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技術 ガス充填方法

出願人 本田技研工業株式会社
発明者 判田圭
出願日 2015年9月10日 (3年10ヶ月経過) 出願番号 2015-178742
公開日 2017年3月16日 (2年4ヶ月経過) 公開番号 2017-053459
状態 特許登録済
技術分野 ガス貯蔵容器;ガスの充填・放出 燃料電池(システム)
主要キーワード 実在気体 圧縮ガス供給源 上流配管 規格範囲外 下流配管 圧力上昇量 閉じ込められたガス ベント装置
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この項目の情報は公開日時点(2017年3月16日)のものです。
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図面 (8)

課題

どのような容積タンクが接続された場合であっても、温度や圧力の上昇を抑制しながらタンクの初期圧力を正確に把握できるガス充填方法を提供すること。

解決手段

ガス充填方法は、水素ステーション蓄圧器と車両に搭載された水素タンクとをステーション配管及び車両配管で接続し、蓄圧器から水素タンクに水素ガス充填するものであって、ステーション配管に設けられた流量調整弁を開き、初期充填を開始する初期充填開始工程と、ステーション配管のうち流量調整弁より下流側の所定の検出箇所における単位質量当たりの圧力変化量を取得する圧力変化量取得工程と、圧力変化量が所定の初期圧判定閾値以下になった時における検出箇所でのステーション圧を取得し、これを水素タンクの初期圧力とする初期圧力把握工程と、初期圧力を用いて本充填を開始する本充填開始工程と、を備える。

概要

背景

燃料電池車両は、含酸素の空気と燃料ガスである水素ガスとを燃料電池に供給し、これによって発電した電力を利用して電動機を駆動することにより走行する。近年、このような燃料電池を、動力を発生するためのエネルギー源として利用した燃料電池車両の実用化が進められている。燃料電池で発電するには水素ガスが必要となるが、近年の燃料電池車両では、高圧タンク吸蔵合金を備えた水素タンク内に予め十分な量の水素ガスを貯蔵しておき、走行にはタンク内の水素ガスを利用するものが主流となっている。また、これに合わせて、タンク内にできるだけ多くの量の水素ガスを速やかに充填する充填技術に関する研究も盛んに進められている。

特許文献1には、本充填を開始する直前におけるタンク内圧(以下、単に「初期圧力」ともいう)及びタンク温度(以下、単に「初期温度」ともいう)と、これに適した本充填での充填流量(又は昇圧速度)との関係をテーブルで規定したものが示されている。特許文献1の発明では、本充填ではこのテーブルを用いて定められた充填流量の下で水素ステーションから車両のタンクへ水素ガスを移送する。このように速やかな充填を目指すには、充填流量を制御する水素ステーション側で車両側のタンクの初期圧力を正確に把握する技術が必要となる。

図7は、プレショット法と呼称されるガス充填方法の手順を模式的に示す図である。図7には、水素ステーションの圧縮ガス供給源100から延びるステーション配管101の先端に設けられた充填ノズル102を、車両のタンク110から延びる車両配管111の先端に設けられたレセプタクル112に接続することにより、圧縮ガス供給源100とタンク110とが1本の配管で接続され、圧縮ガス供給源100からタンク110へ水素ガスの移送が可能となった状態を示す。

プレショット法では、始めにステーション配管101に設けられた流量調整弁103を閉め切ったまま、その上流側に設けられた遮断弁104を開き、流量調整弁103より上流側に設けられた圧力センサ105の出力が所定値を示すまでステーション配管101内を加圧した後、遮断弁104を閉じる。これにより、ステーション配管101のうち流量調整弁103と遮断弁104の間の区間には圧力に応じた量の圧縮水素ガスが充填される。次に遮断弁104を閉じたまま流量調整弁103を開くと、ステーション配管101内に溜められた高圧の水素ガスがタンク110内へ一気に流れ込み、タンク110内とステーション配管101内とが均圧化される。これによりプレショット法では、ステーション配管101に設けられた圧力センサ105を用いることによって、本充填を開始する前のタンク110内の圧力、すなわちタンクの初期圧力を短い時間で把握することができる。

概要

どのような容積のタンクが接続された場合であっても、温度や圧力の上昇を抑制しながらタンクの初期圧力を正確に把握できるガス充填方法を提供すること。ガス充填方法は、水素ステーションの蓄圧器と車両に搭載された水素タンクとをステーション配管及び車両配管で接続し、蓄圧器から水素タンクに水素ガスを充填するものであって、ステーション配管に設けられた流量調整弁を開き、初期充填を開始する初期充填開始工程と、ステーション配管のうち流量調整弁より下流側の所定の検出箇所における単位質量当たりの圧力変化量を取得する圧力変化量取得工程と、圧力変化量が所定の初期圧判定閾値以下になった時における検出箇所でのステーション圧を取得し、これを水素タンクの初期圧力とする初期圧力把握工程と、初期圧力を用いて本充填を開始する本充填開始工程と、を備える。

目的

本発明は、どのような容積のタンクが接続された場合であっても、温度や圧力の上昇を抑制しながらタンクの初期圧力を正確に把握できるガス充填方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

圧縮ガス供給源と移動体に搭載されたタンクとを配管で接続し、前記供給源から前記タンクにガス充填するガス充填方法であって、前記配管に設けられた流量調整弁を開き、初期充填を開始する初期充填開始工程と、前記配管のうち前記流量調整弁より下流側の所定の検出箇所における単位時間又は単位質量当たりの圧力変化量を取得する圧力変化量取得工程と、前記圧力変化量を用いて特定される時における前記検出箇所での圧力を取得し、これを前記タンクの初期圧力とする初期圧力把握工程と、前記初期圧力を用いて本充填を開始する本充填開始工程と、を備えることを特徴とするガス充填方法。

請求項2

前記初期充填では、前記配管を流れるガスの流量が一定になるように前記流量調整弁を制御することを特徴とする請求項1に記載のガス充填方法。

請求項3

前記初期圧力把握工程では、前記圧力変化量が所定の初期圧判定閾値以下になった時における前記検出箇所での圧力を取得し、これを前記初期圧力とすることを特徴とする請求項1又は2に記載のガス充填方法。

請求項4

前記初期圧力把握工程では、前記圧力変化量が所定の初期圧判定閾値以下になった時における前記検出箇所での圧力が所定の圧損判定閾値より高い場合には、当該圧力を前記初期圧力とすることを特徴とする請求項1又は2に記載のガス充填方法。

請求項5

前記初期充填を開始した後、前記圧力変化量が前記初期圧判定閾値以下になった時における前記検出箇所での圧力が前記圧損判定閾値以下である場合には、前記配管を流れるガスの流量を低減させる圧損低減工程をさらに備え、前記初期圧力把握工程では、前記圧損低減工程においてガスの流量を低減した後に前記検出箇所での圧力を取得し、これを前記初期圧力とすることを特徴とする請求項4に記載のガス充填方法。

請求項6

前記初期充填を開始してから所定時間の間に前記圧力変化量が前記初期圧判定閾値以下にならなかった場合には、充填を中止する充填中止工程をさらに備えることを特徴とする請求項3から5の何れかに記載のガス充填方法。

請求項7

前記配管は、ガスを吐出する充填ノズルと前記流量調整弁を備え前記供給源に接続される上流配管と、前記充填ノズルが篏合するレセプタクルを備え前記タンクに接続される下流配管と、で構成され、前記検出箇所は前記上流配管のうち前記流量調整弁と前記充填ノズルの間であり、前記下流配管には、2つの逆止弁が設けられ、前記初期圧力把握工程では、前記圧力変化量が2段階の階段状に減少することを前提として、初期充填を開始した後、前記圧力変化量に2回目の急峻が発生した時における前記検出箇所での圧力を取得し、これを前記初期圧力とすることを特徴とする請求項1又は2に記載のガス充填方法。

請求項8

前記初期充填を開始してから所定時間の間に前記圧力変化量に2回目の急峻が発生しなかった場合には、充填を中止する充填中止工程をさらに備えることを特徴とする請求項7に記載のガス充填方法。

請求項9

前記配管は、ガスを吐出する充填ノズルと前記流量調整弁を備え前記供給源に接続される上流配管と、前記充填ノズルが篏合するレセプタクルを備え前記タンクに接続される下流配管と、で構成され、前記検出箇所は前記上流配管のうち前記流量調整弁と前記充填ノズルの間であり、前記本充填が終了してから次回の初期充填を行うまでの間に、前記上流配管のうち前記検出箇所における圧力を前記タンクで想定される所定の最低残圧より低くする減圧工程をさらに備えることを特徴とする請求項1から8の何れかに記載のガス充填方法。

請求項10

前記移動体は、前記タンクと、当該タンク内の圧力を検出するタンク内圧力センサと、前記タンク内圧力センサで検出されたタンク内圧に関する情報を送信する送信器と、を備え、前記初期充填開始工程を行う前に、前記送信器から送信される前記タンク内圧に関する情報を取得する通信工程をさらに備え、前記初期充填では、前記通信工程で取得した情報を用いて推定される前記タンク内の圧力が高いほどガスの流量を大きくすることを特徴とする請求項1から9の何れかに記載のガス充填方法。

技術分野

0001

本発明は、ガス充填方法に関する。より詳しくは、圧縮ガス供給源と移動体に搭載されたタンクとを配管で接続し、供給源からタンクにガス充填するガス充填方法に関する。

背景技術

0002

燃料電池車両は、含酸素の空気と燃料ガスである水素ガスとを燃料電池に供給し、これによって発電した電力を利用して電動機を駆動することにより走行する。近年、このような燃料電池を、動力を発生するためのエネルギー源として利用した燃料電池車両の実用化が進められている。燃料電池で発電するには水素ガスが必要となるが、近年の燃料電池車両では、高圧タンク吸蔵合金を備えた水素タンク内に予め十分な量の水素ガスを貯蔵しておき、走行にはタンク内の水素ガスを利用するものが主流となっている。また、これに合わせて、タンク内にできるだけ多くの量の水素ガスを速やかに充填する充填技術に関する研究も盛んに進められている。

0003

特許文献1には、本充填を開始する直前におけるタンク内圧(以下、単に「初期圧力」ともいう)及びタンク温度(以下、単に「初期温度」ともいう)と、これに適した本充填での充填流量(又は昇圧速度)との関係をテーブルで規定したものが示されている。特許文献1の発明では、本充填ではこのテーブルを用いて定められた充填流量の下で水素ステーションから車両のタンクへ水素ガスを移送する。このように速やかな充填を目指すには、充填流量を制御する水素ステーション側で車両側のタンクの初期圧力を正確に把握する技術が必要となる。

0004

図7は、プレショット法と呼称されるガス充填方法の手順を模式的に示す図である。図7には、水素ステーションの圧縮ガス供給源100から延びるステーション配管101の先端に設けられた充填ノズル102を、車両のタンク110から延びる車両配管111の先端に設けられたレセプタクル112に接続することにより、圧縮ガス供給源100とタンク110とが1本の配管で接続され、圧縮ガス供給源100からタンク110へ水素ガスの移送が可能となった状態を示す。

0005

プレショット法では、始めにステーション配管101に設けられた流量調整弁103を閉め切ったまま、その上流側に設けられた遮断弁104を開き、流量調整弁103より上流側に設けられた圧力センサ105の出力が所定値を示すまでステーション配管101内を加圧した後、遮断弁104を閉じる。これにより、ステーション配管101のうち流量調整弁103と遮断弁104の間の区間には圧力に応じた量の圧縮水素ガスが充填される。次に遮断弁104を閉じたまま流量調整弁103を開くと、ステーション配管101内に溜められた高圧の水素ガスがタンク110内へ一気に流れ込み、タンク110内とステーション配管101内とが均圧化される。これによりプレショット法では、ステーション配管101に設けられた圧力センサ105を用いることによって、本充填を開始する前のタンク110内の圧力、すなわちタンクの初期圧力を短い時間で把握することができる。

先行技術

0006

国際公開第2011/058782号公報

発明が解決しようとする課題

0007

このようにプレショット法では、流量調整弁103を開く前のステーション配管101の加圧量に応じた量の水素ガスの充填を伴う。また充填ノズル102をレセプタクル112に接続した直後には、ステーション側ではタンク110の正確な容積を把握できないことから、プレショット法を適用するとタンク110にはその容積の大小によらず所定量の水素ガスが充填されることになる。このため、一般的に想定されるものよりも過剰に容積の小さなタンクが接続された場合、プレショット法を適用するとタンクの圧力や温度が短時間で上昇してしまうおそれがある。

0008

またこのプレショット法を適用して把握される初期圧力は、加圧量に応じた量の水素ガスが充填された後の水素タンク内の圧力であり、充填を開始する直前におけるタンク内圧よりも高くなり、正確ではない。

0009

本発明は、どのような容積のタンクが接続された場合であっても、温度や圧力の上昇を抑制しながらタンクの初期圧力を正確に把握できるガス充填方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0010

(1)ガス充填方法は、圧縮ガスの供給源(例えば、後述の蓄圧器91)と移動体(例えば、後述の燃料電池車両V)に搭載されたタンク(例えば、後述の水素タンク31)とを配管(例えば、後述のステーション配管93及び車両配管39)で接続し、前記供給源から前記タンクにガスを充填するものであって、前記配管に設けられた流量調整弁(例えば、後述の流量調整弁94b)を開き、初期充填を開始する初期充填開始工程(例えば、後述のS2)と、前記配管のうち前記流量調整弁より下流側の所定の検出箇所における単位時間又は単位質量当たりの圧力変化量を取得する圧力変化量取得工程(例えば、後述のS3)と、前記圧力変化量を用いて特定される時における前記検出箇所での圧力を取得し、これを前記タンクの初期圧力とする初期圧力把握工程(例えば、後述の図3におけるS4又は図6におけるS21)と、前記初期圧力を用いて本充填を開始する本充填開始工程(例えば、後述のS7)と、を備える。

0011

(2)この場合、前記初期充填では、前記配管を流れるガスの流量が一定になるように前記流量調整弁を制御することが好ましい。

0012

(3)この場合、前記初期圧力把握工程では、前記圧力変化量が所定の初期圧判定閾値(例えば、後述の初期圧判定閾値)以下になった時における前記検出箇所での圧力を取得し、これを前記初期圧力とすることが好ましい。

0013

(4)この場合、前記初期圧力把握工程では、前記圧力変化量が所定の初期圧判定閾値以下になった時における前記検出箇所での圧力が所定の圧損判定閾値より高い場合には、当該圧力を前記初期圧力とすることが好ましい。

0014

(5)この場合、前記ガス充填方法は、前記初期充填を開始した後、前記圧力変化量が前記初期圧判定閾値以下になった時における前記検出箇所での圧力が前記圧損判定閾値以下である場合には、前記配管を流れるガスの流量を低減させる圧損低減工程をさらに備え、前記初期圧力把握工程では、前記圧損低減工程においてガスの流量を低減した後に前記検出箇所での圧力を取得し、これを前記初期圧力とすることが好ましい。

0015

(6)この場合、前記ガス充填方法は、前記初期充填を開始してから所定時間の間に前記圧力変化量が前記初期圧判定閾値以下にならなかった場合には、充填を中止する充填中止工程(例えば、後述のS10)をさらに備えることが好ましい。

0016

(7)この場合、前記配管は、ガスを吐出する充填ノズルと前記流量調整弁を備え前記供給源に接続される上流配管と、前記充填ノズルが篏合するレセプタクルを備え前記タンクに接続される下流配管と、で構成され、前記検出箇所は前記上流配管のうち前記流量調整弁と前記充填ノズルの間であり、前記下流配管には、2つの逆止弁が設けられ、前記初期圧力把握工程では、前記圧力変化量が2段階の階段状に減少することを前提として、初期充填を開始した後、前記圧力変化量に2回目の急峻が発生した時における前記検出箇所での圧力を取得し、これを前記初期圧力とすることが好ましい。

0017

(8)この場合、前記ガス充填方法は、前記初期充填を開始してから所定時間の間に前記圧力変化量に2回目の急峻が発生しなかった場合には、充填を中止する充填中止工程をさらに備えることが好ましい。

0018

(9)この場合、前記配管は、ガスを吐出する充填ノズル(例えば、後述の充填ノズル92)と前記流量調整弁を備え前記供給源に接続される上流配管(例えば、後述のステーション配管93)と、前記充填ノズルが篏合するレセプタクル(例えば、後述のレセプタクル38)を備え前記タンクに接続される下流配管(例えば、後述の車両配管39)と、で構成され、前記検出箇所は前記上流配管のうち前記流量調整弁と前記充填ノズルの間であり、前記ガス充填方法は、前記本充填が終了してから次回の初期充填を行うまでの間に、前記上流配管のうち前記検出箇所における圧力を前記タンクで想定される所定の最低残圧より低くする減圧工程(例えば、後述のS8)をさらに備えることが好ましい。

0019

(10)この場合、前記移動体は、前記タンクと、当該タンク内の圧力を検出するタンク内圧力センサ(例えば、後述のタンク内圧力センサ42)と、前記タンク内圧力センサで検出されたタンク内圧に関する情報を送信する送信器(例えば、後述の赤外線通信機5)と、を備え、前記ガス充填方法は、前記初期充填開始工程を行う前に、前記送信器から送信される前記タンク内圧に関する情報を取得する通信工程をさらに備え、前記初期充填では、前記通信工程で取得した情報を用いて推定される前記タンク内の圧力が高いほどガスの流量を大きくすることが好ましい。

発明の効果

0020

(1)移動体に搭載されるタンクには、タンク内で高圧のガスを保持し続けるために逆止弁が設けられる。また供給源とタンクとを配管で接続した後、流量調整弁を開いて充填を開始する前には、この逆止弁はタンクの残圧によって閉じており、配管内とタンク内とは熱力学的に分離された状態となっている。このような状態から流量調整弁を開き、ガスの供給を開始すると、始めは逆止弁が閉じたまま配管内の圧力のみが上昇する。そして配管内の圧力がその時のタンク内の圧力(すなわち、初期圧力)に到達すると、逆止弁が開き、配管内のガスがタンク内に流入し始める。この際、逆止弁が開くと対象とする系の体積はタンクの容積だけ急激に増加するので、配管の流量調整弁より下流側の所定の検出箇所における圧力変化量(単位時間当たり又は単位質量当たりの圧力上昇量)は、系の体積増加によって急激に低下する。本発明ではこのような現象を利用して、初期充填を開始した後、配管内の圧力変化量を用いることによって特定される時における上記検出箇所の圧力を初期圧力とし、これを用いて以降の本充填を開始する。このように本発明によれば、逆止弁が開いたタイミングで初期圧力を取得することから、タンクへのガスの流入量を最小限に留めることができる。またこれにより、どのような容積のタンクが接続された場合であっても、温度や圧力の上昇を最小限に抑制しながらタンクの初期圧力を正確に把握できる。

0021

(2)上述のように本発明では、初期充填を行っている間における系の急激な体積の増加に伴う圧力変化量の減少を利用して初期圧力を取得する。したがって体積が急激に変化する前後で配管を流れるガスの流量が概ね一定であると、体積の増加が圧力変化量の減少として顕著に現れるので、初期圧力を取得するタイミングを適切に把握することができる。

0022

(3)上述のように、タンクの容積の増加に応じて圧力変化量が急激に低下する。本発明では、この圧力変化量の急激な低下を直接的にとらえるため、初期充填を開始した後、配管内の圧力変化量が所定の初期圧判定閾値以下になった時、すなわち配管内の検出箇所における圧力とタンク内の圧力がほぼ等しくなったことにより逆止弁が開いた時における上記検出箇所の圧力を初期圧力とする。これにより、逆止弁が開いたと推定される適切なタイミングで初期圧力を取得することができる。

0023

(4)タンクと供給源とを配管で接続し、供給源からガスをタンクへ供給すると、配管では圧力損失が発生する。この圧力損失は、タンク内の圧力が低くなり、ガスの体積流量が増える程大きくなる。また圧力損失が大きくなると、配管内の供給源側とタンク側との圧力差が大きくなってしまうため、逆止弁が開いた時における検出箇所の圧力を初期圧力とすることは妥当でなくなってしまう。本発明では、初期充填を開始した後、配管内の圧力変化量が初期圧判定閾値以下になった時における検出箇所の圧力が所定の圧損判定閾値より高い場合、すなわちタンク内の圧力が十分に高く圧力損失がさほど大きくないと判断できる場合に、配管内の圧力変化量が初期圧判定閾値以下になった時における検出箇所の圧力を初期圧力とする。これにより、圧力損失の影響を考慮しながら初期圧力を正確に把握できる。

0024

(5)本発明では、配管内の圧力変化量が初期圧判定閾値以下になった時における検出箇所の圧力が圧損判定閾値以下である場合、すなわちタンク内の圧力が低く圧力損失の影響を無視できない場合には、流量を低減し、配管内での圧力損失を小さくし、供給源側とタンク側との圧力差を小さくした後、再び検出箇所の圧力を取得し、これを初期圧力とする。これにより、残圧が低いタンクの初期圧力を正確に把握できる。また本発明ではタンク内の圧力が低いことが判明してから流量を低減するので、正確に初期圧力を把握しようとするあまり、全てのタンクに対して初期充填のガスの流量を低減してしまい、初期圧力を把握するまでにかかる時間が長くなるのを防止できる。

0025

(6)接続されるタンクの容積が小さくなると、逆止弁が開いた時における圧力変化量の減少も小さくなる。したがって、初期充填を開始してからある程度の時間が経った後も圧力変化量が初期圧判定閾値以下にならなかった場合には、接続されているタンクは比較的容積の小さいものであると判断することができる。したがって本発明では、初期充填を開始してから所定時間の間に圧力変化量が初期圧判定閾値以下にならなかった場合には、充填を中止することにより、規格範囲外の容積の小さなタンクへのガスの充填を中止することができる。

0026

(7)移動体に搭載される下流配管には2つの逆止弁が設けられる。このため対象とする系は、供給源から1つ目の逆止弁までで構成される比較的体積の小さな系と、1つ目の逆止弁から2つ目の逆止弁までで構成される比較的体積の小さな系と、2つ目の逆止弁からタンクの内部で構成される最も体積の大きな系と、に分けられる。このため、初期充填を開始した後、圧力変化量は2段階の階段状に減少し、さらに2つ目の逆止弁が開いたタイミングでは圧力変化量に最も大きな急峻が発生すると考えられる。本発明ではこれを利用して、初期充填を開始した後、圧力変化量に2回目の急峻が発生した時における検出箇所での圧力を取得し、これを初期圧力とする。これにより、2つ目の逆止弁が開き、タンクの内部と供給源とが連通したと推定される適切なタイミングで初期圧力を取得することができる。

0027

(8)本発明では、初期充填を開始してから所定時間の間に圧力変化量に2回目の急峻が発生しなかった場合には、充填を中止することによって、(6)の発明と同じ理由により規格範囲外の容積の小さなタンクへのガスの充填を中止することができる。

0028

(9)本発明のガス充填方法によってタンクの初期圧力を把握する場合、初期充填を開始する時には、タンクの逆止弁は閉じている必要がある。本発明では、本充填が終了してから次回の初期充填を行うまでの間に、上流配管のうち検出箇所における圧力をタンクで想定される所定の最低残圧より低くしておくことにより、初期充填を開始する時には配管内の圧力をタンク内の圧力よりも低くし、タンクの逆止弁を閉じた状態にすることができる。したがって本発明によれば、タンクの残圧が低くても確実に初期圧力を把握することができる。

0029

(10)接続されているタンク内の圧力が高くなると、初期充填を開始してから配管内の圧力がタンク内の圧力に到達し、逆止弁が開くまでにかかる時間も長くなり、ひいては初期圧力を取得し本充填を開始するまでにかかる時間も長くなる。そこで本発明では、移動体がタンク内圧力センサと、このセンサによって検出されたタンク内圧に関する情報を送信できる送信器を備えるものについては、この送信器から送信される情報を用いることによってタンク内の圧力を大まかに把握し、これに応じて初期充填におけるガスの流量を変化させることにより、初期充填を開始してから初期圧力を取得するまでにかかる時間が長くなるのを防止できる。

図面の簡単な説明

0030

本発明の第1実施形態に係る水素ガス充填方法が適用された水素充填システムの構成を示す図である。
水素充填システムにおいて一定の充填流量で水素ガスを水素タンクに充填した際におけるステーション圧及びこのステーション圧に基づいて算出される圧力変化量の変化を示すタイムチャートである。
本実施形態に係る水素ガス充填方法の具体的な手順を示すフローチャートである。
本発明の第2実施形態に係る水素ガス充填方法の具体的な手順を示すフローチャートである。
図4のフローチャートの手順に従って水素ガスを水素タンクに充填した際におけるステーション圧、タンク圧、及び圧力変化量の変化を示すタイムチャートである。
本発明の第2実施形態に係る水素ガス充填方法の具体的な手順を示すフローチャートである。
プレショット法と呼称されるガス充填方法の手順を模式的に示す図である。

実施例

0031

<第1実施形態>
以下、本発明の第1実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態に係る水素ガス充填方法が適用された水素充填システムSの構成を示す図である。水素充填システムSは、水素ガスを燃料ガスとして走行する燃料電池車両Vと、この車両Vの水素タンクに水素ガスを供給する供給装置としての水素ステーション9と、を組み合わせて構成される。以下では、始めに水素ステーション9側の構成について説明し、次に燃料電池車両V側の構成について説明する。

0032

水素ステーション9は、車両Vに供給するための高圧水素ガスが貯蔵されている蓄圧器91と、蓄圧器91から水素ガスを吐出する充填ノズル92に至るステーション配管93と、ステーション配管93に設けられた遮断弁94a及び流量調整弁94bと、ステーション配管93内に溜まった水素ガスを処理するベント装置99と、これら弁94a,94b及びベント装置99を制御するステーションECU95と、を備える。

0033

ステーションECU95は、充填ノズル92が車両Vに設けられたレセプタクル38に接続された後、後に図3を参照して説明する手順に従って遮断弁94a及び流量調整弁94bを開閉し、蓄圧器91に貯蔵された高圧水素ガスを車両Vの水素タンク31に充填する。

0034

ステーション配管93のうち流量調整弁94bと充填ノズル92の間には、水素ガスを冷却する冷却器96が設けられる。このような冷却器96によって、水素タンク31に充填される手前の位置で水素ガスを冷却することにより、水素タンク31内の水素ガスの温度上昇を抑制し、ひいては急速充填が可能となる。

0035

ステーションECU95には、水素タンク31に充填される手前の位置における水素ガスの状態を把握するため、各種センサ97a,97b,97cが接続されている。

0036

流量計97aは、ステーション配管93のうち遮断弁94aと流量調整弁94bとの間に設けられ、ステーション配管93を流れる水素ガスの単位時間当たりの質量、すなわち質量流量[kg/sec]に対応した信号をステーションECU95に送信する。以下では、この流量計97aによって検出される水素ガスの質量流量を、充填流量ともいう。

0037

ステーション温度センサ97bは、ステーション配管93のうち流量調整弁94bと充填ノズル92との間に設けられ、ステーション配管93内の水素ガスの温度[℃]に対応した信号をステーションECU95に送信する。以下では、この温度センサ97bによって検出される水素ガスの温度を充填ガス温度ともいう。

0038

ステーション圧力センサ97cは、ステーション配管93のうち流量調整弁94bと充填ノズル92との間に設けられ、ステーション配管93内の水素ガスの圧力に対応した信号をステーションECU95に送信する。すなわち、ステーション圧力センサ97cによる圧力検出箇所は、ステーション配管93内のうち流量調整弁94bと充填ノズル92との間となっている。以下では、この圧力センサ97cによって検出される水素ガスの圧力をステーション圧ともいう。

0039

ベント装置99は、水素ガスを窒素等で希釈する希釈装置99aと、ステーション配管93のうち流量調整弁94bと充填ノズル92との間と希釈装置99aとを連通するベント管99bと、このベント管99bに設けられた開放弁99cと、を備える。ステーションECU95は、水素ガスの充填が終わった後や、水素ガスの充填を開始する前等の所定のタイミングで開放弁99cを開弁することによって、ステーション配管93内に溜まった水素ガスを希釈装置99aへ向けて排出することにより、ステーション配管93内の圧力を所定圧以下にする。

0040

充填ノズル92には、車両Vと通信するための赤外線通信機98が設けられている。赤外線通信機98は、充填ノズル92をレセプタクル38に接続すると、車両Vに設けられた後述の赤外線通信機5に対向し、これら通信機98,5間で赤外線を介したデータ信号送受信が可能となる。

0041

燃料電池車両Vは、ステーション9から供給された水素ガスを貯蔵する水素タンク31と、この水素タンク31から延びる車両配管39と、水素タンク31に貯蔵された水素ガスによって発電し、発電した電力を利用して走行する燃料電池システム(図示せず)と、通信充填時に水素タンク31に関するデータ信号をステーション9の赤外線通信機95へ送信する赤外線通信機5と、この赤外線通信機5から送信するデータ信号を生成する通信演算ECU6と、を備える。

0042

車両配管39は、水素ステーション9の充填ノズル92が篏合するレセプタクル38と、車両配管39のうちレセプタクル38の近傍に設けられ水素タンク31側からレセプタクル38へ水素ガスが逆流するのを防止するための第1逆止弁36と、車両配管39のうち水素タンク31の近傍に設けられ水素タンク31内から車両配管39へ水素ガスが逆流するのを防止するための第2逆止弁37と、を備える。

0043

通信演算ECU6には、上述の水素タンク31に関する情報を取得する手段として、タンク内温度センサ41と、タンク内圧力センサ42と、が接続されている。タンク内温度センサ41は、水素タンク31内の水素ガスの温度を検出し、検出値に対応した信号を通信演算ECU6に送信する。以下では、この温度センサ41によって検出される水素タンク31内の水素ガスの温度をタンク内温度ともいう。タンク内圧力センサ42は、水素タンク31内の圧力を検出し、検出値に対応した信号を通信演算ECU6に送信する。以下では、この圧力センサ42によって検出される水素タンク31内の水素ガスの圧力をタンク内圧力ともいう。

0044

通信演算ECU6は、マイクロコンピュータを含む計算機であり、CPU(中央処理装置)、ROM及びRAM等の記憶媒体、並びに各種インターフェース等の電子回路を含んで構成される。通信演算ECU6のROMには、車両Vが製造された時点で搭載されていた水素タンク31に関する固有情報が記録されている。通信演算ECU6は、水素タンク31に関する情報を赤外線通信機5を介してステーションECU95へ送信するため、タンク内温度の検出値T、タンク内圧力の検出値P、及び固有情報に応じたデータ信号を生成する。

0045

赤外線通信機5は、例えば赤外線LEDとそのドライバ等で構成される。ドライバは、通信演算ECU6によって生成されたデータ信号や充填を停止させるためのアボート信号等に応じた態様で赤外線LEDを点滅させる。これにより、データ信号やアボート信号が車両Vから水素ステーション9へ送信される。

0046

以上のように構成された水素充填システムSでは、水素ステーション9に設けられた充填ノズル92を車両Vに設けられたレセプタクル38に篏合することにより、車両Vに搭載された水素タンク31と水素ステーション9の蓄圧器91とは、ステーション配管93及び車両配管39を直列に接続して構成される実質的に1本の配管によって接続される。

0047

なお、車両Vに搭載される水素タンク31は、複数のタンクで構成される場合がある。しかしながらこのような場合であっても、車両配管39は、各タンクから延び、1つのレセプタクル38に至るまでの間に合流する集合管によって構成されるため、ステーション配管93と車両配管39とをレセプタクル38で接続すれば、複数のタンクで構成される水素タンク31と蓄圧器91とは実質的には1本の配管で接続されるものとみなすことができる。

0048

図2は、水素充填システムSにおいて、一定の充填流量で水素ガスを水素タンクに充填した際におけるステーション圧P(上段参照)及びこのステーション圧Pに基づいて算出される圧力変化量dP/dm(ステーション圧の単位質量当たりの変化量[Pa/kg]、下段参照)の変化を示すタイムチャートである。

0049

図1を参照して説明したように、蓄圧器91と水素タンク31とを接続する配管は、ステーション配管93及び車両配管39を直列に接続することによって構成される。また車両配管39には、2つの逆止弁が設けられている。このため、充填ノズルをレセプタクルに篏合させた直後であって水素ステーション側の流量調整弁を開いて蓄圧器内の水素ガスの充填を開始する前には、これら2つの逆止弁は水素タンクの残圧によって閉じており、流量調整弁から第1逆止弁までの区間(以下、「ステーション区間」ともいう)と、第1逆止弁から第2逆止弁までの区間(以下、「車両区間」ともいう)と、水素タンク内とは、それぞれ熱力学的に分離した状態となっている。

0050

このような状態から流量調整弁を開き、一定の充填流量の下で水素ガスの供給を開始すると、始めは第1逆止弁が閉じたままステーション区間内に水素ガスが充填される。その後、ステーション区間内の圧力が車両区間内の圧力に到達すると、第1逆止弁が開き、蓄圧器とステーション区間と車両区間とが連通し、ステーション区間内の水素ガスが車両区間内に流入し始める。

0051

さらに水素ガスを供給すると、第2逆止弁が閉じたままステーション区間及び車両区間内に水素ガスが充填される。そしてステーション区間及び車両区間内の圧力が水素タンク内の圧力に到達すると、第2逆止弁が開き、蓄圧器とステーション区間と車両区間と水素タンク内とが連通し、車両区間内の水素ガスが水素タンク内に流入し始める。

0052

以上のように、実際には、流量調整弁を開き水素ガスの供給を開始しても直ちに水素タンク内に水素ガスが流入することはない。実際には、時刻t0において水素ガスの供給を開始した後、始めに時刻t1において第1逆止弁が開き、その後時刻t2において第2逆止弁が開くことによって初めて蓄圧器と水素タンク内とが連通し、水素タンク内に水素ガスが流入する。

0053

この際、図2の上段に示すように、一定の充填流量で水素ガスを供給し続けると、ステーション圧P(すなわち、ステーション区間内の圧力)の上昇速度は、第1及び第2逆止弁が開くタイミング(図2中、時刻t1、t2参照)で低下する。すなわち、ステーション圧Pの傾きは、図2逆止弁が開く度になだらかになる。またこの際、ステーション圧Pから算出される圧力変化量は、図2に示すように、第1及び第2逆止弁が開くタイミングで階段状に急激に減少する。

0054

このような圧力変化量の特徴的な振る舞いについて、より詳細に検討する。先ず、下記式(1)に示すように、容積Vの容器内に閉じ込められたガスの圧力Pと容積Vとの積は、圧縮率因子Zと容器内のガスの質量mと気体定数Rと容器内のガスの温度Tとの積で表される。
PV=ZmRT(1)

0055

また上記式(1)の実在気体方程式において、容積Vを一定にしたまま微小状態変化(P→P+dP、Z→Z+dZ、m→m+dm、T→T+dT)を仮定し、さらに圧縮率因子の変化量dZ及び温度の変化量dTをそれぞれ0と近似すると、下記式(2)が導出される。すなわち、容器内の圧力の単位質量当たりの変化量(dP/dm)は、下記式(2)に示すように容器の容積Vに反比例する。したがって水素充填システムにおいて一定の充填流量で水素ガスを供給した際における圧力変化量の階段状の振る舞いは、第1逆止弁及び第2逆止弁が開くことによって、系の容積が2段階で階段状に増加したことに起因するものと言える。
dP/dm=ZRT/V (2)

0056

また、一般的に水素タンクの容積は、車両区間及びステーション区間の容積よりも大きい。このため、各時刻t1及びt2で発生する圧力変化量の急峻の大きさ(すなわち、圧力変化量の落差)は、第1逆止弁が開く時刻t1よりも第2逆止弁が開く時刻t2の方が大きくなる。

0057

また以上のような圧力変化量の特徴的な振る舞いを用いると、水素ステーション側に設けられるステーション圧力センサの出力を用いて、水素ステーションの蓄圧器と水素タンクとを接続した時における水素タンク内の圧力である初期圧力を取得することができる。すなわち、第2逆止弁は、ステーション区間及び車両区間の圧力と未知である水素タンク内の圧力とがほぼ等しくなると開弁する。したがって、圧力変化量に2回目の急峻が発生した時刻t2におけるステーション圧Pは、その時の水素タンクの圧力、すなわち初期圧力とほぼ等しいといえる。またこのような方法によって取得した初期圧力は、上述のプレショット法を適用して取得される初期圧力と異なり、充填を開始する直前の実際の水素タンク内の圧力に近い。

0058

図3は、車両に搭載された水素タンクと水素ステーションの蓄圧器とを配管で接続し、タンク内に水素ガスを充填する水素ガス充填方法の具体的な手順を示すフローチャートである。

0059

始めにS1では、作業者は、水素ステーションの充填ノズルを車両のレセプタクルに篏合させ、水素ステーションの水素ガス供給源である蓄圧器と車両の水素タンクとを、ステーション配管と車両配管との2本を直列に接続して構成される配管によって接続する。なお、後に詳述するように、水素ステーションでは、充填が終わる度にステーション配管内に溜まった高圧の水素ガスを希釈装置へ排出するベント処理を行うことから(後述のS8参照)、ステーション配管内の圧力は通常想定される車両配管及び水素タンク側の圧力よりも低くなっている。したがって、S1において充填ノズルをレセプタクルに接続した直後は、車両配管に設けられる第1及び第2逆止弁は共に閉じた状態となっている。

0060

次にS2では、水素ステーションは、ステーション配管に設けられた遮断弁及び流量調整弁を開き、初期充填を開始する。より具体的にはこの初期充填では、水素ステーションは、ステーション配管を流れる水素ガスの充填流量が予め定められた目標値で一定になるように、質量流量計の出力を用いて流量調整弁を制御することが好ましい。なお初期充填における水素ガスの充填流量に対する目標値は、圧力変化量に発生する急峻を適切に検出できるように、十分に小さな値であって予め試験を行うことによって定められた値に設定される。すなわち、充填流量に対する目標値を大きくし過ぎると、第1及び第2逆止弁がほぼ同時に開いてしまい、図2を参照して説明したように圧力変化量が階段状に変化しなくなってしまう。このため、充填流量に対する目標値は十分に小さな値に設定される。

0061

S3では、水素ステーションは、水素ガスの充填を継続しながら、ステーション圧センサの出力及び質量流量計の出力を用いることによって圧力変化量の値を取得する。この圧力変化量の具体的な値は、ステーション圧センサ及び質量流量計の出力を用いることによって、ステーションECUにおいて算出することができる。

0062

S4では、水素ステーションは、S3で取得した圧力変化量の値が第2逆止弁の開弁、すなわち図2を参照して説明した圧力変化量の2回目の急峻の発生を判定するために定められた所定の初期圧判定閾値以下になったか否かを判定する。S4の判定がYESである場合には、水素ステーションは、圧力変化量の値が初期圧判定閾値以下になった時におけるステーション圧を取得し、これを現在接続されている水素タンクの初期圧力とする(S5参照)。

0063

S6では、水素ステーションは、S5において取得した初期圧力の値が所定の充填中断閾値より高いか否かを判定する。S6の判定がNOである場合には、水素ステーションは、S5において取得した初期圧力を用いて本充填を実行し(S7参照)、本充填が終わったらS8に移る。一方S6の判定がYESである場合には、水素ステーションは、現在の水素タンクはほぼ満充填の状態に近く、新たに水素ガスを充填する必要がないと判断し、充填を中止し(S8参照)、S9に移る。

0064

S9では、水素ステーションは、次回の他の車両の水素タンクへの水素ガスの充填に備えて、開放弁を開き、ステーション配管内(より具体的には、ステーション配管内のうち流量調整弁から充填ノズルまでの間の区間)における圧力を減圧するベント処理を行う。これにより、ステーション配管内に溜まっていた高圧の水素ガスの一部はベント管を介して図示しない処理装置へ導入される。このようなベント処理を行うことにより、ステーション配管内の圧力を、一般的なタンクで想定される所定の最低残圧よりも低くできる。

0065

一方、S4の判定がNOである場合、すなわち圧力変化量の値が初期圧判定閾値以下にならない場合には、水素ステーションはS10に移り、初期充填を開始してから所定時間経過したか否かを判定する。S10の判定がNOである場合には、水素ステーションは、S3に移り初期充填を継続しつつ、圧力変化量が初期圧判定閾値以下になるのを待つ。

0066

なお、図2を参照して説明したように、圧力変化量の急峻の大きさは接続されている水素タンクの容積に反比例する。したがって、初期充填を開始してから所定時間が経過しても圧力変化量の値が初期圧判定閾値以下にならない場合とは、接続されている水素タンクの容積が通常想定される大きさよりも小さいものであると判断される。このため、S10の判定がYESである場合には、すなわち初期充填を開始してから所定時間が経過するまでの間に圧力変化量の値が初期圧判定閾値以下にならなかった場合には、規定よりも小さな容積の水素タンクへ水素ガスの充填を中止すべく、S8に移る。

0067

以上、本発明の第1実施形態に係る水素ガス充填方法について説明したが、本発明はこれに限らない。本発明の趣旨の範囲内で、細部の構成を適宜変更してもよい。

0068

例えば上記実施形態では、S4において取得する圧力変化量は、ステーション圧の単位質量当たりの変化量[Pa/kg]としたが、本発明はこれに限らない。圧力変化量は、ステーション圧の単位時間当たりの変化量[Pa/sec]としても、同様の効果を奏すると考えられる。

0069

また例えば上記実施形態では、初期充填では水素ガスの充填流量が予め定められた目標値で一定になるように流量調整弁を制御したが、本発明はこれに限らない。図2を参照して説明したように、初期充填を開始してから第2逆止弁が開き、水素ステーションの蓄圧器と水素タンク内とが連通するまでにかかる時間は、水素タンクが接続された時における水素タンク内の圧力が高くなるほど長くなり、また初期充填を実行する際における水素ガスの充填流量が小さくなるほど長くなる。したがって、初期圧力を取得するまでにかかる時間を短くするため、初期充填を実行する際における充填流量に対する目標値は、その時の水素タンク内の圧力に応じて適宜調整することが好ましい。この際、図1を参照して説明したように、燃料電池車両は赤外線通信機を用いてタンク内圧に関する情報を水素ステーションへ送信する。したがって水素ステーションでは、車両から送信されるタンク内圧に関する情報を用いて充填流量に対する目標値を設定することが好ましい。この場合、初期圧力を取得するためにかかる時間をできるだけ短くするため、水素ステーションは、タンク内圧が高いほど目標値を大きな値に設定し、初期充填時における水素ガスの充填流量を大きくすることが好ましい。

0070

また上記実施形態では、充填を中止した後(S9参照)又は本充填が終了した後(S7参照)に、次回の新たな充填に備えてベント処理を行ったが(S10参照)、ベント処理を行うタイミングはこれに限るものではない。ベント処理を行うタイミングは、充填を中止した後又は本充填が終了した後から、次回の初期充填を開始するまでの間であればいつでもよい。

0071

<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお以下の本実施形態の説明において、第1実施形態と共通する点については図示及びその説明を省略する。

0072

図3を参照して説明したように第1実施形態の水素ガス充填方法では、圧力変化量に対して初期圧判定閾値を設定し、初期充填を行っている間に取得した圧力変化量の値がこの初期圧判定閾値以下になったタイミングで初期圧力を取得した。一方、水素タンクと蓄圧器とを配管で接続し、蓄圧器から水素ガスを水素タンクへ供給すると、配管では圧力損失が発生する。またこの圧力損失は、水素タンク内の圧力が低くなり、水素ガスの体積流量が増える程大きくなる。また圧力損失が大きくなると、配管内の蓄圧器側と水素タンク側との圧力差が大きくなってしまうため、第2逆止弁が開いた時におけるステーション圧を初期圧力とすることは妥当でなくなってしまう。本実施形態の水素ガス充填方法は、配管で発生する圧力損失の影響を考慮して初期圧力を取得すべきタイミングを特定する点において、第1実施形態と異なる。

0073

図4は、本実施形態に係る水素ガス充填方法の具体的な手順を示すフローチャートである。図4のフローチャートにおいて、S31〜S35以外の処理の具体的な内容は、図3のフローチャートと同じであるので、同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。
図5は、図4のフローチャートの手順に従って水素ガスを水素タンクに充填した際におけるステーション圧、タンク圧、及び圧力変化量の変化を示すタイムチャートである。

0074

S31では、水素ステーションは、圧力変化量の値が初期圧判定閾値以下になった時におけるステーション圧の値を取得する。S32では、水素ステーションは、取得したステーション圧の値が、配管における圧力損失の大きさを判定するために定められた圧損判定閾値より大きいか否かを判定する。S32の判定がYESである場合には、水素ステーションは、初期充填による圧力損失の影響は無視できると判断し、S31で取得したステーション圧を、現在接続されている水素タンクの初期圧力とする(S35参照)。

0075

S32の判定がNOである場合には、水素ステーションは、初期充填による圧力損失の影響は無視できないほどの大きさであると判断し、圧力損失を小さくすべく充填流量を低減する(S33参照)。この際、充填流量は減少させるだけでなく、充填流量を0とし水素ガスの充填を完全に停止させてもよい。これにより、圧力損失が小さくなり、ステーション圧とタンク内の圧力とが近づく(図5参照)。

0076

S34では、水素ステーションは、S33において充填流量を低減してから所定時間後(例えば、ステーション圧の値が所定値に収束する程度の時間が経過した後)、再びステーション圧の値を取得する。S35では、水素ステーションは、S34で取得したステーション圧を、現在接続されている水素タンクの初期圧力とする。

0077

以上、本発明の第2実施形態に係る水素ガス充填方法について説明したが、本発明はこれに限らない。本発明の趣旨の範囲内で、細部の構成を適宜変更してもよい。

0078

<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお以下の本実施形態の説明において、第1実施形態と共通する点については図示及びその説明を省略する。

0079

図3を参照して説明したように第1実施形態の水素ガス充填方法では、圧力変化量に対して初期圧判定閾値を設定し、初期充填を行っている間に取得した圧力変化量の値がこの初期圧判定閾値以下になったタイミングで初期圧力を取得した。本実施形態の水素ガス充填方法は、初期圧力を取得すべきタイミングを特定する手段が第1実施形態と異なる。本実施形態に係る水素ガス充填方法は、圧力変化量に対して初期圧判定閾値を設定することなく初期圧力を取得すべきタイミングを特定する点において第1実施形態の水素ガス充填方法と異なる。

0080

図6は、本実施形態に係る水素ガス充填方法の具体的な手順を示すフローチャートである。図6のフローチャートにおいて、S21以外の処理の具体的な内容は、図3のフローチャートと同じであるので詳細な説明を省略する。

0081

S3において圧力変化量を取得した後、水素ステーションは、初期充填を開始した後、圧力変化量に図2に示すような2回目の急峻が発生したか否かを判定する。すなわち、図2に示すように、水素ステーションの蓄圧器と水素タンク内とを接続する配管には、第1及び第2逆止弁の2つの逆止弁が設けられることに対応して、初期充填時における圧力変化量は2段階の階段状に減少する。すなわち、圧力変化量の時間変化には、第1逆止弁が開いたタイミングで1回目の急峻(圧力変化量の落差)が発生し、第2逆止弁が開いたタイミングで2回目の急峻が発生する。また、第2逆止弁が開くと系の体積が大きく変化することから、2回目に発生する急峻の大きさは1回目のものよりも大きい。S21の判定がYESである場合には、水素ステーションは、このような2回目の急峻が発生した時におけるステーション圧を取得し、これを現在接続されている水素タンクの初期圧力とする(S5参照)。

0082

なお、圧力変化量に急峻が発生したか否かは、圧力変化量の時間微分値を算出し、これが所定値以下であるか否かによって判定することができる。したがってS21では、水素ステーションは、例えば圧力変化量の時間微分値を算出し、この時間微分値を用いることによって圧力変化量に2回目の急峻が発生したか否かを判定することができる。

0083

以上、本発明の第3実施形態に係る水素ガス充填方法について説明したが、本発明はこれに限らない。本発明の趣旨の範囲内で、細部の構成を適宜変更してもよい。

0084

S…水素充填システム
V…燃料電池車両(移動体)
31…水素タンク(タンク)
38…レセプタクル
39…車両配管(配管、下流配管)
42…タンク内圧力センサ
5…赤外線通信機(送信器)
9…水素ステーション
91…蓄圧器(供給源)
92…充填ノズル
93…ステーション配管(配管、上流配管)
94b…流量調整弁

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