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技術 電子写真用の導電性部材、その製造方法、プロセスカートリッジ及び電子写真装置

出願人 キヤノン株式会社
発明者 冨永早希伏本康宏村中則文山内一浩吉留健
出願日 2016年10月4日 (5年1ヶ月経過) 出願番号 2016-196575
公開日 2017年4月13日 (4年7ヶ月経過) 公開番号 2017-072833
状態 特許登録済
技術分野 電子写真一般。全体構成、要素 ロール及びその他の回転体
主要キーワード 平面出し 弾性率分布 PM画像 ミクロ領域 事前評価 発熱抑制 ローラ電流 測定用セル内
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2017年4月13日)のものです。
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図面 (7)

課題

長期間の継続的な使用によっても電気抵抗値の経時的な変化が少ない電子写真用導電性部材を提供する。

解決手段

導電性部材は、導電性軸芯体と該導電性軸芯体上の導電性弾性層とを有し、該導電性弾性層の弾性率が1MPa以上100MPa以下である電子写真用導電性部材において、該導電性弾性層は、第1のゴムを含むマトリクス、及び、該マトリクス中に分散された複数の導電性ドメインを有し、該導電性ドメインは導電性粒子を含み、複数の該導電性ドメインの周囲には、第2のゴムを含む領域が存在し、該マトリクスの弾性率をR1、該第2のゴムを含む領域の弾性率をR2としたとき、「R1<R2」の関係を満たす。

概要

背景

電子写真方式を採用した画像形成装置である電子写真装置においては、導電性部材が様々な用途、例えば、帯電ローラ現像ローラ転写ローラなどの導電性ローラとして使用されている。これらの導電性ローラは、電気抵抗値を103〜1010Ωに制御する必要があり、導電層導電性を調整するために、カーボンブラックに代表される導電性粒子が添加された弾性層を設けている。導電性粒子は分散状態によって電気抵抗値が変動しやすく、導電性部材の電気抵抗値を安定させることが困難な場合があった。

また、導電性部材が電子写真装置中の感光体などと当接して使用される場合には、弾性層に連続的および断続的な繰り返し圧縮が加えられ、それにより、カーボンブラックに代表される導電性粒子の分散状態が変化して電気抵抗値が変動する場合があった。導電性部材の電気抵抗値の変動を抑制させる手段として、特許文献1には、DBP吸収量粒径および添加量を最適化したカーボンブラックを極性ゴム中に分散させた導電性部材が開示されている。

概要

長期間の継続的な使用によっても電気抵抗値の経時的な変化が少ない電子写真用の導電性部材を提供する。導電性部材は、導電性軸芯体と該導電性軸芯体上の導電性弾性層とを有し、該導電性弾性層の弾性率が1MPa以上100MPa以下である電子写真用導電性部材において、該導電性弾性層は、第1のゴムを含むマトリクス、及び、該マトリクス中に分散された複数の導電性ドメインを有し、該導電性ドメインは導電性粒子を含み、複数の該導電性ドメインの周囲には、第2のゴムを含む領域が存在し、該マトリクスの弾性率をR1、該第2のゴムを含む領域の弾性率をR2としたとき、「R1<R2」の関係を満たす。

目的

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
0件

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請求項1

導電性軸芯体と、該導電性軸芯体上の導電性弾性層とを有する電子写真用導電性部材であって、該導電性弾性層の弾性率が、1MPa以上100MPa以下であり、該導電性弾性層は、第1のゴムを含むマトリクス、及び、該マトリクス中に分散された複数の導電性ドメインを有し、該導電性ドメインは導電性粒子を含み、複数の該導電性ドメインの周囲に、第2のゴムを含む領域が存在し、該マトリクスの弾性率をR1、該第2のゴムを含む領域の弾性率をR2としたとき、「R1<R2」の関係を満たすことを特徴とする電子写真用の導電性部材。

請求項2

前記導電性弾性層は、温度50℃における水素核スピン−スピン緩和時間が200μS以上500μS以下の範囲内である請求項1に記載の電子写真用の導電性部材。

請求項3

前記導電性粒子がカーボンブラックである請求項1または2に記載の電子写真用の導電性部材。

請求項4

前記導電性弾性層の第1のゴムがニトリルブタジエンゴムまたはスチレンブタジエンゴムである請求項1〜3のいずれかの一項に記載の電子写真用の導電性部材。

請求項5

請求項1〜のいずれかの一項に記載の電子写真用の導電性部材の製造方法であって、(1)第1のゴムの原料と、導電性粒子とを含む導電性弾性層形成用のゴム混合物を、2軸混練押し出し機または帰還型スクリュを備えた高せん断加工機を用いて熔融混練する工程と、(2)工程(1)で得られた熔融混練物の層を導電性軸芯体上に形成する工程と、(3)該熔融混練物の層を硬化させる工程と、を有することを特徴とする電子写真用の導電性部材の製造方法。

請求項6

前記工程(1)が、前記ゴム混合物を2軸混練押し出し機を用いて熔融混練する工程であって、該2軸混練押し出し機で該ゴム混合物に対して500〜1500sec−1のせん断速度を印加する工程を含む請求項5に記載の電子写真用の導電性部材の製造方法。

請求項7

前記工程(1)が、前記ゴム混合物を帰還型スクリュを備えた高せん断加工機を用いて熔融混練する工程であって、該帰還型スクリュを備えた高せん断加工機で該ゴム混合物に対して500〜10000sec−1のせん断速度を印加する工程を含む請求項5に記載の電子写真用の導電性部材の製造方法。

請求項8

請求項1〜4のいずれかの一項に記載の電子写真用の導電性部材を具備し、電子写真装置の本体に着脱可能に構成されているプロセスカートリッジ

請求項9

請求項1〜4のいずれかの一項に記載の電子写真用の導電性部材を具備する電子写真装置。

技術分野

背景技術

0002

電子写真方式を採用した画像形成装置である電子写真装置においては、導電性部材が様々な用途、例えば、帯電ローラ現像ローラ転写ローラなどの導電性ローラとして使用されている。これらの導電性ローラは、電気抵抗値を103〜1010Ωに制御する必要があり、導電層導電性を調整するために、カーボンブラックに代表される導電性粒子が添加された弾性層を設けている。導電性粒子は分散状態によって電気抵抗値が変動しやすく、導電性部材の電気抵抗値を安定させることが困難な場合があった。

0003

また、導電性部材が電子写真装置中の感光体などと当接して使用される場合には、弾性層に連続的および断続的な繰り返し圧縮が加えられ、それにより、カーボンブラックに代表される導電性粒子の分散状態が変化して電気抵抗値が変動する場合があった。導電性部材の電気抵抗値の変動を抑制させる手段として、特許文献1には、DBP吸収量粒径および添加量を最適化したカーボンブラックを極性ゴム中に分散させた導電性部材が開示されている。

先行技術

0004

特開2008−256908号公報

発明が解決しようとする課題

0005

近年、電子写真装置の高速化、長寿命化が求められている。本発明者らの検討によると、特許文献1に記載されている導電性部材においては、カーボンブラックの均一分散と電気抵抗値の制御は達成される。しかし、本発明者らは、導電性部材の長期間に亘る使用における電気抵抗値の変動の抑制に関しては、いまだ改善の余地があるものと認識した。具体的には、直流電圧のみを印加して感光体を帯電するDC帯電方式に上記特許文献1に記載の導電性部材を使用した場合、電気抵抗値の上昇が認められることがあった。その結果、感光体の帯電電位が安定せず、電子写真画像において細かな横スジ状欠陥を生じさせることがあった。また、電気抵抗値の上昇した導電性部材を電子写真装置の転写ローラに適用した場合、電子写真画像にポチ状の欠陥が発生することがあった。この欠陥は、特に、低温低湿環境下において顕著に認められた。

0006

本発明の一態様は、長期間の使用よっても電気抵抗値が変化しにくい電子写真用の導電性部材の提供に向けたものである。また、本発明の他の態様は、高品位な電子写真画像を長期間に亘って安定的に形成可能なプロセスカートリッジおよび電子写真装置の提供に向けたものである。

課題を解決するための手段

0007

本発明の一態様によれば、導電性軸芯体と、該導電性軸芯体上の導電性弾性層とを有する電子写真用の導電性部材であって、該導電性弾性層の弾性率が、1MPa以上100MPa以下であり、該導電性弾性層は、第1のゴムを含むマトリクス、及び、該マトリクス中に分散された複数の導電性ドメインを有し、該導電性ドメインは導電性粒子を含み、複数の該導電性ドメインの周囲に、第2のゴムを含む領域が存在し、該マトリクスの弾性率をR1、該第2のゴムを含む領域の弾性率をR2としたとき、「R1<R2」の関係を満たす導電性部材が提供される。

0008

また、本発明の他の態様によれば、上記の電子写真用の導電性部材の製造方法であって、帰還型スクリュを備えた混練機を用いてゴムと導電性粒子とを溶融混練して前記導電性弾性層を形成する工程を有する電子写真用の導電性部材の製造方法が提供される。

0009

また、本発明の他の態様によれば、電子写真装置の本体に着脱可能に構成されているプロセスカートリッジであって、電子写真用の導電性部材を具備しており、該電子写真用部材が、上記の電子写真用の導電性部材であるプロセスカートリッジが提供される。更に本発明の他の態様によれば、前記の電子写真用の導電性部材を具備する電子写真装置が提供される。

発明の効果

0010

本発明の一態様によれば、長期間の使用によっても帯電性能が変化しにくく、高品位な電子写真画像を安定的に形成することのできる導電性部材を得ることができる。また、本発明の他の態様によれば、高品位な電子写真画像を形成することのできるプロセスカートリッジおよび電子写真装置を得ることができる。

図面の簡単な説明

0011

本発明に係る電子写真用の導電性部材の一例を示す図である。
本発明に係る導電性弾性層中の、第1のゴムを含むマトリクスと、導電性粒子を含む導電性ドメイン及び第2のゴムを含む領域の分散状態を示すモデル図である。
本発明に係る導電性弾性層の作製に使用される帰還型スクリュの概略図である。
本発明に係る導電性部材を用いた電子写真装置の一例を示す構成図である。
本発明に係るプロセスカートリッジの一例を示す図である。
本発明に係る導電性部材に流れる電流値を測定する電気抵抗測定装置の一例を示す構成図である。

0012

本発明者ら、前記した目的に鑑み、長期間の使用よっても電気抵抗値が変化しにくく、例えば、帯電部材として用いた場合に、帯電性能の経時的な変化が抑制された電子写真用の導電性部材を得るべく検討を重ねた。その結果、特定の構成を有する導電性弾性層を備えた電子写真用の導電性部材が、良くその要求を満たし得ることを見出した。図2は、本発明の一態様に係る電子写真用の導電性部材の導電性弾性層において、第1のゴムを含むマトリクス22と、導電性粒子を含む導電性ドメイン21および第2のゴムを含む領域23の分散状態を示すモデル図である。導電性部材が本構成をとることで、電気抵抗値の変化に起因した横スジ状画像及びポチ状画像の発生を抑制することができる。

0013

本発明者らは、導電性部材の電気抵抗値が変動する要因として、以下のメカニズム推定している。まず、導電性部材が感光体に当接されて配置されている場合、感光体と導電性部材との間で形成されるニップ近傍では、導電性部材が機械的に繰り返し圧縮される。その際、ゴム組成物中において導電パス役割を担っている導電性粒子の分散状態が機械的な応力によって破壊されるために、導電パスのネットワーク構造が変化して電気抵抗値が変動すると考えている。すなわち、機械的なエネルギーによる導電性粒子のモビリティおよび分散状態の変化が電気抵抗値の変化の要因であると考えている。

0014

そこで、本発明者らは、導電性をできる限り維持しつつ、導電性弾性層に長期間に亘って機械的なエネルギーが印加されたときに導電性粒子が移動する現象を抑制させることについて鋭意検討を重ねた。その結果、導電性粒子を含む導電性ドメインの周囲に、第2のゴムを含む領域を配置させること、且つ、第1のゴムを含むマトリクスの弾性率をR1、第2のゴムを含む領域の弾性率をR2としたとき、「R1<R2」の関係を満たすことで、導電性ドメインが移動しにくくなることを見出した。即ち、上記の構造をとることにより、長期間の繰り返し圧縮によっても電気抵抗値の経時的な変化を低減することが可能となった。

0015

以下、本発明を詳細に説明する。なお、以下、電子写真用の導電性部材を、その代表例である帯電ローラ、及び、転写ローラによって記載するが、本発明の導電性部材の用途が限定されるものではない。

0016

<導電性部材>
本発明の一態様に係る電子写真用の導電性部材は、図1に断面を示すように、導電性軸芯体上に、導電性粒子を含むゴム組成物から形成されてなる導電性弾性層を有する。なお、該導電性弾性層の上には、必要に応じて、更に他の層を設けることができる。

0017

<導電性軸芯体>
導電性軸芯体としては、電子写真用の導電性部材の分野で公知なものから適宜選択して用いることができる。例えば、炭素鋼合金の表面に5μm程度の厚さのニッケルメッキを施した円柱である。

0018

<導電性弾性層>
導電性弾性層は、弾性率が1MPa以上100MPa以下である。この弾性率の値は、後に示す、導電性弾性層に使用されるゴム材料の一般的な値である。導電性弾性層の弾性率を本範囲とすることで、電子写真感光体と導電性部材を当接させる際、安定な当接状態を容易に得ることができる。

0019

また、導電性弾性層は、第1のゴムを含むマトリクス、及び、該マトリクス中に分散された複数の導電性ドメインを有し、該導電性ドメインは導電性粒子を含み、複数の該導電性ドメインの周囲には、第2のゴムを含む領域が存在し、該マトリクスの弾性率をR1、該第2のゴムを含む領域の弾性率をR2としたとき、「R1<R2」の関係を満たす。尚、第2のゴムを含む領域は、導電性ドメインの周囲だけでなく、図2に示すように、導電性ドメインの周囲以外の第1のゴムを含むマトリクス中に存在することができる。

0020

〔第1のゴムを含むマトリクス〕
導電性弾性層は、第1のゴムを含むマトリクスを有する。該第1のゴムとしては、特に限定されるものではなく、電子写真用の導電性部材の分野において公知のゴムを用いることができ、例えば、天然ゴムやこれを加硫処理したもの、合成ゴムを挙げることができる。合成ゴムとしては、スチレンブタジエンゴムSBR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、ブタジエンゴム(BR)、エピクロルヒドリンゴムが挙げられる。なお、主鎖に2重結合を含むジエン系ゴムでは、混練の際に後述する高弾性率な第2のゴムが十分に形成されやすくなり、導電性部材の通電劣化を十分に抑制できることを確認している。そのため、使用される合成ゴムとしては、スチレンブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、ブタジエンゴム(BR)が好ましい。また、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)においては、混練時の熱劣化が少ないことを確認済みであるため、使用されるゴムとしてはNBRが特に好ましい。さらに、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)としては、加工性の観点から、ムーニー粘度30以上60以下、ニトリル量18%以上40%以下の範囲であることが好ましい。

0021

これらのゴム中には、本発明の効果を損なわない範囲で、樹脂配合剤として一般的に用いられている充填剤軟化剤加工助剤粘着付与剤粘着防止剤分散剤発泡剤、粗し粒子等を添加することができる。

0022

〔導電性ドメイン〕
導電性ドメインは、導電性部材が導電性を発現するための導電性粒子を含む。導電性粒子としては、例えば以下の導電性粒子が挙げられる。アルミニウムパラジウム、鉄、銅、銀の如き金属系の微粒子や繊維;酸化チタン酸化錫酸化亜鉛の如き金属酸化物の微粒子;前記の金属系の微粒子、繊維、及び金属酸化物の表面を、電解処理スプレー塗工、混合振とうにより表面処理した複合粒子ファーネスブラックサーマルブラックアセチレンブラックケッチェンブラック;PAN(ポリアクリロニトリル)系カーボンピッチ系カーボンの如きカーボン粉

0023

ここで、ファーネスブラックとしては以下のものが挙げられる。SAF−HS、SAF、ISAF−HS、ISAF、ISAF−LS、I−ISAF−HS、HAF−HS、HAF、HAF−LS、T−HS、T−NS、MAF、FEF、GPF、SRF−HS−HM、SRF−LM、ECF、及びFEF−HS。サーマルブラックとしては、FT、及びMTが挙げられる。また、これらの導電性粒子を、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。

0024

導電性弾性層中における導電性粒子の含有量目安としては、ゴム100質量部に対して3〜90質量部が好ましく、特には、10〜50質量部が好ましい。

0025

導電性粒子の平均一次粒子径としては、5nm以上60nm以下、特には、10nm以上50nm以下であることが好ましい。ここで、導電性粒子の平均一次粒子径は、算術平均粒子径とする。なお、平均一次粒子径の定義は5nm以上60nm以下の大きさの、いずれもミクロ的には単結晶、またはそれに近い結晶子が集まったもののことであり、また、測定方法としては(1)電子線を当てた対象物を透過して観察する透過型電子顕微鏡(TEM)や、(2)電子線を当てた対象物の表面を観察する走査型電子顕微鏡(SEM) を用いる方法がある。また平均一次粒子径の算出方法としては、上記測定画像から直接的に求める方法が好適である。

0026

導電性ドメインのサイズとしては、直径が0.005μm(5nm)〜1.000μm、特には、0.05μm〜0.9μmであることが特に好ましい。上記範囲内とすることによって、導電性弾性層に適度な電気抵抗と柔軟性が付与される。

0027

〔第2のゴムを含む領域〕
第2のゴムを含む領域は、導電性弾性層がゴム弾性を維持しつつ、導電性粒子のモビリティを低減させるために非常に重要な部位である。前記第1のゴムを含むマトリクスの弾性率をR1、前記第2のゴムを含む領域の弾性率をR2としたとき、「R1<R2」の関係を満足することが必要である。上記関係を満たすことで、第2のゴムを含む領域は、導電性ドメインが移動する現象を抑制することが可能となる。また、「0.1≦R1/R2≦0.5」の関係を満たすことが特に好ましい。本範囲とすることで、導電性部材の導電性を維持しつつ、導電性ドメインの移動抑制の効果をより発現しやすくなる。

0028

〔第1のゴムを含むマトリクスと第2のゴムを含む領域の弾性率の測定方法〕
第1のゴムを含むマトリクスおよび第2のゴムを含む領域の可視化および弾性率の測定には、走査型プローブ顕微鏡(SPM:Scanning Probe Microscope、別名:原子間力顕微鏡(AFM:Atomic Force Microscope))を使用できる。SPMとは、先端半径10nm以下の微小短針付属した走査機能付きのカンチレバーを用いて、試料との間に作用する種々の物理量を検出し、各測定点物性値コントラストに変換して可視化する装置である。また、物理量の計測と同時に、試料表面の3次元形状を数nmの分解能で画像化することで、物理量と形状情報を併せて照合できる装置である。なお、本発明における弾性率の測定には、バネ定数既知のカンチレバーを試料表面に直接押し込んでカンチレバーにかかる力と試料の変形量を測定することによって得られるフォースカーブをもとに弾性率を測定できるSPMを使用できる。さらに、SPMに付属している2次元マッピングの機能を用いて、ゴム組成物中の弾性率マッピング像および導電性粒子とゴムの分散を示す形状像を取得することができる。

0029

以下、測定条件について記載する。測定に用いる試料は、ローラ形状の導電性弾性層から、ミクロトームを用いて、切削温度−100℃にて、2μm程度の厚みの超薄切片として切り出したものである。この試料について、バネ定数0.315N/m、押し込み荷重200pN、画素数512×512、視野:2.0μm×2.0μmの条件でSPM測定することによって弾性率マッピング像および形状像を取得できる。測定画像中には、低弾性率を示す第1のゴムを含むマトリクス中に導電性ドメインが分散しており、導電性ドメインの周囲には、高弾性率を示す第2のゴムを含む領域が存在している様子が観察される。

0030

尚、第1のゴムを含むマトリクスと第2のゴムを含む領域の判別は、以下の手順で行うことができる。SPM測定によって得られた弾性率マッピング像をもとに、画素ごとに算出された弾性率のヒストグラム分布を取得する。そののちに、ゴム由来の弾性率のヒストグラム分布を、ガウス関数を使った最小二乗法による波形分離を行ってピーク分離することで、第1のゴム由来の弾性率の分布と第2のゴム由来の弾性率の分布を取得できる。このようにして得られた第1のゴム及び第2のゴムのそれぞれの弾性率分布中央値が、それぞれ、本発明におけるマトリクスの弾性率R1、及び、第2のゴムを含む領域の弾性率R2である。尚、弾性率分布の中央値とはピーク分離時に使用したガウス関数内の平均値μとする。

0031

体積抵抗率等〕
導電性弾性層の電気抵抗値の目安は、体積抵抗率が1×103Ω・cm以上1×109Ω・cm以下である。

0032

導電性弾性層は、温度50℃における水素核スピン-スピン緩和時間T2が200μS以上500μS以下の範囲内であることが好ましい。T2がこの範囲内である場合、導電性部材の導電性弾性層が電子写真感光体との安定な当接状態を維持することができ、且つ、導電性粒子のモビリティを低減できるという利点がある。T2の測定方法は後述する。

0033

〔電子写真用の導電性部材の製造方法〕
上記した導電性弾性層を備えた電子写真用の導電性部材は、(1)第1のゴムの未加硫物(以下、「第1のゴムの原料」)ともいう)と、導電性粒子とを含む導電性弾性層形成用のゴム混合物を、2軸混練押し出し機または帰還型スクリュを備えた高せん断加工機を用いて熔融混練する工程と、(2)工程(1)で得られた熔融混練物の層を導電性軸芯体上に形成する工程と、(3)該熔融混練物の層を硬化させる工程と、を経て製造することができる。

0034

ここで、導電性ドメインの周囲の第2のゴムを含む領域は、特に「ポリマーゲル」と称する第1のゴム由来のゴムから構成されることが好ましい。そして、ポリマーゲルで構成される第2のゴムを含む領域が、導電性ドメインの周囲に形成されてなる構成は、導電性弾性層形成用の、第1のゴムと導電性粒子とを含む原料の混練の際の混練機の種類、せん断速度、および、混練時間を調整することによって形成することができる。

0035

以下に、導電性ドメインの周囲に、第2のゴムを含む領域が形成される過程を説明する。まず初めに、第1のゴムの原料と導電性粒子とを含む導電性弾性層形成用のゴム混合物を、2軸混練押し出し機または帰還型スクリュを備えた高せん断加工機を用いて溶融混練する。混練中に、ゴムの分子鎖が切断されて活性ラジカルが発生する。発生した活性ラジカルは、周囲の分子鎖やカーボンブラックに代表される導電性粒子と再結合する。このときに、再結合して複雑に絡み合った分子鎖が「ポリマーゲル」である。すなわち、ポリマーゲルを生成するためには、分子鎖を切断するのに十分なせん断を付与する必要がある。

0036

せん断力が大きいほど、また、せん断の回数が多いほど、ゴム分子鎖の切断が促進され、導電性粒子のモビリティを低減させることのできるポリマーゲルを生成させることができる。加えて、導電性粒子の比表面積が大きく、且つ、導電性粒子が表面に官能基をもつ場合において、分子鎖が導電性粒子の表面に拘束されやすく、導電性粒子の周囲に優先的にポリマーゲルが生成することとなる。

0037

高弾性率のポリマーゲルを効率的に生成させる上で好ましいせん断速度が、500〜10000sec−1の範囲、特には、1000〜10000sec−1の範囲であることが鋭意検討の結果、明らかになった。これは、従来使用されているゴム用の加圧型二—ダーやオープンロールでは達成することのできないせん断速度である。

0038

第2のゴムを含む領域は、導電性ドメインに含まれる導電性粒子の性質によって、その生成が大きく左右される。第2のゴムを含む領域は、導電性粒子の比表面積が大きく、且つ、導電性粒子が表面に官能基をもつ場合に、より容易に導電性粒子の周囲に生成しやすいことから、導電性粒子としてはカーボンブラックを使用することが、特に好ましい。上記が好ましい理由としては、第1のゴムを含むマトリクスと導電性粒子を溶融混練した際に、導電性粒子にゴムの分子鎖が物理的および化学的吸着することによって、第2のゴムを含む領域が生成されるためである。なお、使用されるカーボンブラックとしては、DBP吸収量が40ml/100g以上、150ml/100g以下であることが好ましい。DBP(ジブチルフタレート)の吸収量は、カーボンブラックの一次粒子ストラクチャ間接的に定量した値である。つまり、DBP吸収量が上記範囲内のストラクチャが発達したカーボンブラックを使用することで、上述した理由と同様にして、第2のゴムを含む領域をより容易に生成できる。カーボンブラックのDBP吸収量はJISK6217−4(2001年)に記載の方法で測定することができる。

0039

導電性ドメインの周囲に、第2のゴムを含む領域を生成させる上で、ゴム組成物のせん断加工機として、帰還型スクリュを備えた高せん断加工機(HSE3000min:井元製作所製やNHSS8−28:ニイガタマシンテクノ製)、または、2軸混練押し出し機(KZW15TW−4MG−NH(−6000):テクノベル製)などが好ましい。2軸混練押し出し機では500〜1500sec−1のせん断速度をゴム組成物に印加可能であるのに対して、図3に概略図を示した帰還型スクリュ31を備えた高せん断加工機では、500〜10000sec−1のせん断速度をゴム組成物に付与することができる。そのため、第2のゴムの生成の容易性および導電性粒子の分散性向上の観点から、本実施態様においては、より高速せん断で溶融混練することのできる帰還型スクリュを備えた高せん断加工機を使用することが特に好ましい。即ち、帰還型スクリュを備えた混練機を用いてゴムと導電性粒子とを溶融混練して導電性弾性層を形成することが好ましい。

0040

上記高せん断加工機を使用することにより、ゴム組成物に500〜10000sec−1、特には、1000〜10000sec−1のせん断速度を印加することができる。その結果、ゴム混合物の溶融混練過程におけるゴムの分子鎖の切断および絡み合いが促進され、第2のゴムの原料が生成される。上述の溶融混練過程で生成した第2のゴム原料を含む領域は、硬化後においては、分子鎖が複雑に絡み合った構造を有し、分子運動性が低い領域となる。そのために、第1のゴムを含むマトリクスと比較して高い弾性率を示す。そのため、高弾性率な第2のゴムが十分に生成したゴム組成物では導電性粒子のモビリティが低減して、導電性部材の通電劣化を抑制できることを確認している。加えて、溶融混練時のせん断速度が大きいほど、導電性粒子の凝集力を上回るせん断力を付与することが可能となり、導電性粒子を均一に分散させる効果がある。

0041

上述のように、高せん断加工機を用いたゴム組成物の混練は、第2のゴムを含む領域を生成させると同時に、導電性粒子を均一に分散させることが可能となる。そのために、導電性部材の通電劣化を抑制し、電子写真における横スジ状画像の発生を抑制することができると考えている。

0042

なお、帰還型スクリュを備えた高せん断加工装置とは、スクリュ内部に帰還穴32が開いており、ゴム組成物は混練時にスクリュ先端部まで到達した後に、スクリュ先端の帰還穴を通ってスクリュ後端部まで戻される機構を有している。そのため、ゴム組成物は帰還穴を繰り返し通過し、且つ、帰還穴では伸長運動に伴うせん断が付与される。また、ゴム組成物を継続的に高せん断場に滞留させることができるため、短時間で大きなせん断力を付与することが可能となる。

0043

また、ゴム組成物のせん断加工の際には、せん断発熱によるゴム組成物の劣化を防止するために、帰還穴の穴径を2.0〜5.0mmに設定して、短時間で混練を行うことが特に好ましい。本発明者らは、帰還穴径0.5mmの場合は、ゴムが帰還穴を十分に循環せず加工が困難であることを確認している。なお、帰還穴径の大きさによってゴム組成物に印加されるせん断エネルギー、すなわちせん断発熱が変化する。そのため、せん断加工時の発熱抑制の観点から、帰還穴径が2.0mmの場合は5〜10sec、3.5mmの場合は5〜30sec、5.0mmの場合は5〜60secであることが加工条件として特に好ましい。

0044

〔第2のゴムを含む領域(ポリマーゲル)の存在を確認する手法〕
第2のゴムを含む領域の存在を確認する方法としては、例えば、前記SPMによる弾性率マッピング像の取得とパルスMRによるスピン−スピン緩和時間T2の測定を挙げることができる。弾性率マッピング像では、ミクロ領域の第2のゴムの分散状態を可視化できるのに対して、パルスNMR測定では、導電性弾性層中の第2のゴムの分子構造を確認することができる。

0045

第2のゴムを含む領域は、導電性粒子のモビリティを低減する効果がある。第2のゴムを含む領域は、第1のゴムと導電性粒子との混練の際に第1のゴムの分子鎖が切断されて絡み合った状態の分子鎖によって構成されている領域である。そのため、第2のゴムの分子鎖は、第1のゴムを含むマトリクス中に存在するゴムに比べて分子運動性が低い状態にある。したがって、本発明に係る導電性弾性層全体の分子運動性は、第2のゴムの分子構造の影響が支配的となる。従って、導電性弾性層のスピン−スピン緩和時間T2を測定することで、第2のゴムを含む領域の存在を確認できると同時に、第2のゴムを含む領域の分子運動性を定量可能である。第2のゴムによる導電性粒子のモビリティを低減しつつ、且つ、感光体との安定した当接状態を容易に得る観点から、本発明に係る導電性弾性層のT2は200μS以上500μS以下が好ましい。

0046

尚、パルスNMRの測定条件は以下の通りである。温度23℃、相対湿度50%の環境下に導電性弾性層を24時間以上放置した後、導電性弾性層を0.5g削り取り、それを測定用セル内密封して、緩和時間T2の測定を行う。緩和時間T2の値は、パルスNMR測定により水素核を測定核とし、ソリッドエコー法を用いて得られたエコー強度から求められる。測定条件は、測定周波数20MHz、90°パルス幅2.0μsec、パルス間隔8μsec、温度50℃、積算回数128回とする。

0047

<電子写真装置>
本発明の一態様に係る電子写真装置は、本発明の一態様に係る電子写真用の導電性部材を具備する。該電子写真装置の一例を図4概略構成図に示す。被帯電体である感光体41は、アルミニウムなどの導電性を有する導電性支持体41bと、その上に感光層41aが積層されたドラム形状を有し、支軸41cを中心に図上、時計方向に所定の周速度をもって回転駆動される。

0048

感光体に、帯電ローラ1の導電性軸芯体11の両端が押圧手段(不図示)により押圧され、導電性軸芯体を介して電源42と摺擦電源43aの直流(DC)バイアスが印加された導電性弾性層が接触配置される。感光体の回転に伴い帯電ローラが従動回転することにより、感光体は所定の極性電位に一様に帯電(一次帯電)される。

0049

次いで、露光器44から目的画像情報の露光レーザービーム走査露光原稿画像スリット露光など)を受けた感光体の周面に目的の画像情報に対応した静電潜像が形成される。感光体上の静電潜像は、現像部材45により供給されるトナーが付着されてトナー画像に形成される。次いで、給紙部(不図示)から転写材47が、感光体41の回転と同期して感光体41と転写部材46との間の転写部に搬送され、転写材の裏面からトナー画像と逆極性に印加された転写部材が押圧され、トナー画像が転写材47上に順次転写される。

0050

トナー画像の転写を受けた転写材47は、感光体41から分離されて不図示の定着手段へ搬送されてトナー画像が定着され、画像形成物として出力される。裏面にも像形成する電子写真装置においては、再搬送手段により再度の画像形成を行うために、帯電ローラへ搬送される。

0051

像転写後の感光体41の周面は、前露光器48による前露光を受けて感光体上の残留電荷が除去(除電)される。この前露光器48には公知の手段を利用することができ、例えばLEDチップアレイヒューズランプハロゲンランプおよび蛍光ランプなどを好適に例示することができる。除電された感光体41の周面は、クリーニング部材49で転写残りトナーなどの付着汚染物の除去を受けて洗浄面化されて、繰り返して画像形成に供される。

0052

電子写真装置において、帯電ローラ1は感光体41に従動駆動させてもよく、非回転としてもよく、感光体41の面移動方向に順方向または逆方向に所定の周速度をもって積極的に回転駆動させるようにしてもよい。露光は、電子写真装置を複写機として使用する場合には、原稿からの反射光透過光、また、原稿を読み取り信号化し、この信号に基づいてレーザービームを走査したり、LEDアレイを駆動したり、または液晶シャッターアレイを駆動してもよい。

0053

本発明の電子写真装置としては、複写機、レーザービームプリンターLEDプリンター、あるいは、電子写真製版ステムなどの電子写真応用装置等が挙げられる。

0054

<プロセスカートリッジ>
本発明の一態様に係るプロセスカートリッジは、前記導電性部材を具備し、電子写真画像形成装置の本体に着脱可能に構成されている。該プロセスカートリッジの一例を、図5の構成図に示す。このプロセスカートリッジは、本発明の一態様に係るローラ形状の導電性部材を、帯電ローラ51として具備している。ドラム形状の電子写真感光体(以下、「電子写真感光ドラム」ともいう)53は、帯電ローラ51によって帯電可能なように配置されている。ここでは、具体的には、帯電ローラ51が、電子写真感光ドラム53に押圧されて接触している。また、電子写真感光ドラム53の表面に形成された静電潜像を現像するための現像剤を供給するための現像ローラ55、電子写真感光体ドラム53の周面に残留している現像剤を除去するクリーニングブレード57が設けられている。

0055

以下、実施例及び比較例によって本発明をより具体的に説明する。実施例におけるA練りゴム組成物とは架橋剤や加硫促進剤を添加していない未加硫ゴム組成物を指し、B練りゴム組成物とは架橋剤や加硫促進剤を添加した未加硫ゴム組成物を指す。

0056

<実施例1>
1.A練りゴム組成物の調製
アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)(商品名:Nipol DN219,日本ゼオン製)100質量部に対し、下記表1に示す他の4成分を加えて、50℃に調節した加圧型二—ダー(TD6−15MDX:トーシン社製)を用い、充填率70%、ブレード回転数30rpm、せん断速度200sec−1、混合時間16分間の条件で混合することで、A練りゴム組成物を得た。

0057

0058

2.高せん断加工機によるA練りゴム組成物の混練
高せん断加工機として帰還型スクリュを備えた高せん断加工機(製品名「NHSS8−28」、ニイガタマシンテクノ製)を用いて、前記A練りゴム組成物を混練した。まず、加工機に装備されている帰還型スクリュの帰還穴を2.0mm、可塑化部温度100℃、混練部温度150℃、せん断速度を6900sec−1に設定してA練りゴム組成物を10秒間混練した。その後、混練部から排出することで高せん断加工されたゴム組成物を得た。その際、せん断発熱を低減するために、冷却機構を用いることによって、混練部の温度が200℃を超えないように温度制御した。

0059

3.B練りゴム組成物の調製
前記高せん断加工機で混練した未加硫のゴム組成物100質量部に、下記表2に示す、加硫剤及び加硫促進剤を添加した。次いで、温度25℃に冷却した二本ロール機にて10分間混練し、B練りゴム組成物を得た。

0060

0061

4.導電性ローラの作製
快削鋼の表面に無電解ニッケルメッキ処理を施した全長252mm、外径6mmの丸棒を用意した。次に前記丸棒の両端部各11mmを除く長さ230mmの範囲に全周にわたって、接着剤を塗布した。接着剤は、導電性のホットメルトタイプのものを使用した。また、塗布にはロールコータ—を用いた。この接着剤を塗布した丸棒を導電性軸芯体(芯金)として使用した。

0062

次に、導電性軸芯体の供給機構未加硫ゴムローラ排出機構を有するクロスヘッド押出機を用意し、クロスヘッドには内径12.5mmのダイス取付け押出機とクロスヘッドを80℃に、導電性軸芯体の搬送速度を60mm/secに調整した。この条件で、前記B練りゴム組成物を混練押出機より供給して、クロスヘッド内にて導電性軸芯体の外周面にB練りゴム組成物のゴム層を形成し、未加硫ゴムローラを得た。次に、170℃の熱風加硫炉中に未加硫ゴムローラを投入し、60分間加熱することで加硫ゴムローラを得た。その後、加硫ゴム層の端部を切除し、ゴム層の長さを230mmとした。最後に、弾性層の表面を回転砥石研磨した。これによって、中央部から両端部側へ各90mmの位置における各直径が8.4mm、中央部直径が8.5mmの導電性ローラを得た。

0063

5.導電性ローラの評価
前記導電性ローラについて以下の評価を行った。評価結果を表3に示す。

0064

5−0.導電性ローラの事前評価
各実施例に係る導電性ローラの導電性弾性層が、第1のゴムのマトリックス中に、複数個ドメインを有すること、各ドメインが導電性粒子を含む構成を満たしていることは、下記のようにして確認した。つまり、ミクロトーム(製品名:ライカ社製LeicaEMUC7)を用いて、対応するゴムローラから作製した断面サンプル(サイズ1mm×1mm)をイオンミリング(製品名ライカ社製 Leica EMTIC3X)でさらに平面出しした断面サンプルを、走査型プローブ顕微鏡(SPM:Scanning Probe Microscope、別名:原子間力顕微鏡(AFM:Atomic Force Microscope)、ブルカー社製 Dimension icon)を使用して弾性率マッピング(上述)し、図2に代表されるSPM画像を取得し、その画像から上記構成を確認した。

0065

5−1.導電性ローラの弾性率の測定
定位置は、導電性ローラの軸方向(長手方向)のゴム端部から30〜40mmの位置の両端部および中央部の3か所、周方向については、上記各箇所から120°ごとの3か所の、合計9か所である。測定条件は、300mNの荷重で、測定子を1μm/10secの速度で押し込んで行う。測定装置としては、表面硬度測定装置(商品名:フィッシャースコープHM500、フィッシャーインストルメンツ社製)を用いた。測定子としては、ダイヤモンドでできたヴィッカース圧子を用いた。また、温度23℃、相対湿度50%の環境下に24時間以上放置した導電性ローラについて、同環境下で弾性率を測定した。

0066

5−2.導電性ローラの電流値の測定
図6に概略を示す電気抵抗測定装置を用いて、導電性ローラに流れる電流値を測定した。導電性ローラの導電性軸芯体11の両端部を不図示の押圧手段で直径30mmの円柱状のアルミニウム製ドラム61に圧接し、アルミニウム製ドラムの回転駆動に伴い従動回転させた。さらに、導電性ローラの導電性軸芯体に外部電源62を用いて直流電圧を印加した状態で、アルミニウム製ドラム61に直列に接続した基準抵抗63にかかる電圧を測定した。導電性ローラの電流値は、基準抵抗63の電気抵抗値および基準抵抗63に印加される電圧をもとに算出される。

0067

なお、導電性ローラの電流値の測定は、温度23℃、相対湿度50%の環境下で、導電性軸芯体とアルミニウム製ドラムとの間に直流200Vの電圧を2秒間印加して行った。このときのアルミニウム製ドラムの回転数は30rpm、基準抵抗の電気抵抗値は100Ωであった。データのサンプリングは、電圧印加後1秒後から1秒間に周波数20Hzで行い、このときの平均値を導電性ローラに流れる電流値とした。

0068

5−3.導電性ローラの通電劣化試験
図6の電気抵抗測定装置を使用して、導電性ローラの通電劣化試験を行った、前述した電流値の測定と同様に、温度23℃、相対湿度50%の環境下において、導電性軸芯体とアルミニウム製ドラムの間に直流100Vの電圧を2秒間印加して、初期ローラ電流値を測定した。このときのアルミニウム製ドラムの回転数は30rpm、基準抵抗の電気抵抗値は100Ωとした。次に、アルミニウム製ドラムを30rpmで回転させながら、導電性軸芯体とアルミニウム製ドラムの間に直流100Vの電圧を10分間印加した。その後、再度、導電性ローラの電流値を測定した。通電試験後の電流値I1を、初期の電流値I0で除して100倍することで、電流保持率(%)を算出した。

0069

5−4.導電性ローラの画像評価
作製した導電性ローラを帯電ローラとして、電子写真プロセスカートリッジに装着した。このプロセスカートリッジをA4サイズの紙を縦方向出力可能な電子写真装置(商品名:LBP5050、キヤノン社製)に装着し、電子写真画像を形成した。A4サイズの紙上にハーフトーン画像(電子写真感光体の回転方向垂直方向に幅1ドットの線を間隔2ドットで描く画像)が形成された電子写真画像を1枚出力した。この画像を「1枚目の画像」と称する。次いで、A4サイズの紙上に、サイズが4ポイントアルファベット「E」の文字が、印字濃度1%となるように形成された電子写真画像を2500枚出力した。引き続いて、A4サイズの紙上にハーフトーン画像が形成された電子写真画像を1枚出力した。この画像を「2501枚目の画像」と称する。総ての電子写真画像の出力は温度15℃、相対湿度10%の環境下で行った。1枚目の画像と2501枚目の画像とを目視で観察し、帯電ローラの電気抵抗値の上昇により発生することのある、細かな横スジの有無、および、その程度を下記の基準により評価した。また、2501枚目の画像については、帯電ローラの表面へのトナー等の付着によって発生することのある縦スジの有無、およびその程度についても下記の基準に基づき評価した。
ランクA:スジの発生が認められない。
ランクB:スジの発生が、かすかに認められる。
ランクC:スジの発生が認められる。
ランクD:スジの発生が顕著に認められる。

0070

5−5.SPMによる弾性率の測定
導電性弾性層中の第1のゴムを含むマトリクスおよび第2のゴムを含む領域の弾性率の測定には、全測定点のフォースカーブから弾性率を計測して2次元マッピングを測定可能な走査型プローブ顕微鏡(SPM)を用いた。SPM(商品名:Dimension Icon、Bruker社製)を用い、バネ定数0.315N/m、押し込み荷重200pN、画素数512×512、視野:1.2μm×1.2μmの測定条件で行った。測定に用いる試料は、導電性ローラの導電性弾性層から、ミクロトーム(商品名:LeicaEMFCS、ライカマイクロシステムズ社製)を用いて、切削温度−100℃にて、2μm程度の厚みの超薄切片として切り出した。弾性率マッピング像から得られたゴム由来の弾性率分布をガウス関数を使った最小二乗法による波形分離を行うことでピーク分離し、第1のゴムを含むマトリクスの弾性率R1と第2のゴムを含む領域の弾性率R2を算出した。第2のゴムを含む領域は、特に導電性ドメイン周囲に形成されており、その厚みは10〜100nm程度であった。

0071

なお、厚みとは、ミクロトーム(製品名:ライカ社製LeicaEMUC7)を用いて、対応するゴムローラから作製した断面サンプル(サイズ 1mm x 1mm)をイオンミリング(製品名ライカ社製 Leica EMTIC3X)でさらに平面出しした断面サンプルを、走査型プローブ顕微鏡(SPM:Scanning Probe Microscope、別名:原子間力顕微鏡(AFM:Atomic Force Microscope)、ブルカー社製 Dimension icon)を使用して弾性率マッピング(上述)し、図2に代表されるSPM画像を取得し、その画像から符号23に相当する領域を求めた。つまり、符号23と符号22との界面における任意の10点から、符号23と符号21との界面までの各最短距離を求め、その平均値から算出した。

0072

5−6.パルスNMRによるスピン−スピン緩和時間T2の測定
導電性弾性層のスピン−スピン緩和時間T2の測定には、パルスNMR装置(MU25A、日本電子社製)を用いた。温度23℃、相対湿度50%の環境下に導電性弾性層を24時間以上放置した後、導電性弾性層を0.5g削り取り、それを測定用セル内に密封して、緩和時間T2の測定を行った。緩和時間T2の値は、パルスNMR測定により水素核を測定核とし、ソリッドエコー法を用いて得られたエコー強度から求めた。測定条件は、測定周波数20MHz、90°パルス幅2.0μsec、パルス間隔8μsec、温度50℃、積算回数128回とした。

0073

<実施例2〜5、8及び9>
実施例1において使用したカーボンブラックの種類及び配合量または、NBRのムーニー粘度、ニトリル量を表3−1に記載したように変更したこと以外は、実施例1と同様にして導電性ローラを作製し、評価した。カーボンブラックの平均一次粒子径、DBP吸収量および配合量、ならびに、NBRのムーニー粘度およびニトリル量を表3−1に併せて示す。また、導電性ローラとしての評価結果を表3−2に示す。

0074

0075

0076

<実施例6及び7>
実施例1において使用したカーボンブラックを、表4−1に記載したように、グラファイトまたはカーボンナノチューブに変更し、また、配合量を変更した。それら以外は、実施例1と同様にして導電性ローラを作製し、評価した。評価結果を表4−2に示す。

0077

0078

0079

<実施例10〜14>
実施例1において使用したNBRを、表5に示したように、エピクロルヒドリンゴム、スチレンブタジエンゴム(SBR)、または、ブタジエンゴム(BR)、に変更したこと以外は、実施例1と同様にして導電性ローラを作製し、評価した。評価結果を表6に示す。

0080

0081

0082

<実施例15〜21>
実施例1において、A練りゴム組成物を調製する際のせん断加工条件を、表7−1に示す加工条件に変更したこと以外は、実施例1と同様にして導電性ローラを作製し、評価した。評価結果を表7−2に示す。

0083

0084

0085

<実施例22〜26>
実施例1におけるA練りゴム組成物のせん断加工を、2軸混練加工装置(製品名「KZW15TW−4MG−NH(−6000)」:テクノベル製)を用い、表8−1に示すせん断速度にて行った。それ以外は、実施例1と同様にしてB練りゴム組成物を調製した。こうして得たB練りゴム組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして導電性ローラを作製し、評価した。評価結果を表8−2に示す。

0086

0087

0088

<比較例1及び2>
実施例1におけるA練りゴム組成物の混練条件のうち、せん断速度および混練時間を表9−1に記載した値に変更し、且つ、高せん断加工機による混練工程を行わなかった。これら以外の条件は、実施例1と同様にして導電性ローラを製造し、実施例1と同様に評価した。評価結果を表9−2に示す。比較例1に係る導電性ローラについては、SPMによる測定で第2のゴムを含む領域は観測されなかった。また、比較例2に係る導電性ローラについては、導電性弾性層が加工時に劣化したため、導電性ローラとしての評価を行わなかった。

0089

0090

0091

<比較例3及び4>
実施例1におけるA練りゴム組成物の調製時の高せん断加工機による混練において、帰還穴径、せん断速度、および加工時間を表10−1に記載したように設定した以外は、実施例1と同様にして導電性ローラを製造し、実施例1と同様に評価した。評価結果を表10−2に示す。なお、比較例3に係る導電性ローラについては、SPMによる測定で第2のゴムは観測されなかった。また、比較例4に係る導電性ローラについては、導電性弾性層が加工時に劣化したため、導電性ローラとしての評価を行わなかった。

0092

0093

0094

<実施例27>
1.導電性ローラの作製
A練りゴム組成物の調製工程における混練材料として表11に示す材料を用い、B練りゴム組成物の調製工程における混練材料として表12に示す材料を用い、且つ、導電性部材の外径を12.5mmとした。これら以外は実施例1と同様にして導電性ローラを作製した。

0095

0096

0097

2.導電性ローラの評価
この導電性ローラを転写ローラとして、以下の2−1〜2−3の評価行った。また、実施例1における5−1の評価(導電性ローラの弾性率の測定)、5−5の評価(SPMによる弾性率の測定)および、5−6の評価(パルスNMRによるスピン−スピン緩和時間T2の測定)を行った。評価結果を表13に示す。

0098

2−1.導電性ローラの電気抵抗の測定
前記転写ローラの導電性軸芯体の両側に片側4.9Nの荷重が両方に掛かるようにして、この転写ローラを外径30mmのアルミニウム製ドラムに圧着し、0.5Hzで回転させた状態で、導電性軸芯体とアルミニウム製ドラムとの間に1000Vの電圧を印加して温度23℃、相対湿度55%の環境(N/N環境)下で電流値を測定し、オームの法則により電気抵抗値を算出したものを対数変換し、導電性ローラの抵抗LogRとした。

0099

2−2.導電性ローラの通電劣化試験
次に、上記抵抗測定方法により、温度23℃、相対湿度55%の環境(N/N環境)下における導電性ローラの電流値を測定し、オームの法則により電気抵抗値を算出したものを対数変換し、通電劣化試験前ローラ抵抗LogR10とした。次に、導電性ローラの導電性軸芯体に片側4.9Nの荷重が両方に掛かるようにして外径30mmのアルミニウム製ドラムに圧着し、0.2Hzで回転させた状態で、導電性軸芯体とアルミニウム製ドラムとの間に25時間、80μAの定電流を印加し続けた。その後、温度23℃、相対湿度55%の環境(N/N環境)下で再び電流値を測定し、オームの法則により電気抵抗値を算出したものを対数変換し、通電劣化試験後のローラ抵抗LogR11を求めた。ここで通電劣化試験後の電気抵抗値LogR11から通電劣化試験前の電気抵抗値LogR10を差し引いたものを通電劣化前後の抵抗変動桁とした。これが小さいほど、導電性ローラの通電耐久性が良いといえる。

0100

2−3.導電性ローラの画像評価
上記通電劣化試験後の導電性ローラを転写ローラとして、電子写真プロセスカートリッジに装着した。このプロセスカートリッジをA4サイズの紙を出力可能な電子写真装置(商品名:LBP6300、キヤノン製)に装着し、電子写真画像を形成した。A4サイズの紙上にハーフトーン画像(電子写真感光体の回転方向と垂直方向に幅1ドットの線を間隔2ドットで描く画像)が形成された電子写真画像を1枚出力した。電子写真画像の出力は温度15℃、相対湿度10%の環境下で行った。画像を目視で観察し、転写ローラの電気抵抗値の上昇により発生することのある、ポチ状画像の有無、および、その程度を下記の基準により評価した。
ランクA:ポチ状画像の発生が認められない。
ランクB:ポチ状画像の発生が、かすかに認められる。
ランクC:ポチ状画像の発生が認められる。
ランクD:ポチ状画像の発生が顕著に認められる。

0101

<実施例28>
実施例27において、A練りゴム組成物を調製する際のせん断加工条件を、表13に記載の加工条件に変更した。それら以外は、実施例27と同様にして導電性ローラを作製し、評価した。

0102

0103

<実施例29>
実施例27において、A練りゴム組成物のせん断加工を、2軸混練加工装置(製品名「KZW15TW−4MG−NH(−6000)」:テクノベル製)を用い、表14に示すせん断速度にて行った。それ以外は、実施例27と同様にしてB練りゴム組成物を調製した。また、こうして得られたB練りゴム組成物を用いた以外は、実施例27と同様にして導電性ローラを作製し、評価した。

0104

0105

実施例27〜29に係る導電性ローラの評価結果を表15に示す。

実施例

0106

0107

1導電性部材
11導電性軸芯体
12導電性弾性層
21導電性粒子を含む導電性ドメイン
22 第1のゴムを含むマトリクス
23 第2のゴムを含む領域

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