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技術 ガス分析システム、及び、ガス分析方法

出願人 新コスモス電機株式会社
発明者 吉崎公也西井誠
出願日 2015年8月31日 (5年2ヶ月経過) 出願番号 2015-171108
公開日 2017年3月9日 (3年8ヶ月経過) 公開番号 2017-049057
状態 特許登録済
技術分野 その他の電気的手段による材料の調査、分析 電気的手段による材料の調査、分析
主要キーワード 分析用プログラム ガス分析システム NOセンサ 閾値判定結果 対応関係表 有機溶剤ガス 検出限界値 IDセンサ
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (14)

課題

判定対象ガスガス種を特定するために要するガスセンサの数を削減し、且つ、確度高くガス種を特定する。

解決手段

ガス分析システムは、複数種のガスセンサを備える検出部と、判定対象ガスに対する各ガスセンサの出力値が入力される入力部と、判定対象とするガス種と当該ガス種に対する各ガスセンサの出力値の傾向との対応関係をガス種ごとに記憶してある記憶部と、記憶してある対応関係と入力された各出力値の傾向とに基づいて判定対象ガスのガス種を特定する判定部と、を備える。

概要

背景

判定対象ガスに含まれるガス種を特定しようとする場合、その検知対象ガス種が異なる複数種ガスセンサを用いてその判定対象ガスの測定を行い、個々のガスセンサの出力を個別に判定して、所定値以上の出力のあったガスセンサの対象ガスを判定対象ガスに含まれるガス種として特定する方法が考えられる。

この場合、特定したいガス種の数だけガスセンサを用いる必要があり、その分コストと設置スペースが必要となる。また、特定のガス種を検知対象ガスとするガスセンサであっても、他のガス種にもある程度の出力は生じるものであるため、ガス種によってはガスセンサの干渉性のため複数のガスセンサから所定値以上の出力を生じる場合もあり、確実にガス種を特定しがたい状況も存在する。

概要

判定対象ガスのガス種を特定するために要するガスセンサの数を削減し、且つ、確度高くガス種を特定する。ガス分析システムは、複数種のガスセンサを備える検出部と、判定対象ガスに対する各ガスセンサの出力値が入力される入力部と、判定対象とするガス種と当該ガス種に対する各ガスセンサの出力値の傾向との対応関係をガス種ごとに記憶してある記憶部と、記憶してある対応関係と入力された各出力値の傾向とに基づいて判定対象ガスのガス種を特定する判定部と、を備える。

目的

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

複数種ガスセンサを備える検出部と、判定対象ガスに対する各前記ガスセンサの出力値が入力される入力部と、判定対象とするガス種と当該ガス種に対する各前記ガスセンサの出力値の傾向との対応関係をガス種ごとに記憶してある記憶部と、記憶してある前記対応関係と前記入力された各前記出力値の傾向とに基づいて前記判定対象ガスのガス種を特定する判定部と、を備えるガス分析システム

請求項2

前記対応関係は、判定対象とするガス種ごとの、当該ガス種と当該ガス種についての各前記ガスセンサの出力値の所定の閾値に対する大小関係パターンとの対応関係を含み、前記判定部は、各前記出力値について前記閾値を超えているか否かの閾値判定を行い、前記対応関係と各前記出力値についての前記閾値判定の結果とに基づいて前記判定対象ガスのガス種を特定する請求項1に記載のガス分析システム。

請求項3

前記対応関係は、判定対象とするガス種について定めた前記ガスセンサの特定の組み合わせと、当該ガス種に対する前記組み合わせの中の各前記ガスセンサ間の前記出力値の比率と、を含み、前記判定部は、前記対応関係と前記組み合わせの中の前記出力値間の比率とに基づいて前記判定対象ガスのガス種を特定する請求項1又は2に記載のガス分析システム。

請求項4

前記記憶部には、判定対象とするガス種ごとに、濃度を算出するときの基準とする主のガスセンサの種類及びこの主のガスセンサの前記出力値と当該ガス種の濃度との相関関係を含む濃度算出情報を記憶してあり、前記判定部は、前記判定対象ガスのガス種を特定したときに、前記濃度算出情報に基づいて、前記主のガスセンサの前記出力値を用いて前記ガス種の濃度を算出する請求項1〜3のいずれか一項に記載のガス分析システム。

請求項5

前記濃度算出情報は、判定対象とするガス種ごとに定めたサブのガスセンサの種類及びそのサブのガスセンサの前記出力値と当該ガス種の濃度との相関関係を含み、前記判定部は、前記主のガスセンサの前記出力値が検出限界値に達していたときは、前記濃度算出情報に基づいて、前記サブのガスセンサの前記出力値を用いて前記ガス種の濃度を算出する請求項4に記載のガス分析システム。

請求項6

前記検出部は、少なくとも一つの光イオン化センサを備え、前記対応関係は、前記光イオン化センサが検知可能なガス種と前記光イオン化センサ以外の所定の前記ガスセンサの前記出力値の傾向との関係を含み、前記判定部は、前記光イオン化センサの出力があったときに、前記対応関係と所定の前記ガスセンサにおける前記出力値の傾向とに基づいて前記判定対象ガスのガス種を特定する請求項1〜5のいずれか一項に記載のガス分析システム。

請求項7

前記記憶部には、判定対象とするガス種の濃度と前記光イオン化センサの前記出力値との相関関係を記憶してあり、前記判定部は、前記判定対象ガスのガス種を特定したとき、前記相関関係に基づいて、前記光イオン化センサの出力値を用いて前記ガス種の濃度を算出する請求項6に記載のガス分析システム。

請求項8

複数種のガスセンサを用いて判定対象ガスの測定を行うステップと、判定対象とするガス種と当該ガス種に対する各前記ガスセンサの出力値の傾向との対応関係と各前記ガスセンサの前記出力値の傾向とに基づいて前記判定対象ガスのガス種を特定するステップと、を備えるガス分析方法

技術分野

0001

本発明は、複数種ガスセンサを用いて判定対象ガスガス種を特定するためのガス分析システム、及び、ガス分析方法に関する。

背景技術

0002

判定対象ガスに含まれるガス種を特定しようとする場合、その検知対象ガス種が異なる複数種のガスセンサを用いてその判定対象ガスの測定を行い、個々のガスセンサの出力を個別に判定して、所定値以上の出力のあったガスセンサの対象ガスを判定対象ガスに含まれるガス種として特定する方法が考えられる。

0003

この場合、特定したいガス種の数だけガスセンサを用いる必要があり、その分コストと設置スペースが必要となる。また、特定のガス種を検知対象ガスとするガスセンサであっても、他のガス種にもある程度の出力は生じるものであるため、ガス種によってはガスセンサの干渉性のため複数のガスセンサから所定値以上の出力を生じる場合もあり、確実にガス種を特定しがたい状況も存在する。

発明が解決しようとする課題

0004

判定対象ガスのガス種を特定するために要するガスセンサの数を削減可能で、且つ、確度高くガス種を特定できるガス分析システム及びガス分析方法が望まれる。

課題を解決するための手段

0005

本発明に係るガス分析システムは、
複数種のガスセンサを備える検出部と、
判定対象ガスに対する各前記ガスセンサの出力値が入力される入力部と、
判定対象とするガス種と当該ガス種に対する各前記ガスセンサの出力値の傾向との対応関係をガス種ごとに記憶してある記憶部と、
記憶してある前記対応関係と前記入力された各前記出力値の傾向とに基づいて前記判定対象ガスのガス種を特定する判定部と、を備える。

0006

発明者は、判定しようとする各ガス種と出力値間の大小関係パターンやどのガスセンサにどの程度の出力があるかなどの各ガスセンサからの出力値の傾向とに1対1の対応関係があることを見出した。そこで、この構成によれば、発明者が見出した対応関係を採用し、判定対象とするガス種と各ガスセンサからの出力値の傾向との対応関係をガス種ごとに求めておき、個々の出力値を個別に判定するだけでなく、個々の出力値を組み合わせてその傾向を予め求めた対応関係と参照することにより判定対象ガスに含まれるガス種を特定できる。これにより、たとえ、複数のガスセンサから所定値以上の出力があったとしても、確度高くガス種を特定できる。

0007

さらに、検出部に備えるガスセンサのいずれもその検知対象ガスとしていないガス種であっても、そのガス種と各ガスセンサからの出力値の傾向との対応関係を求めておけば、検出部に備えるガスセンサの検知対象ガス以外のガス種についてもガス種の特定が可能となる。これにより、検出部に備えるガスセンサの種類以上のガス種の特定が可能となり、判定しようとするガス種と同じ数だけガスセンサを用いるのに比べ、必要なガスセンサの数を削減することも可能となる。

0008

以下、本発明に係るガス分析システムの好適な態様について説明する。但し、以下に記載する好適な態様例によって、本発明の範囲が限定される訳ではない。

0009

1つの態様として、前記対応関係は、判定対象とするガス種ごとの、当該ガス種と当該ガス種についての各前記ガスセンサの出力値の所定の閾値に対する大小関係パターンとの対応関係を含み、前記判定部は、各前記出力値について前記閾値を超えているか否かの閾値判定を行い、前記対応関係と各前記出力値についての前記閾値判定の結果とに基づいて前記判定対象ガスのガス種を特定すると好適である。

0010

この構成によれば、各出力値について細かく数値範囲等を設定するのではなく、各出力値が閾値を超えているか否かという単純な傾向に基づいて判定を行うから、容易にガス種の特定を行うことができる。

0011

1つの態様として、前記対応関係は、判定対象とするガス種について定めた前記ガスセンサの組み合わせと、当該ガス種に対する前記組み合わせの中の各前記ガスセンサ間の前記出力値の比率と、を含み、前記判定部は、前記対応関係と前記組み合わせの中の前記出力値間の比率とに基づいて前記判定対象ガスのガス種を特定すると好適である。

0012

上記した閾値判定を用いた手段では、ガス種の判定のために、少なくとも閾値を超える程度の出力、言い換えれば、ある程度のガス濃度が必要となるところ、この構成によれば、上記した閾値判定を用いた手段の判定に必要な濃度を下回るガス濃度であっても、特定のガスセンサの組み合わせの中の前記出力値の比率さえ判別できれば、判定対象ガスのガス種を特定することができる。これにより、一層確度高くガス種を特定できる。

0013

1つの態様として、前記記憶部には、判定対象とするガス種ごとに、濃度を算出するときの基準とする主のガスセンサの種類及びこの主のガスセンサの前記出力値と当該ガス種の濃度との相関関係を含む濃度算出情報を記憶してあり、前記判定部は、前記判定対象ガスのガス種を特定したときに、前記濃度算出情報に基づいて、前記主のガスセンサの前記出力値を用いて前記ガス種の濃度を算出すると好適である。

0014

この構成によれば、予め濃度の算出の基準とする主のガスセンサを定めておき、ガス種の特定だけでなく、その濃度も精度よく算出できるから、より有効なガス分析を行うことができる。

0015

1つの態様として、前記記憶部には、判定対象とするガス種ごとに定めたサブのガスセンサの種類及びそのサブのガスセンサの前記出力値と当該ガス種の濃度との相関関係を含み、前記判定部は、前記主のガスセンサの前記出力値が検出限界値に達していたときは、前記濃度算出情報に基づいて、前記サブのガスセンサの前記出力値を用いて前記ガス種の濃度を算出すると好適である。

0016

ガスセンサは対象ガスの濃度に比例してその出力も変化するが、その出力値にはフルスケールと呼ばれる検出限界値があり、この検出限界値を超える以上の濃度を測定することはできないという問題がある。そこで、この構成によれば、主のガスセンサと同じく対象ガスの濃度に応答してその出力が変化するガスセンサ等をサブのガスセンサとしておき、主のガスセンサが検出限界値を超えたときは、サブのガスセンサの出力値に基づいてガス種の濃度を算出するから、上記問題が生じるのを効果的に抑制することができる。

0017

1つの態様として、前記検出部は、少なくとも一つの光イオン化センサを備え、前記対応関係は、前記光イオン化センサが検知可能なガス種と前記光イオン化センサ以外の所定の前記ガスセンサの前記出力値の傾向との関係を含み、前記判定部は、前記光イオン化センサの出力があったときに、前記対応関係と所定の前記ガスセンサにおける前記出力値の傾向とに基づいて前記判定対象ガスのガス種を特定すると好適である。

0018

光イオン化センサ(PIDセンサ)は、有機溶剤を中心に多くのガスに反応するセンサであるが、その出力値からおおまかなガス種の絞り込みは可能であっても、その出力値から確度高くガス種の判定をすることはできない。これに対し、発明者は、光イオン化センサが検知可能なガス種を検知対象ガスとしないガスセンサであっても、上記と同様の要領でこれらのガスセンサの各ガスセンサからの出力値の傾向から当該ガス種の特定が可能であることを見出した。そこで、この構成によれば、光イオン化センサが検知可能なガス種と前記光イオン化センサ以外の所定の前記ガスセンサの前記出力値の傾向との対応関係を求めておき、この対応関係に基づいて、光イオン化センサが検知しているガス種を特定することができる。このように、光イオン化センサのみ、及び、光イオン化センサ以外のガスセンサのみでは特定できないガス種を、光イオン化センサと光イオン化センサ以外のガスセンサとを組み合わせることによって特定することが可能となる。これにより、判定可能なガス種を増やすことができ、また、これは様々なガス種の特定に必要なガスセンサの数の削減にもなるという利点がある。

0019

1つの態様として、前記記憶部には、判定対象とするガス種の濃度と前記光イオン化センサの前記出力値との相関関係を記憶してあり、前記判定部は、前記判定対象ガスのガス種を特定したとき、前記相関関係に基づいて、前記光イオン化センサの出力値を用いて前記ガス種の濃度を算出すると好適である。

0020

この構成によれば、特定したガス種の濃度を光イオン化センサの出力から容易に算出することができる。

0021

本発明に係るガス分析方法は、
複数種のガスセンサを用いて判定対象ガスの測定を行うステップと、
判定対象とするガス種と当該ガス種に対する各前記ガスセンサの出力値の傾向との対応関係と各前記ガスセンサの前記出力値の傾向とに基づいて前記判定対象ガスのガス種を特定するステップと、を備える。

図面の簡単な説明

0022

ガス分析システムの概略構成
分析器ブロック図
PH3ガスに対する各ガスセンサからの出力の時間変化を示すグラフ
0.3ppmのCl2ガスに対するCl2センサ、H2Sセンサ及びHFセンサの出力を示すグラフ
0.5ppmのCl2ガスに対するCl2センサ、H2Sセンサ及びHFセンサの出力を示すグラフ
0.3ppmのPH3ガスに対するPH3センサ及びNOセンサの出力を示すグラフ
1.0ppmのPH3ガスに対するPH3センサ及びNOセンサの出力を示すグラフ
2.0ppmのPH3ガスに対するPH3センサ及びNOセンサの出力を示すグラフ
PH3ガスの濃度とPH3センサ及びNOセンサの出力との関係を示すグラフ
有機溶剤ガス種の濃度とE20センサの出力値との関係を示すグラフ
有機溶剤ガス種の濃度とE20Cセンサの出力値との関係を示すグラフ
トルエンに対するPIDセンサ、E20センサ及びE20Cセンサの出力値との関係を示すグラフ
アセトンに対するPIDセンサ、E20センサ及びE20Cセンサの出力値との関係を示すグラフ

実施例

0023

本発明に係るガス分析システム及び分析方法について、図面を参照して説明する。本実施形態に係るガス分析システム1は、複数種のガスセンサを備える検出部2と、判定対象ガスに対する各前記ガスセンサの出力値が入力される入力部4と、判定対象とするガス種と当該ガス種に対する各前記ガスセンサの出力値の傾向との対応関係をガス種ごとに記憶してある記憶部5と、記憶してある前記対応関係と前記入力された各前記出力値の傾向とに基づいて前記判定対象ガスのガス種を特定する判定部6と、を備える。これにより、判定対象ガスのガス種を特定するために要するガスセンサの数を削減可能で、且つ、確度高くガス種を特定できる。以下、本実施形態に係るガス分析システム1について、詳細に説明する。

0024

図1は、本実施形態に係るガス分析システム1の一例を示す。ガス分析システム1は、検出器2と分析器3とを備えている。検出器2は可搬式であり、後述する複数種のガスセンサ(図示は省略する)を備えたセンサアレイである。また、検出器2は各ガスセンサからの出力信号σを分析器3に送信可能な通信部(図示しない)を有する。

0025

分析器3は本実施形態ではPCとしてあり、図2に示すように、入力部4、記憶部5、及び判定部6とを備える。入力部4には、検出器3からの出力信号σが入力される。つまり、検出器2が判定対象とするガスに対する各ガスセンサの出力値が入力されることになる。そして、記憶部5には後述する判定を行うためのガス種と各ガスセンサの出力値との関係等を保存したデータベースや、分析部6がガス種の特定等を行うためのアルゴリズムを実現する分析用プログラムを格納してある。分析部6は、記憶部5に格納されている分析用プログラムに従って、データベースに保存された各種関係を利用して、検出器2からの出力信号に基づき判定対象ガスのガス種を特定する。

0026

つまり、ガス分析システム1では、検出器2の備える複数種のガスセンサからの出力値が分析器3の入力部4に入力され、記憶部5に保存してあるガス種と各ガスセンサの出力値との関係等に基づいて、入力された各出力値から判定部6が判定対象ガスのガス種を特定するものである。なお、図示したガス分析システム1はあくまでも例示であり、同様の手順で判定対象ガスのガス種を特定できるものであれば特に限定されない。例えば、検出器2は無線通信により出力信号を分析器3に入力可能でなくとも、何らかの記録媒体を介してや有線通信により分析器3にガスセンサの出力信号を入力するものであってもよく、また、可搬式でなくとも据置式のものであってもよい。また、分析器3もPCに限定されず、少なくとも入力部4、記憶部5、分析部6の有する機能と同等の機能を備えるものであれば特に限定されない。また、検出器2と分析器3とが一体となった装置から構成されていても良い。

0027

本実施形態に係るガス分析システム1は、判定対象とするガス種と当該ガス種に対する各ガスセンサの出力値の傾向との対応関係を利用して、この対応関係と各ガスセンサからの出力値の示す傾向とに基づいて判定対象ガスのガス種を特定することを特徴とする。そのために、データベース(記憶部5)には、判定対象とするガス種と当該ガス種に対する各ガスセンサの出力値の傾向との対応関係をガス種ごとに記憶してあり、また、判定部6はデータベースに記憶してある対応関係と入力部4に入力された各出力値の傾向とを参照することにより判定対象ガスのガス種を特定するように構成してある(より具体的には以下に示す手順で判定を行うように分析用プログラムを作成してある)。

0028

ここで、各ガスセンサの出力値の傾向としては、出力値が正の値か負の値か、又はほぼ0であるかといった当該ガス種に対する各ガスセンサの応答の傾向や、どのガスセンサの出力値が予め定めた閾値を上回っているか(又は下回っているか)の閾値判定をしたときの各出力値の閾値判定の傾向、どのガスセンサが最も感度が高いかや、最も検出感度が高いガスセンサの出力値に対する他のガスセンサの出力値の比率、各ガスセンサの出力の時間変化の傾向(応答波形がどのように立ち上がるかなど)等が挙げられる。そして、これらの出力値の傾向を判定対象のガス種と1対1に対応付けたものを対応関係としてデータベースに記憶することにより、判定部6はこの対応関係と入力部4に入力された各出力値の傾向とを参照することによって判定対象ガスのガス種を特定することが可能となる。以下ではまず、判定対象とするガス種と当該ガス種に対する各ガスセンサの出力値の傾向との対応関係を利用したガス種の特定方法の一例として、各出力値の閾値判定の傾向に基づきガス種の特定を行う手順について説明する。

0029

〈閾値判定に基づくガス種の特定〉
あるガス種について、正の応答(出力値が正)を示すガスセンサ、負の応答(出力値が負)を示すガスセンサ、感度の乏しい(出力値の絶対値がある値以下)ガスセンサの種類は決まっている。つまり、ガス種ごとに、正の応答を示すガスセンサの種類と負の応答を示すガスセンサの種類と感度に乏しいガスセンサの種類との組み合わせは決まっている。そのため、あるガス種Aについて正の応答を示すとされているガスセンサの出力値のみがある一定の値を上回っており、あるガス種Aについて負の応答を示すとされているガスセンサの出力値のみがある一定の値を下回っており、当該ガス種Aについて感度がないとされている他のガスセンサについては出力値が0付近の場合、検出器2が測定している判定対象ガスのガス種はガス種Aであると特定することが可能である。そこで、本実施形態のガス分析システム1では、判定部6に検出器2からの各出力値について予め定めた正の閾値及び負の閾値(例えばフルスケールの25%)を超えているか否かの閾値判定を行わせる。閾値判定の結果に応じて、出力値が正の閾値を超えているガスセンサを正の応答を示すガスセンサとし、出力値が負の閾値を下回っているガスセンサを負の応答を示すガスセンサとし、正の閾値と負の閾値との間の出力値を示すガスセンサを感度に乏しいガスセンサとする。これにより、正の応答を示すガスセンサの種類と負の応答を示すガスセンサの種類と感度に乏しいガスセンサの種類との組み合わせを得ることができ、その組み合わせに対応するガス種を特定することとしている。

0030

具体的には、まず、判定対象とするガス種ごとの、当該ガス種と当該ガス種についての各前記ガスセンサの出力値の所定の閾値に対する大小関係のパターン(つまり、閾値判定結果のパターンであり、正の応答を示すガスセンサの種類と負の応答を示すガスセンサの種類と感度に乏しいガスセンサの種類との組み合わせ)との対応関係を求め、データベース(記憶部5)に、この対応関係を、判定対象とするガス種と当該ガス種に対する各ガスセンサの出力値の傾向との対応関係として記憶する。そして、検出器2から出力信号σの入力があったときは、判定部6は各出力値について閾値判定を行う。例えば、閾値判定は、何れかのガスセンサで正の閾値を超える出力があったときからその後一定時間(30秒や60秒)経過したときの各ガスセンサの出力値に基づいて行う。その後、記憶してある対応関係(閾値判定結果のパターン)と各出力値についての閾値判定の結果とを参照することにより判定対象ガスのガス種を特定する。つまり、閾値判定の結果とその閾値判定結果のパターンが一致するガス種を判定対象ガス種のガス種と特定する。

0031

例えば、検出器2が、以下の10個のガスセンサを備えている場合、その10個のガスセンサにおけるガス種ごとの閾値に対する対応関係表(閾値判定結果パターン)は、次の表1のようになる。
〔ガスセンサの種類〕
・NH3センサ(検知対象ガスがNH3、表1におけるNH3)
・O3センサ(検知対象ガスがO3、表1におけるO3)
・PH3センサ(検知対象ガスがPH3、表1におけるPH3)
・HClセンサ(検知対象ガスがHCl、表1におけるHCl)
・E20Cセンサ(検知対象ガスがトルエンを主としたアルコール等を除く有機溶剤、表1におけるE20C)
・HFセンサ(検知対象ガスがHF、表1におけるHF)
・H2Sセンサ(検知対象ガスがH2S、表1におけるH2S)
・Cl2センサ(検知対象ガスがCl2、表1におけるCl2)
・NOセンサ(検知対象ガスがNO、表1におけるNO)
・E20センサ(検知対象ガスがエタノールを主とした有機溶剤、表1におけるE20)

0032

0033

ここで、表1におけるMaxが正の閾値を超える場合(つまり、正の応答を示す場合)であり、Minが負の閾値を下回る場合(つまり、負の応答を示す場合)であり、Normが正の閾値と負の閾値との間の出力値を示す場合(つまり、感度に乏しい場合)、空白は出力値がどのような値であってもガス種の特定とは無関係であることを意味する。そして、アルゴリズム判定の欄は、各ガスセンサの閾値判定の結果がそこに示されているパターンを示すことにより特定されるガス種である。ガス種が複数記載されている場合は、そのいずれか一方、又は両方が含まれていることを示す。

0034

例えば、入力された出力値の閾値判定の結果が、少なくともPH3センサについては正の閾値を上回る出力値を示し、少なくともNH3センサ、O3センサ、HClセンサ、HFセンサ、H2Sセンサ及びCl2センサについては正の閾値と負の閾値との間の出力値を示すものであったとき(表1のNo.3)は、判定部6は判定対象ガスのガス種をPH3と特定する。また、少なくともO3センサ及びCl2センサについては負の閾値を上回る出力値を示し、少なくともPH3センサ、H2Sセンサ及びNOセンサについては正の閾値を上回る出力値を示し、少なくともNH3センサについては正の閾値と負の閾値との間の出力値を示すものであるとき(表1のNo.8)は、判定部6は判定対象ガスのガス種をH2Sと特定する。なお、閾値判定の結果が表1のいずれのパターンにも当てはまらなかった場合は、複数種のガス種が含まれていると判定する。

0035

具体的なガス種特定の手順を、上記10種のガスセンサを備える検出器2を用いてある判定対象ガスの測定を行ったときの各ガスセンサの出力を示す図3を例に説明する。まず、検出器2による測定を開始すると、その応答として、測定しているガス種に対し正の応答を示すガスセンサについて出力が生じる。そして、あるガスセンサ(図3ではNOセンサ)の出力値が正の閾値として設定した25%FS(フルスケールの25%の出力値)を超えると(図3におけるT1)、時間計測を開始し、その時点T1から60秒経過した時点T2における各ガスセンサの出力値に基づいて閾値判定を行う。そうすると、時点T2における閾値判定の結果は、PH3センサ、E20Cセンサ、NOセンサ、E20センサについては正の閾値を超えている(Max)と判定され、他のセンサについては正の閾値と負の閾値との間の出力値を示す(Norm)と判定される。そして、この判定結果を表1の対応関係表と照合して、判定結果と合致する閾値判定結果パターンがあるかを判定する。図3の場合、少なくともPH3センサについては正の閾値を上回る出力値を示し、少なくともNH3センサ、O3センサ、HClセンサ、HFセンサ、H2Sセンサ及びCl2センサについては正の閾値と負の閾値との間の出力値を示すものであるNo.3の閾値判定結果パターンに合致するため、判定対象ガスのガス種がPH3であると特定される。

0036

また、例えば、検出器2が、以下の5個のガスセンサを備えている場合、その5個のガスセンサにおけるガス種ごとの閾値に対する対応関係表(閾値判定結果パターン)は、次の表2のようになる。
〔ガスセンサの種類〕
・NH3センサ(検知対象ガスがNH3、表1におけるNH3)
・O3センサ(検知対象ガスがO3、表1におけるO3)
・PH3センサ(検知対象ガスがPH3、表1におけるPH3)
・HClセンサ(検知対象ガスがHCl、表1におけるHCl)
・E20Cセンサ(検知対象ガスがトルエンを主としたアルコール等を除く有機溶剤、表1におけるE20C)

0037

0038

ここで、表2におけるMax/Normは出力値が正の閾値を超えるか、又は正の閾値と負の閾値との間の出力値を示す場合(つまり、負の閾値以上の出力値を示す場合)であることを意味し、Min/Normは出力値が負の閾値を下回るか、又は正の閾値と負の閾値との間の出力値を示す場合(つまり、正の閾値未満の出力値を示す場合)であることを意味する。

0039

例えば、入力された出力値の閾値判定の結果が、少なくともPH3センサについては正の閾値を上回る出力値を示し、NH3センサ、O3センサ、HClセンサについては正の閾値と負の閾値との間の出力値を示し、E20Cセンサについて少なくとも負の閾値以上の出力値を示すものであったとき(表2のNo.4)は、判定部6は判定対象ガスのガス種をPH3と特定する。また、NH3センサについては正の閾値と負の閾値との間の出力値を示し、O3センサについては正の閾値未満の出力値を示し、PH3センサ、HClセンサ及びE20Cセンサについては正の閾値を上回る出力値を示すものであったとき(表2のNo.9)は、判定部6は判定対象ガスのガス種をH2Sと特定する。

0040

なお、10個のガスセンサを用いる場合も5個のガスセンサを用いる場合と同様にMax/Norm、Min/Normとの基準を表1の空白部分等に追加するようにしてもよい。

0041

次に、各ガスセンサの出力値の傾向を利用したガス種の特定方法の他の一例として、各出力値間の比率を利用してガス種の特定を行う手順について説明する。閾値判定を用いた手段では、ガス種の判定のために、少なくとも閾値を超える程度の出力が得られるガス濃度が必要となるところ、各出力値間の比率を利用する手段では、閾値判定を用いた手段の判定に必要な濃度を下回るガス濃度であっても、出力値の比率さえ判別できれば、判定対象ガスのガス種を特定することができるという利点がある。以下、各出力値間の比率に基づくガス種の特定の手順について説明する。

0042

〈各出力値間の比率に基づくガス種の特定〉
上記したように、あるガス種について、正の応答を示すガスセンサ、負の応答を示すガスセンサ、感度の乏しいガスセンサの種類は決まっているが、さらに、正の応答を示すガスセンサ及び負の応答を示すガスセンサの中では、当該ガス種の濃度にかかわらず、各ガスセンサ間の出力値の比率は決まっている。例えば、図4,5は、各濃度におけるCl2ガスに対するCl2センサ、H2Sセンサ及びHFセンサの出力を示すグラフであり、図4,5によれば、Cl2センサに対するH2Sセンサ及びHFセンサの出力値の比率はCl2ガスの濃度が0.3ppmと0.5ppmのときとでほぼ同じとなっている。そして、発明者による実験の結果、Cl2センサに対するH2Sセンサ及びHFセンサの出力値の比率は、Cl2センサの出力値を100%とすると、Cl2センサの出力値に対してH2Sセンサの出力値は−50〜−30%であり、HFセンサの出力値は80〜100%になることが求められた。これを利用すれば、Cl2センサ、H2Sセンサ及びHFセンサ間の出力値の比率がこの比率に収まるときには、判定対象ガスのガス種がCl2ガスであることが特定できることとなる。つまり、各ガスセンサ間の出力値の比率がわかれば、判定対象ガスのガス種を特定することが可能となる。

0043

そこで、本実施形態のガス分析システム1では、まず、実験の結果等に基づいて、判定対象とするガス種についてガスセンサの特定の組み合わせを定め(例えば、当該ガス種に対して感度の高いガスセンサの組み合わせなど)、その組み合わせの中の各ガスセンサ間の出力値の比率と当該ガス種との対応関係を求める。そして、データベース(記憶部5)に、これら判定対象とするガス種について定めたガスセンサの特定の組み合わせと、当該ガス種に対する当該組み合わせの中の各ガスセンサ間の出力値の比率とを、判定対象とするガス種と当該ガス種に対する各ガスセンサの出力値の傾向との対応関係として記憶する。つまり、判定対象のガス種ごとに、どの種類のガスセンサを用いてその出力値間の比率を求めるのかと、そのガス種に対応する出力値間の比率をデータベース(記憶部5)に記憶する。そして、検出器2から出力信号σの入力があったときは、判定部6は、記憶してある対応関係と当該組み合わせの中の出力値の比率とに基づいて判定対象ガスのガス種を特定する。

0044

例えば、判定部6は、いずれかのガスセンサから何らかの出力があったときからその後一定時間(30秒や60秒)経過したときの各ガスセンサの出力値に基づいてガス種の特定を行うこととする。そして、その一定時間経過後の各ガスセンサの出力値から、判別対象のガス種ごとに、そのガス種について定めたガスセンサの組み合わせにおける出力値間の比率を求める。その比率が記憶してある当該ガス種に対応する出力値間の比率に合致するか(その範囲内に収まるか)を順次判定し、合致するものがあったときに、判定対象ガスのガス種がその合致するガス種であると特定する。例えば、Cl2センサ、H2Sセンサ及びHFセンサの出力が、Cl2センサの出力値を100%としたとき、H2Sセンサの出力値が−50〜−30%で、HFセンサの出力値が80〜100%の比率に収まるのであれば、判定対象ガスのガス種がCl2ガスであることが特定される。

0045

〈特定したガス種の濃度の算出〉
次に、上記いずれかの手段でガス種の特定をした後に、その特定したガス種の濃度を算出する手順について説明する。一般に、ガスセンサの出力値は検知対象のガスの濃度と相関するので、この相関関係を利用して、ガスセンサの出力値から濃度を求めることができる。そのため、本実施形態に係るガス分析システム1では、ガス種によっては複数のガスセンサからの出力があることを考慮して、判定対象とするガス種ごとにその濃度を算出するときの基準とする主のガスセンサを定めておく。例えば、主のガスセンサとするガスセンサとしては、当該ガス種に対する感度が高いガスセンサなどが挙げられる。さらに、この主のガスセンサの出力値と当該ガス種の濃度との相関関係も求めておき、データベース(記憶部5)に、ガス種ごとの主のガスセンサの種類とその出力値と当該ガス種の濃度との相関関係とを濃度算出情報として記憶する。これにより、判定部6は、判定対象ガスのガス種を特定したときに、この濃度算出情報に基づいて、主のガスセンサの出力値を用いてガス種の濃度を算出する。

0046

ただし、この場合、ガスセンサは対象ガスの濃度に比例してその出力も変化するが、その出力値にはフルスケールと呼ばれる検出限界値があり、この検出限界値を超える以上の濃度を測定することはできないという問題がある。そして、精度よく濃度を算出するためには、その対象のガス種に対して感度の高いガスセンサを主のガスセンサに用いることが好ましいのであるが、感度が高い分だけ、検出限界値に達しやすくなる。そこで、本実施形態に係るガス分析システム1では主のガスセンサの他に、判定対象とするガス種ごとにサブのガスセンサを定めている。また、そのサブのガスセンサの出力値と当該ガス種の濃度との相関関係も求めておき、データベース(記憶部5)に、ガス種ごとのサブのガスセンサの種類とその出力値と当該ガス種の濃度との相関関係とをさらに濃度算出情報として記憶してある。これにより、判定部6は、主のガスセンサの出力値が検出限界値に達していたときは、この濃度算出情報に基づいて、サブのガスセンサの出力値を用いてガス種の濃度を算出する。

0047

例えば、PH3ガスの場合を例に、このサブのガスセンサによる濃度算出について説明する。図6〜8は、各濃度におけるPH3ガスに対するPH3センサ(1.0ppmF.S.)及びNOセンサ(0.5ppmF.S.)の出力を示すグラフである。なお、1.0ppmF.S.とは、PH3センサがフルスケール(100%F.S.)の出力のときPH3ガスの濃度が1.0ppmであることを意味する。つまり、PH3ガスの濃度は、PH3センサの出力値(%F.S.)から、次の式のように求められる。

0048

PH3ガス濃度(ppm)=PH3センサ出力/100×1.0(ppm)(式1)

0049

なお、PH3センサは、150%F.S.が検出限界値であり、これを超えると出力が頭打ちになってしまい、そうすると、ガス濃度を正確に算出できなくなる。例えば、PH3ガスの濃度が0.3ppmのとき(図6)と1.0ppmのとき(図7)のときは、その出力値は検出限界値まで達しておらず、出力値がPH3ガスの濃度を反映したものとなっているが、PH3ガスの濃度が2.0ppmのとき(図8)は、その出力値が検出限界値(150%F.S.)を超え頭打ちになっており、出力値がPH3ガスの濃度を反映したものとなっていない。

0050

一方、NOセンサの場合、PH3センサに比べPH3ガスに対する感度は低いが、その分、PH3ガスの濃度が2.0ppmのときも出力値は頭打ちとなっていない。そして、図9はPH3ガスの濃度と各センサの出力値の関係を示すグラフであるが、図9によれば、NOセンサの出力値がPH3ガスの濃度とある程度比例関係にあることがわかる。そして、NOセンサの出力値について近似直線を引くと、その傾きは21.21となる。PH3センサの出力値についての傾きがおよそ100であることを考えると、同じ濃度のPH3ガスを検知しているとき、PH3センサの出力値は、NOセンサの出力値の100/21.21倍の値となるといえる(PH3センサ出力=NOセンサ出力×(100/21.21))。そうすると、上記式1を用いれば、PH3ガスとNOセンサの出力値(%F.S.)との関係は、次の式のようになる。

0051

PH3ガス濃度(ppm)=NOセンサ出力/21.21×1.0(ppm)(式2)

0052

このように、PH3センサによる濃度算出よりも制度は劣るものであっても、上記式2に基づき、NOセンサの出力値からもPH3ガスの濃度を算出することが可能である。そこで、PH3ガスの濃度算出における主のガスセンサをPH3センサとすること、NOセンサをそのサブのガスセンサとすること、及び上記した式1,2のPH3ガスの濃度とPH3センサ及びNOセンサの出力値との関係を濃度算出情報としてデータベース(記憶部5)に記憶しておけば、判定部6により、PH3センサの出力値が検出限界値に達するまでは、PH3センサの出力値から上記式1に基づきPH3ガスの濃度が算出され、PH3センサの出力値が検出限界値に達したときは、NOセンサの出力値から上記式2に基づきガス濃度が算出されることになる。

0053

〈PIDセンサを利用したガス分析〉
光イオン化センサ(PIDセンサ)は、有機溶剤を中心に多くのガスに反応するセンサであり、単一のセンサで様々なガス種の濃度分析が可能となる利点がある。しかし、その出力値からおおまかなガス種の絞り込みは可能であっても、確度高くガス種の判定をすることはできない問題がある。これに対し、発明者は、PIDセンサが検知可能なガス種を検知対象ガスとしないガスセンサであっても、上記と同様の要領でこれらのガスセンサの各ガスセンサからの出力値の傾向から当該ガス種の特定が可能であることを見出した。つまり、複数のガスセンサからの出力値の傾向とガス種との対応関係を求めるにしても、判定しようとするガス種を多くするとその判定基準が複雑になったり、他のガス種との区別がつきにくくなり、確度高く判定できない虞があるが、PIDセンサを用いることで、PIDセンサの出力があったときは、少なくともPIDセンサが検知できるガス種であることが絞り込める(反対に、PIDセンサの出力がないときは、少なくともPIDセンサが検知できないガス種であることが絞り込めることになる)。そして、ガス種を絞り込むことで、区別しなければならないガス種の数が減るから、複数のガスセンサからの出力値の傾向とガス種との対応関係を求めるのが容易となる。その結果、PIDセンサが検知可能なガス種を検知対象ガスとしないガスセンサであっても、これらのガスセンサの各ガスセンサからの出力値の傾向から当該ガス種の特定が可能となる。

0054

そこで、本実施形態に係るガス分析システム1では、検出器2が少なくとも一つのPIDセンサを備えたものとしてある。本実施形態では、10ppmF.S.イソブチレンのPIDセンサを用いる。また、PIDセンサが検知可能なガス種とPIDセンサ以外の所定のガスセンサの出力値の傾向との対応関係を求めておき、これをデータベース(記憶部5)に記憶してある。そして、判定部6は、PIDセンサの出力があったときに、この対応関係と所定のガスセンサにおける出力値の傾向とに基づいて判定対象ガスのガス種を特定する。さらに、データベースには、判定対象とするガス種の濃度とPIDセンサの出力値との相関関係を記憶してあり、判定部6は、判定対象ガスのガス種を特定したとき、この相関関係に基づいて、PIDセンサの出力値を用いてガス種の濃度を算出する。ガス種の濃度の算出は、ガス種ごとに係数が決まっており、その係数を出力値にかけることにより、そのガス種の濃度を算出する。具体的には、10ppmF.S.イソブチレンのPIDセンサを用いた場合、次のような式で、ガス種の濃度が求められる。

0055

ガス濃度(ppm)=係数×PIDセンサ出力値/100×10(ppm) (式3)

0056

例えば、PIDセンサが検知可能なガス種と対応付けるPIDセンサ以外の所定のガスセンサの出力値の傾向としては、そのガス種に対するE20センサとE20Cセンサとの出力値の比率が挙げられる。図10,11は、PIDセンサが検知可能なガス種の濃度とE20センサ及びE20Cセンサの出力値との関係を示す。図10,11から明らかなように、E20センサとE20Cセンサとでは、対象ガスがアルコールかアルコールでないかによってその感度に大きな違いがあり、E20センサとE20Cセンサとの出力値の比率は異なっている。

0057

一例として、トルエンを検出器2が測定しているとき、図12に示すような出力が得られる(前半はトルエンの濃度を1ppmとし、後半はトルエンの濃度を5ppmとして測定を行った)。このとき、PIDセンサから出力が得られ、また、E20センサとE20Cセンサとからも出力が得られている。そして、E20センサとE20Cセンサとの出力値の比率はE20Cセンサを100%とした際にE20センサは30〜40%となっている。一方、アセトンを検出器2が測定しているとき、図13に示すような出力が得られる。図12と同様に、PIDセンサから出力が得られ、また、E20センサとE20Cセンサとからも出力が得られている。そして、E20センサとE20Cセンサとの出力値の比率はE20Cセンサを100%とした際にE20センサは40〜50%となっている。このように、ガス種によりE20センサとE20Cセンサとの出力値の比率は異なっている。そして、これを利用すれば、E20Cセンサの出力値を100%とした際のE20センサの出力値が30〜40%のときはそのガス種はトルエンであり、E20Cセンサの出力値を100%とした際のE20センサの出力値が40〜50%のときはそのガス種はアセトンであることがわかる。そこで、上記対応関係として各ガス種に対するE20センサとE20Cセンサとの出力値の比率を予め求めてデータベース(記憶部5)に記憶しておけば、検出器2から検出されたE20センサとE20Cセンサとの出力値の比率に基づいて、判定部6によるガス種の判定が可能となる。そして、さらに、判定部6は、上記式3に基づいて、データベースに記憶してあるそのガス種についての係数を用いて、PIDセンサ出力値からそのガス種の濃度を算出できる。

0058

〔その他の実施形態〕
最後に、本発明に係るガス分析システム及びガス分析方法のその他の実施形態について説明する。なお、以下のそれぞれの実施形態で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することも可能である。

0059

(1)上述の実施形態では、判定対象とするガス種と当該ガス種に対する各ガスセンサの出力値の傾向との対応関係を利用したガス種の特定の手法として、閾値判定に基づくガス種の特定、各出力値間の比率に基づくガス種の特定を例に説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されず、判定対象とするガス種と当該ガス種に対する各ガスセンサの出力値の傾向との対応関係を利用してガス種の特定が可能なものであればどのようなものであってもよい。

0060

(2)上述の実施形態では、閾値判定に基づくガス種の特定、各出力値間の比率に基づくガス種の特定において、判定部6は、何れかのガスセンサで正の閾値を超える出力(又は出力)があったときからその後一定時間(30秒や60秒)経過したときの各ガスセンサの出力値に基づいてその判定を行う構成を例に説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。例えば、何れかのガスセンサで正の閾値を超える出力があったときからその後一定時間に至るまでの間にも、その時点での各ガスセンサの出力から同様の閾値判定や各出力値間の比率に基づくガス種の特定を行い、その結果を予測ガス種として示すことで、ガス種の早期特定を可能にしても良い。また、一定時間経過後に判定を行った後も、所定時間間隔ごとに再度判定を行い、その結果を更新するようにすることでガス種特定の精度を上げるようにしても良い。

0061

(3)上述の実施形態では、PIDセンサを利用したガス分析において、PIDセンサ以外の所定のガスセンサの出力値の傾向としては、そのガス種に対するE20センサとE20Cセンサとの出力値の比率を用いた例を説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されず、PIDセンサ以外の所定のガスセンサの出力値の傾向は、PIDセンサが検知可能なガス種と対応付けられるものであればどのようなものであってもよい。

0062

(4)その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で例示であって、本発明の範囲はそれらによって限定されることはないと理解されるべきである。当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜改変が可能であることを容易に理解できるであろう。従って、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で改変された別の実施形態も、当然、本発明の範囲に含まれる。

0063

本発明は、複数種のガスセンサを用いた判定対象ガスのガス種の特定に利用することができる。

0064

1ガス分析システム
2検出器(検出部)
4 入力部
5 記憶部
6 判定部

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