図面 (/)

技術 機械要素材料の品質保証方法および装置

出願人 NTN株式会社
発明者 杉崎良典八木田和寛藤田工
出願日 2015年9月25日 (5年1ヶ月経過) 出願番号 2015-187602
公開日 2017年3月30日 (3年7ヶ月経過) 公開番号 2017-062177
状態 特許登録済
技術分野 放射線を利用した材料分析 ころがり軸受 機械部品、その他の構造物または装置の試験
主要キーワード 下限界応力拡大係数 シミュレーション過程 臨界直径 合金成分量 荒成形 介在物サイズ 仕上げ形状 音波探査
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2017年3月30日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (7)

課題

鋼材状態で介在物検査を行うことで、軌道面から一定深さに位置する、き裂進展し得る介在物存在確率所定値以下に保証し、転動疲労寿命が一定の水準に達しているかの判定が行える機械要素材料の品質保証方法および装置を提供する。

解決手段

次の各過程を含む。鋼材の介在物に係る情報を取得する過程(S1)。鍛造シミュレーションを行って鍛造の後のファイバーフロ−の方向の情報を取得する過程(S2)。前記介在物検査過程で得た介在物に係る情報と鍛造シミュレーション過程で得たファイバーフロ−の方向の情報とから、鋼材が機械要素に製品化された状態における転動面の表面から一定の深さに位置する前記介在物の分布状態を調べる過程(S3)。き裂が進展し得る介在物に係るデータベース蓄積情報、および介在物の分布状態から、軌道面から一定深さに位置する、き裂が進展し得る介在物の存在確率を求める過程(ステップS6)。

概要

背景

軸受軌道面表面および軌道面直下非金属介在物が、転がり軸受転動疲労寿命に影響を及ぼすことがよく知られている。例えば、非特許文献1に記載の論文軸受鋼の転動疲労寿命における非金属介在物の大きさの影響」では、同じ材質、硬さにおけるL10寿命は、介在物の種類によらず転動面直下の危険体積中に存在する最大の介在物の大きさに支配されるとしている。近年、鋼中の酸素濃度の低減などにより、転動疲労寿命に影響を及ぼす巨大な非金属介在物の存在確率は減少してきてはいるものの、全くにすることはできない。そのような軌道面近傍不可避に含まれる巨大な非金属介在物を検出し、寿命を保証する方法が提案されている。例えば、特許文献1では、超音波探査法を用いて軌道面における非金属介在物を長さ500μm 未満、好ましくは100μm 未満に規制することにより、安定的な転動疲労寿命を保証できるとしている。

また、製鋼鍛造工程において導入されるファイバーフローの方向についても転動疲労寿命に影響を及ぼすことが報告されている。特許文献2では、鋼中の合金成分量、具体的にはCuとAL量を閾値以下に規定することにより、寿命に対するファイバーフローの影響を取り除くことができるとしている。特許文献3のように、鍛造の方法を工夫することによりファイバーフローの影響を是正する技術も開示されている。

特許文献4では、超音波探査法を用いて軌道面における非金属介在物を長さ300μm 未満、かつ軌道面に対するファイバーフローを15°未満に規制することで、長寿命化を図ることができるとしている。

概要

鋼材状態で介在物検査を行うことで、軌道面から一定深さに位置する、き裂進展し得る介在物の存在確率を所定値以下に保証し、転動疲労寿命が一定の水準に達しているかの判定が行える機械要素材料の品質保証方法および装置を提供する。 次の各過程を含む。鋼材の介在物に係る情報を取得する過程(S1)。鍛造のシミュレーションを行って鍛造の後のファイバーフロ−の方向の情報を取得する過程(S2)。前記介在物検査過程で得た介在物に係る情報と鍛造シミュレーション過程で得たファイバーフロ−の方向の情報とから、鋼材が機械要素に製品化された状態における転動面の表面から一定の深さに位置する前記介在物の分布状態を調べる過程(S3)。き裂が進展し得る介在物に係るデータベース蓄積情報、および介在物の分布状態から、軌道面から一定深さに位置する、き裂が進展し得る介在物の存在確率を求める過程(ステップS6)。

目的

この発明の目的は、鋼材の状態で介在物検査を行うことで、機械要素として製品化された場合における、軌道面から一定深さに位置する、き裂が進展し得る介在物の存在確率を所定値以下に保証し、転動疲労寿命が一定の水準に達しているかの判定が行える機械要素材料の品質保証方法および装置を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

転動面を有する機械要素の材料である鋼材が、鍛造を経て前記機械要素に製品化された場合に、転動疲労寿命が一定の水準に達しているか否かの判定を行う機械要素材料の品質保証方法であって、前記鋼材の介在物に係る情報を取得する介在物検査過程と、前記鋼材を前記機械要素の形状に加工する鍛造のシミュレーションを行って前記鍛造の後のファイバーフロ−の方向の情報を取得する鍛造シミュレーション過程と、前記介在物検査過程で得た介在物に係る情報と前記鍛造シミュレーション過程で得たファイバーフロ−の方向の情報とから、前記鋼材が前記機械要素に製品化された状態における前記転動面の表面から一定の深さに位置する前記介在物の分布状態を調べる分布状態シミュレーション過程と、前記転動面で転動が行われた場合に前記機械要素にき裂進展し得る介在物に係るデータベース蓄積情報、および前記分布状態シミュレーションで得られた介在物の分布状態から、前記製品軌道面から一定深さに位置する、き裂が進展し得る介在物の存在確率を求めるき裂進展介在物存在確率推定過程と、この求められた存在確率が一定値以下であるか否かを判定する転動疲労寿命確保過程、とを含む機械要素材料の品質保証方法。

請求項2

請求項1に記載の機械要素材料の品質保証方法において、前記分布状態シミュレーション過程では、乱数を用いた複数回の試行により、前記転動面の表面から一定の深さに位置する前記介在物の分布状態を定める機械要素材料の品質保証方法。

請求項3

請求項1または請求項2に記載の機械要素材料の品質保証方法において、前記データベースの構築については、任意の使用条件における、任意の緒元の介在物周り応力拡大係数振幅有限要素法により算出し、算出された応力拡大係数振幅と、既知下限界応力拡大係数との比較により、前記応力拡大係数振幅が大きい場合に、転動によりき裂が進展し得る介在物であると判断し、この検討を、使用条件、介在物緒元毎に実施し、き裂が進展し得る介在物の前記データベースを構築する機械要素材料の品質保証方法。

請求項4

請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の機械要素材料の品質保証方法において、転動疲労寿命試験の実施によって、き裂が進展し得る介在物の存在確率と転動疲労寿命との関係のデータベースを構築し、このデータベースと、前記き裂進展介在物存在確率推定過程で求めた前記き裂が進展し得る介在物の存在確率とを照合することにより、転動疲労寿命が一定水準に達しているかを判定する過程を含む機械要素材料の品質保証方法。

請求項5

請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の機械要素材料の品質保証方法において、前記機械要素が転がり軸受軌道輪または転動体である機械要素材料の品質保証方法。

請求項6

転動面を有する機械要素の材料である鋼材が、鍛造を経て前記機械要素に製品化された場合に、転動疲労寿命が一定の水準に達しているか否かの判定を行う機械要素材料の品質保証装置であって、前記鋼材の介在物に係る情報を記憶する介在物検査情報記憶手段と、前記鋼材を前記機械要素の形状に加工する鍛造のシミュレーションを行って前記鍛造の後のファイバーフロ−の方向の情報を取得する鍛造シミュレーション手段と、前記介在物検査情報記憶手段に記憶された介在物に係る情報と前記鍛造シミュレーション手段で得たファイバーフロ−の方向の情報とから、前記鋼材が前記機械要素に製品化された状態における前記転動面の表面から一定の深さに位置する前記介在物の分布状態を調べる分布状態シミュレーション手段と、前記転動面で転動が行われた場合に前記機械要素にき裂が進展し得る介在物に係るデータベースの蓄積情報、および前記分布状態シミュレーションで得られた介在物の分布状態から、前記製品の軌道面から一定深さに位置する、き裂が進展し得る介在物の存在確率を求めるき裂進展介在物存在確率推定手段と、この求められた存在確率が一定値以下であるか否かを判定する転動疲労寿命確保手段、とを備える機械要素材料の品質保証装置。

技術分野

0001

この発明は、転がり軸受軌道輪等の転動により疲労する機械要素の材料の転動疲労寿命が一定の水準に達していることを保証する機械要素材料の品質保証方法および装置に関する。

背景技術

0002

軸受軌道面表面および軌道面直下非金属介在物が、転がり軸受の転動疲労寿命に影響を及ぼすことがよく知られている。例えば、非特許文献1に記載の論文軸受鋼の転動疲労寿命における非金属介在物の大きさの影響」では、同じ材質、硬さにおけるL10寿命は、介在物の種類によらず転動面直下の危険体積中に存在する最大の介在物の大きさに支配されるとしている。近年、鋼中の酸素濃度の低減などにより、転動疲労寿命に影響を及ぼす巨大な非金属介在物の存在確率は減少してきてはいるものの、全くにすることはできない。そのような軌道面近傍不可避に含まれる巨大な非金属介在物を検出し、寿命を保証する方法が提案されている。例えば、特許文献1では、超音波探査法を用いて軌道面における非金属介在物を長さ500μm 未満、好ましくは100μm 未満に規制することにより、安定的な転動疲労寿命を保証できるとしている。

0003

また、製鋼鍛造工程において導入されるファイバーフローの方向についても転動疲労寿命に影響を及ぼすことが報告されている。特許文献2では、鋼中の合金成分量、具体的にはCuとAL量を閾値以下に規定することにより、寿命に対するファイバーフローの影響を取り除くことができるとしている。特許文献3のように、鍛造の方法を工夫することによりファイバーフローの影響を是正する技術も開示されている。

0004

特許文献4では、超音波探査法を用いて軌道面における非金属介在物を長さ300μm 未満、かつ軌道面に対するファイバーフローを15°未満に規制することで、長寿命化を図ることができるとしている。

0005

特開2000−130447号公報
特許第2969232号公報
特開平5−277615号公報
特開2003−301850号公報

先行技術

0006

「軸受鋼の転動疲労寿命における非金属介在物の大きさの影響」Sanyo Technical Report Vol.12 (2005) No.1 p38
「鋼硬度鋼のモード・疲労き裂進展特性を求めるための新試験法NTN Technical Review No.69 (2001) p53

発明が解決しようとする課題

0007

上述した超音波探傷法は、軸受軌道面全体を検査できるという利点はあるものの、不感帯ができるため、表面近傍の検出に難がある。周波数の高い超音波探傷を実施することにより数十μm サイズの非金属介在物の検出も可能ではあるが、工業的な利用を考えた場合、100μm 未満のサイズの検出は困難である。非特許文献2では、実験から求めたJIS−SUJ2のモード・下限界応力拡大係数ΔKth 条件におけるき裂が進展する円盤状き裂の臨界直径計算結果提示している。これによると、最大面圧が2.5GPa の場合、き裂の臨界直径は50μm であり、特許文献1の規制値である100μm 未満は、転動疲労寿命を充分に確保できるとは言えない。

0008

また、製品の複雑形状化や製造工程上、鍛造による軌道面に対するファイバーフロー方向の制御が困難である場合がある。併せて、鋼材多様化グローバル調達化が進む中、閾値以上の合金成分量の鋼材を使用する場合もあることから、新たな転動疲労寿命を確保する手法が必要である。

0009

この発明の目的は、鋼材の状態で介在物検査を行うことで、機械要素として製品化された場合における、軌道面から一定深さに位置する、き裂が進展し得る介在物の存在確率を所定値以下に保証し、転動疲労寿命が一定の水準に達しているかの判定が行える機械要素材料の品質保証方法および装置を提供することである。

課題を解決するための手段

0010

この発明の機械要素材料の品質保証方法は、転動面を有する機械要素の材料である鋼材が、鍛造を経て前記機械要素に製品化された場合に、転動疲労寿命が一定の水準に達しているか否かの判定を行う機械要素材料の品質保証方法であって、
前記鋼材の介在物に係る情報を取得する介在物検査過程(ステップS1)と、
前記鋼材を前記機械要素の形状に加工する鍛造のシミュレーションを行って前記鍛造の後のファイバーフロ−の方向の情報を取得する鍛造シミュレーション過程(ステップS2)と、
前記介在物検査過程で得た介在物に係る情報と前記鍛造シミュレーション過程で得たファイバーフロ−の方向の情報とから、前記鋼材が前記機械要素に製品化された状態における前記転動面の表面から一定の深さに位置する前記介在物の分布状態を調べる分布状態シミュレーション過程(ステップS3)と、
前記転動面で転動が行われた場合に前記機械要素にき裂が進展し得る介在物に係るデータベース蓄積情報、および前記分布状態シミュレーション(ステップS3)で得られた介在物の分布状態から、前記製品の軌道面から一定深さに位置する、き裂が進展し得る介在物の存在確率を求めるき裂進展介在物存在確率推定過程(ステップS6)と、
この求められた存在確率が一定値以下であるか否かを判定する転動疲労寿命確保過程(ステップ8)とを含む。

0011

この方法によると、まず鋼材の介在物検査を実施し(ステップ1)、鍛造シミュレーション(ステップ2)を介して製品形状における非金属介在物の分布状態を模擬する(ステップ3)。さらに、例えば有限要素法により求めデータベース化したき裂の進展し得る介在物サイズとの比較により、軌道面からの一定深さに位置するき裂が進展し得る介在物の存在確率を求める(ステップ6)。なお、鋼材がどのように鍛造されて製品形状の機械要素とされるかにつき、鍛造時の素材である鋼材の寸法形状およびファイバーフロ−の方向は常に定まっているとする。
このように、鋼材の介在物検査を実施することにより、製品の軌道面からの一定深さに位置するき裂が進展し得る非金属介在物の存在確率を一定値以下に保証することにより、安定的な転動疲労寿命を確保することができる。

0012

なお、前記介在物は、例えば非金属介在物である。また、この明細書において、「一定の」とは、任意に定められる値であり、設計やシミュレーション、試験等の結果に基づき、任意に定めれば良い。

0013

この発明方法において、前記分布状態シミュレーション過程(ステップ3)では、乱数を用いた複数回の試行により、前記転動面の表面から一定の深さに位置する前記介在物の分布状態を定めるようにしても良い。
これにより、き裂が進展し得る介在物の存在確率を、より一層精度良く求め、転動疲労寿命の推定の精度を高めることができる。

0014

この発明方法において、前記データベースの構築については、任意の使用条件における、任意の緒元の介在物周り応力拡大係数振幅を有限要素法により算出し、算出された応力拡大係数振幅と、既知の下限界応力拡大係数との比較により、前記応力拡大係数振幅が大きい場合に、転動によりき裂が進展し得る介在物であると判断し、この検討を、使用条件、介在物緒元毎に実施し、き裂が進展し得る介在物の前記データベースを構築しても良い。
この方法の場合、き裂が進展し得る介在物の前記データベースを、使用条件、介在物緒元毎に検索可能に構築でき、き裂が進展し得る介在物の存在確率、しいては転動疲労寿命を、さらに一層精度良く求めることができる。

0015

この発明方法において、転動疲労寿命試験の実施によって、き裂が進展し得る介在物の存在確率と転動疲労寿命との関係のデータベースを構築し、このデータベースと、前記き裂進展介在物存在確率推定過程で求めた前記き裂が進展し得る介在物の存在確率とを照合することにより、転動疲労寿命が一定水準に達しているかを判定する過程を含むようにしても良い。
この場合、任意の鋼材を用いて任意の製品を加工した場合の転動疲労寿命が一定水準に達しているかを判定することができるため、安定的な転動疲労寿命を確保することができる。

0016

この発明方法において、前記機械要素が転がり軸受の軌道輪または転動体であっても良い。
この発明方法は、転動面を有する機械要素の材料であれば適用することができ、軸受部品の他に、等速ジョイント継手部材等にも適用できるが、前記機械要素が転がり軸受の軌道輪または転動体である場合に、転動疲労寿命を推定することが強く求められ、その要求に良好に対応することができる。

0017

この発明の機械要素材料の品質保証装置20は、転動面を有する機械要素の材料である鋼材が、鍛造を経て前記機械要素に製品化された場合に、転動疲労寿命が一定の水準に達しているか否かの判定を行う機械要素材料の品質保証装置であって、
前記鋼材の介在物に係る情報を記憶する介在物検査情報記憶手段21と、
前記鋼材を前記機械要素の形状に加工する鍛造のシミュレーションを行って前記鍛造の後のファイバーフロ−の方向の情報を取得する鍛造シミュレーション手段22と、
前記介在物検査情報記憶手段21に記憶された介在物に係る情報と前記鍛造シミュレーション手段22で得たファイバーフロ−の方向の情報とから、前記鋼材が前記機械要素に製品化された状態における前記転動面の表面から一定の深さに位置する前記介在物の分布状態を調べる分布状態シミュレーション手段23と、
前記転動面で転動が行われた場合に前記機械要素にき裂が進展し得る介在物に係るデータベース25の蓄積情報、および前記分布状態シミュレーションで得られた介在物の分布状態から、前記製品の軌道面から一定深さに位置する、き裂が進展し得る介在物の存在確率を求めるき裂進展介在物存在確率推定手段26と、
この求められた存在確率が一定値以下であるか否かを判定する転動疲労寿命確保手段28、とを含む。

0018

この構成の機械要素材料の品質保証装置によると、この発明の機械要素材料の品質保証方法につき前述したと同様に、鋼材状態で介在物検査を行うことで、機械要素として製品化された場合における、軌道面から一定深さに位置する、き裂が進展し得る介在物の存在確率を所定値以下に保証し、転動疲労寿命が一定の水準に達しているかの判定が行える。

発明の効果

0019

この発明の機械要素材料の品質保証方法は、転動面を有する機械要素の材料である鋼材が、鍛造を経て前記機械要素に製品化された場合に、転動疲労寿命が一定の水準に達しているか否かの判定を行う機械要素材料の品質保証方法であって、前記鋼材の介在物に係る情報を取得する介在物検査過程と、前記鋼材を前記機械要素の形状に加工する鍛造のシミュレーションを行って前記鍛造の後のファイバーフロ−の方向の情報を取得する鍛造シミュレーション過程と、前記介在物検査過程で得た介在物に係る情報と前記鍛造シミュレーション過程で得たファイバーフロ−の方向の情報とから、前記鋼材が前記機械要素に製品化された状態における前記転動面の表面から一定の深さに位置する前記介在物の分布状態を調べる分布状態シミュレーション過程と、前記転動面で転動が行われた場合に前記機械要素にき裂が進展し得る介在物に係るデータベースの蓄積情報、および前記分布状態シミュレーションで得られた介在物の分布状態から、前記製品の軌道面から一定深さに位置する、き裂が進展し得る介在物の存在確率を求めるき裂進展介在物存在確率推定過程と、この求められた存在確率が一定値以下であるか否かを判定する転動疲労寿命確保過程とを含むため、鋼材状態で介在物検査を行うことで、機械要素として製品化された場合における、軌道面から一定深さに位置する、き裂が進展し得る介在物の存在確率を所定値以下に保証し、転動疲労寿命が一定の水準に達しているかの判定が行える。

0020

この発明の機械要素材料の品質保証装置は、転動面を有する機械要素の材料である鋼材が、鍛造を経て前記機械要素に製品化された場合に、転動疲労寿命が一定の水準に達しているか否かの判定を行う機械要素材料の品質保証装置であって、前記鋼材の介在物に係る情報を記憶する介在物検査情報記憶手段と、前記鋼材を前記機械要素の形状に加工する鍛造のシミュレーションを行って前記鍛造の後のファイバーフロ−の方向の情報を取得する鍛造シミュレーション手段と、前記介在物検査情報記憶手段に記憶された介在物に係る情報と前記鍛造シミュレーション手段で得たファイバーフロ−の方向の情報とから、前記鋼材が前記機械要素に製品化された状態における前記転動面の表面から一定の深さに位置する前記介在物の分布状態を調べる分布状態シミュレーション手段と、前記転動面で転動が行われた場合に前記機械要素にき裂が進展し得る介在物に係るデータベースの蓄積情報、および前記分布状態シミュレーションで得られた介在物の分布状態から、前記製品の軌道面から一定深さに位置する、き裂が進展し得る介在物の存在確率を求めるき裂進展介在物存在確率推定手段と、この求められた存在確率が一定値以下であるか否かを判定する転動疲労寿命確保手段とを備えるため、鋼材状態で介在物検査を行うことで、機械要素として製品化された場合における、軌道面から一定深さに位置する、き裂が進展し得る介在物の存在確率を所定値以下に保証し、転動疲労寿命が一定の水準に達しているかの判定が行える。

図面の簡単な説明

0021

この発明の一実施形態に係る機械要素材料の品質保証方法を示す流れ図である。
同品質保証方法で行ったシミュレーション結果の一例である。
この発明の一実施形態に係る機械要素材料の品質保証装置を示す概念構成のブロック図である。
この発明の対象とする機械要素の一例を有する機械要素である車輪用軸受の断面図である。
同車輪用軸受における外輪のファイバーフロ−の説明図である。
転がり軸受の外輪の製造過程の説明図である。

実施例

0022

この発明の一実施形態を図面と共に説明する。この品質保証方法は、転動面を有する機械要素の材料である鋼材が、鍛造を経て前記機械要素に製品化された場合に、転動疲労寿命が一定の水準に達しているか否かの判定を、鋼材の状態で行う機械要素材料の品質保証方法であって、図1にその各過程の流れ図を示す。前記転動面を有する機械要素は、例えば、転がり軸受の軌道輪もしくは転動体、または等速ジョイントの一対の継手部材もしくはトルク伝達ボール等の転がり接触を行う機械要素であり、この実施形態では転がり軸受の軌道輪を対象としている。

0023

図1と共に、同図の各ステップ毎の処理を説明する。
「鋼材の介在物検査過程」(ステップS1)分布介在物情報の取得
前記鋼材の介在物に係る情報を取得する過程である。この過程では、検査対象の鋼材を、検査面が鋼材軸方向に対して平行、すなわちファイバーフロー方向と平行になるように切断して、試料を作製する。試料の硬度を確保するために、焼入を実施する。検査面を研磨および琢磨工程により、観察可能な鏡面に仕上げる。光学顕微鏡もしくはSEM−EDX(走査電子顕微鏡)を用いて、試料検査面を観察し、任意検査面積における種類、大きさ、アスペクト比分布密度などの介在物情報を取得する。光学顕微鏡を用いた際の介在物の種類の決定は、介在物の色味による識別で実施する。一方、SEM−EDXを用いた際は、EDXによる元素分析を実施し識別する。

0024

「鍛造シミュレーション過程」(ステップS2)製品形状におけるファイバーフロー方向情報の取得
前記鋼材を前記機械要素の形状に加工する鍛造のシミュレーションを行って前記鍛造の後のファイバーフロ−の方向の情報を取得する過程である。
鋼材状態から鍛造を経て、製品形状におけるファイバーフローがどのように変化するかを、DEFORM(総合加工シミュレーションシステム)をはじめとするCAE(computer aided engineering)ソフトを用いてシミュレーションを実施する。シミュレーション結果から軌道面直下のファイバーフロー方向情報を取得する。図2に鍛造シミュレーション結果の一例を示す。同図は、車輪用軸受における外輪を鍛造する場合の例であり、製品状態で突出している箇所は、外輪の外周のフランジとなる部分である。鍛造シミュレーションが困難な場合は、鋼材ではなく、鍛造後の製品形状の介在物検査を実施することにより得られる介在物の角度情報代替情報として採用する。

0025

「軌道面直下の介在物の分布状態のシミュレーション過程」(ステップS3)
鋼材の介在物検査から得られた種類、大きさ、アスペクト比、分布密度と、鍛造シミュレーションから得られたファイバーフロー方向の情報とを用いて、前記鋼材が機械要素に製品化された状態における、軌道面直下の一定の深さに位置する介在物の分布状態のシミュレーションを実施する。
介在物の分布状態シミュレーションとして、モンテカルロ法を用いた乱数シミュレーションなどがあげられる。この場合、乱数を用いた複数回の試行により、前記転動面の表面から一定の深さに位置する前記介在物の分布状態を定める。続けて、機械要素の製品形状において介在物検査を実施することにより、鋼材状態の介在物情報から得られた介在物の分布状態のシミュレーション結果の精度を確認することも可能である。

0026

「介在物からのき裂進展有無の検討過程」(ステップS4,S5)
任意の使用条件(荷重摩擦係数など) における、任意の緒元の介在物周りの応力拡大係数振幅を有限要素法により算出する。算出された応力拡大係数振幅と、論文などで報告されている既知の下限界応力拡大係数の比較により、き裂の進展の有無を判断する。例えばモードIIの場合、非特許文献2で報告されている実験から求めたJIS−SUJ2のモードII下限界応力拡大係数(ΔKth=3MPa√m)と比較して、算出された応力拡大係数振幅が大きい場合に、転動によりき裂が進展し得る介在物であると判断する。
この検討を、使用条件、介在物緒元毎に実施し、この使用条件、介在物緒元毎に、き裂が進展し得る介在物のデータベースを構築する。(ステップS5)

0027

「き裂が進展し得る介在物の存在確率」(ステップ6)
軌道面直下の介在物の分布状態のシミュレーション結果と、き裂が進展し得る介在物のデータベースを練成、つまり照合して検討することにより、き裂が進展し得る介在物の存在確率を導出することができる。そのため、軌道面からの一定深さに位置するき裂が進展し得る介在物の存在確率を保証することができる。

0028

寿命試験結果」(ステップS7,S8)
荷重などの試験条件鍛流線方向をパラメータとして、転動疲労寿命試験を実施し、き裂が進展し得る介在物の存在確率と転動疲労寿命との関係のデータベースを構築する。(ステップS7)
そのデータベースと照合することにより、任意の鋼材を用いて任意の製品を加工した場合の転動疲労寿命が一定水準に達しているかを判定することができるため、安定的な転動疲労寿命を確保することができる。(ステップS8)

0029

このように、この実施形態の機械要素材料の品質保証方法を用いれば、鋼材状態で介在物検査を実施することにより、製品形状における軌道面から一定深さに位置する、転動によりき裂が進展し得る介在物の存在確率を求めることができ、介在物の存在確率を一定値以下に保証することにより、転動疲労寿命が一定の水準に達しているかの判定ができる。

0030

図3は、上記実施形態に係る機械要素材料の品質保証方法を実施する機械要素材料の品質保証装置の概念構成を示すブロック図である。
この機械要素材料の品質保証装置20は、転動面を有する機械要素の材料である鋼材が、鍛造を経て前記機械要素に製品化された場合に、転動疲労寿命が一定の水準に達しているか否かの判定を行う装置であって、介在物検査情報記憶手段21、鍛造シミュレーション手段22、分布状態シミュレーション手段23、データベース25、き裂進展介在物存在確率推定手段26、寿命試験結果記憶手段27、および転動疲労寿命確保手段28を備える。

0031

前記品質保証装置20は、鋼材の介在物に係る情報を記憶する手段であり、図1のステップS1で行った介在物検査の結果を記憶する。
前記鍛造シミュレーション手段22は、前記鋼材を前記機械要素の形状に加工する鍛造のシミュレーションを行って前記鍛造の後のファイバーフロ−の方向の情報を取得する手段であり、図1のステップS2の処理を行う。

0032

前記分布状態シミュレーション手段23は、前記介在物検査情報記憶手段21に記憶された介在物に係る情報と前記鍛造シミュレーション手段22で得たファイバーフロ−の方向の情報とから、前記鋼材が前記機械要素に製品化された状態における前記転動面の表面から一定の深さに位置する前記介在物の分布状態を調べる手段である。この分布状態シミュレーション手段23は、図1のステップS3の処理を行う。

0033

前記データベース25は、機械要素の使用条件、介在物緒元毎に、前記転動面で転動が行われた場合にき裂が進展し得る介在物の情報を記憶した手段であり、例えば図1のステップS4で行った検討結果の情報が記憶される。

0034

前記き裂進展介在物存在確率推定手段26は、前記データベース25の蓄積情報である前記転動面で転動が行われた場合に前記機械要素にき裂が進展し得る介在物に係る情報、および前記分布状態シミュレーション手段23で得られた介在物の分布状態から、前記製品の軌道面から一定深さに位置する、き裂が進展し得る介在物の存在確率を求める手段である。このき裂進展介在物存在確率推定手段26は、図1のステップS6の処理を行う。

0035

寿命試験結果記憶手段27は、き裂が進展し得る介在物の存在確率と転動疲労寿命との関係の情報を記憶したデータベースであり、荷重などの試験条件や鍛流線方向をパラメータとして実施された転動疲労寿命試験の情報を記憶している。すなわち、図1のステップS7で行った寿命試験の結果を記憶させてある。

0036

前記転動疲労寿命確保手段28は、前記き裂進展介在物存在確率推定手段26で求められた存在確率が一定値以下であるか否かを判定する手段である。

0037

前記機械要素材料の品質保証装置20は、上記各手段の他に、入力処理手段29および出力処理手段30を備える。入力処理手段29は、キーボードマウス等の入力機器31からオペレータ操作入力受け付けたり、機外記憶装置や他のコンピュータから入力を受け付けたりして記憶する。前記各手段で必要な入力は、この入力処理手段29を介して行われる。出力処理手段30は、液晶表示装置等の画像表示装置プリンタ等の出力機器32に対して出力を行う手段であり、前記各手段で得た事項は出力処理手段30を介して出力機器32に表示される。
なお、この機械要素材料の品質保証装置20は、1台のパーソナルコンピュータ等のコンピュータで構成されていても、互いにネットワークで接続された複数台のコンピュータで構成されていても良い。

0038

この構成の機械要素材料の品質保証装置20によると、鋼材状態で介在物検査を行うことで、機械要素として製品化された場合における、軌道面から一定深さに位置する、き裂が進展し得る介在物の存在確率を所定値以下に保証し、転動疲労寿命が一定の水準に達しているかの判定が行える。

0039

次に、この機械要素材料の品質保証方法および装置を適用する機械要素の具体例を図4ないし図6と共に説明する。図4は、内輪回転型の車輪用軸受装置の断面図である。この車輪用軸受装置は、ハブ輪1およびそのインボード側端の外周に嵌合した内輪2からなる内方部材3と、外方部材4とを備え、車体に対して車輪を回転自在に支持する。上記外方部材4が、上記実施形態における品質保証対象の機械要素となる。

0040

ハブ輪1は、アウトボード側端に車輪取付用のフランジ5を有しており、フランジ5の周方向複数箇所に形成されたボルト挿通孔7に、車輪取付用のボルト8が圧入されている。ハブ輪1は、中央孔1aが貫通した筒状の部材とされている。中央孔1aには、図示しない等速自在継手外側継手部材の軸部が嵌合している。上記ハブ輪1および内輪2に、複列の転動面10,11の片方ずつが設けられている。転動面10,11は、軌道面または転走面と呼ばれることもある。外方部材4は、単独の外輪からなり、外周に車体への取付用のフランジ6を有している。このフランジ6の周方向複数箇所にボルト挿通孔9が形成されている。外方部材4は、ハブ輪1および内輪2の転動面10,11に対向する複列の転動面12,13を有し、両列の対向する転動面10,12間、および転動面11,13間に転動体14が介在している。転動体14は鋼球等のボールである。これら転動体14は、各列毎に保持器29により保持されている。内方部材3と外方部材4との間の軸受空間における両端は、密封装置15,16により密封されている。

0041

ハブ輪1および外方部材4は、いずれも鍛造後に旋削加工して製造される。ハブ輪1および外方部材4の材質は、例えば軸受鋼、または浸炭鋼、または炭素含有量が0.4〜0.8%の炭素鋼とされる。鍛造工程では、外方部材4は、図6に示すように、上記材質の鋼材であるバー材Wを所定寸法に切断し、1100℃前後に加熱して、据え込み、荒成形、仕上成形、および内径抜きを行う。このような鍛造工程により、外方部材4は図5に示す形状に加工される。同図において、外方部材4の旋削後の仕上げ形状破線で示した。また、ファイバーフローFを示す曲線を同図の断面中に示した。同図中の符号A,Bで示す箇所は、転動面を構成する箇所である。

0042

ファイバーフローFを調べるには、例えば、外方部材4を軸方向に沿って切断し、その切断した試料を、加熱した塩酸溶液に浸漬させることで切断面に析出させればよい。

0043

なお、上記実施形態では機械要素が車輪用軸受装置の外方部材である場合につき説明したが、この発明は、品質保証の対象となる機械要素が転がり軸受の軌道輪である場合に限らず、転動体であっても良く、またその他、転がり接触を行う機械要素一般にこの発明を適用することができる。

0044

以上、実施形態に基づいてこの発明を実施するための形態を説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。この発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。

0045

4…外方部材(機械要素)
20…機械要素材料の品質保証装置
21…介在物検査情報記憶手段
22…鍛造シミュレーション手段
23…分布状態シミュレーション手段
25…データベース
26…き裂進展介在物存在確率推定手段
27…寿命試験結果記憶手段
28…転動疲労寿命確保手段
F…ファイバーフロ−

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

関連する公募課題

ページトップへ

技術視点だけで見ていませんか?

この技術の活用可能性がある分野

分野別動向を把握したい方- 事業化視点で見る -

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

関連する挑戦したい社会課題一覧

この 技術と関連する公募課題

関連する公募課題一覧

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ