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技術 電力制御方法、及び、電力制御装置

出願人 日産自動車株式会社
発明者 川村弘道
出願日 2015年9月30日 (3年9ヶ月経過) 出願番号 2015-193243
公開日 2017年4月6日 (2年3ヶ月経過) 公開番号 2017-070095
状態 特許登録済
技術分野 無整流子電動機の制御 交流電動機の制御一般
主要キーワード 電流測定ステップ 周波数変更後 中間点付近 整流方向 算出時刻 オフ区間 フィードバック出力 オン区間
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (7)

課題

モータ回転制御の精度を向上させる電力制御方法、及び、電力制御装置を提供する。

解決手段

電力制御方法は、デューティ指令値キャリア波との大きさを比較し、該比較した結果に応じてPWM信号を求め、該PWM信号を用いてモータへの印加電圧振幅又は位相を制御する電力制御方法であって、印加電圧のベクトルを制御するベクトル制御デューティ指令値を算出するベクトル制御指令値算出ステップと、印加電圧の位相を制御する位相制御デューティ指令値を算出する位相制御指令値算出ステップと、ベクトル制御デューティ指令値が算出される時点において、該ベクトル制御デューティ指令値が前記キャリア波を超えるか否かを判定する判定ステップと、判定ステップの判定結果に応じて、キャリア波と比較されるデューティ指令値をベクトル制御デューティ指令値から位相制御デューティ指令値に切り替え切り替えステップと、を有する。

概要

背景

直流電力交流電力に変換して三相交流モータ印加する電力制御方法の一つとして、パルス幅変調(Pulse Width Modulation:PWM)電力制御方法が知られている。

一般的なPWM電力制御方法においては、モータに供給される電流が順次測定され、その測定電流、及び、モータの要求トルクに応じて、デューティ指令値が求められる。そして、デューティ指令値とキャリア波との大きさが比較され、比較結果に基づいてPWM信号が生成される。PWM信号を用いてインバータスイッチング素子オンオフを操作することにより、モータへの印加電圧パルス幅が制御され、モータに所望の電力が供給される。

ここで、測定電流に含まれるノイズが最小となるように、スイッチング素子のオン区間オフ区間中間点となる、キャリア波の大きさが最大又は最小となるタイミングにおいて、モータに供給される電流が測定される。電流が測定されてからデューティ指令値が算出されるまでの間にキャリア波が変化するため、算出されたデューティ指令値の大きさによっては、デューティ指令値の算出が完了した時点において、すでにデューティ指令値とキャリア波との大きさが等しくなるタイミングを過ぎていることがある。このような場合には、スイッチング素子を操作するタイミングが本来のタイミングから遅れてしまう。

この対策として、特許文献1においては、算出されたデューティ指令値が、デューティ指令値の算出が完了した時点でのキャリア波の大きさを上回る場合に、スイッチング素子がオンになるタイミング及びオフになるタイミングを共に遅らせる技術が開示されている。

概要

モータの回転制御の精度を向上させる電力制御方法、及び、電力制御装置を提供する。電力制御方法は、デューティ指令値とキャリア波との大きさを比較し、該比較した結果に応じてPWM信号を求め、該PWM信号を用いてモータへの印加電圧の振幅又は位相を制御する電力制御方法であって、印加電圧のベクトルを制御するベクトル制御デューティ指令値を算出するベクトル制御指令値算出ステップと、印加電圧の位相を制御する位相制御デューティ指令値を算出する位相制御指令値算出ステップと、ベクトル制御デューティ指令値が算出される時点において、該ベクトル制御デューティ指令値が前記キャリア波を超えるか否かを判定する判定ステップと、判定ステップの判定結果に応じて、キャリア波と比較されるデューティ指令値をベクトル制御デューティ指令値から位相制御デューティ指令値に切り替え切り替えステップと、を有する。

目的

本発明は、このような課題に着目してなされたものであり、モータの回転制御の精度を高めることができる電力制御装置、及び、電力制御装置を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

デューティ指令値キャリア波との大きさを比較し、該比較した結果に応じてPWM信号を求め、該PWM信号を用いてモータへの印加電圧振幅及び位相を制御する電力制御方法であって、前記モータへの印加電圧の振幅及び位相成分を有するベクトルを制御するベクトル制御デューティ指令値を算出するベクトル制御指令値算出ステップと、前記モータへの印加電圧の位相を制御する位相制御デューティ指令値を算出する位相制御指令値算出ステップと、前記ベクトル制御指令値算出ステップにて前記ベクトル制御デューティ指令値が算出される時点において、該ベクトル制御デューティ指令値が前記キャリア波を超えるか否かを判定する判定ステップと、前記判定ステップの判定結果に応じて、前記キャリア波と比較されるデューティ指令値を、前記ベクトル制御デューティ指令値から、前記位相制御デューティ指令値に切り替える、切り替えステップと、を有する、ことを特徴とする電力制御方法。

請求項2

請求項1に記載の電力制御方法であって、前記位相制御デューティ指令値を、前記位相制御デューティ指令値の算出時間、及び、前記キャリア波の周波数に応じた大きさに制限する制限ステップを、さらに有する、ことを特徴とする電力制御方法。

請求項3

PWM信号を用いてモータへの印加電圧を制御する電力制御装置であって、前記モータへの印加電圧の振幅及び位相成分を有するベクトルを制御するベクトル制御デューティ指令値を算出するベクトル制御指令値算出部と、前記モータへの印加電圧の位相を制御する位相制御デューティ指令値を算出する位相制御指令値算出部と、前記ベクトル制御デューティ指令値が算出された時点において、前記ベクトル制御デューティ指令値がキャリア波を超えるか否かを判定する判定部と、前記判定部の判定結果に応じて、前記PWM信号を生成する際に比較するデューティ指令値を、前記ベクトル制御デューティ指令値から、前記位相制御デューティ指令値に切り替える、切り替え部と、前記切り替え部により切り替えられた前記位相制御デューティ指令値と、キャリア波との大きさを比較し、該比較した結果に応じたPWM信号を生成するPWM信号生成部と、を有する、ことを特徴とする電力制御装置。

技術分野

0001

本発明は、電力制御方法、及び、電力制御装置に関する。

背景技術

0002

直流電力交流電力に変換して三相交流モータ印加する電力制御方法の一つとして、パルス幅変調(Pulse Width Modulation:PWM)電力制御方法が知られている。

0003

一般的なPWM電力制御方法においては、モータに供給される電流が順次測定され、その測定電流、及び、モータの要求トルクに応じて、デューティ指令値が求められる。そして、デューティ指令値とキャリア波との大きさが比較され、比較結果に基づいてPWM信号が生成される。PWM信号を用いてインバータスイッチング素子オンオフを操作することにより、モータへの印加電圧パルス幅が制御され、モータに所望の電力が供給される。

0004

ここで、測定電流に含まれるノイズが最小となるように、スイッチング素子のオン区間オフ区間中間点となる、キャリア波の大きさが最大又は最小となるタイミングにおいて、モータに供給される電流が測定される。電流が測定されてからデューティ指令値が算出されるまでの間にキャリア波が変化するため、算出されたデューティ指令値の大きさによっては、デューティ指令値の算出が完了した時点において、すでにデューティ指令値とキャリア波との大きさが等しくなるタイミングを過ぎていることがある。このような場合には、スイッチング素子を操作するタイミングが本来のタイミングから遅れてしまう。

0005

この対策として、特許文献1においては、算出されたデューティ指令値が、デューティ指令値の算出が完了した時点でのキャリア波の大きさを上回る場合に、スイッチング素子がオンになるタイミング及びオフになるタイミングを共に遅らせる技術が開示されている。

先行技術

0006

特開2009−100599号公報

発明が解決しようとする課題

0007

特許文献1に開示されている技術においては、スイッチング素子がオン及びオフとなるタイミングが共に遅らされることにより、モータへの印加電圧のパルス幅が確保される。しかしながら、電流の測定タイミングは、キャリア波が最大又は最小となるタイミングからずれてしまい、スイッチング素子のオン区間又はオフ区間の中間点に相当しなくなる。そのため、測定された電流に含まれるノイズの影響を十分に抑制することができなくなるので、モータの回転制御の精度が低下してしまうという課題があった。

0008

本発明は、このような課題に着目してなされたものであり、モータの回転制御の精度を高めることができる電力制御装置、及び、電力制御装置を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0009

本発明の電力制御装置の制御方法の一態様は、デューティ指令値とキャリア波との大きさを比較し、該比較した結果に応じてPWM信号を求め、該PWM信号を用いてモータへの印加電圧のベクトル又は位相を制御する電力制御方法であって、モータへの印加電圧の振幅及び位相成分を有するベクトルを制御するベクトル制御デューティ指令値を算出するベクトル制御指令値算出ステップと、モータへの印加電圧の位相を制御する位相制御デューティ指令値を算出する位相制御指令値算出ステップと、ベクトル制御指令値算出ステップにてベクトル制御デューティ指令値が算出される時点において、該ベクトル制御デューティ指令値が前記キャリア波を超えるか否かを判定する判定ステップと、判定ステップの判定結果に応じて、キャリア波と比較されるデューティ指令値を、ベクトル制御デューティ指令値から、位相制御デューティ指令値に切り替える、切り替えステップと、を有する。

発明の効果

0010

本発明の一態様によれば、切り替えステップにおいて、判定ステップでの判定結果に応じて、モータへの印加電圧の制御をベクトル制御から位相制御に切り替える。ここで、印加電圧のベクトルの大きさはデューティ指令値の算出が完了した時点でのキャリア波の大きさに応じた上限値を超えることができないため、ベクトル制御ではモータの発生トルクが制限されてしまう。位相制御を行う場合には、印加電圧のベクトルが上限値のままであっても位相を制御することで、モータの発生トルクを増加させることができる。そのため、デューティ指令値に基づくPWM信号によるスイッチング素子の操作タイミングと、キャリア波に基づく電流の測定タイミングとの間隔においてズレの発生を抑制することができる。

0011

このようにスイッチング素子の操作タイミングと電流の測定タイミングとの間隔のズレの発生が抑制されることで、スイッチング素子のオン区間又はオフ区間の中間点付近でモータへの供給電流が測定されることになる。そのため、モータの制御に用いられる測定電流の高調波ノイズが抑制されるので、モータの回転制御の精度を高めることができる。

図面の簡単な説明

0012

図1は、第1実施形態の電源ステム概略構成図である。
図2は、印加電圧及び発生する磁束を示す図である。
図3は、PWM信号生成部にて比較されるデューティ指令値とキャリア波との一例を示す図である。
図4は、PWM信号生成部にて比較されるデューティ指令値とキャリア波との他の一例を示す図である。
図5は、モータコントローラの構成を示すブロック図である。
図6は、第2実施形態においてフィルタ処理、及び、レートリミット処理を説明するための図である。

実施例

0013

以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。

0014

図1は、本発明の実施形態における電源システムの概略構成図である。

0015

図1に示される電源システム100は、電動車両に載置されているものとする。このシステムによれば、バッテリ101から、リレー102、及び、インバータ103を介して、モータ104に電力が供給される。

0016

バッテリ101は、二次電池であり、直流電力を出力する。

0017

リレー102は、電源システム100全体の駆動又は停止を制御する。

0018

インバータ103は、複数のスイッチング素子(絶縁ゲートバイポーラトランジスタIGBT)Tr1〜Tr6と、整流素子ダイオード)D1〜D6とを備えている。整流素子D1〜D6は、スイッチング素子Tr1〜Tr6のそれぞれと並列に設けられるとともに、スイッチング素子Tr1〜Tr6の整流方向とは逆方向に電流が流れるように設けられている。また、スイッチング素子は2つずつ直列に接続されており、直列接続された2つのスイッチング素子の間と、モータ104の三相(UVW)の入力部のうちのいずれかとがそれぞれ接続されている。

0019

具体的には、スイッチング素子Tr1及びTr2、スイッチング素子Tr3及びTr4、スイッチング素子Tr5及びTr6が、それぞれ、直列に接続されている。そして、スイッチング素子Tr1及びTr2の接続点とモータ104のU相の入力部とが接続され、スイッチング素子Tr3及びTr4の接続点とモータ104のV相の入力部とが接続され、スイッチング素子Tr5及びTr6の接続点とモータ104のW相の入力部とが接続されている。このように設けられたスイッチング素子Tr1〜Tr6がモータコントローラ111から出力されるPWM信号に応じて操作されることにより、バッテリ101からモータ104に印加される電圧のパルス幅が制御される。一般に、このような制御が、PWM電流制御と称されている。

0020

なお、インバータ103にバッテリ101の電圧が印加されていない場合のモータ104の各相の入力部における電位はゼロであるものとする。また、コンデンサ105の電位差がVcapである。そのため、モータ104の各相の入力部に印加される電圧の電位は、「−Vcap/2」から「+Vcap/2」までの範囲の値であるものとする。

0021

モータ104は、回転子永久磁石を備える永久磁石型の三相交流モータであり、三相(UVW相)のそれぞれについて入力部を有している。モータ104は電動車両の駆動輪を駆動する駆動源であって、モータ104の回転に伴って電動車両の駆動輪が回転する。

0022

コンデンサ105は、リレー102とインバータ103との間に配置され、インバータ103と並列に接続されている。コンデンサ105は、バッテリ101からインバータ103に入力される直流電力を平滑化する。

0023

電流センサ106は、インバータ103からモータ104の各相の入力部へと流れる電流のそれぞれの大きさを測定する。本実施形態では、電流センサ106を構成する電流センサ106U、106V、106Wの3つの電流センサが、モータ104の各相の入力部への電源線に設けられている。電流センサ106U、106V、106Wは、それぞれ、測定した各相の三相交流電流Iu、Iv、Iwをモータコントローラ111にフィードバック出力する。

0024

回転子位置センサ107は、例えばレゾルバエンコーダなどである。回転子位置センサ107は、モータ104の回転子の近傍に設けられており、モータ104の回転子の位相θを測定する。そして、回転子位置センサ107は、測定した回転子の位相θを示す回転子位置センサ信号を、モータコントローラ111に出力する。

0025

電圧センサ108は、コンデンサ105と並列に設けられている。電圧センサ108は、コンデンサ105の両端の電位差であるコンデンサ電圧Vcapを測定すると、コンデンサ電圧Vcapをゲート駆動回路109に出力する。

0026

ゲート駆動回路109は、モータコントローラ111から入力されるPWM信号に応じて、インバータ103のスイッチング素子Tr1〜Tr6を操作する。また、ゲート駆動回路109は、スイッチング素子Tr1〜Tr6について、温度を測定するとともに正常に動作しているか否かを検出する。ゲート駆動回路109は、スイッチング素子Tr1〜Tr6について測定した温度や検出した状態などを示すIGBT信号を、モータコントローラ111へ出力する。ゲート駆動回路109は、電圧センサ108によって測定されたコンデンサ電圧Vcapを示すコンデンサ電圧信号をモータコントローラ111に出力する。

0027

車両コントローラ110は、モータ104に要求するトルクである要求トルクを示すトルク指令値T*を算出すると、算出したトルク指令値T*を、モータコントローラ111に出力する。

0028

モータコントローラ111は、モータ104への印加電圧のパルス幅を制御するために、インバータ103のスイッチング素子Tr1〜Tr6のそれぞれに対してパルス幅変調(PWM)信号を出力する。具体的には、モータコントローラ111は、電流センサ106から出力される三相交流電流Iu、Iv、Iwと、回転子位置センサ107から出力される回転子の位相θと、車両コントローラ110から出力されるトルク指令値T*とに基づいて、電圧指令値を算出する。次に、モータコントローラ111は、電圧指令値と、電圧センサ108から出力されるコンデンサ電圧Vcapとを用いて、デューティ指令値を算出する。次に、モータコントローラ111は、デューティ指令値とキャリア波とを比較し、比較結果に応じてPWM信号を生成する。次に、モータコントローラ111は、生成したPWM信号をゲート駆動回路109へ出力する。ゲート駆動回路109は、入力された各PWM信号に基づいてインバータ103のスイッチング素子Tr1〜Tr6をそれぞれ操作する。このようにすることで、モータ104への印加電圧のパルス幅が制御され、モータ104においてはトルク指令値T*のトルクを発生することができる。

0029

なお、電源システム100においては、バッテリ101及びモータ104以外の構成、すなわち、インバータ103、電流センサ106、及び、モータコントローラ111などによって、電力制御装置が構成されるものとする。

0030

ここで、本実施形態におけるモータコントローラ111がモータ104への印加電圧を制御する方法について、図2を用いて説明する。なお、モータ104は、ロータステータとによって構成されており、ロータは永久磁石を備え、ステータはコイルを備えている。そして、ステータのコイルにインバータ103から電圧が印加されると、コイルにて磁束が発生する。

0031

図2は、モータ104における印加電圧及び発生する磁束を示す図である。

0032

図2(a)にはモータ104への印加電圧が示されており、図2(b)には印加電圧に応じてステータにて発生する磁束が示されている。

0033

図2(a)及び(b)においては、印加電圧及び磁束それぞれの振幅及び位相が、dq平面にて示されている。図2(a)においては、印加電圧が示されるとともに、その振幅の上限が円で示されている。また、図2(b)においては、ロータの永久磁石の磁束をd軸に基準として設定した場合の、電圧が印加されたステータの磁束が示されている。なお、磁束B2と同じ大きさの磁束が点線の円で示されている。

0034

図2(a)においては、モータ104のトルクを大きくするために、印加電圧は、V1から、V2を経て、V3へと変化するものとする。図2(b)においては、印加電圧V1、V2、及び、V3のそれぞれと対応して、モータ104のステータにて発生する磁束B1、B2、及び、B3が示されている。

0035

図2(a)、(b)を参照すると、モータ104への印加電圧がV1である場合には、印加電圧V1に応じた電流がモータ104のステータに流れ、その電流に応じてモータ104のステータにて磁束B1が発生する。

0036

なお、印加電圧V1とステータに流れる電流との間には、モータ104のリアクタンスに応じた位相差が生じる。そのため、図2(a)の印加電圧V1と、図2(b)の磁束B1との間に位相差が生じる。なお、ステータにて発生する磁束B1は、ロータの磁束(d軸)に対して所定の位相差がある。これは、印加電圧に対するモータ104のトルクの発生効率を高くするために、モータ104の構造に応じてステータとロータとの磁束に位相差が設けられているためである。

0037

次に、印加電圧がV2である場合について説明する。図2(a)を参照すると、印加電圧V2は、印加電圧V1と比較すると、位相が等しく、振幅が大きい。したがって、図2(b)を参照すると、印加電圧V2に応じて発生する磁束B2は、磁束B1と比較すると、位相が等しく、振幅が大きい。なお、PWM信号制御においては、適切なパルス幅のPWM信号を生成可能なデューティ指令値の上限があるため、印加電圧の振幅にも上限がある。

0038

次に、印加電圧がV3である場合について説明する。図2(a)を参照すると、印加電圧V2に対して位相をずらした印加電圧V3を用いることにより、発生トルクをさらに大きくすることができる。なお、図2(b)を参照すると、印加電圧V3に応じて発生する磁束B3は、モータ104の特性に応じた位相及び振幅となっており、その振幅は磁束B1よりも大きくなる。

0039

このように、印加電圧の振幅が印加可能な範囲の最大の大きさである場合であっても、印加電圧の位相をずらすことにより、さらにモータ104のトルクを大きくすることができる。

0040

なお、印加電圧をV1からV2に変化させるように、印加電圧の振幅を制御することを、ベクトル制御と称する。なお、ベクトル制御においては、印加電圧の位相が制御されることもありうる。また、印加電圧をV2からV3に変化させるように、印加電圧の位相のみを制御することを、位相制御と称する。すなわち、一般に、ベクトル制御においては印加電圧の振幅を大きくすることでモータ104のトルクを大きくすることが行われる。そして、印加電圧の振幅が上限値に達すると(V2)、ベクトル制御から位相制御に切り替えることで、さらにモータ104の発生トルクを大きくすることができる。

0041

次に、図3、及び、図4を参照して、印加電圧の振幅が上限値に達したか否かを判定する処理について説明する。デューティ指令値の振幅の大きさには上限があり、その上限を超えると適切なパルス幅のPWM信号を生成できなくなる。そこで、デューティ指令値がこの範囲を超えてしまうか否かを判定することにより、印加電圧の振幅が上限値に達したか否かを判断することができる。

0042

図3は、デューティ指令値とキャリア波との関係の一例を示す図である。なお、この図においては、モータ104のu相への入力の制御に用いるデューティ指令値Du*についてのみ説明し、モータ104のv相、w相への入力の制御に用いるデューティ指令値Dv*、Dw*については説明を省略する。

0043

この図においては、横軸に時間が、縦軸デューティ比が示されている。また、最大値が1(100%)となり、最小値が0(0%)となるように規格化されたキャリア波が示されている。また、モータコントローラ111により算出されたデューティ指令値Du*が太線で示されている。なお、デューティ指令値Du*は、キャリア波の大きさと同様に、0から1までの範囲内の値が設定される。

0044

また、モータコントローラ111は、デューティ指令値Du*とキャリア波との大きさを比較して、デューティ指令値Du*がキャリア波の大きさ以上である場合には、スイッチング素子TrがOFFとなるようなPWM信号を生成する。一方、モータコントローラ111は、デューティ指令値Du*がキャリア波よりも小さい場合には、スイッチング素子TrがONとなるようなPWM信号を生成する。このようにすることにより、キャリア波の1周期に占めるスイッチング素子TrがONとなる区間の割合は、デューティ指令値Du*と等しくなる。

0045

電流センサ106は、キャリア波が最大となるタイミング(時刻Ta)でモータ104への供給電流を測定する。例えば、電流センサ106が時刻Taにおいてモータ104に流れる電流を測定すると、モータコントローラ111は、時刻Taからの算出時間Δtだけ経過した時点である時刻Tbで、デューティ指令値Du*の算出を完了する。

0046

算出されたデューティ指令値Du*は、デューティ指令値Du*の算出が完了した時点(時刻Tb)でのキャリア波の大きさよりも小さい。このような場合には、測定タイミング(時刻Ta)から算出時間Δtだけ経過した時点(時刻Tb)よりも後の時刻Tonにおいて、デューティ指令値Du*とキャリア波との大きさが等しくなり、PWM信号によりスイッチング素子TrはONに操作される。したがって、モータコントローラ111は、デューティ指令値Du*の算出が完了した時点(時刻Tb)においては、算出されたデューティ指令値Du*がキャリア波よりも小さいため、デューティ指令値Du*とキャリア波とを適切に比較することができる。

0047

ここで、電流センサ106が、キャリア波が最大となるタイミング(時刻Ta)で三相交流電流Iu、Iv、Iwを測定するのは、以下の理由による。

0048

キャリア波がデューティ指令値Du*を下回るタイミングであるTonにおいてスイッチング素子TrがONとなり、キャリア波がデューティ指令値Du*を上回るタイミングであるToffにおいてスイッチング素子TrがOFFとなる。このようなスイッチング素子Trの操作に起因して、バッテリ101からモータ104へと流れる電流に高調波のノイズが含まれてしまうことがある。

0049

PWM電力制御方法においては、スイッチング素子Trの操作は極めて短い間隔で行われる。そのため、スイッチング素子Trの操作タイミングは、平均化されると、キャリア波が最大となるタイミングと最小となるタイミングとの中間点であるとみなすことができる。そのため、キャリア波が最大となるタイミング(時刻Ta)は、スイッチング素子Trの操作タイミング(時刻Ton及びToff)から最も時間的な隔たりがあることになる。したがって、キャリア波が最大となるタイミングにおいて電流センサ106が三相交流電流Iu、Iv、Iwを測定することにより、三相交流電流Iu、Iv、Iwに含まれる高調波のノイズを低減することができる。これにより、モータ104の回転制御の精度を高めることができる。

0050

なお、図3においては、電流センサ106による電流の測定タイミングが、キャリア波が最大となるタイミングである場合について説明したが、これに限らない。電流センサ106が、キャリア波が最大及び最小となるタイミングで電流を測定したとしても、同様に三相交流電流Iu、Iv、Iwのノイズを低減することができる。スイッチング素子Trの操作タイミングは、平均化すれば、キャリア波が最大となるタイミングと最小となるタイミングとの中間点であるとみなすことができる。したがって、キャリア波が最大及び最小となるタイミングは、平均化されたスイッチング素子Trの操作タイミングから最も時間的な隔たりがあることになる。そのため、キャリア波が最大及び最小となるタイミングにおいて電流センサ106が電流を測定することにより、測定電流に含まれるスイッチング素子Trの操作に起因するノイズを抑制することができる。

0051

図4は、バッテリ101からモータ104へと流れる電流に高調波のノイズが含まれてしまう場合のデューティ指令値とキャリア波との他の一例を示す図である。

0052

この図を用いて、電流センサ106が、キャリア波が最大又は最小となる時刻Ta1及びTa2において電流を測定する場合について説明する。また、電流の測定タイミングである時刻Ta1及びTa2から、算出時刻Δtだけ経過した時刻Tb1及びTb2までの前におけるキャリア波が点線で示されている。

0053

まず、キャリア波が最大となるタイミング(時刻Ta1)で電流が測定される場合について検討する。

0054

モータコントローラ111は、算出時間Δt経過後の時刻Tb1以降において、デューティ指令値Du1*とキャリア波とを比較することが可能となる。この例では、算出されたデューティ指令値Du1*がキャリア波よりも大きいため、モータコントローラ111は、時刻Tb1において、スイッチング素子TrがONとなるPWM信号を生成してしまう。しかしながら、本来、デューティ指令値Du1*によってスイッチング素子TrがONとなるタイミングは、デューティ指令値Du1*とキャリア波とが同じ大きさとなる時刻Tc1となるべきである。

0055

このように、デューティ指令値Du1*が時刻Tb1でのキャリア波よりも大きい場合には、本来のタイミングである時刻Tc1とは異なる時刻Tb1において、スイッチング素子Trが操作されてしまうため、モータ104への印加電力の制御の精度が低下してしまう。

0056

次に、キャリア波が最小となるタイミング(時刻Ta2)で電流が測定される場合について検討する。

0057

このような場合には、モータコントローラ111は、時刻Ta2から算出時間Δt経過後の時刻Tb2以降において、デューティ指令値Du2*とキャリア波とを比較することができる。デューティ指令値Du2*が時刻Tb2でのキャリア波よりも小さい場合には、本来のタイミングとは異なるタイミングでスイッチング素子Trが操作されてしまうため、モータ104への印加電力の制御の精度が低下してしまう。

0058

ここで、時刻Tb1におけるキャリア波の中央値(1/2(50%))からの乖離量ΔDcは、時刻Tb2におけるキャリア波の中央値(1/2(50%))からの乖離量Δtと等しい。そこで、このような乖離量ΔDcは、算出時間Δtと、キャリア波の周波数fとを用いて、次の式のように示すことができる。

0059

0060

したがって、デューティ指令値Du1*が「0.5+ΔDc」よりも小さい場合には、モータコントローラ111にて求められるPWM信号によるスイッチング素子Trの制御タイミングと、本来、デューティ指令値Du1*によってスイッチング素子Trが操作されるタイミングとにズレが生じることはない。また、デューティ指令値Du2*が「0.5−ΔDc」よりも大きい場合にも、モータコントローラ111にて求められるPWM信号によるスイッチング素子Trの制御タイミングと、本来、デューティ指令値Du2*によってスイッチング素子Trが操作されるタイミングとにズレが生じることはない。

0061

したがって、デューティ指令値Du*が「0.5−ΔDc」から「0.5+ΔDc」までの範囲であれば、モータコントローラ111にて求められるPWM信号によるスイッチング素子Trの制御タイミングと、本来のデューティ指令値Du*によってスイッチング素子TrがONとなるタイミングとにズレが生じない。そこで、この範囲の大きさである2ΔDcを上限変調率M*と定義すると、上限変調率M*は、次の式のように示すことができる。

0062

0063

また、上述のように、デューティ指令値Du*が、「0.5−ΔDc」から「0.5+ΔDc」までの範囲内の値であれば、モータコントローラ111にて求められるPWM信号によるスイッチング素子Trの制御タイミングと、本来、デューティ指令値Du*によってスイッチング素子Trが制御されるタイミングとにズレが生じることはない。そこで、ズレが生じないデューティ指令値Du*の範囲は、上限変調率M*を用いて、次の式のように示すことができる。

0064

0065

ここで、モータコントローラ111において、デューティ指令値Du*、Dv*、Dw*は、三相交流電圧指令値Vu*、Vv*、Vw*と、コンデンサ105のコンデンサ電圧Vcapとを用いて、次の式のように示すことができる。

0066

0067

式(4)を用いれば、式(3)は以下のように示すことができる。

0068

0069

したがって、モータコントローラ111は、三相交流電圧指令値Vu*、Vv*、Vw*が、式(5)を満たすか否かを判定することによって、印加電圧の振幅が上限値に達したか否かを判定することができる。そして、モータコントローラ111は、印加電圧の振幅が上限値に達したと判定した場合には、電圧指令値の制御を、ベクトル制御から位相制御に切り替える。

0070

次に、図5を用いて、図1のモータコントローラ111の構成について説明する。

0071

図5は、モータコントローラ111の構成を示すブロック図である。

0072

この図において、電流指令値算出部501、電流制御部502、位相変換部503などによって、ベクトル制御に用いられる第1の電圧指令値Vu1*、Vv1*、Vw1*が求められる。同時に、トルク算出部511、トルク制御部512、電圧ノルム指令値算出部513、位相変換部514などによって、位相制御に用いられる第2の電圧指令値Vu2*、Vv2*、Vw2*が求められる。そして、電圧指令値切替部521にて、ベクトル制御を行う第1の電圧指令値Vu1*、Vv1*、Vw1*、及び、位相制御を行う第2の電圧指令値Vu2*、Vv2*、Vw2*のいずれかの指令値が選択される。電圧指令値切替部521から出力される電圧指令値は、デューティ変換部522、及び、PWM信号生成部523を経て、PWM信号として出力される。

0073

まず、ベクトル制御の関連処理について説明する。

0074

電流指令値算出部501は、図1の車両コントローラ110により算出されるトルク指令値T*と、モータ104の回転速度ωとに基づいて、d軸電流指令値Id*及びq軸電流指令値Iq*を算出する。

0075

なお、モータ104の回転速度ωは、以下のように求められる。

0076

位相演算部504は、図1の回転子位置センサ107から出力される回転子位置センサ信号に基づき、回転子位相θを算出する。

0077

そして、回転数演算部505は、位相演算部504が算出した回転子位相θを微分演算することで回転数電気角速度)ωを演算する。

0078

電流制御部502には、電流指令値算出部501から出力されるd軸電流指令値Id*及びq軸電流指令値Iq*と、位相変換部506からモータ104へと流れる電流の測定値であるd軸電流Id及びq軸電流Iqが入力される。電流制御部502は、これらの入力値に基づいて、d軸電圧指令値Vd*及びq軸電圧指令値Vq*を算出する。具体的には、電流制御部502は、d軸電流指令値Id*とd軸電流Idとの偏差がなくなるように、d軸電圧指令値Vd*を求める。また、電流制御部502は、q軸電流指令値Iq*とq軸電流Iqとの偏差がなくなるように、q軸電圧指令値Vq*を求める。

0079

なお、位相変換部506は、図1の電流センサ106U、106V、106Wにより測定される三相交流電流Iu、Iv、Iwと、位相演算部504にて算出された回転子位相θとに基づいて、d軸電流Id、及び、q軸電流Iqを算出する。

0080

なお、電流センサ106がキャリア波の大きさを測定するタイミングと、位相変換部506から出力されるd軸電流Id及びq軸電流Iqが変化するタイミングとは同期している。例えば、電流センサ106が、キャリア波の大きさが最大となるタイミングで、モータ104へ流れる電流を測定する場合には、キャリア波の大きさが最大となるタイミングと同期して、位相変換部506から出力されるd軸電流Id及びq軸電流Iqが変化する。

0081

位相変換部503は、d軸電圧指令値Vd*及びq軸電圧指令値Vq*と、位相演算部504から出力されるモータ104の回転子の位相θとを用いて、三相交流電圧指令値Vu1*、Vv1*、Vw1*を求める。

0082

上述のようにモータ104の各相の入力部に供給される電位は「−Vcap/2」から「+Vcap/2」までの範囲である。そのため、三相交流電圧指令値Vu1*、Vv1*、Vw1*は、「−Vcap/2」から「+Vcap/2」までの範囲に限定される。

0083

次に、位相制御の関連処理について説明する。

0084

トルク算出部511は、位相変換部506から入力されるd軸電流Id、及び、q軸電流Iqに基づいて、モータ104の現在のトルクTiを算出する。

0085

トルク制御部512は、トルク指令値T*とトルク算出部511により算出されたトルクTiに基づいて、位相制御に用いる電圧位相指令値α*を算出する。

0086

電圧ノルム指令値算出部513は、上限変調率M*とコンデンサ電圧信号Vcapとに基づいて、次の式のように電圧ノルム指令値Va*の上限値を算出する。

0087

0088

図2を用いて説明したように、本実施形態で位相制御が行われる場合においては、印加電圧の振幅は上限値となる。そのため、電圧ノルム指令値算出部513は、式(6)に従って求められた電圧ノルム指令値Va*を、位相変換部514に出力する。

0089

なお、式(6)における上限変調率M*は、以下のようにして求めることができる。

0090

キャリア周波数算出部515は、キャリア周波数fを出力する。なお、キャリア周波数fは、モータコントローラ111の温度などに応じて変化させることができる。

0091

上限変調率算出部516は、電流センサ106U、106V、106Wが三相交流電流Iu、Iv、Iwを測定してから、デューティ変換部522がデューティ指令値Du*、Dv*、Dw*を算出するまでの算出時間Δtを予め記憶している。なお、算出時間Δtには、電流センサ106U、106V、106Wによる電流の測定時間(AD変換などの処理時間)が含まれていてもよい。

0092

上限変調率算出部516は、キャリア周波数算出部515から出力されるキャリア波の周波数f、算出時間Δt、及び、式(2)を用いて、上限変調率M*を算出する。

0093

位相変換部514には、トルク制御部512から電圧位相指令値α*、電圧ノルム指令値算出部513から電圧ノルム指令値Va*、位相演算部504から位相θが入力される。位相変換部514は、これらの入力から、三相交流電圧指令値Vu2*、Vv2*、Vw2*を生成する。

0094

なお、電圧ノルム指令値が、式(6)に示され値である場合には、位相変換部514から出力される三相交流電圧指令値Vu2*、Vv2*、Vw2*は、次の式の範囲となる。

0095

0096

そして、ベクトル制御から位相制御への切り替え処理について説明する。

0097

電圧指令値切替部521は、三相交流電圧指令値Vu1*、Vv1*、Vw1*、及び、三相交流電圧指令値Vu2*、Vv2*、Vw2*のいずれかを、三相交流電圧指令値Vu*、Vv*、Vw*として出力する。具体的には、電圧指令値切替部521は、後述のデューティ変換部522から超過信号Eが入力されていない間は、Vu1*、Vv1*、Vw1*を出力する。一方、電圧指令値切替部521は、超過信号Eが入力されると、Vu2*、Vv2*、Vw2*に切り替えて出力する。

0098

デューティ変換部522は、三相交流電圧指令値Vu*、Vv*、Vw*と、図1のコンデンサ105のコンデンサ電圧Vcapとに基づいて、上述の式(4)を用いて、デューティ指令値Du*、Dv*、Dw*を生成し、PWM信号生成部523に出力する。

0099

また、デューティ変換部522は、三相交流電圧指令値Vu*、Vv*、Vw*の全てが上述の式(5)を満たすか否かを判定する。なお、上述のように、この判定結果に応じて、位相制御への切り替えの要否を判断することができる。

0100

三相交流電圧指令値Vu*、Vv*、Vw*のうちのいずれか1つでも式(5)を満たさない場合には、デューティ変換部522は、位相制御への切り替えが必要であると判定し、超過信号Eを電圧指令値切替部521に出力する。

0101

一方、三相交流電圧指令値Vu*、Vv*、Vw*の全てが式(5)を満たす場合には、デューティ変換部522は、位相制御への切り替えが不要であるため、超過信号Eを電圧指令値切替部521に出力しない。

0102

PWM信号生成部523は、キャリア周波数算出部515から出力されるキャリア周波数fに基づいて三角波のキャリア波を生成する。なお、PWM信号生成部523により生成されるキャリア波は規格化されており、最小値が0であり最大値が1であるものとする。

0103

そして、PWM信号生成部523は、デューティ指令値Du*、Dv*、Dw*と、キャリア波との大きさを比較し、その比較結果に応じてPWM信号を生成する。

0104

第1実施形態によって以下の効果を得ることができる。

0105

第1実施形態の電力変換方法においては、電流センサ106によって、キャリア波の大きさが最大又は最小となる測定タイミングにおいてモータに供給される電流を測定する電流測定ステップが実行される。そして、デューティ変換部522によって、電流センサ106による測定電流、及び、モータ104の要求トルクに応じて、デューティ指令値を算出する指令値算出ステップが実行される。さらに、デューティ変換部522によって、式(5)が満たされるか否かが判定されることにより、算出されたデューティ指令値と、デューティ指令値が算出された時点でのキャリア波との大小関係を判定する判定ステップが行われる。そして、キャリア周波数算出部515によって、デューティ変換部522による判定ステップの判定結果に応じて、ベクトル制御に用いる電圧指令値Vu1*、Vv1*、Vw1*が、位相制御に用いる電圧指令値Vu2*、Vv2*、Vw2*に切り替えられる。

0106

ベクトル制御が行われている間においては、電圧指令値(デューティ指令値)を用いて、モータ104への印加電圧のベクトルの大きさを変化させることによって、モータ104にて発生するトルクを制御する。

0107

しかしながら、適切なパルス幅のPWM信号を生成するためには、電圧指令値は所定の範囲内の値に設定される必要があるため、モータ104への印加電圧の大きさが制限される。そこで、デューティ変換部522は、電圧指令値が式(5)を満たすか否かを判定することによって、印加電圧の振幅が上限値を超えるか否かを判定し、その判定結果に応じて、超過信号Eを電圧指令値切替部521に出力する。

0108

電圧指令値切替部521は、超過信号Eが入力されると、デューティ変換部522に出力する電圧指令値Vu*、Vv*、Vw*を、ベクトル制御に用いる電圧指令値から、位相制御に用いる電圧指令値に切り替えて出力する。

0109

位相制御においては、印加電圧の振幅が上限に達している場合であっても、位相を変化させることで、モータ104の発生トルクを増加させることができる。従って、印加電圧の振幅が上限に達している場合であっても、デューティ指令値は適切なパルス幅のPWM信号を生成できる範囲を超えないように、デューティ指令値を所定の範囲内に設定できることになる。

0110

図4に示したように、時刻Tb1においてデューティ指令値Du1*がキャリア波を超えてしまうと、適切なPWM信号を生成することはできない。しかしながら、位相制御を用いることで、その超過分が補われるようにータ104の発生トルクを制御することができる。そのため、パルス幅を確保するためにスイッチング素子Trの操作タイミングをずらす必要がなくなる。このようにして、スイッチング素子Trの制御タイミングと、デューティ指令値が示す本来のスイッチング素子Trの制御タイミングとのズレの発生を抑制することができる。

0111

したがって、キャリア波が最大又は最小となるタイミングにおいて三相交流電流の測定することにより、電流センサ106により測定される三相交流電流に含まれるノイズが抑制されるので、モータ104を制御する精度を向上させることができる。

0112

(第2実施形態)
第1実施形態においては、キャリア周波数算出部515にて算出されるキャリア波の周波数が一定である場合について説明した。第2実施形態では、キャリア周波数算出部515にて算出されるキャリア波の周波数が変化する場合について説明する。

0113

例えば、モータ104のトルク制御の精度を高めたい場合には、キャリア周波数算出部515は、キャリア周波数を高くする。一方、モータコントローラ111である半導体チップの温度が高くなった場合などには、スイッチング素子Trのスイッチング頻度下げ温度上昇を抑制するために、キャリア周波数算出部515は、キャリア周波数を低くする。

0114

ここで、位相制御に用いられる電圧ノルム指令値Va*は、上述のように、式(6)にて示される。また、式(6)における上限変調率M*は、式(2)に示されたように、キャリア波の周波数f、及び、位相制御が行われる場合のデューティ指令値の算出時間Δtに応じて変化する。

0115

そのため、キャリア波の周波数fが変更後の値に切り替えられると、上限変調率M*が変化して、電圧ノルム指令値Va*が変化するので、デューティ指令値が変化する。このようなキャリア波の周波数fの切り替えに伴うデューティ指令値の急激な変化を抑制するために、デューティ変換部522においてフィルタ処理が行われる。

0116

ここで、キャリア波の周波数が変化した時点において、適切なパルス幅のPWM信号が生成可能なデューティ指令値の大きさの範囲が変化する。しかしながら、フィルタ処理が行われることにより、キャリア波の周波数fの変化に対してデューティ指令値の変化に遅れが発生してしまう。そのため、キャリア波の周波数fが変化した直後では、デューティ指令値が適切なパルス幅のPWM信号が生成可能な範囲内の値とならず、適切なタイミングでスイッチング素子Trを操作できなくなるおそれがある。これに対して、デューティ変換部522においては、さらに、次の式に示されるように、電圧指令値の上限を制限するレートリミット処理が行われる。

0117

0118

図6は、フィルタ処理、及び、レートリミット処理を説明するための図である。

0119

図6(a)においては、キャリア波の周波数fが大きく変化する場合のモータ104への印加電圧が示されている。図6(b)においては、キャリア波の周波数fが小さく変化する場合のモータ104への印加電圧が示されている。

0120

図6(a)を参照すると、キャリア波は大きく変化しており、f1から、ftを経て、f2となる。このようなキャリア波の変化に応じて、デューティ指令値が変化して、印加電圧が変化する。

0121

キャリア波の周波数が大きくなる場合には、キャリア波の周波数が変化したタイミングにおいて、式(8)に示されたデューティ指令値の制限範囲は広くなる。そのため、フィルタ処理に起因して電圧指令値の変化が遅れたとしても、電圧指令値が制限されることはない。したがって、モータ104への印加電圧は、キャリア波の周波数の変化に応じて、徐々に大きくなる。

0122

図6(b)を参照すると、キャリア波は小さく変化しており、f1から、ft1、ft2、を経て、f2となる。このようなキャリア波の周波数の変化に応じて、デューティ指令値が変化して、印加電圧が変化する。

0123

キャリア波の周波数fが小さくなる場合にはキャリア波の周波数が変化したタイミングにおいて、式(8)に示されたデューティ指令値の制限範囲が狭くなる。そして、レートリミット処理されたデューティ指令値に対して、フィルタ処理が行われることになる。したがって、図6(b)に示されるように、モータ104の印加電圧は、レートリミット処理が行われて、範囲が制限されたキャリア波ft1となり、その後、フィルタ処理が行われてキャリア波ft2となる。そして、最終的に、キャリア波f2となる。

0124

仮に、レートリミット処理が行われない場合には、キャリア波の周波数が変化したタイミングにおいて式(8)に示されたデューティ指令値の制限範囲を超えた値になってしまう。このような場合には、デューティ指令値が算出された時点において、デューティ指令値が周波数変更後のキャリア波を上回ってしまい、本来のタイミングでスイッチング素子を操作することができなくなってしまう。したがって、このようなレートリミット処理が行われることにより、生成されるPWM信号のパルス幅を適切にすることができるため、モータ104の回転制御の精度を向上させることができる。

0125

第2実施形態によって以下の効果を得ることができる。

0126

第2実施形態の電力変換方法においては、位相制御に用いる電圧ノルム指令値は、キャリア波の周波数に応じて定まるため、キャリア波の周波数が変化すると、電圧ノルム指令値が変化する。電圧ノルム指令値の変化に応じて、位相制御に用いるデューティ指令値の急変するおそれがあるため、このような急変を抑制するために、フィルタ処理が行われている。

0127

しかしながら、キャリア波の周波数が変更された時点において、適切なパルス幅のPWM信号を生成可能なデューティ指令値の範囲は変化してしまう。そのため、フィルタ処理によるデューティ指令値の変化は、適切なパルス幅のPWM信号を生成可能なデューティ指令値の範囲が変化するタイミングに対して遅れてしまい、適切なパルス幅のPWM信号を生成できなくなることがある。

0128

そこで、デューティ指令値の大きさを、適切なパルス幅のPWM信号を生成可能な範囲である式(8)の範囲の大きさに制限する制限ステップであるレートリミット処理を行うことにより、適切なパルス幅のPWM信号を生成できるようになる。なお、式(8)の範囲は、キャリア波の周波数fとデューティ指令値の算出時間Δtとにより求まる上限変調率M*に応じた範囲である。このようにして、キャリア波の周波数の変更に伴うモータ104の回転制御の精度の低下を抑制することができる。

0129

以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。

0130

100電源システム
101バッテリ
103インバータ
104モータ
106電流センサ
111モータコントローラ
501電流指令値算出部
502電流制御部
513電圧ノルム指令値算出部
521電圧指令値切替部
522デューティ変換部
523PWM信号生成部

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