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技術 車輪用軸受装置

出願人 NTN株式会社
発明者 小西亮
出願日 2015年9月2日 (4年9ヶ月経過) 出願番号 2015-173076
公開日 2017年3月9日 (3年3ヶ月経過) 公開番号 2017-048860
状態 特許登録済
技術分野 軸受の取付、その他 リム;ハブ、車輪取付、車軸 ころがり軸受
主要キーワード 打ち傷 金属粒界 円錐凹面 JIS規格 交差角α 交差角θ 干渉物 フープ応力
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2017年3月9日)のものです。
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図面 (7)

課題

打ち傷が発生するのを抑え、加締加工に伴って内輪フープ応力が発生しても、打ち傷に起因する遅れ破壊の発生を抑制して耐久性の向上を図った車輪用軸受装置を提供する。

解決手段

内輪5の大端面17側の内径端部に面取り部18が形成され、この面取り部18が、円弧面19と、この円弧面19の接線から径方向外方に向って漸次インナー側に傾斜する傾斜面20で構成され、面取り部18の傾斜面20の傾斜角α1が20度以下に設定されると共に、内輪5の大端面17と面取り部18の傾斜面20との交差部が滑らかに丸められている。

概要

背景

自動車等の車両の車輪用軸受装置は、懸架装置に対して車輪複列転がり軸受を介して回転自在に支承するもので、駆動輪用のものと従動輪用のものとがある。例えば、図5に示す従来の車輪用軸受装置は従動輪用の第3世代と称され、内方部材51と外方部材52、および両部材51、52間に転動自在に収容された複列のボール53、53とを備えている。内方部材51は、ハブ輪54と、このハブ輪54に所定のシメシロを介して圧入された内輪55とからなる。

ハブ輪54は、一端部に車輪(図示せず)を取り付けるための車輪取付フランジ56を一体に有し、この車輪取付フランジ56の円周配位置に車輪を固定するためのハブボルト56aが植設されている。また、ハブ輪54の外周には一方の円弧状の内側転走面54aと、この内側転走面54aから軸方向に延びる小径段部54bが形成されている。そして、外周に他方の円弧状の内側転走面55aが形成された内輪55が小径段部54bに圧入されている。この内輪55は、ハブ輪54の小径段部54bの端部を径方向外方塑性変形させて形成した加締部57によって所定の軸受予圧が付与された状態で軸方向に固定されている。

外方部材52は、外周にナックル(図示せず)に取り付けるための車体取付フランジ52bを一体に有し、内周に前記内方部材51の内側転走面54a、55aに対向する円弧状の複列の外側転走面52a、52aが一体に形成されている。そして、それぞれの転走面52a、54aと52a、55a間に複列のボール53、53が収容され、保持器58、58によりこれら複列のボール53、53が転動自在に保持されている。

ここで、内輪55の内端部内周面に、内端開口に向う程内径が大きくなる、円錐凹面状で、傾斜角θ1が20〜60度程度の傾斜面59が形成されている。この傾斜面59に密着するように小径段部54bの端部を塑性変形させて加締部57が形成されている。これにより、加締部57の変形量が少なくて済む。すなわち、加締部57を形成する際、傾斜角θ1だけ変形させれば良く、加締部57に発生する歪みを抑えて、この加締部57に割れ等の損傷が発生するのを抑えることができる(例えば、特許文献1参照。)。

然しながら、この種の加締タイプの車輪用軸受装置では、ハブ輪54とのシメシロおよび加締加工によって内輪55には拡径方向応力負荷されるが、前述した従来の車輪用軸受装置では、内輪55の傾斜面59によって、塑性変形に伴う内輪55自体の径方向外方に加わる力、所謂フープ応力が大きくなり、内輪55の変形が過大となって損傷する恐れがある。

また、内輪55が軸受に組み込まれるまでの製造工程では、内輪55の各部に打ち傷が発生することがある。特に、内輪55同士や内輪55が搬送設備等の外部の干渉物衝突した場合、内輪55の傾斜面59の傾斜角θ1がこのように20〜60度程度と小さいと大端面55bと傾斜面59との交差角θ2が120〜160度程度となり、この部分のエッジによって他の内輪55に衝突して打ち傷が発生する恐れがある。この場合、内輪55の外表面にフープ応力が負荷された状態で、この打ち傷を起点とした応力腐食割れ、所謂遅れ破壊が発生する恐れがある。

こうした課題を解決したものとして、図6に示すような車輪用軸受装置が知られている。この車輪用軸受装置は、内輪60の大端面61に径方向外方に向って漸次インナー側に傾斜角θ3が101〜179度からなる傾斜面62に形成され、この傾斜面62に密着した状態で加締部63が形成されている。これにより、揺動加締により発生する加工力分力を減少させて内輪60が径方向外方に弾性変形するのを抑制することができるので、内輪60のフープ応力を低減させ、内輪60の耐久性の向上を図ることができる(例えば、特許文献2参照。)。

概要

打ち傷が発生するのを抑え、加締加工に伴って内輪にフープ応力が発生しても、打ち傷に起因する遅れ破壊の発生を抑制して耐久性の向上をった車輪用軸受装置を提供する。内輪5の大端面17側の内径端部に面取り部18が形成され、この面取り部18が、円弧面19と、この円弧面19の接線から径方向外方に向って漸次インナー側に傾斜する傾斜面20で構成され、面取り部18の傾斜面20の傾斜角α1が20度以下に設定されると共に、内輪5の大端面17と面取り部18の傾斜面20との交差部が滑らかに丸められている。

目的

本発明は、このような従来の問題に鑑みてなされたもので、内輪の大端面と面取り部との間のエッジ部の角度を小さく規制し、干渉物と衝突した際の応力を低減することで打ち傷が付き難い面取り形状に着目し、加締加工に伴って内輪にフープ応力が発生しても、打ち傷に起因する遅れ破壊の発生を抑制して耐久性の向上を図った車輪用軸受装置を提供する

効果

実績

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請求項1

内周複列の外側転走面が一体に形成された外方部材と、一端部に車輪を取り付けるための車輪取付フランジを一体に有し、外周に軸方向に延びる小径段部が形成されたハブ輪、およびこのハブ輪の小径段部に圧入された少なくとも一つの内輪からなり、外周に前記複列の外側転走面に対向する複列の内側転走面が形成された内方部材と、前記両転走面間に転動自在に収容された複列の転動体と、を備えた車輪用軸受装置において、前記内輪の大端面側の内径端部に面取り部が形成され、この面取り部が、円弧面と、この円弧面の接線から径方向外方に向って漸次インナー側に傾斜する傾斜面で構成されていることを特徴とする車輪用軸受装置。

請求項2

前記内輪の大端面と面取り部の傾斜面との交差部が滑らかに丸められている請求項1に記載の車輪用軸受装置。

請求項3

前記内輪が、前記ハブ輪の小径段部の端部を径方向外方に塑性変形させて形成した加締部により軸方向に固定され、前記面取り部の傾斜面の傾斜角が20度以下に設定されている請求項1に記載の車輪用軸受装置。

請求項4

前記加締部が前記内輪の面取り部を包含し、前記内輪の大端面に密着した状態で形成されている請求項3に記載の車輪用軸受装置。

技術分野

0001

本発明は、自動車等の車輪懸架装置に対して回転自在に支承する車輪用軸受装置、特に、ハブ輪揺動加締によって内輪が固定されたセルフテイン構造において、内輪の大端面側の面取り形状を工夫し、製造工程で打ち傷が付き難くくし、加締加工に伴って内輪にフープ応力が発生しても、打ち傷に起因する遅れ破壊の発生を抑制して耐久性の向上を図った車輪用軸受装置に関するものである。

背景技術

0002

自動車等の車両の車輪用軸受装置は、懸架装置に対して車輪を複列転がり軸受を介して回転自在に支承するもので、駆動輪用のものと従動輪用のものとがある。例えば、図5に示す従来の車輪用軸受装置は従動輪用の第3世代と称され、内方部材51と外方部材52、および両部材51、52間に転動自在に収容された複列のボール53、53とを備えている。内方部材51は、ハブ輪54と、このハブ輪54に所定のシメシロを介して圧入された内輪55とからなる。

0003

ハブ輪54は、一端部に車輪(図示せず)を取り付けるための車輪取付フランジ56を一体に有し、この車輪取付フランジ56の円周配位置に車輪を固定するためのハブボルト56aが植設されている。また、ハブ輪54の外周には一方の円弧状の内側転走面54aと、この内側転走面54aから軸方向に延びる小径段部54bが形成されている。そして、外周に他方の円弧状の内側転走面55aが形成された内輪55が小径段部54bに圧入されている。この内輪55は、ハブ輪54の小径段部54bの端部を径方向外方塑性変形させて形成した加締部57によって所定の軸受予圧が付与された状態で軸方向に固定されている。

0004

外方部材52は、外周にナックル(図示せず)に取り付けるための車体取付フランジ52bを一体に有し、内周に前記内方部材51の内側転走面54a、55aに対向する円弧状の複列の外側転走面52a、52aが一体に形成されている。そして、それぞれの転走面52a、54aと52a、55a間に複列のボール53、53が収容され、保持器58、58によりこれら複列のボール53、53が転動自在に保持されている。

0005

ここで、内輪55の内端部内周面に、内端開口に向う程内径が大きくなる、円錐凹面状で、傾斜角θ1が20〜60度程度の傾斜面59が形成されている。この傾斜面59に密着するように小径段部54bの端部を塑性変形させて加締部57が形成されている。これにより、加締部57の変形量が少なくて済む。すなわち、加締部57を形成する際、傾斜角θ1だけ変形させれば良く、加締部57に発生する歪みを抑えて、この加締部57に割れ等の損傷が発生するのを抑えることができる(例えば、特許文献1参照。)。

0006

然しながら、この種の加締タイプの車輪用軸受装置では、ハブ輪54とのシメシロおよび加締加工によって内輪55には拡径方向応力負荷されるが、前述した従来の車輪用軸受装置では、内輪55の傾斜面59によって、塑性変形に伴う内輪55自体の径方向外方に加わる力、所謂フープ応力が大きくなり、内輪55の変形が過大となって損傷する恐れがある。

0007

また、内輪55が軸受に組み込まれるまでの製造工程では、内輪55の各部に打ち傷が発生することがある。特に、内輪55同士や内輪55が搬送設備等の外部の干渉物衝突した場合、内輪55の傾斜面59の傾斜角θ1がこのように20〜60度程度と小さいと大端面55bと傾斜面59との交差角θ2が120〜160度程度となり、この部分のエッジによって他の内輪55に衝突して打ち傷が発生する恐れがある。この場合、内輪55の外表面にフープ応力が負荷された状態で、この打ち傷を起点とした応力腐食割れ、所謂遅れ破壊が発生する恐れがある。

0008

こうした課題を解決したものとして、図6に示すような車輪用軸受装置が知られている。この車輪用軸受装置は、内輪60の大端面61に径方向外方に向って漸次インナー側に傾斜角θ3が101〜179度からなる傾斜面62に形成され、この傾斜面62に密着した状態で加締部63が形成されている。これにより、揺動加締により発生する加工力分力を減少させて内輪60が径方向外方に弾性変形するのを抑制することができるので、内輪60のフープ応力を低減させ、内輪60の耐久性の向上を図ることができる(例えば、特許文献2参照。)。

先行技術

0009

特許第3855315号公報
特開2010−42763号公報

発明が解決しようとする課題

0010

この内輪60では、製造工程等で大端面61と傾斜面62との交差角θ4が140.5〜179.5度と大きくなり、前述した内輪55に比べてこの部分のエッジによる打ち傷が発生するのを抑えることができるが、大きく開口した内輪60の傾斜面62に打ち傷が発生する確率が高くなる。これにより、打ち傷を起点とした遅れ破壊が発生する恐れが高くなるといった課題があった。

0011

本発明は、このような従来の問題に鑑みてなされたもので、内輪の大端面と面取り部との間のエッジ部の角度を小さく規制し、干渉物と衝突した際の応力を低減することで打ち傷が付き難い面取り形状に着目し、加締加工に伴って内輪にフープ応力が発生しても、打ち傷に起因する遅れ破壊の発生を抑制して耐久性の向上を図った車輪用軸受装置を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0012

係る目的を達成すべく、本発明のうち請求項1に記載の発明は、内周に複列の外側転走面が一体に形成された外方部材と、一端部に車輪を取り付けるための車輪取付フランジを一体に有し、外周に軸方向に延びる小径段部が形成されたハブ輪、およびこのハブ輪の小径段部に圧入された少なくとも一つの内輪からなり、外周に前記複列の外側転走面に対向する複列の内側転走面が形成された内方部材と、前記両転走面間に転動自在に収容された複列の転動体と、を備えた車輪用軸受装置において、前記内輪の大端面側の内径端部に面取り部が形成され、この面取り部が、円弧面と、この円弧面の接線から径方向外方に向って漸次インナー側に傾斜する傾斜面で構成されている。

0013

このように、内周に複列の外側転走面が一体に形成された外方部材と、一端部に車輪を取り付けるための車輪取付フランジを一体に有し、外周に軸方向に延びる小径段部が形成されたハブ輪、およびこのハブ輪の小径段部に圧入された少なくとも一つの内輪からなり、外周に複列の外側転走面に対向する複列の内側転走面が形成された内方部材と、両転走面間に転動自在に収容された複列の転動体と、を備えた第1乃至第3世代構造の車輪用軸受装置において、内輪の大端面側の内径端部に面取り部が形成され、この面取り部が、円弧面と、この円弧面の接線から径方向外方に向って漸次インナー側に傾斜する傾斜面で構成されているので、内輪の大端面と傾斜面との交差角が大きくなり、製造工程において、内輪同士や内輪が搬送設備等の外部の干渉物に衝突した場合、この部分のエッジによる打ち傷が発生するのを抑えることができる。

0014

好ましくは、請求項2に記載の発明のように、前記内輪の大端面と面取り部の傾斜面との交差部が滑らかに丸められていれば、バリが発生するのを防止することができると共に、この部分のエッジによる打ち傷が発生するのを抑えることができる。

0015

また、請求項3に記載の発明のように、前記内輪が、前記ハブ輪の小径段部の端部を径方向外方に塑性変形させて形成した加締部により軸方向に固定され、前記面取り部の傾斜面の傾斜角が20度以下に設定されていれば、内輪の大端面と傾斜面との交差角が160度以上と大きくなり、この部分のエッジによる打ち傷が発生するのを抑えることができると共に、加締加工時に内輪が径方向外方に弾性変形するのを抑制でき、内輪のフープ応力を低減させ、加締加工に伴って内輪にフープ応力が発生しても、打ち傷に起因する遅れ破壊の発生を抑制して内輪の耐久性の向上を図ることができる。

0016

また、請求項4に記載の発明のように、前記加締部が前記内輪の面取り部を包含し、前記内輪の大端面に密着した状態で形成されていれば、内輪の面取り部が露出しないため、外部からの雨水やダスト等が内輪の面取り部と加締部との接合面に浸入するのを防止すると共に、フープ応力が発生する内輪の面取り部に、打ち傷だけでなく塩害による腐食が生じるのを防止して遅れ破壊が発生することを防止することができる。

発明の効果

0017

本発明に係る車輪用軸受装置は、内周に複列の外側転走面が一体に形成された外方部材と、一端部に車輪を取り付けるための車輪取付フランジを一体に有し、外周に軸方向に延びる小径段部が形成されたハブ輪、およびこのハブ輪の小径段部に圧入された少なくとも一つの内輪からなり、外周に前記複列の外側転走面に対向する複列の内側転走面が形成された内方部材と、前記両転走面間に転動自在に収容された複列の転動体と、を備えた車輪用軸受装置において、前記内輪の大端面側の内径端部に面取り部が形成され、この面取り部が、円弧面と、この円弧面の接線から径方向外方に向って漸次インナー側に傾斜する傾斜面で構成されているので、内輪の大端面と傾斜面との交差角が大きくなり、製造工程において、内輪同士や内輪が搬送設備等の外部の干渉物に衝突した場合、この部分のエッジによる打ち傷が発生するのを抑えることができる。

図面の簡単な説明

0018

本発明に係る車輪用軸受装置の第1の実施形態を示す縦断面図である。
(a)は、図1の加締部を示す要部拡大図、(b)は、(a)の内輪の面取り部を示す要部拡大図である。
本発明に係る車輪用軸受装置の第2の実施形態を示す縦断面図である。
図3の車輪用軸受装置の変形例を示す縦断面図である。
従来の車輪用軸受装置を示す縦断面図である。
他の従来の車輪用軸受装置を示す縦断面図である。

0019

外周にナックルに取り付けられるための車体取付フランジを一体に有し、内周に複列の外側転走面が一体に形成された外方部材と、一端部に車輪を取り付けるための車輪取付フランジを一体に有し、外周に前記複列の外側転走面の一方に対向する内側転走面と、この内側転走面から軸方向に延びる小径段部が形成されたハブ輪、およびこのハブ輪の小径段部に圧入され、外周に前記複列の外側転走面の他方に対向する内側転走面が形成された内輪からなる内方部材と、この内方部材と前記外方部材の両転走面間に保持器を介して転動自在に収容された複列の転動体と、を備え、前記小径段部の端部を径方向外方に塑性変形させて形成した加締部により前記内輪が前記ハブ輪に対して軸方向に固定された車輪用軸受装置において、前記内輪の大端面側の内径端部に面取り部が形成され、この面取り部が、円弧面と、この円弧面の接線から径方向外方に向って漸次インナー側に傾斜する傾斜面で構成され、前記面取り部の傾斜面の傾斜角が20度以下に設定されると共に、前記内輪の大端面と面取り部の傾斜面との交差部が滑らかに丸められている。

0020

以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明に係る車輪用軸受装置の第1の実施形態を示す縦断面図、図2(a)は、図1の加締部を示す要部拡大図、(b)は、(a)の内輪の面取り部を示す要部拡大図である。なお、以下の説明では、車両に組み付けた状態で車両の外側寄りとなる側をアウター側図1の左側)、中央寄り側をインナー側(図1の右側)という。

0021

図1に示す車輪用軸受装置は従動輪側の第3世代構造をなし、内方部材1と外方部材2、および両部材1、2間に転動自在に収容された複列の転動体(ボール)3、3とを備えている。内方部材1は、ハブ輪4と、このハブ輪4に所定のシメシロを介して圧入された内輪5とからなる。

0022

ハブ輪4は、アウター側の端部に車輪(図示せず)を取り付けるための車輪取付フランジ6を一体に有し、この車輪取付フランジ6の円周等配位置に車輪を固定するためのハブボルト6aが植設されている。また、ハブ輪4の外周には一方(アウター側)の断面が円弧状の内側転走面4aと、この内側転走面4aから肩部4cを介して軸方向に延びる軸状の小径段部4bが形成されている。そして、外周に他方(インナー側)の円弧状の内側転走面5aが形成された内輪5が、その小端面正面側端面)5cをハブ輪4の肩部4cに突き当てた状態で小径段部4bに圧入されている。この内輪5は、ハブ輪4の小径段部4bの端部を径方向外方に塑性変形させて形成した加締部7によって所定の軸受予圧が付与された状態で軸方向に固定されている。

0023

外方部材2は、外周にナックル(図示せず)に取り付けるための車体取付フランジ2bを一体に有し、内周に前記内方部材1の内側転走面4a、5aに対向する断面が円弧状の複列の外側転走面2a、2aが一体に形成されている。そして、それぞれの転走面2a、4aと2a、5a間に複列の転動体3、3が収容され、保持器8、8によりこれら複列の転動体3、3が転動自在に保持されている。

0024

また、外方部材2と内方部材1との間に形成される環状空間の開口部にはシール9、10が装着され、軸受内部に封入された潤滑グリース漏洩と、外部から雨水やダスト等が軸受内部に侵入するのを防止している。なお、ここでは、転動体3をボールとした複列アンギュラ玉軸受で構成された車輪用軸受装置を例示したが、これに限らず転動体に円すいころを使用した複列円すいころ軸受で構成されたものであっても良い。

0025

ハブ輪4はS53C等の炭素0.40〜0.80重量%を含む中高炭素鋼で形成され、アウター側の内側転走面4aをはじめ、シール9のシールランド部となる車輪取付フランジ6のインナー側の基部6bから小径段部4bに亙り高周波焼入れによって表面硬さを50〜64HRCの範囲に硬化処理されている。なお、加締部7は、鍛造後素材表面硬さの未焼入れ部とされている。

0026

一方、内輪5はSUJ2等の高炭素クロム軸受鋼からなり、ズブ焼入れにより芯部まで58〜64HRCの範囲で硬化処理されている。また、転動体3はSUJ2等の高炭素クロム軸受鋼からなり、ズブ焼入れにより芯部まで62〜67HRCの範囲で硬化処理されている。また、外方部材2は、前記ハブ輪4と同様、S53C等の炭素0.40〜0.80重量%を含む中高炭素鋼で形成され、少なくとも複列の外側転走面2a、2aが高周波焼入れによって表面硬さを58〜64HRCの範囲に硬化処理されている。

0027

本実施形態では、シール9、10のうちアウター側のシール9は、外方部材2のアウター側端部の内周に所定のシメシロを介して圧入された芯金11と、この芯金11に加硫接着等で一体に接合されたシール部材12とからなる一体型のシールで構成されている。芯金11は、防錆処理された冷間圧延鋼板JIS規格のSPCC系等)をプレス加工にて形成されている。

0028

一方、シール部材12はNBR(アクリロニトリル−ブタジエンゴム)等の合成ゴムからなり、加硫接着によって芯金11に一体に接合されている。このシール部材12は、径方向外方に傾斜して形成された一対のサイドリップ12a、12bと、軸受内方側に傾斜して形成されたグリースリップ12cを有している。車輪取付フランジ6のインナー側の基部6bは断面が円弧状の曲面に形成され、この基部6bにサイドリップ12a、12bとグリースリップ12cが所定のシメシロをもって摺接されている。

0029

なお、シール部材12の材質としては、例示したNBR以外にも、例えば、耐熱性に優れたHNBR(水素アクリロニトリルブタジエンゴム)、EPDMエチレンプロピレンゴム)等をはじめ、耐熱性、耐薬品性に優れたACMポリアクリルゴム)、FKM(フッ素ゴム)、あるいはシリコンゴム等を例示することができる。

0030

また、インナー側のシール10は、図2(a)に拡大して示すように、互いに対向配置された環状のシール板13とスリンガ14とからなる、所謂パックシールで構成されている。シール板13は外方部材2に装着された芯金15と、この芯金15に加硫接着により一体に接合されたシール部材16とからなる。芯金15は、オーステナイト系ステンレス鋼板(JIS規格のSUS304系等)や防錆処理された冷間圧延鋼板等の防錆能を有する鋼板からプレス加工にて断面略L字状に形成されている。シール部材16は、NBR等の合成ゴムからなり、径方向外方に傾斜して延びるサイドリップ16aと、二股状に形成されたグリースリップ16bと中間リップ16cとを有している。

0031

一方、スリンガ14はオーステナイト系ステンレス鋼板や防錆処理された冷間圧延鋼板等の防錆能を有する鋼板からプレス加工にて断面略L字状に形成され、内輪5の外径に圧入される円筒部14aと、この円筒部14aから径方向外方に延びる立板部14bとを備えている。そして、シール部材16のサイドリップ16aが立板部14bのアウター側の側面に所定の軸方向シメシロを持って摺接されると共に、グリースリップ16bと中間リップ16cが円筒部14aに所定の径方向シメシロを介して摺接されている。さらに、スリンガ14の立板部14bは、シール板13と僅かな径方向すきまを介して対峙され、ラビリンスシールが構成されている。

0032

ここで、内輪5のインナー側の内径端部、すなわち、大端面(背面側端面)17側の内径端部に面取り部18が形成されている。この面取り部18は、図2(b)に拡大して示すように、所定の曲率半径r1からなる円弧面19と、この円弧面19の接線から径方向外方に向って漸次インナー側に傾斜する所定の傾斜角α1からなる円錐凹面状の傾斜面20で構成されている。そして、この面取り部18を包含して大端面17に密着した状態で加締部7が形成されている。

0033

本実施形態では、面取り部18の円弧面19の曲率半径r1は1.5mmに設定されると共に、面取り部18の軸方向寸法L1は1.0mm、径方向寸法L2は2.0mmに設定されている。また、面取り部18の傾斜面20の傾斜角α1は20度以下に設定されている。これにより、内輪5の大端面17と傾斜面20との交差角α2が160度以上と大きくなり、製造工程において、内輪5同士や内輪5が搬送設備等の外部の干渉物に衝突した場合、この部分のエッジによる打ち傷が発生するのを抑えることができる。さらに、加締加工時に内輪5が径方向外方に弾性変形するのを抑制でき、内輪5のフープ応力を低減させることができると共に、加締加工に伴って内輪5にフープ応力が発生しても、打ち傷に起因する遅れ破壊の発生を抑制して耐久性の向上を図った車輪用軸受装置を提供することができる。

0034

また、内輪5の面取り部18が旋削加工によって形成され、熱処理後に小端面5cと大端面17が研削加工によって形成されている。この研削加工によって大端面17と面取り部18の傾斜面20との交差部が切削加工あるいはペーパラップ等によってその交差部(エッジ部)が滑らかに丸められている。これにより、バリが発生するのを防止することができると共に、エッジによる打ち傷が発生するのを抑えることができる。

0035

なお、この種の車輪用軸受装置では、路面上の苛酷外部環境に曝された状態で使用され、泥水被ることも頻繁にある。さらに、沿岸地においては塩水が振りかかり、また寒冷地では凍結防止剤が撒かれることがあって、その凍結防止剤中の塩分を含む泥水が振りかかる。特に内輪5は、鋼材素地のままで露出しているため、塩泥水が振りかかると塩害による腐食が生じる恐れがある。このような状況下でこの部位の腐食が進展すると、環境下に存在する拡散性水素が内輪5の組織内に侵入して水素脆化を招くことになり金属粒界破壊する遅れ破壊が発生する可能性があり好ましくない。

0036

本発明に係る車輪用軸受装置では、加締部7が面取り部18を包含して大端面17に密着した状態で形成されているので、内輪5の面取り部18が露出しないため、外部からの雨水やダスト等が内輪5の面取り部18と加締部7との接合面に浸入するのを防止すると共に、フープ応力が発生する内輪5の面取り部18に、打ち傷だけでなく塩害による腐食が生じるのを防止して遅れ破壊が発生することを防止することができる。

0037

図3は、本発明に係る車輪用軸受装置の第2の実施形態を示す縦断面図、図4は、図3の車輪用軸受装置の変形例を示す縦断面図である。なお、この実施形態は前述した第1の実施形態(図1)と基本的にはハブ輪と軸受部の構成が異なるだけで、その他前述した実施形態と同一部品同一部位あるいは同一機能を有する部品、部位には同じ符号を付して詳細な説明を省略する。

0038

図3に示す車輪用軸受装置は駆動輪側の第2世代構造をなし、ハブ輪21と、このハブ輪21に装着された車輪用軸受22とを備えている。ハブ輪21は、アウター側の端部に車輪取付フランジ6を有し、外周にこの車輪取付フランジ6から肩部21aを介して軸方向に延びる小径段部21bが形成され、内周にトルク伝達用セレーション(またはスプライン)21cが形成されている。そして、小径段部21bに車輪用軸受22が所定のシメシロを介して圧入され、小径段部21bの端部を塑性変形させて形成した加締部7によって軸受予圧が付与された状態で軸方向に固定されている。ハブ輪21はS53C等の炭素0.40〜0.80重量%を含む中高炭素鋼で形成され、肩部21aから小径段部21bに亙って高周波焼入れによって表面硬さを50〜64HRCの範囲に硬化処理が施されている。

0039

車輪用軸受22は、外周に車体取付フランジ2bを一体に有し、内周に複列の外側転走面2a、2aが一体に形成された外方部材2と、外周に複列の外側転走面2a、2aに対向する内側転走面5aがそれぞれ形成された内輪23、5と、両転走面間に保持器8、8を介して転動自在に収容された複列の転動体3、3と、外方部材2と内輪23、5との間に形成される環状空間の開口部に装着されたシール10、10とを備えている。内輪23はSUJ2等の高炭素クロム軸受鋼からなり、ズブ焼入れによって芯部まで58〜64HRCの範囲に硬化処理されている。

0040

本実施形態では、一対の内輪23、5のうち、アウター側の内輪23の大端面側の面取り部23aが、インナー側の内輪5の面取り部18よりも大きく形成されている。これにより、ハブ輪21の肩部21aと小径段部21bとの隅部21dの面取りを大きく設定することができ、大きなモーメント荷重が車輪取付フランジ6に負荷されても応力集中を緩和することができ、ハブ輪21の強度・耐久性を向上させることができる。

0041

ここで、前述した実施形態と同様、インナー側の内輪5の面取り部18が、円弧面19と、この円弧面18の接線から径方向外方に向って漸次インナー側に傾斜する傾斜面20で構成され、加締部7とハブ輪21の肩部21aとの間で、一対の内輪23、5が挟持された状態でハブ輪21に固定されている。これにより、揺動加締によりインナー側の内輪5が径方向外方に弾性変形するのを抑制でき、内輪5のフープ応力を低減させることができると共に、加締加工に伴って内輪5にフープ応力が発生しても、打ち傷に起因する遅れ破壊の発生を抑制して耐久性の向上を図ることができる。

0042

図4に示す車輪用軸受装置は、前述した車輪用軸受装置(図3)の変形例で、基本的には車輪用軸受の一部の構成だけが異なる。なお、その他前述した実施形態と同一部品同一部位あるいは同一機能を有する部品、部位には同じ符号を付して詳細な説明を省略する。

0043

この車輪用軸受装置は駆動輪側の第1世代構造をなし、ハブ輪21と、このハブ輪21に装着される車輪用軸受24とを備えている。車輪用軸受24は、内周に複列の外側転走面2a、2aが一体に形成された外方部材25と、外周に複列の外側転走面2a、2aに対向する内側転走面5aがそれぞれ形成された内輪23、5と、両転走面間に保持器8、8を介して転動自在に収容された複列の転動体3、3と、外方部材25と内輪23、5との間に形成される環状空間の開口部に装着されたシール10、10とを備えている。

0044

外方部材25は、外周に車体取付フランジはなく、ナックル(図示せず)に直接嵌合される。この外方部材25はSUJ2等の高炭素クロム鋼で形成され、ズブ焼入れによって芯部まで58〜64HRCの範囲に硬化処理されている。

0045

ここで、本実施形態でも、前述した実施形態と同様、インナー側の内輪5の面取り部18が、円弧面19と、この円弧面19の接線から径方向外方に向って漸次インナー側に傾斜する傾斜面20で構成され、内輪5の面取り部18を包含し、大端面17に密着した状態で揺動加締されている。これにより、揺動加締によりインナー側の内輪5が径方向外方に弾性変形するのを抑制でき、内輪5のフープ応力を低減させることができると共に、加締加工に伴って内輪5にフープ応力が発生しても、打ち傷に起因する遅れ破壊の発生を抑制して耐久性の向上を図ることができる。

実施例

0046

以上、本発明の実施の形態について説明を行ったが、本発明はこうした実施の形態に何等限定されるものではなく、あくまで例示であって、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、さらに種々なる形態で実施し得ることは勿論のことであり、本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、および範囲内のすべての変更を含む。

0047

本発明に係る車輪用軸受装置は、ハブ輪の小径段部に内輪が圧入され、小径段部の端部を塑性変形させて形成した加締部によって内輪が軸方向に固定された第1世代乃至第3世代のセルフリテイン構造の車輪用軸受装置に適用できる。

0048

1内方部材
2、25外方部材
2a 外側転走面
2b車体取付フランジ
3転動体
4、21ハブ輪
4a、5a 内側転走面
4b、21b小径段部
4c、21a肩部
5、23内輪
5c小端面
6車輪取付フランジ
6aハブボルト
6b 車輪取付フランジのインナー側の基部
7加締部
8保持器
9、10シール
11、15芯金
12、16シール部材
12a、12b、16aサイドリップ
12c、16bグリースリップ
13シール板
14スリンガ
14a円筒部
14b立板部
16c中間リップ
17 内輪の大端面
18、23a面取り部
19円弧面
20 傾斜面
21cセレーション
21d 隅部
22、24車輪用軸受
51 内方部材
52 外方部材
52a 外側転走面
52b 車体取付フランジ
53ボール
54 ハブ輪
54a、55a 内側転走面
54b 小径段部
55、60 内輪
55b、61 内輪の大端面
56 車輪取付フランジ
56a ハブボルト
57、63 加締部
58 保持器
59、62 傾斜面
L1 面取り部の軸方向寸法
L2 面取り部の径方向寸法
r1 円弧面の曲率半径
α1 傾斜面の傾斜角
α2 内輪の大端面と傾斜面との交差角
θ1、θ3 傾斜面の傾斜角
θ2、θ4 内輪の大端面と傾斜面との交差角

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