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図面 (7)

課題

発進中にウィリーが生じてもウィリーを早期に抑制する。

解決手段

出力制御装置が、発進制御の実施中に、前記駆動源の出力の上限値を、前記発進制御の非選択時に設定される値よりも低く設定された発進制御上限値に設定する上限設定部と、前記発進制御の実施中、前記乗物ウィリー状態であるか否かを判定するウィリー判定部と、を備え、前記発進制御の実施中に前記ウィリー状態が判定されると、前記発進制御の実施を維持しつつ、前記駆動源の出力を前記ウィリー状態であると判定される前に比べて抑制するウィリー抑制制御が実行される。

概要

背景

特許文献1に開示されたエンジン出力制御装置は、ウィリー状態を検知すると、エンジン出力を低減するエンジン出力低減制御を実行する。

概要

発進中にウィリーが生じてもウィリーを早期に抑制する。出力制御装置が、発進制御の実施中に、前記駆動源の出力の上限値を、前記発進制御の非選択時に設定される値よりも低く設定された発進制御上限値に設定する上限設定部と、前記発進制御の実施中、前記乗物がウィリー状態であるか否かを判定するウィリー判定部と、を備え、前記発進制御の実施中に前記ウィリー状態が判定されると、前記発進制御の実施を維持しつつ、前記駆動源の出力を前記ウィリー状態であると判定される前に比べて抑制するウィリー抑制制御が実行される。

目的

本発明は、発進時のクラッチ操作を容易化しつつウィリーを抑制可能な出力制御装置を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
1件

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請求項1

駆動源駆動輪との間の動力伝達経路を切断した無負荷状態から前記動力伝達経路を接続する接続状態へと切り換えクラッチ装置を備えた乗物に搭載される出力制御装置であって、発進制御の実施中に、前記駆動源の出力の上限値を、前記発進制御の非選択時に設定される値よりも低く設定された発進制御上限値に設定する上限設定部と、前記発進制御の実施中、前記乗物がウィリー状態であるか否かを判定するウィリー判定部と、を備え、前記発進制御の実施中に前記ウィリー状態が判定されると、前記発進制御の実施を維持しつつ、前記駆動源の出力を前記ウィリー状態であると判定される前に比べて抑制するウィリー抑制制御が実行される、出力制御装置。

請求項2

前記発進制御の前記非選択時に前記ウィリー状態が検知されたときに前記駆動源の出力を抑制させるためのウィリー制御規則と、前記発進制御の実施中に前記ウィリー状態が検知されたときに前記駆動源の出力を抑制させるためのウィリー制御規則とが共通である、請求項1に記載の出力制御装置。

請求項3

前記駆動源がエンジンであり、前記発進制御および前記ウィリー抑制制御において、前記エンジンへの吸気量を制御することで前記エンジンの出力が抑制される、請求項1または2に記載の出力制御装置。

請求項4

前記吸気量の目標値の基本値が、前記発進制御の有無に応じて設定され、前記ウィリー抑制制御で、ウィリー量が大きいほど前記基本値に対する低減補正量を大きくする、請求項3に記載の出力制御装置。

請求項5

前記吸気量の前記基本値および前記低減補正量が、エンジン回転数、および運転者により入力されるアクセル指令に応じて設定される、請求項4に記載の出力制御装置。

請求項6

前記発進制御においては、前記吸気量の制御に加えて、気筒での燃焼停止を伴って出力を抑制する制御が実行され、前記ウィリー制御においても、前記吸気量の制御に加えて、前記気筒での燃焼停止を伴って出力を抑制する制御が実行される、請求項3乃至5のいずれか1項に記載の出力制御装置。

請求項7

前記発進制御では、前記燃焼停止を伴う制御として燃料カット制御が実行され、前記ウィリー抑制制御では、前記燃焼停止を伴う制御として点火間引き制御が実行される、請求項6に記載の出力制御装置。

請求項8

前記発進制御の実施中にトラクション制御実行条件満足した時点で、前記発進制御の実施を維持しつつ、前記駆動源の出力を当該実行条件が満足する前に比べて抑制するトラクション制御が実行される、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の出力制御装置。

技術分野

0001

本発明は、駆動源駆動輪との間の動力伝達経路を切断および接続するクラッチ装置を備えた乗物に搭載される出力制御装置に関する。

背景技術

0002

特許文献1に開示されたエンジン出力制御装置は、ウィリー状態を検知すると、エンジン出力を低減するエンジン出力低減制御を実行する。

先行技術

0003

特開2010−229912号公報

発明が解決しようとする課題

0004

クラッチ装置を備える乗物では、高速発進を行うために、敏速で繊細なクラッチ繋合操作と加速操作とを両方同時に行わなくてはならない。また、高速で発進する際には、駆動輪に伝達される動力も大きいので、ウィリーを抑えながら加速操作しなくてはならない。このため、高速発進には運転者熟練を要する。特許文献1では、発進時にウィリーを検知するとエンジン出力が低減するものの、運転者はエンジン出力が自動的に低減していくなかでクラッチ操作と加速操作とを同時に行わなくてはならず、操作に熟練を要することに変わりない。

0005

本発明は、発進時のクラッチ操作を容易化しつつウィリーを抑制可能な出力制御装置を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0006

本発明の一形態に係る出力制御装置は、駆動源と駆動輪との間の動力伝達経路を切断した無負荷状態から前記動力伝達経路を接続する接続状態へと切り換えるクラッチ装置を備えた乗物に搭載される出力制御装置であって、発進制御の実施中に、前記駆動源の出力の上限値を、前記発進制御の非選択時に設定される値よりも低く設定された発進制御上限値に設定する上限設定部と、前記発進制御の実施中、前記乗物がウィリー状態であるか否かを判定するウィリー判定部と、を備え、前記発進制御の実施中に前記ウィリー状態が判定されると、前記発進制御の実施を維持しつつ、前記駆動源の出力を前記ウィリー状態であると判定される前に比べて抑制するウィリー抑制制御が実行される。

0007

前記構成によれば、発進制御時に上限出力が設定されることで、加速操作を制御装置に担わせることができ、運転者はクラッチ操作に集中しやすくなる。発進制御の実施中にウィリー状態が判定されると、その発進制御にウィリー抑制のためのウィリー抑制制御を並存させる。このため、発進制御中でもウィリーを抑制できる。ウィリー発生時点からウィリー状態を検知でき、ウィリーの早期抑制を実現できる。

0008

前記発進制御の前記非選択時に前記ウィリー状態が検知されたときに前記駆動源の出力を抑制させるためのウィリー制御規則と、前記発進制御の実施中に前記ウィリー状態が検知されたときに前記駆動源の出力を抑制させるためのウィリー制御規則とが共通であってもよい。

0009

前記構成によれば、発進中のウィリー抑制制御と非発進時のウィリー抑制制御とで異なる制御規則を設ける場合と比べ、規則設定作業を容易化できる。

0010

前記駆動源がエンジンであり、前記発進制御および前記ウィリー抑制制御において、前記エンジンへの吸気量を制御することで前記エンジンの出力が抑制されてもよい。

0011

前記構成によれば、出力を抑制するにあたって気筒内での燃焼状態は継続されるので、出力抑制時に運転者に伝わるショックを軽減できる。

0012

前記吸気量の目標値の基本値が、前記発進制御の有無に応じて設定され、前記ウィリー抑制制御で、ウィリー量が大きいほど前記基本値に対する低減補正量を大きくしてもよい。

0013

前記構成によれば、発進制御とウィリー抑制制御とを並存した制御を実現でき、また、発進制御の非選択時と発進制御中との間で規則を共通化することも実現できる。

0014

前記吸気量の前記基本値および前記低減補正量が、エンジン回転数、および運転者により入力されるアクセル指令に応じて設定されてもよい。

0015

前記構成によれば、駆動源で発生される出力に応じた抑制を行うことができ、抑制量を好適に設定できる。

0016

前記発進制御においては、前記吸気量の制御に加えて、気筒での燃焼停止を伴って回転数を制限する制御が実行され、前記ウィリー制御において、前記吸気量の制御に加えて、前記気筒での燃焼停止を伴って出力を抑制する制御が実行されてもよい。

0017

前記構成によれば、ウィリー制御における吸気量の制御で生じ得る応答遅れを、燃焼停止を伴う制御で補償でき出力の早期抑制が図られる。

0018

前記発進制御では、前記燃焼停止を伴う制御として燃料カット制御が実行され、前記ウィリー抑制制御では、前記燃焼停止を伴う制御として点火間引き制御が実行されてもよい。

0019

前記構成によれば、発進制御とウィリー抑制制御とで制御の形態を異ならせることで、それぞれの状況に応じた出力の抑制を図ることができる。

0020

前記発進制御の実施中にトラクション制御実行条件満足した時点で、前記発進制御の実施を維持しつつ、前記駆動源の出力を当該実行条件が満足する前に比べて抑制するトラクション制御が実行されてもよい。

発明の効果

0021

本発明によれば、発進中にウィリーが生じてもウィリーを早期に抑制できる。

図面の簡単な説明

0022

乗物に搭載された駆動系および実施形態に係る出力制御装置の構成を示す概念図である。
出力制御装置の構成を示すブロック図である。
開度指令部の構成を示すブロック図である。
出力制御装置により実行される発進制御を示すフローチャートである。
発進制御中におけるスロットル開度の制限を示すグラフである。
発進制御中における駆動源の回転数などの時間変動の一例を示すチャートである。

実施例

0023

以下、図面を参照しながら実施形態について説明する。以下の説明における方向の概念は、乗物の運転者が見る方向を基準とする。車長方向は前後方向と対応し、車幅方向は左右方向と対応する。

0024

[乗物]
図1は乗物に搭載された駆動系および出力制御装置100を示す。乗物は、1以上の前輪1a、1以上の後輪1b、駆動源2および動力伝達機構3を備える。駆動源2は、エンジン、電気モータ、またはこれらの組合せであり、駆動源2で発生された動力は、動力伝達機構3により形成される動力伝達経路3aを介して駆動輪4に伝達される。例えば、乗物は前輪1aおよび後輪1bを1つずつ備えた自動二輪車であり、駆動源2はエンジン2aであり、前輪1aが従動輪であり、後輪1bが駆動輪4である。

0025

エンジン2aには、スロットル弁11、インジェクタ12および点火プラグ13が設けられる。スロットル弁11の開度可変であり、開度が変わればエンジン2aへの吸気量が変わる。インジェクタ12は燃料噴射する。点火プラグ13は燃焼室内で火花を発生して混合気点火する。エンジン2aが複数の気筒を有する場合、インジェクタ12および点火プラグ13は気筒ごとに設けられる。

0026

動力伝達機構3は、駆動源2と駆動輪4との間に介在し、クラッチ装置16および変速装置17を含む。クラッチ装置16は変速装置17よりも動力伝達経路3aの上流側(駆動源2側)に設けられる。駆動源2の出力軸2bはクラッチ装置16の入力要素16aと連結され、クラッチ装置16の出力要素16bは変速装置17の変速機入力軸17aと連結され、変速装置17の変速機出力軸17bは駆動輪4の車軸4aと連結される。これらの連結は恒常的である一方、動力伝達経路3aは、クラッチ装置16の入出力要素16a,16b間、変速装置17の2軸17a,17b間で切断され得る。

0027

クラッチ装置16は、例えば摩擦式であり、入力要素16aの摩擦部16cと出力要素16bの摩擦部16dとの間で生じる摩擦力で動力を伝達する。乗物には、摩擦部16c,16d間で作用する圧着荷重手動調整するクラッチ操作器21(例えば、クラッチレバー)が設けられる。操作器21の操作位置が原位置にある無操作状態では、摩擦部16c,16dの一方が他方に圧着するよう付勢される。この付勢力は操作器21に運転者から入力される操作力で相殺され、圧着荷重は操作力の作用で減少する。

0028

付勢力を打ち消す操作力が操作器21に入力されると、圧着荷重はゼロになり摩擦部16c,16d同士が離れる。クラッチ装置16はいわゆる解放状態となって、入出力要素16a,16b間で動力の伝達が行われない。そのため、動力伝達経路3aが切断され、駆動源2が駆動輪4から切り離される。以下、この状態を「無負荷状態」と呼ぶ。

0029

そこから操作器21に入力される操作力が減る(すなわち、操作位置が原位置に向け少し戻る)と、摩擦部16c,16d同士が接触する。すると、摩擦部16c,16d間で摩擦力が生じ始め、摩擦力に応じた動力が入出力要素16a,16b間で伝達される。操作力が減るにつれ、圧着荷重が増えていき動力の伝達可能量も大きくなる。このとき、摩擦部16c,16dの一方が他方に対して滑りつつ回転し、クラッチ装置16はいわゆる滑り状態となる。操作力がゼロになる(すなわち、操作位置が原位置まで戻る)と、圧着荷重が最大限に作用し、クラッチ装置16がいわゆる繋合状態となる。当該クラッチ装置16で許容される最大量の動力を伝達可能になり、摩擦部16c,16d同士が同速で回転できる。以下、駆動源3の動力を駆動輪4に伝達可能な状態を「接続状態」と呼ぶ。

0030

このとおり、クラッチ装置16は、操作器21によって解放、滑りおよび繋合の間で状態が切り換わるように操作され、駆動系を無負荷状態から接続状態へと(およびその逆へと)切り換える。また、クラッチ装置16は、駆動源2から伝わる動力に対して駆動輪4側(例えば、変速機入力軸17a)に伝える動力の割合(以下、「動力伝達割合」という)を連続的に変化させるように構成されている。この動力伝達割合は、解放状態で最小(0%)、繋合状態で最大(100%)となる。ただし、クラッチ装置16の形式は摩擦式に限られない。

0031

変速装置17の形式にも特に限定はないが、シフトチェンジにクラッチ操作を要する手動多段式は好適である。その場合、乗物1に、変速装置17のギヤ位置を複数から1つ手動選択するシフトチェンジ操作器22(例えば、シフトチェンジペダル)が設けられる。「ギヤ」は便宜上の呼称に過ぎず、変速装置17が歯車式である必要はない。ギヤ位置は少なくとも中立位置および2以上の前進位置を含む。中立位置の選択時、動力伝達経路3aは2軸17a,17b間で切断される。前進位置の1つが選択されると、2軸17a,17b間を繋ぐように動力伝達経路3aが形成され、変速比は選択されたギヤ位置に対応した値となる。前進位置が低速であるほど、変速比は大きくなって後輪3に伝達される前進トルクが大きくなる。以下、ギヤ位置が中立位置にあるときの変速装置17の状態を「ギヤアウト」、ギヤ位置がいずれかの前進位置にあるときの変速装置17の状態を「ギヤイン」と呼ぶ。

0032

駆動系の状態は、変速装置17の状態を考慮に入れた概念でもよい。その場合、変速装置17がギヤイン状態であり且つクラッチ装置16が滑り状態または繋合状態であるときに駆動系が接続状態である一方、その他の状況(クラッチ装置16の解放状態、または変速装置17のギヤイン状態)下では駆動系が無負荷状態である。

0033

[出力制御装置]
上記駆動系を備えた乗物に、本実施形態に係る出力制御装置100が搭載されている。出力制御装置100は、駆動源2の出力の制御に必要な情報を検出する検出器31〜36と、制御器処理装置および記憶装置)としての電子制御ユニット(ECU)5と、操作装置としてのスロットル弁11、インジェクタ12および点火プラグ13とを備える。

0034

乗物は、運転者によって出力指令手動入力される出力操作器23(例えば、アクセルグリップ)を備える。出力操作器23の操作位置が出力指令を表す。出力指令は、出力指令検出器31(例えば、アクセル位置センサ)によって検出され、その検出値はECU5に入力される。

0035

ECU5は、この他、駆動源2の回転数を検出する駆動源回転数検出器32、変速装置17のギヤ位置を検出するギヤ位置検出器33、後輪1bの回転数を検出する後輪回転数検出器34、前輪1aの回転数を検出する前輪回転数検出器35と接続される。スロットル開度(スロットル弁11の弁体回転位置)を検出するスロットル位置検出器(図示せず)と接続されてもよい。

0036

スロットル弁11の開度はECU5によって電子的に制御される。詳細図示を省略するが、スロットル弁11は、吸気通路内で回転する弁体と、弁体を回転駆動する弁アクチュエータ(例えば、電気モータ)を備える。ECU5は、出力指令検出器31から入力される出力指令に基づいてスロットル開度の目標値を求め、スロットル開度が目標値となるよう弁アクチュエータを駆動する。

0037

乗物が自動二輪車である場合、車輪数車重に対する出力の大きさ、ホイールベースの短さ等に起因して、前輪2aが地面から浮き上がるウィリーを生じやすい。このウィリー時には、車体がピッチして車体のピッチ角が変動する。「ピッチ」は、車幅方向の仮想的な回転軸を中心とする回転運動である。ECU5は、車体のピッチ角を検出するピッチ角検出器37とも接続される。ピッチ角検出器37は、ピッチ角速度またはピッチ角加速度を検出するセンサでもよく、ECU5がこれらセンサの検出値に基づく積算処理でピッチ角を求めてもよい。

0038

ECU5は、これら検出器31〜36から乗物の運転状態を示す情報を入力し、入力した情報に基づいてスロットル弁11、インジェクタ12および点火プラグ13を駆動し、スロットル開度、燃料噴射量(インジェクタ開弁期間)、点火時期、燃料間引き率、点火間引き率を制御し、駆動源2の回転数および出力を制御する。燃料間引き率は、燃焼行程の単位連続回数に対し燃料噴射を行わない行程数の割合であり、点火間引き率は、この単位連続回数に対し点火プラグ13による火花発生を行わない行程数の割合である。

0039

ECU5には、通常走行モードの他、乗物の急発進を可能にする発進モード、発進後に駆動源2のトルクを最大限に引き出した走行を可能にするパワーモードなど、複数の走行モードがある。利用シーンや運転者の運転技能などに応じて、複数の走行モードから1つのモードが、ECU5によって自動的にあるいは運転者によって手動で選択される。例えば、発進モードの好適な利用シーンとして、サーキット走行が想定されている。検出器31〜36が示す値が同一の条件下でも、選択されている走行モードによってスロットル開度や燃料噴射量や点火時期の目標値が変わり、それにより利用シーンや運転技能に応じた出力制御を可能にする。

0040

選択されている走行モードおよび入力されている運転状態を示す情報に基づき、開度指令部41は、スロットル開度の目標値を決定し、スロットル開度が当該目標値となるようにスロットル弁11を制御する。同様に、インジェクタ指令設定部42は、燃料噴射量目標値を決定して燃料噴射量が当該目標値となるようにインジェクタ12を制御する。点火プラグ指令設定部43は、点火時期の目標値を決定して点火時期が当該目標値となるように点火プラグ13を制御する。

0041

図3に示すように、例えばスロットル開度に関しては、出力指令検出器31から検出される出力指令(すなわち、出力操作器23の操作位置)が、目標値の一次基本値として設定される。この一次基本値は、出力指令と線形相関を有することになる。出力操作器23の操作位置が大きくなるにつれて出力指令が大きくなり、出力指令が最大値となるときに一次基本値は最大値(全開)となる。一次基本値は、特性変換マップ51を参照して求められた特性変換係数αで補正される。マップ51は、走行モードごと且つギヤ位置ごとに準備されてECU5に予め記憶される。各マップ51は、出力指令および回転数と係数αとの関係を定義する。開度指令部41は、走行モードおよびギヤ位置に応じて複数のマップ51から1つを選択する。選択されたマップ51を参照し、検出器31,32から入力した出力指令および回転数に応じた係数αを求める。求めた係数αが一次基本値に乗算され、この乗算値が目標値の二次基本値として設定される。このように、スロットル開度は、出力指令に比例するよう制御されることを基本としつつ、ギヤ位置、エンジン回転数および走行モードに適するように補正される。

0042

また、駆動源2の出力を特別に抑制するのが望ましい走行状況がある。その典型例として、駆動輪4がスリップしてトラクション性能を失っている場合や、ウィリーを生じている場合を挙げられる。このような走行状況は、いずれの走行モードが選択されているかに関係なく生じ得る。このような走行状況が検知されると、開度指令部41は、スロットル開度の目標値の基本値(特に、走行モード等が考慮されて係数αで補正された二次的なもの)を、開度制限係数βで補正し、目標値を低減させる。これにより、駆動源2の出力を適時に抑制でき、スリップやウィリーを未然防止または早期解消できる。開度制限係数βは、走行状況ごとに異なる手法で求められる。例えば、ウィリーに対応する係数βは、ピッチ角などに応じて設定される。ここでは、詳細説明割愛するが、スリップに対応する係数βは、スリップ率やその変化量に応じて設定される。

0043

[発進モード]
以下、発進モードの選択中に出力制御装置100で実施される発進制御について説明する。この発進制御の実施のため、ECU5は、状態判定部44および上限設定部45を有する。この発進モードは、前述のとおり、サーキットにおけるレーススタートで利用されることも視野に入れている。状態判定部44は駆動系の状態その他の運転状態を検知し、上限設定部45は検知された運転状態に基づき駆動源2の出力の上限値を設定する。それにより、極力最大トルクを発生させるような運転領域で駆動源2を運転させる。一方、ECU5は、ウィリー判定部46を有し、ウィリー判定部46は、発進制御の実施中に乗物がウィリー状態であるか否かの判定を行う。

0044

出力制御装置100は、運転者によって手動操作される許否スイッチ38(図1参照)を備える。運転者は許否スイッチ38を手動操作することで、発進制御の実施を許可するか禁止するかECU5に指令を与えることができる。以下、先ず発進制御の基本的な流れを説明する。

0045

(発進制御の開始/無負荷状態)
図4に示すように、状態判定部44は、発進制御の許可指令が許否スイッチ38からECU5に出力され(S11)、出力指令が所定値以上であり(S12)、かつ、駆動輪4が停止している(S13)場合に、発進制御を開始する。なお、本実施形態では、出力指令と比較される「所定値」は、アクセル全開(すなわち、最大値)付近を示す値である。出力指令が最大値付近であるのに駆動輪4が停止し続けることができるということは、駆動系が無負荷状態にあることを意味する。状態判定部44は、発進制御の開始時点で、駆動系が無負荷状態であると判定する。

0046

なお、無負荷状態と判定される前から、駆動系は既に無負荷状態となっているはずである。発進制御の開始直前には、走行モードは例えば通常走行モードに設定され、通常走行モード用の特性変換マップ51に基づいてスロットル開度の目標値が決定される。この状況下で出力操作器23が略アクセル全開とされる。駆動系は無負荷状態にあるので、駆動源2の回転数は、駆動源2の保護のために設定された所定の過回転制限値オーバーレブリミッタ)近くに達する可能性がある。出力制御装置100は、回転数が過回転制限値を超えないよう点火時期、燃料間引き率および/または点火間引き率を調整し、インジェクタ12および/または点火プラグ13の動作を制御する。このように、発進制御が実施・選択されない状況でも、回転数の上限値の一例として、過回転制限値が存在する。

0047

出力制御装置100は、発進制御が開始して駆動系が無負荷状態であると判定している間、駆動源2の出力の上限値を所定の第1上限値に設定する(S21)。この場合の「出力」は、回転数とトルクの積でもよいが、回転数やトルクでもよい。本実施形態では、特段断らない限り、「出力」に回転数を用いるものとして説明する(後述の第2上限値についても同様)。この場合において、第1上限値は、過回転制限値よりも小さい値、例えば8000rpm程度に設定される。なお、発進制御中の回転数の変動の一例は図6に示す。

0048

回転数を静定させるために即応性が要求されるが、吸気制御では遅れが生じやすい。燃料カットまたは点火カットのような燃焼状態を停止する動作によって回転数を制限すると、即応性を満たすことができ、また、回転数の吹き上がりも生じにくく好ましい。本実施形態では、上限値が第1上限値に決まると、インジェクタ指令設定部42は、回転数が第1上限値となるように燃料噴射量および燃料間引き率を決定してインジェクタ12を駆動する。これにより、回転数を第1上限値に速やかに近付けやすく、また、第1上限値付近で静定させやすい。

0049

図5は、発進制御中にスロットル開度に課せられる制限を示すグラフである。発進制御中、開度指令部41は、発進モード用の特性変換マップ51を参照して係数αを求め、スロットル開度の目標値の二次基本値を求める。発進待機中は、係数βを用いた補正は行われず、出力指令と係数αの積(二次基本値)が最終的な目標値となる。図5に示すグラフは、この最終的な目標値(二次基本値)が回転数に応じてどのような値に制限されるべきか示す。係数αは上記のとおり出力指令と回転数に応じて決定されるが、この制限値の存在を前提として逆から言えば、係数αは(最終的な目標値たる)制限値を出力指令で除算した値である。そのため、図5のグラフは、出力指令がアクセル全開と仮定した場合に、係数αが回転数に応じてどのような値に設定されるべきか示すともいえる。出力指令が制限値未満であれば、係数αは1となり、最終的な目標値は出力指令と一致し、制限が行われない。これにより、発進モードが選択されていても、運転者による吸気量の調整を可能にしている。

0050

グラフの傾向を説明すると、回転数がアイドル(例えば1000rpm程度)から第1回転数までの間は制限がない(アクセル全開でα=1)。第1回転数と第1回転数よりも大きい第2回転数の間では、回転数上昇に伴い制限が強くなる(アクセル全開でαが1から減少する)。第2回転数で制限が極大となり、第2回転数からの回転数上昇に伴って制限は緩くなる(アクセル全開でαが上昇する)。第1上限値は、第1回転数と第2回転数との間に設定され、第1上限値に対応する制限値は全開未満である。つまり、発進モードの開始直後、アクセル全開であってもスロットル開度は全開未満に制限される。

0051

発進制御前の走行モードに応じて全開付近にあったスロットル開度は、発進制御の開始によって特性変換マップが切り換わることで急減する。それにより回転数が速やかに低下して第1上限値へと近づいていく。併せて、インジェクタ指令部42によって燃料噴射量および燃料間引き率が微調整され、それにより、回転数は、第1上限値を含む範囲、本実施形態では第1上限値を中心とする数値範囲である第1上限範囲内で維持される。なお、第1上限範囲は過回転制限値以下に設定される。吸気量が制限されることで、開度が全開である場合と比べ、回転数の微調整を行いやすくなる。また、吸気制御と燃焼制御とを組み合わせて発進時の出力を調整しているので、目標とする空燃比を保ちながら回転数の制限を行える。

0052

(接続状態開始判定
図4戻り、出力制御装置100は、無負荷状態であると判定している間、駆動系が無負荷状態から接続状態へと移行して接続状態が開始したか否かを判定する。原則として、クラッチ装置16が解放状態から滑り状態へ移行すると、駆動系の接続状態が開始し、動力が駆動輪4に伝達され、駆動輪4の回転および乗物1の発進が開始する。駆動輪4が回り始める時点で、クラッチ装置16は滑り状態である必要がある。そうでないと、駆動源2の出力軸2bと駆動輪4との間の非常に大きな回転数差のため、ショックやストールを誘発する他、過大な出力を急激に駆動輪4に伝達することでウィリーを誘発する。その回避のため、運転者は、クラッチ操作器21の操作位置を戻していく過程で駆動輪4の回転数を駆動源2の出力軸2の回転数に追従させるように上昇させ(すなわち、クラッチの滑りをなくしていき)、追従が成ったにクラッチ装置16が丁度繋合状態になるよう操作することを求められる。

0053

状態判定部44は、無負荷状態であると判定している間、駆動輪4(後輪1b)の回転数が所定値以上であるか否かを判定する(S22)。所定値以上であれば、クラッチ滑り量を算出する(S23)。

0054

クラッチ滑り量の算出のため、状態判定部44は、入力要素16aまたはそれよりも動力伝達経路3aの上流側の回転部材の回転速度である入力回転速度と、出力要素16bまたはそれよりも動力伝達経路3aの下流側の回転部材の回転速度である出力回転速度とを測定する。出力回転速度の測定対象部材に対する入力回転速度の測定対象部材の速比を出力回転速度に乗算し、入力回転速度からこの乗算値を減算すれば、クラッチ滑り量が算出される。例えば、入力回転速度の測定対象部材は駆動源2の出力軸2bであり、出力回転速度の測定対象部材は駆動輪4である。その場合、出力回転速度に乗算される速比は、変速装置17における変速比を内包するので、速比の導出にギヤ位置が考慮される。すなわち、クラッチ滑り量の算出に、駆動源回転数検出器32、後輪回転数検出器34、ギヤ位置検出器33の検出値が参照される。

0055

そして、状態判定部44は、算出されたクラッチ滑り量が所定範囲内に収まっているか否か判断する(S24)。クラッチ滑り量が所定範囲内に収まれば、クラッチ装置16が接続状態になったと判定し、ステップS41に進む。

0056

クラッチ装置16が適時適切に行われていれば、上記のとおり駆動輪4が回り始めてからクラッチ滑り量に基づいて接続状態の開始を判定できる。しかし、クラッチ操作が急でクラッチ装置16での圧着荷重が急上昇すると、動力が駆動輪4に伝わるよりも前に、駆動源2に対する負荷が上がって回転数が落ち込む。このケースでは、駆動輪4が回り始める時点で既に駆動系の接続状態は開始している。クラッチ滑り量は駆動輪4が回り始めるまで算出できないので、上記の判定手法では、駆動輪4の回転に先立って接続状態が開始したときに、その開始の検知が遅れてしまう。検知が遅れた分だけ回転数が落ち込んだ状態が長く続く。そこで、駆動輪4の回転開始前から接続状態の開始を判定できるようにもしている。

0057

すなわち、状態判定部44は、無負荷状態と判定されている間に、駆動輪4の回転数が所定値未満であれば、出力指令が所定値以上であるとの条件(S31)、出力指令の単位時間当たり変化量が所定値未満であるとの条件(S32)、出力が第1上限値未満であるとの条件(S33)、出力(回転数)の単位時間当たり減少量が所定値以上である(減少した場合に減少量が正、所定値は正)との条件(S34)、変速装置17がギヤイン状態であるとの条件(S35)、これら複数の条件の成否を判定する。状態判定部44はこれら条件S31〜S35が所定期間(例えば、数百ミリ秒)継続して成立するか否かを判定し(S36)、所定期間継続すると、状態判定部44は接続状態が開始したと判定する。

0058

上記条件と駆動系の状態との関係を説明すると、回転数を第1上限値付近の第1上限範囲に収めるように制御していても、ギヤイン状態でクラッチ操作器21が原位置へと戻され始めると、摩擦部16c,16d間で生じる摩擦力、およびその摩擦力に基づき回転されようとする出力要素16b以降の動力伝達機構3の抵抗が駆動源2にとって負荷となる。そのため、回転数が低下する。つまり、クラッチ装置16の摩擦部16c,16d同士の接触は、回転数を対象とした定値制御にとって外乱となる。そこで、出力制御装置100は、無負荷状態である間に、回転数の定値制御を実行しながら外乱による回転数の変化を監視する。回転数の低下を検知することで接続状態の開始を判定する。

0059

条件S35は、駆動系の状態に変速装置17の状態を考慮にいれた場合において、駆動系が接続状態であるための必要条件である。条件S31〜S34は、もう一つの必要条件、すなわち、出力指令を所定値以上で保持したままクラッチ装置16が解放状態を脱したとの条件を構成する。条件S35と共に条件S31〜S34(特にS33,SS34)を考慮することで、ギヤイン状態で回転数が第1上限値から低下した、すなわち駆動系の接続状態が開始したことを検知できる。

0060

このように、状態判定部44は、無負荷状態と判定している間に、クラッチ滑り量が所定範囲内に収まる、または、条件S36が成立すれば、クラッチ装置16が接続状態になったと判定する。条件S31〜S36の成否の判定は、駆動輪4の回転数が所定値以上である場合にも実行されてもよく、その場合、S22〜S24の処理と、S31〜S36の処理とが並列的に実行される。

0061

(接続状態開始後)
出力制御装置100は、接続状態が開始したと判定した時点で、出力の上限値を第1上限値よりも大きい第2上限値(例えば、8500rpm)に設定する(S41)。この判定時点では、条件S33,S34の内容からして、回転数は、低下傾向にあって、また、既に第1上限値(例えば、8000rpm)よりも低くなっている。

0062

しかし、図5に示すように、第1上限値は、第1回転数と第2回転数との間、つまりスロットル開度の制限値が単調減少傾向にある区間内に設定される。そのため、回転数が第1上限値から低下しても、スロットル開度の制限は緩くなる(αが大きくなる)ので、スロットル開度は増加補正されることになる。そのため、接続状態の開始によって回転数の落込みが発生しても、その落込みに即応して出力を速やかに回復できる。なお、出力制御装置100は、回転数を第2上限値に向けて上昇させるために、燃料間引き率の減少、燃料噴射量の増加、点火進角を併せて行ってもよい。

0063

駆動輪4が実際に回り始める事前に、駆動系の接続状態の開始を判定することもできる。このため、駆動輪4に動力が伝達される前に接続状態が開始するようなことがあっても、駆動輪4が回り始める頃には、駆動源2の出力を大きくしておくことができる。

0064

その後、クラッチ繋合状態での第2上限値に追従する車速に達するまでの間、出力の上限値は第2上限値で維持される(S41、S42)。これにより、クラッチ操作中の駆動源2の出力増減を抑制でき、簡便なクラッチ操作でショックを発生させずにクラッチを繋ぐことができる。

0065

出力制御装置100は、出力指令および回転数に応じてスロットル開度ひいては吸気量を大きくするよう、スロットル弁11を制御する。そのため、乗物が動き出した後に、駆動源2の出力を滑らかに変化させることができる。

0066

上限設定部42は、クラッチ繋合状態での第2上限値に追従する車速に達すると、上限値の設定を(実質的に)解除する(S51)。この解除は上限値そのものをなくすだけでなく、実際のエンジンの挙動に対して制限が実質的にかからないほど大きな上昇率で上限値を上昇させる場合も含む。また、上限値の解除がなされても、過回転制限値を解除するわけではなく、駆動源2の保護のための回転数制御は繋合後も実施される。上限値の解除に際し、インジェクタ指令導出部は、燃料間引き率をゼロとし、それにより発進制御中の燃料カットは終了する。一方、発進制御は終了しないので、上限値が解除されても、発進モード用の特性変換マップを用いた開度制限制御は継続し、回転数に応じてスロットル開度は制限される。

0067

上限値の解除により、出力および回転数が上昇し、車速も上昇していく。運転者は、車速に応じた変速比の選択のため、順次シフトアップ操作を行う。車速が所定値以上であるとの条件(S52)と、ギヤ位置が所定値以上であるとの条件(S53)が成立すると、発進制御が終了する。なお、条件S52または条件S53が成立したときに発進制御が終了してもよい。

0068

(作用)
上記発進制御を運転者の視点を交えて説明する。運転者は、発進制御を開始させたければ、発進制御の実施を許可するよう許否スイッチ37を予め操作しておき、停車中にクラッチを切って出力操作器23をアクセル全開に操作し、その操作状態を所定期間維持すればよい。所定期間経過すれば、回転数が急落して第1上限値を含む所定範囲(第1上限範囲)で静定する。クラッチを切って停車したまま出力操作器23を所定値以上、具体的には、アクセル全開で維持しても、回転数が再び第1上限範囲を超えて上昇するようなことはない。この回転数の急落および静定に基づいて、運転者は発進制御が正常に開始したと知覚できる。

0069

運転者は、乗物を実際に発進開始させたければ、例えば1速のギヤ位置を選択する等して変速装置17をギヤイン状態にし、出力操作器23をアクセル全開で維持したまま、クラッチ操作器21の操作位置を原位置に向けて戻し始めるだけでよい。アクセル全開であれば、前述したとおり、スロットル開度は図5に示すグラフから求まる制限値となり、車速に応じてグラフが示すとおりに変動する。

0070

クラッチ装置16での動力伝達の開始により回転数が落ちれば、スロットル開度が増加補正される等して、駆動源2の出力は自動的に調整され、回転数の速やかな回復が図られる。運転者のクラッチ操作のミスなどにより、クラッチ装置16を急に繋ぐような操作がなされた場合、クラッチ装置16での動力伝達が開始してから(すなわち、回転数の落込みが発生してから)、乗物を牽引させる(すなわち、駆動輪4の回転および乗物の発進が開始する)だけの動力が駆動輪4に伝達されるまでにはタイムラグが存在する。乗物の発進が開始するよりも前にクラッチ装置16での動力伝達の開始を検知できるので、タイムラグ中に駆動源2の出力を調整して駆動源2が極力最大トルクを出力する状況に速やかに回復できる。

0071

運転者は、出力操作器21を全開保持してクラッチ操作のみに集中できる。その間、出力制御装置100は、出力指令および回転数に基づき極力最大トルクを引き出せるように出力および回転数を自動的に調整する。乗物が発進し始めてから回転数は第2上限値で維持される。滑り状態から繋合状態へと移行させる間(すなわち、動力伝達割合が増えていく間)、回転数が一定でとしているのでクラッチ操作を行いやすくなる。

0072

クラッチ繋合状態での第2上限値に追従する車速に達すると、回転数の上限値は解除される。ただし、発進制御自体は終了せず、スロットル開度の制限は継続する。スロットル開度を制限した状態で、駆動源2の出力の滑らかに上昇させていくことができ、繋合前後のスリップやウィリーを抑制しながら乗物を加速させることができる。後は車速に応じてシフトチェンジ操作を行えば、ギヤ位置および/または車速に応じて発進制御は自動的に解除される。それにより、特性変換マップは、スロットル開度に制限を課すものから、異なる走行モードのものへと切り換わる。

0073

(ウィリー時の対処
しかし、運転者のクラッチ操作ミスなどによってクラッチ装置16が急激に繋合するなどにより、駆動輪4の過加速およびウィリーが生じるおそれがある。そこで、ウィリー判定部46は、発進制御中に乗物がウィリー状態であるか否かを判定する。

0074

ウィリー判定部46は、第1段階として、車輪1a,1bの回転速度に基づきウィリー前状態であるか否かを判定する。ウィリー前状態は、ウィリーが開始している、開始しようとしている、または近い将来に開始する状態である。ウィリー前状態であると判定すると、第2段階として、当該判定時点からの車体ピッチ角変化量(以下、「ウィリー量」という)を算出し、当該ウィリー量が所定のウィリー閾値を超えると、ウィリー状態であると判定する。ピッチ角検出器37がジャイロセンサである場合、走行中の路面勾配変遷などがノイズとなって検出精度を低下させるおそれがあるが、ウィリー前状態と判定されてからのピッチ角の変化を算出することで、累積されたノイズをなくして前輪2の路面からの浮上り量を平易かつ精度よく検出できる。また、ピッチ角を判定パラメータに使えば、車輪が回転していないまたは回転速度が大きくない状況でも、精度よくウィリーを判定でき、発進制御中のウィリー判定に好適である。

0075

ウィリー状態が検知されると、出力制御装置100は、発進制御の実施を継続しながら、ウィリー抑制のために出力を抑制するウィリー制御も並行して実施する。

0076

図3に戻り、この並行実施の具体的態様として、開度指令部41は、ウィリー判定部46によりウィリー状態であると判定されると、開度制限マップ52を参照してウィリー用の開度制限係数βを求める。開度制限係数βは、図示のようにピッチ角に基づいて求められてもよいが、これは単なる一例であり、前後輪の速度差や、スロットル開度や、駆動源の回転数、ウィリー開始からの経過時間など、その他の運転状態に基づいて求められてもよい。

0077

いずれにしても係数βは1よりも小さい値であり、スロットル開度は、係数αを用いた制限を課せられたうえで更に低減される。これにより、急発進中にあってウィリーが生じたという状況に適応して、駆動源2の出力を抑制でき、ウィリーを早期に抑制できる。

0078

図3からわかるように、ウィリーの開度制限係数βは、走行モードに応じて選択された係数αを使って求まった基本値に対して補正をかけるものである。開度制限係数β自体は、走行モードに関わらずに求められる。つまり、開度制限係数βを求めるための開度制限マップ52は、発進制御の非選択時と、発進制御の選択時とで共通化されている。そのため、通常走行モードの走行中にウィリーが生じれば、通常走行モード用の特性変換マップを参照して求められた基本値が、発進制御中と同様にして求められた係数βによって補正される。このように、ウィリーを抑制するための補正係数βを走行モードと切り離して導出可能にしているので、制御ロジック簡潔となる。補正される基本値は、利用シーンや運転技能等の走行状況を反映したものである。この基本値を無視することなくスロットル開度の最終的な目標値の特性を決定しているので、走行状況に即した出力抑制を行うことができる。

0079

上記構成においては、発進制御では、発進回転数に適した回転数範囲に維持されるように制御される。これにより、加速操作の運転者の負担を減らすことができる。運転者がクラッチ操作に集中しやすくなり、クラッチ操作を円滑に行いやすい。なお、発進加速に適した回転数は、たとえば出力トルクが他の回転数域よりも高い領域に設定されてもよい。

0080

発進制御として、回転数リミッタを燃焼停止制御による出力抑制を用いることで、応答性の高い出力抑制を図ることができる。更に、吸気量を抑制する制御によっても出力の上昇を抑制することで、目標とする空燃比に対して発進時の空燃比のずれ量を抑えることができる。

0081

発進制御が選択されない場合には、発進制御で使用される第1上限値や第2上限値は設定されず、上限値として過回転制限値が設定される。吸気量の発進時抑制制御も解除される。発進制御が選択されない場合、吸気量は、回転数、出力指令、ギヤ位置に応じて個別の係数αが設定される。発進制御が選択される場合には、回転数に応じたスロットル開度の制限値が設定される。

0082

発進時には、上記のとおり燃料カットによる回転数調整を行うことで、気筒からの未燃ガス排出を抑えることができ、触媒の保護を図ることができる。発進時には、燃料カット制御とともに吸気量による出力抑制を図るので、燃料カット制御の回数を減らすことができ、触媒の保護を図りやすい。

0083

ウィリー時には、燃料カットに替えてまたは加えて、点火間引きによる出力抑制が行われる。それにより、ウィリーの速やかな抑制を図ることができる。発進制御以外からでもウィリー制御に移行する。この場合において、ウィリー状態であるか否かの判断、点火間引きおよびウィリー用の係数βを用いた出力抑制制御介入させるか否かの判断のための処理は、いずれの走行モードが選択されていても同じである。同じであっても、上記のとおり特性変換マップを利用して走行状況に即したスロットル開度の基本値設定をしているので、走行状況に即した抑制制御を実現できる。

0084

発進制御中にウィリー状態と判定されると、発進制御用の特性変換マップを使いつつウィリー抑制制御が開始する。ウィリー抑制制御中にウィリー状態が解除された場合、発進制御の終了条件が成立していなければ、発進制御が継続する。つまり、点火間引きや係数βの利用を終了したうえで、発進制御用の特性変換マップを用いたスロットル開度の制限、および燃料カットによる回転数制御を継続する。これにより、発進制御の実施中にウィリーが発生してその後にウィリーが解消しても、発進制御の解除条件を満足しない限り発進制御の実施が維持される。

0085

発進制御中にウィリーが発生しても、発進制御以外の走行モード(例えば、通常走行モード)の選択中にウィリーが発生しても、ウィリー状態と判定されれば、係数βおよび点火間引きを用いた抑制制御が介入する。発進制御中には、ウィリー状態であるか否かに関わらず、発進制御用の特性変換係数αを用いてスロットル開度の基本値が設定される。非発進制御中では、ウィリー状態であるか否かに関わらず、選択中の走行モードおよびギヤ比等の運転状態に応じた特性変換マップが参照され、当該マップから求められた係数αを用いてスロットル開度の基本値が設定される。

0086

(他の実施形態)
これまで実施形態について説明したが、上記構成は単なる一例であり、本発明の範囲内で適宜追加、削除または変更可能である。

0087

出力制御装置100は、少なくとも駆動系の接続状態が開始した時点で出力を高め、それにより回転数の落込みを早期回復できる構成であればよい。開始時点から繋合状態と判定されるまでの期間(クラッチ装置16が滑り状態であると判定されている期間)を通して上限値が第2上限値に維持される必要はない。例えば、クラッチ装置16が滑り状態である期間でも、駆動源の回転数が第1上限値付近まで回復すれば、上限値そのものを第1上限値に戻してもよい。

0088

また、第2上限値は、変速装置17がギヤイン状態であってギヤ位置が最低速段でなくなった場合に(すなわち、運転者がシフトアップ操作をした場合)に、クラッチ装置16が滑り状態であっても解除されてもよい。

0089

また、クラッチ装置16は上記のとおり動力伝達割合を可変に構成されているが、開度指令部41は、この動力伝達割合に応じてスロットル開度(すなわち、吸気量)を変更するようにスロットル弁11を制御してもよい。スロットル開度および吸気量は、燃料間引き率や点火間引き率と比べると連続性を有する量であるので、出力の微調整に向いている。動力伝達割合の変化に対応して駆動源2で発生される動力を滑らかに変更できる。

0090

出力制御装置は、自動二輪車以外の乗物にも適用可能である。

0091

1a,1b車輪
2駆動源
3動力伝達機構
3a動力伝達経路
4駆動輪
5電子制御ユニット(ECU)
100 出力制御装置

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