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技術 製紙用添加剤

出願人 日本製紙株式会社
発明者 相見光横山茂輝高橋花苗石本忠博
出願日 2015年8月28日 (3年11ヶ月経過) 出願番号 2015-169480
公開日 2017年3月2日 (2年5ヶ月経過) 公開番号 2017-043869
状態 特許登録済
技術分野 紙(4) 半透膜を用いた分離
主要キーワード 質量増加分 洗浄型 多段階洗浄 沈殿助剤 樹脂酸類 蒸解処理 浸透抵抗 吸取り紙
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2017年3月2日)のものです。
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課題

アルカリ処理抽出物の新たな用途を提供する。

解決手段

以下の工程(1)〜(3)を含む方法により得られるアルカリ処理抽出物またはその処理物を含む、製紙用添加剤。工程(1):リグノセルロース原料亜硫酸処理して中間組成物を得ること、工程(2):中間組成物を洗浄および脱水して亜硫酸処理物を得ること、工程(3):亜硫酸処理物をアルカリ処理して、アルカリ処理抽出物を得ること 処理物は、アルカリ処理抽出物に、酸処理、酸処理および酸処理で生じる酸処理組成物の分離、ならびに限外ろ過による処理からなる群より選ばれるいずれか一つ以上の処理を行って得られるものであることが好ましい。

概要

背景

将来的に石油資源枯渇することが懸念されており、石油資源に代わる原料として、バイオマスを用いた研究がこれまでに数多くなされている。そうした潮流のなか、バイオマス利用の分野において、大規模かつ商業ベース成功している例としては、木材を原料としている製紙産業が挙げられる。その中でも、木材構成成分の主成分であるセルロースヘミセルロース、およびリグニンの全利用に成功している例としては、亜硫酸蒸解を用いたサルファイトパルプの製造が挙げられる。木材の亜硫酸蒸解により得られる成分のうち、例えばパルプは、各種セルロース製品の原料に用いられており、ヘミセルロース(非セルロース系多糖類)は、発酵原料等に用いられている。また、上記亜硫酸蒸解により得られるリグニンスルホン酸塩は、バインダー性能分散性能、およびキレート能等の様々な能力を発揮することより、多様な分野にて利用されている。また、亜硫酸蒸解により得られる未晒パルプアルカリ性下で処理する際に排出される排液は、鉱滓造粒剤等として用いられている(特許文献1)。

概要

アルカリ処理抽出物の新たな用途を提供する。以下の工程(1)〜(3)を含む方法により得られるアルカリ処理抽出物またはその処理物を含む、製紙用添加剤。工程(1):リグノセルロース原料亜硫酸処理して中間組成物を得ること、工程(2):中間組成物を洗浄および脱水して亜硫酸処理物を得ること、工程(3):亜硫酸処理物をアルカリ処理して、アルカリ処理抽出物を得ること 処理物は、アルカリ処理抽出物に、酸処理、酸処理および酸処理で生じる酸処理組成物の分離、ならびに限外ろ過による処理からなる群より選ばれるいずれか一つ以上の処理を行って得られるものであることが好ましい。なし

目的

本発明では、これまで鉱滓用造粒剤以外には有効に利用されておらず、燃料として処理されていたリグノセルロース原料から得られるアルカリ処理抽出物の新たな用途を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

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請求項1

以下の工程(1)〜(3)を含む方法により得られるアルカリ処理抽出物またはその処理物を含む、製紙用添加剤。工程(1):リグノセルロース原料亜硫酸処理して中間組成物を得ること、工程(2):中間組成物を洗浄および脱水して亜硫酸処理物を得ること、工程(3):亜硫酸処理物をアルカリ処理して、アルカリ処理抽出物を得ること

請求項2

処理物が、アルカリ処理抽出物に、酸処理、酸処理および酸処理で生じる酸処理組成物の分離、ならびに限外ろ過による処理からなる群より選ばれるいずれか一つ以上の処理を行って得られる、請求項1に記載の製紙用添加剤。

請求項3

処理物が、アルカリ処理抽出物に対して、限外ろ過による処理、次いで酸処理および酸処理で生じる酸処理組成物の分離を行って得られる、請求項1または2に記載の製紙用添加剤。

請求項4

限外ろ過による処理が、分画分子量2,000〜100,000である限外ろ過膜を用いて行われる、請求項2または3に記載の製紙用添加剤。

請求項5

アルカリ処理抽出物が、亜硫酸処理物に亜硫酸処理物の固形分に対して0.5〜20重量%のアルカリ性物質を接触させて得られる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の製紙用添加剤。

請求項6

以下の工程(1)〜(3)を含む、製紙用添加剤の製造方法。工程(1):リグノセルロース原料を亜硫酸処理して中間組成物を得ること、工程(2):中間組成物を洗浄および脱水して亜硫酸処理物を得ること、工程(3):亜硫酸処理物をアルカリ処理して、アルカリ処理抽出物を得ること

請求項7

以下の工程(1)〜(3)を含む方法により得られるアルカリ処理抽出物またはその処理物を含む製紙用添加剤を添加して抄紙することを含む、紙の製造方法。工程(1):リグノセルロース原料を亜硫酸処理して中間組成物を得ること、工程(2):中間組成物を洗浄および脱水して亜硫酸処理物を得ること、工程(3):亜硫酸処理物をアルカリ処理して、アルカリ処理抽出物を得ること

請求項8

抄紙が、さらにロジン系サイズ剤を添加して行われる、請求項7に記載の方法。

技術分野

0001

本発明は、製紙用添加剤に関する。

背景技術

0002

将来的に石油資源枯渇することが懸念されており、石油資源に代わる原料として、バイオマスを用いた研究がこれまでに数多くなされている。そうした潮流のなか、バイオマス利用の分野において、大規模かつ商業ベース成功している例としては、木材を原料としている製紙産業が挙げられる。その中でも、木材構成成分の主成分であるセルロースヘミセルロース、およびリグニンの全利用に成功している例としては、亜硫酸蒸解を用いたサルファイトパルプの製造が挙げられる。木材の亜硫酸蒸解により得られる成分のうち、例えばパルプは、各種セルロース製品の原料に用いられており、ヘミセルロース(非セルロース系多糖類)は、発酵原料等に用いられている。また、上記亜硫酸蒸解により得られるリグニンスルホン酸塩は、バインダー性能分散性能、およびキレート能等の様々な能力を発揮することより、多様な分野にて利用されている。また、亜硫酸蒸解により得られる未晒パルプアルカリ性下で処理する際に排出される排液は、鉱滓造粒剤等として用いられている(特許文献1)。

先行技術

0003

特開2015−057270号公報

発明が解決しようとする課題

0004

この様に亜硫酸蒸解を用いることで、木材成分の大部分を利用することができる。しかしながら、蒸解により得られる処理物(パルプ等)をアルカリ性下で処理した際に排出される排液については、現在のところ鉱滓用造粒剤以外には有効な利用手段がなく、その処理が問題となっている。

0005

一方で、上記のアルカリ性下で処理を行った際に排出される排液には、木材由来の成分が多数含まれており、この排液をアルカリ処理抽出物として有効に利用することは産業的・工業的に価値が高く、期待されている。
そのため本発明では、これまで鉱滓用造粒剤以外には有効に利用されておらず、燃料として処理されていたリグノセルロース原料から得られるアルカリ処理抽出物の新たな用途を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0006

本発明は、以下の発明を提供する。
[1]以下の工程(1)〜(3)を含む方法により得られるアルカリ処理抽出物またはその処理物を含む、製紙用添加剤。
工程(1):リグノセルロース原料を亜硫酸処理して中間組成物を得ること、
工程(2):中間組成物を洗浄および脱水して亜硫酸処理物を得ること、
工程(3):亜硫酸処理物をアルカリ処理して、アルカリ処理抽出物を得ること
[2]処理物が、アルカリ処理抽出物に、酸処理、酸処理および酸処理で生じる酸処理組成物の分離、ならびに限外ろ過による処理からなる群より選ばれるいずれか一つ以上の処理を行って得られる、請求項1に記載の製紙用添加剤。
[3]処理物が、アルカリ処理抽出物に対して、限外ろ過による処理、次いで酸処理および酸処理で生じる酸処理組成物の分離を行って得られる、[1]または[2]に記載の製紙用添加剤。
[4]限外ろ過による処理が、分画分子量2,000〜100,000である限外ろ過膜を用いて行われる、[2]または[3]に記載の製紙用添加剤。
[5]アルカリ処理抽出物が、亜硫酸処理物に亜硫酸処理物の固形分に対して0.5〜20重量%のアルカリ性物質を接触させて得られる、[1]〜[4]のいずれか1つに記載の製紙用添加剤。
[6]以下の工程(1)〜(3)を含む、製紙用添加剤の製造方法。
工程(1):リグノセルロース原料を亜硫酸処理して中間組成物を得ること、
工程(2):中間組成物を洗浄および脱水して亜硫酸処理物を得ること、
工程(3):亜硫酸処理物をアルカリ処理して、アルカリ処理抽出物を得ること
[7]以下の工程(1)〜(3)を含む方法により得られるアルカリ処理抽出物またはその処理物を含む製紙用添加剤を添加して抄紙することを含む、紙の製造方法。
工程(1):リグノセルロース原料を亜硫酸処理して中間組成物を得ること、
工程(2):中間組成物を洗浄および脱水して亜硫酸処理物を得ること、
工程(3):亜硫酸処理物をアルカリ処理して、アルカリ処理抽出物を得ること
[8]抄紙が、さらにロジン系サイズ剤を添加して行われる、[7]に記載の方法。

発明の効果

0007

本発明によれば、サイズ度に優れた紙を製造することができる製紙用添加剤を提供できる。

0008

本発明の製紙用添加剤は、アルカリ処理抽出物またはその処理物を含む。

0009

<アルカリ処理抽出物またはその処理物>
<アルカリ処理抽出物>
アルカリ処理抽出物は、以下の工程(1)〜(3)を含む方法により得られる組成物である。
<工程(1)>
工程(1)は、リグノセルロース原料を亜硫酸処理して中間組成物を得る工程である。
リグノセルロース原料は、構成体中にリグノセルロースを含むものであれば特に限定されるものではなく、例えば、木材、非木材などのパルプ原料が挙げられる。木材としては、エゾマツアカマツスギヒノキなどの針葉樹木材、シラカバブナなどの広葉樹木材が例示される。非木材としては、ケナフ、葦、稲などが例示される。リグノセルロース原料は、これらのうち1種のみであっても2種以上の組み合わせであってもよい。木材の樹齢採取部位は問わない。従って、リグノセルロース原料は、互いに樹齢の異なる樹木から採取された木材、互いに樹木の異なる部位から採取された木材の組み合わせであってもよい。
リグノセルロース原料として、針葉樹木材が好ましい。針葉樹木材は、ロジンの成分である樹脂酸ロジン酸)を含有しているため、本発明の製紙用添加剤が紙に対して優れたにじみ抑制効果を付与することが期待される。

0010

亜硫酸処理は、亜硫酸および/または亜硫酸塩をリグノセルロース原料に接触させる処理である。

0011

亜硫酸処理の条件は、特に限定されず、リグノセルロース原料に含まれるリグニンの側鎖のα炭素原子スルホ基が導入され得る条件であればよい。亜硫酸処理は、亜硫酸蒸解法により行うことが好ましい。これにより、リグノセルロース原料中のリグニンをより定量的にスルホ化することができる。

0012

亜硫酸処理は、亜硫酸蒸解法により行うことが好ましい。亜硫酸蒸解法は、亜硫酸および/または亜硫酸塩の溶液(例えば水溶液蒸解液)中でリグノセルロース原料を高温下で反応させる方法であり、サルファイトパルプの製造方法として工業的に確立され使用されている。そのため、亜硫酸処理を亜硫酸蒸解法により行うことにより、経済性及び実施容易性を高めることができる。

0013

亜硫酸塩の塩としては、亜硫酸蒸解を行う場合には例えば、マグネシウム塩カルシウム塩ナトリウム塩、またはアンモニウム塩が挙げられる。

0014

亜硫酸および/または亜硫酸塩の溶液における亜硫酸(SO2)濃度には特に限定はないが、反応薬液100mLに対するSO2の重量(g)の比率が、1g/100mL以上であることが好ましく、2g/100mL以上であることがより好ましい。上限は、20g/100mL以下であることが好ましく、15g/100mL以下であることがより好ましい。従って、SO2濃度は、1〜20g/100mLであることが好ましく、亜硫酸蒸解を行う場合には2〜15g/100mLであることがより好ましい。

0015

亜硫酸処理の際のpHには特に限定はないが、10以下であることが好ましく、5以下であることがより好ましい。pHの下限は、0.1以上であることが好ましく、0.5以上であることがより好ましい。したがって、亜硫酸処理の際のpHは、0.1〜10であることが好ましく、亜硫酸蒸解を行う場合には0.5〜5であることがより好ましい。

0016

亜硫酸処理の際の温度には特に限定はないが、170℃以下であることが好ましく、150℃以下であることがより好ましい。下限は、70℃以上であることが好ましく、100℃以上であることがより好ましい。したがって、亜硫酸処理の温度条件は、70〜170℃であることが好ましく、亜硫酸蒸解を行う場合には100℃〜150℃であることがより好ましい。

0017

亜硫酸処理の処理時間に特に限定はなく、亜硫酸処理の諸条件にもよるが、0.5〜24時間であることが好ましく、1.0〜12時間であることがより好ましい。

0018

亜硫酸処理においてはカウンターカチオン(塩)を供給する化合物を添加することが好ましい。カウンターカチオンを供給する化合物を添加することにより、亜硫酸処理におけるpHを保つことができる。カウンターカチオンを供給する化合物としては、例えば、MgO、Mg(OH)2、CaO、Ca(OH)2、CaCO3、NH3、NH4OH、NaOH、NaHCO3、Na2CO3が挙げられる。カウンターカチオンは、マグネシウムイオンであることが好ましい。

0019

亜硫酸処理において亜硫酸および/または亜硫酸塩の溶液を用いる場合、溶液には必要に応じて、SO2のほかに、カウンターカチオン、蒸解浸透剤(例えば、アントラキノンスルホン酸塩、アントラキノン、テトラヒドロアントラキノン等の環状ケトン化合物)を含ませてもよい。

0020

亜硫酸処理を行う際に用いる設備に限定はなく、例えば、一般に知られている溶解パルプ製造設備等を用いることができる。

0021

亜硫酸および/または亜硫酸塩の溶液からの中間組成物の分離は、常法に従って行えばよい。分離方法としては例えば、亜硫酸蒸解後の亜硫酸蒸解排液の分離方法が挙げられる。

0022

<工程(2)>
工程(2)では、中間組成物を洗浄および脱水して亜硫酸処理物を得る。これにより、中間処理物に含まれる、亜硫酸処理により除去しきれない成分を除去することができる。 洗浄は、亜硫酸蒸解法により得られる未晒亜硫酸パルプの洗浄と同様にして行えばよい。洗浄は、一段階の洗浄でも多段階の洗浄でもよい。多段階洗浄することにより、洗浄を十分に行うことができる。洗浄のための溶媒としては、例えば水が挙げられる。

0023

洗浄の際には通常、洗浄機を用いる。洗浄の際に使用する洗浄機に特に限定はないが、例えば、置換洗浄型洗浄機、希釈脱水洗浄型洗浄機が挙げられる。

0024

脱水は、通常の条件で行うことができ、例えば、亜硫酸蒸解法において得られる洗浄後の未晒亜硫酸パルプの脱水と同様にして行えばよい。

0025

脱水の際には通常、脱水機を用いる。脱水の際に使用する脱水機に特に限定はないが、例えば、ドラム型絞り脱水機、ロータリープレス、および連続圧搾脱水機が挙げられる。

0026

洗浄を多段階行う場合には、脱水もその都度行ってもよいし、一部の回のみ行ってもよい。

0027

<工程(3)>
工程(3)では、工程(2)で得られる亜硫酸処理物をアルカリ処理し、アルカリ処理抽出物を得る。

0028

アルカリ処理においては、亜硫酸処理物をアルカリ性下におけばよい。アルカリ性とは、通常はpH8以上であり、好ましくはpH9以上である。上限は通常pH14である。

0029

アルカリ処理においては、通常、アルカリ性物質を亜硫酸処理物に接触させる。アルカリ性物質は、特に限定されないが、例えば、水酸化カルシウム水酸化マグネシウム水酸化ナトリウム水酸化カリウム炭酸ナトリウムアンモニア、およびこれらのうち2以上の組み合わせが挙げられ、水酸化ナトリウムが好ましい。

0030

亜硫酸処理物にアルカリ性物質を接触させる方法としては、亜硫酸処理物の分散液、溶液(例えば、水分散液、水溶液)を調製し、該溶液中にアルカリ性物質を添加する方法、亜硫酸処理物にアルカリ性物質の溶液または分散液(例えば、水分散液、水溶液)を添加する方法が例示される。

0031

アルカリ処理の際の温度に特に限定はないが、40℃以上であることが好ましく、60℃以上であることがより好ましい。上限は、150℃以下であることが好ましく、120℃以下であることがより好ましく、110℃以下であることがさらに好ましい。

0032

アルカリ処理におけるアルカリ性物質の量は、亜硫酸処理物の固形分重量に対する重量の割合で、或いは、アルカリ処理抽出物を水性溶媒(例えば、水)に分散し溶液または分散液を調製する場合には分散液の重量に対する重量の割合で、0.5重量%以上20重量%以下であることが好ましく、1.0重量%以上15重量%以下であることがより好ましい。

0033

アルカリ処理の時間は特に限定されないが、0.1時間以上であることが好ましく、0.5時間以上であることが好ましい。上限は、10時間以下であることが好ましく、6時間以下であることがより好ましい。

0034

アルカリ処理に先立ち、必要に応じて、亜硫酸処理物の溶解、分散処理、濃度の調整(水等の水性溶媒の溶液又は分散液の調整)を行ってもよい。分散処理は、ディスクリファイナーの通過、ミキサーディスパーザーへの添加、ニーダー処理などによることができる。濃度の調整は、例えば水等の水性溶媒を用いて行うことができる。

0035

工程(1)〜(3)を含む方法により得られるアルカリ処理抽出物中の成分は、木材に含まれる成分に由来する成分を含む。アルカリ処理抽出物の成分は、工程(1)〜(3)の処理条件、リグノセルロース原料種類等により異なり、一義的に定めることは難しく、さらには、サイズ増強剤としての効果に寄与している成分を特定することは難しい。アルカリ処理抽出物中の成分のうち、サイズ増強剤として効果が期待できるものとして、ロジン系サイズ剤の原料として使用されている樹脂酸類、およびリグニンスルホン酸塩が考えられる。しかしながら、これらの含有率は下記に記述した通り低く、全体を代表するような成分ではないため、これらが単独でサイズ増強効果に寄与しているとは考えにくい。そのため、サイズ増強効果に寄与している要因としては、樹脂酸等の有機成分とリグニンスルホン酸塩との相互作用、それら以外の成分からの寄与、および前述した成分の複雑な相互作用などを考慮に入れる必要が考えられ、どの成分がサイズ増強効果に寄与しているかを特定することは極めて難しいと考えられる。

0036

通常、アルカリ処理抽出物中に含まれる全固形分を100重量%とした際に、それぞれの成分の含有率は以下の通りである。
還元性糖が、通常0.5重量%以上であり、好ましくは1.0重量%以上であり、通常5.0重量%以下であり、好ましくは3.0重量%以下である。
リグニンスルホン酸およびその塩が、通常7.0重量%以上であり、好ましくは10重量%以上であり、通常25重量%以下であり、好ましくは20重量%以下である。
糖変性物が、通常40重量%以上であり、好ましくは45重量%以上であり、通常75重量%以下であり、好ましくは70重量%以下である。
無機塩が、通常10重量%以上であり、好ましくは15重量%以上であり、通常30重量%以下であり、好ましくは25重量%以下である。
その他の有機成分(樹脂酸など)が、通常0.5重量%程度以上であり、好ましくは1.0重量%以上であり、通常15重量%程度以下であり、好ましくは10重量%以下である。
アルカリ処理抽出物中の全固形分濃度は、同様に一義的に定めることは難しいが、通常0.5重量%以上であり、好ましくは1.0重量%以上であり、より好ましくは2.0重量%以上であり、通常20重量%以下であり、好ましくは、15重量%以下であり、より好ましくは10重量%以下である。

0037

上記各成分の含有率の分析は、以下の方法により行うことができる。なお、実施例における各成分の含有率の分析は、以下の方法により行った。

0038

還元性糖の測定は、Somogyi−Schaffer法によって測定し、測定値グルコース量換算して還元性糖量とした。

0039

リグニンスルホン酸塩量は、試料中のメトキシル基量をHI法により求め、メトキシル基量からリグニンスルホン酸量に換算することにより求めた。

0040

無機塩類については、試料を10%塩酸溶液で100℃にて15分間処理した後、金属イオンに関しては誘導結合プラズマ(ICP)法、硫酸および亜硫酸イオンに関してはイオンクロマトグラフィーにより定量した。

0041

糖変性物の含有量は、以下の式1にて求めることができる。
糖変性物の重量(重量%)=
100(%)−還元性糖の重量(重量%)−糖以外の成分(例えば、リグニンスルホン酸、無機物など)の重量(重量%)・・・(式1)

0042

その他有機成分については、次の方法により定量した。1Mの塩酸でpH1に調製した水溶液に試料を懸濁後、懸濁液をクロロホルムで抽出した。クロロホルム相を集めた後に、溶剤を留去し、残渣を誘導体化トリメチルシリルTMS)化)してガスクロマトグラフィーにより定量した。

0043

還元性糖とは、還元性を示す糖であり、塩基性溶液中でアルデヒド基またはケトン基を生じる糖を意味する。還元性糖としては、すべての単糖マルトースラクトースアラビノーススクロース転化糖などの二糖、および多糖などが例示される。還元性糖は、通常、セルロース、ヘミセルロース、およびそれらの分解物を含む。セルロースおよびヘミセルロースの分解物としては、例えば、ラムノースガラクトース、アラビノース、キシロースグルコースマンノースフルクトースなどの単糖、キシロオリゴ糖セロオリゴ糖などのオリゴ糖が挙げられる。

0044

リグニンスルホン酸塩(リグニンスルホン酸)は、リグニンまたはその分解物の少なくとも一部がスルホ基で置換されている化合物を意味する。リグニンスルホン酸のスルホ基は、電離していない状態であってもよいし、スルホ基の水素が金属イオン等のイオンに置換されていてもよい。

0045

糖変性物とは、糖が酸化スルホン化などの化学変性を受けてなる変性物を意味する。糖変性物は、ヒドロキシル基、アルデヒド基、カルボニル基、または/およびスルホ基などの官能基が糖の骨格中に導入された糖誘導体であってもよいし、糖誘導体2つ(2種)以上が結合した化合物などが例示される。

0046

無機塩としては、例えば、硫酸ナトリウム亜硫酸ナトリウム塩化ナトリウム硫酸マグネシウム、亜硫酸マグネシウム塩化マグネシウム硫酸カルシウム亜硫酸カルシウム塩化カルシウム硫酸アンモニウム亜硫酸アンモニウム塩化アンモニウム、水酸化ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化ナトリウムなどが挙げられる。

0048

<アルカリ処理抽出物の処理物>
本発明の製紙用添加剤は、アルカリ処理抽出物の処理物を含むものであってもよい。
処理物を得るためのアルカリ処理抽出物に対する処理としては、例えば、酸処理、分離、沈殿助剤を用いた処理、および濃縮が挙げられ、より具体的には、酸処理、酸処理で生じる酸処理組成物の分離、アルミニウムカルシウムまたは鉄等の沈殿を促進する助剤を用いて生じる処理組成物の分離、限外ろ過による処理、およびこれらの処理の組み合わせが挙げられ、酸処理、酸処理および酸処理で生じる酸処理組成物の分離、アルミニウム、カルシウムまたは鉄等の沈殿を促進する助剤を用いて生じる処理組成物の分離、ならびに限外ろ過による処理からなる群より選ばれるいずれか一つ以上の処理が好ましい。

0049

<酸処理>
酸処理は、酸処理の対象となるアルカリ処理抽出物またはその処理物を、酸性下におく処理である。酸性とは、通常はpH6以下であり、好ましくはpH4以下である。下限は通常pH1以上である。

0050

酸処理においては、通常、酸性物質をアルカリ処理抽出物に接触させる。酸性物質としては、特に限定されるものではないが、例えば、硫酸、塩酸、リン酸などの無機酸および酢酸などの有機酸、およびこれらのうち2以上の酸の組み合わせが挙げられ、硫酸が好ましい。なお、工程(3)において添加したアルカリ性物質を、酸処理の前に反応系から分離してもよいし、pHさえ酸性に調整されればそのまま含んでいてもよい。

0051

アルカリ処理抽出物に酸性物質を接触させる方法としては、アルカリ処理抽出物に酸性物質の溶液または分散液(例えば、水分散液、水溶液)を添加する方法が例示される。

0052

酸処理の際の温度に特に限定はないが、常温よりも高めの温度が好ましい。これにより、アルカリ処理抽出物に含有される成分の凝集を促進することができる。具体的には、30℃以上であることが好ましく、40℃以上であることがより好ましい。また酸処理は、100℃以下で行うことが好ましく、95℃以下で行うことがより好ましい。温度を調整するために加熱または加温を行ってもよい。従って、酸処理の温度は、30〜100℃が好ましく、40〜95℃がより好ましい。

0053

酸処理における酸性物質の量は、アルカリ処理抽出物の固形分重量に対する重量の割合で、或いは、アルカリ処理抽出物を水性溶媒(例えば、水)に分散し溶液または分散液を調製する場合には分散液の重量に対する重量の割合で、1重量%以上70重量%以下であることが好ましく、5重量%以上60重量%以下であることがより好ましい。

0054

酸処理の時間は特に限定されないが、上限は3時間以下であることが好ましく、2時間以下であることがより好ましい。

0055

<酸処理で生じる酸処理組成物の分離>
酸処理で生じる酸処理組成物の分離処理は、上記酸処理で生じた酸処理組成物を溶媒から分離する処理である。分離は、酸処理組成物の性状等に応じて従来公知の方法により行うことができ、特に限定されない。該方法として、例えば、沈殿物を分離するために使用される方法、圧搾、ろ過、沈降、遠心分離が挙げられる。分離の際に用いる装置は特に限定されないが、ベルトフィルターデカンターセパレーターが例示される。酸処理組成物は、通常、酸処理の際の沈殿物として得られる。

0056

酸処理により得られる酸処理組成物の組成は、処理条件等や用いるリグノセルロース原料により異なり、一義的に定めることは難しいが、通常、酸処理組成物(沈殿物)の全固形分を100重量%とした際に、以下のとおりである。
還元性糖が、通常0.5重量以上であり、好ましくは1.0重量%以上であり、通常10重量%以下であり、好ましくは5重量%以下である。
リグニンスルホン酸およびその塩が、通常20重量%以上であり、好ましくは30重量%以上であり、通常80重量%以下であり、好ましくは70重量%以下である。
糖変性物が、通常10重量%以上であり、好ましくは20重量%以上であり、通常60重量%以下であり、好ましくは50重量%以下である。
無機塩が、通常2重量%以上であり、好ましくは5重量%以上であり、通常30重量%以下であり、好ましくは20重量%以下である。
その他の有機成分(樹脂酸など)が、通常5重量%程度以上であり、好ましくは10重量%以上であり、通常40重量%程度以下であり、好ましくは30重量%以下である。
酸処理組成物中の全固形分濃度は、同様に一義的に定めることは難しいが、通常30重量%以上であり、好ましくは35重量%以上であり、より好ましくは45重量%以上であり、通常95重量%以下であり、好ましくは、90重量%以下であり、より好ましくは85重量%以下である。

0057

<限外ろ過による処理>
限外ろ過(UF)による処理は、限外ろ過膜を用いた処理(例、溶質の分離、分画、濃縮および精製)であればよい。限外ろ過膜は、通常0.01〜0.001μm程度の孔径を有し、限外ろ過による処理によれば、限外ろ過膜の孔径と溶質の分子の大きさによって分子レベルふるい分けを行うことにより、溶質の分離、分子量分画、濃縮および精製などを行うことができる。

0058

限外ろ過による処理の条件は、特に限定されず、例えば、工業的に通常行われている条件でよい。限外ろ過膜の分画分子量は2,000〜100,000が好ましく、3,000〜90,000がより好ましく、5,000〜50,000がさらに好ましい。温度は20〜80℃が好ましいが、膜材質の耐熱面から20〜50℃がより好ましい。処理対象のpHは2〜11が好ましい。処理対象の濃度は5〜30%w/wが好ましく、2〜15%w/wがより好ましい。濃縮倍率は1.2〜15倍v/vが好ましい。濃縮時には水を加水して精製を促進させてもよい。

0059

限外ろ過処理により得られる処理物の組成は、処理条件等や用いるリグノセルロース原料により異なり、一義的に定めることは難しいが、通常、限外ろ過による処理物の全固形分を100重量%とした際に、以下のとおりである。
還元性糖が、通常0.5重量%以上であり、好ましくは1.0重量%以上であり、通常10重量%以下であり、好ましくは5重量%以下である。
リグニンスルホン酸およびその塩が、通常5重量%以上であり、好ましくは10重量%以上であり、通常45重量%以下であり、好ましくは35重量%以下である。
糖変性物が、通常20重量%以上であり、好ましくは30重量%以上であり、通常80重量%以下であり、好ましくは70重量%以下である。
無機塩が、通常5重量%以上であり、好ましくは10重量%以上であり、通常35重量%以下であり、好ましくは25重量%以下である。
その他の有機成分(樹脂酸など)が、通常1重量%程度以上であり、好ましくは3重量%以上であり、通常25重量%程度以下であり、好ましくは15重量%以下である。
限外ろ過による処理物中の全固形分濃度は、同様に一義的に定めることは難しいが、通常1重量%以上であり、好ましくは3重量%以上であり、通常30重量%以下であり、好ましくは20重量%以下であり、より好ましくは10重量%以下である。

0060

<処理の組み合わせ>
アルカリ処理抽出物の処理物を得るための処理は、複数の処理の組み合わせであってもよく、例えば、上記各処理の組み合わせであってもよい。限外ろ過処理により得られた限外ろ過濃縮組成物に対して、酸処理などの処理を行って限外ろ過濃縮組成物を精製して得られた生成物(処理物)を、本発明の製紙用添加剤として使用することができる。処理の組み合わせとしては、限外ろ過による処理、次いで酸処理および酸処理で生じる酸処理組成物の分離が好ましく、または、酸処理、次いで限外ろ過による処理、次いで酸処理および酸処理で生じる酸処理組成物の分離が好ましい。

0061

本発明の製紙用添加剤は、製紙工程における添加剤として使用することができ、単独で、または製紙用サイズ剤と共に用いることによって、紙に対するインクなどの液体浸透性を抑えて液体の裏移りおよび滲みを抑制し、紙の耐水性を向上させる。したがって、本発明の製紙用添加剤は、製紙用サイズ剤または製紙用サイズ剤助剤として使用できる。サイズ剤とは、紙に耐水性を与え、インクや水に対する浸透抵抗性を付与する添加剤である。サイズ剤は、通常疎水性基親水性基を持ち、疎水性基を外側に向けて紙に疎水性をもたせる。

0062

紙の耐水性が向上し、インクや水などの液体に対する浸透抵抗性(にじみ抑制性)が優れていることは、例えば、サイズ度を測定することにより評価することができる。サイズ度は、例えば、コッブ吸水度法により、測定することができる。

0063

本発明の製紙用添加剤は、内添方式(抄紙工程の前またはその際に添加する方式)、表面方式(抄紙工程の後、紙の表面に塗布等する方式)のいずれの方式においても使用することができる。

0064

本発明の製紙用添加剤が製紙用サイズ剤助剤として用いられる場合、共に用いられる製紙用サイズ剤には制限がなく、例えば、各種由来のサイズ剤(例えば、天然物由来のサイズ剤、合成されたサイズ剤)、各種紙に用いられるサイズ剤(例えば、酸性紙用サイズ剤、中性紙用サイズ剤)が挙げられる。具体的には、製紙用サイズ剤として、例えば、ロジン系サイズ剤、アルキルケテンダイマー(AKD)、アルケニル無水コハク酸(ASA)、ポリビニルアルコールPVA)、酸化でんぷんスチレンアクリル共重合体コポリマー)、スチレン・メタクリル共重合体が挙げられる。表面方式のサイズ剤(表面サイズ剤)としては、酸化でんぷん、スチレン・アクリル共重合体(コポリマー)、スチレン・メタクリル共重合体が好ましい。

0065

本明細書において、「ロジン系サイズ剤」とは、ロジン由来成分を含むサイズ剤を意味する。ロジン系サイズ剤として、各種ロジン系サイズ剤が市販されており、いずれも使用可能である。「ロジン系サイズ剤」としては、例えば、ロジン、酸性または弱酸性ロジンエマルジョンサイズ剤(例えば、星光PMC株式会社製のAL1200)および酸性または弱酸性特殊変性ロジンエマルジョンサイズ剤(例えば、ハリ化成グループ製のハーサイズL−50、NES−500、NES−680、NES−745、NES−748、星光PMC株式会社製のサイズ剤ALおよびCCシリーズ、および荒川化学工業株式会社製のサイズパインE、G−F、N−771、N−775、N−780、N−796、N−818N、N−788、N−811、N−817、N−830、N−880)、および中性特殊変性ロジンエマルジョンサイズ剤(例えば、ハリマ化成グループ製のニューサイズ738、および荒川化学工業株式会社製のサイズパインNT−78、NT−87)が挙げられる。

0066

本発明の製紙用添加剤の使用態様に限定はなく、例えば、パルプに予め添加して使用する態様、抄紙用パルプスラリーに添加使用する態様、抄紙した紙に、ゲートロールコーター液膜転写により塗布して使用する形態が挙げられる。

0067

本発明の製紙用添加剤を、製紙用サイズ剤助剤として使用する場合、本発明の製紙用添加剤と製紙用サイズ剤を同時に使用してもよいし、別々に使用してもよい。例えば、本発明の製紙用添加剤と製紙用サイズ剤とを同時に抄紙用パルプスラリーに添加してもよいし、製紙用サイズ剤を抄紙用パルプスラリーに別々に添加してもよい。好ましくは、製紙用サイズ剤を抄紙用パルプスラリーに添加した後、所定の時間が経過してから、本発明の製紙用添加剤を添加する。

0068

本発明の製紙用添加剤の使用量は、特に限定されるものではないが、抄紙用パルプスラリー中のパルプ原料100重量部に対し0.01〜5重量部の範囲で使用することが好ましい。

0069

本発明の製紙用添加剤を、製紙用サイズ剤助剤として使用する場合、本発明の製紙用添加剤の製紙用サイズ剤に対する重量比率(製紙用添加剤/製紙用サイズ剤)には特に限定はないが、好ましくは1/20以上、より好ましくは1/10以上、さらに好ましくは3/10以上であり、好ましくは5/1以下、より好ましくは3/1以下、さらに好ましくは1/1以下である。

0070

本発明の製紙用添加剤が上記の効果を発揮する理由については、以下の理由が推察される。抄紙工程において、ロジン系サイズ剤は通常添加する硫酸バンドに含有されるアルミニウムイオンと相互作用して原料に定着する。その際、ロジン系サイズ剤は原料に対し疎水基を外に向けて定着することにより、サイズ効果(紙の耐水性を向上させ、インクや水に対する浸透抵抗性(にじみ抑制性)を高める効果)が発現する。一方で、本発明の製紙用添加剤には、ロジン系サイズ剤と同様にアルミニウムイオンとキレートを形成する多数の成分が含まれているため、ロジン系サイズ剤と同様の機構で原料に定着し、さらに本発明の製紙用添加剤に含有される成分により原料表面疎水化され、サイズ剤又はサイズ剤助剤として効果を発現すると推察される。

0071

本発明により得られる製紙用添加剤は、かかる理由により、製紙用サイズ剤として機能すると推察され、また製紙用サイズ剤と併用されることにより製紙用サイズ剤の原料への反応・定着を促進すると推察される。

0072

本発明の製紙用添加剤は、本発明の効果を阻害しない限り、上述のアルカリ処理抽出物およびその処理物以外の他の剤を含んでいてもよい。したがって、本発明の製紙用添加剤は、製紙用添加組成物であり得る。

0073

本発明の製紙用添加剤に含まれ得る剤としては、例えば、防腐剤消泡剤界面活性剤が挙げられる。

0074

本発明の製紙用添加剤は、上述したとおり、工程(1)〜(3)を含む方法により得られる。本発明の製紙用添加剤が、アルカリ処理抽出物の処理物を含む場合、本発明の製紙用添加剤は、好ましくは、工程(1)〜(3)に加えて、酸処理、酸処理および酸処理で生じる酸処理組成物の分離、ならびに限外ろ過による処理からなる群より選ばれるいずれか一つ以上の処理工程を含む方法によって得られる。

0075

本発明の製紙用添加剤は、パルプに添加して抄紙することで、サイズ度に優れた紙を製造することができる。

0076

本発明の製紙用添加剤をパルプに添加する方法に限定はなく、通常用いられる製紙用添加剤と同様の方法で添加することができる。例えば、本発明の製紙用添加剤は、パルプの水懸濁液に、そのまま、または適当な溶媒で希釈して添加することができる。

0077

以下に実施例を挙げ、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。

0078

<実施例1>
リグノセルロース原料(ラジアータパイン;針葉樹木材)を亜硫酸蒸解法に基づき亜硫酸処理し、中間組成物を未洗浄亜硫酸蒸解処理物として得た。亜硫酸処理の条件は、SO2濃度4g/100mLの亜硫酸マグネシウムの溶液を用いて、温度140℃、pH2、処理時間3時間とした。次に、中間組成物を水で洗浄した後に脱水し、パルプ(亜硫酸処理物)を得た。続いて、パルプをNaOH5重量%(対パルプ固形分)に懸濁させ、そのまま100℃にて2時間処理することにより、アルカリ処理抽出物を得た。得られたアルカリ処理抽出物の固形分濃度は、5重量%であった。得られたアルカリ処理抽出物の成分は、以下の通りである。以下の含有率は、アルカリ処理抽出物中の全固形分を100重量%としたときの値である。
還元性糖2重量%、リグニンスルホン酸およびその塩14重量%、糖変性物66重量%、
無機塩17重量%、その他の有機成分(樹脂酸など)1重量%
各成分の含有率は、前述した方法により求めた。
得られたアルカリ処理抽出物を、実施例1の製紙用添加剤として用いた。

0079

<実施例2>
実施例1で得られたアルカリ処理抽出物を、さらに酸処理して沈殿物(酸処理組成物、処理物)を得た。酸処理においては、まず、アルカリ処理抽出物を固形分20%となるように既知の方法にて濃縮(ロータリーエバポレーターまたはフラッシュエバポレーターを用いて減圧下にて水を留去)した水溶液800gを50℃に加温し、pH2となるまで硫酸70重量%水溶液を添加した。続いて同温度20分間保持した後に、生じた沈殿物をろ過により集め、酸処理による沈殿物(酸処理組成物、処理物)を得た。得られた酸処理による沈殿物の固形分濃度は、82重量%であった。得られた沈殿物の成分は以下の通りである。以下の含有率は、沈殿物の全固形分を100重量%としたときの値である。
還元性糖2重量%、リグニンスルホン酸およびその塩41重量%、糖変性物31重量%、無機塩5重量%、その他の有機成分(樹脂酸など)21重量%
各成分の含有率は、前述した方法により求めた。
得られた酸処理による沈殿物を、実施例2の製紙用添加剤として用いた。

0080

<実施例3>
実施例1で得られたアルカリ処理抽出物に硫酸70重量%水溶液を添加してpH5とする酸処理を行った後に、UF処理した。UF処理では、分画分子量20,000の限外ろ過膜(旭化成ケミカルズ社製)を用い、処理対象の原液(固形分濃度4重量%、温度約30℃)の容量が1/10(10倍濃縮)となるまでUF膜内で濃縮した後に、高分子画分を集めて、限外ろ過による濃縮処理物(処理物)を得た。得られた限外ろ過による濃縮処理物の固形分濃度は、8.5重量%であった。得られた濃縮処理物の成分は以下の通りである。以下の含有率は、濃縮処理物の全固形分を100重量%としたときの値である。
還元性糖3重量%、リグニンスルホン酸およびその塩23重量%、糖変性物48重量%、無機塩17重量%、その他の有機成分(樹脂酸など)9重量%
各成分の含有率は、前述した方法により求めた。得られた濃縮処理物を実施例3の製紙用添加剤として用いた。

0081

<実施例4>
実施例3で得られた濃縮処理物に、さらに酸処理して沈殿物(酸処理組成物、処理物)を得た。酸処理においては、まず、濃縮処理物を固形分20%となるように濃縮して調整した水溶液800gを50℃に加温し、pH2となるまで硫酸70重量%水溶液を添加した。続いて同温度20分間保持した後に、生じた沈殿物をろ過により集め、酸処理による沈殿物(酸処理組成物、処理物)を得た。得られた酸処理による沈殿物の固形分濃度は、64重量%であった。得られた沈殿物の成分は以下の通りである。以下の含有率は、沈殿物の全固形分を100重量%としたときの値である。
還元性糖2重量%、リグニンスルホン酸およびその塩41重量%、糖変性物25重量%、無機塩6重量%、その他の有機成分(樹脂酸など)26重量%
各成分の含有率は、前述した方法により求めた。
得られた酸処理による沈殿物を、実施例4の製紙用添加剤として用いた。

0082

手すきシートの製造:製造例1〜12、参考例1〜3>
実施例1〜4で得られた製紙用添加剤を、製紙用サイズ剤の助剤として使用し、抄紙を行った。古紙を主体とする未乾燥パルプ水道水で希釈し、パルプ繊維濃度1重量%に調整した。この希釈パルプ懸濁液320gをビーカーに採取し、ハンドミキサー羽を取り付けた攪拌機で、800rpmで攪拌しながら、硫酸バンド10.0重量%、酸性ロジンエマルジョンサイズ剤(AL1200、星光PMC株式会社製)、さらに助剤として実施例1〜4で得られた製紙用添加剤(又は未添加(参考例1〜3))を、表1記載の比率にて順次添加して、抄紙用パルプ懸濁液を得た。各薬品添加間隔は、全て20秒とした。

0083

得られた抄紙用パルプ懸濁液を、8Lの水道水を張ったシートマシン投入した。そして、「JIS P8209」に従って抄紙して湿紙を得た。湿紙は3枚の濾紙に挟み、圧力490kPaで1回目は5分間、2回目は2分間プレスした。次いで、回転式ドラムドライヤを用いて130℃で2分間乾燥した。温度23℃、相対湿度50%RHの恒温恒湿室で24時間調湿し、手すきシートとした。

0084

<手すきシートの製造:製造例13〜15、参考例4>
実施例2〜4で得られた製紙用添加剤を、製紙用サイズ剤として使用し、抄紙を行った。製造例1〜12および参考例1〜3において調製された希釈パルプ懸濁液と同様の方法にて調製された希釈パルプ懸濁液320gに、硫酸バンド10.0重量%、実施例2〜4の製紙用添加剤(又は未添加(参考例4))を表2記載の比率にて順次添加し、抄紙用パルプ懸濁液を調製した。各薬品の添加間隔は、20秒とした。

0085

得られた抄紙用パルプ懸濁液から、製造例1〜12および参考例1〜3と同様の方法により手すきシートを製造した。

0086

<評価>
コッブ法によるサイズ度の測定)
上記で得られた手すきシートのサイズ度を、コッブ吸水度法で測定した。測定法は、JIS P8140に従った。上記の調湿済みの手すきシート(試験片)の重量を測定した後に、コッブ吸水度試験器にセットした。コッブ吸水度試験器に23℃に調温したイオン交換水を50mL注ぎ、試験片が水と接触すると同時にストップウォッチ始動させた。試験片の水への接触時間は2分間とし、接触時間終了の15秒前となった時点で、コッブ試験器中の水を速やかに捨て、直ちに試験片をコッブ試験器から取り外し、吸取り紙で軽く押さえ試験片表面の水を取り除いた。吸水後の試験片の重量を測定し、次式によってコッブ吸水度を測定した。
コッブサイズ度(コッブ吸水度)(g/m2)=100×試験片の試験後の質量増加分(g)
コッブサイズ度は、その値が小さいほど紙の耐水性が高いことを示し、インクや水に対する浸透抵抗性(にじみ抑制性)が高いと評価される。

0087

実施例1〜4で得た製紙用添加剤を添加して調製した製造例1〜12及び参考例1〜3の手すきシートのサイズ度測定結果を、表1に示す。

0088

0089

また、酸性ロジンエマルジョンサイズ剤を添加せず、実施例2〜4で得られた製紙用添加剤を添加して調製した製造例13〜15及び参考例4の手すきシートの結果を、表2に示す。

0090

0091

表1の結果より、実施例1〜4の製紙用添加剤は、製紙用サイズ剤をパルプ重量に対して0.10重量%以下用いた場合であっても、製紙用サイズ剤のみ用いた場合と比較して紙のコッブサイズ度を顕著に低下させており、すなわち製紙用サイズ剤助剤としての効果を有することが分かる。実施例2〜4の製紙用添加剤は、製紙用サイズ剤をパルプ重量に対して0.14重量%用いた場合にも、製紙用サイズ剤のみ用いた場合と比較して紙のコッブサイズ度を低下させる。
表2の結果より、実施例2〜4の製紙用添加剤は、添加しない場合と比較して、紙のコッブサイズ度を顕著に低下させ、製紙用サイズ剤としての効果を有することが分かる。
以上の結果より、本発明の製紙用添加剤は、製紙用サイズ剤として、及び製紙用サイズ剤助剤として効果を有することが明らかである。

実施例

0092

本発明によれば、従来有効活用がなされていなかった、パルプの洗浄排水などのアルカリ処理抽出物を、製紙用添加剤という産業的に有用な用途に用いることができる。

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