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技術 耐サワー性に優れた鋼板及びその製造方法

出願人 日本製鉄株式会社
発明者 中村浩史小林憲司
出願日 2015年9月15日 (5年2ヶ月経過) 出願番号 2015-181903
公開日 2017年3月23日 (3年8ヶ月経過) 公開番号 2017-057449
状態 特許登録済
技術分野 鋼の加工熱処理
主要キーワード 公称粒径 熱膨張測定 板番号 高張力鋼材 ベンドロール パーライト面積率 耐サワー性能 フェライトバンド
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2017年3月23日)のものです。
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課題

耐サワー性に優れた鋼板及びその製造方法の提供。

解決手段

質量%で、C:0.02〜0.09%、Si:0.01〜0.60%、Mn:0.1〜2.0%、sol.Al:0.005〜0.09%を含有し、Cu、Ni、Cr、Mo、V、Nb、Ti、B、Ca、REM、Zr、Mg、の1種以上を含有し、Pcm(=C+Si/30+(Mn+Cu+Cr)/20+Ni/60+Mo/15+V/10+5B)が0.10〜0.20%、CeqL(=C+Mn/6+(Cu+Ni)/15+(Cr+Mo+V)/5)が0.10〜0.60%、フェライト面積率が85%超、フェライト平均粒径が10μm未満、パーライト面積率が3〜15%、パーライト最大長さが100μm以下である耐サワー性に優れた鋼板と、熱間圧延後、Ar3超から、650℃〜(Ar3−30℃)まで平均冷却速度が3℃/s以上の加速冷却を行うその製造方法。

概要

背景

引張強度が400〜700MPa程度の鋼板には、主としてフェライトパーライトを含有する組織が適用される場合がある。従来から、このフェライト、パーライトの組織因子を制御することにより、鋼板の性能を改善する試みがなされてきた。

例えば、特許文献1には、疲労亀裂伝播抵抗性に優れた鋼材の製造方法に関する技術が開示されている。特許文献1によれば、Ar3以上で圧延を終了した後、Ar3からAr3−60℃の温度域より650℃以下450℃以上の温度域まで、10℃/s以上で加速冷却し、ミクロ組織を特定された形態のフェライトとパーライトの二相組織主体とし、当該ミクロ組織は65〜85%のフェライトを有することにより、亀裂伝播方性が小さく、疲労亀裂伝播抵抗性に優れた鋼材の製造方法が得られるとされている。

また、特許文献2には、溶接性および塑性変形能に優れた高張力鋼材、並びに冷間成形鋼管に関する技術が開示されている。特許文献2によれば、鋼材のミクロ組織が、ポリゴナルフェライト相:65〜85面積%、バンド状パーライト相:5〜20面積%、フェライト粒界に存在する粒状の焼戻しマルテンサイト相:3〜15面積%で構成されると共に、前記ポリゴナルフェライト相の平均円相当径が10〜40μmであることにより、安定して降伏比85%以下を満足すると共に、良好な靭性および溶接性をも具備する様な、引張強度が490MPa以上の高張力鋼材、およびこうした高張力鋼材から得られる低降伏比の冷間成形鋼管を提供することができるとされている。

概要

耐サワー性に優れた鋼板及びその製造方法の提供。質量%で、C:0.02〜0.09%、Si:0.01〜0.60%、Mn:0.1〜2.0%、sol.Al:0.005〜0.09%を含有し、Cu、Ni、Cr、Mo、V、Nb、Ti、B、Ca、REM、Zr、Mg、の1種以上を含有し、Pcm(=C+Si/30+(Mn+Cu+Cr)/20+Ni/60+Mo/15+V/10+5B)が0.10〜0.20%、CeqL(=C+Mn/6+(Cu+Ni)/15+(Cr+Mo+V)/5)が0.10〜0.60%、フェライト面積率が85%超、フェライト平均粒径が10μm未満、パーライト面積率が3〜15%、パーライト最大長さが100μm以下である耐サワー性に優れた鋼板と、熱間圧延後、Ar3超から、650℃〜(Ar3−30℃)まで平均冷却速度が3℃/s以上の加速冷却を行うその製造方法。なし

目的

特許文献2によれば、鋼材のミクロ組織が、ポリゴナルフェライト相:65〜85面積%、バンド状パーライト相:5〜20面積%、フェライト粒界に存在する粒状の焼戻しマルテンサイト相:3〜15面積%で構成されると共に、前記ポリゴナルフェライト相の平均円相当径が10〜40μmであることにより、安定して降伏比85%以下を満足すると共に、良好な靭性および溶接性をも具備する様な、引張強度が490MPa以上の高張力鋼材、およびこうした高張力鋼材から得られる低降伏比の冷間成形鋼管を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

質量%で、C:0.02〜0.09%、Si:0.01〜0.60%、Mn:0.1〜2.0%、sol.Al:0.005〜0.09%を含有し、さらに、Cu:0.90%以下、Ni:0.90%以下、Cr:0.90%以下、Mo:0.90%以下、V:0.09%以下、Nb:0.09%以下、Ti:0.09%以下、B:0.004%以下、Ca:0.01%以下、REM:0.1%以下、Zr:0.1%以下、Mg:0.01%以下、の1種又は2種以上を含有し、残部がFe及び不純物からなり、前記不純物のうち、P、S、N、Oを、P:0.02%以下、S:0.01%以下、N:0.009%以下、O:0.003%以下に制限し、(1)式に示すPcmが0.10〜0.20%、(2)式に示すCeqLが0.10〜0.60%であり、フェライト面積率が85%超、フェライト平均粒径が10μm未満、パーライト面積率が3%以上15%未満、パーライト最大長さが100μm以下であることを特徴とする耐サワー性に優れた鋼板。Pcm=C+Si/30+(Mn+Cu+Cr)/20+Ni/60+Mo/15+V/10+5B・・・(1)CeqL=C+Mn/6+(Cu+Ni)/15+(Cr+Mo+V)/5・・・(2)ここで、式中の各元素記号は、鋼板中に含まれる各元素含有量(質量%)を表し、含有されない場合はゼロとする。

請求項2

請求項1に記載の化学組成を有する鋼片に、仕上温度をAr3超とする熱間圧延を施した後、冷却開始温度が前記熱間圧延の仕上温度以下で、かつ、Ar3超、冷却停止温度が650℃超かつ(Ar3−30℃)以下、平均冷却速度が3℃/s以上である加速冷却を行うことを特徴とする耐サワー性に優れた鋼板の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、耐サワー性に優れた鋼板及びその製造方法に関する。特にUOE製法ベンドロール製法によって製造される鋼管素材に好適な耐サワーラインパイプ用鋼板及びその製造方法に関する。

背景技術

0002

引張強度が400〜700MPa程度の鋼板には、主としてフェライトパーライトを含有する組織が適用される場合がある。従来から、このフェライト、パーライトの組織因子を制御することにより、鋼板の性能を改善する試みがなされてきた。

0003

例えば、特許文献1には、疲労亀裂伝播抵抗性に優れた鋼材の製造方法に関する技術が開示されている。特許文献1によれば、Ar3以上で圧延を終了した後、Ar3からAr3−60℃の温度域より650℃以下450℃以上の温度域まで、10℃/s以上で加速冷却し、ミクロ組織を特定された形態のフェライトとパーライトの二相組織主体とし、当該ミクロ組織は65〜85%のフェライトを有することにより、亀裂伝播方性が小さく、疲労亀裂伝播抵抗性に優れた鋼材の製造方法が得られるとされている。

0004

また、特許文献2には、溶接性および塑性変形能に優れた高張力鋼材、並びに冷間成形鋼管に関する技術が開示されている。特許文献2によれば、鋼材のミクロ組織が、ポリゴナルフェライト相:65〜85面積%、バンド状パーライト相:5〜20面積%、フェライト粒界に存在する粒状の焼戻しマルテンサイト相:3〜15面積%で構成されると共に、前記ポリゴナルフェライト相の平均円相当径が10〜40μmであることにより、安定して降伏比85%以下を満足すると共に、良好な靭性および溶接性をも具備する様な、引張強度が490MPa以上の高張力鋼材、およびこうした高張力鋼材から得られる低降伏比の冷間成形鋼管を提供することができるとされている。

先行技術

0005

特開2008−7834号公報
特開2008−261046号公報

発明が解決しようとする課題

0006

しかしながら、特許文献1で開示された鋼材の製造方法は、疲労亀裂伝播抵抗性に優れるように実施される条件であるため、耐サワー性に優れる鋼板には適していない。また、特許文献2で開示された高張力鋼材および冷間成形鋼管は、建築物を対象とするものであるため、ラインパイプに用いられる耐サワー性に優れる鋼板には適していない。
本発明は、このような実情に鑑みて、耐サワー性に優れた鋼板及びその製造方法を提供することを課題とする。

課題を解決するための手段

0007

耐サワー性の改善には、特にバンド状の硬質組織の解消が重要である。しかし、板厚の中央部では凝固偏析に起因するバンド状の濃度むらが生じており、冷却速度が遅いと、相変態開始温度(Ar3)を高める元素濃化している部位からフェライト変態が開始するため、フェライトバンド、及びパーライトバンドなど、バンド組織が生成する。本発明者らはこのような問題に対して、熱間圧延後、Ar3温度付近で加速冷却を行えば、偏析に起因する化学成分の局所的なばらつきがあっても、鋼板内ではほぼ同時に変態が開始し、バンド組織の生成が抑制されるという知見を得た。

0008

そして、熱間圧延後、Ar3直上から (Ar3−30℃)以下、好ましくは(Ar3+Ar1)/2付近まで、すなわちフェライト変態温度域の高温域を含む短時間の加速冷却(水冷)を行うことにより、バンド組織の生成が抑制され(特に、パーライト長さが短くなり)、かつフェライト組織細粒であるミクロ組織が得られることがわかった。さらに、本発明者らは鋼の化学組成の影響についても検討を行い、強度、靭性、及び耐サワー性に優れた鋼板を製造することに成功した。

0009

本発明は、このような知見に基づいてなされたものであり、その要旨は以下のとおりである。
[1]質量%で、
C:0.02〜0.09%、
Si:0.01〜0.60%、
Mn:0.1〜2.0%、
sol.Al:0.005〜0.09%
を含有し、さらに、
Cu:0.90%以下、
Ni:0.90%以下、
Cr:0.90%以下、
Mo:0.90%以下、
V:0.09%以下、
Nb:0.09%以下、
Ti:0.09%以下、
B:0.004%以下、
Ca:0.01%以下、
REM:0.1%以下、
Zr:0.1%以下、
Mg:0.01%以下、
の1種又は2種以上を含有し、残部がFe及び不純物からなり、前記不純物のうち、P、S、N、Oを、
P:0.02%以下、
S:0.01%以下、
N:0.009%以下、
O:0.003%以下
に制限し、
(1)式に示すPcmが0.10〜0.20%、(2)式に示すCeqLが0.10〜0.60%であり、
フェライト面積率が85%超、フェライト平均粒径が10μm未満、
パーライト面積率が3%以上15%未満、パーライト最大長さが100μm以下
であることを特徴とする耐サワー性に優れた鋼板。
Pcm=C+Si/30+(Mn+Cu+Cr)/20+Ni/60+Mo/15+V/10+5B ・・・(1)
CeqL=C+Mn/6+(Cu+Ni)/15+(Cr+Mo+V)/5 ・・・(2)
ここで、式中の各元素記号は、鋼板中に含まれる各元素の含有量(質量%)を表し、含有されない場合はゼロとする。

0010

[2]上記[1]に記載の化学組成を有する鋼片に、仕上温度をAr3超とする熱間圧延を施した後、冷却開始温度が前記熱間圧延の仕上温度以下で、かつ、Ar3超、冷却停止温度が650℃超かつ(Ar3−30℃)以下、平均冷却速度が3℃/s以上である加速冷却を行うことを特徴とする耐サワー性に優れた鋼板の製造方法。

発明の効果

0011

本発明の鋼板は、強度、靭性、及び耐サワー性に優れるため、造船建築構造物タンク、ラインパイプ、その他、各種用途の鋼板、特にX60、X65グレードのUOラインパイプ用の厚鋼板に好適である。また、本発明の鋼板は、本発明の製造方法により、比較的容易に得られる。このように、本発明は産業上の貢献が極めて顕著である。

0012

本発明者らは、耐サワー性に優れた鋼板及びその製造方法に関する検討を行った結果、以下の知見を得るに至った。
(a)水素誘起割れの発生と伝播には硬質組織が影響する。耐サワー性の改善には、特にバンド状の硬質組織(特に、パーライト)の解消が重要である。

0013

(b)主としてフェライト、パーライトを含有する組織において、フェライト粒径、フェライト面積率、パーライト形態などを制御することにより、強度、靭性、及び耐サワー性に優れた鋼板が得られる。

0014

(c)上記の組織制御には、圧延、冷却条件が重要である。鋳片の凝固偏析帯が熱間圧延によって伸長すると、化学成分にバンド状の濃度むらが生じるので、放冷した場合には化学成分に起因する相変態開始温度(Ar3)が高い部位からフェライト変態が開始して、フェライトバンド、及びパーライトバンドが生成する。しかしながら、Ar3温度付近において加速冷却を行う場合には、化学成分の濃度むらによるAr3の局所的なばらつきがあっても、鋼板内の各位置において比較的同時に変態が始まるため、バンド組織の生成が抑制される。

0015

(d)バンド組織解消のための具体的な圧延、冷却条件としては、熱間圧延後、Ar3直上から(Ar3−30℃)以下、好ましくは(Ar3+Ar1)/2付近まで、すなわちフェライト変態温度域の高温域を含む短時間の加速冷却(水冷)を行うとよい。このような短時間の水冷プロセスにより、バンド組織の生成が抑制され(パーライト長さが短い)、かつフェライト組織が細粒であるミクロ組織が得られる。フェライト組織が細粒であることは、良好な靭性を得ることに寄与する。

0016

(e)また上記の短時間の水冷プロセスは、平坦度に与える影響が比較的軽微なため、特に水冷による温度むらのために良好な平坦度の確保が比較的困難になる可能性のある薄物(板厚:約13mm以下)の製造に適している。

0017

以下、本発明の各要件について詳しく説明する。
(A)化学組成について
各元素の限定理由は下記のとおりである。なお、以下の説明において含有量についての「%」は、「質量%」を意味する。
[C:0.02〜0.09%]
Cは、鋼の強度を高めるために必要な元素である。その効果を得るためにCの含有量を0.02%以上とする必要がある。一方、Cの含有量が過剰となると靭性、及び耐サワー性が劣化するため、C含有量を0.09%以下とする必要がある。C含有量は0.04%以上とすることが望ましい。また、C含有量は0.07%以下とすることが望ましく、0.06%以下とすることがより望ましい。

0018

[Si:0.01〜0.60%]
Siは、製鋼における脱酸元素として有効であると共に、強度を高める効果を有する元素である。その効果を得るためには、Siを0.01%以上含有させる必要がある。しかし、Siを過剰に含有させると靱性が劣化するため、0.60%以下に限定する。Si含有量は0.05%以上とすることが望ましい。また、Si含有量は0.40%以下とすることが望ましく、0.30%以下とすることがより望ましい。

0019

[Mn:0.1〜2.0%]
Mnは、鋼の強度を高める作用を有する元素である。その効果を得るためにMnの含有量を0.1%以上とする必要がある。一方、Mnの含有量が過剰となると、靭性、及び耐サワー性が劣化するため、Mn含有量を2.0%以下とする必要がある。Mn含有量は1.0%以上とすることが望ましい。また、Mn含有量は1.8%以下とすることが望ましく、1.6%以下とすることがより望ましい。

0020

[sol.Al:0.005〜0.09%]
Alは、Siと同様に脱酸に有効な元素である。そのため、sol.Al(「酸可溶Al」)として0.005%以上含有させる必要がある。一方、その含有量が過剰となると靱性を劣化させるため、上限を0.09%とする。sol.Al含有量は0.01%以上とすることが望ましく、0.02%以上とすることがより望ましい。また、sol.Al含有量は0.06%以下とすることが望ましい。

0021

本発明においては、さらに、Cu:0.90%以下、Ni:0.90%以下、Cr:0.90%以下、Mo:0.90%以下、V:0.09%以下、Nb:0.09%以下、Ti:0.09%以下、B:0.004%以下、Ca:0.01%以下、REM:0.1%以下、Zr:0.1%以下、Mg:0.01%以下、の1種又は2種以上を含有させる。

0022

[Cu:0.90%以下]
Cuは、強度上昇に有効な元素であるので、必要に応じて含有させても良い。しかし、Cuを過剰に含有させると、靭性を劣化させる可能性がある。したがって、含有させる場合のCu含有量は0.90%以下とする。より望ましくは0.50%以下、さらに望ましくは0.30%以下とする。一方、上記の効果を得るためには、Cu含有量は0.10%以上であることが望ましい。

0023

[Ni:0.90%以下]
Niは、強度上昇に有効であると共に、靱性を改善する効果を有する元素である。そのため、必要に応じてNiを含有させても良い。しかし、Niは高価な元素であり、含有させる場合のNi含有量は0.90%以下とする。より望ましくは0.50%以下、さらに望ましくは0.30%以下とする。一方、上記の効果を得るためには、Ni含有量は0.10%以上であることが望ましい。

0024

[Cr:0.90%以下]
Crは、強度上昇に有効な元素であるので、必要に応じて含有させても良い。しかし、Crを過剰に含有させると、靭性を劣化させる可能性がある。したがって、含有させる場合のCr含有量は0.90%以下とする。より望ましくは0.50%以下、さらに望ましくは0.30%以下とする。一方、上記の効果を得るためには、Cr含有量は0.10%以上であることが望ましい。

0025

[Mo:0.90%以下]
Moは、強度上昇に有効な元素であるので、必要に応じて含有させても良い。しかし、Moを過剰に含有させると、靭性を劣化させる可能性がある。したがって、含有させる場合のMo含有量は0.90%以下とする。より望ましくは0.50%以下とする。一方、上記の効果を得るためには、Mo含有量は0.05%以上であることが望ましい。

0026

[V:0.09%以下]
Vは、強度上昇に有効な元素であるので、必要に応じて含有させても良い。しかし、Vを過剰に含有させると、靭性を劣化させる可能性がある。したがって、含有させる場合のV含有量は0.09%以下とする。より望ましくは0.05%以下とする。一方、上記の効果を得るためには、V含有量は0.01%以上であることが望ましい。

0027

[Nb:0.09%以下]
Nbは、強度上昇に有効であると共に、靱性を改善する効果を有する元素である。そのため、必要に応じてNbを含有させても良い。しかし、Nbを過剰に含有させると、耐サワー性を劣化させる可能性がある。したがって、含有させる場合のNb含有量は0.09%以下とする。より望ましくは0.06%以下、さらに望ましくは0.04%以下とする。一方、上記の効果を得るためには、Nb含有量は0.01%以上であることが望ましい。

0028

[Ti:0.09%以下]
Tiは、Nと結合してTiNを形成することで溶接熱影響部(HAZ)の靱性を改善する効果を有する元素である。そのため、必要に応じてTiを含有させても良い。しかし、Tiを過剰に含有させると、靭性、及び耐サワー性を劣化させる可能性がある。したがって、含有させる場合のTi含有量は0.09%以下とする。Ti含有量は0.03%以下であることが望ましい。一方、上記の効果を得るためには、Ti含有量は0.01%以上であることが望ましい。

0029

[B:0.004%以下]
Bは、焼入れ性を向上させて強度を高める作用を有する元素である。そのため、必要に応じてBを含有させても良い。しかし、Bを過剰に含有させると、靭性を劣化させる可能性がある。したがって、含有させる場合のB含有量は0.004%以下とする。B含有量は0.002%以下であるのが望ましい。一方、上記の効果を得るためには、B含有量は0.0003%以上であるのが望ましい。

0030

[Ca:0.01%以下]
Caは、硫化物(特にMnS)の形態を制御し、靱性、及び耐サワー性を向上させるのに有効な元素である。そのため、必要に応じてCaを含有させても良い。しかし、Caを過剰に含有させると、靱性、及び耐サワー性に悪影響を及ぼす可能性がある。したがって、含有させる場合のCa含有量は0.01%以下とする。Ca含有量は0.005%以下であるのが望ましい。一方、上記の効果を得るためには、Ca含有量は0.001%以上であるのが望ましい。

0031

[REM:0.1%以下]
REMは、硫化物の形態を制御し、靱性を向上させるのに有効な元素である。そのため、必要に応じてREMを含有させても良い。しかし、REMを過剰に含有させると、靱性に悪影響を及ぼす場合がある。したがって、含有させる場合のREM含有量は0.1%以下とする。REM含有量は0.05%以下であるのが望ましい。一方、上記の効果を得るためには、REM含有量は0.001%以上であるのが望ましい。

0032

[Zr:0.1%以下]
Zrは酸化物や窒化物を形成し、HAZのオーステナイト粒の粗大化を抑制し、靭性を改善する効果を有する元素である。そのため、必要に応じてZrを含有させても良い。しかし、Zrを過剰に含有させると、靱性に悪影響を及ぼす場合がある。したがって、含有させる場合のZr含有量は0.1%以下とする。一方、上記の効果を得るためには、Zr含有量は0.005%以上であるのが望ましい。

0033

[Mg:0.01%以下]
Mgは、微細に分散した酸化物を形成し、特に溶接熱影響部のオーステナイト粒径の粗大化を抑制して靭性を向上させるのに有効な元素である。そのため、必要に応じてMgを含有させても良い。しかし、Mgを過剰に含有させると、靱性に悪影響を及ぼす場合がある。したがって、含有させる場合のMg含有量は0.01%以下とする。Mg含有量は0.005%以下であるのが望ましい。一方、上記の効果を得るためには、Mg含有量は0.0005%以上であるのが望ましい。

0034

本発明の厚鋼板は、上記の元素と、残部Feおよび不純物とからなる化学組成を有する。
ここで「不純物」とは、鋼を工業的に製造する際に、鉱石スクラップ等の原料、製造工程の種々の要因によって混入する成分であって、本発明に悪影響を与えない範囲で許容されるものを意味する。

0035

以下、不純物中のP、S、NおよびOについて説明する。
[P:0.02%以下]
Pは不純物元素であり、その含有量が多量となると靭性を著しく劣化させるため、0.02%以下に限定する。P含有量は少ない方が望ましく、0.01%以下であることが望ましい。

0036

[S:0.01%以下]
Sは不純物元素であり、その含有量が多量となると靭性を著しく劣化させるため、0.01%以下に限定する。S含有量は少ない方が望ましく、0.005%以下であることが望ましく、0.002%以下であることがより望ましい。さらに望ましくは0.0010%以下とする。

0037

[N:0.009%以下]
Nは不純物元素であり、その含有量が多量となると靭性を著しく劣化させるため、0.01%以下に限定する。N含有量は少ない方が望ましく、0.009%以下であることが望ましく、より望ましくは0.007%以下とする。なお、TiやZrを含有させることにより、Nの含有量を0.004%以上とすることで、HAZの靭性が改善される場合がある。

0038

[O:0.003%以下]
Oは不純物元素であり、その含有量が多量となると靱性を著しく劣化させるため、0.003%以下に限定する。O含有量は少ない方が望ましく、0.002%以下であることが望ましい。

0039

[Pcm:0.10〜0.20%]
Pcmは溶接割れ感受性組成を意味し、下記(1)式で定義される。Pcmが小さすぎると強度が低下する可能性があるため、Pcmは0.10%以上とする。Pcmは0.15%以上とすることが望ましい。また、Pcmが大きくなると溶接割れが起こりやすくなるため、Pcmは0.20%以下とする。Pcmは0.18以下とすることが望ましい。
Pcm=C+Si/30+(Mn+Cu+Cr)/20+Ni/60+Mo/15+V/10+5B ・・・(1)

0040

[CeqL:0.10〜0.60%]
CeqLは炭素当量を意味し、下記(2)式で定義される。CeqLを大きくすることは強度上昇に寄与するため、CeqLは0.10%以上とする。CeqLは0.30%以上とすることが望ましい。一方、CeqLが過剰であると溶接割れが起こりやすくなり、また靭性を劣化させる可能性もあるため、CeqLは0.60%以下とする。CeqLは0.40%以下とすることが望ましい。
CeqL=C+Mn/6+(Cu+Ni)/15+(Cr+Mo+V)/5・・・(2)
ここで、式中の各元素記号は、鋼板中に含まれる各元素の含有量(質量%)を表し、含有されない場合はゼロとする。

0041

(B)ミクロ組織について
本発明に係る厚鋼板は、そのミクロ組織が主としてフェライト組織とパーライト組織から構成される複合組織である。なお、フェライト組織とパーライト組織に加えて、ベイナイトマルテンサイト、及びMA(Martensite-Austenite constituent)の1種又は2種以上を含んでもよい。ミクロ組織は光学顕微鏡によって観察することができ、フェライト面積率、パーライト面積率、フェライト組織の平均粒径、パーライト最大長さは、撮影した写真を用いて測定することができる。

0042

[フェライト面積率:85%超]
[パーライト面積率:3%以上15%未満]
本発明において、耐サワー性に優れた鋼板を得るためには、フェライト面積率が85%超、パーライト面積率が15%未満とすることが必要である。軟質組織であるフェライトは、その面積率が大きいほど耐サワー性に好ましい。また、硬質組織であるパーライトは、その面積率が小さいほど耐サワー性に好ましい。ただし、強度を確保するため、パーライトの面積率は3%以上必要である。そのため、フェライトの面積率の上限は、97%以下となる。

0043

[フェライト組織の平均粒径:10μm未満]
良好な靭性を有する鋼板を得るために、フェライト組織の平均粒径を10μm未満とする必要がある。フェライト組織の平均粒径は5μm未満が望ましい。フェライト組織の平均粒径は小さいほど好ましいが、熱間圧延の際に低温での圧下を増加させることが必要になる。このような製造上の制約を考慮すれば、フェライト組織の平均粒径は1μm以上であってもよく、3μm以上とすることもできる。

0044

[パーライト最大長さ:100μm以下]
良好な耐サワー性を有する鋼板を得るためには、パーライト最大長さを100μm以下とすることが必要である。パーライト最大長さは50μm以下がより望ましく、30μm以下がさらに望ましい。パーライト最大長さは小さいほど好ましいが、パーライト組織を微細化する観点から、5μm以上であってもよく、10μm以上とすることもできる。

0045

(C)板厚について
本発明に係る鋼板の板厚については特に制限はされないが、耐サワー性、及び靱性を向上させるという作用効果は、特に板厚が6mm以上の厚鋼板に適用することで発揮される。一方、熱間圧延後の鋼板の板厚が大きすぎる場合には、水冷を行っても鋼材の平均冷却速度を高めることが困難となるため、上記の耐サワー性、及び靱性を向上させるという作用効果が十分に得られなくなるおそれがある。したがって、板厚は40mm以下であればよいが、13mm以下であることが望ましい。

0046

(D)鋼板の製造条件について
上記で説明した化学組成を有する鋼片を用いて、以下に示す熱間圧延工程、及び冷却工程を備えた製造方法を用いることにより、本発明の鋼板を比較的効率良く製造することができる。なお、温度は鋼片または鋼板の表面で測温するが、圧延ロール等との接触または水冷の影響で一時的に大きく表面温度下がり、その後に表面温度が上昇する場合には、復熱後の表面温度を意味する。

0047

<熱間圧延工程>
熱間圧延は、鋼片の鋳造後、そのまま行ってもよく、鋳造後に鋼片を、一旦、冷却し、加熱してから行ってもよい。圧延前の加熱温度は、熱間圧延を容易に行うため、900℃以上とすることが望ましい。加熱温度を高くすることにより、Nb、V、Ti、Zr等の炭化物、窒化物などを固溶させて、強度、靭性や耐サワー性を改善する効果も得られる。加熱温度は1000℃以上とするのがより望ましく、1100℃以上とするのがさらに望ましい。しかし、加熱温度が高すぎると、オーステナイト結晶粒が粗大化して靱性が劣化し易くなる。したがって、加熱温度は1250℃以下とするのが望ましい。

0048

加熱に引き続いて熱間圧延を行う。900℃以下の温度域における合計圧下率が50%以上となる条件で行うことが望ましい。これにより、鋼板の組織を微細化して良好な靱性を確保することがより容易になる。ここで、「900℃以下の温度域における合計圧下率」とは、
{(900℃に達した時点の厚さ)−(圧延仕上厚さ)}/(900℃に達した時点の厚さ)×100(%)
を意味する。

0049

[熱間圧延の仕上温度:Ar3超]
熱間圧延の仕上温度が低すぎると、水冷開始温度をAr3超とすることができなくなり、良好な耐サワー性の確保が困難になる。このため、熱間圧延の仕上温度をAr3超とすることが必要である。なお、本明細書でAr3とは、空冷の場合の変態開始温度を意味する。Ar3は、熱膨張測定によって求めることができる。

0050

<加速冷却工程>
[冷却開始温度:Ar3超]
冷却開始温度がAr3よりも低くなると、フェライトバンド、パーライトバンドが生成するために、耐サワー性が劣化し、また強度も低下するため、冷却開始温度はAr3超とすることが必要である。熱間圧延の完了と同時に加速冷却を開始した場合が冷却開始温度の上限であり、冷却開始温度は熱間圧延の仕上げ温度以下である。

0051

[冷却停止温度:650℃超かつ(Ar3−30℃)以下]
冷却停止温度が高すぎると、フェライトバンド、パーライトバンドを解消する効果が小さくなり、耐サワー性の確保が困難になる。そのため、冷却停止温度を(Ar3−30℃)以下とすることが必要である。なお、バンド組織を解消するためには冷却停止温度を(Ar3+Ar1)/2付近とすることが望ましく、実操業では、(Ar3−60℃)以下とすることが望ましい。また、冷却停止温度が低すぎると、靭性が低下する場合があるため、冷却停止温度を650℃超とする。

0052

[平均冷却速度:3℃/s以上]
圧延終了後の冷却工程における平均冷却速度が小さすぎると、フェライトバンド、パーライトバンドを解消する効果が小さくなり、耐サワー性の確保が困難になり、また強度も低下する。さらに、加速冷却はフェライト組織の微細化にも有効である。そのため、平均冷却速度は3℃/s以上とすることが必要である。平均冷却速度は10℃/s以上とすることが望ましい。しかし、平均冷却速度が大きすぎると、均一な冷却が得られない場合、または靭性が低下する場合がある。そのため、平均冷却速度は60℃/s未満とすることが望ましく、40℃/s未満とすることがより望ましい。

0053

以下、実施例によって本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
表1に示す化学組成を有する厚さ250mmの鋼片を用いて、表2に示す条件にて加熱、熱間圧延、加速冷却を行い、放冷(空冷)して鋼板とした。Ar3は、鋼片から試験片採取して、熱膨張測定によって求めた。熱間圧延は900℃以下の温度域における合計圧下率が50%以上となる条件で行った。

0054

0055

得られた各鋼板について、下記の要領にて、ミクロ組織観察、水素誘起割れ(HIC)試験引張試験およびシャルピー試験を行った。

0056

<ミクロ組織観察>
観察面が板厚方向と圧延方向に平行な面となる試料鏡面研磨し、ナイタールで腐食して、光学顕微鏡を用いて、板厚方向1/2位置にて倍率を500倍として10視野ずつ撮影した。このようにして得られた写真から、フェライト面積率、パーライト面積率、フェライト組織の平均粒径、及び連続したパーライト組織領域の圧延方向の最大長さを求めた。なお、フェライト組織の平均粒径とは、ASTM−E112に準拠して求めたASTM公称粒径を意味する。

0057

<HIC試験>
耐サワー性を評価するため、水素割れ試験片(厚さ:鋼板より表裏面を0.5mm減厚、幅:20mm、長さ:100mm)を、試験片の中心が板厚方向1/2位置になるように、かつ試験片の長辺が圧延方向に対して平行になるように、各鋼板から3本ずつ採取した。これらの試験片に対して、NACE TM0284規定のSolution A液を使用して、1気圧硫化水素、25℃の環境で96時間の浸漬を行い、割れ面積率(CAR)を評価した。

実施例

0058

<引張試験>
板状試験片を、試験片の中心が板厚方向1/2位置になるように、試験片の軸が圧延方向に対して垂直になるように採取した。試験片形状は、平行部の直径6mmの14A号試験片(JIS Z 2201)を用いて室温で行い、引張強度(TS)を測定した。
<シャルピー試験>
ノッチ試験片(JIS Z 2242)を、試験片の中心が板厚方向1/2位置になるように、試験片の長辺が圧延方向に対して垂直になるように採取した。シャルピー試験は各鋼板について試験片3本ずつ実施し、−80℃での吸収エネルギー平均値(vE−80)を求めた。
ミクロ組織観察結果および各試験結果を表2に示す。本発明で規定される条件を満足する板番号1〜7は、CARが1%未満、TSが535MPa以上(ラインパイプX65級の強度)であり、vE−80が200J以上であり、各性能が良好である。一方、本発明で規定される条件を満足していない板番号8〜12は、いずれかの性能が劣る結果となった。

0059

本発明の鋼板は、耐サワー性能、引張強度、および靭性に優れるため、ラインパイプ、タンク、その他、鋼板の各種用途に好適である。また、この鋼板は、本発明の製造方法によって、効率良く製造することが可能である。

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