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技術 印刷配線板

出願人 京セラ株式会社
発明者 内藤政則
出願日 2015年8月26日 (4年6ヶ月経過) 出願番号 2015-167258
公開日 2017年3月2日 (3年0ヶ月経過) 公開番号 2017-045863
状態 特許登録済
技術分野 多層プリント配線板の製造 ウェーブガイド 導波管型の結合装置
主要キーワード 透過波形 電流分布図 波長計算 リターン電流経路 近似線 リターン経路 時間領域反射 接続手法
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (16)

課題

信号ビア周辺充填材料を必要とせず、信号配線層間接続制約されない、伝送特性整合可能な印刷配線板を提供する。

解決手段

表裏面を貫通し、内壁面導体層を形成した信号ビアを備える印刷配線板であって、前記信号ビアの周囲のクリアランス径から信号ビア径を除いたクリアランスYが次の関係式満足し、かつ整合ビアをクリアランスYの外周部に接するように配置することを特徴とする印刷配線板。

数1

(但し、λは信号波長(mm)、Y>0)

概要

背景

従来、多層構造印刷配線板にLSI(大規模集積回路)等の電子部品実装するために、内層回路との接続に、印刷配線板を貫通するスルーホールを形成し、スルーホール内導体層としてめっき処理を施して信号回路ビア部)を形成している。

ビア部のインピーダンス整合は、伝送品質を確保する上で重要な項目である。伝送品質を確保する一般的な手法として、配線部分の特性インピーダンス差動インピーダンス整合させる手法が提案されている。

ビア部のインピーダンス不整合の問題を解決するための手法として、例えば、信号ビア周囲にインピーダンス整合用のビアを設ける手法が提案されている。
特許文献1には、信号配線のビアの近傍にグラウンドビアを設けることにより、ビアが同軸構造となり、信号ビアとグラウンドビアの距離やこれらの直径を適宜設定することでビアの特性インピーダンスを伝送線路の特性インピーダンスに整合できる多層プリント配線板が記載されている。
また、特許文献2には、回路基板の表面と裏面との間に、電気回路信号線電気的に接続された第1スルーホールを設けるとともに、電気回路の基準電位グランド)を定める基準線に接続された少なくとも一つ以上の第2スルーホールを第1スルーホールの各々に隣接して設けた回路基板が記載されている。
また、特許文献3には、複数の絶縁層と複数の導体層とを交互に積層して構成される配線基板において、一定の特性インピーダンスを有するストリップライン又はマイクロストリップラインを内蔵した配線基板が記載されている。

このような基板において、インピーダンス整合が出来ているか否かの確認は、従来、TDR波形を確認して行い、目標とする値に一致していれば良いとされている。
しかしながら、上記の手法では、プリント配線板の層間をまたがる配線に用いられるビア部でのインピーダンス不整合による反射が問題となる。
また、TDR波形のみの確認手法では、例えば10GHzを超えるような高周波信号においては伝送品質を確保できない場合がある。

また、物性値比誘電率誘電正接)を主体とした考え方では、ビア部のインピーダンス整合を実施する手法として、プリント配線板の材料とは別に、ビア部周辺にビア部のインピーダンス整合に適した充填材料が必要である。例えば、特許文献4には、ビア部のインピーダンスを整合させるために、ビア周囲にインピーダンス整合用の材料を充填する方法が提案されている。

また、特許文献5には、モジュール基板における外層配線内層配線接続手法につい
て記載されている。しかしながら、外層配線と内層配線の接続のみでは多層構造のプリント配線板には対応できず、信号配線の接続先が特定されないという問題があった。

概要

信号ビア周辺に充填材料を必要とせず、信号配線の層間接続制約されない、伝送特性が整合可能な印刷配線板を提供する。表裏面を貫通し、内壁面に導体層を形成した信号ビアを備える印刷配線板であって、前記信号ビアの周囲のクリアランス径から信号ビア径を除いたクリアランスYが次の関係式満足し、かつ整合ビアをクリアランスYの外周部に接するように配置することを特徴とする印刷配線板。 (但し、λは信号波長(mm)、Y>0)

目的

本発明は、信号ビア周辺に充填材料を必要とせず、信号配線の層間接続に制約されない、伝送特性が整合可能な印刷配線板を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

表裏面を貫通し、内壁面導体層を形成した信号ビアを備える印刷配線板であって、前記信号ビアの周囲のクリアランス径から信号ビア径を除いたクリアランスYが次の関係式満足し、かつ整合ビアをクリアランスYの外周部に接するように配置することを特徴とする印刷配線板。(但し、λは信号波長(mm)、Y>0)

請求項2

前記信号波長λが、絶縁材料比誘電率εr、絶縁材料の比透磁率μrおよび信号の周波数fから求めたものである請求項1に記載の印刷配線板。

請求項3

前記整合ビアが内層回路に接続している請求項1または2に記載の印刷配線板。

請求項4

前記整合ビアの数が複数である請求項1〜3のいずれかに記載の印刷配線板。

請求項5

前記整合ビアの数が4個である請求項4に記載の印刷配線板。

請求項6

前記整合ビアの数が4個であり、各整合ビアを正方形頂点に見立てた場合に、頂点を結んだ対角線信号配線に対して45度傾斜している請求項5に記載の印刷配線板。

技術分野

0001

本発明は、小径ビアにおいて、伝送特性不整合が出ないように設定した印刷配線板に関する。

背景技術

0002

従来、多層構造の印刷配線板にLSI(大規模集積回路)等の電子部品実装するために、内層回路との接続に、印刷配線板を貫通するスルーホールを形成し、スルーホール内導体層としてめっき処理を施して信号回路ビア部)を形成している。

0003

ビア部のインピーダンス整合は、伝送品質を確保する上で重要な項目である。伝送品質を確保する一般的な手法として、配線部分の特性インピーダンス差動インピーダンス整合させる手法が提案されている。

0004

ビア部のインピーダンス不整合の問題を解決するための手法として、例えば、信号ビア周囲にインピーダンス整合用のビアを設ける手法が提案されている。
特許文献1には、信号配線のビアの近傍にグラウンドビアを設けることにより、ビアが同軸構造となり、信号ビアとグラウンドビアの距離やこれらの直径を適宜設定することでビアの特性インピーダンスを伝送線路の特性インピーダンスに整合できる多層プリント配線板が記載されている。
また、特許文献2には、回路基板の表面と裏面との間に、電気回路信号線電気的に接続された第1スルーホールを設けるとともに、電気回路の基準電位グランド)を定める基準線に接続された少なくとも一つ以上の第2スルーホールを第1スルーホールの各々に隣接して設けた回路基板が記載されている。
また、特許文献3には、複数の絶縁層と複数の導体層とを交互に積層して構成される配線基板において、一定の特性インピーダンスを有するストリップライン又はマイクロストリップラインを内蔵した配線基板が記載されている。

0005

このような基板において、インピーダンス整合が出来ているか否かの確認は、従来、TDR波形を確認して行い、目標とする値に一致していれば良いとされている。
しかしながら、上記の手法では、プリント配線板の層間をまたがる配線に用いられるビア部でのインピーダンス不整合による反射が問題となる。
また、TDR波形のみの確認手法では、例えば10GHzを超えるような高周波信号においては伝送品質を確保できない場合がある。

0006

また、物性値比誘電率誘電正接)を主体とした考え方では、ビア部のインピーダンス整合を実施する手法として、プリント配線板の材料とは別に、ビア部周辺にビア部のインピーダンス整合に適した充填材料が必要である。例えば、特許文献4には、ビア部のインピーダンスを整合させるために、ビア周囲にインピーダンス整合用の材料を充填する方法が提案されている。

0007

また、特許文献5には、モジュール基板における外層配線内層配線接続手法につい
て記載されている。しかしながら、外層配線と内層配線の接続のみでは多層構造のプリント配線板には対応できず、信号配線の接続先が特定されないという問題があった。

先行技術

0008

特許第4824445号公報
特許第4735614号公報
特許第4018999号公報
特許第4652230号公報
特開平9−321501号公報

発明が解決しようとする課題

0009

本発明は、信号ビア周辺に充填材料を必要とせず、信号配線の層間接続制約されない、伝送特性が整合可能な印刷配線板を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0010

本発明は、上記課題を解決するべく完成されたものであって、以下の構成からなる。
(1)表裏面を貫通し、内壁面に導体層を形成した信号ビアを備える印刷配線板であって、前記信号ビアの周囲のクリアランス径から信号ビア径を除いたクリアランスYが次の関係式満足し、かつ整合ビアをクリアランスYの外周部に接するように配置することを特徴とする印刷配線板。



(但し、λは信号波長(mm)、Y>0)
(2)前記信号波長λが、絶縁材料比誘電率εr、絶縁材料の比透磁率μrおよび信号の周波数fから求めたものである(1)に記載の印刷配線板。
(3)前記整合ビアが内層回路に接続している(1)または(2)に記載の印刷配線板。
(4)前記整合ビアの数が複数である(1)〜(3)のいずれかに記載の印刷配線板。
(5)前記整合ビアの数が4個である(4)に記載の印刷配線板。
(6)前記整合ビアの数が4個であり、各整合ビアを正方形頂点に見立てた場合に、頂点を結んだ対角線が信号配線に対して45度傾斜している(5)に記載の印刷配線板。

発明の効果

0011

本発明によれば、信号ビアの周囲のクリアランス径から信号ビアの内壁面の導体層の外側の直径(以下、ビア径)を除いたクリアランスYが上記関係式を満足し、かつクリアランスYの外周部に接するようにインピーダンス整合ビア(以下、整合ビア)を配置することで、信号ビアにおける透過波形の不整合を軽減でき、反射を抑えることが可能となる。
また、整合ビアでリターン電流経路が確保でき、高周波信号の伝送品質の確保が可能となる。

図面の簡単な説明

0012

(a)は本発明の一実施形態に係る印刷配線板を示す部分拡大断面図であり、(b)は本発明の一実施形態に係る印刷配線板を示す上面図である。
ビアピッチの違いにおけるTDR波形を示すグラフである。
ビアピッチの違いにおける透過波形を示すグラフである。
(a)〜(d)は、信号ビア周囲の電流分布図である。
整合ビアの個数と配置の違いにおけるTDR波形を示すグラフである。
整合ビアの個数と配置の違いにおける透過波形を示すグラフである。
クリアランス径の違いによるTDR波形を示すグラフである。
クリアランス径の違いによる透過波形を示すグラフである。
ビアピッチの大きさの違いによるTDR波形を示すグラフである。
ビアピッチの大きさの違いによる透過波形を示すグラフである。
各比誘電率における整合ビア位置、クリアランス径の違いによるTDR波形を示すグラフである。
各比誘電率における整合ビア位置、クリアランス径の違いによる透過波形を示すグラフである。
各比誘電率における他の整合ビア位置、クリアランス径の違いによるTDR波形を示すグラフである。
各比誘電率における他の整合ビア位置、クリアランス径の違いによる透過波形を示すグラフである。
表1および2のクリアランスと波長の値を用いて作成したグラフである。

実施例

0013

本発明の一実施形態に係る印刷配線板を図1(a)および(b)に基づいて説明する。なお、図1(a)は図1(b)に破線で示す箇所の部分拡大断面図である。
本発明の印刷配線板10は、絶縁材1と内層回路2(グランドプレーンまたは電源プレーン等)とを交互に積層したものであり、印刷配線板10の表裏面の少なくとも一方には、ソルダーレジスト3が形成されている。
また、印刷配線板10は、表裏面を貫通し、内壁面に導体層4を形成した信号ビア5が設けられる。信号ビア5の導体層4は回路の構成要素で、必要に応じて内層回路2と接続した信号回路6となる。信号回路6は、印刷配線板10の表裏面にて信号配線61と接続される。
このような印刷配線板10は、板厚が0.4〜10mm、導体層4の層数は2〜100層程度あるのがよい。

0014

絶縁材1としては、例えば、ポリフェニレンエーテル(PPE)樹脂等が使用される。この場合の比誘電率(εr)は、例えば3.6(周波数1GHzにおいて)である。絶縁材1は、印刷配線板用材料から、特に限定されず使用できることは言うまでもない。比誘電率(εr)では、3.3〜4.9程度が該当する。

0015

導体層4としては銅が一般に使用され、導電率=5.8×107[S/m](25℃)である。

0016

ソルダーレジスト3の比誘電率(εr)は、例えば4.3(周波数1GHzにおいて)である。ソルダーレジスト3は、印刷配線板用ソルダーレジストから、特に限定されず使用できることは言うまでもない。比誘電率(εr)では、4.3〜4.6程度が該当する。

0017

信号ビア5は、印刷配線板10の表裏面を貫通する貫通孔であり、内壁面に導体層4を備え、印刷配線板10の表面から内部の内層回路2にかけて信号回路6を形成したものである。
信号ビア5は、印刷配線板10に、レーザドリル加工により貫通孔を設けた後、貫通孔の開口部周縁および内壁面に、導体材料で導体層4を形成(めっき処理)して形成される。このとき、スルーホール5内の導体層4が必要に応じて内層回路2と接続した信号回路6が形成される。
また、信号ビア5の信号ビア径5aは、板厚と配線密度等の印刷配線板仕様から適宜選択されるもので、通常は100〜1200μm程度が該当する。

0018

印刷配線板10には、図1(b)に示すように、インピーダンス整合のための整合ビア7が1つ以上設けられる。整合ビア7は、印刷配線板10の表裏面を貫通するグランドプレーンまたは電源プレーンに接続したスルーホールである。整合ビアが印刷配線板10を貫通することで、印刷配線板10の表裏面に形成した信号配線に接触する場合は、IVH(Interstitial Via Hole)のような非貫通孔にして、信号配線に接触しないようにする。

0019

クリアランス径8は、図1(a)および(b)に示すように、前記信号ビア5を挟んで印刷配線板10の内層回路2からもう一方の内層回路2までの間隙を示す。クリアランス径8の周囲には、整合ビア7がクリアランス径8の輪郭線(外周部)の外側に接するように配置される。
また、印刷配線板10には、その他にグランドビアGNDビア)9を設けてもよい。

0020

<インピーダンスと透過波形>
次に、印刷配線板10において、図1(a)に示すような、第1層の導体層41から下層の導体層42に伝送されるとき、図1(b)に示す整合ビア7と信号ビア5の中心を結んだビアピッチ(p)を630〜1030μmの範囲で変化させた場合の透過波形をシミュレーションにより評価した。このとき、クリアランス径8(cl)は760μm、信号ビア5及び整合ビア7のビア径は250μmであった。
なお、以降のシミュレーションは、以下の解析条件(I)〜(V)に基づき行われた。
(I)計算周波数はDC〜50GHz。
(II)解析に用いた印刷配線板は30層板からなる。
(III)第1層(L1層)から信号を入力し第30層に伝送される信号特性を解析した。ただし、上面図で信号配線と重なる位置の整合ビアは、整合ビアを第2層から第29層までを接続する非貫通孔とし、信号配線との接触を避けた。
(IV)外層配線は50Ωにインピーダンス整合し、外層配線による反射影響を極力少なくし、ビア部を含んだ伝送特性を解析した。
(V)インピーダンスの変化と透過特性、および電流分布の変化を確認する。
(a)整合ビアと信号ビアのビアピッチ(p)を変化させて特性変化を確認する。
(b)信号ビアのクリアランス径(cl)を変化させて特性変化を確認する。

0021

図2はビアピッチ(p)の違いにおけるTDR(Time Domain Reflectometry時間領域反射測定)波形のシミュレーション結果を示すものである。
図2から、整合ビア7を信号ビア5から離す(ビアピッチの距離を伸ばす)とインピーダンスが高くなることがわかる。ビアピッチ(p)が930μmのとき、最も配線のインピーダンスに近くなる。

0022

このようなTDR波形のみの確認手法では、例えば10GHzを超えるような高周波信号においては、伝送品質を確保できない場合がある。TDR波形は、時間とインピーダンスの関係を示した波形なので、各周波数における損失を知ることはできない。すなわち、信号ビアと整合ビアにおけるインピーダンスの変動は確認できても、どの周波数で問題が起きているかは把握できない。
そこで、伝送品質の確認に、図3に示すような透過波形のシミュレーションを加えた。

0023

図3は、ビアピッチ(p)の違いにおける透過波形のシミュレーション結果を示すものである。図3より、整合ビア7を信号ビア5に近づけると透過波形が向上し、信号が良く伝わるようになることがわかる。ビアピッチ(p)が630μmのときが最も透過波形が良い。
このように、透過波形のシミュレーションを用いる理由としては、信号ビア5が印刷配線板10の厚み方向に貫通しているため、高周波伝送で重要なリターン電流経路が形成されず、そのために目的とする周波数で伝送品質が悪化する恐れがあるためである。
透過波形は、リターン電流経路を含めた周波数と伝送損失の割合を示す波形であり、リターン電流経路の影響を含めた伝送品質を確認することができる。

0024

図2図3の結果から、インピーダンスが最も整合している930μmのビアピッチ(p)が、最も透過波形が良くなるはずであるが、そのようになっていないことがわかる。また、図2で最もインピーダンスが低い630μmは、図3にて最も透過波形が良い結果になっている。また、ビアピッチ(p)が広い方が配線のインピーダンスに近くなるが、透過波形はビアピッチの狭い方が良い結果となることがわかる。
すなわち、インピーダンス整合ができているからと云って、必ずしも信号が効率良く伝送(透過波形が良い)されているとは限らない。

0025

<信号ビアの電流経路
図4(a)〜(d)は、それぞれ信号ビア5周囲の電流分布図Type1〜4を示している。
図4(a)に示すType1では整合ビア7が信号ビア5を縦方向に挟んで2個配置される。図4(b)に示すType2では整合ビア7が信号ビア5をそれぞれ縦方向と横方向に挟んで4個配置される。整合ビア7の1つは信号配線61直下に設けられる。図4(c)に示すType3では信号ビア5を中心に円弧状に整合ビア7が8個配置される。図4(d)に示すType4では整合ビア7が信号ビア5を中心に45°に4個配置される。なお、図4(b)に示すType2および(c)に示すType3では整合ビア7の1つは信号配線61直下に設けられる。
このとき、図4(a)〜(d)に示すType1〜4において、それぞれビアピッチ(p)が930μm、クリアランス径8(cl)が760μmであり、グランドビア9が4個設けられる。

0026

図5は、上記した図4(a)〜(d)に示すType1〜4のそれぞれの整合ビア7の個数と配置の違いにおけるTDR波形のシミュレーション結果を示すものである。
また、図6は、上記した図4(a)〜(d)に示すType1〜4のそれぞれの整合ビア7の個数と配置の違いにおける透過波形のシミュレーション結果を示すものである。

0027

図5図6の結果から、以下のことがわかる。図4(a)に示すType1のように整合ビア7を2個の配置では、リターン電流経路が不十分で、インピーダンス整合は最も良いが透過波形は最も悪くなる。
図4(b)に示すType2のように整合ビア7を4個の配置では、リターン電流経路をより多く確保でき、インピーダンスの低下を招くが透過波形は向上する。
図4(c)に示すType3のように、信号ビア5を中心に整合ビア7を円弧上に配置すると透過波形が最も良くなるが、インピーダンス整合は最も悪くなる。
図4(d)に示すType4のように、各整合ビア7をそれぞれ正方形の頂点に見立て、頂点を結んだ対角線が信号ビア5の中心に対して45度傾斜するように配置した場合、図4(a)に示すType1の整合ビア7の配置よりも透過波形は良好な結果(図4(b)に示すType2の場合と同程度)となる。なお、このとき信号配線61の直下に整合ビア7は配置しない。
図6より、10GHz以下の周波数領域では差異は少ないが、10GHzを超える周波数領域になると伝送損失に差異が現れることがわかる。また、信号ビア5の近傍に電流が集中するように整合ビア7を配置した方が、高周波領域における透過波形は向上する。
この事からインピーダンス整合とリターン電流経路を考慮したビア配置が必要であることがわかり、中でも整合ビアが4個で、図4(d)に示すType4のように各整合ビア7をそれぞれ正方形の頂点に見立て、頂点を結んだ対角線が信号ビア5の中心に対して45度傾斜するように配置するか、もしくは図4(c)に示すType3のように円弧上に配置するのが良い。

0028

<クリアランスの効用
次に、信号ビア5のクリアランス径8(cl)の大きさを500〜1100μmの範囲で変化させ、その違いによるTDR波形のシミュレーション結果と、透過波形のシミュレーション結果を調べた。
図7は、信号ビア5のクリアランス径8の違いによるTDR波形のシミュレーション結果を示すものであり、図8は、信号ビア5のクリアランス径8の違いによる透過波形のシミュレーション結果を示す。
なお、整合ビア7の個数と配置は、図4(c)に示した8個の整合ビア7を円弧状に配置したものを使用している。

0029

図7および図8から、クリアランス径8が最も小さい500μmの場合、インピーダンス整合および透過波形ともに最も悪い結果となっている。
図7より、クリアランス径8を拡大すると、インピーダンス整合は高くなり、クリアランス径8が1100μmの場合に配線のインピーダンス整合と同等になる。
図8より、クリアランス径8を拡大していくと、15GHz以下の周波数では特性の改善が見られるが、15GHzを超える周波数領域では個別の周波数において優劣逆転していることがわかる。
図7および図8から、クリアランス径8の大きさは、インピーダンス整合に関しては規則的な影響(約5Ω間隔で変化)を与え、15GHz以上の透過波形においては、目標のインピーダンスに近づいても特定周波数において改善していない場合があることがわかる。

0030

<整合ビアの効用>
次に、整合ビア7と信号ビア5とのビアピッチ(p)の大きさを520〜920μmの範囲で変化させ、その違いによるTDR波形のシミュレーション結果と、透過波形のシミュレーション結果を調べた。
図9は、ビアピッチ(p)の大きさの違いによるTDR波形のシミュレーション結果を示すものであり、図10は、ビアピッチ(p)大きさの違いによる透過波形のシミュレーション結果を示す。
なお、整合ビア7の個数と配置は、図4(c)に示した8個の整合ビア7を円弧状に配置したものを使用している。

0031

図9および図10から、ビアピッチ(p)が520μmの時は、インピーダンス整合および透過波形ともに最も悪い結果であることがわかる。これは、信号ビア5に整合ビア7が近すぎるためである。
図9に示すように、ビアピッチ(p)を620〜920μmに段階的に変化させていくと目標とするインピーダンスに近づいていくが、徐々にインピーダンスの変化は小さくなる。
また、ビアピッチ(p)を620〜920μmに段階的に変化させても、図10においては、DC領域から40GHz位まで差異が少ない。すなわち、図9のTDR波形のインピーダンス整合の影響があまり出ない結果となっている。
図4(c)を見ると、信号ビア5を中心に円弧上に電流密度の高い部分が印刷配線板上に存在していることがわかる。また、電流密度の高い部分は整合ビア7の内側に集中しており、整合ビア7の外縁部は電流密度が低くなっていることから、整合ビア7が信号配線のリターン経路として機能していることがわかる。そのために透過波形の差異が少なくなっている。

0032

以上から、信号ビア5のインピーダンス整合ができていても、伝送損失が良いとは限らない。特に10GHz以上になると改善が必要な場合があり、反対に、信号ビア5のインピーダンス整合が配線のインピーダンスと一致していない場合であっても、信号ビア5のリターン経路が確保できていれば、10GHz以上の周波数領域でも良好な伝送品質を確保できることがわかる。特に、信号ビア5周辺の印刷配線板上にリターン電流を集中させると良い。
また、クリアランス径8は、信号ビア5のインピーダンス整合に大きな影響を与えているが、10GHz以上の伝送品質を改善する効果は少ないことがわかる。

0033

<各比誘電率における整合ビア位置とクリアランス径の高周波特性
次に、各比誘電率(εr=2.6、3.6、4.6)における整合ビア位置とクリアランス径の高周波特性についてシミュレーションを実施した。
図11は、各比誘電率における整合ビア位置とクリアランス径の違いによるTDR波形のシミュレーション結果を示すものであり、図12は、各比誘電率における整合ビア位置とクリアランス径の違いによる透過波形のシミュレーション結果を示すものである。
図12に示すように、最も良い透過波形を得られる形状は、物性値別に以下の(a)〜(c)となった。
(a)εr=2.6の場合:クリアランス径φ770μmビアピッチ510μm
(b)εr=3.6の場合:クリアランス径φ960μm ビアピッチ605μm
(c)εr=4.6の場合:クリアランス径φ1050μm ビアピッチ650μm
この場合、TDR波形は、図11に示すように、配線部分のインピーダンス値よりも−5Ω程度低い値となっており、一般的な基板の製造誤差におけるインピーダンス補償値の±5Ω以内に収まっていることから下限値とした。

0034

図13は、上記した(a)〜(c)と異なる整合ビア位置とクリアランス径で、TDR波形のシミュレーション結果を示すものであり、図14も、上記した(a)〜(c)と異なる整合ビア位置とクリアランス径で、透過波形のシミュレーション結果を示すものである。
(d)Εr=2.6の場合:クリアランス径φ980μmビアピッチ615μm
(e)Εr=3.6の場合:クリアランス径φ1240μm ビアピッチ745μm
(f)Εr=4.6の場合:クリアランス径φ1350μm ビアピッチ800μm

0035

上記した図11図14の結果から、インピーダンス整合誤差±5Ωとした場合、30GHz以下であれば、整合ビア位置とクリアランス径の違いにおける下限値と上限値の透過波形の差異は軽微であることがわかる。
また、30GHzを超えると、整合ビア位置とクリアランス径の違いにおける下限値と上限値の透過波形の差異が現れてくる。そのため、30GHz以下であれば下限値と上限値の範囲内でビア形状を決めれば良いが、30GHzを超える場合においては、可能な限りビア形状を下限値の形状に近づけることが望ましい。

0036

シミュレーション結果より式を作成する為に下記の(I)、(II)を実施した。
(I)50GHz(信号の立上り30psを想定)における1/4波長を計算する。
(II)1/4波長と計算結果のクリアランス径との差異を補完する為に、最小二乗法線形近似より算出する。

0037

(I)と(II)から、下限値(最も良好な結果)と上限値(許容範囲)を求める2つの式を作成した。その結果を下記の表1および2に示す。表1は各比誘電率(εr=2.6、3.6、4.6)におけるクリアランス径の下限値を示し、表2はその上限値を示している。なお、λは信号波長(mm)を表す。

0038

図15は、表1と表2で得られたクリアランス径から信号ビア径を除いたクリアランス(Y)の上限値および下限値と信号波長λ/4(X)の値のシミュレーション結果を用いて作成したグラフである。
クリアランス(Y)の上限値および下限値を算出するため、表1と表2を用いて、近似線(L1、L2)でそれぞれ計算式を導き出している。なお、L1とL2は、それぞれ最小二乗法の線形近似でも求めた式であり、以下になる。
上限値:Y=−1.615X+2.250
下限値:Y=−1.225X+1.665
(Y=クリアランス、X=λ/4 (λは信号波長(mm))
また、信号波長λは、絶縁材1の比誘電率εr、絶縁材1の比透磁率μrおよび信号の周波数f[Hz]から、以下の波長計算式で求めることができる。

0039

上記した式により求めたクリアランス(Y)の信号ビアの銅箔(導体層)の縁端部に接するように整合ビアを配置すれば、伝送特性の不整合を軽減し、かつ反射を抑えることができる。
さらに、信号配線の層間接続に制約されることがなく、また信号ビア周辺に充填材料を充填する必要もなく、伝送特性が向上する。

0040

このようなクリアランスYの関係式は、例えばプログラム等に組み込み、印刷配線板の製造方法に利用することもできる。さらに、このプログラムをCAD装置またはシミュレーションツールなどに組み込んで使用することもできる。

0041

以上述べたように、信号ビアの伝送品質を確保する為の形状を決めるためには、まず、クリアランス径に着目してインピーダンス整合を行う。次に、クリアランス形状を決めた後、印刷配線板上に流れるリターン電流経路を確保するように整合ビアを信号ビアに可能な限り近づけ、かつ印刷配線板上の電流分布が広範囲にならないように配置すればよい。このとき、信号ビアの周囲のクリアランス径から信号ビア径を除いたクリアランスが関係式を満足し、かつクリアランスの外周部に接するように整合ビアを配置することで、信号ビアにおける透過波形の不整合を軽減でき、反射を抑えることが可能となる。また、リターン電流経路が確保できるので高周波信号の伝送品質の確保が可能となる。

0042

1絶縁材
2内層回路
3ソルダーレジスト
4導体層
41 第1層の導体層
42 第8層の導体層
5信号ビア
5a 信号ビア径
6信号回路
61信号配線
7整合ビア
8クリアランス径
9グランドビア
10 印刷配線板

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