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技術 ウィリー判定装置、乗物、および車輪浮上り量判定方法

出願人 川崎重工業株式会社
発明者 廣上達也寺井昭平東誠治植田健吾
出願日 2015年10月7日 (5年1ヶ月経過) 出願番号 2015-199419
公開日 2017年4月13日 (3年7ヶ月経過) 公開番号 2017-071300
状態 特許登録済
技術分野 車両用機関または特定用途機関の制御 駆動装置の関連制御、車両の運動制御 内燃機関の複合的制御 自転車用入れ物、その他の付属品
主要キーワード 傾斜条件 傾斜閾値 量判定装置 対地加速度 出力抑制量 ジャックナイフ 浮上り 重心付近
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図面 (6)

課題

車輪の路面からの浮上りを精度よく判定する。

解決手段

ウィリー判定装置10が、路面に対する車体速度前輪周速度とを比較し、乗物ウィリー前状態であるか否かを判定するウィリー前状態判定部11と、前記ウィリー前状態と判定された時点からの、前記前輪が前記路面から離れていく回転方向における前記車体の角度変化量を、前記路面に対する前記前輪の浮上り量であるウィリー量として算出するウィリー量判定部12と、を備える。

概要

背景

特許文献1に開示されるエンジン出力制御装置は、ジャイロセンサ検出値に基づき車体ピッチ角を算出する。エンジン出力制御装置は、車体ピッチ角が所定値以上であると、ウィリー状態であると判定する。

概要

車輪の路面からの浮上りを精度よく判定する。ウィリー判定装置10が、路面に対する車体速度前輪周速度とを比較し、乗物ウィリー前状態であるか否かを判定するウィリー前状態判定部11と、前記ウィリー前状態と判定された時点からの、前記前輪が前記路面から離れていく回転方向における前記車体の角度変化量を、前記路面に対する前記前輪の浮上り量であるウィリー量として算出するウィリー量判定部12と、を備える。

目的

本発明は、車輪の路面からの浮上りを精度よく判定することを目的とする

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
0件

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請求項1

路面に対する車体速度前輪周速度とを比較して、乗物ウィリー前状態であるか否かを判定するウィリー前状態判定部と、前記ウィリー前状態と判定された時点からの、前記前輪が前記路面から離れていく回転方向における前記車体の角度変化量を、前記路面に対する前記前輪の浮上り量であるウィリー量として算出するウィリー量判定部と、を備える、ウィリー判定装置。

請求項2

前記ウィリー前状態判定部は、後輪の周速度に基づいて前記路面に対する前記車体速度を推定する、請求項1に記載のウィリー判定装置。

請求項3

前記ウィリー前状態判定部は、前記路面に対する車体加速度に基づいて前記ウィリー前状態を判定する、請求項1または2に記載のウィリー判定装置。

請求項4

前記後輪が前記駆動源からの動力で駆動され、前記ウィリー前状態判定部は、前記駆動源の出力に基づいて前記ウィリー前状態を判定する、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のウィリー判定装置。

請求項5

前記ウィリー前状態判定部は、前記路面に対する前記車体速度と前記前輪の周速度との差を、前記車体速度ごとに設定される閾値と比較することで、前記ウィリー前状態を判定する、請求項1乃至4のいずれか1項に記載のウィリー判定装置。

請求項6

前記ウィリー前状態判定部は、前記前輪の回転加速度に基づいて前記ウィリー前状態を判定する、請求項1乃至5のいずれか1項に記載のウィリー判定装置。

請求項7

前記ウィリー量判定部は、前記ウィリー量に基づいてウィリー状態になったか否かを判断し、前記ウィリー量判定部は、前記前輪の回転速度および前記ウィリー量に基づいて、前記ウィリー状態が解除されたか否かを判断する、請求項1乃至6のいずれか1項に記載のウィリー判定装置。

請求項8

請求項1乃至7のいずれか1項に記載のウィリー判定装置と、走行のための動力を発生する駆動源と、前記ウィリー量が所定値以上になると、前記駆動源で発生される出力を抑制するウィリー抑制制御を実行する出力抑制部と、を備える、乗物。

請求項9

前記出力抑制部は、前記路面に対する前記車体速度と前記前輪の周速度とに基づいて、前記路面に対する前記前輪のすべりを抑制するために前記駆動源で発生される前記動力を抑制するスリップ抑制制御を実行し、前記スリップ抑制制御の実行中に前記ウィリー抑制制御を実行する条件を充たすと、前記スリップ抑制制御を終了して前記ウィリー抑制制御を実行する、請求項8に記載の乗物。

請求項10

乗物に備わる前輪および後輪のうち一方の車輪の路面からの浮上り量を判定する車輪浮上り量判定方法であって、前記路面に対する車体速度と前記一方の車輪の周速度とを比較して、前記一方の車輪の浮上り前状態を判定する浮上り前状態判定工程と、前記浮上り前状態と判定された時点からの、前記一方の車輪が前記路面から離れる回転方向における前記車体の角度の変化量を、前記路面に対する前記一方の車輪の浮上り量である車輪浮上り量として算出する浮上り量判定工程と、を備える、車輪浮上り量判定方法。

技術分野

0001

本発明は、ウィリー判定装置、ウィリー判定装置を備えた乗物、乗物の車輪浮上り量を判定する方法に関する。

背景技術

0002

特許文献1に開示されるエンジン出力制御装置は、ジャイロセンサ検出値に基づき車体ピッチ角を算出する。エンジン出力制御装置は、車体ピッチ角が所定値以上であると、ウィリー状態であると判定する。

先行技術

0003

特開2010−229912号公報

発明が解決しようとする課題

0004

路面勾配の変化のように、前輪が路面から浮き上がる以外の要因でも、車体は水平に対してピッチ方向傾くことがある。ジャイロセンサは、このような前輪の浮上り以外の要因で生じた車体の傾きを、車体の水平に対する傾斜角として検出してしまう。このため、上記エンジン制御装置は、前輪が路面から離れていないのに、ウィリー状態であると誤判定するおそれがある。

0005

本発明は、車輪の路面からの浮上りを精度よく判定することを目的とする。

課題を解決するための手段

0006

本発明の一形態に係るウィリー判定装置は、路面に対する車体速度と前輪の周速度とを比較して、乗物がウィリー前状態であるか否かを判定するウィリー前状態判定部と、前記ウィリー前状態と判定された時点からの、前記前輪が前記路面から離れていく回転方向における前記車体の角度変化量を、前記路面に対する前記前輪の浮上り量であるウィリー量として算出するウィリー量判定部と、を備える。

0007

前記構成によれば、ウィリー前状態と判定された時点からの車体の角度変化量が、前輪の路面からの浮上り量(ウィリー量)として算出される。ウィリー前状態と判定される前に生じていた車体の傾斜の影響を除外して、前輪が路面からどの程度浮き上がっているのかを精度よく推定できる。

0008

前記ウィリー前状態判定部は、後輪の周速度に基づいて前記路面に対する前記車体速度を推定してもよい。

0009

前記構成によれば、ウィリー前状態を判定するに際し、簡便に車体速度を推定できる。後輪の周速度は、後輪の回転に連動して回転する回転部材の回転速度からも容易に取得可能である。

0010

前記ウィリー前状態判定部は、前記路面に対する車体加速度に基づいて前記ウィリー前状態を判定してもよい。

0011

前記構成によれば、前輪周速度と車体速度との差に加え、車体加速度に基づきウィリー前状態を判定する。このため、車体加速度に照らせばウィリーが開始する可能性が低くても前輪周速度と車体速度との差は大きくなっていくような状況下において、ウィリー前状態判定部は、当該状況をウィリー前状態には該当しないものとして精度よく判定できる。

0012

前記後輪が前記駆動源からの動力で駆動され、前記ウィリー前状態判定部は、前記駆動源の出力に基づいて前記ウィリー前状態を判定してもよい。

0013

前記構成によれば、前輪周速度と車体速度との差に加え、駆動源の出力に基づきウィリー前状態を判定する。このため、駆動源の出力に照らせばウィリーが開始する可能性が低くても前輪周速度と車体速度との差は大きくなっていくような状況下において、ウィリー前状態判定部は、当該状況をウィリー前状態には該当しないものとして精度よく判定できる。

0014

前記ウィリー前状態判定部は、前記路面に対する前記車体速度と前記前輪の周速度との差を、前記車体速度ごとに設定される閾値と比較することで、前記ウィリー前状態を判定してもよい。

0015

前記構成によれば、車体速度に応じてウィリー前状態を精度よく判定できる。

0016

前記ウィリー前状態判定部は、前記前輪の回転加速度に基づいて前記ウィリー前状態を判定してもよい。

0017

前記構成によれば、前輪周速度と車体速度との差に加え、前輪の回転加速度に基づきウィリー前状態が判定される。このため、前輪の回転加速度に照らせばウィリーが開始する可能性は低くても前輪周速度と車体速度との差は大きくなっていくような状況下において、ウィリー前状態判定部は、当該状況をウィリー前状態には該当しないものとして精度よく判定できる。

0018

前記ウィリー量判定部は、前記ウィリー量判定部は、前記前輪の回転速度および前記ウィリー量に基づいて、前記ウィリー前状態が解除されたか否かを判定してもよい。

0019

前記構成によれば、前輪周速度と車体速度との差が、前輪が路面から離れているのに解消されたとしても、ウィリー状態が解除されたと誤判定するのを防ぐことができる。

0020

本発明の一形態に係る乗物は、上記ウィリー判定装置と、走行のための動力を発生する駆動源と、前記ウィリー量が所定値以上になると、前記駆動源で発生される出力を抑制するウィリー抑制制御を実行する出力抑制部と、を備える。

0021

前記構成によれば、精度よく判定されたウィリーの程度に応じて、動力を抑制でき、ウィリーが生じていないのに動力が不所望に抑制される、あるいはウィリーが生じているのに動力が抑制されずウィリーがなかなか解消されないといったような事態が発生しにくくなる。

0022

前記出力抑制部は、前記路面に対する前記車体速度と前記前輪の周速度とに基づいて、前記路面に対する前記前輪のすべりを抑制するために前記駆動源で発生される前記動力を抑制するスリップ抑制制御を実行し、前記スリップ抑制制御の実行中に前記ウィリー抑制制御を実行する条件を充たすと、前記スリップ抑制制御を終了して前記ウィリー抑制制御を実行してもよい。

0023

前記構成によれば、車体の浮上りが生じたと検出してからウィリー抑制を行うことができ、スリップの抑制とウィリーの抑制とを切分けできる。また、スリップ抑制制御とウィリー抑制制御とを異ならせることで、それぞれに適した制御を実行することができ、それぞれの抑制を好適に実現できる。

0024

本発明の一形態に係る車輪浮上がり量判定方法は、乗物に備わる前輪および後輪のうち一方の車輪の路面からの浮上り量を判定する車輪浮上り量判定方法であって、前記路面からの車体速度と前記一方の車輪の周速度とを比較することで、前記一方の車輪の浮上り前状態を判定する浮上り前状態判定工程と、前記浮上り前状態と判定された時点からの、前記一方の車輪が前記路面から離れる回転方向における前記車体の角度の変化量を、前記路面に対する前記一方の車輪の浮上り量である車輪浮上り量として算出する浮上り量判定工程と、を備える。

0025

前記構成によれば、前輪および後輪のうち一方の車輪の路面からの浮上り量を精度よく判定できる。

発明の効果

0026

本発明によれば、車輪の路面からの浮上りを精度よく判定できる。

図面の簡単な説明

0027

乗物の一例としての自動二輪車の左側面図である。
車輪浮上り量判定方法を示すフローチャートである。
ウィリー判定装置を備えた乗物の制御系を示すブロック図である。
ウィリー前状態判定部の構成および処理を示すブロック図である。
解除判定部の構成および処理を示すブロック図である。

実施例

0028

以下、図面を参照して実施形態について説明する。この説明における方向は、乗物の運転手から見た方向を基準とし、前後方向は車長方向と対応し、左右方向は車幅方向と対応する。

0029

[第1実施形態]
(乗物)
図1に示す乗物1は、前輪2および後輪3を有する。この乗物1では、後輪3が、駆動源4で発生される動力で駆動される。駆動源4は、エンジン電気モータまたはこれらの組合せである。駆動源4で発生された動力は、動力伝達機構5を介して後輪3に伝達される。乗物1は、ウィリー判定装置10(図3参照)を備え、また、走行中に車輪浮上り量判定方法を使用する。

0030

乗物1の一例として図示された自動二輪車では、前輪2および後輪3が1つであり、ホイールベースが小さく、車重に比して駆動源4で発生される出力が大きい。このため、前輪2が路面から離れるウィリーや、後輪3が路面から離れるジャックナイフを生じやすい。したがって、自動二輪車は、ウィリー判定装置10(図2参照)を備えた乗物1、あるいは車輪浮上り量判定方法を使用する乗物1の好適例である。

0031

「車輪浮上り量」は、前輪2および後輪3のうち一方が路面からどの程度浮き上がっているのか表す量をいう。その車輪が前輪2である場合、特に「ウィリー量」と呼び、後輪3である場合、特に「ジャックナイフ量」と呼ぶこととする。

0032

前輪2が路面から浮き上がっていく(ウィリー量が大きくなっていく)過程では、車体6が、後輪接地点を車幅方向に通過する仮想的な回転軸を中心に、左側面視で時計回り方向P1に角変位していく。後輪3が路面から浮き上がっていく(ジャックナイフ量が大きくなっていく)過程では、車体6が、前輪接地点を車幅方向に通過する仮想的な回転軸を中心に、左側面視で反時計回り方向P2に角変位していく。以下、車幅方向に延びる仮想的な回転軸を中心とした車体6の回転を「ピッチ」と呼び、当該回転軸を中心とした車体6の回転角を「ピッチ角」と呼ぶ。

0033

(車輪浮上り量判定方法)
図2に示す車輪浮上り量判定方法は、乗物1の走行中に実施される。車輪浮上り量判定方法は、浮上り前状態判定工程S11、および浮上り量判定工程S12を備える。

0034

浮上り前状態判定工程S11では、対地速度と一方の車輪2,3の周速度とが比較され、当該一方の車輪2,3が浮上り前状態になったか否かが判定される。浮上り前状態でなければ、浮上り前状態判定工程が繰り返される。なお、「車輪浮上り前状態」には、前輪2を対象とする「ウィリー前状態」と、後輪3を対象とする「ジャックナイフ前状態」とが含まれる。

0035

浮上り量判定工程S12は、浮上り量算出工程S13、および浮上り解除判定工程S14を含む。浮上り量算出工程S13では、浮上り前状態と判定された時点からの、当該一方の車輪2,3が路面から離れる回転方向(前輪2の場合、左側面視で時計回り方向P1)における車体6の角度の変化量を、路面に対する当該一方の車輪2,3の浮上り量である車輪浮上り量として算出する。なお、「対地速度」は、車体6の路面に対する移動速度[m/s]をいう。「周速度」は、回転している物体の任意の半径位置での速さをいい、2πRn[m/s]で表せる(Rは当該半径位置での半径[m]、nは当該物体の回転速度[1/s])。車輪2,3の周速度を求める際には、踏面を当該半径位置に設定してもよい。

0036

浮上り解除判定工程S14では、当該一方の車輪2,3の回転加速度、および算出された浮上り量に基づいて当該一方の車輪2,3の浮上りが解除されたか否かを判定する。解除されていない場合は、浮上り量判定工程S12を繰り返す。解除された場合は、浮上り前状態判定工程S11に戻る。このため、浮上り量の算出も終了する。

0037

図2に示す残余の処理S21〜24は後述する。まず、浮上り前状態判定工程S11および浮上り量判定工程S12の説明のため、「一方の車輪2,3」を前輪2に特化して車輪浮上り量判定方法を実施するウィリー判定装置10(図3参照)の構成および作用を説明する。

0038

(ウィリー判定装置)
図3に示すように、乗物1の制御系には、ウィリー判定装置10が備わる。ウィリー判定装置10は、前輪2に特化した車輪浮上り量判定方法の実施のため、ウィリー前状態判定部11およびウィリー量判定部12を備える。ウィリー前状態判定部11は、前輪2を対象に浮上り前状態判定工程S11を実施する。ウィリー量判定部12は、前輪2を対象に車輪浮上り量判定工程S12を実施する。ウィリー量判定部12は、ウィリー量算出部13およびウィリー解除判定部14を含む。ウィリー量算出部13は、前輪2を対象に車輪浮上り量算出工程S13を実施し、ウィリー解除判定部14は、前輪2を対象に浮上り解除判定工程S14を実施する。これら部分11〜14は乗物1に搭載されている電子制御ユニット(ECU)7にて実現される。ウィリー判定装置10はECU7を備える。ECU7は、車輪浮上り前状態(ウィリー前状態)を判断するための情報と車体6の回転角を示す情報とを入力し、その記憶部に記憶されるプログラムをその演算部にて実行し、ウィリー状態の有無およびウィリー量を出力する。

0039

<ウィリー前状態判定部>
ウィリー前状態判定部11は、乗物1がウィリー前状態であるか否か、あるいはウィリー前状態でない状態からウィリー前状態へと移行したか否かを判定する。「ウィリー前状態」は、ウィリーが開始した状態、ウィリーが開始する直前の状態、あるいはウィリーが近い将来に発生する蓋然性が高い状態をいう。

0040

ウィリー開始時の走行状況を説明すると、駆動源4の出力が大きく、駆動源4からの大きな動力が駆動輪たる後輪3に伝達されており、対地速度および対地加速度は大きい。前輪2が路面から離れると、前輪2は空気抵抗車軸との摩擦を受けつつ慣性で回転し、その回転速度および周速度は漸減する。このため、「ウィリー前状態」は、「前輪2の周速度が対地速度よりも小さくなる形で対地速度と前輪2の周速度との間に差が生じた状態」を含むと言える。

0041

そこで、図4に示すように、ウィリー前状態判定部11は、対地速度と前輪2の周速度とを比較し、乗物1がウィリー前状態であるか否かを判定する。すなわち、ウィリー前状態判定部11は、ウィリー前状態であるか否かを判定するためのパラメータの1つとして、対地速度と前輪2の周速度との差(差は、対地速度から周速度を減算した値とする)を用いる。

0042

ウィリー前状態判定部11は、対地速度と前輪2の周速度との差が第1開始閾値(正値)以上になったとの第1条件の成否を判定する。通常走行中、対地速度は前輪2の周速度と略等しい。第1開始閾値を通常走行中に生じる差の変動範囲外に設定すれば、通常走行中は第1条件が非成立となる。また、第1条件の成立時に乗物1がウィリー前状態にあると判定することで、その判定精度が高くなる。

0043

第1開始閾値は、対地速度に応じて設定されてもよく、例えば、対地速度が大きいほど第1開始閾値が小さく設定されてもよい。これにより、ノイズキャンセルの効果を得られ、ウィリー前状態の判定精度が高くなる。

0044

ただし、「ウィリー前状態」であることは、「前輪2の周速度が対地速度よりも小さくなる形で対地速度と前輪2の周速度との間に差が生じた状態」であるための十分条件と言えても、必要条件とは言いがたい。ウィリー以外の特異な走行状況(例えば、低μ路走行中)でも、車輪2,3がウィリー時と同様にして上記挙動を示し、第1条件を成立させる場合がある。

0045

そこでウィリー前状態判定部11は、第1条件の他に幾つか条件の成否を判定する。そして、第1条件と併せて当該他条件も同時に成立したときに、乗物1がウィリー前状態であると判定する。本実施形態では、(1)対地速度と前輪2の周速度との差だけでなく、(2)対地加速度、(3)前輪2の回転加速度、および(4)駆動源4の出力といった各種パラメータに基づいて、ウィリー前状態判定部11はウィリー前状態を判定する。なお、「対地加速度」は、車体6の路面に対する移動加速度[m/s2]をいう。

0046

上記パラメータ(1)および(3)に関連して、ウィリー判定装置10は、前輪2に取り付けられて前輪2の回転速度を検出する前輪回転数センサ31を備える。ウィリー前状態判定部11は、前輪回転数センサ31から検出値を入力し、入力した検出値から前輪2の周速度および前輪2の回転加速度を求める。

0047

パラメータ(1)および(2)に関連して、ウィリー前状態判定部11は、加速度センサの他にGPSセンサのような無線波を用いるセンサの検出値に基づいて対地速度および加速度を測定してもよい。ウィリー前状態判定部11は、後輪3の周速度に基づき対地速度および加速度を推定してもよい。換言すると、パラメータ(1)および(2)では、対地速度および加速度が後輪3の周速度および周加速度にそれぞれ置き換えられてもよい。

0048

その場合、ウィリー判定装置10は、後輪3の周速度を得るため、後輪3の回転速度を検出する後輪回転数センサ32を備える。ウィリー前状態判定部11は、後輪回転数センサ32から検出値を入力し、入力した検出値から後輪3の周速度を求める。周加速度は、周速度の現在値と過去値(例えば、1回前の値)とから平易に求めることができる。

0049

後輪回転数センサ32は、後輪3に取り付けられて後輪3の回転速度そのものを検出できるセンサでもよい。後輪回転数センサ32は、このようなセンサに限らず、後輪3の回転に連動して回転する回転部材(例えば、駆動源4の出力軸または動力伝達機構5を構成する回転軸)の回転速度を検出するセンサでもよい。ウィリー前状態判定部11は、当該回転部材の後輪3に対する速比を用いることで、当該回転部材の回転速度から後輪3の回転速度に平易に換算できる。後輪回転数センサ32を用いて対地速度または加速度を推定すると、無線波を用いたセンサの検出値に基づき対地速度または加速度を直接的に測定する場合と比べて、対地速度または加速度の数値を簡便に取得できる。

0050

パラメータ(4)は、駆動源4の出力そのものである必要はなく、出力に強い影響を与える他のパラメータで代用可能である。駆動源4の出力は、例えば、運転者加速操作器で加速要求を入力し(例えば、アクセルグリップ捻り操作またはアクセルペダル踏込み操作を行い)、呼応して駆動源4の出力を調整する出力調整機器8が電子的にまたは機械的に操作されることで、大きくなるよう変化する。なお、出力調整機器8は、駆動源4の形式によって異なる。駆動源4が火花点火式エンジンを備える場合、出力調整機器8は、スロットルバルブインジェクタおよび点火プラグを含む。駆動源4が交流モータを備える場合、出力調整機器8は、当該交流モータと電気的に接続されたインバータを含む。

0051

パラメータ(4)に関連して、ウィリー判定装置10は、加速操作器の操作位置を検出する加速操作位置センサ33aを備えていてもよい。駆動源4がエンジンを備える場合には、スロットルバルブの開度(すなわち、弁体回転位置)を検出するスロットルバルブ位置センサ33bを備えていてもよい。その他、吸気圧を検出する吸気圧センサ(図示せず)を備えていてもよい。ウィリー前状態判定部11は、センサ33aおよび/またはセンサ33bからの検出値を所定サンプリングレートで入力し、入力された検出値から、駆動源4の出力を推定する。

0052

ウィリー前状態判断部11は、対地加速度が第2開始閾値以上であるとの第2条件の成否を判定する。また、前輪2の回転加速度が第3開始閾値未満であるとの第3条件の成否を判定する。また、駆動源4の出力が第4開始閾値以上であるとの第4条件の成否を判定する。そして、第1〜第4条件全てが成立すると、乗物1がウィリー前状態であると判定する。

0053

このように、ウィリー前状態判定部11は、第1条件〜第4条件の全てが成立すると、乗物1がウィリー前状態であると判定する。これにより、乗物1がウィリー前状態であるか否か、あるいはウィリー前状態でない状態からウィリー前状態へと移行したか否かを精度よく判定できる。対地加速度、前輪2の回転加速度または駆動源4の出力に照らせばウィリーが近い将来発生する蓋然性が低いにも関わらず、対地速度と前輪2の周速度との差が大きくなっていくような状況下でも、ウィリー前状態判定部11は、当該状況をウィリー前状態には該当しないものとして精度よく判定できる。

0054

例えば、対地速度を後輪3の周速度から推定する場合、路面の摩擦抵抗が低いために後輪3の回転速度が前輪2の回転速度に対して過大になる状況下でも、第1条件が成立することがある。しかし、この状況下では車体6が加速しづらい。第2条件の成否を考慮すると、路面の摩擦抵抗が低いために後輪3の周速度と前輪2の周速度との差が広がっているのか、車体6が加速しながら後輪3の周速度と前輪2の周速度との差が広がっているのかを峻別でき、乗物1がウィリー前状態にあるか否かを精度よく判定できる。なお、この峻別の実現には、対地加速度は、後輪3の周速度以外の検出値を用いて推定または測定されることが好ましい。

0055

なお、パラメータ(1)は、スリップ率で代用してもよい。なお、スリップ率S[-]は、次式:S=(Vf−Vr)/Vfから求められる(Vfは前輪2の周速度[m/s]、Vrは後輪3の周速度[m/s])。対地速度は上記のとおり後輪3の周速度で置き換えてもよく、そのため、上式中の因数(Vf−Vr)は、「対地速度と前輪2の周速度との差」に相当することとなる。なお、Vfは前輪2の回転速度[1/s]に、Vrは後輪3の回転速度[1/s]に置き換えられてもよい。スリップ率は、前輪回転数センサ31および後輪回転数センサ32から所定サンプリングレートで入力される検出値を用いて、当該サンプリングレート毎に逐次求められる。更に、パラメータ(1)には、スリップ率に加えてその変化率が適用されてもよい。なお、スリップ率変化率ΔS[1/s]は、次式:ΔS(n)=(S(n)−S(n-1))/tから求められる(tは上記サンプリングレート、S(n)はスリップ率Sの現在値、S(n-1)はスリップ率Sの過去値であって、現在値S(n)の取得時点から1サンプリングレート分過去の時点で取得された値)。スリップ率変化率ΔSの算出式にも、「対地速度と前輪2の周速度との差」が因数として含まれることになる。

0056

スリップ率およびスリップ率変化率は、乗物1に従前一般的に備わる前輪回転速度センサおよび後輪回転数センサを用いて測定される。この測定に特殊なまたは新規のセンサは不要であり、システム構成が複雑化するのを防ぐことができる。

0057

パラメータ(1)にスリップ率およびスリップ率変化率が適用される場合、スリップ率前状態判定部11は、スリップ率が所定値以上であるとの条件と、スリップ率変化率が所定値以上であるとの条件との成否を判定し、2つの条件が両方とも成立したときに上記第1条件が成立したと判定する。

0058

<ウィリー量算出部>
図3戻り、ウィリー前状態判定部11によって乗物1がウィリー前状態にあると判定されると、ウィリー量判定部12のウィリー量算出部13が、その時点(以下、「前状態判定時点」と呼ぶ)からの、前輪2が路面から離れる回転方向(左側面視で時計回り方向P1)における車体6の角度の変化量を、ウィリー量として算出する。ウィリー量判定部12は、前状態判定時点でウィリー量を所定の基準値に設定する。算出されるウィリー量は、ウィリー量の基準値に角度の変化量を加算した値となる。基準値は例えばゼロであり、その場合、角度の変化量そのものがウィリー量となる。

0059

前状態判定時点からの角度の変化量の導出法、および変化量を求めるための具体的な構成は、どのようなものでもよい。例えば、ウィリー判定装置10は、ピッチ角速度を検出するピッチレートセンサ34を備えていてもよい。ピッチレートセンサ34は、レートジャイロセンサであり、例えば、乗物1の重心付近に搭載される。ウィリー量算出部13は、ピッチレートセンサ34から検出値を所定サンプリングレートで入力し、入力された検出値を積算する。この積算は、上記基準値(例えば、ゼロ)を初期値として前状態判定時点に開始する。

0060

角度の変化量を求めるため、レートジャイロ以外の慣性センサを用いてもよい。ウィリー判定装置10は、ピッチレートセンサ34に代えて、ピッチ角を検出するセンサ(積分ジャイロ)、またはピッチ角加速度を検出するセンサ(角加速度計)を備えてもよい。角加速度計の場合、上記基準値(例えば、ゼロ)を初期値として、所定サンプリングレートで入力される検出値を時間で二階積分することで、角度の変化量を求めることができる。積分ジャイロの場合、前状態判定時点での検出値を初期値とし、所定サンプリングレートで入力される検出値とこの初期値との差分をとれば、当該検出値が取得された時点での角度の変化量を求めることができる。

0061

また、ウィリー判定装置10が、リヤサスペンションストロークを検出するセンサを備え、前状態判定時点からのセンサの検出値の変化量をウィリー量としてもよい。前輪2が浮き上がるとストロークが短くなるので、ストロークの変化量は車体6のピッチ角変化量として代用できる。

0062

本実施形態に係るウィリー判定装置10では、ウィリー前状態と判定された時点からの車体6の角度の変化量が、前輪2の路面からの車体6の浮上り量であるウィリー量として算出される。このため、ウィリー前状態と判定される前に生じていた車体の傾斜の影響を除外し、前輪2が路面からどの程度浮き上がっているのか、その大きさを精度よく推定できる。

0063

この点詳説する。ウィリー量は車体6のピッチ角に基づき算出されるが、その算出を、ウィリー判定のための処理の第2段階で行っている。ウィリー量を算出する事前に第1段階の処理を実施して、ウィリー前状態でない状態からウィリー前状態へと移行したか否かを判定する。この判定は、その性質上、走行中であってウィリーが生じていない期間(すなわち、走行中の殆どの期間)、車輪2,3が路面に接地している状態で行われる。

0064

仮に第1段階の処理をなくすと、車輪2,3が路面に接地して乗物1が走行している間、車体6のピッチ角を測定し続け、その測定値に基づき乗物1がウィリー状態であるか否かを判定することになる。ピッチレートセンサの検出値を積算してピッチ角を測定する場合は、走行中のピッチ角速度の履歴が測定値に累積されることになる。一方、車体6のピッチ角は、路面の勾配など、車輪2,3が路面から離れる以外の要因でも変化する。このため、ピッチ角の測定値は、ウィリー以外の要因で生じた車体のピッチ角速度の履歴も含み、ピッチ角の実際を正確に反映しない可能性がある。正確に反映していても、乗物が登し始めると、前輪2が路面から離れていなくてもウィリーが生じたかのような測定値を示すことになる。

0065

仮に第2段階の処理をなくすと、車輪2,3の回転速度を主用または専用して、乗物1がウィリー状態にあるか否かを判定することになる。車輪2,3の回転速度は乗物1がウィリー状態であることと関係性を持つが、回転速度の数値から、ウィリーの程度を定量評価できるウィリー量を導き出すことは難しい。また、ウィリー状態にあるか否かは、車輪2,3が路面に接地している間に判定されるが、ウィリー時と特異な走行状況(例えば、後輪3に大きなスリップが発生している場合)とを、車輪2,3の挙動のみによって完全に峻別することは難しい。このため、車輪2,3の回転速度をパラメータとするウィリー判定には精度上限界がある。

0066

一方で、車体6の傾きは車輪2,3の回転速度の外乱となりにくく、車輪2,3が路面から離れる以外の要因で車体が傾いても車輪2,3の回転速度の数値は乱されにくい。また、車体6のピッチ角の変化量は、短期間であれば、路面の摩擦係数の影響を受けることなく精度よく算出可能である。

0067

そこで、本実施形態では、第1段階の判定処理が車輪2,3の回転速度に基づいて行われる。上記のとおり精度に限界はあるものの、その後にピッチ角を用いた第2段階の判定処理が控えている。そのため、第1段階の判定処理の精度は、第2段階の判定処理の開始契機を作るという意味では、多少の粗さを許容できる。この第1段階の判定処理では、ピッチ角を参照しない。これにより逆に、第1段階の判定処理の誤判定は低減する。

0068

第2段階の判定処理では、第1段階の判定時点(前状態判定時点)からの車体6の角度の変化量を算出する。その算出値からは、当該判定時点までの路面の勾配変化など、ウィリー以外の要因による車体の傾斜の影響が除外される。例えば、登坂中にウィリー前状態になったと判定されても、その路面の勾配は基準値に吸収される。このため、第1段階の判定が終わった時点からの角度の変化量を精度よく算出できる。角度の変化量は、前輪2が路面からどの程度離れているのか端的かつ定量的に表す。このため、算出されたウィリー量に基づいて、ウィリーの程度を精度よく評価できる。

0069

なお、ウィリー以外の走行状況であるのに、第2段階の判定処理が開始したとしても、ウィリー量はゼロ付近推移することになる。そのウィリー量から、ウィリーが実は発生していない走行状況にあると判明でき、それにより第2段階の判定処理を終えて第1段階の判定処理をやり直すことができる。

0070

このように、本実施形態によれば、走行中は常時車体6のピッチ角をパラメータに用いてウィリー状態を判定する場合や、車体6のピッチ角によらずウィリー状態を判定する場合と比べて、ウィリー量を精度よく算出でき、前輪2の路面からの浮上りを精度よく判定できる。

0071

<解除判定部>
ウィリー量判定部12の解除判定部14は、乗物1がウィリー前状態であると判定された時点以降、乗物1のウィリー状態が解除されたか否かを判定する。ウィリー状態が解除されたと判定されると、ウィリー前状態判定部11が、上記のとおり乗物1がウィリー前状態であるか否かの判定を開始する。一方、ウィリー量算出部13は、ウィリー量の算出を終了する。

0072

図5に示すように、解除判定部14は、(1)対地速度と前輪2の周速度との差、(2)前輪2の回転加速度、および(3)駆動源4の出力といったパラメータに基づき、ウィリー状態の解除を判定する。これらパラメータ(1)〜(3)はウィリー前状態の判定にも利用されていたものである(図4および5を参照)。

0073

解除判定部14は、乗物1あるいは車輪2,3の速度、および駆動源4の出力に関する「速度出力条件」の成否と、車体6の傾斜に関する「傾斜条件」の成否とを判定する。速度出力条件と傾斜条件との両方が成立したときに、ウィリー状態が解除されたと判定する。

0074

速度出力条件に関し、解除判定部14は、対地速度と前輪2の周速度との差が第1解除閾値未満になったとの第1条件の成否を判定する。また、前輪2の回転加速度が第2解除閾値以上であるとの第2条件の成否を判定する。また、駆動源4の出力が第3解除閾値未満であるとの第3条件の成否を判定する。ウィリー前状態判定部11とは逆で、第1〜第3条件のいずれか1つが成立すると、速度出力条件は成立する(図5中のOR回路を参照)。第1解除閾値は第1開始閾値と同じ値でもよいし違う値でもよい。第2解除閾値と第2開始閾値との関係、第3解除閾値と第3開始閾値との関係も同様である。

0075

傾斜条件に関し、解除判定部14は、ウィリー量算出部12で算出されているウィリー量が第1傾斜閾値未満になったとの第1傾斜条件の成否を判定する。また、ピッチレートセンサ34により検出されている車体6のピッチ角速度が第2傾斜閾値未満になったとの第2傾斜条件の成否を判定する。第1および第2傾斜条件の両方が成立すると、傾斜条件が成立する。

0076

車体6の傾斜も考慮してウィリー状態が解除されたか否かを判定するので、速度および出力のみから判定する場合と比べて、ウィリー状態の解除を精度よく判定できる。傾斜の考慮にあたり、ウィリー量算出部12で算出されているウィリー量を用いている。ウィリー量は上記のとおり前輪2の路面からの浮上りを端的に定量的に表しており精度よく算出されるので、ウィリーの解除の判定精度も高くなる。

0077

(ウィリー抑制制御実施可否判定、出力抑制部)
上記のとおりウィリー量判定装置10によれば、ウィリーの程度を定量的に表すウィリー量を精度よく算出できる。算出されたウィリー量は、制御装置に出力される他に、車載ドライブレコーダー(図示せず)に記憶されてもよい。

0078

ウィリー量は、駆動源4の出力を抑制するウィリー抑制制御の実施可否の判定、ウィリー抑制制御の実施中における出力抑制量の決定に利用されてもよい。この場合、図3に示すように、乗物1の制御系には、ウィリー抑制制御の実施可否を判定し、また、ウィリー抑制制御の実施中に出力調整機器8を制御して駆動源4の出力を抑制する出力抑制部20が備わる。出力抑制部20は、ECU7にて実現される。

0079

図2に示すように、浮上り(ウィリー)が解除されていないと判定されると、出力抑制部20は、算出された浮上り量(ウィリー量)が抑制実施閾値を超えるか否かを判定する(S21)。抑制実施閾値以下であれば、出力抑制部20は、ウィリー抑制目的で駆動源4の出力を自動的に抑制すべき状況には未だないとして、ウィリー抑制制御を実施せず(既にウィリー抑制制御を実施中であれば、ウィリー抑制制御を終了し(S23))、浮上り量判定工程S12(ウィリー量判定部12による処理)を繰り返す。浮上り量(ウィリー量)が抑制実施閾値を超えていれば、出力抑制部20は、ウィリー抑制制御を開始し(既にウィリー抑制制御を実施中であれば、ウィリー抑制制御を継続し)(S22)、浮上り量判定工程S12を繰り返す。ウィリー抑制制御の実施中に、ウィリー状態が解除されたと判定されると、出力抑制部20は、ウィリー抑制制御を終了する(S24)。車輪浮上り量判定方法では、このウィリー抑制制御の終了とともに、浮上り前状態判定工程S11(ウィリー前状態判定部11による処理)に戻り、浮上り量判定工程S12が終了する。

0080

なお、駆動源4が火花点火式エンジンの場合、出力抑制部20は、駆動源4の出力抑制量を大きくするために、スロットルバルブの開度、燃料噴射量、燃料噴射される気筒の数および/または点火プラグが作動する気筒の数を小さくし、かつ/または点火時期を遅角する。

0081

ウィリー抑制制御では、ウィリー量が大きいと駆動源4の出力抑制量が大きくなるように出力調整機器8が制御される。また、乗物1がウィリー前状態であると判定された時点からの経過時間をタイマ22で計り、その経過時間が長くなるほど駆動源4の出力抑制量が大きくなるように出力調整機器8が制御されてもよい。これにより、ウィリーの程度が大きくても、速やかにウィリーが解消される。また、ウィリーが長くなると、後輪3の周速度(対地速度)と前輪2の周速度との差が広がる。すると、着地時に前輪2の周速度がその差を埋めるように急上昇し、運転フィーリングが低下する。経過時間に応じて出力抑制量を変えることで、ウィリー時間が長くなるのを極力抑えることができ、運転フィーリングの低下を防ぐことができる。

0082

出力抑制部20は、ウィリー時以外の走行状況においても、駆動源4の出力を自動的に抑制すべき状況であれば、駆動源4の出力を抑制する。例えば、ECU7は、駆動輪たる後輪3にスリップが生じているか否かを判定するスリップ判定部23を備える。出力抑制部20は、スリップ判定部23により駆動輪がスリップしていると判定されると、駆動源4の出力を抑制するスリップ抑制制御を実施する。

0083

前述のとおり、車輪2,3の挙動のみを参照する場合、ウィリー前状態と駆動輪たる後輪3のスリップとの完全な峻別が難しい。そのため、ウィリー前状態判定部11により第1条件が成立したと判定されるとともに、スリップ判定部23により駆動輪3にスリップが生じていると判定される可能性もある。この場合、ウィリー前状態判定部11により第1〜第4条件の全てが成立すると判定される前に、あるいはそのように判定された後であってもウィリー量が抑制実施閾値に達したと判定される前に、スリップ抑制制御が実施されて駆動源4の出力を抑制し始めることができる。それにより、ウィリーが発生する可能性があっても、ウィリーの発生を抑える傾向とすることができる。

0084

なお、スリップ抑制制御の実施中に、ウィリー抑制制御を実施する条件(例えば、ウィリー状態が解除されておらず、ウィリー量が抑制閾値以上であるとの条件)が成立した場合には、スリップ抑制制御を終了してウィリー抑制制御が実施される。すなわち、上記のように、ウィリー量やウィリー前状態と判定された時点以降の経過時間に基づいて駆動源4の出力抑制量が決定される。これにより、ウィリーの解消に焦点を当てた制御が実施され、ウィリーの解消を好適に実施できる。また、スリップ抑制制御においては、スリップの抑制に焦点を当てた制御を実施でき、スリップの解消を好適に実施できる。

0085

[変形例]
これまで本発明の実施形態について説明したが、上記構成は適宜変更可能である。

0086

ウィリー前状態の判定におけるパラメータ(4)に関し、「駆動源4の出力」は、出力(またはこれに強い影響を与える他パラメータ)だけでなく、出力の変化でもよい。この場合、ウィリー前状態判定部11は、センサ33aおよび/またはセンサ33bからの検出値を所定サンプリングレートで入力し、入力された検出値の現在値および過去値(例えば、1回前の値)から、これら検出値の変化率(単位時間当たりの変化量)を求める。この変化率は出力の変化として代用可能である。ウィリー解除の判定における速度出力条件を構成するパラメータ(3)についても、同様である。

0087

ウィリー解除の判定における速度出力条件は、上記の第1〜第3条件の他、対地加速度が第4解除閾値以上であるとの第4条件を含んでもよい。この場合、第1〜第4条件のいずれか1つが成立したとき、速度出力条件が成立してもよい。速度出力条件から、第1〜第3条件のうちいずれかの条件を省略してもよい。速度出力条件は複数の条件で構成されるが、速度出力条件が成立するのは、上記実施形態のように複数の条件のいずれか1つが成立したときでなく、複数の条件が同時に成立したときでもよい。

0088

ウィリー前状態が、車輪2,3に作用するブレーキ力に基づいて判定されてもよい。この場合、ウィリー前状態判断部11が、ブレーキ力が第5開始閾値未満であるとの第5条件の成否を判定し、第1〜第5条件全てが成立すると、乗物1がウィリー前状態であると判定する。ブレーキをかけることで車輪2,3がウィリー時と類似するような挙動を示したとしても、そのような状況をウィリー前状態に該当しないものとして精度よく判定できる。

0089

車輪浮上り量判定方法を実施する装置として、対象を前輪に特化したウィリー判定装置を例示したが、後輪を対象としてジャックナイフ前状態を判定し、ジャックナイフ量を算出し、ジャックナイフ状態の解除を判定する装置も、上記ウィリー判定装置と同様にして実現可能である。

0090

自動二輪車は好適な一例ではあるが、本発明は自動二輪車以外の乗物にも適用可能である。

0091

1乗物
2前輪
3後輪
4駆動源
6 車体
10ウィリー判定装置
11ウィリー前状態判定部
12 ウィリー量判定部
13 ウィリー量算出部
14解除判定部
20出力抑制部

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