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技術 診断装置

出願人 株式会社SOKEN株式会社デンソートヨタ自動車株式会社
発明者 石川裕司山本隆士長谷川茂樹川原周也
出願日 2015年8月27日 (4年6ヶ月経過) 出願番号 2015-168057
公開日 2017年3月2日 (3年0ヶ月経過) 公開番号 2017-045648
状態 特許登録済
技術分野 燃料電池(システム) 燃料電池(本体)
主要キーワード 基準インピーダンス 空気排出路 カーボン酸化 体積流 冷却水循環回路 空気排出配管 電圧増幅回路 水素欠乏
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課題

任意の燃料電池セル10aの水素ガス欠乏酸素ガス欠乏を診断する。

解決手段

診断装置5が、交流成分ΔI付加部510が燃料電池10の出力電流に対して交流電流重畳させる。Zn算出部520は複数の燃料電池セル10aのうち任意の燃料電池セル10aについて交流電流に対するセルインピーダンスを算出する。診断部530は、セルインピーダンスの絶対値が(基準インピーダンスの絶対値+所定値β)よりも大きい場合には、任意の燃料電池セル10aが水素欠乏であると診断する。セルインピーダンスの絶対値が(基準インピーダンスの絶対値−所定値α)よりも小さい場合には、任意の燃料電池セル10aが酸素欠乏であると診断する。

概要

背景

従来、燃料電池システムにおいて、酸素ガス水素ガス電気化学反応させて電気エネルギを発生させる燃料電池セルを複数積層された燃料電池と、燃料電池の出力に交流電流交流電圧とを発生させる出力制御部とを備えるものがある(例えば、特許文献1参照)。

このものにおいて、燃料電池から出力される交流電流と交流電圧とに基づいて燃料電池全体内部インピーダンスの絶対値を求めるインピーダンス算出部と、燃料電池の内部インピーダンスの絶対値に基づいて燃料電池の水素濃度を算出する水素濃度算出部を備える。

さらに、特許文献2に記載の燃料電池システムでは、複数の燃料電池セルのうち任意の燃料電池セルのインピーダンスと任意の燃料電池セルの出力電圧の低下量に基づいて、酸素ガス、或いは水素ガスが欠乏しているか否かを診断するものが提案されている。

具体的には、任意の燃料電池セルのインピーダンスを測定し、この測定したインピーダンスの絶対値が増加した場合には、任意の燃料電池セルにおいて酸素ガスおよび水素ガスのどちらか欠乏していると診断する。これに加えて、任意の燃料電池セルの出力電圧の低下量に応じて、酸素ガスおよび水素ガスのうちどちらが欠乏しているかを判別する。

概要

任意の燃料電池セル10aの水素ガス欠乏、酸素ガス欠乏を診断する。診断装置5が、交流成分ΔI付加部510が燃料電池10の出力電流に対して交流電流を重畳させる。Zn算出部520は複数の燃料電池セル10aのうち任意の燃料電池セル10aについて交流電流に対するセルインピーダンスを算出する。診断部530は、セルインピーダンスの絶対値が(基準インピーダンスの絶対値+所定値β)よりも大きい場合には、任意の燃料電池セル10aが水素欠乏であると診断する。セルインピーダンスの絶対値が(基準インピーダンスの絶対値−所定値α)よりも小さい場合には、任意の燃料電池セル10aが酸素欠乏であると診断する。

目的

本発明は上記点に鑑みて、燃料電池セルの出力電圧の低下量を用いることなく、任意の燃料電池セルは水素ガスが欠乏しているか否かを診断する診断装置を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
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請求項1

酸素を含む酸化剤と水素を含む燃料電気化学反応させて電気エネルギを発生させる燃料電池セル(10a)を複数積層された燃料電池(10)の状態を診断する診断装置であって、前記燃料電池の出力電流に対して交流電流重畳させる信号重畳手段(510)と、前記燃料電池セルから出力される電圧を前記燃料電池セル毎に検出する第1電圧検出手段(54)と、前記燃料電池から出力される電圧を検出する第2電圧検出手段(52a)と、前記複数の燃料電池セルに流れる電流を求める電流検出手段(52b)と、前記電流検出手段により検出された電流と前記第1電圧検出手段により検出された電圧とに基づいて、前記複数の燃料電池セルのうち任意の燃料電池セルについて前記交流電流に対する低周波インピーダンスを算出する第1算出手段(520)と、前記電流検出手段により検出される電流と前記第1、第2の電圧検出手段により検出された電圧とに基づいて、前記交流電流に対する前記燃料電池の全体の低周波のインピーダンス、或いは前記複数の燃料電池セルのうち前記水素の欠乏が生じ難い燃料電池セルとして予め選択された基準セルについて前記交流電流に対する低周波のインピーダンスを算出し、この算出されるインピーダンスに基づいて基準インピーダンスを算出する第2算出手段(S100)と、前記第1算出手段により算出されたインピーダンスの絶対値が前記基準インピーダンスの絶対値よりも大きいか否かを判定する第1判定手段(S110)と、を備え、前記第1算出手段により算出されたインピーダンスの絶対値が前記基準インピーダンスの絶対値よりも大きいと前記第1判定手段が判定した場合には、前記任意の燃料電池セルは前記水素が欠乏している状態であると診断することを特徴とする診断装置。

請求項2

前記燃料電池に供給される燃料の供給量を調整する第1調整手段(33,34)と、前記任意の燃料電池セルは前記水素が欠乏している状態であると診断した場合には、前記任意の燃料電池セルにおいて前記水素が欠乏している状態を回避させるために、前記燃料電池に供給される燃料の供給量を増大させるように前記第1調整手段を制御する第1制御手段(S120)と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の診断装置。

請求項3

前記第1算出手段により算出されたインピーダンスの絶対値が前記基準インピーダンスの絶対値よりも小さいか否かを判定する第2判定手段(S130)を備え、前記第1算出手段により算出されたインピーダンスの絶対値が前記基準インピーダンスの絶対値よりも小さいと前記第2判定手段が判定した場合には、前記任意の燃料電池セルは前記酸素が欠乏している状態であると診断することを特徴とする請求項1または2に記載の診断装置。

請求項4

前記燃料電池に供給される酸化剤の供給量を調整する第2調整手段(22、23、24)と、前記任意の燃料電池セルは前記酸素が欠乏している状態であると診断した場合には、前記任意の燃料電池セルにおいて前記酸素が欠乏している状態を回避させるために、前記燃料電池に供給される酸化剤の供給量を増大させるように前記第2調整手段を制御する第2制御手段(S140)と、を備えることを特徴とする請求項3に記載の診断装置。

請求項5

前記第1電圧検出手段によって検出される電圧を前記燃料電池セル毎に電圧増幅する電圧増幅回路(53)を備え、前記第1算出手段は、前記電流検出手段により検出された電流と前記電圧増幅回路の出力電圧とに基づいて、前記任意の燃料電池セルの前記インピーダンスを算出し、前記第2算出手段は、前記電流検出手段により検出された電流と前記電圧増幅回路の出力電圧とに基づいて、前記基準セルの前記インピーダンスを算出することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の診断装置。

請求項6

前記第1算出手段は、前記複数の燃料電池セルのうち任意の2つ以上の燃料電池セルのインピーダンスを算出することを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1つに記載の診断装置。

請求項7

酸素を含む酸化剤と水素を含む燃料を電気化学反応させて電気エネルギを発生させる燃料電池セル(10a)を複数積層された燃料電池(10)の状態を診断する診断装置であって、前記燃料電池の出力電流に対して交流電流を重畳させる信号重畳手段(510)と、前記燃料電池セルから出力される電圧を前記燃料電池セル毎に検出する第1電圧検出手段(54)と、前記燃料電池から出力される電圧を検出する第2電圧検出手段(52a)と、前記複数の燃料電池セルに流れる電流を求める電流検出手段(52b)と、前記電流検出手段により検出された電流と前記第1電圧検出手段により検出された電圧とに基づいて、前記複数の燃料電池セルのうち任意の燃料電池セルについて前記交流電流に対する低周波のインピーダンスを算出する第1算出手段(520)と、前記電流検出手段により検出される電流と前記第1、第2の電圧検出手段により検出された電圧とに基づいて、前記交流電流に対する前記燃料電池の全体の低周波のインピーダンス、或いは前記複数の燃料電池セルのうち前記酸素の欠乏が生じ難い燃料電池セルとして予め選択された基準セルについて前記交流電流に対する低周波のインピーダンスを算出し、この算出されるインピーダンスに基づいて基準インピーダンスを算出する第2算出手段(S100)と、前記第1算出手段により算出されたインピーダンスの絶対値が前記基準インピーダンスの絶対値よりも小さいか否かを判定する第3判定手段(S130)と、を備え、前記第1算出手段により算出されたインピーダンスの絶対値が前記基準インピーダンスの絶対値よりも小さいと前記第3判定手段が判定した場合には、前記任意の燃料電池セルは前記酸素が欠乏している状態であると診断することを特徴とする診断装置。

技術分野

0001

本発明は、燃料電池の状態を診断する診断装置に関するものである。

背景技術

0002

従来、燃料電池システムにおいて、酸素ガス水素ガス電気化学反応させて電気エネルギを発生させる燃料電池セルを複数積層された燃料電池と、燃料電池の出力に交流電流交流電圧とを発生させる出力制御部とを備えるものがある(例えば、特許文献1参照)。

0003

このものにおいて、燃料電池から出力される交流電流と交流電圧とに基づいて燃料電池全体内部インピーダンスの絶対値を求めるインピーダンス算出部と、燃料電池の内部インピーダンスの絶対値に基づいて燃料電池の水素濃度を算出する水素濃度算出部を備える。

0004

さらに、特許文献2に記載の燃料電池システムでは、複数の燃料電池セルのうち任意の燃料電池セルのインピーダンスと任意の燃料電池セルの出力電圧の低下量に基づいて、酸素ガス、或いは水素ガスが欠乏しているか否かを診断するものが提案されている。

0005

具体的には、任意の燃料電池セルのインピーダンスを測定し、この測定したインピーダンスの絶対値が増加した場合には、任意の燃料電池セルにおいて酸素ガスおよび水素ガスのどちらか欠乏していると診断する。これに加えて、任意の燃料電池セルの出力電圧の低下量に応じて、酸素ガスおよび水素ガスのうちどちらが欠乏しているかを判別する。

先行技術

0006

特開2013−140715号公報
特開2012−252986号公報

発明が解決しようとする課題

0007

上記特許文献1の燃料電池システムでは、燃料電池全体について水素濃度を算出することができるものの、水素濃度が欠乏しているか否かを燃料電池セル毎に診断することができない。

0008

特許文献2に記載の燃料電池システムでは、任意の燃料電池セルにおいて、水素ガスおよび酸素ガスのうちいずれが欠乏しているかを判別するために、任意の燃料電池セルのインピーダンスの絶対値に加えて、任意の燃料電池セルの出力電圧の低下量を必要とする。

0009

本発明は上記点に鑑みて、燃料電池セルの出力電圧の低下量を用いることなく、任意の燃料電池セルは水素ガスが欠乏しているか否かを診断する診断装置を提供することを第1目的とし、燃料電池セルの出力電圧の低下量を用いることなく、任意の燃料電池セルは酸素ガスが欠乏しているか否かを診断する診断装置を提供することを第2目的とする。

課題を解決するための手段

0010

上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、酸素を含む酸化剤と水素を含む燃料を電気化学反応させて電気エネルギを発生させる燃料電池セル(10a)を複数積層された燃料電池(10)の状態を診断する診断装置であって、
燃料電池の出力電流に対して交流電流を重畳させる信号重畳手段(510)と、
燃料電池セルから出力される電圧を燃料電池セル毎に検出する第1電圧検出手段(54)と、
燃料電池から出力される電圧を検出する第2電圧検出手段(52a)と、
複数の燃料電池セルに流れる電流を求める電流検出手段(52b)と、
電流検出手段により検出された電流と第1電圧検出手段により検出された電圧とに基づいて、複数の燃料電池セルのうち任意の燃料電池セルについて交流電流に対する低周波のインピーダンスを算出する第1算出手段(520)と、
電流検出手段により検出される電流と第1、第2の電圧検出手段により検出された電圧とに基づいて、交流電流に対する燃料電池の全体の低周波のインピーダンス、或いは複数の燃料電池セルのうち水素の欠乏が生じ難い燃料電池セルとして予め選択された基準セルについて交流電流に対する低周波のインピーダンスを算出し、この算出されるインピーダンスに基づいて基準インピーダンスを算出する第2算出手段(S100)と、
第1算出手段により算出されたインピーダンスの絶対値が基準インピーダンスの絶対値よりも大きいか否かを判定する第1判定手段(S110)と、を備え、
第1算出手段により算出されたインピーダンスの絶対値が基準インピーダンスの絶対値よりも大きいと第1判定手段が判定した場合には、任意の燃料電池セルは水素が欠乏している状態であると診断することを特徴とする。

0011

請求項1に記載の発明によれば、燃料電池セルの出力電圧の低下量を用いることなく、基準インピーダンスとセルインピーダンスとを比較することにより、任意の燃料電池セルは水素が欠乏している状態であるか否かを診断することができる。

0012

但し、低周波数としては、例えば、1Hz以上200Hz以下の範囲内の周波数が用いられる。

0013

請求項7に記載の発明では、酸素を含む酸化剤と水素を含む燃料を電気化学反応させて電気エネルギを発生させる燃料電池セル(10a)を複数積層された燃料電池(10)の状態を診断する診断装置であって、
燃料電池の出力電流に対して交流電流を重畳させる信号重畳手段(510)と、
燃料電池セルから出力される電圧を燃料電池セル毎に検出する第1電圧検出手段(54)と、
燃料電池から出力される電圧を検出する第2電圧検出手段(52a)と、
複数の燃料電池セルに流れる電流を求める電流検出手段(52b)と、
電流検出手段により検出された電流と第1電圧検出手段により検出された電圧とに基づいて、複数の燃料電池セルのうち任意の燃料電池セルについて交流電流に対する低周波のインピーダンスを算出する第1算出手段(520)と、
電流検出手段により検出される電流と第1、第2の電圧検出手段により検出された電圧とに基づいて、交流電流に対する燃料電池の全体の低周波のインピーダンス、或いは複数の燃料電池セルのうち酸素の欠乏が生じ難い燃料電池セルとして予め選択された基準セルについて交流電流に対する低周波のインピーダンスを算出し、この算出されるインピーダンスに基づいて基準インピーダンスを算出する第2算出手段(S100)と、
第1算出手段により算出されたインピーダンスの絶対値が基準インピーダンスの絶対値よりも小さいか否かを判定する第3判定手段(S130)と、を備え、
第1算出手段により算出されたインピーダンスの絶対値が基準インピーダンスの絶対値よりも小さいと第3判定手段が判定した場合には、任意の燃料電池セルは酸素が欠乏している状態であると診断することを特徴とする。

0014

請求項7に記載の発明によれば、燃料電池セルの出力電圧の低下量を用いることなく、基準インピーダンスとセルインピーダンスとを比較することにより、任意の燃料電池セルは酸素が欠乏している状態であるか否かを診断することができる。

0015

なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。

図面の簡単な説明

0016

本発明に係る一実施形態における燃料電池システムの全体構成図である。
上記実施形態に係る単セルの模式的な断面図である。
上記実施形態に係る単セルの内部の構造を示す模式的な断面図である。
上記実施形態に係る診断装置の模式図である。
上記実施形態に係る信号重畳部にて燃料電池の出力電流に重畳させる交流電流を説明するための説明図である。
上記実施形態において水素欠乏時と通常発電時とにおいて燃料電池セルのインピーダンスの比較を示すヒストグラムである。
上記実施形態において空気欠乏酸素欠乏)時と通常発電時とにおいて燃料電池セルのインピーダンスの比較を示すヒストグラムである。
上記実施形態に係る診断装置の燃料電池診断処理を示すフローチャートである。

実施例

0017

以下、本発明に係る診断装置5が適用された燃料電池システム1の一実施形態について図に基づいて説明する。本実施形態の診断装置5は、電気自動車一種である燃料電池車両に適用されて、車両に搭載された燃料電池10の状態を診断するものである。

0018

燃料電池10は、水素ガスを含む燃料ガスと酸素ガスを含む酸化剤ガス(本例では、空気)といった反応ガスの電気化学反応を利用して電気エネルギを出力するものである。本実施形態では、燃料電池10として固体高分子型燃料電池を採用している。

0019

図1の全体構成図に示すように、燃料電池10は、発電により発生した直流電力DC−DCコンバータ51aを介して、主に車両走行用電動モータ二次電池といった電気負荷(図示略)に供給する。

0020

本実施形態の燃料電池10は、最小単位となる燃料電池セル10aが複数積層されたスタック構造であり、複数の燃料電池セル10aを電気的に直列接続した直列接続体として構成されている。

0021

複数の燃料電池セル10aは、図2の断面図に示すように、電解質膜101の両側を一対の触媒層102a、102bで挟んで構成される膜電極接合体100、膜電極接合体100の両側に配置された一対の拡散層103a、103b、これらを挟持するセパレータ110で構成されている。

0022

電解質膜101は、含水性を有する炭化フッ素系炭化水素系等の高分子材料により形成されたプロトン伝導性イオン交換膜である。

0023

一対の触媒層102a、102bは、それぞれ電極をなすもので、アノード電極を構成するアノード側触媒層102a、およびカソード電極を構成するカソード側触媒層102bで構成されている。各触媒層102a、102bは、図3の模式図に示すように、触媒作用を発揮する物質(例えば、白金粒子)102c、当該物質102cを担持する担持カーボン102d、担持カーボン102dを被覆するアイオノマー電解質ポリマー)102eで構成されている。

0024

拡散層103a、103bは、反応ガスを各触媒層102a、102bへ拡散させるもので、ガス透過性および電子伝導性を有する多孔質部材(例えば、カーボンペーパーカーボンクロス)で構成されている。

0025

セパレータ110は、例えば、導電性を有するカーボン製の基材で構成されている。各セパレータ110には、アノード側触媒層102aに対向する部位に、燃料ガスが流れる水素流路111が形成され、カソード側触媒層102bに対向する部位に、酸化剤ガスが流れる空気流路112が形成されている。

0026

複数の燃料電池セル10aは、それぞれ、燃料ガスおよび酸化剤ガスが供給されると、以下に示すように、水素ガスおよび酸素ガスの電気化学反応により、電気エネルギを出力する。

0027

アノード側)H2→2H++2e−
カソード側)2H++1/2O2+2e−→H2O
図1戻り、燃料電池10は、双方向に電力供給可能なDC−DCコンバータ51aを介して、各種電気負荷に電気的に接続されている。DC−DCコンバータ51aは、電圧センサ52aおよび電流センサ52bとともに電流制御装置51を構成するもので、燃料電池10から各種電気負荷、あるいは、各種電気負荷から燃料電池10への電力の流れを制御するものである。

0028

本実施形態の燃料電池10には、燃料電池セル10aにおける水素ガスの欠乏や酸素ガスの欠乏を診断する診断装置5が接続されている。なお、診断装置5については後述する。

0029

図1の燃料電池10には、空気入口部11aに空気を供給するための空気供給配管20が接続されると共に、空気出口部11bから生成水不純物を空気とともに外部へ排出するための空気排出配管21が接続されている。

0030

なお、空気入口部11aは、複数の燃料電池セル10aの空気流路112に酸化剤ガスを供給するガス入口部を構成している。空気出口部11bは、複数の燃料電池セル10aの空気流路112から生成水や不純物を空気とともに排出させるガス出口部を構成している。

0031

空気供給配管20は、その最上流部に大気中から吸入した空気を燃料電池10に圧送するための空気ポンプ22が設けられている。空気ポンプ22は、空気を圧送する圧縮機構と圧縮機構を駆動する電動モータからなる電動ポンプである。

0032

そして、空気供給配管20における空気ポンプ22と燃料電池10との間には、燃料電池10に供給される空気の圧力を調整する空気調圧弁23が設けられている。空気調圧弁23は、空気供給配管20のうち空気が流通する空気流路の開度を調整する弁体と、この弁体を駆動する電動アクチュエータとから構成されている。

0033

また、空気排出配管21には、燃料電池10内部に存する生成水や不純物等を空気とともに外部へ排出するための電磁弁24が設けられている。電磁弁24は、空気排出配管21のうち空気が排出される空気排出路の開度を調整する弁体と、この弁体を駆動する電動アクチュエータとから構成されている。

0034

また、燃料電池10には、水素入口部12aに水素を供給するための水素供給流路を有する水素供給配管30が接続されると共に、水素出口部12bから微量な未反応水素等を外部へ排出するための水素排出流路を備える水素排出配管31が接続されている。

0035

なお、水素入口部12aは、複数の燃料電池セル10aの水素流路111に燃料ガスを供給するガス入口部を構成している。水素出口部12bは、複数の燃料電池セル10aの水素流路111から未反応水素等を排出させるガス出口部を構成している。

0036

水素供給配管30の最上流部には、高圧水素充填された高圧水素タンク32が設けられている。そして、水素供給配管30における高圧水素タンク32と燃料電池10との間には、燃料電池10に供給される水素の圧力を調整する水素調圧弁33が設けられている。水素調圧弁33は、水素供給配管30のうち水素供給流路の開度を調整する弁体と、この弁体を駆動する電動アクチュエータとから構成されている。

0037

また、水素排出配管31には、微量な未反応水素等を外部へ排出するための電磁弁34が設けられている。電磁弁34は、水素排出配管31のうち水素排出流路の開度を調整する弁体と、この弁体を駆動する電動アクチュエータとから構成されている。

0038

なお、本実施形態では、調圧弁23、33および電磁弁24、34、および空気ポンプ22は、診断装置5によって制御される。

0039

さらに、燃料電池10には、燃料電池10の温度を調整する冷却系として、冷却水循環する冷却水循環回路4が接続されている。この冷却水循環回路4には、冷却水を循環させる水ポンプ41、燃料電池10通過後の冷却水を外気熱交換させて放熱する放熱器42が設けられている。放熱器42は、電動ファン43によって送風される外気により冷却水を冷却する。

0040

また、冷却水循環回路4には、放熱器42をバイパスして水ポンプ41の入口と燃料電池10の水出口とを接続するバイパス流路44が設けられている。さらに、バイパス流路44および放熱器42の水出口のうちいずれか一方を水ポンプ41の入口に接続する三方弁45が設けられている。

0041

次に、本実施形態の診断装置5について図4を参照して説明する。図4では、燃料電池10の内部構造を示すために、燃料電池10を構成する燃料電池セル10aの一部を透視図で示している。

0042

診断装置5は、マイクロコンピュータメモリデジタルアナログコンバータアナログデジタルコンバータ等によって構成されている。具体的には、診断装置5は、主に、交流成分ΔI付加部510、ΔIn算出部540、Zn算出部520、および診断部530によって構成されている。

0043

まず、交流成分ΔI付加部510は、DC−DCコンバータ51aを通して燃料電池10の出力電流に対して低周波数fの交流電流(交流成分ΔI)を重畳させる。DC−DCコンバータ51aは、燃料電池10に接続され、図5に示すように、交流成分ΔI付加部510からの交流電流を燃料電池10の出力電流に重畳する。本実施形態の低周波数fとしては、例えば、1Hz以上200Hz以下の範囲内の周波数が用いられる。

0044

なお、DC−DCコンバータ51aにおいて重畳する各交流電流は、燃料電池10の発電状態への影響を考慮して、燃料電池10の出力電流(発電電流)の10%以内とすることが望ましいが、燃料電池10の発電状態に応じて変更するようにしてもよい。

0045

なお、交流成分ΔI付加部510は、DC−DCコンバータ51aを通して、互いに異なる複数の周波数の交流電流を燃料電池10の出力電流(発電電流)に重畳するように構成してもよい。

0046

ΔIn算出部540は、電流センサ52bの検出電流Iに基づいて、燃料電池10に流れる総電流Iのうち低周波数fの交流成分ΔIn(すなわち、低周波数fの交流電流)を算出する。本実施形態のΔIn算出部540が交流成分ΔInを算出する際には、高速フーリエ変換等の手法が用いられる。

0047

電流センサ52bは、燃料電池10に流れる総電流Iを検出する。総電流Iは、燃料電池10の出力電流(図5直流電流I)と低周波数fの交流電流(図5中交流成分ΔI)とを含んだ電流である。

0048

Zn算出部520は、増幅回路53の出力電圧に基づいて、燃料電池セル10aから出力されるセル電圧のうち低周波数fの交流成分ΔV(すなわち、低周波数fの交流電圧)を燃料電池セル10a毎に算出する。本実施形態のZn算出部520が交流成分ΔVを算出する際には、高速フーリエ変換等の手法が用いられる。

0049

これに加えて、Zn算出部520は、「交流成分ΔV」を「ΔIn算出部540により算出される交流成分ΔIn」によって除算して、交流電流に対する燃料電池セル10aのインピーダンス(=ΔV/ΔIn)を燃料電池セル10a毎に算出する。なお、以下、交流電流に対する燃料電池セル10aのインピーダンスをセルインピーダンスという。

0050

増幅回路53は、セルモニタ54から出力される電圧を燃料電池セル10a毎に電圧増幅して出力する。セルモニタ54は、燃料電池セル10aから出力される電圧を燃料電池セル10a毎に検出する電圧検出手段である。このため、増幅回路53は、複数の燃料電池セル10aから出力されるセル電圧をそれぞれ電圧増幅することになる。

0051

電圧センサ52aは、燃料電池10全体(すなわち、複数の燃料電池セル10a全体)から出力される電圧(以下、総電圧という)を検出する。

0052

Zn算出部520は、電圧センサ52aの検出電圧に基づいて、総電圧のうち低周波数fの交流成分V(すなわち、低周波数fの交流電圧)を算出する。本実施形態のZn算出部520が交流成分Vを算出する際には、高速フーリエ変換等の手法が用いられる。

0053

これに加えて、Zn算出部520は、「交流成分V」を「ΔIn算出部540により算出される交流成分ΔIn」によって除算して、交流電流に対する燃料電池10全体(すなわち、複数の燃料電池セル10a全体)のインピーダンス(以下、スタック全体インピーダンスΣZnという)を算出する。

0054

診断部530は、燃料電池セル10a毎のセルインピーダンスの絶対値と基準インピーダンスの絶対値とを比較することにより、任意の燃料電池セル10aについて水素ガスの欠乏、および酸素ガスの欠乏を診断する。

0055

次に、本実施形態の燃料電池システム1において、セルインピーダンスの絶対値と基準インピーダンスの絶対値とを比較することにより、水素ガスの欠乏、および酸素ガスの欠乏を診断する原理について説明する。

0056

まず、燃料電池セル10aが発電時に水素ガスの欠乏を生じた場合、空気極(カソード)における反応が通常発電時の酸素還元反応からカーボン酸化反応に変わる。以下、水素ガスの欠乏を生じた燃料電池セル10aを水素ガス欠乏セルという。

0057

この際、水素ガス欠乏セルの反応抵抗は、酸素還元反応を有する燃料電池セル10aの反応抵抗と比較して非常に大きくなる。このため、水素ガス欠乏セルのセルインピーダンスの絶対値は酸素還元反応を有する燃料電池セル10aのセルインピーダンスの絶対値と比較して大きくなる。

0058

これにより、燃料電池セル10aのセルインピーダンスの絶対値は、水素欠乏時には、通常発電時に比べて、大きくなる(図6参照)。通常発電時とは、燃料電池セル10aが発電を行う際に、水素ガスや酸素ガスが燃料電池セル10aに十分に供給されて欠乏していない状態である。

0059

以上により、通常発電時の燃料電池セル10aのセルインピーダンスの絶対値を基準インピーダンスとして、任意の燃料電池セル10aのセルインピーダンスの絶対値が基準インピーダンスの絶対値よりも大きいか否かを判定する。これにより、任意の燃料電池セル10aに水素ガスの欠乏が生じているか否かを診断することができる。

0060

また、燃料電池セル10aが発電時に酸素ガスの欠乏を生じた場合、空気極での反応が通常発電時の酸素還元反応から水素ポンピング反応に変わる。以下、酸素ガスの欠乏を生じた燃料電池セル10aを酸素欠乏セルという。

0061

この際、酸素欠乏セルにおいて酸素拡散に関わる反応抵抗は無くなるため、酸素欠乏セルのセルインピーダンスは高周波のインピーダンスと近い値となり、酸素還元反応を有する燃料電池セル10aのインピーダンスの絶対値と比較して酸素欠乏セルのインピーダンスの絶対値が小さくなる。

0062

なお、高周波のインピーダンスとは、燃料電池10の出力電流に対して高周波数(例えば、1kHz)の交流電流を重畳させた場合において、高周波の交流電流に対する燃料電池セル10aのインピーダンスのことである。

0063

ここで、燃料電池セル10aのインピーダンスの絶対値は、空気(酸素ガス)の欠乏時には、通常発電時に比べて、小さくなる(図7参照)。

0064

以上により、任意の燃料電池セル10aのセルインピーダンスの絶対値が基準インピーダンスの絶対値よりも小さいか否かを判定することにより、任意の燃料電池セル10aに酸素ガスの欠乏が生じているか否かを診断することができる。

0065

次に、本実施形態の燃料電池システム1の作動について説明する。

0066

まず、交流成分ΔI付加部510は、DC−DCコンバータ51aを通して、燃料電池10の出力電流(発電電流)に対して低周波数fの交流電流(交流成分ΔI)を重畳させる。

0067

ΔIn算出部540は、電流センサ52bの検出電流Iに基づいて、燃料電池10に流れる総電流Iのうち低周波数fの交流成分ΔInを算出する。

0068

セルモニタ54は、燃料電池セル10aの出力電圧ΔVを燃料電池セル10a毎に検出する。増幅回路53は、セルモニタ54から出力される燃料電池セル10a毎の出力電圧ΔVをそれぞれ電圧増幅して出力する。

0069

Zn算出部520は、増幅回路53の出力電圧とΔIn算出部540により算出される交流成分ΔInとに基づいて、セルインピーダンスを燃料電池セル10a毎に算出する。

0070

Zn算出部520は、電圧センサ52aにより検出される総電圧とΔIn算出部540により算出される交流成分ΔInとに基づいて、スタック全体インピーダンスを算出する。

0071

このとき、診断部530は、スタック全体インピーダンス、および燃料電池セル10a毎のセルインピーダンスに基づいて、任意の燃料電池セル10aについて水素ガス、酸素ガスが欠乏しているか否かを診断する。

0072

具体的には、診断部530は、図8のフローチャートにしたがって、診断処理を実行する。図8は、診断部530による診断処理を示すフローチャートである。

0073

まず、ステップ100において、燃料電池セル10aについて水素ガスや酸素ガスが欠乏しているか否かを診断するために用いる基準インピーダンスを算出する。

0074

基準インピーダンスは、複数の燃料電池セル10aのうち予め選択された基準セル10aのインピーダンスである。基準セル10aとは、複数の燃料電池セル10aのうち予め決められた燃料電池セル10aであって、水素ガスや酸素ガスの欠乏が生じ難いものであると想定される燃料電池セル10aである。基準セル10aの選択については、後述する。

0075

なお、基準インピーダンスとしては、基準セル10aのインピーダンスに代えて、スタック全体インピーダンスΣZnを燃料電池セル10aの個数Nで除算した平均値(=ΣZn/N)を用いてもよい。

0076

次に、ステップ110において、基準インピーダンスの絶対値に所定値β加算した(基準インピーダンスの絶対値+所定値β)を求め、(基準インピーダンスの絶対値+所定値β)よりも任意の燃料電池セル10aのセルインピーダンスの絶対値が大きいか否かを判定する。任意の燃料電池セル10aは、複数の燃料電池セル10aのうち任意の燃料電池セル10aである。所定値βは、セルインピーダンスの絶対値に対する比較対象である閾値を調整するために予め決められた値である。

0077

例えば、(基準インピーダンスの絶対値+所定値β)よりも任意の燃料電池セル10aのセルインピーダンスの絶対値が大きいときには、ステップ110において、YESと判定する。このとき、任意の燃料電池セル10aにおいて水素ガスが欠乏している状態であると診断する。

0078

このとき、任意の燃料電池セル10aにおいて水素が欠乏している状態であることを回避するために、燃料電池セル10をフィードバック制御する。具体的には、水素調圧弁33の開度を大きくし、かつ電磁弁34の開度を大きくする。

0079

これにより、高圧水素タンク32から複数の燃料電池セル10aに供給される燃料ガス(すなわち、水素ガス)の供給量を増加させることができる。このため、任意の燃料電池セル10aに供給される水素ガスの供給量を増大させることができる。これにより、任意の燃料電池セル10aにおいて、水素ガスが欠乏している状態であることを回避することができる。その後、ステップ130に移行する。

0080

なお、水素ガスの欠乏を回避するには、燃料電池10に対して燃料ガスを圧送するための燃料ガス循環用の電動ポンプを有するシステムにおいて、燃料ガス循環用の電動ポンプの回転数を増大させてもよい。このことにより、高圧水素タンク32から複数の燃料電池セル10aに供給される水素ガスの供給量を増加させることにより、水素ガスの欠乏を回避することができる。

0081

また、(基準インピーダンスの絶対値+所定値β)よりも任意の燃料電池セル10aのセルインピーダンスの絶対値が小さいときには、上記ステップ110において、NOと判定する。このとき、任意の燃料電池セル10aにおいて、水素ガスが欠乏している状態ではないと診断する。この場合も、ステップ130に移行する。

0082

次に、ステップ130において、基準インピーダンスの絶対値から所定値αを引いた(基準インピーダンスの絶対値−所定値α)を求め、(基準インピーダンスの絶対値−所定値α)よりも任意の燃料電池セル10aのセルインピーダンスの絶対値が小さいか否かを判定する。所定値αは、セルインピーダンスの絶対値に対する比較対象である閾値を調整するために予め決められた値である。

0083

例えば、(基準インピーダンスの絶対値−所定値α)よりも任意の燃料電池セル10aのセルインピーダンスの絶対値が小さいときには、ステップ130において、YESと判定する。このとき、任意の燃料電池セル10aにおいて酸素ガスが欠乏している状態であると診断する。

0084

このとき、任意の燃料電池セル10aにおいて酸素ガスが欠乏している状態であることを回避するために、燃料電池10をフィードバック制御する。具体的には、空気ポンプ22の電動モータの回転数を増大させて、空気ポンプ22から送風される空気量(すなわち、酸素ガスの供給量)を増大させる。このため、酸素ガスの欠乏を回避することができる。

0085

または、空気調圧弁23の開度を大きくし、かつ電磁弁24の開度を大きくする。このため、空気ポンプ22から送風される空気の体積流量を増大させることにより、酸素ガスの輸送阻害する水を除去して酸素ガスの欠乏を回避することができる。

0086

これにより、任意の燃料電池セル10aに対する空気(すなわち、酸素ガス)の供給量を増大させて、任意の燃料電池セル10aにおいて酸素ガスが欠乏している状態であることを回避することができる。

0087

このような診断処理を複数の燃料電池セル10aのそれぞれについて燃料電池セル10a毎に実施する。これにより、水素ガスの欠乏が生じた場合には、水素ガスの欠乏回避制御(ステップ120)を実施する。よって、水素ガスの欠乏を回避することが可能となる。酸素ガスの欠乏が生じた場合には、酸素ガスの欠乏回避制御(ステップ140)を実施する。よって、酸素ガスの欠乏を回避することが可能となる。酸素ガスの欠乏と水素ガスの欠乏とが両方生じた場合には、水素ガスの欠乏回避制御(ステップ120)と酸素ガスの欠乏回避制御(ステップ140)との両方を実施する。これにより、水素ガスの欠乏、および酸素ガスの欠乏を回避することが可能となる。

0088

以上説明した本実施形態によれば、酸素ガスと水素ガスを電気化学反応させて電気エネルギを発生させる燃料電池セル10aを複数積層された燃料電池10の状態を診断する診断装置において、交流成分ΔI付加部510が燃料電池10の出力電流に対して交流電流を重畳させる。セルモニタ54は、燃料電池セル10aの出力電圧ΔVを燃料電池セル10a毎に検出する。ΔIn算出部540は、複数の燃料電池セル10aに流れる総電流を検出する。Zn算出部520は、複数の燃料電池セル10aのうち任意の燃料電池セル10aについて交流電流に対するセルインピーダンスを算出する。ここで、燃料電池セル10aのインピーダンスの絶対値は、水素欠乏時には、通常発電時に比べて、大きくなる。通常発電時とは、燃料電池セル10aが上記電気化学反応を行う際に、水素ガスや酸素ガスが燃料電池セル10aに十分に供給されて欠乏していない状態である。

0089

そこで、診断装置5は、任意の燃料電池セル10aのセルインピーダンスの絶対値が(基準インピーダンスの絶対値+所定値β)よりも大きいと判定した場合には、任意の燃料電池セル10aは水素ガスが欠乏している状態であると診断することができる。

0090

また、燃料電池セル10aのインピーダンスの絶対値は、酸素ガスの欠乏時には、通常発電時に比べて、小さくなる。そこで、診断装置5は、セルインピーダンスの絶対値が(基準インピーダンスの絶対値−所定値α)よりも小さいと判定した場合には、任意の燃料電池セル10aは酸素ガスが欠乏している状態であると診断することができる。

0091

したがって、診断装置5は、燃料電池セル10aの出力電圧の低下量を用いることなく、基準インピーダンスの絶対値とセルインピーダンスの絶対値とを比較することにより、任意の燃料電池セル10aは、水素ガスが欠乏している状態であると診断することができる。

0092

以上により、診断装置5が燃料電池セル10aに水素ガスの欠乏が生じていると診断したときには燃料電池10を制御して燃料電池セル10aの水素ガスの欠乏を回避することができる。診断装置5が燃料電池セル10aに酸素ガスの欠乏が生じていると診断したときには燃料電池10を制御して燃料電池セル10aの酸素ガスの欠乏を回避することができる。診断装置5が燃料電池セル10aに酸素ガスの欠乏および水素ガスの欠乏が生じていると診断したときには燃料電池10を制御して燃料電池セル10aの水素ガスの欠乏と酸素ガスの欠乏を回避することができる。

0093

次に、本実施形態の基準セル10aの選択について説明する。

0094

まず、水素ガスが欠乏しているか否かを診断するための基準セル10aとしては、次のように選択することができる。例えば、複数の燃料電池セル10aのうち燃料ガス(水素ガス)の流速が最も大きくなり易い燃料電池セル10aを基準セル10aとして選択することができる。より具体的には、複数の燃料電池セル10aのうち燃料ガスの流れ方向の上流側(すなわち、高圧水素タンク32側)の燃料電池セル10aは、燃料ガス(水素ガス)の流速が最も大きくなり易いため、この燃料ガスの流れ方向の上流側の燃料電池セル10aを基準セル10aとして選択することができる。

0095

また、複数の燃料電池セル10aのうちセル積層方向中央側の燃料電池セル10aを基準セル10aとして選択することができる。複数の燃料電池セル10aのうちセル積層方向端側の燃料電池セル10aは、放熱され易いので、水素流路111にて水詰まりが発生し易く水素ガスの欠乏が生じ易い。これに対して、複数の燃料電池セル10aのうちセル積層方向中央側の燃料電池セル10aは、放熱され難いので、水詰まりによる水素ガスの欠乏が生じ難い。

0096

また、酸素ガスが欠乏しているか否かを診断するための基準セル10aとしては次のように選択することができる。例えば、複数の燃料電池セル10aのうち空気(酸素ガス)の流速が最も大きくなり易い燃料電池セル10aを基準セル10aとして選択することができる。より具体的には、燃料電池10のうち、複数の燃料電池セル10aのうち空気の流れ方向の上流側(すなわち、空気ポンプ22側)の燃料電池セル10aが空気の流速が最も大きくなり易いため、この空気の流れ方向上流側の燃料電池セル10aを基準セル10aとして選択することができる。

0097

また、複数の燃料電池セル10aのうちセル積層方向中央側の燃料電池セル10aを基準セル10aとして選択することができる。複数の燃料電池セル10aのうちセル積層方向端側の燃料電池セル10aは、放熱し易いので、空気流路112にて水詰まりが発生し易く酸素ガスの欠乏が生じ易い。これに対して、複数の燃料電池セル10aのうちセル積層方向中央側の燃料電池セル10aは、空気流路112にて水詰まりによる酸素ガスの欠乏が生じ難い。

0098

(他の実施形態)
(1)上記実施形態では、複数の燃料電池セルのうち1つの任意の燃料電池セル10aのセルインピーダンスに基づいて水素ガス欠乏や酸素ガス欠乏を診断した例について説明したが、これに代えて、次の(a)、(b)のようにしてもよい。

0099

(a)まず、燃料電池10を構成する燃料電池セル10aの総数をNとし、任意の燃料電池セル10aの個数をMとする。この場合、Mは、2以上で、かつM<Nを満たす整数とする。

0100

N個の燃料電池セル10aのうち任意のM個の燃料電池セル10aのインピーダンスの絶対値を加算した合計をセルインピーダンスの絶対値として算出する。

0101

この場合、「(基準インピーダンスの絶対値+所定値β)×N」を第1閾値とする。セルインピーダンスの絶対値が第1閾値よりも大きいか否かを判定することにより、任意のM個の燃料電池セル10aに水素ガスの欠乏が生じているか否かを診断する。

0102

一方、「(基準インピーダンスの絶対値−所定値α)×N」を第2閾値とする。セルインピーダンスの絶対値が第2閾値よりも大きいか否かを判定することにより、任意のM個の燃料電池セル10aに酸素ガスの欠乏が生じているか否かを診断する。

0103

(b) N個の燃料電池セル10aのうち任意のM個の燃料電池セル10aのインピーダンスの絶対値の平均値Zavをセルインピーダンスの絶対値として算出する。

0104

この場合、セルインピーダンスの絶対値が(基準インピーダンスの絶対値+所定値β)よりも大きいか否かを判定することにより、任意のM個の燃料電池セル10aに水素ガスの欠乏が生じているか否かを診断する。

0105

また、セルインピーダンスの絶対値が(基準インピーダンスの絶対値−所定値α)よりも小さいか否かを判定することにより、任意のM個の燃料電池セル10aに酸素ガスの欠乏が生じているか否かを診断する。

0106

このように(a)、(b)により、N個の燃料電池セル10aそれぞれについて、燃料電池セル10aをM個ずつ、水素ガスの欠乏、或いは酸素ガスの欠乏が生じているか否かを診断することができる。

0107

(2)上記実施形態では、燃料電池10において、気体である水素ガスおよび酸素ガスの電気化学反応により電気エネルギを出力した例について説明したが、これに代えて、次の(c)(d)のようにしてもよい。
(c)燃料電池10が電気化学反応により発電する際に、液体水素、或いは水素を含む液体燃料を用いる。
(d)燃料電池10が電気化学反応により発電する際に、液体酸素、或いは酸素を含む液体の酸化剤を用いる。

0108

(3)上記実施形態では、任意の燃料電池セル10aにおいて酸素ガスが欠乏している状態であることを回避するために、空気ポンプ22、空気調圧弁23、および電磁弁24をそれぞれ制御した例について説明したが、これに代えて、次の(e)、(f)のようにしてもよい。

0109

(e)診断装置5は、空気調圧弁23の開度および電磁弁24の開度を変化させることなく、空気ポンプ22から送風される空気量を増大させる。これにより、空気ポンプ22から燃料電池10に送風される空気量の供給量を増大させることができる。

0110

(f)診断装置5は、空気ポンプ22から燃料電池10に送風される空気量を変化させることなく、空気調圧弁23の開度を大きくし、かつ電磁弁24の開度を大きくする。これにより、燃料電池10に送風される空気の流れの圧損を小さくすることができる。このため、空気ポンプ22から燃料電池10に送風される空気量の供給量を増大させることができる。

0111

(4)上記実施形態では、本発明に係る燃料電池システム1を電気自動車に適用した例について説明したが、これに代えて、本発明に係る燃料電池システム1を設置型燃料電池システムにしてもよい。

0112

(5)なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能である。また、上記実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。また、上記実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではない。また、上記実施形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その形状、位置関係等に限定されるものではない。

0113

次に、上記実施形態の構成要素と特許請求の範囲との対応関係について説明する。ステップ100は、第2算出手段に対応し、ステップ110が第1判定手段に対応し、ステップ130は、第2判定手段、および第3判定手段に対応し、ステップ120が第1制御手段に対応する。水素調圧弁33および電磁弁34は第1調整手段を構成し、空気ポンプ22、空気調圧弁23、および電磁弁24が第2調整手段を構成し、ステップ140が第2制御手段に対応する。

0114

1燃料電池システム
5診断装置
10燃料電池
10a燃料電池セル
51電流制御装置
52a電圧センサ(第2電圧検出手段)
52b電流センサ(電流検出手段)
53増幅回路
54セルモニタ(第1電圧検出手段)
510交流成分ΔI付加部(信号重畳手段)
520 Zn算出部(第1算出手段)
530診断部
540 ΔIn算出部

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