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技術 窒化アルミニウム圧電薄膜及びその製造方法、並びに圧電材及び圧電部品及び窒化アルミニウム圧電薄膜の製造方法

出願人 株式会社村田製作所国立研究開発法人産業技術総合研究所
発明者 梅田圭一水野孝昭會田康弘秋山守人長瀬智美
出願日 2015年8月24日 (5年3ヶ月経過) 出願番号 2015-164714
公開日 2017年3月2日 (3年8ヶ月経過) 公開番号 2017-045749
状態 特許登録済
技術分野 物理蒸着 圧電、電歪、磁歪装置
主要キーワード 共通グランド電極 反応スパッタリング法 音響反射器 理論解析 エアギャップ構造 音響素子 シグナル電極 高周波電力源
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (7)

課題

分極方向が窒素極性(N polarity)であり、かつ圧電特性に優れる窒化アルミニウム圧電薄膜を提供する。

解決手段

ゲルマニウムを含有し、該ゲルマニウムと、アルミニウムの濃度の合計を100原子%としたとき、前記ゲルマニウムの濃度が0.4原子%以上、20原子%以下の範囲にある、窒化アルミニウム圧電薄膜。

概要

背景

従来、窒化アルミニウムに微量の他の元素をドープしてなる圧電薄膜の製造方法が種々提案されている。例えば下記の特許文献1では、アルミニウムと、ガリウムインジウムもしくはスカンジウムと、窒素とを不活性ガス雰囲気下で反応させる反応スパッタリング法が開示されている。特許文献1では、窒素と共に酸素を0.8モル%以上、3.2モル%以下の割合で供給することにより、分極方向が反転することが記載されている。

また、下記の特許文献2には、スカンジウムの含有率が0.5〜50原子%である窒化アルミニウム圧電薄膜が開示されている。

概要

分極方向が窒素極性(N polarity)であり、かつ圧電特性に優れる窒化アルミニウム圧電薄膜を提供する。ゲルマニウムを含有し、該ゲルマニウムと、アルミニウムの濃度の合計を100原子%としたとき、前記ゲルマニウムの濃度が0.4原子%以上、20原子%以下の範囲にある、窒化アルミニウム圧電薄膜。なし

目的

本発明の目的は、分極方向が窒素極性(N polarity)であり、かつ圧電特性に優れる窒化アルミニウム圧電薄膜及びその製造方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

ゲルマニウムを含有し、該ゲルマニウムと、アルミニウムの濃度の合計を100原子%としたとき、前記ゲルマニウムの濃度が、0.4原子%以上、20原子%以下の範囲にある、窒化アルミニウム圧電薄膜

請求項2

前記ゲルマニウムの濃度が、1.5原子%以上、9原子%以下の範囲にある、請求項1に記載の窒化アルミニウム圧電薄膜。

請求項3

前記ゲルマニウムの濃度が、2.5原子%以上、7.9原子%以下の範囲にある、請求項2に記載の窒化アルミニウム圧電薄膜。

請求項4

前記ゲルマニウムの濃度が、0.4原子%以上、3原子%未満の範囲にある、請求項1に記載の窒化アルミニウム圧電薄膜。

請求項5

前記ゲルマニウムの濃度が、2原子%以上、3原子%未満の範囲にある、請求項4に記載の窒化アルミニウム圧電薄膜。

請求項6

分極方向が窒素極性である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の窒化アルミニウム圧電薄膜。

請求項7

分極方向が薄膜成長方向と逆方向である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の窒化アルミニウム圧電薄膜。

請求項8

1元スパッタリング法により得られた、ゲルマニウムを含有する、窒化アルミニウム圧電薄膜。

請求項9

AlGe合金ターゲットを用いて、窒素ガスを供給しつつスパッタリングすることにより得られた、請求項8に記載の窒化アルミニウム圧電薄膜。

請求項10

ゲルマニウムと、アルミニウムの濃度の合計を100原子%としたとき、前記ゲルマニウムの濃度が0.4原子%以上、20原子%以下の範囲にある、請求項8又は9に記載の窒化アルミニウム圧電薄膜。

請求項11

基材と、前記基材上に設けられた窒化アルミニウム圧電薄膜とを備え、該窒化アルミニウム圧電薄膜が、請求項1〜10のいずれか1項に記載の窒化アルミニウム圧電薄膜である、圧電材

請求項12

請求項1〜10のいずれか1項に記載の窒化アルミニウム圧電薄膜を備える、圧電部品

請求項13

1元スパッタリング法により、基材上において、ゲルマニウムを含有する窒化アルミニウム圧電薄膜を成長させる、窒化アルミニウム圧電薄膜の製造方法。

請求項14

AlGe合金ターゲットを用いて、窒素ガスを供給しつつスパッタリングすることにより、基材上において、窒化アルミニウム圧電薄膜を成長させる、請求項13に記載の窒化アルミニウム圧電薄膜の製造方法。

請求項15

ゲルマニウムと、アルミニウムの濃度の合計を100原子%としたとき、前記ゲルマニウムの濃度が0.4原子%以上、20原子%以下の範囲となるように、窒化アルミニウム圧電薄膜を成長させる、請求項13又は14に記載の窒化アルミニウム圧電薄膜の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、圧電体として用いることができる窒化アルミニウム圧電薄膜及びその製造方法、並びに該窒化アルミニウム圧電薄膜を有する圧電材及び圧電部品に関する。

背景技術

0002

従来、窒化アルミニウムに微量の他の元素をドープしてなる圧電薄膜の製造方法が種々提案されている。例えば下記の特許文献1では、アルミニウムと、ガリウムインジウムもしくはスカンジウムと、窒素とを不活性ガス雰囲気下で反応させる反応スパッタリング法が開示されている。特許文献1では、窒素と共に酸素を0.8モル%以上、3.2モル%以下の割合で供給することにより、分極方向が反転することが記載されている。

0003

また、下記の特許文献2には、スカンジウムの含有率が0.5〜50原子%である窒化アルミニウム圧電薄膜が開示されている。

先行技術

0004

特開2009−149953号公報
特開2011−15148号公報

発明が解決しようとする課題

0005

特許文献1に記載の製造方法によれば、分極方向が薄膜成長方向と反転した窒化アルミニウム圧電薄膜が得られる。しかしながら、微量の酸素を高精度に供給することが非常に困難であった。従って、量産性が十分でなかった。

0006

他方、特許文献2では、スカンジウムをドープすることにより圧電特性が得られているが、スカンジウムは非常に高価である。また、安定に入手することも困難であった。加えて、特許文献2では、分極方向は薄膜成長方向であるアルミニウム極性(Al polarity)の分極方向であり、薄膜成長方向と逆の分極方向を有する窒素極性(N polarity)の分極方向の圧電薄膜は得られていない。

0007

本発明の目的は、分極方向が窒素極性(N polarity)であり、かつ圧電特性に優れる窒化アルミニウム圧電薄膜及びその製造方法を提供することにある。本発明の他の目的は、上記窒化アルミニウム圧電薄膜を有する圧電材及び圧電部品を提供することにある。

課題を解決するための手段

0008

本発明に係る窒化アルミニウム圧電薄膜は、ゲルマニウムを含有し、該ゲルマニウムと、アルミニウムの濃度の合計を100原子%としたとき、前記ゲルマニウムの濃度が、0.4原子%以上、20原子%以下の範囲にある。

0009

本発明に係る窒化アルミニウム圧電薄膜のある特定の局面では、前記ゲルマニウムの濃度が、1.5原子%以上、9原子%以下の範囲にある。好ましくは、前記ゲルマニウムの濃度が、2.5原子%以上、7.9原子%以下の範囲にある。この場合には、圧電特性をより一層効果的に高めることができる。

0010

本発明に係る窒化アルミニウム圧電薄膜の別の特定の局面では、前記ゲルマニウムの濃度が、0.4原子%以上、3原子%未満の範囲にある。好ましくは、前記ゲルマニウムの濃度が、2原子%以上、3原子%未満の範囲にある。この場合には、圧電特性をより一層効果的に高めることができる。

0011

本発明に係る窒化アルミニウム圧電薄膜の他の特定の局面では、分極方向が窒素極性(N polarity)とされている。

0012

本発明に係る窒化アルミニウム圧電薄膜では、好ましくは、分極方向が薄膜成長方向と逆方向とされている。

0013

本発明に係る窒化アルミニウム圧電薄膜の他の広い局面では、1元スパッタリング法により得られ、ゲルマニウムを含有する。好ましくは、AlGe合金ターゲットを用いて、窒素ガスを供給しつつスパッタリングすることにより得られる。好ましくは、ゲルマニウムと、アルミニウムの濃度の合計を100原子%としたとき、前記ゲルマニウムの濃度が、0.4原子%以上、20原子%以下の範囲にある。

0014

本発明に係る圧電材は、基材と、基材上に設けられた窒化アルミニウム圧電薄膜とを備え、該窒化アルミニウム圧電薄膜が、本発明に従って構成された、窒化アルミニウム圧電薄膜である。

0015

本発明に係る圧電部品は、本発明に従って構成された、窒化アルミニウム圧電薄膜を備えることを特徴としている。

0016

本発明に係る窒化アルミニウム圧電薄膜の製造方法は、1元スパッタリング法により、基材上において、ゲルマニウムを含有する窒化アルミニウム圧電薄膜を成長させる。好ましくは、AlGe合金ターゲットを用いて、窒素ガスを供給しつつスパッタリングすることにより、基材上において、窒化アルミニウム圧電薄膜を成長させる。好ましくは、ゲルマニウムと、アルミニウムの濃度の合計を100原子%としたとき、前記ゲルマニウムの濃度が、0.4原子%以上、20原子%以下の範囲となるように、窒化アルミニウム圧電薄膜を成長させる。

発明の効果

0017

本発明に係る窒化アルミニウム圧電薄膜及びその製造方法によれば、分極方向が窒素極性(N polarity)であり、かつ圧電特性に優れる窒化アルミニウム圧電薄膜を容易に提供することが可能となる。

0018

本発明に係る圧電材及び圧電部品では、本発明に従って構成された窒化アルミニウム圧電薄膜を有するため、例えば分極方向が異なる複数の圧電薄膜を積層した構成などを容易に提供することができる。

図面の簡単な説明

0019

図1は、窒化アルミニウム圧電薄膜中のGe濃度と、圧電定数d33との関係を示す図である。
図2は、本発明の一実施形態におけるGe含有窒化アルミニウム圧電薄膜の製造方法に用いられる装置の概略構成図である。
図3は、分極方向がアルミニウム極性(Al polarity)の窒化アルミニウム圧電薄膜を有する圧電部品を示す略図的正面図である。
図4は、本発明の一実施形態としての圧電部品を示す略図的正面図である。
図5は、本発明の圧電部品の一構造例を示す部分切欠正面断面図である。
図6は、本発明の圧電部品の他の構造例を示す正面断面図である。
図7は、2元スパッタリング法によりGe含有窒化アルミニウム圧電薄膜を形成する際に用いられる装置の概略構成図である。

実施例

0020

以下、図面を参照しつつ、本発明の具体的な実施形態を説明することにより、本発明を明らかにする。

0021

なお、本明細書に記載の各実施形態は、例示的なものであり、異なる実施形態間において、構成の部分的な置換または組み合わせが可能であることを指摘しておく。

0022

本発明に係る窒化アルミニウム圧電薄膜は、ゲルマニウムを含有する。ゲルマニウムと、アルミニウムの濃度の合計を100原子%としたとき、ゲルマニウムの濃度は、0.4原子%以上、20原子%以下の範囲にある。

0023

本発明に係る窒化アルミニウム圧電薄膜は、ゲルマニウムを含有するため、分極方向が窒素極性(N polarity)である。また、ゲルマニウムの濃度が、上記範囲内にあるため、圧電特性が高められている。

0024

圧電特性をより一層高める観点から、上記ゲルマニウムの濃度は、1原子%以上であることが好ましく、1.5原子%以上であることがより好ましく、2原子%以上であることがさらに好ましく、2.5原子%以上であることが特に好ましい。また、上記ゲルマニウムの濃度は、9原子%以下であることが好ましく、7.9原子%以下であることがより好ましく、3原子%未満であることがさらに好ましい。

0025

以下、本発明の一実施形態の圧電部品について先に説明した上で、窒化アルミニウム圧電薄膜及び該窒化アルミニウム圧電薄膜の製造方法の詳細について説明する。なお、ゲルマニウム(Ge)を含有する窒化アルミニウム圧電薄膜を、Ge含有窒化アルミニウム圧電薄膜という場合があるものとする。

0026

図4は、本発明の一実施形態としての圧電部品を示す略図的正面図である。圧電部品1は、Siからなる基材2を有する。この基材2上に、Ge含有窒化アルミニウム圧電薄膜3が形成されている。Ge含有窒化アルミニウム圧電薄膜3は、後述するように1元スパッタリング法により成膜されている。このGe含有窒化アルミニウム圧電薄膜3の分極方向は、図示の矢印−Z方向である。すなわち、分極方向は、薄膜成長方向と逆方向な窒素極性(N polarity)とされている。

0027

Ge含有窒化アルミニウム圧電薄膜3上に、電極4が形成されている。なお、特に使用されていないが、電極4の他に、さらに1以上の電極がGe含有窒化アルミニウム圧電薄膜3に電圧印加するために設けられる。あるいは、半導体であるシリコンからなる基材2を一方の電極として用いて、他方の電極として電極4を用いてもよい。

0028

基材2は、Ge含有窒化アルミニウム圧電薄膜3をスパッタリング法により成膜する際の基材としても用いられている。従って、基材2は、適宜の材料により形成することができる。本実施形態では、基材2は低抵抗なSiからなり、電極としても作用するが、Si以外の他の半導体により形成されてもよい。また、基材2は、絶縁体や金属や有機樹脂フィルムにより構成されていてもよい。基材2が高抵抗な材料の場合はGe含有窒化アルミニウム圧電薄膜3と基材2の間に電極薄膜を形成してもよい。

0029

電極4は、Ag、Al、Cu、Mo、W、Ta、Pt、Ru、Rh又はIrなどの適宜の金属もしくは合金からなる。電極4は、単層金属膜であってもよいし、積層金属膜であってもよい。

0030

前述したように、本実施形態の圧電部品1においては、Ge含有窒化アルミニウム圧電薄膜3の分極方向が窒素極性(N polarity)である。

0031

一般に、窒化アルミニウム圧電薄膜をスパッタリングにより成膜すると、図3に示す圧電部品101における窒化アルミニウム圧電薄膜103のように、分極方向はZ方向となる。すなわち分極方向は薄膜成長方向と同一方向となる。すなわちアルミニウム極性(Al polarity)である。

0032

本願発明者らは、スパッタリング法により窒化アルミニウム圧電薄膜を形成するにあたり、Geを含有させれば、本実施形態のように、分極方向が反転している圧電薄膜を得られることを見出した。後述するように、このような分極方向が反転している圧電薄膜が得られると、分極方向が異なる複数の圧電薄膜の積層体などを容易に得ることができる。

0033

以下、Ge含有窒化アルミニウム圧電薄膜3の具体的な製造方法の実施形態を説明する。

0034

図2は、本発明の一実施形態におけるGe含有窒化アルミニウム圧電薄膜の製造方法に用いられる装置の概略構成図である。製造装置21は、スパッタリング装置である。製造装置21によれば、1元スパッタリング法により、Ge含有窒化アルミニウム圧電薄膜3を成膜することができる。

0035

製造装置21はチャンバー23を有する。チャンバー23内に、高周波電力源24が配置されている。高周波電力源24上に、GeAl合金ターゲット22が載置されている。高周波電力源24から高周波電力をGeAl合金ターゲット22に印加することができる。

0036

なお、本明細書において、GeAl合金ターゲットとは、ゲルマニウム(Ge)及びアルミニウム(Al)の合金のターゲットのことをいうものとする。

0037

チャンバー23内に、加熱装置25,26及びシャッター27が配置されている。シャッター27の上方に、基材12,12が配置されている。また、チャンバー23外のバルブ28を介してチャンバー23内に、外部からArとN2との混合ガスが供給されるように構成されている。

0038

製造装置21を用い、基材12,12上に、Ge含有窒化アルミニウム圧電薄膜3を、1元スパッタリング法により成膜することができる。より具体的には、加熱装置25,26によりチャンバー23内を加熱し、その状態で、ArとN2との混合ガスを供給しつつ、高周波電力源24からGeAl合金ターゲット22に高周波電力を印加する。それによって、基材12,12上にGe含有窒化アルミニウム圧電薄膜3を形成することができる。

0039

1元スパッタリング法においては、本実施形態のように、ターゲットとして、単一のターゲットであるGeAl合金ターゲットを用いることができる。また、Alターゲット上にGeペレットを置いたものや、Alターゲットに穴をあけてGeペレットを埋め込んだものである、GeAl複合ターゲットを用いてもよい。このような構成では、例えば6インチサイズや8インチサイズのような大型ウエハ上に、Ge含有窒化アルミニウム圧電薄膜を容易にかつ均一に成膜することができる。従って、比較的大きな面積のGe含有窒化アルミニウム圧電薄膜を容易に提供することができる。

0040

上記基材12,12の加熱温度は、特に限定されないが、非加熱〜500℃程度とすればよい。より好ましくは100〜400℃とすればよい。

0041

また、ArとN2との混合比は、目標とするGe含有窒化アルミニウム圧電薄膜の組成にもよるが、流量比で1:4〜4:1程度とすればよい。好ましくは、Ar:N2の流量比は、1:2〜2:1の範囲とすることがより一層望ましい。それによって、より一層良好な圧電特性を発現させることができる。

0042

ガス圧については、特に限定されないが、0.05Pa〜5Pa程度とすればよい。

0043

Ge含有窒化アルミニウム圧電薄膜3におけるGeの原子濃度は、GeAl合金ターゲットの組成を変化させたり、GeAl複合ターゲットの表面に露出するGeとAlの面積比を変更させたりすることにより調整することができる。

0044

また、得られたGe含有窒化アルミニウム圧電薄膜3におけるAl、Ge及びNの原子濃度は、RBSまたはNRAにより求めることができる。

0045

上記RBSとは、ラザフォード後方散乱分光法(RBS)である。RBS法では、試料高速イオン照射する。入射したイオンのうちの一部が試料中の原子核によって、ラザフォード散乱弾性散乱)を受ける。散乱したイオンのエネルギーは、対象としている原子の質量及び位置により異なる。この散乱イオンのエネルギーと収量とから、試料の深さ方向の元素組成を得ることができる。

0046

他方、上記NRAすなわち核反応解析では、高速イオンの照射により、試料中の軽い元素と核反応を引き起こす。この核反応により発生したα線γ線を検出することにより、軽い元素の定量を行うことができる。

0047

各原子濃度の測定に際しては、高速のHイオンを用いたRBSにより、上記Ge、Al及びSiの濃度を求めることができる。また、高速のHイオンを用いたNRAにより、Nの含有濃度を測定することができる。

0048

本願発明者らは、Ge濃度を変化させ、種々の窒化アルミニウム圧電薄膜をスパッタリング法により以下の条件により作製した。図1は、窒化アルミニウム圧電薄膜中のGe濃度と、圧電定数d33との関係を示す図である。

0049

基材温度:200℃
Ar:N2の体積比=1:1
ガス圧:0.2Pa

0050

図1中、実線は、上記の1元スパッタリング法により作製したGe含有窒化アルミニウム圧電薄膜の結果であり、破線は、2元スパッタリング法により作製したGe含有窒化アルミニウム圧電薄膜の結果である。なお、2元スパッタリング法においては、図7に示すようにAlターゲット111と、Geターゲット112との2つのターゲットを用いて、基材113上にGe含有窒化アルミニウム圧電薄膜を形成した。

0051

なお、1元スパッタリング法とは1つの高周波電力源にGeAl合金ターゲットまたはGeAl複合ターゲットを配置したスパッタリング法のことである。これには、複数の高周波電力源の各々に同じターゲットを配置した場合も含まれる。一方、2元スパッタリング法とは、上記のように少なくとも2つの高周波電力源に異なる元素のターゲットを配置したスパッタリング法のことである。

0052

また、下記の表1に、1元スパッタリング法により作製した窒化アルミニウム圧電薄膜中のGe濃度と、圧電定数d33との関係を示す。また、下記の表2に、2元スパッタリング法により作製した窒化アルミニウム圧電薄膜中のGe濃度と、圧電定数d33との関係を示す。

0053

0054

0055

図1、表1及び表2から明らかなように、Ge濃度が0、すなわちGeを含有していない窒化アルミニウム圧電薄膜では、圧電定数d33は、約7〜8pC/Nであり、正の値である。

0056

Geが含有されると、圧電定数d33は、急速にマイナスの値に移行することがわかる。

0057

図1の実線及び表1より、1元スパッタリング法においては、Ge濃度が、0.4原子%以上、20原子%以下の範囲内であれば、圧電定数d33が確実に負の値であることがわかる。すなわち、図4に示したように、分極方向が薄膜成長方向と逆方向であるGe含有窒化アルミニウム圧電薄膜3を得られることがわかる。よって、本発明におけるGe濃度は、0.4原子%以上、20原子%以下の範囲内にある。

0058

また、本発明の圧電薄膜の製造方法においては、上記Geの濃度が0.4原子%以上、20原子%以下の範囲となるように、基材上にGe含有窒化アルミニウム圧電薄膜を成長させることが好ましい。

0059

図1、表1及び表2より、1元スパッタリング法においては、Ge濃度が1.5原子%以上、9原子%以下の範囲内にあれば、圧電定数d33の絶対値が、2元スパッタリング法の最高値の絶対値である5.8pC/Nよりも大きくなっていることがわかる。従って、圧電特性をより一層効果的に高め得ることがわかる。より好ましくは、Ge濃度が2.5原子%以上、7.9原子%以下の範囲内にあれば、圧電特性をさらに一層効果的に高め得ることがわかる。

0060

また、図1、表1及び表2より、1元スパッタリング法においては、2元スパッタリング法では圧電定数d33が負の値とはなり難い、0.4原子%以上、3原子%未満の範囲内においても、圧電定数d33を負の値にすることができる。好ましくは、Ge濃度が1原子%以上、3原子%未満の範囲内にあれば、圧電特性をより一層効果的に高め得ることがわかる。より好ましくは、Ge濃度が2原子%以上、3原子%未満の範囲内にあれば、圧電特性をさらに一層効果的に高め得ることがわかる。

0061

従って、本発明においては、圧電特性をより一層高める観点から、上記Geの濃度は、1原子%以上であることが好ましく、1.5原子%以上であることがより好ましく、2原子%以上であることがさらに好ましく、2.5原子%以上であることが特に好ましい。また、上記Geの濃度は、9原子%以下であることが好ましく、7.9原子%以下であることがより好ましく、3原子%未満であることがさらに好ましい。

0062

上記のように、本願発明者らは、1元スパッタリング法によりGe含有窒化アルミニウム圧電薄膜を成膜することで、2元スパッタリング法で成膜した圧電薄膜より、圧電特性に優れた圧電薄膜が得られることを見出した。また、本願発明者らは、1元スパッタリング法によりGe含有窒化アルミニウム圧電薄膜を成膜することで、2元スパッタリング法では圧電定数d33が負の値とならなかったGeの濃度範囲においても、圧電定数d33が負の値となることを見出し、本発明を成すに至った。従って、本発明のGe含有窒化アルミニウム圧電薄膜は、1元スパッタリング法により成膜された圧電薄膜であることが望ましい。

0063

Geが含有されるとGeとAlとが置換されていることがRBS/NRA分析より分かり、文献(R. D. Shannon, Acta Crystallogr., A 32 (1976) 751.)より、3価4配位のAlと4価4配位のGeはイオン半径がともに0.39オングストローム近似しており、置換しやすいことも分かる。

0064

また、第一原理計算よりGeは4価4配位の構造を安定的に取りやすく、その際の電荷補償はAl欠陥によって行われると安定構造をとり、かつ実験的で取得された圧電定数や結晶構造に非常に近いものが得られることが分かった。

0065

これらの実験データと理論解析より、Al欠損を安定して実現できるGeドープのような方法が窒素極性(N polarity)な窒化アルミニウム圧電薄膜を形成するのに有効であることが分かった。

0066

前述した特許文献1の製造方法では、微量の酸素を高精度に供給することが困難であった。これに対して、上記一実施形態から明らかなように、本発明の窒化アルミニウム圧電薄膜の製造方法では、このような微量のガスの供給のような煩雑な工程を必要としない。従って、分極方向が反転されたGe含有窒化アルミニウム圧電薄膜を容易に量産することができる。

0067

図5は、本発明の圧電部品の一構造例を示す部分切欠き正面断面図である。圧電薄膜共振子51は、基板52を有する。基板52には、空洞部52aが設けられている。この空洞部52a上において、支持膜53、第1の圧電薄膜54及び第2の圧電薄膜55がこの順序で積層されている。また、第1の圧電薄膜54の下面に下部電極56が配置されている。第2の圧電薄膜55の上方には、上部電極57が設けられている。第1の圧電薄膜54と第2の圧電薄膜55との間には、中間電極58が設けられている。そして、第1の圧電薄膜54の分極方向は、矢印Z方向であるのに対し、第2の圧電薄膜55の分極方向は矢印−Z方向である。このような圧電薄膜共振子51を得るに際し、上記Ge含有窒化アルミニウム圧電薄膜を第2の圧電薄膜55として好適に用いることができる。

0068

一例として、本圧電薄膜共振子51の上部電極57と下部電極56を共通グランド電極、中間電極58をシグナル電極として基本波駆動すると、一対の上下電極と圧電薄膜で形成された一般的な圧電薄膜共振子に比べて、同一の面積で4倍の容量が取れるため素子の面積低減に大きな効果を発現する。

0069

また別の例として、上部電極57をグランド電極、下部電極56をシグナル電極、中間電極58を浮き電極として2倍波駆動すると、一対の上下電極と圧電薄膜で形成された一般的な圧電薄膜共振子に比べて、同じ厚みで2倍の共振周波数で駆動できるため、素子の高周波化に大きな効果を発現する。

0070

なお、空洞部52aは本実施例では基板を圧電薄膜を形成した面と反対側の面から貫通させて形成しているが、あらかじめ空隙を形成した基板に犠牲材料を埋め込み、圧電薄膜形成後にエッチングすることにより犠牲材料を除去して空洞を形成してもよい。また、基板上に犠牲材料およびその上に圧電薄膜を形成した後、犠牲材料を除去したエアギャップ構造や、圧電体と基板の間高音響インピーダンス層低音響インピーダンス層を交互に積層して形成した音響反射器を備える構造とすることにより、音響分離した圧電薄膜共振子としてもよい。

0071

第1の圧電薄膜54としては、Geを含有していない窒化アルミニウム圧電薄膜をスパッタリングにより形成すればよい。従って、分極方向が異なる第1,第2の圧電薄膜54,55を容易に形成することができる。

0072

図6は、本発明の圧電部品の他の構造例を示す正面断面図である。図6に示す音響素子61は、ケース62を有する。ケース62は、下方に開いた開口を有する。下方に開いた開口は、ベースプレート63により閉成されている。上記ケース62の上面には、複数の放音孔62aが設けられている。

0073

また、ケース62内には、積層圧電素子70が支持部64,65を介して取り付けられている。積層圧電素子70は、上から順に、電極71、振動膜72、圧電層73、電極74を積層してなる第1の積層部分と、その下方に配置されており、上から順に、電極75、圧電層76、振動膜77及び電極78が積層されている第2の積層部分とを有する。圧電層73の分極方向と、圧電層76の分極方向とは、厚み方向において互いに逆向きとされている。圧電層73,76として、本発明のGe含有窒化アルミニウム圧電薄膜と、分極方向が薄膜成長方向である窒化アルミニウム圧電薄膜とを用いることにより、このような音響素子61を容易に作製することができる。

0074

なお、図5及び図6に示した構造例に限らず、本発明は、様々な圧電振動子圧電共振子圧電アクチュエータ圧電センサなどの分極方向が逆方向の圧電薄膜を用いた圧電部品に広く用いることができる。

0075

1…圧電部品
2…基材
3…Ge含有窒化アルミニウム圧電薄膜
4…電極
12…基材
21…製造装置
22…GeAl合金ターゲット
23…チャンバー
24…高周波電力源
25,26…加熱装置
27…シャッター
28…バルブ
51…圧電薄膜共振子
52…基板
52a…空洞部
53…支持膜
54,55…第1,第2の圧電薄膜
56…下部電極
57…上部電極
58…中間電極
61…音響素子
62…ケース
62a…放音孔
63…ベースプレート
64,65…支持部
70…積層圧電素子
71…電極
72,77…振動膜
73,76…圧電層
74,75,78…電極

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