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図面 (16)

課題

Toll様受容体タンパク質と結合するTLR2アゴニストを含むTLR2部分の使用を伴う、対象において先天性免疫応答を高めることによりがん感染因子により引き起こされる疾患を治療又は予防する方法の提供。

解決手段

溶液中にTLR2部分を含む有効量の組成物を対象に投与するステップを含み、TLR2部分はTLR2アゴニストを含み、疾患は、TLR2部分に対する液性免疫応答又は細胞性免疫応答により治療又は予防されない。

概要

背景

インフルエンザウイルス(IAV)の感染は、1年に、最大10億の感染及び300,000〜500,000の死を引き起こし、2009年のブタH1N1の世界的発生によって、パンデミックインフルエンザに立ち向かうために利用可能な抗ウイルス選択肢が限定的であることが強調された。ワクチン季節性IAV流行に対して利用可能であるが、これらのワクチンは、絶え間なく進化するIAVのノイラミニダーゼ及び血球凝集素表面タンパク質に対する抗体を誘導し、したがって、毎年の再処方及び投与を必要とする。さらに、これらのワクチンは、一般に、新生ウイルスにより引き起こされたパンデミック発生に対しては有効ではない。代替としては、IAVの保存された内部領域を標的とすることである。しかし、ブタH1N1インフルエンザAウイルスの近年のパンデミックの発生は、パンデミックインフルエンザに対する広範囲の予防ワクチン及び抗ウイルス選択肢を発見するための探求につながった。

本発明は、インフルエンザ並びに他の感染症及びがん治療するための新規な手法の開発に関する。

概要

Toll様受容体タンパク質と結合するTLR2アゴニストを含むTLR2部分の使用を伴う、対象において先天性免疫応答を高めることによりがん、感染因子により引き起こされる疾患を治療又は予防する方法の提供。溶液中にTLR2部分を含む有効量の組成物を対象に投与するステップを含み、TLR2部分はTLR2アゴニストを含み、疾患は、TLR2部分に対する液性免疫応答又は細胞性免疫応答により治療又は予防されない。なし

目的

本発明は、感染後、ウイルスに対する即時の抗ウイルス効果を有する対象において先天性免疫応答を高める方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
1件

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請求項1

対象において先天性免疫応答を高めることにより疾患を治療又は予防する方法であって、溶液中にTLR2部分を含む有効量の組成物を対象に投与するステップを含み、TLR2部分がTLR2アゴニストを含み、疾患が、TLR2部分に対する液性免疫応答又は細胞性免疫応答により治療又は予防されない、方法。

請求項2

対象において先天性免疫応答を高めることによりがんを治療又は予防する方法であって、溶液中にTLR2部分を含む治療有効量の組成物を対象に投与するステップを含み、TLR2部分がTLR2アゴニストを含み、TLR2部分が、がんに対する特異的細胞性免疫応答又は液性免疫応答を誘導しない、方法。

請求項3

感染因子により引き起こされる疾患を治療又は予防する方法であって、溶液中にTLR2部分を含む有効量の組成物を、それを必要とする対象に投与するステップを含み、TLR2部分がTLR2アゴニストを含み、TLR2部分が感染因子に対する特異的な細胞性免疫応答又は液性免疫応答を誘導しない、方法。

請求項4

TLR2部分が、可溶化剤コンジュゲートされたTLR2アゴニストを含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。

請求項5

TLR2アゴニストが、Pam2Cys、Pam3Cys、Ste2Cys、Lau2Cys及びOctCysからなる群から選択される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。

請求項6

TLR2アゴニストがPam2Cysである、請求項5に記載の方法。

請求項7

可溶化剤がPEG(ポリエチレングリコール)又は極性ポリペプチドである、請求項4〜6のいずれか一項に記載の方法。

請求項8

極性ポリペプチドが、R4、H4、E8及びH8からなる群から選択される、請求項7に記載の方法。

請求項9

可溶化剤がPEGである、請求項7に記載の方法。

請求項10

可溶化剤が、PEG並びにR4、H4、H8、EB8及びE8のいずれか1つを含む、請求項7に記載の方法。

請求項11

組成物が対象に鼻腔内投与される、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。

請求項12

感染因子がウイルスである、請求項3〜11のいずれか一項に記載の方法。

請求項13

ウイルスがインフルエンザAウイルス(IAV)である、請求項12に記載の方法。

請求項14

感染因子が、マイコバクテリウムツベルクローシス又はレジオネラニューモフィラである、請求項3〜11のいずれか一項に記載の方法。

請求項15

がんが感染因子により引き起こされる、請求項2に記載の方法。

請求項16

がんが、ヒトパピローマウイルス(HPV)、C型肝炎ウイルス(HCV)又はエプスタイン・バーウイルス(EBV)により引き起こされる、請求項15に記載の方法。

請求項17

溶液中の有効量のTLR2部分を、薬学的に許容される担体又は賦形剤一緒に含む、対象において先天性免疫応答を高めることにより疾患を治療又は予防するための医薬組成物であって、TLR2部分がTLR2アゴニストを含み、疾患が、TLR2部分に対する液性免疫応答又は細胞性免疫応答により治療又は予防されない、医薬組成物。

請求項18

対象において疾患を治療又は予防するための医薬品の製造のための、溶液中の有効量のTLR2部分の使用であって、TLR2部分がTLR2アゴニストを含み、TLR2アゴニストが対象において先天性免疫応答を高め、疾患が、TLR2部分に対する液性免疫応答又は細胞性免疫応答により治療又は予防されない、使用。

請求項19

組成物がTLR9アゴニストを含まない、請求項1〜16のいずれか一項に記載の方法又は請求項17に記載の組成物。

請求項20

医薬品がTLR9アゴニストを含まない、請求項18に記載の使用。

技術分野

0001

本発明は、TLR2アゴニストを含むTLR2部分の使用を伴う、対象において先天性免疫応答を誘発する新規な方法に関する。

背景技術

0002

インフルエンザウイルス(IAV)の感染は、1年に、最大10億の感染及び300,000〜500,000の死を引き起こし、2009年のブタH1N1の世界的発生によって、パンデミックインフルエンザに立ち向かうために利用可能な抗ウイルス選択肢が限定的であることが強調された。ワクチン季節性IAV流行に対して利用可能であるが、これらのワクチンは、絶え間なく進化するIAVのノイラミニダーゼ及び血球凝集素表面タンパク質に対する抗体を誘導し、したがって、毎年の再処方及び投与を必要とする。さらに、これらのワクチンは、一般に、新生ウイルスにより引き起こされたパンデミック発生に対しては有効ではない。代替としては、IAVの保存された内部領域を標的とすることである。しかし、ブタH1N1インフルエンザAウイルスの近年のパンデミックの発生は、パンデミックインフルエンザに対する広範囲の予防ワクチン及び抗ウイルス選択肢を発見するための探求につながった。

0003

本発明は、インフルエンザ並びに他の感染症及びがん治療するための新規な手法の開発に関する。

0004

本発明の第1の態様において、対象において先天性免疫応答を高めることにより疾患を治療又は予防する方法が提供され、該方法は、溶液中にTLR2部分を含む有効量の組成物を対象に投与するステップを含み、TLR2部分はTLR2アゴニストを含み、疾患は、TLR2部分に対する液性免疫応答又は細胞性免疫応答により治療又は予防されない。

0005

本発明の第2の態様において、感染因子により引き起こされる疾患を治療又は予防する方法が提供され、該方法は、溶液中にTLR2部分を含む有効量の組成物を、それを必要とする対象に投与するステップを含み、TLR2部分はTLR2アゴニストを含み、TLR2部分は感染因子に対する特異的な細胞性免疫応答又は液性免疫応答を誘導しない。

0006

本発明の第3の態様において、対象において先天性免疫応答を高めることによりがんを治療又は予防する方法が提供され、該方法は、溶液中にTLR2部分を含む治療有効量の組成物を対象に投与するステップを含み、TLR2部分はTLR2アゴニストを含み、TLR2部分は、がんに対する特異的細胞性免疫応答又は液性免疫応答を誘導しない。

0007

本発明の第4の態様において、溶液中の有効量のTLR2部分を、薬学的に許容される担体又は賦形剤一緒に含む、対象において先天性免疫応答を高めることにより疾患を治療又は予防するための医薬組成物が提供され、TLR2部分はTLR2アゴニストを含み、疾患は、TLR2部分に対する液性免疫応答又は細胞性免疫応答により治療又は予防されない。

0008

本発明の第5の態様において、対象において疾患を治療又は予防するための医薬品の製造のための、溶液中の有効量のTLR2部分の使用が提供され、TLR2部分はTLR2アゴニストを含み、TLR2アゴニストは対象において先天性免疫応答を高め、疾患は、TLR2部分に対する液性免疫応答又は細胞性免疫応答により治療又は予防されない。

図面の簡単な説明

0009

リポペプチドワクチン候補の概略図である。Pam2Cysに基づく構築体の概略図。(A)ペグ化Pam2Cys(Pam2Cys−PEG11)は、2つのセリンを介してウンデカエチレングリコールポリエチレングリコール、PEG)にカップリングされた1つのPam2Cys分子から構成される。(B)Pam2Cysに基づくリポペプチドワクチン候補は、1つのリジン(K)残基を介して連結された、標的CD8+T細胞エピトープ及びヘルパーエピトープで構成される。Pam2Cys脂質部分は、2つのセリン残基(Ser)を介して結合し、分岐型ペプチド構造を形成する。
リポペプチドの鼻腔内投与が、肺細胞集団を拡大することを示す図である。C57BL/6マウスに、25nmolのOT2−P2C−gB498−505リポペプチド又は25nmolのペプチドOT2−gB498−505(Pam2Cysを含まない)を鼻腔内接種し、肺細胞集団の特徴付けを、表示の時点で実施した(n=3/群/時点)。(A)肺細胞の総数を示す。記号は平均細胞数を表し、エラーバーはSEMを示す、#=P<0.01 vs.0日目。(B)肺細胞の組成を示す。各バーは平均細胞数を表し(n=3)、エラーバーはSDを示す、*=P<0.05 vs.0日目の細胞集団統計分析を、一元配置ANOVA分析及びポストホックDunnett’s多重比較検定を使用して実施した。反復実験も同様の結果をもたらした。
Pam2Cysに基づくリポペプチドがIAVのクリアランス強化することを示す図である。(A)マウスに、生理食塩水、IAV−LP(IAV由来のエピトープを含有する)又は非IAV−LPを接種し、リポペプチド接種3日後(上方パネル)又は7日後(下方パネル)に104.5pfuのMem71(H3N1)インフルエンザウイルスチャレンジした(n=3−5/群)。ウイルス価を感染5日目に評価し、BALB/c(◇)、C57BL/6(□)及びHHD(〇)のマウスに関して示す。記号は、個別のマウスから得られた力価を表し、線は、群の平均ウイルス価を示す。(B)生理食塩水対照に対するウイルスクリアランスの百分率を、リポペプチド群の上に示す。IAV−特異的CD8+T細胞応答を、LP接種後7日目にMem71をチャレンジされたC57BL/6マウスから検出した。チャレンジの5日目に、PA224−233−特異的CD8+T細胞を、脾臓からIFN−γ及びTNF−αに関する細胞内染色アッセイを使用して検出した。バーは、各群における平均サイトカイン特異的応答を意味し、エラーバーはSDを示す。*=P<0.05、**P<0.01 vs生理食塩水(一元配置ANOVA分析及びポストホックDunnett’s多重比較検定。
Pam2Cysに基づくリポペプチドが、高病原性IAV感染症の影響を減少させることを示す図である。上方パネル:生理食塩水、IAV−LP又は非IAV−LP(n=5/群)を鼻腔内接種され、7日目後にH1N1 PR8ウイルスをチャレンジされたC57BL/6マウス(左側)及びHHDマウス(右側)の生存を示すKaplan−Meierプロット。下方パネル:感染症後の体重変化。記号は平均を示し、エラーバーはSEMを示す。これらの結果は、両方のマウス系統における、独立した反復実験に反映された。
肺のサイトカイン環境に対するPam2Cysを示す図である。C57BL/6マウスに、20nmolのPam2Cys−PEG11(P2C−PEG11)又は50μlの生理食塩水(i.n)を投与し、気管支肺胞洗浄(BAL)液中のサイトカイン濃度を、投与後3(D3)又は7(D7)日目、BD(商標サイトメトリックビーズアレイ(Cytometric Bead Array)使用して決定した。バーは各群(n=3)の平均応答を表し、エラーバーはSDを示す、*=P<0.05;**=P<0.01;***=P<0.001 vs.生理食塩水及びナイーブ群(一元配置ANOVA及びポストホックTukey’s多重比較検定)。
Pam2Cysがウイルスクリアランスを媒介することを示す図である。マウスに、生理食塩水又は20nmolのPam2Cys−PEG11を接種し、1(上方パネル)、3(中央パネル)又は7(下方パネル)日後に104.5pfuのMem71(H3N1)ウイルス(n=3〜5/群)をチャレンジした。ウイルス価を、感染の5日目にBALB/c(◇)、C57BL/6(□)及びHHD(〇)マウスにおいて評価した。記号は、個別のマウスから得られた力価を表し、線は群の平均ウイルス価を示す、*=P<0.05 vs.生理食塩水(対応のないスチューデントt検定)。生理食塩水群に対するウイルスクリアランスの百分率は、Pam2Cys応答の上に示す。
鼻腔内Pam2Cys投与が、肺において細胞の亜集団を拡大することを示す図である。C57BL/6マウスに、20nmolのペグ化Pam2Cys(P2C−PEG11)又は50μlの生理食塩水(i.n)を投与し、肺細胞集団を投与後72時間特徴付けた。バーは各群(n=3)の平均応答を表し、エラーバーはSDを示す、*=P<0.05; vs.生理食塩水群(対応のないスチューデントt検定)。
Pam2Cysが、悪性IAV感染症に対して保護することを示す図である。C57BL/6マウスに、生理食塩水又は20nmolのペグ化Pam2Cys(P2C−PEG11)(n=5/群)を鼻腔内接種し、7日後、200pfuのH1N1 PR8ウイルスをチャレンジした。マウスの1群に20nmolのP2C−PEG11を与え、72時間後チャレンジした。感染後の体重変化を、元の体重の百分率として示す。記号は平均を表し、エラーバーはSEMを示す。これらの結果は、独立した反復実験に反映された。
Pam2Cysによる予防が、ウイルス負荷及びインフルエンザの接触伝染を減少させることを示す図である。BALB/cマウスに、生理食塩水(白いバー)又は20nmolのペグ化Pam2Cys(P2C−PEG11)(灰色のバー)を接種し、7日、5日、72時間又は24時間後、104.5pfuのUdorn(H3N2)ウイルス(n=2/群)をチャレンジした。これらのマウスは、スプレッダーマウスと名付けた。チャレンジ24時間後、スプレッダーマウスを、ナイーブなレシピエントマウスと同時飼育した。同時飼育の24時間後、スプレッダーマウスを取り出し、鼻甲介気管及び肺を取り出し、ウイルス価を決定した(上方パネル)。スプレッダーマウスへの曝露3.5日後、レシピエントマウスから器官採取し、ウイルス価を評価した(下方パネル)。白又は灰色の矢印は、それぞれの処置群から同時飼育レシピエントへの、接触により媒介される伝染成功したことを示す。
PEG−Pam2Cysが、鼻腔内送達された場合、単回用量でIAVに対して保護することを示す図である。マウスに、PEG−Pam2Cys(20nmol)を、鼻腔内(i.n)、皮下(s.c)又は静脈内(i.v)経路を介して予防投与し、3日後、致死量のPR8ウイルスをチャレンジした。マウスはその後、体重及び生存に関してPR8後8日間にわたってモニターされ、エンドポイント安楽死処分された。
いくつかのPam2Cys変異体もまた、IAVチャレンジに対する保護をもたらすことを示す図である。マウスに、20nmolのさまざまなPam2Cys含有構築体を、鼻腔内経路を介して予防投与し、3日後、致死量のPR8ウイルスをチャレンジした。マウスはその後、体重(A)及び生存(B)に関してPR8後8日間にわたってモニターされた。生理食塩水群において見られた体重の減少が、他の処置群のそれぞれと比較した場合、統計的に有意であった(P<0.01)。
反復用量で与えた場合、PEG−Pam2Cysが有効であることを示す図である。Balb/cマウスに、単回用量のPEG−Pam2Cys又は3週間空けて2回用量のPEG−Pam2Cysを投与し、その後、第2の用量の3日後にPR8をチャレンジした。マウスはその後、体重及び生存に関してチャレンジ後8日間にわたってモニターされ、肺のウイルス負荷の評価に関して、PR8後7日目に処分された。生理食塩水群において見られた体重の減少が、他の処置群のそれぞれと比較した場合、統計的に有意であった(P<0.01)(A)。PEG−Pam2Cysにより処置されたマウスにおけるウイルス負荷は、生理食塩水のみを与えられたマウスにおけるものよりも実質的に低かった(B)。
PEG−Pam2Cysのより低い用量もまた有効であることを示す図である。マウスを、より低い用量のPEG−Pam2Cysの2、5及び10nmol(20nmolと比較されたい)で予防処置し、3日後、致死量のPR8ウイルスをチャレンジした。マウスは体重変化及び生存に関してチャレンジ後18日間にわたってモニターされ、エンドポイントで安楽死処分された。生理食塩水群内のマウスは、PR8チャレンジ後8日を越えて生存しなかった。
IAVチャレンジに対する保護が、IFN−γ又は1型インターフェロン(すなわちIFN−α)に依存しないことを示す図である。IFN−γ欠損マウス(B6.IFN−γ−/−)(A)又は1型インターフェロン受容体欠損マウス(IFNAR−/−)(B)に、20nmolのPEG−Pam2Cys(i.n.)を予防投与し、3日後、致死量のPR8ウイルスをチャレンジした。これらのマウスは、PR8感染症に関連する体重減少及び致死に対して保護された。生理食塩水群が安楽死処分されるエンドポイントである5日目に、B6.IFN−γ−/−コホートは処分された。
PEG−Pam2Cysが治療薬として有効であることを示す図である。Balb/cマウスに、104.5PFUのUdornウイルスをi.n.でチャレンジし、4時間後、20nmolのPEG−Pam2Cysを投与した(i.n.)。2日後、動物を処分し、中咽頭、気管及び肺においてウイルス負荷を決定した。
PEG−Pam2Cysが抗菌剤として有効であることを示す図である。C57BL/6マウスを、20nmolのPEG−Pam2Cysで予備処置し(i.n)、3日後、1x106CFUのL.ニューモフィラ(L.pneumophila)(JR32Δfla株)をチャレンジした。マウスは、L.ニューモフィラによる鼻腔内チャレンジ後毎日モニターされ、マウスの肺における細菌負荷を、チャレンジの1,2及び3日後に評価した(A)。各記号は、各時点において得られた平均細菌負荷を表し、エラーバーは標準偏差(SD)を表す。統計的有意差を、生理食塩水とPEG−Pam2Cys処置群とを比較するスチューデントt検定を使用して得られた*(p<0.05)により表示する。生理食塩水群に関する細菌減少の平均百分率を、各記号の上に示す。PEG−Pam2Cysによる保護期間を明示するために、マウスを、L.ニューモフィラによるチャレンジ前3日(B)又は7日(C)に、PEG−Pam2Cysで予備処置した。感染後3日目の細菌負荷を、図B及びCに示す。

0010

[詳細な説明]
本明細書を通して、文脈が他のことを要求していない限り、「含む(comprise)」という語又は「含む(comprises)」若しくは「含んでいる(comprising)」などの変化形は、述べられている要素若しくは整数又は要素若しくは整数の群の組み入れを意味し、任意の他の要素若しくは整数又は要素若しくは整数の群の除外を意味するものではないと理解されるものとする。

0011

任意の先行する出版物(又はそれに由来する情報)又は公知である任意の事柄に対する本明細書における参照は、先行する出版物(又はそれに由来する情報)又は公知の事柄が、本明細書が関連する試みの分野における共通の一般知識の一部を形成するという示唆承認又は了承又は任意の形態ではなく、そのように解釈すべきではない。

0012

本明細書に述べられるすべての出版物は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。

0013

本明細書において使用する場合、文脈が明らかに他のことを表していない限り、単数形「a」、「an」及び「the」は複数の態様を含むことに留意しなければならない。したがって、例えば、「薬剤(an agent)」に対する言及は、1つの薬剤及び2つ以上の薬剤を含み、「組成物(the composition)」に対する言及は、1つの組成物及び2つ以上の組成物を含む。

0014

本明細書において、「TLR2」という用語は、Toll様受容体タンパク質を意味することが意図される。TLR2は、TLR1、TLR3、TLR4、TLR5、TLR6、TLR7、TLR8及びTLR9を含むToll様受容体(すなわち「TLR」)の膜受容体タンパク質ファミリーである。ヒトにおいて、TLR2は、TLR2遺伝子によりコードされる。TLR2は、特定の細胞の表面において発現され、病原体の認識及び先天性免疫活性化において基本的な役割を果たす。

0015

TLR2アゴニストは、Toll様受容体2と結合する薬剤である。TLR2 アゴニストは、ホモ二量体又はヘテロ二量体としてTLR2と結合することもできる。

0016

本発明は、S−[2,3−bis(パルミトイルオキシプロピルシステイン(Pam2Cys)などのTLR2アゴニストが、対象における先天性免疫応答を高める能力を示す、特に、ウイルス(例えば、インフルエンザA)及び細菌(例えばL.ニューモフィラ)などの感染因子に対する予防効果及び治療効果を、非抗原特異的様式で誘発するという観察を前提としている。

0017

したがって、本発明の第1の態様において、対象において先天性免疫応答を高めることにより疾患を治療又は予防する方法が提供され、該方法は、溶液中にTLR2部分を含む有効量の組成物を対象に投与するステップを含み、TLR2部分はTLR2アゴニストを含み、疾患は、TLR2部分に対する液性免疫応答又は細胞性免疫応答により治療又は予防されない。

0018

いくつかの実施形態において、TLR2アゴニストはリポペプチドであるか、又は脂質部分を含む。

0019

本発明のこの実施形態に従った例示的リポペプチドは、リポペプチド「Pam2Cys」である。当業者は、「リポペプチド」という用語が、1種又は複数種の脂質部分及び1種又は複数種のコンジュゲートされたアミノ酸配列を含む任意の組成物を意味することを理解するはずである。「Pam2Cys」(ジパルミトイル−S−グリセリル−システイン又はS−[2,3bis(パルミトイルオキシ)プロピル]システインとしても知られている)が合成されており、マイコプラズマファーメンタンス(Mycoplasma fermentans)から単離されたMALP−2、マクロファージ活性化リポペプチドの脂質部分に対応する。Pam2Cysは、TLR2のリガンドであることが公知である。

0020

Pam2Cysは下記の構造を有する:

0021

別の例示的リポペプチドは、リポアミノ酸のN−パルミトイル−S−[2,3−bis(パルミトイルオキシ)プロピル]システインであり、Pam3Cys又はPam3Cys−OHとしても知られており、グラム陰性菌内膜及び外膜に広がるBraunリポタンパク質N末端部分の合成型である。Pam3Cysは下記の構造を有する:

0022

米国特許第5,700,910号は、合成アジュバントBリンパ球刺激剤マクロファージ刺激剤又は合成ワクチンとして使用されるリポペプチドの調製における中間体として使用するための、いくつかのN−アシル−S−(2−ヒドロキシアルキル)システインを記載している。米国特許第5,700,910はまた、Pam3Cys−OHの合成、及びN末端にこのリポアミノ酸又はこれらのアナログを含むリポペプチドの合成における中間体として、このような化合物を使用することを教示している。

0023

細胞表面TLRの標的化に使用され得る他の脂質部分は、パルミトイル、ミリストイルステアロイルラウロイルオクタノイル又はデカノイルを含む。

0024

Pam2Cys及びPam3Cysに加えて、本発明は、本発明に従ったSet2Cys、Lau2Cys及びOct2Cysの使用も企図する。当業者は、Ste2Cysが、S−[2,3−bis(ステアロイルオキシ)プロピル]システイン又はジステアロイル−S−グリセリル−システインとしても公知であること、Lau2Cysが、S−[2,3−bis(ラウロイルオキシ)プロピル]システイン又はジラウロイル−S−グリセリル−システイン)としても公知であること、及びOct2Cysが、S−[2,3−bis(オクタノイルオキシ)プロピル]システイン又はジオクタノイル−S−グリセリル−システイン)としても公知であることを承知しているであろう。

0025

他の適切なTLR2アゴニストは、限定するものではないが、合成のトリアシル化及びジアシル化のリポペプチド、FSL−I(マイコプラズマ・サリバリウム1(Mycoplasma salivarium 1)由来の合成リポタンパク質)、Pam3Cys(トリパルミトイル−S−グリセリルシステイン)及びS−[2,3−bis(パルミトイルオキシ)−(2RS)−プロピル]−N−パルミトイル−(R)−システインを含み、「Pam3」は「トリパルミトイル−S−グリセリル」である。Pam3Cysの誘導体もまた適切なTLR2アゴニストであり、誘導体は、限定するものではないが、S−[2,3−bis(パルミトイルオキシ)−(2−R,S)−プロピル]−N−パルミトイル−(R)−Cys−(S)−Ser−(Lys)4−ヒドロキシトリヒドロクロリド、Pam3Cys−Ser−Ser−Asn−Ala; PaM3Cys−Ser−(Lys)4、Pam3Cys−Ala−Gly、Pam3Cys−Ser−Gly;Pam3Cys−Ser、PaM3CyS−OMe、Pam3Cys−OH、PamCAG、パルミトイル−Cys((RS)−2,3−ジ(パルミトイルオキシ)−プロピル)−Ala−Gly−OHなどを含む。適切なTLR2アゴニストの別の限定されない例は、Pam2CSK4、PaM2CSK4(ジパルミトイル−S−グリセリルシステイン−セリン−(リジン)4であり又はPam2Cys−Ser−(Lys)4)は合成のジアシル化リポペプチドである。他の合成のTLRアゴニストは、例えば、Kellnerら、(1992年、Biol.Chem.373:1:51〜5頁);Seiferら(1990年、Biochem.J、26:795〜802頁)及びLeeら(2003年、J.Lipid Res.、44:479〜486頁)に記載のものを含む。

0026

当業者には理解されることであろうが、TLR2アゴニストは通常非極性であり、したがって、非極性溶媒中では可溶性であるが、極性溶媒及び水性溶媒中では難溶性でしかない。TLR2アゴニストを極性溶媒又は水性溶媒中で使用することが望ましい場合、TLR2アゴニストは、可溶化剤とコンジュゲートされてもよい。

0027

可溶化剤は、TLR2部分の溶解度を改善するためにTLR2アゴニストにコンジュゲートされ得る、1種又は複数種の可溶化剤を含んでもよい。可溶化剤は一般に、極性溶媒又は水性溶媒中でTLR2部分の溶解度を増加する極性部分である。

0028

本発明の他のさらなる実施形態において、可溶化剤は「PEG」(又はポリエチレングリコール)並びに極性ポリペプチド、例えば「R4」、超分岐テトラアルギニン複合体;「H4」、超分岐テトラヒスチジン複合体;「H8」、ヒスチジン残基を含有する直鎖ペプチド;及び「E8」、グルタミン酸残基を含有する直鎖ペプチドからなる群の1つ又は複数を含む。グルタミン酸残基を含有する超分岐ペプチドを含む、他の直鎖及び分岐型脂質可溶化剤もまた想定される(例えば、下記の「分岐型E8」を参照されたい)。本発明の他のさらなる実施形態において、可溶化剤は、PEG並びにR4、H4、H8及びE8(直鎖又は分岐型)からなる群の1つ又は複数を含む。R4、H4、H8及びE8は、すでにPCT/AU2009/000469(WO/2010/115230)に記載されており、下記の構造を有する:

0029

0030

0031

0032

0033

0034

当業者は、本発明が、例示された特定の可溶化剤に限定されず、当技術分野において公知の他の適切な可溶化剤、例えば炭水化物が、本発明に従って使用できることは理解されるであろう。

0035

1種又は複数種の可溶化剤を、本発明に従った脂質にコンジュゲートできる方法は、当業者には周知のものである。例えば、Fmoc化学を介した、ジスルフィド又はジエーテル(dioether)架橋を介した、又はオキシム化学を介したコンジュゲーション予想される。本発明の特定の実施形態において、Pam2Cysの可溶性形態が、O−(N−Fmoc−2−アミノエチル)−O’−(2−カルボキシエチル)−ウンデカエチレングリコール(Fmoc−PEG11−OH、Merck Ltd)のPam2Cysへの付加により調製された。これにより、脂質のペグ化形態、Pam2Cys−PEG11の形成がもたらされ、これはその後対象への投与に適切である。

0036

本発明に従った特に好ましい形態において、TLR2部分は、PEGにコンジュゲートされたPam2Cysを含むコンジュゲートを含む。

0037

先に示したように、本発明者らはPam2Cysが、感染因子、例えばウイルス(例えばインフルエンザA)又は細菌(例えばL.ニューモフィラ)による感染症に対する予防活性及び治療活性を、非抗原特異的様式で明示するという驚くべき観察を行った。例えば、鼻腔内(intransally)送達された場合、単回用量の可溶性Pam2Cysは、軽症のH3N1感染症後のウイルス負荷の最大99%の減少により明示され、高病原性H1N1感染症に関係する罹患率及び死亡率が有意に減少したように、C57BL/6、BALB/c及びHHDマウスにおけるインフルエンザA感染症の異種サブタイプに対する即時の、有意な保護を提供した。

0038

本発明者らは、本発明の方法に従ったTLR2アゴニストの投与が、任意の同時投与された、TLR9アゴニストを含むTLRアゴニストの不在下で、対象において先天性免疫応答を誘発することもまた見出した。したがって、いくつかの実施形態において、本発明に従った組成物はTLR9アゴニストを含まない。

0039

本発明者らは、本発明に従ったTLR2アゴニストが、対象において非抗原特異的、先天性免疫応答を高めることができることを示した。このことは、1種又は複数種のペプチド抗原を含むTLR2部分の投与を伴う実験により明示されており、このペプチド抗原は治療又は予防される疾患とは「無関係」である。本明細書において使用する場合「無関係」という用語は、特異的な抗原又は抗原(複数)に対する液性応答又は細胞性応答を高めることができず、本発明に関連して、TLR2部分に対する液性免疫応答又は細胞性免疫応答を高めないことを意味することを意図している。

0040

したがって、本発明に従ったTLR2アゴニストは、限定するものではないが、ヘルパーTエピトープ及び/又は細胞毒性T−リンパ球(CTL)エピトープを含む、1種又は複数種の、疾患の治療又は予防とは無関係のペプチド抗原をさらに含むことができる。本発明に従ったTLR2部分は、対象において非抗原特異的様式で先天性免疫応答を起こすことができるので、当業者は、TLR2部分が、予防又は治療される疾患と無関係であろう1種又は複数種のペプチド抗原を含むことができる、又はTLR2部分が、1種又は複数種のペプチド抗原の不在下で使用され得ることを理解するであろうことを心に留めることは重要である。

0041

例示の目的で、本発明は、IAVの治療において、1種又は複数種の「無関係な」ペプチド抗原を含むTLR2部分が、この部分の投与後、同一であるが、結合されたペプチド抗原を含まないTLR2アゴニストと同じ、非抗原特異的/先天性免疫応答を高める能力を明示することを明示する。これらの実験において、本発明者らは、TLR2部分を含む組成物を使用し、TLR2部分は、TLR2アゴニスト(例えばPam2Cys)、ヘルパーTエピトープ(OT2)及び/又は細胞毒性Tリンパ球エピトープ単純ヘルペスウイルス1由来CD8+T細胞エピトープ(表1を参照されたい)を含んだ。両方のエピトープはIAVとは無関係である。したがって、本発明者らは、本発明に従ったTLR2部分が、それを投与された対象において非抗原依存性の先天性免疫応答を高め得ることを示した。

0042

したがって、本発明の別の態様において、感染因子により引き起こされる疾患を治療又は予防する方法が提供され、該方法は、溶液中にTLR2部分を含む有効量の組成物を、それを必要とする対象に投与するステップを含み、TLR2部分はTLR2アゴニストを含み、TLR2部分は感染因子に対する特異的な細胞性免疫応答又は液性免疫応答を誘導しない。

0043

いくつかの実施形態において、本発明は、感染後、ウイルスに対する即時の抗ウイルス効果を有する対象において先天性免疫応答を高める方法を提供する。特に、これは、本発明に従ったTLR2部分の投与が、ウイルス感染、特にインフルエンザA感染後に、対象において予防効果を有し得ることを意味する。したがって、本発明に従ったさらなる実施形態において、TLR2受容体アゴニストの投与は、対象において感染因子により引き起こされる疾患の予防に使用できる。このような方法で、本発明に従った方法を使用し、限定するものではないが、インフルエンザAウイルス(IAV)、C型肝炎ウイルス(HCV)、マイコバクテリウムツベルクローシス(Mycobacterium tuberculosis)、L.ニューモフィラ及びがんを引き起こすことが公知の感染因子を含む、感染因子による感染症の予防において先天性免疫応答を誘発することができる。

0044

本発明は、すでに感染因子に感染している、又は感染因子が定着している対象において先天性免疫応答を高める方法もまた企図する。特に、これは、本発明に従った組成物の投与が、対象において感染因子による感染又は定着後の治療効果を有し得ることを意味する。したがって、さらなる実施形態において、本発明に従った組成物の投与が、対象において感染因子により引き起こされる疾患の治療に使用できる。

0045

本発明者らは、本発明に従ったTLR2部分により対象を予備処置すると、細菌による感染症がTLR2部分の投与7日後に起こる場合でさえ、細菌による鼻腔内チャレンジ後の肺及び気管中の細菌負荷を有意に減少させることができることもさらに示した。したがって、いくつかの実施形態において、感染因子は細菌である。細菌は、細胞内のグラム陽性又はグラム陰性の細菌であり得る。一実施形態において、細菌は、限定するものではないが、スタフィロコッカス属(Staphylococcus)、バチルス属(Bacillus)、フランシセラ属(Francisella)、エルシニア属(Yersinia)、レジオネラ・ニューモフィラ(Legionella pneumophila)及びマイコバクテリウム・ツベルクローシスを含む。一実施形態において、感染因子はマイコバクテリウム・ツベルクローシスである。別の実施形態において、感染因子はレジオネラ・ニューモフィラである。

0046

いくつかの実施形態において、感染因子は、対象における二次感染症(例えば肺炎)の原因である。したがって、本発明は、先天性免疫応答を高めることにより、対象において二次感染症を治療又は予防する方法もまた提供し、該方法は、溶液中にTLR2部分を含む有効量の組成物を、対象に投与するステップを含み、二次感染症は、可溶性TLR2部分に対する液性免疫応答又は細胞性免疫応答により治療又は予防されない。

0047

本発明者らは、予防投与された場合、本発明に従ったTLR2部分を含む組成物が、感染因子、例えばインフルエンザAによる軽度の病原性感染症に対する即時の保護を提供でき、この保護が、先天性免疫メディエーターの肺への流入と関係があることもさらに明示している。この抗ウイルス活性は抗原特異的ではない。

0048

本発明は、本明細書において定義されたTLR2部分の、対象におけるがんの治療のための使用もまた企図する。したがって、本発明の別の態様において、対象において先天性免疫応答を高めることによりがんを治療又は予防する方法が提供され、該方法は、溶液中にTLR2部分を含む治療有効量の組成物を対象に投与するステップを含み、TLR2部分はTLR2アゴニストを含み、TLR2部分は、がんに対する特異的細胞性免疫応答又は液性免疫応答を直接誘導しない。いくつかの実施形態において、TLR2部分の投与は、がんの成長又は広がり阻害する。

0049

当業者は、がんが感染因子により引き起こされ得るか、又は引き起こされ得ないことを認識するであろう。したがって、感染因子により引き起こされない確立されたがんもまた、本発明の方法に従って治療され得る。例えば、TLR2部分を、対象において先天性免疫応答を誘導するように、対象においてがんを引き起こす腫瘍部位に直接投与することができる。TLR2アゴニストのがんを引き起こす腫瘍部位への直接投与は、先天性免疫系の細胞(例えば、好中球、マクロファージ及びサイトカイン)の腫瘍部位への動員を伴うことができる。したがって、いくつかの実施形態において、組成物は、がんを引き起こす腫瘍部位に直接投与される。「腫瘍」という用語は、細胞の異常な成長により形成される新生物又は固体病変(時として「新生物性(neoplastic)」と呼ばれる)を意味することを意図している。腫瘍という用語が、必ずしもがんと同意語ではないことを心に留めることが重要である。腫瘍は良性、前悪性又は悪性であり得、一方、がんは定義により悪性であるが、多くの場合、腫瘍はがんと関係がある。本明細書において使用する場合、「がん」という用語は、それらの細胞の、特殊化された、異なる細胞へのいかなる分化も伴わない、制御できない細胞成長(例えば腫瘍形成)により特徴付けられる、疾患又は障害の群を指す。

0050

本明細書において使用する場合、「対象」という用語は、動物、特に哺乳動物及びより特別には下等霊長類を含む霊長類及びさらにより特別には本発明の医療プロトコルから利益を得ることができるヒトを指す。ヒト又は非ヒト動物又はであるかどうかにかかわらず、対象は、個体、対象、動物、患者宿主又はレシピエントと称され得る。本発明は、ヒト及び獣医学的用途の両方を有する。便宜上、「動物」は特に家畜動物、例えばウシウマヒツジ、ブタ、ラクダヤギ及びロバを含む。ウマに関しては、これらは、レース業界に使用されるウマ及びレクリエーション又は畜産業に使用されるウマを含む。研究室実験動物の例は、マウス、ラットウサギモルモット及びハムスターを含む。ウサギ及びげっ歯類動物、例えばラット及びマウスは、霊長類及び下等霊長類と同様の便利な試験系又は動物モデルを提供する。いくつかの実施形態において、対象はヒトである。

0051

本発明に従った組成物は、有効量で投与される。TLR2部分の「有効量」及び「治療有効量」という用語は、本明細書において使用する場合、その過程において所望の治療効果又は生理的効果を少なくとも統計有意数の対象に提供する十分量を意味する。望ましくない効果、例えば副作用が、時として所望の治療効果と一緒に現れ、したがって、施術者は、適切な「有効量」が何であるかの決定において、潜在的利益対潜在的危険性のバランスを保つ。必要な正確な量は対象ごとに変動し、対象の種、年齢及び全身状態、投与の様式などに依存する。したがって、正確な「有効量」を明示することができない場合がある。しかし、任意の個別の症例における適切な「有効量」は、日常実験のみを使用して、当業者により決定できる。いくつかの実施形態において、ヒト対象に関する有効量は、約0.1nmol/kg体重/用量〜1mol/kg体重/用量の範囲にある。いくつかの実施形態において、該範囲は、約1nmol〜1mol、約1μmol〜1mol、1μmol〜500μmol、1μmol〜250μmol、1μmol〜50μmol又は1nmol〜1μmol/kg体重/用量である。いくつかの実施形態において、該範囲は、約0.08μmol〜0.11μmol/kg体重/用量のTLR2部分である。投薬レジメンは、状況の緊急性に合わせて調整され、最適な治療用量をもたらすために調整できる。例えば、いくらかの用量を、毎日、毎週、毎月又は他の適切な時間間隔で提供できる。

0052

「治療(treatment)」又は「治療すること(treating)」という用語は、限定するものではないが、(i)疾患の進行を遅延させる又は停止させること、(ii)疾患の進行を部分的に回復させること、及び(iii)疾患の進行を完全に回復させること(すなわち疾患の治癒)を含む。「予防(prevent)」又は「予防すること(preventing)」という用語は、疾患の完全な予防(すなわち、疾患を発症させないこと)に限定されると解釈されるべきではなく、疾患の進行の最小化、例えば、本発明に従った組成物の予防投与の結果として、疾患が対象においてより低い強度で起こる、又はより遅い速度で進行することを含んでもよい。

0053

本発明に従った組成物は、単回用量で投与されても、又は一連の用量で投与されてもよい。コンジュゲートを単独で投与することが可能であるが、組成物、好ましくは医薬組成物として存在することが好ましい。このような組成物の製剤は、当業者に周知である。該組成物は、任意の薬学的に許容される担体、希釈剤又は賦形剤を含有してもよい。適切な投薬量及び投薬レジメンは、担当医が決定でき、治療される特定の状態、状態の重症度及び対象の全般的な年齢、健康及び体重に依存し得る。

0054

「薬学的に許容される」担体、賦形剤又は希釈剤は、生物学的その他で望ましくないことはない材料からなる医薬ビヒクルを意味し、すなわち該材料は、選択されたコンジュゲートと一緒に、任意の又は実質的な有害反応を引き起こすことなく対象に投与できる。担体は、賦形剤及び他の添加剤、例えば希釈剤、洗浄剤着色剤湿潤剤又は乳化剤、pH緩衝剤保存料などを含むことができる。担体は、すべての従来の溶媒分散媒充填剤固体担体コーティング剤抗真菌剤及び抗菌剤、皮膚透過剤界面活性剤等張剤及び吸収剤などをさらに含むことができる。本発明の組成物は、他の補足生理学的活性薬剤もさらに含むことができると理解されることであろう。

0055

したがって、本発明はまた、溶液中の有効量のTLR2部分を、薬学的に許容される担体又は賦形剤と一緒に含む、対象において先天性免疫応答を高めることにより疾患を治療又は予防するための医薬組成物を提供し、TLR2部分はTLR2アゴニストを含み、疾患は、TLR2部分に対する液性免疫応答又は細胞性免疫応答により治療又は予防されない。

0056

本発明の組成物は、限定するものではないが、鼻腔内、経口及び静脈内を含む、当業者に公知の任意の手段により投与できる。いくつかの実施形態において、組成物は鼻腔内投与される。

0057

本発明はまた、対象において疾患を治療又は予防するための医薬品の製造のための、溶液中の有効量のTLR2部分の使用を企図し、TLR2部分はTLR2アゴニストを含み、TLR2アゴニストは対象において先天性免疫応答を高め、疾患は、TLR2部分に対する液性免疫応答又は細胞性免疫応答により治療又は予防されない。

0058

当業者は、本明細書に記載の発明が、特に記載されたもの以外の変形及び改変受け入れる余地があることを理解されることであろう。本発明が、本発明の精神及び範囲内に納まる、すべてのこのような変形及び改変を含むことは理解されることであろう。本発明は、本明細書に言及又は示されたすべてのステップ、特長、組成物及び化合物もまた、個別に又は全体的に含み、前記ステップ又は特長の任意の2つ以上のあらゆる組み合わせもまた含む。

0059

本発明の特定の実施形態を、下記の実施例を参照してここに説明するが、これらは単なる例示目的を意図し、前述の一般性の範囲を限定する意図のものではない。

0060

材料及び方法
ペプチド及びリポペプチドの合成、精製及び確証。リポペプチド及びペプチドの合成を、従来の固相合成により、全体にわたって、Fmoc(9−フルオレニルメトキシカルボニル)化学を使用して実施した。ペプチドを、Symphony Multiplex synthesiser(Protein Technologies Inc、Arizona、USA)又はマイクロ波技術を使用して高忠実性ペプチド配列の作製を容易にするLiberty synthesiser(CEM、North Carolina、USA)使用して、自動的にアセンブリさせた。ペプチド及びリポペプチドを、逆相高性能液体クロマトグラフィーにより精製し、生成物信頼性を、質量分析により決定した。ペプチドのアセンブリ、精製及び特徴付けに使用した手順は、他に詳細に記載されている(参考文献1、2、3)。Pam2Cysの可溶性形態を、O−(N−Fmoc−2−アミノエチル)−O’−(2−カルボキシエチル)−ウンデカエチレングリコール(Fmoc−PEG11−OH、Merck Ltd)のPam2Cysへの付加により調製した。これにより、脂質のペグ化形態、Pam2Cys−PEG11が形成された。リポペプチド構築体及び個別のリポペプチド組成物に含まれるエピトープを表1に示す。

0061

動物。6〜8週齢のC57BL/6、BALB/c、B6.IFN−γ−/−、B6.IFNAR−/−及びHHDの雄及び雌のマウスを使用した。HHD「ノックアウト」マウスは、HLA−A2.1のα1−α2ドメイン並びにH−2Dbのα3及び細胞質及び膜貫通ドメインキメラ単鎖を発現する。これらのマウスは、血清学的に検出可能なネズミH−2Db分子を発現できない、ダブルノックアウトH−2Db−/−β2m−/−マウスに構築される(参考文献4、5)。HHDマウスは、Institut Pasteur、Parisにおいて開発され、Queensland Institute for Medical Researchのご厚意により供給された。マウスを、Animal House Facility、Department of Microbiologyにおいて繁殖させ、飼育した。B6.IFN−γ−/−マウスは、インターフェロン−γを欠損しており、B6.IFNAR−/−マウスは1型インターフェロン受容体を保有していない。TLR2欠損マウスは、Dr Shizuo Akira、Osaka Universityのご厚意により提供された。マウスに伴うすべての手順は、The University of Melbourne Animal Experimentation Ethics Committeeにより承認された。

0062

接種手順。マウスに、ペントラン(Penthrane)(商標)又はイソフルラン吸入により麻酔をかけ、25nmolのリポペプチド、25nmolの非脂質付加ペプチド又は2〜20nmolのPam2Cys含有構築体を、鼻腔内経路により接種した。Pam2Cys含有構築体及びリポペプチド及びペプチドを生理食塩水に溶解し、50μlの体積で投与し、一方、生理食塩水対照群には50μlの生理食塩水のみを与えた。

0063

インフルエンザAウイルスのチャレンジ。リポペプチド接種後1、3又は7日目、マウスに、生IAVを鼻腔内チャレンジした。軽度のIAV感染症のために、マウスに、104.5PFUのH3N1ウイルス、Mem71、A/Memphis/1/71[H3N2]xA/Bellamy/42[H1N1]の遺伝子再集合体を投与した。チャレンジ5日目、肺をウイルス価決定のために採取し、脾臓を、CD8+T細胞応答の特徴付けのために採取した。高病原性IAVのチャレンジを、50PFU(HHDマウス)、200PFU(C57BL/6マウス)又は500PFU(BALB/cマウス)のH1N1ウイルスA/Puerto Rico/8/34(PR8)を使用して、鼻腔内経路を介して実施した。この高病原性ウイルスは、体重減少及び脱水症状を特徴とする症候性感染症を誘導する。マウスを、罹患兆候に関して毎日モニターし、The University of Melbourne Animal Ethics Committeeにより承認された臨床症状及び体重減少の程度の組み合わせを使用して決定される、安楽死エンドポイントにおいて必要な場合、処分した。

0064

レジオネラ・ニューモフィラ菌のチャレンジ。C57BL/6マウスを、20nmolのPEG−Pam2Cysで鼻腔内予備処置し、3日後、1x106CFUのL.ニューモフィラ(JR32Δfla株)により鼻腔内チャレンジした。マウスの肺における細菌負荷を、感染1、2及び3日後に評価した。

0065

接触伝染研究。BALB/cマウスにおけるウイルス伝染を評価するために、「ドナー」マウス(n=2)に、50μlの生理食塩水中104.5pfuのH3N2 Udornウイルス(A/Udorn/72)を鼻腔内経路により与えた。チャレンジ1日後、ドナーマウスを、ナイーブな「レシピエント」マウス(n=3)と一緒に24時間同時飼育し、その後、ドナーマウスを取り出し、鼻甲介、気管及び肺を採取し、ウイルス価を評価した。ドナーマウスへの曝露の3日半後、レシピエントマウスの鼻甲介、気管及び肺をウイルス価の評価のために採取した。このプロトコルは、Edenboroughらにより開発された接触伝染モデルに基づく(出版準備中)。

0066

鼻甲介、気管及び肺におけるウイルス価の評価。マウスの鼻甲介、気管及び肺を3mlのRPMI中で均一化し、肺上清中のIAV ウイルス価を、前記Madine Darby Canine Kidney(MDCK)Plaque Assayを使用して決定した(参考文献6)。

0067

器官からの単一細胞懸濁液の調製。CO2による窒息後、マウスの肺を、10mlのPBS心臓右心室を介して還流し、循環細胞を除去した。肺を細断し、コラーゲナーゼA(2mg/ml、Roche、Mannheim、Germany)によりRPMI中で30分間酵素消化に供した。消化された肺断片を、で濾し、3mlのあらかじめ温めたTris−緩衝化塩アンモニウム溶液ATC)により2分、室温において、赤血球を溶解するために処理した。その後、肺細胞を、RP10(10%FCS[CSL、Parkville、Australia]7.5mMのHEES、2mMのL−グルタミン、76μMの2−メルカプトエタノール、150U/mlのペニシリン、150μg/mlのストレプトマイシン及び150μMの非必須アミノ酸[Gibco]を添加したRPMI1640培地[Gibco、USA])中で2回洗浄した。脾臓を10mlのRP10中に回収し、単一細胞懸濁液を、篩を介して破砕することによって調製し、その後ATCにより5分、37℃において処理した。細胞を、使用前にRP10で2回洗浄した。気管支肺胞洗浄(BAL)液を得るために、マウスの気管に注射器の付いたカニューレを挿入し、気腔をRPMIの3つの別個の1ml洗浄液で洗い流し、最後の1mlで注射器をすすいだ。BAL洗浄液由来の上清を、後のサイトカイン分析のために−70℃において保存した。BAL洗浄液由来の上清を、後のサイトカイン分析のために−70℃において保存した。生存細胞を、血球計算器及びトリパンブルー色素排除を使用して計数した。

0068

肺サイトカイン環境の特徴付け。BAL上清中のサイトカインレベルを、BD(商標)サイトメトリックビーズアレイ(CBA)(Biosciences)Mouse Inflammation Kitを使用して、2μlの各捕捉ビーズをそれぞれ50μlのBAL試料に対して使用したことのみを除いて、製造業者取扱説明書に従って決定した。標準曲線(20〜5000pg/ml)を、以下のサイトカイン、インターロイキン−6(IL−6)、インターロイキン−10(IL−10)、単球走化性タンパク質−1(MCP−1)、インターフェロン−γ(IFN−γ)、腫瘍壊死因子−α(TNF−α)及びインターロイキン−12p70(IL−12p70)に関して用意した。サイトカイン濃度を、BAL上清の原液又は1/10希釈液から決定した。試料を、Becton DickinsonFACSCalibur flow cytometer及びFlowJoソフトウェアを使用して分析した。

0069

肺細胞の特徴付け。5×105肺細胞を、以下の抗マウス抗体;FITC標識抗CD11b、PerCP−Cy5.5抗GR−1(Ly−6G及びLy−6GC)、PE標識抗CD11c、APC抗F4/80、FITC抗IA/IEクラス2、PerCP−Cy5.5抗CD8、PE抗CD4(BD Pharminigen)の組み合わせにより染色した。肺細胞のサブセットを以下のように分類した;好中球:CD11bhi,GR1hi、CD11c−、F4/80−;肺胞マクロファージ:CD11chi、F4/80+、CD11bint/lo、GR1int/lo及びCD11chi、Autofluorescencehi;樹状細胞:CD11chi及びMHCクラス2hi、GR1int;単球マクロファージ及び間質性マクロファージ:CD11bhi、GR1int、CD11cint/lo、F4/80+;CD8+T細胞:CD8+;CD4+T細胞:CD4+(7、8、9)。

0070

細胞内サイトカイン染色(ICS)アッセイ。肺又は脾臓細胞の単一細胞懸濁液を、1μg/ml(C57BL/6及びBALB/c)又は10ug/ml(HHD)のペプチドにより、6時間37℃において、5μg/mlのGolgiPulg(BD Biosciences Pharmingen)25U/ml及び組換えヒトIL−2 (Roche、Indianapolis、USA)の存在下で、総体積200μlのRP10で刺激した。細胞を、ラット抗マウスCD8α抗体(BD Biosciences Pharmingen)で標識されたPerCP(Cy5,5)により、30分間上において染色した。細胞を固定し、BD Cytofix/Cytoperm kit TM(BD)を使用して製造業者の指示書に従って透過化し、FITC標識抗IFN−γ及びAPC標識抗TNF−α(BD Biosciences Pharmingen)により30分間4℃において染色した。試料を、Becton DickinsonFACSCalibur flow cytometerを使用して分析し、FlowJoソフトウェアを使用して分析した。

0071

統計分析。時点比較のために、一元配置ANOVA(ポストホックDunnett’s多重比較検定)を使用して、予備接種(0日目)群と接種後(1、3、6、8日目)群の間の差を決定した。他の研究のために、両側対応のないスチューデントt検定又は一元配置ANOVA(ポストホックTukey’s多重比較検定)を使用して、2つ以上の群の間の統計差をそれぞれ決定した。P値<0.05は有意であると考えられた。

0072

結果
Pam2Cysに基づくリポペプチド接種が、肺細胞集団を拡大する。肺細胞環境に対するPam2Cysに基づくリポペプチドの効果を、ヘルパーTエピトープ(Th)OT2及び単純ヘルペスウイルス1由来CD8+T細胞エピトープを含有するリポペプチドOT2−P2C−gB498−505(gB498−505;表1を参照されたい)を鼻腔内接種されたC57BL/6マウスにおいて検査した。PBSで還流された肺における肺常在細胞集団を、細胞フローサイトメトリを使用して特徴付けた。

0073

OT2−P2C−gB498−505の鼻腔内接種は、肺細胞の総数の劇的な増加を誘発し、3日目には最大に達し、8日目まで上昇し続けた(図2A)。対照的に、ペプチドOT2−gB498−505(Pam2Cysを欠いている)を与えられたマウスは、細胞の総数又は肺に存在する細胞型の割合に有意な変化は示さず、細胞流入のメディエーターとしてPam2Cysを示した(図2A)。リポペプチド接種マウスにおいて、接種後3日における細胞浸潤物は、大部分は好中球及び間質性マクロファージからなった(図2B)。Giemsa染色による顕微鏡検査により、好中球が高度に空胞表現型を示すことが明らかにされ、活性化を示し、一方、F480+単球/間質性マクロファージ集団は、大型の核のある形態の間質性マクロファージで優勢に構成され、単球に特徴的なドーナツ型又は腎臓型の核を保有する細胞は、ほとんど同定されなかったことが見出された(データ非掲載)。肺胞マクロファージ(AM)は、定常状態の肺に非常に低いレベルで存在するが(0日目)、この集団における有意な増加が、リポペプチド接種後に明らかであった。最終的に、本発明者らは、CD4+及びCD8+リンパ球並びにCD11chi樹状様細胞における接種後3〜8日の間の増加も観察した。BALB/c及びHHDマウスの肺細胞流入の検査により、好中球の早期浸潤、続く間質性マクロファージ及びCD11bhi肺胞マクロファージ集団の拡大の同様のパターンが明らかにされた(データ非掲載)。

0074

ペグ化Pam2Cysの投与は、肺細胞集団を拡大する。ペグ化Pam2Cys(P2C−PEG11)の鼻腔内投与もまた、C57BL/6(図7)及びBALB/cマウスにおける好中球、間質性マクロファージ及び肺胞マクロファージ並びにリンパ球の肺(肺間質及びBAL液が含有するものを含む)集団全体における有意な増加をもたらす(データ非掲載)。活性IFN−γ産生NK細胞及びγδT細胞のレベルの増加もまた観察された(図7)。

0075

Pam2Cysによる予防は、高病原性IAVチャレンジに対して有効である。Pam2Cysの抗ウイルス活性がIAVの悪性株に対して有効であるかどうかを決定するために、ペグ化Pam2Cys(P2C−PEG11)を与えられたマウスに、72時間又は7日後に致死量のH1N1ウイルスPR8をチャレンジした。生理食塩水処置(72時間後にチャレンジ)マウスは、実質的体重減少、感染症の臨床症状の発症を経験し、8日目までにすべてのマウスが感染症で死亡した(図8)。対照的に、PEG−Pam2Cysで予備処置されたマウスは体重減少が実質的に少なく、すべてのマウスが感染症を切り抜けて生き残った(図8)。

0076

Pam2Cysによる予防は、伝染率を減少させることができる。Pam2Cysで予備処置されたインフルエンザ感染マウスが、ウイルスを伝染させる能力が減少したかどうかを決定するために、接触伝染のマウスモデルを利用した(Edenboroughら、出版準備中)。PEG−Pam2Cysで予備処置された「ドナー」マウスに、その後さまざまな時点で104.5pfuのH3N2 Udornウイルスをチャレンジした。結果は、Pam2Cysによる予防が、鼻、気管及び肺のウイルス価を減少させることを示す(図9)。生理食塩水処置ドナーマウスと同時飼育されたすべてのレシピエントマウスは感染し、ウイルスを伝染させるドナーマウスの能力が確認された。チャレンジ前5又は7日にPam2Cysを与えられたマウスはウイルスをレシピエントマウスに伝染させたが、ウイルスチャレンジ前24時間又は72時間にPam2Cysを与えられたマウスは、同時飼育されたレシピエントマウスに感染症を伝染させなかった。

0077

リポペプチドの鼻腔内送達は、IAVチャレンジに対する即時の保護を提供する。リポペプチドの鼻腔内送達による誘導される肺の変化が、IAVチャレンジの影響を減少できるかどうかを決定するために、軽度(H3N1)及び高度に悪性のPR8(H1N1)IAVウイルスに対するリポペプチド接種の保護的影響を検査した。マウスの3つの系統に、特定のマウス系統に制限されたリポペプチド含有IAV−特異的CD8+T細胞エピトープ(IAV−LP)又は無関係な非IAV由来CD8+T細胞エピトープ(非IAV−LP)を投与した(表1)。すべてのリポペプチドにおいて、CD4+Th細胞エピトープは、インフルエンザウイルスとは関係がなかった(表1)。IAV−LPは、送達されたIAV由来エピトープに対するCD8+T細胞応答を誘導することができたが、一方、非IAV−LP中のIAV−特異的エピトープ(CD8+T又はCD4+)の不在は、IAV−特異的応答が接種に対して誘導されないことを意味する。

0078

C57BL/6、BALB/c及びHHDマウスに、IAV−LP又は非IAV−LPのいずれかを接種後3又は7日のいずれかに、104.5PFUのH3N1ウイルス、Mem71を、鼻腔内チャレンジし、肺ウイルス価を、感染5日目に評価した。図3aの結果は、すべての系統のマウスにおいて、IAV−LP及び非IAV−LPの接種が、リポペプチドを与えなかった動物と比較した場合、肺ウイルス価の有意な減少をもたらしたことを示す。非IAVLP群において、チャレンジが接種3日後に起こった場合、ウイルスクリアランスはもっとも著しかった(図3A)。

0079

非IAV−LP中のIAV−特異的エピトープ(CD8+T又はCD4+)の不在は、非IAV−LPの抗ウイルス活性がPam2Cys部分によりもたらされたことを示唆する。この理論を確認するために、本発明者らは、C57BL/6マウス中の免疫優勢IAV−特異的標的であるPA224−233に対するIAV−特異的CD8+T細胞応答の存在を検査し、同じエピトープが、IAV−LPに含まれるが、非IAV−LPには含まれなかった。リポペプチド接種C57BL/6マウスにおいて、IAV−LPを与えられたマウスだけが、有意なレベルのIFN−γ+又はIFN−γ+TNF−α+PA224−233−特異的CD8+T細胞を示したが、一方、生理食塩水又は非IAV−LP群のいずれも、これらのエピトープに対する検出可能な応答を誘発しなかった(図3B)。CD8+T細胞応答のこの同じパターンが、BALB/c及びHHDマウス系統において観察された。非IAV−LPを接種されたマウスにおけるIAV−特異的細胞の不在は、観察された早期抗ウイルス効果が、Pam2Cysの作用によるものであり、IAV−特異的適応免疫応答を開始する促進能力によるものではないことを明示する。

0080

IAV−LPとは対照的に、非IAV LPは、IAV−特異的CD8+T細胞応答の誘導に関係する長期保護を提供しないことに留意すべきである。接種後6〜8週にH3N1をチャレンジした場合、IAV−LPを接種されたBALB/c及びC57BL/6マウスのみが、有意なレベルのウイルスのクリアランス((それぞれ)98±1%及び65±14%)を示した(データ非掲載)。したがって、抗原特異的応答の不在下で、非IAVLPの抗ウイルス活性は時間とともに減少し、リポペプチドのCD8+T細胞エピトープ成分がIAV−LPによる長期保護に必須であることを明示している。

0081

リポペプチドによる予防は、高病原性IAVチャレンジに対して有効である。Pam2Cysの抗ウイルス活性が高病原性感染症に対して有効であったかどうかを決定するために、リポペプチド接種マウスに、7日後、高病原性H1N1ウイルス、PR8をチャレンジした。IAV−LP及び非IAV LP両方のリポペプチド接種は、PR8をチャレンジされたマウスの生存率を劇的に増加させた(図4)。生理食塩水を接種されたマウスの大部分が感染症で死亡し、IAV−LPを接種された動物の100%及び非IAV−LPを接種された動物の80%が、感染症から生き残った。生存率の改善に加えて、感染症に普通に付随する体重減少及び臨床症状の程度が、非IAV−LP群においても減少された(図4)。

0082

可溶性Pam2Cysにより誘導されるサイトカインのスペクトル。ペプチド又はエピトープ特異的応答の影響をこの系から除去するために、本発明者らは、普通は不溶性のPam2Cysをポリエチレングリコール(PEG)にコンジュゲートすることにより、Pam2Cysの可溶性形態を構築した。Pam2Cys−PEG11の肺環境に対する影響を特定するために、本発明者らは、20nmolのPam2Cys−PEG11(i.n)を投与されたC57BL/6マウスの気管支肺胞洗浄(BAL)液中の炎症関連サイトカイン濃度を、サイトメトリックビーズアレイ分析により測定した(図5)。投与後3日目において、本発明者らは、Pam2Cys−PEG11接種マウスにおいて、ナイーブなマウス又は生理食塩水接種マウスと比較して、IL−6、IL−10、MCP−1、IFN−γ、TNF−α及びIL−12p70の濃度の有意な増加を検出した。7日目までに、Pam2Cys−PEG11群中のサイトカイン濃度は、投与前レベルに対して正常化し、ナイーブ群と有意に異ならなかった(図5)。

0083

Pam2Cysの抗ウイルス活性は抗原独立性である。Pam2Cys部分がリポペプチドの早期抗ウイルス活性に主に関与することを確認するために、マウスに、20nmolのPam2Cys−PEG11を鼻腔内接種し、1、3又は7日後のいずれかに104.5PFUのH3N1ウイルスをチャレンジした。図6に示した結果は、Pam2Cys−PEG11の接種が肺ウイルス負荷を非IAV−LPと同じ程度に減少させることを明示し、観察されたリポペプチド(lipoepeptides)の早期抗ウイルス活性がPam2Cysにより媒介されたことが確認される。Pam2Cys−PEG11による予防は、チャレンジ後のウイルス負荷を、投与後ほとんど即時、1日目及び7日目に減少させ、少なくとも7日間の保護が、Pam2Cys−PEG11による予防により提供され得ることが明らかになった。

0084

単回用量で鼻腔内送達された場合、Pam2CysはIAVに対して保護する。マウスにおけるペグ化Pam2Cys(PEG−Pam2Cys)(Pam2Cys−PEG11又はP2C−PEG11とも称される)の鼻腔内(i.n)、皮下(s.c)又は静脈内(i.v)経路を介した予防投与、及び続く3日後の致死量のPR8ウイルスのチャレンジの後、PEG−Pam2Cysを鼻腔内投与されたマウスのみが、PR8感染症に関係する死及び体重減少に対して保護された(図10)。

0085

0086

多重Pam2Cys変異体は、IAVチャレンジに対する保護をもたらす。20nmolのさまざまなPam2Cys含有構築体を、鼻腔内経路を介して予防投与されたマウスは、致死量のPR8ウイルスのチャレンジ後、体重減少(図11A)及び死(図11B)に対して保護された。マウスは、PR8感染症に関係する他の臨床症状に対しても保護された(データ非掲載)。

0087

Pam2Cysは、反復用量で与えられた場合有効である。単回用量のPEG−Pam2Cys(又は2回用量のPEG−Pam2Cysを3週間空けて)投与されたBalb/cマウスは、致死量のPR8のチャレンジ後、体重減少(図12B)、死及び他の臨床症状に対して保護された。PEG−Pam2Cys処置マウス中のウイルス負荷は処分時点で有意により低かった(図12A)。

0088

PEG−Pam2Cysは、より低用量で有効である。マウスをより低用量のPEG−Pam2Cysにより予防処置し、3日後に致死量のPR8ウイルスをチャレンジした場合、体重減少及び死に対する保護が、生理食塩水群と比較してすべてのマウスにおいてさらに達成された(図13)。

0089

IAVチャレンジに対する保護は、IFN−γ又は1型インターフェロン(すなわちIFN−α)に依存性ではない。PEG−Pam2Cysにより処置された、IFN−γを欠損したマウス(B6.IFN−γ−/−)又は1型インターフェロン(例えばインターフェロン−α;IFNAR−/−)に応答する能力を欠損したマウスは、PR8感染症に関係する体重減少及び致死に対して保護された(図14)。

0090

PEG−Pam2Cysは治療薬として有効である。マウスに104.5PFUのUdornウイルス(インフルエンザA)(i.n.)をチャレンジし、4時間後、20nmolのPEG−Pam2Cys(i.n.)を投与した場合、ウイルス負荷の減少が、鼻、中咽頭、気管及び肺において見出された。特に、肺におけるウイルス負荷は、生理食塩水群と比較してLog104又は10,000倍の減少を示した(図15)。

0091

Pam2Cysは抗菌剤として有効である。マウスをPEG−Pam2Cys(i.n.)により予備処置した場合、マウスは、L.ニューモフィラ(図16A)によるi.n.チャレンジ後、肺及び気管の細菌負荷の有意な減少を示した。肺における細菌負荷は、2及び3日目にピークであった。細菌負荷の減少は、PEG−Pam2Cys投与後7日目までに達成することもでき、感染後3日目の細菌負荷は、チャレンジ3(図16B)又は7日(図16C)前にPEG−Pam2Cysによる予防を与えられたマウスに示される。

0092

考察
先天性免疫応答が感染症の制御において果たすきわめて重要な役割は、感染前の先天性免疫系の早期活性化が、感染因子、例えばウイルス又は細菌によるチャレンジに対する保護強化を提供できることを示唆している。この研究の結果は、TLR2アゴニストを含む可溶性TLR2部分の投与が、投与された対象において先天性免疫応答を高め、免疫応答が非抗原特異的であることを明示した。さらに、本発明に従った組成物の鼻腔内予防投与により誘発される肺の変化がウイルス及び細菌への続く曝露に対する抵抗性の増加に関係した。このような組成物が、ウイルス感染症及び細菌感染症に対する予防薬として、特に流行又はパンデミックの発生の高い危険性がある場合、適切であることを示唆している。本発明に従った予防方法及び治療方法はまた、感染因子(又はその抗原成分若しくは特定の菌株)の予備知識を必要としないという有利性を有し、したがって、例えばインフルエンザのパンデミックの期間に特に有用であり得る。凍結乾燥でき、室温において安定である、本発明に従った組成物の安定性は、パンデミックの状況に対する備蓄に非常に適切であることもまた意味する。

実施例

0093

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