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技術 有機物試料の分析方法

出願人 株式会社住化分析センター
発明者 末広省吾高橋永次今西克也山内大輔
出願日 2015年10月9日 (5年1ヶ月経過) 出願番号 2015-201481
公開日 2017年4月13日 (3年7ヶ月経過) 公開番号 2017-072566
状態 特許登録済
技術分野 サンプリング、試料調製 放射線を利用した材料分析
主要キーワード 各単層膜 フィッティング解析 成分組成比 特定原子 X線吸収スペクトル 有機物試料 ガスクラスターイオン 規格化後
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図面 (6)

課題

有機物試料の表面からnmレベルの深さ方向に対する成分組成比分子配向性酸化劣化状態等を分析することができる分析方法を提供する。

解決手段

有機物試料の表面を、凹部底面面積が10000μm2以上25mm2以下、凹部の深さが500nm以下となるように削ることにより分析用試料を作製する工程と、作製された分析用試料の凹部底面にX線照射して、分析用試料に流れる電流計測する計測工程とを含む。

概要

背景

半導体材料及び電子部品材料表面分析方法として、ガスクラスターイオンビームGCIB)を用いて被分析試料を削って、X線光電子分析法(X-ray Photoelectron Spectroscopy:XPS)による表面分析を行う方法が知られている(特許文献1参照)。

上述のXPS法を用いる従来技術は、被分析試料を削って、X線を照射し、試料表面から放出される光電子を計測する表面分析方法であり、被分析試料の表面における元素分析又はその元素結合状態に関する情報の取得を行うことができる。

ところで、有機ELや有機薄膜太陽電池等の有機薄膜デバイスでは、性能を決定する有機膜は、厚さが数十nm程度の有機薄膜が層状に積層した構造となっている。近年では、これらの有機薄膜デバイスの性能が実用レベルに到達しはじめ、市販が開始されている。しかし、その製造プロセスにおいては、依然として生産性の向上が必須であり、塗布法などの、低コスト面積プロセスの開発のニーズが高まっている。有機薄膜デバイスの製造プロセスにおいては、有機薄膜の厚さが数十nmであるため、10nmを超える、nmレベルの深さ方向に対する有機半導体分子組成比及び凝集状態の制御又は分子配向制御を行う必要があり、10nmを超える、nmレベルの深さ方向に対する組成分子レベル微細構造を評価する方法が求められている。

しかしながら、従来の技術では、ガスクラスターイオンを用いて深さ方向に試料を削っても、元素情報以外の情報を得ることはできなかった。

概要

有機物試料の表面からnmレベルの深さ方向に対する成分組成比分子配向性酸化劣化状態等を分析することができる分析方法を提供する。有機物試料の表面を、凹部底面の面積が10000μm2以上25mm2以下、凹部の深さが500nm以下となるように削ることにより分析用試料を作製する工程と、作製された分析用試料の凹部底面にX線を照射して、分析用試料に流れる電流を計測する計測工程とを含む。

目的

本発明は、前記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、有機物試料の試料表面から10nmを超える、nmレベルの深さ方向に対する有機化合物の、成分組成比、分子配向性、酸化・劣化状態等を分析することができる、分析方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

有機物試料分析方法であって、有機物試料の表面を、凹部底面面積が10000μm2以上25mm2以下、凹部の深さが500nm以下となるように削ることにより分析用試料を作製する分析用試料作製工程と、前記分析用試料作製工程にて作製された分析用試料の前記凹部底面にX線照射して、当該分析用試料に流れる電流計測する計測工程と、を含むことを特徴とする、分析方法。

請求項2

前記分析用試料作製工程において、凹部の深さが異なる複数の分析用試料を作製し、各分析用試料について、凹部底面にX線を照射して、当該分析用試料に流れる電流を計測することを特徴とする、請求項1に記載の分析方法。

請求項3

有機物試料の分析方法であって、有機物試料の表面を、凹部底面の面積が10000μm2以上25mm2以下、凹部の深さが500nm以下となるように削るとともに、当該凹部の底面に、検出深さよりも小さい厚さを有する、スペクトル既知物質からなる層を形成することにより分析用試料を作製する分析用試料作製工程と、前記分析用試料作製工程にて作製された分析用試料の、前記スペクトル既知物質からなる層にX線を照射して、当該分析用試料に流れる電流を計測する計測工程と、を含むことを特徴とする、分析方法。

請求項4

前記凹部の深さは、1nm以上200nm以下であることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の分析方法。

請求項5

前記分析用試料作製工程は、前記有機物試料の表面を、ガスクラスターイオンビームを照射することにより削ることを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項に記載の分析方法。

請求項6

有機物試料の分析方法であって、有機物試料の表面に、検出深さよりも小さい厚さを有する、スペクトル既知物質からなる層を形成することにより分析用試料を作製する分析用試料作製工程と、前記分析用試料作製工程にて作製された分析用試料の、前記スペクトル既知物質からなる層にX線を照射して、当該分析用試料に流れる電流を計測する計測工程と、を含むことを特徴とする、分析方法。

請求項7

前記X線の波長は、0.1nm以上100nm以下であることを特徴とする、請求項1から6のいずれか1項に記載の分析方法。

請求項8

有機物試料の、成分組成比分子配向性、又は、酸化劣化状態分析することを特徴とする、請求項1から7のいずれか1項に記載の分析方法。

請求項9

前記有機物試料の厚さは、5nm以上200nm以下であることを特徴とする、請求項1から8のいずれか1項に記載の分析方法。

請求項10

前記有機物試料は、有機薄膜であることを特徴とする、請求項1から9のいずれか1項に記載の分析方法。

請求項11

さらに、検出深さを解析する検出深さ解析工程を含むことを特徴とする、請求項1から10のいずれか1項に記載の分析方法。

請求項12

前記検出深さ解析工程は、i)それぞれ1nm以上100nm以下の既知の厚さを有するn層(2≦n)の有機膜からなる多層膜であって、各層は同じ2種類の既知の有機化合物を含み、該2種類の有機化合物の一方が分析対象となる有機化合物であり、各層に既知の組成比濃度勾配が付けられている、基準膜を作製する工程と、ii)前記基準膜の未加工表面にX線を照射して、当該基準膜に流れる電流を計測する工程と、iii)前記ii)の工程で得られたスペクトルから、分析対象となる有機化合物の濃度の測定値を決定する工程と、iv)分析対象となる有機化合物について、各層の厚さと組成比とを用いて算出した、前記基準膜の未加工表面からの各深さにおける濃度を、当該各深さに対してプロットする工程と、v)各深さに対してプロットされた、分析対象となる有機化合物の濃度が、分析対象となる有機化合物の濃度の測定値となる、前記基準膜の未加工表面からの深さを、分析対象となる有機化合物の検出深さとする工程と、を含むことを特徴とする請求項11に記載の分析方法。

技術分野

0001

本発明は有機物試料分析方法に関し、特に、有機物試料の試料表面から10nmを超える、nmレベルの深さ方向に対する、成分組成比分子配向性酸化劣化状態等、分子中の特定原子電子状態分析することができる分析方法に関する。

背景技術

0002

半導体材料及び電子部品材料表面分析方法として、ガスクラスターイオンビームGCIB)を用いて被分析試料を削って、X線光電子分析法(X-ray Photoelectron Spectroscopy:XPS)による表面分析を行う方法が知られている(特許文献1参照)。

0003

上述のXPS法を用いる従来技術は、被分析試料を削って、X線を照射し、試料表面から放出される光電子を計測する表面分析方法であり、被分析試料の表面における元素分析又はその元素結合状態に関する情報の取得を行うことができる。

0004

ところで、有機ELや有機薄膜太陽電池等の有機薄膜デバイスでは、性能を決定する有機膜は、厚さが数十nm程度の有機薄膜が層状に積層した構造となっている。近年では、これらの有機薄膜デバイスの性能が実用レベルに到達しはじめ、市販が開始されている。しかし、その製造プロセスにおいては、依然として生産性の向上が必須であり、塗布法などの、低コスト面積プロセスの開発のニーズが高まっている。有機薄膜デバイスの製造プロセスにおいては、有機薄膜の厚さが数十nmであるため、10nmを超える、nmレベルの深さ方向に対する有機半導体分子組成比及び凝集状態の制御又は分子配向制御を行う必要があり、10nmを超える、nmレベルの深さ方向に対する組成分子レベル微細構造を評価する方法が求められている。

0005

しかしながら、従来の技術では、ガスクラスターイオンを用いて深さ方向に試料を削っても、元素情報以外の情報を得ることはできなかった。

先行技術

0006

特開平8−122283号公報(1996年5月17日公開

発明が解決しようとする課題

0007

本発明は、前記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、有機物試料の試料表面から10nmを超える、nmレベルの深さ方向に対する有機化合物の、成分組成比、分子配向性、酸化・劣化状態等を分析することができる、分析方法を提供することにある。

課題を解決するための手段

0008

上記の課題を解決するために、本願発明は以下の発明を包含する。
(1)有機物試料の分析方法であって、
有機物試料の表面を、凹部底面の面積が10000μm2以上25mm2以下、凹部の深さが500nm以下となるように削ることにより分析用試料を作製する分析用試料作製工程と、
前記分析用試料作製工程にて作製された分析用試料の前記凹部底面にX線を照射して、当該分析用試料に流れる電流を計測する計測工程と、
を含むことを特徴とする、分析方法。
(2)前記分析用試料作製工程において、凹部の深さが異なる複数の分析用試料を作製し、各分析用試料について、凹部底面にX線を照射して、当該分析用試料に流れる電流を計測することを特徴とする、(1)に記載の分析方法。
(3)有機物試料の分析方法であって、
有機物試料の表面を、凹部底面の面積が10000μm2以上25mm2以下、凹部の深さが500nm以下となるように削るとともに、当該凹部の底面に、検出深さよりも小さい厚さを有する、スペクトル既知物質からなる層を形成することにより分析用試料を作製する分析用試料作製工程と、
前記分析用試料作製工程にて作製された分析用試料の、前記スペクトル既知物質からなる層にX線を照射して、当該分析用試料に流れる電流を計測する計測工程と、
を含むことを特徴とする、分析方法。
(4)前記凹部の深さは、1nm以上200nm以下であることを特徴とする、(1)から(3)のいずれかに記載の分析方法。
(5)前記分析用試料作製工程は、前記有機物試料の表面を、ガスクラスターイオンビームを照射することにより削ることを特徴とする、(1)から(4)のいずれかに記載の分析方法。
(6)有機物試料の分析方法であって、
有機物試料の表面に、検出深さよりも小さい厚さを有する、スペクトル既知物質からなる層を形成することにより分析用試料を作製する分析用試料作製工程と、
前記分析用試料作製工程にて作製された分析用試料の、前記スペクトル既知物質からなる層にX線を照射して、当該分析用試料に流れる電流を計測する計測工程と、
を含むことを特徴とする、分析方法。
(7)前記X線の波長は、0.1nm以上100nm以下であることを特徴とする、(1)から(6)のいずれかに記載の分析方法。
(8)有機物試料の、成分組成比、分子配向性、又は、酸化・劣化状態を分析することを特徴とする、(1)から(7)のいずれかに記載の分析方法。
(9)前記有機物試料の厚さは、5nm以上200nm以下であることを特徴とする、(1)から(8)のいずれかに記載の分析方法。
(10)前記有機物試料は、有機薄膜であることを特徴とする、(1)から(9)のいずれかに記載の分析方法。
(11)さらに、検出深さを解析する検出深さ解析工程を含むことを特徴とする、(1)から(10)のいずれかに記載の分析方法。
(12)前記検出深さ解析工程は、
i)それぞれ1nm以上100nm以下の既知の厚さを有するn層(2≦n)の有機膜からなる多層膜であって、各層は同じ2種類の既知の有機化合物を含み、該2種類の有機化合物の一方が分析対象となる有機化合物であり、各層に既知の組成比で濃度勾配が付けられている、基準膜を作製する工程と、
ii)前記基準膜の未加工表面にX線を照射して、当該基準膜に流れる電流を計測する工程と、
iii)前記ii)の工程で得られたスペクトルから、分析対象となる有機化合物の濃度の測定値を決定する工程と、
iv)分析対象となる有機化合物について、各層の厚さと組成比とを用いて算出した、前記基準膜の未加工表面からの各深さにおける濃度を、当該各深さに対してプロットする工程と、
v)各深さに対してプロットされた、分析対象となる有機化合物の濃度が、分析対象となる有機化合物の濃度の測定値となる、前記基準膜の未加工表面からの深さを、分析対象となる有機化合物の検出深さとする工程と、
を含むことを特徴とする(11)に記載の分析方法。

発明の効果

0009

本発明によれば、有機物試料の深さ方向の任意の位置における、成分組成比、分子配向性、酸化・劣化状態等を分析することができるという有利な効果を得ることができる。

図面の簡単な説明

0010

実施例において分析した有機多層膜の構造、各層におけるIr(ppy)3/TPBiの組成比、及び膜厚を示す図である。
実施例において分析した有機多層膜に含まれるIr(ppy)3及びTPBiの構造式を示す図である。
実施例において計測した未加工の有機多層膜及び各分析用試料のN(窒素)K吸収端領域におけるX線吸収スペクトルを示す図である。
実施例において、多層薄膜の未加工表面に対する吸収の強度比(I/I0)を、有機多層薄膜の未加工表面からの深さに対してプロットした結果を示す図である。
実施例において、各分析用試料の加工深さに対して、その加工深さにおけるIr(ppy)3の計算に基づく推測濃度をプロットした結果を示す図である。

0011

〔実施形態1〕
本発明の一実施形態において、本発明の分析方法は、有機物試料の分析方法であって、有機物試料の表面を、凹部底面の面積が10000μm2以上25mm2以下、凹部の深さが500nm以下となるように削ることにより分析用試料を作製する分析用試料作製工程と、前記分析用試料作製工程にて作製された分析用試料の前記凹部底面にX線を照射して、当該分析用試料に流れる電流を計測する計測工程と、を含んでいる。

0012

(有機物試料)
本発明に係る分析方法では有機物試料を分析する。ここで、有機物試料とは、有機化合物を含有する固体の試料をいう。したがって、本発明における有機物試料は、有機化合物のみを含むものであってもよいし、有機化合物に加えて無機物を含んでいてもよい。また、前記有機物試料は、単一の有機化合物を含む試料であってもよいし、2種類以上の有機化合物を含む試料であってもよい。

0013

前記有機物試料の形状も特に限定されるものではなく、例えば、塊状、膜状、粉末状等である。また、前記有機物試料の厚さは、通常5nm以上100μm以下である。前記有機物試料の厚さが、5nm以上100μm以下であれば、X線を照射して試料に流れる電流を計測する本発明の計測方法に好適に供することができる。前記有機物試料の厚さは、より好ましくは5nm以上10μm以下、さらに好ましくは10nm以上200nm以下、特に好ましくは10nm以上100nm以下である。

0014

前記有機物試料のより好ましい試料形態は有機薄膜である。有機ELや有機薄膜太陽電池等の有機薄膜デバイスにおいては、厚さが数十nmの有機薄膜の、10nmを超える、nmレベルの深さ方向に対する成分組成比、分子配向性、酸化・劣化状態等を分析する方法が求められており、特にこれらの有機薄膜デバイスにおいて本発明を好適に用いることができる。なお、本明細書において、有機薄膜とは、膜厚が1nm以上200nm以下である膜状の有機物試料をいう。

0015

前記有機薄膜は、単層膜であってもよいし多層膜であってもよい。さらに、単層膜又は多層膜に含まれる層のそれぞれは、有機化合物のみを含んでいてもよいし、有機化合物に加えて無機物を含んでいてもよい。また、単層膜又は多層膜に含まれる層のそれぞれは、単一の有機化合物を含んでいてもよいし、2種類以上の有機化合物を含んでいてもよい。

0016

前記有機薄膜の膜厚は、より好ましくは5nm以上200nm以下、さらに好ましくは10nm以上100nm以下、特に好ましくは10nm以上50nm以下である。

0017

(分析用試料作製工程)
本発明に係る分析方法は、前記有機物試料の表面を、凹部底面の面積が10000μm2以上25mm2以下、凹部の深さが500nm以下となるように削ることにより分析用試料を作製する分析用試料作製工程を含んでいる。

0018

即ち、本工程では、前記有機物試料の表面を、上記のように削ることにより、底面の面積が10000μm2以上25mm2以下、深さが500nm以下の、底面が略平坦な凹部を形成して、分析用試料とする。前記凹部の底面は、前記有機物試料の表面と略平行になっていることが好ましい。また、前記凹部の側面は、前記凹部の底面又は前記有機物試料の表面に対して略垂直であってもよいし、傾斜していてもよい。

0019

前記凹部底面の面積が10000μm2以上25mm2以下であることにより、計測工程において照射されるX線が前記凹部底面内にのみ照射され凹部底面以外の部分にはみ出さないので、正確な計測を行うことができる。従来、ガスクラスターイオンビームを用いて試料をガスクラスターイオンビームの径に相当する非常に狭い面積で削りXPS法で分析するという技術が知られている。また、X線分析の検出深さは表面に極近い領域(一般に試料表面から数nm以下)であると考えられていることから、広い面積を微小な径を持つガスクラスターイオンビームを用いて削ると、削った面に凹凸ができ、その表面粗さが分析結果に大きく影響すると考えられていた。そのため、従来、試料を上記のような広い面積で削って、X線分析を行うという発想はなかった。

0020

また、XPS法では分析できない、有機物試料中の有機化合物の、成分組成比、分子配向性、酸化・劣化状態等、分子中の特定原子の電子状態は、X線を照射して有機物試料に流れる電流を電流計で計測する方法を用いれば分析することができる。しかし、X線を照射して有機物試料に流れる電流を計測する方法は、X線のビーム径がXPS法におけるX線のビーム径よりも大きいので、前記従来の方法では、削った面以外にもビームが当たってしまい、削られていない周囲の余計な情報も含んでしまうという問題が起こる。

0021

かかる問題を検討する中で、本発明者らは、X線を照射して有機物試料に流れる電流を計測する方法を用いれば、10nmを超える検出深さで有機物試料の分子中の特定原子の電子状態を分析することができるとの知見を初めて得た。かかる知見によれば、X線を照射して有機物試料に流れる電流を計測する方法を用いれば、10nmを超える検出深さで有機物試料中の有機化合物の、成分組成比、分子配向性、酸化・劣化状態等を分析することができる。そこで、例えばガスクラスターイオンビームを用いて、試料の表面を広い面積で削れば、計測工程において照射されるX線が前記凹部底面内にのみ照射でき、正確な計測を行うことができる。そして、有機物試料中に含まれている有機化合物の、成分組成比、分子配向性、酸化・劣化状態に関する情報を得ることもできる。

0022

前記凹部底面の面積は、より好ましくは40000μm2以上25mm2以下であり、さらに好ましくは40000μm2以上9mm2以下であり、さらに好ましくは40000μm2以上4mm2以下であり、さらに好ましくは40000μm2以上3.24mm2以下であり、さらに好ましくは40000μm2以上2.25mm2以下であり、さらに好ましくは40000μm2以上1.44mm2以下であり、特に好ましくは90000μm2以上1.44mm2以下であり、最も好ましくは490000μm2以上1.44mm2以下である。また、前記凹部底面の形状は特に限定されるものではないが、例えば、四角形三角形等の多角形円形等である。中でも、前記凹部底面の形状は正方形であることがより好ましい。

0023

前記凹部の深さが500nm以下であることにより、前記有機物試料の、nmレベルの深さ方向に対する分子中の特定原子の電子状態を分析することができる。前記凹部の深さは、より好ましくは1nm以上200nm以下、さらに好ましくは5nm以上150nm以下、特に好ましくは10nm以上100nm以下、最も好ましくは12nm以上50nm以下である。

0024

また、本発明によれば、有機物試料の深さ方向の任意の位置における成分組成比、分子配向性、酸化・劣化状態等、分子中の特定原子の電子状態を分析することができるという有利な効果を得ることができる。すなわち、前記分析用試料の凹部の深さを選択することにより、有機物試料の表面からの所望の深さから始まる検出深さの範囲に存在する有機物試料の成分組成比、分子配向性、酸化・劣化状態等についての情報を得ることができる。

0025

例えば、ある有機物試料において、検出深さが例えばXnmである場合、前記有機物試料の表面を、凹部の深さがYnmとなるように削れば、前記有機物試料の表面(未加工表面)からYnmの深さと、前記有機物試料の表面からY+Xnmの深さとの間に存在する有機物試料の当該範囲における平均の成分組成比、分子配向性、酸化・劣化状態等についての情報を得ることができる。

0026

或いは、本工程において、凹部の深さが異なる複数の分析用試料を作製し、各分析用試料について、凹部底面にX線を照射して電流計測を行ってもよい。一例として、ある有機物試料において、検出深さが例えばXnmである場合、有機物試料の表面を、凹部の深さが、それぞれ、Xnm、X×2nm、X×3nm、・・・及びX×mnmとなるように削ることにより得たm個の分析用試料を作製する。そして、削る前の有機物試料及び作製したm個の分析用試料について、それぞれX線を照射して、削る前の有機物試料及びm個の分析用試料に流れる電流をそれぞれ計測すれば、得られたm+1個の計測結果から、有機物試料の表面から深さ方向にX×(m+1)nmまでの、Xnmの深さ毎の成分組成比、分子配向性、酸化・劣化状態等についての情報を得ることができる。それゆえ、有機物試料の厚さ方向全体にわたる成分組成比、分子配向性、酸化・劣化状態等についての情報を得ることができる。

0027

前記有機物試料の表面を削る方法としては、有機物試料に含まれる有機化合物の結合状態を変化させることなく有機物試料を削ることができる方法であれば特に限定されるものではない。かかる方法としては、例えば、ガスクラスターイオンビームを、有機物試料に照射することにより有機物試料を削る方法を好適に用いることができる。ガスクラスターイオンを構成する原子または分子の数は、好ましくは10個以上であり、より好ましくは100個〜10000個である。また、ガスクラスターイオンは、有機物試料を削る効率を高めるという観点から、好ましくは1keV以上に加速されたイオンであり、より好ましくは2.5KeV以上10KeV以下に加速されたイオンである。ガスクラスターイオンを構成する原子または分子としては、有機物試料と化学的に反応しないという観点から、ヘリウムネオンアルゴンクリプトンキセノン等の不活性ガス原子または酸素等の分子を用いることがより好ましい。

0028

前記有機物試料の表面を、凹部底面の面積が上記範囲となるように削る方法としても特に限定されるものではないが、ガスクラスターイオンビームを、有機物試料の表面に、走査させながら照射することにより、所望の凹部底面面積及び凹部の深さを有する凹部を形成することができる。ガスクラスターイオンビームの有機物試料の表面に対する入射角度は特に限定されるものではないが、ガスクラスターイオンビームを有機物試料の表面に対して斜めに入射させることがより好ましく、その入射角度は例えば10°以上80°以下である。また、ガスクラスターイオンビームの有機物試料に対する入射角度は、30°以上60°以下であってもよく、40°以上50°以下であってもよい。ガスクラスターイオンビームの照射時間は、加工深さに依存し、特に限定されるものではない。なお、ガスクラスターイオンビームを、有機物試料の表面に、走査させながら照射する方法の他に、ガスクラスターイオンビームを固定して有機物試料を動かす方法、ガスクラスターイオンビームと有機物試料とを両方動かす方法を用いることも可能である。

0029

(計測工程)
本発明に係る分析方法は、前記分析用試料作製工程にて作製された分析用試料の前記凹部底面にX線を照射して、当該分析用試料に流れる電流を計測する計測工程を含んでいる。

0030

このような計測方法としては、例えば、X線吸収分光法(X-ray Absorption Spectroscopy:XAS)などを好適に用いることができる。特に、分析用試料に流れる電流を計測する方法によれば、分析用試料に流れる電流を計測することにより全電子収量が得られる。全電子収量スペクトルは、X線吸収スペクトルと略同一のスペクトル形状であるため、全電子収量法X線吸収スペクトルを解析することにより、有機物試料に含まれる、有機化合物の、成分組成比、分子配向性、酸化・劣化状態等、分子中の特定原子の電子状態を分析することができる。なお、全電子収量法によるXAS測定は、通常の方法により行うことができる。

0031

また、本工程において照射するX線の波長は特に限定されるものではないが、より好ましくは、0.1nm以上100nm以下である。かかる波長領域のX線は、軟X線と称される、物質に対する透過能が低いX線で、有機物試料に含まれる有機化合物の原子中の軌道電子との相互作用が強い。それゆえ、かかる波長のX線は、有機物試料の分子中の特定原子の電子状態を分析するためにより好適である。

0032

本工程において照射するX線のビーム径についても特に限定されるものではないが、通常10nm以上1000μm以下であり、より好ましくは50nm以上500μm以下であり、さらに好ましくは100nm以上300μm以下である。

0033

(分子中の特定原子の電子状態の分析)
本発明の分析方法により分析することができる、有機物試料に含まれる有機化合物の分子中の特定原子の電子状態としては、有機物試料に含まれる有機化合物の、成分組成比、分子配向性、酸化・劣化状態等を挙げることができる。

0034

これらの分子中の特定原子の電子状態については、上述した計測方法を用いて従来公知の方法で分析を行うことができる。

0035

複数種類の有機化合物を含む有機物試料において、目的とする有機化合物成分の成分組成比は、例えば、分析用試料のX線スペクトルを、各成分の各単層膜のスペクトルの和として解析し、算出することができる。例えば、複数種類の有機化合物を含む有機物試料のX線スペクトル(A)と、各構成成分からなる単層膜の各X線スペクトル(X、Y、Z…)とを測定する。各X線スペクトルをデータ処理した後、複数種類の有機化合物を含む有機物試料のX線スペクトルは各成分のX線スペクトルの和として表されるという以下の関係を用いて、各成分の組成比を算出する。

0036

A=a1*X+a2*Y+a3*Z+…
ここで、例えば「a1*X」は、a1とXとの積を示し、a1、a2、a3…は、それぞれ、各成分の組成比を示す。

0037

成分組成比の分析により、目的とする有機化合物成分の、試料表面からのnmオーダーの任意の深さ方向における組成比を決定することができる。

0038

また、有機物試料に含まれる有機化合物の分子配向性は、試料面に対するX線の入射角を変化させながら、各入射角におけるX線スペクトルを測定し、X線スペクトルの入射角依存性から解析することができる。具体的には、例えば、Fan Zheng, J. L. McChesney, Xiaosong Liu, and F. J. Himpsel, “Orientation of fluorophenols on Si(111) by near edge x-ray absorption fine structure spectroscopy”, Phys. Rev. B, 73, 205315(2006)に記載の方法を好適に用いることができる。例えば、試料面に対するX線の入射角が異なる複数のX線スペクトルを測定する。各X線スペクトルから、着目するピークにおける強度を読み取り入射角θに対して強度をプロットする。次に、入射角90°の強度が1になるように、各入射角θの強度を規格化する。規格化後のプロットから、以下に示す解析式を用いてフィッティング最小二乗法など)することにより、基板法線と分子平面に垂直なπ*軌道との成す角度(α)の値を求める。基板法線が基板面に垂直であり、分子平面に垂直なπ*軌道が分子平面に垂直であるという関係から、α=基板面と分子平面の成す角度(分子の傾き角度、即ち分子配向性)である。

0039

0040

なお、前記解析式中、θは試料面に対するX線の入射角を示し、Pは入射光偏光度を示し、Iν(θ)は前記入角θに対するπ*の相対強度を示す。

0041

以上のように、本発明に係る分析方法によれば、目的とする有機化合物成分の、試料表面からのnmオーダーの任意の深さ方向における、成分組成比、分子配向性、酸化・劣化状態等を計測することができる。

0042

(検出深さ解析工程)
上述したように、本発明者らは、X線を照射して有機物試料に流れる電流を計測する方法を用いれば、10nmを超える検出深さで、有機物試料に含まれる有機化合物の、成分組成比、分子配向性、酸化・劣化状態等、分子中の特定原子の電子状態を分析することができるとの知見を得た。この検出深さが分かっていれば、例えば、ある有機物試料において、検出深さが例えばXnmである場合、前記有機物試料の表面を、凹部の深さがYnmとなるように削る場合は、本発明の分析方法により得られる有機化合物の、成分組成比、分子配向性、酸化・劣化状態等についての情報は、前記有機物試料の表面から、Ynm〜Y+Xnmの深さ範囲における平均の成分組成比、分子配向性、酸化・劣化状態等についての情報であることが判る。

0043

或いは、ある有機物試料において、検出深さが例えばXnmである場合、有機物試料の表面から、凹部の深さが、Xnmの倍数となるように削った複数の分析用試料を作製し、それぞれについて分析を行えば、有機物試料の深さ方向に任意の深さまでの、有機化合物の、成分組成比、分子配向性、酸化・劣化状態等についての情報を得ることができる。

0044

したがって、本発明に係る分析方法は、検出深さを解析する検出深さ解析工程を含んでいてもよい。

0045

前記検出深さ解析工程は、
i)それぞれ1nm以上100nm以下の既知の厚さを有するn層(2≦n)からなる有機膜からなる多層膜であって、各層は同じ2種類の既知の有機化合物を含み、該2種類の有機化合物の一方が分析対象となる有機化合物であり、各層に既知の組成比で濃度勾配が付けられている、基準膜を作製する工程と、
ii)前記基準膜の未加工表面にX線を照射して、当該基準膜に流れる電流を計測する工程と、
iii)前記ii)の工程で得られたスペクトルから、分析対象となる有機化合物の濃度の測定値を決定する工程と、
iv)分析対象となる有機化合物について、各層の厚さと組成比とを用いて算出した、前記基準膜の未加工表面からの各深さにおける濃度を、当該各深さに対してプロットする工程と、
v)各深さに対してプロットされた、分析対象となる有機化合物の濃度が、分析対象となる有機化合物の濃度の測定値となる、前記基準膜の未加工表面からの深さを、分析対象となる有機化合物の検出深さとする工程と、を含む。

0046

この方法により、分析対象となる有機化合物と任意の有機化合物との2成分からなる上記基準膜を作製して、検出深さを解析すれば、分析対象となる有機化合物の検出深さを知ることができる。

0047

前記基準膜の各有機膜の厚さは、1nm以上100nm以下であればよいが、より好ましくは3nm以上30nm以下である。各有機膜の厚さは、層毎に異なっていてもよいし同じであってもよいが、略同じ厚さであることがより好ましい。また、前記基準膜に含まれる層の数nは2以上であればよいが、より好ましくは3以上であり、さらに好ましくは4以上である。

0048

前記基準膜では各層に既知の組成比で濃度勾配が付けられていればよい。例えば、前記2種類の既知の有機化合物を有機化合物Aと、有機化合物Bとすれば、前記基準膜の最上層である、表面から第1層目では、有機化合物Aと有機化合物Bとの組成比を100:0とし、最下層である、表面から第n層目では、有機化合物Aと有機化合物Bとの組成比を0:100とし、表面の第1層目から第n層目に進むにつれて、段階的に有機化合物Aの組成比を減らしていけばよい。なお、本発明において、組成比とは、重量比を意味する。

0049

本工程において、前記基準膜の未加工表面にX線を照射して、当該基準膜に流れる電流を計測する方法は、本発明の前記計測工程で用いる方法と同一である。これにより、前記計測工程における検出深さを測定することができる。

0050

続いて、前記ii)の工程で得られたスペクトルから、上述した方法により分析対象となる有機化合物の濃度の測定値を決定する。

0051

以下、前記iv)、v)の工程で用いられる検出深さの解析方法について、有機膜を、X線吸収スペクトルを用いて分析する場合を例に挙げてより具体的に説明する。

0052

N種類の有機化合物(有機化合物A、B、C・・・、及びN)を含む、均一な有機膜のX線吸収スペクトルは、下記(式1)で表されるように、含まれる各有機化合物のX線吸収スペクトルで再現できる。
I=IA×XA+IB×XB+IC×XC+…+IN×XN ・・・(式1)
I:試料の規格化スペクトル
IA:有機化合物Aの規格化スペクトル
IB:有機化合物Bの規格化スペクトル
IC:有機化合物Cの規格化スペクトル
IN:有機化合物Nの規格化スペクトル
XA:有機化合物Aの重量比
XB:有機化合物Bの重量比
XC:有機化合物Cの重量比
XN:有機化合物Nの重量比
一方、単一の有機化合物を含む有機膜のX線吸収スペクトルは、当該有機膜をn分割したn個の層からなる多層膜であると考えると、下記(式2)で表されるように、各層のX線吸収スペクトルで再現できる。
IML=a1×I1×W1/W+a2×I2×W2/W+a3×I3×W3/W+…+an×In×Wn/W ・・・(式2)
an:第n層のX線強度補正係数
W:有機膜の、分析対象となる表面から第n層までの全ての層の合計重量
Wn:分析対象となる第n層の重量
ここで、第n層の重量は、下記(式3)で表すことができる。
Wn=Sn×Tn×Dn ・・・(式3)
Sn:第n層の分析面積
Tn:第n層のX線の放射光が浸入する深さ
Dn:第n層の密度
なお、第n層までX線の放射光が浸入する場合の、深さをTとする。なお、X線の放射光が浸入する深さを検出深さとする。
T=T1+T2+T3+ … +Tn ・・・(式4)
<解析方法1>
ここで、下記の関係(a)、(b)及び(c):
(a)強度の補正係数は一定 a1=a2=a3= … =an=a
(b)各層の分析面積は一定 S1=S2=S3= … =Sn=S
(c)各層の密度は同じ D1=D2=D3= … =Dn=D
成立すると仮定すると、(式2)は下記(式5)に書き換えることができる。
IML=(I1×T1+I2×T2+I3×T3+…+In×Tn)×a×S×D/W
・・・(式5)
ここで、A=a×S×D/W とする定数Aを使うと、(式5)は下記(式6)に書き換えることができる。
IML=A×(I1×T1+I2×T2+I3×T3+…+In×Tn) ・・・(式6)
2種類の有機化合物(有機化合物A及びB)を含む、有機膜のX線吸収スペクトルは、当該有機膜をn分割したn個の層からなる多層膜であると考えると、(式1)と(式6)とから、下記(式7)のように表すことができる。
IMML=A×{(IA×X1A+IB×X1B)×T1+(IA×X2A+IB×X2B)×T2+(IA×X3A+IB×X3B)×T3+…+(IA×XnA+IB×XnB)×Tn}
・・・(式7)
ここで、各層における有機化合物AとBとの組成比の合計を1(100重量%)とすると、XnA+XnB=1となる。よって、(式7)は下記(式8)のように書き換えることができる。
IMML=A×[{IA×X1A+IB×(1−X1A)}×T1+{IA×X2A+IB×(1−X2A)}×T2+{IA×X3A+IB×(1−X3A)}×T3+…+{IA×XnA+IB×(1−XnA)}×Tn} ・・・(式8)
(式8)中、IA及びIBはそれぞれ有機化合物A及びBの標準スペクトルの測定により得られる値であり、A(a×S×D/W)を定数であると考えると、(式8)の変数は、XnAとTnとなる。Tを算出するためには、以下の2条件を満たすn層(n≧2)の基準膜を作成すればよい。
条件1:n層目までの有機化合物Aの濃度すなわち組成比(X1A〜XnA)が既知である。
条件2:T1<Tの関係を満たし、n層目までの各層の厚さが既知である。

0053

ここで、2種類の有機化合物(有機化合物A及びB)を含む、n層の有機膜からなる多層膜における、深さTまでの有機化合物Aの平均濃度をXAとすると、(式8)は以下のように書き換えることができる。
IMML=A×{IA×XA+IB×(1−XA)}×T ・・・(式9)
ここで、
IA×XA×T=IA×X1A×T1+IA×X2A×T2+IA×X3A×T3+…+IA×XnA×Tn
であり、変形すると、XAは下記(式10)で表される。
XA=X1A×T1/T+X2A×T2/T+X3A×T3/T+…+XnA×Tn/T
・・・(式10)
(式10)によれば、n=1即ち深さT1では、XA=X1A×T1/Tであり、n=2即ち深さT1+T2では、XA=X1A×T1/T + X2A×T2/Tであり、n=3即ち深さT1+T2+T3では、XA=X1A×T1/T + X2A×T2/T +X3A×T3/Tであり、n=n即ち深さT1+T2+T3+ … +Tnでは、XA=X1A×T1/T + X2A×T2/T +X3A×T3/T+ … + XnA×Tn/Tである。この計算に基づいて、各層における深さに対して、その深さにおける平均濃度XAをプロットして、平均濃度XAのグラフを作成し、実際の測定で得られた有機化合物Aの濃度と一致する検出深さTを決定することができる。

0054

なお、前記基準膜の表面を、凹部底面の面積が前記範囲内、凹部の深さがT0となるように削って、前記凹部底面にX線を照射して計測を行う場合、前記凹部底面を基準として検出深さTまでの成分組成比、分子配向性、酸化・劣化状態等を分析することができる。この深さT0の凹部底面から、前記凹部底面を基準として検出深さTまでの範囲、即ち、前記凹部底面と前記基準膜の未加工表面からT0+Tの深さ位置との間の有機化合物Aの平均濃度をXA(T0)とすれば、下記(式11)が成り立つ。なお、下記式において、X0は基準膜の表面から凹部の深さT0までの削り出した有機化合物Aの平均濃度である。
XA(T0)×T=X1A×T1+X2A×T2+X3A×T3+…+XnA×Tn−X0×T0)
・・・(式11)
ここで、Tn=T+T0であるので、(式11)は以下のように書き換えることができる。
XA(T0)×T=X1A×T1+X2A×T2+X3A×T3+…+XnA×(T+T0)−X0×T0・・・(式12)
XA(T0)=(X1A×T1+X2A×T2+X3A×T3+…+XnA×(T+T0)−X0×T0)/T・・・(式13)
T0が0のときの、XA(T0)×TをF(T)で表すと、下記(式14)が成り立つ。
F(T)=XA×T=X1A×T1+X2A×T2+X3A×T3+…+XnA×Tn
・・・(式14)
また、T0がSのときは、得られるスペクトルの深さは、基準膜の表面から、S〜(T+S)nmの範囲となり、下記(式15)が成り立つ。
(F(T+S)−F(S))=XA(T0)×T・・・(式15)
よって、XA=(F(T+S)−F(S))/T
の関係が成り立つ。凹部の深さがSとなるように削ったときの、凹部底面から検出深さTの範囲に存在する有機化合物Aの平均濃度XAを、検出深さTと作成した基準膜の各層の厚さと組成比を用いて算出し、Sに対してプロットすれば、前記基準膜の表面を削った加工深さと、その加工深さにおける有機化合物Aの平均濃度XAの理論的な関係が示されるので、実際の測定で得られた有機化合物Aの濃度との相関を確認することができる。

0055

<解析方法2>
或いは、検出深さの解析は以下の方法を用いて行うことができる。以下の方法によれば、基準膜の表面からの深さを考慮したX線強度の補正係数を用いるため、厚さが数十nmの有機物試料をより正確に解析することができる。

0056

X線の強度がランベルトベールの法則に従う(侵入する深さによって減衰する)場合において、元のX線の強度に対して、1/eの強度になる厚さを検出深さと定義する。
ランベルト−ベールの法則
I=I0exp(−μd)・・・(式16)
(式16)中、μはX線吸収係数であり、dは試料表面からの深さである。

0057

本解析方法では、下記の関係(a)及び(b)
(a)各層の分析面積は一定 S1=S2=S3= … =Sn=S
(b)各層の密度は同じ D1=D2=D3= … =Dn=D
が、成立すると仮定する。

0058

表面から深さdxの位置におけるX線の強度をaxとする。なお、深さd0は試料表面を示し0であり、深さdnは試料の厚さに等しい。X線強度の補正係数Axは下記の式で表される。
ax=exp(−μdx)・・・(式17)
Ax=ax×S×D/W・・・(式18)
2種類の有機化合物(有機化合物A及びB)を含む有機膜のX線吸収スペクトルは、当該有機膜をn分割したn個の層からなる多層膜であると考えると、下記(式19)のように表すことができる。即ち、スペクトル強度の算出において、試料の厚さdnをn分割し、各成分のX線強度の補正係数Axを用いると以下の式となる。
IMML={A1×(IA×X1A+IB×X1B)×(d1−d0)+A2×(IA×X2A+IB×X2B)×(d2−d1)+A3×(IA×X3A+IB×X3B)×(d3−d2)+…+An×(IA×XnA+IB×XnB)×(dn−dn−1)}・・・(式19)
(式18)を用いて(式19)を書き換えると、
IMML=(S×D/W)×{a1×(IA×X1A+IB×X1B)×(d1−d0)+a2×(IA×X2A+IB×X2B)×(d2−d1)+a3×(IA×X3A+IB×X3B)×(d3−d2)+…+an×(IA×XnA+IB×XnB)×(dn−dn−1)}
・・・(式20)
有機化合物Aの組成比は、XA/(XA+XB)と書くことができる。

0059

XAのスペクトルはIMMLのXAが含まれる項、(XA+XB)はIMMLであるため、XA/(XA+XB)は、以下の(式21)で表される。
XA/(XA+XB)=[{a1×(IA×X1A)×(d1−d0)+a2×(IA×X2A)×(d2−d1)+a3×(IA×X3A)×(d3−d2)+…+an×(IA×XnA)×(dn−dn−1)}]/[{a1×(IA×X1A+IB×X1B)×(d1−d0)+a2×(IA×X2A+IB×X2B)×(d2−d1)+a3×(IA×X3A+IB×X3B)×(d3−d2)+…+an×(IA×XnA+IB×XnB)×(dn−dn−1)}]・・・(式21)
(式21)において、有機化合物Aの組成比である、XA/(XA+XB)、IA、XnA、IB、XnB、dxは実験的に得られる値である。dnは任意に決定でき、例えば(dn−dn−1)を0.01nm〜10nmの範囲の任意の値で定義する。この範囲は、0.05nm〜1nmの間で設定するのがより好ましく、0.1nmがさらに好ましい。

0060

未知の定数は、anの項であり、具体的にはμのみである。そのため、実験結果のXA/(XA+XB)と一致するように、右辺のanを算出するためのμに任意の値を入力する。

0061

検出深さについては、決定したμを用い、試料表面からの深さdに対して、I/I0をプロットし、I/I0=1/eとなる値を読み取る。

0062

したがって、本解析方法においては、前記iv)、v)の工程は、
iv)分析対象となる有機化合物について、各層の厚さと組成比とを用いて算出した、前記基準膜の未加工表面からの各深さにおける当該未加工表面に対する強度比を、当該各深さに対してプロットする工程と、
v)各深さに対してプロットされた、分析対象となる有機化合物の未加工表面に対する強度比が、1/eとなる値となる、前記基準膜の未加工表面からの深さを、分析対象となる有機化合物の検出深さとする工程と、言い換えることもできる。

0063

薄膜を加工し、dm薄くなったとする。この時、深さdxが(dx−dm)となるので、その強度は次の(式22)で表せる。
ax=exp{−μ(dx−dm)}=exp(−μdx+μdm)=exp(−μdx)×exp(μdm)・・・(式22)
(式22)より、加工した深さによって、全体のX線の強度が定数exp(μdm)だけ、高くなる。そのため、有機化合物Aの組成比は下記(式23)で表され、変化はない。
XA×exp(μdm)/(XA+XB)exp(μdm)=XA/(XA+XB)
・・・(式23)
有機化合物Aについて、検出深さを考慮した、全体の膜厚(dn)の組成比と、加工した膜厚(dm)分の組成比の差をとると、
XA=Σi=1n{ai×(IA×XiA)×(di−di−1)}
−Σi=1m{aX×(IA×XiA)×(di−di−1)} ・・・(式24)
同様にB成分は
XB=Σi=1n{ai×(IB×XiB)×(di−di−1)}
−Σi=1m{aX×(IB×XiB)×(di−di−1)} ・・・(式25)
となる。

0064

横軸に加工深さdmをとり、dmに対して、有機化合物Aの組成比(XA/(XA+XB))をプロットし、X線吸収スペクトルIMMLにて算出した値と比較することで、加工深さdmを求めることができる。

0065

〔実施形態2〕
本発明の一実施形態において、本発明の分析方法は、有機物試料の分析方法であって、有機物試料の表面に、検出深さよりも小さい厚さを有する、スペクトル既知物質からなる層を形成することにより分析用試料を作製する分析用試料作製工程と、前記分析用試料作製工程にて作製された分析用試料の、前記スペクトル既知物質からなる層にX線を照射して、当該分析用試料に流れる電流を計測する計測工程と、を含んでいる。

0066

本実施形態では、分析用試料作製工程において、前記有機物試料の表面に、検出深さよりも小さい厚さを有する、スペクトル既知物質からなる層を形成して分析用試料とし、形成されたスペクトル既知物質からなる層の表面にX線を照射して、当該分析用試料に流れる電流を計測する。

0067

ここで、前記スペクトル既知物質としては、特に限定されるものではない。ここで、スペクトル既知物質とは、当該物質についてX線を照射して、電流を計測して得たスペクトルが既知の物質をいう。当該スペクトル既知物質の寄与分を、本発明の計測工程で得られた結果から差し引くことにより、分析対象となる有機化合物についての計測結果を得ることができる。前記スペクトル既知物質は、計測工程において得られるスペクトルにおいて、分析対象となる有機化合物とは異なる位置にピークを有する物質であることがより好ましい。かかるスペクトル既知物質を用いれば、当該物質の寄与分を差し引く補正を行う必要がないため、より好ましい。このような、計測結果への影響がないスペクトル既知物質としては、例えば、イオウカーボンまたはα−NPDのような無配向性試料等を挙げることができる。

0068

本実施の形態によれば、有機物試料の表面から、検出深さより浅い任意の深さまでの有機化合物の、成分組成比、分子配向性、酸化・劣化状態等、分子中の特定原子の電子状態についての情報を得ることができる。

0069

例えば、ある有機物試料において、検出深さが例えばXnmであるとき、前記有機物試料の表面に、厚さZnm(Z<X)のスペクトル既知物質からなる層を形成する場合は、計測工程で得られたスペクトルの強度から、スペクトル既知物質の寄与分を差し引けば、当該有機物試料の表面から、X−Znmの深さ位置までの範囲における、有機化合物の、成分組成比、分子配向性、酸化・劣化状態等についての情報を得ることができる。また、スペクトル既知物質として、計測結果に影響のない物質を用いる場合には、スペクトル既知物質の寄与分を差し引く必要はない。

0070

前記スペクトル既知物質からなる層を形成する方法としては、特に限定されるものではなく、従来公知の方法を適宜選択して用いることができ、例えば、化学蒸着法物理蒸着法、塗布法、スピンコート法ドロップキャスト等を用いることができる。

0071

また、前記スペクトル既知物質からなる層は、有機物試料の表面全体に形成してもよいし、有機物試料の表面の一部に形成してもよい。前記スペクトル既知物質からなる層の面積も特に限定されるものではないが、例えば、実施形態1の凹部底面の面積と同様で有り得る。

0072

本実施形態における、有機物試料、計測方法、分析する有機物試料の、成分組成比、分子配向性、酸化・劣化状態等、検出深さ解析工程を含み得る点、及び検出深さの解析方法については、実施形態1と同じであるので、ここでは説明を省略する。

0073

〔実施形態3〕
本発明のさらなる一実施形態において、本発明の分析方法は、有機物試料の分析方法であって、有機物試料の表面を、凹部底面の面積が10000μm2以上25mm2以下、凹部の深さが500nm以下となるように削るとともに、当該凹部の底面に、検出深さよりも小さい厚さを有する、スペクトル既知物質からなる層を形成することにより分析用試料を作製する分析用試料作製工程と、前記分析用試料作製工程にて作製された分析用試料の、前記スペクトル既知物質からなる層にX線を照射して、当該分析用試料に流れる電流を計測する計測工程と、を含んでいる。

0074

本実施形態では、分析用試料作製工程において、前記有機物試料の表面を上記のように削ることにより、まず、底面の面積が10000μm2以上25mm2以下、深さが500nm以下の、底面が略平坦な凹部を形成する。前記凹部の底面は、実施形態1と同様に、前記有機物試料の表面と略平行となっていることが好ましい。また、前記凹部の側面は、前記凹部の底面又は前記有機物試料の表面に対して略垂直であってもよいし、傾斜していてもよい。こうして形成した凹部の底面に、検出深さよりも小さい厚さを有する、スペクトル既知物質からなる層を形成して、分析用試料とする。得られた分析用試料の、前記スペクトル既知物質からなる層の表面にX線を照射して、当該分析用試料に流れる電流を計測する。

0075

ここで、前記有機物試料の表面を削って形成される凹部の底面の面積及び形状、並びに凹部の深さのより好ましい範囲は、実施形態1の場合と同様である。また、前記スペクトル既知物質、前記スペクトル既知物質からなる層、及び、前記スペクトル既知物質からなる層を形成する方法は、実施形態2と同様である。

0076

本実施形態によれば、有機物試料の表面から任意の深さから始まる任意の深さ範囲の有機物試料の、成分組成比、分子配向性、酸化・劣化状態等、分子中の特定原子の電子状態についての情報を得ることができる。

0077

例えば、ある有機物試料において、検出深さが例えばXnmであるとき、前記有機物試料の表面を、凹部の深さがYnmとなるように削るとともに、形成された凹部の底面にZnm(Z<X)の、スペクトル既知物質からなる層を形成する場合は、計測工程で得られたスペクトルの強度から、スペクトル既知物質の寄与分を差し引けば、当該有機物試料の、表面からYnmの深さ位置と、表面からY+X−Znmの深さ位置との間の範囲における有機物試料の、成分組成比、分子配向性、酸化・劣化状態等についての情報を得ることができる。したがって、YとZとを選択することによって、当該有機物試料の、表面から任意の深さから始まる任意の深さ範囲の有機物試料の、成分組成比、分子配向性、酸化・劣化状態等についての情報を得ることができる。また、スペクトル既知物質として、計測結果に影響のない物質を用いる場合には、スペクトル既知物質の寄与分を差し引く必要はない。

0078

また、前記スペクトル既知物質からなる層は、凹部の底面全体に形成してもよいし、凹部の底面の一部に形成してもよい。前記スペクトル既知物質からなる層の面積は、例えば、実施形態1の凹部底面の面積と同様で有り得る。

0079

本実施形態における、有機物試料、計測方法、分析する有機物試料の、成分組成比、分子配向性、酸化・劣化状態等、検出深さ解析工程を含み得る点、及び検出深さの解析方法については、実施形態1と同じであるので、ここでは説明を省略する。

0080

本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。

0081

本発明の一実施例について図1図5に基づいて説明すれば以下のとおりである。

0082

シリコンウェハからなる基板上にIr(ppy)3/TPBi混合膜共蒸着法で積層して濃度勾配を持つ5層の多層膜を得た。なお、図2にIr(ppy)3及びTPBiの構造式を示す。混合したIr(ppy)3/TPBiの組成比は、多層膜の表面から基板側に向けて、100/0、75/25、50/50、25/75、0/100となるようにした。

0083

作製した多層膜の断面を透過型電子顕微鏡TEM)で観察したところ、各層の厚さは多層膜の表面から、(1)Ir(ppy)3:TPBi=100:0の層が5.8nm、(2)Ir(ppy)3:TPBi=75:25の層が5.7nm、(3)Ir(ppy)3:TPBi=50:50の層が6.7nm、(4)Ir(ppy)3:TPBi=25:75の層が7.7nm、(5)Ir(ppy)3:TPBi=0:100の層が8.1nmであった。図1に、得られた多層膜の構造、各層におけるIr(ppy)3/TPBiの組成比、及び膜厚を示す。

0084

この多層膜の表面から、ガスクラスターイオンビームによるスパッタで、一辺1.8mmの正方形の領域を、それぞれ異なる深さで段階的に削り出した4個の分析用試料A、B、C及びDを作製した。ガスクラスターイオンビームによるスパッタは、ガスクラスターイオンビームを多層膜の表面に、走査させながら照射することにより行った。ガスクラスターイオンビームの多層膜の表面に対する照射角度は45°であった。

0085

未加工の多層膜及び作製した4個の分析用試料を分析に供した。分析は米国放射光施設Advanced Light Source(ALS)BL6.3.2で行った。分析用試料のシリコン基板銅板上に貼付した。この際、導電性テープを用いて、銅板とシリコン基板との導電性を確保した。分析は真空チャンバー内で、未加工の多層膜の表面及び各分析用試料の各スパッタ面(即ち、ガスクラスターイオンビームにて削ることにより形成した凹部の底面)にμビームX線を照射し、未加工の有機多層薄膜及び各分析用試料に流れる電流を銅板と銅線を介して電流計で計測する方法(全電子収量法)により実施した。X線として、軟X線を用い、X線吸収スペクトルを、炭素と窒素のK吸収端領域(CK及びNK)にて測定した。

0086

未加工の有機多層薄膜及び各分析用試料のN(窒素)K吸収端領域(NK)におけるX線吸収スペクトルを図3に示す。

0087

図3中、縦軸規格化信号強度、横軸は光子エネルギー(単位:eV)を示す。未加工の多層膜のX線吸収スペクトルを、Ir(ppy)3とTPBiの各単層膜のスペクトルの和として解析し、Ir(ppy)3の濃度を算出した。Ir(ppy)3の濃度は69.8重量%であった。多層膜全体におけるIr(ppy)3の平均濃度は45.1重量%であることから、有機多層薄膜の上記X線吸収スペクトルにおいては、多層膜全体ではなくある深さのみまでが検出されることが判る。

0088

そこで、検出深さについて、前記解析方法2を用い、ランベルト−ベールの法則に従ったプロットを作成し、XASによるIr(ppy)3の濃度と、各層の厚さと組成比とを用いてフィッティング解析した。その結果、Ir(ppy)3の検出深さ(X線吸収スペクトルの吸収強度が表面に対して1/e倍になる深さ)は13nmと算出された(図4参照)。図4中、縦軸は有機多層薄膜の未加工表面に対する吸収の強度比(I/I0)を、横軸は有機多層薄膜の未加工表面からの深さ(単位:nm)を示す。

0089

分析用試料A、B、C及びDのX線吸収スペクトルから算出した、実際のIr(ppy)3の濃度は、A:48.3%、B:29.1%、C:10.7%、D:1.9%であった。

0090

次に、5層の前記有機多層薄膜の未加工表面からの0.1nm毎の深さにおける、当該深さから検出深さ13nmの範囲に存在するIr(ppy)3の平均濃度を、各層の厚さと組成比と検出深さ13nmを用いて算出し、それぞれの深さに対してプロットした。図5に、それぞれの深さと、その深さにおけるIr(ppy)3の計算に基づく推測濃度の関係を示す。

0091

図5中、横軸は有機多層膜の未加工表面からの深さ(図5中、「GCIBで加工した深さ」と表示)を示し、縦軸は各深さにおける、各層の厚さと組成比と検出深さ13nmを用いて算出したIr(ppy)3の濃度を示す。

0092

図5において、実際のIr(ppy)3の濃度である、A:48.3%、B:29.1%、C:10.7%、及び、D:1.9%に相当する加工深さは、それぞれ、A:6.6nm、B:13.6nm、C:22.2nm、及び、D:25.5nmであり、多層膜の各界面近傍に相当する深さとの良い一致が見られた。

実施例

0093

また、分析用試料A、B、C及びDの各スパッタ面にμビームX線を照射するときの、X線の入射角度と、結果として得られるIr(ppy)3の濃度との関係を調べた。具体的には、スパッタ面に対する入射角度を、90度、75度、54度、及び、30度として、各スパッタ面で入射角度依存測定を行った。その結果、X線吸収スペクトルから算出されたIr(ppy)3の濃度は一定であり、取得できる検出深さは入射角度に依存しないことが明らかとなった。そのため、本発明の分析方法によれば、任意の深さで、分子配向性についての情報を得ることが可能であることが判明した。

0094

これまで、有機薄膜内での成分組成比、分子配向性、酸化・劣化状態等を精度良く評価できる手法が存在しなかった。本発明によれば、有機薄膜の任意の深さにおける所期の情報を得ることができるため、本発明は有機デバイスの製造プロセスにおけるこれらの制御に用いることができ、非常に有用である。

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