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技術 血液分析装置、血液分析方法及びコンピュータプログラム

出願人 シスメックス株式会社
発明者 益田祐次木村考伸
出願日 2015年9月14日 (5年2ヶ月経過) 出願番号 2015-181055
公開日 2017年3月23日 (3年8ヶ月経過) 公開番号 2017-058158
状態 特許登録済
技術分野 蛍光または発光による材料の調査,分析 光学的手段による材料の調査、分析 生物学的材料の調査,分析 粒子の特徴の調査
主要キーワード 測定結果表示領域 低信頼性 弁別処理 出現領域 各粒子群 各特徴パラメータ 調製処理 測定実行
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2017年3月23日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (20)

課題

白血球巨大血小板とを精度よく弁別することができる血液分析装置血液分析方法、及びコンピュータプログラムを提供する。

解決手段

血液分析装置1は、試料調製部5と、検出部6と、解析部3とを備える。試料調製部5は、赤血球を溶解させる溶血剤と、核酸を染色する染色色素と、血液試料とを混合して測定試料を調製する。検出部6は、試料調製部によって調製された測定試料に対して光を照射したときに発生する側方散乱光強度及び蛍光強度を検出する。解析部3は、検出部6によって検出された側方散乱光強度及び蛍光強度に基づいて、白血球と巨大血小板とを弁別し、白血球を計数する。

概要

背景

特許文献1には、血液試料に含まれる白血球と異常血球とを弁別し、異常血球の存在の有無を検知する血液分析装置が開示されている。この血液分析装置は、血液試料と溶血剤と染色用試薬とを混合して、CBC(Complete Blood Count)項目における白血球数を測定するための測定試料を調製する。この血液分析装置は、測定試料をフローセルに導入し、フローセルを流れる測定試料に光を照射して、測定試料から発せられる前方散乱光蛍光とを検出する。この血液分析装置は、前方散乱光強度蛍光強度とを用いて、白血球の粒子群と、血小板系異常血球の粒子群とを弁別する。

概要

白血球と巨大血小板とを精度よく弁別することができる血液分析装置、血液分析方法、及びコンピュータプログラムを提供する。 血液分析装置1は、試料調製部5と、検出部6と、解析部3とを備える。試料調製部5は、赤血球を溶解させる溶血剤と、核酸を染色する染色色素と、血液試料とを混合して測定試料を調製する。検出部6は、試料調製部によって調製された測定試料に対して光を照射したときに発生する側方散乱光強度及び蛍光強度を検出する。解析部3は、検出部6によって検出された側方散乱光強度及び蛍光強度に基づいて、白血球と巨大血小板とを弁別し、白血球を計数する。

目的

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

赤血球を溶解させる溶血剤と、核酸を染色する染色色素と、血液試料とを混合して測定試料を調製する試料調製部と、前記試料調製部によって調製された前記測定試料に対して光を照射したときに発生する側方散乱光強度及び蛍光強度を検出する検出部と、前記検出部によって検出された前記側方散乱光強度及び前記蛍光強度に基づいて、白血球巨大血小板とを弁別し、白血球を計数する解析部と、を備える、血液分析装置

請求項2

前記解析部は、前記側方散乱光強度及び前記蛍光強度に基づいて前記巨大血小板の出現領域を設定し、当該領域に含まれる粒子群を前記巨大血小板として弁別するように構成されている、請求項1に記載の血液分析装置。

請求項3

前記解析部は、側方散乱光強度が大きくなるにしたがって蛍光強度が大きくなる粒子群を白血球の集団として弁別し、前記白血球の集団の出現領域よりも側方散乱光強度が小さい領域を前記巨大血小板の出現領域として設定するように構成されている、請求項2に記載の血液分析装置。

請求項4

前記解析部は、前記側方散乱光強度及び前記蛍光強度に基づいて、白血球を含む粒子集団を、白血球の集団と、巨大血小板を含む集団とに弁別する巨大血小板弁別処理を実行し、前記巨大血小板弁別処理によって得られた前記巨大血小板を含む集団を、白血球の集団と、巨大血小板を含む集団とに弁別する再弁別処理を実行するように構成されている、請求項1乃至3の何れか1項に記載の血液分析装置。

請求項5

前記解析部は、前記巨大血小板弁別処理において、前記側方散乱光強度及び前記蛍光強度のそれぞれを座標軸とする座標空間における、前記白血球を含む粒子集団の最大分散方向と交差する方向の各位置での前記粒子集団の粒子数に基づいて、前記粒子集団を、前記白血球の集団と前記巨大血小板を含む集団とに弁別するように構成されている、請求項4に記載の血液分析装置。

請求項6

前記解析部は、前記再弁別処理において、前記巨大血小板弁別処理によって得られた巨大血小板を含む粒子集団を、前記座標空間における前記交差する方向とは異なる方向の各位置での前記粒子集団の粒子数に基づいて、白血球の集団と巨大血小板を含む集団とに弁別するように構成されている、請求項5に記載の血液分析装置。

請求項7

前記検出部は、前記試料調製部によって調製された前記測定試料に対して光を照射したときに発生する前方散乱光強度をさらに検出するように構成されており、前記解析部は、前記検出部によって検出された前記前方散乱光強度及び前記蛍光強度に基づいて、白血球の集団と他の粒子集団とを弁別する第1弁別処理を実行し、前記第1弁別処理の結果が所定の条件に合致した場合、前記側方散乱光強度及び前記蛍光強度に基づいて、白血球と巨大血小板とを弁別する第2弁別処理を実行するように構成されている、請求項1乃至6の何れか1項に記載の血液分析装置。

請求項8

前記解析部は、前記第1弁別処理によって得られた白血球の集団を、前記第2弁別処理において、前記側方散乱光強度及び前記蛍光強度に基づいて、白血球の集団と、巨大血小板を含む集団とに弁別するように構成されている、請求項7に記載の血液分析装置。

請求項9

表示部を備え、前記解析部は、前記第1弁別処理の結果が前記所定の条件に合致しない場合、前記第1弁別処理において弁別された前記白血球の集団に含まれる粒子数を白血球数として前記表示部に表示させ、前記第1弁別処理の結果が前記所定の条件に合致した場合、前記第2弁別処理において弁別された白血球の集団に含まれる粒子数を白血球数として前記表示部に表示させるように構成されている、請求項7又は8に記載の血液分析装置。

請求項10

前記所定の条件は、所定範囲の前記前方散乱光強度および前記蛍光強度を有する粒子の数が閾値を超えることである、請求項7乃至9の何れか1項に記載の血液分析装置。

請求項11

前記解析部は、前記第1弁別処理の結果が前記所定の条件に合致した場合、巨大血小板の存在を示唆する情報を前記表示部に表示させる、請求項10に記載の血液分析装置。

請求項12

表示部をさらに備え、前記解析部は、前記側方散乱光強度と前記蛍光強度とを軸とする粒子分布図を前記表示部に表示させる、請求項1乃至11の何れか1項に記載の血液分析装置。

請求項13

前記検出部は、前記試料調製部によって調製された前記測定試料を流すためのフローセルと、前記フローセルを流れる前記測定試料にレーザ光を照射するための光源部と、前記フローセルを流れる前記測定試料に対して前記光源部からレーザ光が照射されたときに発生する側方散乱光及び蛍光受光し、受光した側方散乱光の強度に応じた信号及び受光した蛍光の強度に応じた信号を出力する受光部と、を含む、請求項1乃至12の何れか1項に記載の血液分析装置。

請求項14

赤血球が溶解され、血球中の核酸が染色された測定試料に対して光を照射し、前記測定試料に対して前記光が照射されることによって生じた側方散乱光強度及び蛍光強度を検出し、検出された前記側方散乱光強度及び前記蛍光強度に基づいて、白血球と巨大血小板とを弁別し、白血球を計数する、血液分析方法

請求項15

好塩基球、好塩基球を除く白血球、及び、有核赤血球を弁別するための試薬を血液試料と混合することにより、前記測定試料を調製する工程をさらに備える、請求項14に記載の血液分析方法。

請求項16

前記試薬は、界面活性剤を含有し、界面活性剤のpHが、2.0以上4.5以下である、請求項14又は15に記載の血液分析方法。

請求項17

血液試料を測定する測定部に接続されたコンピュータに、赤血球が溶解され、血球中の核酸が染色された測定試料から生じた側方散乱光強度及び蛍光強度を検出することによって得られた測定データを取得するステップと、取得された前記測定データにおける前記側方散乱光強度及び前記蛍光強度に基づいて、白血球と巨大血小板とを弁別し、白血球を計数するステップと、を実行させる、コンピュータプログラム

請求項18

赤血球を溶解させる溶血剤と、核酸を染色する染色色素と、血液試料とを混合して測定試料を調製する試料調製部と、前記試料調製部によって調製された前記測定試料に対して光を照射したときに発生する側方散乱光強度及び蛍光強度を検出する検出部と、表示部と、前記検出部によって検出された前記側方散乱光強度及び前記蛍光強度に基づいて、前記測定試料中の巨大血小板を検出し、巨大血小板の存在を示唆する情報を前記表示部に表示させる解析部と、を備える、血液分析装置。

請求項19

赤血球が溶解され、核酸が染色された測定試料に対して光を照射し、前記測定試料に対して前記光が照射されることによって生じた側方散乱光強度及び蛍光強度を検出し、検出された前記側方散乱光強度及び前記蛍光強度に基づいて、前記測定試料中の巨大血小板を検出し、巨大血小板の存在を示唆する情報を出力する、血液分析方法。

請求項20

赤血球を溶解させる溶血剤と、核酸を染色する染色色素と、血液試料とを混合して測定試料を調製する試料調製部と、前記試料調製部によって調製された前記測定試料に対して光を照射したときに発生する前方散乱光強度、側方散乱光強度及び蛍光強度を検出する検出部と、前記検出部によって検出された前記前方散乱光強度及び前記蛍光強度に基づいて前記測定試料中の白血球を他の粒子と弁別して計数する第1弁別処理、及び、前記検出部によって検出された前記側方散乱光強度及び前記蛍光強度に基づいて前記測定試料中の白血球を他の粒子と弁別して計数する第2弁別処理を実行可能な解析部と、表示部と、を備え、前記解析部は、前記第1弁別処理の結果が所定の条件に合致しない場合には、前記第1弁別処理で得られた白血球数を前記表示部に表示させ、前記第1弁別処理の結果が前記所定の条件に合致した場合には、前記第2弁別処理で得られた白血球数を前記表示部に表示させる、血液分析装置。

技術分野

0001

本発明は、血液から調製された測定試料を用いて白血球巨大血小板とを弁別するための血液分析装置血液分析方法、及びコンピュータプログラムに関する。

背景技術

0002

特許文献1には、血液試料に含まれる白血球と異常血球とを弁別し、異常血球の存在の有無を検知する血液分析装置が開示されている。この血液分析装置は、血液試料と溶血剤と染色用試薬とを混合して、CBC(Complete Blood Count)項目における白血球数を測定するための測定試料を調製する。この血液分析装置は、測定試料をフローセルに導入し、フローセルを流れる測定試料に光を照射して、測定試料から発せられる前方散乱光蛍光とを検出する。この血液分析装置は、前方散乱光強度蛍光強度とを用いて、白血球の粒子群と、血小板系異常血球の粒子群とを弁別する。

先行技術

0003

特開2010−249796号公報

発明が解決しようとする課題

0004

ベルナール-スーリエ症候群メイ-ヘグリン異常症等の疾患がある被検者の血液試料には、顆粒集合した「核」と呼ばれる構造を呈し、白血球と同程度のサイズの巨大血小板が存在する。特許文献1に開示された血液分析装置では、このような巨大血小板を含む血液試料において、白血球と血小板系異常血球とを正確に弁別することができない場合がある。そこで、白血球と巨大血小板との弁別精度の向上が望まれている。

課題を解決するための手段

0005

本発明の第1の態様による血液分析装置は、試料調製部と、検出部と、解析部とを備える。試料調製部は、赤血球を溶解させる溶血剤と、核酸を染色する染色色素と、血液試料とを混合して測定試料を調製する。検出部は、試料調製部によって調製された測定試料に対して光を照射したときに発生する側方散乱光強度及び蛍光強度を検出する。解析部は、検出部によって検出された側方散乱光強度及び蛍光強度に基づいて、白血球と巨大血小板とを弁別し、白血球を計数する。

0006

本発明の第2の態様による血液分析方法は、赤血球が溶解され、血球中の核酸が染色された測定試料に対して光を照射する。この血液分析方法は、測定試料に対して光が照射されることによって生じた側方散乱光強度及び蛍光強度を検出し、検出された側方散乱光強度及び蛍光強度に基づいて、白血球と巨大血小板とを弁別し、白血球を計数する。

0007

本発明の第3の態様によるコンピュータプログラムは、血液試料を測定する測定部に接続されたコンピュータに、赤血球が溶解され、血球中の核酸が染色された測定試料から生じた側方散乱光強度及び蛍光強度を検出することによって得られた測定データを取得するステップを実行させる。このコンピュータプログラムは、取得された測定データにおける側方散乱光強度及び蛍光強度に基づいて、白血球と巨大血小板とを弁別し、白血球を計数するステップをコンピュータに実行させる。

0008

本発明の第4の態様による血液分析装置は、試料調製部と、検出部と、表示部と、解析部とを備える。試料調製部は、赤血球を溶解させる溶血剤と、核酸を染色する染色色素と、血液試料とを混合して測定試料を調製する。検出部は、試料調製部によって調製された測定試料に対して光を照射したときに発生する側方散乱光強度及び蛍光強度を検出する。解析部は、検出部によって検出された側方散乱光強度及び蛍光強度に基づいて、測定試料中の巨大血小板を検出し、巨大血小板の存在を示唆する情報を表示部に表示させる。

0009

本発明の第5の態様による血液分析方法は、赤血球が溶解され、血球中の核酸が染色された測定試料に対して光を照射し、測定試料に対して光が照射されることによって生じた側方散乱光強度及び蛍光強度を検出し、検出された側方散乱光強度及び蛍光強度に基づいて、測定試料中の巨大血小板を検出し、巨大血小板の存在を示唆する情報を出力する。

0010

本発明の第6の態様による血液分析装置は、試料調製部と、検出部と、解析部と、表示部とを備える。試料調製部は、赤血球を溶解させる溶血剤と、核酸を染色する染色色素と、血液試料とを混合して測定試料を調製する。検出部は、試料調製部によって調製された測定試料に対して光を照射したときに発生する前方散乱光強度、側方散乱光強度及び蛍光強度を検出する。解析部は、検出部によって検出された前方散乱光強度及び蛍光強度に基づいて測定試料中の白血球を他の粒子と弁別して計数する第1弁別処理を実行可能である。解析部は、検出部によって検出された側方散乱光強度及び蛍光強度に基づいて測定試料中の白血球を他の粒子と弁別して計数する第2弁別処理を実行可能である。また、解析部は、第1弁別処理の結果が所定の条件に合致しない場合には、第1弁別処理で得られた白血球数を表示部に表示させ、第1弁別処理の結果が所定の条件に合致した場合には、第2弁別処理で得られた白血球数を表示部に表示させる。

発明の効果

0011

本発明によれば、白血球と巨大血小板とを精度よく弁別することができる。

図面の簡単な説明

0012

実施の形態に係る血液分析装置の構成を示す模式図。
解析部の構成を示すブロック図。
実施の形態に係る血液分析装置の動作の流れを示すフローチャート
測定試料調製処理の手順を示すフローチャート。
測定データ解析処理の手順を示すフローチャート。
縦軸を前方散乱光強度、横軸を蛍光強度としたスキャッタグラムにおける好塩基球、好塩基球を除く白血球、有核赤血球、及び赤血球ゴースト各粒子群出現領域を説明するための図。
巨大血小板が出現する血液試料における前方散乱光強度及び蛍光強度を軸としたスキャッタグラムの一例を示す図。
判定処理を説明するための前方散乱光強度及び蛍光強度を軸としたスキャッタグラムを示す図。
判定処理の手順を示すフローチャート。
SSC−FL弁別処理の手順を示すフローチャート。
FSC−FL弁別処理の結果の側方光強度及び蛍光強度を軸としたスキャッタグラムを示す図。
巨大血小板弁別処理を説明するための側方散乱光強度及び蛍光強度を軸としたスキャッタグラムを示す図。
巨大血小板弁別処理を説明するための側方散乱光強度及び蛍光強度を軸としたスキャッタグラムを示す図。
巨大血小板弁別処理を説明するための側方散乱光強度及び蛍光強度を軸としたスキャッタグラムを示す図。
巨大血小板弁別処理を説明するための粒度分布を示す図。
巨大血小板弁別処理を説明するための側方散乱光強度及び蛍光強度を軸としたスキャッタグラムを示す図。
巨大血小板弁別処理の結果の側方光強度及び蛍光強度を軸としたスキャッタグラムを示す図。
再弁別処理を説明するための側方散乱光強度及び蛍光強度を軸としたスキャッタグラムを示す図。
再弁別処理を説明するための側方散乱光強度及び蛍光強度を軸としたスキャッタグラムを示す図。
再弁別処理を説明するための側方散乱光強度及び蛍光強度を軸としたスキャッタグラムを示す図。
再弁別処理を説明するための粒度分布を示す図。
再弁別処理を説明するための側方散乱光強度及び蛍光強度を軸としたスキャッタグラムを示す図。
SSC−FL弁別処理による弁別結果の前方散乱光強度及び蛍光強度を軸としたスキャッタグラムの一例を示す図。
分析結果の表示例を示す図。

実施例

0013

本実施の形態では、血液試料及び試薬から調整された測定試料に光を照射したときに発生する側方散乱光強度と蛍光強度とに基づいて、測定試料中の白血球と巨大血小板とを弁別する血液分析装置について説明する。

0014

<血液分析装置の構成>
図1を参照し、血液分析装置の構成について説明する。血液分析装置1は、測定部2と、解析部3とを備える。測定部2は、血液試料を取り込み、血液試料から測定試料を調製し、測定試料を光学測定する。解析部3は、測定部2の測定により得られた測定データを処理し、血液試料の分析結果を表示する。

0015

測定部2は、吸引部4と、試料調製部5と、検出部6と、信号処理回路81と、マイクロコンピュータ82と、通信インターフェース83とを備える。

0016

吸引部4は、図示しない吸引管を有し、試験管に収容された血液試料を吸引管によって吸引する。

0017

試料調製部5は、反応槽54を有し、試薬容器51,52,53に接続されている。試薬容器51は、希釈液を収容する。試薬容器52は、赤血球を溶解させる溶血剤を収容する。試薬容器53は、核酸を染色する染色色素を含有する染色用試薬を収容する。吸引部4は、吸引管を反応槽54の上方へ移動させ、吸引された血液試料を反応槽54に吐出する。試料調製部5は、血液試料と、溶血剤と、染色用試薬とを反応槽54で混合し、測定試料を調製する。測定試料は、白血球の測定に用いられる。

0018

試薬容器51に収容される希釈液は、フローサイトメトリー方式による血球の測定においてシース液として利用される。

0019

試薬容器52に収容される溶血剤について説明する。溶血剤は、界面活性剤を含んでおり、赤血球を溶血させるとともに、白血球の細胞膜を損傷させる。溶血剤のpHは、2.0以上4.5以下が好ましく、2.0以上3.5以下がより好ましい。溶血剤は、具体的には、カチオン性界面活性剤およびノニオン性界面活性剤を含む。カチオン性界面活性剤の濃度としては、300mg/L以上9000mg/L以下が好ましく、400mg/L以上8000mg/L以下がより好ましく、500mg/L以上7000mg/L以下が最も好ましいが、使用するカチオン性界面活性剤の種類により適宜調製することができる。ノニオン性界面活性剤の濃度としては、500mg/L以上7000mg/L以下が好ましく、800mg/L以上6000mg/L以下がより好ましく、1000mg/L以上5000mg/L以下が最も好ましいが、使用するノニオン性界面活性剤の種類により適宜調製することができる。また、溶血剤は芳香族カルボン酸又はその塩を含んでもよい。溶血剤中の芳香族カルボン酸又はその塩の濃度は、溶血剤中のpHが上記に示した範囲となる濃度であれば特に限定されないが、0.1mM以上100mM以下が好ましく、0.5mM以上50mM以下がより好ましい。なお、溶血剤の詳細な組成は、米国特許出願公開第2010/330565号公報に記載されたものとすることができる。また、溶血剤には、シスメックス株式会社製のライザセルWNRを用いることができる。

0020

試薬容器53に収容される染色用試薬について説明する。染色用試薬は、染色色素を含んでいる。溶血剤と染色用試薬と血液試料とを混合することで、細胞膜が損傷された細胞内に染色色素が入り、核酸及び細胞小器官を染色する。蛍光色素としては、核酸を染色するものであれば特に限定されず、一般的に当該分野において用いられるのであれば使用できる。具体的な染色用試薬の組成は、米国特許出願公開第2010/330565号公報に記載されたものとすることができる。また、溶血剤には、シスメックス株式会社製のフルオロセルWNRを用いることができる。

0021

なお、溶血剤と染色用試薬とを分けずに、赤血球を溶解させる溶血剤と染色色素とを含有する1つの試薬を、血液試料と混合して測定試料を調製してもよい。

0022

検出部6は、フローサイトメトリー法による白血球の測定に用いられる。検出部6は、フローセル61と、光源部62と、受光部63、64、65とを備える。フローセル61は、試薬容器51に収容された希釈液及び試料調製部5により調製された測定試料が供給される。フローセル61は、測定試料を希釈液であるシース液で包んだ流れを形成する。

0023

光源部62は、半導体レーザ光源であり、波長633nmの赤色レーザ光をフローセル61へ照射する。

0024

受光部63、64、65は、フローセル61中の測定試料の流れに光が照射されたときに、測定試料から発せられる光を受光し、受光した光の強度に応じた電気信号を出力する。受光部63、64、65には、アバランシェフォトダイオードフォトダイオード、又は光電子増倍管を採用できる。以下の説明では、光源部62とフローセル61とを結ぶ方向を「X方向」といい、X方向に対して直交する方向をY方向という。フローセル61からY方向側には、ダイクロイックミラー66が配置されている。ダイクロイックミラー66は、測定試料から発せられる蛍光を透過し、測定試料から発せられる側方散乱光反射する。受光部63は、フローセル61からY方向側に配置され、ダイクロイックミラー66を透過した蛍光を受光できる。受光部65は、ダイクロイックミラー66を反射した側方散乱光を受光できる。また、受光部64は、フローセル61からX方向側に配置される。さらに具体的には、受光部64は、フローセル61を挟んで光源部62の反対側に配置される。受光部64は、測定試料から発せられる前方散乱光を受光できる。

0025

なお、側方散乱光は、光源部62の光軸方向であるX方向に対して90°の方向(Y方向)に散乱する光でなくてもよい。X方向に対して80°以上100°以下の方向に散乱する光を側方散乱光とすることができる。また、前方散乱光も、光源部62の光軸方向であるX方向に散乱する光でなくてもよい。X方向に対して−10°以上10°以下の方向に散乱する光を前方散乱光とすることができる。

0026

受光部63、64、65のそれぞれは、受光強度を示すアナログ信号を出力する。以下、受光部63から出力されるアナログ信号を「蛍光信号」、受光部64から出力されるアナログ信号を「前方散乱光信号」、受光部65から出力されるアナログ信号を「側方散乱光信号」という。

0027

信号処理回路81は、受光部63、64、65が出力するアナログ信号に対して信号処理を行う。信号処理回路81は、蛍光信号、前方散乱光信号、側方散乱光信号に含まれるパルスピーク値特徴パラメータとして抽出する。以下、蛍光信号のピーク値を「蛍光強度」といい、前方散乱光信号のピーク値を「前方散乱光強度」といい、側方散乱光信号のピーク値を「側方散乱光強度」という。

0028

マイクロコンピュータ82は、吸引部4、試料調製部5、検出部6、信号処理回路81、及び通信インターフェース83を制御する。

0029

通信インターフェース83は、通信ケーブルによって解析部3に接続される。測定部2は、通信インターフェース83によって、解析部3とデータ通信を行う。通信インターフェース83は、血液試料の測定が行われると、各特徴パラメータを含む測定データを解析部3へ送信する。

0030

図2を参照し、解析部3の構成について説明する。解析部3は、本体300と、入力部309と、表示部310とを備えている。本体300は、CPU(Central Processing Unit)301と、ROM(Read Only Memory)302と、RAM(Random Access Memory)303と、ハードディスク304と、読出装置305と、入出力インターフェース306と、画像出力インターフェース307と、通信インターフェース308とを有する。

0031

CPU301は、ROM302に記憶されているコンピュータプログラム及びRAM303にロードされたコンピュータプログラムを実行する。RAM303は、ROM302及びハードディスク304に記録されているコンピュータプログラムの読み出しに用いられる。RAM303は、コンピュータプログラムを実行するときに、CPU301の作業領域としても利用される。

0032

ハードディスク304には、測定部2から与えられた測定データを解析し、分析結果を表示するためのコンピュータプログラム320がインストールされている。

0033

読出装置305は、フレキシブルディスクドライブCD−ROMドライブ、又はDVD−ROMドライブ等であり、可搬型記録媒体321に記録されたコンピュータプログラム又はデータを読み出すことができる。また、可搬型記録媒体321には、コンピュータを解析部3として機能させるためのコンピュータプログラム320が格納されている。可搬型記録媒体321から読み出されたコンピュータプログラム320は、ハードディスク304にインストールされる。

0034

入力部309は、入出力インターフェース306に接続される。表示部310は、画像出力インターフェース307に接続される。通信インターフェース308は、測定部2の通信インターフェース83に接続される。

0035

<血液分析装置の動作>
図3を参照し、血液分析装置1の動作について説明する。

0036

まず、解析部3のCPU301が、ユーザからの測定実行の指示を、入力部309を介して受け付ける(ステップS101)。測定実行の指示を受け付けると、CPU301は、測定部2に測定開始を指示する指示データを送信し(ステップS102)、測定部2が指示データを受信する(ステップS103)。マイクロコンピュータ82は、測定試料調製処理を実行し(ステップS104)、測定処理を実行する(ステップS105)。

0037

図4を参照して、測定試料調製処理について説明する。マイクロコンピュータ82が吸引部4を制御して、反応槽54に所定量の血液試料を供給する(ステップS201)。次に、マイクロコンピュータ82が試料調製部5を制御して、試薬容器52から反応槽54に所定量の溶血剤を供給し、試薬容器53から反応槽54に所定量の染色用試薬を供給する(ステップS202)。

0038

反応槽54は、ヒータによって所定温度になるように加温されている。加温された状態で、反応槽54内の混合物撹拌が行われる(ステップS203)。ステップS201〜S203の動作により、試料調製部5が反応槽54において測定試料を調製する。マイクロコンピュータ82が試料調製部5を制御して、測定試料を反応槽54から検出部6へ導出する(ステップS204)。

0039

ステップS204の処理が終了すると、マイクロコンピュータ82は、メインルーチンへ処理をリターンする。

0040

再び図3を参照する。測定処理では、検出部6が測定試料を測定する。測定処理において、試料調製部5がシース液と共に測定試料をフローセル61に供給し、フローセル61を測定試料が流れる。光源部62がフローセル61中の測定試料の流れに光を照射する。

0041

測定試料がフローセル61を流れると、白血球、有核赤血球、巨大血小板、溶血処理によって溶解された赤血球である赤血球ゴースト等の粒子がフローセル61を順次通過する。白血球及び有核赤血球には核が存在するため、染色用試薬によって染色される。「偽核」の巨大血小板は内部の顆粒が染色用試薬によって染色される。赤血球ゴーストには核が存在しないため、染色用試薬によってはほとんど染色されない。

0042

血球に光が照射される都度、粒子(白血球、有核赤血球、巨大血小板、赤血球ゴースト)からは蛍光、前方散乱光、及び側方散乱光が発せられる。受光部63が粒子から発せられた蛍光を受光し、受光部64が粒子から発せられた前方散乱光を受光し、受光部65が粒子から発せられた側方散乱光を受光する。

0043

受光部63、64、65のそれぞれは、受光レベルに応じた電気信号を、蛍光信号、前方散乱光信号、側方散乱光信号として出力する。信号処理回路81は、蛍光信号から蛍光強度を抽出し、前方散乱光信号から前方散乱光強度を抽出し、側方散乱光信号から側方散乱光強度を抽出する。

0044

測定処理の後、マイクロコンピュータ82は、各特徴パラメータを含む測定データを解析部3へ送信し(ステップS106)、処理を終了する。

0045

解析部3は、測定データを受信する(ステップS107)。その後、CPU301は、測定データ解析処理を実行し、血液試料の分析結果を生成して、分析結果をハードディスク304に格納する(ステップS108)。

0046

図5を参照し、測定データ解析処理について説明する。測定データ解析処理を開始すると、まずCPU301は、測定データに含まれる前方散乱光強度及び蛍光強度を用いて、FSC−FL弁別処理を実行する(ステップS301)。

0047

FSC−FL弁別処理は、検出部6によって検出された前方散乱光強度及び蛍光強度に基づいて、白血球の集団と他の粒子集団とを弁別する処理である。さらに具体的には、FSC−FL弁別処理は、好塩基球と、好塩基球以外の白血球と、有核赤血球と、赤血球ゴーストとを弁別する処理である。

0048

図6を参照する。図6のスキャッタグラムにおいて、縦軸は前方散乱光強度を、横軸は蛍光強度を示している。前方散乱光強度は粒子の大きさを反映する情報である。好塩基球を除く白血球と、有核赤血球とは、大きさが同程度である。そのため、好塩基球を除く白血球の集団は、前方散乱光強度が有核赤血球の集団と同程度となる。また、上記の染色用試薬によって、白血球は有核赤血球より染色部位が保持される傾向にあり、有核赤血球よりも蛍光強度が強くなる。このため、好塩基球を除く白血球の集団は、蛍光強度が有核赤血球の集団よりも大きい。また、各白血球は細胞特性により外形及び内部構造がそれぞれ変化する。この形態的差異が前方散乱光強度の違いとして現れる。このため、好塩基球の集団は、前方散乱光強度が好塩基球を除く白血球の集団よりも大きい。赤血球ゴーストは、大きさが他の粒子に比べて小さく、また染色用試薬によってほとんど染色されない。このため、赤血球ゴーストを含む集団は、前方散乱光強度及び蛍光強度が他の粒子集団よりも小さい。

0049

FSC−FL弁別処理において、CPU301は、好塩基球、好塩基球を除く白血球、有核赤血球、赤血球ゴーストそれぞれの出現領域を設定し、好塩基球の出現領域に含まれる粒子群を好塩基球として、好塩基球以外の白血球の出現領域に含まれる粒子群を好塩基球以外の白血球として、有核赤血球の出現領域に含まれる粒子群を有核赤血球として、赤血球ゴーストの出現領域に含まれる粒子群を赤血球として、それぞれ弁別する。

0050

好塩基球を除く白血球と赤血球ゴーストの弁別では、前方散乱光強度における粒度分布が用いられる。CPU301は、粒度分布において2つの集団の境界を検出し、この境界よりも前方散乱光強度が大きい領域に出現する集団を好塩基球を除く白血球の集団とし、境界よりも前方散乱光強度が小さい領域に出現する集団を赤血球ゴーストの集団とする。

0051

また、CPU301は、FSC−FL弁別処理において、白血球数と有核赤血球数とを計数し、計数結果をハードディスク304に記憶する。さらに具体的には、CPU301は、弁別された好塩基球と好塩基球を除く白血球とを別々に計数し、その合計を白血球数とする。

0052

再び図5を参照する。次にCPU301は、判定処理を実行する(ステップS302)。FSC−FL弁別処理の結果において、前方散乱光強度及び蛍光強度のスキャッタグラムにおける白血球の出現領域に、巨大血小板が出現することがある。巨大血小板が含まれる血液試料の場合には、図7に示すように、前方散乱光強度及び蛍光強度のスキャッタグラムにおいて、巨大血小板の集団が白血球の集団に重なるように出現する。また、巨大血小板の集団と赤血球ゴーストの集団とは互いに連なり、1つの集団として現れる。以下、巨大血小板の集団と赤血球ゴーストの集団とが連なった集団を、「巨大血小板を含む集団」という。判定処理では、CPU301が、巨大血小板を含む集団が白血球の集団と重なって出現しているか否かを判定する。

0053

なお、以下の説明における座標空間を用いた情報処理については、仮想的な座標空間において情報処理が行われるのであり、CPU301が実際に座標空間を表示し、表示された座標空間内で情報処理を行うものではない。

0054

判定処理は、FSC−FL弁別処理の結果が所定の条件(以下、「判定条件」という)に合致するか否かを判定する処理である。判定条件は、前記前方散乱光強度と前記蛍光強度とを軸とする座標空間における所定領域に含まれる粒子数閾値を超えることとすることができる。図8を参照して、所定領域について説明する。図8に示す前方散乱光強度及び蛍光強度の座標空間において、FSC−FL弁別処理において好塩基球を除く白血球と赤血球ゴーストとの弁別に用いられた境界400よりも前方散乱光強度が小さい側に所定領域(以下、「判定領域」という)401が設けられる。また、判定領域401の蛍光強度の範囲は、白血球及び巨大血小板が出現する蛍光強度の範囲とされる。

0055

また、判定条件には、前方散乱光強度及び蛍光強度の座標空間において、境界400上に存在する粒子数が所定の閾値を超えることを含めてもよい。この実施形態では、判定条件が、境界400上に存在する粒子数が所定の閾値(以下、「第1閾値」という)を超えることである第1条件と、判定領域401に含まれる粒子数が第1閾値とは異なる閾値(以下、「第2閾値」という)を超えることである第2条件とを含む。

0056

図9を参照し、判定処理について詳しく説明する。判定処理において、CPU301は、第1判定処理(ステップS401)と、第2判定処理(ステップS402)とを実行する。

0057

第1判定処理は、FSC−FL弁別処理の結果が第1条件に合致しているか否かを判定する処理である。この第1判定処理において、CPU301は、境界400上に存在する粒子数を計数し、計数した粒子数が第1閾値を超えるか否かを判定する。境界400は、好塩基球を除く白血球の集団と、赤血球ゴーストの集団とを区分する境界である。したがって、巨大血小板を含む集団が好塩基球を除く白血球の集団に重なっている場合には、巨大血小板を含む集団が境界400を横切るように出現し、境界400上に一定数以上の粒子が存在する。また、巨大血小板を含む集団が好塩基球を除く白血球の集団に重ならない場合には、赤血球ゴーストの集団が好塩基球を除く白血球の集団と離れて出現する。したがって、好塩基球を除く白血球の集団と赤血球ゴーストの集団との間にある境界400上には粒子がほとんど存在しない。このように、第1条件に合致するか否かを判定することにより、巨大血小板を含む集団が、白血球の集団と重なって出現しているか否かを判定できる。

0058

第2判定処理は、FSC−FL弁別処理の結果が第2条件に合致しているか否かを判定する処理である。この第2判定処理において、CPU301は、判定領域401に含まれる粒子数を計数し、計数した粒子数が第2閾値を超えるか否かを判定する。血液試料に巨大血小板が含まれる場合、巨大血小板の集団は、境界400よりも前方散乱光強度が小さい赤血球ゴーストの集団から好塩基球を除く白血球の集団へ延びるように出現する。したがって、巨大血小板を含む集団が好塩基球を除く白血球の集団に重なっている場合には、巨大血小板を含む集団が判定領域401に重なるように出現し、判定領域401に一定数以上の粒子が存在する。また、巨大血小板を含む集団が好塩基球を除く白血球の集団に重ならない場合には、好塩基球を除く白血球の集団と赤血球ゴーストの集団との間にある判定領域401には粒子がほとんど存在しない。このように、第2条件に合致するか否かを判定することにより、巨大血小板を含む集団が、白血球の集団と重なって出現しているか否かを判定できる。

0059

第2判定処理の後、CPU301は、判定処理を終了する。

0060

再び図5を参照する。CPU301は、判定処理における判定結果が、第1条件及び第2条件の何れかの判定条件に合致していない場合には(ステップS303においてNO)、巨大血小板の出現に関する巨大血小板フラグに0をセットする(ステップS304)。

0061

また、判定処理における判定結果が、第1条件及び第2条件の両方の判定条件に合致している場合には(ステップS303においてYES)、CPU301は、巨大血小板フラグに1をセットし(ステップS305)、SSC−FL弁別処理を実行する(ステップS306)。

0062

なお、第1条件及び第2条件の両方に合致していない場合にSSC−FL弁別処理を実行せず、第1条件及び第2条件の何れかに合致している場合にSSC−FL弁別処理を実行する構成としてもよい。

0063

巨大血小板フラグは、RAM303の特定の領域に設けられている。巨大血小板フラグが0である場合、血液試料に巨大血小板が含まれている可能性が低いことを示す。巨大血小板フラグが1である場合、血液試料に巨大血小板が含まれている疑いがあることを示す。

0064

判定条件に合致していない場合、血液試料に巨大血小板が含まれていないと考えられる。また、この場合、巨大血小板の集団が、好塩基球を除く白血球の集団と重なって出現していないと考えられる。したがって、FSC−FL弁別処理によって得られた白血球数は正確であると考えられ、SSC−FL弁別処理を実行する必要はない。よって、CPU301は、ステップS304において巨大血小板フラグを0にセットした後、測定データ解析処理を終了する。

0065

判定条件に合致している場合、血液試料に巨大血小板が含まれていると考えられる。また、この場合、巨大血小板の集団が、好塩基球を除く白血球の集団と重なって出現していると考えられる。したがって、FSC−FL弁別処理によって得られた白血球数は正確ではないと考えられる。この場合、SSC−FL弁別処理を実行することで、白血球と巨大血小板とを正確に弁別し、再度白血球を計数することで、正確な白血球数を得る。

0066

SSC−FL弁別処理について説明する。SSC−FL弁別処理は、側方散乱光強度と蛍光強度とに基づいて、白血球と巨大血小板とを弁別する処理である。側方散乱光強度は、細胞の内部状態を反映した情報である。巨大血小板は白血球と大きさが同程度であるため、前方散乱光強度では正確に弁別することができない。SSC−FL弁別処理では、側方散乱光強度と蛍光強度を用いることで、内部構造が異なる巨大血小板と白血球とを弁別する。

0067

さらに具体的には、SSC−FL弁別処理は、側方散乱光強度と蛍光強度とを軸とする座標空間における粒子の分布状態に基づいて、白血球及び巨大血小板それぞれの出現領域を設定し、白血球の出現領域に含まれる粒子群を白血球として、巨大血小板の出現領域に含まれる粒子群を巨大血小板として弁別する。SSC−FL弁別処理では、側方散乱光強度及び蛍光強度の座標空間における粒子の粒度分布に基づいて、白血球と巨大血小板とを弁別してもよいし、側方散乱光強度及び蛍光強度の座標空間における粒子の分布状態によって粒子をクラスタリングし、白血球と巨大血小板とを弁別してもよい。クラスタリングによる弁別においては、側方散乱光強度と蛍光強度とを2つの直交軸とする2次元空間において粒子のクラスタリングを行うこともできるし、側方散乱光強度と蛍光強度と前方散乱光強度とを3つの直交軸とする3次元空間において粒子のクラスタリングを行うこともできる。

0068

SSC−FL弁別処理では、側方散乱光強度及び蛍光強度の座標空間における粒子の分布状態に基づいて、側方散乱光強度が大きくなるにしたがって蛍光強度が大きくなる粒子群を白血球の集団として弁別し、白血球の集団よりも側方散乱光強度が小さい領域に出現する粒子を巨大血小板として弁別する。

0069

図10を参照する。図10に示すように、SSC−FL弁別処理は、巨大血小板弁別処理(ステップS501)と、再弁別処理(ステップS502)と、白血球計数処理(ステップS503)とを含む。

0070

巨大血小板弁別処理について説明する。FSC−FL弁別処理の結果が第1条件及び第2条件の両方に合致する場合には、FSC−FL弁別処理において好塩基球及び好塩基球を除く白血球として弁別された粒子群(以下、「第1対象粒子群」という)は、白血球と巨大血小板とを含むと考えられる。巨大血小板弁別処理は、第1対象粒子群を、白血球の集団と、巨大血小板を含む集団とに弁別する処理である。さらに具体的には、巨大血小板弁別処理は、側方散乱光強度及び蛍光強度のそれぞれを座標軸とする座標空間における、第1対象粒子群の最大分散方向と交差する方向の各位置での第1対象粒子群の粒子数に基づいて、第1対象粒子群を、白血球の集団と巨大血小板を含む集団とに弁別する処理である。図11において白血球と弁別された集団(好塩基球の集団及び好塩基球を除く白血球の集団の集合)が第1対象粒子群である。

0071

図12A乃至図12Eを参照する。図12Aに示す粒子群は、第1対象粒子群である。この第1対象粒子群は、図12A中破線で示す領域に巨大血小板の集団を含んでいる。図12Aに示すように、白血球の集団は、側方散乱光強度と蛍光強度とが比例する傾向がある。つまり、側方散乱光強度及び蛍光強度の座標空間において、白血球の集団は、側方散乱光強度が大きくなるにしたがって蛍光強度が大きくなる粒子群として出現する。また、側方散乱光強度及び蛍光強度の座標空間において、白血球として誤って弁別された巨大血小板の集団は、白血球の集団の隣の領域に出現する。

0072

図12Bに示すように、巨大血小板弁別処理において、CPU301は、側方散乱光強度の座標軸及び蛍光強度の座標軸を含む平面に沿って延びるライン431を設定する。具体的には、CPU301は、側方散乱光強度及び蛍光強度の座標空間を所定角度回転し、そのときの横軸をライン431とする。ライン431は、側方散乱光強度の座標軸及び蛍光強度の座標軸のそれぞれに対して傾斜した方向に延び、具体的には、蛍光強度の座標軸に対して時計回りに45°傾斜した方向に延びる。つまり、ライン431は、第1対象粒子群の分布における最大分散方向に交差する方向に延びている。なお、ライン431を蛍光強度の座標軸に対して時計回りに45°以外の角度傾斜した方向に延びる直線としてもよい。例えば、蛍光強度の座標軸に対して時計回りに30°傾斜した方向に延びる直線をライン431とすることができる。

0073

側方散乱光強度及び蛍光強度の座標軸のそれぞれは対数軸である。白血球の集団は、側方散乱光強度及び蛍光強度に比例する傾向があるため、2つの座標軸の両方が対数軸であることで、白血球の集団は側方散乱光強度及び蛍光強度の座標軸のそれぞれに対して斜めに延びる直線410に沿って分布する。つまり、直線410に沿った方向が白血球の集団の最大分散方向である。ライン431は、直線410に交差するように設定することができ、より具体的には、直線410に直交するように設定することができる。また、側方散乱光強度及び蛍光強度の座標軸を線形軸としてもよい。この場合も、白血球の集団は側方散乱光強度及び蛍光強度の座標軸のそれぞれに対して斜めに延びる直線に沿って分布する。

0074

巨大血小板弁別処理では、CPU301は、ライン431において第1対象粒子群の粒度分布を生成する。さらに具体的には、図12Cに示すように、CPU301は、ライン431が延びる方向に分割された複数の領域のそれぞれに含まれる粒子群を計数し、ライン431における粒度分布(ヒストグラム)を得る。

0075

ここで、ライン431に沿った方向のうち、蛍光強度が大きくなる方向、つまり、側方散乱光強度が小さくなる方向を正方向とし、蛍光強度が小さくなる方向、つまり、側方散乱光強度が大きくなる方向を負方向とする。白血球として誤って弁別された巨大血小板の集団は、白血球の集団よりもライン431における正側の領域に、白血球の集団に沿って出現する。CPU301は、図12Dに示すように、粒度分布の谷を検出することによって境界411を設定し、境界411よりもライン431における負側に出現する白血球の集団と、境界411よりもライン431における正側に出現する巨大血小板を含む集団とを弁別する。図12Eに示すように、側方散乱光強度及び蛍光強度の座標空間において、境界411は、ライン431と直交する方向に延びる直線である。

0076

境界411よりもライン431における負側には、白血球が分布する。このため、境界411によって、白血球を正確に弁別できる。また、図13に示すように、側方散乱光強度及び蛍光強度の座標空間において、巨大血小板弁別処理において巨大血小板を含む集団と弁別された粒子群は、FSC−FL弁別処理において赤血球ゴーストと弁別された粒子群に連なるように出現する。

0077

再弁別処理について説明する。再弁別処理は、巨大血小板弁別処理によって得られた巨大血小板を含む集団を、白血球の集団と、巨大血小板を含む集団とに弁別する処理である。

0078

図14A乃至図14Eを参照する。再弁別処理では、巨大血小板弁別処理において巨大血小板を含む集団として弁別された粒子群を処理対象とする。つまり、再弁別処理では、第1対象粒子群のうち、巨大血小板弁別処理で設定した境界411よりもライン431における正側の領域に含まれる粒子群を処理対象とする(図14A参照)。以下、再弁別処理の処理対象の粒子群を「第2対象粒子群」という。再弁別処理は、側方散乱光強度及び蛍光強度の座標空間におけるライン431が延びる方向とは異なる方向の各位置での第2対象粒子群の粒子数に基づいて、第2対象粒子群を、白血球の集団と巨大血小板を含む集団とに弁別する処理である。

0079

第2対象粒子群は、図14A中破線で示す領域に白血球の集団を含んでいる。図14Aに示すように、側方散乱光強度及び蛍光強度の座標空間において、第2対象粒子群のうちの白血球の集団は、巨大血小板を含む集団よりも側方散乱光強度が大きい領域に出現する。

0080

図14Bに示すように、再弁別処理において、CPU301は、側方散乱光強度及び蛍光強度の座標軸を含む平面に沿って延びる、ライン431とは異なるライン432を設定する。具体的には、CPU301は、側方散乱光強度及び蛍光強度の座標空間をさらに所定角度回転し、そのときの横軸をライン432とする。ライン432は、ライン431に対して傾斜した方向に延び、具体的には、ライン431に対して時計回りに45°傾斜した方向に延びる。このライン432は、側方散乱光強度の座標軸と平行な直線である。つまり、ライン432は、第2対象粒子群に交差する方向に延びている。なお、ライン432をライン431に対して時計回りに45°以外の角度傾斜した方向に延びる直線としてもよい。例えば、ライン431に対して時計回りに30°傾斜した方向に延びる直線をライン432とすることができる。

0081

再弁別処理では、CPU301は、ライン432において第2対象粒子群の粒度分布を生成する。さらに具体的には、図14Cに示すように、CPU301は、ライン432が延びる方向に分割された複数の領域のそれぞれに含まれる粒子群を計数し、ライン432における粒度分布(ヒストグラム)を得る。

0082

ここで、ライン432に沿った方向のうち、側方散乱光強度が大きくなる方向を正方向とし、側方散乱光強度が小さくなる方向を負方向とする。第2対象粒子群のうち、白血球の集団は、巨大血小板を含む集団よりもライン432における正側の領域に出現する。CPU301は、図14Dに示すように、粒度分布の谷を検出することによって境界421を設定し、境界421よりもライン432における正側の領域に出現する白血球の集団と、境界411よりもライン432における負側の領域に出現する巨大血小板を含む集団とを弁別する。図14Eに示すように、側方散乱光強度及び蛍光強度の座標空間において、境界411は、ライン432と直交する方向に延びる直線である。

0083

白血球計数処理において、CPU301は、巨大血小板弁別処理において白血球の集団と弁別された粒子群と、再弁別処理において白血球の集団と再弁別された粒子群とを合わせた粒子群を白血球の集団として白血球を計数し(図15参照)、計数結果をハードディスク304に記憶する。このとき、CPU301は、FSC−FL弁別処理における白血球の計数結果を、SSC−FL弁別処理における白血球の計数結果に置き換える。また、CPU301は、再弁別処理において巨大血小板を含む集団として再弁別された粒子群と、FSC−FL弁別処理において赤血球ゴーストと弁別された粒子群のうち境界411よりもライン431における正側の粒子群とを合わせた粒子群を巨大血小板を含む集団とする。以上で、CPU301は、測定データ解析処理を終了し、メインルーチンへ処理をリターンする。

0084

なお、SSC−FL弁別処理において、再弁別処理を行わず、巨大血小板弁別処理のみを行ってもよい。また、巨大血小板弁別処理及び再弁別処理の2回ではなく、側方散乱光強度及び蛍光強度の座標軸を含む平面に沿って延びるラインを設定し、設定されたラインにおける複数位置の粒子数に基づいて、粒子群を弁別する処理を3回以上実行してもよい。この場合、各処理において、それぞれ異なるラインを設定することができる。

0085

また、好塩基球、好塩基球を除く白血球、有核赤血球、巨大血小板を弁別するだけでなく、赤血球及び血小板を測定し、赤血球及び血小板を計数してもよい。この場合、上記の溶血剤及び染色用試薬とは異なる試薬を血液試料と混合して上記の測定試料とは異なる赤血球及び血小板測定用の測定試料を調製し、調製された測定試料をシースフローDC検出法等によって測定してもよい。また、白血球を単球リンパ球好酸球好中球、好塩基球等の複数の種類に分類し、種類毎に血球を計数してもよい。この場合、上記の測定試料とは異なる白血球分類用の測定試料を調製し、調製された測定試料をフローサイトメトリー法等で測定してもよい。

0086

再び図3を参照する。上記のような測定データ解析処理を終了すると、CPU301は、分析結果を表示部310に表示して(ステップS109)、処理を終了する。分析結果には、白血球数、有核赤血球数、及び好塩基球数等の各測定結果と、診断の参考となる参考情報とが含まれる。判定処理において、FSC−FL弁別処理の結果が判定条件に合致している場合、巨大血小板の存在を示唆する情報が参考情報として表示される。

0087

判定処理において、FSC−FL弁別処理の結果が判定条件に合致していない場合、表示される白血球数は、FSC−FL弁別処理によって白血球と弁別された粒子数である。FSC−FL弁別処理では、前方散乱光強度と蛍光強度とに基づいて白血球を弁別する。白血球と有核赤血球とは、蛍光強度に差異があるため、蛍光強度を用いることで白血球を有核赤血球と正確に弁別することができる。また、前方散乱光強度は細胞の大きさを反映した情報であるため、赤血球ゴーストとは大きさが異なる白血球を正確に弁別することができる。したがって、血液試料に巨大赤血球が含まれないと考えられる場合には、FSC−FL弁別処理において弁別された白血球の数を表示することで、正確な白血球数を提示することができる。

0088

判定処理において、FSC−FL弁別処理の結果が判定条件に合致している場合、表示される白血球数は、SSC−FL弁別処理において白血球と再弁別された粒子数である。血液試料に巨大血小板が含まれると考えられる場合、FSC−FL弁別処理において白血球を正確に弁別できないおそれがある。したがって、この場合、SSC−FL弁別処理において正確に巨大血小板と弁別した白血球の数を表示することで、正確な白血球数を提示することができる。

0089

図16を参照し、表示される分析結果についてさらに説明する。表示部310には、分析結果画面500が表示される。分析結果画面500は、試料情報表示領域510と、患者情報表示領域520と、測定結果表示領域530と、参考情報表示領域540とを有する。

0090

試料情報表示領域510には、分析結果画面500に表示されている分析結果の元となった血液試料の情報が表示される。患者情報表示領域520には、血液試料を採取された被験者の情報が表示される。

0091

測定結果表示領域530には、測定データ解析処理によって得られた各項目の測定値が表示される。測定結果表示領域530に表示される測定値は、白血球数(WBC)と、有核赤血球数(NRBC)と、好塩基球数(BASO)の測定値を含む。また、測定結果表示領域530には、側方散乱光強度及び蛍光強度を座標軸とする座標空間における粒子の分布状態を示す分布図であるスキャッタグラム531と、前方散乱光強度及び蛍光強度を座標軸とする座標空間における粒子の分布状態を示す分布図であるスキャッタグラム532とを含む。

0092

参考情報表示領域540には、測定データ解析処理によって、血液試料に巨大血小板が含まれている疑いがある等のユーザに報告すべき結果が得られた場合に、ユーザへの参考情報が表示される。測定データ解析処理において、巨大血小板フラグに1がセットされた場合、参考情報表示領域540に、巨大血小板の存在を示唆する情報である「Giant−PLT?」が表示される。なお、巨大血小板の存在を示唆する情報は上記に限られず、血液試料に巨大血小板が含まれている疑いがあることを示す情報であればよい。巨大血小板が血液試料に含まれる場合、ベルナール−スーリエ症候群、メイ−ヘグリン異常症、特発性血小板減少性紫斑病等の疾患の可能性がある。このため、血液試料に巨大血小板が含まれている疑いがあることを示す情報を提示することにより、これらの疾患の診断を支援することができる。

0093

また、巨大血小板フラグに1がセットされた場合、SSC−FL弁別処理によって得られた白血球の計数結果が表示される。この場合、FSC−FL弁別処理によって得られた白血球の計数結果は正確ではないと考えられ、この計数結果を表示することはできない。このため、測定結果表示領域530において、白血球数の測定値と共に、低信頼性情報533である「*」が表示される。これにより、表示される白血球数の信頼性が低いことをユーザに知らせることができる。

0094

1血液分析装置
2測定部
3解析部
5試料調製部
6 検出部
7 第2検出部
61フローセル
62光源部
63 検出部
64 検出部
301 CPU
310 表示部
320コンピュータプログラム
321 可搬型記録媒体

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