図面 (/)

技術 排熱回収装置

出願人 スズキ株式会社
発明者 篠原竜太郎
出願日 2015年10月6日 (5年8ヶ月経過) 出願番号 2015-198567
公開日 2017年4月13日 (4年2ヶ月経過) 公開番号 2017-072041
状態 特許登録済
技術分野 排気消音装置 排気の後処理
主要キーワード 波型断面 外筒部内 鉄系形状記憶合金 熱遮断効果 二重円筒構造 高熱膨張率 形状回復温度 熱回収性能
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2017年4月13日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (9)

課題

切替バルブバイパス流路を用いず、温度状況に応じた排熱回収を実施でき、小型化や部品点数の削減に寄与できる排熱回収装置を提供する。

解決手段

冷却媒体流路(20)を画成する内筒部(2)と、前記内筒部の周囲に排ガス流路(30)を画成する外筒部(3)と、前記内筒部の外周面と前記外筒部の内周面との間に配設された熱伝達部材(4)と、を備えた排熱回収装置(1)において、前記熱伝達部材(4)は、前記冷却媒体の温度が相対的に低い第1の温度域にあるとき、前記内筒部の外周面に第1の面積にて当接する内端(41)を有し、かつ、前記冷却媒体の温度が前記第1の温度域より高い第2の温度域にあるとき、前記内端が前記内筒部の外周面に前記第1の面積よりも小さい第2の面積にて接する(41a,41b)かまたは前記内筒部の外周面から離間される(41c)ように熱変形可能である。

概要

背景

従来、内燃エンジン排気ガスエンジン冷却水との間で熱交換を行い、排気ガスの熱をエンジン冷却水に回収するための種々の排熱回収装置が提案されている。このような排熱回収装置では、冷間始動時に暖機運転を早期に完了するために冷却水への熱回収を実施する一方、暖機運転が完了し冷却水の温度が上昇すると、もはや熱回収する必要はなくなり、むしろ熱回収しないことが求められる。

そこで、この二つの異なる機能を実現するために、特許文献1,2では、切替バルブにより排気ガスの流路を切替え、熱回収時には排気ガスを熱交換部側の流路に導き、熱遮断時には排気ガスをバイパス流路に導くようにしている。

しかし、これらのバイパス流路や切替えバルブは大型であり、軽自動車小型車では物理的に搭載スペースを確保できない場合がある。軽自動車や小型車に一般的なフロントエンジン車では、排気管が車体前部からフロア下面を通って車両後方へと導かれているため、排熱回収装置はダッシュパネル前側ないしフロアパネル下側に搭載されることになるが、これらの箇所は、路面との干渉を避けるために地上からの高さを一定以上に確保する必要があるうえ、周辺部品パネルとの間に隙間を設ける必要もある。さらに、切替えバルブの導入に伴うコスト増加や、サーモアクチュエーターなどの部品点数増加の問題もある。

一方、特許文献3には、隣接して配置された排気管と熱交換器との間に、低温時には排気管に当接して排気管から熱交換器へ熱伝達し、高温時には排気管から離反して熱伝達を遮断するバイメタルを備えた排熱回収装置が開示されており、この構成によれば、バイパス流路や切替えバルブ、アクチュエータ等は不要である。

しかし、この構成では、排気管の温度によって熱回収がオンオフされるので、排気管が所定温度以上になった場合は、冷却水の温度が下がっても熱回収できない問題がある。また、排気管と熱交換器との間に断熱層が必要であり、小型化に限界がある。

概要

切替えバルブやバイパス流路を用いず、温度状況に応じた排熱回収を実施でき、小型化や部品点数の削減に寄与できる排熱回収装置を提供する。冷却媒体の流路(20)を画成する内筒部(2)と、前記内筒部の周囲に排ガス流路(30)を画成する外筒部(3)と、前記内筒部の外周面と前記外筒部の内周面との間に配設された熱伝達部材(4)と、を備えた排熱回収装置(1)において、前記熱伝達部材(4)は、前記冷却媒体の温度が相対的に低い第1の温度域にあるとき、前記内筒部の外周面に第1の面積にて当接する内端(41)を有し、かつ、前記冷却媒体の温度が前記第1の温度域より高い第2の温度域にあるとき、前記内端が前記内筒部の外周面に前記第1の面積よりも小さい第2の面積にて接する(41a,41b)かまたは前記内筒部の外周面から離間される(41c)ように熱変形可能である。

目的

本発明は従来技術の上記の点に鑑みてなされたものであり、その目的は、切替えバルブやバイパス流路を用いず、温度状況に応じた排熱回収を実施でき、小型化や部品点数の削減に寄与できる排熱回収装置を提供することにある。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

冷却媒体流路画成する内筒部と、前記内筒部の周囲に排ガス流路を画成する外筒部と、前記内筒部の外周面と前記外筒部の内周面との間に配設された熱伝達部材と、を備えた排熱回収装置において、前記熱伝達部材は、前記冷却媒体の温度が相対的に低い第1の温度域にあるとき、前記内筒部の外周面に第1の面積にて当接する内端を有し、かつ、前記冷却媒体の温度が前記第1の温度域より高い第2の温度域にあるとき、前記内端が前記内筒部の外周面に前記第1の面積よりも小さい第2の面積にて接するかまたは前記内筒部の外周面から離間されるように熱変形可能であることを特徴とする排熱回収装置。

請求項2

前記熱伝達部材は、前記外筒部の内周面側に配置される外端と、前記外端と前記内端との間に延在する中間部とを含み、前記外筒部の内周面と前記内筒部の外周面との間に拘持されていることを特徴とする請求項1に記載の排熱回収装置。

請求項3

前記外端と前記内端とが周方向に交互に複数配置され、かつ、前記各外端とその両側の中間部とで、隣接する各2つの内端から放射状に延出した断面U字状のフィン部が形成され、前記内筒部の外周面と前記フィン部で囲まれた空間が画成されていることを特徴とする請求項2に記載の排熱回収装置。

請求項4

前記熱伝達部材は、前記空間の前記第2の温度域における断面積が、前記第1の温度域における断面積よりも小さくなるように変形可能であることを特徴とする請求項3に記載の排熱回収装置。

請求項5

前記熱伝達部材は、前記各外端と前記各内端とが前記各中間部を介して連続した一部材で形成され、かつ、前記内筒部の周りに周設されており、周方向の端部の接続部では、少なくとも1つの中間部が相互に重合係合していることを特徴とする請求項4に記載の排熱回収装置。

請求項6

前記熱伝達部材は、流路方向区分された複数段のフィン部を含み、各段のフィン部は、その流路方向に隣接するフィン部と周方向にずれて配置されていることを特徴とする請求項4に記載の排熱回収装置。

請求項7

前記熱伝達部材の前記内端と前記内筒部の外周面との間に、前記熱伝達部材よりも熱伝導率の高い熱伝導部材が挟入されていることを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載の排熱回収装置。

請求項8

前記熱伝達部材は、前記第1の温度域と前記第2の温度域とで形状が変化するバイメタル形状記憶合金、または、前記内筒部より線膨張係数の大きい材料からなることを特徴とする請求項1〜7の何れか一項に記載の排熱回収装置。

請求項9

前記冷却媒体の流路に内燃エンジン冷却水流通され、前記排ガス流路に前記内燃エンジンの排気ガスが流通されるように配管されていることを特徴とする請求項1〜8の何れか一項に記載の排熱回収装置。

技術分野

0001

本発明は、排熱回収装置に関し、さらに詳しくは、内燃機関排気ガス熱回収温度状況に応じて実施可能な排熱回収装置に関する。

背景技術

0002

従来、内燃エンジンの排気ガスとエンジン冷却水との間で熱交換を行い、排気ガスの熱をエンジン冷却水に回収するための種々の排熱回収装置が提案されている。このような排熱回収装置では、冷間始動時に暖機運転を早期に完了するために冷却水への熱回収を実施する一方、暖機運転が完了し冷却水の温度が上昇すると、もはや熱回収する必要はなくなり、むしろ熱回収しないことが求められる。

0003

そこで、この二つの異なる機能を実現するために、特許文献1,2では、切替バルブにより排気ガスの流路を切替え、熱回収時には排気ガスを熱交換部側の流路に導き、熱遮断時には排気ガスをバイパス流路に導くようにしている。

0004

しかし、これらのバイパス流路や切替えバルブは大型であり、軽自動車小型車では物理的に搭載スペースを確保できない場合がある。軽自動車や小型車に一般的なフロントエンジン車では、排気管が車体前部からフロア下面を通って車両後方へと導かれているため、排熱回収装置はダッシュパネル前側ないしフロアパネル下側に搭載されることになるが、これらの箇所は、路面との干渉を避けるために地上からの高さを一定以上に確保する必要があるうえ、周辺部品パネルとの間に隙間を設ける必要もある。さらに、切替えバルブの導入に伴うコスト増加や、サーモアクチュエーターなどの部品点数増加の問題もある。

0005

一方、特許文献3には、隣接して配置された排気管と熱交換器との間に、低温時には排気管に当接して排気管から熱交換器へ熱伝達し、高温時には排気管から離反して熱伝達を遮断するバイメタルを備えた排熱回収装置が開示されており、この構成によれば、バイパス流路や切替えバルブ、アクチュエータ等は不要である。

0006

しかし、この構成では、排気管の温度によって熱回収がオンオフされるので、排気管が所定温度以上になった場合は、冷却水の温度が下がっても熱回収できない問題がある。また、排気管と熱交換器との間に断熱層が必要であり、小型化に限界がある。

先行技術

0007

特開2010—31671号公報
特開2011−231714号公報
実公昭63−45021号公報

発明が解決しようとする課題

0008

本発明は従来技術の上記の点に鑑みてなされたものであり、その目的は、切替えバルブやバイパス流路を用いず、温度状況に応じた排熱回収を実施でき、小型化や部品点数の削減に寄与できる排熱回収装置を提供することにある。

課題を解決するための手段

0009

上記課題を解決するために、本発明に係る排熱回収装置(1)は、
冷却媒体の流路(20)を画成する内筒部(2)と、前記内筒部の周囲に排ガス流路(30)を画成する外筒部(3)と、前記内筒部の外周面と前記外筒部の内周面との間に配設された熱伝達部材(4)と、を備え、
前記熱伝達部材(4)は、前記冷却媒体の温度が相対的に低い第1の温度域にあるとき、前記内筒部の外周面に第1の面積にて当接する内端(41)を有し、かつ、前記冷却媒体の温度が前記第1の温度域より高い第2の温度域にあるとき、前記内端が前記内筒部の外周面に前記第1の面積よりも小さい第2の面積にて接する(41a,41b)かまたは前記内筒部の外周面から離間される(41c)ように熱変形可能である。

0010

上記構成によれば、冷却媒体の温度が低温域(第1の温度域)にある場合には、熱伝達部材の内端が内筒部外周面に第1の面積にて当接しており、排ガスと冷却媒体との間の熱交換により、排ガスの熱が冷却媒体に回収され、冷却媒体が昇温される。その後、冷却媒体の温度が所定温度(第2の温度域)に達すると、熱伝達部材が熱変形することにより、内端の接触面積が第2の面積に減少し、熱伝達部材の内端と内筒部外周面との間の接触熱抵抗が増大し、冷却媒体への熱回収が抑制され、それにより熱伝達部材の昇温とそれに伴う熱変形が加速され、冷却媒体への熱回収が遮断される。

0011

冷却媒体の温度が低温域(第1の温度域)まで低下すると、内端の減少した接触面が増加するとともに熱回収が再開され、それに伴い熱伝達部材の温度が降下して熱変形が緩和され、内端の接触面が増加してさらに熱回収が促進される。再度冷却媒体の温度が所定温度に達すると、熱伝達部材の熱変形により内端の接触面積が減少し、冷却媒体への熱回収が抑制され遮断される。このような作用により、冷却媒体の温度に応じて排熱回収および熱遮断を実施できる。しかも、切替えバルブやバイパス流路は不要であるため、排熱回収装置を少ない部品点数で小型に構成できる利点がある。

0012

本発明の好適な態様では、前記熱伝達部材(4)は、前記外筒部の内周面側に配置される外端(42)と、前記外端と前記内端との間に延在する中間部(43)とを含み、前記外筒部の内周面(3a)と前記内筒部の外周面(2a)との間に拘持されているので、溶接等による固定と異なり、内筒部外周面や外筒部内周面との接触面内で内端や外端が微小移動でき、熱伝達部材の熱変形が起こりやすくなり、大きな変形量による確実な切替え動作を行える利点がある。

0013

本発明の好適な態様では、前記外端(42)と前記内端(41)とが周方向に交互に複数配置され、かつ、前記各外端(42)とその両側の中間部(43)とで、隣接する各2つの内端(41)から放射状に延出した断面U字状のフィン部(4F)が形成され、前記内筒部の外周面(2a)と前記フィン部(4F)で囲まれた空間(40)が画成されているので、排ガスの流路空間および熱伝達部材の熱交換面積を確保し、熱伝達部材を介した排ガスと冷却媒体との熱交換を効率良く行うのに有利である。

0014

本発明の好適な態様では、前記熱伝達部材(4)は、前記空間(40)の前記第2の温度域における断面積が、前記第1の温度域における断面積よりも小さくなるように変形可能であるので、熱伝達部材に対して外筒部側の空間が拡大し、内筒部側の空間が縮小することにより、内筒部側の空間が断熱空間化され、熱遮断効果が良好になる利点がある。また、別途、断熱空間を必要としないため、装置を小型化するうえでも有利である。

0015

本発明の好適な態様では、前記熱伝達部材(4)は、前記各外端(42)と前記各内端(41)とが前記各中間部(43)を介して連続した一部材で形成され、かつ、前記内筒部(2)の周りに周設されており、周方向の端部の接続部では、少なくとも1つの中間部(43)が相互に重合して係合しており、すなわち、熱伝達部材が周方向に連続しかつ閉断面を構成しているので、熱変形が周方向の移動に消尽されることがなく、内端の接触面積を減少させる変形に充当され、確実な切替え動作を行えるとともに、溶接等による固定なしで確実な取付けが行える。

0016

本発明の好適な態様では、前記熱伝達部材(4)は、流路方向区分された複数段のフィン部(4Fn)を含み、各段のフィン部(4F1,4F2,4F3,・・・4Fn)は、その流路方向に隣接するフィン部と周方向にずれて配置されているので、フィン部を通過する排気ガスが乱流となり、熱伝達部材を介した排ガスと冷却媒体との熱交換を効率良く行える。

0017

本発明の好適な態様では、前記熱伝達部材(4)の前記内端(41)と前記内筒部の外周面(2a)との間に、前記熱伝達部材よりも熱伝導率の高い熱伝導部材(5)が挟入されているので、熱伝達部材の内端と内筒部との間の接触熱抵抗を低減でき、冷却媒体が低温域(第1の温度域)にある状態での熱回収性能を向上できる。

0018

本発明の好適な態様では、前記熱伝達部材(4)は、前記第1の温度域と前記第2の温度域とで形状が変化するバイメタル、形状記憶合金、または、前記内筒部より線膨張係数の大きい材料からなるので、熱伝達部材を温度に応じて意図した形状に確実に変形させることができ、熱遮断性能を向上できる。

0019

本発明に係る排熱回収装置は、既に述べたように、小型であり、切替えバルブやバイパス流路を必要としないため、内燃エンジン車両における排気ガスの熱を回収し、冷間始動時における暖機時間を短縮させるための排熱回収装置として利用するのに適している。

0020

すなわち、本発明の好適な態様では、前記冷却媒体の流路に内燃エンジンの冷却水が流通され、前記排ガス流路に前記内燃エンジンの排気ガスが流通されるように配管されている構成により、内燃エンジンの冷間始動時に、冷却水の温度が低温域(第1の温度域)にある場合、排気ガスの熱が冷却水に回収され、冷却水が加熱されることで暖機時間が短縮される。

0021

その後、冷却水の温度が所定温度(第2の温度域)に達し、内燃エンジンの暖機時間が完了すると、熱伝達部材が熱変形して内端と内筒部外周面との接触面積が減少し、熱伝達部材から内筒部に流通する冷却水への熱回収が減少し、さらには熱伝達が遮断され、冷却水は専ら内燃エンジンの冷却のために循環される。さらに、車両のエンジンが停止され、冷却水の温度が低温域(第1の温度域)に戻ると、熱伝達部材の変形が回復し、熱伝達部材内端と内筒部外周面の接触状態復帰する。

発明の効果

0022

本発明に係る排熱回収装置は、上述の通り、切替えバルブやバイパス流路を用いず、温度状況に応じた排熱回収を実施でき、小型化や部品点数の削減に寄与できる。特に、本発明に係る排熱回収装置を、内燃エンジン車両における排熱回収装置として利用する場合、冷却媒体の流路となる内筒部が外筒部で囲まれ、内筒部外周面と外筒部内周面の間に熱伝達部材が配設された二重筒構造であるため、小型で機構部品が不要であるという利点がある。

図面の簡単な説明

0023

本発明実施形態に係る排熱回収装置の基本構造を示す縦断面図である。
本発明第1実施形態に係る排熱回収装置の熱回収状態を示す図1のA−A断面図である。
本発明第1実施形態に係る排熱回収装置の熱遮断状態を示す図1のA−A断面図である。
本発明第1実施形態に係る熱伝導部材の変形を示す図2および図3の要部拡大図である。
本発明における排ガス流量回収熱量の関係を示すグラフである。
本発明第1実施形態に係る熱伝達部材を示す斜視図である。
本発明第2実施形態に係る排熱回収装置の熱遮断状態を示す図1のA−A断面図である。
本発明第3実施形態に係る排熱回収装置の熱回収状態を示す図1のA−A断面図である。

実施例

0024

以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
(第1実施形態)
図1図4は、本発明に係る排熱回収装置1を内燃エンジン車両の排気管6に設置した実施形態を示している。図1において、排熱回収装置1は、内燃エンジンの冷却水Wの配管21,22に接続され、内部に冷却水Wの流路20を画成する内筒部2と、その周囲に排ガス流路30を画成する外筒部3と、内筒部2の外周面2aと外筒部3の内周面3aとの間に配設された熱伝達部材4とを備えている。

0025

図2に示すように、内筒部2および外筒部3は、径が異なる円筒状をなし、内筒部2は外筒部3の内部に同軸配置されており、排熱回収装置1は二重円筒構造をなしている。内筒部2は、配管21,22の接続部21a,22aにて外筒部3の内部に支持され、外筒部3に対する内筒部2の位置が固定されている。

0026

熱伝達部材4は、内筒部2の外周面側に位置する内端41、外筒部3の内周面側に位置する外端42、および、それらの間に径方向に延在する中間部43を含み、外筒部3の内周面3aと内筒部2の外周面2aとの間に拘持されている。内端41と外端42は周方向に交互に配置されており、各外端42とその両側の中間部43とで、隣接する2つの内端41から放射状に延出した断面U字状のフィン部4Fが形成され、内筒部2の外周面2aとフィン部4Fで囲まれた空間40が画成されている。

0027

熱伝達部材4の製造に際しては、後述の熱変形可能な金属板を型ローラコルゲート加工するかまたは金型プレス加工することにより、断面U字状のフィン部4Fが多数並設された波型断面を有する平板状の中間部品を作成し、この中間部品を内筒部2の外周面2aに巻き付け図2に示す例では、内筒部2の周囲に放射状に延出した8つのフィン部4Fを有する熱伝達部材4を構成する。

0028

この際、上記中間部品の両端の接続部では、少なくとも1つの中間部43が相互に重合するようにして係合させることにより、熱伝達部材4を溶接等による固定なしで内筒部2に取付けることができ、かつ、周方向に引張力および圧縮力を伝達可能となる。

0029

次に、内筒部2を拡径して、内筒部2と外筒部3との間に熱伝達部材4が拘持されるようにする。その後、内筒部2に熱伝達部材4が巻き付けた状態に取付けられた組立体は、外筒部3に挿入可能な外径を有しており、組立体として外筒部3に挿入される。

0030

熱伝達部材4の材料となる熱変形可能な金属板としては、(1)バイメタル、(2)形状記憶合金、(3)線膨張係数の大きい金属材料を用いることができ、熱変形に関するそれぞれの特性から、形状変化利用形態が多少異なる。

0031

バイメタルは、熱膨張率が異なる2枚の金属板を冷間圧延などで貼り合せた複合材料であり、特に限定されるものではないが、高熱膨張率材料としてはニッケルマンガンクロムなどと鉄の合金、銅とニッケルの合金、低膨張率材料としては鉄を含む合金(例えばインバー)などが好適であり、バイメタルの場合、温度に比例した低膨張率側への湾曲変形、すなわち「反り」がもたらされる。

0032

形状記憶合金は、変形を受けても形状回復温度変態温度)以上では元形状に復元する合金材料であり、チタンニッケル系合金鉄系形状記憶合金などが使用できる。形状記憶合金の場合、バイメタルのような連続的かつ比例的な変形ではなく、所定の温度で変形(元形状への復元)が起こる。

0033

線膨張係数の大きい金属材料は、例えば、基準となる内筒部2の材料よりも線膨張係数の大きい金属材料で熱伝達部材4を構成することにより、所定温度に達した時点での内筒部2と熱伝達部材4との熱膨張差を利用するものであり、例えば、内筒部2に線膨張係数の小さいスチールステンレス、チタン及びそれらの合金を用い、熱伝達部材4に線膨張係数の大きいアルミニウムや銅、マグネシウム若しくはそれらの合金を用いることができる。

0034

以上のように構成された排熱回収装置1は、内燃エンジンの冷間始動時における暖機時間を短縮させるために利用される。以下、熱伝達部材4がバイメタルからなる場合の排熱回収装置1の動作および機能について、図1図3を参照しながら説明する。なお、熱伝達部材4の外筒部3側の面が低熱膨張率、内筒部2側の面が高熱膨張率となるようにバイメタルの面が選定されている。

0035

冷間始動時、冷却水Wの温度が低温域にある場合、熱伝達部材4は、図2に示されるような組み立て時の基本形状をなしている。この状態で内燃エンジンが始動され、図1に示すように、外筒部3の導入部31から排気ガスGが導入されると、高温の排気ガスGが、内筒部2の周囲の排ガス流路30を流れる過程で熱伝達部材4と接触し、熱伝達部材4を介して内筒部2内の冷却水Wと排気ガスGとの熱交換がなされ、温度降下した排気ガスG′が送出部32から排気管6に送出される。

0036

一方、冷却水Wは、外筒部3の送出部32側の配管21を通じて内筒部2内に流入し、排気ガスGの流れと逆方向に内筒部2内を流れる過程で、熱伝達部材4を介した排気ガスGとの熱交換により加熱され、配管22を通じて外筒部3の外部に導かれ、昇温した冷却水W′として内燃エンジン側に還流され、それにより内燃エンジンの暖機が促進される。したがって、内燃エンジンの始動後、冷却水Wが低温域にある暖機中は、内筒部2の内部で、図1中右側の低温側から左側の高温側に向う温度勾配を生じている。

0037

暖機中の内燃エンジンに循環される冷却水Wの昇温に伴い、排気ガスGに接触している熱伝達部材4も昇温し、熱伝達部材4が図3に符号4′で示されるように変形し、内筒部2の外周面2aと内端41′との接触面積が減少し、熱伝達部材4の内端41′と内筒部2との間の接触熱抵抗が増大し、冷却水Wへの熱回収が抑制され、それにより熱伝達部材4′の昇温とそれに伴う熱変形が加速される。

0038

冷却水Wの温度が予め設定されている暖機温度(例えば70℃)に達し、暖機運転が終了すると、熱伝達部材4′の内端41′が内筒部2の外周面2aから離反され、熱伝達部材4′と内筒部2が断熱され、熱伝達部材4′を介した冷却水Wへの熱回収が停止される。その後も高温の排気ガスGに接触することで熱伝達部材4′は昇温するが、冷却水Wの昇温は抑制され、冷却水Wは専ら内燃エンジンの冷却のために循環される。

0039

車両の運転が終了し、内燃エンジンが停止され、冷却水Wの温度が常温ないしは低温域に戻ると、熱伝達部材4の変形が、図2に符号4で示される元形状に回復し、熱伝達部材4の内端41と内筒部2の外周面2aは接触状態に復帰する。

0040

上述した熱伝達部材4の変形は、冷却水Wと内筒部2の温度上昇に比例して連続的に起こるが、概ね要部拡大図である図4に示されるような形態をとる。

0041

先ず、冷却水Wおよび内筒部2が常温ないしは低温域にあるとき、熱伝達部材4の内端41は図中実線で示されるように、内筒部2の外周面2aに全面的に当接しているが、冷却水Wおよび内筒部2とともに熱伝達部材4が加熱されるに従って、熱伝達部材4の中間部43が、図4中に符号43a〜43bで示されるように、内筒部2側の空間40に向けて膨出するように湾曲し、熱伝達部材4の内端41は、符号41a〜41bで示されるように、外筒部3側に反り、内端41と内筒部2の外周面2aの接触面積は減少する。

0042

冷却水Wおよび内筒部2がさらに加熱されて暖機温度(例えば70℃)以上の高温域に達すると、熱伝達部材4の中間部43は、図4中に符号43cで示されるようにさらに湾曲し、内端41は、図4中に符号41cで示されるように、内筒部2の外周面2aから離反され、内端41と内筒部2の外周面2aの接触面積はゼロになり、離反した内端41cと内筒部2との熱伝達が遮断される。

0043

上記実施形態に係る排熱回収装置1における排気ガス流量と回収熱量の関係を図5に示す。

0044

図示のように、本発明実施形態に係る排熱回収装置1は、排気ガスの低流量域において回収熱量が相対的に高いという特徴と、高流量域において回収熱量が大きく減るという特徴を有している。自動車走行パターンを考慮すると、概ね、排ガス流量と冷却水温度比例関係にあるので、これらの特徴は、本発明に係る排熱回収装置1が、低冷却水温時の熱回収性能、および、高冷却水温時の熱遮断性能の双方において、本質的に優れていることを示している。

0045

上記実施形態において、熱伝達部材4と内筒部2との間の空間40に排気ガスを導入しない形態と、排気ガスを導入し排気ガス流路30の一部として利用する形態がある。前者においては、空間40は断熱空間となり、内端41が離反した状態では、内筒部2の全周を取り囲む断熱空間となるので、暖機が完了した状態における、冷却水Wへの断熱効果が高い利点がある。

0046

一方、後者の排気ガスを導入し排気ガス流路30の一部として利用する形態では、熱伝導部材4と排気ガスGの接触面積が増大するので、冷間始動時における熱交換効率が向上する利点がある。この形態における熱伝達部材4としては、図6に示すような、オフセットフィンの形態とすることができる。

0047

すなわち、図6に示す熱伝達部材4は、8枚のフィン部4Fが、それぞれ流路方向に区分された複数段のフィン部4Fnを含み、各段のフィン部(4F1,4F2,4F3,・・・4Fn)が、それぞれの流路方向に隣接するフィン部と周方向にずれて配置されている。このような熱伝達部材4では、熱伝導部材4と排気ガスGの接触面積が増大することに加えて、フィン部4Fnを通過する排気ガスGが乱流化され、熱伝達部材4を介した排気ガスGと冷却水Wとの熱交換を効率良く行える利点がある。なお、この形態でも、周方向両端図6では上側中央)の接続部において、1つの中間部43が相互に重合するようにして係合させることで、熱伝達部材4を溶接等による固定なしで内筒部2に取付けることができ、かつ、周方向に引張力および圧縮力を伝達可能となる。

0048

(第2実施形態)
次に、図7は、本発明に係る第2実施形態の排熱回収装置201を示しており、さらに詳しくは、冷却水が高温域にある熱遮断状態を示している。この第2実施形態の排熱回収装置201は、熱伝達部材204に、内筒部2に比べて線膨張係数の大きい金属材料を用いており、それにより、図7に示した高温域での変形パターンは第1実施形態と異なるが、内端241、外端242、中間部243、およびそれらによって形成されるフィン部204Fの基本形状、および、中間部品の両端の接続部が相互に係合し周方向に引張力および圧縮力を伝達可能である点は、第1実施形態と同様である。

0049

この第2実施形態の排熱回収装置201では、常温ないしは低温域では、図2に示す第1実施形態と同様に内端241は内筒部2の外周面に当接する一方、外端242は、図示を省略するが、外筒部3の内周面から内側に離間している。

0050

このような排熱回収装置201は、所定の高温域に達すると、内筒部2との線膨張係数差により、熱伝達部材204が周方向に均等に拡径されることで、各外端242が外筒部3の内周面に圧接される一方、各内端241が内筒部2の外周面から離反され、熱伝達部材204と内筒部2が断熱され、熱伝達部材204を介した冷却水への熱回収が停止される。この形態では、低温域から高温域に移行する過程で、熱伝達部材204の支持が不安定になる虞があるので、熱変形を阻害しないように、流路方向の両側や周方向に数カ所の支持部や固定点を設けることが好ましい。

0051

(第3実施形態)
次に、図8は、本発明に係る第3実施形態の排熱回収装置301を示している。この第3実施形態の排熱回収装置301は、熱伝達部材4の内端41と内筒部2の外周面との間に、熱伝達部材4よりも熱伝導率の高い熱伝導部材5(熱伝導層)が挟入されている点のみが第1実施形態と異なり、それ以外の構成は第1実施形態と同様である。熱伝導部材5としては、例えば、カーボンシートや薄い銅板等を用いることができる。

0052

この第3実施形態の排熱回収装置301では、熱伝導部材5によって、熱伝達部材4の内端41と内筒部2との間の接触熱抵抗を低減でき、冷却水が常温ないしは低温域にある状態での熱回収性能を向上できる利点がある。

0053

以上、本発明の実施の形態について述べたが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいてさらに各種の変形および変更が可能である。

0054

例えば、上記実施形態では、本発明を、内燃エンジン車両の排熱回収装置に実施する場合について述べたが、本発明はこれに限定されるものではなく、暖機運転を行う車両以外の各種移動体の排熱回収装置に実施可能である。

0055

1,201,301排熱回収装置
2内筒部
2a外周面
3外筒部
3a内周面
4,4′,204熱伝達部材
4F,204Fフィン部
5熱伝導部材
6排気管
20流路
21,22配管
21a,22a 接続部
30排気ガス流路
40 空間
41,41′,241内端
42,42′,242外端
43,43′,243 中間部
G,G′排気ガス
W,W′ 冷却水

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

関連する公募課題

該当するデータがありません

ページトップへ

技術視点だけで見ていませんか?

この技術の活用可能性がある分野

分野別動向を把握したい方- 事業化視点で見る -

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

  • カルソニックカンセイ株式会社の「 排気ガス処理装置」が 公開されました。( 2021/04/01)

    【課題】複数の触媒を実装しつつ排気ガス成分を高精度に測定できる小型の排気ガス処理装置を提案する。【解決手段】排気ガス処理装置10では、空燃比センサ40は、TWC12の下流側端面12cとGPF14の上流... 詳細

  • いすゞ自動車株式会社の「 データ処理装置」が 公開されました。( 2021/04/01)

    【課題】センサのバラツキのある出力値が記憶部に記憶されることを抑制する。【解決手段】制御装置は、排気通路を流れる排気ガスを浄化する排気浄化システムに設けられた品質センサ45の出力値を第1周期毎に順次取... 詳細

  • いすゞ自動車株式会社の「 排ガス浄化装置」が 公開されました。( 2021/04/01)

    【課題】熱交換の効率を向上させる排ガス浄化装置を提供する。【解決手段】排ガス浄化装置は、NOx選択還元型触媒であるSCR(Selective Catalytic Reduction)5、6、およびAS... 詳細

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

関連する挑戦したい社会課題一覧

この 技術と関連する公募課題

該当するデータがありません

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ