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技術 セメントの品質または製造条件の予測方法

出願人 太平洋セメント株式会社
発明者 末松諒一黒川大亮平尾宙
出願日 2016年9月28日 (4年1ヶ月経過) 出願番号 2016-189853
公開日 2017年4月6日 (3年7ヶ月経過) 公開番号 2017-066026
状態 特許登録済
技術分野 セメント、コンクリート、人造石、その養生 特有な方法による材料の調査、分析
主要キーワード ふるい試験 モニターデータ 管理目標値 品質管理項目 管理基準値 品質項目 透過物体 限定条件
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重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2017年4月6日)のものです。
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課題

短時間でかつ高い精度でセメント品質予測することができる方法を提供する。

解決手段

入力層及び出力層を有するニューラルネットワーク、学習データ及びモニターデータを用いて、σL<σMとなるような、十分に大きい学習回数でニューラルネットワークの学習を行った後に、学習回数を減らしながらニューラルネットワークの学習をσL≧σMとなるまで繰り返し、かつ、解析度判定値が第一の設定値を満たさない場合であって、解析度判定値が予め定めた第二の設定値を満たす場合、監視データ実測値が特定の限定条件によって形成される数値範囲内に属する場合であれば、ニューラルネットワークの入力層に当該の監視データの実測値を入力し、出力層から評価データ推測値を出力するセメントの品質または製造条件予測方法

概要

背景

硬化前の流動性、作業性や、硬化後の種々の化学的物理的特性等、セメントには多くの品質が求められている。
重要な品質項目として、例えば、「JIS R 5201(セメントの物理試験方法)」に準拠した材齢28日におけるモルタル圧縮強さ等が挙げられる。しかし、上記モルタルの圧縮強さ等の材齢を要素とする品質項目は、品質試験結果が判明するまでに長期の時間を要するため、品質試験結果を確認した後にセメントを出荷することが困難であるという問題があった。
このため、セメントの製造現場では、セメントクリンカー組成化学組成鉱物組成)やセメントの粉末度等の製造工程での品質管理項目を設定し、材齢を要素とする品質項目が所定の管理基準値満足するように、それら製造工程での品質管理項目に、経験に基づいた管理基準値を設定している。

しかし、製造工程での品質管理項目を指標としたセメントの品質管理方法は、限られた代替指標による間接的管理であることから、管理精度にある程度のあいまいさを有していることは避けられず、過剰に安全側に管理基準を設定せざるを得ない方法である。
そこで、そのような過剰に安全側に設定した品質管理傾向から生じる過剰スペック製品の発生を抑制しながら、所定の品質の製品を安定的に製造し、さらに、品質規格外れた異常品の製造を防止するため、上記製造工程での品質管理項目の情報に加えて、セメント製造に関する種々のその他の情報を活用して、より高精度にセメントの品質を予測する技術が種々提案されている。
ニューラルネットワーク学習プロセスを含むセメントの品質予測方法として、例えば、特許文献1には、監視データ実測値を入力するための入力層と、評価データ推測値を出力するための出力層を有するニューラルネットワークを用いたセメントの品質または製造方法の予測方法であって、学習データとモニターデータを用いて、σL<σMとなるような、十分に大きい学習回数でニューラルネットワークの学習を行った後に、学習回数を減らしながらニューラルネットワークの学習をσL≧σMとなるまで繰り返し、学習後解析度判定値が予め定めた設定値未満である場合に、ニューラルネットワークの入力層に、セメント製造における監視データの実測値を入力して、学習後のニューラルネットワークの出力層から、セメントの品質または製造条件の評価に関連する評価データの推測値を出力する、セメントの品質または製造条件の予測方法が記載されている。該予測方法によれば、短時間でかつ高い精度でセメントの品質または製造条件を予測することができる。

概要

短時間でかつ高い精度でセメントの品質を予測することができる方法を提供する。入力層及び出力層を有するニューラルネットワーク、学習データ及びモニターデータを用いて、σL<σMとなるような、十分に大きい学習回数でニューラルネットワークの学習を行った後に、学習回数を減らしながらニューラルネットワークの学習をσL≧σMとなるまで繰り返し、かつ、解析度判定値が第一の設定値を満たさない場合であって、解析度判定値が予め定めた第二の設定値を満たす場合、監視データの実測値が特定の限定条件によって形成される数値範囲内に属する場合であれば、ニューラルネットワークの入力層に当該の監視データの実測値を入力し、出力層から評価データの推測値を出力するセメントの品質または製造条件の予測方法。

目的

本発明の目的は、解析度判定値が予め定めた設定値を満たさない場合でも、短時間でかつ高い精度でセメントの品質または製造条件(適正な品質を有するセメントを製造するために必要な製造上の諸条件)を予測することができる方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

入力層及び出力層を有するニューラルネットワークを用いたセメント品質または製造条件予測方法であって、上記入力層は、セメント製造における監視データ実測値を入力するためのものであり、上記出力層は、セメントの品質または製造条件の評価に関連する評価データ推測値を出力するためのものであり、上記監視データと上記評価データの組み合わせが、(i)上記監視データが、セメントクリンカー原料に関するデータ、セメントクリンカーの焼成条件に関するデータ、セメントの粉砕条件に関するデータ、及びセメントクリンカーに関するデータの中から選ばれる一種以上のデータであり、かつ、上記評価データが、セメントクリンカーの原料に関するデータ、セメントクリンカーの焼成条件に関するデータ、セメントの粉砕条件に関するデータ、セメントクリンカーに関するデータ、及びセメントに関するデータの中から選ばれる一種以上のデータである組み合わせ、または、(ii)上記監視データが、セメントクリンカーの原料に関するデータ、セメントクリンカーの焼成条件に関するデータ、セメントの粉砕条件に関するデータ、セメントクリンカーに関するデータ、及びセメントに関するデータの中から選ばれる一種以上のデータであり、かつ、上記評価データが、セメントと水を混練してなる組成物の物性に関するデータである組み合わせ、であり、(A)学習回数初期設定を行う工程と、(B)監視データの実測値と評価データの実測値の組み合わせである学習データを複数用いて、ニューラルネットワークの学習を、前工程で設定された学習回数行う工程と、(C)学習データの監視データの実測値を、直近の工程(B)の学習で得られたニューラルネットワークの入力層に入力して得られた評価データの推測値と学習データの評価データの実測値との平均2乗誤差(σL)、及び、ニューラルネットワークの学習結果信頼性を確認するための監視データの実測値と評価データの実測値の組み合わせであるモニターデータの中の監視データの実測値を、直近の工程(B)の学習で得られたニューラルネットワークの入力層に入力して得られた評価データの推測値とモニターデータの中の評価データの実測値との平均2乗誤差(σM)を算出し、算出されたσLとσMの関係がσL≧σMである場合、工程(D)を実施し、算出されたσLとσMの関係がσL<σMである場合、工程(E)を実施する工程と、(D)直近の工程(A)で設定された学習回数および再設定された直近のニューラルネットワークの学習回数のいずれの学習回数よりも大きい学習回数を新たな学習回数として再設定し、再度工程(B)〜(C)を実施する工程と、(E)直近のニューラルネットワークの学習で実施された学習回数を減らした学習回数を、新たな学習回数として再設定する工程と、(F)直近の工程(B)で用いられた学習データを用いて、ニューラルネットワークの学習を直近の工程(E)で設定された学習回数行う工程と、(G)学習データの監視データの実測値を、直近の工程(F)の学習で得られたニューラルネットワークの入力層に入力して得られた評価データの推測値と学習データの評価データの実測値との平均2乗誤差(σL)、及び、モニターデータの中の監視データの実測値を、直近の工程(F)の学習で得られたニューラルネットワークの入力層に入力して得られた評価データの推測値とモニターデータの中の評価データの実測値との平均2乗誤差(σM)を算出し、算出されたσLとσMの関係がσL≧σMである場合、工程(I)を実施し、算出されたσLとσMの関係がσL<σMである場合、工程(H)を実施する工程と、(H)直近の工程(F)におけるニューラルネットワークの学習回数が予め定めた数値を超えている場合、再度工程(E)〜(G)を実施し、直近の工程(F)におけるニューラルネットワークの学習回数が予め定めた数値以下の場合、工程(J)を実施する工程と、(I)下記式(1)を用いて解析度判定値を算出し、該解析度判定値が予め定めた第一の設定値未満である場合、ニューラルネットワークの学習を終了し、学習済みのニューラルネットワークの入力層に、セメント製造における監視データの実測値を入力して、上記ニューラルネットワークの出力層から、セメントの品質または製造条件の評価に関連する評価データの推測値を出力してセメントの品質または製造条件を予測し、上記解析度判定値が予め定めた第一の設定値以上である場合、工程(J)を実施する工程と、(J)工程(A)を実施した回数の大きさについての判定を行い、該回数が予め設定した回数以下である場合、学習条件初期化を行って、再度工程(A)〜(I)を行い、該回数が予め設定した回数を超える場合、工程(K)を実施する工程と、(K)工程(I)において算出した全ての解析度判定値のうち、最も小さい解析度判定値が予め定めた第二の設定値未満である場合、最も小さい解析度判定値を得ることができた工程(I)におけるニューラルネットワークを、学習済みのニューラルネットワークとした後、工程(L)を実施し、最も小さい解析度判定値が予め定めた第二の設定値以上である場合、セメントの品質または製造条件を予測することはできないと判断して予測を終了する工程と、(L)工程(I)において算出した全ての解析度判定値のうち、最も小さい解析度判定値を得ることができた工程(I)において、学習データとして使用した監視データの実測値と評価データの実測値の組み合わせについて無相関検定を行い、5%の有意水準で有意であると判断された監視データの種類が2種以上である場合、5%の有意水準で有意であると判断された監視データの全種類を座標軸とする座標空間に学習データとして使用した監視データの実測値をプロットし、座標空間において、プロットされた監視データ同士を結ぶことで形成される監視データの全てを包含する領域であって、該領域が最大となるように監視データ同士を結ぶことで形成される領域を、予測可能監視データ領域として設定した後、工程(M)を実施し、5%の有意水準で有意であると判断された監視データが0または1種類である場合、セメントの品質または製造条件を予測することはできないと判断して予測を終了する工程と、(M)セメント製造における監視データの実測値が、上記予測可能監視データ領域に含まれるかどうかを判定し、セメント製造における監視データの実測値が、上記予測可能監視データ領域に含まれる場合、工程(K)で得た学習済みのニューラルネットワークの入力層に、セメント製造における監視データの実測値を入力して、上記ニューラルネットワークの出力層から、セメントの品質または製造条件の評価に関連する評価データの推測値を出力してセメントの品質または製造条件を予測し、セメント製造における監視データの実測値が、上記予測可能監視データ領域に含まれない場合、セメントの品質または製造条件を予測することはできないと判断して予測を終了する工程と、を含むことを特徴とするセメントの品質または製造条件の予測方法。(上記式(1)中、学習データの平均2乗誤差(σL)とは、学習データの監視データの実測値を学習後のニューラルネットワークの入力層に入力して得られた評価データの推測値と学習データの評価データの実測値との平均2乗誤差(σL)である。評価データの推測値の平均値とは、学習データの監視データの実測値を学習後のニューラルネットワークの入力層に入力して得られた評価データの推測値の平均値である。)

請求項2

上記解析度判定値の予め定めた第一の設定値が6%以下であり、上記解析度判定値の予め定めた第二の設定値が上記第一の設定値よりも大きくかつ20%以下である請求項1に記載のセメントの品質または製造条件の予測方法。

請求項3

上記ニューラルネットワークが、上記入力層と上記出力層の間に中間層を有する階層型のニューラルネットワークである請求項1または2に記載のセメントの品質または製造条件の予測方法。

請求項4

上記監視データと上記評価データの組み合わせは、(ii)上記監視データが、セメントに関するデータであり、かつ、上記評価データが、セメントと水を混練してなる組成物の物性に関するデータである組み合わせであり、上記監視データである、セメントに関するデータは、セメントのブレーン比表面積ふるい試験残分量、湿式f.CaO、セメントの鉱物組成、及びセメントの化学組成の中から選ばれる一種以上であり、上記評価データである、上記セメントと水を混練してなる組成物の物性に関するデータは、モルタル圧縮強さ曲げ強度流動性水和熱凝結時間の中から選ばれる一種以上である請求項1〜3のいずれか1項に記載のセメントの品質または製造条件の予測方法。

請求項5

工程(A)の前に、(A−1)任意に選択した1種以上の監視データからなる監視データ集合体を、2種以上用意し、該2種以上の監視データ集合体の各々について、監視データの実測値と評価データの実測値の組み合わせである選択データを複数用いて、工程(A)〜(M)において用いられるニューラルネットワークとは異なる未学習のニューラルネットワークの学習を行い、得られたニューラルネットワークの入力層に、選択データの監視データの実測値を入力して得られた評価データの推測値と、選択データの評価データの実測値との平均2乗誤差を算出し、平均2乗誤差の数値が最も小さかった選択データにおける監視データを、工程(A)〜(M)における監視データとして用いる工程、を含む請求項1〜4のいずれか1項に記載のセメントの品質または製造条件の予測方法。

請求項6

上記監視データの値を人為的に変動させて得られた上記評価データの推測値に基づいて、セメントの製造条件を最適化する請求項1〜5のいずれか1項に記載のセメントの品質または製造条件の予測方法。

技術分野

0001

本発明は、ニューラルネットワークを用いたセメント品質または製造条件予測方法に関する。

背景技術

0002

硬化前の流動性、作業性や、硬化後の種々の化学的物理的特性等、セメントには多くの品質が求められている。
重要な品質項目として、例えば、「JIS R 5201(セメントの物理試験方法)」に準拠した材齢28日におけるモルタル圧縮強さ等が挙げられる。しかし、上記モルタルの圧縮強さ等の材齢を要素とする品質項目は、品質試験結果が判明するまでに長期の時間を要するため、品質試験結果を確認した後にセメントを出荷することが困難であるという問題があった。
このため、セメントの製造現場では、セメントクリンカー組成化学組成鉱物組成)やセメントの粉末度等の製造工程での品質管理項目を設定し、材齢を要素とする品質項目が所定の管理基準値満足するように、それら製造工程での品質管理項目に、経験に基づいた管理基準値を設定している。

0003

しかし、製造工程での品質管理項目を指標としたセメントの品質管理方法は、限られた代替指標による間接的管理であることから、管理精度にある程度のあいまいさを有していることは避けられず、過剰に安全側に管理基準を設定せざるを得ない方法である。
そこで、そのような過剰に安全側に設定した品質管理傾向から生じる過剰スペック製品の発生を抑制しながら、所定の品質の製品を安定的に製造し、さらに、品質規格外れた異常品の製造を防止するため、上記製造工程での品質管理項目の情報に加えて、セメント製造に関する種々のその他の情報を活用して、より高精度にセメントの品質を予測する技術が種々提案されている。
ニューラルネットワークの学習プロセスを含むセメントの品質予測方法として、例えば、特許文献1には、監視データ実測値を入力するための入力層と、評価データ推測値を出力するための出力層を有するニューラルネットワークを用いたセメントの品質または製造方法の予測方法であって、学習データとモニターデータを用いて、σL<σMとなるような、十分に大きい学習回数でニューラルネットワークの学習を行った後に、学習回数を減らしながらニューラルネットワークの学習をσL≧σMとなるまで繰り返し、学習後解析度判定値が予め定めた設定値未満である場合に、ニューラルネットワークの入力層に、セメント製造における監視データの実測値を入力して、学習後のニューラルネットワークの出力層から、セメントの品質または製造条件の評価に関連する評価データの推測値を出力する、セメントの品質または製造条件の予測方法が記載されている。該予測方法によれば、短時間でかつ高い精度でセメントの品質または製造条件を予測することができる。

先行技術

0004

特許第5323290号公報

発明が解決しようとする課題

0005

特許文献1に記載された予測方法で、監視データの実測値や評価データの実測値を十分に得ることができない等の、学習データの数が不十分である場合等において、解析度判定値が予め定めた設定値を満たさないために、予測できない場合があった。
本発明の目的は、解析度判定値が予め定めた設定値を満たさない場合でも、短時間でかつ高い精度でセメントの品質または製造条件(適正な品質を有するセメントを製造するために必要な製造上の諸条件)を予測することができる方法を提供することである。

課題を解決するための手段

0006

本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、ニューラルネットワークを用いたセメントの品質または製造条件の予測方法であって、学習データとモニターデータを用いて、σL<σM(この式の意味は後で説明する。)となるような、十分に大きい学習回数でニューラルネットワークの学習を行った後に、今度は、学習回数を減らしながらニューラルネットワークの学習をσL≧σMとなるまで繰り返し、かつ、解析度判定値が第一の設定値を満たさない(超える)場合であって、解析度判定値が予め定めた第二の設定値を満たす(以下)場合、監視データの実測値が特定の限定条件によって形成される数値範囲内に属する場合であれば、ニューラルネットワークの入力層に当該の監視データの実測値を入力し、出力層から評価データの推測値を出力する方法によれば、上記目的を達成しうることを見出し、本発明を完成した。

0007

すなわち、本発明は、以下の[1]〜[6]を提供するものである。
[1]入力層及び出力層を有するニューラルネットワークを用いたセメントの品質または製造条件の予測方法であって、上記入力層は、セメント製造における監視データの実測値を入力するためのものであり、上記出力層は、セメントの品質または製造条件の評価に関連する評価データの推測値を出力するためのものであり、上記監視データと上記評価データの組み合わせが、
(i)上記監視データが、セメントクリンカーの原料に関するデータ、セメントクリンカーの焼成条件に関するデータ、セメントの粉砕条件に関するデータ、及びセメントクリンカーに関するデータの中から選ばれる一種以上のデータであり、かつ、上記評価データが、セメントクリンカーの原料に関するデータ、セメントクリンカーの焼成条件に関するデータ、セメントの粉砕条件に関するデータ、セメントクリンカーに関するデータ、及びセメントに関するデータの中から選ばれる一種以上のデータである組み合わせ、または、
(ii)上記監視データが、セメントクリンカーの原料に関するデータ、セメントクリンカーの焼成条件に関するデータ、セメントの粉砕条件に関するデータ、セメントクリンカーに関するデータ、及びセメントに関するデータの中から選ばれる一種以上のデータであり、かつ、上記評価データが、セメントと水を混練してなる組成物の物性に関するデータである組み合わせ、であり、
(A)学習回数の初期設定を行う工程と、
(B)監視データの実測値と評価データの実測値の組み合わせである学習データを複数用いて、ニューラルネットワークの学習を、前工程で設定された学習回数行う工程と、
(C)学習データの監視データの実測値を、直近の工程(B)の学習で得られたニューラルネットワークの入力層に入力して得られた評価データの推測値と学習データの評価データの実測値との平均2乗誤差(σL)、及び、ニューラルネットワークの学習結果信頼性を確認するための監視データの実測値と評価データの実測値の組み合わせであるモニターデータの中の監視データの実測値を、直近の工程(B)の学習で得られたニューラルネットワークの入力層に入力して得られた評価データの推測値とモニターデータの中の評価データの実測値との平均2乗誤差(σM)を算出し、算出されたσLとσMの関係がσL≧σMである場合、工程(D)を実施し、算出されたσLとσMの関係がσL<σMである場合、工程(E)を実施する工程と、
(D)直近の工程(A)で設定された学習回数および再設定された直近のニューラルネットワークの学習回数のいずれの学習回数よりも大きい学習回数を新たな学習回数として再設定し、再度工程(B)〜(C)を実施する工程と、
(E)直近のニューラルネットワークの学習で実施された学習回数を減らした学習回数を、新たな学習回数として再設定する工程と、
(F)直近の工程(B)で用いられた学習データを用いて、ニューラルネットワークの学習を直近の工程(E)で設定された学習回数行う工程と、
(G)学習データの監視データの実測値を、直近の工程(F)の学習で得られたニューラルネットワークの入力層に入力して得られた評価データの推測値と学習データの評価データの実測値との平均2乗誤差(σL)、及び、モニターデータの中の監視データの実測値を、直近の工程(F)の学習で得られたニューラルネットワークの入力層に入力して得られた評価データの推測値とモニターデータの中の評価データの実測値との平均2乗誤差(σM)を算出し、算出されたσLとσMの関係がσL≧σMである場合、工程(I)を実施し、算出されたσLとσMの関係がσL<σMである場合、工程(H)を実施する工程と、
(H)直近の工程(F)におけるニューラルネットワークの学習回数が予め定めた数値を超えている場合、再度工程(E)〜(G)を実施し、直近の工程(F)におけるニューラルネットワークの学習回数が予め定めた数値以下の場合、工程(J)を実施する工程と、
(I)下記式(1)を用いて解析度判定値を算出し、該解析度判定値が予め定めた第一の設定値未満である場合、ニューラルネットワークの学習を終了し、学習済みのニューラルネットワークの入力層に、セメント製造における監視データの実測値を入力して、上記ニューラルネットワークの出力層から、セメントの品質または製造条件の評価に関連する評価データの推測値を出力してセメントの品質または製造条件を予測し、上記解析度判定値が予め定めた第一の設定値以上である場合、工程(J)を実施する工程と、
(J)工程(A)を実施した回数の大きさについての判定を行い、該回数が予め設定した回数以下である場合、学習条件初期化を行って、再度工程(A)〜(I)を行い、該回数が予め設定した回数を超える場合、工程(K)を実施する工程と、
(K)工程(I)において算出した全ての解析度判定値のうち、最も小さい解析度判定値が予め定めた第二の設定値未満である場合、最も小さい解析度判定値を得ることができた工程(I)におけるニューラルネットワークを、学習済みのニューラルネットワークとした後、工程(L)を実施し、最も小さい解析度判定値が予め定めた第二の設定値以上である場合、セメントの品質または製造条件を予測することはできないと判断して予測を終了する工程と、
(L)工程(I)において算出した全ての解析度判定値のうち、最も小さい解析度判定値を得ることができた工程(I)において、学習データとして使用した監視データの実測値と評価データの実測値の組み合わせについて無相関検定を行い、5%の有意水準で有意であると判断された監視データの種類が2種以上である場合、5%の有意水準で有意であると判断された監視データの全種類を座標軸とする座標空間に学習データとして使用した監視データの実測値をプロットし、座標空間において、プロットされた監視データ同士を結ぶことで形成される監視データの全てを包含する領域であって、該領域が最大となるように監視データ同士を結ぶことで形成される領域を、予測可能監視データ領域として設定した後、工程(M)を実施し、5%の有意水準で有意であると判断された監視データが0または1種類である場合、セメントの品質または製造条件を予測することはできないと判断して予測を終了する工程と、
(M)セメント製造における監視データの実測値が、上記予測可能監視データ領域に含まれるかどうかを判定し、セメント製造における監視データの実測値が、上記予測可能監視データ領域に含まれる場合、工程(K)で得た学習済みのニューラルネットワークの入力層に、セメント製造における監視データの実測値を入力して、上記ニューラルネットワークの出力層から、セメントの品質または製造条件の評価に関連する評価データの推測値を出力してセメントの品質または製造条件を予測し、セメント製造における監視データの実測値が、上記予測可能監視データ領域に含まれない場合、セメントの品質または製造条件を予測することはできないと判断して予測を終了する工程と、を含むことを特徴とするセメントの品質または製造条件の予測方法。



(上記式(1)中、学習データの平均2乗誤差(σL)とは、学習データの監視データの実測値を学習後のニューラルネットワークの入力層に入力して得られた評価データの推測値と学習データの評価データの実測値との平均2乗誤差(σL)である。評価データの推測値の平均値とは、学習データの監視データの実測値を学習後のニューラルネットワークの入力層に入力して得られた評価データの推測値の平均値である。)

0008

[2] 上記解析度判定値の予め定めた第一の設定値が6%以下であり、上記解析度判定値の予め定めた第二の設定値が上記第一の設定値よりも大きくかつ20%以下である前記[1]に記載のセメントの品質または製造条件の予測方法。
[3] 上記ニューラルネットワークが、上記入力層と上記出力層の間に中間層を有する階層型のニューラルネットワークである前記[1]または[2]に記載のセメントの品質または製造条件の予測方法。
[4] 上記監視データと上記評価データの組み合わせは、(ii)上記監視データが、セメントに関するデータであり、かつ、上記評価データが、セメントと水を混練してなる組成物の物性に関するデータである組み合わせであり、上記監視データである、セメントに関するデータは、セメントのブレーン比表面積ふるい試験残分量、湿式f.CaO、セメントの鉱物組成、及びセメントの化学組成の中から選ばれる一種以上であり、上記評価データである、上記セメントと水を混練してなる組成物の物性に関するデータは、モルタルの圧縮強さ、曲げ強度、流動性、水和熱凝結時間の中から選ばれる一種以上である前記[1]〜[3]のいずれかに記載のセメントの品質または製造条件の予測方法。
[5] 工程(A)の前に、(A−1)任意に選択した1種以上の監視データからなる監視データ集合体を、2種以上用意し、該2種以上の監視データ集合体の各々について、監視データの実測値と評価データの実測値の組み合わせである選択データを複数用いて、工程(A)〜(M)において用いられるニューラルネットワークとは異なる未学習のニューラルネットワークの学習を行い、得られたニューラルネットワークの入力層に、選択データの監視データの実測値を入力して得られた評価データの推測値と、選択データの評価データの実測値との平均2乗誤差を算出し、平均2乗誤差の数値が最も小さかった選択データにおける監視データを、工程(A)〜(M)における監視データとして用いる工程、を含む前記[1]〜[4]のいずれかに記載のセメントの品質または製造条件の予測方法。
[6] 上記監視データの値を人為的に変動させて得られた上記評価データの推測値に基づいて、セメントの製造条件を最適化する前記[1]〜[5]のいずれかに記載のセメントの品質または製造条件の予測方法。

発明の効果

0009

本発明のセメントの品質または製造条件の予測方法を用いれば、学習データの数が少ない等の、従来のニューラルネットワークの学習プロセスを含む予測方法では困難であった条件においても、短時間でかつ高い精度でセメントの品質または製造条件を予測することができる。
また、得られた推測値を基にリアルタイムで製造条件を最適化することが可能であり、セメントの品質の安定化の向上を図ることができる。
さらに、ニューラルネットワークの学習を継続することによって、高い予測の精度を維持することができる。

図面の簡単な説明

0010

本発明の予測方法の一例を示すフロー図である。
実施例1のニューラルネットワークの学習の工程(L)において設定された予測可能監視データ領域を示す図である。
実施例2のニューラルネットワークの学習の工程(L)において設定された予測可能監視データ領域を示す図である。

0011

以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の予測方法は、セメント製造における監視データの実測値を入力するための入力層と、セメントの品質または製造条件の評価に関連する評価データの推測値を出力するための出力層を有するニューラルネットワークを用いて、セメントの品質または製造条件を予測する方法である。
本発明のニューラルネットワークは、入力層と出力層の間に中間層を有する階層型のニューラルネットワークであってもよい。

0012

上記監視データと上記評価データの組み合わせとしては、以下の(i)または(ii)が挙げられる。
(i)上記監視データがセメントクリンカーの原料に関するデータ、セメントクリンカーの焼成条件に関するデータ、セメントの粉砕条件に関するデータ、及びセメントクリンカーに関するデータの中から選ばれる一種以上のデータであり、かつ、上記評価データが、セメントクリンカーの原料に関するデータ、セメントクリンカーの焼成条件に関するデータ、セメントの粉砕条件に関するデータ、セメントクリンカーに関するデータ、及びセメントに関するデータの中から選ばれる一種以上のデータである組み合わせ
(ii)上記監視データが、セメントクリンカーの原料に関するデータ、セメントクリンカーの焼成条件に関するデータ、セメントの粉砕条件に関するデータ、セメントクリンカーに関するデータ、及びセメントに関するデータの中から選ばれる一種以上のデータであり、かつ、上記評価データが、セメントと水を混練してなる組成物の物性に関するデータである組み合わせ

0013

前記(i)の組み合わせにおける監視データの一つである「セメントクリンカーの原料に関するデータ」は、セメントクリンカーの調合原料の化学組成、水硬率、ふるい試験残分量、ブレーン比表面積(粉末度)、強熱減量キルンへの投入時から所定の時間前の時点(例えば、5時間前の1つの時点や、3時間前、4時間前、5時間前、及び6時間前の4つの時点のような複数の時点)のセメントクリンカーの原料(搬送中に向流する空気流によって微粒分等が抜き取られたセメントクリンカーの調合原料。以後、セメントクリンカーの入原料と称す。)の化学組成、水硬率、供給量廃棄物のような特殊な原料からなるセメントクリンカーの副原料の供給量、調合原料のブレンディングサイロ貯留量(残量)、調合原料のストレージサイロの貯留量(残量)、原料ミルと調合原料のブレンディングサイロの間に位置するサイクロン電流値(サイクロンの回転数を表し、サイクロンを通過する原料の速度と相関関係があるもの)、セメントクリンカーの窯入原料と副原料を混合してなる原料の化学組成、水硬率、ブレーン比表面積、ふるい試験残分量、脱炭酸率、水分量等が挙げられる。これらのデータは、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いられる。
ここで、セメントクリンカーの原料(調合原料または窯入原料)の化学組成とは、セメントクリンカーの原料中のSiO2、Al2O3、Fe2O3、CaO、MgO、SO3、Na2O、K2O、Na2Oeq(全アルカリ)、TiO2、P2O5、MnO、Cl、Cr、Zn、Pb、Cu、Ni、V、As、Zr、Mo、Sr、Ba、F等の含有率である。

0014

前記(i)の組み合わせにおける監視データの一つである「セメントクリンカーの焼成条件に関するデータ」は、セメントクリンカーの原料の挿入量、キルンの窯入CFW、キルン回転数、落口温度焼成帯温度、セメントクリンカー温度、キルン平均トルク、O2濃度、NOX濃度クリンカークーラー温度、プレヒーターガスの流量(プレヒーターの温度と相関関係があるもの)等が挙げられる。これらのデータは、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いられる。

0015

前記(i)の組み合わせにおける監視データの一つである「セメントの粉砕条件に関するデータ」は、粉砕温度、仕上ミル内の散水量セパレーター風量、石膏の種類、石膏の添加量、セメントクリンカーの投入量、仕上ミルの回転数、仕上ミルから排出される粉体の温度、仕上ミルから排出される粉体の量、仕上ミルから排出されない粉体の量、被粉砕性等が挙げられる。
前記(i)の組み合わせにおける監視データの一つである「セメントクリンカーに関するデータ」は、セメントクリンカーの鉱物組成、各鉱物結晶学的性質(格子定数結晶子径など)、2種以上の鉱物組成の比、化学組成、湿式f.CaO(フリーライム)、容量、容重等が挙げられる。これらのデータは、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いられる。

0016

ここで、セメントクリンカーの鉱物組成とは、3CaO・SiO2(C3S)、2CaO・SiO2(C2S)、3CaO・Al2O3(C3A)、4CaO・Al2O3・Fe2O3(C4AF)、f.CaO、f.MgO等の含有率である。また「2種以上の鉱物組成の比」としては、例えば、C3S/C2Sの比が挙げられる。
なお、セメントクリンカーの鉱物組成は、例えばXRD−リートベルト法によって得ることができる。
セメントクリンカーの化学組成とは、セメントクリンカー中のSiO2、Al2O3、Fe2O3、CaO、MgO、SO3、Na2O、K2O、Na2Oeq(全アルカリ)、TiO2、P2O5、MnO、Cl、Cr、Zn、Pb、Cu、Ni、V、As、Zr、Mo、Sr、Ba、F等の含有率である。
前記(i)の組み合わせにおいて、監視データとして、セメントクリンカーの原料に関するデータ、セメントクリンカーの焼成条件に関するデータ、セメントの粉砕条件に関するデータ、及びセメントクリンカーに関するデータの中から選ばれるいずれか一種のデータのみを用いてもよいが、これら4種のデータのうちの2種以上(複数)のデータを用いることが、評価データの予測の精度を高める観点から、好ましい。

0017

前記(i)の組み合わせにおける評価データである「セメントクリンカーの原料に関するデータ」、「セメントクリンカーの焼成条件に関するデータ」、「セメントの粉砕条件に関するデータ」、及び「セメントクリンカーに関するデータ」は、各々、上述した監視データである「セメントクリンカーの原料に関するデータ」、「セメントクリンカーの焼成条件に関するデータ」、「セメントの粉砕条件に関するデータ」、及び「セメントクリンカーに関するデータ」と同様である。
また、上述した「セメントクリンカーの原料に関するデータ」、「セメントクリンカーの焼成条件に関するデータ」、「セメントの粉砕条件に関するデータ」、及び「セメントクリンカーに関するデータ」は監視データを兼ねることができる。
前記(i)の組み合わせにおける評価データの一つである「セメントに関するデータ」は、ブレーン比表面積、ふるい試験残分量、石膏の半水化率、色調等が挙げられる。

0018

前記(ii)の組み合わせにおける監視データである「セメントクリンカーの原料に関するデータ」、「セメントクリンカーの焼成条件に関するデータ」、「セメントの粉砕条件に関するデータ」、「セメントクリンカーに関するデータ」は、各々、前記(i)の組み合わせにおける監視データである「セメントクリンカーの原料に関するデータ」、「セメントクリンカーの焼成条件に関するデータ」、「セメントの粉砕条件に関するデータ」、「セメントクリンカーに関するデータ」と同様である。
前記(ii)の組み合わせにおける監視データである「セメントに関するデータ」は、セメントの化学組成、セメントの鉱物組成、各鉱物の結晶学的性質(格子定数や結晶子径など)、湿式f.CaO、強熱減量、セメントのブレーン比表面積、粒度分布、ふるい試験残分量(31μmふるい試験残分量、32μmふるい試験残分量等)、石膏の半水化率、色調等が挙げられる。
これらのデータは、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いられる。

0019

ここで、セメントの化学組成とは、セメント原料中のSiO2、Al2O3、Fe2O3、CaO、MgO、SO3、Na2O、K2O、Na2Oeq(全アルカリ)、TiO2、P2O5、MnO、Cl、Cr、Zn、Pb、Cu、Ni、V、As、Zr、Mo、Sr、Ba、F等の量や割合(含有率)である。
セメントの鉱物組成とは、3CaO・SiO2(C3S)、2CaO・SiO2(C2S)、3CaO・Al2O3(C3A)、4CaO・Al2O3・Fe2O3(C4AF)、f.CaO、f.MgO、CaCO3、石膏(例えば、二水石膏半水石膏)、カルサイト等の量や割合(含有率)である。
なお、セメントの化学組成及び鉱物組成のデータは、前記(i)の組み合わせにおける評価データである「セメントクリンカーに関するデータ」を利用してもよい。
色調(色調L値、色調a値、色調b値)は、「JIS Z 8722(色の測定方法反射及び透過物体色)」の方法等による測定値である。

0020

前記(ii)の組み合わせにおける評価データである「セメントと水を混練してなる組成物の物性」は、モルタルの圧縮強さ、曲げ強度、流動性(フロー値)、水和熱、凝結時間、乾燥収縮率、安定性、水中膨張耐硫酸塩性中性化ASR抵抗等が挙げられる。

0021

上記(ii)の組み合わせにおける評価データのセメントと水を混練してなる組成物の物性のうち、モルタルの圧縮強さ、曲げ強度、流動性(フロー値)、水和熱、または凝結時間を、より高い精度で予測することができる、好ましい監視データの組み合わせは、セメントクリンカーの原料に関するデータのうち、セメントクリンカーの調合原料の化学組成、水硬率、ふるい試験残分量、ブレーン比表面積、強熱減量;セメントクリンカーの焼成条件に関するデータのうち、キルンの窯入CFW、キルン回転数、落口温度、焼成帯温度、セメントクリンカー温度、キルン平均トルク、O2濃度、NOX濃度、クリンカークーラー温度、プレヒーターのガスの流量;セメントの粉砕条件に関するデータのうち、粉砕温度、仕上ミル内の散水量、セパレーター風量、石膏の添加量、セメントクリンカーの投入量、仕上ミルの回転数、仕上ミルから排出される粉体の温度、仕上ミルから排出される粉体の量、仕上げミルから排出されない粉体の量、被粉砕性;セメントクリンカーに関するデータのうち、セメントクリンカーの鉱物組成、各鉱物の結晶学的性質、2種以上の鉱物組成の比、化学組成、容量;セメントに関するデータのうち、セメントの化学組成、セメントの鉱物組成、各鉱物の結晶学的性質、湿式f.CaO、強熱減量、ブレーン比表面積、粒度分布、ふるい試験残分量、色調L値、色調a値、色調b値、の中から選ばれる一種以上である。

0022

上記監視データの中でも、より好ましい監視データの組み合わせは、セメントに関するデータのうち、ブレーン比表面積、ふるい試験残分量(31μmふるい試験残分量、32μmふるい試験残分量)、湿式f.CaO、セメントの鉱物組成(C3S、C2S、C3A、C4AF、二水石膏、半水石膏、f.CaO、f.MgO、CaCO3の量)、セメントの化学組成(MgO、Na2O、K2O、Na2Oeq(全アルカリ)、P2O5、TiO2の量)の中から選ばれる1種以上である。

0023

本発明において、複数の種類の監視データの中から特定の種類の監視データを選択し、選択した監視データを、後述する工程(A)〜(M)において用いることで、評価データの予測の精度をより高めることできる。
なお、特定の種類の監視データ(評価データの予測の精度をより高めることできる、1種又は2種以上の監視データの組み合わせ)は、予測の対象となる評価データの種類によって異なるものである。
特定の種類の監視データは、予測の対象となる評価データと相関性の高いものを選択することが好ましい。特定の種類の監視データを選択する方法については、後述(工程(A−1))する。

0024

本発明のセメントの品質または製造条件の予測方法において、対象となるセメントは、特に限定されず、例えば、普通ポルトランドセメント早強ポルトランドセメント中庸熱ポルトランドセメント低熱ポルトランドセメント等の各種ポルトランドセメントや、高炉セメントフライアッシュセメント等の混合セメントや、ポルトランドセメントに石灰石粉末シリカフューム等の混和材を添加したセメント等が挙げられる。
ポルトランドセメントの製造工程は、原料工程、焼成工程、仕上工程の3工程に大別される。原料工程は、石灰石粘土珪石酸化鉄原料などのセメント原料を適当な割合で調合して、原料ミルで微粉砕し、ポルトランドセメントクリンカーの調合原料を得る工程である。焼成工程は、ポルトランドセメントクリンカーの調合原料をサスペンションプレヒーター等を経由してロータリーキルンに供給し、充分に焼成した後、冷却して、ポルトランドセメントクリンカーを得る工程である。仕上工程は、得られたポルトランドセメントクリンカーに適当な量の石膏などを加え、仕上ミルで微粉砕して、ポルトランドセメントを得る工程である。

0025

本発明では、セメント製造における監視データと、セメントの品質または製造条件の評価に関連する評価データの関係を、ニューラルネットワークによって予め学習し、その学習結果を用いて、上記監視データのみに基づいて、上記評価データを予測する。
以下、本発明の予測方法について、図1を参照しながら詳しく説明する。
[工程(A−1)]
本工程は、評価データの予測の精度をより高める目的で、工程(A)の前に任意に行われる工程である。
本工程では、任意に選択した1種以上の監視データからなる監視データ集合体を、2種以上用意し、該2種以上の監視データ集合体の各々について、工程(A)〜(M)において用いるのに好適な監視データを選択するための、監視データの実測値と評価データの実測値の組み合わせ(以下、「選択データ」ともいう。)を複数用いて、工程(A)〜(M)において用いられるニューラルネットワークとは異なる未学習のニューラルネットワークの学習を行い、得られたニューラルネットワークの入力層に、選択データの監視データの実測値を入力して得られた評価データの推測値と、選択データの評価データの実測値との平均2乗誤差(RMSE:Root Mean Squared Error)を算出し、平均2乗誤差の数値が最も小さかった選択データにおける監視データを、工程(A)〜(M)における監視データとして用いるものとする。

0026

任意に選択した1種以上の監視データとは、上述したセメントクリンカーの原料に関するデータ、セメントクリンカーの焼成条件に関するデータ、セメントの粉砕条件に関するデータ、セメントクリンカーに関するデータ、及びセメントに関するデータとして列挙されたものの中から任意に選択した1種以上(好ましくは4種以上、より好ましくは5種以上、特に好ましくは6種以上)のデータである。

0027

本工程では、任意に選択した1種以上の監視データからなる監視データ集合体を、2種以上(好ましくは3種以上、より好ましくは4種以上)用意し、該2種以上の監視データ集合体の各々について、集合体における監視データの実測値と評価データの実測値の組み合わせである選択データを複数用いて、未学習のニューラルネットワークの学習を行う。
具体的には、選択用の複数のサンプルを用意し、該サンプルの監視データ(任意に選択した1種以上の監視データ)の実測値、及び予測の対象となる評価データの実測値を測定して、これらを選択データとして用いる。該選択データのうち、監視データの実測値をニューラルネットワークの入力層に入力して、出力層から出力された評価データの推測値と、該評価データの推測値に対応する選択データの評価データの実測値を比較評価して、ニューラルネットワークを修正することを、任意の学習回数行うことで、ニューラルネットワークの学習が行われる。
選択用のサンプルの数は、より高い精度で予測を行うことができる監視データを選択できる観点から、好ましくは10以上、より好ましくは20以上、さらに好ましくは30以上、特に好ましくは40以上である。サンプル数の上限は、特に限定されるものではないが、作業性の観点から、例えば、10,000である。
上記ニューラルネットワークの学習回数は、特に限定されるものではないが、好ましくは100〜2,000回、より好ましくは200〜1,500回である。

0028

[工程(A)]
工程(A)において、学習回数の初期設定を実施する。設定される学習回数は、特に限定されるものではないが、好ましくは、ニューラルネットワークの過学習(オーバーラーニング)が発生する程度に、十分に大きな回数である。具体的には、通常5千〜100万回、好ましくは1万〜10万回である。
工程(A)では、ニューラルネットワークの過学習が発生する学習回数、具体的にはσL<σM(詳しくは後述する)となるような学習回数を設定することが好ましいが、後の工程において、学習回数の増減が行われるため、工程(A)において最初に設定される学習回数は、ニューラルネットワークの学習に通常行われる学習回数を用いても問題ない。
工程(A)終了後、工程(B)を実施する。

0029

[工程(B)]
工程(B)では、学習用の監視データの実測値と評価データの実測値の組み合わせ(以下、「学習データ」ともいう。)を複数用いて、ニューラルネットワークの学習を、前工程で設定された学習回数行う。上記組み合わせの数は、例えば、5以上、好ましくは7以上である。上記組み合わせの数の上限は、特に限定されないが、例えば、1,000である。
ここで、「前工程で設定された学習回数」とは、工程(A)において設定される学習回数、または、工程(D)において再設定された新たな学習回数であって、直近の工程(工程(A)または工程(D))で設定された学習回数である。
具体的には、学習用の複数のサンプルを用意し、該サンプルの監視データの実測値、及び目的とする評価データの実測値を測定して、これらを学習データとして用いる。該学習データのうち、監視データの実測値をニューラルネットワークの入力層に入力して、出力層から出力された評価データの推測値と、該評価データの推測値に対応する学習データの評価データの実測値を比較評価してニューラルネットワークの修正することを、設定された学習回数行うことで、ニューラルネットワークの学習が行われる。
学習用のサンプルの数は、より高い精度で予測を行う観点から、好ましくは10以上、より好ましくは20以上である。サンプル数の上限は、特に限定されるものではないが、作業性の観点から、例えば、10,000である。
なお、学習回数を変更して、ニューラルネットワークの再学習を行う際には、前回の学習の結果得られたニューラルネットワークは初期化され、再度学習が行われる。
工程(B)終了後、工程(C)を実施する。

0030

[工程(C)]
工程(C)では、σLとσMが算出される。σLとσMの大小関係から、学習がニューラルネットワークの過学習が発生する程度に十分に大きな回数行われたか否かを判断することができる。
具体的には、学習データの監視データの実測値を、直近の工程(B)において学習が行われたニューラルネットワークの入力層に入力して得られた評価データの推測値と学習データの評価データの実測値との平均2乗誤差(σL)を算出する。次いで、モニターデータの監視データの実測値を、直近の工程(B)において学習が行われたニューラルネットワークの入力層に入力して得られた評価データの推測値とモニターデータの評価データの実測値との平均2乗誤差(σM)を算出する。その後、算出されたσLとσMの数値を比較することで、ニューラルネットワークの学習が十分に大きな回数で行われたか判断することができる。
ここで、モニターデータとは、学習データを得るために用いられたサンプルとは別のサンプルから得られた、監視データの実測値及び評価データの実測値の組み合わせであり、ニューラルネットワークの信頼性を確認するためのデータである。
モニターデータ(監視データの実測値及び評価データの実測値の組み合わせ)のサンプルの数は、作業性の観点から、学習データのサンプル数の好ましくは5〜50%、より好ましくは10〜30%である。

0031

工程(C)で算出されたσLとσMの関係が、σL≧σMである場合(図1の過学習判定における「No」)、直近に行った工程(B)の学習回数は、十分に大きな回数ではないと判断することができる。この場合、工程(D)を実施する。工程(C)で算出されたσLとσMの関係が、σL<σMである場合(図1の過学習判定における「Yes」)、直近に行った工程(B)の学習回数は、十分に大きな回数であったと判断することができる。この場合、工程(E)を実施する。

0032

[工程(D)]
工程(D)では、直近の工程(A)で設定された学習回数および再設定された直近のニューラルネットワークの学習回数のいずれの学習回数よりも大きい学習回数を新たな学習回数として再設定する(例えば、直近の工程(B)で実施された学習回数に2.0を乗じた数を新たな学習回数として設定する。)。新たな学習回数を再設定した後、再度工程(B)〜(C)を実施する。

0033

[工程(E)]
工程(E)では、直近のニューラルネットワークの学習で実施された学習回数を減らした学習回数を、新たな学習回数として再設定する(例えば、直近の工程(B)または工程(F)で実施された学習回数に0.95を乗じた数を新たな学習回数として設定する。)。
なお、直近のニューラルネットワークの学習とは、より近い過去に実施された学習を指す。具体的には、工程(B)もしくは後述の工程(F)のうち、より近い過去に実施された学習を指す。
工程(E)終了後、工程(F)を実施する。

0034

[工程(F)]
工程(F)では、直近の工程(B)で用いられた学習データを用いて、ニューラルネットワークの学習を直近の工程(E)で設定された学習回数行う。
工程(F)で実施する内容は、ニューラルネットワークの学習を工程(E)において新たに設定された学習回数行う以外は、工程(B)と同じである。
工程(F)終了後、工程(G)を実施する。

0035

[工程(G)]
工程(G)では、直近の工程(F)の学習において得られたニューラルネットワークを用いて終了判定を行う。具体的には学習データの監視データの実測値を、直近の工程(F)の学習で得られたニューラルネットワークの入力層に入力して得られた評価データの推測値と学習データの評価データの実測値との平均2乗誤差(σL)、及び、モニターデータの中の監視データの実測値を、直近の工程(F)の学習で得られたニューラルネットワークの入力層に入力して得られた評価データの推測値とモニターデータの中の評価データの実測値との平均2乗誤差(σM)を算出し、算出されたσLとσMの関係が、σL≧σMである場合(図1の終了判定における「Yes」)、直近に行った工程(F)の学習回数は、もはや十分に大きな回数ではないと判断することができる。この場合、後述する工程(I)を実施する。算出されたσLとσMの関係がσL<σMである場合(図1の終了判定における「No」)、直近に行った工程(F)の学習回数は、いまだ十分に大きな回数であったと判断することができる。この場合、後述する工程(H)を実施する。

0036

[工程(H)]
工程(H)では、直近の工程(F)におけるニューラルネットワークの学習回数が予め定めた数値を超えていたかどうかの判定を行う。工程(H)は、工程(E)から工程(G)を無限に繰り返すことを回避するために行われる。工程(H)において直近に行った工程(F)におけるニューラルネットワークの学習回数が予め定めた数値を超えていた場合(図1における「Yes」)は、再度工程(E)〜(G)を実施する。工程(H)において直近に行った工程(F)の学習回数が予め定めた数値以下場合(図1における「No」)は、後述の工程(J)または(K)を実施する。
なお、上記予め定めた数値とは、特に限定されず、例えば、工程(E)で設定された学習回数の100分の1の数値以下、もしくは、1以下または0以下等が挙げられる。

0037

[工程(I)]
工程(I)では解析度判定値が予め定めた第一の設定値未満であるか否かによって、解析度の判定を行うことができる。解析度判定値は下記式(1)を用いて算出される。



上記式(1)中、学習データの平均2乗誤差(σL)とは、直近の工程(G)で算出された平均2乗誤差(σL)と同じである。評価データの推測値の平均値とは、学習データの監視データの実測値を、直近の工程(F)にて得られたニューラルネットワークの入力層に入力して得られた評価データの推測値の平均値である。
解析度の判定を行うことで学習を行ったニューラルネットワークを用いて、セメントの品質等の予測を高い精度で行うことができるか否かを判断することができる。
解析度判定値が予め定めた第一の設定値未満(図1の第一の解析度判定における「Yes」)であれば、解析は十分であると判断され、ニューラルネットワークの学習は終了する。
解析は十分であると判断された学習済みのニューラルネットワークは、本発明の予測方法に用いられる。
具体的には、学習済みのニューラルネットワークの入力層に、セメント製造における監視データの実測値を入力して、学習済みのニューラルネットワークの出力層から、セメントの品質または製造条件の評価に関連する評価データの推測値を出力することで、セメントの品質または製造条件を予測することができる。

0038

解析度判定値が予め定めた第一の設定値以上(図1の第一の解析度判定における「No」)であれば、学習データを用いて学習を行ったニューラルネットワークをそのまま用いて、セメントの品質等の予測を高い精度で行うことはできないと判断され、工程(J)を実施する。
予め定めた第一の設定値は、特に限定されないが、より高い精度で予測を行う観点から、好ましくは6%以下、より好ましくは5%以下、特に好ましくは3%以下の値である。
なお、工程(A)〜(I)は、工程(I)において解析度判定値が予め定めた第一の設定値未満となるか、あるいは、工程(J)において該回数が予め設定した回数を超えるまで繰り返される。工程(I)を実施するたびに得られる、解析度判定値及び学習済みのニューラルネットワークは、工程(K)において使用される。

0039

[工程(J)]
工程(J)では、工程(A)を実施した回数が予め設定した数値以下であるかどうかの判定を実施する。判定を実施することによって、工程(A)から工程(I)を無限に繰り返すことを回避することができる。
工程(J)において、工程(A)を実施した回数が予め設定した回数以下(図1の回数判定における「Yes」)である場合、学習条件の初期化を行って、再度工程(A)〜(I)を行い、該回数が予め設定した回数を超える場合(図1の回数判定における「No」)、工程(K)を実施する。
予め設定した回数は、特に限定されないが、通常、5回以上である。予め設定した回数の上限は、工程(A)から工程(I)を多大に繰り返すことを防ぐ観点から、好ましくは100回以下である。

0040

学習条件の初期化の方法としては、例えば、ニューラルネットワークを構成するユニット閾値やユニットを結合している重みをランダムで変更した上で、学習データを再入力する方法、学習データを得るためのサンプルの数を増やす、使用する監視データの種類を変更する、又は不適切な学習データを除外する等を行った上で、新たな学習データを入力する方法等が挙げられる。

0041

[工程(K)]
工程(K)では、工程(I)において算出した全ての解析度判定値のうち、最も小さい解析度判定値が予め定めた第二の設定値未満であるか否かによって、次の予測の実施の可否の判定を行うことができる。
工程(K)の判定を追加することで、工程(I)において、セメントの品質等の予測を高い精度で行うことはできないと判断された学習済みのニューラルネットワークであっても、後述する工程(L)〜(M)を実施することによって、セメントの品質等の予測を高い精度で行うことができるか否かを判断することができる。
最も小さい解析度判定値が予め定めた第二の設定値未満(図1の第二の解析度判定における「Yes」)である場合、最も小さい解析度判定値を得ることができた工程(I)におけるニューラルネットワークを、学習済みのニューラルネットワークとして得た後、工程(L)を実施する。

0042

最も小さい解析度判定値が予め定めた第二の設定値以上(図1の第二の解析度判定における「No」)であれば、学習データを用いて学習を行ったニューラルネットワークを用いて、セメントの品質等の次の予測を高い精度で行うことはできないと判断して予測を終了する。
予め定めた第二の設定値は、上記第一の設定値よりも大きいものである。また、上限は、より高い精度で予測を行う観点から、好ましくは30%以下、より好ましくは20%である。

0043

[工程(L)]
工程(L)では、工程(M)で用いられる予測可能監視データ領域を設定する。
最初に、工程(I)において算出した全ての解析度判定値のうち、最も小さい解析度判定値を得ることができた工程(I)において、学習データとして使用した監視データの実測値と評価データの実測値の組み合わせについて無相関検定を実施する。無相関検定において5%の有意水準で有意であると判断された監視データの種類が2種以上である場合(図1の無相関検定における「Yes」)、5%の有意水準で有意であると判断された監視データの全種類を座標軸とする座標空間を作成する。
例えば、5%の有意水準で有意であると判断された監視データが、セメントの全アルカリ量とセメントのC3Sの量の二種類である場合、セメントの全アルカリ量x軸とし、セメントのC3Sの量をy軸とする座標空間を作成する。

0044

次いで、学習データとして使用した監視データの実測値のうち、5%の有意水準で有意であると判断された種類の監視データの実測値を全て、座標空間にプロットし、座標空間においてプロットされた監視データ同士を結ぶことで予測可能監視データ領域を設定する。該予測可能監視データ領域は、プロットされた監視データの全てを包含する領域であって、該領域が最大となるように監視データ同士を結ぶことで形成される領域である(図2参照)。予測可能監視データ領域を設定した後、工程(M)を実施する。
5%の有意水準で有意であると判断された監視データが0または1種類である場合(図1の無相関検定における「No」)、セメントの品質または製造条件を予測することはできないと判断して予測を終了する。

0045

[工程(M)]
工程(M)では、セメント製造における監視データの実測値と工程(L)で作成された座標空間を用いて、セメント製造における監視データの実測値と工程(K)で得た学習済みのニューラルネットワークによって、セメントの品質等の予測を高い精度で行うことができるか否かを判定することができる。
セメントの品質等の予測に使用される、セメント製造における監視データの実測値が、工程(L)で設定した予測可能監視データ領域に含まれる場合(図1座標判定における「Yes」)、セメントの品質等の予測を高い精度で行うことができると判断し、工程(K)で得た学習済みのニューラルネットワークの入力層に、セメント製造における監視データの実測値を入力して、上記ニューラルネットワークの出力層から、セメントの品質または製造条件の評価に関連する評価データの推測値を出力することで、セメントの品質または製造条件を予測することができる。
セメント製造における監視データの実測値が、上記予測可能監視データ領域に含まれない場合(図1の座標判定における「No」)、セメントの品質または製造条件を予測することはできないと判断して予測を終了する。
なお、セメント製造における監視データが、工程(L)で作成された座標空間の座標軸として用いられていない種類の監視データの実測値(無相関検定において5%の有意水準で有意であると判断されなかった監視データの種類)を含む場合、当該の座標軸として用いられていない種類の監視データからは、監視データの実測値に何ら制限は与えない。

0046

本発明の予測方法によれば、学習データの数が少ない等の、従来のニューラルネットワークの学習プロセスを含む予測方法では困難であった条件においても、入力層に入力されるセメント製造における監視データが予測可能監視データ領域に含まれる場合、当該監視データと学習済みのニューラルネットワークを用いて、高い精度でセメントの品質または製造条件を予測することができる。

0047

ニューラルネットワークは、予測の精度を高い状態に維持するために、評価データの推測値と、該推測値に対応する実測値の乖離の大きさを定期的に点検し、その点検結果に基づいて、ニューラルネットワークを更新することが好ましい。更新の周期は、前記(i)の組み合わせ(セメントクリンカーの鉱物組成等の予測に関するニューラルネットワーク)では、好ましくは1時間に一回、より好ましくは30分間に一回である。前記(ii)の組み合わせ(セメントと水を混練してなる組成物の物性の予測に関するニューラルネットワーク)では、好ましくは1か月に一回、より好ましくは1週間に一回、特に好ましくは1日に一回である。

0048

本発明のセメントの品質または製造条件の予測方法によれば、ニューラルネットワークを用いることによって、監視データを入力するだけで、セメントクリンカーの鉱物組成や、セメントと水を混練してなる組成物(例えば、モルタル)の圧縮強さ等の評価データの推測値を、1時間以内に得ることができる。
また、得られた評価データの推測値に基づいて、セメント製造途中においてセメントの品質異常を早期に察知し、原料工程、焼成工程及び仕上工程における諸条件の最適化を行うことにより、適正な品質のセメントを製造することができる。
具体的には、セメントクリンカーの鉱物組成の推測値に異常が認められた場合、原料の調合、焼成条件の調整等を行うことで、セメントクリンカーの鉱物組成を目的のものにすることができる。
また、評価データの推測値に基いて、セメントの製造工程の管理目標値を修正することも可能である。
例えば、モルタルの圧縮強さが目標値に達しないと予測される場合、学習に用いた監視データ(因子)とモルタルの圧縮強さの関係を解析して、最適なセメントの製造工程の管理目標値を確認することで、セメントの品質を目的のものにすることができる。

0049

さらに、セメントの製造工程を制御するコンピュータと、本発明のセメントの品質または製造条件の予測方法を実施するために用いるコンピュータを接続することによって、評価データに基づいて監視データを人為的に変動させるための制御システムを自動化することもできる。
本発明において、ニューラルネットワークによる演算を行うためのソフトウェアとしては、例えば、OLSOFT社製の「Neural Network Library」(商品名)等が挙げられる。

0050

以下、実施例により本発明を説明する。
[実施例1]
選択用および学習用のサンプル(以下、単に「学習用サンプル」ともいう。)としてサンプリング時間の異なる59個の普通ポルトランドセメントについて、「JIS R 5201(セメントの物理試験方法)」に準じて、材齢28日におけるモルタルの圧縮強さを測定して、選択データおよび学習データ(以下、単に「学習データ等」ともいう。)における評価データの実測値とした。
また、セメントに関するデータとして、上記59個の普通ポルトランドセメントのブレーン比表面積、セメントの鉱物組成(C3S、C2S、C3A、及びC4AFの量)、32μmふるい試験残分量、セメントの化学組成(MgO、全アルカリ(Na2O+0.658×K2O)、P2O5、及びTiO2の量)を測定して、学習データ等における監視データの実測値とした。
なお、セメントの鉱物組成は、粉末X線回折装置にて、測定範囲:2θ=10〜65°の範囲で測定を行い、リ−トベルト解析ソフトによって計算されたC3S、C2S、C4AF、及びC3Aの量である。

0051

[監視データの選択]
上述した監視データ(セメントのブレーン比表面積、セメントの鉱物組成(C3S、C2S、C3A、及びC4AFの量)、32μmふるい試験残分量(表1中、「32μm篩残分量」と略して記載する。)、セメントの化学組成(MgO、全アルカリ(Na2O+0.658×K2O)、P2O5、及びTiO2の量)のうち、表1に示す監視データを選択した条件1〜9(監視データ集合体1〜9)の各々(表1中、条件1〜9の各々について、選択した監視データを「○」で示す。)について、選択した監視データの実測値と、評価データの実測値を用いて、未学習のニューラルネットワークの学習を行った。該学習は1200回行った。
学習後のニューラルネットワークの入力層に、選択した監視データの実測値を入力して得られた評価データの推測値と、評価データの実測値との平均2乗誤差(表1中、「RMSE」と示す。)を算出した。
結果を表1に示す。
条件1〜9のうち、平均2乗誤差の値が最も小さかった条件1において選択した監視データの組み合わせ(セメントのブレーン比表面積、セメントの鉱物組成(C3S、C2S、C3A、及びC4AFの量)、セメントの化学組成(全アルカリ、及びP2O5の量))を、ニューラルネットワークの学習に用いられる監視データ(学習データおよびモニターデータ)とした。

0052

0053

また、モニター用のサンプル(以下、「モニター用サンプル」ともいう。)として、前記59個のサンプルとはサンプリング時間の異なる10個の普通ポルトランドセメントを用いて、材齢28日におけるモルタルの圧縮強さを学習データ等と同様に測定して、モニターデータ(評価データの実測値)とした。
さらに、上記10個の普通ポルトランドセメントのブレーン比表面積、セメントの鉱物組成(C3S、C2S、C3A、及びC4AFの量)、セメントの化学組成(全アルカリ、及びP2O5の量))を学習データ等と同様に測定して、モニターデータ(監視データの実測値)とした。

0054

上記学習データを用いて、ニューラルネットワークの学習を行った。ニューラルネットワークとしては、入力層、中間層及び出力層を有する階層型のニューラルネットワークを用いた。なお、該ニューラルネットワークは、監視データの選択に用いたニューラルネットワークとは異なる未学習のものである。
ニューラルネットワークの学習は、最初に上記学習データとモニターデータを用いて10000回行った。得られたニューラルネットワークを用いて、σLとσMを算出したところ、σLとσMの関係はσL<σMであった。
その後、ニューラルネットワークを初期化し、上記学習データとモニターデータを用いて、ニューラルネットワークの学習を前記学習回数に0.95を乗じた数の学習回数(端数切捨て)行うことを、学習後のニューラルネットワークを用いて算出されたσLとσMの関係がσL≧σMとなるまで繰り返した。σLとσMの関係がσL≧σMとなった後、解析度判定値を算出したが、解析度判定値が予め定めた第一の設定値である6%未満とはならなかった。
ここで、最も小さい解析度判定値は6.24%であった。最も小さい解析度判定値を算出した際のニューラルネットワークを学習済みのニューラルネットワークとした。
なお、第二の設定値は20%とした。

0055

学習データの評価データの実測値である材齢28日におけるモルタルの圧縮強さと、学習データの監視データの実測値であるブレーン比表面積、セメントの鉱物組成(C3S、C2S、C3A、及びC4AFの量)、セメントの化学組成(全アルカリ、及びP2O5の量))の各々について、無相関検定を行った。
材齢28日におけるモルタルの圧縮強さとセメントのブレーン比表面積、セメントの鉱物組成(C3S、C2S、C3A、及びC4AFの量)、セメントの化学組成(全アルカリ、及びP2O5の量))の各々との相関係数を表2に示す。
学習データの監視データの実測値のうち、5%の有意水準(相関係数が0.235を超えるもの)で有意であった学習データは、C3S量と全アルカリ量であった。

0056

0057

全アルカリ量をx軸とし、C3S量をy軸とする座標空間に、学習データ(監視データの実測値)における、全アルカリ量とC3S量のデータをプロットした。プロットされた学習データ(監視データの実測値)同士を結ぶことで形成される、学習データ(監視データの実測値)の全てを包含する領域であって、該領域が最大となるように監視データ同士を結ぶことで形成される領域を、予測可能監視データ領域として設定した(図2参照)。
上記の学習用サンプル及びモニター用サンプルとは異なる、「JIS R 5201(セメントの物理試験方法)」に準じた材齢28日におけるモルタルの圧縮強さが62.1N/mm2であって、C3S量と全アルカリ量が上記予測可能監視データ領域に含まれる普通ポルトランドセメントのサンプルについて、監視データ(セメントのブレーン比表面積、セメントの鉱物組成(C3S、C2S、C3A、及びC4AFの量)、セメントの化学組成(全アルカリ、及びP2O5の量))の実測値を、学習済みのニューラルネットワークの入力層に入力し、当該サンプルの材齢28日におけるモルタルの圧縮強さ推測値を出力した。
得られた評価データの推測値は63.0±2.7(偏差は3σを示す。)N/mm3であった。

0058

[比較例1]
実施例1で得られた解析度判定値が6.24%のニューラルネットワークにおいて、予測可能監視データ領域の設定を行わずに、実施例1で用いた材齢28日のモルタルの圧縮強さが62.1N/mm2である普通ポルトランドセメントの監視データ(セメントのブレーン比表面積、セメントの鉱物組成(C3S、C2S、C3A、及びC4AFの量)、セメントの化学組成(全アルカリ、及びP2O5の量))の実測値を入力層に入力した場合の、材齢28日におけるモルタルの圧縮強さの推測値は63.0±8.7(偏差は3σを示す。)N/mm3であった。

0059

実施例1で得られた評価データの推測値(63.0±2.7N/mm3)と、比較例1で得られた評価データの推測値(63.0±8.7N/mm3)を比較すると、実施例1は比較例1よりも信頼性が高いことがわかる。

0060

[実施例2]
選択用および学習用のサンプルとしてサンプリング時間の異なる75個の普通ポルトランドセメント(なお、実施例2において使用した普通ポルトランドセメントは、実施例1において使用した普通ポルトランドセメントが製造されたセメント工場とは異なるセメント工場において製造されたものである。)について、「JIS R 5201(セメントの物理試験方法)」に準じて、材齢28日におけるモルタルの圧縮強さを測定して、選択データおよび学習データにおける評価データの実測値とした。
また、セメントに関するデータとして、上記75個の普通ポルトランドセメントのブレーン比表面積、セメントの鉱物組成(C3S、C2S、C3A、及びC4AFの量)、32μmふるい試験残分量、及びセメントの化学組成(MgO、全アルカリ(Na2O+0.658×K2O)、P2O5、及びTiO2の量)を測定して、学習データ等における監視データの実測値とした。

0061

[監視データの選択]
上述した監視データ(ブレーン比表面積、セメントの鉱物組成(C3S、C2S、C3A、及びC4AFの量)、32μmふるい試験残分量(表3、4中、「32μm篩残分量」と略して記載する。)、及びセメントの化学組成(MgO、全アルカリ(Na2O+0.658×K2O)、P2O5、及びTiO2の量)のうち、表3に示す監視データを選択した条件1〜5(監視データ集合体1〜5)の各々(表3中、条件1〜5の各々について、選択した監視データを「○」で示す。)について、選択した監視データの実測値と、評価データの実測値を用いて、未学習のニューラルネットワークの学習を行った。該学習は1200回行った。
学習後のニューラルネットワークの入力層に、選択した監視データの実測値を入力して得られた評価データの推測値と、評価データの実測値との平均2乗誤差(表3、「RMSE」と示す。)を算出した。
結果を表3に示す。
条件1〜5のうち、平均2乗誤差の値が最も小さかった条件1において選択した監視データの組み合わせ(セメントのブレーン比表面積、セメントの鉱物組成(C3S、C2S、C3A、及びC4AFの量)、32μmふるい試験残分量、セメントの化学組成(P2O5の量))を、ニューラルネットワークの学習に用いられる監視データ(学習データおよびモニターデータ)とした。

0062

0063

監視データとして、上記監視データの組み合わせを用いる以外は、実施例1と同様にしてニューラルネットワークの学習を行ったところ、解析度判定値が予め定めた第一の設定値である6%未満とはならなかった。
ここで、最も小さい解析度判定値は6.88%であった。最も小さい解析度判定値を算出した際のニューラルネットワークを、学習済みのニューラルネットワークとした。
学習データの評価データの実測値である材齢28日におけるモルタルの圧縮強さと、学習データの監視データの実測値であるセメントのブレーン比表面積、C3S、C2S、C3A、及びC4AFの量、32μmふるい試験残分量、及びP2O5の量の各々について、無相関検定を行った。
材齢28日におけるモルタルの圧縮強さと、セメントのブレーン比表面積、C3S、C2S、C3A、及びC4AFの量、32μmふるい試験残分量、及びP2O5の量の各々との相関係数を表4に示す。
学習データの監視データの実測値のうち、5%の有意水準(相関係数が0.235を超えるもの)で有意であった学習データは、C3A量とP2O5量であった。

0064

0065

P2O5量をx軸とし、C3A量をy軸とする座標空間に、学習データ(監視データの実測値)における、P2O5量とC3A量のデータをプロットした。プロットされた学習データ(監視データの実測値)同士を結ぶことで形成される、学習データ(監視データの実測値)の全てを包含する領域であって、該領域が最大となるように監視データ同士を結ぶことで形成される領域を、予測可能監視データ領域として設定した(図3参照)。
上記の学習用サンプル及びモニター用サンプルとは異なる、「JIS R 5201(セメントの物理試験方法)」に準じた材齢28日におけるモルタルの圧縮強さが62.1N/mm2であって、P2O5量とC3A量が上記予測可能監視データ領域に含まれる普通ポルトランドセメントのサンプルについて、監視データ(セメントのブレーン比表面積、セメントの鉱物組成(C3S、C2S、C3A、及びC4AFの量)、32μmふるい試験残分量、セメントの化学組成(P2O5の量))の実測値を、学習済みのニューラルネットワークの入力層に入力し、当該サンプルの材齢28日におけるモルタルの圧縮強さ推測値を出力した。
得られた評価データの推測値は63.0±2.8(偏差は3σを示す。)N/mm3であった。

0066

[比較例2]
実施例2で得られた解析度判定値が6.88%のニューラルネットワークにおいて、予測可能監視データ領域の設定を行わずに、実施例2で用いた材齢28日のモルタルの圧縮強さが62.1N/mm2である普通ポルトランドセメントの監視データ(セメントのブレーン比表面積、セメントの鉱物組成(C3S、C2S、C3A、及びC4AFの量)、32μmふるい試験残分量、セメントの化学組成(P2O5の量))の実測値を入力層に入力した場合の、材齢28日におけるモルタルの圧縮強さの推測値は、63.0±8.0(偏差は3σを示す。)N/mm3であった。

実施例

0067

実施例2で得られた評価データの推測値(63.0±2.8N/mm3)と、比較例2で得られた評価データの推測値(63.0±8.0N/mm3)を比較すると、実施例2は比較例2よりも信頼性が高いことがわかる。

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