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技術 超音波診断装置及び脈波計測方法

出願人 日立アロカメディカル株式会社
発明者 川畑健一吉川秀樹田中智彦
出願日 2014年1月15日 (7年1ヶ月経過) 出願番号 2014-005303
公開日 2017年4月13日 (3年10ヶ月経過) 公開番号 2017-070317
状態 未査定
技術分野 脈拍・心拍・血圧・血流の測定 超音波診断装置
主要キーワード 外部計測装置 正常度 ビーム照射角度 Mモード 時間変化情報 モデル像 経時情報 各計測点間
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図面 (14)

課題

比較的少ない計測回数で、より信頼性の高い脈波情報を得ることが可能な超音波診断装置を提供する。

解決手段

超音波診断装置の演算部は、生体内の血管に対し相対的に斜めに複数の超音波ビーム照射したときに、血管壁の2か所で反射されるエコー信号を用いて血管内を移動する脈波計測する脈波計測部を備える。脈波計測部は、複数の超音波ビームについて、それぞれ、血管の、プローブに近い側から反射した第1のエコー信号と、プローブに遠い側から反射した第2のエコー信号との各時間変化を得て、各反射源計測点)において脈波に起因する変化が生じる時間差血管走行方向における計測点間距離とを用いて脈波速度を算出する。

概要

背景

血管を伝わる脈波の速度は、血圧動脈硬化の程度などと深く関わっており、脈波伝達速度を正確に計測することは、健康管理患者健康状態を知る上で非常に重要である。脈波伝達速度を計測する方法としては、血圧カフを用いて上腕足首に脈波が到達する時間を心電図と対照して計測し、算出する方法がある。この方法で得られる上腕及び足首の血圧比をもとに、血圧に依存しない血管固有の硬さを示す指標であるCAVI(Cardio Ankle Vascular Index)などが算出される。

この方法(CAVI法)で求められる脈波伝達速度は、心臓から足首までの長い距離について平均的な値であるが、実際には血管内径変化や動脈硬化はその長い経路の一部で局所的に生じている場合が多い。局所的な血管性状の変化を把握する技術として超音波診断装置を利用した方法も提案されている(特許文献1)。この方法では、血管の走行方向に沿った二点に向けて超音波パルス発信し、この二点から反射された超音波信号から組織の移動量の時間的変化を検出し、時間変化と二点間の距離とから脈波伝達速度を算出する。

概要

比較的少ない計測回数で、より信頼性の高い脈波情報を得ることが可能な超音波診断装置を提供する。超音波診断装置の演算部は、生体内の血管に対し相対的に斜めに複数の超音波ビーム照射したときに、血管壁の2か所で反射されるエコー信号を用いて血管内を移動する脈波を計測する脈波計測部を備える。脈波計測部は、複数の超音波ビームについて、それぞれ、血管の、プローブに近い側から反射した第1のエコー信号と、プローブに遠い側から反射した第2のエコー信号との各時間変化を得て、各反射源計測点)において脈波に起因する変化が生じる時間差血管走行方向における計測点間距離とを用いて脈波速度を算出する。

目的

本発明は、比較的少ない計測回数で、より信頼性の高い脈波情報を得ることが可能な超音波診断装置を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

超音波ビーム生体内に送信するとともに生体からのエコー信号を受信する超音波探触子と、前記超音波探触子が受信したエコー信号を用いて、生体情報を計算する演算部と、前記演算部が計算した生体情報を表示する表示部と、を備え前記演算部は、生体内の血管に対し相対的に斜めに超音波ビームを照射したときに、前記血管の、前記超音波探触子に近い側から反射した第1のエコー信号と、前記血管の、前記超音波探触子に遠い側から反射した第2のエコー信号とを用いて、血管内を移動する脈波計測する脈波計測部を備えたことを特徴とする超音波診断装置

請求項2

請求項1に記載の超音波診断装置であって、前記脈波計測部は、前記第1のエコー信号及び前記第2のエコー信号の時間変化と、前記血管の、前記超音波探触子に近い側と遠い側との血管走行方向の距離とを用いて、脈波伝搬速度を算出する脈波伝搬速度算出部を備えたことを特徴とする超音波診断装置。

請求項3

請求項1に記載の超音波診断装置であって、前記超音波探触子は、配列した複数の振動子を備え、複数の超音波ビームを発する超音波探触子であり、前記脈波計測部は、複数の超音波ビームの各々に対応して生じる第1のエコー信号と第2のエコー信号を用いて、脈波を計測することを特徴とする超音波診断装置。

請求項4

請求項3に記載の超音波診断装置であって、前記超音波探触子の駆動を制御する制御部を備え、前記制御部は、第1の超音波ビームと前記第1の超音波ビームから振動子配列方向に離れた第2の超音波ビームとを同時に照射する第1の計測モードと、前記第1の超音波ビームと前記第1の超音波ビームから振動子配列方向に離れた第3の超音波ビームとを同時に駆動する第2の計測モードとを備え、前記第1の超音波ビームと前記第2の超音波ビームとの間隔は、前記第1の超音波ビームと前記第3の超音波ビームとの間隔と異なり、前記脈波計測部は、前記第1の計測モード及び第2の計測モードにおいてそれぞれ計測された複数組の前記第1のエコー信号及び第2のエコー信号を用いて、脈波を計測することを特徴とする超音波診断装置。

請求項5

請求項4に記載の超音波診断装置であって、前記制御部は、前記第1の超音波ビームと前記第2の超音波ビームとの間隔を、両ビームが通過する前記血管の2つの位置の間隔が、一つの超音波ビームが通過する前記血管の、前記超音波探触子に近い側と遠い側との血管走行方向の間隔より長くなるように設定することを特徴とする超音波診断装置。

請求項6

請求項1に記載の超音波診断装置であって、前記超音波探触子は、前記超音波ビームの照射方向を調整する調整手段を備えたことを特徴とする超音波診断装置。

請求項7

請求項6に記載の超音波診断装置であって、前記調整手段は、前記超音波探触子の、生体への接触面に着脱されるカップリング材であることを特徴とする超音波診断装置。

請求項8

請求項6に記載の超音波診断装置であって、前記調整手段は、前記超音波探触子の各振動子によって発せられる超音波ビームの方向を調整するビームフォーマーであることを特徴とする超音波診断装置。

請求項9

請求項1に記載の超音波診断装置であって、前記脈波計測部は、計測した脈波情報正確度を判定する判定部を備えたことを特徴とする超音波診断装置。

請求項10

請求項1に記載の超音波診断装置であって、前記脈波計測部は、計測した脈波情報を用いて、組織正常度を算出する正常度演算部を備え、前記正常度演算部が算出した正常度を前記表示部に表示させることを特徴とする超音波診断装置。

請求項11

請求項10に記載の超音波診断装置であって、前記演算部機は、前記超音波探触子が受信したエコー信号を用いて、血管の性状を算出する血管性状演算部を備え、前記正常度演算部は、前記血管性状演算部が算出した血管性状に関する情報と、前記脈波計測部が計測した脈波情報を用いて、組織の正常度を算出することを特徴とする超音波診断装置。

請求項12

請求項10に記載の超音波診断装置であって、前記正常度演算部は、外部計測装置が計測した血圧情報及び/または脈波情報を入力し、前記外部計測装置からの情報と、前記脈波計測部が計測した脈波情報とを用いて、組織の正常度を算出することを特徴とする超音波診断装置。

請求項13

請求項1に記載の超音波診断装置であって、前記脈波計測部が複数の部位について測定した脈波情報を記憶する記憶装置と、前記記憶装置に蓄積された複数の部位の脈波情報を用いて脈波速度分布を作成し、前記表示部に表示させる脈波速度分布作成部と、をさらに備えことを特徴とする超音波診断装置。

請求項14

生体内の血管に、複数の超音波ビームを血管に対し斜めに照射し、一つの超音波ビームによって、深さ方向の位置が異なる一組の血管壁で発生する2つのエコー信号を用いて脈波を計測する方法であって、前記複数の超音波ビームの間隔を調整するステップ、前記血管に対する前記超音波ビームの角度を調整するステップ、前記複数の超音波ビームの各々について得られる2つのエコー信号の時間変化を用いて、脈波の伝搬距離伝搬時間を算出し、超音波ビームの数の2倍の計測点数の脈波情報を取得するステップ、及び前記脈波情報を用いて脈波伝搬速度を算出するステップを備えたことを特徴とする脈波計測方法

請求項15

請求項14に記載の脈波計測方法であって、脈波情報を取得するステップは、複数の計測点の脈波情報を、伝搬距離と伝搬時間との関係を示すグラフプロットするステップを含み、脈波伝搬速度を算出するステップは、グラフの傾きから前記脈波伝搬速度を算出することを特徴とする脈波計測方法。

技術分野

0001

本発明は、超音波診断装置に関する。特に、血管の特定部位の状態を超音波によって計測診断する技術に関する。

背景技術

0002

血管を伝わる脈波の速度は、血圧動脈硬化の程度などと深く関わっており、脈波伝達速度を正確に計測することは、健康管理患者健康状態を知る上で非常に重要である。脈波伝達速度を計測する方法としては、血圧カフを用いて上腕足首に脈波が到達する時間を心電図と対照して計測し、算出する方法がある。この方法で得られる上腕及び足首の血圧比をもとに、血圧に依存しない血管固有の硬さを示す指標であるCAVI(Cardio Ankle Vascular Index)などが算出される。

0003

この方法(CAVI法)で求められる脈波伝達速度は、心臓から足首までの長い距離について平均的な値であるが、実際には血管内径変化や動脈硬化はその長い経路の一部で局所的に生じている場合が多い。局所的な血管性状の変化を把握する技術として超音波診断装置を利用した方法も提案されている(特許文献1)。この方法では、血管の走行方向に沿った二点に向けて超音波パルス発信し、この二点から反射された超音波信号から組織の移動量の時間的変化を検出し、時間変化と二点間の距離とから脈波伝達速度を算出する。

先行技術

0004

特開2005−52424号公報

発明が解決しようとする課題

0005

特許文献1に記載された技術では、計測した2点間の脈波伝達時刻をもとに脈波伝達速度を計測するため、従来のCAVI法などに比べて誤差が大きくなるという欠点を有する。一般に誤差は計測回数を増やすことにより少なくすることができるが、その場合、計測時間が長くなり、生体に当接させた超音波探触子と生体との位置関係すなわち血管との関係を保てない可能性も高く、それにより誤差が生じる。

0006

本発明は、比較的少ない計測回数で、より信頼性の高い脈波情報を得ることが可能な超音波診断装置を提供することを課題とする。

課題を解決するための手段

0007

本発明は、生体内の血管に対し相対的に斜めに超音波ビーム照射したときに、血管の、超音波探触子に近い側と遠い側とから得られるエコー信号を利用することで、少ない計測回数で脈波移動距離が異なる複数の計測データを取得する。

0008

すなわち、本発明の超音波診断装置は、超音波ビームを生体内に送信するとともに生体からのエコー信号を受信する超音波探触子と、前記超音波探触子が受信したエコー信号を用いて、生体情報を計算する演算部と、前記演算部が計算した生体情報を表示する表示部と、を備え、前記演算部は、生体内の血管に対し相対的に斜めに超音波ビームを照射したときに、前記血管の、前記超音波探触子に近い側から反射した第1のエコー信号と、前記血管の、前記超音波探触子に遠い側から反射した第2のエコー信号とを用いて、血管内を移動する脈波を計測する脈波計測部を備えたことを特徴とする。

発明の効果

0009

本発明によれば、比較的少ない計測回数で、より信頼性の高い脈波情報を得ることが可能な超音波診断装置を提供することができる。

図面の簡単な説明

0010

本発明の超音波診断装置の第一実施形態を示す機能ブロック
第一実施形態の脈波計測手順を示す図
血管に対する超音波ビームの角度を説明する図で、(a)は第一実施形態の脈波計測の場合、(b)は従来の脈波計測の場合を示す。
血管の走行方向が斜めの場合を示す図
一つの超音波ビームに対するエコー信号の時間変化を示す図
脈波移動時間を脈波移動距離に対しプロットした図で、(a)は第一実施形態の脈波計測の場合、(b)は従来の脈波計測の場合、(c)は第二実施形態の脈波計測の場合を示す。
本発明の超音波診断装置の第二実施形態を示す機能ブロック図
第二実施形態の脈波計測手順を示す図
第二実施形態におけるモード超音波ビームの方向を説明する図で、(a)は幅広モードの場合、(b)は幅狭モードの場合を示す。
第三実施形態の超音波診断装置の、超音波探触子とカップリング材との関係を示す図
本発明の超音波診断装置の第四実施形態を示す機能ブロック図
本発明の超音波診断装置の第五実施形態を示す機能ブロック図
第五実施形態の脈波計測手順を示す図

実施例

0011

本実施形態の超音波診断装置は、超音波ビームを生体内に送信するとともに生体からのエコー信号を受信する超音波探触子(1)と、超音波探触子(1)が受信したエコー信号を用いて、生体情報を計算する演算部(4)と、する演算部(4)が計算した生体情報を表示する表示部(6)と、を備える。演算部(4)は、生体内の血管に対し相対的に斜めに超音波ビームを照射したときに、血管の、超音波探触子(1)に近い側から反射した第1のエコー信号と、血管の、超音波探触子(1)に遠い側から反射した第2のエコー信号とを用いて、血管内を移動する脈波を計測する脈波計測部(40)を備える。

0012

脈波計測部(40)は、第1のエコー信号及び第2のエコー信号の時間変化と、血管の、前記超音波探触子に近い側と遠い側との血管走行方向の距離とを用いて、脈波伝搬速度を算出する脈波速度算出部(45)を備える。

0013

本実施形態において、超音波探触子(1)は、配列した複数の振動子を備え、複数の超音波ビームを発する超音波探触子であり、脈波計測部(40)は、複数の超音波ビームの各々に対応して生じる第1のエコー信号と第2のエコー信号を用いて、脈波を計測する。

0014

なお「超音波ビームが血管に対し相対的に斜め」とは、血管の走行方向と直交する方向に超音波ビームが照射される場合を基準とした場合に、超音波ビームが血管の走行方向に対し90°よりも小さい角度を持って入射されることを意味し、プローブの表面と超音波ビームとのなす角度とは同義ではない。
また以下の説明では、「脈波伝達速度」は単に「脈波速度」とも言う。

0015

<第一実施形態>
以下、図面を参照して、第一実施形態の超音波診断装置を説明する。

0016

本実施形態の超音波診断装置は、図1に示すように、複数の振動子(不図示)を一次元或いは二次元方向に配列し、生体に対し超音波ビームの発信と生体からの反射エコーである超音波信号の受信を行うプローブ(超音波探触子)1と、プローブ1の振動子を駆動し、プローブ1から超音波ビームを発信させる発信部2と、プローブ1が受信した超音波信号に対し増幅整相等の信号処理を行う受信部3と、受信部3から出力される信号を用いて脈波に関する情報を算出する演算部(脈波計測部)4と、演算部4で算出された脈波情報を表示する表示部6と、計測に必要な条件や演算に必要なパラメータなどを入力するための入力部7と、を備えている。表示部6は、表示画像を制御する表示制御部61を備えている。

0017

プローブ1は、複数の振動子を電子的に切り替えビームフォーカシングを行う電子走査方式のプローブ1であり、リニア型コンベックス型セクタ型など公知のものを用いることができる。発信部2には、プローブ1に含まれる複数の振動子を所定の周波数で駆動する超音波信号発信回路21、超音波信号発信回路から発信される送信信号を複数の振動子に対し所定の遅延関係を持って供給する遅延制御部(ビームフォーマー)23が備えられており、各振動子に与えられる遅延時間を制御することにより、超音波ビームの方向や深度フォーカス位置)等を調整することができる。

0018

遅延制御部23は、入力部7を介して入力される関心領域の指定及びビーム角度に基づき、超音波ビームの方向や深度を調整する。操作者は、例えば、Bモード画像をもとに検査対象となる血管を含む関心領域を設定し、またその血管に対する角度をビーム角度として設定することができる。このため入力部7には、送信信号の周波数を設定する周波数設定部や増幅器ゲインを設定するゲイン設定部とともに、関心領域設定部71、角度設定部72、複数の超音波ビームの間隔(ビーム間隔)を設定するビーム間隔設定部73が備えられている。なお入力部7は、各種設定を行うためのボタンキーボードトラックボールなどを含み、その一部はタッチパネルで構成することができる。

0019

受信部3には、各振動子からの信号を増幅する増幅部31、発信部2の遅延制御部23で各振動子に与えられた遅延時間に対応する遅延処理(整相)を行う遅延処理部32、アポダイゼーション処理部33、加算部(不図示)などが備えられている。受信部3は、これら各部の処理により、送信ビームに対応する受信信号を生成する。受信信号は、必要に応じて不要波成分除去、スペクトル演算等の処理を施された後、表示制御部61によりBモード、Mモード、或いはドプラーモードの表示画像に構成される。これら表示画像を作成するために、図1では示していないが、一般的な超音波診断装置が備える要素、例えば、Bモード処理部やDSC(Digital Scan Converter)やさらにはドプラー処理部などを信号処理部として備えていてもよい。

0020

脈波計測部40は、脈波速度を算出するために、脈波到達時間演算部41、距離演算部42、脈波速度演算部45などを備えている。本実施形態では、反射源時間的位置変化を記録するモードで計測が行われ、脈波到達時間演算部41は、複数の反射源からの受信信号の時間変化をもとに脈波到達時間を計算する。距離演算部42は、例えばBモード画像から関心領域内での脈波の移動距離具体的には血管の複数の計測点間の距離を計算する。脈波速度演算部45は、脈波到達時間演算部41が計算した脈波到達時間と距離演算部43が計算した距離を用いて脈波速度を計算する。

0021

次に上記構成を踏まえ、本実施形態の超音波診断装置の動作を、脈波計測部2の動作を中心に説明する。図2に動作の手順を示す。

0022

まず操作者が、入力部7の関心領域設定部71を介して、目的とする血管を含む関心領域を設定する(S201)。関心領域の設定は、表示部6に映し出された超音波画像(Bモード画像)を用いて、目的の血管が含まれるように決定することができる。必要に応じて目的血管描出能が良好となる計測条件を設定する。例えば、超音波強度および周波数を血管壁からのエコー信号を計測可能な範囲に設定する。

0023

次いで目的血管に対するプローブ1から照射される超音波ビームの角度を設定する(S202)。図3(b)に示すように、目的血管300が被検者体表にほぼ平行に走行している場合、目的血管300はプローブ1を体表(皮膚)305に当接したとき、その表面(被検者の体表に当接する面)が目的血管300と平行であり、プローブ1表面から垂直に照射される超音波ビーム310、320と血管300とがなす角度は約90°である。本実施形態では、図3(a)に示すように、プローブ1から照射される超音波ビーム310、320の角度を調節し、超音波ビーム310、320が血管300に対し斜めに照射されるようにする。

0024

超音波ビーム310、320と血管300の走行方向とがなす角度θは、血管300の太さによって異なり、体表に近い方の血管壁300−1において超音波ビーム310が当たる点A1と、体表から遠い側の血管壁300−2において超音波ビーム310が当たる点A2との血管走行方向の位置の差Lが所定の値以上となるようにする。所定の値Lについては、脈波による血管壁の変位が最大60Hz程度までの周波数成分を含み、特定の部位への到達を位相で検出することを考慮すると、点A1と点A2との走行方向の位置の差が概ね0.5mm以上であることが好ましく。角度θはLが0.5mm以上となるように設定することが望ましい。なお点A1及び点A2は、反射エコーを生じる点(反射源)であり、以下、計測点という。

0025

具体的には血管の径D、計測点A1とA2との血管走行方向の位置の差(走行方向の距離)をLとすると、角度θは、
[数1]
θ≧arctan(D/L) (1)
となる。血管の径DはBモード像から把握することができるので、この値を用いて角度を決定することができる。具体的には、規定値としてL(0.5mm)を設定しておき、関心領域設定時に目的血管の指定を受け付け、自動的に超音波ビームの角度θを設定するようにしてもよい。また操作者がLの値を入力し変更可能にしてもよい。

0026

なお図3は血管が体表にほぼ平行に走行している場合であるが、図4に示すように、血管300が体表305に対し深度方向に斜めに走行している場合もあり得る。この場合には、血管300が走行する断面において体表に対する血管300の傾斜角度αと、目標とする血管300と照射ビームとの角度θとの和が超音波ビームのプローブ1の面に対する角度θpなるように、超音波ビームの角度θpを設定すればよい。

0027

次にプローブ1から照射する複数本例えば2本の超音波ビームの間隔W0を設定する(S203)。以下、超音波ビームが2本の平行ビームである場合を例に説明する。超音波ビームの間隔は、2本の超音波ビームが血管に入射する点(図3のA1、B1)の間隔Wが、計測点A1と計測点A2との間隔Lの2倍か、それ以上となるように設定することが好ましい。なお図3(b)に示すように、プローブ1がリニア型で2本の超音波ビームが平行ビームの場合には、ビーム間隔は、2本の超音波ビームが血管に入射する点の間隔Wとほぼ等しい。ステップS202及びS203で設定された値L、Wは、それぞれ図示しないメモリに記録され、脈波速度演算部45による演算に使用される。

0028

このように超音波ビームの照射角度及び照射ビームの間隔を設定した後、超音波ビームの照射を開始し、2つの超音波ビームからのエコー信号を連続的に受信する(S204)。超音波ビームの間隔および超音波ビームの角度すなわち照射方向はプローブ1の振動子の駆動と遅延関係を制御する遅延制御部23によって制御される。

0029

図5に、一つの超音波ビームに対応する受信信号の時間変化を示している。図5グラフにおいて、横軸は深度、縦軸信号強度である。図示するように、受信信号には、計測点A1及びA2に対応する二つのピークがあり、それぞれのピーク位置は脈波の伝搬により横軸方向にずれる。すなわち振動方向の位置が変化する。ここで超音波ビームが血管に対し斜めに入射しているので、計測点A1と計測点A2は血管の走行方向にずれた位置にあり、脈波の伝搬する時刻が異なる。このように2つの超音波ビームからのエコー信号(受信信号)を連続的に取得することにより、図3(a)に示す4つの計測点A1、A2、B1、B2(走行方向の順でA2、A1、B2、B1)の深度方向の位置変化とそれが生じた時刻を求めることができる。

0030

脈波計測部40は、受信信号を用いて、まず各計測点A2、A1、B2、B1の脈波伝搬時刻を決定する(S205)。脈波伝達時刻の算出は、例えば、血管の各計測点の平均的な位置を中心とする空間ゲートを設け、計測点の位置が空間ゲートから外側にずれた時刻を脈波到達時間とする。各計測点の脈波到達時間を決定した後、計測点間を移動する脈波の移動時間を計算する(S206)。最後に各計測点間の距離Lnと、移動時間ΔTnを用いて、脈波の伝達速度Vnを算出する(S207)。
[数2]
Vn=Ln÷ΔTn (2)

0031

式(2)において、下付き文字の「n」は、1,2,3・・・N(Nは「計測点数−1」の整数であり、上述のように計測点が4点の場合、3つの異なる距離すなわちA2−A1間の距離L1、A2−B2間の距離L2、A2−B1間の距離L3に対応して、3つの速度V1、V2、V3が算出される。3つの距離L1、L2、L3は、血管の径D(Bモード像から取得)、設定した超音波ビームの角度θ、ビーム間隔Wを用いて、距離演算部42が算出する。超音波ビームが平行ビームであって、血管が体表と平行に走行している単純な例では、次のとおりである。
A2−A1間の距離L1は、L1=D÷tanθ
A2−B1間の距離L2は、L2=L1+[A1−B1間距離]=L1+W
A2−B2間の距離L3は、L3=L2+[B2−B1間距離]=L2+L1

0032

こうして算出される3つの速度は関心領域内での脈波の速度が均一であれば同じ値になるはずであるが、装置精度の制約からある程度のばらつきを持つ。そこで得られる複数(ここでは3つ)の速度の平均値を求め、それを脈波速度としてもよいし、Lnとtnの関係を一次関数近似し、一次関数の傾きを脈波速度としてもよい。なお脈波は繰り返し現れるものであるから、所定の時間内で複数回計測した脈波速度を加算して精度を向上することも可能である。

0033

算出された脈波速度は、表示部6に表示される(S208)。表示部6における脈波速度の表示形態は、種々の形態を取りえる。例えば脈波速度を数値で表示してもよいし、標準的な脈波速度に対する相対的な評価で表示してもよい。また脈波速度を超音波画像(Bモード像)と同一画面重畳的に或いは並列に表示することも可能である。

0034

従来技術に対する本実施形態の効果を、図3(a)、(b)及び図6を参照して説明する。図3(a)は本実施形態に従い超音波ビームを血管に対し斜めに照射した場合の計測点を示している。図6(a)は本実施形態で得られた脈波移動時間を移動距離に対しプロットした図である。図6(a)のグラフの傾きが脈波速度となる。図3(b)は従来の超音波診断装置による脈波計測技術である。この場合、超音波ビームは血管300に対し直交して照射されるので、計測点はA1、A2、B1、B2の4点であるが、脈波は、血管の走行方向に対し直交する方向の血管の変位として観察されるので、計測点A1とA2、計測点B1とB2、ではそれぞれ脈波の到達時刻は等しい。図6(b)は従来技術で得られた脈波移動時間を移動距離に対しプロットした図である。図6からわかるように、従来技術では、1回の計測ではA1−B1間の距離とA1−B1間を移動する脈波の移動時間の一組の情報しか得られない。これはA2−B1間の距離とA2−B1間の脈波の移動時間を用いる情報と、A1−B1間の距離とA1−B1間の脈波の移動時間を用いる情報との独立性が低いためである。これに対し、本実施形態では同じ1回の計測で従来技術の3倍の点数の情報を得ることができ、算出される脈波速度の精度を向上することができる。このように、本実施形態では、従来の脈波伝達速度計算に必要な一組のデータを得るための計測と同じ計測時間で、より多くのデータを得ることを可能にする。これにより計測時間の長時間化を招くことなくデータ点数を増やし、算出される脈波伝達速度の精度を高めることができる。

0035

また、前掲の例では、脈波の移動距離として、A2−A1間の距離L1、A2−B2間の距離L2、A2−B1間の距離L3を求め、これらの3つの距離から脈波速度を算出する場合を説明したが、例えばA2−A1間、A1−B2間、B2−B1間の3つの距離を用いてもよく、その場合にも算出される脈波速度の点数を増やすことができ、精度を向上できる。

0036

なお本実施形態は、血管の変位から脈波を観察しているので、血管を流れる血流の方向の影響は受けない。つまり血流がどちらに向かっている場合にも、同様に本実施形態を適用することができる。

0037

<第二実施形態>
本実施形態の超音波診断装置も、血管の走行方向に対し相対的に斜めに複数本の超音波ビームを照射することは第一実施形態と同じであるが、本実施形態は、複数本のビーム間隔を異ならせた複数の計測モードで計測を行うことが特徴である。

0038

すなわち本実施形態の超音波診断装置は、超音波探触子の駆動を制御する制御部を備え、制御部は、超音波ビームの組み合わせが異なる2つの計測モード、第1の計測モードと第2の計測モードを備える。第1の計測モードでは、第1の超音波ビームと第1の超音波ビームから振動子配列方向に離れた第2の超音波ビームとを同時に照射し、第1の計測モードでは、第1の超音波ビームと第1の超音波ビームから振動子配列方向に離れた第3の超音波ビームとを同時に照射する。第1の超音波ビームと第3の超音波ビームとの間隔は、第1の超音波ビームと第2の超音波ビームとの間隔と異なる間隔である。脈波計測部は、これら第1の計測モード及び第2の計測モードにおいてそれぞれ計測された複数組の第1のエコー信号及び第2のエコー信号を用いて、脈波を計測する。なお第1の計測モード及び第2の計測モードのうち、ビーム間の幅(間隔)が広いほうの計測モードを幅広モード、ビーム間の幅が狭いほうの計測モードを幅狭モードと呼ぶ。

0039

また本実施形態の超音波診断装置において、制御部は、第1の超音波ビームと第2の超音波ビームとの距離を、同一の超音波ビームが通過する血管の、超音波探触子に近い側と遠い側との血管走行方向の距離より長く設定する。

0040

以下、図7図9を参照して本実施形態を詳述する。なお図7において第一実施形態と同じ要素は同じ符号で示し重複する説明は省略する。

0041

本実施形態の超音波診断装置は、図1に示す第一実施形態の超音波診断装置とほぼ同様であるが、装置を複数の計測モードで動作させるための制御部5が備えられている点が異なる。複数の計測モードは、一例として、幅広モード及び幅狭モードであり、制御部5はこれら二つの計測モードを連続して行うように発信部2、受信部3及び演算部4に指令を送る。また入力部7は、複数の計測モードで計測することを選択する計測モード選択部75が設けられる。

0042

発信部2は、制御部5からの指令により、幅広モードと幅狭モードにおいて、それぞれプローブ1から発せられる複数の超音波ビームのビーム間隔を異ならせる。幅広モードと幅狭モードにおけるビーム間隔は、予め所定の間隔を設定しておいてもよいし、入力部7を介して操作者が設定・変更することも可能である。

0043

受信部3は、各計測モードの受信信号を演算部4に送り、演算部4は、両計測モードの受信信号を用いて脈波到達時間や脈波速度の計算を行う。また演算部4は、両計測モードを連続して動作させるために、一つの計測モードにおける計測値を比較する第1比較部43、計測モード間の計測値を比較する第2比較部44を備えている。第1比較部43、第2比較部44の結果は制御部5及び表示部6に渡され、これにより計測モードの切替や、やり直しが行われる。

0044

上記構成を踏まえ、本実施形態の超音波診断装置の動作を説明する。図8に動作の手順を示す。図8において図2のステップと同じステップは対応する符号で示し、重複する説明を省略する。

0045

まず関心領域を設定し(S201)、目的血管に対する超音波ビームの照射角度を設定する(S202)。血管に対するビーム照射角度θは、第一実施形態と同様に、超音波ビームが照射される体表側の血管位置(計測点A1)と体表から遠い側の血管位置(計測点A2)との血管走行方向における位置の差が所定の値(例えば0.5mm以上)となるように設定することが好ましい。上記条件を満たせば、ビーム照射角度θは、幅広モードと幅狭モードとで同一でも異ならせてもよい。

0046

次に幅広モード、幅狭モードのそれぞれについて、複数本例えば2本の超音波ビームのビーム間隔W1、W2を設定する(S801)。図9(a)、(b)に2つの計測モードにおける2本の超音波ビームの関係を示す。ここでも説明を簡単にするために、血管300が体表305に対しほぼ平行に走行している場合を示すが、血管300が体表305に対し角度を持って走行している場合にも超音波ビームと血管300との角度は、血管300が体表305と平行な場合の角度と同じになるように設定される。図9(a)に示す幅広モードにおいて、2本の超音波ビーム310、320の一方310が血管の体表に近い側に入射される点をA1、遠い側に入射される点をA2、超音波ビームの他方320が血管の体表に近い側に入射される点をB1、遠い側に入射される点をB2、とする。二つの計測モードが行われる間、プローブ1を移動させないことが前提であり、図9(b)に示す幅狭モードにおける超音波ビームの一方310は、幅広モードの超音波ビーム310と同じで血管の位置A1、A2に入射される。幅狭モードにおいて超音波ビームの他方330が血管の体表に近い側に入射される点をC1、遠い側に入射される点をC2、とする。

0047

幅狭モードにおけるビーム間隔W2(平行ビームの場合、A1−C1間距離に等しい)は、A1−A2間血管走行方向距離L1より大きいことが好ましく、幅広モードにおけるビーム間隔W1は幅狭モードにおけるビーム間隔W2より大きい。すなわち、L1<W2<W1となるようにビーム間隔を設定する。一例としてW2はL1の約2倍、W1はW2の約2倍に設定する。

0048

こうして超音波ビーム角度及びビーム間隔を設定した後、まず幅広モードで所定の計測回数(n回:nは1以上の整数)の計測を開始する(S802)。すなわち所定時間、超音波ビーム310、320を送受信する計測をn回繰り返す。このとき超音波ビームの間隔や角度は発信部2の遅延制御部23によって制御されることは第一実施形態と同様である。

0049

演算部4は受信部3が連続して受信した受信信号を入力し、脈波速度を算出する(S803)。この計算は第一実施形態と同様であり、予め算出された3つの計測点間距離(A2−A1、A2−B2、A2−B1)を用いて脈波速度を算出する。

0050

計測がn回に達した段階で、第1比較部43においてn回の計測で得られた脈波速度の偏差を求め、予め設定された閾値と比較する(S804)。閾値は、例えばn回の計測値の10%程度とする。制御部5は、得られた偏差が予め設定された閾値よりも大きい場合には、測定不良と判断し、ビーム角度及び/又はビーム間隔を変更することによって計測点の全て又は一部の位置を変更して再度幅広モードでn回計測する。得られた偏差が予め設定された閾値よりも小さい場合には、測定良好と判断し、続いて幅狭モードでの計測に移行する(S805)。

0051

幅狭モードも予め設定された回数(m回:mは1以上の整数)、超音波ビーム310および330を送受信する。m回の各受信により得られた受信信号を用いて、脈波の移動速度を算出する(S806)。この計算は第一実施形態と同様であり、予め算出された3つの計測点間距離(A2−A1、A2−C2、A2−C1)を用いて脈波速度を算出する。計測がm回に達した段階で、第1比較部43においてm回の計測で得られた脈波速度の偏差を求め、予め設定された閾値と比較する(S807)。得られた偏差が予め設定された閾値よりも大きい場合には、測定不良と判断し、計測点C1、C2の位置すなわち超音波ビーム330の超音波ビーム310に対する位置を変更して再度幅狭モードでm回計測する。得られた偏差が予め設定された閾値よりも小さい場合には、測定良好と判断し、得られた幅広モード及び幅狭モードのデータから脈波速度を算出する(S808)。

0052

ステップS808では、幅広モードで算出されたn個の脈波速度と、幅狭モードで算出されたm個の脈波速度を単純平均或いは重み付け平均して脈波速度として算出することができる。重み付けする場合の重み付け係数は、一方(例えば幅広モード)を他方(幅狭モード)より重くしてもよいし、繰り返し回数(n、m)に応じて設定してもよい。

0053

また二つのモードで得られた脈波速度を一度に平均するのではなく、幅広モード或いは二つのモードで算出された脈波速度をモード毎に平均し、それぞれの分散に応じて重み付け加算してもよい。またモード毎に平均値を求める場合には、第2比較部44で幅広モードと幅狭モードの結果を比較することができ、この場合、比較結果によって表示部6に計測のやり直しを促すメッセージを表示するようにしてもよい。

0054

最終的に算出された脈波移動速度を、表示部6に任意の表示形態で表示することは第一実施形態と同様である(S208)。

0055

本実施形態によれば、ビーム間隔が異なる2つのモードで計測を行うことにより、被検者(関心領域)に対するプローブ1の位置を変化させるとなく、計測回数を増加することができ、得られる脈波移動速度の精度を向上することができる。本実施形態に対応する計測データを図6(c)に示す。図6(a)に比べさらにデータ点数が多くなっていることがわかる。

0056

なお第二の実施形態では、プローブ1を動かさない前提で幅広モードと幅狭モードの計測を連続して行う場合を説明したが、例えば、プローブ1が超音波ビームの間隔を可変にする機能を有していない場合、ビーム間隔が異なる2つのプローブを用いて2回の計測を行うことも可能である。或いは二つのプローブを用い2回の計測を行い、2回の計測中に一つのプローブの位置は固定し、もう一つのプローブの位置(固定したプローブに対する間隔)を異ならせることも可能である。いずれの場合にも、超音波ビームの照射角度を血管に対し斜めにした計測データを用いることにより、1回の計測毎に複数の脈波移動距離の情報と到達時間差の情報を得ることができ、脈波速度計測の精度を高めることができる。

0057

<第三実施形態>
第一及び第二実施形態では、超音波ビームの角度をプローブ1の発信部2(遅延制御部23)によって制御する場合を説明したが、本実施形態では、プローブ1と被検者との間にプローブ1の角度を変えるカップリング材10を採用する。その他の構成は第一又は第二実施形態と同様であるので説明を省略する。

0058

図10にプローブ1とカップリング材10との関係を示す。図示するようにカップリング材10は、側面から見た形状が三角形であり、被検者の皮膚に当接される底面10bと、プローブ1に固定される上面10aとは所定の角度βを持っている。このようなカップリング材10をプローブ1の表面に固定した場合、プローブ表面から垂直に発せられる超音波ビームは、体表面にほぼ平行に走行する血管300に対して、[90°−β]の角度で入射する。従って血管に対する超音波ビームを角度θで斜めに照射して計測する場合、[90°−θ]の傾斜を持つカップリング材を用いることにより、所望の斜め照射を達成することができる。

0059

既に説明したように、角度θの範囲は目的とする血管の径Dに依存するが、ある程度の許容範囲があるので、傾斜が固定しているカップリング材10を用いても本発明の効果を得ることができる。

0060

<第四実施形態>
本実施形態の超音波診断装置は、脈波速度計測に加えて、超音波撮像により得られた超音波画像や超音波計測以外の計測装置の計測結果から脈波速度以外の血管性状に関する情報を得て、脈波速度と血管性状に関する特性とを用いて組織の正常度を算出する機能を備えることが特徴である。本実施形態において脈波速度計測に関わる装置構成は、第一〜第三実施形態のいずれか同様とすることができる。以下、第二実施形態の装置構成を基本として、重複する要素の説明は省略し、異なる点を中心に説明する。

0061

図11に本実施形態の超音波診断装置の機能ブロック図を示す。図11中、図1と同じ構成要素は同じ符号で示し、詳細な説明は省略する。図11に示すように、本実施形態の超音波診断装置は、演算部4が血管性状演算部47を備えることが特徴であり、血管性状演算部47には、外部の計測装置9の計測結果を外部装置から直接或いは入力部7を介して入力することができる。表示部6には、血管性状演算部47が算出した血管正常度が表示される。

0062

血管性状演算部47で行う演算としては、血管径あるいは血管の内膜中膜外膜等各膜の厚みなど形状に関するもの、血管壁の経時的変化から求められる機能に関するものが含まれる。血管の機能に関する指標の例としては、例えば血管壁の時間的変動から得られるスティフネスパラメータ(βパラメータ)などがある。βパラメータは、次式によって与えられる。

0063

[数3]
β={ln(Ps/Pd)}/(ΔD/Dd) (3)
式中、Ps、Pdはそれぞれ収縮期血圧最高血圧)、拡張期血圧最低血圧)、ΔDは最大血管径Ds(最高血圧時)と最小血管径Dd(最小血圧時)との差である。Ps、Pdは予め計測していたものを入力部7から入力してもよいし、超音波計測と並行して血圧計測を行い、血圧計(計測装置9)からの計測結果を取りこむようにしてもよい。Ds、Ddは超音波画像から計測することができる。

0064

血管性状演算部47は、計算した血管径等の形状に関する数値や機能に関する指標は、そのまま脈波速度とともに表示部6に表示してもよいし、複数の指標と脈波速度を総合した指標を設けて、その指標により血管正常度を判定し、結果を表示するようにしてもよい。

0065

また超音波撮像と並行してCAVI法による計測を行い、本実施形態で得られる局所的な脈波速度とCAVI法で計測される全身の平均的な脈波速度双方の値を用いて、血管の正常度を算出してもよい。例えば、血管性状演算部47は、全身の平均的な脈波速度と局所的な脈波速度とを比較し、脈波速度が速い部位については動脈硬化が進んでいると判断し、結果を表示する。

0066

本実施形態によれば、脈波速度に加えて、血管の性状に関する情報を併せて提供することができ、超音波診断装置による血管正常度の診断に資することができる。

0067

<第五実施形態>
本実施形態の超音波診断装置は、局所的に計測される脈波速度を格納する機能を備えることが特徴であり、異なる部位や異なる時間で計測した複数の脈波速度を用いて、脈波速度の時間変化情報や脈波速度の分布を提供することが特徴である。本実施形態において脈波速度計測に関わる装置構成は、第一〜第三実施形態のいずれか同様とすることができる。以下、第二実施形態の装置構成を基本として、重複する要素の説明は省略し、異なる点を中心に説明する。

0068

図12に本実施形態の超音波診断装置の機能ブロック図を示す。図12中、図1と同じ構成要素は同じ符号で示し、詳細な説明は省略する。図12に示すように、本実施形態の超音波診断装置は、図1の装置に対し、1回又は数回の計測で得られた所定の部位の脈波速度を算出した結果を格納する記憶部8と、記憶部8に格納された複数の脈波速度情報を用いて脈波速度分布を作成する速度分布作成部48とが追加されている。速度分布作成部49に代えて或いは脈波速度分布作成部48に加えて、脈波速度経時情報作成部49を備えていてもよい。

0069

記憶部8は、同一の被検者(関心領域)に対し行われた1回または複数回からなる1セットの計測データを、そのデータに付帯する情報(被検者ID、部位、計測時間など)とともに記録するメモリである。脈波速度分布作成部48は、同一の被検者について計測された複数の血管(関心領域)の脈波速度をもとに脈波分布を作成する。脈波分布は例えば分布図として作成される。脈波速度経時情報作成部49は、同一の被検者の同一血管における脈波速度の長期的或いは短期的な変化を示すグラフ等を作成する。脈波速度分布作成部48が作成した分布図や脈波速度経時情報作成部49が作成したグラフは、超音波画像とともに或いは独立して表示部6に表示される。

0070

次に上記構成を踏まえて本実施形態の超音波診断装置の動作手順を説明する。図13に動作手順を示す。図13フローにおいて図2図8と同じステップは対応する符号で示し説明を省略する。

0071

まず関心領域(ROI)を設定し、関心領域に含まれる血管に対する超音波ビームの角度、複数の超音波ビームの間隔を設定する(S201〜S203)。次いで計測を開始する(S204)。計測が幅広モードと幅狭モードの2種のモードで行う場合には、図8のステップS801〜S807の手順で計測を行い、脈波速度を算出する(S206、S808)。算出した脈波速度を、設定したROIと関連付けて記憶部8に記録する(S1301)。このとき外部の計測装置(図11)から血圧やCAVI値などが入力されている場合には、それらの情報もともに記録する。

0072

その後、ROIを変更して、目的とするROIすべての計測が終了するまで上記ステップを繰り返す(S1302)。すべてのROIの計測が終了後、脈波速度分布を得る。脈波速度分布は、そのままROIと脈波速度とをテーブルにしたものとして表示してもよいが、分布図を作成し、超音波画像上や全身モデル像の上に、重畳して表示してもよい。分布図は、例えばCAVI法で得られる脈波速度(全身の平均値)等を基準として、ROI毎の脈波速度を相対化し、相対値に所定の色や階調割当てることにより作成できる。このような分布図を表示することにより、特に脈波速度が速い部分或いは遅い部分を一目で確認することができ、動脈硬化等の診断に情報を提供することができる。

0073

図13に示す例は、ROI毎の脈波速度データを蓄積し、脈波速度分布を得る場合であるが、同一の被検者について時間を置いて計測した脈波速度データを蓄積し、当該被検者の脈波速度の経時的な変化(長期的或いは短期的な変化)のデータを得ることも可能である。

0074

本実施形態によれば、計測毎の脈波速度を記録する記憶手段と記憶手段に蓄積されたデータを集計する手段とを備えたことにより、超音波診断装置で計測される脈波速度をさらに診断に利用しやすい形で提供することができる。

0075

以上、本発明の超音波診断装置の各実施形態を説明したが、これら実施形態は適宜組み合わせて実施することが可能であり、また従来の超音波診断装置が備える機能を追加したり適宜変更することも可能である。

0076

本発明によれば比較的短い計測時間で精度の高い脈波情報を得ることができ、血管の正常度の診断に有効な情報を提供できる。

0077

1・・・プローブ、2・・・発信部、3・・・送信部、4・・・演算部、5・・・制御部、6・・・表示部6・・・入力部、8・・・記憶部、9・・・計測装置、10・・・カップリング材、21・・・超音波信号発信回路、23・・・遅延制御部(ビームフォーマー)、31・・・増幅部、32・・・遅延処理部、33・・・アポダイゼーション処理部、41・・・脈波到達時間演算部、42・・・距離演算部、43・・・第1比較部、44・・・第2比較部、45・・・脈波速度演算部、47・・・血管性状演算部、48・・・脈波速度分布作成部、49・・・脈波速度経時情報作成部。

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