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技術 皮膚外用剤及びその製造方法並びに有効成分の放出性の向上方法及び放出性の評価方法

出願人 株式会社ポーラファルマ
発明者 増田孝明小林浩一
出願日 2015年9月28日 (5年2ヶ月経過) 出願番号 2015-190368
公開日 2017年4月6日 (3年7ヶ月経過) 公開番号 2017-066057
状態 特許登録済
技術分野 他の有機化合物及び無機化合物含有医薬 化粧料 医薬品製剤 化合物または医薬の治療活性
主要キーワード アルカリ剤水溶液 曇点温度 装置機種 乳化膜 水分添加量 ソルビタンステアリン酸エステル 物理刺激 放出過程
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (4)

課題

油溶性の有効成分を含む皮膚外用剤における、該有効成分の放出性を向上する技術を提供する。

解決手段

油溶性の有効成分を含む水中油型乳化剤形の皮膚外用剤の製造方法であって、平均乳化粒子径を10μm以下に制御することを特徴とする、製造方法。

概要

背景

例えばステロイド骨格を有する化合物のように、皮膚外用剤の有効成分として多くの油溶性の化合物が用いられている。このような油溶性の有効成分を皮膚外用剤に含有させる場合、該有効成分の安定性作用機序などを考慮して、その剤形水中油型乳化剤形とする場合がある。

例えば特許文献1及び特許文献2には、油溶性の有効成分としてクロベタゾン酪酸エステルを含む水中油型の乳化剤形をとる皮膚外用剤が開示されている。

概要

油溶性の有効成分を含む皮膚外用剤における、該有効成分の放出性を向上する技術を提供する。油溶性の有効成分を含む水中油型の乳化剤形の皮膚外用剤の製造方法であって、平均乳化粒子径を10μm以下に制御することを特徴とする、製造方法。

目的

上述の通り、油溶性の有効成分を含む皮膚外用剤を水中油型の乳化剤型とすることがあるが、この場合、該有効成分は分散相である油相中に含まれる。分散相は連続相に比べ皮膚に接触する面積が圧倒的に小さいため、該有効成分の経皮吸収過程において、分散相から皮膚への該有効成分の放出過程が一つの律速段階となる。
このような事情に鑑み、本発明の解決しようとする課題は、油溶性の有効成分を含む皮膚外用剤における、該有効成分の放出性を向上する技術を提供することにある。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

油溶性の有効成分を含む水中油型乳化剤形皮膚外用剤の製造方法であって、平均乳化粒子径を10μm以下に制御することを特徴とする、製造方法。

請求項2

前記平均乳化粒子径の標準偏差を5μm以下に制御することを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。

請求項3

ノニオン性界面活性剤曇点より高い温度で、該ノニオン性界面活性剤のみを乳化剤として用いて水中油乳化物を調製し、該ノニオン性界面活性剤の曇点以下の温度まで冷却した後、アルキル変性されていても良いカルボキシビニルポリマーを加え、しかる後に該アルキル変性されていても良いカルボキシビニルポリマーをアルカリ剤中和することを特徴とする、請求項1又は2に記載の製造方法。

請求項4

油溶性の有効成分を含む水中油型の乳化剤形の皮膚外用剤であって、平均乳化粒子径を10μm以下に制御することにより製造された皮膚外用剤。

請求項5

前記平均乳化粒子径の標準偏差を5μm以下に制御することにより製造された請求項4に記載の皮膚外用剤。

請求項6

油溶性の有効成分と、ノニオン性界面活性剤と、アルキル変性されていても良いカルボキシビニルポリマー及び/又はその塩を含み、ノニオン性界面活性剤の曇点より高い温度で、水中油乳化物を調製し、ノニオン性界面活性剤の曇点以下の温度まで冷却した後、アルキル変性されていても良いカルボキシビニルポリマーを加え、しかる後に該アルキル変性されていても良いカルボキシビニルポリマーをアルカリ剤で中和することで製造された請求項4又は5に記載の皮膚外用剤。

請求項7

油溶性の有効成分を含む水中油型の乳化剤形の皮膚外用剤における該有効成分の放出性を向上させる方法であって、該皮膚外用剤の平均乳化粒子径を10μm以下に制御することを特徴とする方法。

請求項8

油溶性の有効成分を含む水中油型の乳化剤形の皮膚外用剤の設計方法であって、平均乳化粒子径を10μm以下に制御することにより、前記皮膚外用剤の塗布後24時間までの前記有効成分の平均放出速度が0.3μg/cm2/h0.5以上となるように調整する方法。

請求項9

前記皮膚外用剤の塗布後24時間までの前記有効成分の最低放出速度が0.04μg/cm2/h0.5以上となるように調整することを特徴とする、請求項8に記載の方法。

請求項10

油溶性の有効成分を含む水中油型の乳化剤形の皮膚外用剤の評価方法であって、平均乳化粒子径を測定し、該平均乳化粒子径が10μmより小さい場合、前記有効成分の放出性に優れた皮膚外用剤であると判別することを特徴とする、乳化剤形の皮膚外用剤の評価方法。

技術分野

0001

本発明は、油溶性の有効成分を含む水中油型乳化剤形皮膚外用剤及びその製造方法、並びに前記有効成分の放出性向上方法及び放出性の評価方法に関する。

背景技術

0002

例えばステロイド骨格を有する化合物のように、皮膚外用剤の有効成分として多くの油溶性の化合物が用いられている。このような油溶性の有効成分を皮膚外用剤に含有させる場合、該有効成分の安定性作用機序などを考慮して、その剤形を水中油型の乳化剤形とする場合がある。

0003

例えば特許文献1及び特許文献2には、油溶性の有効成分としてクロベタゾン酪酸エステルを含む水中油型の乳化剤形をとる皮膚外用剤が開示されている。

先行技術

0004

特開2009−114081号公報
特表2007−500235号公報

発明が解決しようとする課題

0005

上述の通り、油溶性の有効成分を含む皮膚外用剤を水中油型の乳化剤型とすることがあるが、この場合、該有効成分は分散相である油相中に含まれる。分散相は連続相に比べ皮膚に接触する面積が圧倒的に小さいため、該有効成分の経皮吸収過程において、分散相から皮膚への該有効成分の放出過程が一つの律速段階となる。
このような事情に鑑み、本発明の解決しようとする課題は、油溶性の有効成分を含む皮膚外用剤における、該有効成分の放出性を向上する技術を提供することにある。

課題を解決するための手段

0006

上記課題を解決する本発明は、油溶性の有効成分を含む水中油型の乳化剤形の皮膚外用剤の製造方法であって、平均乳化粒子径を10μm以下に制御することを特徴とする、製造方法である。
本発明の製造方法によれば、油溶性の有効成分の放出性に優れた水中油型の皮膚外用剤を容易に製造することができる。

0007

本発明の製造方法においては、平均乳化粒子径の標準偏差を5μm以下に制御する形態とすることが好ましい。
このように乳化粒子径均一性を制御することによって、より放出性に優れた水中油型の皮膚外用剤を製造することができる。

0008

本発明の好ましい形態では、ノニオン性界面活性剤曇点より高い温度で、該ノニオン性界面活性剤のみを乳化剤として用いて水中油乳化物を調製し、該ノニオン性界面活性剤の曇点以下の温度まで冷却した後、アルキル変性されていても良いカルボキシビニルポリマーを加え、しかる後に該アルキル変性されていても良いカルボキシビニルポリマーをアルカリ剤中和する。
このような工程を含むことによって、油溶性の有効成分の放出性に優れた皮膚外用剤を容易に製造することができる。

0009

また、本発明は、油溶性の有効成分を含む水中油型の乳化剤形の皮膚外用剤であって、平均乳化粒子径を10μm以下に制御することにより製造された皮膚外用剤にも関する。
本発明の皮膚外用剤は、油溶性の有効成分の放出性に優れる。

0010

本発明においては、平均乳化粒子径の標準偏差を5μm以下に制御することにより製造された形態とすることが好ましい。
このように乳化粒子径の均一性に優れた皮膚外用剤は、油溶性の有効成分の放出性に特に優れる。

0011

本発明の好ましい形態では、ノニオン性界面活性剤と、アルキル変性されていても良いカルボキシビニルポリマー及び/又はその塩を含み、
ノニオン性界面活性剤の曇点より高い温度で、水中油乳化物を調製し、ノニオン性界面活性剤の曇点以下の温度まで冷却した後、アルキル変性されていても良いカルボキシビニルポリマーを加え、しかる後に該アルキル変性されていても良いカルボキシビニルポリマーをアルカリ剤で中和することで製造される。
この工程により製造された皮膚外用剤は、特に有効成分の放出性に優れる。

0012

また、本発明は、油溶性の有効成分を含む水中油型の乳化剤形の皮膚外用剤における該有効成分の放出性を向上させる方法であって、該皮膚外用剤の平均乳化粒子径を10μm以下に制御することを特徴とする方法にも関する。
本発明の方法によれば、容易に水中油型の乳化剤形の皮膚外用剤における油溶性の有効成分の放出性を向上させることができる。

0013

また、本発明は、油溶性の有効成分を含む水中油型の乳化剤形の皮膚外用剤の設計方法であって、平均乳化粒子径を10μm以下に制御することにより、前記皮膚外用剤の塗布後24時間までの前記有効成分の平均放出速度が0.3μg/cm2/h0.5以上となるように調整する方法にも関する。
本発明の設計方法によれば、油溶性の有効成分の放出性に優れた皮膚外用剤を容易に設計することができる。

0014

本発明の好ましい形態では、前記皮膚外用剤の塗布後24時間までの前記有効成分の最低放出速度が0.04μg/cm2/h0.5以上となるように調整する。
このように最低放出速度を調整することによって、持続的に皮膚へ有効成分を放出することができる皮膚外用剤を容易に設計することができる。

0015

また、本発明は、油溶性の有効成分を含む水中油型の乳化剤形の皮膚外用剤の評価方法であって、平均乳化粒子径を測定し、該平均乳化粒子径が10μmより小さい場合、前記有効成分の放出性に優れた皮膚外用剤であると判別することを特徴とする、乳化剤形の皮膚外用剤の評価方法にも関する。
本発明の評価方法によれば、水中油型の乳化剤形の皮膚外用剤における油溶性の有効成分の放出性を容易に評価することができる。

発明の効果

0016

本発明は油溶性の有効成分を含む皮膚外用剤における、該有効成分の放出性を向上する技術を提供することができる。

図面の簡単な説明

0017

実施例1の皮膚外用剤の乳化状態を表す顕微鏡写真である。
比較例1の皮膚外用剤の乳化状態を表す顕微鏡写真である。
実施例1と比較例1の皮膚外用剤の放出性試験の結果を表す折れ線グラフである。

0018

本発明は、油溶性の有効成分を含む水中油型の乳化剤形の皮膚外用剤を製造する方法である。前記有効成分としては、アトピー性皮膚炎で使用されるものが好ましく、例えば、ヒドロコルチゾンプレドニゾロンデキサメタゾンベクロメタゾンベタメタゾン等のステロイド類インドメタシンスプロフェン等の非ステロイド系抗炎症剤ナルフラフィン等の抗掻痒剤ヘパリン類似物質尿素のような保湿剤ビタミンA類ビタミンB類ビタミンC類などのビタミン類等が好適に例示できる。これらの含有量は、それぞれの有効量により異なるが、大凡、0.0001〜10質量%が好ましい。

0019

本発明の特徴は、水中油型の乳化剤形の皮膚外用剤の平均乳化粒子径を10μm以下、好ましくは1〜10μm、より好ましくは3〜9μmに制御する点にある。平均乳化粒子径をこのような数値範囲に制御することによって、油溶性の有効成分の放出性に優れた皮膚外用剤を製造することができる。
なお、本願において使用される「平均乳化粒子径」という用語は、乳化組成物の顕微鏡写真において任意に選ばれた20個以上の乳化粒子最大粒子径を測定し、該測定値から得られた乳化粒子径の平均値を表す。

0020

平均乳化粒子径を制御する際に、その均一性が高くなるように行うことが好ましい。均一性が高い、つまり、乳化粒子径が10μmを越える乳化粒子の割合が小さいほど、有効成分の放出性は向上するからである。具体的には、平均乳化粒子径の標準偏差が、好ましくは10μm以下、より好ましくは5μm以下、さらに好ましくは3μm以下になるように制御することにより、皮膚外用剤における有効成分の放出性を向上させることができる。

0021

平均乳化粒子径の制御は例えば、油相成分水相成分撹拌混合乳化する際の剪断力等の条件を制御することにより行うことができる。具体的には、高速回転式ホモジナイザーにより乳化を行う場合には、回転数を上げることで平均乳化粒子径を小さくすることができる。また、圧力式ホモジナイザーを用いて乳化を行う場合には、バルブの形状や圧力を調整することにより平均乳化粒子径を制御することができる。また、乳化膜を用いて乳化を行う場合には、乳化膜の孔径によって平均乳化粒子径の制御を行うことができる。

0022

特に以下の製造方法によれば、所望の平均乳化粒子径及び均一性を備え、有効成分の放出性に優れた皮膚外用剤を容易に製造することができる。すなわち、構造を担うカルボキシビニルポリマー等の増粘性を有するポリマーを、乳化構造が固定した、乳化組成物に含有させ、中和して、架橋構造を形成せしめ、しっかりとした架橋構造を構築させる。具体的な方法は以下の通りである。

0023

ノニオン性界面活性剤の曇点より高い温度で、該ノニオン性界面活性剤を用いて乳化を行い水中油乳化物を調製し、ノニオン性界面活性剤の曇点以下の温度まで冷却した後、カルボキシビニルポリマーを加え、しかる後に該カルボキシビニルポリマーをアルカリ剤で中和する。

0024

ノニオン性界面活性剤の曇点より高い温度としては、複数のノニオン性界面活性剤が存在する場合は、これらの曇点温度のうち最も高い曇点温度を採用することが好ましく、大凡75〜90℃の温度が適用される。また、ノニオン性界面活性剤の曇点以下の温度としては、複数のノニオン性界面活性剤が存在する場合は、これらの曇点温度のうち最も低い曇点温度を採用することが好ましく、大凡25〜35℃であることが好ましい。

0025

カルボキシビニルポリマーは流動性を示す、最低限度に近い水分添加量で溶解し加えることが好ましく、具体的には5〜65質量%の水に溶解せしめて加えるのが好ましい。かかる水の量は、皮膚外用剤全体に対しては、35〜60質量%であることが望ましい。また、その後加えるアルカリ剤も分散を阻害しない程度に水で希釈して加えるのが好ましく、具体的には、1〜5質量%の水で希釈して加えることが好ましい。残余の水は、水中油乳化物を調製する水相として加えることが好ましい。以下、調製の手順を工程に分けて説明する。

0026

<工程1>
あらかじめ、カルボキシビニルポリマーを少量の水で溶解させ、カルボキシビニルポリマー液を調製する。同様にアルカリ剤水溶液を調製する。この2種の液をそれぞれ添加すべきノニオン性界面活性剤の曇点以下の温度に調整しておく。

0027

<工程2>
残余の水と、水性成分、例えば、多価アルコール水溶性添加物を合わせ、乳化温度である曇点より高い温度に調整しておく。同時に、ノニオン性界面活性剤を含む油性成分を合わせ、乳化温度である曇点より高い温度に調整しておく。

0028

<工程3>
ノニオン性界面活性剤の曇点より高い温度に調整した水相に、同様に曇点より高い温度に調整した油相攪拌下徐々に加え、水中油乳化物を調製し、これを攪拌、冷却し、曇点以下まで冷却する。曇点以下の温度になったら、攪拌下徐々にカルボキシビニルポリマー液を添加する。添加後、一様になるまで攪拌し、しかる後に、アルカリ剤水溶液を徐々に加えることで皮膚外用剤を得ることができる。
ここで、アルカリ剤水溶液の添加は、本発明の組成物のpHが、好ましくは4〜8となるように行うことができる。また、本発明の組成物のpHの下限値は、好ましくは4.3、さらに好ましくは、4.5である。また、本発明の組成物のpHの上限値は、好ましくは、6.5、さらに好ましくは6である。

0029

かくして得られた皮膚外用剤は、カルボキシビニルポリマーの増粘架橋構造が、ノニオン性界面活性剤の曇点による界面活性作用の低下の影響を受けにくいため、粘度の温度勾配の少ない組成物となる。また、少量の増粘剤高温でも安定な系となる。また、塗布して皮膜を形成させた場合、閉塞性が高く、TEWLを抑制する作用に優れる皮膜となる。

0030

本発明の製造方法においては、次のような成分を必須成分又は好ましい成分として添加してもよい。

0031

本発明の製造方法においては、乳化剤としてノニオン性界面活性剤を用いることが好ましい。
ノニオン性界面活性剤としては、ステアリン酸モノグリセリドオレイン酸モノグリセリドなどのモノグリセリド類ソルビタンステアリン酸エステルソルビタンオレイン酸エステルなどのソルビタン脂肪酸エステル類、POEステアリン酸エステル、POEオレイン酸エステル等のエステル系ノニオン性界面活性剤類、POE硬化されていても良いヒマシ油類、POEソルビタンオレイン酸エステル、POEソルビタンステアリン酸エステルなどのPOEソルビタン脂肪酸エステル類、POEオレイルエーテル、POEセチルエーテルなどのエーテル系ノニオン性界面活性剤類等が好適に例示でき、親水性ノニオン性界面活性剤としては、POE硬化ヒマシ油類及び/又はエーテル系ノニオン性界面活性剤類が好ましく例示でき、これらを両方含有する形態が特に好ましい。また、親油性界面活性剤としては、脂肪酸モノグリセリドが好ましく例示できる。本発明においては、界面活性剤は実質的にノニオン性界面活性剤のみを用いることが好ましい。これは、曇点が明確に推定できるためである。前記界面活性剤の含有量は、総量で好ましくは3〜7質量%、さらに好ましくは3〜5質量%である。

0032

皮膚外用剤は、アルキル変性されていても良いカルボキシビニルポリマーを含有することが好ましい。アルキル変性されていても良いカルボキシビニルポリマーとしては、通常のカルボキシビニルポリマーに加え、「ペムレンTR−1」、「ペムレンTR−2」或いは「カーボポール1382」(何れも、ルーブリゾール・アドバンスドマテリアル社製)等の長鎖アルキル基を導入したアルキル変性カルボキシビニルポリマーも使用できる。前記長鎖アルキル基としては、炭素数10〜30のものが好ましい。該カルボキシビニルポリマーは、中和されて増粘剤として働き、乳化系を安定化するとともに、皮膚外用剤が塗布された後に形成する皮膜を強化する作用を有する。このような効果を奏するためには、カルボキシビニルポリマーは、好ましくは0.3〜1.2質量%、更に好ましくは0.5〜1.0質量%含有される。また、前記カルボキシビニルポリマーは、20℃、中性領域における0.2%水溶液の粘度が、1500〜50000mPa・sのカルボキシビニルポリマーを用いることが好ましい。

0033

前記カルボキシビニルポリマーを増粘させるために、皮膚外用剤においては、カルボキシビニルポリマーを中和すべきアルカリ剤を含有することが好ましい。前記アルカリ剤としては有機アミンが好ましく、例えば、トリエタノールアミントリエチルアミンモノエタノールアミンジイソプロパノールアミンなどが好適に例示できる。中でも、ジイソプロパノールアミンが特に好ましい。かかる有機アミンは、皮膚外用剤中に、好ましくは0.01〜1.5質量%、さらに好ましくは0.01〜1.0質量%、より好ましくは0.01〜0.8質量%、特に好ましくは0.05〜0.6質量%含有される。有機アミンの含有量を上記範囲とすることにより、皮膚外用剤のpHを4.5〜6に調整することができる。また、上述した製造方法において、pHの範囲を好ましい範囲に調整するために、有機アミン等の中和剤の量と種類を調整することができる。

0034

皮膚外用剤では、前記成分以外に、通常皮膚外用剤に用いられる任意の成分を含有することが出来る。かかる任意の成分としては、例えば、スクワランワセリンなどの炭化水素類ホホバ油セチルイソオクタネート、ミリスチルイソプロピルなどのようなエステル油剤オリーブ油中鎖脂肪酸トリグリセリドの様なトリグリセリド、1,3−ブタンジオールプロピレングリコールグリセリンポリエチレングリコールの様な多価アルコール、アルキル変性されていても良い、キサンタンガムなどの増粘剤、ステアリン酸、ミリスチル酸、ミリスチン酸ラウリン酸等の脂肪酸乃至はそれらの塩、セトステアリルアルコールベヘニルアルコールイソステアリルアルコールオレイルアルコールなどの高級アルコール等が好適に例示できる。これらの内、脂肪酸はカルボキシビニルポリマーの架橋構造を損なう場合があるので、実質的に含有しない形態が好ましい。

0035

ここで、アルカリ剤水溶液の添加は、本発明の組成物のpHが、好ましくは4〜8となるように行うことができる。また、本発明の組成物のpHの下限値は、好ましくは4.3、さらに好ましくは、4.5である。また、本発明の組成物のpHの上限値は、好ましくは、6.5、さらに好ましくは6である。

0036

本発明は、上述の製造方法により製造された皮膚外用剤にも関する。また、本発明は、皮膚外用剤の実施の形態については、上述した本発明の製造方法の実施の形態をそのまま適用することができる。

0037

また、本発明の皮膚外用剤は、以下の物性を備える形態としてもよい。
32℃の恒温条件下、コーンプレート粘度計を用いて、剪断速度(D)に対する剪断応力(S)の関係式;√S=a√D+b(a、bは係数)から算出される、残留粘度(傾きaの二乗)は200mPa・s以下、より好ましくは190mPa・s以下であり、更に好ましくは、加えて、100mPa・s以上であり、120mPa・s以上であって、且つ、キャッソン(Casson)降伏値切片bの二乗)は40000mPa以上であり、より好ましくは、42000mPa以上であり、加えて、60000mPa以下であり、より好ましくは50000mPa以下である。
また、本発明の皮膚外用剤は、剪断速度の平方根が、1〜15の変域において、良好な直線性を示すことが好ましい。すなわち、キャッソン(Casson)プロットにおいて、剪断速度の平方根が1〜15の変域での相関係数の二乗の値が0.98以上であることが好ましい。

0038

上述のような物性を備える場合、本発明の皮膚外用剤は、使用時においては、使用開始時から、使用終了時までの、延展性などの使用感の変化は極めて少ないという特徴を有する。これにより、敏感な皮膚に対しても与える物理刺激が低い皮膚外用剤となると推察される。

0039

また、本発明の皮膚外用剤のコーンプレート型粘度計で測定した場合の25℃における粘度は、好ましくは600mPa・s以上、より好ましくは8000mPa・s以上であり、更に好ましくは1000mPa・s以上、特に好ましくは1200mPa・s以上であり、加えて、好ましくは4000mPa・s以下であり、より好ましくは3000mPa・s以下であり、更に好ましくは2500mPa・s以下である。
このような粘度である本発明の皮膚外用剤は、閉塞性に優れた塗布膜を肌上に形成することができる。

0040

さらに本発明の皮膚外用剤は、チキソトロピー性を備えていることが好ましい。
チキソトロピーとは、粘度が時間経過とともに変化する性質のことを言う。具体的には、剪断応力を受け続けると粘度が次第に低下し液状になり、また静止すると粘度が次第に上昇し最終的に固体状になる性質のことを言う。したがって、チキソトロピー性のある皮膚外用剤は、肌へ塗布する過程(剪断力を受けている状態)では肌へ広げやすく滑らかであるが、塗布の終了後に肌上に形成される被膜(剪断力を受けていない状態)はたれにくい性質を有する。チキソトロピー性の指標としては、以下の式で表されるチキソトロピー値を用いることができる。一般的にチキソトロピー値は、回転速度を1:10に変化させて、その粘度の比で示すことができる。

0041

0042

チキソトロピー値の算出において、見かけ粘度の測定は、32℃の恒温条件下、コーンプレート型粘度計で計測することができる。
本発明においてチキソトロピー値は、好ましくは4.0より大きく、より好ましくは4.5以上であり、さらに好ましくは4.5〜6.5とすることが好ましい。一般に、皮膚の表面温度は32℃前後であるため、前記温度でチキソトロピー値を測定することが好ましい。
チキソトロピー値を前記数値範囲とすることにより、塗り広げやすくたれにくいという特徴を有する。そして、驚くべきことに前記数値範囲のチキソトロピー値を有する本発明の皮膚外用剤は、皮膚になじみやすく、耐汗性に優れており、有効成分であるクロベタゾン及び/又はそのエステルの経皮吸収効率に優れ、また、容器充填性に優れている。

0043

皮膚外用剤のチキソトロピー値は、増粘剤の含有量を調整することによって任意に調節することができる。すなわち、増粘剤の含有量を増減することによってチキソトロピー値を変化させることができる。
また、乳化粒子径を小さくすることによってチキソトロピー値を変化させることができる。乳化粒子径は油相と水相を撹拌し乳化を行う際の応力を調整することによって任意に調節することができる。

0044

また、本発明は油溶性の有効成分を含む水中油型の乳化剤形の皮膚外用剤の設計方法にも関する。具体的には、平均乳化粒子径を10μm以下に制御することにより、前記皮膚外用剤の塗布後24時間までの前記有効成分の平均放出速度が0.3μg/cm2/h0.5以上となるように調整することを特徴とする。
本発明の設計方法によれば、油溶性の有効成分の放出性に優れた皮膚外用剤を容易に設計することができる。

0045

なお、本発明において「皮膚外用剤の塗布後24時間までの有効成分の平均放出速度」とは、皮膚外用剤をドナーとしたフランツ型拡散セルによる試験を開始してから24時間までの間、複数時点においてレセプター液に放出された単位面積当たりの有効成分の総量を測定し、測定時点における試験開始からの経過時間の平方根に対して当該測定値をプロットしたときの、線形最小二乗法により作成した線形近似曲線の傾きのことをいう。
フランツ型拡散セルによる平均放出速度の測定は、具体的には実施例に記載する方法により行うことができる。

0046

本発明の好ましい形態では、前記皮膚外用剤の塗布後24時間までの前記有効成分の最低放出速度が0.04μg/cm2/h0.5以上となるように調整する。
このように最低放出速度を調整することによって、持続的に皮膚へ有効成分を放出することができる皮膚外用剤を容易に設計することができる。

0047

なお、「最低放出速度」とは、レセプター液に放出された有効成分の量が最も少なかった一定の時間内における平均放出速度のことをいう。

0048

さらに、本発明は調製した水中油型の乳化剤形の皮膚外用剤が、前記の本発明の皮膚外用剤の効果を備えているか否かを判別、評価する方法にも関する。具体的には、本発明は、平均乳化粒子径を計測し、該平均乳化粒子径が10μm以下であった場合、油溶性の有効成分の放出性に優れる水中油型の乳化剤形の皮膚外用剤であると判別することを特徴とする。

0049

表1に示す処方に従って、実施例1の皮膚外用剤を調製した。すなわち、(イ)、(ロ)、(ハ)及び(ニ)の成分を量し、これらの内、(ハ)と(ニ)は室温で撹拌混合溶解し、(イ)と(ロ)は75℃で撹拌混合溶解し、各々の溶解温度で保持した。攪拌下(ロ)に(イ)を徐々に加え乳化し、攪拌冷却し、30℃まで冷却したところで、攪拌下(ハ)を徐々に加えて、一様に混合したところで、更に、(ニ)を徐々に加えて中和し、本発明の皮膚外用剤を得た。実施例1の皮膚外用剤のpHも表1に示す。尚、表中の各処方成分は、組成物全量に対する重量%で表示している。

0050

0051

処方成分は実施例の皮膚外用剤と変わらず、製造方法のみを変えて比較例1の皮膚外用剤を製造した。すなわち、表2に示す(イ)、(ロ)、(ハ)を秤量し、これらの内、(イ)と(ロ)は75℃で撹拌混合溶解し(ハ)は室温で撹拌混合溶解し、各々の溶解温度で保持した。攪拌下(ロ)に(イ)を徐々に加え乳化し、一様になったところで、撹拌冷却し、30℃まで冷却したところで、更に、(ハ)を徐々に加えて中和し、比較例1の皮膚外用剤を得た。比較例1のpHを表2に示す。尚、表中の各処方成分は、組成物全量に対する重量%で表示している。

0052

0053

このようにして調製した実施例1と比較例1の皮膚外用剤を顕微鏡観察し、任意の20個の乳化粒子についてその最大径を計測し、その平均値と標準偏差を算出した。顕微鏡写真を図1及び2に示し、平均乳化粒子径と標準偏差の算出結果を表3に示す。

0054

0055

また、実施例1及び比較例1の皮膚外用剤をコーンプレート型粘度計(装置機種名:RE−80R、製造会社名:東機産業、条件:ローター:3°×R14、測定温度:32℃、回転数:10及び100rpm、測定時間:3分)を用いて、見かけ粘度を求め、関係式;(10rpmの見かけ粘度)/(100rpmの見かけ粘度)からチキソトロピー値(TI値)を算出した。結果を表4に示す。

0056

0057

実施例1及び比較例2の皮膚外用剤をドナーとして以下の条件でフランツ型拡散セル(製造会社名:Hanson Research)を用いて実験を行い、実験開始から12時間、16時間、20時間、24時間の時点におけるレセプター液に溶出されたクロベタゾン酪酸エステルの量をHPLCにより測定した。実験は実施例1については3回、比較例1については2回行い、皮膚外用剤からレセプター液に放出された単位面積当たりのクロベタゾン酪酸エステルの量を算出し、その平均値を計算した。結果を図3と表5に示す。また、上述の方法により算出した平均放出速度と最低放出速度を表5に示す。

・皮膚外用剤の投与量:約100mg
・膜:ポリビニリデンフロライド膜(製造会社名:日本ミリポア、厚さ:125μm、孔径:0.45μm)
・温度:32℃
・レセプター液:1%ポリソルベート80水溶液
スターラー回転数:500rpm

0058

実施例

0059

図3に示すように平均乳化粒子径が6.1μm(標準偏差2.7μm)である実施例1の皮膚外用剤は、平均乳化粒子径が19.9μm(標準偏差11.3μm)である比較例1の皮膚外用剤に比して、クロベタゾン酪酸エステルがレセプター液へ溶出される速度も量も大きい。
この結果は、油溶性の有効成分を含む水中油型の乳化剤形の皮膚外用剤の平均乳化粒子径を10μm以下に制御することによって、該有効成分の放出性に優れた皮膚外用剤を製造することができることを示している。

0060

本発明は、医薬品の調製に応用できる。

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