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技術 天体投影機による投影像の位置合致システムおよび該システムに用いられる天体投影機

出願人 有限会社大平技研
発明者 大平貴之
出願日 2015年9月22日 (3年5ヶ月経過) 出願番号 2015-186158
公開日 2017年3月30日 (1年10ヶ月経過) 公開番号 2017-062270
状態 特許登録済
技術分野 教示用装置 光学要素の取付・調整 機械的光制御・光スイッチ
主要キーワード 回転スタンド 分離独立型 幾何学パラメータ 補正量算出装置 固定スタンド 各機構部品 地平座標 円弧経路
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (20)

課題

2つの天体投影機の投影像を一致させて切り替えるときに発生するずれを予防し、スムーズで自然な天体投影機の切替を行い、任意の天体の移動をドームスクリーン上の全面にわたってスムーズ、かつ自然に再現することができる、天体投影機による投影像の位置合致ステムを提供する。

解決手段

投影筒1から出射した光はハーフミラー2を透過し、可動式反射鏡3で反射しドームスクリーンに天体の光点像投影される。この投影像は同じ経路戻り、可動式反射鏡3で反射し、さらにハーフミラー2で反射してカメラ10で撮像される。撮像画面上の他の投影装置から投影された天体像の位置を検出し、検出した位置を撮像画面上の所定の座標に一致させるように自己の天体投影機の光点進路偏向機構または他の投影装置の表示手段に対して補正をかけるように制御する。

概要

背景

従来の光学式プラネタリウムでは、ドームスクリーンの中心に設置した恒星投影機から、あらかじめ恒星の配置に合せて微細孔パターンを有する恒星原板を用いて多数の恒星を投影していた。この方式によると高精細星空を投影可能であり、投影機が有する回転軸を回転させることで任意の日時や地球上での任意の位置での星空を再現することも可能である。しかしながら、恒星の配置が固定された恒星原板によって固定されているため、視点を恒星間空間で変えたり、長年月の変化に伴う固有運動等を再現したりすることはできなかった。またドーム中心光学式恒星投影機を設置しなければならず、客席スペースを制限するほか、投影中視界を妨げる要因にもなっていた。

従来の光学式プラネタリウムの惑星投影機は、恒星投影機に同架された機械式のものに加え、恒星投影機と分離してドーム中心付近に設置する分離独立型の惑星投影機が好んで用いられていた。
この分離独立型の惑星投影機は、独立した2軸の自由度をもつ惑星像の偏向機能を有し、この偏向機能によりドームスクリーン上の任意の座標に惑星像を投影することができるものである。そのため、コンピュータを用いた適切な制御により、恒星とは完全に独立した運動を再現することができ、例えば、地球上の任意の座標から見たのみならず、地球外の惑星や太陽系内の任意の視点から観察した惑星の配置等も再現できた。

また、特許文献1では、惑星投映機を用いてドーム上に設定した星座を構成すべき各星の位置に星像を投映すると共に、日時及び観測場所による星座の形状の変化に応じ上記星像の位置が移動するように、惑星投映機のX軸及びY軸を駆動する投映装置が提案されている。このように2軸の自由度を持ち任意の方向に星像を投影する機能を持つ装置を用いると、惑星のみならず恒星も、光学式プラネタリウム本来の制約を超えて表現することができる。

さらに単一または複数のプロジェクタを使って、コンピュータによりリアルタイムで生成した星空の画像を投影するディジタルプラネタリウムでは、光学式プラネタリウムのような機能の制限はないが、ディジタル映像には単位面積あたりの輝度の制限があり、特に明るい星を鮮明かつリアルに投影することができず、結果的に星空のリアリティが十分なものではなかった。

光学式プラネタリウムとディジタル投影技術を用いたディジタルプラネタリウムを併用する複合型プラネタリウムが多数提案され運用されている。
これは、光学式プラネタリウムの星空にディジタル投影により補助的な星座線や星座絵などを重ねて投影するにはきわめて有用であるものの、星空自体を、精細さを有したままディジタルプラネタリウムのような自在度をもって再現できるものではなく、両者の欠点を補うものではなかった。また、ディジタル投影による建物などの前景と光学式プラネタリウムによる恒星を同時に投影した場合、この両者が重なり合ってしまい、本来は見えないはずの前景に重なる部分にまで星が投影されてしまい不自然印象を持たせてしまう問題点があった。

一方、光学式投影機で所定より明るい恒星を投影し、ディジタル投影により所定より暗い星を投影する複合プラネタリウムが提案されている(特許文献2)。
この方式によれば、明るい恒星を光学式で投影することにより明るく鮮明に再現することが可能であり、明るい恒星の数は限られていることからそれらを個別にオンオフすることが容易である。また、暗い星は景色と共にディジタル投影されるから個別にオンオフすることが可能であり、結果的に星空のリアルさを有するものである。そして、ディジタル投影により前景を同時に投影しても、前景に重なる恒星を消すことができるので、前景と共にきわめてリアルな星空を再現可能である。
しかし、この方式でも、従来の光学式プラネタリウムと同様、投影機をドーム中心に設置しなければならない。また、明るい恒星の配置は光学式投影機によって固定されているために自在に動かす事が難しく、ディジタルプラネタリウムのみで恒星を再現するときのように、視点を恒星間空間の中で移動させたり、長年月の変化による固有運動を再現したりすることはできない。

一方、単位光点投映筒を任意の投映方向に制御する手段を有するプラネタリウム投映機をプラネタリウムシステム組み入れる方式が提案されている(特許文献3)。
この単位光点投映機はドーム内側に設置しなければならず、特に多数の恒星を再現するために単位光点投映機を多数配置した場合、ドームスクリーンの中心付近に広いスペースを投映機設置のために確保しなければならず客席スペースを大きく制限するものとなる。また、客席との重複を避けてドームの周辺に設置した場合は、投影できない方向があったり、ドームスクリーン面との距離が著しく変化するため像の見え方動きがきわめて不自然になったりする欠点があった。

このような課題に対して、ドーム周辺部に、ドームスクリーン上の所定の座標に天体を投影可能な個別の天体投影機を設置して天体を投影する方法が着想される。しかし、この場合、個別の天体投影機がドーム中心から著しく離れるため、ドームスクリーン全面に渡って均等な像を投影することが困難で、ドームスクリーンの特定の範囲では運動が不自然になる。天体投影機をドーム球面の外に設置することも考えられるが、その場合は原理的に投影不能な死角が生じることになる。

概要

2つの天体投影機の投影像を一致させて切り替えるときに発生するずれを予防し、スムーズで自然な天体投影機の切替を行い、任意の天体の移動をドームスクリーン上の全面にわたってスムーズ、かつ自然に再現することができる、天体投影機による投影像の位置合致システムを提供する。投影筒1から出射した光はハーフミラー2を透過し、可動式反射鏡3で反射しドームスクリーンに天体の光点像が投影される。この投影像は同じ経路戻り、可動式反射鏡3で反射し、さらにハーフミラー2で反射してカメラ10で撮像される。撮像画面上の他の投影装置から投影された天体像の位置を検出し、検出した位置を撮像画面上の所定の座標に一致させるように自己の天体投影機の光点進路偏向機構または他の投影装置の表示手段に対して補正をかけるように制御する。A

目的

本発明の目的は、点状の天体像を投影可能で、2軸の自由度をもって広範囲の角度に投影像を投影可能な天体投影機を、投影可能範囲をお互いに補い合うようなレイアウトでドーム周辺に多数設置すると同時に、それらの天体投影機の投影可能範囲を跨いで天体が移動する際にはドームスクリーン上で然るべき位置とタイミングで割り当てる天体投影機に切り替えるように構成し、それぞれの天体投影機の内部に、小形カメラを常に自己の天体像付近を撮影可能な構成で組込み、この小形カメラによって切替対象となる他の天体投影機から投影された天体像を撮影し、切り替え時の誤差を測定してこれを補正することにより、切替時に発生するずれを予防し、スムーズで自然な投影機の切替を行い、任意の天体の移動をドームスクリーン上の全面にわたってスムーズ、かつ自然に再現することができる、天体投影機による投影像の位置合致システムを提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

2軸以上の自由度を有し、コマンドにより駆動制御され、光源からの光の方向を変更制御する光点進路偏向機構を備え、前記光源からの光を、ドームスクリーン上の所定の座標天体像として投影可能であって、前記光点進路偏向機構により前記ドームスクリーンに投影した天体像および該天体像の周辺を常に写野に収めるカメラを搭載した天体投影機と、前記カメラを用い、他の投影装置からドームスクリーン内に投影される天体像を撮像して、撮像画面上の他の投影装置から投影された天体像の位置を検出し、検出した位置を撮像画面上の所定の座標に一致させるように自己の天体投影機の光点進路偏向機構または他の投影装置の表示手段に対して補正をかけることにより、自己の天体投影機が投影する天体像と他の投影装置から投影される天体像の、ドームスクリーン上の座標を一致させる制御装置と、を備えたことを特徴とする天体投影機による投影像の位置合致ステム

請求項2

前記撮像画面上の所定の座標は、自己の天体投影機の投影像を撮像して得た座標であることを特徴とする請求項1記載の天体投影機による投影像の位置合致システム。

請求項3

前記自己の天体投影機の投影像と、他の投影装置から投影される投影像のドームスクリーン上の座標を一致させることにより、所定の天体をドームスクリーン上で投影する際に、自己の天体投影機の投影像と、他の投影装置による投影像を切り替えることを特徴とする請求項1または2記載の天体投影機による投影像の位置合致システム。

請求項4

前記光点進路偏向機構は、可動式反射鏡を含むことを特徴とする請求項1,2または3記載の天体投影機による投影像の位置合致システム。

請求項5

前記光点進路偏向機構は、投影レンズ姿勢角を変える機構を含むことを特徴とする請求項1,2または3記載の天体投影機による投影像の位置合致システム。

請求項6

前記光点進路偏向機構の投影光路中に光を分岐する光分岐部材を挿入し、前記カメラは該光分岐部材を介して、自己の天体投影機の投影像およびその周辺を常に写野に収めることを特徴とする請求項1,2,3,4または5記載の天体投影機による投影像の位置合致システム。

請求項7

前記光分岐部材はハーフミラーまたは斜鏡であることを特徴とする請求項6記載の天体投影機による投影像の位置合致システム。

請求項8

前記カメラは、投影レンズの姿勢角を変える機構を構成する投影光学系に固定され、該投影光学系中の光を導く光路に光を分岐する光分岐部材を配置し、該光分岐部材によって前記カメラが自己の天体投影機の投影像およびその周辺を常に写野に収めることを特徴とする請求項5記載の天体投影機による投影像の位置合致システム。

請求項9

前記カメラは、投影レンズの姿勢角を変える機構を構成する投影光学系に固定され、該投影光学系とともに撮像するための向きを変えることを特徴とする請求項5記載の天体投影機による投影像の位置合致システム。

請求項10

2軸以上の自由度を有し、コマンドにより駆動制御され、光源からの光の方向を変更制御する光点進路偏向機構を備え、前記光源からの光を、ドームスクリーン上の所定の座標に天体像として投影可能であって、前記光点進路偏向機構により前記ドームスクリーンに投影した天体像および該天体像の周辺を常に写野に収めるカメラを搭載したことを特徴とする天体投影機。

請求項11

前記光点進路偏向機構は、投影筒から出射する光を通過させ、戻ってくる光を分岐するハーフミラーまたは斜鏡からなる光分岐部材と、前記光分岐部材を通過した光を反射スクリーン等に投影する可動式反射鏡とを有し、前記可動式反射鏡で投影した光点像を、前記可動式反射鏡,前記光分岐部材を介して前記カメラに導く光路を備えたことを特徴とする請求項10記載の天体投影機。

請求項12

前記可動式反射鏡は2軸で角度を変更可能であり、角度変更により、自己の天体投影機で投影した光点像と他の天体投影装置で投影すべき光点像との投影位置を一致させるように前記可動式反射鏡を制御することを特徴とする請求項11記載の天体投影機。

請求項13

前記光点進路偏向機構は、光点を投影する投影筒を有し、前記投影筒を2軸で姿勢を変更可能であり、前記投影筒に、投影筒で投影した光点像を撮像するカメラを取付け、自己の天体投影機で投影した光点像と他の天体投影装置で投影すべき光点像との投影位置を一致させるように前記投影筒の向きを制御することを特徴とする請求項10記載の天体投影機。

請求項14

前記カメラの取付け構造は、前記投影筒の光路中に斜鏡を配置し、配置した斜鏡からの反射像を撮像するようにカメラを投影筒に固定することを特徴とする請求項13記載の天体投影機。

請求項15

前記カメラの取付け構造は、前記投影筒の光軸と同じ方向に撮像軸が一致するように投影筒にカメラを固定することを特徴とする請求項13記載の天体投影機。

技術分野

0001

本発明は、個別の天体投影機によりドームスクリーン投影した天体が、この天体投影機の投影範囲から逸脱する場合に、この逸脱する部分の投影範囲を持つ他の天体投影機からの投影像に違和感なく円滑に引き継ぐために、それぞれの天体投影機の天体像経路を制御して2つの天体投影機が重なる投影範囲領域で2つの天体像の位置を合致させ他の天体投影機の投影像に切り替える投影像の位置合致システムおよび該システムに用いられる天体投影機に関する。

背景技術

0002

従来の光学式プラネタリウムでは、ドームスクリーンの中心に設置した恒星投影機から、あらかじめ恒星の配置に合せて微細孔パターンを有する恒星原板を用いて多数の恒星を投影していた。この方式によると高精細星空を投影可能であり、投影機が有する回転軸を回転させることで任意の日時や地球上での任意の位置での星空を再現することも可能である。しかしながら、恒星の配置が固定された恒星原板によって固定されているため、視点を恒星間空間で変えたり、長年月の変化に伴う固有運動等を再現したりすることはできなかった。またドーム中心光学式恒星投影機を設置しなければならず、客席スペースを制限するほか、投影中視界を妨げる要因にもなっていた。

0003

従来の光学式プラネタリウムの惑星投影機は、恒星投影機に同架された機械式のものに加え、恒星投影機と分離してドーム中心付近に設置する分離独立型の惑星投影機が好んで用いられていた。
この分離独立型の惑星投影機は、独立した2軸の自由度をもつ惑星像の偏向機能を有し、この偏向機能によりドームスクリーン上の任意の座標に惑星像を投影することができるものである。そのため、コンピュータを用いた適切な制御により、恒星とは完全に独立した運動を再現することができ、例えば、地球上の任意の座標から見たのみならず、地球外の惑星や太陽系内の任意の視点から観察した惑星の配置等も再現できた。

0004

また、特許文献1では、惑星投映機を用いてドーム上に設定した星座を構成すべき各星の位置に星像を投映すると共に、日時及び観測場所による星座の形状の変化に応じ上記星像の位置が移動するように、惑星投映機のX軸及びY軸を駆動する投映装置が提案されている。このように2軸の自由度を持ち任意の方向に星像を投影する機能を持つ装置を用いると、惑星のみならず恒星も、光学式プラネタリウム本来の制約を超えて表現することができる。

0005

さらに単一または複数のプロジェクタを使って、コンピュータによりリアルタイムで生成した星空の画像を投影するディジタルプラネタリウムでは、光学式プラネタリウムのような機能の制限はないが、ディジタル映像には単位面積あたりの輝度の制限があり、特に明るい星を鮮明かつリアルに投影することができず、結果的に星空のリアリティが十分なものではなかった。

0006

光学式プラネタリウムとディジタル投影技術を用いたディジタルプラネタリウムを併用する複合型プラネタリウムが多数提案され運用されている。
これは、光学式プラネタリウムの星空にディジタル投影により補助的な星座線や星座絵などを重ねて投影するにはきわめて有用であるものの、星空自体を、精細さを有したままディジタルプラネタリウムのような自在度をもって再現できるものではなく、両者の欠点を補うものではなかった。また、ディジタル投影による建物などの前景と光学式プラネタリウムによる恒星を同時に投影した場合、この両者が重なり合ってしまい、本来は見えないはずの前景に重なる部分にまで星が投影されてしまい不自然印象を持たせてしまう問題点があった。

0007

一方、光学式投影機で所定より明るい恒星を投影し、ディジタル投影により所定より暗い星を投影する複合プラネタリウムが提案されている(特許文献2)。
この方式によれば、明るい恒星を光学式で投影することにより明るく鮮明に再現することが可能であり、明るい恒星の数は限られていることからそれらを個別にオンオフすることが容易である。また、暗い星は景色と共にディジタル投影されるから個別にオンオフすることが可能であり、結果的に星空のリアルさを有するものである。そして、ディジタル投影により前景を同時に投影しても、前景に重なる恒星を消すことができるので、前景と共にきわめてリアルな星空を再現可能である。
しかし、この方式でも、従来の光学式プラネタリウムと同様、投影機をドーム中心に設置しなければならない。また、明るい恒星の配置は光学式投影機によって固定されているために自在に動かす事が難しく、ディジタルプラネタリウムのみで恒星を再現するときのように、視点を恒星間空間の中で移動させたり、長年月の変化による固有運動を再現したりすることはできない。

0008

一方、単位光点投映筒を任意の投映方向に制御する手段を有するプラネタリウム投映機をプラネタリウムシステムに組み入れる方式が提案されている(特許文献3)。
この単位光点投映機はドーム内側に設置しなければならず、特に多数の恒星を再現するために単位光点投映機を多数配置した場合、ドームスクリーンの中心付近に広いスペースを投映機設置のために確保しなければならず客席スペースを大きく制限するものとなる。また、客席との重複を避けてドームの周辺に設置した場合は、投影できない方向があったり、ドームスクリーン面との距離が著しく変化するため像の見え方動きがきわめて不自然になったりする欠点があった。

0009

このような課題に対して、ドーム周辺部に、ドームスクリーン上の所定の座標に天体を投影可能な個別の天体投影機を設置して天体を投影する方法が着想される。しかし、この場合、個別の天体投影機がドーム中心から著しく離れるため、ドームスクリーン全面に渡って均等な像を投影することが困難で、ドームスクリーンの特定の範囲では運動が不自然になる。天体投影機をドーム球面の外に設置することも考えられるが、その場合は原理的に投影不能な死角が生じることになる。

先行技術

0010

特公平6−56541号公報
特許第5295411号公報
特開2014−224871号公報

発明が解決しようとする課題

0011

上記説明から明らかなように従来の技術では以下のような問題があった。
(1)従来の光学式恒星投影機では、シャープで鮮明な星空を再現することができる。しかし、星空を構成する恒星の配置は固定され、恒星間飛行等のシーンを再現したり固有運動を再現したりすることはできない。またドーム中央部に投影機を設置しなければならず、本来もっとも観覧に適したスペースを占有してしまう。
(2)従来の惑星投影機は、任意の方向に惑星像を投影できる。しかし、惑星投影機もまたドーム中央部に投影機を設置しなければならず、客席として適したスペースを占有してしまっていた。
(3)ディジタルプラネタリウムでは、プロジェクタをドーム周辺部に置くことによりドーム内のスペースを有効活用することが可能である。しかし、投影される星像は鮮明さと輝度に欠け、リアルな星空を再現できるものではなかった。

0012

(4)提案されている、所定の光度より明るい恒星のみを光学式投影機で投影する方法でも、光学式投影機で投影される星の配置は固定されており、恒星間における視点の星空を再現できる方法は開示されておらず、またドーム中心に専用投影機を設置しなければならなかった。
(5)従来の惑星投影機を用いて恒星を再現する方法や、単位光点を投影する投影装置によっても、投影機をドーム中心付近に設置した場合、ドーム中心付近のスペースを占有することになる問題があり、単位光点投影機をドーム周辺部分に設置した場合は、同一投影機で投影できる範囲に限り、ドーム全面にわたって正確な運行を再現できるものではなかった。

0013

以上の各問題を解決するために複数の個別の天体投影機を用い、天体のドームスクリーン上の座標に応じてある個別の天体投影機の投影像を他の個別の天体投影機の投影像に切り替えて使用するシステム構成が考えられる。しかし、このような構成をとる場合には、切り替え動作に入る前に、ある個別の天体投影機の投影像を、他の個別の天体投影機の投影すべき像の位置に一致させてから切り替えなければならないため、切り替え時の位置合わせはきわめて正確である必要がある。もし、正確に位置合わせができなければ、切り替え時に星が二重に重なって見えたり、ジャンプするような不自然な挙動を起こしたりすることが予想される。個別の天体投影機による天体像の位置制御には、さまざまな校正を行なうことで精度を向上させることも可能だが、機械的誤差経年的な変化もあり、これらを充分少なくしようとすると、投影機全体の剛性機械精度をきわめて高いものにしなければならず、コストアップを招いてしまう。

0014

本発明は、上記背景に基づき発案したものである。
すなわち、本発明の目的は、点状の天体像を投影可能で、2軸の自由度をもって広範囲の角度に投影像を投影可能な天体投影機を、投影可能範囲をお互いに補い合うようなレイアウトでドーム周辺に多数設置すると同時に、それらの天体投影機の投影可能範囲を跨いで天体が移動する際にはドームスクリーン上で然るべき位置とタイミングで割り当てる天体投影機に切り替えるように構成し、それぞれの天体投影機の内部に、小形カメラを常に自己の天体像付近を撮影可能な構成で組込み、この小形カメラによって切替対象となる他の天体投影機から投影された天体像を撮影し、切り替え時の誤差を測定してこれを補正することにより、切替時に発生するずれを予防し、スムーズで自然な投影機の切替を行い、任意の天体の移動をドームスクリーン上の全面にわたってスムーズ、かつ自然に再現することができる、天体投影機による投影像の位置合致システムを提供することにある。
また、本発明の他の目的は、天体投影機による投影像の位置合致システムに用いられる天体投影機を提供することにある。

課題を解決するための手段

0015

前記目的を達成するために本発明による請求項1記載の天体投影機による投影像の位置合致システムは、2軸以上の自由度を有し、コマンドにより駆動制御され、光源からの光の方向を変更制御する光点進路偏向機構を備え、前記光源からの光を、ドームスクリーン上の所定の座標に天体像として投影可能であって、前記光点進路偏向機構により前記ドームスクリーンに投影した天体像および該天体像の周辺を常に写野に収めるカメラを搭載した天体投影機と、前記カメラを用い、他の投影装置からドームスクリーン内に投影される天体像を撮像して、撮像画面上の他の投影装置から投影された天体像の位置を検出し、検出した位置を撮像画面上の所定の座標に一致させるように自己の天体投影機の光点進路偏向機構または他の投影装置の表示手段に対して補正をかけることにより、自己の天体投影機が投影する天体像と他の投影装置から投影される天体像の、ドームスクリーン上の座標を一致させる制御装置とを備えたことを特徴とする。
本発明による請求項2記載の天体投影機による投影像の位置合致システムは、請求項1記載の発明において、前記撮像画面上の所定の座標は、自己の天体投影機の投影像を撮像して得た座標であることを特徴とする。
本発明による請求項3記載の天体投影機による投影像の位置合致システムは、請求項1または2記載の発明において、前記自己の天体投影機の投影像と、他の投影装置から投影される投影像のドームスクリーン上の座標を一致させることにより、所定の天体をドームスクリーン上で投影する際に、自己の天体投影機の投影像と、他の投影装置による投影像を切り替えることを特徴とする。
本発明による請求項4記載の天体投影機による投影像の位置合致システムは、請求項1,2または3記載の発明において、前記光点進路偏向機構は、可動式反射鏡を含むことを特徴とする。
本発明による請求項5記載の天体投影機による投影像の位置合致システムは、請求項1,2または3記載の発明において、前記光点進路偏向機構は、投影レンズ姿勢角を変える機構を含むことを特徴とする。
本発明による請求項6記載の天体投影機による投影像の位置合致システムは、請求項1,2,3,4または5記載の発明において、前記光点進路偏向機構の投影光路中に光を分岐する光分岐部材を挿入し、前記カメラは該光分岐部材を介して、自己の天体投影機の投影像およびその周辺を常に写野に収めることを特徴とする。
本発明による請求項7記載の天体投影機による投影像の位置合致システムは、請求項6記載の発明において、前記光分岐部材はハーフミラーまたは斜鏡であることを特徴とする。
本発明による請求項8記載の天体投影機による投影像の位置合致システムは、請求項5記載の発明において、前記カメラは、投影レンズの姿勢角を変える機構を構成する投影光学系に固定され、該投影光学系中の光を導く光路に光を分岐する光分岐部材を配置し、該光分岐部材によって前記カメラが自己の天体投影機の投影像およびその周辺を常に写野に収めることを特徴とする。
本発明による請求項9記載の天体投影機による投影像の位置合致システムは、請求項5記載の発明において、前記カメラは、投影レンズの姿勢角を変える機構を構成する投影光学系に固定され、該投影光学系とともに撮像するための向きを変えることを特徴とする。
本発明による請求項10記載の天体投影機は、2軸以上の自由度を有し、コマンドにより駆動制御され、光源からの光の方向を変更制御する光点進路偏向機構を備え、前記光源からの光を、ドームスクリーン上の所定の座標に天体像として投影可能であって、前記光点進路偏向機構により前記ドームスクリーンに投影した天体像および該天体像の周辺を常に写野に収めるカメラを搭載したことを特徴とする。
本発明による請求項11記載の天体投影機は、請求項10記載の発明において、前記光点進路偏向機構は、投影筒から出射する光を通過させ、戻ってくる光を分岐するハーフミラーまたは斜鏡からなる光分岐部材と、前記光分岐部材を通過した光を反射スクリーン等に投影する可動式反射鏡とを有し、前記可動式反射鏡で投影した光点像を、前記可動式反射鏡,前記光分岐部材を介して前記カメラに導く光路を備えたことを特徴とする。
本発明による請求項12記載の天体投影機は、請求項11記載の発明において、前記可動式反射鏡は2軸で角度を変更可能であり、角度変更により、自己の天体投影機で投影した光点像と他の天体投影装置で投影すべき光点像との投影位置を一致させるように前記可動式反射鏡を制御することを特徴とする。
本発明による請求項13記載の天体投影機は、請求項10記載の発明において、前記光点進路偏向機構は、光点を投影する投影筒を有し、前記投影筒を2軸で姿勢を変更可能であり、前記投影筒に、投影筒で投影した光点像を撮像するカメラを取付け、自己の天体投影機で投影した光点像と他の天体投影装置で投影すべき光点像との投影位置を一致させるように前記投影筒の向きを制御することを特徴とする。
本発明による請求項14記載の天体投影機は、請求項13記載の発明において、前記カメラの取付け構造は、前記投影筒の光路中に斜鏡を配置し、配置した斜鏡からの反射像を撮像するようにカメラを投影筒に固定することを特徴とする。
本発明による請求項15記載の天体投影機は、請求項13記載の発明において、前記カメラの取付け構造は、前記投影筒の光軸と同じ方向に撮像軸が一致するように投影筒にカメラを固定することを特徴とする。

発明の効果

0016

上記構成によれば、従来のプラネタリウムのように、星空のパターンを固定されることもなく、3次元の恒星間飛行や固有運動等も再現でき、明るい星を鮮明に表現することができる。恒星のみならず惑星の再現にも使うことができるので、在来形の恒星投影機のみならず惑星投影機もドーム中心付近に設置する必要はなく、ドーム内の空間を最大限に有効活用できる、高機能とリアルさを兼ね備え、より好条件観客が観覧可能なプラネタリウムを実現することができる。

図面の簡単な説明

0017

本発明による投影像の位置合致システムに用いる個別天体投影機の実施の形態を示す図で、個別天体投影機の斜視図である。
本発明における個別天体投影機の光がドームスクリーンに達する光路および、投影像がカメラに導かれる光路を説明するための図である。
投影筒の構成を示す縦断面図である。
個別天体投影機をドーム内に設置した例を説明するための図で、ドームを側面から見た図である。
個別天体投影機でドームスクリーン上に恒星像を投影し、この恒星像をカメラで撮影した時の写野を示す図である。
2台の個別天体投影機からドームスクリーン上の近傍する位置に恒星像を投影した様子を示す図で、投影像の位置合致システムの実施の形態を示す図である。
2台の個別天体投影機により投影した2つの恒星像をカメラで撮影した時の写野を示す図である。
ドームスクリーン上の所定座標に天体像を投影し、自己の個別天体投影機のQ軸およびR軸を一定角度移動させた時の、カメラ写野上の他の個別天体投影機が投影した天体像の移動量を示す図である。
ドームスクリーンに投影された天体像について他の個別天体投影機が投影した天体像と位置合わせをする処理の手順を説明するための図である。
2台の天体投影機を用いて日周運動などによりドームスクリーン上の位置を徐々に変えていく天体を切替投影する例を示す図である。
左図は各天体投影機で本来投影すべき座標に対し僅かに誤差が生じることを説明するための図、右図は天体投影機Bの撮像画面を示す図である。
左図は天体投影機Aにより投影された天体像が経路に沿って移動している状態を示す図、右図は天体投影機Bの撮像画面を示す図で、天体投影機Bによる天体像は消灯した状態を示している。
左図は天体投影機Aにより投影された天体像が境界線を越えて天体投影機Bの投影可能範囲に入った状態を示す図、右図は天体投影機Bの撮像画面を示す図で、天体投影機Bによる天体像は消灯した状態を示している。
左図は天体投影機Aにより投影された天体像と天体投影機Bにより投影された天体像が目標位置に向かって移動している状態を示す図、右図は天体投影機Bの撮像画面を示す図で、この撮像画面に天体投影機Aで投影されている天体像が写り込んでいる状態を示している。
左図は、天体投影機Bが天体の経路に追従して経路を移動する状態になったところを示す図、右図は天体投影機Bの撮像画面を示す図で、この撮像画面に天体投影機Aで投影されている天体像が写り込んでいる状態を示している。
左図は、誤差補正によって天体投影機Bの向きが天体投影機Aにより投影されている天体像に近づいている状態を示す図、右図は天体投影機Bの撮像画面を示す図で、天体投影機Aで投影されている天体像が基準点に近づいている状態を示している。
左図は、天体投影機Bの向きが天体投影機Aの向きに一致した状態を示す図、右図は天体投影機Bの撮像画面を示す図で、天体投影機Aで投影されている天体像が基準点に一致している状態を示している。
左図は天体投影機Aの光源をオフし、天体投影機Bの光源をオンした状態を示す図、右図は天体投影機Bの撮像画面を示す図で、天体投影機Aで投影されている天体像が消え、天体投影機Bで投影されている天体像が表示された状態を示している。
左図は天体の位置が天体投影機Aの投影可能範囲を脱した状態を示す図、右図は天体投影機Bの撮像画面を示す図で、天体投影機Aが向く方向は境界線で停止し、天体投影機Aによる天体像は写っていない状態を示している。
天体投影機の光路中に小さな反射鏡(斜鏡)を置き、この反射鏡からの光を受光するようにカメラを取り付けた投影筒の実施の形態を示す図で、投影筒を一部断面で示した斜視図である。
投影筒の光軸と同じ方向の光軸になるようにカメラを搭載した天体投影機の実施の形態を示す斜視図である。
投影筒の前にハーフミラーの代わりに斜鏡を用いた本発明による投影像の位置合致システムに用いる個別天体投影機の実施の形態を示す図である。

実施例

0018

以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳しく説明する。
図1Aは本発明による個別天体投影機の実施の形態を示す斜視図,図1Bは本発明における個別天体投影機の光がドームスクリーンに達する光路および、投影像がカメラに導かれる光路を説明するための図,図1Cは投影筒の構成を示す縦断面図である。
投影筒1が基板13に立設された支柱13aに取り付けられている。投影筒1の光軸17(図1C参照)は光点進路偏向機構18の回転軸6と一致しており、投影筒1の向きは固定され、動くことはない。
投影筒1は、図1Cに示すように光軸17上に光源LED15,ピンホール原板16,投影レンズ14が配列された構造である。光源LED15から出た光はピンホール原板16のピンホールを経て投影レンズ14に到達しハーフミラー2に入射する。
投影筒1には、構造によっては光源LED15から発する光量をより効率的に集光するため、光路中にコンデンサレンズを挿入する構成とする場合もある。

0019

基板13に立設された支柱13bには、ハーフミラー2が設けられている。ハーフミラー2は光軸17に対し、45度の傾斜角度で固定されている。投影筒1から出射する光は、ハーフミラー2で減光されて光量が落ちるが、光点を明るく表示するための光量は充分維持した状態で通過する。
基板13に立設された支柱13cには、Q軸モータ8が取り付けられているとともに支柱13cに対し回動可能なように回転軸6が取り付けられている。Q軸モータ8の出力歯車8aは回転軸6に固定された歯車7に噛合している。歯車7は、底部4a,支持部4b,4cからなるコの字形状フォーク4の底部4aに固定されている。可動式反射鏡3の側辺3aの対峙する位置に回転軸9,9(一方の回転軸は図示していない)が取り付けられ、回転軸9,9はフォーク4の支持部4bおよび4cに枢止され、回転軸9,9(R軸)を中心に可動式反射鏡3を回転可能にしている。支持部4cには歯車5が固定され、歯車5はR軸モータ(図示していない)の出力歯車(図示していない)に噛合している。R軸モータにはステッピングモータロータリーエンコーダ内蔵のサーボモータが使われ、角位置が制御可能となっている。フォーク4は回転軸6(Q軸)を中心にQ軸モータ8によって歯車7を介して回転駆動され、Q軸もまた、R軸同様に角位置制御が可能になっている。

0020

この実施の形態では、光点進路偏向機構18は、2軸以上の自由度を有し、コマンドにより駆動制御され、光源からの光の方向を変更制御する機能を有する部分で、基板13,基板13に立設された支柱,歯車5,7,回転軸6,9などの機構部材,Q軸モータ8およびR軸モータならびに可動式反射鏡3を含む部分が組み込まれて構成されている。
一方、基板13に立設されている支柱13dには、カメラ10が固定され、ハーフミラー2からの投影像の反射像が入射する光路とカメラのレンズの光軸が一致する姿勢になるように取り付けられている。
投影筒1を出た光束は、図1Bに示すようにハーフミラー2を通過した後、可動式反射鏡3によって反射され、ドームスクリーン12に向けて出射される。これにより恒星状の点像を所定の距離を隔てたドームスクリーン12に投影することができる。
ドームスクリーン12上に投影された投影像11は、可動式反射鏡3へ向かって光路を逆行し、ハーフミラー2で反射されてカメラ10に導かれる。

0021

カメラ10は、可動式反射鏡3の姿勢角によらず、つまりスクリーンに投影した投影像の位置によらず、常に投影像を写野の中心に捕らえ、撮影することが可能となるように設定されている。
カメラ10には望遠レンズが備わっており、スクリーン上の投影像の周辺およそ1度〜5度程度の狭い範囲のみを撮影可能となっている。カメラ10の画角は狭いので、投影像の位置合わせを肉眼で違和感ない程度に行おうとした場合であっても、必要な解像度は低く、安価なカメラを使用することができる。
例えば、カメラの横方向の画角が2度であり、必要な分解能が0.5分角とすると、横方向の解像度は、2/(0.5/60)=240 pixelで足りることになる。

0022

図2は、この個別天体投影機をドーム内に設置した例を示す側面図である。
ドームスクリーン21の周辺部に、個別天体投影機20が置かれ、ドームスクリーン21の内面に恒星像22が投影されている。
ドームスクリーン21の曲率半径や、個別天体投影機20の設置座標,姿勢角は既知であるから、然るべき幾何学的座標変換によって、投影像をドームスクリーン21上の所定の座標に投影するよう、個別天体投影機20のQ軸、R軸を制御することが可能である。
これら投影座標の設定には、公知の分離独立式惑星投影機などで広く実現されている技術を応用することが可能である。

0023

図3は、このような個別天体投影機を用いて、ドームスクリーン上に恒星像を投影し、カメラで撮影した時の写野を示す図である。
個別天体投影機自身が投影した恒星像30がカメラ画面の中に写っている。
恒星像30が写っている点を基準点と呼び、この座標を、RX,RYとする。
カメラの光軸と投影光学系の光軸は殆ど一致しているため、恒星像のドームスクリーン上の位置によらず一定であり、RX,RYは一定値を取る。言い換えると、一度、RX、RYを取得して制御装置(コンピュータ)の記憶回路に記憶すれば、あとの投影の制御では個別天体投影機を再度分解しない限り、個別天体投影機は自己の投影像を投影することもなく、RX、RYの値を取得できることになる。

0024

図4は、個別天体投影機から投影した恒星像の近傍に、もう1台の個別天体投影機から恒星像を投影した様子を示す図である。
もう1台の個別天体投影機23から、恒星像24がドームスクリーン21上に投影されている。この時の、個別天体投影機20のカメラの写野を示したのが図5である。
自己の個別天体投影機20で投影した恒星像(自己の恒星像)30の近傍に個別天体投影機23による恒星像(他の恒星像)31が写野に投影されている。実際には一度、RX、RYを取得すれば、2つの像を一致させるために自己の恒星像30の投影を行う必要はない。自己の恒星像30がなければ、他の恒星像31の位置だけを画像処理で取得するのはさらに容易となる。

0025

ここで自己の個別天体投影機で投影した投影像と他の個別天体投影機で投影した投影像との座標差を、SX、SYとする。
この写野を撮像し、画像処理によってRX、RY、SX、SYの値を取得する方法は容易にできるため、その詳細な説明は省く。
プラネタリウムでは明暗膨大な数の恒星を投影し、写野にも写り込むことが予測されるが、実際には明るい恒星の数は僅かであり、特に個別天体投影機で投影する必要性の高い恒星はその中でも特に明るい限られた天体であるので、画像処理によって他の恒星像と鑑別することは容易である。
このSX、SYを求めることができれば、これを0となるように、自己または他の天体投影機のQ軸、R軸の角度を修正すればよい。Q軸,R軸の補正量を算出するには、幾何学的な座標変換によっても良いし、または設置調整に、実際にQ軸,R軸を僅かに動かして、他の天体投影機からの投影像が写野でどの方向に動くかを確認して修正量を算出しても良い。

0026

図6は、ドームスクリーン上の所定座標で天体像を投影した時、自己の天体投影機のQ軸,R軸を一定角度(例えば1度)動かした時の、カメラ写野上での他の天体投影機の天体像の移動量を示したものである。
Q軸のみを1度動かした時の他の天体投影機の天体像を31Q、R軸を1度動かした時の他の天体投影機の天体像を31Rとする。
この座標移動量を、それぞれ、Q軸を1度移動した時の移動量を(dqx,dqy)、R軸を1度移動した時の移動量を(drx,dry)とする。
すると、Q軸の角度をq度移動した時の移動量はq倍となり、q(DQX,DQY)と計算できる。また、R軸の角度をr度移動した時の移動量はr倍となり、r(DRX,DRY)と計算できる。

0027

つまり、実際の移動量(SX,SY)は両者のX成分、Y成分の和となるので、

SX=r・DRX+q・DQX ・・・(1)
SY=r・DRY+q・DQY ・・・(2)

となる。
この連立方程式を解いて、q,rを求めると、

q=(SY-(dry×SX)/drx)/((dqy+(-dry×dqx)/drx)) ・・・(3)
r=((SY-(dqy×SX)/dqx))/(((-dqy×drx)/dqx+dry)) ・・・(4)

として計算できる。

0028

このように、dqx,dqy,drx,dryの4値を補正パラメータとして、SX,SYからQ軸,R軸の誤差補正量を算出することができる。
この補正パラメータは、ドームスクリーン上の特定の座標での値に過ぎないので、実際にはドームスクリーン上のさまざまな座標でこの補正パラメータの値は変わってくる。
例えば、ドームスクリーン上の一定間隔で複数の座標で補正パラメータを測定してデータとして制御装置の記憶回路等に保管しておき、実際の運用時は補完計算で任意の座標での補正パラメータを算出して補正計算を行えばよい。1回の補正で残存誤差があっても、複数回繰り返すことにより、誤差の値を極めて小さくすることができる。

0029

図7は、上記説明に従って、実際の位置合わせの手順を示したフローチャートである。
テップを示す各ブロックには、そのステップで処理を行う対象となるカメラ,メモリ,・・・装置,サーボコントローラなどの名前が記載されているが、各ブロック自体は記載した名称の装置などに基づき処理や演算を行うことを意味するものである。
まず最初に、ドームスクリーン上の複数の点で、補正パラメータを取得し、補正パラメータメモリに格納する(ステップ(以下「S」という)1)。
補正パラメータを取得するには、天体投影機の向ける地平座標座標変換装置により所定の角度に向けた後、他の天体投影機、またはディジタル映像などで、自己の天体投影機のカメラ写野に入るように天体像を投影し、これを固定した状態で、天体投影機のQ軸,R軸の角度を一定値(たとえば1度)移動させ、その時の写野上のX座標Y座標の移動量を記録する。
これを複数の座標位置で行い、データマップ(補正パラメータメモリ)として格納し(S1)、任意の地平座標を与えられる(S3)と、補完演算(S2)によって任意の地平座標に対する補正パラメータを取得できるようにしておく。この補正パラメータを取得するのが補正パラメータ算出装置である(S2)。
これは設置時などに行えばよい作業で、通常運用で必要な作業ではない。

0030

続いて上映中の2台の天体投影機の位置合わせ手順を説明する。
カメラを使って位置を補正する側の天体投影機を自投影機、位置を合わせられる側の天体投影機を他投影機とする。
天体を表示する地平座標は所定の位置天文計算で与えられる(S3)。
座標変換装置は、あらかじめ天体投影機の設置位置や姿勢角、ドーム曲率半径等の幾何学パラメータを元に、座標変換によって、地平座標をQ軸、R軸の目標角度に変換し(S4)、サーボコントローラで実際にその角度にあうように制御する(S9)。
これを自投影機と他投影機で行い、実際にそれぞれQ軸とR軸の制御をかけると、この状態で両者の投影像はドームスクリーン上の近くに並んで投影される。なお、自投影機の投影像はオフでも構わない。

0031

ここで自投影機のカメラで撮像する(S5)と、他投影機による恒星像が撮像されるので、この映像を画像処理して誤差SX,SYを取得する(S6)。
S3で示す地平座標を元に、補正パラメータ算出装置で補正パラメータを算出し(S2)、これとS6からのSX,SYを補正量算出装置に入力して、Q軸,R軸の補正量を算出する(S7)。この補正量をサーボコントローラに入力するQ軸、R軸の目標角加算する(S8)ことにより、自投影機の投影像は他投影機の位置に合うように移動する(S9)。ここで誤差が残っても同一の手順を繰り返すことにより誤差をさらに小さくすることができる。
図7で説明したS3,S5を除くS1〜2,S4,S6〜9の各ステップで演算や処理を行う制御部分により構成される制御装置(コンピュータなど)は、ドームの周辺に設置される天体投影機とともにドーム周辺などに設置される。制御装置を構成する制御部分は制御装置に一体に組み込まれていなくてもよく、制御部分の一部が天体投影機に具備されていてもよい。

0032

つぎに、本発明の位置合わせを用いて、ある天体を2台の天体投影機で切り替えて再現する場合の手順例を説明する。
図8は、2台の天体投影機を用いて、日周運動などによりドームスクリーン上の位置を徐々に変えていく天体を切替投影する例を説明するための図で、ドームスクリーンを、その一部を切り出した矩形の領域として図示している。
ドームスクリーンの矩形の領域は、領域A,ABおよびBに分けられている。投影機A(49)は、領域Aおよび境界線41より左の領域ABが投影可能範囲であり、この投影可能範囲内の任意の座標に天体を投影可能である。投影機B(50)は、領域Bおよび境界線40より右の領域ABが投影可能範囲であり、この投影可能範囲内の任意の座標に天体を投影可能である。
ここで、投影すべき天体が、開始点43から緩やかな円弧を描き(円弧経路42)、終了点44まで移動する場合を想定する。つまり、天体投影機が投影すべき、天体の目標座標がこの円弧経路42に沿って移動し、これに追従して天体投影機の投影方向が移動すると考える。

0033

天体投影機は、あらかじめ固定され、設置座標や姿勢角が測定され、然るべき校正がされているので、投影可能範囲内において、任意の地平座標に天体を投影可能な状態となっている。しかしながら、実際には天体投影機やドームスクリーンの経時的な変化など様々な誤差などがあって、本来投影すべき座標に対して僅かな誤差を生じてしまう。
図9はその誤差を説明するための図である。
本来投影すべき経路42に対し、投影機A(49)で実際に投影される経路を45,投影機B(50)で実際に投影される経路を46とする。経路45と46は図中では平行に描かれているが実際には平行であるとは限らない。
図9の右図は、投影機B(50)のカメラの撮像画面を示したものである。この撮像画面47上には、投影機Bの自己の投影像が写る基準点(RX,RY)が図示されている。

0034

図9のような天体の動きを想定し図10図17を参照して天体の投影像の動きを時系列で説明する。
図10の左図は、天体投影機Aにより投影された天体像51が経路に沿って移動している状態を示している。これは、移動する天体の座標を刻々と計算し、この目標値に対して天体投影機Aの投影像の方向を制御することにより行われる。しかし、本来投影すべき座標よりスクリーン上でわずかな誤差が生じている。
左図の状態の時、天体投影機Bの投影可能範囲外であるから、天体投影機Bの天体像は全く別の場所にある。なお、区別のため、天体投影機AとBの天体像は形を変えて図示しており、点灯状態は黒で塗りつぶし、消灯状態輪郭のみ鎖線で示す。天体投影機Bのカメラの撮像画面54では、基準点には自己の天体像(恒星像)52があるが、この段階では消灯しているので何も写らない。消灯している恒星像を示す引き出し線点線で示している。このカメラのレンズは望遠レンズであって、画面に入るのは自己の投影像の周辺の高々数度の範囲である。天体投影機Aの星像は大きく離れた所にあるため天体投影機Bのカメラの撮像画面54には写っていない。

0035

図11は、天体が移動し、境界線40を越えて天体投影機Bの投影可能範囲に入った状態を示している。天体投影機Bが動きだし、投影像(天体像52)の方向は天体の目標位置に向かう。
図12は、さらに天体投影機Bの投影方向も天体像の目標位置にほぼ一致しながら移動している状態を示している。天体投影機Aも同様に目標位置に追従して移動しているが、両投影機の間には機械的な誤差があるから、この時点では天体投影機Aの投影像(天体像51)と、天体投影機Bの投影像(天体像52)の方向には誤差がある。しかしその誤差はせいぜい1度以下という小さな値であるので、天体投影機Bのカメラ撮像画面54内には、天体投影機Aで投影されている天体像51が写り込んでいる。

0036

図13は、天体投影機Bが天体の経路に追従して経路を移動する状態になったところを示している。天体投影機Bの向きは、天体像52の経路46aから経路46に沿って移動し、天体投影機Aのそれとは誤差がある。そのため、天体投影機Bの撮像画面54上では、基準点とは離れたところに依然として天体投影機Aの天体像51が写っている。カメラの画像処理装置の画像処理によって、撮像画面54上の天体像の位置と誤差が測定され、天体投影機Bの2軸に対する補正動作を開始する。

0037

図14は、誤差補正によって天体投影機Bの向きが移動して、天体像52が天体投影機Aの天体像51に近づいていく様子を示している。天体投影機Bの撮像画面54上でも天体投影機Aの天体像51が矢印55に示す方向に移動し基準点に近づいていく。
図15は、天体投影機Bの天体像52が天体投影機Aの天体像51に一致した状態を示している。天体投影機Bの撮像画面54上では、基準点に天体投影機Aの天体像51が写っている。以上により誤差修正は完了する。なお、位置の移動に伴い誤差は発生し得るので常に補正動作は続ける。

0038

図16は、天体投影機Aの光源をオフし、天体投影機Bの光源をオンした状態を示している。正確に位置が一致しているので切替は目立たない。
瞬時に切り替えても良いし、一定の秒数をかけてクロスフェードしてもよい。
図17は、天体の位置が天体投影機Aの投影可能範囲を脱した状態を示している。
天体投影機Aの向く方向は境界線41で止まるが既に光源はオフしているので、天体像51は写っていない。天体投影機Bの天体像52が経路に沿って移動し続ける。

0039

このような制御により、単一の天体を複数の天体投影機を用いて切り替えて投影する際にも、切り替え時のずれを防止し、スムーズな切替を実現することができる。
本発明による位置合致システムで投影像の位置を一致させ切り替えて天体の投影を再現できる対象は、恒星は勿論、惑星等も可能である。したがって恒星投影機のみならず惑星投影機もドーム中心に置かずにドーム周辺だけに設置することにより、本発明の目的を達成することができる。

0040

図18は、天体投影機の光路中に小さな反射鏡(斜鏡)を設置し、投影像付近を撮影可能にした投影筒の実施の形態を示す図である。
投影筒64の光源LED61から出射した光は、ピンホール62,斜鏡63の周囲を通り、投影レンズ60によってドームスクリーンに投射される。このドームスクリーンに投影された投影像は、入射した光路を戻り、投影レンズ60を逆方向に通過し、斜鏡63で90度方向に反射してカメラ10に入射し撮像される。天体投影機の投影ユニットの方向によらずカメラの写野の特定の座標に投影像が写る構成である。
この投影筒64は、図1Aの構成からカメラ10,ハーフミラー2を省略し、投影筒1と置き換えることにより、他の個別天体投影機を構成することができる。また、図19のカメラ10が搭載されている投影筒65と置き換えることにより、さらに他の個別天体投影機を構成することができる。

0041

図19は、投影筒の向きをコントロールし投影筒にカメラを同架した天体投影機の実施の形態を示す斜視図である。
投影筒65の上にカメラ10が同架されている。カメラ10を載せた投影筒65が、固定スタンド72により、水平回転軸70、垂直回転軸71を軸に回転制御可能なように保持されている。
固定スタンド72の裏面に垂直回転軸71を回動するためのモータ75が取り付けられている。モータ75の出力歯車73は歯車74に噛合し、歯車74にはフレーム76が固定されている。フレーム76の端部には水平回転軸70を回動するためのモータ77が取り付けられている。モータ77の出力歯車81は歯車79に噛合し、歯車79にはカメラ10と投影筒65を取り付けるためのフレーム82が固定されている。投影筒65はフレーム82にネジ止めされる円弧状の止め金具83で把持され固定される。カメラ10はフレーム82の端部に固定される。投影筒65の光軸84とカメラ10の光軸85が平行になるように調整されてカメラ10および投影筒65が取り付けられている。

0042

このように投影筒65の光軸84とカメラ10の光軸85は平行であるが、光軸間に距離があるため投影距離の変化によりわずかな視差が生じる。このため、ドームスクリーンの座標に応じて自己の投影像のカメラ写野上の位置がわずかに移動するが、この移動量は投影像と天体投影機の距離によって決まる。この距離は幾何学的計算によって算出できるので、投影像のドームスクリーン上の位置によらず、自己の投影像のカメラ写野上の位置を把握することは可能である。
この実施の形態ではモータ75,77,歯車73,74,79,81および回転スタンド,フレームなどの各機構部品ならびに投影筒65を含む部分により光点進路偏向機構が形成されている。光点進路偏向機構はモータをコマンドにより駆動制御することにより投影筒を取り付けた機構部分の水平回転軸と垂直回転軸の2軸を制御して光源からの光の方向を変更制御するものである。

0043

図20は、投影筒の前に斜鏡を設けた天体投影機の実施の形態を示す図で、このような天体投影機を2台設置した例を示している。
図1Aの個別天体投影機と類似する構成であり、投影筒1の前にハーフミラーの代わりに斜鏡80を設けた点で異なっている。斜鏡80はハーフミラーとほぼ同様の作用を呈する。
投影筒1からの光はハーフミラーとは異なり、斜鏡80内を通過せず、斜鏡80の周囲を通過して可動式反射鏡3に達する。斜鏡80周辺の光束が通過する領域は、光が通過しない斜鏡80が占める面積に比較し、非常に大きいため通過する光束の光量の減衰は殆どない。

0044

以上、いくつかの投影光学系の実施の形態を示したが、投影筒の向きに追随してカメラの視野が移動することにより、カメラの解像度を上げることなく、自己の投影像付近のみを撮影可能にしたことが本発明の主旨である。したがって、これらを実現するための天体投影機は、上記実施の形態は勿論、以上挙げた以外の構成においても、投影筒とカメラが連動して自己の投影像付近を限定して撮影するカメラを使用したものは全て本発明の範疇に含まれるものである。

0045

2以上の天体投影機をドームの周辺に設置し、ある天体投影機が投影する天体像が投影できないドームスクリーン位置に移動したとき他の投影装置が投影する天体像に正確に、かつ円滑に切り替えることができる天体の投影像の位置合致システムを採用したプラネタリウムである。

0046

1,64,65投影筒(投影光学系の一部)
2ハーフミラー(光分岐部材)
3可動式反射鏡
4フォーク
5,7歯車
6,9回転軸
8Q軸モータ
10カメラ
11投影像
12,21ドームスクリーン
14,60投影レンズ
15,61光源LED
16ピンホール原板
17光軸
18光点進路偏向機構
20,23 個別天体投影機
22,24,30,31恒星像(天体像)
40,41境界線
42円弧経路
43開始点
44終了点
45,46経路
47,54 カメラ撮像画面
48撮像位置
49投影機(天体投影機)A
50 投影機(天体投影機)B
51,52 天体像
55 矢印
62 ピンホール
63,80斜鏡(光分岐部材)
70水平回転軸
71垂直回転軸
72 固定スタンド

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