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技術 酸化物単結晶基板の研磨スラリー及びその製造方法

出願人 住友金属鉱山株式会社
発明者 青木克冬
出願日 2015年11月12日 (3年8ヶ月経過) 出願番号 2015-221758
公開日 2017年3月9日 (2年4ヶ月経過) 公開番号 2017-048359
状態 特許登録済
技術分野 抗スリップ物質 仕上研磨、刃砥ぎ、特定研削機構による研削 洗浄、機械加工
主要キーワード クエン酸添加量 活性ケイ素 機械工 クエン酸金属塩 ゲル化抑制効果 研削材料 希釈過程 ケイ酸アルキル
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課題

コロイダルシリカに対して特定の添加剤を組み合わることで研磨速度を向上しうる、タンタル酸リチウム又はニオブ酸リチウム等の酸化物単結晶基板研磨スラリー及びその製造方法を提供する。

解決手段

研磨粒子として平均粒子径100nm以下のコロイダルシリカを含み、添加剤としてクエン酸化合物を含有する酸化物単結晶基板研磨用スラリーであって、さらに添加剤として硫酸塩を含有し、かつ、該クエン酸化合物の添加量がコロイダルシリカに対して、0.01〜0.12mol/Lであることを特徴とする酸化物単結晶基板研磨用スラリーなどによって提供する。

概要

背景

近年急速に市場拡大している移動体通信機器携帯電話スマートフォン等)には、弾性表面波デバイスが使用されるが、その基板材料として、タンタル酸リチウムニオブ酸リチウム等の酸化物単結晶が必要不可欠な材料となっている。

弾性表面波デバイス用基板は、通常、鏡面研磨が施されているが、その手法としてメカノケミカルポリッシュ(あるいは単にポリッシュ)と呼ばれる研磨加工が広く採用されている。メカノケミカルポリッシュでは、コロイダルシリカと呼ばれる微粒子状の二酸化ケイ素シリカ粒子)を水中に分散したスラリー研磨剤として用い、不織布やウレタンなどからなる研磨パッドに基板を加圧することにより鏡面研磨する(たとえば、特許文献1参照)。

特許文献1によれば、ウエハ収容部を改良したので平坦度などの優れた加工精度が得られるが、タンタル酸リチウム(LT)、ニオブ酸リチウム(LN)などの酸化物単結晶はモース硬度で5〜6と硬度が高く、かつ、化学的にも極めて安定な材料であることから、研磨速度が非常に遅くて、十分な生産性が得られていない。

LT、LNなど酸化物単結晶基板のポリッシュにおいては、コロイダルシリカ中添加剤が研磨速度に大きく影響することが知られている。
たとえば特許文献2は、アルドース酸化によって得られるウロン酸などを添加剤として含有させた研磨用組成物を提案しており、このようなキレート剤有機酸などキレート性を示す物質の添加により研磨速度が向上することを記載している。その中でも、グルコン酸塩やDHEG(ジヒドロキシグリシン)が高い効果を示すとする一方、クエン酸の場合はグルコン酸の7割程度の研磨速度であり、研磨速度がある程度向上するものの十分な効果が得られていないことを示している。

しかしながら、研磨性能が良いグルコン酸は、流通量が少ない有機酸であり、クエン酸と比較すると世界生産量は10分の1以下である。グルコン酸の流通量からして供給不足に陥る危険性は低いが、移動体通信機器のこれからの市場拡大を踏まえれば、より流通量の多い原料を選択して供給リスクの低減につなげる必要がある。
また、DHEGは、グルコン酸やクエン酸など有機酸に比べると、さらに流通量が少ないうえ非常に高価である。LTやLNなど電子部品材料コス競争激しく、DHEGのような高価な原料を用いるのはコスト面で問題がある。

このような状況下、流通量の多い原料を選択して供給リスクが低減でき、コスト面の問題がないだけでなく、タンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウムなど硬度が高く、かつ、化学的にも極めて安定な酸化物単結晶材料の研磨速度を高め、生産性を向上しうるコロイダルシリカを含む研磨スラリーが必要とされている。

概要

コロイダルシリカに対して特定の添加剤を組み合わることで研磨速度を向上しうる、タンタル酸リチウム又はニオブ酸リチウム等の酸化物単結晶基板の研磨スラリー及びその製造方法を提供する。研磨粒子として平均粒子径100nm以下のコロイダルシリカを含み、添加剤としてクエン酸化合物を含有する酸化物単結晶基板研磨用スラリーであって、さらに添加剤として硫酸塩を含有し、かつ、該クエン酸化合物の添加量がコロイダルシリカに対して、0.01〜0.12mol/Lであることを特徴とする酸化物単結晶基板研磨用スラリーなどによって提供する。 なし

目的

本発明の目的は、コロイダルシリカに特定の添加剤を組み合わせたことで研磨速度が向上した、タンタル酸リチウム又はニオブ酸リチウム等の酸化物単結晶基板の研磨スラリー及びその製造方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

研磨粒子として平均粒子径100nm以下のコロイダルシリカを含み、添加剤としてクエン酸化合物を含有する酸化物単結晶基板研磨用スラリーであって、さらに添加剤として硫酸塩を含有し、かつ、該クエン酸化合物の添加量がコロイダルシリカに対して、0.01〜0.12mol/Lであることを特徴とする酸化物単結晶基板研磨用スラリー。

請求項2

前記クエン酸化合物が、クエン酸ナトリウム、またはクエン酸カリウムであることを特徴とする請求項1に記載の酸化物単結晶基板研磨用スラリー。

請求項3

前記硫酸塩が、硫酸ナトリウム又は硫酸カリウムであり、その添加量が、0.02mol/L以下であることを特徴とする請求項1に記載の酸化物単結晶基板研磨用スラリー。

請求項4

前記コロイダルシリカの濃度が、10〜50質量%であることを特徴とする請求項1に記載の酸化物単結晶基板研磨用スラリー。

請求項5

前記酸化物単結晶基板が、タンタル酸リチウム又はニオブ酸リチウム酸化物単結晶ウエハであることを特徴とする請求項1に記載の酸化物単結晶基板研磨用スラリー。

請求項6

前記平均粒子径100nm以下のコロイダルシリカに対して、添加剤としてのクエン酸化合物の量を0.01〜0.12mol/Lの範囲で設定し、コロイダルシリカの平均粒子径に応じて調整して添加し、次に硫酸塩を添加し均一になるまで混合することを特徴とする請求項1〜5に記載の酸化物単結晶基板研磨用スラリーの製造方法。

請求項7

請求項1〜5のいずれかに記載の研磨用スラリーを用い、研磨装置に貼り付けた酸化物単結晶基板にスラリーを供給しながら研磨することを特徴とする酸化物単結晶基板の研磨方法

技術分野

0001

本発明は、酸化物単結晶基板研磨スラリー及びその製造方法に関し、より詳しくは、コロイダルシリカに特定の添加剤を組み合わせたことで研磨速度を向上しうる、タンタル酸リチウム又はニオブ酸リチウム等の酸化物単結晶基板の研磨スラリー及びその製造方法に関するものである。

背景技術

0002

近年急速に市場拡大している移動体通信機器携帯電話スマートフォン等)には、弾性表面波デバイスが使用されるが、その基板材料として、タンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウム等の酸化物単結晶が必要不可欠な材料となっている。

0003

弾性表面波デバイス用基板は、通常、鏡面研磨が施されているが、その手法としてメカノケミカルポリッシュ(あるいは単にポリッシュ)と呼ばれる研磨加工が広く採用されている。メカノケミカルポリッシュでは、コロイダルシリカと呼ばれる微粒子状の二酸化ケイ素シリカ粒子)を水中に分散したスラリー研磨剤として用い、不織布やウレタンなどからなる研磨パッドに基板を加圧することにより鏡面研磨する(たとえば、特許文献1参照)。

0004

特許文献1によれば、ウエハ収容部を改良したので平坦度などの優れた加工精度が得られるが、タンタル酸リチウム(LT)、ニオブ酸リチウム(LN)などの酸化物単結晶はモース硬度で5〜6と硬度が高く、かつ、化学的にも極めて安定な材料であることから、研磨速度が非常に遅くて、十分な生産性が得られていない。

0005

LT、LNなど酸化物単結晶基板のポリッシュにおいては、コロイダルシリカ中の添加剤が研磨速度に大きく影響することが知られている。
たとえば特許文献2は、アルドース酸化によって得られるウロン酸などを添加剤として含有させた研磨用組成物を提案しており、このようなキレート剤有機酸などキレート性を示す物質の添加により研磨速度が向上することを記載している。その中でも、グルコン酸塩やDHEG(ジヒドロキシグリシン)が高い効果を示すとする一方、クエン酸の場合はグルコン酸の7割程度の研磨速度であり、研磨速度がある程度向上するものの十分な効果が得られていないことを示している。

0006

しかしながら、研磨性能が良いグルコン酸は、流通量が少ない有機酸であり、クエン酸と比較すると世界生産量は10分の1以下である。グルコン酸の流通量からして供給不足に陥る危険性は低いが、移動体通信機器のこれからの市場拡大を踏まえれば、より流通量の多い原料を選択して供給リスクの低減につなげる必要がある。
また、DHEGは、グルコン酸やクエン酸など有機酸に比べると、さらに流通量が少ないうえ非常に高価である。LTやLNなど電子部品材料コス競争激しく、DHEGのような高価な原料を用いるのはコスト面で問題がある。

0007

このような状況下、流通量の多い原料を選択して供給リスクが低減でき、コスト面の問題がないだけでなく、タンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウムなど硬度が高く、かつ、化学的にも極めて安定な酸化物単結晶材料の研磨速度を高め、生産性を向上しうるコロイダルシリカを含む研磨スラリーが必要とされている。

先行技術

0008

特開2011−206891号公報
特開2006−150482号公報

発明が解決しようとする課題

0009

本発明の目的は、コロイダルシリカに特定の添加剤を組み合わせたことで研磨速度が向上した、タンタル酸リチウム又はニオブ酸リチウム等の酸化物単結晶基板の研磨スラリー及びその製造方法を提供することにある。

課題を解決するための手段

0010

本発明者は、上記目的を達成するために、キレート作用を示す添加剤と凝集作用を示す添加剤との混合による研磨速度への影響について鋭意研究を行った結果、クエン酸のみを添加した場合ではグルコン酸の研磨速度に及ばないものの、クエン酸と硫酸塩を混合することによりグルコン酸と同等の研磨速度が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。

0011

すなわち、本発明の第1の発明によれば、研磨粒子として平均粒子径100nm以下のコロイダルシリカを含み、添加剤としてクエン酸化合物を含有する酸化物単結晶基板研磨用スラリーであって、さらに添加剤として硫酸塩を含有し、かつ、該クエン酸化合物の添加量がコロイダルシリカに対して、0.01〜0.12mol/Lであることを特徴とする酸化物単結晶基板研磨用スラリーが提供される。

0012

また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、前記クエン酸化合物が、クエン酸ナトリウム、またはクエン酸カリウムであることを特徴とする酸化物単結晶基板研磨用スラリーが提供される。

0013

また、本発明の第3の発明によれば、第1の発明において、前記硫酸塩が、硫酸ナトリウム又は硫酸カリウムであり、その添加量が、0.02mol/L以下であることを特徴とする酸化物単結晶基板研磨用スラリーが提供される。

0014

また、本発明の第4の発明によれば、第1の発明において、前記コロイダルシリカの濃度が、10〜50質量%であることを特徴とする酸化物単結晶基板研磨用スラリーが提供される。

0015

また、本発明の第5の発明によれば、第1の発明において、前記酸化物単結晶基板が、タンタル酸リチウム又はニオブ酸リチウムの酸化物単結晶ウエハであることを特徴とする酸化物単結晶基板研磨用スラリーが提供される。

0016

また、本発明の第6の発明によれば、第1〜5のいずれかの発明において、前記平均粒子径100nm以下のコロイダルシリカに対して、添加剤としてのクエン酸化合物を0.01〜0.12mol/Lの範囲に設定し、コロイダルシリカの平均粒子径に応じて調整して添加し、次に硫酸塩を添加し均一になるまで混合することを特徴とする酸化物単結晶基板研磨用スラリーの製造方法が提供される。

0017

また、本発明の第7の発明によれば、第1〜5のいずれかの発明の研磨用スラリーを用い、研磨装置に貼り付けた酸化物単結晶基板にスラリーを供給しながら研磨することを特徴とする酸化物単結晶基板の研磨方法が提供される。

発明の効果

0018

本発明に依れば、酸化物単結晶基板を鏡面研磨する用途において、コロイダルシリカに対して、特定の添加剤を配合するが、添加剤が比較的安価で入手しやすいので、少ない供給リスクで高い研磨速度が得られる研磨スラリーを提供することが出来る。
また、コロイダルシリカに対する添加剤の量が少なくて済むので、研磨スラリーの製造コストを抑えることができる。

0019

以下、本発明の酸化物単結晶基板の研磨スラリーにつき、具体的な実施形態を詳細に説明する。なお、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて、本発明は以下の実施の形態によってのみ限定されるものではない。

0020

1.酸化物単結晶基板の研磨スラリー
本発明の酸化物単結晶基板研磨用スラリーは、研磨粒子として平均粒子径100nm以下のコロイダルシリカを含み、添加剤としてクエン酸化合物と硫酸塩を含有し、かつ、クエン酸イオン濃度が0.01〜0.12mol/Lであることを特徴とする。

0021

すなわち、本発明における研磨スラリー組成は、主にコロイダルシリカ、キレート剤(クエン酸塩)、硫酸塩、および水からなる。

0022

(1)コロイダルシリカ
コロイダルシリカは、一次粒子の平均粒子径が100nm以下のものが望ましい。平均粒子径が100nmよりも大きいコロイダルシリカは、研磨対象物研磨能力が高くないためである。コロイダルシリカの平均粒子径は、25nm以上かつ90nm以下であることがより好ましい。

0023

また、シリカ粒子の粒子径は、5〜150nmの範囲が好ましく、10〜140nmの範囲がより好ましい。ここで、シリカ粒子の粒子径は、BET法や動的光散乱法(DLS法)、あるいは走査型電子顕微鏡(SEM)や透過電子顕微鏡TEM)の観察画像から直接粒子径を測定して求めることができる。粒子径の測定方法は特に限定されないが、手法間で測定値のずれが生じる場合がある。

0024

すなわち、BET法では、粒子凝集した場合に比表面積が小さくなるので、実際の粒子径よりも小さく測定される傾向がある。DLS法では、粒子が凝集するとその塊を一つの粒子として検出するため、小さい粒子が検出されず、実際には含まれない大きい粒子が検出される傾向がある。SEMでは、試料を乾燥させる過程で粒子に偏りが生じると、粒度分布がずれることがある。また、TEMでは、前記の3手法よりも薄い倍率希釈する必要があるため、希釈過程で凝集と粒子の偏りが生じることがある。そのため、上記の粒子径は最大20%の測定誤差を考慮したものである。

0025

本発明においては、いずれの手法で粒子径を測定しても良いが、上記の問題による測定誤差が小さくなるように正確に粒子径を測定する。本発明では、最も安定した測定値が得られるという観点からSEMによることが好ましい。

0026

本発明において、シリカ粒子は、水ガラス法あるいはアルコキシド法で製造できる。ただし、これらはコロイダルシリカスラリーを製造する方法の一例にすぎず、本発明においては、他の公知のいかなる手法を採用することもできる。

0027

また、コロイダルシリカの濃度は、特に限定されないが、10質量%よりも小さいとシリカ微粒子と研磨対象物が充分に接触せず、本来の研磨能力が発揮されない恐れがある。また、50質量%よりも大きいとシリカ微粒子の分散安定性が低下し、コロイダルシリカが凝集する恐れがある。したがって、コロイダルシリカの濃度は、10質量%以上かつ50質量%以下であることが好ましく、15質量%以上かつ30質量%以下であることがより好ましい。い。

0028

(2)クエン酸化合物
前記の通り、研磨性能が良いキレートとしてグルコン酸が知られているが、クエン酸よりも流通量が少ない有機酸である。現状のグルコン酸の流通量からして供給不足に陥る危険性が高いわけではないが、移動体通信機器のこれからの市場拡大を踏まえれば、より流通量の多い原料を選択して供給リスクの低減につなげる必要がある。

0029

このため、本発明ではキレート添加剤として流通量が多いクエン酸化合物を使用する。クエン酸化合物とは、水に溶解した時にクエン酸イオンを生じるクエン酸、あるいはクエン酸のアルカリ金属塩などを指し、キレート剤として作用するものであり、以下、単にクエン酸ともいう。

0030

具体的には、クエン酸三ナトリウム、クエン酸一ナトリウム、クエン酸二ナトリウム、あるいはクエン酸一カリウム、クエン酸二カリウムクエン酸三カリウムクエン酸リチウムなどのアルカリ金属塩を挙げることができる。この他に、クエン酸カルシウムクエン酸マグネシウムクエン酸銅クエン酸鉄アンモニウムなどのクエン酸金属塩も使用できる。
本発明では、安価かつ安全で取り扱いが容易であるという観点から前記各種のクエン酸ナトリウムやクエン酸カリウムが好ましい。

0031

クエン酸は、濃度が高いほど研磨速度が向上するので、0.01mol/L以上、好ましくは0.03mol/L以上とする。しかし、過剰に加えるとコロイダルシリカのゲル化を引き起こし研磨速度が低下するので、クエン酸イオン濃度は0.12mol/Lを超えないようにする。0.03〜0.10mol/Lが好ましく、0.03〜0.08mol/Lがより好ましい。

0032

コロイダルシリカは、粒子径が大きいほどゲル化し易い傾向があり、それは添加剤によるゲル化の影響も粒子径が大きいほど強く受けるためと考えられる。またクエン酸は、キレート作用を持つので、コロイダルシリカに対するクエン酸の添加量は、シリカ粒径によって変わってくる。シリカの粒径が例えば60nmの場合と80nmの場合で比較すると、粒径80nmのもののほうが60nmのものよりも、少ない添加量で研磨速度を向上させやすいことを本出願人は確認している。

0033

(3)硫酸塩
本発明において硫酸塩とは、たとえば硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸リチウムなどの硫酸とアルカリ金属との化合物を挙げることができる。この他に、硫酸ベリリウム硫酸マグネシウム硫酸カルシウムなども使用できる。水に溶解して硫酸イオンを生じればよいので、硫酸や硫酸水素ナトリウムでもpHを調整すれば使用できる。
本発明では、安価であり、pH調整も不要であるなどの観点から硫酸ナトリウム、硫酸カリウムが好ましい。

0034

前記クエン酸化合物は、金属イオンに対してキレート作用を発揮するが、硫酸塩は凝集作用を与えることから、研磨速度を向上させる作用機構が異なっている。このように作用機構が異なる者同士を混合することは、従来ほとんど検討されていない。

0035

本発明は、クエン酸と硫酸塩を特定量混合して、グルコン酸と同等、あるいはそれ以上の研磨速度の向上効果を得ようとするものであり、キレート添加剤の供給リスクを低減させつつ高い研磨速度を得ることが可能である。
硫酸塩の添加量は、特に限定されず、硫酸イオン濃度0.005mol/L以上を目安とするが、0.020mol/L以下が好ましい。これを超えても効果は向上しないため、0.015mol/L以下が好ましい。

0036

クエン酸の場合は、前記のとおり、キレート作用を持つのでコロイダルシリカに対する添加量をシリカの粒径によって変化させる。ところが、硫酸塩では、このような知見は得られていない。
クエン酸によるコロイダルシリカのゲル化を硫酸塩が抑制することによる研磨効果を考慮し、前記のようにシリカの粒径が例えば60nmのものと80nmのものとで比較したとしても、両者の間で大差はないものと考えられる。

0037

2.研磨スラリーの製造方法
本発明の研磨スラリーの製造方法は、平均粒子径100nm以下のコロイダルシリカに対して、添加剤としてのクエン酸化合物の量を0.01〜0.12mol/Lの範囲に設定し、かつコロイダルシリカの平均粒子径に応じて調整して添加し、次に硫酸塩を添加し均一になるまで混合することを特徴とする。

0038

すなわち、まずシリカ粒子を水に分散させたコロイダルシリカを用意する。コロイダルシリカの原料であるシリカ粒子は、一般に、水ガラス法とアルコキシド法によって製造されている。

0039

水ガラス法とは、ケイ酸ソーダイオン交換し、活性ケイ素を調整後、これを加熱下において、苛性ソーダでpH調整した種粒子含有水溶液中に添加し、粒子成長させる手法である。また、アルコキシド法とは、ケイ酸アルキルテトラアルコキシシラン)を塩基性触媒存在下で加水分解すると同時に縮合、粒子成長を行いながらシリカ粒子を製造する手法である。また、100nm以上の比較的大きい粒子については、予め大きめのシリカ粒子を作り、それを粉砕分級して粒子径をそろえる手法も採ることができる。
そして、温度、pH等の制御により製造段階で所望の粒度分布を得ることもできる。こうして平均粒子径が100nm以下のシリカ粒子が水などに分散したコロイダルシリカとする。

0040

得られたコロイダルシリカは、一種だけ用いてもよいし、二種以上を混合してもよい。たとえば平均粒子径が60nm以下のシリカ粒子Aと、平均粒子径が110nm以上のシリカ粒子Bとの二種を所定量混合したり、これに平均粒子径が50〜90nmのシリカ粒子Cを加えた三種を所定量混合したりして製造することができる。

0041

次に、コロイダルシリカに対して、クエン酸化合物の添加量を0.01〜0.12mol/Lの範囲で設定する。研磨速度が向上させるには、0.03mol/L以上とする必要がある一方で、過剰に加えるとコロイダルシリカのゲル化を引き起こし研磨速度が低下するため0.12mol/L以下、特に0.08mol/L以下にするのが望ましい。

0042

クエン酸は、キレート作用を持つので、コロイダルシリカに対する添加量が、シリカの粒径によって変化することから、添加量はコロイダルシリカの平均粒子径に応じて調整する。

0043

具体的には、シリカの粒径が60nmの場合と80nmの場合で比較すると、粒径80nmのもののほうが60nmのものよりも、少ないクエン酸添加量で研磨速度を向上できることから、添加量の下限設定値を0.01〜0.03mol/Lの範囲で増減させることが好ましい。

0044

その後、硫酸塩を添加し均一になるまで十分に撹拌・混合する。硫酸塩をクエン酸に続いて添加することで、クエン酸によるコロイダルシリカのゲル化が抑制される。混合装置撹拌条件は一般的なものでよく特に限定されない。常温でもよいが30〜80℃程度に加熱しても良い。

0045

硫酸塩は、クエン酸化合物に添加するとき、濃度が高いほど研磨速度の向上効果が大きい。ただし、硫酸イオン濃度は0.020mol/L以下が好ましい。それを超えても研磨効果が向上しないためであり、0.015mol/L以下がより好ましい。

0046

3.酸化物単結晶基板の研磨方法
本発明の研磨スラリーを用いて酸化物単結晶基板を研磨するには、研磨装置の基板(ウエハ)収容部に基板をワックスなどで貼り付けて保持した後、研磨定盤上表面に研磨布を貼り付け、この研磨布上へ前記の研磨スラリーを供給して研磨する。

0047

研磨対象物は、LTやLNなどの酸化物単結晶基板である。そのサイズは、特に制限されず、4インチ以下の小さなものから、5インチを超えるような大きなものまで研磨することができる。
研磨定盤は、この定盤に連結された駆動軸を介してモーター制御等により任意の回転速度で回転駆動される。

0048

そして、研磨定盤を回転させながら、上記研磨布上へ研磨スラリーを供給し、合せて押圧機構部を研磨定盤と逆方向へ回転させることで、研磨布に押圧されたウエハ基板表面の鏡面研磨加工が行われる。

0049

定盤の回転数は、装置の種類などにもよるが、例えば50〜200rpmとし、研磨荷重は300〜800g/cm2とすることができる。
研磨時間は規定しにくいが、例えば30〜120分とすることができる。本発明では、前記のとおり、クエン酸と硫酸塩を特定量混合した研磨スラリーを用いるので、クエン酸のキレート効果、硫酸塩によるコロイダルシリカのゲル化抑制効果で、顕著な研磨性能が得られる。十分に研磨し、基板が所定の厚みに達したところで研磨加工を終了する。本発明の研磨スラリーは研磨速度が大きいので、基板の種類によっては30分以内で研磨を終了できる場合もある。

0050

以上、LTやLNの基板を研磨する方法について述べたが、研磨機構はコロイダルシリカによるサファイアの場合も同じといわれているため、本発明の研磨スラリーは、サファイア基板の研磨にも同様に用いることができる。

0051

以下に本発明の実施例を挙げて比較例と対比して具体的に説明するが、本発明はこの実施例によって限定されるものではない。

0052

なお、以下の実施例においては、いずれも表1に示す条件にて研磨し、研磨後基板厚マイクロメーターで測定して研磨速度を計算して評価を行った。

0053

0054

(実施例1〜5)
平均粒子径が60nmのコロイダルシリカを20質量%に調整したもの(住石マテリアルズ(株)製、CMP−30CN)を用意し、添加剤として有機酸塩のクエン酸三ナトリウム(扶化学工業(株)製「精製クエン酸ナトリウム」)、と硫酸ナトリウム(四国化成工業(株)製「中性無水芒硝」)を用い、表2に示した量で均一となるように混合し本発明の研磨スラリーを調製した。
次に、研磨装置(不二越機械工業社製SPM−12)に、研磨材料としてタンタル酸リチウム基板4インチを用意し、ワックスを用いてブロックに貼り付けた。その後、研磨パッドとしてロデール社製SUBA800を用い、表1の条件で研磨材料の研磨を行い、コロイダルシリカに添加した各添加剤研磨速度向上の効果を評価した。結果を表2に記した。

0055

(比較例1)
実施例1と同じ平均粒子径が60nmのコロイダルシリカを20質量%に調整したものを用意し、いずれの添加剤も用いずに、研磨スラリーとした。実施例1と同様に表1の条件で研磨を行った。結果を表2に記した。

0056

(比較例2〜4)
比較例1のスラリーに対して、キレート剤として有機酸塩のグルコン酸カリウム和光純薬工業(株)製「グルコン酸カリウム」)を用い、表2に示した量を混合した。実施例1と同様に表1の条件で研磨を行った。結果を表2に記した。

0057

(比較例5〜7)
比較例1のスラリーに対して、キレート剤としてDHEG(ジヒドロキシグリシン(中部キレスト(株)製「キレストGA」)を用い、表2に示した量で混合した。実施例1と同様に表1の条件で研磨を行った。結果を表2に記した。

0058

(比較例8〜10)
比較例1のスラリーに対して、キレート剤として有機酸塩のクエン酸三ナトリウム(扶桑化学工業(株)製「精製クエン酸ナトリウム」)を用い、表2に示した量で混合した。実施例1と同様に表1の条件で研磨を行った。結果を表2に記した。

0059

(比較例11〜13)
比較例1のスラリーに対して、キレート剤を用いずに、硫酸ナトリウム(四国化成工業(株)製「中性無水芒硝」)を用い、表2に示した量で混合した。実施例1と同様に表1の条件で研磨を行った。結果を表2に記した。

0060

(比較例14〜16)
比較例1のスラリーに対して、キレート剤を用いずに、硫酸カリウム(和光純薬工業(株)製「硫酸カリウム、粉末」)を用い、表2に示した量で混合した。実施例1と同様に表1の条件で研磨を行った。結果を表2に記した。

0061

(実施例6〜10)
実施例1で用いた平均粒子径が60nmのコロイダルシリカの代わりに、平均粒子径が80nmのコロイダルシリカを20質量%に調整したもの(日産化学(株)製、スノーテックスYL)を用い、添加剤には、キレート剤として有機酸塩のクエン酸三ナトリウム(扶桑化学工業(株)製「精製クエン酸ナトリウム」)、凝集剤として硫酸ナトリウム(四国化成工業(株)製「中性無水芒硝」)を用い、表2に示した量で均一に分散するように混合し本発明の研磨スラリーを調製した。
次に、研磨装置(不二越機械工業社製SPM−12)に、研磨材料としてタンタル酸リチウム基板4インチをワックスによりブロックに貼り付けた。その後、研磨パッドとしてロデール社製SUBA800を用い、表1の条件で研削材料研削を行い、コロイダルシリカに添加した、各添加剤の研磨速度向上の効果を評価した。結果を表2に記した。

0062

(実施例11〜12)
実施例1〜5で用いたクエン酸三ナトリウムの代わりに、キレート剤として有機酸塩のクエン酸三カリウム(和光純薬工業(株)製「くえん酸三カリウム一水和物」)を用い、凝集剤には硫酸ナトリウム(四国化成工業(株)製「中世無水芒硝」)を用い、表2に示した量で均一となるように混合し本発明の研磨スラリーを調整した。
次に、研磨装置(不二越機械工業社製SPM−12)に、研磨材料としてタンタル酸リチウム基板4インチを用意し、ワックスを用いてブロックに貼り付けた。その後、研磨パッドとしてロデール社製SUBA800を用い、表1の条件で研磨材料の研磨を行い、コロイダルシリカに添加した各添加剤の研磨速度向上の効果を評価した。結果を表2に記した。

0063

(実施例13〜14)
実施例1〜5で用いた硫酸ナトリウムの代わりに、凝集剤として硫酸カリウム(和光純薬工業(株)製「硫酸カリウム、粉末」)を用い、キレート剤にはクエン酸ナトリウム(扶桑化学工業(株)製「精製クエン酸ナトリウム」)を用い、表2に示した量で均一となるように混合し本発明の研磨スラリーを調整した。
次に、研磨装置(不二越機械工業社製SPM−12)に、研磨材料としてタンタル酸リチウム基板4インチを用意し、ワックスを用いてブロックに貼り付けた。その後、研磨パッドとしてロデール社製SUBA800を用い、表1の条件で研磨材料の研磨を行い、コロイダルシリカに添加した各添加剤の研磨速度向上の効果を評価した。結果を表2に記した。

0064

0065

「評価」
上記実施例・比較例の結果を示す表2から次のことが分かる。研磨速度の目標値は、0.42μm/minとしたが、0.40μm/min程度であれば実用上問題はない。

0066

平均粒子径60nmのコロイダルシリカを用いた場合、添加剤を含まない比較例1に対して、比較例5〜7が示す通り、DHEGでは添加量を増やすごとに研磨速度が向上したが、0.06mol/L以上では速度の向上は見られなかった。
また、比較例2〜4、および、比較例8〜10が示す通り、グルコン酸カリウムとクエン酸三ナトリウムでは添加量を増やすごとに研磨速度が向上したが、0.06mol/L以上では速度の低下が見られた。添加濃度0.12mol/Lではコロイダルシリカのゲル化が確認でき、これによって研磨速度が低下したと考えられる。比較例2〜10の中では、比較例3、6、7が研磨速度0.43μm/min.と最速であり、特許文献2の結果が再現された。しかし、前記の通り供給不安などが懸念される。

0067

硫酸塩のみを添加した比較例11〜16では、キレート剤や有機酸塩ほどではないが若干の研磨速度向上が見られた。コロイダルシリカに硫酸塩のような凝集剤を添加することにより研磨速度が向上し、研磨速度は添加量を増やすごとに向上したが、添加濃度0.01mol/L以上では速度の向上は見られなかった。

0068

実施例1〜5は、比較例8〜10と比較すると、各クエン酸三ナトリウム濃度において高い研磨速度を示しており、硫酸ナトリウムとの混合による相乗効果が確認できた。比較例3(グルコン酸カリウム0.06mol/L)と比べると、比較例9(クエン酸三ナトリウム単体0.06mol/L)は9%劣る研磨速度であったのに対し、実施例3(クエン酸三ナトリウム0.06mol/L+硫酸ナトリウム0.01mol/L)は同等の研磨速度であった。実施例1〜5においてもクエン酸三ナトリウムの添加量を増やすごとに研磨速度が向上したが、0.06mol/Lである実施例4、5では研磨速度の低下が見られた。これは比較例10と同様の傾向である。

0069

実施例6〜10は、平均粒子径80nmのコロイダルシリカにて比較を行った結果であるが、実施例8は実施例3と同等の研磨速度を示しており、クエン酸三ナトリウムと硫酸ナトリウムの混合による効果は、コロイダルシリカの粒子径の大小によらず現れることが確認できた。
ただし、平均粒子径80nmのコロイダルシリカでは、平均粒子径60nmのコロイダルシリカよりも低い添加濃度でゲル化することが確認できた。コロイダルシリカは粒子径が大きいほどゲル化し易い傾向があり、添加剤によるゲル化の影響も粒子径が大きいほど強く受けるためであると考えられる。

0070

したがって、本発明はコロイダルシリカに添加するクエン酸化合物の濃度を0.01〜0.12mol/Lとするが、シリカ粒子径が大きすぎる場合や添加剤濃度が高すぎる場合はゲル化による研磨速度低下を引き起こすことがないよう、平均粒子径100nm以下のコロイダルシリカを用い、添加量は0.06mol/L以下、粒子径によっては0.03mol/L以下というように添加濃度を抑えるとともに、硫酸塩を添加すれば、より最適な条件で研磨することが可能である。

実施例

0071

実施例11〜14は、クエン酸の三ナトリウム塩を三カリウム塩、あるいは、硫酸のナトリウム塩を硫酸のカリウム塩に変更した場合の結果である。それぞれ、イオン濃度同一条件である実施例1、実施例3と同等の研磨速度が得られた。すなわち、本発明ではクエン酸イオンと硫酸イオンを含んでいることが重要であり、用いる塩はいずれであってもよいといえる。

0072

本発明の研磨スラリーは、酸化物単結晶基板を鏡面研磨する際に利用でき、生産性向上に寄与する。

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