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技術 撹拌型発酵乳の製造方法

出願人 森永乳業株式会社
発明者 谷河真理映
出願日 2015年9月30日 (4年9ヶ月経過) 出願番号 2015-193584
公開日 2017年4月6日 (3年2ヶ月経過) 公開番号 2017-063710
状態 特許登録済
技術分野 乳製品
主要キーワード 破砕直後 B型粘度計 ノッチワイヤ 冷却槽内 冷却層 ダイヤフラムバルブ バルブ方式 クロスフィルター
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (5)

課題

原料溶液を混合することを含む撹拌型発酵乳の製造方法において、食感風味を損なうことなく粘度低下を抑制する新規な技術の提供。

解決手段

発酵乳原料スターターを添加し、発酵させて発酵乳ベースを調製する工程、調製した発酵乳ベースを破砕する工程、破砕された発酵乳ベースに、前記破砕直後から破砕後10分以内に、副原料溶液を混合して撹拌型発酵乳を調製する工程により、撹拌型発酵乳を製造する。

概要

背景

撹拌型発酵乳は、発酵乳原料発酵させて得られる発酵物中のカード破砕した後、容器充填する方法で製造される発酵乳であって、前発酵タイプの発酵乳ともいわれる。

近年、発酵乳の主原料となる乳原料以外の原料(以下、「副原料」という。)を添加することで機能性や嗜好性を高めた撹拌型発酵乳が提供されている。撹拌型発酵乳の製造において用いられる副原料の中には、加熱に弱いものや乳酸菌の発酵を阻害するもの、沈殿を起こしやすいもの等、あらかじめ乳原料と共に混合して発酵するのに適さないものがある。
そのため、このような副原料を含む撹拌型発酵乳の製造においては、乳原料を発酵して得られた発酵乳ベース中のカードを破砕した後に、破砕した発酵乳ベースに副原料を添加、混合することが行われる。副原料の添加、混合においては、一般的に、その効率の観点から副原料を水に溶解乃至分散したものや、液状の副原料(以下、まとめて「副原料溶液」という)が好ましく用いられる。

しかしながら、副原料溶液を発酵乳ベースに混合すると、副原料溶液の混合によって製造される発酵乳の乳成分濃度が低下し、製品として十分好ましい粘度が得られないという問題があった。
そのため、副原料溶液の添加分を考慮し、発酵乳ベースの乳成分(特に、タンパク質)濃度を高めておくことが行われてきた(例えば、特許文献1参照)。

また、撹拌型発酵乳の粘度を高める技術として、以下が報告されている。
特許文献1には、原料液としてのミックスにラクトバチルスブルガリクス及びストレプトコッカスサーモフィルスに属する高粘性産性能を有する乳酸菌スターターを添加して発酵させることが記載されている。
特許文献2には、発酵乳原料にホエー粉及び/又はホエータンパク濃縮物を添加し、これに、ラクトバチルス・ブルガリクス及びストレプトコッカス・サーモフィルスに属する高粘性産生能を有する微生物の中から選択される乳酸菌スターターを添加して発酵させることが記載されている。

概要

副原料溶液を混合することを含む撹拌型発酵乳の製造方法において、食感風味を損なうことなく粘度低下を抑制する新規な技術の提供。発酵乳原料にスターターを添加し、発酵させて発酵乳ベースを調製する工程、調製した発酵乳ベースを破砕する工程、破砕された発酵乳ベースに、前記破砕直後から破砕後10分以内に、副原料溶液を混合して撹拌型発酵乳を調製する工程により、撹拌型発酵乳を製造する。なし

目的

そこで、本発明は、副原料溶液を含む撹拌型発酵乳の粘度低下を抑制する新規な技術を提供することを課題とする。
特に、本発明は、食感や風味を損なうことなく、前記撹拌型発酵乳の粘度低下を抑制する新規な技術を提供することを課題とする。
本明細書において、「粘度低下を抑制する」とは、発酵乳ベースに副原料溶液を混合することに起因する製品の粘度低下を抑制することをいう。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

発酵乳原料スターターを添加し、発酵させて発酵乳ベースを調製する工程、調製された発酵乳ベースを破砕する工程、破砕された発酵乳ベースに、前記破砕直後から破砕後10分以内に、副原料溶液を混合して撹拌型発酵乳を調製する工程、を含む撹拌型発酵乳の製造方法。

請求項2

前記副原料溶液の混合量は、前記副原料溶液を混合した発酵乳ベースに対して3質量%以下である、請求項1に記載の撹拌型発酵乳の製造方法。

請求項3

前記副原料溶液が、タンパク質糖質無機塩類ビタミン香料甘味料、および食品添加物からなる群から選択される何れかを含む、請求項1又は2に記載の撹拌型発酵乳の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、発酵乳に副原料溶液を混合する工程を含む、撹拌型発酵乳の製造方法に関する。

背景技術

0002

撹拌型発酵乳は、発酵乳原料発酵させて得られる発酵物中のカード破砕した後、容器充填する方法で製造される発酵乳であって、前発酵タイプの発酵乳ともいわれる。

0003

近年、発酵乳の主原料となる乳原料以外の原料(以下、「副原料」という。)を添加することで機能性や嗜好性を高めた撹拌型発酵乳が提供されている。撹拌型発酵乳の製造において用いられる副原料の中には、加熱に弱いものや乳酸菌の発酵を阻害するもの、沈殿を起こしやすいもの等、あらかじめ乳原料と共に混合して発酵するのに適さないものがある。
そのため、このような副原料を含む撹拌型発酵乳の製造においては、乳原料を発酵して得られた発酵乳ベース中のカードを破砕した後に、破砕した発酵乳ベースに副原料を添加、混合することが行われる。副原料の添加、混合においては、一般的に、その効率の観点から副原料を水に溶解乃至分散したものや、液状の副原料(以下、まとめて「副原料溶液」という)が好ましく用いられる。

0004

しかしながら、副原料溶液を発酵乳ベースに混合すると、副原料溶液の混合によって製造される発酵乳の乳成分濃度が低下し、製品として十分好ましい粘度が得られないという問題があった。
そのため、副原料溶液の添加分を考慮し、発酵乳ベースの乳成分(特に、タンパク質)濃度を高めておくことが行われてきた(例えば、特許文献1参照)。

0005

また、撹拌型発酵乳の粘度を高める技術として、以下が報告されている。
特許文献1には、原料液としてのミックスにラクトバチルスブルガリクス及びストレプトコッカスサーモフィルスに属する高粘性産性能を有する乳酸菌スターターを添加して発酵させることが記載されている。
特許文献2には、発酵乳原料にホエー粉及び/又はホエータンパク濃縮物を添加し、これに、ラクトバチルス・ブルガリクス及びストレプトコッカス・サーモフィルスに属する高粘性産生能を有する微生物の中から選択される乳酸菌スターターを添加して発酵させることが記載されている。

先行技術

0006

特開平1−235543号公報
特開平6−14708号公報

発明が解決しようとする課題

0007

前述した発酵乳ベースのタンパク質濃度を高める方法は、撹拌型発酵乳の粘度低下の抑制に一定の効果を有するものの、タンパク質に由来するざらつきを感じやすく、食感が粉っぽくなったり、風味が好ましくないものとなったりする傾向があった。

0008

また、特許文献1、2に記載されるような特定の乳酸菌を用いる方法では、その入手や管理等に課題があった。

0009

そこで、本発明は、副原料溶液を含む撹拌型発酵乳の粘度低下を抑制する新規な技術を提供することを課題とする。
特に、本発明は、食感や風味を損なうことなく、前記撹拌型発酵乳の粘度低下を抑制する新規な技術を提供することを課題とする。
本明細書において、「粘度低下を抑制する」とは、発酵乳ベースに副原料溶液を混合することに起因する製品の粘度低下を抑制することをいう。

課題を解決するための手段

0010

前記課題を解決する本発明は、発酵乳原料にスターターを添加し、発酵させて発酵乳ベースを調製する工程、調製された発酵乳ベースを破砕する工程、破砕された発酵乳ベースに、前記破砕直後から破砕後10分以内に、副原料溶液を混合して撹拌型発酵乳を調製する工程、を含む撹拌型発酵乳の製造方法である。

0011

本製造方法を用いることにより、副原料溶液を含む撹拌型発酵乳の製造において、粘度低下を抑制することが可能となる。すなわち、本製造方法を用いれば、発酵乳ベースのタンパク質濃度を高めずとも撹拌型発酵乳に求められる十分な粘度を得ることが可能となるため、なめらかな食感を有する撹拌型発酵乳を提供することができる。

0012

本発明の好ましい形態では、前記副原料溶液の混合量は、前記副原料溶液を混合した発酵乳ベースに対して3質量%以下である。
副原料溶液の含有量を該範囲とすることにより、撹拌型発酵乳の粘度を特に良好な範囲とすることが可能となる。

0013

本発明の好ましい実施形態では、前記副原料溶液は、例えば、タンパク質、糖質無機塩類ビタミン香料甘味料、および食品添加物からなる群から選択される何れかを含む。
これらの成分の多くは、加熱により変性する、或いは発酵に影響を与える、乳成分と反応して沈殿を生ずる等の理由から、発酵乳原料にあらかじめ添加混合しておくことが制限されるためである。

発明の効果

0014

本発明の撹拌型発酵乳の製造方法によれば、嗜好性や機能性に優れた副原料を含有し、かつ良好な粘度を有した撹拌型発酵乳を提供することが可能となる。
本発明の撹拌型発酵乳の製造方法は、特殊な原料や設備を必要とせず、従来の製造設備を利用して実施することができるため、工業生産において有用性が高い。

図面の簡単な説明

0015

本発明の製造方法の実施形態を示す概略工程図である。
発酵乳ベース(低脂肪タイプ)に、破砕直後、及び破砕後10分〜60分の10分毎の各タイミングで常温水を混合した各撹拌型発酵乳の粘度変化を示すグラフである。
発酵乳ベース(脂肪含有タイプ)に、破砕直後、及び破砕後10分〜60分の10分毎の各タイミングで常温水を混合した各撹拌型発酵乳の粘度変化を示すグラフである。
発酵乳ベースに対し、破砕10分後に常温水を混合した撹拌型発酵乳と、あらかじめ発酵乳ベースのタンパク質濃度を高めておき、発酵乳ベースに対し、破砕16時間後に常温水を混合した撹拌型発酵乳の粘度変化を示すグラフである。
発酵乳ベースに対し、破砕10分後に常温水を混合した撹拌型発酵乳と、あらかじめ発酵乳ベースのタンパク質濃度を高めておき、発酵乳ベースに対し、破砕16時間後に常温水を混合した撹拌型発酵乳の破砕40時間後の各サンプルの粒度分布を示すグラフである。

0016

以下、本発明を実施するための実施形態について説明する。
本明細書において、乳、乳製品に関する分類は、特に断らない限り、『乳及び乳製品の成分規格等に関する省令』(以下、「乳等省令」という。)に基づくものである。
本明細書において、「%」パーセントについての表示は、特に断らない限り、質量による表示である。

0017

本発明の撹拌型発酵乳の製造方法の実施形態について、工程の概略を図1に示す。以下、各工程について説明する。

0018

<1>発酵乳ベースの調製
本発明の製造方法においては、発酵乳原料にスターターを添加し、発酵させることにより発酵乳ベースを調製する。
本発明において、「発酵乳原料」とは、発酵乳の製造に用いられる、乳、乳製品などの発酵乳原料を含む種々の原料を調製して得られる原料である。発酵乳原料における乳製品としては、クリーム脱脂濃縮乳脱脂粉乳等が好ましく用いられる。また、発酵乳原料には、発酵を妨げない範囲において、発酵乳の製造において使用し得る任意の原料を用いることができる。

0019

スターターとしては、発酵乳の製造において通常用いられるものを用いることができる。 本発明で用いられる乳酸菌としては、発酵乳の製造に通常用いられるものを特段の制限なく用いることができる。例えば、ラクトコッカス(Lactococcus)属菌として、ラクトコッカス・ラクティス(L. lactis)、ラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシーズ・ラクティス(L. lactis subsp. lactis)、ラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシーズ・ラクティス・バイオバラティ・ジアセチラクティス(L. lactis subsp. lactis biovar. diacetylactis)、ラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシーズ・クレモリス(L. lactis subsp. cremoris)などの菌株が、ラクトバチルス(Lactobacillus)属菌として、ラクトバチルス・デルブルッキー・サブスピーシーズ・ラクティス(L. delbrueckii subsp. lactis)、ラクトバチルス・デルブルッキー・サブスピーシーズ・ブルガリカス(L. delbrueckii subsp. bulgaricus)(ラクトバチルス・ブルガリカス)、ラクトバチルス・ロイテリ(L. reuteri)、ラクトバチルス・ヘルベティカス(L. helveticus)などの菌株が、ストレプトコッカス(Streptococcus)属菌として、ストレプトコッカス・サリバリウス・サブスピーシーズ・サーモフィルス(S. salivarius subsp. thermophilus)(ストレプトコッカス・サーモフィラス)などの菌株が用いられる。

0020

乳酸菌の添加量は、通常の範囲で適宜調節することができる。例えば、発酵乳原料における菌濃度が、少なくとも1×105CFU/g、好ましくは少なくとも1×107CFU/gとなるような量を添加することが好ましい。

0021

また、乳酸菌に加えて、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属細菌を用いることもできる。例えば、ビフィドバクテリウム・ロンガム(B. longum)、ビフィドバクテリウム・ブレーベ(B. breve)、ビフィドバクテリウム・ビフィダム(B. bifidum)、ビフィドバクテリウム・インファンティス(B. infantis)などの菌株を用いることができる。

0022

スターターの添加方法は特に制限されず、菌末の状態で添加することも、カルチャー培養物)の状態で添加することもできる。

0023

発酵温度は、乳酸菌等の菌が効率よく増殖する範囲であればよく、通常30〜50℃、好ましくは35〜43℃である。発酵は、乳酸菌が十分に増殖するまで行えばよく、通常、発酵乳原料のpHが5.0以下になるまで、好ましくは、pHが4.8以下になるまで、さらに好ましくは、pHが4.2〜4.8程度になるまで行えばよい。発酵時間としては、35〜43℃程度の培養温度の場合、3〜10時間程度、好ましくは3〜6時間程度が目安となる。

0024

<2>カードの破砕
続いて、前述の方法により得られた発酵乳ベース中のカードを破砕する。カードの破砕には、フィルター方式プレッシャーバルブ方式ミキサー方式等の何れを用いてもよい。
カードの破砕は、通常用いられる破砕装置を用いて行うことができる。例えば、フィルター方式による破砕は、例えば、発酵乳ベースを供給する管路内にフィルターを設置し、発酵乳ベースを管路内のフィルター設置部分に向けて連続的に送り出すことにより行うことができる。フィルターの形状としては、平板状のものや筒状のものなど、特に制限なく用いることができる。このようなフィルターとしては、例えば、クロスフィルター(rubberfub製)、ノッチワイヤー(フジトク社製)等が挙げられる。

0025

プレッシャーバルブ方式による破砕は、ダイヤフラムバルブ、或いはバックプレッシャーバルブと呼ばれる装置により行うことができる。ダイヤフラムバルブとしては、ゲミュー(GEMU)社製のもの、バックプレッシャーバルブとしては、コフロック株式会社製のもの等が挙げられる。

0026

このようにして得られる破砕された発酵乳ベースの無脂乳固形分は、発酵乳の規格(無脂乳固形分が8.0質量%以上)を満たす観点から、8質量%より大きいことが必要である。発酵乳ベースの無脂乳固形分は、前記条件を満たす限り後述する副原料溶液の添加量を考慮して決定することができる。発酵乳ベースの無脂乳固形分の上限は、好ましくは13質量%、より好ましくは12質量%、特に好ましくは11質量%である。
また、発酵乳ベースのタンパク質含量は、好ましくは3.8〜5質量%、より好ましくは4〜4.8質量%、特に好ましくは4.2〜4.6質量%である。

0027

また、発酵乳ベースの脂肪含量は、好ましくは4質量%以下、さらに好ましくは3.5質量%以下、特に好ましくは0.5質量%以下である。
発酵乳ベースの脂肪含量が低い場合には、副原料溶液の混合により、特に粘度低下が起こりやすいためである。また、発酵乳ベースの脂肪含量が低い場合には、タンパク質由来のざらつき(粉っぽさ)を感じやすいことから、従来の発酵乳ベースのタンパク質含量を高める方法が使用し難いこともあり、本発明の方法が極めて有用である。特に、脂肪含量が0.5質量%以下の発酵乳ベースを用いた場合には、副原料溶液の混合により粘度の低下が起こりやすくなること、また、脂肪分が少ないためタンパク質由来のざらつき(粉っぽさ)をより感じやすいことから、本発明の製造方法の効果が顕著となる。

0028

<3>副原料溶液の混合
続いて、破砕された発酵乳ベースに副原料溶液を混合する。ここで、当該副原料溶液の混合は、発酵乳ベース中のカードの破砕直後から破砕後10分以内に行う。工業生産ラインにおいては、破砕装置から破砕物(発酵乳ベース)が吐出された時点を破砕直後とみなすことができる。

0029

副原料溶液に含まれる副原料は、水に溶解乃至分散可能なものであれば特に制限されない。例えば、タンパク質、糖質、無機塩類、ビタミン、香料、甘味料、および食品添加物が挙げられる。副原料溶液は、これらの成分を単独で又は複数種組み合わせて含むものであってもよい。副原料溶液として、例えば、ラクトフェリン溶液カルシウム溶液等が挙げられる。また、果汁のような前記成分を複数種含む液状の組成物であってもよい。

0030

副原料溶液は、適宜殺菌を行った後、発酵乳ベースに添加、混合する。副原料溶液の混合量は、発酵乳の規格に適合する範囲であれば特に制限されないが、副原料溶液と発酵乳ベースの総量に対し、通常10質量%以下、好ましくは5質量%以下、さらに好ましくは3質量%以下である。また、撹拌型発酵乳の製造において、副原料溶液の混合による粘度低下は、水が一定量以上混合されるような場合に起こりやすい。従って、副原料溶液の混合量が、副原料溶液と発酵乳ベースの総量に対し、水の混合量基準で1質量%以上、特に2質量%以上である場合に、本発明の製造方法が特に有用である。

0031

また、副原料溶液の添加時の温度は、5〜40℃の範囲を目安とすることができる。

0032

副原料溶液を混合する時点での、発酵乳ベースの粘度は、好ましくは500〜2000mPa・sである。このような粘度の発酵乳ベースに副原料溶液を混合することにより、好ましい粘度の撹拌型発酵乳を製造することができる。

0033

副原料溶液を混合する時点での、発酵乳ベースの温度は、好ましくは5〜43℃である。

0034

以上のように、発酵乳ベースに副原料溶液を混合することで、撹拌型発酵乳を製造する。
製造された撹拌型発酵乳は経時的に粘度上昇を示す。本発明の製造方法により製造される撹拌型発酵乳は、消費者に提供される際の粘度が、好ましくは2700〜5500mPa・sの範囲にある。
なお、撹拌型発酵乳は、製造工程中、発酵乳ベース中のカード破砕終了から40時間〜10日間程度で消費者に提供されることが一般的である。
従って、本発明の製造方法により製造される撹拌型発酵乳は、発酵乳ベース中のカード破砕が終了し、副原料溶液添加後から40時間経過後〜10日間経過後の期間内の10℃における粘度は、2700〜5500mPa・sの範囲にあることが好ましく、3800〜5500mPa・sの範囲にあることがより好ましい。

0035

撹拌型発酵乳は、80〜500ml容程度、好ましくは80〜250ml容程度の容器に充填し、密閉する。また、容器入りの製品は、通常10℃以下、好ましくは5℃以下で保存する。
容器は、紙製ガラス製、プラスチック製(例えばポリプロピレン製ポリエチレンテレフタレート(PET)製、ポリスチレン製ポリエチレン製)が好ましい。

0036

<4>その他の工程
本発明においては、上記で説明した工程以外にも、発酵乳の製造で通常行われる原料の殺菌、冷却などの工程を、適宜行うことができる。

0037

以下の原料及び方法を用いて発酵乳ベースA〜Cを製造した。
脱脂濃縮乳:無脂乳固形分34.6質量%、脂肪分0.36質量%、森永乳業社製
WPI乳清タンパク質分離物):無脂乳固形分94.6質量%、脂肪分0.5質量%、フォンテラ社製
クリーム:脂肪分45質量%、森永乳業社製
スターター:乳酸菌スターター(Premium 1.0)、クリスチャン・ハンセン社製

0038

表1に示す配合に従い、発酵乳原料を調製した。調製した発酵乳原料に、スターターを0.02質量%で接種し、40℃で発酵させた。pHが4.5になった時点でフィルター方式の破砕装置によりカードを破砕し、10℃に冷却することにより発酵を終了させて、発酵乳ベースを調製した。

0039

0040

製造した発酵乳ベースの組成を表2に示す。
発酵乳ベースAは、いわゆる通常の無脂肪タイプの発酵乳ベースであり、発酵乳ベースBは、発酵乳ベースAに対してタンパク質を主とする無脂乳固形分を増加させた発酵乳ベースである。
発酵乳ベースCは、通常の脂肪含有タイプの発酵乳ベースである。

0041

0042

試験1>発酵乳ベースと副原料溶液の混合タイミングの検討
本試験では、発酵乳ベースへの副原料溶液の混合タイミングが、撹拌型発酵乳の粘度変化にどのような影響を与えるかについて検討した。本試験では、副原料溶液の代替として常温水を用いた。

0043

(1)無脂肪タイプの撹拌型発酵乳
前述した方法により製造した発酵乳ベースAに対し、表3に示すタイミングで常温水を混合した(試験例1〜7)。常温水の混合量は、発酵乳ベースと常温水の合計量に対し3質量%とした。また、参考例1として、発酵前の発酵乳原料に対し同量の常温水を添加した場合についても同様に試験を行った。常温水を添加する時点での発酵乳ベースの温度は、表3に記載されるとおりである。

0044

0045

製造した各撹拌型発酵乳について、破砕終了の直後、破砕終了から16時間後、40時間後、7日後に、10℃における粘度を測定した。粘度測定は、B型粘度計にて、No.4ローターを使用し、回転数60rpmで測定したときの、測定開始から10秒後の値(単位:mPa・s)を粘度の測定値とした。

0046

結果を表4及び図2に示す。
図2から分かるように、試験例1〜7の撹拌型発酵乳の何れも破砕直後から時間の経過と共に粘度上昇を示した。破砕直後に常温水を混合した試験例1の撹拌型発酵乳、及び破砕10分後に常温水を混合した試験例2の撹拌型発酵乳については、破砕終了から16時間後、40時間後、7日後と時間が経過するに従い顕著な粘度上昇を示し、40時間後〜7日後における粘度は、試験例3〜7の撹拌型発酵乳の粘度に比して顕著に高値を示した。

0047

具体的な数値について見ると、試験例1、試験例2の撹拌型発酵乳は、何れも破砕16時間後には3500mPa・s以上の粘度を示し、破砕40時間後には3800mPa・s以上の粘度を示した。また、これらの撹拌型発酵乳は、40時間以降も粘度上昇を示し、7日後には4400mPa・s以上の粘度を示した。ここで、破砕40時間後は、一般的に製品が出荷される時間の目安である。すなわち、発酵乳ベースに対し破砕直後から10分以内に副原料溶液を添加、混合することで、撹拌型発酵乳の粘度低下が抑制され、好ましい食感を有する撹拌型発酵乳を提供し得ることが分かる。

0048

0049

(2)脂肪含有タイプの撹拌型発酵乳
前述した方法により製造した発酵乳ベースCに対し、表5に示すタイミングで常温水を混合した(試験例8〜14)。常温水の混合量は、発酵乳ベースと常温水の合計量に対し3質量%とした。また、参考例2として、発酵前の発酵乳原料に対し同量の常温水を添加した場合についても同様に試験を行った。常温水を添加する時点での発酵乳ベースの温度は、表5に記載されるとおりである。

0050

0051

製造した各撹拌型発酵乳について、破砕直後、破砕16時間後、破砕40時間後、破砕7日後に10℃における粘度を前述の方法により測定した。

0052

結果を表6及び図3に示す。
図3から分かるように、試験例8〜14の何れの撹拌型発酵乳も破砕直後から時間の経過と共に粘度上昇を示した。破砕直後に常温水を混合した試験例8、及び破砕10分後に常温水を混合した試験例9については、破砕直後から16時間後、40時間後、7日後と時間が経過するに従い顕著な粘度上昇を示し、40時間後〜7日後における粘度は、試験例10〜14の粘度に比して顕著に高値を示した。

0053

具体的な数値について見ると、試験例8、試験例9の撹拌型発酵乳は、何れも破砕16時間後には3800mPa・s以上の粘度を示し、破砕40時間後には4300mPa・s以上の粘度を示した。また、これらの撹拌型発酵乳は、破砕40時間後以降も粘度上昇を示し、破砕7日後には5000mPa・s以上の粘度を示した。
なお、通常の脂肪含有タイプの発酵乳ベースCを使用して副原料溶液を添加する撹拌型発酵乳の製造においては、破砕20分経過後に副原料溶液(常温水)を混合しても、破砕40時間後以降も粘度上昇を示し、破砕7日後には5000mPa・s以上の粘度を示した(試験例10)。

0054

0055

<試験2>発酵乳ベースのタンパク質濃度を高める方法との比較
本試験では、発酵乳ベースに対し、副原料溶液を破砕直後から破砕後10分以内に混合する本発明の方法と、あらかじめ発酵乳ベースのタンパク質濃度を高めておき、容器への充填前(例えば、破砕から16時間後)に副原料溶液を混合する従来方法とで、撹拌型発酵乳の粘度変化、嗜好性にどのような差異があるかについて比較検討した。本試験では、副原料溶液の代替として常温水を用いた。

0056

前述した方法により製造した発酵乳ベースAに対し、破砕10分後に常温水を混合した(試験例15)。また、発酵乳ベースB(発酵乳ベースAに対し高いタンパク質含有量を有するもの)に対し、破砕16時間後に常温水を混合した(試験例16)。常温水の混合量は、発酵乳ベースと常温水の合計量に対し3質量%とした。常温水を添加する時点での発酵乳ベースの温度は、何れも10℃であった。

0057

(1)粘度評価
試験1と同様に各撹拌型発酵乳の粘度を測定した。
結果を表7及び図4に示す。
図4から分かるように、試験例15、16の何れの撹拌型発酵乳も破砕直後から時間の経過と共に粘度上昇を示した。あらかじめ発酵乳ベースのタンパク質濃度を高めておいた試験例16については、16時間後における粘度上昇は緩やかであったが、40時間後、7日後と時間が経過するに従い顕著な粘度上昇を示した。一方、破砕10分後に常温水を混合した試験例15については、破砕終了から16時間後、40時間後、7日後と時間が経過するに従い顕著な粘度上昇を示し、破砕終了から40時間後、7日後においては、試験例16と同等の粘度を示した。

0058

これより、発酵乳ベースに対し、破砕直後から破砕後10分以内に副原料溶液を添加、混合する本発明の方法によれば、あらかじめ発酵乳ベースのタンパク質濃度を高めておかずとも、当該濃度を高めておく従来方法と同等に粘度低下を抑制することができることが分かった。

0059

0060

(2)官能評価
破砕40時間後の撹拌型発酵乳を専門パネラー4名が食し、試験例15及び試験例16の撹拌型発酵乳の何れが粉っぽいと感じるかを評価した。
その結果、全てのパネラーが試験例16の撹拌型発酵乳が粉っぽいと評価した。

0061

(3)粒度測定
試験例15及び試験例16の撹拌型発酵乳について、破砕40時間後のサンプルの粒度分布を測定した。粒度分布は、レーザ回折散乱粒子径分布測定装置LA−950(HORIBA社製)を用いて測定した。

0062

結果を図5に示す。なお、図5では、計測されたほぼ全ての粒子網羅されており、グラフの横軸は実際の粒子径(単位:μm)を表し、縦軸は全粒子に対する当該粒子径の粒子の割合を表している。
何れの撹拌型発酵乳も20μm付近に粒子径のピークを有していたが、試験例15の撹拌型発酵乳は、試験例16の撹拌型発酵乳に比して、粒子径40μm以上の粒子の含有量が約10%減少した。ここで、粒子径40μm以上の粒子は、発酵乳の食感に関し「ざらつき」、ひいては「粉っぽさ」の原因となるものである。
これより発酵乳ベースに対し破砕直後から10分以内に副原料溶液を添加、混合する本発明の方法によれば、ざらつきの原因となる粒子の含有量を低減させ、滑らかな食感の撹拌型発酵乳を得ることができることが分かった。

0063

本発明の方法により前述した効果が得られる理由について、以下の通り考察することができる。
カード破砕後、経時的に、破砕により破壊されたタンパク質を中心とした網目構造再構築されていくために粘度が上昇する。ここで、網目構造の再構築における比較的初期の段階で副原料溶液が混合されることにより、副原料溶液を均一に取り込みながら網目構造が構築されていくものと考えられる。その結果、ざらつきの原因となる凝集物の発生を抑制することができ、一定以上の粘度を有する滑らかな組織が構築される。
特に、脂肪含量が0.5質量%以下の発酵乳ベースを用いる場合、タンパク質の凝集が起こりやすくなり、破砕後の網目構造の再構築の速度が大きくなるため、副原料溶液の混合タイミングが比較的遅れると粘度の低下が起こりやすくなると考えられる。従って、本発明の方法は、特に脂肪含量が0.5質量%以下の発酵乳ベースを用いる場合に有用である。

0064

以上の試験結果から、発酵乳ベースに対し破砕直後から破砕後10分以内に副原料溶液を添加、混合する本発明の方法によれば、従来の発酵乳ベースのタンパク質濃度を高めておく方法と同等の粘度を実現しながらも、粒子が微細化された滑らかな食感の撹拌型発酵乳を製造できることが分かった。

実施例

0065

<実施例1>ラクトフェリン入りヨーグルトの製造
(1)発酵乳ベースの調製
脱脂濃縮乳(森永乳業社製)を30質量%と、45質量%クリーム(森永乳業社製)を5.5質量%と、WPI(フォンテラ社製)を0.5質量%と、砂糖を6質量%とを混合溶解して発酵乳原料を調製し、当該発酵乳原料を湯せんにて70℃まで加温し、均質化した。次いで、90℃まで加温し、5分間保持して殺菌処理した。殺菌後の発酵乳原料は一旦、冷却槽内で40℃まで冷却し、その後、発酵乳原料に、ブルガリクス菌およびサーモフィルス菌の混合スターター(クリスチャン・ハンセン社製)を0.02質量%添加し、40℃で発酵させて、乳酸酸度0.80%に達した時点で発酵を終了させて発酵乳ベースを調製した。なお、乳酸酸度の値は、「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令」における「乳及び乳製品の酸度測定法」(フェノールフタレイン指示薬として用いた0.1mol/l水酸化ナトリウム溶液による滴定による測定)に従って求められる値として算出した。
(2)ラクトフェリン溶液の調製
ラクトフェリン(森永乳業社製)3.5質量%を水に溶解し、湯せんにて80℃まで加温し、5分間保持して殺菌処理した。その後、冷却層内で10℃まで冷却して、ラクトフェリン溶液を調製した。
(3)発酵乳ベースとラクトフェリン溶液の混合
前記(1)で調製した発酵乳ベースを破砕機によりカード破砕し、破砕直後(1分以内)に前記(2)で調製したラクトフェリン溶液を、発酵乳ベースとラクトフェリン溶液の総量に対して3質量%となるように混合して、ラクトフェリン溶液を混合した発酵乳ベースを10℃まで冷却してラクトフェリン入り発酵乳(撹拌型)を製造した。
(4)粘度の測定
製造された撹拌型発酵乳の粘度は、破砕直後に1850mPa・sであり、破砕16時間後は3650mPa・s、破砕40時間後は4240mPa・s、破砕7日後は4860mPa・sとなり、撹拌型発酵乳に適した粘性であることが確認された。

0066

本発明は、副原料を含む撹拌型発酵乳の製造に好適である。

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