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技術 ギヤポンプ

出願人 アイシン機工株式会社アイシン・エィ・ダブリュ株式会社
発明者 木村雅幸服部雅士武田光博
出願日 2015年9月7日 (4年9ヶ月経過) 出願番号 2015-175874
公開日 2017年3月16日 (3年3ヶ月経過) 公開番号 2017-053240
状態 特許登録済
技術分野 回転型液体ポンプ(1) 回転型液体ポンプの応用細部
主要キーワード 仕切り幅 回転角度δ 回転中心周り エピトロコイド曲線 漏れ油 連通後 両タイミング ギヤ収容室
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (10)

課題

吐出ポートに連通しなくなって吸入ポートに連通することになる歯間室でのキャビテーションの発生を良好に抑制する。

解決手段

ギヤポンプ1は、吸入ポート6と、第1および第2吐出ポート7,8と、複数の外歯20を有するインナーロータ2と、インナーロータ2の外歯20よりも多い複数の内歯30を有するアウターロータ3と、複数の外歯20および複数の内歯30とにより画成される複数の歯間室5とを含み、第1および第2吐出ポート7,8は、インナーロータ2等の回転に伴って容積Vが減少する歯間室5に連通し、第2吐出ポート8に連通しなくなった歯間室5xは、容積Vの減少中に吸入ポート6に連通し、第2吐出ポート8に連通しなくなった歯間室5xの容積Vは、当該歯間室5xの少なくとも一部が吸入ポート6に連通した後に増加する。

概要

背景

従来、ギヤポンプとして、n個の外歯を有するインナーロータと、当該外歯と噛み合うn+1個の内歯を有するアウターロータと、吸入ポートおよび吐出ポートが形成されたケーシングとを含むものが知られている(例えば、特許文献1参照)。このギヤポンプでは、インナーロータの回転中心と外歯の歯先とを結ぶ第1直線と、回転中心と外歯の噛み合い部とを結ぶ第2直線とがなす第1角度が、回転中心と外歯の歯底とを結ぶ第3直線と、第2直線とがなす第2角度の1.4倍以上1.8倍以下とされている。更に、外歯の噛み合い部における回転方向に沿う幅は、吸入ポートの両ロータの回転方向における後端と、吐出ポートの回転方向における前端との距離、すなわちポート仕切り幅と同等とされている。

概要

吐出ポートに連通しなくなって吸入ポートに連通することになる歯間室でのキャビテーションの発生を良好に抑制する。ギヤポンプ1は、吸入ポート6と、第1および第2吐出ポート7,8と、複数の外歯20を有するインナーロータ2と、インナーロータ2の外歯20よりも多い複数の内歯30を有するアウターロータ3と、複数の外歯20および複数の内歯30とにより画成される複数の歯間室5とを含み、第1および第2吐出ポート7,8は、インナーロータ2等の回転に伴って容積Vが減少する歯間室5に連通し、第2吐出ポート8に連通しなくなった歯間室5xは、容積Vの減少中に吸入ポート6に連通し、第2吐出ポート8に連通しなくなった歯間室5xの容積Vは、当該歯間室5xの少なくとも一部が吸入ポート6に連通した後に増加する。

目的

そこで、本開示の発明は、吐出ポートに連通しなくなって吸入ポートに連通することになる歯間室でのキャビテーションの発生を良好に抑制することができるギヤポンプの提供を主目的とする

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

吸入ポートと、吐出ポートと、複数の外歯を有するインナーロータと、前記インナーロータの前記外歯よりも多い複数の内歯を有すると共に該インナーロータに対して偏心するように配置されるアウターロータと、前記複数の外歯および前記複数の内歯により画成される複数の歯間室とを含むギヤポンプにおいて、前記吐出ポートは、前記インナーロータおよび前記アウターロータの回転に伴って容積が減少する前記歯間室に連通し、前記吐出ポートに連通しなくなった前記歯間室は、該歯間室の容積の減少中に前記吸入ポートに連通し、前記吐出ポートに連通しなくなった前記歯間室の容積は、該歯間室の少なくとも一部が前記吸入ポートに連通した後に増加することを特徴とするギヤポンプ。

請求項2

請求項1に記載のギヤポンプにおいて、前記吐出ポートに連通しなくなった前記歯間室の容積は、該歯間室の全体が前記吸入ポートと連通した後に増加し始めることを特徴とするギヤポンプ。

請求項3

請求項1または2に記載のギヤポンプにおいて、前記インナーロータは、前記吐出ポートに連通しなくなった前記歯間室を画成する歯底部が、該歯間室の容積が最小になったときに、前記インナーロータの軸方向からみて前記吸入ポートの内周縁から該インナーロータの回転中心側にはみ出ることなく該内周縁に近接するように形成されることを特徴とするギヤポンプ。

請求項4

請求項1から3の何れか一項に記載のギヤポンプにおいて、前記インナーロータは、前記容積が減少する前記歯間室が、該歯間室を画成する前記外歯と前記内歯との噛み合い部が前記吐出ポートの周縁に該インナーロータの軸方向からみて重なり合った以降に、前記吸入ポートに連通するように形成されることを特徴とするギヤポンプ。

請求項5

請求項1から3の何れか一項に記載のギヤポンプにおいて、前記インナーロータは、前記容積が減少する前記歯間室が、該歯間室を画成する前記外歯と前記内歯との噛み合い部が前記吐出ポートの周縁に該インナーロータの軸方向からみて重なり合う前に、前記吸入ポートに連通するように形成されることを特徴とするギヤポンプ。

請求項6

請求項1から5の何れか一項に記載のギヤポンプにおいて、前記インナーロータの前記外歯のそれぞれは、描画点半径よりも小さい半径を有する外転円基礎円外接させながら滑りなく転動させて得られるエピトロコイド曲線により形成された歯先部を含むことを特徴とするギヤポンプ。

請求項7

請求項6に記載のギヤポンプにおいて、前記インナーロータの前記外歯のそれぞれは、任意の曲線により形成されると共に、前記歯先部と該歯先部よりも前記インナーロータの回転方向における前側に位置する歯底部との間に位置する第1中間部と、任意の曲線により形成されると共に、前記歯先部と該歯先部よりも前記インナーロータの回転方向における後側に位置する歯底部との間に位置する第2中間部とを含み、前記第1中間部を形成する曲線の長さは、前記第2中間部を形成する曲線の長さよりも長いことを特徴とするギヤポンプ。

請求項8

請求項7に記載のギヤポンプにおいて、前記第1中間部は、少なくともインボリュート曲線により形成されることを特徴とするギヤポンプ。

請求項9

請求項1から8の何れか一項に記載のギヤポンプにおいて、前記吐出ポートは、第1吐出ポートと、隔壁により前記第1吐出ポートと仕切られており、該第1吐出ポートよりも前記インナーロータの回転方向における前側に配置された第2吐出ポートとを含むことを特徴とするギヤポンプ。

技術分野

0001

本開示は、複数の外歯を有するインナーロータと、複数の内歯を有すると共にインナーロータに対して偏心するように配置されるアウターロータとを含むギヤポンプに関する。

背景技術

0002

従来、ギヤポンプとして、n個の外歯を有するインナーロータと、当該外歯と噛み合うn+1個の内歯を有するアウターロータと、吸入ポートおよび吐出ポートが形成されたケーシングとを含むものが知られている(例えば、特許文献1参照)。このギヤポンプでは、インナーロータの回転中心と外歯の歯先とを結ぶ第1直線と、回転中心と外歯の噛み合い部とを結ぶ第2直線とがなす第1角度が、回転中心と外歯の歯底とを結ぶ第3直線と、第2直線とがなす第2角度の1.4倍以上1.8倍以下とされている。更に、外歯の噛み合い部における回転方向に沿う幅は、吸入ポートの両ロータの回転方向における後端と、吐出ポートの回転方向における前端との距離、すなわちポート仕切り幅と同等とされている。

先行技術

0003

特許第4889981号公報

発明が解決しようとする課題

0004

特許文献1には、上記第1角度を第2角度の1.4倍以上1.8倍以下とすることで、複数のセル歯間室)のうち、両ロータが噛み合って外歯から内歯に回転駆動力を伝達させる噛み合い位置に位置する最小容積のセルが密閉される、いわゆる流体の閉じ込みの発生を防ぐことが可能になる、と記載されている。しかしながら、特許文献1に記載された構成を採用しても、吐出ポートに流体を吐出して容積が最小になったセルに対してケースと両ロータとの隙間(ギヤポンプの軸方向における隙間)から流体が流入するのを完全に抑制することは困難である。従って、特許文献1のギヤポンプでは、吐出ポートに連通しなくなって吸入ポートに連通することになる歯間室にケースと両ロータとの隙間から流体が高速で流入することによりキャビテーションが発生してしまうおそれがある。

0005

そこで、本開示の発明は、吐出ポートに連通しなくなって吸入ポートに連通することになる歯間室でのキャビテーションの発生を良好に抑制することができるギヤポンプの提供を主目的とする。

課題を解決するための手段

0006

本開示のギヤポンプは、吸入ポートと、吐出ポートと、複数の外歯を有するインナーロータと、前記インナーロータの前記外歯よりも多い複数の内歯を有すると共に該インナーロータに対して偏心するように配置されるアウターロータと、前記複数の外歯および前記複数の内歯により画成される複数の歯間室とを含むギヤポンプにおいて、前記吐出ポートは、前記インナーロータおよび前記アウターロータの回転に伴って容積が減少する前記歯間室に連通し、前記吐出ポートに連通しなくなった前記歯間室は、該歯間室の容積の減少中に前記吸入ポートに連通し、前記吐出ポートに連通しなくなった前記歯間室の容積は、該歯間室の少なくとも一部が前記吸入ポートに連通した後に増加することを特徴とする。

0007

このギヤポンプでは、吐出ポートに連通しなくなった歯間室が、インナーロータおよびアウターロータの回転に伴って当該歯間室の容積が減少する間に吸入ポートに連通する。これにより、吐出ポートに連通しなくなった歯間室の容積がインナーロータ等の回転に伴って減少することで、当該歯間室から吸入ポートに流体が吐出される。そして、吐出ポートに連通しなくなった歯間室の容積は、当該歯間室が吸入ポートに連通した後に増加する。すなわち、吐出ポートに連通しなくなった歯間室の容積は、当該歯間室が吸入ポートに連通した後に最小になる。この結果、吐出ポートに連通しなくなった歯間室から吸入ポートに流出する流体により、インナーロータおよびアウターロータと両者を収容する部材との隙間(軸方向における隙間)から当該歯間室に流体が高速で流入するのを良好に規制することができる。従って、このギヤポンプでは、吐出ポートに連通しなくなって吸入ポートに連通することになる歯間室でのキャビテーションの発生を良好に抑制することが可能となる。

図面の簡単な説明

0008

本開示のギヤポンプを示す概略構成図である。
本開示のギヤポンプに含まれるインナーロータの外歯を示す概略構成図である。
本開示のギヤポンプに含まれるインナーロータの外歯の創成手順を示す模式図である。
本開示のギヤポンプに含まれるアウターロータの内歯の創成手順を示す模式図である。
本開示のギヤポンプの動作を説明するための拡大図である。
本開示のギヤポンプの動作を説明するための拡大図である。
本開示のギヤポンプの動作を説明するための拡大図である。
インナーロータの回転中心周り回転角度と、吐出ポートに連通しなくなる歯間室の容積との関係を例示する図表である。
本開示の他の実施形態に係るギヤポンプの動作を説明するための拡大図である。

実施例

0009

次に、図面を参照しながら、本開示の発明を実施するための形態について説明する。

0010

図1は、本開示の一実施形態に係るギヤポンプ1を示す概略構成図である。同図に示すギヤポンプ1は、例えば図示しない車両に搭載されるオイルポンプとして構成され、オイルパン貯留されている作動油(ATF)を吸引して油圧制御装置(何れも図示省略)へと圧送するものである。ギヤポンプ1は、例えば自動変速機変速機ケースに固定されるポンプボディと当該ポンプボディに締結されるポンプカバーとにより構成されるポンプハウジング(何れも図示省略)と、当該ポンプハウジングにより画成される図示しないギヤ収容室内にそれぞれ回転自在に配置されるインナーロータ(ドライブギヤ)2およびアウターロータ(ドリブンギヤ)3とを含む。なお、ギヤポンプ1は、変速機用の作動油を圧送するオイルポンプ以外の車載ポンプ(例えば、エンジンオイルポンプ)として構成されてもよく、車載ポンプ以外の用途に適用されてもよい。

0011

インナーロータ2は、車両に搭載されたエンジンクランクシャフト(何れも図示省略)に連結される回転軸4に固定され、当該回転軸4に付与される動力により回転駆動される。また、インナーロータ2の外周には、複数(本実施形態では、例えば11歯)の外歯20が形成されている。一方、アウターロータ3の内周には、インナーロータ2の外歯20の総数よりも1つ多い数(本実施形態では、例えば12歯)の内歯30が形成されている。アウターロータ3は、図1における下側に位置する何れか1つまたは複数の内歯30がインナーロータ2の対応する外歯20に噛合すると共に、インナーロータ2に対して偏心した状態で上記ギヤ収容室内に回転自在に配置される。更に、インナーロータ2とアウターロータ3との間には、基本的に、隣り合う2つの外歯20と隣り合う2つの内歯30とにより複数の歯間室(ポンプ室)5が形成される。

0012

これにより、回転軸4からの動力によりインナーロータ2が図1における太線矢印方向に回転すると、アウターロータ3は、複数の内歯30の一部が複数の外歯20の一部に噛合することで、インナーロータ2の回転中心2cから偏心量eだけ離間した回転中心3cの周りにインナーロータ2と共に同方向に回転する。インナーロータ2およびアウターロータ3が回転する際、両者の回転方向(図1における太線矢印参照)における後側の領域、すなわち図1における主に右側半分の領域では、インナーロータ2等の回転に伴って各歯間室5の容積が増加(歯間室5が膨張)する。また、インナーロータ2およびアウターロータ3が回転する際、インナーロータ2等の回転方向における前側の領域、すなわち図1における主に左側半分の領域では、インナーロータ2等の回転に伴って各歯間室5の容積が減少(歯間室5が収縮)する。

0013

ギヤポンプ1の図示しないポンプハウジングには、それぞれ略円弧状に延在する吸入ポート6、第1吐出ポート7および第2吐出ポート8が形成されている。吸入ポート6は、外歯20と内歯30とにより画成される複数の歯間室5のうちのインナーロータ2およびアウターロータ3の回転に伴って容積が増加する歯間室5と連通(対向)する。第1および第2吐出ポート7,8は、隔壁9により仕切られて互いに独立しており、複数の歯間室5のうちのインナーロータ2およびアウターロータ3の回転に伴って容積が減少する歯間室5とそれぞれ連通(対向)する。本実施形態では、インナーロータ2等の回転方向における後側に位置する第1吐出ポート7が低圧ポートとされ、当該回転方向における前側に位置する第2吐出ポート8が高圧ポートとされる。

0014

なお、第1および第2吐出ポート7,8は、互いに異なる油路に接続されてもよく、共通の油路に接続されてもよい。また、吸入ポート6、第1および第2吐出ポート7,8は、インナーロータ2およびアウターロータ3の軸方向における両側(ポンプボディおよびポンプカバーの双方)に形成されてもよく、インナーロータ2およびアウターロータ3の軸方向における片側(ポンプボディおよびポンプカバーの一方)に形成されてもよい。更に、例えば、吸入ポート6がインナーロータ2等の軸方向における一側に形成されてもよく、第1および第2吐出ポート7,8がインナーロータ2等の軸方向における他側に形成されてもよい。また、第1吐出ポート7がインナーロータ2等の軸方向における一側に形成されてもよく、第2吐出ポート8がインナーロータ2等の軸方向における他側に形成されてもよい。

0015

図2は、インナーロータ2の外歯20を示す概略構成図であり、図3は、外歯20の創成手順を示す模式図である。これらの図面に示すように、インナーロータ2の各外歯20は、凸曲面状の歯先部21と、凹曲面状の歯底部22と、歯先部21よりもインナーロータ2の回転方向(図3における太線矢印参照)における前側で当該歯先部21と歯底部22との間に位置する第1中間部23と、歯先部21よりもインナーロータ2の回転方向における後側で当該歯先部21と歯底部22との間に位置する第2中間部24とを含む。図示するように、外歯20は、歯先部21の最も径方向外側に位置する頂部21tとインナーロータ2の回転中心2cを通る歯形中心線Lcに関して左右非対称に形成される。

0016

歯先部21は、図3に示すように、第1の描画点半径rdeを外転円Coの半径reで除して得られるトロコイド係数が値1よりも大きい(例えば1.2程度の値)エピトロコイド曲線ループ部以外の部分)により凸曲面状に形成される。歯先部21を形成するエピトロコイド曲線は、第1の描画点の半径rdeを第1の値Rde(一定値)に保つと共に当該第1の値Rdeよりも小さい半径reを有する外転円Coをインナーロータ2の回転中心2cと中心Oを共通にする基礎円BCtに外接させながら滑りなく転動させることにより得られる。

0017

歯底部22は、第2の描画点の半径rdhを内転円Ciの半径rhで除して得られるトロコイド係数が値1よりも大きいハイポトロコイド曲線(ループ部以外の部分)により形成される中間部と、円弧等の曲線により形成される2つの立ち上がり部とを含む。歯底部22の中間部を形成するハイポトロコイド曲線は、歯先部21を形成するエピトロコイド曲線と基礎円BCtを共通にするものであり、図3に示すように、第2の描画点の半径rdhを第2の値Rdh(一定値)に保つと共に当該第2の値Rdhよりも小さい半径rhを有する内転円Ciを上記基礎円BCtに内接させながら滑りなく転動させることにより得られる。また、本実施形態において、歯先部21を形成するエピトロコイド曲線を描画するための第1の描画点の半径rdeすなわち第1の値Rdeと、歯底部22を形成するハイポトロコイド曲線を描画するための第2の描画点の半径rdhすなわち第2の値Rdhとは、同一の値Rdに定められている。同様に、外転円Coの半径reおよび内転円Ciの半径rhも同一の値Rに定められている。従って、インナーロータ2では、Rde=Rdh=Rd、re=rh=R、歯丈=Rde+re+Rdh+rh=2・eという関係が成立する。

0018

歯底部22の2つの立ち上がり部は、それぞれハイポトロコイド曲線により形成される中間部に滑らかに連続するように当該中間部から対応する第1または第2中間部23,24に向けて延びる。また、インナーロータ2の回転方向における後側の立ち上がり部は、第1中間部23の当該回転方向における前側の端部23fで当該第1中間部23に滑らかに連続するように形成され、インナーロータ2の回転方向における前側の立ち上がり部は、第2中間部24の当該回転方向における後側の端部24rで当該第2中間部24に滑らかに連続するように形成される。これにより、歯底部22のハイポトロコイド曲線により形成される中間部は、基礎円BCtよりも中心O(インナーロータ2の回転中心2c)側にオフセットされることになる。更に、歯底部22は、外歯20の一歯分に対応した角度φ(360°/外歯20の歯数)の二分の1(φ/2)だけ歯形中心線Lcから上記回転方向の前側または後側に回転させられた線分Leとの交差部22xを含む。そして、インナーロータ2では、図2および図3に示すように、歯形中心線Lcを挟む2つの交差部22x間の範囲が外歯20の一歯分の範囲とされる。

0019

第1中間部23は、図2および図3に示すように、歯先部21と、当該歯先部21のインナーロータ2の回転方向における前側の歯底部22との間に形成される。本実施形態において、第1中間部23は、歯先部21の当該回転方向における前側の端部21fでの接線が当該端部21fでの上記エピトロコイド曲線の接線と共通になるように定められたインボリュート曲線により形成される。これにより、端部21fにおいて歯先部21と第1中間部23とを滑らかに連続させることができる。本実施形態において、第1中間部23を形成するインボリュート曲線の長さ、すなわち歯先部21の端部21fから第1中間部23の端部23fまでの長さは、第2中間部24を形成する曲線の長さ、すなわち歯先部21の端部21rから第2中間部24の端部24rまでの長さよりも長く定められる。

0020

第2中間部24は、図2および図3に示すように、歯先部21と、該歯先部21のインナーロータ2の回転方向における後側の歯底部22との間に形成される。第2中間部24は、上記基礎円BCtとの交差部24xよりも歯先部21側に位置する外側中間部24oと、交差部24xよりも歯底部22側に位置する内側中間部24iとを含む。本実施形態において、外側中間部24o、すなわち交差部24xから歯先部21のインナーロータ2の回転方向における後側の端部(境界)21rまでの範囲は、図3に示すように、上記第1描画点の半径(図中点線参照)を変化させながら基礎円BCtに外接する外転円Coを滑りなく転動させて得られる第1の曲線により形成される。また、内側中間部24i、すなわち交差部24xから端部24rまでの範囲は、図3に示すように、上記第2描画点の半径(図中二点鎖線参照)を変化させながら基礎円BCtに内接する内転円Ciを滑りなく転動させて得られる第2の曲線により形成される。なお、外転円Coや内転円Ciの第1または第2描画点の半径を変化させる手順については、特開2014−181619号公報を参照されたい。

0021

図4は、ギヤポンプ1に含まれるアウターロータ3の内歯30の創成手順を示す模式図である。同図に示すように、複数の内歯30により画成されるアウターロータ3の歯形(輪郭)は、上記インナーロータ2をベースとしたインナーロータ2Zの回転中心2cをアウターロータ3の回転中心3cを中心とする直径2・e+tの円周上で所定角度δずつ1周公転させると共に、回転中心2cが所定角度δだけ公転する際にインナーロータ2Zを回転角度δ/Nだけ自転させることにより得られる複数の歯形線(インナーロータ2の輪郭、図3における二点鎖線参照)に対して描かれる包絡線に基づいて定められる。ただし、“t”は、インナーロータ2Zの回転中心2c、アウターロータ3の回転中心3c、外歯20の歯先部21の頂部21tおよび内歯30の歯先部の頂部が一直線上に位置する際の頂部21tと内歯30の頂部とのクリアランスチップクリアランス)であり、例えば、0.03〜0.07mm程度の値とされる。

0022

アウターロータ3の歯形を定めるためのインナーロータ2Zは、上記インナーロータ2の歯底部22を図2および図3において二点鎖線で示す歯底部22zで置き換えたものに相当する。歯底部22zは、図2および図3に示すように、上記歯底部22の中間部を形成するものと同一のハイポトロコイド曲線(ループ部以外の部分)により形成された第2中間部24の端部24rから図2および図3に示す境界部22yまでの部分と、滑らかな曲線(例えば円弧)により形成された境界部22yから第1中間部23の端部23fまでの部分とを含むものである。これにより、インナーロータ2と適正に噛合可能なアウターロータ3を容易に得ることが可能となる。ただし、アウターロータ3の歯形(輪郭)は、上記包絡線自体であってもよく、当該包絡線よりも外側に位置するように定められてもよい。また、アウターロータ3の内歯は、インナーロータ2Zと概ね同一の形状を有する歯切工具を用いて創成されてもよい。

0023

そして、ギヤポンプ1では、インナーロータ2(外歯20の諸元)、アウターロータ3、吸入ポート6、第1および第2吐出ポート7,8は、第2吐出ポート8に連通しなくなった歯間室5x(図1参照)が、当該歯間室5xの容積の減少中に吸入ポート6に連通し、歯間室5xの少なくとも一部と吸入ポート6との連通後に当該歯間室5xの容積が増加するように構成される。加えて、ギヤポンプ1では、上死点(外歯20の歯先部21の頂部と、内歯30の歯先部の頂部とが一直線上で対向する(接する)位置)に最接近した何れか1つの外歯20が対応する内歯30と接触している間に、当該何れか1つの外歯20の回転方向における1つ後側に位置する外歯20が対応する内歯30と接触するように、インナーロータ2の複数の外歯20が形成される。かかる条件を満たすように歯先部21、歯底部22、第1および第2中間部23,24等の諸元を定めることにより、歯間室5(5x)におけるキャビテーションの発生を良好に抑制すると共に、ギヤポンプ1の作動中におけるインナーロータ2およびアウターロータ3の挙動を安定化させて振動ノイズを低減化することが可能となる。

0024

次に、図5から図8を参照しながら、ギヤポンプ1の動作について説明する。図5から図7は、ギヤポンプ1の動作を説明するための拡大図であり、図8は、インナーロータ2の回転中心2c周りの回転角度θと、第2吐出ポート8に連通しなくなる歯間室5xの容積Vとの関係を例示する図表である。なお、インナーロータ2の回転角度θは、ある外歯20の歯底部22の最底部(最深部)と回転中心2cとを結ぶ線部の回転中心2c周りの回転角度であり、インナーロータ2の回転中心2cの図中真下に当該外歯20の歯底部22の最底部が位置する状態を0°として図1反時計周りに測定される。

0025

ギヤポンプ1では、インナーロータ2およびアウターロータ3の回転に伴って、第2吐出ポート8に連通する各歯間室5の容積Vが減少していく。そして、インナーロータ2の回転角度θが第1の角度θ1(図8参照)になると、図5に示すように、第2吐出ポート8に連通していた歯間室5xを画成する回転方向後側の外歯20および内歯30の噛み合い部Eが第2吐出ポート8の周縁8eにインナーロータ2の軸方向からみて重なり合うことで、当該歯間室5xと第2吐出ポート8との連通が断たれることになる。更に、噛み合い部Eが第2吐出ポート8の周縁8eに重なり合って歯間室5xが第2吐出ポート8に連通しなくなった時点で、当該噛み合い部Eを含む外歯20よりもインナーロータ2の回転方向における1つ前側の外歯20の歯面(歯底部22あるいは第2中間部24)は、図5に示すように、インナーロータ2の軸方向からみて吸入ポート6の周縁6eと僅かに乗り越える。これにより、歯間室5xは、第2吐出ポート8に連通しなくなるのとほぼ同時に吸入ポート6に連通する。

0026

歯間室5xが第2吐出ポート8に連通しなくなって吸入ポート6に連通した後、歯間室5xの容積Vは、図8に示すように、インナーロータ2およびアウターロータ3の回転に伴って更に減少していく。また、インナーロータ2の軸方向からみた歯間室5xと吸入ポート6との連通面積は、図6に示すように、インナーロータ2およびアウターロータ3の回転に伴って徐々に増加していく。更に、本実施形態では、インナーロータ2の回転角度θが第2の角度θ2(図8参照)になると、図7および図8に示すように、歯間室5xの全体が吸入ポート6と連通する(軸方向からみて歯間室5xの全体が吸入ポート6と重なり合う)と共に、当該歯間室5xの容積Vが最小値Vminになる。

0027

また、歯間室5xの容積が最小値Vminになった際、歯間室5xを画成する2つの外歯20間の歯底部22は、図7に示すように、インナーロータ2の軸方向からみて、吸入ポート6の内周縁6ieから回転中心2c側にはみ出ることなく当該内周縁6ieに近接する(ほぼ接する)。そして、歯間室5xの容積Vが最小値Vminになった後、図8に示すように、インナーロータ2およびアウターロータ3の回転に伴って歯間室5xの容積Vが増加していくことで、当該歯間室5x内に吸入ポート6から作動油が吸入されていくことになる。

0028

上述のように、ギヤポンプ1では、第2吐出ポート8に連通しなくなった歯間室5xが、インナーロータ2およびアウターロータ3の回転に伴って当該歯間室5xの容積Vが減少する間に吸入ポート6に連通する。これにより、第2吐出ポート8に連通しなくなった歯間室5xの容積Vがインナーロータ2等の回転に伴って減少することで、当該歯間室5x内に残留している作動油が吸入ポート6に吐出される。そして、第2吐出ポート8に連通しなくなった歯間室5xの容積Vは、当該歯間室5xが吸入ポート6に完全に連通した後に増加し始める。すなわち、第2吐出ポート8に連通しなくなった歯間室5xの容積Vは、当該歯間室5xが吸入ポート6に完全に連通した後に最小値Vminになる。

0029

この結果、第2吐出ポート8に連通しなくなった歯間室5xから吸入ポート6に流出する作動油により、インナーロータ2およびアウターロータ3と、ポンプボディおよびポンプハウジングの少なくとも何れか一方との隙間(インナーロータ2の軸方向における隙間)から狭隘な歯間室5xに作動油(漏れ油)が高速で流入するのを良好に規制することができる。従って、ギヤポンプ1では、第2吐出ポート8に連通しなくなって吸入ポート6に連通することになる歯間室5xでのキャビテーションの発生を良好に抑制することが可能となる。

0030

また、上記ギヤポンプ1において、インナーロータ2およびアウターロータ3の回転に伴って容積Vが減少する歯間室5xは、当該歯間室5xを画成する外歯20と内歯30との噛み合い部Eが第2吐出ポート8の周縁8eにインナーロータ2の軸方向からみて重なり合ったときに当該第2吐出ポート8と連通しなくなる。そして、ギヤポンプ1では、噛み合い部Eが第2吐出ポート8の周縁8eにインナーロータ2の軸方向からみて重なり合ったときに、当該噛み合い部Eを含む外歯20よりもインナーロータ2の回転方向における1つ前側の外歯20の歯面(第2中間部24あるいは歯底部22)が吸入ポート6の周縁6eに軸方向からみて重なり合う。これにより、インナーロータ2等の回転に伴って容積Vが減少する歯間室5xを第2吐出ポート8と連通しなくなった直後に吸入ポート6に連通させ、当該歯間室5x内の作動油を吸入ポート6へと流出させることができる。従って、第2吐出ポート8に連通しなくなった歯間室5xに対して、インナーロータ2およびアウターロータ3と、ポンプボディおよびポンプハウジングの少なくとも何れか一方との隙間から狭隘な歯間室5xに作動油(漏れ油)が高速で流入するのを極めて良好に規制することが可能となる。

0031

更に、上記ギヤポンプ1において、第2吐出ポート8に連通しなくなった歯間室5xの容積Vは、当該歯間室5xの全体が吸入ポート6と連通した後に増加し始める。これにより、第2吐出ポート8に連通しなくなった歯間室5xに対して容積Vの増加に応じて吸入ポート6から作動油が流入し始めるときの当該歯間室5xと吸入ポート6との連通面積が狭まってしまうのを抑制することができる。この結果、吸入ポート6から歯間室5xに流入する作動油の流速が高まるのを抑えて、歯間室5xへの作動油の吸入に伴うキャビテーションの発生を良好に抑制することが可能となる。

0032

また、ギヤポンプ1では、上述のように、インナーロータ2の各歯底部22のハイポトロコイド曲線により形成される中間部が基礎円BCtよりも中心O(回転中心2c)側にオフセットされており、歯底部22がアウターロータ3の内歯30に本来対応するものに比べて深くなっている。加えて、第2吐出ポート8に連通しなくなった歯間室5xを画成する2つの外歯20間の歯底部22は、図7に示すように、歯間室5xの容積Vが最小値Vminになったときに、インナーロータ2の軸方向からみて吸入ポート6の内周縁6ieから回転中心2c側にはみ出ることなく内周縁に近接する。この結果、第2吐出ポート8に連通しなくなった歯間室5xに対して容積Vの増加に応じて吸入ポート6から作動油が流入し始めるときの当該歯間室5xと吸入ポート6との連通面積をより大きくすることができる。従って、吸入ポート6から歯間室5xに流入する作動油の流速が高まるのを抑えて、歯間室5xへの作動油の吸入に伴うキャビテーションの発生を極めて良好に抑制することが可能となる。

0033

更に、ギヤポンプ1において、インナーロータ2の各外歯20の歯先部21は、トロコイド係数が値1よりも大きいエピトロコイド曲線のループ部以外の部分により形成される。加えて、インナーロータ2の歯底部22は、当該エピトロコイド曲線と基礎円BCtを共通にすると共にトロコイド係数が値1よりも大きいハイポトロコイド曲線のループ以外の部分により形成される。これにより、外転円Coや内転円Ciの半径re,rh(∝基礎円BCtの半径/歯数)を小さく保ったまま第1および第2の描画点の半径rde,rdhすなわち第1および第2の値Rde,Rdhを大きくすることで、1つの基礎円BCtを用いて歯先部21および歯底部22の形状を定めると共に当該基礎円BCtの外径すなわちインナーロータ2の外径を小さく保ったまま外歯20の歯丈を容易に高くすることが可能となる。

0034

このように外歯20の歯丈を高くすることで、インナーロータ2の回転中心2cとアウターロータ3の回転中心3cとを通る直線(図1において上下方向に延びる一点鎖線参照)に対して、外歯20と内歯30との噛み合い部E(図5から図7において点線で示す噛み合い部Eの軌跡)をインナーロータ2等の回転方向における後側にシフトさせることができる。これにより、吸入ポート6の回転方向後側の端部を第2吐出ポート8の回転方向前側の端部により近接させて、第2吐出ポート8に連通しなくなった歯間室5xを容易に容積Vの減少中に吸入ポート6に連通させることが可能となる。

0035

また、外歯20の第1中間部23を形成する曲線の長さを第2中間部24を形成する曲線の長さよりも長くして外歯20を非対称化することで、歯先部21(エピトロコイド曲線)の回転方向後側の端部21rを歯底部22により近接させると共に、当該歯先部21の回転方向前側の端部21fをインナーロータ2の径方向における外側に寄せることができる。そして、歯先部21の回転方向後側の端部21rを歯底部22により近接させることで、第1および第2吐出ポート7,8に連通する歯間室5を画成する外歯20と内歯30とのクリアランスの最小値を全体に小さくすることが可能となる。また、歯先部21の回転方向前側の端部21fをインナーロータ2の径方向における外側に寄せることで、吸入ポート6に連通する歯間室5を画成する外歯20と内歯30とのクリアランスの最小値を全体に大きくすることができる。この結果、第1および第2吐出ポート7,8を仕切る隔壁9の位置すなわち第1および第2吐出ポート7,8からの吐出流量の分配比を定める際の自由度を向上させつつ、隔壁9と重なり合う外歯20と内歯30とのクリアランスの最小値(吐出側クリアランス)をより小さくすることが可能となる。加えて、容積変化量が最大となる歯間室5におけるクリアランスの最小値(吸入側クリアランス)を十分に大きくして当該歯間室5でのキャビテーションの発生を良好に抑制することが可能となる。

0036

更に、ギヤポンプ1では、歯先部21のインナーロータ2の回転方向における前側に位置する第1中間部23がインボリュート曲線により形成される。これにより、インナーロータ2の外歯20とアウターロータ3の内歯30とをよりスムースに噛み合わせると共にインナーロータ2とアウターロータ3との回転速度比を一定にすることが可能となる。ただし、第1中間部23は、例えばn次関数(ただし、“n”は値1以上の整数である。)、円弧、任意の多項式三角関数緩和曲線、更にはこれらの組み合わせといったインボリュート曲線以外の曲線により形成されてもよいことはいうまでもない。

0037

なお、第2中間部24も、例えばn次関数(ただし、“n”は値1以上の整数である。)、円弧、任意の多項式、三角関数、緩和曲線、更にはこれらの組み合わせといったインボリュート曲線以外の曲線により形成されてもよいことはいうまでもない。また、ギヤポンプ1は、単一の吐出ポートを有するものであってもよい。更に、インナーロータ2の各外歯20は、歯形中心線Lcに関して左右対称に形成されてもよい。また、歯間室5xが吸入ポート6に連通するタイミングは、歯間室5xが第2吐出ポート8と連通している間に吸入ポート6に連通しないように、当該歯間室5xが第2吐出ポート8に連通しなくなるタイミングよりも若干遅くされてもよい。すなわち、両タイミングは、必ずしも完全に一致する必要はない。更に、図9に示すように、インナーロータ2や第2吐出ポート8、入力ポート6は、歯間室5xを画成する外歯20と内歯30との噛み合い部Eが第2吐出ポート8の周縁8eにインナーロータ2の軸方向からみて重なり合う前に、歯間室5xが吸入ポート6に連通するように形成されてもよい。すなわち、第2吐出ポート8からの吐出圧に大きな影響を与えない範囲で、歯間室5xが吸入ポート6に連通するタイミングを当該歯間室5xが第2吐出ポート8に連通しなくなるタイミングよりも若干早くしてもよい。これにより、インナーロータ2等の回転に伴って容積が減少する歯間室5xを、第2吐出ポート8と連通しなくなる前に吸入ポート6に連通させ、当該歯間室5x内の適量の作動油を第2吐出ポート8および吸入ポート6へと流出させることができる。この結果、当該歯間室5x内の作動油の圧力を必要以上に上昇しないように保持し、歯間室5x内の作動油の圧力上昇に起因した振動の発生を抑制することが可能となる。

0038

以上説明したように、本開示のギヤポンプ(1)は、吸入ポート(6)と、吐出ポート(7,8)と、複数の外歯(20)を有するインナーロータ(2)と、前記インナーロータ(2)の前記外歯(20)よりも多い複数の内歯(30)を有すると共に該インナーロータ(2)に対して偏心するように配置されるアウターロータ(3)と、前記複数の外歯20)および前記複数の内歯(30)により画成される複数の歯間室(5)とを含むギヤポンプ(1)において、前記吐出ポート(7,8)は、前記インナーロータ(2)および前記アウターロータ(3)の回転に伴って容積(V)が減少する前記歯間室(5)に連通し、前記吐出ポート(8)に連通しなくなった前記歯間室(5x)は、該歯間室(5x)の容積(V)の減少中に前記吸入ポート(6)に連通し、前記吐出ポート(8)に連通しなくなった前記歯間室(5x)の容積は、該歯間室(5x)の少なくとも一部が前記吸入ポート(6)に連通した後に増加することを特徴とする。

0039

このギヤポンプでは、吐出ポートに連通しなくなった歯間室が、インナーロータおよびアウターロータの回転に伴って当該歯間室の容積が減少する間に吸入ポートに連通する。これにより、吐出ポートに連通しなくなった歯間室の容積がインナーロータ等の回転に伴って減少することで、当該歯間室から吸入ポートに流体が吐出される。そして、吐出ポートに連通しなくなった歯間室の容積は、当該歯間室が吸入ポートに連通した後に増加する。すなわち、吐出ポートに連通しなくなった歯間室の容積は、当該歯間室が吸入ポートに連通した後に最小になる。この結果、吐出ポートに連通しなくなった歯間室から吸入ポートに流出する流体により、インナーロータおよびアウターロータと両者を収容する部材との隙間(軸方向における隙間)から当該歯間室に流体が高速で流入するのを良好に規制することができる。従って、このギヤポンプでは、吐出ポートに連通しなくなって吸入ポートに連通することになる歯間室でのキャビテーションの発生を良好に抑制することが可能となる。

0040

また、前記吐出ポート(6)に連通しなくなった前記歯間室(5x)の容積(V)は、該歯間室(5x)の全体が前記吸入ポート(6)と連通した後に増加し始めてもよい。これにより、吐出ポートに連通しなくなった歯間室に対して容積の増加に応じて吸入ポートから流体が流入し始めるときの当該歯間室と吸入ポートとの連通面積が狭まってしまうのを抑制することができる。この結果、吸入ポートから当該歯間室に流入する流体の流速が高まるのを抑えて、歯間室への流体の吸入に伴うキャビテーションの発生を良好に抑制することが可能となる。

0041

更に、前記インナーロータ(2)は、前記吐出ポート(8)に連通しなくなった前記歯間室(5x)を画成する歯底部(22)が、該歯間室(5x)の容積(V)が最小になったときに、前記インナーロータ(2)の軸方向からみて前記吸入ポート(6)の内周縁(6ie)から該インナーロータ(2)の回転中心(2c)側にはみ出ることなく該内周縁(6ie)に近接するように形成されてもよい。これにより、歯間室の最小容積、すなわち、吐出ポートに連通しなくなった歯間室に対して容積の増加に応じて吸入ポートから流体が流入し始めるときの当該歯間室と吸入ポートとの連通面積をより大きくすることができる。この結果、吸入ポートから当該歯間室に流入する流体の流速が高まるのを抑えて、歯間室への流体の吸入に伴うキャビテーションの発生を極めて良好に抑制することが可能となる。この場合、例えばインナーロータの外歯の歯底部をより深くする(インナーロータの回転中心側にオフセットする)ことで、歯間室の容積が最小値になったときに歯底部を吸入ポートの内周縁に近接させ、吐出ポートに連通しなくなった歯間室の最小容積(連通面積)をより適正に大きくすることができる。

0042

更に、前記インナーロータ(2)は、前記容積(V)が減少する前記歯間室(5x)が、該歯間室(5x)を画成する前記外歯(20)と前記内歯(30)との噛み合い部(E)が前記吐出ポート(8)の周縁(8e)に該インナーロータの(2)軸方向からみて重なり合った以降に、前記吸入ポート(6)に連通するように形成されてもよい。これにより、インナーロータ等の回転に伴って容積が減少する歯間室を、吐出ポートと連通しなくなるのとほぼ同時に吸入ポートに連通させ、当該歯間室内の流体を吸入ポートへと流出させることができる。従って、吐出ポートに連通しなくなった歯間室に対して、インナーロータおよびアウターロータと両者を収容する部材との隙間から流体が流入するのを極めて良好に規制することが可能となる。

0043

また、前記インナーロータ(2)は、前記容積(V)が減少する前記歯間室(5x)が、該歯間室(5x)を画成する前記外歯(20)と前記内歯(30)との噛み合い部(E)が前記吐出ポート(8)の周縁(8e)に該インナーロータの(2)軸方向からみて重なり合う前に、前記吸入ポート(6)に連通するように形成されてもよい。これにより、インナーロータ等の回転に伴って容積が減少する歯間室を、吐出ポートと連通しなくなる前に吸入ポートに連通させ、当該歯間室内の適量の流体を吐出ポートおよび吸入ポートへと流出させることができる。この結果、当該歯間室内の流体の圧力を必要以上に上昇しないように保持し、歯間室内の流体の圧力上昇に起因した振動の発生を抑制することが可能となる。

0044

また、前記インナーロータ(2)の前記外歯(20)のそれぞれは、描画点の半径(rde)よりも小さい半径(re)を有する外転円(Co)を基礎円(BCt)に外接させながら滑りなく転動させて得られるエピトロコイド曲線により形成された歯先部(21)を含んでもよい。すなわち、外転円の半径(∝基礎円の半径/歯数)を小さく保ったままエピトロコイド曲線の描画点半径を大きくすることで、当該基礎円の外径すなわちインナーロータの外径を小さく保ったまま外歯の歯丈を容易に高くすることが可能となる。そして、外歯の歯丈を高くすることで、インナーロータの回転中心とアウターロータの回転中心とを通る直線に対して、外歯と内歯との噛み合い部(噛み合い部の軌跡)をインナーロータ等の回転方向における後側にシフトさせることができる。これにより、吸入ポートの当該回転方向における後側の端部を吐出ポートのインナーロータ等の回転方向における前側の端部により近接させて、吐出ポートに連通しなくなった歯間室を容積の減少中に容易に吸入ポートに連通させることが可能となる。

0045

更に、前記インナーロータ(2)の前記外歯(20)のそれぞれは、任意の曲線により形成されると共に、前記歯先部(21)と該歯先部(21)よりも前記インナーロータ(2)の回転方向における前側に位置する歯底部(22)との間に位置する第1中間部(23)と、任意の曲線により形成されると共に、前記歯先部(21)と該歯先部(21)よりも前記インナーロータ(2)の回転方向における後側に位置する歯底部(22)との間に位置する第2中間部(24)とを含んでもよく、前記第1中間部(23)を形成する曲線の長さは、前記第2中間部(24)を形成する曲線の長さよりも長くてもよい。

0046

このように、第1中間部を形成する曲線の長さを第2中間部を形成する曲線の長さよりも長くして外歯を非対称化することで、歯先部を形成するエピトロコイド曲線の上記回転方向における後側の端部を歯底部により近接させると共に、当該エピトロコイド曲線の上記回転方向における前側の端部をインナーロータの径方向における外側に寄せることができる。そして、歯先部を形成するエピトロコイド曲線の回転方向後側の端部を歯底部により近接させることで、吐出ポートに連通する歯間室を画成する外歯と内歯とのクリアランスの最小値を全体に小さくすることが可能となる。また、歯先部を形成するエピトロコイド曲線の回転方向前側の端部をインナーロータの径方向における外側に寄せることで、吸入ポートに連通する歯間室を画成する外歯と内歯とのクリアランスの最小値を全体に大きくすることができる。

0047

更に、前記第1中間部(23)は、少なくともインボリュート曲線により形成されてもよい。これにより、外歯と内歯とをよりスムースに噛み合わせると共にインナーロータとアウターロータとの回転速度比を一定にすることが可能となる。

0048

また、前記吐出ポートは、第1吐出ポート(7)と、隔壁(9)により前記第1吐出ポート(7)と仕切られており、該第1吐出ポート(7)よりも前記インナーロータ(2)の回転方向における前側に配置された第2吐出ポート(8)とを含んでもよい。

0049

そして、本開示の発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本開示の外延の範囲内において様々な変更をなし得ることはいうまでもない。更に、上記発明を実施するための形態は、あくまで課題を解決するための手段の欄に記載された発明の具体的な一形態に過ぎず、課題を解決するための手段の欄に記載された発明の要素を限定するものではない。

0050

本開示の発明は、ギヤポンプの製造産業において利用可能である。

0051

1ギヤポンプ、2,2Zインナーロータ、2c,3c回転中心、3アウターロータ、4回転軸、5,5x歯間室、6吸入ポート、6e周縁、6ie内周縁、7 第1吐出ポート、8 第2吐出ポート、8e 周縁、9隔壁、20外歯、21歯先部、21f,21r,23f,24r 端部、21t 頂部、22,22z歯底部、22x,24x 交差部、22y境界部、23 第1中間部、24 第2中間部、24i 内側中間部、24o 外側中間部、30内歯。

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