入側内周面23に堆積した粒子状物質の総量Mが所定の目標量Mgに達するまで粒子層分布導出処理を繰り返し行ったが、これに限られない。例えば、CPU12は、微小時間Δtの合計が所定の目標時間tg[s]に達するまで粒子層分布導出処理を繰り返し行ってもよい。こうすれば、圧力損失の解析を希望する状態(目標時間tgに達した状態)での粒子層40の堆積状態を比較的容易に模擬でき、その状態における圧力損失を容易に導出することができる。また、CPU12は、粒子状物質の総量Mが所定の目標量Mgに達するまで粒子層分布導出処理を繰り返し行うか、又は微小時間Δtの合計が所定の目標時間tgに達するまで粒子層分布導出処理を繰り返し行うか、の少なくとも一方を行ってもよい。また、上述した実施形態では総量M及び目標量Mgは重量[kg]としたが、ハニカム構造体(モデル21)の単位容量あたりの粒子状物質の重量[g/L]としてもよいし、粒子状物質の体積[m3]としてもよい。あるいは、CPU12は、ユーザーからの終了指示を入力するまで粒子層分布導出処理を繰り返し行ってもよい。

0049

上述した実施形態では、過渡的分布情報及び過渡解析後分布情報は、それぞれ、粒子層40の厚さTsの分布を含む情報としたが、これに限られない。過渡的分布情報及び過渡解析後分布情報は、それぞれ、粒子層40の厚さの分布,透過率の分布,及び流れ抵抗の分布の少なくともいずれかを含む情報としてもよい。厚さに限らず粒子層40の透過率や流れ抵抗も粒子層40を流体が通過する際の圧力損失に影響する情報であるから、粒子層40の堆積分布を表す情報(過渡的分布情報及び過渡解析後分布情報)に適している。なお、例えば過渡的分布情報及び過渡解析後分布情報が粒子層40の透過率の分布を含む情報とする場合、粒子層40の厚さに関しては流入側内周面23に対応するどのメッシュにおいても一定(時間経過で変化しない)として粒子層40の物性値条件で定めておき、ステップS130の粒子層分布導出処理で流入側内周面23に対応するメッシュの各々について粒子層40の透過率αs[μm2]の値を導出してもよい。あるいは、粒子層40の堆積状態(堆積分布)を模擬できる情報であれば、他の情報を過渡的分布情報及び過渡解析後分布情報に用いてもよい。

0050

上述した実施形態では、CPU12は、粒子層分布導出処理において、流体中の粒子状物質の濃度(質量/体積濃度Ds1)と、粒子層分布導出処理中の流体解析で導出された値であり流入側内周面23に対応するメッシュの各々に流れ込む流体の流量Qiとに基づいて、過渡的分布情報を導出したが、これに限られない。流体中の粒子状物質の濃度に関する情報(例えば、濃度に換算可能な情報、濃度を導出可能な情報、又は濃度と同視できる情報など)と、流入側内周面23に対応するメッシュの各々に流れ込む流体の流量に関する情報(例えば、流量に換算可能な情報、流量を導出可能な情報、又は流量と同視できる情報など)とに基づいて、過渡的分布情報を導出すればよい。例えば、濃度に関する情報として、体積濃度Ds2[vol%]を用いてもよい。例えば、流量に関する情報として、流入側内周面23に対応するメッシュに対して隣接する流入側セル33に対応するメッシュから流れ込む流体の流速Viを用いてもよい。あるいは、流体解析に基づいて過渡的分布情報を導出できれば、他のどのような値を用いてもよい。

0051

上述した実施形態において、対象物情報19は、隔壁部22が捕集層を備えた態様のハニカム構造体を模擬した状態であってもよい。すなわち、図2,3に示したハニカム構造体20が、隔壁部22として隔壁(上述した実施形態の隔壁部22に相当)と捕集層とを備えていてもよい。この場合、対象物情報19では、隔壁部22に対応するメッシュがさらに隔壁に対応するメッシュと捕集層に対応するメッシュとに区別されていてもよい。また、対象物情報19は、隔壁の透過率(上述した実施形態の透過率αw[μm2]に相当)の情報と捕集層の透過率の情報とを含んでいてもよい。なお、隔壁部22が捕集層を備える場合、流入側内周面23は捕集層の表面となる。

0052

上述した実施形態では、過渡解析処理後にステップS170の圧力損失導出処理を行うことで、ある総量Mの粒子状物質が堆積した状態での圧力損失予測値を得たが、これに限られない。例えば、粒子状物質の総量Mと圧力損失との関係を、総量M=0から総量M=最終堆積総量(例えば目標量Mg)までの間にわたって複数回導出してもよい。例えば、CPU12は、ステップS170の圧力損失導出処理と同様に、過渡解析処理中のn回目の粒子層分布導出処理で導出された各メッシュの絶対圧Piに基づいて圧力損失を導出できる。この圧力損失は、n−1回目の粒子層分布導出処理で導出された過渡的分布情報を加味した値であり、n−1回目の過渡的分布情報で表される粒子層40の堆積状態での圧力損失に相当する。そのため、CPU12は、n回目の粒子層分布導出処理で導出された圧力損失を、n−1回目の粒子層分布導出処理で導出された過渡的分布情報に基づく総量M(すなわちn−1回目のステップS150における総量M)と対応付けて、粒子層分布導出処理を行う毎にHDD15に記憶してもよい。また、CPU12は、そのような圧力損失と総量Mとの対応関係を、ステップS180で出力する解析結果データに含めてもよい。こうすることで、ユーザーは、ステップS170で導出される最終的な圧力損失だけでなく、粒子層40が堆積していく過程での圧力損失及びその変化についても把握することができる。

0053

上述した実施形態では、CPU12は、過渡的分布情報を導出する際に、流体中の粒子状物質の濃度(質量/体積濃度Ds1)と、流入側内周面23に対応するメッシュの各々に流れ込む流体の流量Qiと、微小時間Δtとの積を、堆積した粒子状物質の重量Miとしたが、これに限られない。例えば、「Ds1×Qi×Δt」にさらに計算加速係数Acを乗じた値を重量Miとしてもよい(ただし、Ac>1)。こうすることで、質量/体積濃度Ds1の値を現実の値(模擬する流体における値)からAc倍することができ、微小時間Δtの間に堆積する粒子状物質の量を増やして計算を行うことができる。そのため、過渡解析処理において総量Mが目標量Mgに到達するまでに実行される粒子層分布導出処理の回数を少なくすることができ、過渡解析処理に要する時間を短くすることができる。例えば、質量/体積濃度Ds1の値が非常に小さい場合には、粒子層40の形成に時間がかかるため、過渡解析処理において総量Mが目標量Mgに達するまでに粒子層分布導出処理を数多く繰り返し実行する必要が生じ、計算時間が長くなる場合がある。そのような場合に、粒子加速係数Acを用いることで、過渡解析処理に要する時間を短縮できる。なお、計算加速係数Acを用いた場合は、微小時間Δt×計算加速係数Acを現実世界での時間として解釈すればよい。例えば、過渡解析処理において粒子層分布導出処理をn回繰り返す場合には、時刻t=0から時刻t=n×Δtまでの解析を行うことになるが、現実世界での時刻tR=0から時刻tR=n×Δt×Acまでの解析を行ったと解釈すればよい。ステップS180で出力する解析結果データにおける時間や時刻も、そのような換算後の時間や時刻tRとしてもよい。

0054

以下には、上述した解析処理プログラム及び圧力損失解析装置を実際に作成した例を実施例として説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。

0055

[実施例及び比較例]
実施例として、上述した実施形態の機能を有する解析処理プログラムを作成した。そして、CPU,ROM,RAMを備えたコントローラーとHDDとを有するコンピューターのHDDにこのプログラムを記憶して、実施例の圧力損失解析装置とした。また、図5の過渡解析処理を行わずステップS170の圧力損失導出処理を行う解析処理プログラムをコンピューターのHDDに記憶させ、比較例の圧力損失解析装置とした。

0056

[ハニカム構造体1〜4の圧力損失解析]
ハニカム構造体1〜4を模擬した対象物情報を作成し、この対象物情報に基づいて実施例及び比較例の圧力損失解析装置に解析処理プログラムを実行させて、圧力損失を導出した。なお、ハニカム構造体1は、図8のように流入側セル33と流出側セル34とが共に断面形状が四角形であり、流入側セル33と流出側セル34とが交互に配置された構造とした。ハニカム構造体1では流入−流入対向面23aが存在しないため、面積比Aは0%である。ハニカム構造体2は、図9のように流入側セル33が八角形状であり流出側セル34が四角形状であり、流入側セル33と流出側セル34とが交互に配置された構造とした。ハニカム構造体2は、図9の流入側セル33の八角形における上下左右方向から傾斜した4つの辺が流入−流入対向面23aであり、面積比Aは10%とした。ハニカム構造体3は、面積比Aを15%とした点以外はハニカム構造体2と同じ構造とした。ハニカム構造体4は、図2,3に示した構造とし、面積比Aは63%とした。また、実施例では、ハニカム構造体(モデル21)の単位容量あたりの粒子状物質の総量M[g/L]が目標量Mg(=4g/L)に達するまで過渡解析処理を行った。実施例での粒子層分布導出処理の実行回数(目標量Mgに達するまでの繰り返し回数)は200回とした。比較例では、目標量Mg(=4g/L)の粒子状物質(粒子層40)が流入側セル33に均一に堆積した状態を模擬した対象物情報を用いて、圧力損失を導出した。また、ハニカム構造体1〜4を実際に作製し、流体を流通させた場合の圧力損失の実測値を、以下のように測定した。まず、多孔質SiボンドSiC(Si結合SiC)製の目封止構造ハニカム構造体セグメント一辺が36mmの四角形×長さ152mmの四角柱状)を16本接合し、外周を加工して直径144mm,長さ152mmのハニカム構造体1〜4を作製した。そして、排気量2.0Lのディーゼルエンジンの排気系に装着し、エンジン回転数2000rpm、エンジントルク60Nm、排気温度250℃、排気流量2.5m3/minの条件で運転し、粒子状物質(スス等)が4g/L堆積した時点での圧力損失を計測した。そして、実施例と比較例との各々について、実測値と導出された圧力損失との誤差(%)を導出した。

0057

表1に、ハニカム構造体1〜4のセルの構造、面積比A、比較例における実測値との誤差、実施例における実測値との誤差をまとめて示す。表1に示すように、ハニカム構造体1〜4のいずれにおいても、実施例の誤差は比較例の誤差以下であった。また、比較例では特に面積比Aが15%以上であるハニカム構造体3,4について導出した圧力損失は実測値との誤差が15%以上と大きく、許容できる誤差の範囲を超えていた。これに対し実施例では、ハニカム構造体3,4についても、ハニカム構造体1,2と同程度の誤差であり、許容範囲内であった。

実施例

0058

0059

10解析装置、11コントローラー、12 CPU、13 ROM、14 RAM、15 HDD、16ディスプレイ、17入力装置、19対象物情報、20ハニカム構造体、21モデル、22隔壁部、23 流入側内周面、23a 流入−流入対向面、24 流出側内周面、27前端面、28後端面、32セル、33流入側セル、34流出側セル、37 前側目封止部、38 後側目封止部、40粒子層。

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