図面 (/)

技術 鉄道車両用台車の電極付き板バネの製造方法

出願人 川崎重工業株式会社
発明者 西村武宏津村洋祐三津江雅幸中岡輝久稲村文秀川島勝之轟章西尾勇佑
出願日 2015年9月10日 (3年10ヶ月経過) 出願番号 2015-178072
公開日 2017年3月16日 (2年4ヶ月経過) 公開番号 2017-052415
状態 特許登録済
技術分野 鉄道車両懸架装置、車輪装置 電気的手段による材料の調査、分析 ばね
主要キーワード 下方荷重 監視制御器 側ばり レーザ制御器 各電極要素 要素対 レーザ走査速度 幅方向他端
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2017年3月16日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (7)

課題

鉄道車両用台車に用いる繊維強化樹脂製板バネ電極を取り付けるにあたり、電極を導電性繊維に安定的に接触導通させて安定した品質を保つようにする。

解決手段

鉄道車両用台車の電極付き板バネの製造方法は、導電性繊維を樹脂に含有させてなる繊維強化樹脂を有する板バネの前記繊維強化樹脂の表面に部分的にレーザ光照射することで、前記樹脂の一部を除去して前記導電性繊維の一部を露出させる樹脂除去工程と、前記繊維強化樹脂における前記導電性繊維の一部を露出させた露出領域に電極を取り付ける電極形成工程と、を備える。

概要

背景

鉄道車両用台車では、前後の軸箱板バネを架け渡し、その板バネの長手方向の中央部に横梁を支持させることで側梁を省略するものが提案されている(特許文献1参照)。即ち、この台車では、板バネがサスペンションの機能とともに従来の側梁の機能も果たすこととなる。そして、板バネは、台車の軽量化のために繊維強化樹脂を用いて形成される。

ところで、板バネには、台車走行時に繰り返し荷重負荷されるため、長期使用された板バネには疲労による強度低下への注意が必要であるが、板バネ自体の状態を簡易監視モニタリング)できれば、台車のメンテナンスの効率化に役立つ。例えば、特許文献2には、CFRPからなる複合材料の一方面に複数の電極を所定の間隔をあけて配置し、電極間に流れる電流に基づいて測定される電気抵抗の変化から複合材料の異常を検出する手法が開示されている。

概要

鉄道車両用台車に用いる繊維強化樹脂製の板バネに電極を取り付けるにあたり、電極を導電性繊維に安定的に接触導通させて安定した品質を保つようにする。鉄道車両用台車の電極付き板バネの製造方法は、導電性繊維を樹脂に含有させてなる繊維強化樹脂を有する板バネの前記繊維強化樹脂の表面に部分的にレーザ光照射することで、前記樹脂の一部を除去して前記導電性繊維の一部を露出させる樹脂除去工程と、前記繊維強化樹脂における前記導電性繊維の一部を露出させた露出領域に電極を取り付ける電極形成工程と、を備える。

目的

本発明は、鉄道車両用台車に用いる繊維強化樹脂製の板バネに電極を取り付けるにあたり、電極を導電性繊維に安定的に接触導通させて安定した品質を保つようにすることを目的とする

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

導電性繊維樹脂に含有させてなる繊維強化樹脂を有する板バネの前記繊維強化樹脂の表面に部分的にレーザ光照射することで、前記樹脂の一部を除去して前記導電性繊維の一部を露出させる樹脂除去工程と、前記繊維強化樹脂における前記導電性繊維の一部を露出させた露出領域電極を取り付ける電極形成工程と、を備える、鉄道車両用台車の電極付き板バネの製造方法。

請求項2

前記樹脂は、光透過性を有し、かつ、前記導電性繊維は、光吸収性を有する、請求項1に記載の鉄道車両用台車の電極付き板バネの製造方法。

請求項3

前記樹脂は、光吸収性を有する、請求項1に記載の鉄道車両用台車の電極付き板バネの製造方法。

請求項4

前記樹脂除去工程では、レーザ光の照射方向から見て、前記導電性繊維の延びる方向にレーザ光を走査する、請求項2又は3に記載の鉄道車両用台車の電極付き板バネの製造方法。

請求項5

前記電極形成工程では、熱硬化性導電性材料を前記露出領域に塗布し、前記導電性材料にレーザ光を照射して前記導電性材料を硬化させることで、前記電極を形成する、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の鉄道車両用台車の電極付き板バネの製造方法。

請求項6

前記樹脂除去工程及び前記電極形成工程では、それぞれレーザ光を照射するために同一のレーザ装置を使用する、請求項5記載の鉄道車両用台車の電極付き板バネの製造方法。

請求項7

前記電極形成工程で前記導電性材料に照射されるレーザ光の単位面積あたりのエネルギーを、前記樹脂除去工程で前記繊維強化樹脂に照射されるレーザ光の単位面積あたりのエネルギーよりも小さくする、請求項5又は6に記載の鉄道車両用台車の電極付き板バネの製造方法。

請求項8

前記電極形成工程では、前記板バネの長手方向一方側で、かつ前記板バネの両側面に形成された前記露出領域に対してそれぞれ、1つの中央電極対と、前記板バネの長手方向における前記中央電極対の両側に離間して配置される2つの両側電極要素対が形成される、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の鉄道車両用台車の電極付き板バネの製造方法。

技術分野

0001

本発明は、鉄道車両用台車電極付き板バネの製造方法に関し、特定的には板バネの状態監視を可能にするための電極が取り付けられた板バネの製造方法に関する。

背景技術

0002

鉄道車両用台車では、前後の軸箱に板バネを架け渡し、その板バネの長手方向の中央部に横梁を支持させることで側梁を省略するものが提案されている(特許文献1参照)。即ち、この台車では、板バネがサスペンションの機能とともに従来の側梁の機能も果たすこととなる。そして、板バネは、台車の軽量化のために繊維強化樹脂を用いて形成される。

0003

ところで、板バネには、台車走行時に繰り返し荷重負荷されるため、長期使用された板バネには疲労による強度低下への注意が必要であるが、板バネ自体の状態を簡易監視モニタリング)できれば、台車のメンテナンスの効率化に役立つ。例えば、特許文献2には、CFRPからなる複合材料の一方面に複数の電極を所定の間隔をあけて配置し、電極間に流れる電流に基づいて測定される電気抵抗の変化から複合材料の異常を検出する手法が開示されている。

先行技術

0004

特許第5438796号公報
特開2001−318070号公報

発明が解決しようとする課題

0005

しかし、CFRPの表面に電極を設ける際に、CFRPの表面の樹脂を除去して導電性を有する炭素繊維露出させてから電極を貼り付けるとした場合、樹脂を研磨して削り取る作業が不十分であると、余分な樹脂が残存し、電極と炭素繊維との間の導通不完全となる。他方、樹脂を削り過ぎても、炭素繊維が切断されて電極と炭素繊維との間の接触状態に変化が生じ易くなり、測定値にばらつきが生じる。

0006

そこで本発明は、鉄道車両用台車に用いる繊維強化樹脂製の板バネに電極を取り付けるにあたり、電極を導電性繊維に安定的に接触導通させて安定した品質を保つようにすることを目的とする。

課題を解決するための手段

0007

本発明の一態様に係る鉄道車両用台車の電極付き板バネの製造方法は、導電性繊維を樹脂に含有させてなる繊維強化樹脂を有する板バネの前記繊維強化樹脂の表面に部分的にレーザ光照射することで、前記樹脂の一部を除去して前記導電性繊維の一部を露出させる樹脂除去工程と、前記繊維強化樹脂における前記導電性繊維の一部を露出させた露出領域に電極を取り付ける電極形成工程と、を備える。

0008

前記方法によれば、レーザ光によって樹脂を部分的に除去して導電性繊維の一部を露出させるので、レーザ光の出力等を管理することで、繊維強化樹脂の露出領域を安定かつ正確に形成でき、個体ごとのばらつきを抑制できる。そして、その繊維強化樹脂の露出領域に電極を取り付けることで、電極を導電性繊維に安定的に接触導通させることができ、測定値のばらつきを抑制できる。従って、繊維強化樹脂製の電極付き板バネの品質を安定させることができる。

発明の効果

0009

本発明によれば、鉄道車両用台車に用いる繊維強化樹脂製の板バネに電極を取り付けるにあたり、電極を導電性繊維に安定的に接触導通させて安定した品質を保つことができる。

図面の簡単な説明

0010

実施形態に係る電極付き板バネを備えた鉄道車両用台車の側面図である。
図1に示す板バネの長手方向から見た断面図である。
図1に示す板バネの状態監視の原理を説明する概念図である。
板バネにレーザ光を照射するレーザ装置ブロック図である。
(A)〜(C)は板バネに電極を設ける手順を説明する図面である。
板バネに電極を設ける手順を説明するフローチャートである。

実施例

0011

以下、図面を参照して実施形態を説明する。なお、以下の説明では、鉄道車両が走行する方向であって車体が延びる方向を車両長手方向とし、それに直交する横方向を車幅方向として定義する。車両長手方向は前後方向とも称し、車幅方向は左右方向とも称しえる。即ち、鉄道車両は、車両長手方向の両方向に走行可能であるが、一方の向きに走行する場合を仮定したとき、進行方向の前側を前方と称し、進行方向の後側を後方と称しえる。

0012

図1は、実施形態に係る電極付き板バネ10を備えた鉄道車両用台車1の側面図である。図1に示すように、台車1は、二次サスペンションとなる空気バネ2を介して車体20を支持するための台車枠3を備える。台車枠3は、車幅方向に延びる横梁3aを備えているが、横梁3aの車幅方向両端部から車両長手方向に延びる側梁を備えていない。空気バネ2は、横梁3aの上面に設置される。横梁3aの車両長手方向の両側には、車幅方向に沿って車軸4,5が配置され、車軸4,5の車幅方向両側には車輪6,7が固定される。

0013

車軸4,5の車幅方向両端部には、車輪6,7よりも車幅方向外側にて車軸4,5を回転自在に支持する軸受8,9が設けられ、軸受8,9は軸箱11,12に収容される。横梁3aの車幅方向両端部は、軸梁式の連結機構13,14によって軸箱11,12に連結される。横梁3aと軸箱11,12との間には、車両長手方向に延びた電極付き板バネ10が架け渡され、板バネ10の長手方向の中央部10aが横梁3aの車幅方向両端部を下方から弾性的に支持し、板バネ10の長手方向の一端部10bが軸箱11に支持され、板バネ10の長手方向の他端部10cが軸箱12に支持される。即ち、板バネ10が、一次サスペンションの機能と従来の側ばりの機能とを兼ねる。

0014

横梁3aの車幅方向両端部の下部には、円弧状の下面17aを有する押圧部材17が設けられ、押圧部材17が板バネ10の中央部10aに上方から載せられて離間可能に接触する。即ち、押圧部材17は、板バネ10を押圧部材17に対して上下方向に固定しない状態で、横梁3aからの重力による下方荷重によって板バネ10の上面に接触して上方から押圧する。また、軸箱11,12の上端部には支持部材15,16が取り付けられ、板バネ10の各端部10b,10cは支持部材15,16を介して軸箱11,12に下方から支持される。支持部材15,16の上面は、車両長手方向の中央側に向けて傾斜している。板バネ10の各端部10b,10cも、支持部材15,16に上方から載せられている。

0015

このような構成により、車体20からの荷重は、横梁3aの車幅方向両端部の下部の押圧部材17を介して、板バネ10の中央部に伝達されることになる。また、前後の車輪6,7に線路不整等により高低差が生じる場合には、板バネ10は押圧部材17に対してシーソーのように回転することにより輪重抜けを防止する。このように、台車走行により板バネ10には繰り返し荷重が負荷される。

0016

板バネ10のうち中央部10aと各端部10b,10cとの間の中間領域である中間部10d,10eは、他の部材から離間して空中に自由な状態で配置される。即ち、中間部10d,10eは、変形及び変位拘束されない。そのため、板バネ10は、中央部10a及び端部10b,10cを支点とし、中間部10d,10eにおいて弾性変形する。板バネ10の中間部10d,10eは、側面視で中央部10aに向けて下方に傾斜し、板バネ10の中央部10aは、板バネ10の端部10b,10cよりも下方に位置する。即ち、板バネ10は、側面視で全体として下方に凸な弓形状に形成される。そして、板バネ10は、中央部10aから端部10b,10cに向けて徐々に肉厚が減少する形状を有する。以下では、説明の都合上、図1の左側を進行方向と仮定し、車輪6を前輪と称し、車輪7を後輪と称する。

0017

板バネ10には、板バネ10の長手方向及び板厚方向に直交する幅方向の両側の側端面10fに電極対E0,E1F,E2F,E1R,E2Rが設けられる。各電極対E0,E1F,E2F,E1R,E2Rは、板バネ10を幅方向に挟んでいる。電極対E0,E1F,E2Fは、板バネ10の中央部10aから見て前輪6側に配置され、電極対E1R,E2Rは、板バネ10の中央部10aから見て後輪7側に配置される。電極対E1F,E2Fと電極対E1R,E2Rとは、板バネ10の長手方向中心を基準として対称に配置されている。台車枠3には、各電極対E0,E1F,E2F,E1R,E2Rに電線を介して電気的に接続された監視制御器19が搭載される。状態監視装置30は、板バネ10と、電極対E0,E1F,E2F,E1R,E2Rと、監視制御器19とを備える。なお、電極対E0,E1F,E2F,E1R,E2R自体の構成及び形成方法は互いに同じであるため、以下の説明では、電極対E1Fについて代表して説明する。

0018

図2は、図1に示す板バネ10の長手方向から見た断面図である。図3は、図1に示す板バネ10の状態監視の原理を説明する概念図である。図2及び3に示すように、板バネ10は、複数の繊維強化樹脂層が積層されてなり、例えばオートクレーブ成形など一般的な複合材料の成形手法を用いて成形される。本実施形態では、板バネ10は、第1繊維強化樹脂層31、第2繊維強化樹脂層32、第3繊維強化樹脂層33及び第4繊維強化樹脂層34を有し、この順に上から下に並んでいる。第3繊維強化樹脂層33の肉厚は、長手方向の中央部から端部に向けて徐々に肉厚が小さくなるように形成され、第1繊維強化樹脂層31、第2繊維強化樹脂層32及び第4繊維強化樹脂層34の肉厚は一定である。

0019

第1繊維強化樹脂層31、第2繊維強化樹脂層32及び第4繊維強化樹脂層34は、導電性を有する繊維を含有したものである。本実施形態では、第1繊維強化樹脂層31、第2繊維強化樹脂層32及び第4繊維強化樹脂層34の繊維強化樹脂は、光透過性を有する樹脂と、光吸収性を有する導電性繊維とを有する。繊維強化樹脂層31,32,34の繊維強化樹脂では、樹脂の熱分解温度が導電性繊維の熱分解温度よりも低い。繊維強化樹脂層31,32,34の繊維強化樹脂の導電性繊維は、非透明であり非反射性を有する。一例として、繊維強化樹脂層31,32,34の繊維強化樹脂では、導電性繊維は黒色の炭素繊維であり、樹脂は光を透過させるエポキシ樹脂である。即ち、第1繊維強化樹脂層31、第2繊維強化樹脂層32及び第4繊維強化樹脂層34は、連続した炭素繊維を含有するCFRPによって形成される。

0020

第1繊維強化樹脂層31及び第4繊維強化樹脂層34は、板バネ10の主面(上面又は下面)の法線方向から見ると、板バネ10の長手方向の一端から他端まで連続して延びた炭素繊維を有するものである。即ち、第1繊維強化樹脂層31及び第4繊維強化樹脂層34は、炭素繊維が板バネ10の長手方向の一方向に向けて配向された一方向材を主な積層構成としている。第2繊維強化樹脂層32は、板バネ10の主面(上面又は下面)の法線方向から見ると、幅方向の一端から他端まで連続した炭素繊維を有するものである。即ち、第2繊維強化樹脂層32は、炭素繊維が板バネ10の幅方向の一方向に向けて配向された一方向材もしくは炭素繊維が縦横に配向された織物材等を主な積層構成としている。第3繊維強化樹脂層33は、非導電性強化繊維を含有したFRPによって形成される。一例として、第3繊維強化樹脂層33は、ガラス繊維を含有するGFRPによって形成される。

0021

上記のように、第1繊維強化樹脂層31、第2繊維強化樹脂層32及び第4繊維強化樹脂層34は、導電性繊維を含有し、第3繊維強化樹脂層33は、導電性繊維を含有せず、非導電性の繊維を含有している。即ち、導電性繊維を含有する層同士の境界は、第1繊維強化樹脂層31と第2繊維強化樹脂層32との間の境界である。電極対E1Fは、第1繊維強化樹脂層31の幅方向の両側の側端面に直接的に取り付けられる。具体的には、第1繊維強化樹脂層31の幅方向の両側の側端面の所定部位の樹脂を除去して炭素繊維の一部を露出させてから当該部位に電極対E1Fを取り付ける。本実施形態では、電極対E1Fは、第2繊維強化樹脂層32から離間している。

0022

電極対E1Fを流れる電流の導電路には、図2において模式的に太矢印で示すように、第1繊維強化樹脂層31の炭素繊維のみにより形成される第1導電路P1と、第1繊維強化樹脂層31及び第2繊維強化樹脂層32の両方の炭素繊維に跨いで形成される第2導電路P2とが存在する。第1繊維強化樹脂層31は、一方向材であり、その幅方向の一端から他端まで連続して延びた連続繊維を殆ど有さないため、第1導電路P1は、第1繊維強化樹脂層31の多数の炭素繊維が隣接して互いに接触することで形成される。そのため、第1導電路P1は、板バネ10の長手方向及び幅方向に不規則経路を辿る。

0023

第2導電路P2は、第1繊維強化樹脂層31の幅方向一端部と、第2繊維強化樹脂層32と、第1繊維強化樹脂層31の幅方向他端部との各炭素繊維により形成される。即ち、第2導電路P2は、第1繊維強化樹脂層31の炭素繊維と第2繊維強化樹脂層32の炭素繊維との接触により、第1繊維強化樹脂層31と第2繊維強化樹脂層32との間の境界を通過する。第2繊維強化樹脂層32の炭素繊維は、板バネ10の幅方向の一端から他端まで連続して延びた連続繊維を有するため、第2繊維強化樹脂層32に形成される導電路は、第1繊維強化樹脂層31に形成される導電路に比べ、短い距離で板バネ10の幅方向に通電できる。そのため、第2繊維強化樹脂層32の幅方向に流れる電流に対する電気抵抗は、第1繊維強化樹脂層31の幅方向に流れる電流に対する電気抵抗よりも小さい。よって、電極対E1Fを流れる電流は、第1導電路P1よりも第2導電路P2に多く流れる。

0024

このように、多くの電流が流れる第2導電路P2が、第1繊維強化樹脂層31と第2繊維強化樹脂層32との間の境界を通過するため、第1繊維強化樹脂層31と第2繊維強化樹脂層32との間に剥離が生じた場合には、第2導電路P2の断面積が減少することで、第2導電路P2の電気抵抗に顕著な変化が生じる。よって、電極対E1Fに電流を流して求められる板バネ10の抵抗値が大きく増加したときに、当該剥離が発生したと判断できる。また、第1導電路P1においても、第1繊維強化樹脂層31の内部で互いに接触していた隣接繊維同士が離れる剥離が生じた場合には、第1導電路P1の断面積が減少することで、第1導電路P1の電気抵抗に変化が生じる。よって、電極対E1Fに電流を流して求められる板バネ10の抵抗値の増加を監視することで、当該剥離も検出できる。

0025

電極対E1Fは、電圧測定用中央電極要素対41と、板バネ10の長手方向における中央電極要素対41の両側に離間して配置された給電用の両側電極要素対42,43とからなる。各電極要素対41〜43は、それぞれ第1繊維強化樹脂層31の厚さ方向に延びる形状に形成される。両側電極要素対42,43は、互いに短絡しており、電源45及び電流センサ46を有する回路に接続される。両側電極要素対42,43には、電源45から定電流Iが供給される。中央電極要素対41は、電圧センサ47を有する回路に接続される。即ち、電圧センサ47により中央電極要素対41の電圧が検出される。状態監視装置30は、両側電極要素対42,43に定電流を供給する電源45と、中央電極要素対41の電圧を検出する電圧センサ47とを備える。両側電極要素対42,43に供給された電流の分布図3破線)は、板バネ10の長手方向にある程度の拡がりをもつため、板バネ10の中央電極要素対41で挟まれた部分に電流が集中する。よって、電圧センサ47により中央電極要素対41の電圧の変化が安定して検出される。

0026

図4は、板バネ10にレーザ光を照射するレーザ装置50のブロック図である。図4に示すように、レーザ装置50は、レーザ発振器51と、ミラー52と、モーター53と、レーザ制御器54とを備え、板バネ10に向けてレーザ光を照射する。レーザ発振器51は、レーザ光を生成して出力する。ミラー52(例えば、ガルバノミラー)は、レーザ発振器51から出力されたレーザ光を板バネ10の目標位置に向けて反射する。モーター53は、ミラー52を駆動してミラー52の角度を調整することで、レーザ光の反射方向を調整する。レーザ制御器54は、レーザ発振器51を制御することで、レーザ光の強度を制御する(出力制御)。また、レーザ制御器54は、モーター53を制御することで、レーザ光の走査方向及び走査速度を制御する(走査制御)。

0027

図5(A)〜(C)は、板バネ10に電極対E1Fを設ける手順を説明する図面である。図6は、板バネ10に電極対E1Fを設ける手順を説明するフローチャートである。図6に示すように、まず、板バネ10を治具(図示せず)に固定し、レーザ装置50に対して板バネ10を位置決めする(ステップS1:板バネ固定工程)。次いで、図5(A)及び6に示すように、板バネ10の第1繊維強化樹脂層31の側端面の対象部位にレーザ光L1を照射することで、当該部位の表面の樹脂を除去して炭素繊維の一部を露出させる露出領域Xを形成する(ステップS2:樹脂除去工程)。本実施形態では、露出領域Xは、第1繊維強化樹脂層31の側端面にのみに形成される。また、露出領域Xは、一例として、板バネ10の側面視で矩形状に形成される。レーザ光L1で露出領域Xを形成することにより、レーザ装置50のレーザ光L1の出力及び走査速度をレーザ制御器54で管理することで、繊維強化樹脂の露出領域Xを安定かつ正確に形成でき、個体ごとのばらつきが抑制される。

0028

また、板バネ10の第1繊維強化樹脂層31では、樹脂が光透過性を有し、炭素繊維が光吸収性を有するので、樹脂除去工程において、樹脂を透過したレーザ光L1が炭素繊維に吸収されて炭素繊維が発熱し、その発熱した炭素繊維の周囲の樹脂を熱で除去することができる。よって、炭素繊維を回避するようにレーザ光L1を照射する必要もなく、レーザ光L1を照射する作業が簡単にでき、製造効率が向上する。

0029

また、樹脂除去工程では、レーザ光L1の照射方向から見て(即ち、板バネ10の側面視で)、炭素繊維の延びる方向(即ち、板バネ10の長手方向)にレーザ光L1が走査される。こうすれば、レーザ光L1の照射方向から見て、炭素繊維の延びる方向に直交する方向(即ち、板バネ10の板厚方向)にレーザ光を走査する場合に比べ、個々の炭素繊維を速やかに昇温して樹脂を除去できると共に、個々の炭素繊維に繰り返し熱負荷が与えられることが抑制され、炭素繊維の劣化(例えば、繊維の切断等)を防止できる。

0030

次いで、板バネ10の第1繊維強化樹脂層31の側端面の露出領域Xを後工程のために洗浄液(例えば、アセトン)を用いて洗浄する(ステップS3:洗浄工程)。次いで、図5(B)及び6に示すように、洗浄された露出領域Xに熱硬化性導電性インク141,142,143をスクリーン印刷により塗布する(ステップS4:電極塗布工程)。次いで、図5(C)及び6に示すように、その塗布された導電性インク141,142,143にレーザ装置50によりレーザ光L2を照射することで、その導電性インク141,142,143を硬化させて電極要素対41〜43(電極対E1F)を形成する(ステップS5:電極硬化工程)。即ち、本実施形態では、電極形成工程が、電極塗布工程と電極硬化工程とで構成される。そして、電極硬化工程にもレーザ装置50によるレーザ光L2を用いるので、恒温槽等を用いる必要がなく、設備の簡略化が可能となる。また、樹脂除去工程及び電極硬化工程の両工程で同一のレーザ装置50を使用するので、作業効率の向上及びコストの低減が図られる。

0031

また、この際、レーザ制御器54は、電極硬化工程で導電性インク141,142,143に照射されるレーザ光L2の単位面積あたりのエネルギーを、樹脂除去工程で第1繊維強化樹脂層31の側端面に照射されるレーザ光L1の単位面積あたりのエネルギーよりも小さくなるようにレーザ発振器51及びモーター53を制御する。具体的には、レーザ制御器54は、電極硬化工程でのレーザ出力が樹脂除去工程でのレーザ出力よりも小さくなるようにレーザ発振器51を制御する。また、レーザ制御器54は、必要に応じて、電極硬化工程でのレーザ走査速度が樹脂除去工程でのレーザ走査速度よりも速くなるようにモーター53を制御する。例えば、電極硬化工程で照射されるレーザ光L2の単位面積あたりのエネルギーは、当該レーザ光L2が炭素繊維に当たって炭素繊維が昇温しても炭素繊維の熱分解温度に達しないエネルギーとなるように設定される。よって、電極硬化工程においてレーザ光L2が導電性インク141,142,143の外部の樹脂に当たってもよく、電極硬化工程の作業を容易にすることができる。

0032

以上に説明した製造方法によれば、板バネ10の繊維強化樹脂を劣化させることなく、電極対E0,E1F,E2F,E1R,E2Rをばらつき無く簡単に形成し、炭素繊維に電極対E0,E1F,E2F,E1R,E2Rを安定的に接触導通させることができる。従って、鉄道車両用の台車に搭載される繊維強化樹脂製の電極付き板バネ10を安定した品質で製造できる。

0033

なお、本発明は前述した実施形態に限定されるものではなく、その構成を変更、追加、又は削除することができる。本実施形態では、電極形成工程は、電極塗布工程と電極硬化工程とで構成されるが、例えば、電極形成工程においてメッキ処理により板バネに電極を形成してもよい。また、電極が取り付けられる繊維強化樹脂の樹脂には、光吸収性を有する樹脂を用いてもよい。即ち、レーザ光により吸光性の樹脂を熱分解して除去することで炭素繊維を露出させてもよい。例えば、透明の樹脂(例えば、エポキシ樹脂)に着色剤を含有させることで当該樹脂を非透明で有色にし、樹脂がレーザ光を吸収して熱分解されるようにしてもよい。

0034

1台車
10板バネ
50レーザ装置
141〜143導電性インク(導電性材料
E0,E1F,E2F,E1R,E2R電極対
X 露出領域

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

関連する公募課題

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

  • トヨタ自動車株式会社の「 電力制御装置の車載構造」が 公開されました。( 2019/05/23)

    【課題】電力制御装置のフロントコンパートメントへの車載構造を開示する。【解決手段】電力制御装置20は、フロントブラケット10とリアブラケット40によって、TA30の上面30aに、上面30aとの間に隙間... 詳細

  • 株式会社アドヴィックスの「 負圧式倍力装置」が 公開されました。( 2019/05/23)

    【課題】負圧脈動に起因する逆止弁の振動及び異音(当接音)の発生を抑制する負圧式倍力装置用逆止弁を提供すること。【解決手段】負圧式倍力装置2の逆止弁10は、負圧導入口3に組み付けられた本体11と、第一通... 詳細

  • 中央発条工業株式会社の「 ばね組立体、付勢体及び押圧方法」が 公開されました。( 2019/05/23)

    【課題】大きい押圧力から小さい押圧力へ切替えながら押圧できる、ばね組立体、付勢体及び押圧方法を提供する。【解決手段】第1の突出部3が第1のプレート2から突出しており、突起部4が、第1の突出部3から、第... 詳細

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

関連する挑戦したい社会課題一覧

この 技術と関連する公募課題

関連する公募課題一覧

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ