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技術 フォトマスクブランク

出願人 信越化学工業株式会社
発明者 笹本紘平稲月判臣
出願日 2015年9月3日 (4年2ヶ月経過) 出願番号 2015-173895
公開日 2017年3月9日 (2年8ヶ月経過) 公開番号 2017-049476
状態 特許登録済
技術分野 写真製版における原稿準備・マスク 物理蒸着 半導体のドライエッチング
主要キーワード アース抵抗 クロム含有層 縦断面形 充足性 クロム含有率 マグネトロンスパッタ成膜 半導体電子素子 有機導電性膜
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (7)

解決手段

透明基板と、シート抵抗が10,000Ω/□以下のクロム含有膜とを含み、クロム含有膜が、クロム及び窒素又はクロム、窒素及び酸素を含有するクロム化合物からなり、クロム、窒素及び酸素の合計の含有率が93原子%以上であり、3Cr≦2O+3N(Crはクロム含有率、Oは酸素含有率、Nは窒素含有率(いずれも原子%))を満たし、クロムに対する窒素の原子比が0.95以上、クロム含有率が40原子%以上、クロム及び窒素の合計の含有率が80原子%以上、かつ酸素含有率が10原子%以下の組成を満たす層を、クロム含有膜全体の厚さの70%超100%以下で含むフォトマスクブランク

効果

本発明のフォトマスクブランクを用いれば、微細フォトマスクパターンを高精度に形成することができ、フォトマスク生産性の向上と、フォトマスクを用いたパターン転写により被転写物に形成されるパターン細線化との両立が達成される。

概要

背景

半導体電子素子高速動作低消費電力化などのために、大規模集積回路高集積化が進んでいるが、それに伴う回路パターン微細化において、高度の半導体微細加工技術が極めて重要な要素技術となっている。例えば、回路を構成する配線パターン細線化技術や、セルを構成する層間の配線のためのコンタクトホールパターンの微細化技術が必須となっている。

このような高度微細加工は、フォトマスクを用いるフォトリソグラフィ技術によりなされ、フォトマスクは、露光装置レジスト材料と共に、微細化のために重要な技術となっている。このため、細線化された配線パターンや微細化されたコンタクトホールパターンを有するフォトマスクなどを実現する目的で、より微細、かつより正確なパターンをフォトマスクブランク上に形成するための技術開発が進められてきた。

高精度のフォトマスクパターンフォトマスク基板上に形成するためには、フォトマスクブランク上に形成するレジストパターンを、高精度でパターニングすることが必要となる。半導体基板を微細加工する際のフォトリソグラフィは、縮小投影法が用いられるため、フォトマスクに形成されるパターンのサイズは、半導体基板上に形成するパターンサイズの4倍程度の大きさとされるが、このことは、フォトマスクに形成されるパターンの精度が緩和されることを意味するものではなく、同様に高い精度でフォトマスクパターンを形成することが求められる。

また、現在では、フォトリソグラフィで半導体基板上に描画される回路パターンのサイズは、露光光波長よりも、かなり小さなものとなってきているため、回路パターンをそのまま4倍に拡大したフォトマスクパターンが形成されたフォトマスクを使用して縮小露光を行っても、露光光の干渉などの影響により、フォトマスクパターンどおりの形状にはならない。

そこで、超解像マスクとして、いわゆる光近接効果補正(Optical Proximity effect Correction:OPC)を行うことで、転写特性劣化させる光近接効果補正をしたOPCマスクや、パターンを透過する露光光の位相を180°変化させて入射光強度分布を急峻にする位相シフトマスクが用いられている。例えば、OPCマスクには、回路パターンの1/2以下のサイズのOPCパターンハンマヘッドアシストバーなど)を形成したものがある。また、位相シフトマスクには、ハーフトーン位相シフトマスクレベンソン型位相シフトマスククロムレス型位相シフトマスクなどがある。

マスクパターンを形成するためには、一般に、透明基板上に遮光性膜を有するフォトマスクブランク上にフォトレジスト膜を形成し、このフォトレジスト膜に電子線や光を照射してパターン描画を行い、フォトレジスト膜を現像してフォトレジストパターンを得る。そして、このフォトレジストパターンをエッチングマスクとして遮光性膜をパターニングすることで、フォトマスクパターンを得る。微細なフォトマスクパターンを得るためには、以下のような理由により、フォトレジスト膜を薄膜化することが有効である。

レジスト膜を薄くすることなくレジストパターンのみを微細化すると、遮光性膜のエッチングマスクとして機能するレジスト部のアスペクト比レジスト膜厚パターン幅との比)が高くなってしまう。一般に、レジストパターンのアスペクト比が高くなると、そのパターン形状が劣化しやすく、遮光性膜へのパターン転写精度が低下してしまう。また、極端な場合には、レジストパターンの一部が倒れたり、剥離を起こしてパターン抜けが生じたりする。そのため、フォトマスクパターンの微細化に伴って、遮光性膜のパターニング用のエッチングマスクとして用いるレジストの膜厚を薄くして、アスペクト比が高くなりすぎないようにする必要がある。このアスペクト比は3以下であることが望ましいとされており、例えば、幅70nmのレジストパターンを形成するためには、レジスト膜厚を210nm以下とすることが望ましいことになる。

一方、フォトマスクを用い、ArFエキシマレーザを露光光としてフォトマスクパターンを半導体ウェハ上のフォトレジスト膜などの被転写物転写する場合のパターン幅は、細線化が進んでいる現状では、被転写物上で、通常品で100nm未満、先端品では20nm未満となっている、これに対応するためのフォトマスク上のメインパターン最小幅は、100nm程度であり、また、OPCが複雑化しているため、補助パターンにあっては、100nm未満(例えば、70nm程度)にも及んでいる。

ところで、フォトレジストのパターンをエッチングマスクとしてパターニングを行う場合の遮光性膜の材料については、多くの材料が提案されてきた。特に、クロム単体膜、又はクロムを含有し、かつ窒素酸素及び炭素の少なくとも1つを含有するクロム化合物膜は、一般的な遮光性膜の材料として用いられている。例えば、特開2003−195479号公報(特許文献1)、特開2003−195483号公報(特許文献2)及び登録実用新案第3093632号公報(特許文献3)には、ArFエキシマレーザ露光用のフォトマスクブランクに求められる遮光特性を有する遮光性膜を、クロム化合物膜で形成したフォトマスクブランクの構成例が示されている。

更に、フォトマスク作製時のレジスト膜のパターニングにおいては、電子ビーム(EB)による露光方法が主流となっている。また、電子ビームについては、より一層の微細化を可能とするため、高加速電圧の50keVが採用されている。更に、レジスト膜は高解像性を得るために低感度化へ進む一方で、生産性向上の観点から、電子線描画装置の電子ビームの電流密度は40A/cm2から800A/cm2へと著しい高密度化が進められている。

電気的に浮いているフォトマスクブランクに対して、電子ビームを照射した場合、フォトマスクブランクの表面は電子の蓄積により負の電位帯電し、帯電による電界により電子ビーム軌道曲げられ、描画位置精度が低下する。そのため、上述のような高エネルギー、かつ高密度電子ビーム描画を行う描画装置では、フォトマスクブランクを接地させて電子ビーム描画を行っており、例えば、特開2014−216407号公報(特許文献4)には、アースピンを用いてフォトマスクブランクを接地(アース)する機構報告されている。

接地(アース)抵抗が大きい場合、アースに流れる電流アース抵抗の積の分だけ、フォトマスクブランク表面の電位が上昇し、描画位置精度を低下させる。接地抵抗が非常に高い状態で電子ビーム描画を実施することは、描画真空槽内で異常放電や、基板破損を起こすおそれがあり、装置を汚染する可能性がある。そのため、十分な接地抵抗を確保することが重要であり、装置においては接地抵抗が低い接地方法が要求され、フォトマスクブランクにおいては十分な導電性を有することが要求される。

概要

透明基板と、シート抵抗が10,000Ω/□以下のクロム含有膜とを含み、クロム含有膜が、クロム及び窒素又はクロム、窒素及び酸素を含有するクロム化合物からなり、クロム、窒素及び酸素の合計の含有率が93原子%以上であり、3Cr≦2O+3N(Crはクロム含有率、Oは酸素含有率、Nは窒素含有率(いずれも原子%))を満たし、クロムに対する窒素の原子比が0.95以上、クロム含有率が40原子%以上、クロム及び窒素の合計の含有率が80原子%以上、かつ酸素含有率が10原子%以下の組成を満たす層を、クロム含有膜全体の厚さの70%超100%以下で含むフォトマスクブランク。本発明のフォトマスクブランクを用いれば、微細なフォトマスクパターンを高精度に形成することができ、フォトマスクの生産性の向上と、フォトマスクを用いたパターン転写により被転写物に形成されるパターンの細線化との両立が達成される。

目的

本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、高電流密度の電子ビームを使用する描画装置においても使用可能な十分な導電性を備え、薄膜化されたフォトレジスト膜を用いてパターニングしても、微細でかつ断面形状が良好なフォトマスクパターンを高精度で形成できる薄膜で、かつ低欠陥であるクロム含有膜を備えるフォトマスクブランクを提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

波長が250nm以下の露光光パターン転写が行われるフォトマスク素材となるフォトマスクブランクであって、該フォトマスクブランクが、透明基板と、透明基板上に、直接又は光学膜を介して形成されたクロム含有膜とを含み、該クロム含有膜が、単層クロム化合物層で又は2層以上のクロム化合物層で構成され、上記各々のクロム化合物層が、クロム及び窒素又はクロム、窒素及び酸素を含有するクロム化合物からなり、クロム含有率が30原子%以上、クロム、窒素及び酸素の合計の含有率が93原子%以上であり、かつ下記式(1)3Cr≦2O+3N(1)(式中、Crはクロム含有率(原子%)、Oは酸素含有率(原子%)、Nは窒素含有率(原子%)を表す。)を満たす組成であり、上記クロム含有膜が、単層のクロム化合物層で構成されている場合は、該クロム化合物層が、クロムに対する窒素の原子比が0.95以上、Crの含有率が40原子%以上、クロム及び窒素の合計の含有率が80原子%以上、かつ酸素含有率が10原子%以下である組成を満たす層であり、上記クロム含有膜が、2層以上のクロム化合物層で構成されている場合は、上記クロム化合物層として、クロムに対する窒素の原子比が0.95以上、クロム含有率が40原子%以上、クロム及び窒素の合計の含有率が80原子%以上、かつ酸素含有率が10原子%以下である組成を満たす層を1層以上含み、該組成を満たす層の合計の厚さが、上記クロム含有膜全体の厚さの70%を超えて100%以下であり、かつ上記クロム含有膜のシート抵抗が10,000Ω/□以下であることを特徴とするフォトマスクブランク。

請求項2

上記クロム含有膜の露光光に対する光学濃度が2.5以上3.5以下であることを特徴とする請求項1記載のフォトマスクブランク。

請求項3

上記透明基板上に、上記光学膜を介して上記クロム含有膜が形成されており、上記光学膜が、ケイ素を含有し遷移金属を含有しない材料又は遷移金属及びケイ素を含有する材料からなる位相シフト膜を含むことを特徴とする請求項1記載のフォトマスクブランク。

請求項4

上記クロム含有膜の上記透明基板と離間する側に、ケイ素を含有する材料からなるエッチングマスク膜を含むことを特徴とする請求項3記載のフォトマスクブランク。

請求項5

上記クロム含有膜の露光光に対する光学濃度が1.5以上2.6以下であることを特徴とする請求項3又は4記載のフォトマスクブランク。

請求項6

上記クロム含有膜及び位相シフト膜の露光光に対する光学濃度の合計が2.5以上3.5以下であることを特徴とする請求項3乃至5のいずれか1項記載のフォトマスクブランク。

請求項7

上記クロム含有膜、位相シフト膜及びエッチングマスク膜の露光光に対する光学濃度の合計が2.5以上3.5以下であることを特徴とする請求項4記載のフォトマスクブランク。

請求項8

上記透明基板上に、上記光学膜を介して上記クロム含有膜が形成されており、上記光学膜が、ケイ素を含有し遷移金属を含有しない材料又は遷移金属及びケイ素を含有する材料からなる遮光膜を含むことを特徴とする請求項1記載のフォトマスクブランク。

技術分野

0001

本発明は、波長が250nm以下の露光光パターン転写が行われるフォトマスクの製造において、その素材となるフォトマスクブランクに関する。

背景技術

0002

半導体電子素子高速動作低消費電力化などのために、大規模集積回路高集積化が進んでいるが、それに伴う回路パターン微細化において、高度の半導体微細加工技術が極めて重要な要素技術となっている。例えば、回路を構成する配線パターン細線化技術や、セルを構成する層間の配線のためのコンタクトホールパターンの微細化技術が必須となっている。

0003

このような高度微細加工は、フォトマスクを用いるフォトリソグラフィ技術によりなされ、フォトマスクは、露光装置レジスト材料と共に、微細化のために重要な技術となっている。このため、細線化された配線パターンや微細化されたコンタクトホールパターンを有するフォトマスクなどを実現する目的で、より微細、かつより正確なパターンをフォトマスクブランク上に形成するための技術開発が進められてきた。

0004

高精度のフォトマスクパターンフォトマスク基板上に形成するためには、フォトマスクブランク上に形成するレジストパターンを、高精度でパターニングすることが必要となる。半導体基板を微細加工する際のフォトリソグラフィは、縮小投影法が用いられるため、フォトマスクに形成されるパターンのサイズは、半導体基板上に形成するパターンサイズの4倍程度の大きさとされるが、このことは、フォトマスクに形成されるパターンの精度が緩和されることを意味するものではなく、同様に高い精度でフォトマスクパターンを形成することが求められる。

0005

また、現在では、フォトリソグラフィで半導体基板上に描画される回路パターンのサイズは、露光光の波長よりも、かなり小さなものとなってきているため、回路パターンをそのまま4倍に拡大したフォトマスクパターンが形成されたフォトマスクを使用して縮小露光を行っても、露光光の干渉などの影響により、フォトマスクパターンどおりの形状にはならない。

0006

そこで、超解像マスクとして、いわゆる光近接効果補正(Optical Proximity effect Correction:OPC)を行うことで、転写特性劣化させる光近接効果補正をしたOPCマスクや、パターンを透過する露光光の位相を180°変化させて入射光強度分布を急峻にする位相シフトマスクが用いられている。例えば、OPCマスクには、回路パターンの1/2以下のサイズのOPCパターンハンマヘッドアシストバーなど)を形成したものがある。また、位相シフトマスクには、ハーフトーン位相シフトマスクレベンソン型位相シフトマスククロムレス型位相シフトマスクなどがある。

0007

マスクパターンを形成するためには、一般に、透明基板上に遮光性膜を有するフォトマスクブランク上にフォトレジスト膜を形成し、このフォトレジスト膜に電子線や光を照射してパターン描画を行い、フォトレジスト膜を現像してフォトレジストパターンを得る。そして、このフォトレジストパターンをエッチングマスクとして遮光性膜をパターニングすることで、フォトマスクパターンを得る。微細なフォトマスクパターンを得るためには、以下のような理由により、フォトレジスト膜を薄膜化することが有効である。

0008

レジスト膜を薄くすることなくレジストパターンのみを微細化すると、遮光性膜のエッチングマスクとして機能するレジスト部のアスペクト比レジスト膜厚パターン幅との比)が高くなってしまう。一般に、レジストパターンのアスペクト比が高くなると、そのパターン形状が劣化しやすく、遮光性膜へのパターン転写精度が低下してしまう。また、極端な場合には、レジストパターンの一部が倒れたり、剥離を起こしてパターン抜けが生じたりする。そのため、フォトマスクパターンの微細化に伴って、遮光性膜のパターニング用のエッチングマスクとして用いるレジストの膜厚を薄くして、アスペクト比が高くなりすぎないようにする必要がある。このアスペクト比は3以下であることが望ましいとされており、例えば、幅70nmのレジストパターンを形成するためには、レジスト膜厚を210nm以下とすることが望ましいことになる。

0009

一方、フォトマスクを用い、ArFエキシマレーザを露光光としてフォトマスクパターンを半導体ウェハ上のフォトレジスト膜などの被転写物転写する場合のパターン幅は、細線化が進んでいる現状では、被転写物上で、通常品で100nm未満、先端品では20nm未満となっている、これに対応するためのフォトマスク上のメインパターン最小幅は、100nm程度であり、また、OPCが複雑化しているため、補助パターンにあっては、100nm未満(例えば、70nm程度)にも及んでいる。

0010

ところで、フォトレジストのパターンをエッチングマスクとしてパターニングを行う場合の遮光性膜の材料については、多くの材料が提案されてきた。特に、クロム単体膜、又はクロムを含有し、かつ窒素酸素及び炭素の少なくとも1つを含有するクロム化合物膜は、一般的な遮光性膜の材料として用いられている。例えば、特開2003−195479号公報(特許文献1)、特開2003−195483号公報(特許文献2)及び登録実用新案第3093632号公報(特許文献3)には、ArFエキシマレーザ露光用のフォトマスクブランクに求められる遮光特性を有する遮光性膜を、クロム化合物膜で形成したフォトマスクブランクの構成例が示されている。

0011

更に、フォトマスク作製時のレジスト膜のパターニングにおいては、電子ビーム(EB)による露光方法が主流となっている。また、電子ビームについては、より一層の微細化を可能とするため、高加速電圧の50keVが採用されている。更に、レジスト膜は高解像性を得るために低感度化へ進む一方で、生産性向上の観点から、電子線描画装置の電子ビームの電流密度は40A/cm2から800A/cm2へと著しい高密度化が進められている。

0012

電気的に浮いているフォトマスクブランクに対して、電子ビームを照射した場合、フォトマスクブランクの表面は電子の蓄積により負の電位帯電し、帯電による電界により電子ビーム軌道曲げられ、描画位置精度が低下する。そのため、上述のような高エネルギー、かつ高密度電子ビーム描画を行う描画装置では、フォトマスクブランクを接地させて電子ビーム描画を行っており、例えば、特開2014−216407号公報(特許文献4)には、アースピンを用いてフォトマスクブランクを接地(アース)する機構報告されている。

0013

接地(アース)抵抗が大きい場合、アースに流れる電流アース抵抗の積の分だけ、フォトマスクブランク表面の電位が上昇し、描画位置精度を低下させる。接地抵抗が非常に高い状態で電子ビーム描画を実施することは、描画真空槽内で異常放電や、基板破損を起こすおそれがあり、装置を汚染する可能性がある。そのため、十分な接地抵抗を確保することが重要であり、装置においては接地抵抗が低い接地方法が要求され、フォトマスクブランクにおいては十分な導電性を有することが要求される。

先行技術

0014

特開2003−195479号公報
特開2003−195483号公報
登録実用新案第3093632号公報
特開2014−216407号公報
特開2007−33470号公報
特開2001−312043号公報

発明が解決しようとする課題

0015

遮光性膜などに用いられるクロム化合物膜などのクロム含有膜は、一般的には、酸素を含む塩素系ドライエッチングによりパターニングされるが、酸素を含む塩素系ドライエッチングにより、フォトレジスト膜などの有機膜も無視できない程度エッチングされることが多い。このため、膜厚が比較的薄いレジスト膜をエッチングマスクとしてクロム含有膜をドライエッチングすると、このエッチング中にレジスト膜がダメージを受けてレジストパターンの形状が変化し、本来のレジストパターンをクロム含有膜に正確に転写することが困難となる。

0016

このように、有機膜であるフォトレジスト膜に、高い解像性及び高いパターニング精度と、エッチング耐性とを同時に両立させることには、技術的障壁が高く、高解像性を得るためには、フォトレジスト膜を薄膜化しなければならない反面、クロム含有膜のエッチング工程におけるエッチング耐性を担保するためにはフォトレジスト膜の薄膜化が制限されることとなり、高解像性及び高パターニング精度と、エッチング耐性との間にトレードオフの関係が生じる結果となる。そのため、クロム含有膜のパターニングにおいて、フォトレジスト膜への負荷を低減させるために、クロム含有膜を薄膜化して、より高精度のクロム含有膜のマスクパターンを形成するためには、パターニング対象とされるクロム含有膜の構造(膜厚や組成など)を改良することが必要となる。

0017

また、フォトレジスト膜への負荷を低減して、微細なフォトマスクパターンを高精度で形成するために、酸素を含む塩素系ドライエッチングにおいて高いエッチングレートとなる遮光性膜として、クロムを主成分とし、軽元素である酸素及び窒素を添加した遮光性膜が提案されている(特開2007−33470号公報(特許文献5))。しかし、軽元素を含有する膜においては、軽元素の含有量の増加に従い導電性が低下するため、電子線描画装置の電子ビームの電子密度において800A/cm2という高密度化に対応するためには、描画中、フォトマスクブランク自体が電子線によりチャージアップしない方策も必要である。

0018

この方策として、例えば、クロムを主成分とし、軽元素である酸素及び窒素を添加した膜において、導電性を確保するために、膜を複層構造として、金属クロム層を1層以上含むようにすることが考えられる。しかし、この場合、金属クロム層のエッチングレートが低く、膜の厚さ方向にエッチングレートが大きく異なる複数の層が存在することになり、膜をドライエッチングにより加工した際に、サイドエッチングの差により、パターンの断面形状が劣化し、寸法精度の悪化につながる。

0019

本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、高電流密度の電子ビームを使用する描画装置においても使用可能な十分な導電性を備え、薄膜化されたフォトレジスト膜を用いてパターニングしても、微細でかつ断面形状が良好なフォトマスクパターンを高精度で形成できる薄膜で、かつ低欠陥であるクロム含有膜を備えるフォトマスクブランクを提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0020

クロム含有膜に対してドライエッチングを行い加工した場合の断面形状は、クロム含有膜の組成による影響が大きいが、異方性が強いドライエッチングである場合には、図4に示される模式図のように、クロム含有膜パターン52の線幅が、エッチングマスク膜、レジスト膜などのエッチングマスクパターン53の線幅を膜の厚さ方向に忠実再現している形状となる。一方、等方性が強いドライエッチングである場合には、図5に示される模式図のように、クロム含有膜パターン52の線幅が、エッチングマスクパターン53の線幅に対して、膜の厚さ方向中央部で括れた形状となる。なお、図4及び図5中、51はクロム含有膜の下方の膜又は透明基板である。

0021

フォトマスクの遮光膜などに用いるクロム含有膜で、より微細なパターンを正確に形成するためには、描画装置で使用可能な程度の導電性を確保しつつ、クロム含有膜のエッチングレートを高くすることが重要であり、更に、クロム含有膜が遮光膜であれば、露光光に対して遮光膜として必要な光学濃度を確保する必要がある。また、高い寸法精度を与える良好なパターンの断面形状を得る観点から、クロム含有膜の厚さ方向においてエッチングレートの変化が少ないことも重要である。

0022

クロム含有膜においては、酸素を含む塩素系ドライエッチングにおけるエッチングレートと、導電性の間にトレードオフの関係があることから、所望の光学特性に合わせて、金属性の高いクロム含有層と、軽元素を多く添加したクロム含有層を使用した多層のクロム含有膜が適用される。しかし、組成の異なる層で構成された積層膜においては、各々の層のエッチング速度が異なることから、エッチングの際に、パターンの側面側からパターンの幅方向に進行するエッチングの程度が各々の層で異なるため、サイドエッチングの差が生じ、パターン幅がパターンの厚さ方向に沿って異なる形状、例えば、パターン幅がパターンの厚さ方向中央部で狭い又は広い形状や、パターン幅がパターンの厚さ方向上部又は下部で広いT字型又は逆T字型形状の縦断面形状となり、形状不良を引き起こしやすい。

0023

例えば、図6に示される模式図のように、エッチング速度の高いクロム化合物層52aと、エッチング速度の低いクロム化合物層52bと、エッチング速度の高いクロム化合物層52cとが順に積層されたクロム含有膜52の場合、エッチング速度が高い膜ほどサイドエッチングが進行しやすく、断面の垂直性が失われる。図6では、サイドエッチングの状態を段差として強調して示したが、実際には、これほど極端ではなく、連続して緩やかに変化するが、いずれにせよ、エッチングマスクパターン53の形状を正確に転写することが困難である。なお、図6中、51はクロム含有膜の下方の膜又は透明基板である。

0024

このような場合、クロム含有膜パターンをエッチングマスクとして、下層の膜、例えば、ケイ素を含有し遷移金属を含有しない材料又は遷移金属及びケイ素を含有する材料からなる膜や、透明基板などをパターニングすると、エッチングバイアス、即ち、エッチングマスクとして用いられる膜のパターンと、エッチングされる膜や透明基板のパターンとの寸法乖離が大きくなるなど、パターン転写性能の悪化につながるという問題がある。

0025

本発明者らは、上記課題を解決するため、フォトマスクブランクの透明基板上に形成するクロム含有膜について、鋭意検討を重ねた結果、クロム含有膜を、クロム及び窒素又はクロム、窒素及び酸素を含有するクロム化合物からなるクロム化合物層の単層又は多層構造とし、各々のクロム化合物層を、クロム含有率が30原子%以上、クロム、窒素及び酸素の合計の含有率が93原子%以上であり、かつ下記式(1)
3Cr≦2O+3N (1)
(式中、Crはクロム含有率(原子%)、Oは酸素含有率(原子%)、Nは窒素含有率(原子%)を表す。)を満たすようにすることにより、エッチングレートが最も高くなり、また洗浄耐性にも優れた膜となること、また、クロム含有膜が単層の場合は、クロム化合物層を、クロムに対する窒素の原子比が0.95以上、クロム含有率が40原子%以上、クロム及び窒素の合計の含有率が80原子%以上、かつ酸素含有率が10原子%以下である特定組成を満たす層とし、クロム含有膜が多層の場合は、クロム化合物層として、クロムに対する窒素の原子比が0.95以上、クロム含有率が40原子%以上、クロム及び窒素の合計の含有率が80原子%以上、かつ酸素含有率が10原子%以下である特定組成を満たす層を1層以上含むようにし、この層の合計の厚さを、クロム含有膜全体の厚さの70%を超えて100%以下とし、残部を、上記特定組成を満たさない層で構成することにより、電子線描画装置で必要とされる導電性を確保しつつ、塩素系ドライエッチングのクリアタイムを短縮できることを見出した。

0026

そして、クロム含有膜の全部又は大部分を、上記特定組成を満たす層とすることにより、フォトマスクブランクの導電性を確保しつつ、クロム含有膜をより薄膜とすることができ、その結果、フォトレジスト膜の薄膜化が可能となり、また、多層構造の場合であっても、クロム化合物層間でのサイドエッチングの差が少なく、良好なエッチング断面となることから、高解像性及び高パターニング精度で、クロム含有膜のパターンが得られること、そして、このクロム含有膜が、波長が250nm以下の露光光を用いて、被転写物上で、線幅が0.1μm以下のレジストパターンを形成するフォトリソグラフィのような、微細なフォトマスクパターンが必要となる場合にあっても、フォトマスクパターンを高精度で形成できるクロム含有膜であることを見出し、本発明をなすに至った。

0027

従って、本発明は、以下のフォトマスクブランクを提供する。
請求項1:
波長が250nm以下の露光光でパターン転写が行われるフォトマスクの素材となるフォトマスクブランクであって、
該フォトマスクブランクが、透明基板と、透明基板上に、直接又は光学膜を介して形成されたクロム含有膜とを含み、
該クロム含有膜が、単層のクロム化合物層で又は2層以上のクロム化合物層で構成され、
上記各々のクロム化合物層が、クロム及び窒素又はクロム、窒素及び酸素を含有するクロム化合物からなり、クロム含有率が30原子%以上、クロム、窒素及び酸素の合計の含有率が93原子%以上であり、かつ下記式(1)
3Cr≦2O+3N (1)
(式中、Crはクロム含有率(原子%)、Oは酸素含有率(原子%)、Nは窒素含有率(原子%)を表す。)を満たす組成であり、
上記クロム含有膜が、単層のクロム化合物層で構成されている場合は、該クロム化合物層が、クロムに対する窒素の原子比が0.95以上、Crの含有率が40原子%以上、クロム及び窒素の合計の含有率が80原子%以上、かつ酸素含有率が10原子%以下である組成を満たす層であり、
上記クロム含有膜が、2層以上のクロム化合物層で構成されている場合は、上記クロム化合物層として、クロムに対する窒素の原子比が0.95以上、クロム含有率が40原子%以上、クロム及び窒素の合計の含有率が80原子%以上、かつ酸素含有率が10原子%以下である組成を満たす層を1層以上含み、該組成を満たす層の合計の厚さが、上記クロム含有膜全体の厚さの70%を超えて100%以下であり、かつ
上記クロム含有膜のシート抵抗が10,000Ω/□以下であることを特徴とするフォトマスクブランク。
請求項2:
上記クロム含有膜の露光光に対する光学濃度が2.5以上3.5以下であることを特徴とする請求項1記載のフォトマスクブランク。
請求項3:
上記透明基板上に、上記光学膜を介して上記クロム含有膜が形成されており、上記光学膜が、ケイ素を含有し遷移金属を含有しない材料又は遷移金属及びケイ素を含有する材料からなる位相シフト膜を含むことを特徴とする請求項1記載のフォトマスクブランク。
請求項4:
上記クロム含有膜の上記透明基板と離間する側に、ケイ素を含有する材料からなるエッチングマスク膜を含むことを特徴とする請求項3記載のフォトマスクブランク。
請求項5:
上記クロム含有膜の露光光に対する光学濃度が1.5以上2.6以下であることを特徴とする請求項3又は4記載のフォトマスクブランク。
請求項6:
上記クロム含有膜及び位相シフト膜の露光光に対する光学濃度の合計が2.5以上3.5以下であることを特徴とする請求項3乃至5のいずれか1項記載のフォトマスクブランク。
請求項7:
上記クロム含有膜、位相シフト膜及びエッチングマスク膜の露光光に対する光学濃度の合計が2.5以上3.5以下であることを特徴とする請求項4記載のフォトマスクブランク。
請求項8:
上記透明基板上に、上記光学膜を介して上記クロム含有膜が形成されており、上記光学膜が、ケイ素を含有し遷移金属を含有しない材料又は遷移金属及びケイ素を含有する材料からなる遮光膜を含むことを特徴とする請求項1記載のフォトマスクブランク。

発明の効果

0028

本発明のフォトマスクブランクのクロム含有膜は、所望の光学濃度を満たし、ドライエッチングにおけるエッチングレートが高く、クロム含有膜のパターンを形成する際のエッチングマスクとして用いられるフォトレジストへのドライエッチング中の負荷が軽減されるので、フォトレジストの薄膜化が可能となる。また、導電性が確保されたクロム含有膜であるため、電子線描画機でのチャージアップが抑えられ、高い描画精度が得られる。更に、薄膜で低欠陥であり、クロム含有膜の厚さ方向のエッチングレートの変化が少ないため、エッチング後の断面形状が良好であり、フォトマスクパターンへの転写性能が高い。その結果、本発明のフォトマスクブランクを用いれば、微細なフォトマスクパターンを高精度に形成することができ、フォトマスクの生産性の向上と、フォトマスクを用いたパターン転写により被転写物に形成されるパターンの細線化との両立が達成される。

図面の簡単な説明

0029

本発明のフォトマスクブランクの第1の態様の一例を示す断面図であり、(A)はクロム含有膜が単層の場合、(B)はクロム含有膜が多層の場合を示す。
本発明のフォトマスクブランクの第2の態様の一例を示す断面図であり、(A)はクロム含有膜が単層の場合、(B)はクロム含有膜が多層の場合を示す。
本発明のフォトマスクブランクの第3の態様の一例を示す断面図であり、(A)はクロム含有膜が単層の場合、(B)はクロム含有膜が多層の場合を示す。
異方性が強いドライエッチング時のパターンの断面形状の模式図である。
等方性が強いドライエッチング時のパターンの断面形状の模式図である。
エッチング速度の異なるクロム化合物層が積層されて構成されたクロム含有膜のドライエッチング時のパターンの断面形状の模式図である。

0030

以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のフォトマスクブランクは、波長が250nm以下、特に200nm以下の露光光、例えば、KrFエキシマレーザ(248nm)、ArFエキシマレーザ(193nm)、F2レーザ(157nm)などでパターン転写が行われるフォトマスクを製造するための素材として好適に用いられる。波長が250nm以下の露光光でパターン転写が行われるフォトマスクブランク及びフォトマスクでは、例えば、欠陥検査では、波長257nmの光、アライメントマーク読取りには、波長405nm(固体レーザダイオード)の光などが適用される。

0031

本発明のフォトマスクブランクは、石英基板などの透明基板と、透明基板上に、直接又は1若しくは2以上の光学膜を介して形成され、単層又は2層以上(多層)のクロム化合物層で構成されたクロム含有膜とを含む。このクロム含有膜は、酸素を含む塩素系ドライエッチングによりエッチングされる材料で形成された膜である。

0032

クロムを含有する材料は、軽元素を添加することで、クロムを含有する材料のエッチングに常用される酸素を含む塩素系ドライエッチングにおけるエッチングレートを高めることができる。軽元素の添加により、クロムを含有する材料からなる膜、即ち、クロム含有膜の高速エッチングが可能となり、クロム含有膜のエッチングにおいて、エッチングマスクとして使用される、電子線で描画される化学増幅型レジスト膜などのフォトレジスト膜への負荷を軽減でき、有利である。また、クロム含有膜を、ケイ素を含有する材料からなるエッチングマスク膜をハードマスクとして用いてエッチングすることがあるが、高エッチングレートのクロム含有膜であれば、エッチングマスク膜を薄膜化することができる。これは、直接的には、エッチングバイアスの改善を、間接的には、エッチングマスク膜のエッチングマスクとして使用されるフォトレジスト膜の薄膜化をもたらし、有利である。

0033

そのため、本発明のクロム含有膜は、各々のクロム化合物層を、クロム及び窒素又はクロム、窒素及び酸素を含有するクロム化合物からなり、クロム含有率が30原子%以上、クロム、窒素及び酸素の合計の含有率が93原子%以上であり、かつ下記式(1)
3Cr≦2O+3N (1)
(式中、Crはクロム含有率(原子%)、Oは酸素含有率(原子%)、Nは窒素含有率(原子%)を表す。)を満たす組成(以下、共通組成と称する)となるように構成する。上記式(1)は、クロム化合物層のクロムの平均価数が3以上であることを意味している。

0034

ここで、各々のクロム化合物層は、上記共通組成におけるクロム含有率、クロム、窒素及び酸素の合計の含有率、及び上記式(1)の全てを満たす層であるが、各々のクロム化合物層中のクロム含有率は好ましくは33原子%以上であり、52原子%以下、特に50原子%以下、とりわけ48原子%以下であることが好ましい。また、各々のクロム化合物層中のクロム、窒素及び酸素の合計の含有率は95原子%以上、特に97原子%以上、とりわけ98原子%以上であることが好ましい。

0035

クロム化合物層を構成するクロム及び窒素又はクロム、窒素及び酸素を含有するクロム化合物として具体的には、クロム窒化物(CrN)、クロム酸化化物(CrON)、クロム窒化炭化物(CrNC)、クロム酸化窒化炭化物(CrONC)などが挙げられ、特に、クロム窒化物(CrN)、クロム酸化窒化物(CrON)が好ましい。

0036

上述したように、クロムを含有する材料において、窒素や酸素の添加は、エッチングレートを高める点において有効であるが、金属材料に軽元素を添加する場合、その添加量が増大するにつれて、抵抗率が上昇し、導電性が乏しくなるため、抵抗率が上昇した材料で形成された膜が、フォトマスクブランクの透明基板から離間する側、具体的には、電子線レジスト膜が形成される側に形成されている場合、電子ビーム露光時にチャージアップが生じてしまい、描画精度の低下を招くことが問題となる。特に、軽元素として酸素を添加したときに、抵抗率の上昇が著しく、高抵抗膜になりやすい。

0037

そのため、本発明では、クロム含有膜が、クロム及び窒素又はクロム、窒素及び酸素を含有するクロム化合物からなり、上記共通組成を満たし、かつ以下の第1組成、即ち、クロムに対する窒素の原子比が0.95以上、クロム含有率が40原子%以上、クロム及び窒素の合計の含有率が80原子%以上、かつ酸素含有率が10原子%以下である組成を満たすクロム化合物層を1層以上、好ましくは1〜2層、より好ましくは1層含むように構成する。そして、第1組成を満たすクロム化合物層の合計の厚さを、クロム含有膜全体の厚さの70%超、好ましくは90%以上で、100%以下とする。第1組成を満たす層の合計の厚さが70%以下であると、所望の光学濃度をもたせるために必要なクロム含有膜全体の膜厚が厚くなるおそれがある。

0038

ここで、第1組成を満たす層は、上記第1組成におけるクロムに対する窒素の原子比、クロム含有率、クロム及び窒素の合計の含有率、及び酸素含有率の全てを満たす層であるが、各々の第1組成を満たす層中のクロムに対する窒素の原子比は1.1以下であることが好ましい。また、各々の第1組成を満たす層中のクロム含有率は、好ましくは43原子%以上であり、52原子%以下、特に50原子%以下、とりわけ48原子%以下であることが好ましく、クロム及び窒素の合計の含有率は90原子%以上、特に93原子%以上であることが好ましく、窒素含有率は43原子%以上、特に46原子%以上で、55原子%以下、特に53原子%以下であることが好ましい。一方、各々の第1組成を満たす層中の酸素含有率は、10原子%以下、特に5原子%以下であることが好ましい。なお、第1組成を満たす層が2層以上ある場合、各々の層は、互いに異なる組成であっても、一部又は全部が同一の組成であってもよい。

0039

本発明のクロム含有膜において、クロム含有膜が多層構造の場合、第1組成を満たすクロム化合物層以外の残部のクロム化合物層は、クロム及び窒素又はクロム、窒素及び酸素を含有するクロム化合物からなり、上記共通組成を満たすが上記第1組成は満たさない層を1層以上、好ましくは1〜2層、より好ましくは1層含むように構成する。第1組成は満たさない層は、クロム、窒素及び酸素を含有するクロム化合物で構成されていることが好ましい。このような第1組成は満たさない層を、第1組成を満たす層以外の残部として適用することにより、クロム含有膜全体として高いエッチングレートを確保でき、また、第1組成は満たさない層を、後述する反射防止層として機能させる層として適用できる。

0040

ここで、各々の第1組成は満たさない層中のクロム含有率は30原子%以上、特に33原子%以上で、40原子%以下、特に37原子%以下、窒素含有率は5原子%以上、特に8原子%以上で、35原子%以下、特に30原子%以下、酸素含有率は30原子%以上、特に35原子%以上で、57原子%以下、特に54原子%以下であることが好ましい。なお、第1組成は満たさない層が2層以上ある場合、各々の層は、互いに異なる組成であっても、一部又は全部が同一の組成であってもよい。

0041

クロム化合物層には、軽元素として、窒素以外又は酸素及び窒素以外に、炭素、水素フッ素などの他の軽元素を添加してもよい。例えば、炭素の添加は、エッチングレートを高めることに有効である。しかし、炭素の量が多すぎると、エッチングレートが高くなって、ドライエッチングの等方性が増し、断面形状の制御が難しくなる場合がある。また、炭素を添加したクロム化合物層を、炭素を添加していないクロム化合物層と積層した場合、両者のエッチングレートの差が比較的大きくなり、このような場合、両者間のドライエッチング中のサイドエッチングの程度が異なるため、断面形状が悪化するおそれがある。更に、炭素の添加により、フォトマスクへの加工工程や、フォトマスクを用いた露光において、フォトマスクの定期的な洗浄で使用される硫酸過水やオゾン過水に対する薬品耐性が低下するため、ドライエッチングの条件を調整することによって断面形状の悪化を抑制できたとしても、薬品による洗浄で断面形状を悪化させるおそれがある。そのため、クロム化合物層に、窒素及び酸素以外の軽元素、例えば、炭素を添加する場合には、含有率を低く抑えることが好ましく、その含有率は、好ましくは7原子%以下、より好ましくは5原子%以下、更に好ましくは3原子%以下、特に好ましくは2原子%以下である。

0042

本発明のフォトマスクブランクにおいては、クロム含有膜のシート抵抗が10,000Ω/□以下、好ましくは8,000Ω/□以下である。クロム含有膜を構成する各々のクロム化合物層が、上述した組成要件を満たすようにして、単層又は多層構成のクロム含有膜とすることにより、クロム含有膜全体として、シート抵抗を上記範囲内とすることができる。特に、第1組成を満たす層が1層のみ含まれる場合にあっては、その層のシート抵抗を10,000Ω/□以下、特に8,000Ω/□以下とすることが好ましいが、第1組成を満たす層が2層以上含まれる場合にあっては、各々の第1組成を満たす層のシート抵抗は、上記範囲内であっても、上記範囲外であってもよく、いずれの場合もクロム含有膜全体として、シート抵抗を10,000Ω/□以下、好ましくは8,000Ω/□以下とすることで、レジストパターンを電子描画する際のチャージアップを防止することができる。

0043

クロム含有膜は、いずれの機能を有する膜でもよく、例えば、遮光膜、反射防止膜ハーフトーン位相シフト膜等の位相シフト膜などの光学膜でも、エッチングマスク膜、エッチングストッパ膜などの加工補助膜でもよい。また、光学膜には、フォトマスクとした後に、フォトマスク上に残して光学膜として機能させる膜であれば、エッチングストッパ膜やエッチングマスク膜などとして機能する加工補助膜も含まれる。なお、エッチングストッパ膜は、通常、フォトマスクとしたときに、フォトマスクに残存する膜であるが、エッチングマスク膜は、フォトマスクとしたときに、フォトマスクに残存させる膜であっても、フォトマスクから完全に除去される膜、いわゆる犠牲膜であってもよい。

0044

フォトマスクブランクを構成する光学膜や加工補助膜の材料は、必要とする光学特性やエッチング特性、更には、導電性等の電気特性に応じて、クロム(Cr)、ジルコニウム(Zr)、タンタル(Ta)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)などの遷移金属、ケイ素(Si)、ゲルマニウム(Ge)、アルミニウム(Al)などの金属、それらの合金、それら金属又は合金の酸化物、窒化物、炭化物、酸化窒化物酸化炭化物、窒化炭化物、酸化窒化炭化物等の化合物などの材料が用いられる。これらの金属のなかでは、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、ケイ素(Si)が、特に好適に用いられる。

0045

本発明のフォトマスクブランクは、クロム含有膜が、フォトマスクに加工する過程において、化学増幅型レジスト等のフォトレジスト膜のマスクパターンをエッチングマスクとして、酸素を含む塩素系ドライエッチングによりパターン形成されるフォトマスクブランクとして好適である。

0046

このようなフォトマスクブランクとしては、例えば、透明基板上に、直接クロム含有膜が形成されているもの(第1の態様)を挙げることができる。図1は、本発明のフォトマスクブランクの第1の態様の一例を示す断面図である。このフォトマスクブランク101は、透明基板1上にクロム含有膜2が形成されている。クロム含有膜2は、図1(A)においては単層で構成され、この層が第1組成を満たす層であり、図1(B)においては、透明基板1側から第1のクロム化合物層21、第2のクロム化合物層22及び第3のクロム化合物層23の3層で構成され、このうちの1層又は2層が第1組成を満たす層、残部、即ち、残りの2層又は1層が第1組成は満たさない層である。このフォトマスクブランク101をフォトマスクに加工する際には、通常、クロム含有膜2の上に電子線レジスト膜を形成して、電子線描画が施される。第1の態様のフォトマスクブランクは、バイナリマスクブランクとすることができ、その場合、クロム含有膜を遮光膜とすることが好適である。

0047

第1の態様のフォトマスクブランクにおいて、クロム含有膜が遮光膜の場合、露光光に対するクロム含有膜の光学濃度は2.5以上、特に2.8以上で、3.5以下、特に3.2以下であることが好ましい。

0048

また、第1の態様のフォトマスクブランクにおいて、クロム含有膜が遮光膜の場合、クロム含有膜の膜厚は、露光光がArFエキシマレーザの場合は75nm以下、特に70nm以下、とりわけ65nm以下であることが好ましく、50nm以上であることが好ましい。また、露光光がKrFエキシマレーザの場合は、90nm以下、特に80nm以下、とりわけ75nm以下であることが好ましく、55nm以上であることが好ましい。

0049

クロム含有膜が、フォトマスクに加工する過程において、化学増幅型レジスト等のフォトレジスト膜のマスクパターンをエッチングマスクとして、酸素を含む塩素系ドライエッチングによりパターン形成されるフォトマスクブランクとしては、透明基板上に、1又は2以上の光学膜を介してクロム含有膜が形成されているもの(第2の態様)も好適である。このようなフォトマスクブランクは、例えば、クロム含有膜のパターンが、光学膜のエッチングにおいてハードマスクとして機能する場合、本発明のクロム含有膜から高精度のパターンが形成でき、クロム含有膜のパターンを用いた光学膜のパターニングにおいても、高精度なパターン形成が可能となることから、特に有利である。この場合のクロム含有膜と光学膜との組み合わせには、遮光膜と、ハーフトーン位相シフト膜などの位相シフト膜との組み合わせや、エッチングマスク膜と遮光膜との組み合わせなどが挙げられる。

0050

図2は、本発明のフォトマスクブランクの第2の態様の一例を示す断面図である。このフォトマスクブランク102は、透明基板1上に、透明基板1側から、光学膜3及びクロム含有膜2が順に積層されている。図2(A)においては単層で構成され、この層が第1組成を満たす層であり、図2(B)においては、クロム含有膜2は、透明基板1側から第1のクロム化合物層21、第2のクロム化合物層22及び第3のクロム化合物層23の3層で構成され、このうちの1層又は2層が第1組成を満たす層、残部、即ち、残りの2層又は1層が第1組成は満たさない層である。このフォトマスクブランク102をフォトマスクに加工する際には、通常、クロム含有膜2の上に電子線レジスト膜を形成して、電子線描画が施される。第2の態様のフォトマスクブランクの一例としては、位相シフトマスクブランクとすることができ、その場合、光学膜を位相シフト膜、クロム含有膜を遮光膜とすることが好適である。

0051

本発明のフォトマスクブランクは、クロム含有膜が、フォトマスクに加工する過程において、エッチングマスク膜のマスクパターンをハードマスクとして、酸素を含む塩素系ドライエッチングによりパターン形成されるフォトマスクブランクとしても好適である。このようなフォトマスクブランクとしては、クロム含有膜の透明基板から離間する側に、好ましくは透明基板と接して形成されたエッチングマスク膜を含むもの(第3の態様)を挙げることができる。

0052

図3は、本発明のフォトマスクブランクの第3の態様の一例を示す断面図である。このフォトマスクブランク103は、透明基板1上に、透明基板1側から、光学膜3、クロム含有膜2及びエッチングマスク膜4が順に積層されている。図3(A)においては単層で構成され、この層が第1組成を満たす層であり、図3(B)においては、クロム含有膜2は、透明基板1側から第1のクロム化合物層21、第2のクロム化合物層22及び第3のクロム化合物層23の3層で構成され、このうちの1層又は2層が第1組成を満たす層、残部、即ち、残りの2層又は1層が第1組成は満たさない層である。このフォトマスクブランク103をフォトマスクに加工する際には、通常、エッチングマスク膜4の上に電子線レジスト膜を形成して、電子線描画が施される。第3の態様のフォトマスクブランクは、位相シフトマスクブランクとすることができ、その場合、光学膜を位相シフト膜、クロム含有膜を遮光膜とすることが好適である。

0053

第1〜第3の態様のフォトマスクブランクにおいて、クロム含有膜が、遮光膜などの光学機能を有する膜である場合、その光学機能と共に、高解像性と高パターン転写精度とが求められる。そのため、クロム含有膜は、所望の光学濃度などの光学機能を満たし、酸素を含む塩素系ドライエッチングにおいて高いエッチング速度を有し、かつ厚さ方向に線幅変動の少ない優れた断面形状を有するマスクパターンを与えることができる必要がある。

0054

波長が250nm以下の露光光でパターン転写が行われるフォトマスクを製造するためのフォトマスクブランクにおいて、クロムを含有する材料が用いられるが、クロムを含有する材料のなかでは、クロム単体や、酸素、窒素、炭素などの軽元素の添加量が少ないクロム化合物が、遮光性を効果的に与えられることから、遮光膜の材料として好適に用いられる。このような遮光膜の材料のなかでも、クロム単体や、酸素、窒素、炭素などの軽元素の添加量がより少ないクロム化合物(以下、金属性が高いクロム系材料と称する)が、抵抗率が低く、導電性を与える層(導電性層)の材料として好適である。クロム含有膜を金属性が高いクロム系材料で構成した導電性層を含むようにすることにより、クロム含有膜に導電性をもたせることができる。

0055

一方、酸素、窒素、炭素などの軽元素の添加量が多いクロム化合物(以下、金属性が低いクロム系材料と称する)は、クロム含有膜の光学特性やエッチング特性の調整における効果が高い。また、金属性が低いクロム系材料は、透過率の向上に効果的である。金属性が高いクロム系材料で形成された膜では、反射率が高い膜となり、フォトマスクブランクやフォトマスクの欠陥検査などにおいて不利となる場合があるが、金属性が低いクロム系材料は、このような場合に適用される反射防止性を与える層(反射防止層)の材料としても好適である。更に、上述した金属性が高いクロム系材料の層のみでは遮光性が十分でない場合には、金属性が低いクロム系材料で形成された膜によって遮光性を補うことも可能である。

0056

本発明のフォトマスクブランクでは、クロム含有膜を、第1組成を満たす層及び第1組成は満たさない層からなる多層で構成する場合において、第1〜第3の態様のフォトマスクブランクにおけるクロム含有膜を遮光膜とする場合、各々のクロム化合物層を、主に導電性層として機能するクロム化合物層と、主に反射防止層として機能するクロム化合物層との2種の層で構成し、前者を第1組成を満たす層、後者を第1組成は満たさない層として構成することが好ましい。例えば、クロム含有膜の最も透明基板側及び透明基板から最も離間する側の一方又は双方に、主に反射防止層として機能するクロム化合物層を設けること、特に、導電性層として機能するクロム化合物層に接して、反射防止層として機能するクロム化合物層を設けることが好ましい。具体的には、図1(B)、図2(B)又は図3(B)に示されるクロム含有膜2においては、第2のクロム化合物層22を主に導電性層として機能するクロム化合物層とし、第1のクロム化合物層21及び第3のクロム化合物層23を主に反射防止層として機能するクロム化合物層とすることが好適である。

0057

反射防止層として機能するクロム化合物層の厚さは、所望の反射率を満たすように調整されるが、クロム含有膜の膜厚が厚くなる影響を最小限に抑えるためには、20nm以下、特に10nm以下であることが好ましく、また、0.7nm以上であることが好ましい。反射防止膜の膜厚が上記範囲より薄いと、反射率の抑制効果が低くなるおそれや、成膜の安定性に乏しくなるおそれがある。

0058

第2の態様のフォトマスクブランクにおいて、光学膜がハーフトーン位相シフト膜などの位相シフト膜である場合、位相シフト膜は、ケイ素を含有し遷移金属を含有しない材料、又はケイ素と、遷移金属、好ましくはクロム以外の遷移金属、特にモリブデンとを含有する材料で形成された位相シフト膜が好適である。このような材料としては、ケイ素単体、ケイ素と、酸素、窒素、炭素などの軽元素、特に、酸素及び窒素の一方又は双方とを含む化合物、更に、これらに遷移金属、好ましくはクロム以外の遷移金属、例えば、モリブデン、タンタル、タングステン、ジルコニウム、チタンなど、特にモリブデンを添加した化合物が好適である。特に、位相シフト膜がハーフトーン位相シフト膜である場合、ハーフトーン位相シフト膜も光学濃度を有するため、ハーフトーン位相シフト膜を用いないフォトマスクブランクと比べて、クロム含有膜の膜厚を薄くすることができる。

0059

また、第2の態様のフォトマスクブランクにおいて、クロム含有膜が遮光膜、光学膜がハーフトーン位相シフト膜の場合、露光光に対するクロム含有膜の光学濃度は1.5以上、特に1.8以上で、2.6以下、特に2.5以下、とりわけ2.4以下であることが好ましく、クロム含有膜及び位相シフト膜の露光光に対する光学濃度の合計は2.5以上、特に2.8以上で、3.5以下、特に3.2以下であることが好ましい。クロム含有膜及びハーフトーン位相シフト膜の光学濃度をこのようにすることにより、必要な遮光性が得られる。

0060

更に、第2の態様のフォトマスクブランクにおいて、クロム含有膜が遮光膜、光学膜がハーフトーン位相シフト膜の場合、クロム含有膜の膜厚は、露光光がArFエキシマレーザの場合は50nm以下、特に47nm以下、とりわけ44nm以下であることが好ましく、35nm以上であることが好ましい。また、露光光がKrFエキシマレーザの場合は、80nm以下、特に70nm以下、とりわけ65nm以下であることが好ましく、50nm以上であることが好ましい。

0061

一方、ハーフトーン位相シフト膜は、露光光に対する透過率が、好ましくは2%以上、より好ましくは5%以上、更に好ましくは10%以上、特に好ましくは11%以上で、好ましくは40%以下、より好ましくは30%以下、更に好ましくは20%以下に設定される。ハーフトーン位相シフト膜の膜厚は、露光光がArFエキシマレーザの場合は80nm以下、特に70nm以下であることが好ましく、50nm以上、特に60nm以上であることが好ましい。また、露光光がKrFエキシマレーザの場合は、110nm以下、特に100nm以下であることが好ましく、70nm以上、特に80nm以上であることが好ましい。

0062

第3の態様のフォトマスクブランクのように、クロム含有膜のエッチングにおけるハードマスクとしてエッチングマスク膜を設けることで、フォトレジスト膜を薄くすることができ、パターンの更なる微細化に対応することが可能となる。このエッチングマスク膜は、通常、クロム含有膜の犠牲膜として用いられ、その場合、フォトマスクを作製するプロセスの中で完全に除去されるが、エッチングマスク膜は、フォトマスクを作製するプロセスの中で完全に除去せずに、その一部を残すこともできる。

0063

エッチングマスク膜の材料としては、例えば、フッ素系ドライエッチングで速やかにエッチングされ、酸素を含む塩素系ドライエッチングではエッチング速度が極端に遅い材料、即ち、実質的にエッチングされない材料が用いられる。このような材料としては、ケイ素を含有する材料が好適であり、例えば、ケイ素単体、ケイ素と、酸素、窒素、炭素などの軽元素を含む化合物、更に、これらに、遷移金属、好ましくはクロム以外の遷移金属、例えば、モリブデン、タンタル、タングステン、ジルコニウム、チタンなどを添加した化合物が好適である。

0064

第3の態様のフォトマスクブランクにおいて、光学膜がハーフトーン位相シフト膜などの位相シフト膜である場合、位相シフト膜は、ケイ素を含有し遷移金属を含有しない材料、又はケイ素と、遷移金属、好ましくはクロム以外の遷移金属、特にモリブデンとを含有する材料で形成された位相シフト膜が好適である。このような材料としては、第2の態様のフォトマスクブランクにおいて例示したものと同様の材料が挙げられる。特に、位相シフト膜がハーフトーン位相シフト膜である場合、ハーフトーン位相シフト膜も光学濃度を有するため、ハーフトーン位相シフト膜を用いないフォトマスクブランクと比べて、クロム含有膜の膜厚を薄くすることができる。

0065

また、第3の態様のフォトマスクブランクにおいて、クロム含有膜が遮光膜、光学膜がハーフトーン位相シフト膜の場合、露光光に対するクロム含有膜の光学濃度、クロム含有膜及び位相シフト膜の露光光に対する光学濃度の合計、クロム含有膜の膜厚、ハーフトーン位相シフト膜の透過率、及びハーフトーン位相シフト膜の膜厚は、上述した第2の態様と同様の範囲が好適である。

0066

更に、第3の態様のフォトマスクブランクにおいて、クロム含有膜が遮光膜、光学膜がハーフトーン位相シフト膜であり、エッチングマスク膜が、フォトマスクを作製するプロセスの中で、完全に除去せずに、その一部を残す膜、即ち、フォトマスク上に残して光学膜として機能させる膜である場合は、露光光に対するクロム含有膜、位相シフト膜及びエッチングマスク膜の露光光に対する光学濃度の合計は2.5以上、特に2.8以上で、3.5以下、特に3.2以下であることが特に好ましい。一方、エッチングマスク膜の膜厚は3nm以上、特に5nm以上であればよく、15nm以下、特に10nm以下であることが好ましい。

0067

第2の態様のフォトマスクブランクの場合、他の例として、フォトマスクブランクをバイナリマスクブランクとすることもでき、その場合、光学膜を遮光膜、クロム含有膜をエッチングマスク膜とすることが好適である。

0068

第2の態様のフォトマスクブランクにおいて、クロム含有膜が、エッチングマスク膜である場合も、その光学機能と共に、高解像性と高パターン転写精度とが求められる。そのため、クロム含有膜は、所望の光学機能を満たし、酸素を含む塩素系ドライエッチングにおいて高いエッチング速度を有し、かつ厚さ方向に線幅変動の少ない優れた断面形状を有するマスクパターンを与えることができる必要がある。

0069

波長が250nm以下の露光光でパターン転写が行われるフォトマスクを製造するためのフォトマスクブランクにおいて、クロムを含有する材料が用いられるが、クロムを含有する材料のなかでは、金属性が高いクロム系材料が、抵抗率が低く、導電性層の材料として好適である。クロム含有膜を金属性が高いクロム系材料で構成した導電性層を含むようにすることにより、クロム含有膜に導電性をもたせることができる。

0070

一方、金属性が低いクロム系材料は、クロム含有膜の光学特性やエッチング特性の調整における効果が高い。また、金属性が低いクロム系材料は、透過率の向上に効果的である。金属性が高いクロム系材料で形成された膜では、反射率が高い膜となり、フォトマスクブランクやフォトマスクの欠陥検査などにおいて不利となる場合があるが、金属性が低いクロム系材料は、このような場合に適用される反射防止層の材料としても好適である。

0071

本発明のフォトマスクブランクでは、クロム含有膜を、第1組成を満たす層及び第1組成は満たさない層からなる多層で構成する場合において、第2の態様のフォトマスクブランクにおけるクロム含有膜をエッチングマスク膜とする場合も、各々のクロム化合物層を、主に導電性層として機能するクロム化合物層と、主に反射防止層として機能するクロム化合物層との2種の層で構成し、前者を第1組成を満たす層、後者を第1組成は満たさない層として構成することが好ましい。例えば、クロム含有膜の最も透明基板側及び透明基板から最も離間する側の一方又は双方に、主に反射防止層として機能するクロム化合物層を設けること、特に、導電性層として機能するクロム化合物層に接して、反射防止層として機能するクロム化合物層を設けることが好ましい。具体的には、図2(B)に示されるクロム含有膜2においては、第2のクロム化合物層22を主に導電性層として機能するクロム化合物層とし、第1のクロム化合物層21及び第3のクロム化合物層23を主に反射防止層として機能するクロム化合物層とすることが好適である。

0072

反射防止層として機能するクロム化合物層の厚さは、所望の反射率を満たすように調整されるが、通常30nm以下であり、特に20nm以下、とりわけ10nm以下であることが好ましく、また、0.7nm以上であることが好ましい。反射防止膜の膜厚が上記範囲より薄いと、反射率の抑制効果が低くなるおそれや、成膜の安定性に乏しくなるおそれがある。

0073

第2の態様のフォトマスクブランクにおいて、光学膜が遮光膜である場合、遮光膜は、ケイ素を含有し遷移金属を含有しない材料、又はケイ素と、遷移金属、好ましくはクロム以外の遷移金属、特にモリブデンとを含有する材料で形成された遮光膜が好適である。このような材料としては、上述した位相シフト膜の材料として例示したものと同様の材料が挙げられる。

0074

また、第2の態様のフォトマスクブランクにおいて、光学膜が遮光膜である場合、遮光膜は露光光に対する光学濃度が、通常2.5以上、特に2.8以上で、3.5以下、特に3.2以下に設定されるが、遮光膜の膜厚は、露光光がArFエキシマレーザの場合は80nm以下、特に70nm以下、とりわけ65nm以下であることが好ましく、50nm以上、特に55nm以上であることが好ましい。また、露光光がKrFエキシマレーザの場合は、100nm以下、特に90nm以下、とりわけ80nm以下であることが好ましく、55nm以上、特に60nm以上であることが好ましい。一方、クロム含有膜がエッチングマスク膜の場合、クロム含有膜の膜厚は3nm以上、特に5nm以上であればよく、20nm以下、特に10nm以下であることが好ましい。

0075

なお、本発明のフォトマスクブランクは、クロム含有膜の透明基板から離間する側に、好ましくはクロム含有膜に接して、他の光学膜を設けたものであってもよい。この他の光学膜としては、例えば、ケイ素を含有し遷移金属を含有しない材料又は遷移金属及びケイ素を含有する材料からなる遮光膜が好適である。このような遮光膜を設けた場合、クロム含有膜をエッチングストッパ膜や、ハーフトーン位相シフト膜等の位相シフト膜とすることができる。

0076

本発明のフォトマスクブランクのクロム含有膜、位相シフト膜、遮光膜などの光学膜、エッチングマスク膜、エッチングストッパ膜などの加工補助膜は、光学特性の面内の均一性が高く、かつ欠陥が少ない膜を得ることができるスパッタリングにより成膜することが好ましい。

0077

クロム含有膜を成膜する場合は、例えば、ターゲットとして、クロムターゲットを用い、スパッタリングガスとして、酸素ガス(N2)、酸素ガス(O2)、酸化窒素ガス(N2O,NO2)、炭化水素ガス(例えばCH4など)、酸化炭素ガス(CO、CO2)などの反応性ガスから所望の構成元素に応じて選択して用い、反応性ガスと共に、必要に応じて、アルゴンガス(Ar)などの希ガスを併用して、スパッタリングガスをスパッタリング真空槽(スパッタリングチャンバ)に供給し、クロム含有膜を構成するクロム化合物層の各層が、第1組成を満たす層又は第1組成は満たさない層となるように、ターゲットに印加する電力、及びスパッタリングガスの導入量を調整して成膜すればよい。

0078

ケイ素を含有し遷移金属を含有しない材料又は遷移金属及びケイ素を含有する材料からなる位相シフト膜や遮光膜を成膜する場合や、ケイ素を含有する材料からなるエッチングマスク膜を成膜する場合は、例えば、ターゲットとして、ケイ素ターゲット遷移金属ターゲット、遷移金属ケイ素ターゲットなどから所望の構成元素に応じて選択して用い、スパッタリングガスとして、酸素ガス(N2)、酸素ガス(O2)、酸化窒素ガス(N2O,NO2)、炭化水素ガス(例えばCH4など)、酸化炭素ガス(CO、CO2)などの反応性ガスから所望の構成元素に応じて選択して用い、反応性ガスと共に、必要に応じて、アルゴンガス(Ar)などの希ガスを併用し、スパッタリングガスをスパッタリング真空槽に供給し、所望の組成となるように、ターゲットに印加する電力、及びスパッタリングガスの導入量を調整して成膜すればよい。

0079

本発明のフォトマスクブランクからは、常法に従ってフォトマスクを製造することができる。例えば、フォトマスクブランク上に、化学増幅型などのレジスト膜を形成し、これに電子線によりパターンを描画して、得られたレジストパターンを、最初のエッチングマスクとして、その下方のクロム含有膜、位相シフト膜、遮光膜などの光学膜、エッチングマスク膜、エッチングストッパ膜などの加工補助膜や透明基板を、それらの材質に応じて、酸素を含む塩素系ドライエッチングやフッ素系ドライエッチングから選択して順次エッチングして、フォトマスクパターンを形成することにより、フォトマスクを得ることができる。本発明のクロム含有膜に対してドライエッチングを行い加工した場合の断面形状は、図4に示される模式図のように、異方性が強いドライエッチングにより近い断面形状となる。なお、レジスト膜上には、有機導電性膜を設けてもよく、これにより電子線描画の際のチャージアップを更に抑制することができる。

0080

以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明する。

0081

[実施例1]
152mm角、厚さ6mmの石英基板の上に、ターゲットとしてケイ素ターゲットを用い、スパッタリングガスとして、Arガスを15sccm、N2ガスを30sccmの流量でスパッタチャンバーに導入して、DCマグネトロンスパッタ成膜により、ハーフトーン位相シフト膜として、厚さ62nmのSiN膜を形成した。

0082

次に、ハーフトーン位相シフト膜の上に、ターゲットとして金属クロムターゲットを用い、スパッタリングガスとして、N2ガスを45sccmの流量でスパッタチャンバーに導入し、DCマグネトロンスパッタ成膜により、厚さ45nmのCrN膜を形成し、遮光膜として、単層のクロム含有膜を有するフォトマスクブランクを得た。この場合、ArFエキシマレーザ(波長193nm)に対するクロム含有膜の光学濃度は2.1、クロム含有膜及びハーフトーン位相シフト膜の光学濃度の合計は3.0である。

0083

[実施例2]
152mm角、厚さ6mmの石英基板の上に、ターゲットとしてケイ素ターゲットを用い、スパッタリングガスとして、Arガスを15sccm、N2ガスを30sccmの流量でスパッタチャンバーに導入して、DCマグネトロンスパッタ成膜により、ハーフトーン位相シフト膜として、厚さ62nmのSiN膜を形成した。

0084

次に、ハーフトーン位相シフト膜の上に、ターゲットとして金属クロムターゲットを用い、スパッタリングガスとして、N2ガスを45sccm、O2ガスを2sccmの流量でスパッタチャンバーに導入し、DCマグネトロンスパッタ成膜により、厚さ46nmのCrON層を形成し、遮光膜として、単層のクロム含有膜を有するフォトマスクブランクを得た。この場合、ArFエキシマレーザ(波長193nm)に対するクロム含有膜の光学濃度は2.1、クロム含有膜及びハーフトーン位相シフト膜の光学濃度の合計は3.0である。

0085

[実施例3]
152mm角、厚さ6mmの石英基板の上に、ターゲットとしてケイ素ターゲットを用い、スパッタリングガスとして、Arガスを15sccm、N2ガスを30sccmの流量でスパッタチャンバーに導入して、DCマグネトロンスパッタ成膜により、ハーフトーン位相シフト膜として、厚さ62nmのSiN膜を形成した。

0086

次に、ハーフトーン位相シフト膜の上に、ターゲットとして金属クロムターゲットを用い、スパッタリングガスとして、N2ガスを45sccmの流量でスパッタチャンバーに導入し、DCマグネトロンスパッタ成膜により、主に導電性層として機能する厚さ44nmのCrN層を形成し、更に、ターゲットとして金属クロムターゲットを用い、スパッタリングガスとして、Arガスを10sccm、N2ガスを30sccm、O2ガスを15sccmの流量でスパッタチャンバーに導入し、DCマグネトロンスパッタ成膜により、主に透明基板から離間する側の反射防止層として機能する厚さ1nmのCrON層を形成し、遮光膜として、2層からなる厚さ45nmのクロム含有膜を有するフォトマスクブランクを得た。この場合、ArFエキシマレーザ(波長193nm)に対するクロム含有膜の光学濃度は2.1、クロム含有膜及びハーフトーン位相シフト膜の光学濃度の合計は3.0である。

0087

[実施例4]
152mm角、厚さ6mmの石英基板の上に、ターゲットとしてケイ素ターゲットを用い、スパッタリングガスとして、Arガスを15sccm、N2ガスを30sccmの流量でスパッタチャンバーに導入して、DCマグネトロンスパッタ成膜により、ハーフトーン位相シフト膜として、厚さ62nmのSiN膜を形成した。

0088

次に、ハーフトーン位相シフト膜の上に、ターゲットとして金属クロムターゲットを用い、スパッタリングガスとして、N2ガスを45sccm、CH4ガスを1sccmの流量でスパッタチャンバーに導入し、DCマグネトロンスパッタ成膜により、厚さ46nmのCrNC膜を形成し、遮光膜として、単層のクロム含有膜を有するフォトマスクブランクを得た。この場合、ArFエキシマレーザ(波長193nm)に対するクロム含有膜の光学濃度は2.1、クロム含有膜及びハーフトーン位相シフト膜の光学濃度の合計は3.0である。

0089

[実施例5]
152mm角、厚さ6mmの石英基板の上に、ターゲットとしてモリブデンとケイ素をモル比でモリブデン:ケイ素=1:2の比率で含有するターゲットと、ケイ素ターゲットとを用い、スパッタリングガスとして、Arガスを30sccm、N2ガスを5sccmの流量でスパッタチャンバーに導入して、DCマグネトロンスパッタ成膜により、遮光膜として、厚さ45nmのMoSiN膜を形成した。

0090

次に、遮光膜の上に、ターゲットとして金属クロムターゲットを用い、スパッタリングガスとして、N2ガスを45sccmの流量でスパッタチャンバーに導入し、DCマグネトロンスパッタ成膜により、厚さ10nmのCrN膜を形成し、エッチングマスク膜として、単層のクロム含有膜を有するフォトマスクブランクを得た。

0091

[比較例1]
152mm角、厚さ6mmの石英基板の上に、ターゲットとしてケイ素ターゲットを用い、スパッタリングガスとして、Arガスを15sccm、N2ガスを32sccmの流量でスパッタチャンバーに導入して、DCマグネトロンスパッタ成膜により、ハーフトーン位相シフト膜として、厚さ61nmのSiN膜を形成した。

0092

次に、ハーフトーン位相シフト膜の上に、ターゲットとして金属クロムターゲットを用い、スパッタリングガスとして、Arガスを9sccm、N2ガスを30sccm、O2ガスを14sccmの流量でスパッタチャンバーに導入し、DCマグネトロンスパッタ成膜により、主に透明基板側の反射防止層として機能する厚さ20nmのCrON層を形成し、次いで、ターゲットとして金属クロムターゲットを用い、スパッタリングガスとして、Arガスを20sccm、N2ガスを2sccm、O2ガスを2sccmの流量でスパッタチャンバーに導入し、DCマグネトロンスパッタ成膜により、主に導電性層として機能する厚さ4nmのCrON層を形成し、更に、ターゲットとして金属クロムターゲットを用い、スパッタリングガスとして、Arガスを12sccm、N2ガスを30sccm、O2ガスを14sccmの流量でスパッタチャンバーに導入し、DCマグネトロンスパッタ成膜により、主に透明基板から離間する側の反射防止層として機能する厚さ22nmのCrON層を形成し、遮光膜として、3層からなる厚さ46nmのクロム含有膜を有するフォトマスクブランクを得た。この場合、ArFエキシマレーザ(波長193nm)に対するクロム含有膜の光学濃度は2.0、クロム含有膜及びハーフトーン位相シフト膜の光学濃度の合計は3.1である。

0093

[比較例2]
152mm角、厚さ6mmの石英基板の上に、ターゲットとしてケイ素ターゲットを用い、スパッタリングガスとして、Arガスを15sccm、N2ガスを32sccmの流量でスパッタチャンバーに導入して、DCマグネトロンスパッタ成膜により、ハーフトーン位相シフト膜として、厚さ61nmのSiN膜を形成した。

0094

次に、ハーフトーン位相シフト膜の上に、ターゲットとして金属クロムターゲットを用い、スパッタリングガスとして、Arガスを10sccm、N2ガスを50sccm、CH4ガスを5sccmの流量でスパッタチャンバーに導入し、DCマグネトロンスパッタ成膜により、主に透明基板側の反射防止層として機能する厚さ45nmのCrNC層を形成し、次いで、ターゲットとして金属クロムターゲットを用い、スパッタリングガスとして、Arガスを30sccm、N2ガスを35sccmの流量でスパッタチャンバーに導入し、DCマグネトロンスパッタ成膜により、主に導電性層として機能する厚さ3nmのCrN層を形成し、更に、ターゲットとして金属クロムターゲットを用い、スパッタリングガスとして、Arガスを10sccm、N2ガスを50sccm、O2ガスを10sccmの流量でスパッタチャンバーに導入し、DCマグネトロンスパッタ成膜により、主に透明基板から離間する側の反射防止層として機能する厚さ3nmのCrON層を形成し、遮光膜として、3層からなる厚さ51nmのクロム含有膜を有するフォトマスクブランクを得た。この場合、ArFエキシマレーザ(波長193nm)に対するクロム含有膜の光学濃度は1.9、クロム含有膜及びハーフトーン位相シフト膜の光学濃度の合計は3.0である。

0095

[比較例3]
152mm角、厚さ6mmの石英基板の上に、ターゲットとしてモリブデンとケイ素をモル比でモリブデン:ケイ素=1:2の比率で含有するターゲットと、ケイ素ターゲットとを用い、スパッタリングガスとして、Arガスを30sccm、N2ガスを5sccmの流量でスパッタチャンバーに導入して、DCマグネトロンスパッタ成膜により、遮光膜として、厚さ45nmのMoSiN膜を形成した。

0096

次に、遮光膜の上に、ターゲットとして金属クロムターゲットを用い、スパッタリングガスとして、Arガスを20sccm、N2ガスを5sccmの流量でスパッタチャンバーに導入し、DCマグネトロンスパッタ成膜により、厚さ10nmのCrN膜を形成し、エッチングマスク膜として、単層のクロム含有膜を有するフォトマスクブランクを得た。

0097

実施例及び比較例で得られたフォトマスクブランクのクロム含有膜の各々のクロム化合物層について、XPSで組成を分析した。結果を、上記式(1)の充足性と併せて、表1に示す。また、絶縁性の石英基板上に直接、実施例及び比較例の各々で形成したクロム含有膜を形成したシート抵抗評価用サンプルを作製し、得られたサンプルのクロム含有膜のシート抵抗を四端子法により測定することにより、クロム含有膜のシート抵抗を評価した。結果を表1に示す。

0098

また、実施例及び比較例で得られたフォトマスクブランクについて、所定の光学濃度を得るために必要な膜厚を比較した。ここでは、ArFエキシマレーザ(波長193nm)における光学濃度を2.0に調整した場合を考え、このときの膜厚を、光学濃度規格化厚さとして、下記式
(クロム含有膜の膜厚)×{2/(クロム含有膜の光学濃度)}
により求めた。結果を表1に示す。この厚さは、より薄いほどフォトマスクとして使用する際の転写性能が良く、50nm以下、特に47nm以下であることが望ましい。

0099

次に、実施例及び比較例で得られたフォトマスクブランクについて、酸素を含む塩素系ドライエッチングにより、クロム含有膜を剥離した。このとき剥離に要した時間、つまりエッチングクリアタイム計測し、ArFエキシマレーザ(波長193nm)における光学濃度2.0に相当する、光学濃度基準のエッチングクリアタイムを、下記式
(測定されたエッチングクリアタイム)×{2/(クロム含有膜の光学濃度)}
により求めた。結果を表1に示す。このエッチングクリアタイムは、より高解像性のパターン形成のためには、より短いほど良く、例えば、上述した光学濃度規格化厚さを満たす範囲であれは、135以下、特に130以下であることが望ましい。

0100

更に、実施例及び比較例で得られたフォトマスクブランクのクロム含有膜上に、電子線レジスト膜を厚さ100nmで形成し、電子線描画機で線幅100nmのラインスペースパターンを描画した。次に、レジスト膜を現像してレジストパターンを得、レジストパターンをエッチングマスクとして、エッチング時間を、各々のクロム含有膜のエッチングレートから算出されるエッチングクリアタイムの175%に相当する、オーバーエッチング75%の条件で、酸素を含む塩素系ドライエッチングにより、クロム含有膜をエッチングして、ライン&スペースパターンを転写した。次に、レジストパターンを剥離した後、ライン&スペースパターンを縦断面で割断し、クロム含有膜のラインパターンの被エッチング面の断面形状を観察した。断面形状の評価結果を表1に示す。

0101

ラインパターンの断面形状は、厚さ方向に線幅の変化がないこと、断面形状の垂直性がよいことが求められる。評価結果は、レジストパターンの幅方向両端に一致する、クロム含有膜の膜面に対して垂直な面を設定し、この面を基準面として、この基準面より、クロム含有膜パターンの実断面が内側に凹んでいる場合を負、外側に張り出している場合を正として、クロム含有膜パターンの厚さ方向の線幅の変化量を評価した。クロム含有膜の膜厚を1としたとき、厚さ方向に沿った線幅の変化量の最大値が−0.05以上+0.05以下である場合を○、−0.1以上−0.05未満又は+0.05を超えて+0.1以下である場合を△、−0.1未満又は+0.1超の場合を×と表記した。

0102

実施例

0103

以上、実施例により本発明について説明したが、上記実施例は、本発明を実施するための例にすぎず、本発明はこれに限定されるものではない。この実施例を種々変形することは、本発明の範囲内にあり、更に、本発明の範囲内において、他の様々な実施例が可能であることは、上記記載から自明である。

0104

1 透明基板
2クロム含有膜
21 第1のクロム化合物層
22 第2のクロム化合物層
23 第3のクロム化合物層
3光学膜
4エッチングマスク膜
51 クロム含有膜の下方の膜又は透明基板
52 クロム含有膜パターン
52a、52cエッチング速度の高いクロム化合物層
52b エッチング速度の低いクロム化合物層
53エッチングマスクパターン
101,102,103 フォトマスクブランク

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