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技術 トロポニンおよびBNPに基づく発作のリスク患者および原因の診断

出願人 エフ.ホフマン-ラロシュアーゲー
発明者 ヘス,ゲオルクズドゥネック,ディートマーホルシュ,アンドレア
出願日 2016年11月4日 (4年7ヶ月経過) 出願番号 2016-216261
公開日 2017年3月9日 (4年3ヶ月経過) 公開番号 2017-049267
状態 特許登録済
技術分野 生物学的材料の調査,分析
主要キーワード 電子フィルター 強度信号値 データ処理素子 液体処理ユニット 決定量 診断段階 気体放電ランプ 貯蔵コンパートメント
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課題

対象が心塞栓性発作または非−心塞栓性の発作のいずれに罹患しているかを早期鑑別するための方法を提供する。

解決手段

虚血発作に罹患している対象から虚血発作の症状の発生後6時間以内に得られた試料中の心臓トロポニンの量を決定し、該心臓トロポニンの量を基準量と比較し、それによりその対象が心塞栓性の虚血発作または非−心塞栓性の虚血発作のいずれに罹患しているかを鑑別する段階を含む、方法。また、本発明の方法を実施するのに適したキットおよびデバイスも提供。

概要

背景

発作は、高所得諸国では障害調整生存年数(disability-adjusted life-year)の低下の
原因として、また全世界における死因として、虚血性心疾患に次いで2番目の順位にある。早期に提示されれば血栓溶解法を用いて発作の有害な結果を改善でき、提示が遅れた場合は疾患進行を避けるためにアスピリンおよび抗凝固剤を用いる二次予防後続発作を予防するために)が適切な方法にすぎないと思われる(van der Worp B and van Gijn J., NEJM 2007: 357: 572 - 578)。

発作を予防または治療するためには、発作の根底にある原因の同定が重要である。これはTOAST基準により対処されてきた(Adams H.P. et al Stroke 1993: 24: 35 - 41)
。TOAST基準は、発作の原因をアテローム血栓性(atherothrombotic)(大血管アテローム硬化)、心塞栓性(cardioembolic)、ラクナ(lacunar)(小血管付随)、および未確定に分けている(Adams H.P. et al)。これらの基準を評価するためには、心エコー検査および心電図のほかに、頚動脈および経頭蓋超音波検査が要求される(Rodriguez-Yanez
et al , Disease Markers 2009: 26: 189 - 195)。これまでのところ、NT−pro
BNPが心塞栓性発作と関連づけられたが、アテローム血栓性、ラクナおよび未確定の発作とは関連づけられていない(Rodriguez-Yanez et al)。この方法の主な欠点のひとつは
、BNPまたはNT−pro BNPは虚血発作に際して脳から放出される可能性があり、したがって脳タイプナトリウム利尿ペプチド診断効力が制限されることである。興味深いことに、本発明者らが行なった研究の状況で、発作患者におけるNT−proBNPの中央血清レベルが提示時の331pg/mlから24時間の経過観察値(437pg/ml)に約30%上昇することが示された。したがって、ナトリウム利尿ペプチドの決定に基づく心塞栓性発作の診断は、被験試料が得られた時点を基準とする。したがって、脳から放出されないリスクマーカーを同定する必要がある。

心臓トロポニンTおよびIは急性心筋梗塞の診断のための好ましいバイオマーカーである(Anderson JL,ACC/AHA 2007 guidelines for the management of patients with unstable angina/non-ST-Elevation myocardial infarction. J Am Coll Cardiol. 2007; 50(7): e1-e157)。トロポニンベルの上昇は、冠動脈疾患心不全および慢性腎疾患を含めた幾つかの非急性慢性疾患状態で検出される可能性のあることが認められている(たとえ
ば下記を参照:Omland et al.,N Engl J Med. 2009; 361(26): 2538-2547)。トロポニン
TおよびIは一般集団からの個体に検出される可能性のあることも示された(たとえば下
記を参照:Wallace et al., Prevalence and determinants of troponin T elevation in
the general population.Circulation. 2006; 113(16): 1958-1965)。

Song et al. (Journal of Clinical Neurology, Volume 4, 2006, pages 75 to 83)に
は、虚血発作を伴なう455人の患者を含む研究が記載されている。血清トロポニンTが約10%の患者において増加し、それは発作重症度の増大、特に、より重篤な神経欠損および島葉(insular lobe)に対する損傷と関連していた。その研究の著者らは、血清トロポニンレベルの上昇は急性虚血発作により引き起こされるストレスに対して心臓耐容性がより低いことの指標となりうると結論している。したがって、Songらによれば、トロポニンの増加は急性発作により引き起こされ、すなわち急性事象に続いて起きるであろう。

本発明に関して、意外にも、心塞栓性発作を伴う患者における心臓トロポニンレベルの上昇は心塞栓性発作の発症時に既に検出できることが示された。したがって、Songらの教示とは対照的に、心臓トロポニンレベルの上昇は発作事象により引き起こされるのではない。むしろ、本発明の研究は、心臓トロポニンのレベルが発作症状の発生前に既に上昇していることを示唆する。したがって、心臓トロポニンの決定により、対象において心塞栓性の虚血発作と非−心塞栓性の虚血発作を早期鑑別することができる。発作に罹患している対象、特に心塞栓性発作に罹患している対象を十分に治療するためには発作の原因を早期に評価することが必須なので、これは有利である。さらに、心塞栓症による発作は一般に重篤であり、早期再発の傾向がある。

概要

対象が心塞栓性の発作または非−心塞栓性の発作のいずれに罹患しているかを早期鑑別するための方法を提供する。虚血発作に罹患している対象から虚血発作の症状の発生後6時間以内に得られた試料中の心臓トロポニンの量を決定し、該心臓トロポニンの量を基準量と比較し、それによりその対象が心塞栓性の虚血発作または非−心塞栓性の虚血発作のいずれに罹患しているかを鑑別する段階を含む、方法。また、本発明の方法を実施するのに適したキットおよびデバイスも提供。なし

目的

その評価を行なうコンピュータープログラムは、目的とする評価を適切な出力フォーマットで提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

対象が心塞栓性虚血発作または非−心塞栓性の虚血発作のいずれに罹患しているかを早期鑑別するための方法であって、虚血発作に罹患している対象からの試料中の心臓トロポニンの量を決定することを含み、その際、試料は虚血発作の症状の発生後6時間以内に得られたものである方法。

請求項2

さらに、心臓トロポニンの量を基準量と比較し、それによりその対象が心塞栓性の虚血発作または非−心塞栓性の虚血発作のいずれに罹患しているかを鑑別する段階を含む、請求項1に記載の方法。

請求項3

試料は虚血発作の症状の発生後3時間以内に対象から得られたものである、請求項1および2に記載の方法。

請求項4

基準量は心塞栓性の発作に罹患していることが分かっている対象に由来し、その際、基準量と比較して同一量の心臓トロポニンまたは増加した量の心臓トロポニンは、その対象が心塞栓性の発作に罹患していることの指標となり、および/または基準量は非−心塞栓性の虚血発作に罹患していることが分かっている対象に由来し、その際、基準量と比較して同一量の心臓トロポニンまたは減少した量の心臓トロポニンは、当該対象が非−心塞栓性の虚血発作に罹患していることの指標となる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。

請求項5

さらに、ナトリウム利尿ペプチド、特に脳ナトリウム利尿ペプチド、特にBNPまたはNT−proBNPの量を決定することを含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。

請求項6

心房細動に罹患している疑いのあるヒト対象において間欠性心房細動を診断するための方法であって、その対象からの試料中の心臓トロポニンの量を決定することを含む方法。

請求項7

さらに、心臓トロポニンの量を基準量と比較する段階を含む、請求項6に記載の方法。

請求項8

対象は虚血発作に罹患していない、請求項6および7に記載の方法。

請求項9

心房細動に罹患している疑いのある対象は、虚血発作、特に心塞栓性の発作に罹患しており、その際、試料は虚血発作の症状の発生直後に得られたものである、請求項6および7に記載の方法。

請求項10

対象からの試料は、虚血発作の症状の発生後12時間以内、特に虚血発作の症状の発生後6時間以内または3時間以内にその対象から得られたものである、請求項9に記載の方法。

請求項11

対象は持続性および永続性の心房細動に罹患していないことが分かっている、請求項6〜10のいずれか1項に記載の方法。

請求項12

基準量は間欠性心房細動に罹患していることが分かっている対象またはそのような対象のグループに由来し、その際、基準量と比較して同一量の心臓トロポニンまたは増加した量の心臓トロポニンは、当該対象が間欠性心房細動に罹患していることの指標となり、ならびに/あるいは基準量は心房細動に罹患していないことが分かっている対象またはそのような対象のグループに由来し、その際、基準量と比較して同一量の心臓トロポニンまたは減少した量の心臓トロポニンは、対象が間欠性心房細動に罹患していないことの指標となる、請求項11に記載の方法。

請求項13

対象からの試料中の心臓トロポニンの量を2つの基準量と比較し、その際、第1基準量は間欠性心房細動に罹患していることが分かっている対象またはそのような対象のグループに由来し、第2基準量は永続性もしくは持続性の心房細動に罹患していることが分かっている対象またはそのような対象のグループに由来する、請求項7〜10のいずれか1項に記載の方法。

請求項14

対象の試料において、第1基準量と本質的に同一であるかまたはそれより高く、ただし永続性もしくは持続性の心房細動に罹患していることが分かっている対象またはそのような対象のグループに由来する第2基準量より低い心臓トロポニンの量は、間欠性心房細動の診断の指標となる、請求項13に記載の方法。

請求項15

さらに、ナトリウム利尿ペプチド、特に脳ナトリウム利尿ペプチド、特にBNPまたはNT−proBNPを決定することを含む、請求項6〜14のいずれか1項に記載の方法。

請求項16

間欠性心房細動を、特に試料が得られた時点で心房細動のエピソードが存在しない状態において診断する、請求項6〜15のいずれか1項に記載の方法。

請求項17

対象が心塞栓性の虚血発作または非−心塞栓性の虚血発作のいずれに罹患しているかを早期鑑別するための、対象の試料中における、心臓トロポニンおよび/またはそれに特異的に結合する検出剤の使用であって、試料は虚血発作の症状の発生後6時間以内に得られたものである使用。

請求項18

対象において間欠性心房細動を診断するための、心房細動に罹患している疑いのあるヒト対象の試料中における、心臓トロポニンおよび/またはそれに特異的に結合する検出剤の使用。

請求項19

虚血発作に罹患している対象において対象が心塞栓性の虚血発作または非−心塞栓性の虚血発作のいずれに罹患しているかを早期鑑別するためのデバイスであって、下記のものを含む前記デバイス:a)心臓トロポニンの量を決定できる心臓トロポニン検出剤(および場合により、ナトリウム利尿ペプチドの量を検出できるナトリウム利尿ペプチド検出剤)を含む分析ユニット;およびb)対象が心塞栓性の虚血発作または非−心塞栓性の虚血発作のいずれに罹患しているかを鑑別するために、分析ユニットにより決定された量(単数または複数)をデータベースに記憶された基準量(単数または複数)と比較するためのアルゴリズム実装したデータプロセッサーを含む評価ユニット;その際、基準量は請求項4に記載する対象からの試料に由来し、アルゴリズムは請求項4に記載するアルゴリズムである。

請求項20

心房細動に罹患している疑いのある対象において間欠性心房細動を診断するためのデバイスであって、下記のものを含む前記デバイス:a)心臓トロポニンの量を決定できる心臓トロポニン検出剤を含む分析ユニット;およびb)間欠性心房細動を診断するために、分析ユニットにより決定された量をデータベースに記憶された基準量(または複数の基準量)と比較するためのアルゴリズムを実装したデータプロセッサーを含む評価ユニット;その際、基準量は請求項12または13に記載する対象に由来し、アルゴリズムは請求項12または14に記載するアルゴリズムである。

技術分野

0001

本発明は、対象が心塞栓性発作(cardioembolic stroke)または非−心塞栓性の虚血発作(non-cardioembolic ischemic stroke)のいずれに罹患しているかを早期鑑別するため
の方法に関する。本方法は、虚血発作に罹患している対象から虚血発作の症状の発生後24時間以内に得られた試料中の心臓トロポニンの量を決定することに基づく。さらに、本発明は対象において心房細動診断するための方法に関する。本発明はさらに、本発明の方法を実施するのに適したキットおよびデバイスを想定する。本発明はまた、対象が心塞栓性の虚血発作または非−心塞栓性の虚血発作のいずれに罹患しているかを早期鑑別するための、また心房細動を診断するための、システムに関する。さらに、本発明は本明細書に開示する方法を実施する際に用いる試薬およびキットに関する。

背景技術

0002

発作は、高所得諸国では障害調整生存年数(disability-adjusted life-year)の低下の
原因として、また全世界における死因として、虚血性心疾患に次いで2番目の順位にある。早期に提示されれば血栓溶解法を用いて発作の有害な結果を改善でき、提示が遅れた場合は疾患進行を避けるためにアスピリンおよび抗凝固剤を用いる二次予防後続発作を予防するために)が適切な方法にすぎないと思われる(van der Worp B and van Gijn J., NEJM 2007: 357: 572 - 578)。

0003

発作を予防または治療するためには、発作の根底にある原因の同定が重要である。これはTOAST基準により対処されてきた(Adams H.P. et al Stroke 1993: 24: 35 - 41)
。TOAST基準は、発作の原因をアテローム血栓性(atherothrombotic)(大血管アテローム硬化)、心塞栓性(cardioembolic)、ラクナ(lacunar)(小血管付随)、および未確定に分けている(Adams H.P. et al)。これらの基準を評価するためには、心エコー検査および心電図のほかに、頚動脈および経頭蓋超音波検査が要求される(Rodriguez-Yanez
et al , Disease Markers 2009: 26: 189 - 195)。これまでのところ、NT−pro
BNPが心塞栓性発作と関連づけられたが、アテローム血栓性、ラクナおよび未確定の発作とは関連づけられていない(Rodriguez-Yanez et al)。この方法の主な欠点のひとつは
、BNPまたはNT−pro BNPは虚血発作に際して脳から放出される可能性があり、したがって脳タイプナトリウム利尿ペプチドの診断効力が制限されることである。興味深いことに、本発明者らが行なった研究の状況で、発作患者におけるNT−proBNPの中央血清レベルが提示時の331pg/mlから24時間の経過観察値(437pg/ml)に約30%上昇することが示された。したがって、ナトリウム利尿ペプチドの決定に基づく心塞栓性発作の診断は、被験試料が得られた時点を基準とする。したがって、脳から放出されないリスクマーカーを同定する必要がある。

0004

心臓トロポニンTおよびIは急性心筋梗塞の診断のための好ましいバイオマーカーである(Anderson JL,ACC/AHA 2007 guidelines for the management of patients with unstable angina/non-ST-Elevation myocardial infarction. J Am Coll Cardiol. 2007; 50(7): e1-e157)。トロポニンベルの上昇は、冠動脈疾患心不全および慢性腎疾患を含めた幾つかの非急性慢性疾患状態で検出される可能性のあることが認められている(たとえ
ば下記を参照:Omland et al.,N Engl J Med. 2009; 361(26): 2538-2547)。トロポニン
TおよびIは一般集団からの個体に検出される可能性のあることも示された(たとえば下
記を参照:Wallace et al., Prevalence and determinants of troponin T elevation in
the general population.Circulation. 2006; 113(16): 1958-1965)。

0005

Song et al. (Journal of Clinical Neurology, Volume 4, 2006, pages 75 to 83)に
は、虚血発作を伴なう455人の患者を含む研究が記載されている。血清トロポニンTが約10%の患者において増加し、それは発作重症度の増大、特に、より重篤な神経欠損および島葉(insular lobe)に対する損傷と関連していた。その研究の著者らは、血清トロポニンレベルの上昇は急性虚血発作により引き起こされるストレスに対して心臓耐容性がより低いことの指標となりうると結論している。したがって、Songらによれば、トロポニンの増加は急性発作により引き起こされ、すなわち急性事象に続いて起きるであろう。

0006

本発明に関して、意外にも、心塞栓性発作を伴う患者における心臓トロポニンレベルの上昇は心塞栓性発作の発症時に既に検出できることが示された。したがって、Songらの教示とは対照的に、心臓トロポニンレベルの上昇は発作事象により引き起こされるのではない。むしろ、本発明の研究は、心臓トロポニンのレベルが発作症状の発生前に既に上昇していることを示唆する。したがって、心臓トロポニンの決定により、対象において心塞栓性の虚血発作と非−心塞栓性の虚血発作を早期鑑別することができる。発作に罹患している対象、特に心塞栓性発作に罹患している対象を十分に治療するためには発作の原因を早期に評価することが必須なので、これは有利である。さらに、心塞栓症による発作は一般に重篤であり、早期再発の傾向がある。

先行技術

0007

van der Worp B and van Gijn J., NEJM 2007: 357: 572 - 578
Adams H.P. et al Stroke 1993: 24: 35 - 41
Rodriguez-Yanez et al , Disease Markers 2009: 26: 189 - 195
Anderson JL,ACC/AHA 2007 guidelines for the management of patients with unstable angina/non-ST-Elevation myocardial infarction. J Am Coll Cardiol. 2007; 50(7): e1-e157
Omland et al.,N Engl J Med. 2009; 361(26): 2538-2547
Wallace et al., Prevalence and determinants of troponin T elevation in the general population.Circulation. 2006; 113(16): 1958-1965
Song et al. Journal of Clinical Neurology, Volume 4, 2006, pages 75 to 83

発明が解決しようとする課題

0008

一般的な診断法では通常は発作の原因を早期に信頼性をもって評価することができない。したがって、十分な的確さで個別化治療計画を決定することができない。その結果として、多くの患者が、不十分な治療計画または有害な副作用をもつ可能性のある治療計画を受けるであろう。したがって、発作の原因を信頼性をもって鑑別するための手段および方法が要求されている。

0009

本発明の基礎となる技術的課題は、前記の要求に応じるための手段および方法であることが分かる。

課題を解決するための手段

0010

この技術的課題は、特許請求の範囲および以下に示す態様により解決される。
したがって、対象が心塞栓性の虚血発作または非−心塞栓性の虚血発作のいずれに罹患しているかを早期鑑別するための本発明方法は、
a)虚血発作に罹患している対象からの試料中の心臓トロポニンの量を決定することを含み、
その際、試料は虚血発作の症状の発生直後に得られたものである。

0011

好ましい態様において、本方法はさらに下記の段階を含む:
b)段階aで決定した心臓トロポニンの量を基準量と比較し、それによりその対象が心塞栓性の虚血発作または非−心塞栓性の虚血発作のいずれに罹患しているかを鑑別する。

0012

したがって本発明は特に、対象が心塞栓性の虚血発作または非−心塞栓性の虚血発作のいずれに罹患しているかを早期鑑別するための、下記を含む方法に関する:
a)虚血発作に罹患している対象から虚血発作の症状の発生直後に得られた試料中の心臓トロポニンの量を決定し、
b)段階a)で決定した心臓トロポニンの量を基準量と比較し、それによりその対象が心塞栓性の虚血発作または非−心塞栓性の虚血発作のいずれに罹患しているかを鑑別する。

0013

好ましくは、対象が心塞栓性の虚血発作または非−心塞栓性の虚血発作のいずれに罹患しているかは、追加段階を実施することにより鑑別される:c)段階b)で実施した比較の結果に基づいて、その対象が心塞栓性の虚血発作または非−心塞栓性の虚血発作のいずれに罹患しているかを診断する。

0014

本発明方法の好ましい態様において、段階a)はさらに、対象から虚血発作の発症直後に得られた試料中のナトリウム利尿ペプチドの量を決定することを含む。好ましくは、こうして決定したナトリウム利尿ペプチドの量を段階b)でナトリウム利尿ペプチドについての基準量と比較する。

0015

したがって本発明はまた、対象が心塞栓性の虚血発作または非−心塞栓性の虚血発作のいずれに罹患しているかを早期鑑別するための下記の段階を含む方法に関する:
a)虚血発作に罹患している対象から虚血発作の症状の発生直後に得られた試料中の心臓トロポニンおよびナトリウム利尿ペプチドの量を決定し、
b)段階a)で決定した心臓トロポニンの量を心臓トロポニンについての基準量と比較し、かつナトリウム利尿ペプチドの量をナトリウム利尿ペプチドについての基準量と比較し、それによりその対象が心塞栓性の虚血発作または非−心塞栓性の虚血発作のいずれに罹患しているかを鑑別する。

0016

本発明の方法は、好ましくはエクスビボ法である。さらに、それは前記に明白に述べた段階のほかの段階を含むことができる。たとえば、さらに他の段階は試料の前処理または本方法により得られた結果の評価に関するものであってもよい。本方法は手動で実施でき、あるいは自動化により支援することができる。好ましくは、段階(a)および/または(b)は全部または一部を自動化により支援することができる:たとえば、段階(a)の決定に適したロボット装置およびセンサー装置、あるいは段階(b)における比較に基づくコンピューター実装による比較および/または鑑別。

0017

したがって本発明はまた、好ましくは、対象が心塞栓性の虚血発作または非−心塞栓性の虚血発作のいずれに罹患しているかを早期鑑別するための下記のものを含むシステムに関する:
a)虚血発作に罹患している対象からの試料の一部分を、心臓トロポニンに対して特異的な結合親和性を含むリガンドと、インビトロで接触させるように構成された分析ユニット
b)対象からの試料の上記リガンドと接触した部分からの信号を検出するように構成された分析ユニット、
c)プロセッサーを備え、かつ操作可能な状態で上記の分析ユニット類と連絡する、コンピューティングデバイス、および
d)非一時性(non-transient)の機械可読媒体であって、プロセッサーにより実行可能
な複数の指示、すなわち実行した際に心臓トロポニンの量を計算し、このマーカー量を基準量と比較し、それによりその対象が心塞栓性の虚血発作または非−心塞栓性の虚血発作のいずれに罹患しているかを鑑別する指示を含むもの。

0018

明細書中で用いる用語“鑑別する”は、虚血発作に罹患している患者において、心塞栓性の発作と非−心塞栓性の発作を識別することを意味する。本明細書中で用いるこの用語は、好ましくは、対象において心塞栓性の虚血発作と非−心塞栓性の虚血発作を鑑別診断することを含む。当業者に理解されるように、そのような評価は通常は、鑑別診断すべき対象の100%について正確であることを意図するものではない。しかしこの用語は、統計的に有意部分の対象を正確に診断できることを要求する。ある診断/鑑別が正確であるかどうかは、当技術分野で周知の方法により確認できる。さらに、ある部分が統計的に有意であるかどうかは、多様な周知の統計学評価ツール、たとえば信頼区間の決定、p−値の決定、スチューデントt−検定マンホイットニー検定などを用いて当業者がさらなる労苦なしに判定できる。詳細はDowdy and Wearden, Statistics for Research, John Wiley & Sons, New York 1983中にある。好ましい信頼区間は、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%である。p−値は、好ましくは0.1、0.05、0.01、0.005、または0.0001である。

0019

本明細書中で用いる用語“対象”は、動物、好ましくは哺乳動物、より好ましくはヒトに関する。好ましくは、対象は急性感染症に罹患していない。さらに、対象は急性冠動脈症候群および/または慢性腎不全に罹患していないことをさらに想定する。特に、前記方法に関する対象は正常な腎機能をもつべきである。さらに、対象は、好ましくは救急ユニットにいる対象である。

0020

本明細書中に示す対象の定義は、好ましくは、本発明の方法に従って検査すべき対象、およびそれから基準量が導かれる対象または対象群に適用される。
本発明の方法に従って検査すべき対象は、虚血発作に罹患しているはずである。用語“虚血発作”(本明細書中で“発作”とも言う)は当業者に周知である(たとえば下記を参
照:Adams et al., Guidelines for the Early Management of Adults With Ischemic Stroke, A Guideline From the American Heart Association/ American Stroke Association Stroke Council, Clinical Cardiology Council, Cardiovascular Radiology and Intervention Council, and the Atherosclerotic Peripheral Vascular Disease and Quality of Care Outcomes in Research Interdisciplinary Working Groups in Stroke. 2007;38:1655;またはStroke Genetics, edited by Hugh S. Markus, Chapter 1 “An introduction to stroke, Oxford University Press, Incorporated, Publish Date 06/03;それらの両方をその開示内容全体に関して本明細書に援用する)。本明細書中で用いるこの用
語は、好ましくは脳虚血発作を表わす。虚血発作は、脳またはその一部への血流が低下し、それにより脳細胞への酸素送達の低下(供給不足)が生じることにより引き起こされる。虚血発作は、動脈血の流入の閉塞により引き起こされる組織貧血により特徴づけることができる。それは、脳細胞死に起因する不可逆的な組織損傷を生じる可能性がある。

0021

虚血発作についてはさまざまな分類方式がある。オックスフォードコミュニティー発作プロジェクト(Oxford Community Stroke Project)分類(OCSP;バンフォード(Bamford)またはオックスフォード分類としても知られる)は、主に初期症状根拠とする;症状の程度に基づいて、発作エピソードを全前壁循環梗塞(total anterior circulation infarct)(TACI)、部分前壁循環梗塞(partial anterior circulation infarct)(PACI)、ラクナ梗塞(lacunar infarct)(LACI)、または後壁循環梗塞(posterior circulation infarct)(POCI)として分類する。これら4つの構成要素により、発作の程度、影響を受けている脳領域、根底にある原因、および予後が推定される。

0022

好ましくは、いわゆるTOAST基準を本発明に適用する。TOAST基準については、たとえば下記を参照:Donnan GA, Fisher M, Macleod M, DavisSM(May 2008). “Stroke”. Lancet 371 (9624): 1612-23、または“Classification of subtype of acute ischemic stroke. Definitions for use in a multicenter clinical trial. TOAST. Trial
of Org 10172 in Acute Stroke Treatment”. Stroke 24 (1): 35-41;それらの両方を
その開示内容全体に関して本明細書に援用する。TOAST(Trial of Org 10172 in Acute Stroke Treatment)分類は、臨床症状およびさらなる調査の結果に基づく;これに基づ
いて、発作を下記に帰因するものとして分類する:(1)心原性の塞栓症(心塞栓性発作)、(2)大動脈アテローム硬化症に帰因する血栓症もしくは塞栓症(大動脈狭窄、アテローム血栓性発作)、(3)小血管の閉塞(ラクナ発作)、または(4)原因未確定(可能性のある原因が2つ、原因が特定されない、または調査が不完全)。したがって、好ましい非−心塞栓性の発作はアテローム硬化性発作(2を参照)およびラクナ発作(3を参照)である。

0023

対象が発作、特に虚血発作に罹患しているかどうかは、周知の方法により決定できる。さらに、発作の症状は当技術分野で周知であり、たとえばAdams et al. (前掲)に記載さ
れている。たとえば、発作の症状には、顔、手または足、特に身体の片側の突発性麻痺または脱力感、突発性の錯乱会話または理解力の障害、片眼または両眼の突発性視覚障害、および突発性の歩行障害めまい平衡感覚喪失または協調性喪失が含まれる。

0024

用語“試料”は、体液試料、分離された細胞の試料、または組織もしくは臓器からの試料を表わす。体液試料は周知の手法により得ることができ、好ましくは血液、血漿、血清または尿の試料、より好ましくは血液、血漿または血清の試料を含む。組織または臓器の試料は、いずれかの組織または臓器から、たとえば生検により得ることができる。分離された細胞は、体液または組織もしくは臓器から、遠心または細胞選別などの分離法により得ることができる。好ましくは、細胞、組織または臓器の試料は、本明細書中で述べるペプチド発現または産生する細胞、組織または臓器から得られる。

0025

本発明方法に関して試験すべき試料は、発作の症状の発生直後に得られたものでなければならない(基準試料も同様)。好ましくは、発作の症状の発生後24時間以内、特に12時間以内に試料がその対象から得られた場合、それは発作の症状の発生直後に得られたとみなされる。より好ましくは、虚血発作の症状の発生後6時間以内、よりさらに好ましくは3時間以内に試料がその対象から得られた場合、それは発作の症状の発生直後に得られたとみなされる。さらに、試料は発作症状の発生後1または2時間以内に採取されていることを想定する。

0026

用語“心臓トロポニン”は、心臓の細胞、好ましくは心内膜下細胞に発現するすべてのトロポニンイソ型を表わす。これらのイソ型は、たとえばAnderson 1995,Circulation Research, vol. 76, no. 4: 681-686、およびFerrieres 1998, Clinical Chemistry, 44: 487-493に記載されるように、当技術分野で十分に解明されている。好ましくは、心臓ト
ロポニンはトロポニンTおよび/またはトロポニンI、最も好ましくはトロポニンTを表わす。イソ型トロポニン類は、本発明の方法において一緒に、すなわち同時もしくは連続的に決定でき、あるいは個別に、すなわち他のイソ型を全く決定することなく決定できることを理解すべきである。ヒト−トロポニンTおよびヒト−トロポニンIのアミノ酸配列は、前掲のAnderson、およびFerrieres 1998, Clinical Chemistry, 44: 487-493に開示
されている。

0027

用語“心臓トロポニン”には、前記の特定のトロポニン類の、すなわち好ましくはトロポニンIの、より好ましくはトロポニンTの、バリアント包含される。そのようなバリ
アントは、特定の心臓トロポニン類と少なくとも同じ本質的な生物学的および免疫学的特性をもつ。特に、それらを本明細書中に述べる同じ特定のアッセイ法、たとえばELISAアッセイにより、その心臓トロポニン類を特異的に認識するポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体を用いて検出できれば、それらは同じ本質的な生物学的および免疫学的特性を共有する。さらに、本発明に従って述べるバリアントは、少なくとも1つのアミノ酸置換欠失および/または付加のため異なるアミノ酸配列をもつはずであり、そのバリアントのアミノ酸配列はなお、好ましくはその特定のトロポニンのアミノ酸配列と少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約92%、少なくとも約95%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%同一であることを理解すべきである。好ましくは、同一性の程度は最適状態アラインさせた2つの配列を比較ウインドウにわたって比較することにより決定すべきであり、その際、その比較ウインドウ内のアミノ酸配列のフラグメントは、最適アラインメントのために、基準配列(付加または欠失を含まないもの)と比較して付加または欠失(たとえば、ギャップまたはオーバーハング)を含むことができる。パーセントは、両配列中に同一アミノ酸残基が現われる位置の数を決定して一致位置の数を求め、その一致位置の数を比較ウインドウ内の位置の総数割り、その商に100を掛けて配列同一パーセントを求めることにより計算される。比較のための最適な配列アラインメントは、下記により実施できる: Smith and Waterman Add.APL. Math. 2:482 (1981)の局所相同アルゴリズム(local homology algorithm)、Needleman and Wunsch J. Mol. Biol. 48:443 (1970)の相同アラインメントアルゴリズム(homology alignment algorithm)、Pearson and Lipman Proc. Natl. Acad. Sci. (USA) 85: 2444 (1988)の類似性検索法(search for similarity method)、これらのアル
リズムのコンピューター化実装(GAP、BESTFIT、BLASTPASTA、およびTFASTA;Wisconsin Genetics Software Package中, Genetics Computer Group
(GCG), 575 Science Dr., Madison, WI)、または目視検査。比較のための2つの配列が
同定されると、好ましくはGAPおよびBESTFITを用いてそれらの最適アラインメントを決定し、こうして同一度を決定する。好ましくは、ギャップ重みにつき5.00、ギャップ重み長さにつき0.30のデフォルト値を用いる。バリアントは、対立遺伝子バリアント、または他のいずれかの種特異的ホモログ(homolog)、パラログ(paralog)もしくはオルソログ(ortholog)であってもよい。さらに、本明細書中で述べるバリアントには、特定の心臓トロポニン類または前記タイプのバリアントのフラグメントが含まれる;ただし、これらのフラグメントが前記の本質的な免疫学的および生物学的特性をもつ限りにおいてである。好ましくは、心臓トロポニンのバリアントはヒトのトロポニンTまたはトロポニンIのものに匹敵する免疫学的特性(すなわち、エピトープ組成)をもつ。したがって、それらのバリアントを、心臓トロポニン類の濃度の決定に用いる前記の手段またはリガンドによって認識できるはずである。そのようなフラグメントは、たとえばトロポニン類の分解生成物であってもよい。さらに、翻訳後修飾、たとえばリン酸化またはミリスチル化のため異なるバリアントが含まれる。好ましくは、トロポニンIおよびそれのバリアントの生物学的特性は、インビボおよびインビトロでアクトミオシンATPaseを阻害する能力または血管新生を阻害する能力であり、それらは、たとえばMoses et al. 1999 PNAS USA 96 (6): 2645-2650により記載されたアッセイ法に基づいて検出できる。好ましくは、トロポニンTおよびそれのバリアントの生物学的特性は下記のものである:トロポニンCおよびIと複合体を形成する能力、カルシウムイオンを結合する能力またはトロポミオシンに結合する能力(好ましくは、トロポニンC、IおよびTの複合体、またはトロポニンC、トロポニンI、およびバリアント型トロポニンTにより形成された複合体として存在する場合)。種々の状態の対象において低濃度循環型心臓トロポニンを検出できることが知られているが、それらのそれぞれの役割および割合を理解するためにはさらに研究が必要である(Masson et al., Curr Heart Fail Rep (2010) 7:15-21)。

0028

用語“ナトリウム利尿ペプチド”は、心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)タイプ
および脳ナトリウム利尿ペプチド(BNP)タイプのペプチド、ならびに同じ推定効力をもつそのバリアントを含む。本発明によるナトリウム利尿ペプチドは、ANPタイプおよびBNPタイプのペプチドならびにそのバリアントを含む(たとえば下記を参照:Bonow, 1996,Circulation 93: 1946-1950)。ANPタイプのペプチドは、pre−proANP、proANP、NT−proANP、およびANPを含む。BNPタイプのペプチドは、pre−proBNP、proBNP、NT−proBNP、BNPを含む。プレプロペプチド(pre−proBNPの場合は134個のアミノ酸)は短いシグナルペプチドを含み、それが酵素開裂により離脱してプロペプチド(proBNPの場合は108個のアミノ酸)を放出する。プロペプチドはさらに開裂してN末端プロペプチド(NT−プロペプチド,NT−proBNPの場合は76個のアミノ酸)および活性ホルモン(BNPの場合は32個のアミノ酸、ANPの場合は28個のアミノ酸)になる。好ましくは、本発明によるナトリウム利尿ペプチドはNT−proANP、ANP、より好ましくはNT−proBNP、BNP、およびそのバリアントである。ANPおよびBNPは活性ホルモンであり、それらのそれぞれの不活性な対応物であるNT−proANPおよびNT−proBNPより短い半減期をもつ。BNPは血中で代謝され、一方、NT−proBNPは無傷分子として血中を循環し、それ自体として腎臓により排出される。NT−proBNPのインビボ半減期は、BNPの半減期(20分)より120分長い(Smith 2000, J Endocrinol. 167: 239-46.)。予備分析はNT−proBNPについてはより堅牢であり、試料を中央試験室へ容易に輸送できる(Mueller 2004, Clin Chem Lab Med 42: 942-4.)。血液試料は室温で数日間保存でき、あるいは回収損失なしに郵送または輸送できる。これに対し、BNPを室温または4℃で48時間保存すると少なくとも20%の濃度損失が生じる(Mueller前掲; Wu 2004, Clin Chem 50: 867-73.)。したがって、目的とするタイムコースまたは特性に応じて、活性型または不活性型いずれかのナトリウム利尿ペプチドの測定が有利となる可能性がある。本発明による最も好ましいナトリウム利尿ペプチドは、NT−proBNPまたはそのバリアントである。前記に簡単に述べたように、本発明に従って述べるヒトNT−proBNPは、ヒトNT−proBNP分子のN末端に対応する長さ76個のアミノ酸を含むポリペプチドである。ヒトBNPおよびNT−proBNPの構造は既に先行技術において詳細に記載されている;たとえばWO 02/089657、WO 02/083913、または前掲のBonow。好ましくは、本発明に用いるヒトNT−proBNPはEP 0 648 228 B1に開示されるヒトNT−proBNPである。これらの先行技術文献を、それらに開示される特定のNT−proBNPおよびそのバリアントの配列に関して本明細書に援用する。本発明に従って述べるNT−proBNPはさらに、前記に述べた特定の配列のヒトNT−proBNPの対立遺伝子および他のバリアントを包含する。具体的にはヒトNT−proBNPの全長にわたってアミノ酸レベルで、好ましくはヒトNT−proBNPと少なくとも50%、60%、70%、80%、85%、90%、92%、95%、97%、98%、または99%同一であるバリアントポリペプチドが想定される。2つのアミノ酸配列間の同一度は、当技術分野で周知のアルゴリズムにより決定できる。好ましくは、同一度は最適状態でアラインさせた2つの配列を比較ウインドウにわたって比較することにより決定すべきであり、その際、その比較ウインドウ内のアミノ酸配列のフラグメントは、最適アラインメントのために、基準配列(付加または欠失を含まないもの)と比較して付加または欠失(たとえば、ギャップまたはオーバーハング)を含むことができる。パーセントは、両配列中に同一アミノ酸残基が現われる位置の数を決定して一致位置の数を求め、その一致位置の数を比較ウインドウ内の位置の総数で割り、その商に100を掛けて配列同一パーセントを求めることにより計算される。比較のための最適な配列アラインメントは、下記により実施できる:Smith and Waterman Add.APL. Math. 2:482 (1981)の局所相同アルゴリズム、Needleman and Wunsch J. Mol. Biol. 48:443 (1970)の相同アラインメントアルゴリズム、Pearson and Lipman Proc. Natl. Acad. Sci. (USA) 85: 2444 (1988)の類似性検索法、これらのアルゴリズムのコンピューター化実装(GAP、BESTFIT、BLAST、PASTA、およびTFASTA;Wisconsin Genetics Software Package中, Genetics Computer Group (GCG), 575 Science Dr
., Madison, WI)、または目視検査。比較のための2つの配列が同定されると、好ましく
はGAPおよびBESTFITを用いてそれらの最適アラインメントを決定し、こうして同一度を決定する。好ましくは、ギャップ重みにつき5.00、ギャップ重み長さにつき0.30のデフォルト値を用いる。前記に述べたバリアントは、対立遺伝子バリアント、または他のいずれかの種特異的なホモログ、パラログもしくはオルソログであってもよい。診断手段によって、またはそれぞれの全長ペプチドを指向するリガンドによってなお認識されるタンパク質分解生成物は実質的に類似し、これらも想定される。さらに、ヒトNT−proBNPのアミノ酸配列と比較してアミノ酸の欠失、置換、および/または付加をもつバリアントポリペプチドも、それらのポリペプチドがNT−proBNP特性をもつ限り包含される。本明細書中で述べるNT−proBNP特性は、免疫学的および/または生物学的特性である。好ましくは、NT−proBNPバリアントはヒトNT−proBNPのものに匹敵する免疫学的特性(すなわち、エピトープ組成)をもつ。したがって、それらのバリアントは、ナトリウム利尿ペプチドの量の決定に用いる前記の手段またはリガンドに認識されるはずである。生物学的および/または免疫学的NT−proBNP特性は、Karl et al. (Karl 1999, Scand J Clin Lab Invest 230:177-181), Yeo et al. (Yeo 2003, Clinica Chimica Acta 338:107-115)に記載されるアッセイ法により検出できる。バリアントには、翻訳後修飾されたペプチド、たとえばグリコシル化ペプチドも含まれる。さらに、本発明によるバリアントは、試料を採集した後に、たとえば標識、特に放射性標識または蛍光標識をペプチドに共有結合または非共有結合させることにより修飾されたペプチドまたはポリペプチドでもある。

0029

本明細書中で述べるペプチドまたはポリペプチドの量の決定は、量または濃度を、好ましくは半定量的または定量的に測定することに関する。測定は直接または間接的に行なうことができる。直接測定は、ペプチドまたはポリペプチド自体から得られる信号であってその強度が試料中に存在するペプチドの分子数直接相関する信号に基づいて、ペプチドまたはポリペプチドの量または濃度を測定することに関する。そのような信号−本明細書中で時には強度信号と呼ぶ−は、たとえばペプチドまたはポリペプチドの特定の物理的または化学的特性強度値を測定することによって得ることができる。間接測定には、二次成分(すなわち、そのペプチドまたはポリペプチド自体ではない成分)または生物学的読出し系、たとえば測定可能細胞応答、リガンド、標識、または酵素反応生成物から得られる信号を測定することが含まれる。

0030

本発明によれば、ペプチドまたはポリペプチドの量の決定は、試料中のペプチドの量を決定するためのあらゆる既知手段により達成できる。それらの手段には、イムノアッセイ、および標識分子を多様なサンドイッチ競合その他のアッセイ様式で利用できる方法が含まれる。そのようなアッセイ法は、好ましくは、決定すべきペプチドまたはポリペプチドを特異的に認識する検出剤、たとえば抗体に基づく。検出剤は、ペプチドまたはポリペプチドの存在または非存在の指標となる信号を発することができる直接的または間接的なものであるべきである。さらに、信号強度を、好ましくは試料中に存在するポリペプチドの量に直接または間接的(たとえば、反比例)に相関させることができる。さらに他の適切な方法は、ペプチドまたはポリペプチドに特異的な物理的または化学的特性、たとえばそれの厳密な分子質量またはNMRスペクトルを測定することを含む。それらの方法は、好ましくはバイオセンサー、イムノアッセイに連携した光学デバイスバイオチップ分析機器、たとえば質量分析計NMR分析器、またはクロマトグラフィー機器を含む。さらに、方法にはマイクロプレートELISAに基づく方法、全自動またはロボット式イムノアッセイ(たとえば、ElecsysTM分器を利用できる)、CBA(酵素コバルト結合アッセイ(enzymatic Cobalt Binding Assay)、たとえばRoche−HitachiTM分析器を利用できる)、およびラテックス凝集アッセイ(たとえば、Roche−HitachiTM分析器を利用できる)が含まれる。

0031

好ましくは、ペプチドまたはポリペプチドの量の決定は、下記の段階を含む:(a)その強度がペプチドまたはポリペプチドの量の指標となる細胞応答を誘発できる細胞を、適切な期間、ペプチドまたはポリペプチドと接触させ、(b)細胞応答を測定する。細胞応答を測定するために、試料または処理済み試料を、好ましくは細胞培養物に添加し、細胞内また細胞外応答を測定する。細胞応答には、測定可能なレポーター遺伝子発現、または物質、たとえばペプチド、ポリペプチドもしくは小分子の分泌を含めることができる。この発現または物質は、ペプチドまたはポリペプチドの量に相関する強度信号を発すべきである。

0032

同様に好ましくは、ペプチドまたはポリペプチドの量の決定は、試料中のペプチドまたはポリペプチドから得られる特異的な強度信号を測定する段階を含む。前記のように、そのような信号は、質量スペクトルにみられるペプチドもしくはポリペプチドに特異的なm/z変数で観察される信号強度、またはペプチドもしくはポリペプチドに特異的なNMRスペクトルであってもよい。

0033

ペプチドまたはポリペプチドの量の決定は、好ましくは下記の段階を含むことができる:(a)ペプチドを特異的リガンドと接触させ、(b)(場合により)結合していないリガンドを除去し、(c)結合したリガンドの量を測定する。

0034

好ましい態様によれば、接触、分離および測定の段階は、本明細書に開示するシステムの分析ユニットにより実施できる。ある態様によれば、それらの段階は前記システムの単一の分析ユニットにより、または互いに操作可能な状態で連絡する2以上の分析ユニットにより実施できる。たとえば、特定の態様によれば、本明細書に開示するシステムは、接触および分離の段階を実施するための第1分析ユニット、ならびに第1分析ユニットに輸送ユニット(たとえば、ロボットアーム)によって操作可能な状態で接続して測定段階を実施する第2分析ユニットを含むことができる。

0035

結合したリガンド、特にリガンドまたはリガンド/ペプチド複合体は、強度信号を発するであろう。本発明による結合には、共有結合および非共有結合の両方が含まれる。本発明によるリガンドは、本明細書に記載するペプチドまたはポリペプチドに結合するいずれかの化合物、たとえばペプチド、ポリペプチド、核酸、または小分子であってもよい。好ましいリガンドには、抗体、核酸、ペプチドまたはポリペプチド、たとえば前記のペプチドまたはポリペプチドおよびそのフラグメントに対する受容体または結合パートナー(該ペプチドに対する結合ドメインを含むもの)、ならびにアプタマー、たとえば核酸アプタマーまたはペプチドアプタマーが含まれる。そのようなリガンドを作成する方法は、当技術分野で周知である。たとえば、適切な抗体またはアプタマーの同定または作成は供給業者によっても提供される。当業者は、より高い親和性または特異性を備えたそのようなリガンドの誘導体を開発する方法に精通している。たとえば、核酸、ペプチドまたはポリペプチドにランダム変異を導入することができる。これらの誘導体を、次いで当技術分野で既知のスクリーニング法、たとえばファージディスプレー法に従って、結合について試験することができる。本明細書中で述べる抗体には、ポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体の両方、ならびに抗原またはハプテンを結合できるそのフラグメント、たとえばFv、FabおよびF(ab)2フラグメントが含まれる。本発明には、一本鎖抗体、および目的とする抗原特異性を示す非ヒトドナー抗体のアミノ酸配列をヒト−アクセプター抗体の配列と組み合わせたヒト化ハイブリッド抗体も含まれる。ドナー配列は通常は少なくともドナー抗原結合性アミノ酸残基を含むが、ドナー抗体の他の構造関連および/または機能関連アミノ酸残基も含むことができる。そのようなハイブリッドは、当技術分野で周知である幾つかの方法で作成できる。好ましくは、リガンドまたは作用剤は前記のペプチドまたはポリペプチドに特異的に結合する。本発明による特異的結合は、リガンドまたは作用剤が、分析すべき試料中に存在する他のペプチド、ポリペプチドまたは物質に
実質的に結合(それらと“交差反応”)すべきではないことを意味する。好ましくは、特異的に結合されるペプチドまたはポリペプチドは、他のいずれかの関連ペプチドまたはポリペプチドより少なくとも3倍高い、より好ましくは少なくとも10倍高い、よりさらに好ましくは少なくとも50倍高い親和性で結合されるべきである。非特異的結合は、たとえばウェスタンブロット上でのそれのサイズに従って、または試料中での相対的に高いそれの存在量によって、それをなお明白に識別および測定できるならば許容できる。リガンドの結合は、当技術分野で周知であるいずれかの方法により測定できる。好ましくは、その方法は半定量的または定量的である。ポリペプチドまたはペプチドの決定に適したさらに他の手法を以下に記載する。

0036

第1に、リガンドの結合は、直接的に、たとえばNMRまたは表面プラズモン共鳴により測定できる。リガンド結合の測定は、好ましい態様によれば、本明細書に開示するシステムの分析ユニットにより実施される。その後、測定した結合の量を、本明細書に開示するシステムのコンピューティングデバイスにより計算することができる。第2に、リガンドが、目的とするペプチドまたはポリペプチドの酵素活性基質としても作用するならば、その酵素反応生成物を測定してもよい(たとえば、プロテアーゼの量は開裂した基質の量をたとえばフェスタブロットで測定することで測定できる)。あるいは、リガンドが酵素特性そのものを示す場合があり、その“リガンド/ペプチドまたはポリペプチド”複合体、すなわちそれぞれペプチドまたはポリペプチドが結合したリガンドを、強度信号の発生により検出できる適切な基質と接触させることができる。酵素反応生成物の測定のためには、好ましくは基質の量は飽和状態である。反応前に基質を検出可能な標識で標識化することもできる。好ましくは、適切な期間、試料を基質と接触させる。適切な期間は、検出可能な、好ましくは測定可能な量の生成物が生成するのに必要な期間を表わす。生成物の量を測定する代わりに、特定の(たとえば、検出可能な)量の生成物が出現するのに必要な時間を測定することができる。第3に、リガンドを検出および測定できる標識にリガンドを共有結合または非共有結合させてもよい。標識化は、直接法または間接法により実施できる。直接標識化は、標識をリガンドに直接(共有または非共有)結合させることを伴う。間接標識化は、二次リガンドを一次リガンドに(共有または非共有)結合させることを伴う。二次リガンドは一次リガンドに特異的に結合すべきである。この二次リガンドは適切な標識とカップリングさせることができ、および/または二次リガンドに結合する三次リガンドのターゲットレセプター)であってもよい。二次、三次またはよりさらに高次のリガンドの使用は、信号を増強するためにしばしば採用される。適切な二次およびより高次のリガンドには、抗体、二次抗体、および周知のストレプトアビジンビオチン系(Vector Laboratories,Inc.)を含めることができる。リガンドまたは基質に、当技術分野で既知である1以上のタグで“タグ付け”することもできる。その際、そのようなタグはより高次のリガンドにとってのターゲットであってもよい。適切なタグには、ビオチン、ジゴキシゲニン、His−タグ、グルタチオン−S−トランスフェラーゼFLAG、GFP、myc−タグ、インフルエンザウイルスヘマグルチニンHA)、マルトース結合タンパク質などが含まれる。ペプチドまたはポリペプチドの場合、タグは好ましくはN末端および/またはC末端にある。適切な標識は、適切な検出法により検出できるいずれかの標識である。代表的な標識には、金粒子ラテックスビーズアクリダン(acridan)エステルルミノールルテニウム、酵素活性標識、放射性標識、磁性標識常磁性および超常磁性標識を含む、“たとえば、磁性ビーズ”)、および蛍光標識が含まれる。酵素活性標識には、たとえば西洋わさびペルオキシダーゼアルカリホスファターゼベータガラクトシダーゼルシフェラーゼ、およびその誘導体が含まれる。検出に適した基質には、ジ−アミノベンジジン(DAB)、3,3’−5,5’−テトラメチルベンジジン、NBT−BCIP(4−ニトロブルーテトラゾリウムクロリドおよび5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルホスフェート;既製原液としてRoche Diagnosticsから入手できる)、CDP−Star(商標)(Amersham Biosciences)、ECF(商標)(Amersham Biosciences)が含まれる。適切な酵素−基質の組合せは有色反応生成物、蛍光または化学発光を生じることができ、それらを当技術分野で既知の方法に従って測定できる(たとえば、感光性フィルムまたは適切なカメラシステムを用いて)。酵素反応の測定については、前記に挙げた基準を同様に適用する。代表的な蛍光標識には、蛍光タンパク質(たとえば、GFPおよびそれの誘導体)、Cy3、Cy5、テキサスレッドフルオレセイン、およびAlexa色素(たとえば、Alexa 568)が含まれる。さらに他の蛍光標識を、たとえばMolecular Probes(オレゴン州)から入手できる。蛍光標識としての量子ドットの使用も考慮される。代表的な放射性標識には、35S、125I、32P、33Pなどが含まれる。放射性標識は、いずれか既知の適切な方法、たとえば感光性フィルムまたはホスホイメージャー(phosphor imager)により検出できる。本発明による適切な測定法には、下記のものも含まれる:沈降法(特に免疫沈降法)、電気化学発光電気的に発生する化学発光)、RIAラジオイムノアッセイ)、ELISA(酵素結合イムノソルベントアッセイ)、サンドイッチ酵素免疫試験、電気化学発光サンドイッチイムノアッセイ(electrochemiluminescence sandwich immunoassay)(ECLIA)、解離増強型ランタニド蛍光イムノアッセイ(dissociation-enhanced lanthanide fluoro immuno assay)(DELFIA)、シンチレーション近接アッセイ(SPA)、濁度測定ネフェロメトリー比濁分析)、ラテックス増強型濁度測定もしくはネフェロメトリー、または固相免疫試験。当技術分野で周知であるさらに他の方法(たとえば、ゲル電気泳動、2Dゲル電気泳動、SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)、ウェスタンブロット法、および質量分析)を、単独で、または前記の標識法もしくは他の検出法と組み合わせて使用できる。

0037

ペプチドまたはポリペプチドの量は、好ましくは下記により決定できる:(a)前記に明記したペプチドまたはポリペプチドに対するリガンドを含む固体支持体を、そのペプチドまたはポリペプチドを含む試料と接触させ、そして(b)支持体に結合しているペプチドまたはポリペプチドの量を測定する。好ましくは核酸、ペプチド、ポリペプチド、抗体およびアプタマーからなる群から選択されるリガンドは、好ましくは固体支持体に固定化された形態で存在する。固体支持体を作成するための材料は当技術分野で周知であり、特に市販のカラム材料ポリスチレンビーズ、ラテックスビーズ、磁性ビーズ、コロイド金属粒子ガラスおよび/またはシリコンチップおよび表面、ニトロセルロースストリップ、膜、シートデュラサイト(duracyte)、反応トレーウェルおよび壁、プラスチックチューブなどが含まれる。リガンドまたは作用剤を多種多様キャリヤーに結合させることができる。周知のキャリヤーの例には、ガラス、ポリスチレンポリ塩化ビニルポリプロピレンポリエチレンポリカーボネートデキストランナイロンアミロース天然および改質セルロースポリアクリルアミドアガロース、および磁鉄鉱が含まれる。本発明の目的に関して、キャリヤーの性質は可溶性または不溶性のいずれであってもよい。リガンドを固定/固定化するのに適した方法は周知であり、イオン性疎水性共有結合性相互作用などが含まれるが、これらに限定されない。本発明によるアレイとして“懸濁アレイ”を用いることも考慮される(Nolan 2002, TrendsBiotechnol. 20(1):9-12)。そのような懸濁アレイ中に、キャリヤー、たとえばマクイロビーズまたはマイクロスフェアが懸濁状態で存在する。アレイは、種々のリガンドを保有する、おそらく標識された種々のマクイロビーズまたはマイクロスフェアからなる。そのようなアレイを調製する方法、たとえば固相化学および光不安定保護基に基づくものが一般に知られている(US 5,744,305)。

0038

本明細書中で用いる用語“量”は、ポリペプチドまたはペプチドの絶対量、そのポリペプチドまたはペプチドの相対量または濃度、およびそれらに相関するかまたはそれらから誘導できるいずれかの数値またはパラメーターを包含する。そのような数値またはパラメーターは、そのペプチドから直接測定により得られるあらゆる特異的な物理的または化学的特性からの強度信号値、たとえば質量スペクトルまたはNMRスペクトルにおける強度値を含む。さらに、本明細書の他の箇所に明記する間接測定により得られるすべての数値またはパラメーター、たとえばペプチドに応答した生物学的読出し系から決定される応答量、または特異的に結合したリガンドから得られる強度信号が包含される。前記の量またはパラメーターに相関する数値はあらゆる標準数学操作により得られることも理解すべきである。本発明の好ましい態様によれば、“量”の決定は好ましくは開示するシステムにより行なわれ、それによればそのシステムの1以上の分析ユニットにより実施される接触および測定の段階に基づいてコンピューティングデバイスが“量”を決定する。

0039

本明細書中で用いる用語“比較する”は、分析すべき試料が含むペプチドまたはポリペプチドの量を、本明細書の他の箇所に明記する適切な基準源と比較することを包含する。本明細書中で用いる比較するとは、対応するパラメーターまたは数値の比較を表わすことを理解すべきである;たとえば、絶対量を絶対基準量と比較し、一方で濃度を基準濃度と比較し、あるいは被験試料から得られる強度信号を基準試料の同じタイプの強度信号と比較する。本発明方法の段階(b)に述べる比較は、手動で、またはコンピューター支援により実施できる。したがって、本発明方法の段階(b)に述べる比較は、コンピューティングデバイス(たとえば、本明細書に開示するシステムの)により実施できる。たとえば量の数値と基準を互いに比較し、その比較は、比較のためのアルゴリズムを実行するコンピュータープログラムによって自動的に実施できる。その評価を行なうコンピュータープログラムは、目的とする評価を適切な出力フォーマットで提供するであろう。コンピューター支援による比較について、決定した量の数値を、コンピュータープログラムによりデータベースに記憶された適切な基準に対応する数値と比較することができる。コンピュータープログラムはさらに比較の結果を評価することができ、すなわち目的とする評価を適切な出力フォーマットで自動的に提供する。

0040

コンピューター支援による比較について、決定した量の数値を、コンピュータープログラムによりデータベースに記憶された適切な基準に対応する数値と比較することができる。コンピュータープログラムはさらに比較の結果を評価することができ、すなわち目的とする評価を適切な出力フォーマットで自動的に提供する。その結果は、好ましくは、心塞栓性の虚血発作と非−心塞栓性の虚血発作を鑑別する際の補助として採用できる。

0041

たとえば、比較の結果を生データ(絶対量または相対量)として、またある場合には言語、字句記号または数値の形の指標として得ることができ、それらを特定の診断の指標にすることができる。

0042

本明細書中で用いる用語“基準量”は、対象を心塞栓性の虚血発作に罹患している対象グループまたは非−心塞栓性の虚血発作に罹患している対象グループのいずれかに割り当てることができる量を表わす。そのような基準量は、これらのグループを互いに分離する閾値量であってもよい。したがって、バイオマーカーであるトロポニンについての基準量は、対象を心塞栓性の虚血発作に罹患している対象グループまたは非−心塞栓性の虚血発作に罹患している対象グループに割り当てることができる量のはずである。2グループを分離するのに適した閾値量は、本明細書の他の箇所に述べる統計学的試験により、心塞栓性の虚血発作に罹患している対象もしくは対象グループまたは非−心塞栓性の虚血発作に罹患している対象もしくは対象グループのいずれかに由来する心臓トロポニンの量に基づいて、さらなる労苦なしに計算できる。上記の対象または対象グループから導くことができる好ましい基準量を本明細書の他の箇所に示す。

0043

基準量は、原則として、前記に明記した対象のコホートにつき、特定のバイオマーカーについての平均(averageまたはmean)値に基づいて、標準的な統計学的方法を適用するこ
とにより計算できる。特に、ある事象またはそうでないことを診断するための方法などの試験の精度は、それの受信者動作特性(receiver-operating characteristic)(ROC)
によって最も良く記述される(特に、Zweig 1993, Clin. Chem. 39:561-577を参照)。ROCグラフは、決定閾値観察データ全範囲にわたって連続的に変化させることにより得られた感度特異度の対をすべてプロットしたものである。ある診断法の臨床性能は、それの精度、すなわち対象を特定の予後または診断に適正に割り当てるその能力に依存する。ROCプロットは、識別を行なうのに適した閾値の全範囲について、感度を1−特異度に対してプロットすることにより、2つの分布間のオーバーラップを指示する。y軸には感度、または真の陽性画分があり、これは真の陽性試験結果の数と偽陰性試験結果の数との積に対する真の陽性試験結果の数の比として定義される。これは、疾患または状態の存在下での陽性度とも言われている。それは専ら罹患サブグループから計算される。x軸には偽陽性画分、または1−特異度があり、これは真の陰性結果の数と偽陽性結果の数との積に対する偽陽性試験結果の数の比と定義される。それは特異度の指数であり、完全に非罹患サブグループから計算される。真の陽性画分および偽陽性画分は2つの異なるサブグループからの試験結果を用いて完全に分離して計算されるので、ROCプロットはコホートにおけるその事象の罹患率とは無関係である。ROCプロット上の各点は、特定の決定閾値に対応する感度/特異度の対を表わす。完全識別を伴なう試験(結果の2つの分布にオーバーラップがない)は、上左隅を通るROCプロットをもち、その際、真の陽性画分は1.0、すなわち100%(完全感度)であり、偽陽性画分は0(完全特異性)である。識別されない試験についての理論的プロット(2グループについての結果が同一分布)は、下左隅から上右隅への45°の対角線である。大部分のプロットはこれら両極端の間にある。ROCプロットが完全に45°の対角線の下側にあれば、これは“陽性度”についての基準を“より大”から“未満”に逆転することによって、またはその逆によって、容易に対処される。定性的に、プロットが上左隅に近づくほど、その試験の全般的精度は高くなる。目的とする信頼区間に応じて、閾値をROC曲線から導くことができ、これにより特定の事象についてそれぞれ感度と特異度の適正なバランスで診断または推定することができる。したがって、前記の本発明方法に使用すべき基準は、好ましくは閾値またはカットオフ量であってもよく、好ましくはそのコホートについて前記のようにROCを確立し、それから閾値量を導くことにより作成できる。診断法について希望する感度および特異度に応じて、ROCプロットによって適切な閾値を導くことができる。

0044

本明細書中で述べる診断/鑑別は、本明細書に開示するシステムのコンピューティングデバイスにより、計算“量”と基準量または閾値との比較に基づいて提供できる。たとえば、システムのコンピューティングデバイスは、1回の心塞栓性発作または非心塞栓性発作の指標となる言語、記号または数値の形の指標を提供できる。

0045

好ましくは、基準量(単数または複数)は心塞栓性の虚血発作に罹患していることが分かっている対象または対象グループに由来する。この場合、被験試料において基準量と比較して本質的に同一量またはそれより増加した量の心臓トロポニンは、好ましくは心塞栓性の虚血発作の指標となる。ナトリウム利尿ペプチドも決定する場合、被験試料において心臓トロポニンについての基準量およびナトリウム利尿ペプチドについての基準量と比較して本質的に同一量またはそれより増加した量の心臓トロポニンおよびナトリウム利尿ペプチドは、好ましくは心塞栓性の虚血発作の指標となる。

0046

同様に好ましくは、心臓トロポニン(および、場合によりナトリウム利尿ペプチド)についての基準量(単数または複数)は非−心塞栓性の虚血発作に罹患していることが分かっている対象または対象グループに由来するものであってもよい。この場合、被験試料において基準量と比較して本質的に同一量またはそれより低い量の心臓トロポニン(および、場合によりナトリウム利尿ペプチド)は、非−心塞栓性の虚血発作の指標となる。ナトリウム利尿ペプチドも決定する場合、被験試料において心臓トロポニンについての基準量およびナトリウム利尿ペプチドについての基準量と比較して本質的に同一量またはそれより低い量の心臓トロポニンおよびナトリウム利尿ペプチドは、非−心塞栓性の虚血発作の指標となる。

0047

個々の対象に適用できる基準量は、種々の生理的パラメーター、たとえば年齢性別または亜集団、および本明細書中で述べるポリペプチドまたはペプチドの決定に用いる手段に応じて変動する可能性がある。適切な基準量は、被験試料と一緒に、すなわち同時に、または連続的に分析される基準試料から決定できる。

0048

さらに、基準量は、心臓トロポニンについての(および、場合によりナトリウム利尿ペプチドについての)閾値量、特に計算基準量を規定することができ、それによれば被験対象の試料においてそれぞれの閾値より多いトロポニン(および、場合によりナトリウム利尿ペプチド)の量は、心塞栓性の虚血発作の指標となるはずであり、一方、被験対象の試料においてそれぞれの閾値より少ないトロポニン(および、場合によりナトリウム利尿ペプチド)の量は、非−心塞栓性の虚血発作の指標となるはずである。

0049

好ましい基準量を以下に示す:
心塞栓性の虚血発作の指標となる好ましい基準量は、約8pg/ml〜約40pg/ml、より好ましくは10〜30pg/ml、約11.6〜約20pg/ml、よりさらに好ましくは約15〜20pg/mlの心臓トロポニン、特にトロポニンTの量である。よりさらに好ましくは、基準は約8、10、または11.6pg/mlの量である。本質的に同一または増加した検査量は心塞栓性の虚血発作の指標となるはずであり、一方、被験試料において基準量と比較して減少した量は非−心塞栓性の虚血発作の指標となるはずである。好ましくは、上記の基準量は、心塞栓性の虚血発作に罹患していることが分かっている対象または対象グループに由来する。

0050

本発明は、特に心塞栓性の発作を除外するために有用である。特に、5pg/mlより低い、特に3pg/mlより低い、または2pg/mgより低い心臓トロポニン、特にトロポニンTの検査量は、心塞栓性の発作に罹患していない(したがって、好ましくは非−心塞栓性の発作に罹患している)ことの指標となる。

0051

心塞栓性の虚血発作の指標となる好ましい基準量は、約500pg/ml〜約1500pg/ml、より好ましくは700〜1300pg/ml、よりさらに好ましくは約800〜1000pg/mlのナトリウム利尿ペプチド、特にNT−proBNPの量である。よりさらに好ましくは、基準は約700、800、または最も好ましくは900pg/mlの量である。本質的に同一または増加した検査量は心塞栓性の虚血発作の指標となるはずであり、一方、被験試料において基準量と比較して減少した量は非−心塞栓性の虚血発作の指標となるはずである。好ましくは、上記の基準量は、心塞栓性の虚血発作に罹患していることが分かっている対象または対象グループに由来する(心臓トロポニンの量に加えて)。

0052

前記のように、本発明は、特に心塞栓性の発作を除外するために有用である。特に、250pg/mlより低い、特に200pg/mlより低い、または150pg/mgより低いナトリウム利尿ペプチド、特にNT−proBNPの検査量は、心塞栓性の発作に罹患していない(したがって、好ましくは非−心塞栓性の発作に罹患している)ことの指標となる。

0053

本発明に関して用語“約”は、その数値から±20%、±10%、±5%、±2%または±1%を意味する。これは、測定技術、統計などにより生じる通常の偏差も考慮に入れる。

0054

本発明方法の好ましい態様において、特にその対象が心塞栓性の発作に罹患していると
診断された場合、その方法はさらにその対象に対する療法を推奨することを含む。心塞栓性の発作に罹患している対象に推奨できる療法は、溶解療法(lytic therapy)および/ま
たは抗凝固療法である(たとえば下記を参照:Cairns J.A. et al Canadian J of Cardiology 2011: 27: 74 - 90、またはCamm A.J. et al Eur Heart Journal 2010: 31: 2369 - 429;それらの両方を本明細書に援用する)。

0055

本発明の観点において、対象が心塞栓性の虚血発作または非−心塞栓性の虚血発作のいずれに罹患しているかを鑑別するための方法を考慮し、その方法は下記を含む:
a)虚血発作に罹患している対象からの試料中の心臓トロポニンの量を、下記により決定する:(i)試料と、心臓トロポニンに特異的に結合する検出剤を、その検出剤と試料からの心臓トロポニンとの複合体を形成させるのに十分な期間接触させる、(ii)この形成された複合体の量を測定し、その際、形成された複合体の量は試料中に存在する心臓トロポニンの量に比例する、そして(iii)形成された複合体の量を、試料中に存在するマーカーの量を反映する心臓トロポニンの量に換算する;
b)その量を基準量と比較し;そして
c)段階b)で行なった比較の結果に基づいて、対象が心塞栓性の虚血発作または非−心塞栓性の虚血発作のいずれに罹患しているかを鑑別するための補助を確立する。

0056

好ましくは、ナトリウム利尿ペプチドの量も決定する。
本発明の他の観点において、対象が心塞栓性の虚血発作または非−心塞栓性の虚血発作のいずれに罹患しているかを鑑別するための、下記のものを含むシステムを考慮する:
a)虚血発作に罹患している対象からの試料と、マーカーである心臓トロポニンに特異的に結合する検出剤を、その検出剤と試料からのマーカーとの複合体を形成させるのに十分な期間接触させるように構成された分析ユニット、
b)形成された複合体の量を測定するように構成された分析ユニット;その際、形成された複合体の量は試料中に存在するマーカーの量に比例する、
c)プロセッサーを備え、かつ操作可能な状態で上記の分析ユニット類と連絡する、コンピューティングデバイス、および
d)非一時性の機械可読媒体であって、プロセッサーにより実行可能な複数の指示、すなわち実行した際に、形成された複合体の量を、試料中に存在するマーカーの量を反映するマーカー量に換算し、この量を基準と比較し、その基準との比較の結果に基づいて、対象が心塞栓性の虚血発作または非−心塞栓性の虚血発作のいずれに罹患しているかを鑑別するための補助を確立する指示を含むもの。

0057

好ましくは、このシステムはナトリウム利尿ペプチドに特異的に結合する検出剤をも含む。
適切な検出剤は、ある観点において、本発明方法により調査すべき対象の試料中の心臓トロポニンに特異的に結合する抗体であってもよい。適用できる他の検出剤は、ある観点において、試料中のマーカーに特異的に結合するアプタマーであってもよい。さらにある観点において、形成された複合体の量を測定する前に、検出剤とマーカーの間に形成された複合体から試料を除去する。したがって、ある観点において、検出剤を固体支持体に固定化することができる。さらにある観点において、固体支持体上に形成された複合体から洗浄溶液の適用により試料を分離することができる。形成された複合体は試料中に存在するマーカーの量に比例するはずである。適用される検出剤の特異度および/または感度が、試料中に含まれる特異的に結合できる少なくとも1種類のマーカーの比例度を決定することは、理解されるであろう。どのようにして決定を実施できるかについてのこれ以上の詳細は、本明細書の他の箇所にもある。形成された複合体の量を、実際に試料中に実際に存在する量を反映するマーカー量に換算すべきである。そのような量は、ある観点において、本質的に試料中に存在する量である可能性があり、あるいは、他の観点において、形成された複合体と元の試料中に存在する量との関係のため、それのある割合の量である可能性がある。

0058

前記方法のさらにある観点において、段階a)は分析ユニットにより、ある観点においては本明細書の他の箇所に定める分析ユニットにより実施できる。
本発明方法のある観点において、段階a)で決定した量を基準と比較する。ある観点において、この基準は本明細書の他の箇所に定める基準である。さらに他の観点において、基準は複合体の測定量と元の試料中に存在する量との比例関係を考慮に入れる。したがって、本発明方法のある観点において適用される基準は、用いた検出剤の限界を反映するように適合させた人為的基準である。他の観点において、決定量の数値と基準を実際に比較する前に、たとえば決定量について正規化および/または補正計算段階を採用することにより比較を行なう際にも、その関係を考慮に入れることができる。この場合も、決定量についての正規化および/または補正の計算段階は、用いた検出剤の限界が適正に反映されるように比較段階を適合させる。ある観点において、比較は自動的に、たとえばコンピューターシステムなどにより支援して実施される。

0059

対象が心塞栓性の虚血発作または非−心塞栓性の虚血発作のいずれに罹患しているかを鑑別するための補助は、段階b)で実施する比較に基づいて、本明細書の他の箇所に述べるように、対象を(i)心塞栓性の虚血発作に罹患している対象のグループまたは(ii)非−心塞栓性の虚血発作に罹患している対象のグループのいずれかに割り当てることにより確立される。既に本明細書の他の箇所で考察したように、調査対象の割り当ては調査症例の100%において正確でなければならないわけではない。さらに、調査対象が割り当てられる対象グループは、それらが統計学的考慮、すなわち本発明方法をそれに基づいて操作すべき特定の前選択した尤度に基づいて確立されるという点で、人為的グループである。本発明のある観点において、本明細書に記載および開示するように、鑑別のための補助は自動的に、たとえばコンピューティングデバイスなどにより支援して確立される。

0060

本発明方法のある観点において、その方法はさらに、本明細書の他の箇所に詳細に述べるように、段階c)で確立された結果に従って対象を推奨および/または管理する段階を含む。

0061

前記方法のある観点において、本明細書の他の箇所に述べるように、段階b)および/またはc)は1以上の分析ユニットにより実施できる。
心房細動を診断するための方法
心房細動(AF)は患者が認識しないことがしばしばある。これは約40%の患者においてそうであり、このことは心房細動の診断について無自覚症状を考慮に入れてきた歴史を指摘する(Kamel H. et al, Curr Atheroscler Rep 2011: 13: 338 - 343)。これらの数値は持続性心房細動に関するものであるが、発作性(paroxysmal)心房細動はよりさらに診断するのが困難であり、入院患者の心電図遠隔測定またはさらにジョルターモニタリング(Jolter Monitoring)によって初めて捕らえることができる。後者は、ECGを記録し、
後に経験豊富医師再調査できるという利点をもつ。ホルター(Holter)ECGを用いたところ、これまで認識されていなかった発作性心房細動が持続性心房細動より高頻度であった(Rizos T. et all. Cerebrovasc. Dis 2011: 32: 276 - 282)。信頼性をもって発作性/虚血性心房細動を捕らえるためには、72時間のホルターモニタリングが必要であると思われる(Gumbinger C et al, Europ. J of Neurology 2011,出版前)。したがって、特に少なくとも一般集団の1%が持続性心房細動をもち、その頻度は年齢と共に増大するので、発作性心房細動の認識は重要な挑戦である(Rizos T. et al)。

0062

本発明者らは、心臓トロポニンの決定により心房細動を診断できることを見出した。興味深いことに、間欠性AFを伴なう患者でも心臓トロポニンレベルが上昇していた。したがって、間欠性AFを呈している患者も心臓トロポニンの量を決定することにより同定で
きる。

0063

前記に述べた定義および説明を、必要な訂正を加えて以下の本発明の態様に適用する。
さらに、本発明は、心房細動に罹患している疑いのある対象において心房細動を診断する方法であって、a)その対象からの試料中の心臓トロポニンの量を決定することを含む方法に関する。

0064

好ましい態様において、この方法はさらに、
b)こうして決定した心臓トロポニンの量を基準量と比較する段階を含む。これにより、間欠性心房細動が診断される。

0065

したがって本発明は、心房細動に罹患している疑いのある対象において心房細動を診断するための、下記を含む方法に関する:
a)その対象からの試料中の心臓トロポニンの量を決定し、そして
b)こうして決定した心臓トロポニンの量を基準量と比較し、これにより、心房細動を診断する。

0066

好ましくは、対象が心房細動に罹患しているか否かを診断するさらに他の段階c)を実施することにより、対象が心房細動に罹患しているか否かを診断する。
好ましくは、間欠性心房細動を診断する。

0067

したがって本発明は特に、心房細動に罹患している疑いのある対象において間欠性心房細動を診断するための、下記を含む方法に関する:
a)その対象からの試料中の心臓トロポニンの量を決定し、そして
b)こうして決定した心臓トロポニンの量を基準量と比較し、これにより、間欠性心房細動を診断する。

0068

本発明方法の好ましい態様において、段階a)はさらに対象からの試料中のナトリウム利尿ペプチドの量を決定することを含む。好ましくは、こうして決定したナトリウム利尿ペプチドの量を段階b)でナトリウム利尿ペプチドについての基準量と比較する。

0069

したがって本発明はまた、心房細動に罹患している疑いのある対象において心房細動を診断するための、下記を含む方法に関する:
a)その対象からの試料中の心臓トロポニンおよびナトリウム利尿ペプチドの量を決定し、そして
b)段階a)で決定した心臓トロポニンの量を心臓トロポニンについての基準量と比較し、かつナトリウム利尿ペプチドの量をナトリウム利尿ペプチドについての基準量と比較し、これにより、心房細動を診断する。

0070

用語“心房細動”は、当技術分野で周知である。心房細動はたとえばFusterらが概説しており、それの開示内容全体を本明細書に援用する(Fuster V, RydenLE, Asinger RW, et al.ACC/AHA/ESCGuidelines for the Management of Patients With Atrial Fibrillation: Executive Summary A Report of the American College of Cardiology/American Heart Association Task Force on Practice Guidelines and the European Society of Cardiology Committee for Practice Guidelines and Policy Conferences (Committee to Develop Guidelines for the Management of Patients With Atrial Fibrillation) Developed in Collaboration With the North American Society of Pacing and Electrophysiology.Circulation. Oct 23 2001;104(17):2118-50)。心房細動は、2つの上心室が
関係する異常な心リズムである。正常な心リズムでは、洞房結節により発せられるインパルス心臓全体に広がって、心筋収縮および血液のポンピングを引き起こす。心房細動
では、洞房結節の規則的な電気インパルス無秩序で急速な電気インパルスに置き換えられ、その結果、不規則心拍になる。

0071

心房細動(AF)は永続性、持続性または間欠性の可能性がある(これらの用語の説明
については、Fuster et al. (前掲)も参照)。
AFが1年以上持続していれば、対象は好ましくは永続性AFに罹患している。特に、洞性リズムへの復帰は起きない(または治療した場合にのみ起きる)。

0072

AFが7日間より長く持続し、心房細動を止めるために薬理学介入または電気的介入のいずれかが必要な可能性があれば、対象は好ましくは持続性AFに罹患している。したがって、持続性AFは偶発的(in episodes)に起きるが、不整脈が自然に洞性リズムに
復帰することはない。

0073

自然に終止する心房細動のエピソードがあれば、対象は好ましくは間欠性AF(しばしば、発作性AFとも呼ばれる)に罹患している。心房細動のエピソードは数秒間から数日間持続する可能性がある。好ましくは、それらのエピソードの持続は1時間未満である。

0074

前記方法に関して、好ましくは間欠性心房細動を診断する。
永続性および持続性の心房細動は、たとえば心電図で容易に診断できる。特徴的な所見は、好ましくはP波の非存在、それらに代わる無秩序な電気的活動、および心室への不規則なインパルスの伝導によるR−R間隔不規則性である。間欠性心房細動は心房細動のエピソード中にしか診断できないので、診断がより困難である。

0075

本発明者らは、予想外に、心房細動に罹患している疑いのある対象の試料中の心臓トロポニン(および場合によりナトリウム利尿ペプチド)の決定により心房細動の診断が可能であることを見出した。特に、心臓トロポニンのレベルの上昇は対象がAFに罹患していることの指標であり、一方、心臓トロポニンのレベルの低下は対象がAFに罹患していないことの指標である。さらに、心臓トロポニンの決定により、AFのエピソードが存在しない場合(試料が得られた時点で)ですら間欠性AFの診断が可能になる。したがって、前記方法を実施することにより、好ましくは特に試料が得られた時点で心房細動のエピソードが存在しない状態において間欠性心房細動が診断される。したがって、対象は、好ましくは試料が得られた時点でAFのエピソードを発症していない。

0076

前記の本発明方法による対象は、心房細動に罹患している疑いがあるはずである。心房細動(たとえば、間欠性心房細動)に罹患している疑いがある対象は、好ましくは心房細動の1以上のリスク因子をもつ対象である。これらのリスク因子は当技術分野で周知であり、弁問題ならびに心臓発作および心臓手術病歴を含めた心疾患全身性高血圧症、特にそれがライフスタイルの変更または投薬によって良好に抑制されていない場合、ならびにアルコール摂取が含まれる。好ましくは、疑いがある対象はリスクグループに属する。特に、その対象は以下の対象であることが想定される;心臓障害、たとえば動脈性または全身性の高血圧症を含む心臓障害が証明されるかまたは疑われる対象、糖尿病素因となるリスク因子をもつ対象、喫煙者高脂血症を伴なうかまたはメタボリックシンドローム徴候を伴なう個体、特に対象が高齢である(60、65、70、好ましくは75を超える)場合。あるいは、またはさらに、対象は、好ましくは弁障害、好ましくは僧帽弁障害に罹患している可能性がある。さらに、AFに罹患している疑いがある対象は、甲状腺機能亢進症に罹患していることが想定される。

0077

本発明方法の好ましい態様において、心房細動に罹患している疑いがある対象は、虚血発作、特に心塞栓性の虚血発作(この用語の説明については、本明細書の他の箇所を参照)に罹患している。前記方法に従って検査すべき対象が虚血発作に罹患している場合、対象が心塞栓性の虚血発作または非−心塞栓性の虚血発作のいずれに罹患しているかを早期鑑別するために、本方法に関して記載したように好ましくは発作症状が発生した直後に試料を採取する。

0078

しかし、被験対象が虚血発作に罹患していないことも好ましい。
好ましくは、前記方法に関する基準量は、心房細動に罹患していることが分かっている対象に(または対象グループに)由来し、その際、基準量と比較して同一量の心臓トロポニン(および、場合によりナトリウム利尿ペプチド)または増加した量の心臓トロポニン(および、場合によりナトリウム利尿ペプチド)は、その対象が心房細動に罹患していることの指標となる。さらに、またはあるいは、基準量は心房細動に罹患していないことが分かっている対象またはそのような対象のグループに由来し、その際、基準量と比較して同一量の心臓トロポニン(および、場合によりナトリウム利尿ペプチド)または減少した量の心臓トロポニン(および、場合によりナトリウム利尿ペプチド)は、その対象が心房細動に罹患していないことの指標となる。

0079

さらに、基準量は、心臓トロポニンについての(および、場合によりナトリウム利尿ペプチドについての)閾値量を規定することができ、それにより、被験対象の試料においてそれぞれの閾値より多いトロポニン(および、場合によりナトリウム利尿ペプチド)の量は、心房細動の指標となるはずであり、一方、被験対象の試料においてそれぞれの閾値より少ないトロポニン(および、場合によりナトリウム利尿ペプチド)の量は、その対象が心房細動に罹患していないことの指標となるはずである。

0080

好ましい基準量を以下に示す:
心房細動の指標となる好ましい基準量は、約6pg/ml〜約40pg/ml、より好ましくは8〜30pg/ml、または約10〜約20pg/ml、よりさらに好ましくは約15〜20pg/mlの心臓トロポニン、特にトロポニンTの量である。よりさらに好ましくは、基準は約10pg/ml、または最も好ましくは約7pg/mlの量である。本質的に同一または増加した検査量は心房細動の指標となるはずであり、一方、被験試料において基準量と比較して減少した量はその対象が心房細動に罹患していないことの指標となるはずである。好ましくは、上記の基準量は、心房細動に罹患していることが分かっている対象または対象グループに由来する。

0081

心房細動の指標となる好ましい基準量は、約300pg/ml〜約1500pg/ml、より好ましくは400〜1300pg/ml、よりさらに好ましくは約500〜1000pg/mlのナトリウム利尿ペプチド、特にNT−proBNPの量である。よりさらに好ましくは、基準は約500、400、または最も好ましくは約300pg/mlの量である。本質的に同一または増加した検査量は心房細動の指標となるはずであり、一方、被験試料において基準量と比較して減少した量はその対象が心房細動に罹患していないことの指標となるはずである。好ましくは、上記の基準量は、心房細動に罹患していることが分かっている対象または対象グループに由来する。

0082

前記のように、間欠性心房細動の診断は挑戦であり、これに対し永続性または持続性の心房細動の診断はかなり容易である。永続性および持続性の心房細動を伴なう対象はさらなる労苦なしに同定できるので、永続性および持続性の心房細動に罹患していないけれども間欠性心房細動に罹患している対象を同定することが特に重要である。

0083

興味深いことに、本発明の研究に関して、心臓トロポニンおよびナトリウム利尿ペプチドのレベルは、間欠性心房細動を伴なう対象では永続性または持続性の心房細動を伴なう対象の場合より低いことが示された。心臓トロポニンおよび場合によりナトリウム利尿ペプチドの決定によって、間欠性細動に罹患している患者の同定が可能になるので、これは
有利である。

0084

したがって、本発明の好ましい態様では、特に間欠性心房細動に罹患している疑いがある対象において間欠性心房細動が診断されるはずである。
間欠性AFの診断を可能にするために、段階a)で決定した心臓トロポニンおよび場合によりナトリウム利尿ペプチドの量を、段階b)において2つの基準量と比較すべきである。第1基準量は間欠性AFに罹患していることが分かっている対象に(またはそのような対象のグループに)由来し、第2基準量は永続性または特に持続性のAFに罹患していることが分かっている対象に(またはそのような対象のグループに)由来することを想定する。もちろん、これらの基準量は上記対象の試料に由来すべきである。

0085

好ましくは、被験対象の試料において、間欠性AFに罹患していることが分かっている対象に(またはそのような対象のグループに)由来する基準量(心臓トロポニンおよび場合によりナトリウム利尿ペプチドについて)と本質的に同一であるかまたはそれより多く、ただし永続性または持続性のAFに罹患していることが分かっている対象に(またはそのような対象のグループに)由来する基準量より少ない量の心臓トロポニンおよび場合によりナトリウム利尿ペプチドの量は、間欠性AFの診断の指標となる。

0086

間欠性AFに罹患していることが分かっている対象に(またはそのような対象のグループに)由来する心臓トロポニン、特にトロポニンTについての好ましい基準量は、約5〜10pg/mlの範囲内である。好ましくは、この基準量は約9pg/mlである。

0087

永続性または持続性のAFに罹患していることが分かっている対象に(またはそのような対象のグループに)由来する心臓トロポニン、特にトロポニンTについての好ましい基準量は、約12〜25pg/mlの範囲内である。好ましくは、この基準量は約18pg/mlである。

0088

間欠性AFに罹患していることが分かっている対象に(またはそのような対象のグループに)由来するナトリウム利尿ペプチド、特にNT−proBNPについての好ましい基準量は、約300〜500pg/mlの範囲内である。好ましくは、この基準量は約350pg/mlである。

0089

永続性または持続性のAFに罹患していることが分かっている対象に(またはそのような対象のグループに)由来するナトリウム利尿ペプチド、特にNT−proBNPについての好ましい基準量は、約900〜1500pg/mlの範囲内である。好ましくは、この基準量は約900pg/mlである。

0090

AFを診断する方法の他の好ましい態様においては、間欠性AFを診断する。この好ましい態様による対象は、永続性および/または持続性の心房細動に罹患していないことが分かっているはずである(これらはさらなる労苦なしに判定できる;前記を参照)。

0091

したがって、間欠性心房細動に罹患している疑いがあるけれども持続性および/または永続性の心房細動に罹患していないことが分かっている対象において、間欠性心房細動を診断するための、下記を含む方法も想定される:
a)その対象からの試料中の心臓トロポニン(および、場合によりナトリウム利尿ペプチド)の量を決定し、そして
b)こうして決定した心臓トロポニン(および、場合によりナトリウム利尿ペプチド)の量を基準量(単数または複数)と比較し、それにより間欠性心房細動を診断する。

0092

間欠性AFに罹患している疑いがある対象は、好ましくはAFに罹患している疑いがあ
る対象と同じリスク因子をもつ(本明細書の他の箇所を参照)。特に、対象が虚血発作、特に心塞栓性の虚血発作に罹患していることを想定する。

0093

本発明に関して適用する基準量は、間欠性AFに罹患していることが分かっている対象、またはAFに罹患していないことが分かっている対象に由来すべきである。
好ましくは、前記態様に関する基準量は、間欠性心房細動に罹患していることが分かっている対象に(または対象グループに)由来し、その際、基準量と比較して同一量の心臓トロポニン(および、場合によりナトリウム利尿ペプチド)または増加した量の心臓トロポニン(および、場合によりナトリウム利尿ペプチド)は、その対象が間欠性心房細動に罹患していることの指標となる。さらに、またはあるいは、基準量は心房細動に罹患していないことが分かっている対象に由来し、その際、基準量と比較して同一量の心臓トロポニン(および、場合によりナトリウム利尿ペプチド)または減少した量の心臓トロポニン(および、場合によりナトリウム利尿ペプチド)は、その対象が間欠性心房細動に罹患していないことの指標となる。

0094

間欠性心房細動の指標となる好ましい基準量は、約5pg/ml〜約30pg/ml、より好ましくは5〜25pg/ml、または約6〜約10pg/ml、よりさらに好ましくは約6〜8pg/mlの心臓トロポニン、特にトロポニンTの量である。よりさらに好ましくは、基準は約8pg/ml、または最も好ましくは約7pg/mlの量である。本質的に同一または増加した検査量は間欠性心房細動の指標となるはずであり、一方、被験試料において基準量と比較して減少した量はその対象が間欠性心房細動に罹患していないことの指標となるはずである。好ましくは、上記の基準量は、間欠性心房細動に罹患していることが分かっている対象または対象グループに由来する。

0095

間欠性心房細動の指標となる好ましい基準量は、約300pg/ml〜約800pg/ml、より好ましくは300〜700pg/ml、よりさらに好ましくは約350〜500pg/mlのナトリウム利尿ペプチド、特にNT−proBNPの量である。よりさらに好ましくは、基準は約500、400、または最も好ましくは約300pg/mlの量である。本質的に同一または増加した検査量は間欠性心房細動の指標となるはずであり、一方、被験試料において基準量と比較して減少した量はその対象が間欠性心房細動に罹患していないことの指標となるはずである。好ましくは、上記の基準量は、間欠性心房細動に罹患していることが分かっている対象または対象グループに由来する。

0096

本発明の前記方法の好ましい態様において、特にその対象が心房細動、特に間欠性心房細動に罹患していると診断された場合、その方法はさらにその対象に対する療法を推奨することを含む。心房細動に罹患している対象に推奨できる好ましい療法は、たとえばFusterらにより記載されている(Fuster et al. J Am Coll Cardiol 2001: 38: 1231、およびFuster V. et al.Circulation 2006: 114 to 257)。好ましい療法には、ベータ遮断剤、非ジヒドロピリジン系のカルシウムチャネル遮断剤、ジゴキシンビタミンKアンタゴニスト、アスピリン、アセチルサリチル酸投与が含まれる。さらに、心房細動を止めるために薬理学的または電気的な介入を推奨できる。薬理学的介入には、好ましくはフレカイニド(flecainide)、ドフェチリド(dofetilide)、プロパフェノン(propafenone)および/またはイブチリド(ibutilide)の投与が含まれる。さらにXa因子阻害剤、たとえばリバロキソバン(rivaroxoban)および/またはダビガトラン(dabigatran)の投与が想定される(参照:Patel M.R. et al, NEJM 2011: 365: 883 - 91; Connolly S.J. et al NEJM 2010: 261: 1139 - 51)。

0097

前記方法の好ましい態様は下記のものである:
好ましくは、間欠性心房細動を診断する。
好ましい態様において、対象は虚血発作に罹患していない。

0098

他の好ましい態様において、心房細動に罹患している疑いがある対象は、虚血発作、特に心塞栓性の虚血発作に罹患しており、その際、試料は、虚血発作の症状の発生直後に得られたものである。好ましくは、その対象からの試料は、その対象から虚血発作の症状の発生後12時間以内、特に虚血発作の症状の発生後6時間以内または3時間以内に得られたものである。

0099

好ましい態様において、対象は特に持続性および/または永続性の心房細動に罹患していないことが分かっており、その際、基準量は間欠性心房細動に罹患していることが分かっている対象またはそのような対象のグループに由来し、その際、基準量と比較して同一量の心臓トロポニンまたは増加した量の心臓トロポニンは、その対象が間欠性心房細動に罹患していることの指標となり、ならびに/あるいは基準量は心房細動に罹患していないことが分かっている対象またはそのような対象のグループに由来し、その際、基準量と比較して同一量の心臓トロポニンまたは減少した量の心臓トロポニンは、その対象が間欠性心房細動に罹患していないことの指標となる。

0100

他の好ましい態様において、対象からの試料中の心臓トロポニンの量を2つの基準量と比較し、その際、第1基準量は間欠性AFに罹患していることが分かっている対象またはそのような対象のグループに由来し、第2基準量は永続性または持続性のAFに罹患していることが分かっている対象またはそのような対象のグループに由来する。好ましくは、第1基準量と本質的に同一であるかまたはそれより多く、ただし永続性または持続性のAFに罹患していることが分かっている対象に由来する第2基準量より少ない量の対象の試料中の心臓トロポニンは、間欠性AFの診断のための指標となる。

0101

好ましい態様において、本方法はさらに、ナトリウム利尿ペプチド、特に脳ナトリウム利尿ペプチド、特にBNPおよびNT−proBNPの量の決定を含む。
好ましくは、間欠性心房細動は、特に試料が得られた時点で心房細動のエピソードが存在しない状態において診断される。

0102

本発明の他の観点において、AF、特に間欠性AFを診断するための下記のものを含むシステムを考慮する:
a)AFに罹患している疑いがある対象からの試料と、特にマーカーである心臓トロポニンに特異的に結合する検出剤を、その検出剤と試料からのマーカーとの複合体を形成させるのに十分な期間接触させるように構成された分析ユニット、
b)形成された複合体の量を測定するように構成された分析ユニット;その際、形成された複合体の量は試料中に存在するマーカーの量に比例する、
c)プロセッサーを備え、かつ操作可能な状態で上記の分析ユニット類と連絡する、コンピューティングデバイス、および
d)非一時性の機械可読媒体であって、プロセッサーにより実行可能な複数の指示、すなわち実行した際に、形成された複合体の量を、試料中に存在するマーカーの量を反映するマーカー量に換算し、この量を基準と比較し、その基準との比較の結果に基づいて、AF、特に間欠性AFを診断するための補助を確立する指示を含むもの。

0103

好ましくは、このシステムはナトリウム利尿ペプチドに特異的に結合する検出剤をも含む。
前記方法のさらに他の観点において、段階a)は分析ユニット、ある観点においては本明細書の他の箇所に定める分析ユニットにより実施できる。

0104

本発明方法のある観点において、段階a)で決定した量を基準と比較する。ある観点において、この基準は本明細書の他の箇所に定める基準である。さらに他の観点において、
基準は複合体の測定量と元の試料中に存在する量との比例関係を考慮に入れる。したがって、本発明方法のある観点において適用される基準は、用いた検出剤の限界を反映するように適合させた人為的基準である。他の観点において、決定量の数値と基準を実際に比較する前に、たとえば決定量について正規化および/または補正の計算段階を含めることにより比較を実施する際にも、その関係を考慮に入れることができる。この場合も、決定量についての正規化および/または補正の計算段階は、用いた検出剤の限界が適正に反映されるように、比較段階を適合させる。ある観点において、比較は自動的に、たとえばコンピューターシステムなどにより支援して実施される。

0105

AF、特に間欠性AFの診断のための補助は、段階b)で実施する比較に基づいて、対象を、本明細書の他の箇所に述べるように(i)AFに罹患している対象のグループまたは(ii)AFに罹患していない対象のグループのいずれかに割り当てることにより確立される。既に本明細書の他の箇所で考察したように、調査対象の割り当ては調査症例の100%において正確でなければならないわけではない。さらに、調査対象が割り当てられる対象グループは、それらが統計学的考慮、すなわち本発明をそれに基づいて操作すべき特定の前選択した尤度に基づいて確立されるという点で、人為的グループである。本発明のある観点において、本明細書に記載および開示するように、リスク評価を最適化するための補助は自動的に、たとえばコンピューティングデバイスなどにより支援して確立される。

0106

本発明方法のある観点において、その方法はさらに、本明細書の他の箇所に詳細に述べるように、段階c)で確立された結果に従って対象を推奨および/または管理する段階を含む。

0107

前記方法のある観点において、段階b)および/またはc)は、本明細書の他の箇所に述べるように、1以上の分析ユニットにより実施される。
さらに、本発明は、対象が心塞栓性の虚血発作または非−心塞栓性の虚血発作のいずれに罹患しているかを早期鑑別するための、虚血発作に罹患している対象からの試料中における、心臓トロポニンおよび/またはそれに特異的に結合する検出剤(および場合によりナトリウム利尿ペプチドおよび/またはそれに特異的に結合する検出剤)の使用に関するものであり、その際、試料は虚血発作の症状の発生直後に得られたものである。好ましくは、試料は発作の症状の発生後6時間以内に得られたものである。

0108

本発明によれば、対象において心房細動を診断するための、心房細動に罹患している疑いがある対象からの試料中における、心臓トロポニンおよび/またはそれに特異的に結合する検出剤(および場合によりナトリウム利尿ペプチドおよび/またはそれに特異的に結合する検出剤)の使用も想定される。好ましくは間欠性心房細動を診断する。

0109

本明細書中で用いる用語“検出剤”は、本明細書中に述べるバイオマーカー(心臓トロポニンまたはナトリウム利尿ペプチド)が試料中に存在する場合、それを特異的に認識して結合することができる作用剤を表わす。さらに、検出剤は、その検出剤とバイオマーカーにより形成された複合体の直接または間接的な検出が可能でなければならない。直接検出は、その検出剤に検出可能な標識を含有させることにより達成できる。間接標識化は、バイオマーカーおよび検出剤を含む複合体に特異的に結合するさらに他の作用剤により達成でき、その際、このさらに他の作用剤は検出可能な信号を発することができるものである。検出剤として使用できる適切な化合物は当技術分野で周知である。好ましくは、検出剤はバイオマーカーに特異的に結合する抗体またはアプタマーである。本明細書中で述べる抗体には、ポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体の両方、ならびに抗原またはハプテンを結合できるそのフラグメント、たとえばFv、FabおよびF(ab)2フラグメントが含まれる。一本鎖抗体、および目的とする抗原特異性を示す非ヒト−ドナー抗
体のアミノ酸配列をヒト−アクセプター抗体の配列と組み合わせたヒト化ハイブリッド抗体も想定される。

0110

本発明はさらに、虚血発作に罹患している対象において対象が心塞栓性の虚血発作または非−心塞栓性の虚血発作のいずれに罹患しているかを早期鑑別するためのデバイスであって、下記のものを含むデバイスに関する:
a)心臓トロポニンの量を決定できる心臓トロポニン検出剤(および場合により、ナトリウム利尿ペプチドの量を検出できるナトリウム利尿ペプチド検出剤)を含む分析ユニット(analyzing unitまたはanalyzer unit);および
b)対象が心塞栓性の虚血発作または非−心塞栓性の虚血発作のいずれに罹患しているかを鑑別するために、分析ユニットにより決定された量(単数または複数)をデータベースに記憶された基準量(単数または複数)と比較するためのアルゴリズムを実装したデータプロセッサーを含む評価ユニット(または分析ユニット);その際、基準量は対象が心塞栓性の虚血発作または非−心塞栓性の虚血発作のいずれに罹患しているかを鑑別するための方法に関して本明細書の他の箇所に記載する基準対象からの試料に由来し、アルゴリズムはその方法に関して定めるアルゴリズムである。

0111

本発明はさらに、心房細動に罹患している疑いのあるヒト対象において心房細動、特に間欠性心房細動を診断するためのデバイスであって、下記のものを含むデバイスに関する:
a)心臓トロポニンの量を決定できる心臓トロポニン検出剤(および場合により、ナトリウム利尿ペプチドの量を検出できるナトリウム利尿ペプチド検出剤)を含む分析ユニット(analyzing unitまたはanalyzer unit);および
b)心房細動、特に間欠性心房細動を診断するために、分析ユニットにより決定された量をデータベースに記憶された基準量(または複数の基準量)と比較するためのアルゴリズムを実装したデータプロセッサーを含む評価ユニット(または分析ユニット);その際、基準量は心房細動(特に間欠性心房細動)を診断するための方法に関して本明細書の他の箇所に記載する基準対象からの試料に由来し、アルゴリズムは心房細動(特に間欠性心房細動)を診断するための方法に関して定めるアルゴリズムである。

0112

本明細書中で用いる用語“デバイス”は、本発明の方法による診断が可能になるように互いに操作可能な状態で連結した前記ユニットを含むシステムに関する。分析ユニットに使用できる好ましい検出剤は本明細書の他の箇所に開示されている。分析ユニットは、好ましくは、その量を決定すべきバイオマーカーを含む試料に接触させる固体支持体に固定化された形態でその検出剤を含む。さらに、分析ユニットはバイオマーカー(単数または複数)に特異的に結合した検出剤の量を決定する検出器をも含むことができる。決定された量を評価ユニットへ伝達することができる。その評価ユニットは、決定された量と適切な基準との比較を行なうためのアルゴリズムが実装されたデータ処理素子、たとえばコンピューターを含む。適切な基準は、本明細書の他の箇所に記載する基準量の作成のために使用する対象の試料から導くことができる。診断結果をパラメトリック診断生データの出力として、好ましくは絶対量または相対量として得ることができる。これらのデータは臨床医による解釈を必要とする場合があることを理解すべきである。しかし、出力が処理済みの診断生データを含み、その解釈に特別な臨床医を必要としない専門のシステムデバイスも想定される。好ましくは、本発明のデバイスを用いて前記の本発明方法を自動的に実施できる。

0113

この開示の好ましい態様は、本明細書に述べる実施を先導するためのシステムを含む。システムの例には、化学反応もしくは生物反応の結果を検出するための、または化学反応もしくは生物反応の進行をモニターするための、臨床化学分析器凝固化学分析器、免疫化学分析器、尿分析器、核酸分析器が含まれる。より具体的には、ここに開示する代表的
システムは、RocheのElecsys(商標)システムおよびCobas(登録商標)eイムノアッセイ分析器、AbbottのArchitect(商標)およびAxsym(商標)分析器、SiemensのCentaur(商標)およびImmulite(商標)分析器、ならびにBeckman CoulterのUniCel(商標)およびAcess(商標)分析器などを含むことができる。

0114

システムの態様は、開示内容を実施するために利用できる1以上の分析ユニットを含むことができる。本明細書に開示するシステムの分析ユニットは、既知のように有線接続、Bluetooth(登録商標)、LANS、または無線信号のいずれかにより、本明細書に開示するコンピューティングデバイスと操作可能な状態で連絡している。さらに、この開示によれば、分析ユニットは独立型装置、または大型機器内のモジュールを含むことができ、これは診断目的での検出、たとえば試料の定性および/または定量評価のうち一方または両方を実施する。たとえば、分析ユニットは、試料および/または試薬のピペッティング、投与、混合を実施または支援することができる。分析ユニットは、アッセイを実施するための試薬を保持する試薬保持ユニットを含むことができる。試薬は、たとえば個々の試薬または一群の試薬を収容した容器またはカセットの形態で、貯蔵コンパートメントまたはコンベヤー内の適切なレセプタクル受容器)または位置に置かれた状態で配置することができる。検出試薬は固体支持体に固定化された形態であってもよく、これを試料と接触させる。さらに、分析ユニットは、特定の分析に最適化できる処理および/または検出用の構成要素を含むことができる。

0115

ある態様によれば、試料について被験体、たとえばマーカーの光学検出が得られるように、分析ユニットを構成することができる。光学検出用に構成された代表的な分析ユニットは、電磁エネルギー電気信号に変換するように構成されたデバイスを含み、それには単一および多重素子の両方またはアレイの光学検出器が含まれる。この開示によれば、光学検出器は、光電磁信号をモニターし、光路に配置された試料中の被験体の存在および/または濃度の指標となる電気出力信号または応答信号ベースライン信号に対比して提供することができる。そのようなデバイスには、たとえば下記のものも含まれる:アバランシェフォトダイオード(avalanche photodiode)を含むフォトダイオードフォトトランジスター光伝導検出器リニアセンサーアレイCCD検出器CMOSアレイ検出器を含むCMOS検出器、光電子増倍管、および光電子増倍管アレイ。特定の態様によれば、光学検出器、たとえばフォトダイオードまたは光電子増倍管は、信号の調整または処理用の追加エレクトロニクスを含むことができる。たとえば、光学検出器は少なくとも1つの前置増幅器電子フィルター、または集積回路を含むことができる。適切な前置増幅器には、たとえば積分型トランスインピーダンス型、および電流利得(current gain)(カレントミラー(current mirror))型の前置増幅器が含まれる。

0116

さらに、この開示による1以上の分析ユニットは、光を発するための光源を含むことができる。たとえば、分析ユニットの光源は、被験試料について被験体の濃度を測定するための、またはエネルギー移動(たとえば、蛍光共鳴エネルギー移動により、または酵素の触媒作用により)を可能にするための、少なくとも1つの発光素子(たとえば、発光ダイオード電源付き放射線源、たとえば白熱電球エレクトロルミネセントランプ気体放電ランプ高輝度放電ランプレーザー)からなることができる。

0117

さらに、このシステムの分析ユニットは、1以上の保温ユニット(たとえば、試料または試薬を特定した温度または温度範囲に保持するためのもの)を含むことができる。ある態様において、分析ユニットは、試料に反復温サイクルを施してその試料について増幅生成物の量の変化をモニターするためのサーモサイクラーリアルタイムサーモサイクラーを含む)を含むことができる。

0118

さらに、本明細書に開示するシステムの分析ユニットは、反応器またはキュベットへの供給ユニットを含むことができ、あるいはそれに操作可能な状態で接続していてもよい。代表的な供給ユニットには、試料および/または試薬を反応器へ送達するための液体処理ユニット、たとえばピペッティングユニットが含まれる。ピペッティングユニットは、再利用可能な可洗ニードル、たとえばスチールニードル、または使い捨てピペットチップを含むことができる。分析ユニットは、さらに1以上の混合ユニット、たとえば液体を入れたキュベットを振とうするためのシェーカー、またはキュベットもしくは試薬容器内の液体を混合するための混合パドルを含むことができる。

0119

以上のことから、この開示のある態様によれば、本明細書に開示および記載する方法のある段階の一部をコンピューティングデバイスにより実施できることになる。コンピューティングデバイスは、たとえば汎用コンピューターまたは携帯用コンピューティングデバイスであってもよい。本明細書に開示する方法の1以上の段階を実施するために、多数のコンピューティングデバイスを一緒に、たとえばネットワークを介して、またはデータを伝達する他の方法で使用できることも理解すべきである。代表的なコンピューティングデバイスには、デスクトップコンピューターラップトップコンピューター携帯情報端末(personal data assistant)(“PDA”)、たとえばBLACKBERRY(登録商標)銘柄のデバイス、携帯型デバイスタブレットコンピューター、サーバーなどが含まれる。一般に、コンピューティングデバイスは複数の指示(たとえば、ソフトウェアプログラム)を実行できるプロセッサーを含む。

0120

コンピューティングデバイスはメモリーアクセスできる。メモリーはコンピューター可読媒体であり、単一記憶デバイスまたは多重記憶デバイスを含むことができ、それらはコンピューティングデバイスと共に局所に配置され、あるいはたとえばネットワークを介してコンピューティングデバイスにアクセス可能であってもよい。コンピューター可読媒体は、コンピューティングデバイスがアクセスできる入手可能ないかなる媒体であってもよく、非蓄積性および蓄積性の両方の媒体が含まれる。さらに、コンピューター可読媒体は取外し可能媒体または固定媒体のうちの一方または両方であってもよい。たとえば、限定ではなく、コンピューター可読媒体はコンピューター記憶媒体を含むことができる。代表的なコンピューター記憶媒体には下記のものが含まれるが、それらに限定されない:RAM、ROM、EEPROMフラッシュメモリーまたは他のいずれかの記憶テクノロジーCD−ROMディジタル多目的ディスク(Digital Versatile Disk)(DVD)もしくは他の光学ディスク記憶媒体磁気カセット、磁気テープ磁気ディスク記憶もしくは他の磁気記憶デバイス、またはコンピューティングデバイスがアクセスしてコンピューティングデバイスのプロセッサーにより実行できる複数の指示を記憶させるために使用できる他のいずれかの媒体。

0121

この開示の態様によれば、ソフトウェアは、コンピューティングデバイスのプロセッサーにより実行された際に本明細書に開示する方法の1以上の段階を実施できる指示を含むことができる。ある指示は、他の機械の操作を制御する信号を発するように適合させることができ、したがってそれらの制御信号によりコンピューター自体から遠く離れた資料を変換する操作を行なうことができる。これらの記述および表現は、データ処理技術分野の専門家が、たとえば彼らの作業の内容を最も効率的に他の当業者へ伝達するために用いる手段である。

0122

複数の指示は、目的とする結果を導く自己矛盾しない一連のステップであると一般に考えられるアルゴリズムをも含むことができる。これらのステップは、物理学的量の物理学的操作を必要とするものである。通常は必要ではないが、これらの量は、記憶、伝達、変換、結合、比較その他の操作を施すことができる電気的もしくは磁気的なパルスまたは信号の形をとる。それは時には、主に、これらの信号をそのような信号が具現化または明示
する物理的事項または徴候に対する基準としての数値、文字、画像データ、番号などとして表わすための共用化という理由で、好都合になる。しかし、これらおよび類似の用語はすべて適宜な物理学的量と関連づけられるものであり、ここではこれらの量に適用される好都合なラベルとして用いられるにすぎないことを留意すべきである。本発明のある態様によれば、本明細書に開示する1以上のマーカーの決定量と適切な基準との比較を実施するためのアルゴリズムは、指示を実行することによって具現化および実施される。その結果を、パラメトリック診断生データの出力として、または絶対量もしくは相対量として得ることができる。本明細書に開示するシステムの多様な態様によれば、“診断”は本明細書に開示するシステムのコンピューティングデバイスにより、計算“量”と基準量または閾値との比較に基づいて提供できる。たとえば、あるシステムのコンピューティングデバイスは、特定の診断の指標となる言語、記号または数値の形の指標を提供できる。

0123

コンピューティングデバイスは、出力デバイスにもアクセスできる。代表的な出力デバイスには、たとえばファックス機、ディスプレー、プリンター、およびファイルが含まれる。本発明のある態様によれば、コンピューティングデバイスは本明細書に開示する方法の1以上の段階を実施し、その後、本方法の結果、指標、比率または他の要素に関係する出力を出力デバイスにより提供することができる。

0124

本発明はさらに、虚血発作に罹患している対象において対象が心塞栓性の虚血発作または非−心塞栓性の虚血発作のいずれに罹患しているかを早期鑑別するためのキットを包含し、そのキットは、心臓トロポニンの検出剤、ならびに心塞栓性の虚血発作に罹患していることが分かっている対象および/または非−心塞栓性の虚血発作に罹患していることが分かっている対象からの試料に由来する基準量(単数または複数)を反映する標準品(単数または複数)を含む。

0125

本発明は、最後に、心房細動に罹患している疑いがある対象において心房細動を診断するためのキットを包含し、そのキットは、心臓トロポニン(および場合によりナトリウム利尿ペプチド)の検出剤、ならびに心房細動に罹患していることが分かっている対象および/または心房細動に罹患していないことが分かっている対象からの試料に由来する基準量(単数または複数)を反映する標準品(単数または複数)を含むキットを包含する。

0126

本明細書中で用いる用語“キット”は、好ましくは個別に、または単一容器内で提供される、前記構成要素の集合体を表わす。容器は本発明の方法を実施するための指示も含むことができる。これらの指示は、マニュアルの形であってもよく、あるいはコンピューターまたはデータ処理デバイスに実装した際に本発明の方法において述べた比較を実施してそれに従って診断を確立することができるコンピュータープログラムコードにより提供されてもよい。コンピュータープログラムコードは、データ記憶媒体またはデバイス、たとえば光学記憶媒体(たとえば、コンパクトディスク)において、または直接にコンピューターまたはデータ処理デバイスにおいて提供することができる。さらに、キットは好ましくは本明細書の他の箇所に詳細に記載および言及する基準量を反映する標準品を含むことができる。検出剤は、好ましくはキャリヤー、好ましくは試験片に固定化される。

0127

本発明の態様
以下に本発明方法の好ましい態様を挙げる。前記に述べた定義を、好ましくは必要な訂正を加えて適用する。

0128

1.対象が心塞栓性の虚血発作または非−心塞栓性の虚血発作のいずれに罹患しているかを早期鑑別するための方法であって、虚血発作に罹患している対象からの試料中の心臓トロポニンの量を決定することを含み、その際、試料は虚血発作の症状の発生直後に得られたものである方法。

0129

2.さらに、前記心臓トロポニンの量を基準量と比較し、それによりその対象が心塞栓性の虚血発作または非−心塞栓性の虚血発作のいずれに罹患しているかを鑑別する段階を含む、態様1の方法。

0130

3.発作の症状の発生直後に得られた試料は、虚血発作の症状の発生後24時間以内、特に12時間以内に対象から得られたものである、態様1および2の方法。
4.発作の症状の発生直後に得られた試料は、虚血発作の症状の発生後6時間以内、特に3時間以内に対象から得られたものである、態様1および2の方法。

0131

5.基準量は心塞栓性の発作に罹患していることが分かっている対象に由来し、その際、基準量と比較して同一量の心臓トロポニンまたは増加した量の心臓トロポニンは、その対象が心塞栓性の発作に罹患していることの指標となり、
および/または
基準量は非−心塞栓性の虚血発作に罹患していることが分かっている対象に由来し、その際、基準量と比較して同一量の心臓トロポニンまたは減少した量の心臓トロポニンは、その対象が非−心塞栓性の虚血発作に罹患していることの指標となる、
態様1〜4のいずれか1つの方法。

0132

6.さらに、ナトリウム利尿ペプチド、特に脳ナトリウム利尿ペプチド、特にBNPまたはNT−proBNPを決定することを含む、態様1〜5のいずれか1つの方法。
7.心房細動に罹患している疑いのある対象において心房細動を診断するための方法であって、その対象からの試料中の心臓トロポニンの量を決定することを含む方法。

0133

8.さらに、心臓トロポニンの量を基準量と比較する段階を含む、態様7の方法。
9.心房細動に罹患している疑いのある対象は、虚血発作、特に心塞栓性の発作に罹患しており、その際、試料は虚血発作の症状の発生直後に得られたものである、態様7および8の方法。

0134

10.対象からの試料は、虚血発作の症状の発生後12時間以内、特に虚血発作の症状の発生後6時間以内または3時間以内にその対象から得られたものである、態様9の方法。

0135

11.間欠性心房細動を診断する、態様7〜10のいずれか1つの方法。
12.さらに、ナトリウム利尿ペプチド、特に脳ナトリウム利尿ペプチド、特にBNPまたはNT−proBNPの量を決定することを含む、態様7〜11のいずれか1つの方法。

0136

13.対象が心塞栓性の虚血発作または非−心塞栓性の虚血発作のいずれに罹患しているかを早期鑑別するための、対象の試料中における、心臓トロポニン、および/またはそれに特異的に結合する検出剤の使用であって、ここで、試料は虚血発作の症状の発生直後に得られたものである使用。

0137

14.対象において心房細動を診断するための、心房細動に罹患している疑いのある対象の試料中における、心臓トロポニン、および/またはそれに特異的に結合する検出剤の使用。

0138

15.虚血発作に罹患している対象において対象が心塞栓性の虚血発作または非−心塞栓性の虚血発作のいずれに罹患しているかを早期鑑別するためのデバイスであって、下記のものを含むデバイス:
a)心臓トロポニンの量を決定できる心臓トロポニン検出剤(および場合により、ナトリウム利尿ペプチドの量を検出できるナトリウム利尿ペプチド検出剤)を含む分析ユニット;および
b)対象が心塞栓性の虚血発作または非−心塞栓性の虚血発作のいずれに罹患しているかを鑑別するために、分析ユニットにより決定された量(単数または複数)をデータベースに記憶された基準量(単数または複数)と比較するためのアルゴリズムを実装したデータプロセッサーを含む評価ユニット;その際、基準量は態様5に記載する対象からの試料に由来し、アルゴリズムは態様5に記載するアルゴリズムである。

0139

本明細書に援用したすべての参考文献を開示内容全体に関して本明細書に援用する。

0140

以下の実施例は本発明を説明するためのものにすぎない。それらは本発明の範囲を限定するとは決してみなすべきではない。
実施例1:トロポニンT、GDF−15およびNT−proBNPの決定
トロポニンTは、Rocheの電気化学発光ELISAサンドイッチ試験ElecsysトロポニンT hs(high sensitivity、高感度)STAT(Short Turn Around Time
、短いターンアラウンドタイム)アッセイを用いて決定された。この試験は、ヒト心臓ト
ロポニンTを特異的に指向する2種類のモノクローナル抗体を用いる。これらの抗体は、288個のアミノ酸からなる心臓トロポニンTの中央部分に位置する2つのエピトープ(アミノ酸位置125−131および136−147)を認識する(分析感度1.0未満)。

0141

NT−proBNPは、Rocheの電気化学発光ELISAサンドイッチ試験Elecsys proBNP II STAT(Short Turn Around Time)アッセイを用いて決定された。この試験は、proBNP(1−108)のN末端部分に位置するエピトープ(1−76)を認識する2種類のモノクローナル抗体を用いる。

0142

血清および血漿試料中のGDF−15の濃度を決定するために、ポリクローナル、GDF−15アフィニティークロマトグラフィー精製ヤギ抗ヒトGDF−15IgG抗体(R&D Systemsから(AF957))を用いるElecsys原型試験を採用した。それぞれの実験において、組換えヒトGDF−15(R&D Systemsから(957−GD/CF))を用いて標準曲線を作成した。組換えGDF−15タンパク質についての新たなバッチの結果を標準血漿試料中で検査し、10%を超える偏差をいずれもこのアッセイのための調整係数の導入により補正した。同じ患者からの血清および血漿試料中のGDF−15の測定は、最終希釈係数について補正した後、実質的に同一の結果を与えた。このアッセイの検出限界は200pg/mlであった。

0143

実施例2:患者コホート
虚血発作を伴なう255人の患者(平均年齢70歳)を、NTpro BNP、トロポニンTおよびGDF 15について検査した。一過性虚血発作が23人の患者に存在し、軽度の発作が61人の患者に診断され、重度の発作が108人の患者にみられた。さらに、前記のように、頚動脈および経頭蓋−超音波検査ならびに心電図検査および心エコー検査を実施し、患者をTOAST基準に従って分類した。さらに、ルーティンな心電図で確認されない心房細動を同定するために7日間のホルターECGを実施した。

0144

実施例3:結果
下記の結果が得られた(中央値、25.パーセンタイルおよび75.パーセンタイルを示す):

0145

0146

前記のように、心塞栓性の虚血発作はNT−proBNPレベルの上昇と関連し、GDF 15は発作の分類に有意に寄与しなかったが、感受性トロポニンTは寄与し、これにより心臓と脳のB型ナトリウム利尿ペプチドを区別する困難さが除かれた。

0147

これらのデータは、心房細動の存在または非存在に関する分類によってさらに支持される。結果は下記のとおりである:

0148

0149

これらのデータも、AFとNT−pro BNPおよびトロポニンTとの関連性を立証するが、GDF 15との関連度はそれよりはるかに低い。NT−pro BNPを分類に用いるための制限は、中央NT−proBNPレベルが提示時点(331pg/ml)から24時間追跡で437pg/mlに上昇したという事実によっても支持された;これは30%の範囲の上昇である。この上昇がどの程度心臓性原因によるものであったか、あるいは脳から放出されたのかは明らかでない。これと対照的に、追跡に際してトロポニンTの有意の増加はなかった。このように、トロポニンTレベルは安定なままであった。

0150

まとめると、トロポニンTは発作の原因を同定/区別する際の有力なツールであることが見出された。この方法は、B型ナトリウム利尿ペプチドと組み合わせて発作の予防にも使用できる。GDF 15がこの重要な臨床問題に対して提供する追加情報は予想外にほとんどなかった。

0151

実施例4:症例研究
68歳の男性が臨床症状およびその後のMRIに基づいてTIA(一過性虚血発作)と診断される。彼のECGは正常である。彼のトロポニンTは10.2pg/mlであり、彼のNT−pro BNPは520pg/mlである。心エコー検査は軽度の左心室機能不全を示し、心房血栓形成はなかった。TOAST基準に基づいて、他の可能性を除外した後にこの被験者を心塞栓性の発作と診断した。心房内血栓形成のため、彼にホルターECGを3日間受けさせ、これにより発作性心房細動が明らかになる。彼には禁忌がなかったので、次いで彼に抗凝固剤療法を施す。

0152

72歳の男性が、CTスキャンにより頭蓋内出血を除外した後、MRIにより確認された軽度の発作を呈する。彼のトロポニンTは4.1pg/mlであり、彼のNT−pro
BNPは245pg/mlである。頚動脈超音波検査により右頚動脈分岐の80%狭窄が明らかになる。ECGおよび心エコー検査は、軽度の拡張期機能不全を除いて正常である。彼はAFを伴なわないように思われるので、ホルターECGを行なわなかった。彼に、脳内および脳外動脈をより精密に評価した後に閉塞頚動脈の修正手術を検討するように薦める。

0153

52歳の女性がめまいおよび動悸訴え救急室を訪れる。彼のトロポニンTは3pg/mlであり、NT−pro BNPは115pg/mlであり、ECGおよび心エコー検査は正常範囲内である。症状は脳事象または心房細動を示していないので、それ以上の検査を行わなかった;これはトロポニンTおよびNT−pro BNPの結果と一致する。彼女は不安症候群の疑いのもとで退院した。

0154

58歳の男性が左腕の一時的脱力感のため救急室に運ばれる。彼のECGは正常であり、彼のトロポニンTは11.1pg/mlであり、NT−pro BNPは435pg/mlである。トロポニンTおよびNT−pro BNPの結果を理由にMRIでは発作は除外され、のちにホルターECGを実施してそれにより発作性AFが明らかになった。TTEを含むその後のエコー検査により心房内血栓が明らかになった。彼は発作性心房細動と診断され、明らかな禁忌がないので抗凝固剤療法を施される。

0155

58歳の男性患者が、虚血発作を伴う状態で症状開始の2時間後に救急室に運ばれる;症状には右の腕と足の突然の脱力感が含まれ、彼のトロポニンTは12.5pg/mlであり、NT−pro BNPは920pg/mlである。疑いのあった心塞栓性の発作が、左心房目視可能な血栓を伴う食道心エコー検査により確認される。溶解療法に付随する血管造影により診断が確認された。溶解療法が成功して症状は改善し、患者は抗凝固剤を施されている。

0156

58歳の男性がめまいを伴って医師を訪れる;彼は糖尿病を過去8年間患っており、彼はその生涯の大部分の期間、喫煙しており、動脈性高血圧症が過去10年間分かっていた。イメージングによりTIAは除外され、心エコー検査で彼は左心房拡張を伴い、血栓形成はなく、来院時に彼のECGは正常であり、洞律動が記録された。彼のトロポニンは11pg/mlであり、NT−pro BNPは480pg/mlである。数週間後、患者にホルターECGを実施し、間欠性心房細動が記録される。

0157

結論:
心塞栓性の発作を伴なう発作患者の同定は重要である;それは、それ以上の診断段階および治療、ならびにより重要なことに将来の発作の予防を指示するからである。虚血発作を呈している患者において心塞栓性発作の候補を検出する際に、ナトリウム利尿ペプチドが有用であることが示されていた。しかし、本明細書に示すように、ナトリウム利尿ペプチドは発作の経過中に変化する可能性があり、それらの診断能力が制限される;これは、実質的な変化を生じないトロポニンTについてはそうでない。

0158

同様な理由付けが発作性または間欠性の心房細動の検出に適用される。心房細動は高齢者集団ではより頻繁である。診断法(ホルターECG、および生じる心房血栓の検出法、TEE)は利用能が限られているので、患者の選択(包含/除外)が重要である。これはトロポニンT(およびNT−pro BNP)の決定および適切なカットオフの採用により達成できる。

0159

結論として、本発明者らは、虚血発作および間欠性心房細動においてさらなる診断法および治療計画を指示するために、トロポニンTを重要な診断法として同定した。

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