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技術 検査方法及び検査システム

出願人 ブラザー工業株式会社
発明者 大鹿由美子
出願日 2015年9月29日 (4年4ヶ月経過) 出願番号 2015-192271
公開日 2017年4月6日 (2年10ヶ月経過) 公開番号 2017-067568
状態 特許登録済
技術分野 自動分析、そのための試料等の取扱い
主要キーワード 自転角度 角度変更機構 各接触角 狭小流路 第一壁 遠心力方向 前後方向中心 対象廃液
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (9)

課題

反応に関与しない液体の使用量を抑制しつつ、液体反応に関する正確な検査結果が得られる検査方法及び検査ステムを提供する。

解決手段

遠心処理の各工程において、検査チップ遠心力が作用される。まず第一送液工程S1では、反応に関与する液体である試料液が、試料液導入部から下流側に移動される。次に第一反応工程S2では、試料液が反応部に保持される。次に第二送液工程S3では、試料液が反応部から下流側に移動され、且つ、反応に関与しない液体である第一洗浄液が、第一洗浄液導入部から下流側に移動される。次に第一洗浄工程S4では、第一洗浄液が反応部に保持される。第一反応工程の遠心力は、第一洗浄工程の遠心力よりも大きい。

概要

背景

従来、液体が内部で移動可能な検査チップを用いた検査方法及び検査ステムが知られている(例えば、特許文献1、2参照)。特許文献1では、分析チップに収容された液体が、遠心力によって第7槽まで移動される。第7槽では、液体が遠心力の付与されていない状態で反応した後、反応済みの液体の光学測定が行われる。特許文献2に開示の免疫分析方法では、免疫分析チップ内の液体が遠心力によって反応室まで移動される。免疫分析チップに対して異なる2以上の遠心力が付与されることによって、測定範囲の異なる2以上の被検物質測定結果が得られる。

概要

反応に関与しない液体の使用量を抑制しつつ、液体反応に関する正確な検査結果が得られる検査方法及び検査システムを提供する。遠心処理の各工程において、検査チップに遠心力が作用される。まず第一送液工程S1では、反応に関与する液体である試料液が、試料液導入部から下流側に移動される。次に第一反応工程S2では、試料液が反応部に保持される。次に第二送液工程S3では、試料液が反応部から下流側に移動され、且つ、反応に関与しない液体である第一洗浄液が、第一洗浄液導入部から下流側に移動される。次に第一洗浄工程S4では、第一洗浄液が反応部に保持される。第一反応工程の遠心力は、第一洗浄工程の遠心力よりも大きい。

目的

本発明の目的は、反応に関与しない液体の使用量を抑制しつつ、液体反応に関する正確な検査結果が得られる検査方法及び検査システムを提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

検査チップ加速度を作用させて検査を行う検査方法であって、前記検査チップは、反応に関与する液体である第一液と、反応に関与しない液体である第二液とが導入される領域である導入部と、前記導入部の下流側に接続され、前記導入部から流出した前記第一液及び前記第二液を保持可能な領域である保持部と、を備え、前記検査方法は、前記検査チップに加速度を作用させることで、前記第一液を前記導入部から下流側に移動させる第一移動工程と、前記第一移動工程の実行後、前記検査チップに加速度を作用させることで、前記保持部に前記第一液を保持させる第一保持工程と、前記第一保持工程の実行後、前記検査チップに加速度を作用させることで、前記第一液を前記保持部から下流側に移動させ、且つ前記第二液を前記導入部から下流側に移動させる第二移動工程と、前記第二移動工程の実行後、前記検査チップに加速度を作用させることで、前記保持部に前記第二液を保持させる第二保持工程と、を備え、前記第一保持工程において前記検査チップに作用される加速度は、前記第二保持工程において前記検査チップに作用される加速度よりも大きいことを特徴とする検査方法。

請求項2

前記保持部は、固相化抗体が配置された反応部を含み、前記第一液は、前記反応部において前記固相化抗体と反応する液体であり、前記第二液は、前記反応部を洗浄する洗浄液であり、前記第一保持工程は、前記第一液を前記反応部に保持させることで、前記第一液を前記固相化抗体と反応させ、前記第二保持工程は、前記第二液を前記反応部に保持させることで、前記第二液で前記反応部を洗浄することを特徴とする請求項1に記載の検査方法。

請求項3

前記第一液は、検査対象物質を含む試料液と、酵素標識抗体を含む標識抗体液と、酵素標識抗体と酵素反応する基質溶液とを含み、前記第二液は、前記洗浄液として第一洗浄液及び第二洗浄液を含み、前記第一移動工程は、前記試料液を前記導入部から下流側に移動させ、前記第一保持工程は、前記試料液を前記反応部に保持させることで、前記検査対象物質を前記固相化抗体と結合させて第一結合体を生成し、前記第二移動工程は、前記第一洗浄液を前記導入部から下流側に移動させ、前記第二保持工程は、前記第一洗浄液を前記反応部に保持させることで、前記反応部に残存する前記第一結合体以外の成分を除去し、更に、前記検査方法は、前記第二保持工程の実行後、前記検査チップに加速度を作用させることで、前記第一洗浄液を前記反応部から下流側に移動させ、且つ前記標識抗体液を前記導入部から下流側に移動させる第三移動工程と、前記第三移動工程の実行後、前記検査チップに加速度を作用させることで、前記反応部に前記標識抗体液を保持させて、前記酵素標識抗体を前記第一結合体と特異的に結合させて第二結合体を生成する第三保持工程と、前記第三保持工程の実行後、前記検査チップに加速度を作用させることで、前記標識抗体液を前記反応部から下流側に移動させ、且つ前記第二洗浄液を前記導入部から下流側に移動させる第四移動工程と、前記第四移動工程の実行後、前記検査チップに加速度を作用させることで、前記反応部に前記第二洗浄液を保持させて、前記反応部に残存する前記第二結合体以外の成分を除去する第四保持工程と、前記第四保持工程の実行後、前記検査チップに加速度を作用させることで、前記第二洗浄液を前記反応部から下流側に移動させ、且つ前記基質溶液を前記導入部から下流側に移動させる第五移動工程と、前記第五移動工程の実行後、前記検査チップに加速度を作用させることで、前記反応部に前記基質溶液を保持させて、前記基質溶液を前記第二結合体と反応させる第五保持工程と、を備え、前記第一保持工程、前記第三保持工程、及び前記第五保持工程の各々において前記検査チップに作用される加速度は、前記第二保持工程及び前記第四保持工程の各々において前記検査チップに作用される加速度よりも大きいことを特徴とする請求項2に記載の検査方法。

請求項4

前記第一保持工程、前記第三保持工程、及び前記第五保持工程の各々において前記検査チップに作用される加速度は、前記第一移動工程、前記第三移動工程、及び前記第五移動工程の各々において前記検査チップに作用される加速度以下であることを特徴とする請求項3に記載の検査方法。

請求項5

前記第一保持工程において前記検査チップに作用される加速度は、前記第三保持工程及び前記第五保持工程の各々において前記検査チップに作用される加速度以上であることを特徴とする請求項3又は4に記載の検査方法。

請求項6

前記第二保持工程において前記検査チップに作用される加速度は、前記第四保持工程において前記検査チップに作用される加速度より大きいことを特徴とする請求項3から5の何れかに記載の検査方法。

請求項7

前記第四移動工程は、前記第二洗浄液を複数回に分けて前記導入部から下流側に移動させる複数の洗浄液移動工程を含み、前記第四保持工程は、前記複数の洗浄液移動工程の各々が実行される毎に、前記導入部から下流側に移動された前記第二洗浄液を、前記標識抗体液が下流側に移動された後の前記反応部に保持させる複数の洗浄液保持工程を含み、前記複数の洗浄液排出工程は、前記複数の洗浄液排出工程のうちで最初に実行される初回洗浄工程と、前記初回洗浄工程よりも後に実行される少なくとも一つの後続洗浄工程とを含み、前記少なくとも一つの後続洗浄工程の各々において前記検査チップに作用される加速度は、前記初回洗浄工程において前記検査チップに作用される加速度以上であることを特徴とする請求項3から6の何れかに記載の検査方法。

請求項8

前記第一液及び前記第二液の各々は、前記保持部の壁面に対して90度以下の接触角をなすことを特徴とする請求項1から7の何れかに記載の検査方法。

請求項9

前記検査チップに作用される加速度は、遠心力であることを特徴とする請求項1から8の何れかに記載の検査方法。

請求項10

液体が内部で移動可能な検査チップと、前記検査チップに加速度を作用させる検査装置とを含む検査システムであって、前記検査チップは、反応に関与する液体である第一液と、反応に関与しない液体である第二液とが導入される領域である導入部と、前記導入部の下流側に接続され、前記導入部から流出した前記第一液及び前記第二液を保持可能な領域である保持部と、を備え、前記検査装置は、前記検査チップに加速度を作用させることで、前記第一液を前記導入部から下流側に移動させる第一移動工程を実行する第一移動手段と、前記第一移動工程の実行後、前記検査チップに加速度を作用させることで、前記保持部に前記第一液を保持させる第一保持工程を実行する第一保持手段と、前記第一保持工程の実行後、前記検査チップに加速度を作用させることで、前記第一液を前記保持部から下流側に移動させ、且つ前記第二液を前記導入部から下流側に移動させる第二移動工程を実行する第二移動手段と、前記第二移動工程の実行後、前記検査チップに加速度を作用させることで、前記保持部に前記第二液を保持させる第二保持工程を実行する第二保持手段と、を備え、前記第一保持工程において前記検査チップに作用される加速度は、前記第二保持工程において前記検査チップに作用される加速度よりも大きいことを特徴とする検査システム。

技術分野

0001

本発明は、液体が内部で移動可能な検査チップを用いた検査方法及び検査ステムに関する。

背景技術

0002

従来、液体が内部で移動可能な検査チップを用いた検査方法及び検査システムが知られている(例えば、特許文献1、2参照)。特許文献1では、分析チップに収容された液体が、遠心力によって第7槽まで移動される。第7槽では、液体が遠心力の付与されていない状態で反応した後、反応済みの液体の光学測定が行われる。特許文献2に開示の免疫分析方法では、免疫分析チップ内の液体が遠心力によって反応室まで移動される。免疫分析チップに対して異なる2以上の遠心力が付与されることによって、測定範囲の異なる2以上の被検物質測定結果が得られる。

先行技術

0003

特開2013−50435号公報
特開2008−241698号公報

発明が解決しようとする課題

0004

従来、検査チップ内の移動される液体として、反応に関与する液体と、反応に関与しない液体とが用いられる場合がある。反応に関与する液体は、試料液標識抗体液基質溶液等が例示される。反応に関与しない液体は、洗浄液等が例示される。検査チップを用いて液体反応を検査する場合、例えば検査チップのサイズ及び検査コストを抑制するため、反応に関与しない液体の使用量は少ない方が好ましい。しかしながら、反応に関与しない液体の使用量を抑制すると、液体反応に関する正確な検査結果を得ることができない可能性があった。

0005

本発明の目的は、反応に関与しない液体の使用量を抑制しつつ、液体反応に関する正確な検査結果が得られる検査方法及び検査システムを提供することである。

課題を解決するための手段

0006

本発明の第一態様は、検査チップに加速度を作用させて検査を行う検査方法であって、前記検査チップは、反応に関与する液体である第一液と、反応に関与しない液体である第二液とが導入される領域である導入部と、前記導入部の下流側に接続され、前記導入部から流出した前記第一液及び前記第二液を保持可能な領域である保持部と、を備え、前記検査方法は、前記検査チップに加速度を作用させることで、前記第一液を前記導入部から下流側に移動させる第一移動工程と、前記第一移動工程の実行後、前記検査チップに加速度を作用させることで、前記保持部に前記第一液を保持させる第一保持工程と、前記第一保持工程の実行後、前記検査チップに加速度を作用させることで、前記第一液を前記保持部から下流側に移動させ、且つ前記第二液を前記導入部から下流側に移動させる第二移動工程と、前記第二移動工程の実行後、前記検査チップに加速度を作用させることで、前記保持部に前記第二液を保持させる第二保持工程と、を備え、前記第一保持工程において前記検査チップに作用される加速度は、前記第二保持工程において前記検査チップに作用される加速度よりも大きいことを特徴とする。

0007

これによれば、検査方法の各工程において検査チップに加速度を作用されることで、以下のように液体が操作される。まず第一移動工程では、反応に関与する液体である第一液が導入部から下流側に移動される。次に第一保持工程では、第一液が保持部に保持される。次に第二移動工程では、第一液が保持部から下流側に移動され、且つ、反応に関与しない液体である第二液が導入部から下流側に移動される。次に第二保持工程では、第二液が保持部に保持される。第一保持工程の加速度は、第二保持工程の加速度よりも大きい。第一保持工程の加速度は第二保持工程の加速度よりも大きいので、第一保持工程において保持される第一液と保持部との間の表面張力と、第二保持工程において保持される第二液と保持部との間の表面張力では、第一液と保持部との間の表面張力の方が加速度によって相殺される方向の力が働きやすい。即ち、第一液と第二液との各液量が同等の場合、第二保持工程における第二液と保持部との接触面積は、第一保持工程における第一液と保持部との接触面積よりも大きい。第二液の液量が第一液の液量よりも少ない場合でも、第二液は保持部のうちで第一液と接触した領域の全体と接触可能である。従って、反応に関与しない液体の使用量を抑制しつつ、液体反応に関する正確な検査結果が得られる。

0008

前記保持部は、固相化抗体が配置された反応部を含み、前記第一液は、前記反応部において前記固相化抗体と反応する液体であり、前記第二液は、前記反応部を洗浄する洗浄液であり、前記第一保持工程は、前記第一液を前記反応部に保持させることで、前記第一液を前記固相化抗体と反応させ、前記第二保持工程は、前記第二液を前記反応部に保持させることで、前記第二液で前記反応部を洗浄してもよい。この場合、第一保持工程では、第一液が反応部に配置された固相化抗体と反応される。第二保持工程では、第二液によって反応部が洗浄される。これにより、反応に関与しない洗浄液の使用量を抑制しつつ、第二保持工程以降の工程において、反応部で液体を正確に反応させることができる。

0009

前記第一液は、検査対象物質を含む試料液と、酵素標識抗体を含む標識抗体液と、酵素標識抗体と酵素反応する基質溶液とを含み、前記第二液は、前記洗浄液として第一洗浄液及び第二洗浄液を含み、前記第一移動工程は、前記試料液を前記導入部から下流側に移動させ、前記第一保持工程は、前記試料液を前記反応部に保持させることで、前記検査対象物質を前記固相化抗体と結合させて第一結合体を生成し、前記第二移動工程は、前記第一洗浄液を前記導入部から下流側に移動させ、前記第二保持工程は、前記第一洗浄液を前記反応部に保持させることで、前記反応部に残存する前記第一結合体以外の成分を除去し、更に、前記検査方法は、前記第二保持工程の実行後、前記検査チップに加速度を作用させることで、前記第一洗浄液を前記反応部から下流側に移動させ、且つ前記標識抗体液を前記導入部から下流側に移動させる第三移動工程と、前記第三移動工程の実行後、前記検査チップに加速度を作用させることで、前記反応部に前記標識抗体液を保持させて、前記酵素標識抗体を前記第一結合体と特異的に結合させて第二結合体を生成する第三保持工程と、前記第三保持工程の実行後、前記検査チップに加速度を作用させることで、前記標識抗体液を前記反応部から下流側に移動させ、且つ前記第二洗浄液を前記導入部から下流側に移動させる第四移動工程と、前記第四移動工程の実行後、前記検査チップに加速度を作用させることで、前記反応部に前記第二洗浄液を保持させて、前記反応部に残存する前記第二結合体以外の成分を除去する第四保持工程と、前記第四保持工程の実行後、前記検査チップに加速度を作用させることで、前記第二洗浄液を前記反応部から下流側に移動させ、且つ前記基質溶液を前記導入部から下流側に移動させる第五移動工程と、前記第五移動工程の実行後、前記検査チップに加速度を作用させることで、前記反応部に前記基質溶液を保持させて、前記基質溶液を前記第二結合体と反応させる第五保持工程と、を備え、前記第一保持工程、前記第三保持工程、及び前記第五保持工程の各々において前記検査チップに作用される加速度は、前記第二保持工程及び前記第四保持工程の各々において前記検査チップに作用される加速度よりも大きくてもよい。

0010

この場合、第一保持工程では、試料液が反応部に保持されて、検査対象物質と固相化抗体とが結合された第一結合体が生成される。第二保持工程では、第一洗浄液が反応部に保持されて、反応部に残存する第一結合体以外の成分が除去される。次に第三移動工程では、第一洗浄液が反応部から下流側に移動され、且つ標識抗体液が導入部から下流側に移動される。次に第三保持工程では、反応部に標識抗体液が保持されて、酵素標識抗体と第一結合体とが特異的に結合された第二結合体が生成される。次に第四移動工程では、標識抗体液が反応部から下流側に移動され、且つ第二洗浄液が導入部から下流側に移動される。次に第四保持工程では、反応部に第二洗浄液が保持されて、反応部に残存する第二結合体以外の成分が除去される。次に第五移動工程では、第二洗浄液が反応部から下流側に移動され、且つ基質溶液が導入部から下流側に移動される。次に第五保持工程では、反応部に基質溶液が保持されて、基質溶液が第二結合体と反応される。第一、第三、及び第五保持工程の各加速度は、第二及び第四保持工程の各加速度よりも大きい。

0011

即ち、反応部において第一液を反応させる各工程の加速度は、反応部を第二液で洗浄する各工程の加速度よりも大きい。これにより、第一、第三、及び第五保持工程の各々における第一液と反応部との間の表面張力と、第二及び第四保持工程の各々における第二液と反応部との間の表面張力では、第一液と反応部との間の表面張力の方が加速度によって相殺される方向の力が働きやすい。即ち、第一液と第二液との各液量が同等の場合、第一、第三、及び第五保持工程の各々における第一液と反応部との接触面積は、第二及び第四保持工程の各々における第二液と反応部との接触面積よりも大きい。第一洗浄液が試料液よりも少ない場合でも、第一洗浄液は反応部のうちで試料液と接触した領域の全体と接触可能であるため、反応部に残存する第一結合体以外の成分を確実に除去できる。第二洗浄液が標識抗体液よりも少ない場合でも、第二洗浄液は反応部のうちで標識抗体液と接触した領域の全体と接触可能であるため、反応部に残存する第二結合体以外の成分を確実に除去できる。従って、第五保持工程において基質溶液が第二結合体と反応された場合に、より正確な反応結果が得られる。

0012

前記第一保持工程、前記第三保持工程、及び前記第五保持工程の各々において前記検査チップに作用される加速度は、前記第一移動工程、前記第三移動工程、及び前記第五移動工程の各々において前記検査チップに作用される加速度以下でもよい。この場合、反応部において第一液を反応させる各工程の加速度は、検査チップ内で液体を移動させる各工程の加速度以下である。これにより、検査方法の実行に伴うエネルギー消費を抑制でき、且つ、検査チップ内で液体を正確に移動させることができる。

0013

前記第一保持工程において前記検査チップに作用される加速度は、前記第三保持工程及び前記第五保持工程の各々において前記検査チップに作用される加速度以上でもよい。第一保持工程は第一、第三、及び第五保持工程のうちで最初に実行されるため、第一結合体の生成量は最終的な検査結果に与える影響が大きい。従って、第一保持工程の加速度を第三及び第五保持工程の各加速度以上にすることで、反応部における試料液の液面位置が正確に制御できる。これにより、試料液と反応部との接触面積が正確に制御されて、第一結合体の生成量が正確に制御されるため、液体反応に関する正確な検査結果が得られる。

0014

前記第二保持工程において前記検査チップに作用される加速度は、前記第四保持工程において前記検査チップに作用される加速度より大きくてもよい。この場合、第二保持工程の加速度は第四保持工程の加速度よりも大きいので、第二保持工程において保持される第一洗浄液と反応部との間の表面張力と、第四保持工程において保持される第二洗浄液と反応部との間の表面張力では、第一洗浄液と反応部との間の表面張力の方が加速度によって相殺される方向の力が働きやすい。即ち、第一洗浄液と第二洗浄液との各液量が同等の場合、第二保持工程における第一洗浄液と反応部との接触面積は、第四保持工程における第二洗浄液と反応部との接触面積よりも大きい。第二洗浄液の液量が第一洗浄液の液量よりも少ない場合でも、第二洗浄液は反応部のうちで第一洗浄液と接触した領域の全体と接触可能である。従って、反応に関与しない第二洗浄液の使用量を抑制しつつ、反応部の広範囲を洗浄できるため、液体反応に関する正確な検査結果が得られる。

0015

前記第四移動工程は、前記第二洗浄液を複数回に分けて前記導入部から下流側に移動させる複数の洗浄液移動工程を含み、前記第四保持工程は、前記複数の洗浄液移動工程の各々が実行される毎に、前記導入部から下流側に移動された前記第二洗浄液を、前記標識抗体液が下流側に移動された後の前記反応部に保持させる複数の洗浄液保持工程を含み、前記複数の洗浄液排出工程は、前記複数の洗浄液排出工程のうちで最初に実行される初回洗浄工程と、前記初回洗浄工程よりも後に実行される少なくとも一つの後続洗浄工程とを含み、前記少なくとも一つの後続洗浄工程の各々において前記検査チップに作用される加速度は、前記初回洗浄工程において前記検査チップに作用される加速度以上でもよい。

0016

この場合、第四移動工程では、第二洗浄液が複数回に分けて導入部から下流側に移動される。第四保持工程は、第二洗浄液が導入部から下流側に移動される毎に実行される複数の洗浄液保持工程を含む。複数の洗浄液保持工程の各々では、導入部から下流側に移動された第二洗浄液が、標識抗体液が下流側に移動された後の反応部に保持される。複数の洗浄液保持工程は、最初に実行される初回洗浄工程と、その後に実行される後続洗浄工程とを含む。後続洗浄工程の加速度は、初回洗浄工程の加速度以上である。従って、複数の洗浄液保持工程によって、反応部に残存する第二結合体以外の成分除去が、複数回に分けて実行される。複数の洗浄液保持工程のうちで初回洗浄工程の加速度が最も大きいため、初回洗浄工程において第二洗浄液は反応部の広範囲を洗浄できる。

0017

前記第一液及び前記第二液の各々は、前記保持部の壁面に対して90度以下の接触角でもよい。この場合、第二液の液量が第一液の液量よりも少ない場合でも、第二液は保持部のうちで第一液と接触した領域の全体と接触可能である。従って、反応に関与しない第二液の使用量を抑制しつつ、液体反応に関する正確な検査結果が得られる。

0018

前記検査チップに作用される加速度は、遠心力でもよい。この場合、検査チップに遠心力を付与し、且つ遠心力の作用する方向を調整することで、上述の検査方法を実現できる。

0019

本発明の第二態様は、液体が内部で移動可能な検査チップと、前記検査チップに加速度を作用させる検査装置とを含む検査システムであって、前記検査チップは、反応に関与する液体である第一液と、反応に関与しない液体である第二液とが導入される領域である導入部と、前記導入部の下流側に接続され、前記導入部から流出した前記第一液及び前記第二液を保持可能な領域である保持部と、を備え、前記検査装置は、前記検査チップに加速度を作用させることで、前記第一液を前記導入部から下流側に移動させる第一移動工程を実行する第一移動手段と、前記第一移動工程の実行後、前記検査チップに加速度を作用させることで、前記保持部に前記第一液を保持させる第一保持工程を実行する第一保持手段と、前記第一保持工程の実行後、前記検査チップに加速度を作用させることで、前記第一液を前記保持部から下流側に移動させ、且つ前記第二液を前記導入部から下流側に移動させる第二移動工程を実行する第二移動手段と、前記第二移動工程の実行後、前記検査チップに加速度を作用させることで、前記保持部に前記第二液を保持させる第二保持工程を実行する第二保持手段と、を備え、前記第一保持工程において前記検査チップに作用される加速度は、前記第二保持工程において前記検査チップに作用される加速度よりも大きいことを特徴とする。これによれば、第一態様と同様の作用を奏する。

図面の簡単な説明

0020

検査装置1及び制御装置90を含む検査システム3の構成を示す図である。
検査チップ2の正面図である。
廃液部700近傍の拡大正面図である。
遠心処理フローチャートである。
遠心処理における検査チップ2の状態遷移図である。
図5から続く状態遷移図である。
図6から続く状態遷移図である。
反応部380を拡大した断面図である。

実施例

0021

本発明を具体化した実施形態について、図面を参照して説明する。図1は、検査システム3を構成する検査装置1の平面及び制御装置90の内部の機能ブロックを示す。

0022

<1.検査システム3の概略構造
図1を参照して、検査システム3の概略構造を説明する。本実施形態の検査システム3は、液体である検体及び試薬を収容可能な検査チップ2と、検査チップ2を用いて検査を行う検査装置1とを含む。検査装置1が検査チップ2から離間した垂直軸線A1を中心として検査チップ2を回転させると、遠心力が検査チップ2に作用する。検査装置1が水平軸線A2を中心に検査チップ2を回転させると、検査チップ2からみた検査チップ2に作用する遠心力の方向が切り替えられる。尚、本実施形態の検査システム3及び検査装置1は、特開2012−78107号公報に記載されているように周知の構造であるので、以下の説明では、検査装置1の概略構造を説明する。

0023

<2.検査装置1の構造>
図1を参照して、検査装置1の構造を説明する。以下の説明では、図1の上方、下方、右方、左方、紙面手前側、及び紙面奥側を、夫々、検査装置1の前方、後方、右方、左方、上方、及び下方とする。本実施形態では、垂直軸線A1の方向は検査装置1の上下方向であり、水平軸線A2の方向は、検査チップ2が垂直軸線A1を中心として回転される際の速度の方向である。図1は検査装置1の上部筐体30の天板が取り除かれた状態を示す。

0024

図1に示すように、検査装置1は、上部筐体30、下部筐体31、上板32、ターンテーブル33、角度変更機構34、及び制御装置90を備える。ターンテーブル33は、後述する上板32の上側に回転可能に設けられた円盤である。検査チップ2は、ターンテーブル33の上方に保持される。角度変更機構34は、ターンテーブル33に設けられた駆動機構である。角度変更機構34は、水平軸線A2を中心に検査チップ2を各々回転させる。上部筐体30は、後述する上板32に固定されており、検査チップ2に対して光学測定を行う測定部7が内部に設けられている。制御装置90は、検査装置1の各種処理を制御するコントローラである。

0025

下部筐体31の概略構造を説明する。下部筐体31は、枠部材を組み合わせた箱状のフレーム構造を有する。下部筐体31の上面には、長方形板材である上板32が設けられている。下部筐体31の内部には、垂直軸線A1を中心にターンテーブル33を回転させる駆動機構が、次のように設けられている。

0026

下部筐体31内の左方寄りに、ターンテーブル33を回転させるための駆動力を供給する主軸モータ35が設置されている。主軸モータ35の軸36は、上方に突出しており、プーリ37が固定されている。下部筐体31の中央部には、下部筐体31の内部から上方に延びる垂直な主軸57が設けられている。主軸57は、上板32を貫通して、下部筐体31の上側に突出している。主軸57の上端部は、ターンテーブル33の中央部に接続されている。

0027

主軸57は、上板32の直下に設けられた図示しない支持部材により、回転自在に保持されている。支持部材の下側では、主軸57にプーリ38が固定されている。プーリ37とプーリ38とに亘って、ベルト39が掛け渡されている。主軸モータ35が軸36を回転させると、プーリ37、ベルト39、及びプーリ38を介して駆動力が主軸57に伝達される。このとき、主軸57の回転に連動して、ターンテーブル33が主軸57を中心に回転する。

0028

下部筐体31内の右方寄りに、下部筐体31の内部において上下方向に延びる図示しないガイドレールが設けられている。図示しないT型プレートは、ガイドレールに沿って下部筐体31内において上下方向に移動可能である。

0029

先述の主軸57は、内部が中空筒状体である。図示しない内軸は、主軸57の内部において上下方向に移動可能な軸である。内軸の上端部は、主軸57内を貫通してラックギア43に接続されている。T型プレートの左端部には、図示しない軸受が設けられている。軸受の内部では、内軸の下端部が回転自在に保持される。

0030

T型プレートの前方には、T型プレートを上下動させるためのステッピングモータ51が固定されている。ステッピングモータ51の軸58は後方、すなわち図1では下方側に向けて突出している。軸58の先端には、図示しない円盤状のカム板が固定されている。カム板の後側の面には、図示しない円柱状の突起が設けられている。突起の先端部は、図示しない溝部に挿入されている。突起は、溝部内摺動可能である。ステッピングモータ51が軸58を回転させると、カム板の回転に連動して突起が上下動する。このとき、溝部に挿入されている突起に連動して、T型プレートがガイドレールに沿って上下動する。

0031

角度変更機構34の詳細構造を説明する。角度変更機構34は、ターンテーブル33の上面に固定された一対のL型プレート60を有する。各L型プレート60は、ターンテーブル33の中心近傍に固定された基部から上方に延び、且つ、その上端部がターンテーブル33の径方向外側に向けて延びている。一対のL型プレート60の間には、内軸に固定された図示しないラックギア43が設けられている。ラックギア43は、上下方向に長い金属製の板状部材であり、両端面にギアが各々刻まれている。

0032

各L型プレート60の延設方向の先端側では、ギア45を有する水平な支軸46が回転自在に軸支されている。支軸46は図示外の装着用ホルダを介して検査チップ2に固定されている。このため、ギア45の回転に連動して検査チップ2も支軸46を中心に回転する。ギア45とラックギア43との間には、L型プレート60により図示略の水平軸線を中心に回転自在に支持されたピニオンギア44が介在している。ピニオンギア44は、ギア45及びラックギア43に夫々噛合している。ラックギア43の上下動に連動して、ピニオンギア44、及びギア45が夫々従動回転し、ひいては検査チップ2が支軸46を中心に回転する。

0033

本実施形態では、主軸モータ35がターンテーブル33を回転駆動するのに伴って、検査チップ2が垂直軸である主軸57を中心に回転して、検査チップ2に遠心力が作用される。検査チップ2の垂直軸線A1を中心とした回転を、公転と呼ぶ。一方、ステッピングモータ51が内軸を上下動させるのに伴って、検査チップ2が水平軸である支軸46を中心に回転して、検査チップ2に作用する遠心力の方向が相対変化する。検査チップ2の水平軸線A2を中心とした回転を、自転と呼ぶ。

0034

T型プレートが可動範囲最下端まで下降した状態では、ラックギア43も可動範囲の最下端まで下降する。このとき、検査チップ2は、自転角度が0度の定常状態になる。また、T型プレートが可動範囲の最上端まで上昇した状態では、ラックギア43も可動範囲の最上端まで上昇する。このとき、検査チップ2は、定常状態から水平軸線A2を中心に180度回転した状態になる。つまり、検査チップ2が自転可能な角度幅は、自転角度0度〜180度である。本実施形態では、後述の遠心処理(図4参照)において、自転角度が0度〜90度の角度幅で制御される。

0035

上部筐体30の詳細構造を説明する。図1に示すように、上部筐体30は、枠部材を組み合わせた箱状のフレーム構造を有し、上板32の左部上側に設置されている。より詳細には、上部筐体30は、ターンテーブル33の回転中心にある主軸57からみて、検査チップ2が回転される範囲の外側に設けられている。

0036

上部筐体30の内部に設けられた測定部7は、測定光発光する光源71と、光源71から発せられた測定光を検出する光センサ72とを有する。光源71及び光センサ72は、検査チップ2の回転範囲の外側において、ターンテーブル33の前後両側に配置されている。本実施形態では、検査チップ2の公転可能範囲のうちで主軸57の左側位置が、検査チップ2に測定光が照射される測定位置である。検査チップ2が測定位置にある場合、光源71と光センサ72とを結ぶ測定光が、検査チップ2の前面及び後面に対して略垂直に交差する。

0037

<3.制御装置90の電気的構成
図1を参照して、制御装置90の電気的構成を説明する。制御装置90は、検査装置1の主制御を司るCPU101と、各種データを一時的に記憶するRAM102と、制御プログラムを記憶したROM103とを有する。CPU101には、ユーザが制御装置90に対する指示を入力するための操作部104と、各種データ、及びプログラムを記憶するハードディスク装置105と、各種情報を表示するディスプレイ106とが接続されている。制御装置90としては、パーソナルコンピュータを用いてもよいし、専用の制御装置を用いてもよい。

0038

更にCPU101には、公転コントローラ97、自転コントローラ98、及び測定コントローラ99が接続されている。公転コントローラ97は、主軸モータ35を回転駆動させる制御信号を主軸モータ35に送信することによって、検査チップ2の公転を制御する。自転コントローラ98は、ステッピングモータ51を回転駆動させる制御信号をステッピングモータ51に送信することによって、検査チップ2の自転を制御する。測定コントローラ99は、測定部7を駆動することによって、検査チップ2の光学測定を実行する。詳細には、測定コントローラ99は、光源71の発光、及び光センサ72の光検出を実行させる制御信号を、光源71及び光センサ72に送信する。尚、CPU101が公転コントローラ97、自転コントローラ98及び測定コントローラ99を制御する。

0039

<4.検査チップ2の全体構造
図2を参照して、本実施形態に係る検査チップ2の全体構造を説明する。以下の説明では、図2の上方、下方、左方、右方、紙面手前側、及び紙面奥側を、それぞれ、検査チップ2の上方、下方、左方、右方、前方、及び後方とする。本実施形態では、検査チップ2が使用され、ELISA法によって検査が行われる。

0040

図2に示すように、検査チップ2は一例として前方から見た場合に上辺部81、下辺部84、右辺部82、及び左辺部83を有する正方形状であり、所定の厚みを有する透明な合成樹脂の板材19を主体とする。板材19の前面203は、透明の合成樹脂の薄板から構成されたシート291によって封止されている。板材19とシート291との間には、検査チップ2に封入された液体が流動可能な液体流路25が形成されている。液体流路25は、前面203に所定深さに形成された凹部であり、板材19の厚み方向である前後方向と直交する方向に延びる。シート291は、板材19の流路形成面を封止する。シート291は、図2以外では図示を省略している。

0041

液体流路25は、試料液導入部310、第一洗浄液導入部320、標識抗体液導入部330、第二洗浄液導入部340、基質溶液導入部350、停止液導入部360、共通受部370、反応部380、測定部390、廃液部700、第一受部450、第二受部460、第三受部470、第四受部550、注入路480,490.500,510,520,530等を含む。試料液導入部310、第一洗浄液導入部320、標識抗体液導入部330、第二洗浄液導入部340、基質溶液導入部350、停止液導入部360、反応部380、及び測定部390は、夫々下方向に凹み、上方に開口している。

0042

反応部380を形成する壁面には、固相化された抗体である固相化抗体が配置されている。試料液導入部310、第一洗浄液導入部320、標識抗体液導入部330、第二洗浄液導入部340、基質溶液導入部350、及び停止液導入部360は、夫々、試料液91、第一洗浄液92、標識抗体液93、第二洗浄液94、基質溶液95、停止液96が保持される部位である。

0043

試料液91は、例えば、血液、血漿血球骨髄、尿、膣組織上皮組織腫瘍精液唾液動物組織、動物の血液、又は食料品などの検査対象物質の成分を含む液体である。試料液91に含まれる検査対象物質は、固相化抗体と結合される。第一洗浄液92は、固相化抗体と結合していない試料液91の成分を除去するための液体である。標識抗体液93は、酵素標識抗体を含む液体である。酵素標識抗体は、酵素で標識された抗体である。標識抗体液93に含まれる酵素標識抗体は、検査対象物質及び固相化抗体の結合体と特異的に結合される。

0044

第二洗浄液94は、検査対象物質及び固相化抗体の結合体と結合していない標識抗体液93の成分を除去するための液体である。基質溶液95は、第二洗浄液94によって洗浄された後の固相化抗体に接触されて、酵素標識抗体と酵素反応される液体である。停止液96は、基質溶液95と混合されて、酵素反応の進行を停止させるための液体である。本実施形態では、後述する光学測定において、基質溶液95が酵素反応することによって生じる蛍光物質又は呈色物質が検出されて、検査対象物質が測定される。

0045

本実施形態では、試料液91、第一洗浄液92、標識抗体液93、第二洗浄液94、基質溶液95、及び停止液96の各々と、液体流路25を形成する壁面とが静的に接触した場合になす角度である接触角は、何れも90度以下である。以下では、理解を容易にするために、試料液91、第一洗浄液92、標識抗体液93、第二洗浄液94、基質溶液95、及び停止液96の各接触角は、互いに同じであるものとする。

0046

試料液導入部310は、検査チップ2の右上部に設けられている。注入路480は、試料液導入部310の左上部から上方に延び、上辺部81を貫通する。注入路480は、試料液導入部310に試料液91が注入される部位である。第一洗浄液導入部320は、試料液導入部310より下方向に位置する。注入路490は、第一洗浄液導入部320の左上部から上方に延び、上辺部81を貫通する。注入路490は、第一洗浄液導入部320に第一洗浄液92を注入する部位である。第一洗浄液導入部320の右下方には、共通受部370が設けられている。共通受部370は、上方に開口する凹部である。試料液導入部310の右上部と第一洗浄液導入部320の右上部とは、下方に延びる流路610を介して共通受部370に接続されている。

0047

停止液導入部360は、検査チップ2の左上部に設けられている。注入路530は、停止液導入部360の左上部から上方に延び、上辺部81を貫通する。注入路530は、停止液導入部360に停止液96を注入する部位である。基質溶液導入部350は、停止液導入部360より下方に位置する。注入路520は、基質溶液導入部350の左上部から上方に延び、上辺部81を貫通する。注入路520は、基質溶液導入部350に基質溶液95を注入する部位である。

0048

第二洗浄液導入部340は、基質溶液導入部350より下方に位置する。注入路510は、第二洗浄液導入部340の左上部から上方に延び、上辺部81を貫通する。注入路510は、第二洗浄液導入部340に第二洗浄液94を注入する部位である。標識抗体液導入部330は、基質溶液導入部350より下方に位置する。注入路500は、標識抗体液導入部330の左上部から上方に延び、上辺部81を貫通する。注入路500は、標識抗体液導入部330に標識抗体液93を注入する部位である。

0049

試料液導入部310を形成する壁面のうちの下流の壁面を、第一壁面501という。第一洗浄液導入部320を形成する壁面のうちの下流の壁面を、第二壁面502という。標識抗体液導入部330を形成する壁面のうちの下流の壁面を、第三壁面503という。停止液導入部360を形成する壁面のうちの下流の壁面を、第四壁面504という。基質溶液導入部350を形成する壁面のうちの下流の壁面を、第五壁面505という。第二洗浄液導入部340を形成する壁面のうちの下流の壁面を、第六壁面506という。

0050

第一〜第六壁面501〜506の傾斜角を、夫々、R1、R2、R3、R4、R5、及びR6とする。図2においては、一例として、傾斜角R1〜R6を、第一〜第六壁面501〜506の夫々と下方向とのなす角で示す。傾斜角R1〜R6は、以下の式(1)の関係を有する。
R3,R4,R5,R6>R2>R1 ・・・(1)
なおR3〜R6は、本実施形態では互いに同じ角度であるが、互いに異なる角度でもよい。

0051

第一受部450は、停止液導入部360の右上部分から下方向に延びる流路である。第一受部450は、右方に凹んでいる。第一受部450の左下部は、基質溶液導入部350に接続されている。第二受部460は、基質溶液導入部350の右上部分から下方向に延びる流路である。第二受部460は、右方に凹んでいる。第二受部460の左下部は、第二洗浄液導入部340に接続されている。第三受部470は、第二洗浄液導入部340の右上部分から下方向に延びる流路である。第三受部470は、右方に凹んでいる。第三受部470の左下部は、標識抗体液導入部330に接続されている。

0052

標識抗体液導入部330の右部は、第三受部470の右側を通って右斜め上方に延びる。標識抗体液導入部330の右上端は、第一洗浄液導入部320の下側において右方に延び、流路620の左端部に接続する。流路620は、右方に延びて、共通受部370に接続する。共通受部370の左下部は、反応部380に接続されている。第四受部550は、反応部380の右上部分から下方向に延びる流路である。第四受部550は、右方に凹んでいる。

0053

第四受部550の左下部は、測定部390に接続されている。測定部390は、試料液91を含む液体が測定される部位である。測定部390の右上部は、廃液部700に接続されている。測定部390から廃液部700に流出する液体を、廃液85(図5の状態F5等参照)という。測定部390は、その右上端部である流出端部391から、廃液85を廃液部700に流出させる。

0054

<5.廃液部700の詳細構造>
図3を参照して、廃液部700の詳細構造を説明する。廃液部700は、第一廃液部710、狭小流路720、及び第二廃液部730を備える。第一廃液部710は、測定部390の右上部から下方向に延びる。狭小流路720は、測定部390の下側を通って、第一廃液部710の下端部から左方向に延びる。第二廃液部730は、狭小流路720の左端部から上側に凹む凹部である。第二廃液部730の下端部731は、狭小流路720の左端部と接続する。第二廃液部730の上端部732は、測定部390と反応部380との間にある。第二廃液部730の右端部733は、測定部390と狭小流路720との間にある。

0055

第二廃液部730と標識抗体液導入部330とを隔てる壁部を、隔壁741という。第二廃液部730と反応部380とを隔てる壁部を、隔壁742という。第二廃液部730と測定部390とを隔てる壁部を、隔壁743という。第二廃液部730と第一廃液部710及び狭小流路720とを隔てる壁部を、隔壁744という。第二廃液部730は、隔壁741を挟んで標識抗体液導入部330の右側に配置される。第二廃液部730は、隔壁742を挟んで反応部380の下側に配置される。第二廃液部730は、隔壁743を挟んで測定部390の下側に配置される。第二廃液部730は、隔壁744を挟んで、第一廃液部710の左側且つ狭小流路720の上側に配置される。

0056

第一廃液部710と狭小流路720との接続部を、接続部751という。接続部751は、第一廃液部710の左下端部の後面から狭小流路720に右端部の後面に向けて、左斜め前方に傾斜し且つ上下方向の幅が漸減するテーパ状の壁面である。狭小流路720と第二廃液部730との接続部を、接続部752という。接続部752は、下端部731の後面から狭小流路720の左端部の後面に向けて前方に突出する段差部である。狭小流路720は、接続部751,752の間で左右方向に延びる壁面721に囲まれて形成された流路である。

0057

先述の測定部390は、下方向に凹む壁部392によって囲まれた領域である。壁部392は、隔壁743と隔壁745の一部とを含む。隔壁745は、測定部390と第一廃液部710とを隔てる壁部である。隔壁745において測定部390を囲む面は、測定部390に保持された液体を下流側に案内する案内面393である。隔壁743において測定部390を囲む面は、案内面393と対向する対向面394である。

0058

測定部390から下流側に流出した液体は、廃液部700の右面をなす壁面701に沿って、第一廃液部710内を下方向に移動可能である。更に液体は、廃液部700の下面をなす壁面702に沿って、第一廃液部710から第二廃液部730まで移動可能である。即ち液体は、狭小流路720を経由して、第一廃液部710から第二廃液部730まで移動可能である。第二廃液部730に流入した液体は、第二廃液部730内で下端部731から上側に移動可能である。更に液体は、隔壁744の上面である壁面703に沿って、下端部731から右端部733に向けて右上方に移動可能である。

0059

狭小流路720の上下方向の幅は、その内部で移動する液体を狭小流路720における上面及び下面の両方に接触させるように小さい。狭小流路720の前後方向の幅は、その内部で移動する液体を狭小流路720における前面及び後面の両方に接触させるように小さい。つまり、狭小流路720は、液体が流路断面閉塞しながら壁面721に沿って移動する狭小流路である。

0060

隔壁743には、上端部732から右上方に延びる連通路800が形成されている。連通路800は、第二廃液部730から測定部390まで接続する空気の流路である。連通路800は、隔壁743及び対向面394を貫通して、測定部390内に連通する。連通路800の測定部390側の開口端は、隔壁742,743が互いに接続する位置にある対向面394の上端部に形成される。

0061

廃液部700は、前面203に所定深さに形成された凹部である。凹部の深さは、検査チップ2における前後方向の幅と同義である。本実施形態では、狭小流路720の深さは、少なくとも第一廃液部710及び第二廃液部730の各深さよりも小さい。第一廃液部710の深さと第二廃液部730の深さとは、互いに等しい。連通路800の深さと狭小流路720の深さとは、互いに等しい。なお、第一廃液部710の深さと第二廃液部730の深さとは、互いに異なってもよい。連通路800の深さと狭小流路720の深さとは、互いに異なってもよい。

0062

反応部380を形成する壁面のうちの下流の壁面を、案内面381という。案内面381,393の傾斜角を、夫々、R7,R8とする。図4においては、一例として、傾斜角R7,R8を、案内面381の夫々と下方向とのなす角で示す。傾斜角R7,R8は、以下の式(2)の関係を有する。
R5,R6,R8>R7 ・・・(2)
なおR5,R6,R8は、本実施形態では互いに同じ角度であるが、互いに異なる角度でもよい。

0063

<6.検査チップ2のその他構造>
図1に示すように、L型プレート60から延びる支軸46は、図示外の装着用ホルダを介して板材19の後面中央に垂直に連結される。支軸46の回転に伴って、検査チップ2が支軸46を中心に自転する。検査チップ2は図2に示す定常状態である場合、上辺部81及び下辺部84が重力の方向と直交し、右辺部82及び左辺部83が重力の方向と平行、且つ、左辺部83が右辺部82よりも主軸57側に配置される。定常状態の検査チップ2が測定位置に配置されている状態において、光源71と光センサ72とを結ぶ測定光を測定部390に通過させることで、検査装置1は光学測定による検査を行う。

0064

<7.検査方法の一例>
検査装置1及び検査チップ2を用いた検査方法を説明する。図2に示すように、注入路530を介して、停止液導入部360に停止液96が注入される。注入路520を介して、基質溶液導入部350に基質溶液95が注入される。注入路510を介して、第二洗浄液導入部340に第二洗浄液94が注入される。注入路500を介して、標識抗体液導入部330に標識抗体液93が注入される。注入路490を介して、第一洗浄液導入部320に第一洗浄液92が注入される。注入路480を介して、試料液導入部310に試料液91が注入される。各液体の配置方法は、他の手法でもよい。

0065

ユーザは検査チップ2を図示外の装着用ホルダに取り付けて、操作部104から処理開始コマンドを入力する。これによって、CPU101は、ROM103に記憶されている制御プログラムに基づいて、図4に示す遠心処理を実行する。CPU101は遠心処理において、公転コントローラ97を介して主軸モータ35を駆動制御することで、検査チップ2の公転開始、公転速度制御、及び公転停止を行う各動作を実行する。本実施形態では、CPU101は垂直軸線A1を中心として、検査チップ2を平面視で時計回り方向に公転させる(図1参照)。CPU101は、主軸モータ35の単位時間当たりの回転数を制御することで、検査チップ2の公転速度を制御する。

0066

CPU101は遠心処理において、自転コントローラ98を介してステッピングモータ51を駆動制御することで、検査チップ2の自転角度を変更する各動作を実行する。以下の説明では、図2に示す定常状態の検査チップ2の自転角度を、0度とする。正面視で水平軸線A2を中心として、定常状態からm度反時計回りに回転した検査チップ2の自転角度を、m度とする。例えば、定常状態から90度反時計回りに回転した検査チップ2の自転角度は、90度である。本実施形態では、CPU101は自転角度を増加するように変更する場合、検査チップ2を正面視で水平軸線A2を中心として反時計回りに回転させる。CPU101は自転角度を減少させるように変更する場合、検査チップ2を正面視で水平軸線A2を中心として時計回りに回転させる。

0067

図4に示すように、まずCPU101は、第一送液処理を実行する(S1)。第一送液処理では、検査チップ2の公転が開始されて、検査チップ2に遠心力X1が作用するまで公転速度が上昇される。また、検査チップ2の自転角度が、0度から第一自転角度に変更される。第一自転角度は、遠心力が第一壁面501(図2参照)に対して垂直に作用する、検査チップ2の自転角度である。

0068

第一送液処理では、第一自転角度の検査チップ2に、遠心力X1が所定時間作用される。このとき、図5の状態F1に示すように、第一壁面501に垂直な方向に向けて、遠心力X1が検査チップ2に作用する。遠心力X1の作用によって、試料液91が流路610を介して、試料液導入部310から共通受部370に移動する。上記式(1)の関係によって、第一洗浄液92、標識抗体液93、第二洗浄液94、基質溶液95、及び停止液96は、夫々、第一洗浄液導入部320、標識抗体液導入部330、第二洗浄液導入部340、基質溶液導入部350、及び停止液導入部360に保持される。

0069

次いでCPU101は、第一反応工程を実行する(S2)。第一反応工程では、検査チップ2に遠心力X21が作用するまで、公転速度が下降される。遠心力X21は、遠心力X1以下の大きさであり、本実施形態では遠心力X1の1/2程度である。また、検査チップ2の自転角度が、第一自転角度から90度に変更される。

0070

第一反応工程では、自転角度90度の検査チップ2に、遠心力X21が所定時間作用される。このとき、図5の状態F2に示すように、上辺部81から下辺部84に向けて、遠心力X21が検査チップ2に作用する。遠心力X21の作用によって、試料液91は共通受部370から反応部380に移動する。反応部380では、試料液91に含まれる検査対象物質が固相化抗体と結合する。検査対象物質と固相化抗体との結合体を、第一結合体という。

0071

次いでCPU101は、第二送液工程を実行する(S3)。第二送液工程では、検査チップ2に遠心力X1が作用するまで、公転速度が上昇される。また、検査チップ2の自転角度が、90度から第二自転角度に変更される。第二自転角度は、遠心力が第二壁面502(図2参照)に対して垂直に作用する、検査チップ2の自転角度である。

0072

第二送液工程では、第二自転角度の検査チップ2に、遠心力X1が所定時間作用される。このとき、図5の状態F3に示すように、第二壁面502に垂直な方向に向けて、遠心力X1が検査チップ2に作用する。遠心力X1の作用によって、第一洗浄液92が流路610を介して第一洗浄液導入部320から共通受部370に移動し、且つ、試料液91が反応部380から第四受部550に移動する。上記式(1)の関係によって、標識抗体液93、第二洗浄液94、基質溶液95、及び停止液96は、夫々、標識抗体液導入部330、第二洗浄液導入部340、基質溶液導入部350、及び停止液導入部360に保持される。

0073

次いでCPU101は、第一洗浄工程を実行する(S4)。第一洗浄工程では、検査チップ2に遠心力X31が作用するまで、公転速度が下降される。遠心力X31は、遠心力X21未満の大きさであり、より好適には後述の遠心力X32,X33よりも大きく、本実施形態では遠心力X21の1/2程度である。また、検査チップ2の自転角度が、第二自転角度から90度に変更される。

0074

第一洗浄工程では、自転角度90度の検査チップ2に、遠心力X31が所定時間作用される。このとき、図5の状態F4に示すように、上辺部81から下辺部84に向けて、遠心力X31が検査チップ2に作用する。遠心力X31の作用によって、第一洗浄液92が共通受部370から反応部380に移動し、且つ、試料液91が第四受部550から測定部390に移動する。反応部380に移動した第一洗浄液92によって、一回目の反応部380の洗浄が行われる。具体的には、反応部380では、固相化抗体と結合していない試料液91の成分が第一洗浄液92によって除去される。即ち、反応部380に残存する第一結合体以外の成分が、第一洗浄液92によって除去される。

0075

次いでCPU101は、第三送液工程を実行する(S5)。第三送液工程では、検査チップ2に遠心力X1が作用するまで、公転速度が上昇される。また、検査チップ2の自転角度が、90度から0度に変更される。第一送液処理では、自転角度0度の検査チップ2に、遠心力X1が所定時間作用される。このとき、図5の状態F5に示すように、左辺部83から右辺部82に向けて、検査チップ2に遠心力X1が作用する。遠心力X1の作用によって、各液体は次のように移動する。

0076

第一洗浄液92は、反応部380から第四受部550に移動する。標識抗体液93は、標識抗体液導入部330から共通受部370に移動する。第二洗浄液94は、第二洗浄液導入部340から第三受部470に移動する。基質溶液95は、基質溶液導入部350から第二受部460に移動する。停止液96は、停止液導入部360から第一受部450に移動する。試料液91は、廃液85として測定部390から第一廃液部710に移動する。このとき、廃液85は第一廃液部710の右部に保持される。

0077

次いでCPU101は、第二反応工程を実行する(S6)。第二反応工程では、検査チップ2に遠心力X22が作用するまで、公転速度が下降される。遠心力X22は、遠心力X1以下の大きさであり、好適には遠心力X21以下の大きさである。本実施形態の遠心力X22は、遠心力X21の2/3程度である。また、検査チップ2の自転角度が、0度から90度に変更される。第二反応工程では、自転角度90度の検査チップ2に、遠心力X22が所定時間作用される。このとき、図5の状態F6に示すように、上辺部81から下辺部84に向けて、遠心力X22が検査チップ2に作用する。遠心力X22の作用によって、各液体は次のように移動する。

0078

第一洗浄液92は、第四受部550から測定部390に移動する。標識抗体液93は、共通受部370から反応部380に移動する。第二洗浄液94は、第三受部470から標識抗体液導入部330に移動する。基質溶液95は、第二受部460から第二洗浄液導入部340に移動する。停止液96は、第一受部450から基質溶液導入部350に移動する。反応部380では、標識抗体液93に含まれる酵素標識抗体が、第一結合体と特異的に結合する。酵素標識抗体と第一結合体との結合体を、第二結合体という。

0079

廃液85は、壁面701(図3参照)に沿って第一廃液部710内を下方向に移動する。更に廃液85の一部は、壁面702(図3参照)に沿って狭小流路720内を左方向に移動して、第二廃液部730に流入する。この結果、廃液85は、遠心力X22の作用によって、第一廃液部710の下部、狭小流路720、及び第二廃液部730の下部に保持される。第二廃液部730における廃液85の液面851は、第一廃液部710における廃液85の液面852は、遠心力方向と直交する方向に並ぶ。液面851は、第二廃液部730内において下端部731(図3参照)よりも遠心力方向の上流側にある。

0080

次いでCPU101は、第四送液工程を実行する(S7)。第四送液工程では、検査チップ2に遠心力X1が作用するまで、公転速度が上昇される。また、検査チップ2の自転角度が、90度から第三自転角度に変更される。第三自転角度は、遠心力が案内面381(図2参照)に対して垂直に作用する、検査チップ2の自転角度である。第三送液工程では、第三自転角度の検査チップ2に、遠心力X1が所定時間作用される。このとき、図6の状態F7に示すように、案内面381に垂直な方向に向けて、遠心力X1が検査チップ2に作用する。遠心力X1の作用によって、各液体は次のように移動する。

0081

標識抗体液93は、反応部380から第四受部550に移動する。第二廃液部730にある廃液85のうち、下端部731よりも上側にある廃液85を、対象廃液という。対象廃液は、壁面703(図3参照)に沿って右端部733に移動して、第二廃液部730の右部に保持される。廃液部700にある廃液85は、対象廃液を除いて、壁面702に沿って第一廃液部710の右下部に移動して保持される。

0082

上記式(2)の関係によって、第一洗浄液92、第二洗浄液94、基質溶液95、及び停止液96は、夫々、測定部390、標識抗体液導入部330、第二洗浄液導入部340、基質溶液導入部350に保持される。但し、検査チップ2が第三自転角度にある場合、遠心力の作用によって標識抗体液導入部330に保持可能な液量は、第二洗浄液94の総量よりも少ない。従って、標識抗体液導入部330にある第二洗浄液94の一部は、遠心力X1の作用によって、標識抗体液導入部330から溢れて共通受部370に移動する。本実施形態では、第二洗浄液94の一部が、標識抗体液導入部330から共通受部370に移動する。

0083

次いでCPU101は、第二洗浄工程を実行する(S8)。第二洗浄工程では、検査チップ2に遠心力X32が作用するまで、公転速度が下降される。遠心力X32は、遠心力X21未満の大きさであり、本実施形態では遠心力X31と同程度である。また、検査チップ2の自転角度が、第三自転角度から90度に変更される。第二洗浄工程では、自転角度90度の検査チップ2に、遠心力X32が所定時間作用される。このとき、図6の状態F8に示すように、上辺部81から下辺部84に向けて、遠心力X32が検査チップ2に作用する。遠心力X32の作用によって、各液体は次のように移動する。

0084

共通受部370にある第二洗浄液94が、反応部380に移動する。反応部380に移動した第二洗浄液94によって、二回目の反応部380の洗浄が行われる。具体的には、反応部380では、第一結合体と結合していない標識抗体液93の成分が、第二洗浄液94によって除去される。即ち、反応部380に残存する第二結合体以外の成分が、第二洗浄液94によって除去される。標識抗体液93が、第四受部550から測定部390に移動する。測定部390では、標識抗体液93と第一洗浄液92とが混合して、混合液86が生成される。廃液部700では、廃液85が図5の状態F6と同様に移動する。

0085

次いでCPU101は、第五送液工程を実行する(S9)。第五送液工程では、検査チップ2に遠心力X1が作用するまで、公転速度が上昇される。また、検査チップ2の自転角度が、90度から0度に変更される。第五送液処理では、自転角度0度の検査チップ2に、遠心力X1が所定時間作用される。このとき、図6の状態F9に示すように、左辺部83から右辺部82に向けて、検査チップ2に遠心力X1が作用する。遠心力X1の作用によって、各液体は次のように移動する。

0086

反応部380にある第二洗浄液94は、第四受部550に移動する。標識抗体液導入部330にある第二洗浄液94は、共通受部370に移動する。基質溶液95は、第二洗浄液導入部340から第三受部470に移動する。停止液96は、基質溶液導入部350から第二受部460に移動する。混合液86は、廃液85として測定部390から第一廃液部710に移動する。これにより、廃液部700に貯留される廃液85が増量する。対象廃液は、壁面703に沿って右端部733に移動して、第二廃液部730の右部に保持される。廃液部700にある廃液85は、対象廃液を除いて、壁面702に沿って第一廃液部710の右部に移動して保持される。

0087

次いでCPU101は、第三洗浄工程を実行する(S10)。第三洗浄工程では、検査チップ2に遠心力X33が作用するまで、公転速度が下降される。遠心力X33は、遠心力X21未満の大きさであり、好適には遠心力X32以上の大きさである。本実施形態の遠心力X33は、遠心力X32の3/2程度である。また、検査チップ2の自転角度が、0度から90度に変更される。第三洗浄工程では、自転角度90度の検査チップ2に、遠心力X33が所定時間作用される。このとき、図6の状態F10に示すように、上辺部81から下辺部84に向けて、遠心力X33が検査チップ2に作用する。遠心力X33の作用によって、各液体は次のように移動する。

0088

第四受部550にある第二洗浄液94が、測定部390に移動する。共通受部370にある第二洗浄液94が、反応部380に移動する。反応部380に移動した第二洗浄液94によって、二回目の反応部380の洗浄と同様に、三回目の反応部380の洗浄が行われる。基質溶液95は、第三受部470から標識抗体液導入部330に移動する。停止液96は、第二受部460から第二洗浄液導入部340に移動する。廃液部700では、廃液85が図6の状態F8と同様に移動する。このとき、液面851,852は、状態F8よりも遠心力方向の上流側にある。

0089

次いでCPU101は、第六送液工程を実行する(S11)。第六送液工程では、検査チップ2に遠心力X1が作用するまで、公転速度が上昇される。また、検査チップ2の自転角度が、90度から0度に変更される。第六送液処理では、自転角度0度の検査チップ2に、遠心力X1が所定時間作用される。このとき、図6の状態F11に示すように、左辺部83から右辺部82に向けて、検査チップ2に遠心力X1が作用する。遠心力X1の作用によって、各液体は次のように移動する。

0090

反応部380にある第二洗浄液94は、第四受部550に移動する。基質溶液95は、標識抗体液導入部330から共通受部370に移動する。停止液96は、第二洗浄液導入部340から第三受部470に移動する。測定部390にある第二洗浄液94は、廃液85として第一廃液部710に移動する。これにより、廃液部700に貯留される廃液85が増量する。廃液部700では、廃液85が図6の状態F9と同様に移動する。このとき、第一廃液部710及び第二廃液部730の各々で保持される廃液85の液量は、状態F9よりも多い。

0091

次いでCPU101は、第三反応工程を実行する(S12)。第三反応工程では、検査チップ2に遠心力X23が作用するまで、公転速度が下降される。遠心力X23は、遠心力X1以下の大きさであり、好適には遠心力X21以下の大きさである。本実施形態の遠心力X23は、遠心力X22と同程度である。また、検査チップ2の自転角度が、0度から90度に変更される。第三反応工程では、自転角度90度の検査チップ2に、遠心力X23が所定時間作用される。このとき、図6の状態F12に示すように、上辺部81から下辺部84に向けて、遠心力X23が検査チップ2に作用する。遠心力X23の作用によって、各液体は次のように移動する。

0092

第二洗浄液94は、第四受部550から測定部390に移動する。基質溶液95は、共通受部370から反応部380に移動する。反応部380では、基質溶液95が第二結合体に含まれる酵素標識抗体と酵素反応する。停止液96は、第三受部470から標識抗体液導入部330に移動する。廃液部700では、廃液85が図6の状態F10と同様に移動する。このとき、液面851,852は、状態F10よりも遠心力方向の上流側にある。

0093

次いでCPU101は、第七送液工程を実行する(S13)。第七送液工程では、検査チップ2に遠心力X1が作用するまで、公転速度が上昇される。また、検査チップ2の自転角度が、90度から0度に変更される。第七送液処理では、自転角度0度の検査チップ2に、遠心力X1が所定時間作用される。このとき、図7の状態F13に示すように、左辺部83から右辺部82に向けて、検査チップ2に遠心力X1が作用する。遠心力X1の作用によって、各液体は次のように移動する。

0094

基質溶液95は、反応部380から第四受部550に移動する。停止液96は、標識抗体液導入部330から共通受部370に移動する。測定部390にある第二洗浄液94は、廃液85として第一廃液部710に移動する。これにより、廃液部700に貯留される廃液85が増量する。廃液部700では、廃液85が図6の状態F11と同様に移動する。このとき、第一廃液部710及び第二廃液部730の各々で保持される廃液85の液量は、状態F11よりも多い。

0095

次いでCPU101は、第四反応工程を実行する(S14)。第四反応工程では、検査チップ2に遠心力X24が作用するまで、公転速度が下降される。遠心力X24は、遠心力X1以下の大きさであり、好適には遠心力X21以下の大きさである。本実施形態の遠心力X24は、遠心力X22と同程度である。また、検査チップ2の自転角度が、0度から90度に変更される。第四反応工程では、自転角度90度の検査チップ2に、遠心力X24が所定時間作用される。

0096

このとき、図7の状態F14に示すように、上辺部81から下辺部84に向けて、遠心力X24が検査チップ2に作用する。遠心力X24の作用によって、各液体は次のように移動する。基質溶液95は、第四受部550から測定部390に移動する。停止液96は、共通受部370から反応部380に移動する。廃液部700では、廃液85が図6の状態F12と同様に移動する。このとき、液面851,852は、状態F12よりも遠心力方向の上流側にある。

0097

次いでCPU101は、第八送液工程を実行する(S15)。第八送液工程では、検査チップ2に遠心力X1が作用するまで、公転速度が上昇される。また、検査チップ2の自転角度が、90度から第三自転角度に変更される。第八送液工程では、第三自転角度の検査チップ2に、遠心力X1が所定時間作用される。

0098

このとき、図7の状態F15に示すように、案内面381に垂直な方向に向けて、遠心力X1が検査チップ2に作用する。遠心力X1の作用によって、停止液96は反応部380から第四受部550に移動する。上記式(2)の関係によって、基質溶液95は測定部390に保持される。廃液部700では、廃液85が図6の状態F7と同様に移動する。

0099

次いでCPU101は、第五反応工程を実行する(S16)。第五反応工程では、検査チップ2に遠心力X25が作用するまで、公転速度が下降される。遠心力X25は、遠心力X1以下の大きさであり、好適には遠心力X21以下の大きさである。本実施形態の遠心力X25は、遠心力X22と同程度である。また、検査チップ2の自転角度が、0度から90度に変更される。第五反応工程では、自転角度90度の検査チップ2に、遠心力X25が所定時間作用される。

0100

このとき、図7の状態F16に示すように、上辺部81から下辺部84に向けて、遠心力X24が検査チップ2に作用する。遠心力X25の作用によって、停止液96は第四受部550から測定部390に移動する。測定部390では、基質溶液95に停止液96が混合され、基質溶液95の酵素反応の進行が停止する。停止液96が混合された基質溶液95を、測定溶液87という。廃液部700では、廃液85が図7の状態F14と同様に移動する。

0101

CPU101は、第五反応工程の実行後、公転速度を0まで下降させ、且つ自転角度を90度から0度に変更して、遠心処理を終了する。図7の状態F16に示すように、検査チップ2には、上辺部81から下辺部84に向けて重力Gが作用する。重力Gによって、測定溶液87は測定部390に保持される。CPU101は、遠心処理の実行後、検査チップ2を測定位置まで公転させる。

0102

図1に示すように、測定コントローラ99は、光源71を発光させることで、測定光を測定部390に貯溜された測定溶液87に透過させる。CPU101は、光センサ72が受光した測定光の変化量に基づいて、測定溶液87の光学測定を行い、測定データを取得する。CPU101は、取得された測定データに基づいて測定溶液87の測定結果を算出し、その算出結果をディスプレイ106に表示させる。尚、測定溶液87の測定方法は、光学測定に限られず、他の方法でもよい。

0103

<8.遠心処理における遠心力の制御態様
図8を参照して、遠心処理(図4参照)における遠心力の制御態様を説明する。図8では、遠心力Xが作用する自転角度90度の検査チップ2において、その前後方向中心を通る仮想面における断面を正面視した、反応部380近傍の拡大図である。図8では、図示しない液体が反応部380に貯留されているものとする。また、反応部380において、遠心力Xの大きさに応じて変化する液体の液面C1〜C4を、仮想線で示す。液面C1〜C4は、互いに同量の液体の液面である。

0104

上記遠心処理では、反応に関与する液体である試料液91、標識抗体液93、及び基質溶液95と、反応に関与しない液体である第一洗浄液92及び第二洗浄液94とが用いられる。遠心力X21〜X23の作用によって、反応に関与する液体が所定の部位に保持されることで、所定の反応が行われる。遠心力X31〜X33の作用によって、反応に関与しない液体が所定の部位に保持されることで、反応とは異なる処理が行われる。本実施形態では、所定の部位は反応部380であり、反応とは異なる処理は洗浄処理である。以下では、遠心力X21〜X23を総称して、遠心力X2という。遠心力X2は、遠心力X24,X25を含んでもよい。また、遠心力X31〜X33を総称して、遠心力X3という。

0105

(1)遠心力X2は、遠心力X3よりも大きい。具体的には、遠心力X21〜X23の各々は、遠心力X31〜X33の何れもよりも大きい。本例では、図8に示す検査チップ2に遠心力X21が付与されている状態では、反応部380内にある液体の液面は、液面C1と同じ表面状態となる。液面C1は、遠心力方向と直交する平面状である。

0106

図8に示す検査チップ2に遠心力X22,X23の何れかが付与されている状態では、反応部380内にある液体は表面張力によって反応部380の壁面に沿って若干広がる。このとき、反応部380内にある液体の液面は、液面C2と同じ表面状態となる。液面C2は、液面C1と比べて遠心力方向の下流側に凹む湾曲面である。液面C1,C2が同量の液体の液面である場合、液面C2の縁部は液面C1の縁部よりも遠心力方向の上流側にある。この場合、液面C2の液体は液面C1の液体よりも、反応部380の壁面との接触面積が大きい。

0107

図8に示す検査チップ2に遠心力X33が付与されている状態では、遠心力X22,X23の何れかが付与されている状態よりも、反応部380内にある液体は表面張力によって反応部380の壁面に沿って広がりやすい。このとき、反応部380内にある液体の液面は、液面C3と同じ表面状態となる。液面C3は、液面C2と比べて遠心力方向の下流側に大きく凹む湾曲面である。液面C2,C3が同量の液体の液面である場合、液面C3の縁部は液面C2の縁部よりも遠心力方向の上流側にある。この場合、液面C3の液体は液面C2の液体よりも、反応部380の壁面との接触面積が大きい。

0108

図8に示す検査チップ2に遠心力X31,X32の何れかが付与されている状態では、遠心力X33が付与されている状態よりも、反応部380内にある液体は表面張力によって反応部380の壁面に沿って広がりやすい。このとき、反応部380内にある液体の液面は、液面C4と同じ表面状態となる。液面C4は、液面C3と比べて遠心力方向の下流側に大きく凹む湾曲面である。液面C3,C4が同量の液体の液面である場合、液面C4の縁部は液面C3の縁部よりも遠心力方向の上流側にある。この場合、液面C4の液体は液面C3の液体よりも、反応部380の壁面との接触面積が大きい。

0109

即ち、遠心力X3に基づく液面C3,C4の各々は、遠心力X2に基づく液面C1,C2の何れよりも、液量に対して反応部380の壁面と接触する割合が大きい状態である。そのため、S4の第一洗浄工程(図5の状態F4)では、試料液91よりも少ない液量の第一洗浄液92によって、反応部380の壁面に残留する試料液91の成分を洗浄できる。

0110

より詳細には、S2の第一反応工程(図5の状態F2)において、試料液91の液面は、遠心力X21によって液面C1と同じ表面状態に保持される。次いで、S4の第一洗浄工程(図5の状態F4)において、第一洗浄液92の液面は、遠心力X31によって液面C4と同じ表面状態に保持される。このとき、第一洗浄液92の液量が試料液91の液量よりも少ない場合でも、第一洗浄液92の液面の縁部が試料液91の液面の縁部よりも遠心力方向の上流側にあれば、第一洗浄液92は反応部380の壁面に残存する試料液91の成分を除去できる。

0111

同様に、S8の第二洗浄工程(図6の状態F8)及びS10の第三洗浄工程(図6の状態F10)では、標識抗体液93よりも少ない液量の第二洗浄液94によって、反応部380の壁面に残留する標識抗体液93の成分を除去できる。更に反応部380の壁面に残留する標識抗体液93の成分は、二回の洗浄工程(第二洗浄工程及び第三洗浄工程)によって確実に洗浄される。

0112

(2)遠心力X33は、遠心力X32以上である。本例では、遠心力X33は遠心力X32よりも大きい。第二洗浄工程において、第二洗浄液94の液面は、遠心力X32によって液面C4と同じ表面状態に保持される。液面C4は、液面C1〜C4のうちで、液量に対して反応部380の壁面と接触する割合が最も大きい状態である。液体の液面が液面C4と同じ表面状態である場合、第二洗浄液94と反応部380の壁面との接触面積が大きいため、反応部380の広範囲を洗浄できる。

0113

次いで、第三洗浄工程において、第二洗浄液94の液面は、遠心力X33によって液面C3の状態に保持される。第二洗浄液94と反応部380の壁面との接触面積は、第二洗浄工程よりも小さい。一方、第二洗浄工程によって洗浄された反応部380の壁面は、第二洗浄液94で濡れた状態にある。そのため、第三洗浄工程では、第二洗浄液94が反応部380の壁面に沿って広がりやすく、反応部380から流出しやすい。これに対して、遠心力X33は遠心力X32よりも大きいため、第二洗浄液94を反応部380内で確実に保持できる。なお、遠心力X32,X33は互いに同じ大きさでもよい。

0114

なお、遠心力X31は遠心力X32,X33よりも大きいことが好適である。本実施形態では、先に実行される第一洗浄工程の洗浄精度よりも、後に実行される第二及び第三洗浄工程の洗浄精度の方が、液体反応の検査結果に与える影響が大きい。遠心力X31は遠心力X32,X33よりも大きくすることで、第二及び第三洗浄工程は第一洗浄工程よりも反応部380の広範囲を洗浄できる。従って、第二洗浄液94の使用量を抑制しつつ、液体反応に関する正確な検査結果が得られる。

0115

(3)遠心力X1は、液体を移動させるための遠心力である。遠心力X2は、遠心力X1以下である。即ち遠心力X1は、遠心力X1,X2,X3のうちで最も大きい。これにより、各搬送工程(S1,S3,S5,S7,S9,S11,S13,S15)では、移動対象の液体を、液残りを生じることなく目的位置へ正確に移動させることができる。また、遠心力X1が検査チップ2に作用する状態では、液体の液面が液面C1と同様に、遠心力方向と直交する平面状となる。従って、移動対象の液体と液体流路25を形成する壁面との接触面積を抑制できるため、他の液体の搬送精度を向上できる。

0116

本例では、遠心力X2,X3は、何れも遠心力X1よりも小さい。従って、各反応工程(S2,S6,S12,S14,S16)の公転速度、及び各洗浄工程(S4,S8,S10)の公転速度は、何れも各搬送工程の公転速度よりも小さい。このように、各搬送工程以外の工程における公転速度を抑制することで、検査装置1の遠心処理時のエネルギー消費を低減できる。なお、遠心力X2は遠心力X1と同じ大きさでもよい。

0117

(4)遠心力X21は、遠心力X22,X23以上である。第一反応工程(S2)では、反応部380において試料液91に含まれる検査対象物質が固相化抗体と結合される。このとき、試料液91と反応部380との接触面積が大きいほど、第一結合体の生成量が多くなる。第一反応工程における第一結合体の生成量が予定量と一致しない場合、測定精度に悪影響を及ぼす可能性がある。

0118

本例では、遠心力X21が遠心力X21〜X23のうちで最も大きい。第一反応工程において遠心力X21が作用されることで、反応部380にある試料液91の液面は遠心力方向と直交する平面状となる。これにより、試料液91と反応部380との接触面積を、正確な測定精度を得るのに好適な予定面積に制御できる。第一結合体の生成量が、正確な測定精度を得るのに好適な予定量に制御されるため、測定精度を向上できる。

0119

一方、第二反応工程(S6)において、反応物である標識抗体液93の液量は、被反応物である第一結合体の量に対して過剰である。そのため、第二反応工程は、標識抗体液93と反応部380の壁面との接触面積を正確に制御する必要性が相対的に低い。同様に、第三反応工程(S12)において、反応物である基質溶液95の液量は、被反応物である第二結合体の量に対して過剰である。そのため、第三反応工程は、基質溶液95と反応部380の壁面との接触面積を正確に制御する必要性が相対的に低い。

0120

従って、第二反応工程及び第三反応工程では、第一反応工程のように液面を高精度で制御する必要性が相対的に低い。本例では、遠心力X22,X23の各々が遠心力X21よりも小さいため、検査装置1の遠心処理時のエネルギー消費を低減できる。なお、遠心力X21は、遠心力X22,X23の少なくとも一つと同じ大きさでもよい。遠心力X22,X23は、互いに同じ大きさでもよいし、互いに異なる大きさでもよい。

0121

<9.本実施形態の作用の例示>
(1)遠心処理(図4参照)の各工程において、検査チップ2に加速度を作用されることで、以下のように液体が操作される。本実施形態では、検査装置1が加速度として遠心力を検査チップ2に作用させ、且つ遠心力の作用する方向を調整することで、遠心処理の各工程が実行される。以下では、試料液導入部310、第一洗浄液導入部320、標識抗体液導入部330、第二洗浄液導入部340、基質溶液導入部350、及び停止液導入部360を総称して、各液体が導入される領域である導入部という。

0122

まず第一送液工程(S1)では、反応に関与する液体である試料液91が導入部から下流側に移動される。次に第一反応工程(S2)では、試料液91が反応部380に保持される。次に第二送液工程(S3)では、試料液91が反応部380から下流側に移動され、且つ、反応に関与しない液体である第一洗浄液92が導入部から下流側に移動される。次に第一洗浄工程(S4)では、第一洗浄液92が反応部380に保持される。第一反応工程の遠心力X21は、第一洗浄工程の遠心力X31よりも大きい。これにより、第一反応工程において保持される試料液91と反応部380との間の表面張力と、第一洗浄工程において保持される第一洗浄液92と反応部380との間の表面張力では、前者の方が加速度によって相殺される方向の力が働きやすい。

0123

即ち、試料液91と第一洗浄液92との各液量が同等である場合、第一洗浄工程における第一洗浄液92と反応部380との接触面積は、第一反応工程における試料液91と反応部380との接触面積よりも大きい。第一洗浄液92の液量が試料液91の液量よりも少ない場合でも、第一洗浄液92は反応部380のうちで試料液91と接触した領域の全体と接触可能である。従って、反応に関与しない第一洗浄液92の使用量を抑制しつつ、液体反応に関する正確な検査結果が得られる。

0124

(2)第一反応工程(S2)では、試料液91が反応部380に配置された固相化抗体と反応される。第一洗浄工程(S4)では、第一洗浄液92によって反応部380が洗浄される。これにより、反応に関与しない第一洗浄液92の使用量を抑制しつつ、第一洗浄工程以降の工程において、反応部380で液体を正確に反応させることができる。

0125

(3)第一反応工程(S2)では、検査対象物質と固相化抗体とが結合された第一結合体が生成される。第一洗浄工程(S4)では、反応部380に残存する第一結合体以外の成分が除去される。次に第三送液工程(S5)では、第一洗浄液92が反応部380から下流側に移動され、且つ標識抗体液93が導入部から下流側に移動される。次に第二反応工程(S6)では、反応部380に標識抗体液93が保持されて、酵素標識抗体と第一結合体とが特異的に結合された第二結合体が生成される。次に第四送液工程(S7)及び第五送液工程(S9)では、標識抗体液93が反応部380から下流側に移動され、且つ第二洗浄液94が導入部から下流側に移動される。

0126

次に第二洗浄工程(S8)及び第三洗浄工程(S10)では、反応部380に第二洗浄液94が保持されて、反応部380に残存する第二結合体以外の成分が除去される。次に第六送液工程(S11)では、第二洗浄液94が反応部380から下流側に移動され、且つ基質溶液95が導入部から下流側に移動される。次に第三反応工程(S12)では、反応部380に基質溶液95が保持されて、基質溶液95が第二結合体と反応される。第一〜第三反応工程(S2,S6,S12)の各遠心力X21,X22,X23は、第一〜第三洗浄工程(S4,S8,S10)の各遠心力X31,X32,X33よりも大きい。

0127

即ち、反応部380において第一液を反応させる各工程の遠心力X2は、反応部380を第二液で洗浄する各工程の遠心力X3よりも大きい。これにより、第一〜第三反応工程の各々における第一液と反応部380との間の表面張力と、第一〜第三洗浄工程の各々における第二液と反応部380との間の表面張力では、前者の方が加速度によって相殺される方向の力が働きやすい。即ち、第一液と第二液との各液量が同等の場合、第一〜第三反応工程の各々における第一液と反応部との接触面積は、第一〜第三洗浄工程の各々における第二液と反応部との接触面積よりも大きい。

0128

従って、第一洗浄液92が試料液91よりも少ない場合でも、第一洗浄液92は反応部380のうちで試料液91と接触した領域の全体と接触可能であるため、反応部380に残存する第一結合体以外の成分を確実に除去できる。第二洗浄液94が標識抗体液93よりも少ない場合でも、第二洗浄液94は反応部380のうちで標識抗体液93と接触した領域の全体と接触可能であるため、反応部380に残存する第二結合体以外の成分を確実に除去できる。従って、第三反応工程において基質溶液95が第二結合体と反応された場合に、より正確な反応結果が得られる。

0129

(4)反応部380において液体を反応させる各工程(S2,S6,S12)の遠心力X2は、検査チップ2内で液体を移動させる各工程(S1,S3,S5,S7,S9,S11)の遠心力X1以下である。これにより、遠心処理の実行に伴うエネルギー消費を抑制でき、且つ、検査チップ2内で液体を正確に移動させることができる。

0130

(5)第一反応工程(S2)の遠心力X21は、第二及び第三反応工程(S6,S12)の各遠心力X22,X23以上である。第一反応工程は第一〜第三反応工程のうちで最初に実行されるため、第一結合体の生成量は最終的な検査結果に与える影響が大きい。従って、遠心力X21を各遠心力X22,X23以上にすることで、反応部380における試料液91の液面位置が正確に制御できる。これにより、試料液91と反応部380との接触面積が正確に制御されて、第一結合体の生成量が正確に制御されるため、液体反応に関する正確な検査結果が得られる。

0131

(6)第一洗浄工程(S4)の遠心力X31は、第二及び第三洗浄工程(S8,S10)の遠心力X32,X33より大きい。これにより、第一洗浄工程において保持される第一洗浄液92と反応部380との間の表面張力と、第二及び第三洗浄工程において保持される第二洗浄液94と反応部380との間の表面張力では、前者の方が加速度によって相殺される方向の力が働きやすい。即ち、第一洗浄液92と第二洗浄液94との各液量が同等の場合、第一洗浄工程における第一洗浄液92と反応部との接触面積は、第二及び第三洗浄工程における第二洗浄液94と反応部380との接触面積よりも大きい。第二洗浄液94の液量が第一洗浄液92の液量よりも少ない場合でも、第二洗浄液94は反応部380のうちで第一洗浄液92と接触した領域の全体と接触可能である。従って、反応に関与しない第二洗浄液94の使用量を抑制しつつ、反応部380の広範囲を洗浄できるため、液体反応に関する正確な検査結果が得られる。

0132

(7)第四送液工程(S7)及び第五送液工程(S9)では、第二洗浄液94が複数回に分けて導入部から下流側に移動される。第二洗浄工程(S8)及び第三洗浄工程(S10)は、第二洗浄液94が導入部から下流側に移動される毎に実行される。第二及び第三洗浄工程の各々では、導入部から下流側に移動された第二洗浄液94が、標識抗体液93が下流側に移動された後の反応部380に保持される。第二及び第三洗浄工程のうち、第二洗浄工程は最初に実行され、第三洗浄工程はその後に実行される。第三洗浄工程の遠心力X33は、第二洗浄工程の遠心力X32以上である。

0133

これによれば、第二及び第三洗浄工程によって、反応部380に残存する第二結合体以外の成分除去が、複数回に分けて実行される。第二及び第三洗浄工程のうちで第二洗浄工程の加速度が最も大きいため、第二洗浄工程において第二洗浄液94は反応部380の広範囲を洗浄できる。

0134

(8)試料液91、第一洗浄液92、標識抗体液93、第二洗浄液94、及び基質溶液95の各々は、反応部380の壁面に対して90度以下の接触角である。これにより、反応に関与しない第二液の液量が反応に関与する第一液の液量よりも少ない場合でも、第二液は反応部380のうちで第一液と接触した領域の全体と接触可能である。従って、反応に関与しない第二液の使用量を抑制しつつ、液体反応に関する正確な検査結果が得られる。

0135

<10.備考
本発明は上記実施形態に限定されず、各種変形が可能である。例えば、検査チップ2で使用される液体は、試料液91、第一洗浄液92、標識抗体液93、第二洗浄液94、基質溶液95、及び停止液96に限定されず、他の液体でもよい。例えば、反応に関与する液体は、試料液91、標識抗体液93、及び基質溶液95に限定されず、触媒液等でもよい。反応に関与しない液体は、第一洗浄液92及び第二洗浄液94に限定されず、希釈液等でもよい。

0136

検査装置1は、遠心処理(図4参照)において、第一軸を中心に検査チップ2を公転させ、且つ、第一軸とは異なる第二軸を中心に検査チップ2を自転させればよい。遠心処理において検査チップ2が自転される角度幅は、自転角度0度〜90度に限定されない。例えば検査装置1は、遠心処理において、自転角度0度〜180度の角度幅で自転させてもよい。遠心処理では、遠心力に代えて、他の加速度が用いられてもよい。他の加速度は、重力又は重力と遠心力との合力が例示される。例えば検査装置1は、遠心処理における各工程の少なくとも一つにおいて、重力又は重力と遠心力との合力を検査チップ2に作用させることで、各液体を移動又は反応させてもよい。

0137

遠心処理は、検査目的検査手法、液体の種類等に応じて、適宜変更可能である。例えば、上記実施形態の遠心処理(図4参照)では、反応部380に残存する第二結合体以外の成分を除去する洗浄工程が、第二洗浄工程(S8)及び第三洗浄工程(S10)として二回分が実行される。これに代えて、反応部380に残存する第二結合体以外の成分を除去する洗浄工程が一回だけ実行されてもよいし、三回以上実行されてもよい。同様に、反応部380に残存する第一結合体以外の成分を除去する洗浄工程は、一回の第一洗浄工程(S4)に限定されず、複数回実行されてもよい。

0138

なお、上記実施形態及び変形例において、検査チップ2は本発明の「検査チップ」の一例である。遠心力は本発明の「加速度」の一例である。遠心処理(図4参照)は本発明の「検査方法」の一例である。試料液91、標識抗体液93、及び基質溶液95の各々は、本発明の「第一液」の一例である。第一洗浄液92及び第二洗浄液94の各々は、本発明の「第二液」の一例である。試料液導入部310、第一洗浄液導入部320、標識抗体液導入部330、第二洗浄液導入部340、基質溶液導入部350、及び停止液導入部360は、本発明の「導入部」の一例である。反応部380は、本発明の「保持部」及び「反応部」の一例である。第一送液工程(S1)は、本発明の「第一移動工程」の一例である。第一反応工程(S2)は、本発明の「第一保持工程」の一例である。第二送液工程(S3)は、本発明の「第二移動工程」の一例である。第一洗浄工程(S4)は、本発明の「第二保持工程」の一例である。

0139

第三送液工程(S5)は、本発明の「第三移動工程」の一例である。第二反応工程(S6)は、本発明の「第三保持工程」の一例である。第四送液工程(S7)及び第五送液工程(S9)は、本発明の「第四移動工程」及び「複数の洗浄液移動工程」の一例である。第二洗浄工程(S8)及び第三洗浄工程(S10)は、本発明の「第四保持工程」及び「複数の洗浄液保持工程」の一例である。第六送液工程(S11)は、本発明の「第五移動工程」の一例である。第三反応工程(S12)は、本発明の「第五保持工程」の一例である。第二洗浄工程(S8)は、本発明の「初回洗浄工程」の一例である。第三洗浄工程(S10)は、本発明の「少なくとも一つの後続洗浄工程」の一例である。

0140

検査システム3は、本発明の「検査システム」の一例である。検査装置1は、本発明の「検査装置」の一例である。S1を実行するCPU101は、本発明の「第一移動手段」の一例である。S2を実行するCPU101は、本発明の「第一保持手段」の一例である。S3を実行するCPU101は、本発明の「第二移動手段」の一例である。S4を実行するCPU101は、本発明の「第二保持手段」の一例である。

0141

1検査装置
2検査チップ
3検査システム
91試料液
92 第一洗浄液
93標識抗体液
94 第二洗浄液
95基質溶液
101 CPU
310 試料液導入部
320 第一洗浄液導入部
330 標識抗体液導入部
340 第二洗浄液導入部
350 基質溶液導入部
360停止液導入部
380 反応部

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