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課題
解決手段
概要
背景
半導体パッケージの高密度化、高性能化を目的に、異なる性能のチップを一つのパッケージに混載する実装形態が提案されており、コスト面に優れたチップ間の高密度インターコネクト技術やパッケージ上に異なるパッケージをフリップチップ実装によって積層することで接続するパッケージ・オン・パッケージが重要になっている(例えば非特許文献1及び非特許文献2参照)。
特にパッケージ・オン・パッケージのように半導体装置上に半導体装置を積む場合、下段の半導体装置上に、上段の半導体装置を実装するための、外部接続用端子を設ける必要がある。従って下段の半導体装置と、上段の半導体装置を接続するために、下段の半導体装置の封止材に開口部を設けて金属を充填する、いわゆるTMV(Through Mold Via)構造の半導体装置が台頭してきた。このTMVを有する半導体パッケージでは、開口部を設けるために、レーザーで装置間の接続用ビアを熱硬化性樹脂に設けるというものである(例えば特許文献1〜7参照)。
概要
微細化や高密度化の要求が高い三次元対応の半導体パッケージを効率良く、低コストに製造するための半導体装置製造用の感光性封止樹脂組成物、それを用いた半導体装置の製造方法、及び半導体装置を提供する。露光及び現像によってパターン形成可能な感光性封止樹脂組成物であって、アルカリ現像溶液に対して3.0μm/s以下の速度で溶解する、感光性封止樹脂組成物。(I)前記の感光性封止樹脂組成物で半導体素子を封止する工程と、(II)前記感光性封止樹脂組成物を、露光処理、及び、アルカリ現像溶液に対して3.0μm/s以下の速度で溶解させるアルカリ現像処理の工程によってパターンを形成する工程と、(III)前記形成したパターンに導電性の材料を付与する工程と、を備える半導体装置の製造方法。
目的
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、微細化及び高密度化の要求が高い三次元対応の半導体装置を効率良く、低コストに製造するための半導体装置製造用の感光性封止樹脂組成物と、それを用いた半導体装置の製造方法及び半導体装置を提供する
効果
実績
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この技術が所属する分野
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請求項1
請求項2
請求項3
前記感光性封止樹脂組成物の最低溶融粘度が、10Pa・sから500Pa・sである請求項1又は請求項2に記載の感光性封止樹脂組成物。
請求項4
請求項5
前記感光性封止樹脂組成物が、ポリイミド樹脂を含む請求項1〜4のいずれか一項に記載の感光性封止樹脂組成物。
請求項6
(I)請求項1〜5のいずれか一項に記載の感光性封止樹脂組成物で半導体素子を封止する工程と、(II)前記感光性封止樹脂組成物を、露光処理、及び、アルカリ現像溶液に対して3.0μm/s以下の速度で溶解させるアルカリ現像処理の工程によってパターンを形成する工程と、(III)前記形成したパターンに導電性の材料を付与する工程と、を備える半導体装置の製造方法。
請求項7
請求項1〜5に記載の感光性封止樹脂組成物の硬化物を有する半導体装置。
技術分野
0001
本開示は、感光性封止樹脂組成物に関する。特に、微細化や高密度化の要求が高い半導体装置を効率よく、低コストに製造するための半導体装置製造用の感光性封止樹脂組成物と、それを用いた半導体装置の製造方法及び半導体装置に関する。
背景技術
0002
半導体パッケージの高密度化、高性能化を目的に、異なる性能のチップを一つのパッケージに混載する実装形態が提案されており、コスト面に優れたチップ間の高密度インターコネクト技術やパッケージ上に異なるパッケージをフリップチップ実装によって積層することで接続するパッケージ・オン・パッケージが重要になっている(例えば非特許文献1及び非特許文献2参照)。
0003
特にパッケージ・オン・パッケージのように半導体装置上に半導体装置を積む場合、下段の半導体装置上に、上段の半導体装置を実装するための、外部接続用端子を設ける必要がある。従って下段の半導体装置と、上段の半導体装置を接続するために、下段の半導体装置の封止材に開口部を設けて金属を充填する、いわゆるTMV(Through Mold Via)構造の半導体装置が台頭してきた。このTMVを有する半導体パッケージでは、開口部を設けるために、レーザーで装置間の接続用ビアを熱硬化性樹脂に設けるというものである(例えば特許文献1〜7参照)。
0004
米国特許出願公開第2012/0329249号明細書
米国特許出願公開第2015/0091182号明細書
米国特許出願公開第2015/0145138号明細書
米国特許第7671457号明細書
米国特許第7633765号明細書
米国特許第8026587号明細書
米国特許第8018068号明細書
先行技術
0005
本多進 「半導体素子の2D〜3D実装技術動向と狙うべき方向」エレクトロニクス実装学会誌Vol.18、No.3、(2015)、pp.130
SeungJae Lee,et al., Electrical Characerization of Wafer Level Fan−Out (WLFO) Using Film Substrate for Low Cost Millimeter Wave Application,IEEE Electronic Components and Technology Conference, 2010, 1461.
発明が解決しようとする課題
0006
図12に示す封止材を用いた従来の製造により得られた下段半導体パッケージ100Aは、対応する箇所に封止開口141が形成されているため、上段パッケージを下段パッケージに載せて電気的に接続を確保することができる。ここで示した封止材の接続を確保すための開口形成は、炭酸ガスレーザーで行うのが一般的である。しかしながら、レーザーによる封止材の開口では、一括での開口操作が出来ないため時間がかかる点、100μmの厚みに対して開口可能な開口部の直径は100μm程度が限界であり、これよりも小さい径の開口部を形成しにくい点、レーザーによって開口するために開口操作後に残渣が生じやすいこと、封止材の取り扱いのためにコンプレッション装置やビア開口のためのレーザー装置導入の必要がありパッケージの製造コストが抑えにくい点、等の問題があった。
0007
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、微細化及び高密度化の要求が高い三次元対応の半導体装置を効率良く、低コストに製造するための半導体装置製造用の感光性封止樹脂組成物と、それを用いた半導体装置の製造方法及び半導体装置を提供することを目的とする。
課題を解決するための手段
0008
本発明は、[1]露光及び現像によってパターン形成可能な感光性封止樹脂組成物であって、アルカリ現像溶液に対して3.0μm/s以下の速度で溶解する、感光性封止樹脂組成物である。
また、本発明は、[2]半導体素子封止後の封止材厚みが50μmから200μmとなる上記[1]に記載の感光性封止樹脂組成物である。
また、本発明は、[3] 感光性封止樹脂組成物の最低溶融粘度が、10Pa・sから1000Pa・sである上記[1]又は[2]に記載の感光性封止樹脂組成物である。
また、本発明は、[4] 露光後、さらに熱硬化処理された後の熱硬化物の0〜80℃における熱膨張係数が10×10-6/Kから100×10-6/Kの範囲である上記[1]〜[3]のいずれか一項に記載の感光性封止樹脂組成物である。
また、本発明は、[5] 前記感光性封止樹脂組成物が、ポリイミド樹脂を含む上記[1]〜[4]のいずれか一項に記載の感光性封止樹脂組成物である。
さらに、本発明は、[6] (I)上記[1]〜[5]のいずれか一項に記載の感光性封止樹脂組成物で半導体素子を封止する工程と、
(II)前記感光性封止樹脂組成物を、露光処理、及び、アルカリ現像溶液に対して3.0μm/s以下の速度で溶解させるアルカリ現像処理の工程によってパターンを形成する工程と、
(III)前記形成したパターンに導電性の材料を付与する工程と、
を備える半導体装置の製造方法である。
また、本発明は、[7]上記[1]〜[5]に記載の感光性封止樹脂組成物の硬化物を有する半導体装置である。
発明の効果
0009
本発明の感光性封止樹脂組成物は、半導体装置の封止材に開口部を設けて導体を形成する、いわゆるTMV(Through Mold Via)構造の半導体装置を作製する際に、既存の封止材を封止するためのコンプレッション装置等の高価な設備を必要とせず、ラミネータ等のより安価な装置で封止でき、また、穴あけのレーザー装置等を必要とせず、微細配線形成に有利なフォトリソグラフィの技術を用いて行なうため、接続部の高密度化を実現でき、これを効率よく、低コストで製造可能になる。そして、これを用いて半導体装置を製造するので高密度伝送が可能な半導体装置を効率よく、低コストで製造することができ、得られた半導体装置は、低コストで高密度な伝送が可能となりコストパフォーマンスに優れる。
図面の簡単な説明
0010
金属を表面に貼付した固定部材を模式的に示す断面図である。
固定部材上に、半導体素子を固定した状態を模式的に示す断面図である。
半導体素子上に封止材料を封止した状態を模式的に示す断面図である。
露光処理及び現像処理を施して封止材料に開口部を設けた状態を模式的に示す断面図である。
封止材料の開口部に金属を付与(充填)した状態を模式的に示す断面図である。
固定部材及び表面に貼付した金属を除去し、反転した状態を模式的に示す断面図である。
封止材料上に再配線絶縁層を形成した状態を模式的に示す断面図である。
配線パターンを模式的に示す断面図である。
配線パターン上に再配線絶縁層を形成し、パッケージ搭載用バンプを搭載した状態を模式的に示す断面図である。
再配線絶縁層を形成し、バンプを搭載した状態のものを個片化する操作を模式的に示す断面図である。
個片化後、得られた半導体装置を模式的に示す断面図である。
従来の半導体装置を製造する工程を模式的に示す断面図である。
0011
以下、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。以下の説明では、同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。更に、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。また、本明細書において「封止」とは、半導体素子を覆うように配置されていればよく、凹板状でも平板状でもよく、凹板状の樹脂組成物と平板状の固定部材(又は、再配線絶縁層)の間に半導体素子を挟んで覆ってもよい。また、透明性、電気絶縁性は特に問わない。また、樹脂組成物と、再配線絶縁層と、必要に応じて、導体パターン(配線パターン)等と、半導体素子が覆われていてもよい。また、「層」との語は、平面図として観察したときに、全面に形成されている形状の構造に加え、一部に形成されている形状の構造も包含される。
0012
ここでは、図11に示す半導体装置(半導体パッケージ)100を製造する方法について説明する。なお、本実施形態の半導体装置の製造方法は、微細化及び多ピン化が必要とされる形態において特に好適である。特に、本発明の製造方法は、FO−WLP(Fan−out Wafer Level Package)を三次元化する形態において好適である。
0013
図1から図11を参照しながら、半導体装置(半導体パッケージ)100の製造方法について説明する。
まず、半導体素子固定用基材1及び固定部材2からなる支持体を準備する(図1参照)。半導体素子固定用基材1は特に限定されるものではないが、ガラスクロスに樹脂を含浸させたガラスクロス入り基板、シリコンウェハ、ガラス、SUS(ステンレス)板等が挙げられ、25℃での貯蔵弾性率が1GPa以上の材料(「高剛性材料」ともいえる)が好適である。
半導体素子固定用基材1の厚さは0.2〜0.8mmであることが好ましい。0.2mm以上では、組立てプロセス中の反りを抑制することができ、ハンドリングが容易になる傾向がある。一方、0.8mm以下の場合は、半導体素子固定用基材1の取り外しが容易になるうえ、材料費を抑えられる傾向にある。半導体素子固定用基材1の室温(25℃)から150℃までの平均熱膨張係数は、1×10−6〜15×10−6/Kであることが好ましい。1×10−6/K以上では、材料費を抑えられる傾向がある。一方、15×10−6/K以下の場合はチップ実装後の反りを抑制できる傾向にある。
0014
次いで、半導体素子3を、固定部材2上に固定する(図2参照)。半導体素子3は固定部材2を介して接着する。固定部材2は予めウェハ状の半導体素子3の裏面にラミネート等で設置し、個片化したものを使用することができる。固定部材2は特に限定されるものではないが、フィルム状のものを選択することが好ましい。フィルム状だと半導体素子固定用基材1上への貼付と、支持体除去時の剥離操作性が良好だからである。半導体素子3の搭載にはダイボンダ等の搭載機を用い、固定する。固定部材2として熱剥離シートを用いた場合は、例えば、所定温度に設定されたホットプレート上に載せて加熱する方法により、剥離することができる。加熱する温度は、用いる熱剥離シートに応じて適宜決定すればよい。
0015
次いで、感光性封止樹脂組成物4を用いて半導体素子3を覆うように封止する(図3参照)。
本実施形態の感光性封止樹脂組成物4は、(A)アルカリ可溶性樹脂、(B)放射線重合性化合物、及び(C)光開始剤、を含むことが好ましい。なお、本明細書において、これらの成分は、単に(A)成分、(B)成分、(C)成分等と称することがある。また、本実施形態の感光性封止樹脂組成物は、半導体素子を封止するために好適に用いることができる。
0016
本実施形態の感光性封止樹脂組成物4では、(A)成分としては、アルカリ可溶性基を有するポリマーが好ましく、アルカリ可溶性基を末端、又は側鎖に有するポリマーがより好ましい。アルカリ可溶性基としては、エチレングリコール基、カルボキシル基、水酸基、スルホニル基、フェノール性水酸基等が挙げられる。アルカリ可溶性基を有するポリマーは、上記の官能基1種を単独で有するものであってもよく、又は2種以上を有するものであってもよい。
0017
(A)成分としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリウレタンイミド樹脂、ポリウレタンアミドイミド樹脂、シロキサンポリイミド樹脂、ポリエステルイミド樹脂、これらの共重合体、これらの前駆体(ポリアミド酸等)の他、ポリベンゾオキサゾール樹脂、フェノキシ樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、重量平均分子量が10,000〜1,000,000の(メタ)アクリル共重合体、ノボラック樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また、これらの樹脂の主鎖及び/又は側鎖に、エチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール基、カルボキシル基及び/又は水酸基が付与されたものであってもよい。
0018
これらの中でも、高温接着性、耐熱性、及びフィルム形成性の観点から、(A)成分はポリイミド樹脂であることが好ましい。ポリイミド樹脂は、例えば、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとを公知の方法で縮合反応させて得ることができる。
0019
上記縮合反応における、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとの混合モル比は、テトラカルボン酸二無水物の合計1.0molに対して、ジアミンの合計が0.5〜2.0molであることが好ましく、0.8〜1.0molであることがより好ましい。なお、テトラカルボン酸無水物、及びジアミンの添加順序は任意でよい。
0020
(B)成分は、光重合可能な化合物、光架橋可能な化合物であれば、特に制限なく用いることができるが、例えば、分子内に少なくとも1つのエチレン性不飽和結合を有する化合物を用いることができる。(C)成分は、(B)成分を重合させることができるものであれば、特に制限は無く、通常用いられる光重合開始剤から適宜選択することができる。
0021
感光性封止樹脂組成物4による封止はラミネート方式でもコンプレッション方式でも構わない。フィルム状の感光性封止樹脂組成物を用いて、ラミネートすることで、生産性が向上する。開口部5は露光処理及び現像処理によって開口される(図4参照)。露光処理については、マスクパターンを通して活性光線を照射することにより、感光性封止樹脂組成物4の所定部分を露光し、光硬化させる。活性光線の光源としては、公知の光源を用いることができるが、カーボンアーク灯、水銀蒸気アーク灯、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、キセノンランプ等の紫外線を有効に放射するものを使用できる。また、直接描画方式のダイレクトレーザ露光を用いてもよい。露光量は、使用する装置や感光性封止樹脂組成物4の組成によって異なるが、好ましくは100〜1000mJ/cm2であり、より好ましくは600〜800mJ/cm2である。露光量が100mJ/cm2以上であれば光硬化が充分となり成型しやすくなる傾向にあり、他方、1000mJ/cm2以下であれば開口部5を感光性封止樹脂組成物4の上面から、固定部材2上まで貫通させた状態で形成させることに有利となる。次いで、現像により露光部以外の感光性封止樹脂組成物4を除去することで、被覆した感光性封止樹脂組成物4から固定部材2を露出させる。現像処理に用いる現像液としては、例えば、20〜50℃のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(1〜5質量%水溶液)等のアルカリ現像液が用いられ、スプレー、揺動浸漬、ブラッシング及びスクラッピング等の公知の方法により現像する。これにより所定のパターンが形成される。感光性封止樹脂組成物4の現像液に対する溶解速度については、3.0μm/s以下であり、より好ましくは1.0〜2.5μm/sである。3.0μm/s以下であれば露光操作によって形成したパターン形状を比較的良好に保持することが出来る。一方、3.0μm/sを超えて大きい場合は、未露光部のみならず露光部においての溶解度も大きくなり、開口部の形成不良を起こすといった不具合が生じる傾向にある。なお、現像液に対する溶解速度は、用いる感光性封止樹脂組成物、現像液(種類、温度)等によって、調整することができる。現像処理により開口部5を設けた後、150℃前後で1時間程度の熱硬化処理を行っても構わない。感光性封止樹脂組成物4の厚さは、50〜200μmであることが好ましい。感光性封止樹脂組成物4の厚さは、図3の固定部材2の上面に接する感光性封止樹脂組成物面からその反対面の高さである。50μm以上であることで、半導体素子3を封止することが容易になる傾向がある。一方、200μm以下であれば、封止後の反り発生を抑制し、開口部5の形成を容易に出来る傾向がある。
感光性封止樹脂組成物の、最低溶融粘度は、10〜500Pa・sであってもよい。なお、最低溶融粘度は、露光前の感光性封止樹脂組成物を用い、昇温10℃/min、周波数1Hzに設定し、25〜200℃の範囲で溶融粘度を測定した値とする。
露光処理及び熱硬化処理後の、感光性封止樹脂組成物4の硬化物の、0〜80℃における熱膨張係数は20×10-6〜80×10-6/Kであることが好ましい。20×10-6/K以上であれば、フィラーを増量しなくてもよく、感光性封止樹脂組成物4の解像性を低下させる懸念が少なくなる。また、80×10-6/K以下の場合は、パッケージの反りを抑制しやすくなる傾向となる。熱硬化処理は、150℃前後で1時間程度行うことが好ましい。好ましくは100〜230℃、より好ましくは120〜220℃、さらに好ましくは140〜210℃であり、硬化時間についても特に限定するものではないが、好ましくは30〜300分間、より好ましくは40〜240分間、更に好ましくは50〜200分間である。
0022
次いで、感光性封止樹脂組成物4の開口部5に導電性の材料を付与する(図5参照)。導電性の材料はAl、Cu、Sn、Ni、Au、Ag等の他、導電性を有する材料又は合金を付与できる。付与方法としては、スパッタリング、PVD、CVD、電解めっき、無電解めっき等が挙げられる。特に電解めっきを施す場合、予めスパッタリング等によって金属のシード層を形成し、次いで電解めっき等の方法で開口部に金属を付与(充填)することができる。金属めっきを形成する前に固定部材2上の残渣を除去する目的で、酸洗処理やプラズマ処理を施しても構わない。
0023
次いで、半導体素子固定用基材1及び固定部材2を除去する(図6、反転した状態を示す。)。除去方法については特に制限するものではないが、固定部材2に熱剥離性のものを使用し、加熱をすることで、半導体素子固定用基材1及び固定部材2を除去することが出来る。
0024
感光性封止樹脂組成物4上に形成する再配線絶縁層7及び9に用いる材料は、感光性樹脂でも熱硬化性樹脂でも構わない(図7、8及び9参照)。また、液状でもフィルム状でも構わない。液状の感光性材料を用いる場合は、スピンコーターで所定の厚さの層を形成し、その後、露光、現像処理により所定のパターンを形成し、窒素雰囲気で熱硬化させる。その後、必要に応じて、無電解めっきやスパッタ処理等によりシード層を形成する(図示省略)。その後、配線形成用レジストを形成し、露光、現像処理によりパターンを形成する。次いで、電解めっき等により配線パターン8を形成する(図8参照)。次いで、レジストをはく離し、シード層を除去する(図示省略)。その後、感光性材料で再配線絶縁層9を形成する(図9参照)。多層化が必要な場合は、これらサイクルを再度繰り返すことができる。無電解銅めっき法によりシード層を形成する場合、シード層の厚さは特に制限はないが、通常0.1〜1.0μmが好ましく使用される。配線パターン8を形成する前にシード層を形成することにより、電解銅めっき法が可能となり、選択的に配線パターン8を形成することができる。シード層の形成は無電解銅めっき法の他に、スパッタ法によっても形成できる。ターゲットは適宜選択できるが、Ti/Cuが一般的である。TiやCuの層の厚さは特に制限はないが、Tiで20〜100nm、Cuで100〜500nm程度が好適である。はんだボール形成のため最外層の電極には市販の無電解ニッケル/金めっき液等を用いてめっき処理を施すこともできる。ニッケルめっきの厚みは、好ましくは1〜10μmであり、金めっきの厚みは、好ましくは0.01〜1.0μm、より好ましくは0.05〜0.15μmである。
0025
次いで、図9に示すように、電極にはんだボール10を搭載する。はんだボール10の搭載は市販のN2リフロー装置等を用いて容易に行うことができる。はんだボール10の搭載のタイミングは特に限定するものではなく、必要に応じて個片化後でもかまわない。
最後に、図10に示すように、個片化することで、半導体装置100を得ることができる。
0026
上記の半導体パッケージ100は、微細化や多ピン化が必要とされる形態において特に好適である。特に、本発明の製造方法は、FO−WLP(Fan−out Wafer Level Package)を三次元化する形態において好適である。
0027
以上、本発明に係る半導体装置(半導体パッケージ)の製造方法、及び半導体パッケージ用材料について説明したが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を行ってもよい。
0028
本開示の目的及び利点を、以下の実施例によって更に例示するが、これらの実施例において列挙される特定の材料及びその量並びに他の諸条件及び詳細によって、本開示を不当に制限するものではないと解釈すべきである。
0029
まず、半導体素子固定用基材としてSUS板(SUS304を直径220mm、厚さ1.5mmに加工したもの)を準備した。SUS板の表面には厚さ18μmの固定部材(日東電工株式会社製、商品名:リバアルファ;熱はく離シート)をロールラミネーター(株式会社ラミーコーポレーション製、商品名:HOTDOG 12DX、温度60℃、線圧4kgf/cm(39.2N/cm)、送り速度0.5m/分)を用いて貼付した(図1)。その際、固定部材(リバアルファ)フィルムの加熱によって発泡する面(発泡面)とは反対側を、上記SUS板と張り合わせた。
0030
<半導体素子用シリコンウェハの準備>
8inchウェハの半導体素子(株式会社ウォルツ製、商品名:WALTS−TEGCC80−0101JY_(PI)_ModelI)を準備した(図省略)。ウェハ厚さはバックグラインド加工を行い、40μmの厚さに加工した。
0031
<ダイシングテープの半導体素子用シリコンウェハへの貼付>
ダイシングテープ(日立化成株式会社製、商品名:HAE−1504)を準備した。ダイシングテープの形成方法を以下に示す。上記半導体素子用ウェハの能動面とは反対側の面にダイシングテープを、保護フィルムのポリエチレンフィルムをはく離して、プレス式真空ラミネータ(株式会社名機製作所製、商品名:MVLP−500)を用いて貼付した。プレス条件は、プレス熱板温度40℃、真空引き時間30秒、ラミネートプレス時間60秒、気圧4kPa以下、圧着圧力0.5MPaの下で行った。
0032
<半導体素子の準備>
上記のダイシングテープ貼付済み半導体素子用シリコンウェハを縦10mm、横10mmのサイズに個片化した。個片化にはシリコンウェハ用ダイシングソー(株式会社ディスコ製、商品名:DAD−3350)を用いた。ダイシングブレードには27HEFFを用い、一分間あたりの回転数は30000回転/分、切削速度は20mm/秒で行なった。
0033
<半導体素子の実装>
個片化した上記半導体素子を能動面が上記固定部材に貼り合わさるように実装した(図2参照)。実装にはフリップチップボンダー(パナソニック株式会社製、商品名:FCB3 NM−SB50A)を用いた。ステージ上に固定部材を貼付したSUS板を、吸引によって固定した。ステージ設定温度を50℃、フリップチップボンダーのヘッド温度が50℃、圧着時間1秒間の設定で実装した。圧着時の荷重は10Nで行った。
0034
<感光性封止樹脂組成物の合成:アルカリ可溶性樹脂PI−1>
撹拌機、温度計、窒素置換装置(窒素流入管)、及び水分受容器付きの還流冷却器を備えた300mL丸底フラスコ内に、ジアミンである2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(セントラル硝子株式会社製、商品名:BIS−AP−AF、分子量:366、)を39g(0.11mol)、D−400(ポリオキシアルキレンジアミン、BASF社製、商品名:D−400、分子量:433)を46g(0.11mol)、BY16−871EG(シロキサンジアミン、東レ・ダウコーニング株式会社製、商品名:BY16−871EG、分子量:248.5)を6.6g(0.027mol)、m−AP(メタアミノフェノール、和光純薬工業株式会社製、特級)を13.1g(0.12mol)、及び溶媒であるNMP(N−メチルピロリドン、和光純薬株式会社製、脱水)200gを仕込み、撹拌してジアミンを溶媒に溶解させた。
0035
上記フラスコを氷浴中で冷却しながら、ODPA(4,4´−オキシジフタル酸二無水物、東京化成工業株式会社製)を93g(0.30mol)、フラスコ内の溶液に少量ずつ添加した。添加終了後、窒素ガスを吹き込みながら溶液を180℃に昇温させて3時間保温して、アルカリ可溶性樹脂である、ポリイミド樹脂PI−1を得た。得られたポリイミド樹脂をアルミカップ上に薄く塗布し、熱風対流式乾燥機(株式会社二葉科学製、商品名:MSO−80TPS)を用いて180℃で3時間乾燥させた後の質量減少から、ポリイミドの加熱残分を測定したところ75質量%であった。
0036
<感光性封止樹脂組成物溶液(S—1)の調製>
上記で得られたアルカリ可溶性樹脂、及び、以下に示すその他の化合物を用いて、下記に示す組成比(単位:質量部)にて各成分を配合し、感光性封止樹脂組成物溶液(S—1)を得た。
0037
(I)イソシアヌル酸EO変性ジ及びトリアクリレート(東亜合成株式会社製、商品名:M−313):29.8質量%。
(II)ビスフェノールF型ビスグリシジルエーテル(東都化成工業株式会社製、商品名:YDF−870GS):18.24質量%。
(III)トリスフェノール化合物(α,α,α´−トリス(4−ヒドロキシフェノル)−1−エチル−4−イソプロピルベンゼン)(本州化学工業株式会社製、商品名:TrisP−PA):4.3質量%。
(IV)疎水性フュームドシリカ(平均粒径:約16nm)(日本アエロジル株式会社製、商品名:R−972)(N−メチル−2−ピロリドン(関東化学株式会社製、特級)中に20質量%分散):4.3質量%。
(V)上記アルカリ可溶性樹脂(ポリイミド樹脂PI−1):42.5質量%。
(VI)光開始剤(ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド(BASF社製、商品名:I−819)):1.24質量%。
(VII)ジクミルパーオキサイド(日油株式会社製、商品名:パークミルD)0.43質量%。
(VIII)硬化促進剤(四国化成工業株式会社製、商品名:2P4MHZ)(N−メチル−2−ピロリドン(関東化学株式会社製、特級)中に10質量%溶解):0.43質量%。
(IX)溶媒(N−メチル−2−ピロリドン)(関東化学株式会社製、特級):10mL。
0038
<感光性封止樹脂組成物の合成:アルカリ可溶性樹脂PI−2>
撹拌機、温度計、窒素置換装置(窒素流入管)、及び水分受容器付きの還流冷却器を備えた300mL丸底フラスコ内に、ジアミンである2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(セントラル硝子株式会社製、商品名:BIS−AP−AF、分子量:366、)を54g(0.15mol)、D−400(ポリオキシアルキレンジアミン、BASF社製、商品名:D−400、分子量:433)を22g(0.051mol)、BY16−871EG(シロキサンジアミン、東レ・ダウコーニング株式会社製、商品名:BY16−871EG、分子量:248.5)を6.6g(0.027mol)、m−AP(メタアミノフェノール、和光純薬工業株式会社製、特級)を13.1g(0.12mol)、及び溶媒であるNMP(N−メチルピロリドン、和光純薬株式会社製、脱水)200gを仕込み、撹拌してジアミンを溶媒に溶解させた。
0039
上記フラスコを氷浴中で冷却しながら、ODPA(4,4´−オキシジフタル酸二無水物、東京化成工業株式会社製)を93g(0.30mol)、フラスコ内の溶液に少量ずつ添加した。添加終了後、窒素ガスを吹き込みながら溶液を180℃に昇温させて3時間保温して、アルカリ可溶性樹脂である、ポリイミド樹脂PI−2を得た。得られたポリイミド樹脂をアルミカップ上に薄く塗布し、熱風対流式乾燥機(株式会社二葉科学製、商品名:MSO−80TPS)を用いて180℃で3時間乾燥させた後の質量減少から、ポリイミドの加熱残分を測定したところ75質量%であった。
0040
<感光性封止樹脂組成物溶液(S—2)の調製>
アルカリ可溶性樹脂(PI−1)の代わりに、アルカリ可溶性樹脂(PI−2)を用いた以外は、感光性封止樹脂組成物溶液(S−1)と同様の方法で、感光性封止樹脂組成物溶液(S−2)を得た。
0041
<感光性封止樹脂組成物の合成:アルカリ可溶性樹脂PI−3>
撹拌機、温度計、窒素置換装置(窒素流入管)、及び水分受容器付きの還流冷却器を備えた300mL丸底フラスコ内に、ジアミンである2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(セントラル硝子株式会社製、商品名:BIS−AP−AF、分子量:366、)を77.5g(0.21mol)、BY16−871EG(シロキサンジアミン、東レ・ダウコーニング株式会社製、商品名:BY16−871EG、分子量:248.5)を6.6g(0.027mol)、m−AP(メタアミノフェノール、和光純薬工業株式会社製、特級)を13.1g(0.12mol)、及び溶媒であるNMP(N−メチルピロリドン、和光純薬株式会社製、脱水)200gを仕込み、撹拌してジアミンを溶媒に溶解させた。
0042
上記フラスコを氷浴中で冷却しながら、ODPA(4,4´−オキシジフタル酸二無水物、東京化成工業株式会社製)を93g(0.30mol)、フラスコ内の溶液に少量ずつ添加した。添加終了後、窒素ガスを吹き込みながら溶液を180℃に昇温させて3時間保温して、アルカリ可溶性樹脂である、ポリイミド樹脂PI−3を得た。得られたポリイミド樹脂をアルミカップ上に薄く塗布し、熱風対流式乾燥機(株式会社二葉科学製、商品名:MSO−80TPS)を用いて180℃で3時間乾燥させた後の質量減少から、ポリイミドの加熱残分を測定したところ75質量%であった。
0043
<感光性封止樹脂組成物溶液(S−3)の調製>
アルカリ可溶性樹脂(PI−1)の代わりに、アルカリ可溶性樹脂(PI−3)を用いた以外は、感光性封止樹脂組成物溶液(S−1)と同様の方法で、感光性封止樹脂組成物溶液(S−3)を得た。
0044
<感光性封止樹脂組成物の合成:アルカリ可溶性樹脂PI−4>
撹拌機、温度計、窒素置換装置(窒素流入管)、及び水分受容器付きの還流冷却器を備えた300mL丸底フラスコ内に、ジアミンである2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(セントラル硝子株式会社製、商品名:BIS−AP−AF、分子量:366、)を43.8g(0.12mol)、D−400(ポリオキシアルキレンジアミン、BASF社製、商品名:D−400、分子量:433)を51.9g(0.12mol)、BY16−871EG(シロキサンジアミン、東レ・ダウコーニング株式会社製、商品名:BY16−871EG、分子量:248.5)を7.47g(0.030mol)、m−AP(メタアミノフェノール、和光純薬工業株式会社製、特級)を6.54g(0.060mol)、及び溶媒であるNMP(N−メチルピロリドン、和光純薬株式会社製、脱水)200gを仕込み、撹拌してジアミンを溶媒に溶解させた。
0045
上記フラスコを氷浴中で冷却しながら、ODPA(4,4´−オキシジフタル酸二無水物、東京化成工業株式会社製)を93g(0.30mol)、フラスコ内の溶液に少量ずつ添加した。添加終了後、窒素ガスを吹き込みながら溶液を180℃に昇温させて3時間保温して、アルカリ可溶性樹脂である、ポリイミド樹脂PI−4を得た。得られたポリイミド樹脂をアルミカップ上に薄く塗布し、熱風対流式乾燥機(株式会社二葉科学製、商品名:MSO−80TPS)を用いて180℃で3時間乾燥させた後の質量減少から、ポリイミドの加熱残分を測定したところ75質量%であった。
0046
<感光性封止樹脂組成物溶液(S−4)の調製>
アルカリ可溶性樹脂(PI−1)の代わりに、アルカリ可溶性樹脂(PI−4)を用いた以外は、感光性封止樹脂組成物溶液(S−1)と同様の方法で、感光性封止樹脂組成物溶液(S−4)を得た。
0047
<感光性封止樹脂組成物の合成:アルカリ可溶性樹脂PI−5>
撹拌機、温度計、窒素置換装置(窒素流入管)、及び水分受容器付きの還流冷却器を備えた300mL丸底フラスコ内に、ジアミンである2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(セントラル硝子株式会社製、商品名:BIS−AP−AF、分子量:366、)を18g(0.049mol)、D−400(ポリオキシアルキレンジアミン、BASF社製、商品名:D−400、分子量:433)を65g(0.15mol)、BY16−871EG(シロキサンジアミン、東レ・ダウコーニング株式会社製、商品名:BY16−871EG、分子量:248.5)を6.6g(0.027mol)、m−AP(メタアミノフェノール、和光純薬工業株式会社製、特級)を13.1g(0.12mol)、及び溶媒であるNMP(N−メチルピロリドン、和光純薬株式会社製、脱水)200gを仕込み、撹拌してジアミンを溶媒に溶解させた。
0048
<感光性封止樹脂組成物溶液の調製>
上記フラスコを氷浴中で冷却しながら、ODPA(4,4´−オキシジフタル酸二無水物、東京化成工業株式会社製)を93g(0.30mol)、フラスコ内の溶液に少量ずつ添加した。添加終了後、窒素ガスを吹き込みながら溶液を180℃に昇温させて3時間保温して、アルカリ可溶性樹脂である、ポリイミド樹脂PI−5を得た。得られたポリイミド樹脂をアルミカップ上に薄く塗布し、熱風対流式乾燥機(株式会社二葉科学製、商品名:MSO−80TPS)を用いて180℃で3時間乾燥させた後の質量減少から、ポリイミドの加熱残分を測定したところ75質量%であった。
0049
<感光性封止樹脂組成物溶液(S—5)の調製>
アルカリ可溶性樹脂(PI−1)の代わりに、アルカリ可溶性樹脂(PI−5)を用いた以外は、感光性封止樹脂組成物溶液(S−1)と同様の方法で、感光性封止樹脂組成物溶液(S—5)を得た。
0050
<感光性封止樹脂組成物の合成:アルカリ可溶性樹脂PI−6>
撹拌機、温度計、窒素置換装置(窒素流入管)、及び水分受容器付きの還流冷却器を備えた300mL丸底フラスコ内に、ジアミンである2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(セントラル硝子株式会社製、商品名:BIS−AP−AF、分子量:366、)を39g(0.11mol)、D−400(ポリオキシアルキレンジアミン、BASF社製、商品名:D−400、分子量:433)を46g(0.11mol)、BY16−871EG(シロキサンジアミン、東レ・ダウコーニング株式会社製、商品名:BY16−871EG、分子量:248.5)を6.6g(0.027mol)、m−AP(メタアミノフェノール、和光純薬工業株式会社製、特級)を13.1g(0.12mol)、及び溶媒であるNMP(N−メチルピロリドン、和光純薬株式会社製、脱水)200gを仕込み、撹拌してジアミンを溶媒に溶解させた。
0051
上記フラスコを氷浴中で冷却しながら、ODPA(4,4´−オキシジフタル酸二無水物、東京化成工業株式会社製)を93g(0.30mol)、フラスコ内の溶液に少量ずつ添加した。添加終了後、窒素ガスを吹き込みながら溶液を180℃に昇温させて3時間保温して、アルカリ可溶性樹脂である、ポリイミド樹脂PI−6を得た。得られたポリイミド樹脂をアルミカップ上に薄く塗布し、熱風対流式乾燥機(株式会社二葉科学製、商品名:MSO−80TPS)を用いて180℃で3時間乾燥させた後の質量減少から、ポリイミドの加熱残分を測定したところ75質量%であった。
0052
<感光性封止樹脂組成物溶液(S—6)の調製>
上記で得られたアルカリ可溶性樹脂、及び、以下に示すその他の化合物を用いて、下記に示す組成比(単位:質量部)にて各成分を配合し、感光性封止樹脂組成物溶液(S—6)を得た。
0053
(I)イソシアヌル酸EO変性ジ及びトリアクリレート(東亜合成株式会社製、商品名:M−313):33.4質量%。
(II)ビスフェノールF型ビスグリシジルエーテル(東都化成工業株式会社製、商品名:YDF−870GS):9.5質量%。
(III)トリスフェノール化合物(α,α,α´−トリス(4−ヒドロキシフェノル)−1−エチル−4−イソプロピルベンゼン)(本州化学工業株式会社製、商品名:TrisP−PA):2.39質量%。
(IV)疎水性フュームドシリカ(平均粒径:約16nm)(日本アエロジル株式会社製、商品名:R−972)(N−メチル−2−ピロリドン(関東化学株式会社製、特級)中に20質量%分散):4.77質量%。
(V)上記アルカリ可溶性樹脂(ポリイミド樹脂PI−6):47.7質量%
(VI)光開始剤(ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド(BASF社製、商品名:I−819)):1.43質量%。
(VII)ジクミルパーオキサイド(日油株式会社製、商品名:パークミルD)0.48質量%。
(VIII)硬化促進剤(四国化成工業株式会社製、商品名:2P4MHZ)(N−メチル−2−ピロリドン(関東化学株式会社製、特級)中に10質量%溶解):0.24質量%。
(IX)溶媒(N−メチル−2−ピロリドン)(関東化学株式会社製、特級):10mL。
0054
<感光性封止樹脂組成物溶液(SE−1)の調整>
下記に示す組成比(単位:質量部)にて各成分を配合し、感光性封止樹脂組成物溶液(SE−1)を得た。
(I)酸変性クレゾールノボラック型エポキシアクリレート(DIC株式会社製、商品名:EXP−2810):39.2質量%。
(II)光反応性化合物(ジペンタエリスリトールペンタアクリレート及びジペンタエリスリトールヘキサアクリレート混合物、日本化薬株式会社製、商品名:KAYARADDPHA):6.9質量%。
(III)光開始剤として、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−ホスフィンオキサイド、BASF社製、商品名:DAROCURE−TPO):1.4質量%、及び2,4−ジエチルチオキサントン(日本化薬株式会社製、商品名:カヤキュアDETX−S):0.1質量%。
(IV)熱硬化樹脂(ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂(日本化薬株式会社製、商品名:NC−3000H):4.6質量%、ビスフェノールF型エポキシ樹脂である(新日鉄住金化学株式会社製、商品名:YSLV−80):9.2質量%。
(V)無機フィラー成分:硫酸バリウム(堺化学工業株式会社製、商品名:B30):14質量%、シリカ(株式会社アドマテックス社製、サンプル名:MEKスラリー(1)):23質量%。無機充填材の感光性樹脂組成物中に分散した状態における平均粒径及び最大粒径は、レーザー回折散乱式マイクロトラック粒度分布計(日機装株式会社製、商品名:MT−3100)を用いて測定した。B30の平均粒径が0.3μm、MEKスラリー(1)の平均粒径が0.5μmであった。また、B30及びMEKスラリーを含む無機充填材の最大粒径は3μm以下であった。また、フィルム化後の無機充填材の粒径はフィルムを硬化後に断面を電子顕微鏡(株式会社日立ハイテクノロジーズ製、商品名:SU−1510)で観察して確認した。フィルム中に分散されている無機充填材の最大粒径が5μm以下であることを確認した。
(VI)その他成分としては以下のものを用いた。ブタジエン系エラストマ(株式会社ダイセル製、商品名:エポリードPB3600):1.4質量%、重合禁止剤(川口化学工業株式会社製、商品名:アンテージ500):0.2質量%。
0055
<感光性封止樹脂組成物溶液(SE−2)の調整>
下記に示す組成比(単位:質量部)にて各成分を配合し、感光性封止樹脂組成物溶液(SE−2)を得た。
(I)酸変性クレゾールノボラック型エポキシアクリレート(DIC株式会社製、商品名:EXP−2810):48.4質量%。
(II)光反応性化合物(ジペンタエリスリトールペンタアクリレート及びジペンタエリスリトールヘキサアクリレート混合物、日本化薬株式会社製、商品名:KAYARADDPHA):8.5質量%。
(III)光開始剤として、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−ホスフィンオキサイド、BASF社製、商品名:DAROCURE−TPO):1.7質量%、及び2,4−ジエチルチオキサントン(日本化薬株式会社製、商品名:カヤキュアDETX−S):0.2質量%。
(IV)熱硬化樹脂(ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂(日本化薬株式会社製、商品名:NC−3000H):5.7質量%、ビスフェノールF型エポキシ樹脂である(新日鉄住金化学株式会社製、商品名:YSLV−80):11質量%。
(V)無機フィラー成分:硫酸バリウム(堺化学工業株式会社製、商品名:B30):8.5質量%、シリカ(株式会社アドマテックス社製、サンプル名:MEKスラリー(1)):14質量%。無機充填材の感光性樹脂組成物中に分散した状態における平均粒径及び最大粒径は、レーザー回折散乱式マイクロトラック粒度分布計(日機装株式会社製、商品名:MT−3100)を用いて測定した。B30の平均粒径が0.3μm、MEKスラリー(1)の平均粒径が0.5μmであった。また、B30及びMEKスラリーを含む無機充填材の最大粒径は3μm以下であった。また、フィルム化後の無機充填材の粒径はフィルムを硬化後に断面を電子顕微鏡(株式会社日立ハイテクノロジーズ製、商品名:SU−1510)で観察して確認した。フィルム中に分散されている無機充填材の最大粒径が5μm以下であることを確認した。
(VI) その他成分としては以下のものを用いた。ブタジエン系エラストマ(株式会社ダイセル製、商品名:エポリードPB3600):1.7質量%、重合禁止剤(川口化学工業株式会社製、商品名:アンテージ500):0.3質量%。
0056
<感光性封止樹脂組成物溶液のフィルム成形>
上記で得られた感光性封止樹脂組成物溶液を用いて下記に示す操作でフィルム状に成形し、実施例1〜9及び比較例1〜3の感光性封止樹脂組成物(フィルム状の感光性封止樹脂材料)を得た。支持層である厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(帝人株式会社製、商品名:G2−16)上に、上記で得られた感光性封止樹脂組成物溶液をコーター(株式会社康井精機製、商品名:βコーターSNC280)を使用して均一に塗布することにより感光性封止樹脂組成物層を形成した。塗布速度は3.0mm/minとした。続いて、熱風対流式乾燥機(株式会社二葉科学製、商品名:MSO−80TPS)を用いて80℃で20分間乾燥したのち、さらに120℃で20分間乾燥した。塗布時の厚みについては、下記の手順で半導体素子を封止した後に、下記の測定方法にて測定した際に所定の厚みが得られるよう、コーターのナイフと塗布面との間隔を設定することで調整した。
0057
続いて、感光性封止樹脂組成物層の支持層と接している側とは反対側の表面上に、ポリエチレンフィルム(タマポリ株式会社製、商品名:NF−15)(保護フィルム)としてロールラミネーター(株式会社ラミーコーポレーション製、商品名:HOTDOG 12DX、温度60℃、線圧4kgf/cm(39.2N/cm)、送り速度0.5m/分)貼り合わせ、感光性封止樹脂組成物を得た。
0058
<感光性封止樹脂組成物を用いた、半導体素子の封止>
この感光性封止樹脂組成物を用いて、上記固定部材上に固定した上記半導体素子上に貼付した。感光性封止樹脂組成物の形成方法を以下に示す。上記半導体素子上に感光性封止樹脂組成物を、保護フィルムのポリエチレンフィルムをはく離して、プレス式真空ラミネータ(ニッコー・マテリアルズ株式会社製、商品名:V130)を用いて貼付した(図3参照)。ラミネート条件は、プレス用熱板温度100℃、真空引き時間18秒、ラミネートプレス時間60秒、気圧4kPa以下、圧着圧力0.4MPで行なった。
0059
<半導体素子封止後の、感光性封止樹脂組成物の厚みの計測方法>
感光性封止樹脂組成物の封止後の厚みの計測方法について説明する。
上記感光性封止樹脂組成物で上記半導体素子を封止後、半導体素子の存在しない部分の厚みを、膜厚計(株式会社ミツトヨ製、商品名:デジマチックインジケータID−H)にて測定した。
0060
<評価試験>
上記で得られた感光性封止樹脂組成物について、以下の評価試験を行った。
0061
<感光性封止樹脂組成物の現像液溶解速度測定方法>
感光性封止樹脂組成物の現像液溶解速度の測定方法について説明する。上記の感光性封止樹脂組成物で、厚み300μmに塗工したものを、厚み725μmの8インチシリコンウェハ(エナテック株式会社製)の鏡面上にプレス式真空ラミネータ(ニッコー・マテリアルズ株式会社製、商品名:V130)を用いて貼付した。ラミネート条件は、プレス用熱板温度100℃、真空引き時間18秒、ラミネートプレス時間60秒、気圧4kPa以下、圧着圧力0.4MPで行なった。貼付後、膜厚計(株式会社ミツトヨ製、商品名:デジマチックインジケータID−H)にて膜厚を測定し、これを初期値とした。スピン現像機(ミカサ株式会社製、商品名:AD−3000、スプレー圧力0.2MPa、スキャン幅4.0cm、スキャン速度5.0cm/秒)を用いて26℃の2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(多摩化学工業株式会社製)を20秒間スプレーし、次いで20秒間純水で洗浄、さらに10秒間の風乾を行なった。現像後、上記膜厚計にて膜厚を計測した。以上を繰り返し、現像時間に対する残膜量をプロットし、直線近似をすることで傾きの値から現像速度を算出した。
0062
<感光性封止樹脂組成物の溶融粘度測定方法>
感光性封止樹脂組成物の溶融粘度の測定方法について説明する。
溶融粘度は低粘度粘弾性測定装置(株式会社アントンパール・ジャパン(AntonPaar社)製、商品名:MCR−301)を用いて測定した。直径4cm、深さ5mmのアルミニウム製円形プレート(株式会社アントンパール・ジャパン製、商品名:ディスポーザブルプレートEMS/CTD600)の底部中央に、縦30mm、横30mm、厚み300μmのフィルム状に成形した感光性封止樹脂組成物を貼付し、円形プレートを装置のステージに固定した。測定セル(株式会社アントンパール・ジャパン製、商品名:Messkorperachse D−CP/PP7)を装置に取り付けた後、セルの先端には治具(株式会社アントンパール・ジャパン製、商品名:SPPYU08−07)を装着した。治具の先端が上記円形プレートの底面から200μmの高さに来るように、上記測定セルを下降し、上記治具の先端を上記感光性封止樹脂組成物内に埋没させた。測定条件は昇温10℃/min、周波数1Hzに設定し、25〜200℃の範囲で溶融粘度の測定を行なった。当該温度範囲での溶融粘度の最低値を、最低溶融粘度とした。
0063
<感光性封止樹脂測定物の貯蔵弾性率測定方法>
感光性封止樹脂組成物の、露光及び現像後の貯蔵弾性率の測定方法について説明する。まず、厚さ40μmの感光性封止樹脂組成物の層を作製し、この層を、高精度平行露光機(株式会社オーク製作所製、商品名:EXM−1172−B−∞)により1000mJ/cm2で全面露光し、次いで、80℃のホットプレート上で約30秒間加熱する。その後、上記の層に、現像機(ミカサ株式会社製、商品名:AD−3000、スプレー圧力0.2MPa、スキャン幅4.0cm、スキャン速度5.0cm/秒)を用いて26℃の2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(多摩化学工業株式会社製)を180秒間スプレーし、次いで20秒間純水で洗浄、さらに10秒間の風乾を行なった。こうして得られたフィルムを2枚用意し、120℃で10分間加熱乾燥させた後、ロールラミネーター(株式会社ラミーコーポレーション製、商品名:HOTDOG 12DX、温度60℃、線圧4kgf/cm(39.2N/cm)、送り速度0.5m/分)によって積層し、厚さが80μmの積層体を得る。次に、得られた積層体をオーブン中で180℃、3時間の条件で加熱する。この加熱硬化された積層体を5mm幅、長さ30mmの短冊状に切断したものをサンプルとし、粘弾性アナライザー(レオメトリックス社製、商品名:RSA−2)を用いて、昇温速度5℃/min、周波数1Hz、測定温度−50〜300℃の条件で測定を行い、110℃における貯蔵弾性率を求める。
0064
<感光性封止樹脂組成物の熱膨張係数測定方法>
感光性封止樹脂組成物の熱膨張係数の測定方法について説明する。まず、厚さ100μmの感光性封止樹脂組成物の層を作製し、この層を、平行露光機(株式会社オーク製作所製、商品名:EXM−1201)を使用して、1600mJ/cm2のエネルギー量で露光を行った。次いで、ホットプレート(AS−ONE株式会社製、商品名:Triplet Hotplate TH−900)の上に置き、80℃で1分間加熱した。感光性封止樹脂組成物上のポリエチレンテレフタレートを剥離し、現像機(ミカサ株式会社製、商品名:AD−3000、スプレー圧力0.2MPa、スキャン幅4.0cm、スキャン速度5.0cm/秒)を用いて26℃の2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(多摩化学工業株式会社製)を180秒間スプレーし、次いで20秒間純水で洗浄、さらに10秒間の風乾を行なった。こうして得られたフィルムを2枚用意し、120℃で10分間加熱乾燥させた後、ロールラミネーター(株式会社ラミーコーポレーション製、商品名:HOTDOG 12DX、温度60℃、線圧4kgf/cm(39.2N/cm)、送り速度0.5m/分)で積層し、厚さが200μmの積層体を得る。次に、得られた積層体をオーブン(エスペック株式会社製、商品名:PVC−212)中で175℃、2時間の条件で加熱する。この加熱硬化された積層体を5mm幅、長さ30mmの短冊状に切断して短冊状のサンプルを得た。この短冊状のサンプルの両端を治具で固定し、さらにこれを熱分析装置(セイコーインスツル株式会社製、商品名:TMA/SS6000)に固定し、荷重が一定になるように両端を引っ張りながら昇温させ、各温度でのひずみ量を測定した。荷重19.6mN、昇温速度5℃/min、測定温度−20〜250℃の条件で行い、0℃から80℃までの温度とひずみ量の直線の傾きから熱膨張係数を得た。
0065
<開口部の形成>
貼付した感光性封止樹脂組成物上に、パターンを形成したフォトマスクを密着させ、平行露光機(株式会社オーク製作所製、商品名:EXM−1201)を使用して、800mJ/cm2のエネルギー量で露光を行った。次いで、ホットプレート(アズワン株式会社製、商品名:Triplet Hotplate TH−900)の上に置き、80℃で1分間加熱した。感光性封止樹脂組成物上のポリエチレンテレフタレートを剥離し、現像機(ミカサ株式会社製、商品名:AD−3000、スプレー圧力0.2MPa、スキャン幅4.0cm、スキャン速度5.0cm/秒)を用いて26℃の2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(多摩化学工業株式会社製)を180秒間スプレーし、次いで20秒間純水で洗浄、さらに10秒間の風乾を行なうことで感光性封止樹脂組成物に開口部を設けた。続いて、平行露光機(株式会社オーク製作所製、商品名:EXM−1201)を使用して2000mJ/cm2のエネルギー量で紫外線照射を行い、オーブン(エスペック株式会社製、商品名:PVC−212)で175℃、2時間で熱硬化した(図4参照)。
0066
<電解銅めっきの形成>
上記感光性封止樹脂組成物の上記開口部に、スパッタ装置(芝浦プレシジョン株式会社製、商品名:CFS−12P−100)によってシード層を形成した。スパッタは、まず接着層としてTiを100nm成膜し、次いでCuを300nm積層させた。スパッタ時の圧力は10−5Pa、電圧印加時間はそれぞれTiが10分、Cuが30分で行った。
次いで上記開口部に、電解銅めっき法で、金属材料(銅)をめっき付与(充填)した(図5参照)。電解めっき用のめっき液組成を以下に示す。
(電解めっき液組成)
硫酸銅(和光純薬工業株式会社製、特級) 5.0g、
濃硫酸(和光純薬工業株式会社製、特級) 120g、
塩酸(和光純薬工業株式会社製、特級) 0.2g
を純水中に溶解させ、全体を1Lとした。電解めっきの手順を、以下に示す。まず陽極を銅板に接続し、陰極を上記感光性封止樹脂組成物上に形成した上記スパッタ銅に接続し、上記めっき液内に浸潤させた。電流密度を1.0A/dm2とし、4時間処理することで上記開口部内にめっき銅を付与(充填)させた。
0067
<半導体素子固定用基材、固定部材の除去>
次いで、半導体素子固定用基材の面をテープリムーバー(アズワン株式会社製、商品名:NEO HOTPLATE HI−1000)に真空吸着して150℃に加熱することで、固定部材を発泡させ、半導体素子、めっき銅を含む感光性封止樹脂組成物を剥離した(図6参照)。
0068
<再配線絶縁層の形成>
感光性封止樹脂組成物の上に再配線絶縁層を形成した(図7、8、9参照)。具体的には、スピンコーターで感光性絶縁材料(日立化成株式会社製、商品名:AH−1170T)を塗布し、マスクを装着し露光(ミカサ株式会社製、商品名:マスクアライナーMA−200、300mJ/cm2)した後、現像機(ミカサ株式会社製、商品名:AD−3000)を用い、2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(多摩化学工業株式会社製)でディップ現像(35秒浸潤後、スピンで廃液)を行なった。
次いで、200℃で窒素雰囲気(酸素濃度50体積ppm以下)下、オーブン(エスペック株式会社製、商品名:PVC−212)で1時間の熱硬化を行った。次いで、スパッタ装置(芝浦プレシジョン株式会社製、商品名:CFS−12P−100)により、Tiを100nmの厚さ蒸着し、連続してCuを300nmの厚さ蒸着し、シード層を形成した。次いで、ドライフィルムレジスト(日立化成株式会社製、商品名:Photec RY−3525)をロールラミネーター(株式会社ラミーコーポレーション製、商品名:HOTDOG 12DX、温度60℃、線圧4kgf/cm(39.2N/cm)、送り速度0.5m/分)で貼着し、パターンを形成したフォトマスクを密着させ、露光機(株式会社オーク製作所製、商品名:EXM−1201、100mJ/cm2)で露光を行った。次いで、30℃の1質量%炭酸ナトリウム水溶液で、90秒間スプレー現像を行い、ドライフィルムレジストを開口させた。次いで、電解銅めっき法により、シード層上に、厚さ5μmの銅めっきを形成した。次いで、はく離液により、ドライフィルムレジストを剥離した。次いでシード層をエッチング液より除去した。次いで、スピンコーターで再度、感光性絶縁材料(日立化成株式会社製、商品名:AH−1170T)を塗布し、露光処理及び現像処理を行った。次いで、所定温度200℃で窒素雰囲気(酸素濃度50体積ppm以下)下、1時間の熱硬化を行った(図示省略)。
0069
<はんだボール搭載>
リフロー装置(株式会社タムラ製作所製、商品名:TNP25−337EM)を用いて、窒素雰囲気(酸素濃度100体積ppm以下)ではんだボールを搭載した(図9参照)。
最後に、ダイサー(株式会社ディスコ製、商品名:DAD−3350)を用いて個片化することによって、パッケージサイズが縦15mm、横15mmの半導体装置100を得た(図10、11参照)。ダイシングブレードには27HEFF(株式会社ディスコ製)を用い(一分間あたりの回転数は30000回転/分、切削速度は20mm/秒)、個片化を行った。
0070
<感光性封止樹脂組成物の半導体素子封止後の平坦性評価方法>
半導体素子封止後の感光性封止樹脂組成物の平坦性を、半導体素子上部と半導体素子のない部分の封止後の段差で評価した。段差は膜厚計(株式会社ミツトヨ製、商品名:デジマチックインジケータID−H)にて測定した。
「◎」:半導体素子上部と、半導体素子の存在しない部分の感光性封止樹脂組成物の段差が0μmのもの
「○」:半導体素子上部と、半導体素子の存在しない部分の感光性封止樹脂組成物の段差が0μmを超え〜5μm未満のもの
「△」:半導体素子上部と、半導体素子の存在しない部分の感光性封止樹脂組成物の段差が5μm以上〜10μm未満のもの
「×」:上記に当てはまらないもの(10μm以上のもの)
0071
<パッケージ個片化後の反り量測定方>
パッケージの反り量は、個片化した半導体装置の表面を、室温下(25℃)、レーザー変位計(株式会社キーエンス製、LKG80、ステップ100μm、測定範囲縦15mm、横15mm)で測定した。得られた各点の変位から3次元の平均面を算出し、得られた平均面と、計測で得られた変位との差が最も大きいものを反り量とし、以下のように評価した。
「◎」:反り量が3μm未満のもの
「○」:反り量が3μm以上〜5μm未満のもの
「△」:反り量が5μm以上〜10μm未満のもの
「×」:上記に当てはまらないもの(10μm以上のもの)
0072
<感光性封止樹脂組成物の開口可能アスペクト比評価方法>
感光性封止樹脂組成物の開口可能アスペクト比(膜厚/開口径)については以下の基準に基づいて評価した。
「◎」:アスペクト比が2.0以上のもの
「○」:アスペクト比が1.0以上、2.0未満のもの
「×」:アスペクト比が1.0未満のもの
0073
<パッケージ個片化後の耐熱衝撃試験評価方法>
耐熱衝撃試験は、個片化した同一のパッケージを5つ熱衝撃試験機(エスペック株式会社製、NT−1010)中に静置し、最低温度−55℃から最高温度125℃を一回の温度サイクルとして、1000回の温度サイクルに曝した。その後、各パッケージの開口部を無作為に100個抽出しヒビ割れや剥がれ等の欠陥数を金属顕微鏡(オンリンパス株式会社製、正立金属顕微鏡BX51)を使用して数えた。これを5つのパッケージで行い平均値をとり、以下の基準に基づいて評価した。
「A」:開口部100個中、欠陥を生じた開口部の平均数が10個以下のもの
「B」:開口部100個中、欠陥を生じた開口部の平均数が10個を超えて、50個以下のもの
「C」:開口部100個中、欠陥を生じた開口部の平均数が50個を超えるもの
0074
溶解速度、封止後の感光性封止樹脂組成物の厚み、最低溶融粘度、および熱膨張係数に関して行った実施例1〜9の感光性封止樹脂組成物の測定(評価)結果を表1に示した。
0075
0076
比較例1〜3の感光性封止樹脂組成物の測定(評価)結果を表2に示した。
0077
実施例
0078
表1及び表2に示す通り、本発明の感光性封止用樹脂組成物及び半導体装置の製造方法によれば、溶解速度が3.0μm/s以下であれば露光操作によって形成した微細な開口部を封止材に有する半導体装置(パッケージ)を製造できることが確認された。他方、溶解速度が3.0μm/sを超えて高い比較例1、比較例2、及び比較例3ではアスペクト比に悪影響をし、高アスペクト形状が得られにくくなる傾向にある。半導体素子封止後の封止材厚みが200μmを超えて大きい実施例4では、封止後のパッケージ反り量がやや悪化する傾向にあり、50μmよりも小さい実施例5では封止後の平坦性がやや劣る結果となった。最低溶融粘度が500Pa・sを超える実施例8では封止後の平坦性が劣る傾向にあり、熱膨張係数が80×10-6/Kを超えて大きい実施例8及び実施例9では封止後のパッケージ反り量に劣る傾向にある。