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技術 磁気記録媒体用ガラス、磁気記録媒体用化学強化ガラス、磁気記録媒体用ガラス基板、及び磁気記録媒体

出願人 AGC株式会社
発明者 黒岩裕秋葉周作小野和孝遠藤淳澤村茂輝
出願日 2015年9月8日 (5年5ヶ月経過) 出願番号 2015-176839
公開日 2017年3月16日 (3年11ヶ月経過) 公開番号 2017-052661
状態 未査定
技術分野 磁気記録媒体の製造 ガラスの表面処理 ガラス組成物(第三版) 磁気記録担体
主要キーワード 押込み速度 フラッタリング ポアソン比σ 表面圧縮応力値 特性周波数 ヌープ圧子 エネルギーアシスト 応力計
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (5)

課題

高い耐熱性、高い比弾性率、高い機械的強度を有し、所定の平均線膨張係数バランスよく有する磁気記録媒体用ガラスの提供。

解決手段

酸化物基準モル百分率表示で、 SiO2を65〜85%、 Al2O3を3〜15%、 Na2Oを5〜15%、 K2Oを0〜2%未満、 MgOを0〜20%、 CaOを0〜1%未満、 ZrO2を0〜2%含有し、 SiO2およびAl2O3の含有量の合計であるSiO2+Al2O3が88%以下である磁気記録媒体用ガラス。

概要

背景

近年、ハードディスクドライブの記録容量の増大に伴い、高記録密度化ハイペースで進行している。しかし、高記録密度化に伴い、磁性粒子微細化が熱安定性を損ない、クロストーク再生信号SN比低下が問題となっている。即ち、高記録密度化した場合には、1ビットを記録するための面積が減少するため、磁気記録媒体用ガラス基板の主表面の凹凸や傷つきをより低減する必要を生じている。

さらに、高記録密度化のために、光と磁気の融合技術として熱アシスト磁気記録技術が注目されている(例えば特許文献1参照)。これは、磁気記録層レーザ光近接場光照射して局所的に加熱した部分の保磁力を低下させた状態で外部磁界印加して記録し、GMR素子等で記録磁化を読み出す技術であり、高保持力媒体に記録できるため、熱安定性を保ちながら磁性粒子を微細化することが可能となる。しかし、高保持力媒体を基板上に多層膜にして成膜するには、基板を高温に加熱する必要があり、高い耐熱性、即ち高いガラス転移温度を有することが求められる。

また、ガラス基板薄板化や高速回転化が求められており、ガラス基板のフラッタリング特性の改善が求められている。フラッタリング特性の改善のためには、特性周波数下げるために、高い比弾性率ヤング率比重)が求められている。

また、磁気ディスクガラスには、機械的強度が高いことも要求される。そのために、化学強化されたガラス基板を用いることも多い。化学強化することで、ハンドリング中の破壊防止に効果を有する。一方で、磁性膜と化学強化により発生する応力とのバランスは重要であり、それが適切でないと反りが発生し基板の平坦度が悪化するおそれがある。そのため、磁気記録媒体の製造プロセスにおいて適度にバランスがとられるように調整する必要がある。そのためには、化学強化により発生する応力を常に一定に管理する必要がある。

一般に、化学強化においてはイオン交換により溶融塩中溶出するアルカリ成分により、強化特性が変動する可能性があり、本用途でも問題となるおそれがある。また、イオン交換温度の変化によっても、発生する応力値が変動するおそれがあり、本用途でも問題となるおそれがある。そのため、それを防止するためには、化学強化プロセスにおいて発生させる応力の変動が少ないことが要求される。

概要

高い耐熱性、高い比弾性率、高い機械的強度を有し、所定の平均線膨張係数をバランスよく有する磁気記録媒体用ガラスの提供。酸化物基準モル百分率表示で、 SiO2を65〜85%、 Al2O3を3〜15%、 Na2Oを5〜15%、 K2Oを0〜2%未満、 MgOを0〜20%、 CaOを0〜1%未満、 ZrO2を0〜2%含有し、 SiO2およびAl2O3の含有量の合計であるSiO2+Al2O3が88%以下である磁気記録媒体用ガラス。

目的

本発明は従来のものより高い耐熱性、高い比弾性率、高い機械的強度を有し、所定の平均線膨張係数をバランスよく有する磁気記録媒体用ガラス基板の提供を目的とする

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

酸化物基準モル百分率表示で、SiO2を65〜85%、Al2O3を3〜15%、Na2Oを5〜15%、K2Oを0〜2%未満、MgOを0〜20%、CaOを0〜1%未満、ZrO2を0〜2%含有し、SiO2およびAl2O3の含有量の合計であるSiO2+Al2O3が88%以下である磁気記録媒体用ガラス

請求項2

酸化物基準のモル百分率表示で、SiO2を65〜85%、Al2O3を3〜15%、Na2Oを8〜15%、K2Oを0〜2%未満、MgOを3〜15%、CaOを0〜1%未満、ZrO2を0〜2%含有し、SiO2およびAl2O3の含有量の合計であるSiO2+Al2O3が85%以下である請求項1に記載の磁気記録媒体用ガラス。

請求項3

酸化物基準のモル百分率表示で、各成分の含有量を用いて下記式(1)により算出されるRが0.66以上である請求項1または2に記載の磁気記録媒体用ガラス。R=0.029×SiO2+0.021×Al2O3+0.016×MgO−0.004×CaO+0.016×ZrO2+0.029×Na2O+0×K2O−2.002・・・(1)

請求項4

酸化物基準のモル百分率表示で、各成分の含有量を用いて下記式(2)により算出されるDが0.18以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載の磁気記録媒体用ガラス。D=12.8−0.123×SiO2−0.160×Al2O3−0.157×MgO−0.163×ZrO2−0.113×Na2O・・・(2)

請求項5

ガラス転移温度が570℃以上である請求項1〜4のいずれか1項に記載の磁気記録媒体用ガラス。

請求項6

ヤング率Eを比重ρで割った比弾性率(E/ρ)が、27.5GPa・cm3/g以上である請求項1〜5のいずれか1項に記載の磁気記録媒体用ガラス。

請求項7

CaO、SrO、BaOおよびZrO2から選択されるいずれか1以上の成分を含有し、CaO、SrO、BaOおよびZrO2の含有量の合計が1.5%未満である請求項1〜6のいずれか1項に記載の磁気記録媒体用ガラス。

請求項8

SiO2、Al2O3、Na2OおよびMgOの含有量の合計が98%以上である請求項1〜7のいずれか1項に記載の磁気記録媒体用ガラス。

請求項9

前記磁気記録媒体用ガラスを、厚みが1mmであって、主表面が鏡面仕上げされ、かつ化学強化がなされたガラス板とし、前記主表面にビッカース圧子を用い98Nの力を加えた時に、前記ガラス板の破壊する確率が10%以下である請求項1〜8のいずれか1項に記載の磁気記録媒体用ガラス。

請求項10

前記磁気記録媒体用ガラスを、厚みが1mmであって、主表面が鏡面仕上げされ、かつ化学強化がなされたガラス板とし、前記主表面にヌープ圧子を用い196Nの力を加えた時に、前記ガラス板の破壊する確率が10%以下である請求項1〜9のいずれか1項に記載の磁気記録媒体用ガラス。

請求項11

前記磁気記録媒体用ガラスを、厚み1mmのガラス板とし、400℃のKNO3に6時間浸漬したときに得られる表面圧縮応力をS400とし、450℃のKNO3に6時間浸漬したときに得られる表面圧縮応力をS450とした場合に、下記式(3)で表わされるΔが0.21以下である請求項1〜10のいずれか1項に記載の磁気記録媒体用ガラス。Δ=(S400−S450)/S400・・・(3)

請求項12

請求項1〜11のいずれか1項に記載の磁気記録媒体用ガラスを化学強化して得られた磁気記録媒体用化学強化ガラス

請求項13

圧縮応力層厚みが10μm以上であり、表面圧縮応力が400MPa以上である請求項12に記載の磁気記録媒体用化学強化ガラス。

請求項14

請求項1〜11のいずれか1項に記載の磁気記録媒体用ガラス、または請求項12または13に記載の磁気記録媒体用化学強化ガラスからなる磁気記録媒体用ガラス基板

請求項15

請求項14に記載の磁気記録媒体用ガラス基板を有する磁気記録媒体

技術分野

0001

本発明は、磁気記録媒体用ガラス、磁気記録媒体用化学強化ガラス磁気記録媒体用ガラス基板、及び磁気記録媒体に関する。

背景技術

0002

近年、ハードディスクドライブの記録容量の増大に伴い、高記録密度化ハイペースで進行している。しかし、高記録密度化に伴い、磁性粒子微細化が熱安定性を損ない、クロストーク再生信号SN比低下が問題となっている。即ち、高記録密度化した場合には、1ビットを記録するための面積が減少するため、磁気記録媒体用ガラス基板の主表面の凹凸や傷つきをより低減する必要を生じている。

0003

さらに、高記録密度化のために、光と磁気の融合技術として熱アシスト磁気記録技術が注目されている(例えば特許文献1参照)。これは、磁気記録層レーザ光近接場光照射して局所的に加熱した部分の保磁力を低下させた状態で外部磁界印加して記録し、GMR素子等で記録磁化を読み出す技術であり、高保持力媒体に記録できるため、熱安定性を保ちながら磁性粒子を微細化することが可能となる。しかし、高保持力媒体を基板上に多層膜にして成膜するには、基板を高温に加熱する必要があり、高い耐熱性、即ち高いガラス転移温度を有することが求められる。

0004

また、ガラス基板薄板化や高速回転化が求められており、ガラス基板のフラッタリング特性の改善が求められている。フラッタリング特性の改善のためには、特性周波数下げるために、高い比弾性率ヤング率比重)が求められている。

0005

また、磁気ディスク用ガラスには、機械的強度が高いことも要求される。そのために、化学強化されたガラス基板を用いることも多い。化学強化することで、ハンドリング中の破壊防止に効果を有する。一方で、磁性膜と化学強化により発生する応力とのバランスは重要であり、それが適切でないと反りが発生し基板の平坦度が悪化するおそれがある。そのため、磁気記録媒体の製造プロセスにおいて適度にバランスがとられるように調整する必要がある。そのためには、化学強化により発生する応力を常に一定に管理する必要がある。

0006

一般に、化学強化においてはイオン交換により溶融塩中溶出するアルカリ成分により、強化特性が変動する可能性があり、本用途でも問題となるおそれがある。また、イオン交換温度の変化によっても、発生する応力値が変動するおそれがあり、本用途でも問題となるおそれがある。そのため、それを防止するためには、化学強化プロセスにおいて発生させる応力の変動が少ないことが要求される。

0007

国際公開第2013/140469号

0008

磁気記録媒体用ガラス基板では、磁気記録媒体の製造および使用の観点からも、ガラス基板の機械的強度向上および軽量化、所定の平均線膨張係数等が求められる。

先行技術

0009

しかし、磁気記録媒体に使用されるガラス基板において高いガラス転移温度、高い比弾性率、高い機械的強度、及び、所定の平均線膨張係数をバランスよく有することは困難であった。

発明が解決しようとする課題

0010

本発明は従来のものより高い耐熱性、高い比弾性率、高い機械的強度を有し、所定の平均線膨張係数をバランスよく有する磁気記録媒体用ガラス基板の提供を目的とする。

課題を解決するための手段

0011

本発明は、以下のとおりである。
(1)酸化物基準モル百分率表示で、SiO2を65〜85%、Al2O3を3〜15%、Na2Oを5〜15%、K2Oを0〜2%未満、MgOを0〜20%、CaOを0〜1%未満、ZrO2を0〜2%含有し、SiO2およびAl2O3の含有量の合計であるSiO2+Al2O3が88%以下である磁気記録媒体用ガラス。
(2)酸化物基準のモル百分率表示で、SiO2を65〜85%、Al2O3を3〜15%、Na2Oを8〜15%、K2Oを0〜2%未満、MgOを3〜15%、CaOを0〜1%未満、ZrO2を0〜2%含有し、SiO2およびAl2O3の含有量の合計であるSiO2+Al2O3が85%以下である(1)に記載の磁気記録媒体用ガラス。
(3)酸化物基準のモル百分率表示で、各成分の含有量を用いて下記式(A)により算出されるRが0.66以上である上記(1)または(2)に記載の磁気記録媒体用ガラス。

0012

R=0.029×SiO2+0.021×Al2O3+0.016×MgO−0.004×CaO+0.016×ZrO2+0.029×Na2O+0×K2O−2.002 ・・・(A)
(4)酸化物基準のモル百分率表示で、各成分の含有量を用いて下記式(B)により算出されるDが0.18以下である上記(1)〜(3)のいずれか一に記載の磁気記録媒体用ガラス。

0013

D=12.8−0.123×SiO2−0.160×Al2O3−0.157×MgO−0.163×ZrO2−0.113×Na2O ・・・(B)
(5)ガラス転移温度が570℃以上である上記(1)〜(4)のいずれか一に記載の磁気記録媒体用ガラス。
(6)ヤング率Eを比重ρで割った比弾性率(E/ρ)が、27.5GPa・cm3/g以上である上記(1)〜(5)のいずれか一に記載の磁気記録媒体用ガラス。
(7)CaO、SrO、BaOおよびZrO2から選択されるいずれか1以上の成分を含有し、CaO、SrO、BaOおよびZrO2の4成分の含有量の合計が1.5%未満である上記(1)〜(6)のいずれか一に記載の磁気記録媒体用ガラス。
(8)SiO2、Al2O3、Na2OおよびMgOの含有量の合計が98%以上である上記(1)〜(7)のいずれか一に記載の磁気記録媒体用ガラス。
(9)上記磁気記録媒体用ガラスを、
厚みが1mmであって、主表面が鏡面仕上げされ、かつ化学強化がなされたガラス板とし、
主表面にビッカース圧子を用い98Nの力を加えた時に、
ガラス板の破壊する確率が10%以下である(1)〜(8)のいずれか一に記載の磁気記録媒体用ガラス。
(10)上記磁気記録媒体用ガラスを、
厚みが1mmであって、主表面が鏡面仕上げされ、かつ化学強化がなされたガラス板とし、
主表面にヌープ圧子を用い196Nの力を加えた時に、
ガラス板の破壊する確率が10%以下である(1)〜(9)のいずれか一に記載の磁気記録媒体用ガラス。(以下、この磁気記録媒体用ガラスをガラスAということがある)。
(11)上記磁気記録媒体用ガラスを、厚み1mmのガラス板とし、
400℃のKNO3に6時間浸漬したときに得られる表面圧縮応力をS400とし、
450℃のKNO3に6時間浸漬したときに得られる表面圧縮応力をS450とした場合に、下記式(C)で表わされるΔが0.21以下である(1)〜(10)のいずれか一に記載の磁気記録媒体用ガラス。

0014

Δ=(S400−S450)/S400 ・・・(C)
(12)上記(1)〜(11)のいずれか一に記載の磁気記録媒体用ガラスを化学強化して得られた磁気記録媒体用化学強化ガラス。
(13)圧縮応力層厚みが10μm以上であり、表面圧縮応力が400MPa以上である上記(12)に記載の磁気記録媒体用化学強化ガラス。
(14)上記(1)〜(11)のいずれか一に記載の磁気記録媒体用ガラスまたは上記(12)もしくは(13)に記載の磁気記録媒体用化学強化ガラスからなる磁気記録媒体用ガラス基板。
(15)上記(14)に記載の磁気記録媒体用ガラス基板を有する磁気記録媒体。

発明の効果

0015

本発明の磁気記録媒体用ガラスは、高い耐熱性、高い比弾性率、高い機械的強度を有し、所定の平均線膨張係数をバランスよく有する。このため、磁気記録媒体用ガラスを、磁気記録媒体用ガラス基板に用いた場合、磁気記録媒体の製造プロセスにおいて、耐熱性が高く、変形しにくく、傷がつきにくいという利点を有し、加熱時または冷却時に基板のそりを生じにくい。

0016

本発明の磁気記録媒体用ガラスによれば、化学強化による十分な強度向上が可能であり、しかもガラス使用時につく圧痕を起点としたクラックが発生しくい磁気記録媒体用ガラス基板が得られる。また、化学強化プロセスにより発生する応力の変動が少ないというメリットも有する。

0017

また、圧痕が付いたとしても、ガラスの強度が低下しにくいため、ガラスに衝撃や静荷重などの負荷がかかっても割れにくい化学強化ガラスおよびそのような化学強化ガラスに好適な磁気記録媒体用ガラスが得られる。

0018

また、化学強化処理前の傷やガラス加工時の潜傷およびチッピング起因のクラックが発生しにくく、それが原因となって起こる化学強化ガラス使用時の自発的破壊の可能性が減少した磁気記録媒体用ガラスが得られる。

図面の簡単な説明

0019

ガラス組成から計算して求めたRと、溶融カリウム塩中のNa濃度増加による表面圧縮応力の低下割合rとの関係を示す図である。
ガラス組成から計算して求めたDと、400℃および450℃の溶融硝酸カリウム塩中にガラスを6時間浸漬したときに得られる表面圧縮応力の低下割合すなわち応力緩和率Δとの関係を示す図である。
本発明の磁気記録媒体用ガラス基板の実施形態の一例である磁気記録媒体を示す斜視図である。
本発明の磁気記録媒体の実施形態の一例の側面図である。

0020

<磁気記録媒体用ガラス、磁気記録媒体用化学強化ガラス>
以下、本発明の磁気記録媒体用ガラス、及び磁気記録媒体用化学強化ガラスの構成例について説明する。

0021

本発明の磁気記録媒体用ガラスは、酸化物基準のモル百分率表示で、SiO2を65〜85%、Al2O3を3〜15%、Na2Oを5〜15%、K2Oを0〜2%未満、MgOを0〜20%、CaOを0〜1%未満、ZrO2を0〜2%含有し、SiO2およびAl2O3の含有量の合計であるSiO2+Al2O3が88%以下である。(以下、この磁気記録媒体用ガラスを本発明のガラスということがある)。

0022

なお、本明細書において、たとえば「65〜85%」とは「65%以上85%以下」の意であり、「0〜2%未満」とは0%(含まない)でもよく、含む場合は「0%以上2%未満」の意味である。

0023

また、上記本発明のガラスであって、かつ、各成分の含有量を用いて下記式により算出されるRが0.66以上であるものが好ましい。

0024

R=0.029×SiO2+0.021×Al2O3+0.016×MgO−0.004×CaO+0.016×ZrO2+0.029×Na2O+0×K2O−2.002
なお、上記式中SiO2、Al2O3、MgO、CaO、ZrO2、Na2O、K2Oは、化学式で表された各成分の含有量を意味している。

0025

特に、その中でも、酸化物基準のモル百分率表示で、SiO2を65〜77%、Al2O3を3〜15%、Na2Oを8〜15%、K2Oを0〜2%未満、MgOを4〜14%、CaOを0〜1%未満、ZrO2を0〜2%含有し、SiO2およびAl2O3の含有量の合計であるSiO2+Al2O3が85%以下であり、上述の式により算出されるRが0.66以上であるガラスが好ましい。(以下、この磁気記録媒体用ガラスを本発明のガラスαということがある)
また、上記本発明のガラスであって、かつ、各成分の含有量を用いて下記式により算出されるDが0.18以下であるものが好ましい。

0026

D=12.8−0.123×SiO2−0.160×Al2O3−0.157×MgO−0.163×ZrO2−0.113×Na2O
特に、その中でも、酸化物基準のモル百分率表示で、SiO2を65〜77%、Al2O3を3〜15%、Na2Oを8〜15%、K2Oを0〜2%未満、CaOを0〜1%未満、MgOを4〜14%、ZrO2を0〜2%含有し、SiO2およびAl2O3の含有量の合計であるSiO2+Al2O3が85%以下であり、Dが0.18以下であるガラスが好ましい。(以下、この磁気記録媒体用ガラスを本発明のガラスβということがある)。

0027

以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。各図面において、同一の又は対応する構成には、同一の又は対応する符号を付して説明を省略する。本明細書において、数値範囲を表す「〜」は原則としてその前後の数値を含む範囲を意味する。ただし、「0〜2%未満」のように記載した場合には、0以上2%未満を意味し、上限値側の2%は含まない。

0028

図3図4を参照して、説明する。

0029

磁気記録媒体10は、エネルギーアシスト磁気記録方式記録媒体である。エネルギーアシスト磁気記録方式は、エネルギー(熱)を与えることで磁気記録層14の保磁力を低下させ、この状態で外部磁界を印加して記録する方式であり、熱安定性を保ちながら磁性粒子を微細化できる。磁気記録媒体10は、大気雰囲気下のほか、不活性雰囲気下で使用できる。不活性雰囲気としては、窒素雰囲気アルゴン雰囲気のほか、特に、原子量の小さいヘリウム雰囲気が回転に伴う気流の影響を小さくできるので好ましい。記録時および再生時の少なくとも一方の磁気記録媒体10の回転数は、7200〜20000rpmであってよい。磁気記録媒体10は、ガラス基板11、ヒートシンク層12、シード層13、磁気記録層14、および保護層15を有する。

0030

なお、磁気記録媒体は、図3図4の構成に限定されない。磁気記録媒体は、ガラス基板11と、磁気記録層14とを有していればよく、例えばヒートシンク層12、シード層13、および保護層15を有しなくてもよい。また、磁気記録媒体は、ガラス基板11と磁気記録層14との間に、密着層軟磁性裏打ち層、中間層などをさらに有してもよい。また、磁気記録媒体は、ガラス基板11の両側に磁気記録層14を有してもよい。

0031

ガラス基板11は、本発明の磁気記録媒体用ガラス、または磁気記録媒体用化学強化ガラスを用いた磁気記録媒体用ガラス基板であり、磁気記録媒体用ガラス、または磁気記録媒体用化学強化ガラスによって形成される。一般的に、ガラス基板11のフラッタリング特性の指標dとして、磁気記録媒体用ガラスの比弾性率E/ρが用いられる。フラッタリングを抑制するため、指標dの大きいガラスが望ましい。ここで、比弾性率E/ρは、ヤング率Eと比重ρとの比E/ρである。

0032

本発明の磁気記録媒体用ガラスは、化学強化した場合に、その効果が大きい。すなわち、本発明の磁気記録媒体用化学強化ガラスは、本発明の磁気記録媒体用ガラスを化学強化して得られるものであり、以下、本発明の磁気記録媒体用化学強化ガラスと称する。

0033

化学強化によってガラス表面に形成した圧縮応力層の表面圧縮応力をSとしたときに、本発明の磁気記録媒体用化学強化ガラスを磁気記録媒体に用いる場合、前記Sは通常100MPa以上であり、典型的には200MPa以上であり、400MPa以上とすることもできる。Sは1400MPa以下であることが好ましい。1400MPa超では内部引張応力が大きくなりすぎるおそれがある。より好ましくは1300MPa以下、典型的には1200MPa以下である。

0034

本発明の磁気記録媒体用化学強化ガラスの表面圧縮応力層の厚みtは、10μm以上であることが好ましく、より好ましくは15μm以上、典型的には20μm以上である。ただし、90μm超では内部引張応力が大きくなりすぎるおそれがある。このため、90μm以下であることが好ましく、より好ましくは80μm以下、典型的には70μm以下である。

0035

本発明で磁気記録媒体用化学強化ガラスを得るための化学強化処理の方法としては、ガラス表層のNaイオンと溶融塩中のKイオンとをイオン交換できるものであれば特に限定されないが、たとえば加熱された硝酸カリウム(KNO3)溶融塩にガラスを浸漬する方法が挙げられる。

0036

ガラスに所望の表面圧縮応力を有する化学強化層(圧縮応力層)を形成するための化学強化処理条件はガラス板であればその厚みなどによっても異なるが、350〜550℃のKNO3溶融塩に0.5〜20時間、ガラス基板を浸漬させることが典型的である。経済的な観点からは350〜500℃、0.5〜16時間の条件で浸漬させることが好ましく、より好ましい浸漬時間は0.5〜10時間である。

0037

本発明の磁気記録媒体用化学強化ガラスはビッカース硬度計のビッカース圧子で5kgf=49Nの力を加えても破壊しないものであることが好ましく、7kgfの力を加えても破壊しないものであることがより好ましく、10kgfの力を加えても破壊しないものであることが特に好ましい。

0038

なお、本発明の磁気記録媒体用ガラスは、該磁気記録媒体用ガラスを、厚みが1mmであって、主表面が鏡面仕上げされ、かつ化学強化がなされたガラス板とし、主表面にビッカース圧子を用い49Nの力を加えた時にガラス板の破壊する確率は50%以下が好ましく、98Nの力を加えた時に、ガラス板の破壊する確率が40%以下であることがより好ましい。なお、98Nの力を加えた時に、ガラス板の破壊する確率は10%以下であることがさらに好ましい。

0039

また、本発明の磁気記録媒体用化学強化ガラスはヌープ硬度計のヌープ圧子で10kgf=98Nの力を加えても破壊しないものであることが好ましい。20kgfの力を加えた時の破壊率が10%以下であることがより好ましく、30kgfの力を加えた時の破壊率が10%以下であることが特に好ましい。なお、前記ガラスAを化学強化して得られたものについては20kgfの力を加えた時の破壊率は10%以下である。

0040

そして、本発明の磁気記録媒体用ガラスは、該磁気記録媒体用ガラスを、厚みが1mmであって、主表面が鏡面仕上げされ、かつ化学強化がなされたガラス板とし、主表面にヌープ圧子を用い196Nの力を加えた時に、ガラス板の破壊する確率が10%以下であることが好ましい。

0041

後述する本発明の磁気記録媒体用ガラス基板は通常、本発明の磁気記録媒体用ガラスからなるガラス板を切断、穴あけ研磨などして加工することで得られる。または、前記の通り加工して得られたガラス板を化学強化して得られる。

0042

本発明の磁気記録媒体用ガラス基板の厚みは通常は0.3〜2mm、典型的には0.5〜1mmである。

0043

前記磁気記録媒体用ガラスからなるガラス板の製造方法は特に限定されないが、たとえば種々の原料を適量調合し、約1400〜1700℃に加熱し溶融した後、脱泡攪拌などにより均質化し、周知のフロート法ダウンドロー法プレス法などによって板状に成形し、徐冷後、所望のサイズに切断して製造される。

0044

本発明の磁気記録媒体用ガラス、すなわち本発明のガラスのガラス転移点Tgは570℃以上であることが好ましい。570℃未満では磁性膜の成膜の際にガラスが変形し基板の平坦度が悪化するおそれがある。また、化学強化する場合は、イオン交換時に表面圧縮応力が緩和してしまい、十分な応力を得られないおそれがある。Tgは、より好ましくは580℃以上、さらに好ましくは610℃以上、特に好ましくは650℃以上、一層好ましくは670℃以上である。

0045

本発明の磁気記録媒体用ガラス基板の50〜350℃における平均線膨張係数は、50×10−7〜90×10−7/℃であることが好ましい。本発明の磁気記録媒体用ガラスを用いたガラス基板を磁気記録媒体のガラス基板として用いる場合、平均線膨張係数が50×10−7/℃未満、または90×10−7/℃超では、磁性膜との熱膨張差が大きくなりすぎ、剥がれ等の欠点が生じやすくなる。より好ましくは60×10−7〜85×10−7/℃である。

0046

本発明のガラスの粘度が102dPa・sとなる温度T2は1750℃以下であることが好ましい。T2が1750℃超であると、ガラス溶融炉の温度が高くなりすぎて製造が著しく困難になる。より好ましくは1720℃以下、さらに好ましくは1700℃以下、特に好ましくは1680℃以下である。典型的にはT2は1500℃以上である。ガラス転移点を担保するためには、より好ましくは1550℃以上、さらに好ましくは1600℃以上、特に好ましくは1650℃以上である。

0047

本発明のガラスの粘度が104dPa・sとなる温度T4は1350℃以下であることが好ましい。T4が1350℃を超えると、一般的なフロート法、フュージョン法、プレス法では装置の構成部材の耐熱性を担保するのが難しく製造が著しく困難になる。より好ましくは1300℃以下、さらに好ましくは1280℃以下、特に好ましくは1260℃以下、一層好ましくは1240℃以下である。典型的にはT4は1100℃以上である。ガラス転移点を担保するためには、より好ましくは1150℃以上、さらに好ましくは1200℃以上である。

0048

本発明のガラスの比重ρは2.50以下であることが好ましい。比重ρが2.50を超えると後述の比弾性率が小さくなりフラッタリングが起きやすくなる。より好ましくは2.45以下、さらに好ましくは2.43以下、特に好ましくは2.42以下である。典型的には比重ρは2.35以上である。

0049

本発明のガラスのヤング率Eは68GPa以上であることが好ましい。68GPa未満では後述の比弾性率が小さくなりフラッタリングが起きやすくなるだけでなく、ガラスの耐クラック性破壊強度が不十分となるおそれがある。より好ましくは70GPa以上、さらに好ましくは71GPa以上、特に好ましくは72GPa以上である。典型的にはガラス材料制約から、ヤング率は85GPa以下である。

0050

また、ヤング率(以下、「E」ともいう)を比重ρで割った比弾性率(E/ρ)は、27.5GPa・cm3/g以上が好ましい。比弾性率が27.5GPa・cm3/gより小さいと、前述のフラッタリングが起きやすくなるだけでなく、ローラー搬送中、もしくは部分的な支持の場合に自重で撓んでしまい、製造工程で正常に流動させられないおそれがある。より好ましくは28GPa・cm3/g以上、さらに好ましくは29GPa・cm3/g以上、特に好ましくは30GPa・cm3/g以上、一層好ましくは31GPa・cm3/g以上である。なお、比弾性率(E/ρ)を27.5GPa・cm3/g以上とするには、例えばヤング率が77GPa以上であれば、密度を2.8g/cm3以下とし、ヤング率が79GPa以上であれば、密度を2.85g/cm3以下とすればよい。

0051

本発明のガラスのポアソン比σは0.25以下であることが好ましい。0.25超ではガラスの耐クラック性が不十分となり、機械的強度が低下するおそれがある。より好ましくは0.24以下、さらに好ましくは0.23以下、特に好ましくは0.21以下である。典型的にはポアソン比は0.20以上である。

0052

次に、前記本発明のガラスαについて説明する。

0053

先に述べたように通常、化学強化のためのイオン交換処理ナトリウム(Na)を含有するガラスを溶融カリウム塩に浸漬して行われ、当該カリウム塩としては硝酸カリウムまたは硝酸カリウムと硝酸ナトリウム混合塩が使用される。

0054

イオン交換処理ではガラス中のNaと溶融塩中のカリウム(K)のイオン交換が行われるので、同じ溶融塩を使用し続けながらイオン交換処理を繰り返すと溶融塩中のNa濃度が上昇する。

0055

溶融塩中のNa濃度が高くなると化学強化されたガラスの表面圧縮応力Sが低下するので、化学強化ガラスのSが所望の値を下回らないように溶融塩中のNa濃度を厳しく管理し、また溶融塩の交換を頻繁に行う必要があるという問題があった。また、管理には限界があるため、磁気記録媒体の磁性膜の成膜プロセスにおいて、Sが変動することにより磁性膜と発生応力とのバランスが崩れ、ガラスが反り、平坦度に悪影響を及ぼすおそれがある。

0056

このような溶融塩の交換の頻度は少しでも減らすことが求められており、本発明のガラスαはこのような問題の解決に好適な本発明の態様の一つである。

0057

本発明者は、溶融カリウム塩にNa含有ガラスを浸漬して化学強化ガラスとするイオン交換を何度も繰り返すことにより溶融カリウム塩中のNa濃度が上昇し、それとともに化学強化ガラスの表面圧縮応力が小さくなっていく現象とNa含有ガラスの組成との間に関係があるのではないかと考え、次のような実験を行った。

0058

まず、表1〜3にモル百分率表示で示す組成を有し、厚みが1.5mm、大きさが20mm×20mmであり、両面が酸化セリウム鏡面研磨された29種のガラス板を用意した。これらガラスのガラス転移点Tg(単位:℃)を同表に示す。なお、*を付しているものは組成から計算して求めたものである。

0059

これら29種のガラス板を、KNO3の含有割合が100%であり、温度が400℃である溶融カリウム塩に10時間浸漬するイオン交換を行って化学強化ガラス板とし、その表面圧縮応力CS1(単位:MPa)を測定した。

0060

また、これら29種のガラス板を、KNO3の含有割合が95%、NaNO3の含有割合が5%であり、温度が400℃である溶融カリウム塩に10時間浸漬するイオン交換を行って化学強化ガラス板とし、その表面圧縮応力CS2(単位:MPa)を測定した。

0061

CS1、CS2をそれらの比r=CS2/CS1とともに表1〜3の該当欄に示す。

0062

表1〜表3には、ガラスの各成分の含有量から算出される既述のRについてもあわせて示す。

0063

0064

0065

これらの結果から、前記式で算出したR(表1〜3の最下段に記載する。)と前記rとの間に高い相関があることを見出した。図1は、この点を明らかにするために横軸をR、縦軸をrとした作成した散布図であり、同図中の直線はr=1.027×R−0.0017である。相関係数は0.97である。

0066

本発明者が見出した前記相関から、次のようなことがわかる。すなわち、化学強化プロセスにより発生する応力の変動幅を小さくするため、かつ溶融塩の交換頻度を少しでも減らすためには溶融塩中のNa濃度増加による圧縮応力層の表面圧縮応力Sの低下割合が小さいガラス、すなわち前記rが大きいガラスを用いればよいが、そのためにはガラスの前記Rを大きくすればよいことがわかる。

0067

本発明のガラスαに係る発明はこのような経緯により想到したものである。

0068

Rを0.66以上とすることにより前記rを0.66以上とすることが可能になり、その結果従来よりも化学強化プロセスにより発生する応力の変動幅を小さくでき、かつ溶融塩の交換頻度を低減することが可能になる。Rは好ましくは0.67以上である。一方で、本願組成範囲でRを変化させるとき、Rが大きくなりすぎると、ガラス転移点Tgが低下するおそれがある。また、ヤング率が低下するおそれがある。好ましくは0.85以下、より好ましくは0.80以下、更に好ましくは0.75以下、特に好ましくは0.70以下である。

0069

なお、29種のガラスの中で最もrが大きいガラスα1、ガラスα2を他の27種のガラスと比べるとK2Oを含有しないという点で共通する。一方、Rを算出する前記式におけるK2Oに係る係数は0であり、同じアルカリ金属酸化物であるNa2Oに係る係数0.029に比べて著しく小さいことからこの点を説明することが可能である。

0070

したがって、この観点からは本発明のガラスはK2Oを含有しないことが好ましく、そのようなものとして次のガラスが挙げられる。すなわち、下記酸化物基準のモル百分率表示で、SiO2を77%以下、MgOを3%以上、CaOを0〜1%未満、Na2Oを8%以上含有し、SiO2およびAl2O3の含有量の合計が85%以下であり、K2Oを含有しない磁気記録媒体用ガラスである。

0071

次に、本発明のガラスの組成について、特に断らない限りモル百分率表示含有量を用いて説明する。

0072

SiO2はガラスの骨格を構成する成分であり必須であり、また、ガラス転移点を大きくする、またはガラス表面に傷(圧痕)がついた時のクラックの発生を低減させる、または化学強化後に圧痕をつけた時の破壊率を小さくする成分である。SiO2が65%未満ではガラスとしての安定性耐候性またはチッピング耐性が低下し、機械的強度が低下するおそれがある。また、SiO2が65%以上であればKNO3溶融塩中のNaNO3濃度による表面圧縮応力の変化を小さくできる。SiO2は好ましくは68%以上、より好ましくは70%以上である。SiO2が85%超ではガラスの粘性が増大して溶融性が低下し、好ましくは80%以下、より好ましくは77%以下、特に好ましくは75%以下である。本発明のガラスαにおいてはSiO2は77%以下とされ、好ましくは76%以下、より好ましくは75%以下である。

0073

Al2O3はガラス転移点を増大させる成分であり、イオン交換性能およびチッピング耐性を向上させる、または化学強化後に圧痕をつけた時の破壊率を小さくする成分であり必須である。Al2O3が3%未満ではガラス転移点が低くなりすぎるだけでなく、イオン交換により、所望の表面圧縮応力値または圧縮応力層厚みが得られなくなる。好ましくは4%以上、より好ましくは4.5%以上、特に好ましくは5%以上である。Al2O3が15%超ではガラスの粘性が高くなり均質な溶融が困難になる。また、Al2O3が15%以下であればKNO3溶融塩中のNaNO3濃度による表面圧縮応力の変化を小さくできる。Al2O3は好ましくは12%以下、より好ましくは11%以下、さらに好ましくは10%以下、特に好ましくは9%以下、典型的には8%以下である。

0074

SiO2およびAl2O3の含有量の合計SiO2+Al2O3が88%超では高温でのガラスの粘性が増大し、溶融が困難となり、好ましくは85%以下、より好ましくは83%以下である。また、SiO2+Al2O3は75%以上であることが好ましい。SiO2+Al2O3が75%未満では圧痕がついた時のクラック耐性が低下し、より好ましくは77%以上である。

0075

Na2Oはイオン交換により表面圧縮応力層を形成させ、またガラスの溶融性を向上させる成分であり、必須である。Na2Oが5%未満ではイオン交換により所望の表面圧縮応力層を形成することが困難となり、好ましくは6%以上である。化学強化プロセスでのKNO3溶融塩中のNaNO3濃度による表面圧縮応力の変化を小さくしたい場合にはNa2Oは7%以上とするのが好ましく、本発明のガラスα及びβにおいてはNa2Oは8%以上とされ、好ましくは9%以上、より好ましくは10%以上である。Na2Oが15%超ではヤング率が低下する、もしくは耐候性が低下する、または圧痕からクラックが発生しやすくなり、機械的強度が低下しやすい。好ましくは14%以下、より好ましくは13%以下、さらに好ましくは12%以下、特に好ましくは11%以下である。

0076

K2Oは必須ではないがイオン交換速度を増大させるため、2%未満の範囲で含有してもよい。2%以上では圧痕からクラックが発生しやすくなり、機械的強度が低下しやすい、またはKNO3溶融塩中のNaNO3濃度による表面圧縮応力の変化が大きくなるおそれがある。K2Oは好ましくは1.9%以下、より好ましくは1%以下、典型的には0.8%以下である。先に述べたようにKNO3溶融塩中のNaNO3濃度による表面圧縮応力の変化を小さくしたい場合にはK2Oは含有しないことが好ましい。

0077

MgOはイオン交換速度を低下させる可能性のある成分であり必須ではないが、クラックの発生を抑制し、また溶融性を向上させる成分であり、20%までの範囲で含有してもよい。しかし、MgOが3%未満では粘性が増大し溶融性が低下する可能性が高くなるので、この観点からは3%以上含有することが好ましく、より好ましくは4%以上、特に好ましくは5%以上である。本発明のガラスα及びβにおいてはMgOは4%以上とされる。前記応力緩和を抑制したい場合にはMgOは5%以上であることが好ましい。MgOが5%未満では化学強化処理を行う際に溶融塩温度のばらつきに起因して応力緩和の度合いが化学強化処理槽の場所により変化しやすくなり、その結果安定した圧縮応力値を得ることが困難になるおそれがある。より好ましくは7%以上、さらに好ましくは9%以上、特に好ましくは10%以上である。MgOが20%超ではガラスが失透しやすくなり、またはKNO3溶融塩中のNaNO3濃度による表面圧縮応力の変化が大きくなるおそれがあり、好ましくは15%以下である。本発明のガラスα及びβにおいてはMgOは、より好ましくは12%以下、さらに好ましくは10%以下、特に好ましくは8%以下である。

0078

SiO2、Al2O3、Na2OおよびMgOの含有量の合計は97%以上であることが好ましい。当該合計が97%未満ではチッピング耐性を維持しつつ所望の圧縮応力層を得ることが困難になるおそれがある。98%以上であることがより好ましく、98.3%以上であることがさらに好ましい。

0079

ZrO2は必須ではないが、ガラス転移点を高めるために、または高温での粘性を低下させるために、または表面圧縮応力を大きくするために2%までの範囲で含有してもよい。ZrO2が2%超では圧痕からクラックが発生する可能性が高まり、機械的強度が低下するおそれがある。好ましくは1.5%以下、より好ましくは1%以下、さらに好ましくは0.5%以下である。

0080

SiO2が72%以下である場合、ZrO2は0.63%以下であることが好ましい。ZrO2が0.63%超では化学強化後に圧痕が付いたときに破壊しやすくなり、この観点からはこのような場合はZrO2を含有しないことがより好ましい。

0081

本発明のガラスは本質的に以上で説明した成分であるSiO2、Al2O3、Na2OおよびMgOからなるが、本発明の目的を損なわない範囲でその他の成分を含有してもよい。そのような成分を含有する場合、それら成分の含有量の合計は3%以下であることが好ましく、より好ましくは2%以下、典型的には1%以下である。以下、上記その他成分について例示的に説明する。

0082

ZnOはガラスの高温での溶融性を向上するために、たとえば2%まで含有してもよい場合があるが、好ましくは1%以下であり、フロート法で製造する場合などには0.5%以下にすることが好ましい。ZnOが0.5%超ではフロート成型時に還元製品欠点となるおそれがある。典型的にはZnOは含有しない。

0083

B2O3は高温での溶融性またはガラス強度の向上のために、たとえば1%未満の範囲で含有してもよい場合がある。B2O3が1%以上では均質なガラスを得にくくなり、ガラスの成型が困難になるおそれがある、またはチッピング耐性が低下するおそれがある。典型的にはB2O3は含有しない。

0084

TiO2はガラス中に存在するFeイオン共存することにより、可視光透過率を低下させ、ガラスを褐色に着色するおそれがあるので、含有するとしても1%以下であることが好ましく、典型的には含有しない。

0085

Li2Oはヤング率を高める成分であるが、歪点を低くして応力緩和を起こりやすくし、その結果安定した表面圧縮応力層を得られなくする成分であるので含有しないことが好ましく、含有する場合であってもその含有量は1%未満であることが好ましく、より好ましくは0.05%以下、特に好ましくは0.01%未満である。

0086

また、Li2Oは化学強化処理時にKNO3などの溶融塩中に溶出することがあるが、Liを含有する溶融塩を用いて化学強化処理を行うと表面圧縮応力が著しく低下する。すなわち、本発明者はLiを含有しないKNO3、Liを0.005質量%、0.01質量%、0.04質量%含有するKNO3を用いて後述の例23のガラスを450℃、6時間の条件で化学強化処理を行ったところ、溶融塩がLiを0.005質量%含有しているだけで表面圧縮応力が著しく低下することを見出した。したがって、Li2Oはこの観点からは含有しないことが好ましい。

0087

CaOは高温での溶融性を向上させる、または失透を起こりにくくするために1%未満の範囲で含有してもよい。CaOが1%以上ではイオン交換速度またはクラック発生に対する耐性が低下する。典型的にはCaOは含有しない。

0088

SrOは必要に応じて含有してもよいが、MgO、CaOに比べてイオン交換速度を低下させる効果が大きいので、含有する場合であってもその含有量は1%未満であることが好ましい。典型的にはSrOは含有しない。

0089

BaOはアルカリ土類金属酸化物の中でイオン交換速度を低下させる効果が最も大きいので、BaOは含有しないこととするか、含有する場合であってもその含有量は1%未満とすることが好ましい。

0090

SrOまたはBaOを含有する場合それらの含有量の合計は1%以下であることが好ましく、より好ましくは0.3%未満である。

0091

CaO、SrO、BaOおよびZrO2から選択される1以上の成分を含有する場合、CaO、SrO、BaOおよびZrO2の4成分の含有量の合計は1.5%未満であることが好ましい。当該合計が1.5%以上ではイオン交換速度が低下するおそれがあり、典型的には1%以下である。

0092

ガラスの溶融の際の清澄剤として、SO3、塩化物フッ化物などを適宜含有してもよい。また、可視域から近赤外域に吸収をもつFe2O3、NiO、Cr2O3など原料中の不純物として混入するような成分は、ガラス溶融時に溶融炉の底まで輻射熱伝わりにくくなるため、できるだけ減らすことが好ましく、各々質量百分率表示で0.3%以下であることが好ましく、より好ましくは0.2%以下、さらに好ましくは0.15%以下、特に好ましくは0.13%以下である。

0093

また、磁気記録媒体用ガラスは短時間で化学強化できるものであることが好ましいが、短時間で化学強化しようとするとイオン交換速度を高めるべくイオン交換温度すなわち溶融塩の温度を高くする必要がある。しかし、イオン交換温度を高くすると化学強化によって形成された表面圧縮応力Sが低下しやすくなる。以下、本発明ではこの現象を応力緩和というが、この応力緩和に係る指標であるΔが小さいと、化学強化プロセスによって発生する表面圧縮応力Sの変動が少ないといえる。

0094

なお、Δとは、磁気記録媒体用ガラスを、厚み1mmのガラス板に成形し、400℃のKNO3に6時間浸漬したときに得られる表面圧縮応力をS400とし、450℃のKNO3に6時間浸漬したときに得られる表面圧縮応力をS450とした場合に、下記式(3)で表わされる。すなわち、Δは400℃および450℃の溶融硝酸カリウム塩中にガラスを6時間浸漬したときに得られる表面圧縮応力の低下割合である応力緩和率を示す。

0095

Δ=(S400−S450)/S400 ・・・(3)
Sの安定性を重視する観点から、Δは0.21以下であることが好ましい。すなわち、Sのばらつきは5%以内であることが求められており、一方で化学強化処理槽内の溶融塩の温度の変動は±6℃、変動全幅すなわちばらつきでいえば12℃であるので、50℃(=450℃−400℃)の温度差で評価されるΔが0.21以下であれば、ばらつき12℃でのSのばらつきはその12/50である0.05=5%となる。Δはより好ましくは0.20以下、特に好ましくは0.19以下である。

0096

また、本発明者はΔがガラス組成によって変化することを見出し、前記本発明のガラスβに係る発明を想到した。図2は後述する例1〜12、31〜43、57、59〜62のガラスの組成から算出した前記Dと各ガラスのΔの関係を示す散布図である。同図中の直線はD=0.911×Δ−0.018であり相関係数は0.91である。すなわち、Dを0.18以下とすればΔを概ね0.21以下とすることが可能になる。好ましくはDは0.17以下、より好ましくは0.16以下である。

0097

Δを小さくしたい場合には、本発明のガラスは、モル百分率表示で、SiO2を66〜75%、Al2O3を5.5〜11%、Na2Oを8〜15%、K2Oを0〜1%、MgOを7%超15%以下、ZrO2を0〜0.5%含有し、SiO2およびAl2O3の含有量の合計SiO2+Al2O3が83%以下であることが好ましい。CaOはイオン交換を阻害しやすく十分なtを得ることが困難になりやすい成分であり、また、圧子圧入時にクラックを発生させやすくする成分であるのでこれらの観点からは含有しないことが好ましく、含有する場合であっても1%未満であることが好ましい。
<本発明の磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法>
本発明の磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法について説明する。

0098

本発明の磁気記録媒体用ガラス基板を製造する場合、従来の磁気記録媒体用ガラス基板を製造する際と同様に、溶解・清澄工程および成形工程を実施する。なお、本発明の磁気記録媒体用ガラス基板は、アルカリ金属酸化物(Na2O、K2O)を含有するアルカリ含有ガラス基板であるため、清澄剤としてSO3を効果的に用いることができ、成形方法としてフロート法およびフュージョン法(ダウンドロー法)に適している。

0099

磁気記録媒体用のガラス基板の製造工程において、ガラスを板状に成形する方法としては、磁気記録媒体の需要増加に伴い、大面積のガラス基板を容易に、安定して成形できるフロート法を用いることが好ましい。

0100

本発明の磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法の好ましい態様について説明する。

0101

初めに、所定のガラス原料を溶解して得た溶融ガラスを板状に成形する。例えば、得られるガラス基板が前述した組成となるように原料を調製し、上記原料を溶融炉に連続的に投入し、1550〜1700℃に加熱して溶融ガラスを得る。そして、この溶融ガラスを、例えばフロート法を適用してリボン状のガラス板に成形する。

0102

次に、リボン状のガラス板をフロート成形炉から引出した後に、冷却手段によって室温状態まで冷却し、切断後、さらに外周加工研磨加工等を経て磁気記録媒体用ガラス基板を得る。
<本発明の磁気記録媒体用ガラスの用途>
本発明の磁気記録媒体用ガラスは、高い耐熱性、高い比弾性率、並びに、化学強化プロセスにおいて発生させる応力の変動が少ない特性を兼ね備えることから、磁気記録媒体用ガラス基板に用いる場合に磁気記録媒体の記録密度向上に寄与することができる。このため、磁気記録媒体用ガラス基板として好適に用いられる。

0103

また、本発明の磁気記録媒体用ガラスを化学強化した磁気記録媒体用化学強化ガラスについても同様に磁気記録媒体用ガラス基板として好適に用いることができる。

0104

具体的には例えば、本発明の磁気記録媒体用ガラス、または本発明の磁気記録媒体用化学強化ガラスからなる磁気記録媒体用ガラス基板とすることができる。

0105

本発明の磁気記録媒体用ガラスを磁気記録媒体用ガラス基板に適用する場合、ガラス基板の厚さは2mm以下とするのが好ましく、より好ましくは1.5mm以下、さらに好ましくは1.2mm以下、特に好ましくは1.0mm以下である。生産性良く、またガラスの平坦性を維持する観点から、ガラス基板の厚さは0.3mm以上が好ましく、0.4mm以上がより好ましく、0.5mm以上がさらに好ましく、0.7mm以上が特に好ましい。フロート法で製造する場合は、ガラス基板の厚さは0.5〜1.0mmの範囲で製造することが特に好ましい。

0106

また、ガラス基板に磁性膜を成膜する方法は特に制限されないが、本発明の磁気記録媒体用ガラス、及び磁気記録媒体用化学強化ガラスは、ガラス転移温度が高いことから、磁性膜を形成する際の加熱温度を500〜700℃、好ましくは550〜680℃、より好ましくは580〜680℃、さらに好ましくは600〜680℃、特に好ましくは600〜650℃とすることができる。
<本発明の磁気記録媒体>
以下添付の図面を使用して本発明の磁気記録媒体を詳細に説明する。なお、本発明は添付の図面に限定されない。

0107

図3は本発明の磁気記録媒体の実施形態の一例を示す斜視図である。図4は、本発明の磁気記録媒体の実施形態の一例の側面図である。

0108

磁気記録媒体10は、既述のようにエネルギーアシスト磁気記録方式の記録媒体である。エネルギーアシスト磁気記録方式は、エネルギー(熱)を与えることで磁気記録層14の保磁力を低下させ、この状態で外部磁界を印加して記録する方式であり、熱安定性を保ちながら磁性粒子を微細化できる。磁気記録媒体10は、大気雰囲気下のほか、不活性雰囲気下で使用できる。不活性雰囲気としては、窒素雰囲気、アルゴン雰囲気のほか、特に、原子量の小さいヘリウム雰囲気が回転に伴う気流の影響を小さくできるので好ましい。記録時および再生時の少なくとも一方の磁気記録媒体10の回転数は、7200〜20000rpmであってよい。磁気記録媒体10は、ガラス基板11、ヒートシンク層12、シード層13、磁気記録層14、および保護層15を有する。

0109

なお、磁気記録媒体は、図3及び図4の構成に限定されない。磁気記録媒体は、ガラス基板11と、磁気記録層14とを有していればよく、例えばヒートシンク層12、シード層13、および保護層15を有しなくてもよい。また、磁気記録媒体は、ガラス基板11と磁気記録層14との間に、密着層、軟磁性裏打ち層、中間層などをさらに有してもよい。また、磁気記録媒体は、ガラス基板11の両側に磁気記録層14を有してもよい。

0110

なお、添付の図面に示す記録層の各層の厚さは図面に限定されない。

0111

ガラス基板11は、既述の磁気記録媒体用ガラス、または磁気記録媒体用化学強化ガラスからなる磁気記録媒体用ガラス基板とすることができる。すなわち、本発明の磁気記録媒体は、既述の磁気記録媒体用ガラス基板を有することができる。

0112

一般的に、ガラス基板11のフラッタリング特性の指標dとして、基板用ガラスの比弾性率E/ρが用いられる。フラッタリングを抑制するため、指標dの大きいガラスが望ましい。ここで、比弾性率E/ρは、ヤング率Eと比重ρとの比E/ρである。

0113

ガラス基板11は、例えばフロート法、スロットダウンドロー法、またはフュージョン法(所謂、オーバーフローダウンドロー法)により板状に成形されたガラスを加工して作成されればよい。なお、板状のガラスは、プレス成形法円盤状に成形されたガラスや、モールドキャストされて円柱状に成形されたガラスをワイヤーソーで切断して作製されてもよい。

0114

ガラス基板11は、ガラス基板を化学強化したものでもよい。すなわち既述の磁気記録媒体用化学強化ガラスを用いることができる。化学強化法としては、例えばイオン交換法などがある。イオン交換法は、ガラス基板を処理液(例えば硝酸カリウム溶融塩)に浸漬し、ガラスに含まれるイオン半径の小さなイオン(例えばNaイオン)をイオン半径の大きなイオン(例えばKイオン)に交換することで、ガラス基板表面に圧縮応力を生じさせる。

0115

ガラス基板11の板厚は、一般的には0.3〜2mm程度の厚みで使用でき、例えば0.5〜1.0mm程度である。 典型的には0.635mmや0.8mmである。

0116

ガラス基板11の形状は円盤状であって、ガラス基板11の直径は1.5〜8インチ程度で使用でき、例えば2.5インチや3.5インチである。

0117

ヒートシンク層12は、熱アシスト磁気記録時に発生する磁気記録層14の余分な熱を効果的に吸収する。ヒートシンク層12は、熱伝導率および比熱容量が高い金属により形成できる。ヒートシンク層12の材料としては、一般的なものが用いられる。

0118

シード層13は、ヒートシンク層12と磁気記録層14との間の密着性を確保する。また、シード層13は、磁気記録層14の磁性結晶粒粒径および結晶配向を制御する。さらに、シード層13は、熱的なバリアとして磁気記録層14の温度上昇および温度分布を制御する。シード層13の材料としては、一般的なものが用いられる。

0119

磁気記録層14は、信号を書き込む層である。磁気記録層14は複数層構造であってよく、各層は磁性結晶粒および非磁性部で構成されるグラニュラー構造を有する。磁気記録層14の材料としては、一般的なものが用いられる。磁気記録層14の面記録密度が800Gbits/in2以上であってよい。尚、磁気記録層14は単層構造でもよい。

0120

保護層15は、磁気記録層14を保護する。保護層15は、単層構造、積層構造のいずれでもよい。保護層15の材料としては、一般的なものが用いられる。

0121

表4〜11の例1〜15、22〜25、27、28、30〜61についてSiO2からK2Oまでの欄にモル百分率表示で示す組成になるように、酸化物水酸化物炭酸塩または硝酸塩等一般に使用されているガラス原料を適宜選択し、ガラスとして400gとなるように量した。この秤量したものにその質量の0.2%に相当する質量の硫酸ナトリウムを添加したものについて混合した。ついで、混合した原料を白金るつぼに入れ、1650℃の抵抗加熱式電気炉に投入し、5時間溶融し、脱泡、均質化した。得られた溶融ガラスを型材流し込み、Tg+50℃の温度で1時間保持した後、0.5℃/分の速度で室温まで冷却し、ガラスブロックを得た。このガラスブロックを切断、研削し、最後に両面を鏡面に加工して、サイズが30mm×30mm、厚みが1.0mmである板状ガラスを得た。

0122

また、表7の例26は別に用意したソーダライムガラスであり、表5の例16、表6の例17〜21、表7の例29については上で述べたようなガラスの溶融等を行っていない。

0123

例1〜21、29〜61は実施例、例22〜28は比較例である。

0124

これらガラスのガラス転移点Tg(単位:℃)、粘度が102dPa・sとなる温度T2(単位:℃)、粘度が104dPa・sとなる温度T4(単位:℃)、比重ρ、50〜350℃における平均線膨張係数α(単位:−7/℃)、ヤング率E(単位:GPa)、ポアソン比σ、未強化時のクラック発生率P0(単位:%)、前記r、前記R、前記Δ、前記D、比弾性率E/ρを表に示す。なお、表中に*を付して示すデータは組成から計算または推定して求めたものである。

0125

本発明の実施例のガラスは、いずれもガラス転移点が570℃以上と高く、比弾性率が27.5GPa・cm3/g以上であり、高い耐熱性と良好なフラッタリング特性が期待できる。

0126

P0はビッカース硬度計を用いて500gf(=4.9N)の荷重をかけた時のクラック発生率であり、次のようにして測定した。

0127

板状のガラスを#1000の砥石を用いて300〜1000μm研削して板状ガラスを得、その後、酸化セリウムを用いて研磨してその表面を鏡面とした。次に、この鏡面加工した表面の加工歪を除去するため、抵抗加熱型の電気炉にて大気圧下Tg+50℃の温度まで昇温し、その温度に1時間保持した後室温まで0.5℃/分の速度で降温した。なお、昇温はTgへの到達時間が1時間となるような昇温速度で行った。

0128

以上の処理を行ったサンプルを用いてクラック発生率を測定した。すなわち、大気雰囲気下、温度20〜28℃、露点−30℃の条件で、ビッカース硬度計の荷重を500gとして10点ビッカース圧子を打ち込み、圧痕の四隅に発生するクラックの本数を測定した。この発生したクラック本数をクラック発生可能本数40で除したものをクラック発生率とした。
高い機械的強度を得るためには、未強化時のガラスのクラック発生率は低い方が好ましい。具体的にはP0は50%以下であることが好ましい。本発明の実施例のガラスはP0が50%を超えるものがなく、未強化の状態でもクラックが発生しにくいことがわかる。

0129

次に、例1〜15、22〜28、58〜61の板状ガラスについて次のような化学強化処理を行った。すなわち、これらガラスを400℃のKNO3溶融塩にそれぞれ8時間浸漬し、化学強化処理を行った。なお、KNO3溶融塩のKNO3含有割合は99.7〜100%、NaNO3含有割合は0〜0.3%である。
化学強化処理後の各ガラスについて、折原製作所社製表応力計FSM−6000にて表面圧縮応力S(単位:MPa)および圧縮応力層厚み(圧縮応力層深さ)t(単位:μm)を測定した。結果を表の該当欄に示す。

0130

また、例30〜57の板状ガラスについては400℃のKNO3溶融塩への浸漬時間を6時間と10時間にして同様に表面圧縮応力と圧縮応力層厚みを測定し、それらの値から上記浸漬時間が8時間の場合の表面圧縮応力と圧縮応力層厚みを推定した。結果を表のS、tの欄に示す。

0131

また、例1〜15、22〜28の上記化学強化処理後の板状ガラスおよび例31〜62の10時間化学強化処理(上記化学強化処理において400℃のKNO3溶融塩への浸漬時間を10時間としたもの)後の板状ガラス各20枚に関して、大気圧下、温度20〜28℃、湿度40〜60%の条件で、ビッカース硬度計のビッカース圧子を5kgf、すなわち49Nで打ち込み、それを起点に破壊した数を測定枚数の20で除して百分率表示としたものを破壊率P1(単位:%)とした。また、ビッカース圧子を10kgf、すなわち98Nで打ち込む点だけがP1と異なる破壊率P2(単位:%)をP1と同様にして測定した。高い機械的強度を得るためには、P1は50%以下が好ましく、P2は40%以下であることがより好ましい。

0132

本発明の実施例である例1〜14、16、17、30〜61ではガラスは全く破壊せずP1が0%であり、P1が0%ではない例15でもP1、P2はいずれも40%以下にとどまっているのに対して、比較例である例23〜28ではP1またはP2は40%超であり、特に例26〜28のガラスではP1、P2はいずれも100%でありすべて破壊してしまった。すなわち、本発明のガラスは圧痕がついても破壊するリスクが低く、機械的強度が高いことがわかる。なお、比較例である例22、25のP1は40%以下であるが、これらはいずれもP0が大きく50%超であり、機械的強度が低い。

0133

また、例1、7、26〜28のガラスに関しては別に5mm×40mm×1mmtの形状で5mm×40mmの面を鏡面仕上げ、その他の面を#1000仕上げに加工したガラスを用意した。これらガラスを硝酸カリウム溶融塩(KNO3:98〜99.8%、NaNO3:0.2〜2%)を用いて425〜450℃で化学強化処理を行った。表面圧縮応力および圧縮応力層厚みtはそれぞれ、例1は757MPa、55μm、例7は878MPa、52μm、例26は607MPa、15μm、例27は790MPa、49μm、例28は830MPa、59μmであった。

0134

これら化学強化処理後のガラスの5mm×40mmの前記鏡面仕上げをした面の中心にビッカース硬度計を用いて10kgfの荷重でビッカース圧子を打ち込み圧痕を形成した。比較例である例26〜28のガラスは圧痕形成時に破壊したが、実施例である例1、7は破壊しなかった。

0135

この10kgfの圧痕がついた実施例である例1、7のサンプルを用いて、その圧痕がついた面が引張られるようにしてスパン30mmで3点曲げ試験を行った。n=20での曲げ強度平均値(単位:MPa)を表4のFの欄に示すが、圧痕がついた状態でも例1、7のガラスを化学強化したものは400MPa以上という非常に高い破壊応力を示した。

0136

Δは次のようにして測定した。すなわち、KNO3の含有割合が100%であり温度が400℃である溶融硝酸カリウムに6時間浸漬するイオン交換を行って化学強化ガラス板とし、その表面圧縮応力S400(単位:MPa)を測定し、また、KNO3の含有割合が100%であり温度が450℃である溶融硝酸カリウムに6時間浸漬するイオン交換を行って化学強化ガラス板とし、その表面圧縮応力S450(単位:MPa)を測定した。このようにして測定したS400およびS450から(S400−S450)/S400を算出し、これをΔとした。

0137

本発明の実施例において、Dの値が高い例26に比べていずれも低いΔを示し、さらにDの値が0.18以下である実施例はいずれも0.21以下の低いΔを示しており、化学強化により発生する応力の変動が少ないことがわかる。

0138

0139

0140

0141

0142

0143

0144

0145

また、例1、7、27、28の、大きさが100mm×50mm、厚みが1mmで表面を鏡面仕上げしたガラス板各20枚に化学強化処理を施した。例1の化学強化ガラス板のSは700MPa、tは45μm、例7のSは700MPa、tは45μm、例27のSは800MPa、tは40μm、例28のSは650MPa、tは55μmであった。

0146

なお、Sは表面圧縮応力を、tは圧縮応力層厚みを意味している。

0147

これら化学強化ガラス板にビッカース圧子で表12のx(単位:kgf)の力を加え破壊率(単位:%)を測定した。なお、測定はFuture tech社製ヌープ硬度計FV−700を用い、印加時間15秒、押込み速度17mm/秒の条件で行った。

0148

この測定結果から本発明の実施例のガラスは高荷重でビッカース圧子を圧入しても破壊しにくく、機械的強度が高いことがわかる。

0149

また、例1、7、27、28の、大きさが100mm×50mm、厚みが1mmで表面を鏡面仕上げしたガラス板各20枚に化学強化処理を施した。例1の化学強化ガラス板のSは700MPa、tは45μm、例7のSは700MPa、tは45μm、例27のSは800MPa、tは40μm、例28のSは650MPa、tは55μmであった。これら化学強化ガラス板にヌープ圧子で表13のx(単位:kgf)の力を加え破壊率(単位:%)を測定した。なお、測定はFuture tech社製ヌープ硬度計FV−700を用い、印加時間15秒、押込み速度17mm/秒の条件で行った。

0150

この測定結果から本発明の実施例のガラスは高荷重でヌープ圧子を圧入しても破壊しにくく、機械的強度が高いことがわかる。

0151

また、例1、7、27についてはこのとき破壊しなかったものについて圧痕を測定した。圧痕の長さl(単位:μm)および深さd(単位:μm)を表14に示す。

0152

この測定結果から本発明の実施例のガラスは非常に大きな圧入くぼみができても、破壊しにくく、機械的強度が高いことがわかる。

実施例

0153

0154

本発明の磁気記録媒体用ガラスおよび磁気記録媒体用化学強化ガラスは、磁気記録媒体の基板ガラスに利用できる。

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