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技術 耐候性鋼材の錆層評価方法

出願人 日本製鉄株式会社
発明者 原田佳幸田中睦人
出願日 2015年9月28日 (5年7ヶ月経過) 出願番号 2015-189778
公開日 2017年4月6日 (4年1ヶ月経過) 公開番号 2017-067483
状態 特許登録済
技術分野 耐候試験、機械的方法による材料調査
主要キーワード 錆落とし 熟成ステップ 平衡湿度 鋼材試料 評価タイミング ライフサイクルコスト 塗布ステップ 製造時期
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (4)

課題

形成された錆層が、実際に大気暴露されたのだとすれば、どの程度の暴露期間を経た外観に相当するかを示す暴露当期間を算出することが可能な耐候性鋼材の錆層評価方法を提供する。

解決手段

本発明は、耐候性鋼材の表面に形成された錆層の外観を評価する方法であって、耐候性鋼材の表面において、L*a*b*表色系の色度a*又はL*C*h表色系の彩度C*を測定パラメータとして測定する測定工程と、測定工程で測定した測定パラメータと、予め取得した測定パラメータと実際の暴露期間との相関関係とに基づき、耐候性鋼材の暴露相当期間を算出する算出工程と、を含む。

概要

背景

耐候性鋼材は、Cu、Ni、Cr、P、Mo等の元素が少量含有された低合金鋼から形成されている。この耐候性鋼材は、大気中での暴露により腐食される過程で、鋼材表面に腐食要因の透過を抑制する保護性の高い錆層が形成される。耐候性鋼材は、この錆層の保護性により、腐食速度が著しく低下する特徴を有するため、構造物ライフサイクルコストを抑える材料として注目されている。

一方、上記保護性の高い錆層は、その色が経年によって落ち着いた茶褐色に変化する。このため、耐候性鋼材は、この錆層の茶褐色の外観意匠として利用することを目的として、建築物外壁材などに用いるニーズもある。

ただし、大気暴露によって錆層が落ち着いた茶褐色に変化するには長期間に亘る大気暴露を必要とするため、耐候性鋼材の製造後に直ちに錆層の意匠性を利用する用途の場合には、耐候性鋼材の製造段階において予め錆層の形成を促進する必要がある。
錆層の形成を促進する方法としては、例えば、特許文献1、2に記載の方法が提案されている。

特許文献1、2に記載の方法によれば、錆層の形成が促進されるため、錆層の外観を意匠として利用する耐候性鋼材の用途にも対応可能である。
しかしながら、特許文献1、2に記載した方法によって得られる錆層の外観と、実際の大気暴露によって経年変化する錆層の外観との相関関係について、特許文献1、2には何ら評価されていない。すなわち、特許文献1、2には、形成された錆層が、実際に大気暴露されたのだとすれば、どの程度の暴露期間を経た外観に相当するかを示す暴露相当期間を算出する方法が何ら提案されていない。

このため、例えば、暴露期間が実際に10年のときに得られる錆層の外観と同等の外観を有する錆層が予め形成された耐候性鋼材を製造することが所望されたとしても、形成後の錆層が、所望する暴露期間(10年)を経た錆層の外観に相当する外観を有するか否かを評価することができないため、耐候性鋼材の錆層の外観を意匠として用いるニーズに十分に応えられないおそれがある。

概要

形成された錆層が、実際に大気暴露されたのだとすれば、どの程度の暴露期間を経た外観に相当するかを示す暴露相当期間を算出することが可能な耐候性鋼材の錆層評価方法を提供する。本発明は、耐候性鋼材の表面に形成された錆層の外観を評価する方法であって、耐候性鋼材の表面において、L*a*b*表色系の色度a*又はL*C*h表色系の彩度C*を測定パラメータとして測定する測定工程と、測定工程で測定した測定パラメータと、予め取得した測定パラメータと実際の暴露期間との相関関係とに基づき、耐候性鋼材の暴露相当期間を算出する算出工程と、を含む。

目的

本発明は、上記従来技術の問題点を解決するべくなされたものであり、形成された錆層が、実際に大気暴露されたのだとすれば、どの程度の暴露期間を経た外観に相当するかを示す暴露相当期間を算出することが可能な耐候性鋼材の錆層評価方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

耐候性鋼材の表面に形成された錆層外観を評価する方法であって、前記耐候性鋼材の表面において、L*a*b*表色系の色度a*又はL*C*h表色系の彩度C*を測定パラメータとして測定する測定工程と、前記測定工程で測定した測定パラメータと、予め取得した前記測定パラメータと実際の暴露期間との相関関係とに基づき、前記耐候性鋼材の暴露当期間を算出する算出工程と、を含むことを特徴とする耐候性鋼材の錆層評価方法

請求項2

前記算出工程で用いる前記相関関係は、実際に大気暴露され、その暴露期間が既知であり、なお且つ暴露期間がそれぞれ異なる複数の耐候性鋼材試料を用意する工程と、前記用意した複数の耐候性鋼材試料の表面において、L*a*b*表色系の色度a*又はL*C*h表色系の彩度C*を測定パラメータとして測定する工程と、前記測定した測定パラメータと、前記複数の耐候性鋼材試料の実際の暴露期間とに基づき、前記測定パラメータと前記実際の暴露期間との相関関係を近似する近似式を算出する工程と、によって取得されることを特徴とする請求項1に記載の耐候性鋼材の錆層評価方法。

請求項3

前記算出工程で用いる前記相関関係は、前記測定パラメータをAとし、前記実際の暴露期間をTとし、K1及びK2を正の定数としたときに、以下の式(1)で表わされることを特徴とする請求項1又は2に記載の耐候性鋼材の錆層評価方法。T=(K1・A)−K2・・・(1)

技術分野

0001

本発明は、意匠性付与を目的として表面に形成された耐候性鋼材錆層外観を評価する方法に関する。特に、本発明は、形成された錆層が、実際に大気暴露されたのだとすれば、どの程度の暴露期間を経た外観に相当するかを示す暴露当期間を算出することが可能な耐候性鋼材の錆層評価方法に関する。

背景技術

0002

耐候性鋼材は、Cu、Ni、Cr、P、Mo等の元素が少量含有された低合金鋼から形成されている。この耐候性鋼材は、大気中での暴露により腐食される過程で、鋼材表面に腐食要因の透過を抑制する保護性の高い錆層が形成される。耐候性鋼材は、この錆層の保護性により、腐食速度が著しく低下する特徴を有するため、構造物ライフサイクルコストを抑える材料として注目されている。

0003

一方、上記保護性の高い錆層は、その色が経年によって落ち着いた茶褐色に変化する。このため、耐候性鋼材は、この錆層の茶褐色の外観を意匠として利用することを目的として、建築物外壁材などに用いるニーズもある。

0004

ただし、大気暴露によって錆層が落ち着いた茶褐色に変化するには長期間に亘る大気暴露を必要とするため、耐候性鋼材の製造後に直ちに錆層の意匠性を利用する用途の場合には、耐候性鋼材の製造段階において予め錆層の形成を促進する必要がある。
錆層の形成を促進する方法としては、例えば、特許文献1、2に記載の方法が提案されている。

0005

特許文献1、2に記載の方法によれば、錆層の形成が促進されるため、錆層の外観を意匠として利用する耐候性鋼材の用途にも対応可能である。
しかしながら、特許文献1、2に記載した方法によって得られる錆層の外観と、実際の大気暴露によって経年変化する錆層の外観との相関関係について、特許文献1、2には何ら評価されていない。すなわち、特許文献1、2には、形成された錆層が、実際に大気暴露されたのだとすれば、どの程度の暴露期間を経た外観に相当するかを示す暴露相当期間を算出する方法が何ら提案されていない。

0006

このため、例えば、暴露期間が実際に10年のときに得られる錆層の外観と同等の外観を有する錆層が予め形成された耐候性鋼材を製造することが所望されたとしても、形成後の錆層が、所望する暴露期間(10年)を経た錆層の外観に相当する外観を有するか否かを評価することができないため、耐候性鋼材の錆層の外観を意匠として用いるニーズに十分に応えられないおそれがある。

先行技術

0007

特開2010−280939号公報
特開2011−241476号公報

発明が解決しようとする課題

0008

本発明は、上記従来技術の問題点を解決するべくなされたものであり、形成された錆層が、実際に大気暴露されたのだとすれば、どの程度の暴露期間を経た外観に相当するかを示す暴露相当期間を算出することが可能な耐候性鋼材の錆層評価方法を提供することを課題とする。

課題を解決するための手段

0009

前記課題を解決するため、本発明者らは鋭意検討した結果、実際に大気暴露された耐候性鋼材の暴露期間と、耐候性鋼材の表面(耐候性鋼材の表面に形成された錆層)において測色計で測定したL*a*b*表色系の色度a*又はL*C*h表色系の彩度C*との間に良好な相関関係があることを見出した。したがい、例えば、特許文献1や2に記載の方法によって錆層の形成を促進する処理が施された耐候性鋼材の表面(錆層)の色度a*又は彩度C*を測定して前記相関関係を用いれば、形成された錆層の外観が、実際に大気暴露された場合の錆層の暴露期間に換算すればどの程度の暴露期間に相当する外観になるのかを評価できることになる。

0010

本発明は、上記本発明者らの知見に基づき完成したものである。
すなわち、前記課題を解決するため、本発明は、耐候性鋼材の表面に形成された錆層の外観を評価する方法であって、前記耐候性鋼材の表面において、L*a*b*表色系の色度a*又はL*C*h表色系の彩度C*を測定パラメータとして測定する測定工程と、前記測定工程で測定した測定パラメータと、予め取得した前記測定パラメータと実際の暴露期間との相関関係とに基づき、前記耐候性鋼材の暴露相当期間を算出する算出工程と、を含むことを特徴とする耐候性鋼材の錆層評価方法を提供する。

0011

本発明によれば、測定パラメータ(L*a*b*表色系の色度a*又はL*C*h表色系の彩度C*)と実際の暴露期間との良好な相関関係に基づき、例えば錆層形成の促進処理が施された耐候性鋼材の暴露相当期間(実際に大気暴露されたのだとすれば、どの程度の暴露期間を経た外観に相当するかを示すもの)を精度良く算出可能である。

0012

なお、本発明におけるL*a*b*表色系の色度a*は、CIE国際照明委員会)で規定され、JIS Z8781−2013でも規格されているL*a*b*表色系で表わされる値である。また、L*C*h表色系は、L*a*b*表色系をベース考案された表色系であって、L*C*h表色系の彩度C*は、L*a*b*表色系の色度a*及び色度b*によって、C*=((a*)2+(b*)2)1/2で表わされる値である。色度a*及び彩度C*を測定可能な測色計であれば、当該測色計を用いて色度a*又は彩度C*を直接測定すれば良いし、色度a*及びb*を測定可能な測色計であれば、当該測色計を用いて色度a*及びb*を直接測定し、彩度C*を計算によって算出すれば良い。また、例えば、CIEで規定されているXYZ表色系三刺激値を測定又は算出し、これを用いてL*a*b*表色系の色度a*又はL*C*h表色系の彩度C*を算出する等、L*a*b*表色系やL*C*h表色系以外の公知の表色系で表わされる値を測定又は算出し、これを変換することでL*a*b*表色系の色度a*又はL*C*h表色系の彩度C*を算出しても良い。

0013

前記算出工程で用いる前記相関関係は、例えば、実際に大気暴露され、その暴露期間が既知であり、なお且つ暴露期間がそれぞれ異なる複数の耐候性鋼材試料を用意する工程と、前記用意した複数の耐候性鋼材試料の表面において、L*a*b*表色系の色度a*又はL*C*h表色系の彩度C*を測定パラメータとして測定する工程と、前記測定した測定パラメータと、前記複数の耐候性鋼材試料の実際の暴露期間とに基づき、前記測定パラメータと前記実際の暴露期間との相関関係を近似する近似式を算出する工程と、によって取得される。
この場合、耐候性鋼材試料としては、その母材(錆層を除く部分)が、本発明によって評価する耐候性鋼材の母材と同種の組成である鋼材試料を用いることが好ましい。

0014

本発明者らの知見によれば、前記算出工程で用いる前記相関関係は、前記測定パラメータ(L*a*b*表色系の色度a*又はL*C*h表色系の彩度C*)をAとし、前記実際の暴露期間をTとし、K1及びK2を正の定数としたときに、以下の式(1)で表わしたときに最も精度良く近似されることが分かった。
T=(K1・A)−K2

発明の効果

0015

本発明に係る耐候性鋼材の錆層評価方法によれば、形成された錆層が、実際に大気暴露されたのだとすれば、どの程度の暴露期間を経た外観に相当するかを示す暴露相当期間を算出することが可能である。

図面の簡単な説明

0016

各測定パラメータと、複数の耐候性鋼材試料の実際の暴露期間との相関関係を示すグラフである。
本発明の一実施形態に係る錆層評価方法を用いた耐候性鋼材の製造方法を説明するフロー図である。
図2に示す算出工程を説明する説明図である。

実施例

0017

最初に、本発明を完成するに至るまでに本発明者らが得た知見について説明する。
本発明者らは、形成された錆層が、実際に大気暴露されたのだとすれば、どの程度の暴露期間を経た外観に相当するかを示す暴露相当期間を算出することが可能な耐候性鋼材の錆層評価方法を提供するという課題を解決するために鋭意検討した結果、実際に大気暴露された耐候性鋼材の暴露期間と、耐候性鋼材の表面(耐候性鋼材の表面に形成された錆層)において測色計で測定したL*a*b*表色系の色度a*又はL*C*h表色系の彩度C*との間に良好な相関関係があることを見出した。

0018

具体的には、まず本発明者らは、実際に大気暴露され(日本国内の屋外において、日照、雨、風などの大気環境に直接に暴露され)、その暴露期間が既知であり、なお且つ暴露期間がそれぞれ異なる複数の耐候性鋼材試料を用意した。
そして、前記用意した複数の耐候性鋼材試料の表面において、測色計を用いてL*a*b*表色系の色度a*、b*、明度L*及びL*C*h表色系の彩度C*の4つの測定パラメータを測定した。具体的には、コニカミノルタ製食品用測色計「カラーリーダーCR13」(測定視野:約φ8mm)を用いて各耐候性鋼材試料の表面3箇所の色度a*、b*、明度L*を測定すると共に、測定した色度a*、b*からC*=((a*)2+(b*)2)1/2の計算式によって彩度C*を算出して、耐候性鋼材試料毎に各測定パラメータの平均値を求めた。

0019

図1は、上記のようにして測定した各測定パラメータ(3箇所の平均値)と、複数の耐候性鋼材試料の実際の暴露期間との相関関係を示すグラフである。図1(a)は色度a*と実際の暴露期間との相関関係を、図1(b)は色度b*と実際の暴露期間との相関関係を、図1(c)は明度L*と実際の暴露期間との相関関係を、図1(d)は彩度C*と実際の暴露期間との相関関係を示す。
図1から明らかなように、実際の暴露期間と、色度a*又は彩度C*との間には良好な相関関係があることが分かった。そして、この相関関係は、色度a*又は彩度C*をAとし、実際の暴露期間をT(年)とし、K1及びK2を正の定数としたときに、以下の式(1)で表わしたときに最も精度良く近似されることが分かった。
T=(K1・A)−K2 ・・・(1)
色度a*については、上記式(1)のK1=0.1077、K2=2.41であり、彩度C*については、上記式(1)のK1=0.0848、K2=2.604であった。

0020

したがい、錆層の形成を促進する処理が施された耐候性鋼材の表面(錆層)の色度a*又は彩度C*を測定して前記相関関係を用いれば、形成された錆層の外観が、実際に大気暴露された場合の錆層の暴露期間に換算すればどの程度の暴露期間に相当する外観になるのかを評価できることになる。
本発明は、上記本発明者らの知見に基づき完成したものである。

0021

以下、添付図面を適宜参照しつつ、本発明の一実施形態に係る錆層評価方法について、この方法を耐候性鋼材の製造方法に適用した場合を例に挙げて説明する。
図2は、本発明の一実施形態に係る錆層評価方法を用いた耐候性鋼材の製造方法を説明するフロー図である。
図2に示す製造方法は、促進処理工程S1と、評価工程S2とを含んでいる。この評価工程S2が、本実施形態に係る錆層評価方法に相当する。

0022

本実施形態に係る製造方法は、最初に促進処理工程S1を実行する。促進処理工程S1は、耐候性鋼材の表面における錆層の形成を促進する処理を施す工程である。
具体的には、本実施形態の促進処理工程S1は、最初に実行するときには耐候性鋼材の表面に処理液を塗布して乾燥させ、2回目以降に実行するときには耐候性鋼材の表面に水を散布して乾燥させる工程であり、前記処理液は、Cu及びPと、LiCl、MgCl2及びCaCl2からなる群から選ばれる1種以上の塩とを含む溶液であることが好ましい。

0023

以下、本実施形態の促進処理工程S1について、より詳細に説明する。
本実施形態の促進処理工程S1は、耐候性鋼材の表面に処理液を塗布する塗布ステップ(最初の1回のみ)と、処理液が塗布された耐候性鋼材を乾燥させる処理液乾燥ステップ(最初の1回のみ)と、処理液が乾燥することで形成された処理層(錆層)を熟成させるための熟成ステップ(2回目以降)とを含んでいる。また、本実施形態では、好ましい態様として、塗布ステップを実行する前の耐候性鋼材からミルスケールなどを除去するための準備ステップ(最初の1回のみ)も含んでいる。以下、各ステップについて、順次説明する。

0024

準備ステップでは、例えば、ブラスト処理が施される。ブラスト処理としては、例えば、ショットブラストや、グリットブラストサンドブラストなどが挙げられるが、特にこれらに限定されない。このブラスト処理により、表面に均一な錆層が形成されやすくなる。その結果、耐候性鋼材は、錆層による保護性や意匠性を得やすくなる。なお、ブラスト処理の後に、ワイヤブラシなどを用いてブラスト処理によって生じた錆を除去する錆落とし処理がさらに施されてもよい。

0025

塗布ステップは、準備ステップの次に実行される。処理液を塗布する方法としては、例えば、スプレーローラー刷毛などを用いる周知の塗装方法が適用可能であるが、特にこれらに限定されず、浸漬などであってもよい。処理液の塗布環境としては、例えば、相対湿度50%で室温(例えば、25℃±15℃)の室内が好ましいが、特にこれらに限定されない。

0026

本実施形態では、処理液は、pHが2以上2.6未満とされている。処理液は、Cu(銅)およびP(燐)を含む。処理液は、pHが2未満では、酸性が強くなりすぎて、耐候性鋼材の表面にPを含む防食性塩結晶を生成させ、錆層の形成を抑制する。一方、処理液は、pHが2.6を超えると、耐候性鋼材の表面のFeの溶解性が悪くなり、ぬれ性が劣り、錆の生成を促進することができず、かつ錆層の均一な形成を妨げる。処理液の溶媒は、例えば水が好ましいが、特にこれに限定されず、水を含むアルコールなどの有機溶媒であってもよい。

0027

Cuは、処理液にCuイオン(Cu2+)で存在する。Cuは、Fe(鉄)に対して酸化作用をもたらすために処理液に含まれる。Cuは、硫酸銅及び塩化銅からなる群から選ばれる1種以上であることが好ましいが、特にこれに限らない。Cuイオン(Cu2+)は、Niイオンニッケルイオン)及びAgイオン銀イオン)などのFeイオンよりも電気化学的電位が貴の他の金属イオンに比べて、価格面などから望ましい。このため、処理液は、Feイオンよりも電気化学的電位が貴の他の金属イオンでCuイオンを置換可能である。Pは、H3PO4(リン酸)であることが好ましいが、特にこれに限定されない。Cu及びPは、モル比で0.1≦Cu/P≦20を満たす条件で処理液に含まれることが好ましい。Cu及びPは、Cu/Pが0.1未満では、錆層の形成を充分に促進することができない。これは、Cuイオンの量が不十分であるためと考えられる。一方、Cu及びPは、Cu/Pが20を超えると、耐候性鋼材の表面の大部分をCuが覆い、錆層の形成を抑制する。

0028

また、本実施形態の処理液は、LiCl(塩化リチウム)、MgCl2(塩化マグネシウム)、及びCaCl2(塩化カルシウム)からなる群から選ばれる1種以上の塩を含む。1種以上の塩は、総量1質量%以上10質量%以下の範囲で処理液に含まれることが好ましい。例えば、LiClは飽和塩水平衡湿度が相対湿度で15%であり、MgCl2は飽和塩水の平衡湿度が相対湿度で33.6%であり、CaCl2は飽和塩水の平衡湿度が相対湿度で32.3%である。1種以上の塩は平衡湿度が低い塩である。このため、処理液は、1種以上の塩を含むことにより、塗布された耐候性鋼材の表面の乾燥を遅らせる。その結果、耐候性鋼材は、製造場所製造時期などでの湿度の違いが軽減される。1種以上の塩は、処理液の含有量が1質量%未満では効果が少ない。一方、1種以上の塩は、含有量が10質量%以上ではほぼ効果が一定となる。このため、効果の点においては、1種以上の塩は10質量%を超えて含ませることが可能である。

0029

本実施形態の処理液は、好ましい態様として、2価のSnイオン(Sn2+)及び4価のSnイオン(Sn4+)からなる群から選ばれる1種以上のSnイオンを含んでもよい。1種以上のSnイオンは、総量0.02質量%以上で処理液に含まれる。1種以上のSnイオンは、過剰に含ませてもその効果が飽和するため、総量0.2質量%以下で処理液に含まれることが好ましいが、特にこれに限定されない。2価のSnイオンは、SnCl2(塩化錫(II))、SnSO4(硫酸錫(II))及びSnBr4(臭化錫(II))からなる群から選ばれる1種以上であることが好ましいが、特にこれらに限定されない。4価のSnイオンは、SnCl4(塩化錫(IV))であることが好ましいが、特にこれに限定されない。

0030

処理液乾燥ステップは、塗布ステップ後、直ちに行われる。耐候性鋼材を乾燥させる方法は、自然乾燥が好ましいが、特にこれに限定されない。処理液乾燥ステップは、室内(屋内)で実施されることが好ましいが、屋外で実施されてもよい。屋外で実施される場合、耐候性鋼材を屋外に移動させるための移動ステップを更に含む。

0031

熟成ステップは、処理液乾燥ステップ後、直ちに行われることが好ましい。例えば、熟成ステップは、塗布ステップの翌日に行われる。この場合、塗布ステップと熟成ステップとの間が処理液乾燥ステップの乾燥期間である。

0032

熟成ステップは、例えば、耐候性鋼材の表面(錆層)に1日1回以上、噴霧器等で水を散布する散布ステップと、水が散布された耐候性鋼材を乾燥させる水乾燥ステップとを含む。熟成ステップは、少なくとも1日実施されることが好ましく、継続して数日間以上繰り返し実施されることがより好ましい。熟成ステップの繰り返し回数は、後述のように、暴露相当期間が所望する暴露期間と同等になるか否かで決まる。
熟成ステップは、屋外で実施されることが好ましいが、特にこれに限定されない。熟成ステップは、例えば、平日の8時から17時の間に屋外で実施され、相対湿度90%以下のときに、30分毎に30秒間水が散布され(散布ステップ)、次の散布までの間に自然乾燥される(水乾燥ステップ)。
散布ステップは、錆層における保護性の錆の剥離を生じ難い水圧で水が霧状に散布されることが好ましいが、特にこれに限定されない。散布ステップは、水として水道水を用いることができるが、特にこれに限定されない。

0033

促進処理工程S1の処理内容は、以上に説明した内容に限定されるものではなく、耐候性鋼材の表面における錆層の形成を促進し得る限りにおいて、特許文献1、2に記載のような処理を含めて、種々の処理を適用可能である。

0034

次に、本実施形態に係る製造方法は、図2に示すように、促進処理工程S1の実行回数(具体的には、促進処理工程S1に含まれる熟成ステップの実行回数など)等に応じて適宜定めた評価タイミングに達したか否かを判断し、達していれば、評価工程S2を実行する。
評価タイミングの定め方には特に制限はなく、1回目の促進処理工程S1を実行する前に所定回数の促進処理工程S1を実行した後毎に評価工程S2を実行すると定めても良いし、後述する評価工程S2の算出工程S22において算出した暴露相当期間と所望する暴露期間との差の大きさに応じた回数(例えば、両者の差が大きければ大きな回数とし、差が小さければ小さな回数とする)の促進処理工程S1を実行した後に評価工程S2を実行すると定めても良い。
なお、評価タイミングに達していなければ、再び、促進処理工程S1の実行を繰り返す。ただし、前述のように、促進処理工程S1に含まれる準備ステップ、塗布ステップ及び処理液乾燥ステップは、最初の1回のみ実行するため、促進処理工程S1の実行を繰り返すときには、熟成ステップ(散布ステップ及び水乾燥ステップ)のみが繰り返し実行されることになる。

0035

評価工程S2は、促進処理工程S1を経た耐候性鋼材の表面に形成された錆層の外観を評価する工程である。
具体的には、図2に示すように、評価工程S2は、測定工程S21と、算出工程S22とを含んでいる。

0036

測定工程S21は、耐候性鋼材の表面において、L*a*b*表色系の色度a*又はL*C*h表色系の彩度C*を測定パラメータとして測定する工程である。
具体的には、前述した図1に示す相関関係を取得した場合と同様に、測色計を用いて耐候性鋼材表面の複数箇所(例えば3箇所)の色度a*、b*、明度L*を測定すると共に、測定した色度a*、b*から計算式によって彩度C*を算出して、複数箇所の色度a*及び彩度C*をそれぞれ平均化すればよい。
なお、図1に示すような相関関係を取得する場合(耐候性鋼材試料の表面を測定する場合)に用いる測色計と、耐候性鋼材の表面を測定する場合に用いる測色計とは、同じものを用いることが好ましいが、双方共に色度a*及び彩度C*を測定し得る限りにおいて、特にこれに限定されない。また、平均化する箇所の数(すなわち、測定箇所の数)も同じにすることが好ましいが、特にこれに限定されない。例えば、耐候性鋼材試料の表面の面積に比べて、耐候性鋼材の表面の面積の方が格段に広いのであれば、耐候性鋼材については、平均化する箇所の数(測定箇所の数)を増やす方が、表面に形成された錆層の外観を適正に評価できる可能性がある。さらに、耐候性鋼材の表面に形成された錆層の外観が高い均一性を有する場合には、各測定パラメータを1箇所についてのみ測定することも可能である。

0037

算出工程S22は、測定工程S21で測定した測定パラメータと、予め取得した測定パラメータと実際の暴露期間との相関関係(図1(a)及び(d))とに基づき、耐候性鋼材の暴露相当期間を算出する工程である。
図3は、算出工程S22を説明する説明図である。図3黒丸で示すデータ点は、測定工程S21で測定した色度a*の値に対応する近似曲線(相関関係を近似する近似曲線)上の点である。また、各データ点近傍に記載された数字は、促進処理工程S1の熟成ステップの実行回数を日単位で表わしたものである。0日とは、未だ熟成ステップは実行されずに、準備ステップ、塗布ステップ及び処理液乾燥ステップのみが実行された状態を意味する。
図3に示すように、例えば、熟成ステップを全体で38日実行した後に測定工程S21で測定した色度a*=6.5であったとすれば、予め取得した相関関係(T=(0.1077×a*)−2.41)にこの値を代入することにより、暴露期間T=2.4年に相当する暴露相当期間が算出される。なお、図3では、測定パラメータとして色度a*を用いた場合を例示しているが、彩度C*を用いる場合も同様である。

0038

最後に、本実施形態に係る製造方法は、図2に示すように、評価工程S2の算出工程S22において算出した暴露相当期間が、所望する暴露期間と同等になっているか否かを判断する。すなわち、両期間の差が予め定めた所定の値以下であるか否かを判断する。そして、同等になっていない場合には、促進処理工程S1及び評価工程S2を繰り返し実行する。同等になっている場合には、製造を終了する。
図3を参照して具体的に説明すれば、例えば、所望する暴露期間が5年であり、促進処理工程S1の熟成ステップを全体で38日実行した後に評価工程S2の算出工程S22において算出した暴露相当期間2.4年が、所望する暴露期間5年と同等になっていないと判断すれば、促進処理工程S1及び評価工程S2を繰り返し実行することになる。そして、図3に示すように、促進処理工程S1の熟成ステップを全体で52日実行した後に評価工程S2の算出工程S22において算出される暴露相当期間は約5年となる。暴露相当期間5年が、所望する暴露期間5年と同等になっていると判断されることで、耐候性鋼板の製造は終了する。

0039

以上に説明した本実施形態に係る耐候性鋼板の製造方法に含まれる評価工程S2によれば、測定パラメータ(L*a*b*表色系の色度a*又はL*C*h表色系の彩度C*)と実際の暴露期間との良好な相関関係に基づき、促進処理工程S1で錆層形成の促進処理が施された耐候性鋼材の暴露相当期間を精度良く算出可能である。このため、評価工程S2を含む本実施形態に係る耐候性鋼板の製造方法によれば、暴露相当期間が、所望する暴露期間と同等になるまで、促進処理工程S1及び評価工程S2を繰り返し実行することで、所望する暴露期間を経た錆層の外観と同等の外観を有する錆層を安定して形成可能である。

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