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技術 不飽和アルコール製造用触媒及び不飽和アルコールの製造方法

出願人 昭和電工株式会社
発明者 細木康弘板垣真太朗吉村真幸奥村吉邦
出願日 2016年9月1日 (4年2ヶ月経過) 出願番号 2016-171147
公開日 2017年4月13日 (3年7ヶ月経過) 公開番号 2017-070943
状態 特許登録済
技術分野 有機低分子化合物及びその製造 触媒 触媒を使用する低分子有機合成反応
主要キーワード 結晶学的特徴 金属欠陥 水和物量 水酸化物混合物 原料残量 内筒管 化学組成比 スキャンプログラム
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2017年4月13日)のものです。
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図面 (2)

課題

ジオール一分子脱水反応において高い転化率及び選択率を達成する不飽和アルコール製造用触媒、及び目的とする不飽和アルコール、とりわけ特定のアリル型の不飽和アルコールを選択的に製造する方法を提供すること。

解決手段

一般式(1):A2−xB2O7−σ (1)(式中、Aは第2族又は第3族の金属を示し、Bは第4族又は第5族の金属を示し、xは、−0.05<x<1.0の範囲の数値を示し、σ=A金属のイオンの価数×x/2である。)で示される複合金属酸化物を不飽和アルコール製造用触媒として用いる。

概要

背景

クロルアルコールに代表されるアリル型の不飽和アルコール類は、化粧品医薬品、などの中間体として使用されるなど、工業的に重要な物質である。

近年、ジオールに対し酸化セリウム触媒とした選択的脱水反応により不飽和アルコールを合成する方法が報告されている。この方法では気相反応により直接不飽和アルコールを合成することができる(特許文献1及び2)。この方法は高い転化率及び選択率を達成することができるが、原料となる酸化セリウムが希土類であり、国外供給源に依存しているためその安定供給性及び価格安定性には不安が残る。

酸化ジルコニウムを触媒とした選択的脱水反応により不飽和アルコールを合成する方法も報告されている(特許文献3及び4)。さらに、酸化ジルコニウム表面にアルカリ金属アルカリ土類金属又は希土類金属酸化物担持することで触媒を高活性化できることが見いだされている(特許文献5、非特許文献1、及び非特許文献2)。

概要

ジオールの一分子脱水反応において高い転化率及び選択率を達成する不飽和アルコール製造用触媒、及び目的とする不飽和アルコール、とりわけ特定のアリル型の不飽和アルコールを選択的に製造する方法を提供すること。一般式(1):A2−xB2O7−σ (1)(式中、Aは第2族又は第3族の金属を示し、Bは第4族又は第5族の金属を示し、xは、−0.05<x<1.0の範囲の数値を示し、σ=A金属のイオンの価数×x/2である。)で示される複合金属酸化物を不飽和アルコール製造用触媒として用いる。なし

目的

本発明は、ジオールの一分子脱水反応において高い転化率及び選択率を達成する不飽和アルコール製造用触媒、及び目的とする

効果

実績

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請求項1

一般式(1):A2−xB2O7−σ(1)(式中、Aは第2族又は第3族の金属を示し、Bは第4族又は第5族の金属を示し、xは、−0.05<x<1.0の範囲の数値を示し、σ=A金属のイオンの価数×x/2である。)で示される複合金属酸化物からなる、ジオール化合物原料とする不飽和アルコール製造用触媒

請求項2

一般式(1)において、−0.05<x<0.7である請求項1に記載の不飽和アルコール製造用触媒。

請求項3

一般式(1)において、−0.025<x<0.5である請求項1又は2のいずれかに記載の不飽和アルコール製造用触媒。

請求項4

一般式(1)で示される複合金属酸化物の結晶構造が、欠陥蛍石型構造、又はパイロクロア構造のいずれかである請求項1〜3のいずれか一項に記載の不飽和アルコール製造用触媒。

請求項5

一般式(1)で示される複合金属酸化物の結晶構造が、パイロクロア構造である請求項3に記載の不飽和アルコール製造用触媒。

請求項6

一般式(1)で示される複合金属酸化物の結晶構造が、欠陥蛍石型構造である請求項3に記載の不飽和アルコール製造用触媒。

請求項7

一般式(1)において、Aが希土類元素からなる群より選ばれる少なくとも一種である請求項1〜6のいずれか一項に記載の不飽和アルコール製造用触媒。

請求項8

一般式(1)において、Bがチタンジルコニウム、及びハフニウムからなる群より選ばれる少なくとも一種である請求項1〜7のいずれか一項に記載の不飽和アルコール製造用触媒。

請求項9

一般式(1)において、Aがイットリウム、Bがジルコニウムである請求項1〜6のいずれか一項に記載の不飽和アルコール製造用触媒。

請求項10

BET比表面積が2〜80m2/gである請求項1〜9のいずれか一項に記載の不飽和アルコール製造用触媒。

請求項11

請求項1〜10のいずれか一項に記載の不飽和アルコール製造用触媒を用いることを特徴とする、一般式(2)で示される1,3−ジオール型の化合物からの一分子脱水反応による、一般式(3)−1及び一般式(3)−2で示される不飽和アルコールの製造方法。(式中、R1〜R4はそれぞれ独立に水素原子炭素数1〜5のアルキル基、又は炭素数6〜12のアリール基を示す。)(式中、R1〜R4は一般式(2)と同一のものを示す。)(式中、R1〜R4は一般式(2)と同一のものを示す。)

請求項12

一般式(2)、一般式(3)−1及び一般式(3)−2のR3及びR4が水素原子である請求項11に記載の不飽和アルコールの製造方法。

請求項13

一般式(2)で示される1,3−ジオール型の化合物が1,3−ブタンジオールである請求項11又は12のいずれかに記載の不飽和アルコールの製造方法。

請求項14

一分子脱水反応の反応温度が400℃以下である請求項11〜13のいずれか一項に記載の不飽和アルコールの製造方法。

技術分野

0001

本発明は、ジオール化合物原料とする、一分子脱水反応による不飽和アルコール製造用触媒及びその触媒を用いた不飽和アルコールの製造方法に関する。

背景技術

0002

クロルアルコールに代表されるアリル型の不飽和アルコール類は、化粧品医薬品、などの中間体として使用されるなど、工業的に重要な物質である。

0003

近年、ジオールに対し酸化セリウムを触媒とした選択的脱水反応により不飽和アルコールを合成する方法が報告されている。この方法では気相反応により直接不飽和アルコールを合成することができる(特許文献1及び2)。この方法は高い転化率及び選択率を達成することができるが、原料となる酸化セリウムが希土類であり、国外供給源に依存しているためその安定供給性及び価格安定性には不安が残る。

0004

酸化ジルコニウムを触媒とした選択的脱水反応により不飽和アルコールを合成する方法も報告されている(特許文献3及び4)。さらに、酸化ジルコニウム表面にアルカリ金属アルカリ土類金属又は希土類金属酸化物担持することで触媒を高活性化できることが見いだされている(特許文献5、非特許文献1、及び非特許文献2)。

0005

特許第3800205号公報
特許第5075192号公報
特許第4428530号公報
特許第4424746号公報
特許第5115368号公報

先行技術

0006

Journal of Molecular Catalysis A: Chemical、243巻、p.52−59(2006年).
Applied Catalysis A: General、487巻、p.226−233(2014年).

発明が解決しようとする課題

0007

本発明は、ジオールの一分子脱水反応において高い転化率及び選択率を達成する不飽和アルコール製造用触媒、及び目的とする不飽和アルコール、とりわけ特定のアリル型の不飽和アルコールを選択的に製造する方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0008

本発明者らは、鋭意検討の結果、二種以上の金属元素を含む二元系以上の複合金属酸化物が、不飽和アルコールを高効率及び高選択率で製造できる触媒であることを見いだした。さらに、この触媒を作用させることで、一分子脱水反応により目的とするアリル型不飽和アルコールを高選択的に製造できることを見出し、本発明を完成させるに至った。本明細書において「アリル型不飽和アルコール」とは炭素炭素二重結合を構成する炭素原子と結合している炭素原子に水酸基が結合しているアルコールをいう。

0009

すなわち本発明は以下の[1]〜[14]に関する。
[1]
一般式(1):
A2−xB2O7−σ (1)
(式中、Aは第2族又は第3族の金属を示し、Bは第4族又は第5族の金属を示し、xは、−0.05<x<1.0の範囲の数値を示し、σ=A金属のイオンの価数×x/2である。)
で示される複合金属酸化物からなる、ジオール化合物を原料とする不飽和アルコール製造用触媒。
[2]
一般式(1)において、−0.05<x<0.7である[1]に記載の不飽和アルコール製造用触媒。
[3]
一般式(1)において、−0.025<x<0.5である[1]又は[2]に記載の不飽和アルコール製造用触媒。
[4]
一般式(1)で示される複合金属酸化物の結晶構造が、欠陥蛍石型構造、又はパイロクロア構造のいずれかである[1]〜[3]のいずれかに記載の不飽和アルコール製造用触媒。
[5]
一般式(1)で示される複合金属酸化物の結晶構造が、パイロクロア構造である[3]に記載の不飽和アルコール製造用触媒。
[6]
一般式(1)で示される複合金属酸化物の結晶構造が、欠陥蛍石型構造である[3]に記載の不飽和アルコール製造用触媒。
[7]
一般式(1)において、Aが希土類元素からなる群より選ばれる少なくとも一種である[1]〜[6]のいずれかに記載の不飽和アルコール製造用触媒。
[8]
一般式(1)において、Bがチタンジルコニウム、及びハフニウムからなる群より選ばれる少なくとも一種である[1]〜[7]のいずれかに記載の不飽和アルコール製造用触媒。
[9]
一般式(1)において、Aがイットリウム、Bがジルコニウムである[1]〜[6]のいずれか一項に記載の不飽和アルコール製造用触媒。
[10]
BET比表面積が2〜80m2/gである[1]〜[9]のいずれか一項に記載の不飽和アルコール製造用触媒。
[11]
[1]〜[10]のいずれか一項に記載の不飽和アルコール製造用触媒を用いることを特徴とする、一般式(2)で示される1,3−ジオール型の化合物からの一分子脱水反応による、一般式(3)−1及び一般式(3)−2で示される不飽和アルコールの製造方法。



(式中、R1〜R4はそれぞれ独立に水素原子炭素数1〜5のアルキル基、又は炭素数6〜12のアリール基を示す。)



(式中、R1〜R4は一般式(2)と同一のものを示す。)



(式中、R1〜R4は一般式(2)と同一のものを示す。)
[12]
一般式(2)、一般式(3)−1及び一般式(3)−2のR3及びR4が水素原子である[11]に記載の不飽和アルコールの製造方法。
[13]
一般式(2)で示される1,3−ジオール型の化合物が1,3−ブタンジオールである[11]又は[12]のいずれかに記載の不飽和アルコールの製造方法。
[14]
一分子脱水反応の反応温度が400℃以下である[11]〜[13]のいずれか一項に記載の不飽和アルコールの製造方法。

発明の効果

0010

本発明によれば、不飽和アルコールを高い転化率及び選択率で製造できる触媒を提供すること、及び目的のアリル型不飽和アルコールを対応する原料から高効率で製造することができる。

図面の簡単な説明

0011

実施例1〜3及び比較例1〜3で使用した触媒のX線回折パターンを示す図である。
実施例1〜3及び比較例1〜3で使用した触媒のX線回折パターンの拡大図である。

0012

<触媒>
以下、本発明の不飽和アルコール製造用触媒について説明する。
本発明の不飽和アルコール製造用触媒は、下記一般式(1):
A2−xB2O7−σ (1)
(式中、Aは第2族又は第3族の金属を示し、Bは第4族又は第5族の金属を示し、xは、−0.05<x<1.0の範囲の数値を示し、σ=A金属のイオンの価数×x/2である。)
で示される二種以上の金属元素を含む二元系以上の複合金属酸化物である。A金属及びB金属の組成比を調整することによって、収率及び選択率のいずれについても良好な触媒性能を達成することができる。

0013

A金属及びB金属の組成比を調整することによって、その表面の酸性度又は塩基性度を任意に変えることができるため、不飽和アルコール製造用触媒として機能させることができる。

0014

A金属及びB金属の組成比は、一般式(1):A2−xB2O7−σにおいて、xを−0.05<x<1.0の範囲となるように調整され、−0.05<x<0.7の範囲にすることが好ましく、−0.025<x<0.5の範囲にすることがより好ましい。xを−0.05<x<1.0の範囲にすることによって、A金属及びB金属由来の酸性度及び塩基性度を適切な値にすることができると考えられる。σは酸素欠陥量を示すが、その絶対量を実験で測定するのは容易ではない。金属の価数変動金属欠陥酸素欠陥などに伴って測定値に多少のばらつきがあるためである。

0015

A金属及びB金属の組成比は、蛍光X線、SEM−EDX、ICP等の元素分析により求めることができる。

0016

一般式(1)で示される複合金属酸化物の結晶構造は、欠陥蛍石型構造、又はパイロクロア構造のいずれかであることが好ましい。パイロクロア構造は、陰イオン不足している面心立方格子の蛍石型構造とみなすことができ、A金属イオンは8配位、B金属イオンは6配位で、A金属イオンはB金属イオンよりも大きなイオン半径を有するという結晶学的特徴をもっている。欠陥蛍石型構造は、パイロクロア構造と蛍石型構造の中間の構造を示し、金属と酸素量比が異なるだけであると考えられる。結晶構造の効果は明らかではないが、非特許文献(ACS Catalysis、3巻、p.721−734(2013年))には以下の機構が記載されている。すなわち、立方晶系の結晶構造をとる酸化セリウムにおいてみられる酸素欠陥周りの金属の配置が活性点として寄与できるというものである。パイロクロア構造及び欠陥蛍石型構造には、このような活性点が多数存在していることが推測される。酸素欠陥量の観点からは、パイロクロア構造であることがより好ましい。

0017

パイロクロア構造及び欠陥蛍石型構造は、X線回折パターンから判断することができるが、これら二つの回折パターンはほぼ同一のパターンであるため、区別することが難しい。一般的には、PDF(Powder Diffraction Database)と比較することで結晶構造を決定することができる。例えば、La2Zr2O7において、パイロクロア構造と欠陥蛍石型構造を区別する場合、2θ=35〜50°の間に、(331)、(511)面に帰属される回折ピークがわずかにでも存在していれば、パイロクロア構造であることが確認できる。しかし、Y2Zr2O7においては、YとZrの原子散乱因子が同程度であるため、結晶構造の区別に利用できる回折ピークが存在するかどうかは定かではなく、X線回折パターンのみからは一義的に判断できない。そのため、本開示においては、Y/Zrの値が0.9以上1.05以下であり、X線回折メインピークの位置が29.7±0.2°であればパイロクロア構造であり、Y/Zrの値が0.5以上0.9未満であり、X線回折のメインピークの位置が29.7±0.2°であれば欠陥蛍石型構造であるとみなす。

0018

一般式(1)のA金属は第2族又は第3族の金属である。好ましくは、マグネシウムカルシウムストロンチウムバリウム、及び希土類元素からなる群より選ばれる一種又は2種以上である。希土類元素としてはスカンジウム、イットリウム、ランタンセリウムネオジムプラセオジウムガドリニウムサマリウム、及びイッテルビウムが好ましい。塩基性度が低いという観点から、より好ましいA金属は希土類元素からなる群から選択される少なくとも一種である。工業的な使用を考慮した場合、イットリウムが最も好ましい。

0019

A金属の価数は第2族元素が2、第3族元素が3である。すなわち、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、及びバリウムの価数は2、スカンジウム、イットリウム、ランタン、セリウム、ネオジム、プラセオジウム、ガドリニウム、サマリウム、イッテルビウムなどの価数は3である。

0020

一般式(1)のB金属は第4族又は第5族の金属である。好ましくは、ニオブタンタル、チタン、ジルコニウム、及びハフニウムからなる群より選ばれる少なくとも一種であり、より好ましくはチタン、ジルコニウム、及びハフニウムからなる群より選ばれる少なくとも一種である。酸性度が弱いという観点から、より好ましいB金属はチタン及びジルコニウムからなる群より選ばれる少なくとも一種である。金属イオンの安定性から、ジルコニウムが最も好ましい。

0021

A金属及びB金属は、X線回折パターンにおいて、未反応の単純酸化物の形で若干量確認されることがあるが、X線回折のメインピーク強度比で100分の1程度の量であれば、化学組成比への影響は無視でき、触媒反応も問題なく進行させることができる。

0022

触媒のBET比表面積は2〜80m2/gの範囲であることが好ましく、3〜50m2/gであることがより好ましく、5〜30m2/gであることが特に好ましい。BET比表面積は2m2/g以上であることで、基質との接触を高めることができ活性を向上することができる。80m2/g以下であると粒子の結晶化に伴う、反応活性点が形成されるため、反応選択性を高めることができる。

0023

<触媒の製造方法>
下記一般式(1):
A2−xB2O7−σ (1)
(式中、Aは第2族又は第3族の金属を示し、Bは第4族又は第5族の金属を示し、xは、−0.05<x<1.0の範囲の数値を示し、σ=A金属のイオンの価数×x/2である。)
で示される二種以上の金属元素を含む二元系以上の複合金属酸化物触媒を得る方法としては、固相法メカニカルアロイング法共沈法ゾルゲル法均一沈殿法水熱合成法錯体重合法などが挙げられる。それらの中でも、工業的に生産可能な固相法、共沈法、ゾルゲル法、又は水熱合成法を用いることが好ましい。高比表面積の触媒とするためには、低温で合成可能な固相法、又は水熱合成法を用いることがより好ましい。

0024

水熱合成法の一例では、A金属の塩及びB金属の塩の水溶液を作製し、アルカリ化合物アンモニアなど)を加えてpHを9.2以上に調整する。これより各金属イオン共沈して、アモルファス状混合ゾルとなる。このゾルテフロン登録商標)製内筒管オートクレーブ容器に入れ、180℃、48時間で水熱合成して固体の欠陥蛍石型又はパイロクロア型の結晶構造の触媒前駆体を得る。これを粉砕し、空気雰囲気中、900〜1300℃、1〜10時間焼成する。焼成前触媒の形態は粉末状でもよくペレット状でもよい。A金属塩とB金属塩は上記操作によって、ほぼすべてが回収されると考えられることから、原料の仕込みモル比によって、一般式(1):A2−xB2O7−σのX及びσを制御する。

0025

共沈法の一例では、B金属の水酸化物ゾル溶液にA金属塩の水溶液を加え、アルカリ化合物(アンモニアなど)の水溶液に滴下する。これよりB金属の水酸化物の表面にA金属イオンが担持され、アモルファス状の混合ゾルとなる。このゾルを固液分離及び乾燥して触媒前駆体を得る。これを粉砕し、空気雰囲気中、900〜1300℃、1〜10時間焼成する。焼成前触媒の形態は粉末状でもよくペレット状でもよい。A金属塩とB金属の水酸化物は上記操作によって、ほぼすべてが回収されると考えられることから、原料の仕込みのモル比によって、一般式(1):A2−xB2O7−σのX及びσを制御する。

0026

A金属として、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムなどのアルカリ土類金属を用いる場合には、塩基性中性、及び酸性塩のいずれを用いてもよい。具体的には、酸化マグネシウム塩化マグネシウム硝酸マグネシウム硫酸マグネシウム炭酸カルシウム塩化カルシウム硝酸カルシウム硫酸カルシウム炭酸ストロンチウム塩化ストロンチウム硝酸ストロンチウム硫酸ストロンチウム炭酸バリウム塩化バリウム硝酸バリウム硫酸バリウムなどが挙げられる。

0027

A金属として、イットリウム、スカンジウムなどを含む希土類元素を用いる場合には、塩基性、中性、及び酸性塩のいずれを用いてもよい。具体的には、酸化ランタン水酸化ランタン塩化ランタン硝酸ランタン硝酸イットリウム硝酸イッテルビウムなどが挙げられる。

0028

B金属として、ニオブ、タンタル、チタン、ジルコニウム、ハフニウムなどを用いる場合には、塩基性、中性、及び酸性塩のいずれを用いてもよい。具体的には、酸化ニオブ塩化ニオブペンタエトキシニオブ酸化タンタル塩化タンタルペンタエトキシタンタル酸化チタン塩化チタンシュウ酸チタンチタンイソプロポキシド、酸化ジルコニウム、水酸化ジルコニウムオキシ塩化ジルコニウムオキシ硝酸ジルコニウムなどが挙げられる。

0029

上記のA金属及びB金属の水溶性塩を用いて、共沈法又は水熱合成法を行う場合、pH調整剤又は鉱化剤として、水酸化ナトリウム水溶液水酸化カリウム水溶液水酸化カルシウム水溶液石灰水炭酸ナトリウム水溶液アンモニア水溶液トリエチルアミン水溶液、ピリジン水溶液、エチレンジアミン水溶液、炭酸水素ナトリウム水溶液などの塩基性水溶液を用いることができる。触媒活性低下の原因となる不純物除去性を考慮すると、アンモニア水溶液又はトリエチルアミン水溶液を用いることが好ましい。

0030

水熱合成法では、A金属の塩及びB金属の塩の水溶液をアルカリでpH9.0〜10.5に調整することで不溶性のアモルファス状水酸化物塩を含んだゾル溶液を得ることができる。各金属塩の濃度は0.01〜0.5mol/Lであることが好ましい。得られたゾル溶液に対してオートクレーブにて水熱処理を行う。容器の内量に対するゾル溶液の容量の比は30〜80%であることが好ましい。水熱処理温度は120〜230℃であることが好ましく、処理時間は3〜60時間であることが好ましい。このような水熱合成条件により、カチオン及びアニオン欠陥を含んだ、触媒前駆体(低結晶性A2−xB2O7−σ)を得ることができる。

0031

共沈法では、B金属の水酸化物のゾル溶液にA金属塩の水溶液を加えた溶液を、アルカリ化合物(アンモニアなど)の水溶液に滴下し、最終的にpH9.2以上の混合溶液とする。これよりB金属の水酸化物の表面にA金属のイオンが担持され、A金属イオンとB金属イオン種入り交ざった、アモルファス状の水酸化物混合物(A(OH)3/B(OH)4・nH2O)の形態で触媒前駆体を得ることができる。各金属塩の濃度は0.01〜0.5mol/Lであることが好ましい。溶液を混合する時の溶液の温度は、10〜100℃、撹拌時間は5〜600分であることが好ましい。滴下速度は、0.1〜100g/分であることが好ましい。

0032

得られた触媒前駆体に焼成処理を行う。焼成により結晶化が進行し、かつ、結晶性が向上し、パイロクロア型又は欠陥蛍石型の結晶構造を生成することができる。

0033

触媒前駆体の焼成は結晶性を向上させるために、600℃以上の温度で行うことが好ましい。上限温度に特に制限はないが、1400℃を超えると触媒表面積が維持できないおそれがあるため、1300℃以下であることが好ましい。特に好ましい焼成温度は700〜1200℃の範囲であり、さらに好ましくは900〜1100℃の範囲である。

0034

焼成時間は、1〜30時間であることが結晶成長の面で好ましく、3〜10時間であることがより好ましい。

0035

焼成時の雰囲気制約はないが、特に空気雰囲気で行うことが好ましい。

0036

焼成の前に仮焼成を行ってもよい。仮焼成は触媒成形時のハンドリング性を向上させるために行う。仮焼成の条件は120℃以上の温度で行うことが好ましい。上限温度に特に制限はないが、800℃を超えると触媒成形体の強度が低下するおそれがあるため、700℃以下であることが好ましい。特に好ましい仮焼成温度は200〜600℃の範囲であり、さらに好ましくは300〜500℃の範囲である。焼成時間は、1〜30時間であることが焼きムラをなくす面で好ましく、3〜10時間であることがより好ましい。

0037

本発明の触媒の形状はそれぞれ独立した粒子であってもよいし、粒子を固めてペレットとしてもよい。反応器への充填などハンドリングの観点からはペレットが好ましい。触媒は本発明の反応に不活性な担体に担持されたものであってもよい。担体の例としてはシリカアルミナチタニアジルコニアシリカアルミナゼオライト活性炭グラファイトなどが挙げられるが、特に限定はされない。

0038

<不飽和アルコールの製造〜ジオールの脱水反応>
本発明の不飽和アルコールの製造方法では、一般式(1):A2−xB2O7−σで表される二種以上の金属元素を含む二元系以上の複合酸化物触媒を用いて1,3−ジオール型の化合物からの一分子脱水反応を行う。

0039

1,3−ジオール型の化合物は一般式(2)で示され、一分子脱水反応により、一般式(3)−1及び一般式(3)−2で示されるアリル型不飽和アルコールを生成する。

0040

上記一般式(2)、(3)−1、及び(3)−2において、R1〜R4はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、又は炭素数6〜12のアリール基を示す。

0041

炭素数1〜5のアルキル基としてはメチル基エチル基プロピル基イソプロピル基等の直鎖又は分岐のアルキル基が挙げられる。炭素数6〜12のアリール基としては、フェニル基トリル基メシチル基ナフチル基等が挙げられる。これらの中では脱水反応への選択性の観点から、R1〜R4はそれぞれ独立に水素原子、又は炭素数1〜5のアルキル基であることが好ましい。R3及びR4が水素原子であることが、一分子脱水反応の反応部位周辺立体障害が小さく反応性が高いためより好ましく、R1〜R4のすべてが水素原子であることが最も好ましい。

0042

R1〜R4のすべてが水素原子であるとき、一般式(2)の化合物は1,3−ブタンジオールであり、一般式(3)−1の化合物はクロチルアルコール(2−ブテン−1オール)、一般式(3)−2の化合物は3−ブテン−2−オールとなる。

0043

本発明に係る一分子脱水反応の反応式を以下の式(4)に示す。

0044

本発明の一分子脱水反応で使用される反応装置は、連続式気相流通反応装置であることが好ましい。触媒は固定床又は流動床のいずれの方式でもよく、特にメンテナンス性などの点から固定床が望ましい。

0045

反応装置の一例として上部に反応原料であるジオールの気化器を備えた直管型反応器が挙げられる。反応器に触媒を充填し、原料のジオールを気化器で蒸発させて生じた原料ストリームを反応器に導入する。反応器下部の熱交換器反応生成物を冷却し、目的の不飽和アルコールと未反応の原料を回収する。原料濃度コントロールして副反応を抑制するため、気化した原料ジオール窒素ガス水蒸気などの不活性ガス希釈して反応に供してもよい。

0046

一分子脱水反応の反応温度は250℃以上、400℃以下の範囲が適している。250℃以上であると、反応が速やかに進む。一方、400℃以下とすると副反応による選択率低下の影響が小さくなる。より好ましい温度範囲は300〜350℃である。

0047

直管型反応器において、触媒充填容積当たりのジオールの導入量は0.1〜20kg/(h・L−cat)の範囲とすることができ、好ましくは0.2〜15kg/(h・L−cat)であり、最も好ましくは0.5〜10kg/(h・L−cat)である。導入量が0.1kg/(h・L−cat)以上であれば、十分な生産量を得ることができる。導入量が20kg/(h・L−cat)以下であれば、未反応の原料が増加することなく、分離及び精製に労力が少なくて済む他、原料からの副反応も抑えることができる。

0048

反応生成物に蒸留などの操作を行うことにより、目的生成物を、未反応原料及び副生物から分離することができる。未反応原料は目的生成物から分離した後に容易に再利用することが可能である。そのため、ジオールから不飽和アルコールを高効率に得るためには、副生物の生成を抑えることが有効であり、原料の転化率が多少低くなったとしても、選択率が高いことが工業的には有利である。

0049

ジオール原料を含む原料ストリームの触媒充填容積に対する空間速度[SV]は100〜40000h−1の範囲とすることができ、特に500〜10000h−1が好適である。空間速度が100h−1以上であれば、接触時間が過度に増加しないため、1,3−ジオール原料及び生成した不飽和アルコールからの副生物の生成を抑えることができる。空間速度が40000h−1以下であれば、転化率が低くならず、未反応の原料が少なくなるため、未反応の原料の分離に過剰なコストを掛けなくて済む。

0050

上記に述べた方法は、本発明の実施形態の一つであるが、実施において、この他の形態をとることも可能である。

0051

以下、実施例により本発明の効果を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。

0052

[触媒の化学組成比の測定]
元素含有量には株式会社リガク製ZSX Primus IIを使用し、EZスキャンプログラムにより測定した。B金属原子に対するA金属原子のモル比は下記式から求めた。

0053

[X線回折測定]
株式会社リガク製MultiFlexを用いて触媒のX線回折(XRD)測定を行った。測定は連続走査モードにて行った。測定条件は、管電圧40kV、管電流40mA、サンプリング幅0.02°、スキャンスピード3°/minとした。

0054

[BET比表面積]
BET比表面積は株式会社島津製作所製TriStar3000を用いて測定した。前処理として触媒0.3gを150℃で3時間真空引きした後に、測定を行った。

0055

ガスクロマトグラフィー
脱水反応後の生成物ガスは5℃でほぼ全量を凝縮して液化し、ガスクロマトグラフィーで分析し、反応転化率及び選択率を計算した。分析装置として、ジーエルサイエンス株式会社製キャピラリーカラム:TC−1(60m、0.25mmφ)を接続した株式会社島津製作所製GC−17Aを使用した。キャリアガスにはヘリウムを使用し、検出はFID検出器にて行った。定量は内標準法によって行った。検量線補正後、目的物の収量及び原料残量を求め、これらより転化率及び選択率を求めた。

0056

転化率及び選択率の計算には、以下の計算式を用いた。

0057

(実施例1)
硝酸イットリウムn水和物(和光純薬工業株式会社、純度99.9%)36.477gに蒸留水200mLを加えて調製した水溶液、及びオキシ塩化ジルコニウム32.225g(関東化学株式会社、純度99%以上)に蒸留水200mLを加えて調製した水溶液を混合し、撹拌しながら濃アンモニア水(関東化学株式会社、純度28〜30%)を滴下し、pH9.2に調整した。得られたゾル液をテフロン(登録商標)製内筒管を備えたSUS製オートクレーブに入れて、180℃で48時間水熱処理を行った。処理後の懸濁液から、粉末をろ過器にて回収し、イオン交換水洗浄後、ろ過後、120℃で1昼夜乾燥を行った後、室温まで放冷してから、メノウ乳鉢にて粉砕した。粉砕した粉末をペレットに成形し、粒径1.4〜2.8mmに整粒した後に、空気雰囲気中、1100℃で3時間焼成することで、本発明のY2Zr2O7複合酸化物触媒(触媒A)を得た。触媒Aは、図1及び図2の回折ピークが29.7°であり、Y/Zrが0.9〜1.05であることから、パイロクロア型の結晶であることがわかった。

0058

(実施例2)
硝酸イットリウムn水和物量を32.829gとした以外は、実施例1と同様の手法で、本発明のY1.8Zr2O6.7複合酸化物触媒(触媒B)を得た。触媒Bは、図1及び図2の回折ピークが29.7°であり、Y/Zrが0.9〜1.05であることから、パイロクロア型の結晶であることがわかった。

0059

(実施例3)
硝酸イットリウムn水和物量を29.182gとした以外は、実施例1と同様の手法で、本発明のY1.6Zr2O6.4複合酸化物触媒(触媒C)を得た。触媒Cは、図1及び図2の回折ピークが29.7°であるが、Y/Zrが0.9〜1.05の範囲外であることから、欠陥蛍石型の結晶であることがわかった。

0060

(実施例4)
硝酸イットリウムn水和物(和光純薬工業株式会社、純度99.9%)30.0937gに蒸留水200mLを加えて調製した水溶液、及び尿素60g(関東化学株式会社、純度99%以上)に蒸留水200mLを加えて調製した水溶液を、水酸化ジルコニウムスラリー(第一稀元素化学工業株式会社、ZSL−10T)100gに対して添加し、100℃に加熱し、5時間撹拌した。その後、吸引濾過器にて固液分離した後、得られたケーキ(固形物)を120℃で24時間乾燥し、室温まで放冷した後、メノウ乳鉢にて粉砕した。粉砕した粉末をペレットに成形し、粒径1.4〜2.8mmに整粒した後に、空気雰囲気中、1100℃で3時間焼成することで、本発明のY1.94Zr2O6.91複合酸化物触媒(触媒D)を得た。

0061

(実施例5)
硝酸イットリウムn水和物(和光純薬工業株式会社、純度99.9%)30.0937gに蒸留水200mLを加えて調製した水溶液を水酸化ジルコニウムスラリー(第一稀元素化学工業株式会社、ZSL−10T)100gに対して添加した水溶液を、360mLの蒸留水に濃アンモニア水(関東化学株式会社、純度28〜30%)40mLを添加した水溶液に滴下し、1時間撹拌した。その後、吸引濾過器にて固液分離した後、得られたケーキ(固形物)を120℃で24時間乾燥し、室温まで放冷した後、メノウ乳鉢にて粉砕した。粉砕した粉末をペレットに成形し、粒径1.4〜2.8mmに整粒した後に、空気雰囲気中、1100℃で3時間焼成することで、本発明のY1.9Zr2O6.85複合酸化物触媒(触媒E)を得た。

0062

(実施例6)
硝酸イットリウムn水和物(和光純薬工業株式会社、純度99.9%)36.477gを硝酸サマリウム6水和物(和光純薬工業株式会社、純度99.9%)44.447gとした以外は、実施例1と同様の手法で、本発明のSm2Zr2O7複合酸化物触媒(触媒F)を得た。

0063

(実施例7)
硝酸イットリウムn水和物(和光純薬工業株式会社、純度99.9%)43.835gを硝酸ネオジム6水和物(和光純薬工業株式会社、純度99.9%)36.2505gにした以外は、実施例1と同様の手法で、本発明のNd2Zr2O7複合酸化物触媒(触媒G)を得た。

0064

(比較例1):Y0.08Zr2O4.12の調製
硝酸イットリウムn水和物(和光純薬工業株式会社、純度99.9%)1.833g(7.9mmol)に蒸留水50mLを加えて調製した水溶液、及び尿素80g(関東化学株式会社、純度99%以上)に蒸留水200mLを加えて調製した水溶液を、水酸化ジルコニウムスラリー(第一稀元素化学工業株式会社、ZSL−10T)200g(水酸化ジルコニウム量:165mol)に対して添加し、100℃に加熱し、5時間撹拌した。その後、吸引濾過器にて固液分離した後、得られたケーキ(固形物)を120℃で24時間乾燥し、室温まで放冷した後、メノウ乳鉢にて粉砕した。粉砕した粉末を500℃で仮焼成した後、メノウ乳鉢にて再粉砕したものをペレットに成形し、粒径1.4〜2.8mmに整粒した後に、空気雰囲気中、900℃で3時間焼成し、比較例1の触媒(触媒CA)を得た。触媒CAは、XRDスペクトルの回折ピークが30.3°であることから蛍石型の結晶であることがわかった。

0065

(比較例2):Ca0.08Zr2O5.08の調製
硝酸イットリウムn水和物の代わりに塩化カルシウム(和光純薬工業株式会社、95%)0.4972gを用いた以外は、比較例1と同様の手法で、比較例2の触媒(触媒CB)を得た。触媒CBは、XRDスペクトルの回折ピークが30.2°であることから蛍石型の結晶であることがわかった。

0066

(比較例3):Y2.1Zr2O7.15の調製
硝酸イットリウムn水和物量を38.301gとした以外は、実施例1と同様の手法で、比較例3の触媒(触媒CC)を得た。触媒CBは、XRDスペクトルの回折ピークが29.7°であり、Y/Zrが0.9〜1.05の範囲内であることから、パイロクロア型の結晶であることがわかった。

0067

[反応装置]
ジオールの脱水反応には、いずれも固定床の常圧気相流通反応装置を使用した。反応管ステンレス製)として内径16mm、全長300mmのものを用いた。反応器の上部に原料を蒸発させるための気化器が直列に接続され、下部には冷却器、及び気液分離器が設置されていた。

0068

[不飽和アルコールの脱水反応]
各触媒4mLを前記常圧気相流通反応装置に充填し、原料の1,3−ジオールとして1,3−ブタンジオール(キシダ化学株式会社、特級)を230℃でガス化して、25.8mL/h(実施例1〜3及び比較例1〜3)又は51.6mL/h(実施例4〜7)の速度で供給した。脱水反応は約320〜340℃(表1に記載)で行った。空間速度[SV]は1600h−1(実施例1〜4、6及び7、並びに比較例1〜3)又は3100h−1(実施例5)であった。

0069

実施例1〜7及び比較例1〜3で得られた触媒の物性値及び反応成績(反応原料である、1,3−ブタンジオールの転化率と、反応生成物である、アリル型不飽和アルコールであるクロチルアルコール(幾何異性体を含む)及び3−ブテン−2−オール、並びにホモアリル型アルコールである3−ブテン−1−オールの選択率)を表1に示す。

0070

0071

表1に示すとおり本発明の複合金属酸化物触媒が、1,3−ジオールから目的のアリル型不飽和アルコール化合物への変換が、低温かつ高選択率でなされることがわかる。触媒F及びGは転化率が低いためにみかけの収率(転化率×選択率)は低くなるが、工業的には選択率が高い方が好ましく、比較例よりも有利である。すなわち、転化率が低くても選択率が高ければ、生成系には未反応原料と目的生成物が多く含まれており、副生物は少ない。未反応原料は蒸留等の分離操作により、リサイクルして反応原料として再度使用することができる。一方、副生物は分離後廃棄せざるを得ず、このことにより製造コストが上昇する。

実施例

0072

ZrO2にY又はCaを少量ドープした形の触媒である比較例1及び2では、転化率が低く、かつ、目的外生成物であるホモアリル型の3−ブテン−1−オール(3B1OL)が多く生成する。一方、Xが−0.05以下である比較例3の触媒CCでは、その他の副生物が多く生成する。

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