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技術 光触媒コーティング組成物

出願人 TOTO株式会社
発明者 福嶋哲弥下村裕明足立進池田猛
出願日 2016年3月23日 (4年8ヶ月経過) 出願番号 2016-058768
公開日 2017年3月30日 (3年7ヶ月経過) 公開番号 2017-061667
状態 特許登録済
技術分野 塗料、除去剤
主要キーワード 定量イオン カリウムシリケート 合成層状ケイ酸塩 B型粘度計 塗り過ぎ 機能性被膜 吸光ピーク 酸化チタン原料
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図面 (2)

課題

施工時に優れた視認性を発揮し、また良好な物性により、基材の表面に均一な厚さの均質光触媒被膜を形成可能な光触媒コーティング組成物の提供。

解決手段

光触媒粒子と、塩基性染料と、層状ケイ酸塩と、分散媒とを含んでなる、塩基性の光触媒コーティング組成物。塩基性染料は、光触媒コーティング組成物を塗布した部分の視認性を高め、未塗布部分外観上の差により容易に識別することを可能にする。塩基性染料は、太陽光による分解や光触媒による分解により施行後、色が消える。層状ケイ酸塩は、塩基性染料の経時的な変色を抑制し、色調を安定的に保持する。

概要

背景

酸化チタンなどの光触媒が、建築物外装材など多くの用途において近年利用されている。光励起された光触媒は種々の有害物質を分解でき、この性質を利用して光触媒が塗布された基材表面を清浄化することが可能となる。また、光励起された光触媒はこれが塗布された基材表面を親水化し、この親水性により表面に付着した汚れを容易に水で洗い流すことが可能となる。このような光触媒被膜は、光触媒を含むコーティング液を塗布して形成することが広く知られている。また、光触媒被膜は、外装材などの基材の意匠を損なうことのないよう、透明であるものが主に用いられている。

光触媒を含むコーティング液として光触媒粒子無機バインダーとを含有する水性分散液を用いて、ガラスや鏡等の表面に親水性を付与する技術が知られている(例えば、特許文献1:特開2001−89706号公報参照)。特許文献1に記載された技術にあっては、微細な光触媒粒子と、アルカリケイ酸塩等の無機バインダーとを、高度に分散させることにより透明な被膜を得ている。また、コーティング液の塗りムラを抑えて、被膜を均一の膜厚にするために、コーティング液は不織布に含浸させ、一定速度で一方方向にスライドさせて基材に塗りつけたことが開示されている。すなわち、本技術にあっては、施工者は高い技術を有することが求められていた。

施工者に高い技術を要求することなく良好な光触媒被膜を形成するために、種々の工夫がなされている。例えば、施工アシストする装置や道具の利用に関しては、特開2003−026447号公報(特許文献2)には、ローラーを固定した状態で塗布する方法が提案され、特開2010−247054号公報(特許文献3)には、スプレー装置レーザー照射手段とメトロノームを付加することが提案されている。

また、レオロジーに着眼したコーティング液の組成の改善に関しては、例えば特許文献1には、分散液の粘性を調整するために、界面活性剤増粘剤を添加することが提案されている。特開2004−143443号公報(特許文献4)には、増粘剤を使用すること、高沸点溶剤や界面活性剤を添加することが提案されている。

しかしながら、これらの技術をもってしても、とりわけ壁面のような広い面積現場施工でコーティング液を塗布する際には、施工者に高い技能を要求しなければならないのが実情である。このような特殊な技能を要することなく、良好な光触媒被膜を形成するには、コーティング液の更なる改善が必要である。

WO00/33977号公報(特許文献5)には、光触媒コーティング組成物有機色素を添加して、視認性を向上させ、光触媒被膜の形成を確認することが提案されている。特許文献5によれば、有機色素は塗布後に光触媒作用により消色されるとある。

概要

施工時に優れた視認性を発揮し、また良好な物性により、基材の表面に均一な厚さの均質な光触媒被膜を形成可能な光触媒コーティング組成物の提供。光触媒粒子と、塩基性染料と、層状ケイ酸塩と、分散媒とを含んでなる、塩基性の光触媒コーティング組成物。塩基性染料は、光触媒コーティング組成物を塗布した部分の視認性を高め、未塗布部分外観上の差により容易に識別することを可能にする。塩基性染料は、太陽光による分解や光触媒による分解により施行後、色が消える。層状ケイ酸塩は、塩基性染料の経時的な変色を抑制し、色調を安定的に保持する。

目的

本発明は、施工時に優れた視認性を発揮する光触媒コーティング組成物を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

請求項2

多糖類増粘剤をさらに含んでなる、請求項1に記載の光触媒コーティング組成物。

請求項3

前記多糖類増粘剤が、主鎖にグルクロン酸および/またはラムノースを含む多糖類増粘剤である、請求項2に記載の光触媒コーティング組成物。

請求項4

前記主鎖にグルクロン酸および/またはラムノースを含む多糖類増粘剤が、ダイユータンガムおよび/またはウェランガムである、請求項3に記載の光触媒コーティング組成物。

請求項5

1級乃至3級のアルカノールアミンからなる群から選択される少なくとも1種をさらに含んでなり、前記光触媒コーティング組成物中の全固形分質量に対する前記1級乃至3級のアルカノールアミンからなる群から選択される少なくとも1種の質量の割合が、2.5質量%以上25質量%以下である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の光触媒コーティング組成物。

請求項6

前記光触媒粒子以外の無機化合物をさらに含んでなる、請求項1〜5のいずれか一項に記載の光触媒コーティング組成物。

請求項7

前記無機化合物が、酸化物および/または水酸化物微粒子である、請求項6に記載の光触媒コーティング組成物。

請求項8

前記光触媒コーティング組成物全体の質量に対する当該光触媒コーティング組成物中の全固形分質量の割合が、0.1質量%以上10質量%以下である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の光触媒コーティング組成物。

請求項9

前記光触媒コーティング組成物のpHが、8.0以上12.0以下である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の光触媒コーティング組成物。

技術分野

0001

本発明は、その良好な視認性と物性により、施工性に優れ、その結果、基材の表面に均一な厚さの均質光触媒被膜を形成可能な光触媒コーティング組成物に関する。

背景技術

0002

酸化チタンなどの光触媒が、建築物外装材など多くの用途において近年利用されている。光励起された光触媒は種々の有害物質を分解でき、この性質を利用して光触媒が塗布された基材表面を清浄化することが可能となる。また、光励起された光触媒はこれが塗布された基材表面を親水化し、この親水性により表面に付着した汚れを容易に水で洗い流すことが可能となる。このような光触媒被膜は、光触媒を含むコーティング液を塗布して形成することが広く知られている。また、光触媒被膜は、外装材などの基材の意匠を損なうことのないよう、透明であるものが主に用いられている。

0003

光触媒を含むコーティング液として光触媒粒子無機バインダーとを含有する水性分散液を用いて、ガラスや鏡等の表面に親水性を付与する技術が知られている(例えば、特許文献1:特開2001−89706号公報参照)。特許文献1に記載された技術にあっては、微細な光触媒粒子と、アルカリケイ酸塩等の無機バインダーとを、高度に分散させることにより透明な被膜を得ている。また、コーティング液の塗りムラを抑えて、被膜を均一の膜厚にするために、コーティング液は不織布に含浸させ、一定速度で一方方向にスライドさせて基材に塗りつけたことが開示されている。すなわち、本技術にあっては、施工者は高い技術を有することが求められていた。

0004

施工者に高い技術を要求することなく良好な光触媒被膜を形成するために、種々の工夫がなされている。例えば、施工をアシストする装置や道具の利用に関しては、特開2003−026447号公報(特許文献2)には、ローラーを固定した状態で塗布する方法が提案され、特開2010−247054号公報(特許文献3)には、スプレー装置レーザー照射手段とメトロノームを付加することが提案されている。

0005

また、レオロジーに着眼したコーティング液の組成の改善に関しては、例えば特許文献1には、分散液の粘性を調整するために、界面活性剤増粘剤を添加することが提案されている。特開2004−143443号公報(特許文献4)には、増粘剤を使用すること、高沸点溶剤や界面活性剤を添加することが提案されている。

0006

しかしながら、これらの技術をもってしても、とりわけ壁面のような広い面積現場施工でコーティング液を塗布する際には、施工者に高い技能を要求しなければならないのが実情である。このような特殊な技能を要することなく、良好な光触媒被膜を形成するには、コーティング液の更なる改善が必要である。

0007

WO00/33977号公報(特許文献5)には、光触媒コーティング組成物に有機色素を添加して、視認性を向上させ、光触媒被膜の形成を確認することが提案されている。特許文献5によれば、有機色素は塗布後に光触媒作用により消色されるとある。

先行技術

0008

特開2001−089706号公報
特開2003−026447号公報
特開2010−247054号公報
特開2004−143443号公報
WO00/33977号公報

発明が解決しようとする課題

0009

本発明者らは、今般、特定の染料と特定の粘土系安定化剤とを添加することにより、施工時に優れた視認性を発揮する光触媒コーティング組成物を実現できるとの知見を得た。本発明は斯かる知見に基づくものである。

0010

従って、本発明は、施工時に優れた視認性を発揮する光触媒コーティング組成物を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0011

すなわち、本発明の光触媒コーティング組成物は、光触媒粒子と、分散媒と、層状ケイ酸塩と、塩基性染料とを含んでなり、その液性塩基性であることを特徴とする。

発明の効果

0012

本発明による光触媒コーティング組成物は、施工時に優れた視認性を発揮する。また、本発明による光触媒コーティング組成物は、粘度の温度依存性が低く、粘度変化率の小さい優れた長期保管定性を有する。また、基材の種類によらず、従来の塗布具を用いて熟練作動方法で施工したり、特別な塗布装置を用いたりすることなく、基材の表面に均一な厚さの均質な光触媒被膜を形成することができる。とりわけ、壁面のように窓ガラス等よりも広い面積に現場施工する場合であっても、特別な施工技術や技能を要することなく、塗り過ぎによる液だれや、塗りムラおよび塗筋等の外観不良などを生じることのない、良好な光触媒被膜を容易に形成することができる。また、このような優れた施工容易性を安定して、長期間維持することができる。

図面の簡単な説明

0013

実施例1および比較例1の光触媒コーティング組成物における吸光度経時的変化を示す図である。

0014

塩基性染料
本発明による光触媒コーティング組成物は塩基性染料を含んでなる。塩基性染料の添加により、光触媒コーティング組成物を塗布した部分の視認性を高め、未塗布部分と外観上の差により容易に識別することを可能にし、その結果、施工性が向上する。塩基性染料は、塗装中に視認可能で、最終的には太陽光による分解や光触媒による分解により色が消える有機色素である。また、塩基性染料は水に溶解し、少量でも着色性が高く、一方で耐光性堅牢度)が低いことから、視認性が高いながらも光により色が消えやすいという特性を有する。塩基性染料の好ましい具体例としては、オーラミンマラカイトグリーン、およびメチレンブルーなどが挙げられる。

0015

塩基性染料の添加量は、塗装中に視認可能で、最終的には色が消えるという目的の範囲内で適宜決定されてよい。塩基性染料の好ましい添加量は、例えば0.001質量%以上0.05質量%以下であり、より好ましくは0.005質量%以上0.01質量%以下である。

0016

粘土系安定化剤(層状ケイ酸塩)
本発明によるコーティング組成物が含む、上述した塩基性染料は、塩基性の光触媒コーティング組成物に分散するが、保管化学変化して変色する傾向がある。その結果、塗装時に視認性が制限されるおそれがある。層状ケイ酸塩などの粘土系安定化剤は、塩基性染料の経時的な変色を抑制し、初期の色調を安定的に保持することができる。これは、カチオン性を示す塩基性染料分子陽イオン交換能により層状ケイ酸塩の層間にインターカレートされて、塩基性の光触媒コーティング組成物中で安定化または保護されているためであると考えられる。その結果、本発明による光触媒コーティング組成物は、塗装時に優れた視認性を発揮しつつ、適切な視認期間を確保することができる。本発明の好ましい態様によれば、塩基性染料を安定化させる層状ケイ酸塩と、後述する主鎖にグルクロン酸および/またはラムノースを含む多糖類増粘剤などの増粘剤とを組み合わせて用いている。それにより、塩基性染料の色安定性および分散性、並びに光触媒コーティング組成物の粘度安定性貯蔵安定性)をより向上させることができる。

0017

層状ケイ酸塩は、疎水化処理が施されていない剥き出しのものが好ましい。具体例には、合成ヘクトライト商品名:ラポナイトRD、ラポナイトB(ビックケミー・ジャパン(株)製))および合成サポナイト(商品名:ルーセンタイト(コープケミカル(株)製)、スメクトンSA(クニミネ工業(株)製))等が好適に挙げられる。層状ケイ酸塩は天然および合成いずれでも使用できるが、合成層状ケイ酸塩は、着色がないため、好ましい。

0018

増粘剤
本発明において、増粘剤とは、レオロジーをコントロールする目的で添加され、光触媒コーティング組成物の粘度を上昇させる物質を意味する。本発明による光触媒コーティング組成物は固形分濃度が低く、アルカリ性水分散体であるため、増粘剤には、水に良く溶ける、少量で増粘する、アルカリ性・高温条件増粘性が損なわれない、乾燥時に色が残らないなどの特性が好ましくは求められる。

0019

本発明において、上記の特性を示す増粘剤として、主鎖にグルクロン酸および/またはラムノースを含む多糖類増粘剤、および層状ケイ酸塩からなる群から選択される少なくとも1種を好適に用いることができる。つまり、本発明による光触媒コーティング組成物は、安定化剤として添加される層状ケイ酸塩とは別に、増粘剤としても層状ケイ酸塩を添加することができる。主鎖にグルクロン酸および/またはラムノースを含む多糖類増粘剤の具体例としては、ダイユータンガムおよび/またはウェランガムが挙げられる。増粘剤としての層状ケイ酸塩は、粘土系安定化剤として前述したものを用いることができる。この増粘剤は、光触媒コーティング組成物のレオロジーを変化させて、施工を著しく容易にすることに寄与している。また、上記増粘剤は、添加量が少なくても大きな増粘効果を発揮し、透明な光触媒被膜を形成することができるため好ましい。さらに、上記増粘剤は、粘度変化の温度依存性が小さく、例えば、屋外で光触媒コーティング組成物の施工を行なう際、外気温によらず一定のレオロジー特性を得られ、環境要因による施工のバラツキを抑制できる。増粘剤として層状ケイ酸塩を用いる場合、光触媒コーティング組成物は、安定化剤として用いられる層状ケイ酸塩に加えて増粘剤として用いられる層状ケイ酸塩をさらに含む。

0020

光触媒コーティング組成物への増粘剤の添加量は0.05質量%以上1質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以上0.8質量%以下であることがより好ましい。これにより、外壁等の大面積への施工時に液だれ等がなく、簡易施工道具にて、光触媒コーティング組成物を塗布することができ、均質な塗膜を得る事ができる。

0021

光触媒粒子
本発明において、光触媒粒子とは、光触媒活性を有する粒子を意味する。具体的には、光、とりわけ紫外線または可視光照射により起こる光触媒反応によって有機物を分解する活性酸素種(・O2−、・O−、・OH、H2O2及び・HO2等)を生成するもの、または、紫外線または可視光照射により起こる光励起によって価電子帯に正孔ホール)が生成されるものであれば特に限定されない。

0022

このような光触媒粒子の具体例として、酸化チタン、酸化亜鉛酸化スズ酸化ニオブチタン酸ストロンチウムバナジン酸ビスマス酸化タングステンなどの光応答性を示す金属酸化物半導体が挙げられる。これらの群から選択される少なくとも一種の光触媒粒子を用いることにより、抗菌活性および抗ウイルス活性などの光触媒活性に優れ、親水化効果の高い光触媒被膜を得ることができる。好ましい光触媒粒子は酸化チタンである。

0023

酸化チタンは、アモルファス酸化チタンおよび結晶系酸化チタンのいずれであっても良い。好ましい酸化チタンは結晶系酸化チタンである。結晶系酸化チタンの具体例として、好ましくはアナターゼ型酸化チタンルチル型酸化チタンおよびブルッカイト型酸化チタンからなる群から選択される少なくとも一種のものが挙げられる。この中でも、アナターゼ型酸化チタンは光触媒活性および親水化効果が高く、より好ましい。また、酸化チタンは、窒素等の元素をドープさせたり、銅や鉄の化合物を表面に担持させたりして、可視光応答性を高めた光触媒粒子として利用することもできる。

0024

本発明において、酸化チタンは、ゾル状および粒子状のいずれの形態のものを用いても良い。

0025

ゾル状の酸化チタンは、例えば、塩化チタン硫酸チタニルなどを原料として、液相法酸化チタン原料を溶解した液を加水分解または中和して酸化チタンを得る方法)により得られる。液相法で得られた酸化チタンは、ルチル結晶性が低く、比表面積が大きくなる傾向にあり、この場合、焼成等を行って最適な結晶性及び比表面積を有する酸化チタンにすればよい。使用する溶媒としては、特に制限はないが、水、アルコール類ケトン類、又はこれらの混合液が例示できる。アルコール類としては、メタノールエタノール1−プロパノール2−プロパノール、1−ブタノール、またはこれらの混合液が例示できる。ケトン類としては、アセトンアセチルアセトンメチルエチルケトン、またはこれらの混合液が例示できる。

0026

粒子状の酸化チタンは、例えば、四塩化チタンを原料として、気相法(四塩化チタンと酸素との気相反応により酸化チタンを得る方法)により得られる。気相法で得られた酸化チタンは、平均粒径が均一であり、また製造時に高温プロセスを経由しているため、結晶性が高い。その結果、得られた酸化チタンは光触媒組成物明所および暗所における抗菌性および抗ウイルス性、並びに有機化合物分解性が良好である。

0027

光触媒粒子の粒子径は1nm以上50nm以下の範囲が好ましく、5nm以上20nm以下の範囲がより好ましい。粒子径が好ましくは1nm以上、より好ましくは5nm以上であることにより、光触媒活性と親水化性能を十分に発揮することができる。粒子径が好ましくは50nm以下、より好ましくは20nm以下であることにより、可視光の散乱が起こりにくいため、透明性に優れた光触媒被膜を得ることができる。ここで、粒子径は、後述する方法で作製した光触媒被膜の破断面を、走査型電子顕微鏡により20万倍で観察した100個の粒子の長さを測定した個数平均値として算出される。観察される粒子の形状が略円形の場合、粒子の長さとは粒子の直径を意味する。観察される粒子の形状が非円形の場合、粒子の長さは((長径短径)/2)として略算出される。

0028

光触媒コーティング組成物中の、光触媒粒子の添加量は、0.05質量%以上5質量%以下の範囲が好ましく、0.1質量%以上1質量%以下の範囲がより好ましい。この範囲で光触媒粒子を含むことにより、光触媒活性と親水化性能が十分に発揮できるとともに、光触媒被膜が厚くなりすぎることを防ぐことができる。

0029

1級乃至3級のアルカノールアミン
本発明の好ましい態様によれば、光触媒コーティング組成物は、1級乃至3級のアルカノールアミンからなる群から選択される少なくとも1種をさらに含んでなる。1級乃至3級のアルカノールアミンは、光触媒コーティング組成物中で光触媒粒子等の粒子成分;層状ケイ酸塩;および主鎖にグルクロン酸および/またはラムノースを含む多糖類増粘剤などの増粘剤を安定化させる効果を奏する。すなわち、光触媒粒子や後述する無機酸化物などの粒子成分が反応または凝集するのを抑制し、さらに増粘剤がネットワークを形成し、組成物が増粘するのを阻害しない目的で添加される。これにより、長期間の保管安定性に優れた光触媒コーティング組成物を得ることが可能となる。

0030

光触媒コーティング組成物の液性が塩基性の場合、光触媒コーティング組成物の中で、粒子成分はいずれも負電荷を帯びて分散または溶解している。施工性を改善するため増粘剤を添加すると光触媒コーティング組成物の電荷バランス崩れ、光触媒コーティング組成物の粘度が不安定になる可能性がある。粒子成分と増粘剤とを光触媒コーティング組成物中で安定させるためには、該組成物の電荷を安定させること、および該組成物への増粘剤の溶解性を安定させることが必要となると考えられる。1級乃至3級のアルカノールアミンの添加は、その双方を安定化させる効果を有する。すなわち、1級乃至3級のアルカノールアミンは、電荷を安定させ、かつ、増粘剤と配位しやすいアミン態窒素を持ち、同時にアルカノール基を持つため、増粘剤の溶解性を保つことができるものと考えられる。

0031

1級乃至3級のアルカノールアミンに代えて、水酸化ナトリウムアンモニアを添加した場合、電荷を安定させることにより光触媒コーティング組成物を一定の粘度に安定させることができる。一方、1級乃至3級のアルカノールアミンは、増粘剤の親水性を高める効果を更に有するため、光触媒コーティング組成物に長期間の安定性を与えることができ、1級乃至3級のアルカノールアミンを水酸化ナトリウムおよび/またはアンモニアと共存させてもよい。

0032

また、1級乃至3級のアルカノールアミンに代えて、アルキルアミンを添加した場合、光触媒コーティング組成物の電荷を安定させる効果があり、1級乃至3級のアルカノールアミンと同じく増粘剤と配位しやすい。一方、1級乃至3級のアルカノールアミンは、増粘剤の水和を促進する効果を更に有するため、光触媒コーティング組成物の粘度の安定性を向上させることができ、1級乃至3級のアルカノールアミンをアルキルアミンと共存させてもよい。

0033

1級乃至3級のアルカノールアミンの好ましい具体例としては、ジメチルエタノールアミンメチルジエタノールアミンエタノールアミンジエタノールアミントリエタノールアミンジエチルエタノールアミン、ジブチルエタノールアミン、β−アミノエチルエタノールアミンメチルエタノールアミン、エチルエタノールアミンエチルジエタノールアミン、n−ブチルエタノールアミン、n−ブチルジエタノールアミン、t−ブチルエタノールアミン、t−ブチルジエタノールアミン、β−アミノエチルイソプロパノールアミン、およびジエチルイソプロパノールアミン等が挙げられる。これらの中でも、ジメチルエタノールアミン、およびメチルジエタノールアミンがより好ましい。

0034

1級乃至3級のアルカノールアミンは、光触媒コーティング組成物中の全固形分質量に対する1級乃至3級のアルカノールアミンの質量の割合が、2.5質量%以上25質量%以下である量で添加されることが好ましい。1級乃至3級のアルカノールアミンの添加量を2.5質量%以上とすることで、粘度変化率が小さく、保管安定性に優れた光触媒コーティング組成物を得ることができる。また、作業時の液だれを効果的に防止することができる。1級乃至3級のアルカノールアミンの添加量を25質量%以下とすることで、光触媒コーティング組成物の非粒子成分を少なくすることができ、光触媒被膜は十分な強度を得られる。さらに、光触媒被膜は良好な耐候性を有する。光触媒コーティング組成物の液性が塩基性、好ましくはpHが8.0以上12.0以下の範囲となるように1級乃至3級のアルカノールアミンを含有させることで、光触媒コーティング組成物の分散安定性および粘度の安定性がより向上する。なお、本発明において、1級乃至3級のアルカノールアミンの添加量とは、光触媒コーティング組成物の各種原料中に1級乃至3級のアルカノールアミンが含まれる場合(例えば、ジルコニアゾルに含まれる1級乃至3級のアルカノールアミン)は、その量も含めた総量を意味する。

0035

分散媒
本発明による光触媒コーティング組成物は、分散媒を含んでなる。本発明の好ましい態様によれば、分散媒は水を主として含むものである。「水を主として含む分散媒」とは、分散媒100質量部中に、水を60質量部以上100質量部以下、好ましくは80質量部以上100質量部以下含むものである。水と水以外の有機溶媒とを混合してなる混合溶媒を用いる場合、有機溶媒は水に可溶性のものであることが好ましい。

0036

水に可溶性の有機溶剤としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、t−ブタノール、ペンタノールヘキサノールシクロブタノールシクロペンタノールシクロヘキサノールエチレングリコールプロピレングリコールグリセリンメチルセロソルブエチルセロソルブ等が好ましく挙げられる。本発明においては、これらの群から選択される少なくとも1種の有機溶媒を使用することができる。

0037

本発明による光触媒コーティング組成物は、当該組成物に含まれる全固形分濃度が0.1質量%以上10質量%以下となるように、前記分散媒を含有することが好ましい。このような範囲で分散媒を含むことにより、透明で外観に優れた光触媒被膜を得ることができる。

0038

無機化合物
本発明の好ましい態様によれば、本発明による光触媒コーティング組成物は無機化合物を含んでなる。本発明において、無機化合物とは、上述した光触媒粒子以外の無機化合物を意味する。無機化合物の好ましい具体例としては、無機酸化物および/または無機水酸化物微粒子が挙げられる。これらの微粒子を含むことにより、光触媒コーティング組成物は安定性に優れ、光触媒被膜の有害物質除去性能が向上する。無機酸化物および/または無機水酸化物の好ましい具体例としては、シリカジルコニア水酸化ジルコニウム水溶性ジルコニウム化合物アルミナハフニア、およびセリアからなる群から選択される少なくとも1種が挙げられる。より好ましくは、シリカ、ジルコニア、水酸化ジルコニウム、および水溶性ジルコニウム化合物からなる群から選択される少なくとも1種である。これらを含むことにより、光触媒被膜は優れた被膜性能、すなわち強度、透明性および有害物質除去性能を得る。シリカはバインダーとして優れているため、光触媒被膜の基材への密着性が強く、特に好ましい。ジルコニア、水酸化ジルコニウムおよび水溶性ジルコニウム化合物からなる群から選択される少なくとも1種はNOx等の有害物質除去性能が高く、特に好ましい。これにより、優れた透明性を有する光触媒被膜が得られる。本発明において、無機化合物は、ゾル状および粒子状のいずれの形態のものを用いることができ、透明性の高い光触媒被膜を得るためには、ゾル状のものを用いることが好ましい。

0039

無機化合物の粒子径は50nm以下であることが好ましい。粒子径がこの範囲であることにより、可視光の散乱が起こりにくく、透明性に優れた光触媒被膜を得ることができる。更に、粒子径が20nm以下であると、バインダーとしての効果が高くなり、光触媒被膜の密着性に優れる。ここで、粒子径は、後述する方法で作製した光触媒被膜の破断面を、走査型電子顕微鏡により20万倍で観察した100個の粒子の長さを測定した個数平均値として算出される。観察される粒子の形状が略円形の場合、粒子の長さとは粒子の直径を意味する。観察される粒子の形状が非円形の場合、粒子の長さは((長径+短径)/2)として略算出される。

0040

光触媒コーティング組成物における、無機化合物の添加量は、0.05質量%以上9.9質量%以下の範囲が好適であり、0.1質量%以上8質量%以下の範囲がより好適である。この範囲の量の無機化合物を含むことにより、バインダーとしての効果を十分に発揮できるとともに、光触媒被膜が厚くなりすぎることを防ぎ、良好な透明性を得ることができる。

0041

バインダー
本発明の好ましい態様によれば、本発明による光触媒コーティング組成物はバインダーを含んでなる。バインダーにより、光触媒粒子、無機化合物などの固形分を基材表面に定着させることができる。バインダーとして、有機系バインダーおよび無機系バインダーのいずれも用いることができる。無機系バインダーとして、例えば、エチルシリケートメチルエチルシリケート等の加水分解性シラン化合物リチウムシリケートカリウムシリケート等のアルカリ珪酸塩、水酸化ジルコニウム等の金属酸化物の前駆体、および無定形な金属酸化物が挙げられる。有機系バインダーとして、例えば、高分子バインダーが挙げられる。高分子バインダーは重合により、または分散媒が揮発されて高分子分散質が融着することにより、薄膜を形成することができる。

0042

高分子バインダーとして、天然樹脂及び合成樹脂のいずれも使用することができる。合成樹脂には、例えば、アクリル樹脂加水分解性シリコーンアクリルシリコーン樹脂シリコーン樹脂エポキシ樹脂ウレタン樹脂フェノール樹脂ポリウレタン樹脂アクリロニトリルスチレン共重合樹脂、アクリロニトリル/ブタジエンスチレン共重合(ABS樹脂ポリエステル樹脂およびフッ素樹脂等が挙げられる。これらの樹脂をシリコーン変性またはハロゲン変性させた樹脂を用いることもできる。これらのうち、シリコーン樹脂、シリコーン変性樹脂、及びフッ素樹脂より選択される少なくとも一種がバインダーとして好適に利用できる。本発明のより好ましい態様によれば、バインダーは、これらの樹脂をエマルションディスパージョン等の分散体の形態で配合され、水性コーティング組成物中に存在する。

0043

バインダーの添加量は適宜決定されて良いが、水性コーティング組成物の固形分総量に対して10質量%以上65質量%以下程度が通常であり、好ましくは20質量%以上、より好ましくは30質量%以上、また好ましくは55質量%以下、より好ましくは45質量%以下である。このような量とすることで、光触媒被膜の機械的強度を保持しながら、適度に光触媒粒子を露出させることが可能となり、良好な光触媒活性を発揮させることができる。バインダーを含むことにより、密着性に優れる光触媒被膜を得ることができる。

0044

他の添加剤
界面活性剤
本発明において、光触媒コーティング組成物は界面活性剤を含んでいてもよい。界面活性剤を含むことにより、表面張力下がり塗膜形成時レベリング性に優れた光触媒コーティング組成物とすることができる。また、界面活性剤の働きにより、分散媒の蒸発が均一になり、光触媒被膜の厚さを均一にすることができる。界面活性剤としては、分散媒が主として含む水への溶解度が高く、表面張力の低減効果が高い物質が好ましい。そのような界面活性剤として、非イオン性界面活性剤エーテル型非イオン性界面活性剤エステル型非イオン性界面活性剤ポリアルキレングリコール系非イオン性界面活性剤、フッ素系非イオン性界面活性剤シリコン系非イオン性界面活性剤オレフィン系界面活性剤アセチレンジオール系の界面活性剤、およびポリエーテル変性シリコーン系の界面活性剤などが挙げられる。これらの界面活性剤を好ましくは0.01質量%以上0.5質量%以下添加することにより、表面張力を十分低下させ、透明度が高く均一な光触媒被膜を得ることができる。

0045

消泡剤
本発明において、光触媒コーティング組成物は消泡剤を含んでいてもよい。消泡剤を含むことにより、塗装中の泡立ち気泡の発生を抑制することができる。消泡剤の好ましい具体例として、安全性が高いシリコーン系消泡剤などが挙げられる。

0046

顔料
本発明において、光触媒コーティング組成物は、本発明の効果を失わない範囲の添加量で、顔料を含んでいてもよい。顔料は、着色顔料体質顔料、および機能性顔料の群から選択される少なくとも一種を用いることができる。顔料を含むことにより、光触媒被膜に隠蔽性を付与したり、呈色が長期間にわたり保持可能な被膜を形成したり、あるいは、機能性顔料を用いることで、例えば赤外線反射性等の、機能性被膜を形成したりすることが可能となる。

0047

全固形分濃度
本発明の好ましい態様によれば、光触媒コーティング組成物全体の質量に対する当該光触媒コーティング組成物中の全固形分質量の割合は、0.1質量%以上10質量%以下である。全固形分質量の割合がこの範囲であることにより、透明な光触媒被膜を得ることができる。全固形分質量の割合が0.1質量%以上であることにより、光触媒活性など所望の訴求性能、例えばセルフクリーニング防汚)性、有害ガス分解性及び抗菌・抗ウイルス性が得られる。全固形分質量の割合が10質量%以下であることにより、良好な外観を有する光触媒被膜が得られる。本発明において、光触媒コーティング組成物中の全固形分濃度とは、光触媒コーティング組成物を基材に塗布して塗膜を形成し、当該塗膜を105℃以上110℃以下で乾燥させて形成された光触媒被膜中に含まれる全固形分(すなわち、被膜形成成分)の質量の、光触媒コーティング組成物全体の質量に対する割合を意味する。

0048

液性
本発明による光触媒コーティング組成物の液性は塩基性である。これにより、分散安定性および粘度の安定性に優れた光触媒コーティング組成物が得られる。本発明の好ましい態様によれば、光触媒コーティング組成物は8.0以上12.0以下のpHを有する。pHが12.0以下であることにより、安全性が確保できる。光触媒コーティング組成物の液性を塩基性に調節するための成分は特に限定されないが、1級乃至3級のアルカノールアミンを用いるのが好ましい。

0049

光触媒コーティング組成物の製造方法
本発明の光触媒コーティング組成物は、上記の成分を所定の添加量となるように混合して調製する。各粒子成分は原料がゾルであることが好ましい。これにより、各粒子成分の粒子径を小さくすることができる。ゾルは塩基性か、あるいは中性であることが好ましい。

0050

光触媒体
本発明の光触媒コーティング組成物は、基材の表面に適用されて光触媒被膜を形成する。こうして、基材と当該基材の表面に形成されてなる光触媒被膜とから少なくともなる光触媒体を得る。

0051

基材
本発明による光触媒コーティング組成物が適用される基材は、その表面に光触媒被膜を形成可能な材料であればよい。基材は、無機材料有機材料を問わず種々の材料であってよい。基材の具体例としては、繊維強化セメント板石膏ボードコンクリート部材、壁紙、繊維、金属、セラミック、ガラスやタイル等の窯業系無機材料、PMMAポリカーボネート樹脂材料等の一般的な部材からなる単一基材、並びに上述の部材の2種以上からなる複合基材が挙げられる。また、その表面に有機塗装などを施した基材を用いてもよい。

0052

基材の前処理
本発明において、基材を前処理して基材表面の濡れ性を確保することが好ましい。これにより、均一な光触媒被膜を形成することができる。濡れ性を確保する好ましい手段としては、界面活性剤を含む洗浄剤や、酸化セリウム粉等の研磨剤等による洗浄が挙げられる。前処理を行った基材の表面に有機塗装を施してもよい。

0053

基材への適用
光触媒コーティング組成物の基材への適用は、刷毛塗りローラー塗布、スプレーコーティングスポンジ・不織布・ペイントパッドによる塗布など一般に現場施工で広く行われている塗布方法を利用できる。

0054

本発明の光触媒コーティング組成物の塗布量は、光触媒コーティング組成物中の固形分やバインダーなどの濃度によるが、乾燥後の光触媒被膜の厚みがおよそ1μm程度になるように調節するのが好ましい。この程度の膜厚を確保すれば、十分な光触媒活性と親水化効果を得ることができる。

0055

光触媒被膜の形成
本発明の光触媒コーティング組成物を基材に適用した後に、基材表面に濡れ広がった光触媒コーティング組成物からなる塗膜を乾燥させて光触媒被膜を形成する。塗膜は常温乾燥させればよい。必要に応じて加熱乾燥させてもよい。乾燥温度は5℃以上500℃以下であることが好ましい。バインダーとして高分子バインダーを用いる場合や、基材の少なくとも一部に樹脂成分が含まれる場合は、これらの耐熱温度等を考慮し、例えば10℃以上200℃以下で乾燥させればよい。

0056

光触媒被膜
光触媒被膜の厚さは、0.5μm以上5μm以下であることが好ましい。膜厚が0.5μm以上であることにより良好な性能が得られ、5μm以下であることによりヒビ割れの発生を防止でき、良好な外観が得られる。

0057

多糖類増粘剤の種類と粘度変化
<参考例1〜6>
まず、増粘剤の種類と粘度変化の関係を調べるための試験を実施した。増粘剤として、主鎖にグルクロン酸およびラムノースを含むダイユータンガム及びウェランガム、主鎖にはグルクロン酸、ラムノースのいずれも含まず側鎖にグルクロン酸を含むキサンタンガム、主鎖及び側鎖にグルクロン酸、ラムノースのいずれも含まないグアーガムカルボキシメチルセルロースナトリウムヒドロキシエチルセルロース、を用いた。これらの増粘剤を表1に示す割合で、イオン交換水に加えて十分に攪拌して参考例1〜6にかかる水溶液1〜6を作製した。これら水溶液1〜6について、粘度変化を測定した。

0058

<粘度変化>
60℃の恒温槽で水溶液1〜6を保管し、1週間後に水溶液1〜6の粘度(6rpm、25℃)を、B型粘度計(東機産業製TV−10、スピンドルM2)を用いて測定し、初期粘度に対する変化率を求めた。B型粘度計の測定条件は、ローター回転数を6rpm、測定温度を25℃とした。ローターは、M2ローターを用いた。表1に示すように、主鎖にグルクロン酸およびラムノースを含むダイユータンガムあるいはウェランガムを用いた参考例1、2では、1週間後の粘度変化はほとんどなかった。これに対して、側鎖にグルクロン酸を含むキサンタンガムを用いた参考例3では、1週間後に水溶液が減粘した。また、主鎖および側鎖にグルクロン酸、ラムノースのいずれも含まない増粘剤を用いた参考例4〜6でも、1週間後に水溶液が減粘した。粘度変化率は、1週間後の粘度から初期粘度を引いた値を、初期粘度の値で除して算出した(単位%)。評価基準は、粘度変化率が、+15%〜−10%の範囲に収まっていた場合はOK、収まっていなかった場合はNGとした。

0059

したがって、以降の光触媒コーティング組成物の試験においては、増粘剤として主鎖にグルクロン酸および/またはラムノースを含む多糖類増粘剤を用いることとした。

0060

0061

光触媒コーティング組成物の調製
<実施例1〜11、および比較例1〜4>
実施例1〜11では、安定化剤として合成層状ケイ酸塩を所定量イオン交換水中に加え、十分に撹拌した。実施例1〜10では合成ヘクトライトを用い、実施例11では合成サポナイトを用いた。次いで、予め調製しておいたメチレンブルー1%水溶液を、少量ずつ加えた。光触媒粒子として、アナターゼ型酸化チタン水分散体を用意した。無機化合物として、水分散型コロイダルシリカ、および、ジルコニアゾルを用意した。その後、光触媒粒子と無機化合物を、アナターゼ型酸化チタン水分散体/水分散型コロイダルシリカ/ジルコニアゾルが所定の質量比になるように加えた。ただし、実施例4、9では無機化合物を添加しなかった。その後、多糖類増粘剤を所定量加えた。ただし、実施例4、5、9では多糖類増粘剤を添加しなかった。その後、場合により、アルカノールアミン、消泡剤、界面活性剤からなる群から選択される1種または2種以上をこの順で加えた。こうして、光触媒コーティング組成物を得た。全固形分濃度が所定の値になるように、各成分の添加量を適宜調整した。ここで、全固形分濃度とは、光触媒コーティング組成物全体に対する、光触媒粒子、無機化合物、塩基性染料の固形分、層状ケイ酸塩の固形分、多糖類増粘剤の固形分、消泡剤の固形分および界面活性剤の固形分の、合計濃度をいう。比較例1では、安定化剤を用いなかった以外は、実施例1〜11と同様の方法で、光触媒コーティング組成物を得た。比較例2では、安定化剤として、層状シリカを用いた以外は、実施例1〜11と同様の方法で、光触媒コーティング組成物を得た。比較例3では、安定化剤として、燐酸エステル系のアニオン性界面活性剤を用いた以外は、実施例1〜11と同様の方法で、光触媒コーティング組成物を得た。比較例4では、安定化剤として、カルボキシル基を含有する自己乳化性アニオン性樹脂を用いた以外は、実施例1〜11と同様の方法で、光触媒コーティング組成物を得た。各成分の種類、添加量を表2に示す。

0062

0063

評価
<視認性>
60℃の恒温槽で光触媒コーティング組成物を保管し、4日および4週間後に光触媒コーティング組成物を取り出した。この光触媒コーティング組成物をイオン交換水で5倍に希釈し、分光光度計島津製作所製 UV−3150)にて波長664nm(メチレンブルーの吸光ピークが見られる)における吸光度を求めた。また、白色のアクリル塗料を塗装したアルミ板に光触媒コーティング組成物を20g/m2でスプレー塗装し、外観を目視して光触媒被膜の視認性を判定した。結果は表2に示されるとおりであった。層状ケイ酸塩を添加することにより、吸光度は初期値からの低下が小さく、着色性および視認性も十分であることが確認された。一方、層状ケイ酸塩を添加しなかった場合、あるいは層状ケイ酸塩以外の安定化剤を添加した場合、4日さらには4週間後の吸光度は大きく低下し、色は紫色に大きく変化し、視認性も十分でないことが確認された。図1に、実施例1および比較例1の光触媒コーティング組成物における吸光度の経時的変化を示す。

0064

<粘度>
60℃の恒温槽で光触媒コーティング組成物を保管し、1週間後と4週間後に光触媒コーティング組成物を取り出した。保管前の光触媒コーティング組成物の粘度、1週間保管後の光触媒コーティング組成物の粘度、および4週間保管後の光触媒コーティング組成物の粘度を、B型粘度計(東機産業(株)製、TV−10、スピンドルM2)を用いて回転数6rpm、温度25℃の条件にて測定した。ローターは、M2ローターを用いた。結果は表3に示されるとおりであった。アルカノールアミンの質量割合が3.8質量%(>2.5質量%)である実施例1の光触媒コーティング組成物にあっては、初期粘度が635mPa・sであったのに対し、4週間経過後の粘度は573mPa・sであり、粘度変化率が小さいことが確認された。他方、アルカノールアミンの質量割合が1.3質量%(<2.5質量%)である実施例6の光触媒コーティング組成物にあっては、初期粘度が705mPa・sであったのに対し、4週間経過後の粘度は355mPa・sであり、実施例1の光触媒コーティング組成物の粘度変化率よりも大きいことが確認された。実施例6の粘度変化率は実用上許容可能なものであった。なお、粘度変化率は、1週間後の粘度と4週間後の粘度のうち初期粘度との差が大きい方の粘度から初期粘度を引いた値を、初期粘度の値で除して算出した(単位%)。

0065

<光触媒被膜の強度>
白色のポリエステル塗料を塗装したアルミ板に光触媒コーティング組成物を20g/m2でスプレー塗装し、以下の判断基準により、アルミ板の表面に形成された光触媒被膜の強度を評価した。結果は表2に示されるとおりであった。
判断基準
○:強度は十分であった
△:強度はやや劣るものの実用上許容可能であった

0066

アルカノールアミンの質量割合が3.8質量%である実施例1の光触媒コーティング組成物により形成された光触媒被膜、およびアルカノールアミンの質量割合が22.5質量%である実施例10の光触媒コーティング組成物により形成された光触媒被膜にあっては、十分な強度が得られることが確認された。他方、アルカノールアミンの質量割合が42.6質量%と多い実施例4の光触媒コーティング組成物により形成された光触媒被膜にあっては、実施例1よりは強度がやや劣った。ただし、これは実用上許容可能なものであった。

実施例

0067

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