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技術 ティルティングパッドジャーナル軸受、及びターボ機械

出願人 株式会社東芝東芝エネルギーシステムズ株式会社
発明者 見村勇樹池田和徳平野俊夫森本敏夫
出願日 2015年10月6日 (4年1ヶ月経過) 出願番号 2015-198479
公開日 2017年4月13日 (2年7ヶ月経過) 公開番号 2017-072173
状態 拒絶査定
技術分野 すべり軸受 タービンの細部・装置 ガスタービン、高圧・高速燃焼室
主要キーワード ピボット回り 右パッド 周方向曲率 正面面積 軸方向座標 傾き角度α 一次固有振動数 パッド背面
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重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2017年4月13日)のものです。
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図面 (19)

課題

より安定性の高いティルティングパッドジャーナル軸受を提供する。

解決手段

軸受内輪4の内部に円弧状の複数のパッド36、31、32をパッド背面支持点56,51,52まわりに揺動可能に内蔵したティルティングパッドジャーナル軸受100において、複数のパッドのうち、垂直方向真下に配置された第1パッド31の弧角θaよりも、第1パッド31の両側に隣接して水平方向に配置された第2パッド36及び第3パッド32の弧角θb、θcが小さい、ことを特徴とする。

概要

背景

蒸気タービンに代表されるターボ機械やそのタービンによって駆動される発電機等の大型高速回転機械の回転軸を安定して支持するジャーナル軸受には、ティルティングパッドジャーナル軸受が採用されている。図17に基づいて従来のティルティングパッドジャーナル軸受の構成を説明する。図17はタービンや発電機の回転軸を安定して支持する従来のティルティングパッドジャーナル軸受を模式的に示す横断面図である。

この図17に示すように、ティルティングパッドジャーナル軸受100は、円弧状のパッド3(31、32、33・・・36)と、円弧状に2分割された軸受内輪4(41、42)と、ピボット5(51、52、53・・・56)を備えて構成されている。円弧状のパッド3(31、32、33・・・36)は、回転軸のジャーナル(軸頸部)2の矢視回転方向にほぼ等間隔に配置されており、ジャーナル2を支持している。軸受内輪4(41、42)は、各パッド31、32、33・・・36を外側から囲繞するように支持している。ピボット5(51、52、53・・・56)は、軸受内輪4に取り付けられ、各パッド31、32、33・・・36の背面を支持することによりジャーナル2の動きに対して各パッド31、32、33・・・36を揺動可能にしている。実際には、軸受内輪4の外側には軸受外輪があり、さらに軸受外輪は軸受ケーシングあるいは基礎に固定されるようになっているが、ここでは図示していない。このように構成されたティルティングパッドジャーナル軸受100には潤滑剤として潤滑油が用いられており、この潤滑油は回転するジャーナル2とパッド3との間に発生する摩擦により移動してジャーナル2と各パッド3間に供給されている。

図18に基づいてパッド3の傾き状態およびくさび効果について説明する。図18は複数枚のパッド3のうちの任意の1枚に注目して描いた拡大図である。この図18に示すように、軸受内輪4の内面4aの曲率中心Obと、パッド3の摺動面3aの曲率中心Opと、パッド3の重心Gとを通る一点鎖線で示す直線、すなわちパッド3の中心位置を通る直線L1を引き、さらにパッド3の重心Gからその直線L1に垂直な直線L2を引き、この垂直な直線L2をパッド3の傾き角度揺動角度)αの基準角度(0°)としている。ここで、パッド3がピボット5を支点として反時計回り傾くときの角度を正(+)側、逆に時計回りに傾くときの角度を負(−)側と定義すると、ジャーナル2が矢視のように半時計回りに回転する場合、パッド3は反時計回りに傾くため、パッド3の傾き角度αは正(+)になる。

前述したようにジャーナル2の回転によって潤滑油はジャーナル2とパッド3との隙間Cに供給されるわけであるが、ジャーナル2が高周速で回転するのに対してパッド3は静止しているため、ジャーナル2の摺動面2aとパッド3の潤滑面3aとの隙間Cに供給された潤滑油には、ジャーナル2側とパッド3側とで非常に大きな速度差が発生する。

潤滑油に速度差が発生すると、潤滑油にせん断力が働き、潤滑油内部に粘性力が発生する。この粘性作用と、ジャーナル2とパッド3の動きから形成されるパッド3の傾き状態によって両者間にくさび効果が発生し、ジャーナル2と、ジャーナル2にかかる荷重支える3個の下半部のパッド36、31および32との隙間Cに供給された潤滑油には、図17に示すような油膜圧力分布P6、P1およびP2が発生する。

下半部の各パッド36、31および32に発生する油膜圧力分布P6、P1およびP2を全周積分するとジャーナル2にかかる荷重Wに一致する。ここで、最下部(真下)のパッド31について説明すると、パッド31の背面とピボット51との接触点T1が、ジャーナル2の回転に応じて変化する油膜圧力分布P1の中心点の鉛直下方に位置するように自由に移動する。この様な現象は、最下部(真下)のパッド31の両側に隣接するパッド32やパッド36についても同様である。

このようにして、パッド3は自動調心して全体的に軸受荷重Wを受けるようになり、オイルホイップを発生させる不安定化力の発生を防ぐことができるので、ティルティングパッドジャーナル軸受は自動調心機能を有し安定性に優れ、特に高い安定性が要求される高速回転機械適応されている。

概要

より安定性の高いティルティングパッドジャーナル軸受を提供する。軸受内輪4の内部に円弧状の複数のパッド36、31、32をパッド背面支持点56,51,52まわりに揺動可能に内蔵したティルティングパッドジャーナル軸受100において、複数のパッドのうち、垂直方向真下に配置された第1パッド31の弧角θaよりも、第1パッド31の両側に隣接して水平方向に配置された第2パッド36及び第3パッド32の弧角θb、θcが小さい、ことを特徴とする。

目的

本発明の実施形態は、このような点を考慮してなされたものであり、より安定性の高いティルティングパッドジャーナル軸受を提供する

効果

実績

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牽制数
0件

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請求項1

軸受内輪の内部に円弧状の複数のパッドパッド背面支持点まわりに揺動可能に内蔵したティルティングパッドジャーナル軸受において、前記複数のパッドのうち、垂直方向真下に配置された第1パッドの弧角よりも、前記第1パッドの両側に隣接して水平方向に配置された第2パッド及び第3パッドの弧角が小さい、ことを特徴とするティルティングパッドジャーナル軸受。

請求項2

前記第2パッド及び前記第3パッドの軸方向長さを、前記第1パッドの軸方向長さよりも短くしたことを特徴とする請求項1に記載のティルティングパッドジャーナル軸受。

請求項3

前記垂直方向は、前記複数のパッドで支持するジャーナル荷重方向であり、前記第1パッドは、前記ジャーナルの荷重を最も受けるパッドであることを特徴とする求項1又は2に記載のティルティングパッドジャーナル軸受。

請求項4

前記第1パッドの前記ジャーナルの回転方向に対して前方の端部に潤滑油供給孔を設置したことを特徴とする請求項3に記載のティルティングパッドジャーナル軸受。

請求項5

軸受内輪の内部に円弧状の複数のパッドをパッド背面の支持点まわりに揺動可能に内蔵したティルティングパッドジャーナル軸受において、前記複数のパッドで支持するジャーナルの荷重を最も受けるパッドにおけるパッドの弧角が、記複数のパッドの中の他のパッドの弧角よりも大きい、ことを特徴とするティルティングパッドジャーナル軸受。

請求項6

軸受内輪の内部に円弧状の複数のパッドをパッド背面の支持点まわりに揺動可能に内蔵したティルティングパッドジャーナル軸受において、前記複数のパッドで支持するジャーナルの荷重を最も受けるパッドにおける軸方向長さが、前記複数のパッドの中の他のパッドの軸方向長さよりも長い、ことを特徴とするティルティングパッドジャーナル軸受。

請求項7

前記第2パッドにおけるパッド背面の周方向曲率半径が、前記第1パッドにおけるパッド背面の周方向曲率半径よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載のティルティングパッドジャーナル軸受。

請求項8

前記第2パッドのジャーナルの回転方向に対して後方の端部にテーパを設けることを特徴とする請求項1に記載のティルティングパッドジャーナル軸受。

請求項9

前記第2パッドのジャーナルの回転方向に対して前方の端部にテーパを設けることを特徴とする請求項1に記載のティルティングパッドジャーナル軸受。

請求項10

前記第2パッドのジャーナルの回転方向に対して前方及び後方の端部にテーパを設けることを特徴とする請求項1に記載のティルティングパッドジャーナル軸受。

請求項11

複数の静翼翼列が配置されるケーシングと、前記ケーシング内に回転自在に貫通したタービンロータ及び前記タービンロータに設けられ、前記静翼翼列と交互に配置された複数の動翼翼列を有するタービン回転体と、前記タービンロータのジャーナルを前記ケーシングに対して回転自在に支持するティルティングパッドジャーナル軸受と、を備えたターボ機械であって前記ティルティングパッドジャーナル軸受は、軸受内輪の内部に円弧状の複数のパッドをパッド背面の支持点まわりに揺動可能に内蔵したティルティングパッドジャーナル軸受であって、前記複数のパッドのうち、垂直方向真下に配置された第1パッドの弧角よりも、前記第1パッドの両側に隣接して水平方向に配置された第2パッド及び第3パッドの弧角が小さい、ことを特徴とするターボ機械。

技術分野

0001

本発明の実施形態は、ティルティングパッドジャーナル軸受、及びターボ機械に関する。

背景技術

0002

蒸気タービンに代表されるターボ機械やそのタービンによって駆動される発電機等の大型高速回転機械の回転軸を安定して支持するジャーナル軸受には、ティルティングパッドジャーナル軸受が採用されている。図17に基づいて従来のティルティングパッドジャーナル軸受の構成を説明する。図17はタービンや発電機の回転軸を安定して支持する従来のティルティングパッドジャーナル軸受を模式的に示す横断面図である。

0003

この図17に示すように、ティルティングパッドジャーナル軸受100は、円弧状のパッド3(31、32、33・・・36)と、円弧状に2分割された軸受内輪4(41、42)と、ピボット5(51、52、53・・・56)を備えて構成されている。円弧状のパッド3(31、32、33・・・36)は、回転軸のジャーナル(軸頸部)2の矢視回転方向にほぼ等間隔に配置されており、ジャーナル2を支持している。軸受内輪4(41、42)は、各パッド31、32、33・・・36を外側から囲繞するように支持している。ピボット5(51、52、53・・・56)は、軸受内輪4に取り付けられ、各パッド31、32、33・・・36の背面を支持することによりジャーナル2の動きに対して各パッド31、32、33・・・36を揺動可能にしている。実際には、軸受内輪4の外側には軸受外輪があり、さらに軸受外輪は軸受ケーシングあるいは基礎に固定されるようになっているが、ここでは図示していない。このように構成されたティルティングパッドジャーナル軸受100には潤滑剤として潤滑油が用いられており、この潤滑油は回転するジャーナル2とパッド3との間に発生する摩擦により移動してジャーナル2と各パッド3間に供給されている。

0004

図18に基づいてパッド3の傾き状態およびくさび効果について説明する。図18複数枚のパッド3のうちの任意の1枚に注目して描いた拡大図である。この図18に示すように、軸受内輪4の内面4aの曲率中心Obと、パッド3の摺動面3aの曲率中心Opと、パッド3の重心Gとを通る一点鎖線で示す直線、すなわちパッド3の中心位置を通る直線L1を引き、さらにパッド3の重心Gからその直線L1に垂直な直線L2を引き、この垂直な直線L2をパッド3の傾き角度揺動角度)αの基準角度(0°)としている。ここで、パッド3がピボット5を支点として反時計回り傾くときの角度を正(+)側、逆に時計回りに傾くときの角度を負(−)側と定義すると、ジャーナル2が矢視のように半時計回りに回転する場合、パッド3は反時計回りに傾くため、パッド3の傾き角度αは正(+)になる。

0005

前述したようにジャーナル2の回転によって潤滑油はジャーナル2とパッド3との隙間Cに供給されるわけであるが、ジャーナル2が高周速で回転するのに対してパッド3は静止しているため、ジャーナル2の摺動面2aとパッド3の潤滑面3aとの隙間Cに供給された潤滑油には、ジャーナル2側とパッド3側とで非常に大きな速度差が発生する。

0006

潤滑油に速度差が発生すると、潤滑油にせん断力が働き、潤滑油内部に粘性力が発生する。この粘性作用と、ジャーナル2とパッド3の動きから形成されるパッド3の傾き状態によって両者間にくさび効果が発生し、ジャーナル2と、ジャーナル2にかかる荷重支える3個の下半部のパッド36、31および32との隙間Cに供給された潤滑油には、図17に示すような油膜圧力分布P6、P1およびP2が発生する。

0007

下半部の各パッド36、31および32に発生する油膜圧力分布P6、P1およびP2を全周積分するとジャーナル2にかかる荷重Wに一致する。ここで、最下部(真下)のパッド31について説明すると、パッド31の背面とピボット51との接触点T1が、ジャーナル2の回転に応じて変化する油膜圧力分布P1の中心点の鉛直下方に位置するように自由に移動する。この様な現象は、最下部(真下)のパッド31の両側に隣接するパッド32やパッド36についても同様である。

0008

このようにして、パッド3は自動調心して全体的に軸受荷重Wを受けるようになり、オイルホイップを発生させる不安定化力の発生を防ぐことができるので、ティルティングパッドジャーナル軸受は自動調心機能を有し安定性に優れ、特に高い安定性が要求される高速回転機械適応されている。

先行技術

0009

特開2013−29135号公報

発明が解決しようとする課題

0010

ところが、近年、蒸気タービンや発電機の大型化、高速化の傾向が増した結果、安定性に優れたティルティングパッドジャーナル軸受といえども不安定振動が発生し易くなってきた。さらに、ターボ機械の性能向上対策から、段落数の増加、漏れ損失の低減、高温高圧化の傾向が顕著であり、それらは軸系危険速度の低下、システム減衰の低下、不安定化シール力の増大といった軸系の振動に対して、その安定度を低下する傾向を強めている。

0011

その中で次のような特性をもつ不安定振動が確認されている。負荷依存性があり、負荷が小さい間は全く生じないか、生じていても振幅が小さく問題にならず、負荷が大きくなると、はじめて発生するか、あるいは振幅が急速に成長して激しい振動になり、それ以上負荷を増すことが困難になる。

0012

また、振動数が軸系の一次固有振動数に近く、軸の回転速度が一次危険速度を超えて運転されている領域で不安定振動が生じる例が多く、したがって振動数は回転同期振動数よりも低い。このような振動を発生させる原因は作動流体による流体力でありこれを不安定化力と呼び、次式(1)のように連成ばね項でモデル化されることが多い。

0013

そこで、本発明の実施形態は、このような点を考慮してなされたものであり、より安定性の高いティルティングパッドジャーナル軸受を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0014

本実施形態に係るティルティングパッドジャーナル軸受は、軸受内輪の内部に円弧状の複数のパッドをパッド背面支持点まわりに揺動可能に内蔵したティルティングパッドジャーナル軸受において、
前記複数のパッドのうち、垂直方向真下に配置された第1パッドの弧角よりも、前記第1パッドの両側に隣接して水平方向に配置された第2パッド及び第3パッドの弧角が小さい、ことを特徴とする。

0015

本実施形態に係るターボ機械は、複数の静翼翼列が配置されるケーシングと、前記ケーシング内に回転自在に貫通したタービンロータ、及び前記タービンロータに設けられ、前記静翼翼列と交互に配置された複数の動翼翼列を有するタービン回転体と、前記タービンロータのジャーナルを前記ケーシングに対して回転自在に支持するティルティングパッドジャーナル軸受と、を備えたターボ機械であって
前記ティルティングパッドジャーナル軸受は、軸受内輪の内部に円弧状の複数のパッドをパッド背面の支持点まわりに揺動可能に内蔵したティルティングパッドジャーナル軸受であって、
前記複数のパッドのうち、垂直方向真下に配置された第1パッドの弧角よりも、前記第1パッドの両側に隣接して水平方向に配置された第2パッド及び第3パッドの弧角が小さい、ことを特徴とする。

発明の効果

0016

本実施形態によれば、より安定性の高いティルティングパッドジャーナル軸受を提供することことができる。

図面の簡単な説明

0017

第1実施形態に係るティルティングパッドジャーナル軸受の下半部を示す断面図。
油膜力を得るためシュミレーションについて説明する図。
第2実施形態に係るパッドの形状を説明する図。
第3実施形態に係るパッドの形状を説明する図。
第4実施形態に係るパッドの形状を説明する図。
従来のティルティングパッドジャーナル軸受の給油構造を説明する図。
第5施形態に係る第1パッドの形状を説明する図。
第6実施形態に係る第1パッドの形状を説明する図。
第7実施形態に係るパッドの形状を説明する図。
第3パッドの変形を説明する図。
ジャーナルと第3パッドとの隙間について説明する図。
ジャーナルとパッドとの隙間を説明する図。
第8実施形態に係るパッドの形状を説明する図。
第9実施形態に係るパッドの形状を説明する図。
第10実施形態に係るパッドの形状を説明する図。
蒸気タービンのタービン回転体の軸線Xを含む断面を示す図。
従来のティルティングパッドジャーナル軸受を模式的に示す横断面図。
複数枚のパッドのうちの任意の1枚に注目して描いた拡大図。

実施例

0018

以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。本実施形態は、本発明を限定するものではない。

0019

(第1実施形態)
第1実施形態に係るティルティングパッドジャーナル軸受は、垂直方向真下に配置された第1パッドの弧角よりも、第1パッドの両側に隣接して水平方向に配置された第2パッド及び第3パッドの弧角を小さくすることにより、軸受油膜力の異方性をより増加させて不安定振動の発生を防ごうとしたものである。より詳しくを、以下に説明する。

0020

(構成)
図1に基づいて、第1実施形態に係るティルティングパッドジャーナル軸受100の構成を説明する。なお、各図を通して同一部品同一要素には同一符号を付し、重複する説明は適宜省略する。図1は、第1実施形態に係るティルティングパッドジャーナル軸受100の下半部を示す断面図である。

0021

この図1に示すように、ティルティングパッドジャーナル軸受100は、円弧状のパッド3(31、32'、33・・・36')と、軸受内輪4と、ピボット5(51、52、53・・・56)とを、備えて構成されている。円弧状のパッド3(31、32'、33・・・36')は、回転軸のジャーナル(軸頸部)2の矢視回転方向にほぼ等間隔に配置されており、ジャーナル2を支持している。ここでは、ジャーナル2は、ターボ機械におけるタービン回転体のジャーナルであり、例えば蒸気タービンにおけるタービンロータのジャーナルである。Wは、ジャーナル2の荷重Wの荷重方向を示しており、垂直方向真下を示している。ここでの荷重方向は重力方向と一到する。

0022

上述のように、軸受内輪4は、パッド3(31、32'、33・・・36')を外側から囲繞するように支持している。ピボット5(51、52、53・・・56)は、軸受内輪4に取り付けられ、各パッド31、32'、33・・・36'の背面を支持することによりジャーナル2の動きに対して各パッド31、32'、33・・・36''を揺動可能にしている。

0023

ティルティングパッドジャーナル軸受1の下半部に配置された第1パッド31'、第2パッド32'、および第3パッド36'のうち、垂直方向真下に配置された第1パッド31の弧角θaよりも、第1パッド31の両側に隣接して水平方向に配置された第2パッド32'及び第3パッド36'それぞれの弧角θb、θcの方が小さい。すなわち、第1パッド31の正面面積よりも第2パッド32'及び第3パッド36'それぞれの正面面積の方が小さく構成されている。ここで、弧角は各パッド31、32'、33・・・36'の周方向の長さを示す角度である。ここでは、例えば図1中の弧角θa、θb、θcで示すように、軸受内輪4の曲率中心と、パッド正面の両端部とを、結ぶ線分間の角度である。この例では、軸受内輪4の曲率中心と、パッド背面の両端部とを、結ぶ線分間の角度も弧角と一到している。また、例えばパッド正面の周方向曲率点と、パッド正面の両端部とを、結ぶ線分間の角度を弧角としてもよい。

0024

(作用)
前述したように、第2パッド32'、第3パッド36'の弧角を小さくしたことにより、ジャーナル2と第2パッド32'、第3パッド36'間に発生する油膜の範囲が、ジャーナル2と第1パッド31間に発生する油膜の範囲よりも小さくなる。これにより、第2パッド32'、第3パッド36'にかかる負荷はより減少している。すなわち、水平方向の油膜力を減少させることで、軸受油膜力の異方性をより増加させている。

0025

次に、図2に基づいて油膜力を得るためシュミレーションについて説明する。図2は、油膜力を得るためシュミレーションについて説明する図である。この図2において、ジャーナル2と下半部の各パッド31、32'、36'との間には、パッド3内面、すなわちパッド正面とジャーナル2の半径rjの差に相当する間隙Cが形成されている。ジャーナル2は回転する場合、当該ジャーナル2とパッド3との間隙C内に形成される油膜力とジャーナル2の自重とが平衡する位置(破線で示すジャーナルは符号2’の位置)まで下降し、その中心はO1から偏心量eだけ偏心したO2まで移動する。

0026

このときのジャーナル2’と各パッド3との間に形成される間隙h1、h2、h6は次式(2)で表される。

0027

ここで、εはe/Cを表わし偏心率を意味し、Φは図2偏心方向O1—O2を基準とした元のジャーナル2との円周方向の角度を示す。また、α6は第3パッド36'の傾きを、β1β2は第3パッド36'の支点位置からジャーナル2の回転方向後端前端までの長さを示している。またrjはジャーナル2の半径、Op6は偏心方向O1—O2を結ぶ直線からパッド36'の支点までの角度をそれぞれ示している。

0028

このようなティルティングパッドジャーナル軸受において、ジャーナル2’の自重に対してパッド3ごとに発生する軸受の油膜圧力pは円周方向座標をθ、軸方向座標をzとすると、下記式(3)に示す潤滑方程式から求まる。

0029

ここで、μは潤滑油の温度、Uはジャーナルの周速度を示す。ティルティングパッドジャーナル軸受100では、パッド面において、パッドのほぼ中央に設置されているピボット回りモーメントがゼロになるように油膜圧力が発生する。パッドの慣性を無視するとピボットまわりのモーメントの釣り合いより式(4)が得られ、パッドにかかる負荷Wpiと油膜力の釣り合いより式(5)が得られる。

0030

この式(4)、(5)で表わされた理論式を、コンピュータ上でシミュレーションすることにより各パッド31、32'、36'の油膜力を得ることができる。このシュミレーション結果から、真下に位置する第1パッド31の水平方向左右に位置する第2パッド32'および第3パッド36'の弧角を小さくしたことにより、各パッド32'および36'にかかる負荷は減り、主に水平方向の油膜力も減少し、それに伴って真下に位置する第1パッド31にかかる負荷が増え、垂直方向の油膜力が増加する結果が得られている。すなわち軸受油膜力の異方性が増加するのである。このようにティルティングパッドジャーナル軸受100の油膜力は、潤滑方程式(3)から得られた理論式、ピボットまわりのモーメントの釣り合いに関する式(4)およびパッドにかかる負荷と油膜力の釣り合いに関する式(5)をコンピュータ上でシミュレーションすることにより得ることが可能である。

0031

(効果)
以上のように、本実施形態に係るティルティングパッドジャーナル軸受100によれば、垂直方向真下に配置された第1パッド31の弧角よりも、第1パッドの両側に隣接して水平方向に配置された第2パッド32'及び第3パッド36'の弧角を小さくすることとした。これにより、第2パッド32'及び第3パッド36'における水平方向の油膜力をより低減することで軸受油膜力の異方性が増加し、作動流体からの不安定化力による不安定振動の発生を防ぐことができ、安定性の良いティルティングパッドジャーナル軸受を提供可能である。

0032

(第2実施形態)
第2実施形態に係るティルティングパッドジャーナル軸受は、垂直方向真下に配置された第1パッドの軸方向長さよりも、この第1パッドの両側に隣接して水平方向に配置された第2パッド及び第3パッドの軸方向長さを短くすることにより、軸受油膜力の異方性をより増加させて不安定振動の発生を防ごうとしたものである。以下、上述した第1実施形態と異なる部分を説明する。

0033

(構成)
図3に基づいて第2実施形態に係るパッド3’を説明する。図3は、第2実施形態に係るパッド3’の形状を説明する図である。この図3に示すように、水平方向に配置されたパッドの軸方向長さLを短くしたことで、実施形態1と異なる。すなわち、ティルティングパッドジャーナル軸受1の下半部に配置された第1パッド31、第2パッド32'、および第3パッド36'のうち、垂直方向真下に配置された第1パッド31の軸方向長さLよりも、第1パッド31の両側に隣接して水平方向に配置された第2パッド32'及び第3パッド36'の軸方向長さを短くし、L’としたのである。

0034

また、本実施形態では、弧角θaと、弧角θb、θcとは、同じ角度に構成されている。つまり、第1パッド31'の周方向長さと、第2パッド32'、および第3パッド36'の周方向長さとは、等しく構成されている。

0035

(作用)
前述したよう、パッド32'、36'の軸方向長さを短くしたことにより、ジャーナル2とパッド32'、36'間に発生する油膜の範囲が、ジャーナル2と第1パッド31間に発生する油膜の範囲よりも小さくなる。これにより、パッド32'、36'にかかる負荷はより減少している。すなわち、水平方向の油膜力を減少させることで、軸受油膜力の異方性をより増加させることが可能である。また、弧角θaと、弧角θb、θcとは、同じ角度に構成されているので、第2パッド32'及び第3パッド36'の周方向の油膜範囲を、従来と同等の範囲にすることが可能である。

0036

(効果)
以上のように、本実施形態に係るティルティングパッドジャーナル軸受100によれば、垂直方向真下に配置された第1パッド31の軸方向長さよりも、第1パッドの両側に隣接して水平方向に配置された第2パッド32'及び第3パッド36'の軸方向長さを短くすることとした。これにより、これにより、第2パッド32'及び第3パッド36'における水平方向の油膜力をより低減することで軸受油膜力の異方性がより増加し、第1実施形態と同等の効果を得ることができる。また、軸受油膜力の異方性を維持すると共に、第2パッド32'及び第3パッド36'の周方向の油膜範囲を従来と同等の範囲にすることができる。

0037

(第3実施形態)
第3実施形態に係るティルティングパッドジャーナル軸受は、垂直方向真下に配置された第1パッドの弧角及び軸方向長さよりも、第1パッドの両側に隣接して水平方向に配置された第2パッド及び第3パッドの弧角を小さくすると共に軸方向長さを短くすることにより、軸受油膜力の異方性をより増加させて不安定振動の発生を防ごうとしたものである。以下、上述した第1実施形態と異なる部分を説明する。

0038

(構成)
図4に基づいて第3実施形態に係るパッド3’’を説明する。図4は、第3実施形態に係るパッド3’’の形状を説明する図である。この図4に示すように、パッドの軸方向長さLをL’と短くしたことで、実施形態1と異なる。すなわち、ティルティングパッドジャーナル軸受1の下半部に配置されたパッド31、32'、および36'のうち、垂直方向真下に配置された第1パッド31の軸方向長さLよりも、第1パッド31の両側に隣接して水平方向に配置された第2パッド31'及び第3パッド36'の軸方向長さを短くし、L’としたものである。

0039

(作用)
前述したよう、パッド32'、36'の弧角を小さくし、且つパッド32'、36'の軸方向長さを短くしたことにより、ジャーナル2とパッド32'、36'間に発生する油膜の範囲が、ジャーナル2とパッド31'間に発生する油膜の範囲よりも小さくなる。これにより、パッド32'、36'にかかる負荷はより減少する。すなわち、水平方向の油膜力を減少させることで、軸受油膜力の異方性をより増加させることが可能である。また、異方性が生じる油膜範囲を維持させた状態で、第2パッド32'及び第3パッド36'の周方向及び軸方向の長さを変更して、第2パッド32'及び第3パッド36を構成可能である。これにより、ジャーナル2の回転及び負荷特性に応じて、第2パッド32'及び第3パッド36'の周方向及び軸方向の油膜範囲を変更可能である。

0040

(効果)
以上のように、本実施形態に係るティルティングパッドジャーナル軸受100によれば、垂直方向真下に配置された第1パッド31の弧角及び軸方向長さよりも、第1パッドの両側に隣接して水平方向に配置された第2パッド32'及び第3パッド36'の弧角を小さくすると共に、第1パッド31の軸方向長さよりも第2パッド32'及び第3パッド36'の軸方向長さを短くすることとした。これにより、軸受油膜力の異方性がより増加し、作動流体からの不安定化力による不安定振動の発生を防ぐことができる。また、軸受油膜力の異方性を維持すると共に、第2パッド32'及び第3パッド36'の周方向及び軸方向の油膜範囲を変更することができる。

0041

(第4実施形態)
第4実施形態に係るティルティングパッドジャーナル軸受は、垂直方向真下に配置された第1パッドの弧角よりも、第1パッドの両側に隣接して水平方向に配置された第2パッド及び第3パッドの弧角を小さくすると共に、第1パッドの回転上流側に潤滑油給油孔を配置することで、軸受油膜力の異方性をより増加させる共に軸受損失をより低減しようとしたものである。以下、上述した第1実施形態と異なる部分を説明する。

0042

(構成)
図5に基づいて第4実施形態に係る第1パッド31を説明する。図5は、第4実施形態に係る第1パッド31の形状を説明する図である。この図5に示すように、第1パッド31の回転上流側に潤滑油給油孔6を配置するこで、実施形態1と異なる。また、軸受内輪4の潤滑油給油孔6に対応する位置に外部給油孔7が設けられている。

0043

(作用)
図6に基づいて、従来のティルティングパッドジャーナル軸受の給油構造を説明する。図6は、従来のティルティングパッドジャーナル軸受の給油構造を説明する図である。この図6に示すように、給油孔8から矢印9の流れでジャーナル2とパッド3の間を潤滑油が循環しており、軸受内は油で満たされた状態である。本実施形態では、第3パッド36'の弧角が小さくなったことによってできた空間に、第1パッド31の回転上流側にパッド給油孔6を設けた。これにより、外部給油孔7からパッド給油孔6を通って、ジャーナル2と第1パッド31の隙間に必要な分だけ潤滑油を供給することができる。第1パッド31は、ジャーナル2の荷重を最も受けるパッドであるので、効率的に潤滑油を供給することができ、軸受損失をより低減可能である。

0044

(効果)
以上のように、本実施形態に係るティルティングパッドジャーナル軸受100によれば、垂直方向真下に配置された第1パッド31の弧角よりも、第1パッド31の両側に隣接して水平方向に配置された第2パッド32'及び第3パッド36'の弧角を小さくする共に、第1パッド31の回転上流側にパッド給油孔6を設けることとした。これにより、第1実施形態と同等の効果を得ることができると共に、荷重を最も受ける第1パッド31に効率的に潤滑油を供給することができ、軸受損失をより低減することができる。

0045

(第5実施形態)
第5実施形態に係るティルティングパッドジャーナル軸受は、垂直方向真下に配置された第1パッドの弧角を、他のパッドの弧角よりも大きく構成することで、軸受油膜力の異方性をより増加させようとしたものである。以下、上述した第1実施形態と異なる部分を説明する。

0046

(構成)
図7に基づいて第5施形態に係る第1パッド31'を説明する。図7は、第5施形態に係る第1パッド31’の形状を説明する図である。この図7に示すように、水平方向に配置された第2パッド32、及び第3パッド36の弧角は従来と同等にし、真下の第1パッド31'のパッド弧角θa’を左右のパッド32、36の弧角より大きくしたものである。すなわち、ジャーナル2の荷重を最も受ける第1パッド31'における弧角が、パッド3(31'、32、33・・・36)のなかの他のパッドの弧角よりも大きく構成されている。なお、真下の第1パッド31'における弧角を大きくすると共に、水平方向に配置された第2パッド32及び第3パッド36の弧角を第1実施形態と同様に小さくしてもよい。

0047

(作用)
前述したように図7において、第1パッド31’の弧角が大きくなったことにより、ジャーナル2とパッド31’間に発生する油膜の範囲がより大きくなる。これにより、第1パッド31'にかかる負荷は増加する。すなわち、垂直方向の油膜力が増加することで、第1実施形態と同様の作用となり、軸受油膜力の異方性を増加させることが可能となる。このように、相対的に垂直方向の油膜力がより増加することで、軸受油膜力の異方性を増加させることが可能である。また、パッド3(31'、32、33・・・36)のなかの他のパッドの特性を従来と同等に維持可能である。

0048

(効果)
以上のように、本実施形態に係るティルティングパッドジャーナル軸受100によれば、垂直方向真下に配置された第1パッド31'の弧角を、パッド3(31'、32、33・・・36)のなかの他のパッドの弧角よりも大きく構成することとした。これにより、第1パッド31の垂直方向の油膜力がより増加することで軸受油膜力の異方性がより増加し、作動流体からの不安定化力による不安定振動の発生を防ぐことができる。また、パッド3(31'、32、33・・・36)のなかの他のパッドの特性を従来と同等に維持することができる。

0049

(第6実施形態)
第6実施形態に係るティルティングパッドジャーナル軸受は、垂直方向真下に配置された第1パッドの軸方向長さを、他のパッドの軸方向長さよりも長くすることで、軸受油膜力の異方性をより増加させようとしたものである。以下、上述した第1実施形態と異なる部分を説明する。

0050

(構成)
図8に基づいて第6実施形態に係る第1パッド31'を説明する。図8は、第6実施形態に係る第1パッド31'の形状を説明する図である。この図8に示すように、水平方向に配置された第2パッド32、及び第3パッド36の軸方向長さLはそのままで、真下の第1パッド31'の軸方向長さL'をより長くくしたものである。すなわち、ジャーナル2の荷重を最も受ける第1パッド31'における軸方向長さが、パッド3(31'、32、33・・・36)のなかの他のパッドの軸方向長さよりも長く構成されている。すなわち、ジャーナル2の荷重を最も受ける第1パッド31''における軸方向長さが、パッド3(31'、32、33・・・36)のなかの他のパッドの軸方向長さよりも大きく構成されている。

0051

なお、真下のパッド31'における軸方向長さを長くすると共に、左右のパッド32、36の弧角を第1実施形態と同様に小さくしてもよい。また、真下のパッド31'における軸方向長さを長くすると共に、弧角をより大きくしてもよい。

0052

(作用)
前述したように、真下に設置されている第1パッド31'の軸方向長さが長くなったことにより、ジャーナル2と第1パッド31'間に発生する油膜の範囲も大きくなる。これにより、第1パッド31'にかかる負荷は増加する。すなわち、垂直方向の油膜力が増加することで、第1実施形態と同様の作用となり、軸受油膜力の異方性を増加させることが可能となる。このように、相対的に第1パッド31'の垂直方向の油膜力がより増加することで、軸受油膜力の異方性をより増加させることが可能である。

0053

(効果)
以上のように、本実施形態に係るティルティングパッドジャーナル軸受100によれば、垂直方向真下に配置された第1パッド31'の軸方向長さを、パッド3(31'、32、33・・・36)のなかの他のパッドの軸方向長さよりも長く構成することとした。これにより、第1パッド31'の垂直方向の油膜力がより増加することで軸受油膜力の異方性がより増加し、作動流体からの不安定化力による不安定振動の発生を防ぐことができる。また、パッド3(31'、32、33・・・36)のなかの他のパッドの特性を従来と同等に維持することができる。

0054

(第7実施形態)
第7実施形態に係るティルティングパッドジャーナル軸受は、垂直方向真下に配置された第1パッドにおけるパッド背面の周方向曲率半径弧角よりも、第1パッドの両側に隣接して水平方向に配置された第2パッド及び第3パッドの水平方向に配置された第2パッド及び第3パッドにおけるパッド背面の周方向曲率半径弧角を小さくすることにより、軸受油膜力の異方性をより増加させて不安定振動の発生を防ごうとしたものである。以下、上述した第1実施形態と異なる部分を説明する。

0055

(構成)
図9乃至12に基づいて第7実施形態に係る第2パッド32'、及び第3パッド36'を説明する。図9は、第7実施形態に係るパッド32'、36'の形状を説明する図である。この図9に示すように、第2パッド32'、及び第3パッド36のパッド背面102、106の周方向曲率半径R1’が第1パッド31の周方向曲率半径R1より小さくなるように構成されている。

0056

(作用)
図10に基づきジャーナル2から圧力Pを受けた際の第3パッド36'の変形を説明する。図10は、第3パッド36'の変形を説明する図である。この図10に示すように、第3パッド36'がジャーナル2から圧力Pを受けた際に、パッド背面106と軸受内輪内面4aの接触による変形量δが発生する。ヘルツの理論によれば、この変形量δと圧力Pの関係は、接触点におけるパッド背面の周方向曲率半径R1、軸方向曲率半径R2、軸受内輪内面の周方向曲率半径R3、軸方向曲率半径R4とすると、式(6)、式(7)で示される。

0057

ここで、Eは縦弾性係数、νはポアソン比、λは接触面の曲率がなす角から決まる定数である。このため、パッド背面の周方向曲率半径R1が小さくなるとAが大きくなり、変形量δが大きくなる。変形量δが大きくなると、ジャーナル2と第3パッド36'との隙間が広がる。このことから分かるように、パッド背面の周方向曲率半径R1が小さくなるに従い、同じ圧力Pに対して、変形量δが大きくなる。

0058

図11に基づいて、ジャーナル2と第3パッド36'との隙間C’について説明する。図11は、ジャーナル2と第3パッド36'との隙間C’について説明する図である。この図11においては、rsはジャーナル2の半径、rpは圧力Pがかかる前の中心から第3パッド36の内面、すなわちパッド正面までの距離、rp’は圧力Pがかかった後の中心から第3パッド36のパッド正面までの距離を示している。rp’とrpとの差分が変形量δに対応している。すなわち、圧力Pがかかった後のジャーナル2と第3パッド36'との隙間C’と、圧力Pがかかる前のジャーナル2と第3パッド36'との隙間Cとの差分が変形量δに対応している。

0059

図12に基づいて間隙h1、h2、h6について説明する。図12はジャーナル2とパッド31、32'、36'との隙間を説明する図である。この図12に示すように、ジャーナル2が実際に回転する場合、ジャーナル2はジャーナル2とパッドとの間隙内に形成される油膜力とジャーナル2の自重とが平衡する位置まで下降する。この場合、このジャーナル2の中心はO1から偏心量eだけ偏心したO2まで移動し、ジャーナル2は符号2’で示す状態となる。ジャーナル2’と各パッドとの間に形成される間隙h1、h2、h6は式(8)で表される。

0060

ここで、

0061

を表わし、偏心率を意味する。Φは図12に示すように直線O1—O2を基準とし、直線O1—O2から対象とする第2パッド32’の間隙までの円周方向の角度を示す。式(8)で示すように間隙h1<h2=h6の関係が成り立っている。すなわち、軸受油膜力は隙間が小さいほど大きくなるので、第1パッド31にからる軸受油膜力が一番大きくなる。

0062

さらに、式(6)で示したように、周方向曲率半径R1’をより小さくすることで、変形量δが大きくなる。すなわち、周方向曲率半径R1’をより小さくすることで、間隙C’が大きくなる。これにより、式(8)で示すようにh2、h6と比較してh1がさらに小さくなりパッド1の偏心率εが大きくなる。このことから分かるように、周方向曲率半径R1’をより小さくすることで、第1パッド31にかかる負荷がより増大し、垂直方向の油膜力が大きくなることで軸受油膜力の異方性が増加する。

0063

(効果)
以上のように、本実施形態に係るティルティングパッドジャーナル軸受100によれば、垂直方向真下に配置された第1パッド31におけるパッド背面の周方向曲率半径弧角よりも、第1パッド31の両側に隣接して水平方向に配置された第2パッド32'及び第3パッド36'におけるパッド背面の周方向曲率半径弧角を小さくすることとした。これにより、第2パッド32'及び第3パッド36'の正面とジャーナル2の隙間がより広がることで、軸受油膜力の異方性をより増加させることができ、作動流体からの不安定化力による不安定振動の発生を防ぐことができる。

0064

(第8実施形態)
第8実施形態に係るティルティングパッドジャーナル軸受は、水平方向に配置された第2パッド及び第3パッドにおけるパッド後方の端部にテーパ部を設けることにより、軸受油膜力の異方性をより増加させて不安定振動の発生を防ごうとしたものである。以下、上述した第1実施形態と異なる部分を説明する。

0065

(構成)
図13に基づいて第8実施形態に係るパッド32'、36'を説明する。図13は、第8実施形態に係るパッド32'、36の形状を説明する図である。この図13に示すように、水平方向に配置された第2パッド32'、及び第3パッド36のジャーナルの回転方向に対してパッド後方の端部にテーパ部11を設けたことで、第1乃至第7実施形態と異なる。

0066

(作用)
前述したように、パッド32'、36'の後端にテーパ部11を設けたことで、テーパ部11の範囲にて油膜圧力が発生しなくなり、水平方向に配置された第2パッド32'、及び第3パッド36'の全体にかかる負荷も減少する。すなわち、水平方向の油膜力は減少し軸受油膜力の異方性の増加が可能となる。また、テーパ部11の傾きを調整することで、作動流体、すなわち潤滑油の流れ方の調整も可能である。

0067

(効果)
以上のように、本実施形態に係るティルティングパッドジャーナル軸受100によれば、第1パッド31の両側に隣接して水平方向に配置された第2パッド32'及び第3パッド36'の後端にテーパ部11を設けることとした。これにより、軸受油膜力の異方性が増加し、作動流体からの不安定化力による不安定振動の発生を防ぐことができると共に、潤滑油の流れ方の調整も可能である。

0068

(第9実施形態)
第9実施形態に係るティルティングパッドジャーナル軸受は、水平方向に配置された第2パッド及び第3パッドにおけるパッド前方の端部にテーパ部を設けることにより、軸受油膜力の異方性をより増加させて不安定振動の発生を防ごうとしたものである。以下、上述した第1実施形態と異なる部分を説明する。

0069

(構成)
図14に基づいて第9実施形態に係るパッド32'、36'を説明する。図14は、第9実施形態に係るパッド32'、36の形状を説明する図である。この図14に示すように、水平方向に配置された第2パッド32'、第3パッド36'のジャーナルの回転方向に対してパッド前方の端部にテーパ部2を設けたことで、第1乃至第8実施形態と異なる。

0070

(作用)
前述したように、パッド32'、36'の前端にテーパ部12を設けたことで、第8実施形態と同様にテーパ部12の範囲にて油膜圧力が発生しなくなり、水平方向に配置された第2パッド32'、第3パッド36の全体にかかる負荷も減少する。これのより、水平方向の油膜力は減少し軸受油膜力の異方性の増加が可能となる。さらに、ジャーナル2とパッド32'、36'の隙間に流れ込む軸受の潤滑油がテーパ12によって隙間に入り込みやすくなり、軸受油膜油切れのリスク低減につながる。

0071

(効果)
以上のように、本実施形態に係るティルティングパッドジャーナル軸受100によれば、第1パッド31の両側に隣接して水平方向に配置された第2パッド32'及び第3パッド36'の前端にテーパ部12を設けることとした。これにより、軸受油膜力の異方性が増加し、作動流体からの不安定化力による不安定振動の発生を防ぐことができると共に、ジャーナル2とパッド32'、36'の隙間に流れ込む軸受の潤滑油を増加させることが可能である。

0072

(第10実施形態)
第10実施形態に係るティルティングパッドジャーナル軸受は、水平方向に配置された第2パッド及び第3パッドにおけるパッド前方及び後方の端部にテーパ部を設けることにより、軸受油膜力の異方性をより増加させて不安定振動の発生を防ごうとしたものである。以下、上述した第1実施形態と異なる部分を説明する。

0073

(構成)
図15に基づいて第10実施形態に係るパッド32'、36'を説明する。図15は、第10実施形態に係るパッド32'、36'の形状を説明する図である。この図15に示すように、水平方向に配置された第2パッド32'、第3パッド36'のジャーナルの回転方向に対してパッド前方及び後方の端部にテーパ部13及び14を設けたことで、第1乃至第9実施形態と異なる。

0074

(作用)
前述したように、パッド332'、36'の前端にテーパ部13を設けたことで、第9実施形態と同様に、ジャーナル2とパッド32'、36'の隙間に流れ込む軸受の潤滑油がテーパ13によって隙間に入り込みやすくなり、軸受油膜の油切れのリスク低減につながる。

0075

さらに、テーパ部13及び14の範囲にて油膜圧力が発生しなくなり、左右パッド32'、36'全体にかかる負荷も減少し、水平方向の油膜力は減少し軸受油膜力の異方性の増加が可能となる。

0076

(効果)
以上のように、本実施形態に係るティルティングパッドジャーナル軸受100によれば、第1パッド31の両側に隣接して水平方向に配置された第2パッド32'及び第3パッド36'の前端及び後端にテーパ部13,14を設けることとした。これにより、軸受油膜力の異方性の増加をすると共に、ジャーナル2とパッド32'、36'の隙間に流れ込む軸受の潤滑油を増加させことができ、且つ潤滑油の流れ方の調整も可能である。

0077

(第11実施形態)
第11実施形態に係るターボ機械は、軸受油膜力の異方性をより増加させたティルティングパッドジャーナル軸受でジャーナルを支持することにより、タービンロータにおける不安定振動の発生を防ごうとしたものである。より詳しくを、以下に説明する。

0078

(構成)
図16に基づいて本実施の形態におけるターボ機械の一例を説明する。図16は、蒸気タービン30のタービン回転体32の軸線Xを含む断面(子午断面)を示す図である。この図16に示すように、ターボ機械の一例である蒸気タービン30は、ケーシング32と、タービン回転体34と、ティルティングパッドジャーナル軸受100とを備えて構成されている。ケーシング32は作動蒸気密閉する。タービン回転体34は、軸線が水平方向に沿っており、タービンロータ36と、動翼翼列38とを備えて構成されている。タービンロータ36は、ケーシング32内に回転自在に貫通している。動翼翼列38は、タービンロータ36に設けられている。また、複数の静翼翼列40がケーシング32内に設けられ、タービン回転体34の軸線方向に動翼翼列38と交互に配置されている。本実施の形態による蒸気タービン30は横置きにされており、タービン回転体32の軸線が水平方向に沿っている。ティルティングパッドジャーナル軸受100は、タービンロータ36のジャーナルをケーシング32に対して回転自在に支持する。すなわち、このティルティングパッドジャーナル軸受100は、実施形態1乃至10のいずれかに係るティルティングパッドジャーナル軸受である。

0079

(作用)
タービンロータ36のジャーナルを、軸受油膜力の異方性を増したティルティングパッドジャーナル軸受100で支持するので、タービンロータ36の不安定振動を抑制する。

0080

(効果)
以上のように、本実施形態に係るターボ機械は、タービンロータ36のジャーナルを、軸受油膜力の異方性を増したティルティングパッドジャーナル軸受100で支持することとした。これにより、作動流体からの不安定化力による不安定振動の発生を防ぐことができ、不安定振動をより抑制したターボ機械を提供可能である。

0081

以上、いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例としてのみ提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図したものではない。本明細書で説明した新規な装置は、その他の様々な形態で実施することができる。また、本明細書で説明した装置の形態に対し、発明の要旨を逸脱しない範囲内で、種々の省略、置換、変更を行うことができる。添付の特許請求の範囲およびこれに均等な範囲は、発明の範囲や要旨に含まれるこのような形態や変形例を含むように意図されている。

0082

2:ジャーナル、31、32、33・・・36、31'、32'、36':パッド、4:軸受内輪、51、52、53・・・56:ピボット、6:パッド給油孔、30:蒸気タービン、32:ケーシング、34:タービン回転体、36:タービンロータ、38:動翼翼列、40:静翼翼列、100:ティルティングパッドジャーナル軸受

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