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課題
解決手段
概要
背景
従来より、清掃用部材や、洗浄用部材、緩衝材、医療用部材等として用いられるセルロース系スポンジが知られている。このようなセルロース系スポンジは、親水基を有し、連続気泡型であることから吸水性に優れたものであるが、湿潤状態(ウェット状態)では、カビ等の菌が繁殖し易くなり、また、嵩張るという問題があった。
例えば、下記特許文献1には、飽和湿潤状態のセルロース系スポンジを乾燥し、プレスしたセルロース系スポンジの圧縮体が開示されている。
また、下記特許文献2には、加熱処理され、圧縮加工されたセルロース系スポンジ圧縮体の裏面に、撥水処理を施すか又は液不透過性フィルムを接合したペット動物用吸収シートが開示されている。
概要
コンパクト化をりながらも、保管や輸送の際における吸湿を抑制し得るセルロース系スポンジ圧縮体及びこれを用いた規制部材を提供する。吸水によって復元可能とされ、一方向に圧縮されたセルロース系スポンジ圧縮体1であって、圧縮方向両側に防水部17,18が設けられ、圧縮方向両側を含む外周表面11,13,15の少なくとも一部に吸水部16が設けられている。
目的
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであり、コンパクト化を図りながらも、保管や輸送の際における吸湿を抑制し得るセルロース系スポンジ圧縮体及びこれを用いた規制部材を提供する
効果
実績
- 技術文献被引用数
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- 0件
この技術が所属する分野
(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成
請求項1
吸水によって復元可能とされ、一方向に圧縮されたセルロース系スポンジ圧縮体であって、圧縮方向両側に防水部が設けられ、圧縮方向両側を含む外周表面の少なくとも一部に吸水部が設けられていることを特徴とするセルロース系スポンジ圧縮体。
請求項2
請求項1において、圧縮方向両側のうちの少なくとも一方側の前記防水部は、疎水性の材料から形成されていることを特徴とするセルロース系スポンジ圧縮体。
請求項3
請求項2において、前記疎水性の材料は、油であることを特徴とするセルロース系スポンジ圧縮体。
請求項4
請求項2において、前記疎水性の材料は、ワックスであることを特徴とするセルロース系スポンジ圧縮体。
請求項5
請求項1乃至4のいずれか1項において、圧縮方向両側のうちの少なくとも一方側の前記防水部は、所定量の水分に晒されることでスポンジ本体から分離する構成とされ、該分離された部分が前記吸水部を構成することを特徴とするセルロース系スポンジ圧縮体。
請求項6
請求項1乃至5のいずれか1項において、圧縮方向両側のうちの少なくとも一方側の前記防水部は、温水に晒されることでスポンジ本体から分離する構成とされ、該分離された部分が前記吸水部を構成することを特徴とするセルロース系スポンジ圧縮体。
請求項7
技術分野
0001
本発明は、セルロース系スポンジ圧縮体及びこれを用いた規制部材に関する。
背景技術
0002
従来より、清掃用部材や、洗浄用部材、緩衝材、医療用部材等として用いられるセルロース系スポンジが知られている。このようなセルロース系スポンジは、親水基を有し、連続気泡型であることから吸水性に優れたものであるが、湿潤状態(ウェット状態)では、カビ等の菌が繁殖し易くなり、また、嵩張るという問題があった。
例えば、下記特許文献1には、飽和湿潤状態のセルロース系スポンジを乾燥し、プレスしたセルロース系スポンジの圧縮体が開示されている。
また、下記特許文献2には、加熱処理され、圧縮加工されたセルロース系スポンジ圧縮体の裏面に、撥水処理を施すか又は液不透過性フィルムを接合したペット動物用吸収シートが開示されている。
先行技術
0003
特開平5−305967号公報
特開平2−190126号公報
発明が解決しようとする課題
0005
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであり、コンパクト化を図りながらも、保管や輸送の際における吸湿を抑制し得るセルロース系スポンジ圧縮体及びこれを用いた規制部材を提供することを目的としている。
課題を解決するための手段
0006
前記目的を達成するために、本発明に係るセルロース系スポンジ圧縮体は、吸水によって復元可能とされ、一方向に圧縮されたセルロース系スポンジ圧縮体であって、圧縮方向両側に防水部が設けられ、圧縮方向両側を含む外周表面の少なくとも一部に吸水部が設けられていることを特徴とする。
本発明によれば、コンパクト化を図りながらも、保管や輸送の際における吸湿を抑制することができる。つまり、吸水によって復元可能とされ、一方向に圧縮された構成としているので、コンパクト化を図ることができる。また、圧縮方向両側に防水部を設け、圧縮方向両側を含む外周表面の少なくとも一部に吸水部を設けた構成としているので、湿度が高い場合にも防水部によって吸湿を抑制することができる。これにより、保管や輸送の際等の意図しない状況で復元するようなことを抑制することができる。また、使用する際等、復元させる場合には、吸水部を介して吸水させることで、復元させることができる。
0007
本発明においては、圧縮方向両側のうちの少なくとも一方側の前記防水部を、疎水性の材料から形成されたものとしてもよい。
本発明によれば、例えば、親水性や水溶性のフィルム等によって防水部を構成したものと比べて、より効果的に吸湿を抑制することができる。
0008
本発明においては、前記疎水性の材料を、油としてもよい。
本発明によれば、液状の油を塗布等することで防水部を容易に形成することができる。
0009
本発明においては、前記疎水性の材料を、ワックスとしてもよい。
本発明によれば、ワックスは、常温で固体であるので、セルロース系スポンジ圧縮体の表面のみに防水部を形成したいような場合にも好適である。
0010
本発明においては、圧縮方向両側のうちの少なくとも一方側の前記防水部を、所定量の水分に晒されることでスポンジ本体から分離する構成とされ、該分離された部分が前記吸水部を構成するものとしてもよい。
本発明によれば、湿気等の少量の水分では防水部は分離することなく、吸湿を抑制することができる。一方、セルロース系スポンジ圧縮体を水没させたり、流水に晒したりすることで多量の水分に晒せば、防水部が分離し、当該分離された部分が吸水部となり、効果的な吸水がなされてスポンジ本体が復元する。これにより、水中に配されたり、湿潤状態で使用されたりする製品に好適に用いることができる。
0011
本発明においては、圧縮方向両側のうちの少なくとも一方側の前記防水部を、温水に晒されることでスポンジ本体から分離する構成とされ、該分離された部分が前記吸水部を構成するものとしてもよい。
本発明によれば、湿気や冷水では防水部は分離することなく、吸湿を抑制することができる。一方、セルロース系スポンジ圧縮体を温水に水没させたり、温流水に晒したりすれば、防水部が分離し、当該分離された部分が吸水部となり、効果的な吸水がなされてスポンジ本体が復元する。これにより、温水中に配されたり、温水中で使用されたりする製品に好適に用いることができる。
0012
本発明に係る規制部材は、内燃機関のシリンダブロックに設けられた冷却水流路に開口部から挿入されて配置され、本発明に係るセルロース系スポンジ圧縮体を用いた規制部材であって、前記セルロース系スポンジ圧縮体の圧縮方向一方側の防水部を構成し、前記冷却水流路に配置可能な形状に形成された基体を備えていることを特徴とする。
本発明によれば、当該規制部材を冷却水流路に配置することで、冷却水流路を流れる水流を規制することができる。また、防水部を構成する基体に設けられたスポンジ本体が圧縮状態とされているので、開口部を介して挿入する際に、冷却水流路の壁面等への干渉を抑制することができ、組付性を向上させることができる。また、吸水部を介して吸水してスポンジ本体が復元すれば、冷却水流路の規制手段として効果的に機能する。
発明の効果
0013
本発明に係るセルロース系スポンジ圧縮体及びこれを用いた規制部材は、上述のような構成としたことで、コンパクト化を図りながらも、保管や輸送の際における吸湿を抑制することができる。
図面の簡単な説明
0014
(a)、(b)は、本発明の一実施形態に係るセルロース系スポンジ圧縮体の一例を模式的に示す概略縦断面図、(c)、(d)は、本発明の他の実施形態に係るセルロース系スポンジ圧縮体の一例を模式的に示す概略縦断面図である。
(a)、(b)は、本発明の更に他の実施形態に係るセルロース系スポンジ圧縮体の一例を模式的に示す概略縦断面図、(c)、(d)は、本発明の更に他の実施形態に係るセルロース系スポンジ圧縮体の一例を模式的に示す概略縦断面図である。
(a)、(b)は、本発明の更に他の実施形態に係るセルロース系スポンジ圧縮体の一例を模式的に示す概略縦断面図、(c)、(d)は、本発明の更に他の実施形態に係るセルロース系スポンジ圧縮体の一例を模式的に示す概略縦断面図である。
(a)、(b)は、本発明の更に他の実施形態に係るセルロース系スポンジ圧縮体の一例を模式的に示す概略縦断面図、(c)、(d)は、本発明の更に他の実施形態に係るセルロース系スポンジ圧縮体の一例を模式的に示す概略縦断面図である。
本発明の一実施形態に係る規制部材の一例を模式的に示す概略平面図である。
図5におけるX−X線矢視に対応させた一部破断概略縦断面図である。
(a)、(b)は、図6に対応させた一部破断概略縦断面図である。
実施例
0015
以下に、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
なお、一部の図では、他図に付している詳細な符号の一部を省略している。
図1(a)、(b)は、第1実施形態に係るセルロース系スポンジ圧縮体(以下、スポンジ圧縮体と略す)の一例を模式的に示す図である。
0016
本実施形態に係るスポンジ圧縮体1は、図1(a)、(b)に示すように、吸水によって復元可能とされ、一方向に圧縮されている。また、スポンジ圧縮体1は、圧縮方向両側に防水部17,18を設け、圧縮方向両側を含む外周表面11,13,15の少なくとも一部に吸水部16を設けた構成とされている。また、スポンジ圧縮体1は、セルロース系スポンジ(連続気泡型の発泡体)からなるスポンジ本体10を備えている。
このスポンジ圧縮体1は、清掃用部材や、洗浄用部材、緩衝材、医療用部材等として用いられるものとしてもよく、その他、種々の用途に用いることができる。また、当該スポンジ圧縮体1の形状や大きさは、このような用途に応じて、適宜のものとしてもよく、また、後記する防水部17,18を用途に応じたものとしてもよい。
0017
スポンジ本体10は、一方向にプレス等によって圧縮し、乾燥して形成されたものとしてもよい。このように圧縮されたスポンジ本体10は、セルロース分子間が水素結合し、その圧縮状態が維持される一方、水に晒される等によって吸水すれば、水分子がセルロース分子間の水素結合を解離させ、圧縮状態から復元する特性を有している。
また、スポンジ本体10は、主成分の天然パルプ(セルロース)に、適宜の天然繊維などからなる補強繊維を組み合わせて形成されたものとしてもよく、このスポンジ本体10としては、公知のセルロース系スポンジを用いることができる。また、スポンジ本体10は、例えば、気泡の大きさが非常に小さい微粒品、気泡の大きさが小程度の小粒品、気泡の大きさが中程度の中粒品のいずれを用いてもよい。これらの気泡の大きさは、スポンジ本体10の作製過程で使用される結晶ぼう硝の粒度によって決定される。また、スポンジ本体10は、セルロースと補強繊維とからなるものに限られず、セルロース単独で構成されるものであってもよい。また、スポンジ本体10としては、セルロース自体からなるスポンジの他、セルロース誘導体、例えば、セルロースエーテル類や、セルロースエステル類等からなるスポンジ、あるいはこれらの混合物からなるスポンジのいずれかから選ばれるものであってもよい。
0018
このスポンジ本体10の圧縮状態における圧縮方向に沿う寸法(厚さ寸法)や同方向に直交する方向に沿う寸法は、当該スポンジ圧縮体1の用途等に応じて、適宜の寸法としてもよい。また、圧縮状態のスポンジ本体10は、用途等に応じて、適宜の形状とされたものでもよく、例えば、圧縮方向両側面11,13が概ね平坦状とされた板状やシート状とされたものでもよく、また、圧縮方向両側に凹凸等がある立体形状のものでもよい。また、圧縮状態のスポンジ本体10を圧縮方向(厚さ方向)に見た状態における形状も、用途等に応じて、適宜の形状とされたものでもよく、略方形状や略多角形状、略円形状とされたものでもよく、その他、種々の形状とされたものでもよい。
本実施形態では、このスポンジ本体10を、圧縮方向両側面のうち一方面としての第1面11及び他方面としての第2面13が互いに略平行状でかついずれも概ね平坦状とされた板状乃至はシート状とされたものとしている。また、スポンジ本体10を、周端面15がこれら第1面11及び第2面13に対して略直交状でかついずれも概ね平坦状とされたものとしている。
0019
また、スポンジ本体10は、圧縮状態の体積が非圧縮状態の体積の1%〜30%となるように圧縮されたものとしてもよく、好ましくは、2%〜15%となるように圧縮されたものとしてもよい。また、スポンジ本体10は、非圧縮状態における平均孔径が0.1mm〜3.5mmとされたものとしてもよく、好ましくは、0.5mm〜1.0mmとされたものとしてもよい。また、スポンジ本体10は、非圧縮状態かつ乾燥状態における見掛比重が0.02g/cc(2×10kg/m3)〜0.06g/cc(6×10kg/m3)とされたものとしてもよく、好ましくは、0.035g/cc(3.5×10kg/m3)〜0.045g/cc(4.5×10kg/m3)とされたものとしてもよい。
0020
このスポンジ本体10の圧縮方向両側の防水部17,18は、圧縮状態とされたスポンジ本体10の意図しない吸水による復元を抑制すべく設けられている。これら両側の防水部17,18は、スポンジ本体10の意図しない吸水による復元を抑制する観点からスポンジ本体10の外周表面11,13,15の大半に亘って設けるようにしてもよい。例えば、これら防水部17,18を、圧縮状態におけるスポンジ本体10の表面積(スポンジ本体10の外周表面11,13,15を平滑面として把握した場合の表面積)の50%超を占めるように設けてもよく、好ましくは、スポンジ本体10の表面積の70%超を占めるように設けてもよい。
本実施形態では、スポンジ本体10の第1面11の全面に亘って防水部17を設けている。また、スポンジ本体10の第2面13の全面に亘って防水部18を設けている。また、これら防水部17,18を、スポンジ本体10の第1面11及び第2面13のそれぞれに、層状(膜状)に設けた第1防水層17及び第2防水層18としている。
0021
また、本実施形態では、これら防水層17,18を、疎水性の材料から形成されたものとしている。
このような防水層17,18は、樹脂やゴム、金属等からなる不透水性のシート(フィルム)等を貼着して形成されたものや、液状の樹脂やゴム、金属、油、その他の疎水性乃至は撥水性材料等を塗布して形成されたものとしてもよい。液状の油とすれば、樹脂やゴム、金属と比べて、取り扱い易く、塗布等することで防水層17,18を容易に形成することができる。また、油としては、フッ素オイルやシリコーンオイルとしてもよい。また、防水層17,18は、液状の疎水性乃至は撥水性材料を、スプレー塗装や、ディッピング塗装、スクリーン印刷、ロールコート、刷毛塗り等によって塗布して形成されたものとしてもよい。
0022
圧縮方向両側を含む外周表面11,13,15の少なくとも一部に設けられた吸水部16は、圧縮状態とされたスポンジ本体10を復元させる際に、スポンジ本体10が吸水し得るように設けられている。
本実施形態では、スポンジ本体10の周端面15を、吸水部(周端面吸水部)16としている。また、周端面15の吸水部16には、防水層(防水部)17,18を設けずに、スポンジ本体10を露出させた構成としている。この周端面吸水部16は、スポンジ本体10の周端面15の全周に亘って設けるようにしてもよく、周端面15の一部のみを周端面吸水部16としてもよい。この場合は、周端面吸水部16以外の周端面15に、上記同様の防水部を設けた構成としてもよい。
0023
上記構成とされたスポンジ圧縮体1は、図1(a)に示すように、周端面吸水部16を介した吸水がない状態では、圧縮状態に維持される。一方、スポンジ圧縮体1は、図1(b)に示すように、周端面吸水部16を介した吸水がなされれば、復元する。図例では、当該スポンジ圧縮体1を、水または水溶液が溜められた槽内に浸漬させた例を示しているが、このような態様に限られず、例えば、周端面吸水部16に水または水溶液を掛ける等して接触させることで吸水させ、復元させる態様等としてもよい。
0024
本実施形態に係るスポンジ圧縮体1は、上述のような構成としたことで、コンパクト化を図りながらも、保管や輸送の際における吸湿を抑制することができる。
つまり、スポンジ圧縮体1は、吸水によって復元可能とされ、一方向に圧縮された構成とされている。従って、コンパクト化を図ることができる。また、圧縮方向両側に防水部(防水層)17,18を設け、圧縮方向両側を含む外周表面11,13,15の少なくとも一部に吸水部(周端面吸水部)16を設けた構成としている。従って、スポンジ圧縮体1の構成によれば、湿度が高い場合にも防水部17,18によって吸湿を抑制することができる。これにより、保管や輸送の際等の意図しない状況で復元するようなことを抑制することができる。また、スポンジ圧縮体1の構成によれば、吸湿を抑制することができるので、保管や輸送の際等におけるカビ等の発生を抑制することもできる。また、使用する際等、スポンジ圧縮体1を圧縮状態から復元させる場合には、吸水部16を介して吸水させることで、復元させることができる。
0025
また、本実施形態では、圧縮方向両側のうちの少なくとも一方側の防水部17,18を、疎水性の材料から形成している。従って、例えば、親水性や水溶性のフィルム等によって防水部を構成したものと比べて、より効果的に吸湿を抑制することができる。
また、本実施形態では、圧縮方向両側の防水部17,18を、疎水性の材料から形成している。従って、例えば、圧縮方向一方側の防水部を、親水性や水溶性のフィルム等とした場合と比べて、より効果的に吸湿を抑制することができる。
また、本実施形態では、スポンジ本体10の圧縮方向両面11,13の全面に亘って防水部17,18を設けた構成としている。従って、圧縮方向両面11,13の一部に防水部17,18を欠落させた吸水部を設けたものと比べて、より効果的に吸湿を抑制することができる。
0026
次に、本発明に係るスポンジ圧縮体の他の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図1(c)、(d)は、第2実施形態に係るスポンジ圧縮体の一例を模式的に示す図である。
なお、上記第1実施形態との相違点について主に説明し、同様の構成については、同一符号を付し、その説明を省略または簡略に説明する。
0027
本実施形態に係るスポンジ圧縮体1Aは、第1防水層17Aを、スポンジ本体10の第1面11の全面に亘って設けずに、第1面11の一部を吸水部(第1吸水部)12としている。つまり、第1面11の一部に第1防水層17Aを欠落させ、スポンジ本体10を露出させる第1吸水部12を設けた構成としている。この第1面11における第1吸水部12の占める割合は、スポンジ本体10の意図しない吸水による復元を抑制する観点から1/2未満としてもよく、好ましくは、1/4以下としてもよい。また、第1防水層17Aを第1面11の面域方向の一方向に分断するように、一本の帯状の第1吸水部12を第1面11の面域方向の一方向に直交する他方向の全体に亘って設けた態様としてもよい。また、例えば、複数本の第1吸水部12を第1面11に設けたり、格子状に第1吸水部12を第1面11に設けたりしてもよく、また、このような帯状の第1吸水部12に限られず、ドット状の第1吸水部12を点在(散在)させた構成としてもよい。第1面11の一部を第1吸水部12とする態様としては、その他、種々の変形が可能である。
0028
本実施形態に係るスポンジ圧縮体1Aにおいても、上記第1実施形態と概ね同様の効果を奏する。また、本実施形態では、第1面11の一部を吸水部(第1吸水部)12としているので、周端面吸水部16に加えて、第1吸水部12を介してスポンジ本体10の吸水がなされることから、復元が迅速になされる。なお、第1吸水部12及び周端面吸水部16の両方を設けた態様に代えて、第1吸水部12のみを設けた態様としてもよい。つまり、周端面15の全面に亘って上記同様な防水部を設けた態様としてもよい。また、これら第1吸水部12及び周端面吸水部16に代えて、または加えて、第2面13の一部を、第1面11と同様な吸水部としてもよい。
0029
次に、本発明に係るスポンジ圧縮体の更に他の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図2(a)、(b)は、第3実施形態に係るスポンジ圧縮体の一例を模式的に示す図である。
なお、上記各実施形態との相違点について主に説明し、同様の構成については、同一符号を付し、その説明を省略または簡略に説明する。
0030
本実施形態に係るスポンジ圧縮体1Bは、防水部19の構成が上記各実施形態とは主に異なる。
本実施形態では、防水部19を、所定量の水分に晒されることでスポンジ本体10から分離する構成とし、その分離された部分が吸水部12B,14Aとなる構成としている。このような構成とすれば、湿気等の少量の水分では防水部19が分離することなく、吸湿を抑制することができる。一方、スポンジ圧縮体1Bを、水没させたり、流水に晒したりすることで多量の水分に晒せば、防水部19が分離し、当該分離された部分が吸水部12B,14Aとなり、効果的な吸水がなされてスポンジ本体10が復元する。これにより、水中に配されたり、湿潤状態で使用されたりする製品に好適に用いることができる。また、防水部19がスポンジ本体10から分離する水分量としては、防水部19を構成する材料等に応じて、適宜の水分量とすればよく、少なくとも、スポンジ圧縮体1Bを、水または水溶液中に浸漬させれば、防水部19がスポンジ本体10から分離するものとしてもよい。
0031
また、本実施形態では、所定量の水分を、温水としている。つまり、防水部19を、温水に晒されることでスポンジ本体10から分離する構成としている。このような構成とすれば、湿気や冷水では防水部19が分離することなく、吸湿を抑制することができる。一方、スポンジ圧縮体1Bを、温水に水没させたり、温流水に晒したりすれば、防水部19が分離し、当該分離された部分が吸水部12B,14Aとなり、効果的な吸水がなされてスポンジ本体10が復元する。これにより、温水中に配されたり、温水中で使用されたりする製品に好適に用いることができる。
このような防水部19としては、常温では固体で、温水に晒すことで、融解してスポンジ本体10から分離して分散する疎水性の材料からなるものとしてもよく、または、温水に溶解してスポンジ本体10から分離する親水性(水溶性)の材料からなるものとしてもよい。また、温水の温度としては、50℃以上としてもよく、60℃以上としてもよい。
0032
また、このような分離する防水部(分離型防水部)19としては、上記各実施形態と同様、表層側に層状(膜状)に設けたものとしてもよいが、本実施形態では、スポンジ本体10に水分を含まない材料を染み込ませるように設けた構成としている。このようにスポンジ本体10に水分を含まない材料を染み込ませれば、そのスポンジ本体10の部分は吸湿し難くなり、防水部19として構成される。また、スポンジ本体10の一部に染み込ませてスポンジ本体10の一部を防水部19とし、残余の部位を、吸水部12A,14,16としている。
図例では、スポンジ本体10の周端面15側となる外周側部位には防水部19となる材料を染み込ませずに、スポンジ本体10の中央側部位に圧縮方向の全体に亘って防水部19となる材料を染み込ませ、この中央側部位を防水部19とした例を示している。つまり、第1面11及び第2面13の外周側部位並びに周端面15を、それぞれ吸水部12A,14,16(第1吸水部12A、第2吸水部14及び周端面吸水部16)としている。なお、図例では、中央側部位における一方に片寄った部位を防水部19とした例を示しているが、中央部位を防水部19としてもよく、また、第1面11の面域方向における複数箇所を防水部19とした態様等としてもよい。
0033
このような分離型の防水部19を構成する疎水性の材料のうち、常温の水に晒されることでスポンジ本体10から分離するものとしては、例えば、フッ素オイルやシリコーンオイルなどの油としてもよい。また、分離型の防水部19を構成する疎水性の材料のうち、温水に晒されることでスポンジ本体10から分離するものとしては、植物系や動物系、石油系のワックスや、合成ワックスなどのワックスとしてもよい。このような構成とすれば、ワックスは、常温で固体であるので、スポンジ圧縮体1Bの表面のみに防水部19を形成したいような場合にも好適である。また、このようなワックスとしては、例えば、パラフィン(パラフィンワックス)や、蜜蝋などを採用するようにしてもよい。
0034
また、このような分離型の防水部19を構成する親水性の材料のうち、常温の水に晒されることでスポンジ本体10から分離するものとしては、エチレングリコールやポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、水溶性ポリアミド、ポリアクリル酸、でんぷん(糊)、ゼラチンなどとしてもよい。
分離型の防水部19を構成する親水性の材料を、エチレングリコールとすれば、不凍液(LLC)の主成分であるため、溶出しても悪影響を与え難く、後記する実施形態のように、不凍液に浸漬して用いられるものとして好適なものとなる。また、分離型の防水部19を構成する親水性の材料を、ポリエチレングリコールとした場合も概ね同様、不凍液の主成分に近い化学構造であるため、溶出しても悪影響を与え難く、後記する実施形態のように、不凍液に浸漬して用いられるものとして好適なものとなる。また、分離型の防水部19を構成する親水性の材料を、ポリエチレングリコールとした場合には、常温で固体となるような分子量(重合度)が高いものとすれば、溶融させた状態でスポンジ本体10に染み込ませることで容易かつ効果的に防水部19を形成でき、また、固化するので、スポンジ圧縮体1B自体の取扱性を向上させることができる。また、分子量を高くするに従い、溶解性が低下するので、防水部19を設ける目的等に応じて、適宜の分子量のものを選択することもできる。
0035
また、このような分離型の防水部19を構成する親水性の材料のうち、温水に晒されることでスポンジ本体10から分離するものとしては、ポリビニルアルコールとしてもよい。このような構成とすれば、重合度及び鹸化度の両方または一方を調整することで、溶解性を調整することができる。
上記構成とされたスポンジ圧縮体1Bは、図2(a)に示すように、上記同様、吸水部12A,14,16を介した吸水がない状態では、圧縮状態に維持される。一方、スポンジ圧縮体1Bは、図2(b)に示すように、水(温水)または水溶液(加温された水溶液)が溜められた槽内に浸漬されれば、防水部19が融解や溶解、分散等してスポンジ本体10から分離し、その分離された部分が吸水部12B,14Aとなる。つまり、図例では、第1面11及び第2面13のそれぞれの中央側部位が第1吸水部12B及び第2吸水部14Aとなる。
0036
本実施形態に係るスポンジ圧縮体1Bにおいても、上記各実施形態と概ね同様の効果を奏する。
また、本実施形態では、防水部19がスポンジ本体10から分離すれば、スポンジ本体10の外周表面11,13,15が全面に亘って露出するので、復元がより迅速になされ、また、使用時には、スポンジ本体10のみとして用いられるものとして好適である。
0037
次に、本発明に係るスポンジ圧縮体の更に他の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図2(c)、(d)は、第4実施形態に係るスポンジ圧縮体の一例を模式的に示す図である。
なお、上記第3実施形態との相違点について主に説明し、同様の構成については、同一符号を付し、その説明を省略または簡略に説明する。
0038
本実施形態に係るスポンジ圧縮体1Cは、防水部19Aの構成が上記第3実施形態とは主に異なる。
本実施形態では、スポンジ本体10の中央側部位には防水部19Aとなる材料を染み込ませずに、周端面15側となる外周側部位に圧縮方向の全体に亘って防水部19Aとなる材料を染み込ませ、この外周側部位を防水部19Aとした例を示している。つまり、第1面11及び第2面13の中央側部位を、それぞれ第1吸水部12C及び第2吸水部14Bとしている。また、外周側部位の防水部19Aが分離すれば、その分離された部分が吸水部12D,14C,16Aとなる。つまり、図例では、第1面11及び第2面13のそれぞれの外周側部位が第1吸水部12D及び第2吸水部14Cとなり、周端面15が周端面吸水部16Aとなる。
このような構成とすれば、上記第3実施形態と比べて、外周側部位における吸湿を抑制することができ、保管や輸送の際等の意図しない状況で復元するようなことをより効果的に抑制することができる。
0039
なお、上記第3実施形態及び第4実施形態では、スポンジ本体10の一部に、所定量の水分または温水に晒されることでスポンジ本体10から分離する分離型の防水部19,19Aを設けた構成としているが、スポンジ本体10の全体に、所定量の水分または温水に晒されることでスポンジ本体10から分離する分離型の防水部19,19Aを設けた構成としてもよい。
また、スポンジ本体10の第1面11側及び第2面13側のうちの一方側のみに、所定量の水分または温水に晒されることでスポンジ本体10から分離する分離型の防水部19,19Aを設け、他方側には、上記第1実施形態において説明したような防水層を設けた構成としてもよい。
0040
次に、本発明に係るスポンジ圧縮体の更に他の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図3(a)、(b)は、第5実施形態に係るスポンジ圧縮体の一例を模式的に示す図である。
なお、上記第1実施形態との相違点について主に説明し、同様の構成については、同一符号を付し、その説明を省略または簡略に説明する。
0041
本実施形態に係るスポンジ圧縮体1Dは、スポンジ本体10の第1面11側及び第2面13側のうちの一方側の防水部18Aの構成が上記第1実施形態とは主に異なる。
本実施形態では、第2面13側の防水部18Aを、当該スポンジ圧縮体1Dのベースとなる基体18Aを構成するものとしている。このような基体18Aとしては、樹脂成型品や金属製からなるものとしてもよい。また、この基体18Aに、スポンジ本体10の第2面13を適宜の接着剤や、熱溶着等によって固定したものとしてもよい。または、基体18Aに、スポンジ本体10を支持する適宜のクリップ等の拘束部材等の支持部を設け、スポンジ本体10の第2面13を密着させたような構成としてもよい。この場合は、拘束部材の拘束を解いて使用されるものとしてもよい。基体18Aにスポンジ本体10を支持させる構造としては、別体の拘束部材によって拘束して支持する構造に限られず、基体18Aに一体的に設けられた拘束部によって拘束して支持する構造や、基体18Aにスポンジ本体10に設けられた貫通孔に挿通される支持突起を設けた構造、基体18Aにスポンジ本体10の端部が挿入されるスリット状の貫通孔を設けた構造等、その他、種々の構造の採用が可能である。
本実施形態に係るスポンジ圧縮体1Dにおいても、上記各実施形態と概ね同様の効果を奏する。
また、本実施形態では、スポンジ本体10の第1面11側及び第2面13側のうちの一方側の防水部を、当該スポンジ圧縮体1Dのベースとなる基体18Aを構成するものとしているので、この基体18Aを、当該スポンジ圧縮体1Dの種々の用途に応じた適宜の形状とすることができる。
0042
次に、本発明に係るスポンジ圧縮体の更に他の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図3(c)、(d)は、第6実施形態に係るスポンジ圧縮体の一例を模式的に示す図である。
なお、上記第5実施形態との相違点について主に説明し、同様の構成については、同一符号を付し、その説明を省略または簡略に説明する。
0043
本実施形態に係るスポンジ圧縮体1Eは、スポンジ本体10の第1面11側及び第2面13側のうちの一方側の防水部17Aの構成が上記第5実施形態とは主に異なる。
本実施形態では、上記第2実施形態と同様、第1防水層17Aを、スポンジ本体10の第1面11の全面に亘って設けずに、第1面11の一部を第1吸水部12としている。
本実施形態に係るスポンジ圧縮体1Eにおいても、上記各実施形態と概ね同様の効果を奏する。
0044
次に、本発明に係るスポンジ圧縮体の更に他の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図4(a)、(b)は、第7実施形態に係るスポンジ圧縮体の一例を模式的に示す図である。
なお、上記第5実施形態との相違点について主に説明し、同様の構成については、同一符号を付し、その説明を省略または簡略に説明する。
0045
本実施形態に係るスポンジ圧縮体1Fは、スポンジ本体10の第1面11側及び第2面13側のうちの一方側の防水部18Bの構成が上記第5実施形態とは主に異なる。
本実施形態では、当該スポンジ圧縮体1Fのベースとなる基体を構成する第2面13側の防水部18Bを、第2面13の全面に亘って設けずに、第2面13の一部を吸水部(第2吸水部)14Dとしている。つまり、第2面13に密着される基体18Bの一部を欠落させ、スポンジ本体10を露出させる第2吸水部14Dを設けた構成としている。例えば、基体18Bを第2面13の面域方向の一方向に分断するように、一本の帯状の第2吸水部14Dを第2面13の面域方向の一方向に直交する他方向の全体に亘って設けた態様としてもよい。また、このような態様に限られず、上記第2実施形態における第1吸水部12と同様、種々の変形が可能である。
本実施形態に係るスポンジ圧縮体1Fにおいては、上記第2実施形態と概ね同様、図4(b)に示すように、周端面吸水部16及び第2吸水部14Dを介した吸水によってスポンジ本体10の復元がなされる。
また、本実施形態に係るスポンジ圧縮体1Fにおいても、上記各実施形態と概ね同様の効果を奏する。
0046
次に、本発明に係るスポンジ圧縮体の更に他の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図4(c)、(d)は、第8実施形態に係るスポンジ圧縮体の一例を模式的に示す図である。
なお、上記第7実施形態との相違点について主に説明し、同様の構成については、同一符号を付し、その説明を省略または簡略に説明する。
0047
本実施形態に係るスポンジ圧縮体1Gは、防水部を構成する基体18Cの構成が上記第7実施形態とは主に異なる。
本実施形態では、当該スポンジ圧縮体1Gの基体18Cに、圧縮状態とされたスポンジ本体10を受け入れる凹所18Caを設けた構成としている。この基体18Cの凹所18Caは、スポンジ本体10の圧縮方向と同方向に開口するように設けられている。また、本実施形態では、この凹所18Caを、基体18Cが周端面15の防水部を構成するように基体18Cに設けた構成としている。つまり、凹所18Caの内周壁面に、スポンジ本体10の周端面15を当接させた構成としている。また、図例では、圧縮状態のスポンジ本体10の第1面11側の第1防水層17の表面と基体18Cの凹所18Caが設けられていない部位の表面とを略同一平面状とした例を示している。なお、このような態様に代えて、スポンジ本体10の周端面15の圧縮方向の一部が露出するように凹所18Caを設けた態様としてもよい。また、基体18Cの形状は、特に限定されず、例えば、平板状でもよいし、湾曲板状でもよい。
0048
本実施形態に係るスポンジ圧縮体1Gにおいては、図4(d)に示すように、第2吸水部14Dを介した吸水によってスポンジ本体10の復元が徐々になされ、スポンジ本体10の周端面15が凹所18Caから露出すれば、その露出した部分が周端面吸水部16Bとなり、スポンジ本体10の復元がなされる。
また、本実施形態に係るスポンジ圧縮体1Gにおいても、上記各実施形態と概ね同様の効果を奏する。また、本実施形態では、圧縮状態のスポンジ本体10の周端面15にも防水部となる基体18Cを設けた構成としているので、吸湿をより効果的に抑制することができる。
0049
次に、本発明に係るスポンジ圧縮体の更に他の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図5〜図7は、第9実施形態に係るスポンジ圧縮体の一例を模式的に示す図である。
なお、上記各実施形態との相違点について主に説明し、同様の構成については、同一符号を付し、その説明を省略または簡略に説明する。
0050
本実施形態に係るスポンジ圧縮体1Hは、図5及び図6に示すように、内燃機関のシリンダブロック2に設けられた冷却水流路(ウォータジャケット)4に開口部から挿入されて配置される規制部材としてのスペーサ1Hを構成する。つまり、本実施形態では、スポンジ圧縮体1Hを、ウォータジャケットスペーサを構成するものとしている。また、スペーサ1Hを、その圧縮方向一方側の防水部を構成し、冷却水流路4に配置可能な形状に形成された基体としてのスペーサ本体18Dを備えた構成としている。
シリンダブロック2には、往復動されるピストン9を受け入れるシリンダボア3が設けられている。図例では、シリンダブロック2を、3気筒の自動車用エンジン(内燃機関)を構成するものとし、このシリンダブロック2に、3個のシリンダボア3,3,3を互いに隣接させて直列状に設けた例を示している。なお、本実施形態に係るスペーサ1Hが適用される内燃機関としては、その他の気筒数のものでもよく、また、種々の内燃機関に適用可能である。
0051
このシリンダブロック2には、シリンダヘッド7がボルト等によって組み付けられる。
シリンダボア3,3,3の周囲には、オープンデッキタイプの冷却水流路4が一連に形成されている。シリンダブロック2には、この冷却水流路4に通じる冷却水(不凍液も含む)導入口5と冷却水排出口6とが設けられている。冷却水排出口6は、不図示のラジエータに配管接続され、ラジエータのアウトレット側は、ウォータポンプ(不図示)を介して冷却水導入口5に配管接続される。これによって、冷却水流路4とラジエータとの間で冷却水が循環するように構成される。なお、シリンダヘッド7にもシリンダブロック2の冷却水流路4に連通するように冷却水流路(ウォータジャケット)を設けた構成としてもよい。この場合は、シリンダブロック2に冷却水排出口6を設けた態様に代えて、シリンダヘッド7に冷却水排出口を設け、これにラジエータに通じる配管を接続した構成としてもよい。
冷却水流路4における隣接するシリンダボア3,3間の部分には、互いに接近して対をなすくびれ部4a,4aが形成されている。くびれ部4a,4aの溝幅は、冷却水流路4の他の円弧部4bの溝幅よりも大とされている。また、冷却水流路4の溝側壁面は、シリンダボア3側の内壁面4cとシリンダボア3とは反対側の内壁面4dとの両壁面4c,4dによって構成されている。
0052
規制部材としてのスペーサ1Hは、冷却水流路4内に、その開口部から挿入されて配置可能な筒状の形状とされたスペーサ本体18Dと、このスペーサ本体18Dに支持された規制手段を構成するスポンジ本体10と、を備えている。スポンジ本体10の第1面11側には、上記第1実施形態と同様の第1防水層17が設けられている。つまり、本実施形態では、スポンジ本体10の第2面13側の防水部を、スペーサ本体18Dとしている。このスポンジ本体10の第1面11側の第1防水層17は、スポンジ本体10を保護する保護層としても機能するようなものとしてもよい。
スペーサ本体18Dは、剛性を有し、例えば、硬質合成樹脂の成型体からなるものとしてもよい。このスペーサ本体18Dは、厚さ方向を冷却水流路4の溝幅に沿わせて配置される薄板状とされ、冷却水流路4の形状に対応させて円弧部及びくびれ部を有している。
本実施形態では、このスペーサ本体18Dの内面(シリンダボア3側の面)側の複数箇所にスポンジ本体10を設けた構成としている。図例では、冷却水流路4の円弧部4bに相当する部位にスポンジ本体10を湾曲状に設けた例を示している。また、各シリンダボア3,3,3周囲の円弧部4bに相当する部位に対状にスポンジ本体10を設けた例を示している。なお、スポンジ本体10を設ける箇所としては、このような箇所に限られず、例えば、くびれ部4aに相当する部位に設けたりしてもよく、その他、種々の変形が可能である。
0053
スポンジ本体10は、圧縮方向となる厚さ方向を冷却水流路4の溝幅に沿わせて配置される構成とされ、第2面13をスペーサ本体18Dの内面に密着させてスペーサ本体18Dに支持されている。
このスポンジ本体10は、図7(a)に示すように、圧縮状態では、第1面11側の第1防水層17が冷却水流路4のシリンダボア3側の内壁面4cに非接触状態で冷却水流路4内に配置される。このように接触しないように、スポンジ本体10の圧縮状態における厚さにスペーサ本体18Dの厚さを加えた総厚さを、冷却水流路4の溝幅よりも小としてもよい。
一方、スポンジ本体10は、図7(b)に示すように、冷却水流路4内に配置されて復元すれば、つまり、冷却水導入口5から冷却水流路4に冷却水が導入されて冷却水に晒されて水分子がセルロース分子間の水素結合を解離して圧縮状態から復元すれば、第1面11側の第1防水層17が冷却水流路4のシリンダボア3側の内壁面4cに当接する構成とされている。なお、図6では、圧縮状態のスポンジ本体10を二点鎖線にて示している。
0054
また、図6では、スペーサ1Hがシリンダブロック2の冷却水流路4内に配置され、シリンダブロック2の上面にシリンダヘッド7が一体に締結され、シリンダブロック2の下面にオイルパン8が一体に締結された状態を示している。また、図6では、シリンダボア3にピストン9が組み込まれた状態を示している。
シリンダヘッド7は、シリンダヘッドガスケット7aを介して冷却水流路4の開口部が閉塞されるようにシリンダブロック2に一体に締結される。この締結状態では、シリンダボア3の上側開口部上に燃焼室7bが位置付けられる。シリンダボア3内には、複数(図例では3個)のピストンリング9a,9b,9cを有するピストン9が、シリンダボア3を構成する壁(シリンダボア壁)の内面を摺接してその軸方向に沿って往復動可能に設けられる。このピストン9の往復動は、コンロッド9d及びクランクピン9eを介してクランクシャフト9fの軸回転運動(一点鎖線)に変換される。図6では、ピストン9が上死点にある状態を示している。また、スポンジ本体10は、スペーサ1Hが冷却水流路4内に配置された状態で、スペーサ本体18Dのシリンダボア3側であって、ピストン9が上死点にあるときに最も燃焼室7bに近いピストンリング9aの位置よりも冷却水流路4の深さ方向に沿う方向でクランクシャフト9f側に位置するように設けられている。言い換えれば、スポンジ本体10は、スペーサ本体18Dに対して、冷却水流路4の深さ方向における底部側寄りに位置するように設けられている。なお、スポンジ本体10のスペーサ本体18Dに対する相対位置は、特に限定されず、例えば、スポンジ本体10を、スペーサ本体18Dに対して燃焼室7b側、言い換えれば、冷却水流路4の深さ方向において、底部とは離間する側に設けてもよい。
0055
前記のように構成されるエンジン(内燃機関)が作動すると、燃焼室7bによる熱によってシリンダボア壁が加熱される。シリンダボア壁の温度が高くなり過ぎると、ピストンリング9a,9b,9cに付着するオイルの粘性が下がり、これによってオイルが流出して、ピストン9のシリンダボア3内での前記往復摺接運動が円滑になされ難くなる傾向がある。然るに、冷却水流路4内には、冷却水が流通しているから、シリンダボア壁の過熱が抑制され、オイルの流出が抑えられてピストン9の円滑な往復動が維持される。また、冷却水流路4内には、規制手段となるスポンジ本体10を備えたスペーサ1Hが配置されているから、冷却水流路4内を流通する冷却水の流れ(流量、流速等)を堰き止めるよう規制し、シリンダボア壁の温度が適正にコントロールされる。特に、スポンジ本体10は、スペーサ本体18Dに対して前記のような位置関係となるように設けられているから、燃焼室7bに近い側では、冷却水の流量が大となり、燃焼室7bに近い側のシリンダボア壁の過熱が効果的に抑制される。また、スポンジ本体10の存在により、冷却水流路4内での冷却水の流通が規制され、オイルパン8側のシリンダボア壁の過冷却も抑制される。即ち、シリンダボア壁において高温になり易い側の冷却性を上げる一方、シリンダボア壁において高温になり難い側の冷却性を下げることができ、シリンダボア壁を適正に冷却することができる。
0056
本実施形態に係るスポンジ圧縮体を構成する規制部材としてのスペーサ1Hにおいても、上記各実施形態と概ね同様の効果を奏する。また、本実施形態では、上述のように、当該スペーサ1Hを冷却水流路4に配置することで、冷却水流路4を流れる水流を規制することができる。また、防水部を構成する基体としてのスペーサ本体18Dに設けられたスポンジ本体10が圧縮状態とされているので、開口部を介して挿入する際に、冷却水流路4の壁面等への干渉を抑制することができ、組付性を向上させることができる。また、上記同様、保管や輸送の際等の意図しない状況でスポンジ本体10が復元するようなことを抑制することができるので、意図しない復元によって組付性が阻害されるようなことを抑制することができる。また、吸水部16を介して吸水してスポンジ本体10が復元すれば、冷却水流路4の規制手段として効果的に機能する。
0057
なお、本実施形態では、スポンジ本体10の第1面11側に、上記第1実施形態と同様の第1防水層17を設けた例を示しているが、例えば、スペーサ本体18Dに、スポンジ本体10の第1面11側を覆うように配されて第1面11側の防水部を構成し、スポンジ本体10の復元を許容する弾性変形可能なゴム等からなる覆い支持部を固定的に設けた構成としてもよい。
また、本実施形態では、スペーサ本体18Dの内面側にスポンジ本体10を設けた例を示しているが、スペーサ本体18Dの外面(シリンダボア3とは反対側の面)側にスポンジ本体10を設けた構成としてもよい。
また、本実施形態では、冷却水流路4の形状に応じた筒状の単一のスペーサ本体18Dを有したスペーサ1Hを例示しているが、筒状のスペーサ本体18Dを備えたものに限られず、冷却水流路4の適所に部分的に配される形状のスペーサ本体18Dを備えたものとしてもよい。
0058
また、上記各実施形態に係るスポンジ圧縮体1,1A〜1G及びスポンジ圧縮体としてのスペーサ1Hにおける互いに異なる構成を、適宜、組み替えたり、組み合わせたりして適用するようにしてもよい。例えば、上記第9実施形態に係るスペーサ1Hにおいて、第1吸水部12が形成されるようにスポンジ本体10の第1面11側に第1防水層17Aを設けたり、スポンジ本体10の第2面13側に第2吸水部14Dが形成されるようにスペーサ本体18Dに欠落部を設けたりした構成としてもよい。また、スポンジ本体10の第1面11側に層状の防水部17,17Aを設けた態様に代えて、上記第3実施形態及び第4実施形態において説明したような分離型の防水部19,19Aを設けた態様としてもよい。上記各実施形態に係るスポンジ圧縮体1,1A〜1G及びスポンジ圧縮体としてのスペーサ1Hは、その他、種々の組み替えや組み合わせ、変形が可能である。
0059
1,1A〜1Gスポンジ圧縮体(セルロース系スポンジ圧縮体)
1Hスペーサ(規制部材、セルロース系スポンジ圧縮体)
2シリンダブロック
4冷却水流路
10 スポンジ本体
11 第1面(外周表面)
12,12A〜12D 第1吸水部
13 第2面(外周表面)
14,14A〜14D 第2吸水部
15周端面(外周表面)
16,16A,16B 周端面吸水部
17,17A 第1防水層(防水部)
18 第2防水層(防水部)
18A〜18C基体(防水部)
18D スペーサ本体(基体、防水部)
19,19A 防水部