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技術 細胞判定方法、細胞判定装置及び細胞判定プログラム

出願人 浜松ホトニクス株式会社
発明者 深見正山田秀直
出願日 2015年9月16日 (4年6ヶ月経過) 出願番号 2015-183067
公開日 2017年3月23日 (2年11ヶ月経過) 公開番号 2017-055699
状態 特許登録済
技術分野 光学的手段による材料の調査、分析 酵素、微生物を含む測定、試験 微生物・酵素関連装置 顕微鏡、コンデンサー
主要キーワード プラスチックボ 開口スリット 経時観察 反射顕微鏡 上向き面 機能的構成要素 染色糸 合成レンズ
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (12)

課題

細胞内のグリコーゲン含有量に基づいて、非侵襲で、かつ簡便に細胞種を判定することのできる細胞判定方法を提供すること。

解決手段

細胞内のグリコーゲンの含有量に基づいて細胞種を判定する細胞判定方法であって、細胞の光路長を測定し、光路長データを取得する取得ステップと、得られた光路長データから、細胞の光路長と相関する光路長指標を算出する算出ステップと、算出された光路長指標を閾値と比較する比較ステップと、比較した結果に基づき、細胞が細胞内のグリコーゲン含有量の多い細胞種である、又は細胞内のグリコーゲン含有量の少ない細胞種である、と判定する判定ステップと、を備える、細胞判定方法。

概要

背景

ヒト由来胚性幹細胞ES細胞)及び人工多能性幹細胞iPS細胞)等の幹細胞は、多種類の細胞分化する能力多能性)を有しており、創薬分野、医療分野への応用が期待されている。幹細胞から目的の細胞に分化誘導を行う際の分化効率は、出発材料である幹細胞の状態に大きく依存する。つまり幹細胞が多能性を維持し、未分化な状態を保持していないと、分化誘導の効率が低下する。そのためこれらの幹細胞を産業応用するためには、幹細胞の品質を管理することが極めて重要であり、幹細胞をモニタリングし、状態を非侵襲で判定する必要がある。

ES細胞は、未分化状態では嫌気的解糖系を使ってアデノシン三リン酸ATP)を産生することが知られている。また、分化するとクエン酸回路TCA回路)を使った酸化的リン酸化によるATP供給が主になる(非特許文献1)。ES細胞は、分化した細胞に比べてグルコース要求性が高く、細胞質グリコーゲンを含んでいることが知られている(非特許文献2)。

グリコーゲンの検出方法として、古典的な組織化学染色(PAS染色:Periodic acid Schiff stain)が知られている(例えば、非特許文献2)。また、非特許文献3では、ラマン分光イメージングによりES細胞の細胞質中のグリコーゲンを定量したことが報告されている。

概要

細胞内のグリコーゲンの含有量に基づいて、非侵襲で、かつ簡便に細胞種を判定することのできる細胞判定方法を提供すること。細胞内のグリコーゲンの含有量に基づいて細胞種を判定する細胞判定方法であって、細胞の光路長を測定し、光路長データを取得する取得ステップと、得られた光路長データから、細胞の光路長と相関する光路長指標を算出する算出ステップと、算出された光路長指標を閾値と比較する比較ステップと、比較した結果に基づき、細胞が細胞内のグリコーゲン含有量の多い細胞種である、又は細胞内のグリコーゲン含有量の少ない細胞種である、と判定する判定ステップと、を備える、細胞判定方法。

目的

本発明は、これらの問題点に鑑みてなされたものであり、細胞内のグリコーゲンの含有量に基づいて、非侵襲で、かつ簡便に細胞種を判定することのできる細胞判定方法、細胞判定装置及び細胞判定プログラムを提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
0件

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請求項1

細胞内のグリコーゲン含有量に基づいて細胞種を判定する細胞判定方法であって、細胞の光路長を測定し、光路長データを取得する取得ステップと、得られた光路長データから、細胞の光路長と相関する光路長指標を算出する算出ステップと、算出された光路長指標を閾値と比較する比較ステップと、比較した結果に基づき、細胞が細胞内のグリコーゲン含有量の多い細胞種である、又は細胞内のグリコーゲン含有量の少ない細胞種である、と判定する判定ステップと、を備える、細胞判定方法。

請求項2

前記取得ステップは、細胞の定量位相顕微鏡像から光路長を測定し、光路長データを取得するステップである、請求項1に記載の細胞判定方法。

請求項3

細胞の干渉反射顕微鏡像を撮像し、当該干渉反射顕微鏡像からコロニー面積を測定する測定ステップを更に備え、前記算出ステップでは、コロニーに含まれる細胞の光路長データの合計値を当該コロニーの面積で除した値を光路長指標として算出する、請求項1又は2に記載の細胞判定方法。

請求項4

前記細胞内のグリコーゲン含有量の多い細胞種が、多能性幹細胞であり、前記細胞内のグリコーゲン含有量の少ない細胞種が、分化した多能性幹細胞であり、培養された多能性幹細胞の細胞集団から未分化の多能性幹細胞を判別する、又は分化した多能性幹細胞を判別するために用いられる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の細胞判定方法。

請求項5

前記多能性幹細胞が、人工多能性幹細胞である、請求項4に記載の細胞判定方法。

請求項6

細胞の光路長データを取得する取得手段と、取得した光路長データから、細胞の光路長と相関する光路長指標を算出する算出手段と、算出した光路長指標を閾値と比較する比較手段と、比較した結果に基づき、細胞が細胞内のグリコーゲン含有量の多い細胞種である、又は細胞内のグリコーゲン含有量の少ない細胞種である、と判定する判定手段と、を備える、細胞判定装置

請求項7

細胞の干渉反射顕微鏡像又はこれを二値化したデータを取得する第2の取得手段を更に備える、請求項6に記載の細胞判定装置。

請求項8

コンピュータを、細胞の光路長データを取得する取得手段、取得した光路長データから、細胞の光路長と相関する光路長指標を算出する算出手段、算出した光路長指標を閾値と比較する比較手段、比較した結果に基づき、細胞が細胞内のグリコーゲン含有量の多い細胞種である、又は細胞内のグリコーゲン含有量の少ない細胞種である、と判定する判定手段、として機能させるための細胞判定プログラム

請求項9

前記コンピュータを、細胞の干渉反射顕微鏡像又はこれを二値化したデータを取得する第2の取得手段として更に機能させることを含む、請求項8に記載の細胞判定プログラム。

請求項10

請求項8又は9に記載の細胞判定プログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体

技術分野

0001

本発明は、細胞判定方法、細胞判定装置及び細胞判定プログラムに関する。

背景技術

0002

ヒト由来胚性幹細胞ES細胞)及び人工多能性幹細胞iPS細胞)等の幹細胞は、多種類の細胞に分化する能力多能性)を有しており、創薬分野、医療分野への応用が期待されている。幹細胞から目的の細胞に分化誘導を行う際の分化効率は、出発材料である幹細胞の状態に大きく依存する。つまり幹細胞が多能性を維持し、未分化な状態を保持していないと、分化誘導の効率が低下する。そのためこれらの幹細胞を産業応用するためには、幹細胞の品質を管理することが極めて重要であり、幹細胞をモニタリングし、状態を非侵襲で判定する必要がある。

0003

ES細胞は、未分化状態では嫌気的解糖系を使ってアデノシン三リン酸ATP)を産生することが知られている。また、分化するとクエン酸回路TCA回路)を使った酸化的リン酸化によるATP供給が主になる(非特許文献1)。ES細胞は、分化した細胞に比べてグルコース要求性が高く、細胞質グリコーゲンを含んでいることが知られている(非特許文献2)。

0004

グリコーゲンの検出方法として、古典的な組織化学染色(PAS染色:Periodic acid Schiff stain)が知られている(例えば、非特許文献2)。また、非特許文献3では、ラマン分光イメージングによりES細胞の細胞質中のグリコーゲンを定量したことが報告されている。

先行技術

0005

Cell Stem Cell,2013年,12巻,pp.127−137.
J.Anat.,2004年,205巻,pp.247−255.
Anal.Chem.,2011年,83巻,pp.6254−6258.

発明が解決しようとする課題

0006

PAS染色法は、細胞の染色が必要となるため、非侵襲での観察はできない。非特許文献3に記載されたラマン分光イメージングでは、細胞を染色することなく観察が可能である。しかしながら、ラマン散乱光の光強度が極めて弱いため、観察に必要な照明光強度も強く、細胞に損傷を与えるおそれがある。また、ラマン分光イメージングでは、培地中の様々な成分に由来するラマン散乱光から細胞に特異的なラマン散乱光を分光するのは難しく、培地中の細胞をそのまま観察することはできない。

0007

本発明は、これらの問題点に鑑みてなされたものであり、細胞内のグリコーゲンの含有量に基づいて、非侵襲で、かつ簡便に細胞種を判定することのできる細胞判定方法、細胞判定装置及び細胞判定プログラムを提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0008

本発明は、細胞内のグリコーゲンの含有量に基づいて細胞種を判定する細胞判定方法であって、細胞の光路長を測定し、光路長データを取得する取得ステップと、得られた光路長データから、細胞の光路長と相関する光路長指標を算出する算出ステップと、算出された光路長指標を閾値と比較する比較ステップと、比較した結果に基づき、細胞が細胞内のグリコーゲン含有量の多い細胞種である、又は細胞内のグリコーゲン含有量の少ない細胞種である、と判定する判定ステップと、を備える、細胞判定方法を提供する。

0009

本発明の細胞判定方法は、細胞内のグリコーゲン含有量が多いほど光路長が長くなるという関係を見出したことに基づいている。ここで、「光路長」は、「位相差」又は「光学厚さ」と同じ意味である。

0010

本発明の細胞判定方法によれば、細胞内のグリコーゲンの含有量に基づいて、非侵襲で、かつ簡便に細胞種を判定することができる。また、光路長を指標としているため、培地中の細胞をそのまま判定することもできる。

0011

上記取得ステップは、細胞の定量位相顕微鏡像から光路長を測定し、光路長データを取得するステップであってもよい。

0012

本発明の細胞判定方法は、細胞の干渉反射顕微鏡像を撮像し、当該干渉反射顕微鏡像からコロニー面積を測定する測定ステップを更に備え、上記算出ステップでは、コロニーに含まれる細胞の光路長データの合計値を当該コロニーの面積で除した値を光路長指標として算出するものであってもよい。これにより、より簡便にコロニー単位で細胞を判定することができる。

0013

上記細胞判定方法は、上記細胞内のグリコーゲン含有量の多い細胞種が、多能性幹細胞であり、上記細胞内のグリコーゲン含有量の少ない細胞種が、分化した多能性幹細胞であり、培養された多能性幹細胞の細胞集団から未分化の多能性幹細胞を判別する、又は分化した多能性幹細胞を判別するために用いられるものであってもよい。

0014

未分化の多能性幹細胞は、細胞内にグリコーゲンを蓄積することが分かっている。一方、多能性幹細胞が分化するに従い、細胞内のグリコーゲン含有量は減少する。したがって、本発明の細胞判定方法は、例えば、多能性幹細胞の継代培養において、培養された多能性幹細胞の細胞集団から未分化の多能性幹細胞を判別する、又は分化した多能性幹細胞を判別するために用いることができる。

0015

本発明者らは、未分化の人工多能性幹細胞(iPS細胞)は細胞内にグリコーゲンを蓄積する一方、分化したiPS細胞はそのような蓄積がないことを見出した。したがって、本発明の細胞判定方法により未分化のiPS細胞と、分化したiPS細胞を判定することができる。

0016

したがって、上記多能性幹細胞は、人工多能性幹細胞であってもよい。

0017

また、本発明は、細胞の光路長データを取得する取得手段と、取得した光路長データから、細胞の光路長と相関する光路長指標を算出する算出手段と、算出した光路長指標を閾値と比較する比較手段と、比較した結果に基づき、細胞が細胞内のグリコーゲン含有量の多い細胞種である、又は細胞内のグリコーゲン含有量の少ない細胞種である、と判定する判定手段と、を備える、細胞判定装置を提供する。当該細胞判定装置は、細胞の干渉反射顕微鏡像又はこれを二値化したデータを取得する第2の取得手段を更に備えるものであってもよい。第2の取得手段を更に備えることにより、コロニー単位での判定をより簡便に行うことができる。

0018

さらに、本発明は、コンピュータを、細胞の光路長データを取得する取得手段、取得した光路長データから、細胞の光路長と相関する光路長指標を算出する算出手段、算出した光路長指標を閾値と比較する比較手段、比較した結果に基づき、細胞が細胞内のグリコーゲン含有量の多い細胞種である、又は細胞内のグリコーゲン含有量の少ない細胞種である、と判定する判定手段、として機能させるための細胞判定プログラムを提供する。当該細胞判定プログラムは、コンピュータを、細胞の干渉反射顕微鏡像又はこれを二値化したデータを取得する第2の取得手段として更に機能させることを含むものであってもよい。

0019

上記細胞判定プログラムは、当該細胞判定プログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体として提供されてもよい。

発明の効果

0020

本発明によれば、細胞内のグリコーゲンの含有量に基づいて、非侵襲で、かつ簡便に細胞種を判定することができる。

図面の簡単な説明

0021

(A)iPS細胞が細胞分裂する様子を定量位相顕微鏡で経時観察した結果を示す写真である。(B)(A)中、輝度の高い領域(高光路長領域)を強調表示した図である。
(A)iPS細胞のコロニーをPAS染色した結果を示す写真である。(B)iPS細胞のコロニーを定量位相顕微鏡で観察した結果を示す写真である。
(A)iPS細胞のコロニーをPAS染色した結果を示す写真である。(B)(A)と同様のコロニーをアルカリフォスファターゼ染色(AP染色)した結果を示す写真である。
一実施形態に係るサイトメーターの構成図である。
一実施形態に係る細胞判定装置のハードウェア的構成を示す概要図である。
一実施形態に係る細胞判定装置の機能的構成を示す概要図である。
一実施形態に係る細胞判定方法のフローチャートである。
iPS細胞の継代培養において、分化が進んだ細胞と未分化のiPS細胞を判定した例を示す写真である。(A)コロニーの定量位相顕微鏡像である。(B)抗Nanog抗体で蛍光染色したコロニーの蛍光顕微鏡像である。
(A)図8に示す各コロニーの面積を示すグラフである。(B)図8に示す各コロニーの単位面積あたりの光路長(コロニーの平均光学厚さ)を示すグラフである。
未分化のiPS細胞と分化誘導したiPS細胞の光路長を示すグラフである。
iPS細胞由来の肝臓細胞(分化初期)と成熟した肝臓細胞の光路長を示すグラフである。

0022

以下、場合により図面を参照しつつ、本発明の好適な実施形態について詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。なお、図面中、同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は適宜省略する。

0023

本発明は、定量位相顕微鏡により観察した細胞の光路長(輝度)と細胞内のグリコーゲンの含有量との間に相関関係があるとの新規な知見を得たことに基づいている。まず、この新規な知見について説明する。

0024

図1(A)は、iPS細胞が細胞分裂する様子を定量位相顕微鏡で経時観察した結果を示す写真である。写真は20分毎に撮影した。図1(B)は、図1(A)の写真中、輝度の高い領域(高光路長領域)を強調表示したものである。図1に示すとおり、細胞分裂に伴い核小体消失して(00:20)、細胞質に存在する高光路長領域が凝集し(00:40)、二つにちぎれて(04:00)、二つの細胞に分配されている(05:00)。本発明者らの観察によると、この高光路長領域は細胞分裂時にかならず出現する。細胞分裂中の染色糸に注目すると染色糸に随伴するように1〜2個の高光路長領域が小胞体様の構造として細胞内に出現する。

0025

図2(A)は、iPS細胞のコロニーをPAS染色した結果を示す写真である。図2(B)は、iPS細胞のコロニーを定量位相顕微鏡で観察した結果を示す写真である。図2(A)及び(B)では、分裂期の細胞を丸で囲んでいる。図2(A)及び図2(B)に示すように、上述の高光路長領域と同様の位置が、PAS染色で染色される。また、高光路長領域は、アミラーゼ処理によって消失することから(図示せず)、高光路長領域にはグリコーゲンが蓄積していることが推定される。

0026

図3(A)は、iPS細胞のコロニーをPAS染色した結果を示す写真である。図3(B)は、図3(A)と同様のコロニーをアルカリフォスファターゼ染色(AP染色)した結果を示す写真である。AP染色では、未分化のiPS細胞が染色される。図3(A)及び(B)から、AP染色されない分化した細胞(中央部)は、同様にPAS染色で染色されず、AP染色される未分化のiPS細胞は、PAS染色で染色される。

0027

以上の結果より、グリコーゲンの含有量が多い細胞は、少ない細胞よりも光路長が長くなる(定量位相顕微鏡像において輝度が高くなる)ことが分かる。

0028

本発明者は、上述の新規な知見に関して、以下のように推察している。すなわち、定量位相顕微鏡で観察している光路長(輝度)は、「細胞の実厚さ」に「細胞−培地間の屈折率差」を乗じたものである。細胞の実厚さ、及び培地と細胞の屈折率は大きく異ならないと考えられるため、わずかな屈折率差が生じた場合に大きな光路長の変化として観察されると考えられる。グリコーゲンの屈折率は1.69と一般的な生体高分子の屈折率(1〜1.5)よりも高いことから、その蓄積量(含有量)が多いと光路長の長さ(輝度の高さ)に大きな変化が観察されると考えられる。

0029

〔細胞判定方法〕
本発明の細胞判定方法は、細胞内のグリコーゲンの含有量に基づいて細胞種を判定するものである。

0030

判定対象となる細胞種)
本実施形態の細胞判定方法は、グリコーゲン含有量に基づく判定を行うものであるため、グリコーゲン含有量の多い細胞種とグリコーゲン含有量の少ない細胞種とが混在している、又は混在している可能性がある細胞系(まとめて「混在細胞系」という。)において、グリコーゲン含有量の多い細胞種、及び/又はグリコーゲン含有量の少ない細胞種を判定するために用いることができる。

0031

グリコーゲン含有量の多い細胞種、及びグリコーゲン含有量の少ない細胞種としては、例えば、細胞のエネルギー源であるATPを主に嫌気的解凍系を利用して産生する細胞種等のグリコーゲン含有量の多い細胞種、細胞のエネルギー源であるATPを主にTCA回路における酸化的リン酸化を利用して産生する細胞種等のグリコーゲン含有量の少ない細胞種を挙げることができる。

0032

混在細胞系の具体例としては、これに限られるものではないが、多能性幹細胞培養系(多能性を維持することを目的とする培養系)、多能性幹細胞を肝臓腎臓心臓すい臓及び神経等の体細胞に分化させる際の細胞培養系心筋組織肝臓組織及び神経組織等由来の細胞の培養系、神経細胞アストログリア細胞混合培養系、並びに白血病患者リンパ球細胞培養系を挙げることができる。

0033

多能性幹細胞培養系では、未分化の多能性幹細胞(グリコーゲン含有量が多い細胞種)と分化した多能性幹細胞(グリコーゲン含有量が少ない)とが混在している可能性がある。本実施形態の細胞判定方法は、培養された多能性幹細胞の細胞集団から未分化の多能性幹細胞を判別する、又は分化した多能性幹細胞を判別するために用いられてもよい。これにより、継代培養している細胞の品質管理(未分化状態の維持)を非侵襲で簡便に行うことができる。また、再生医療等において、多能性幹細胞を体細胞に分化させる際、分化した多能性幹細胞を非侵襲で簡便に判別することができる。

0034

心筋細胞培養系では、胎児心筋細胞(グリコーゲン含有量が多い細胞種)と成体心筋細胞(グリコーゲン含有量が少ない)とが混在している可能性がある。本実施形態の細胞判定方法は、培養された心筋細胞の細胞集団から胎児心筋細胞を判別する、又は成体心筋細胞を判別するために用いられてもよい。これにより、再生医療等における心筋シート等、成熟した心筋細胞の品質評価に有効である。

0035

神経細胞はグルコースを直接消費し、アストログリア細胞は余剰のグルコースをグリコーゲンとして細胞内に蓄積することが知られている(Cell,2011年,144巻,5号,pp.810−823)。したがって、本実施形態の細胞判定方法は、培養された神経細胞及びアストログリア細胞の細胞集団から神経細胞を判別する、又はアストログリア細胞を判別するために用いられてもよい。

0036

白血病の分類及び進行度の判定には、PAS染色が用いられている(J.Clin.Pathol.,1979年,32巻,pp.158−161)。したがって、本実施形態の細胞判定方法は、白血病の分類又は進行度の判定のために用いられてもよい。

0037

(光路長データ)
取得ステップは、細胞の光路長を測定し、光路長データを取得するステップである。細胞の光路長データは、例えば、定量位相顕微鏡、位相差顕微鏡により細胞を撮像することで、「位相差」又は「光学厚さ」として得ることができる。光路長データは、単一細胞について取得してもよいし、複数の細胞(例えば、細胞コロニー単位、顕微鏡視野単位)について取得してもよい。

0038

本実施形態の細胞判定方法では、対象となる細胞は、通常、培養細胞である。培地成分による判定結果への影響を受けにくいことから、取得ステップでは、培養培地中の細胞の光路長を測定し、光路長データを取得してもよい。培養培地中の細胞を測定対象にできることから、操作が極めて簡便になる。

0039

(光路長指標)
算出ステップは、取得ステップで得られた光路長データから、細胞の光路長と相関する光路長指標を算出するステップである。光路長指標は、細胞の光路長と相関するものである。すなわち、細胞の光路長と細胞内のグリコーゲンの含有量との間の相関関係を判定に利用できる限りにおいて、光路長指標は、例えば、取得した光路長データそのままであってもよいし、複数の細胞について取得した光路長データに基づいて算出した指標(例えば、平均値)であってもよい。

0040

光路長指標は、例えば、あるコロニーに含まれる細胞集団について取得した光路長データの合計値を当該コロニーの面積で割った値としてもよい(あるコロニーの単位面積あたりの光路長となる)。コロニーの面積は、例えば、干渉反射顕微鏡(IRM)像を撮像し、IRM像を二値化して細胞が接着した培養基材と細胞が接着していない培養基材とを見分けることで測定することができる。

0041

光路長指標はまた、顕微鏡の一視野に含まれる細胞集団について取得した光路長データの合計値を当該視野に含まれる細胞集団の面積で割った値としてもよい(ある視野中の単位細胞面積あたりの光路長となる)。

0042

(閾値)
比較ステップは、算出ステップで算出された光路長指標を閾値と比較するステップである。閾値は、判定対象とする細胞種、培養条件等に応じて適宜設定することができる。例えば、多能性幹細胞培養系で、未分化の多能性幹細胞、又は分化した多能性幹細胞を判定対象とする場合、多能性幹細胞培養系において、上述した取得ステップ、及び算出ステップを実施し、光路長指標を算出する。同じ多能性幹細胞培養系で、常法に従い(例えば、AP染色、抗Nanog抗体染色)、未分化の多能性幹細胞、及び分化した多能性幹細胞を判別する。これらの結果に基づき、未分化の多能性幹細胞、及び分化した多能性幹細胞を判別可能な閾値を予め設定する。

0043

(判定ステップ)
判定ステップは、比較ステップで比較した結果に基づき、細胞が細胞内のグリコーゲン含有量の多い細胞種である、又は細胞内のグリコーゲン含有量の少ない細胞種である、と判定するステップである。

0044

光路長指標が、細胞の光路長と正に相関する指標である場合(細胞の光路長が長くなると光路長指標が大きくなる場合)、以下のように判定する。
(i)光路長指標が閾値以上である場合、細胞は細胞内のグリコーゲン含有量の多い細胞種であると判定する、又は
(ii)光路長指標が閾値未満である場合、細胞は細胞内のグリコーゲン含有量の少ない細胞種であると判定する。

0045

光路長指標が、細胞の光路長と負に相関する指標である場合(細胞の光路長が長くなると光路長指標が小さくなる場合)、以下のように判定する。
(iii)光路長指標が閾値を超える場合、細胞は細胞内のグリコーゲン含有量の少ない細胞種であると判定する、又は
(iv)光路長指標が閾値以下である場合、細胞は細胞内のグリコーゲン含有量の多い細胞種であると判定する。

0046

〔細胞判定装置〕
一実施形態において、細胞判定装置は、光路長測定装置と組み合わせてサイトメーターとして使用される。光路長測定装置としては、例えば、定量位相顕微鏡、位相差顕微鏡を使用できる。

0047

図4は、一実施形態に係るサイトメーターの構成図である。図4に示すサイトメーター1は、主に、干渉反射顕微鏡の光学系及び定量位相顕微鏡の光学系を組み合わせた顕微鏡システムA及び細胞判定装置Dにより構成される。顕微鏡システムAは、定量位相顕微鏡の光学系のみで構成されていてもよい。なお、顕微鏡システムAが干渉反射顕微鏡の光学系を更に備えることで、単一細胞の面積、コロニーの面積、視野中の細胞の面積を併せて測定できる。

0048

(定量位相顕微鏡)
定量位相顕微鏡の光学系は、光の入射側に、図示しない光出射部からの照射光H0(レーザ光)を導く光ファイバBの出射側端面B1に臨ませたレンズA2と、このレンズA2を透過する照射光H0を反射する反射部A3を具備する。一方、定量位相顕微鏡の光学系の光の出射側には、光干渉部A7で生成される干渉縞(図示せず、以下同様)を撮像して画像とするCCDカメラ等の撮像装置Cが設けられる。

0049

顕微鏡Aは、測定試料Sを支持する試料台A4、対物レンズA5、反射部A6、光干渉部A7を少なくとも備える顕微鏡本体A1を具備する。図4に示すように、顕微鏡本体A1は、干渉反射顕微鏡の光学系A8を更に備えていてもよい。

0050

試料台A4は、例えば、中央に光を透過可能な光透過部A41を備えるとともに、上向き面に測定試料Sを載置可能な載置面A42を有する略板状のものである。載置面A42に測定試料Sを載置した状態で上方から光を照射することにより、測定試料Sを透過した光(被測定光H1)が光透過部A41を透過して対物レンズA5に向かうようにしている。なお、光透過部A41は、例えばガラス等の光を透過可能な部材より形成したものであってもよいし、単なる孔であってもよい。対物レンズA5は、例えば、操作部(図示しない)の操作に基づいて、入射してくる被測定光H1をその操作に係る所定の倍率で拡大させて平行光として出射するものである。反射部A6は、例えば全反射型ミラーであって、対物レンズA5からの被測定光H1を全反射させて光干渉部A7に導入できるようにしている。光干渉部A7は、被測定光H1を、2つの光H1a、H1bに分離する光分離素子A71と、この光分離素子A71が出射する被測定光H1(H1a、H1b)を収束光H2(H2a、H2b)に変換する集光レンズA72と、収束光H2の収束位置に配した空間フィルタA73と、空間フィルタA73を透過した物体光H3と参照光H4とを重ね合わせて干渉縞を生成する合成レンズA75とを具備するものである。ここで、光分離素子A71は、回折格子を用いて構成したものである。さらには、光分離素子A71は、偏光方向が互いに異なる2つの光に分離する偏光分離素子であってもよい。その場合、光干渉部A7は、被測定光H1を、偏光方向が互いに異なる2つの光H1a、H1bに分離する光分離素子A71と、収束光H2(H2a、H2b)に変換する集光レンズA72と収束光H2の収束位置に配した空間フィルタA73と、空間フィルタA73を透過した物体光H3と参照光H4と、この空間フィルタA73の出射側に配した半波長板A74と、この半波長板A74により偏光方向を揃えられた物体光H3と参照光H4とを重ね合わせて干渉縞を生成する合成レンズA75と、を具備するものである。もしくは、空間フィルタA73の出射側に配した半波長板A74に代えて偏光子を配して物体光H3と参照光H4の偏光方向を揃えてもよい。

0051

(干渉反射顕微鏡)
干渉反射顕微鏡の光学系A8は、載置面A42に測定試料Sを載置した状態で下方から光を照射することにより、測定試料Sで反射した光(被測定光H1)を測定する。干渉反射顕微鏡の光学系は、光の入射側に、光源(図示せず)からの照射光(レーザ光)を導く光ファイバB2の出射側端面B3に臨ませたバンドパスフィルタA84及び開口スリットA83と、このバンドパスフィルタA84及び開口スリットA83を透過する照射光を反射する反射部A81(例えば、ビームスプリッタ)を具備する。光源は、白色LED等で構成される。一方、干渉反射顕微鏡の光学系の光の出射側には、対物レンズ5及び反射部A81からの被測定光H1を反射させて集光レンズA85に導く、反射部A82(例えば、ダイクロイックミラー)と、集光レンズA85で収束された被測定光を撮像して画像とするCCDカメラ等の撮像装置C1が設けられる。

0052

(細胞判定装置)
細胞判定装置Dの構成について説明する。図5は、一実施形態に係る細胞判定装置Dのハードウェア的構成を示す概要図であり、図6は、一実施形態に係る細胞判定装置Dの機能的構成を示す概要図である。

0053

図5に示すように、細胞判定装置Dは、物理的には、CPU D11、ROM D12及びRAM D13等の主記憶装置キーボード及びマウス等の入力デバイスD14、ディスプレイ等の出力デバイスD15、例えば撮像装置C等の他の装置との間でデータの送受信を行うためのネットワークカード等の通信モジュールD16、ハードディスク等の補助記憶装置D17などを含む通常のコンピュータとして構成される。後述する細胞判定装置Dの各機能は、CPU D11、ROM D12、RAM D13等のハードウェア上に所定のコンピュータソフトウェアを読み込ませることにより、CPU D11の制御の下で入力デバイスD14、出力デバイスD15、通信モジュールD16を動作させるとともに、主記憶装置D12、D13や補助記憶装置D17におけるデータの読み出し及び書き込みを行うことで実現される。

0054

図6に示すように、細胞判定装置Dは、機能的構成要素として、取得手段D1、算出手段D2、比較手段D3、判定手段D4、及び表示手段D5を備える。

0055

取得手段D1は、撮像装置Cで撮影した定量位相顕微鏡像から光路長データを取得するものである。取得手段D1はまた、撮像装置C1で撮影した干渉反射顕微鏡像データ又はこれを二値化したデータを取得するものとしても機能する。算出手段D2は、取得した光路長データから、上述の光路長指標を算出するものである。比較手段D3は、算出した光路長指標を閾値と比較するものである。閾値は、細胞判定装置Dの補助記憶装置D17等に予め格納されているものを読み出してもよい。判定手段D4は、比較した結果に基づき、細胞種を判定するものである。表示手段D5は、判定した結果を表示するものである。

0056

〔細胞判定プログラム〕
細胞判定プログラムは、コンピュータを、上述した取得手段D1、算出手段D2、比較手段D3、判定手段D4、及び表示手段D5として機能させるものである。コンピュータに細胞判定プログラムを読み込ませることにより、コンピュータは細胞判定装置Dとして動作する。細胞判定プログラムは、例えば、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されて提供される。記録媒体は、非一時的記録媒体であってもよい。記録媒体としては、フレキシブルディスク、CD、DVD等の記録媒体、ROM等の記録媒体、半導体メモリ等が例示される。

0057

(細胞判定方法)
細胞判定装置Dにより行われる細胞判定方法について説明する。図7は細胞判定方法のフローチャートである。細胞判定装置Dにより行われる細胞判定方法により、対象となる細胞が、細胞内のグリコーゲン含有量の多い細胞種であるか、又は細胞内のグリコーゲン含有量の少ない細胞種であるかの判定を定量的且つ自動的に精度高く行うことができる。

0058

[取得ステップS1]
最初に、取得手段D1が撮像装置Cから細胞の光路長データを取得する。光路長指標が、例えば、あるコロニーの単位面積あたりの光路長である場合、又はある視野中の単位細胞面積あたりの光路長である場合、光路長データを取得したコロニー又は視野のIRM像は、取得手段D1により取得してもよい。

0059

[算出ステップS2]
次に、算出手段D2が取得した光路長データから光路長指標を算出する。光路長指標が、例えば、あるコロニーの単位面積あたりの光路長である場合、又はある視野中の単位細胞面積あたりの光路長である場合、光路長データを取得したコロニー又は視野のIRM像から細胞面積(例えば、コロニー面積)を算出することを含んでもよい。

0060

[比較ステップS3]
次に、比較手段D3が、算出ステップS2にて算出した光路長指標と閾値を比較し、その結果を抽出する。比較手段D3は、補助記憶装置D17等に予め格納されている閾値を読み出すことを含んでもよい。

0061

[判定ステップS4]
次に、判定手段D4が、比較ステップS3にて抽出した比較の結果に基づき、細胞が、細胞内のグリコーゲン含有量の多い細胞種であるか、又は細胞内のグリコーゲン含有量の少ない細胞種であるかを判定する。判定手段D4は、比較ステップS3の比較の結果に基づいて、以下のように判定する。
光路長指標が、細胞の光路長と正に相関する指標である場合(細胞の光路長が長くなると光路長指標が大きくなる場合);
(i)光路長指標が閾値以上である場合、細胞は細胞内のグリコーゲン含有量の多い細胞種であると判定する、又は
(ii)光路長指標が閾値未満である場合、細胞は細胞内のグリコーゲン含有量の少ない細胞種であると判定する。
光路長指標が、細胞の光路長と負に相関する指標である場合(細胞の光路長が長くなると光路長指標が小さくなる場合);
(iii)光路長指標が閾値を超える場合、細胞は細胞内のグリコーゲン含有量の少ない細胞種であると判定する、又は
(iv)光路長指標が閾値以下である場合、細胞は細胞内のグリコーゲン含有量の多い細胞種であると判定する。

0062

[表示ステップS5]
次に、表示手段D5が、判定ステップS4にて判定した結果を表示する。例えば、細胞が、細胞内のグリコーゲン含有量の多い細胞種であるか、又は細胞内のグリコーゲン含有量の少ない細胞種であるかが表示手段D5によって表示される。

0063

本発明の細胞判定方法により、iPS細胞の継代培養において、分化が進んだ細胞と未分化のiPS細胞を判定した例を示す。なお、本発明は以下に示す例に限定されるものではない。

0064

図8は、iPS細胞(253G1株)の継代培養において、分化が進んだ細胞と未分化のiPS細胞を判定した例を示す写真である。図8(A)は、継代後3日培養して形成されたコロニーの定量位相顕微鏡像である。一視野中に複数のコロニーが含まれている。輝度が高い(光路長が長い)程、白く表示されている。図8(B)は、図8(A)と同じコロニーを抗Nanog抗体で免疫染色した蛍光顕微鏡像である。当該免疫染色で染色される(蛍光が観察される)コロニーが未分化のiPS細胞である。免疫染色には定量性がないため、図8(A)の輝度と一致するものではないが、図8(A)で輝度が高い(光路長が長い)コロニーは、抗Nanog抗体で免疫染色されていることが分かる。図8から明らかなとおり、定量位相顕微鏡で観察される光路長(輝度)が所定値を超える場合に、未分化のiPS細胞又はコロニーであると判定することができる。

0065

図9(A)は、図8に示す各コロニーの面積を示すグラフである。各コロニーの面積は、干渉反射顕微鏡で別途撮像したIRM像を画像処理により二値化して細胞が接着している培養基材と接着していない培養基材を見分けることにより算出した。横軸は、培養時間である。培養時間が長くなるに連れてコロニー面積が増加していることが分かる。図9(B)は、図8に示す各コロニーの単位面積あたりの光路長(コロニーの平均光学厚さ:nm/mm2)を示すグラフである。細胞の接着状態が安定する培養1日目(day1)以降、未分化のiPS細胞のコロニー(Nanog陽性のコロニー)と分化したiPS細胞のコロニー(Nanog陰性のコロニー)とで、コロニーの平均光学厚さに明らかな差があった。具体的には、図8のコロニーA、D及びJ(Nanog陰性のコロニー)では、平均光学厚さが90〜120nm/mm2であり、図8のコロニーB、C、F、H及びL(Nanog陽性コロニー)では、平均光学厚さが200〜250nm/mm2であった。したがって、例えば、閾値を155〜165nm/mm2の間で設定することにより、未分化のiPS細胞のコロニーと分化したiPS細胞のコロニーを判定することができる。

0066

図10は、未分化のiPS細胞と分化誘導したiPS細胞の光路長を示すグラフである。図11は、iPS細胞由来の幼若な肝臓細胞と成熟した肝臓細胞の光路長を示すグラフである。図10及び図11に示す光路長は、定量位相顕微鏡像から抽出した輝度(光路長)を示している。

0067

図10に示した「iPS細胞」及び「iPS細胞(レチノイン酸誘導)」、並びに図11に示した「iPS由来肝臓細胞」及び「初代肝臓細胞」は、以下のようにして培養した。

0068

「iPS細胞」は、反射防止コーティングされた直径35mmのプラスチックボトムディッシュマトリゲル登録商標基底膜マトリクスベクトンディッキンソン社製、以下「基質」ともいう。)でコーティングしたものにヒト生体繊維芽細胞由来のiPS細胞株(253G1株)を10〜20コロニー/ディッシュとなるよう播種し、多能性幹細胞培養用合成培地(mTeSR(登録商標)1,StemCell社製、以下「合成培地」ともいう。)を用いてフィーダーレスで培養した。1つのコロニーの大きさは200μm程度であった。細胞は播種後3日目まで培養した。合成培地は1日1回交換した。播種後3日目に定量位相顕微鏡像を撮像し、光路長を測定した。

0069

「iPS細胞(レチノイン酸誘導)」は、「iPS細胞」を播種後2日目に12.5μMのレチノイン酸を添加した合成培地に交換し、さらに4日間培養した。レチノイン酸は、一般的に分化を誘導する試薬として使用されている。レチノイン酸添加後4日目に定量位相顕微鏡像を撮像し、光路長を測定した。

0070

「iPS由来肝臓細胞」は、「iPS細胞」から非特許文献(Molecular Therapy,2011年,19巻2号,pp.400〜407)に記載された手順に従い誘導した肝臓細胞である。誘導開始後18日目及び25日目に定量位相顕微鏡像を撮像し、光路長を測定した。

0071

「初代肝臓細胞」は、べクトディキンソン社から入手したBD Gentest Human Hepatocyte(カタログ番号454550,ロット番号299)株を使用し、Hepato−STIM培地(べクトンディッキンソン社製)を用いて培養した。播種後1日目に定量位相顕微鏡像を撮像し、光路長を測定した。

実施例

0072

図10に示すように、未分化の多能性幹細胞である「iPS細胞」に比べて、分化を誘導する試薬として知られているレチノイン酸の添加によって、光路長(輝度)が減少する。また、図11に示すように、iPS細胞から肝臓細胞への分化を誘導した初期の状態における幼若な肝臓細胞(day18及びday25)では、分化誘導に伴い光路長が減少するが、肝臓細胞として成熟することによって、グリコーゲンの蓄積により光路長が増加する。

0073

1…サイトメーター、A…顕微鏡システム、A1…顕微鏡本体、B…光ファイバ、C…撮像装置、D…細胞判定装置、D1…取得手段、D2…算出手段、D3…比較手段、D4…判定手段、D5…表示手段。

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