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技術 鉄道車両用滑走再粘着制御装置

出願人 東海旅客鉄道株式会社
発明者 上野雅之長澤章二町田泰亮奥山雅貴
出願日 2015年8月28日 (4年10ヶ月経過) 出願番号 2015-169318
公開日 2017年3月2日 (3年4ヶ月経過) 公開番号 2017-043308
状態 特許登録済
技術分野 制動要素、初動装置 車両の電気的な推進・制動 ブレーキシステム(制動力調整)
主要キーワード 通常荷重 実行要件 印加電圧周波数 検知荷重 在来線用 制動子 計測速度 所定曲率
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (9)

課題

少なくとも低速域において滑り滑走)を誤検知してしまうことを抑制する。

解決手段

ブレーキノッチ数に応じて減速リミットを決定し、かつ、その決定した減速度リミット及び車輪速を利用して車輪5が線路に対して滑っているか否かを判断する。そして、低速域等の制動力のばらつきが発生し易い領域においては、ブレーキノッチ数に応じた減速度リミットが利用されて滑り(滑走)が発生したか否か判断されるので、制動力のばらつきの影響を小さくでき得る。したがって、低速域において滑り(滑走)を誤検知してしまうことを抑制できる。さらに、滑走が発生したと判断された場合には、非粘着時制動制御モードが実行されるので、滑走状態に適した制動を実行することが可能となる。

概要

背景

例えば、特許文献1に記載の発明では、車両速度が高速域にある状態では滑り速度閾値を大きな値に設定し、かつ、車両速度が低速域にある状態では滑り速度の閾値を小さな値に設定している。

概要

少なくとも低速域において滑り滑走)を誤検知してしまうことを抑制する。ブレーキノッチ数に応じて減速リミットを決定し、かつ、その決定した減速度リミット及び車輪速を利用して車輪5が線路に対して滑っているか否かを判断する。そして、低速域等の制動力のばらつきが発生し易い領域においては、ブレーキノッチ数に応じた減速度リミットが利用されて滑り(滑走)が発生したか否か判断されるので、制動力のばらつきの影響を小さくでき得る。したがって、低速域において滑り(滑走)を誤検知してしまうことを抑制できる。さらに、滑走が発生したと判断された場合には、非粘着時制動制御モードが実行されるので、滑走状態に適した制動を実行することが可能となる。

目的

本発明は、上記点に鑑み、少なくとも低速域において滑り(滑走)を誤検知してしまうことを抑制することを目的とする

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

鉄道車両用滑走再粘着制御装置において、車輪の速度を計測する速度計測部と、制動力を発生させるブレーキ装置と、前記ブレーキ装置の作動を制御するブレーキ制御部であって、前記ブレーキ装置で発生させる制動力の大きさを示すブレーキ指令信号を前記ブレーキ装置に向けて出力するブレーキ制御部と、前記ブレーキ指令信号により示された制動力(以下、「指令制動力」という。)の大きさをパラメータとして減速度の最大値を決める減速度決定部と、前記減速度決定部が決定した減速度の最大値(以下、減速度リミットという。)及び前記速度計測部により計測された計測速度を利用して車輪が線路に対して滑っているか否かを判断する滑り判断部とを備え、前記ブレーキ制御部は、前記滑り判断部により滑りが発生したと判断された場合には、予め決められた非粘着時制動制御モードを実行することを特徴とする鉄道車両用滑走再粘着制御装置。

請求項2

前記非粘着時制動制御モードでは、増粘着剤噴射が実行されることを特徴とする請求項1に記載の鉄道車両用滑走再粘着制御装置。

請求項3

前記非粘着時制動制御モードでは、動力車及び被牽引車に対して均等に制動力を負担させることを特徴とする請求項1又は2に記載の鉄道車両用滑走再粘着制御装置。

請求項4

前記ブレーキ装置は、電気式制動装置及び摩擦制動装置を有しており、前記非粘着時制動制御モードでは、前記電気式制動装置を停止させた状態で制動力を発生させるモードが実行されることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の鉄道車両用滑走再粘着制御装置。

請求項5

車体を支持する空気ばねの圧力を検知することにより、現在走行している線路の曲率を検知する曲率検知部を備えており、前記滑り判断部は、前記減速度リミット及び前記速度計測部により計測された計測速度に基づくパラメータが滑走閾値を越えたか否かに従って滑走を判断し、さらに、前記滑り判断部は、前記曲率検知部により検知された曲率(以下、検知曲率という。)が予め決められた所定曲率より大きい場合には、前記検知曲率が前記所定曲率以下の場合に比べて前記滑走閾値を小さくすることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の鉄道車両用滑走再粘着制御装置。

請求項6

車体を支持する空気ばねの圧力を検知することにより、車輪と線路との接触荷重を検知する輪重検知部を備えており、前記ブレーキ制御部は、前記輪重検知部により検知された接触荷重(以下、検知荷重という。)が予め決められた所定荷重より小さい場合には、軽荷重時制動制御モードを実行可能であり、前記軽荷重時制動制御モードは、前記指令制動力に応じて決定される制動力のうち動力車で発生させる制動力と被牽引車で発生させる制動力との割合を、前記検知荷重が前記所定荷重以上の場合と異なる割合とすることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の鉄道車両用滑走再粘着制御装置。

請求項7

車体を支持する空気ばねの圧力を検知することにより、線路の勾配を検知する勾配検知部を備え、前記減速度決定部は、前記勾配検知部が検知した勾配に基づくパラメータ、及び前記指令制動力に基づくパラメータを利用して前記減速度リミットを決定することを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の鉄道車両用滑走再粘着制御装置。

技術分野

0001

本発明は、鉄道車両用滑走再粘着制御装置に関する。

背景技術

0002

例えば、特許文献1に記載の発明では、車両速度が高速域にある状態では滑り速度閾値を大きな値に設定し、かつ、車両速度が低速域にある状態では滑り速度の閾値を小さな値に設定している。

先行技術

0003

特開2005−289172号公報

発明が解決しようとする課題

0004

特許文献1に記載の発明では、車両速度が低速域にある状態では滑り速度の閾値を小さな値に設定しているので、低速域においては、制動力のばらつきによって滑り滑走)を誤検知してしまうおそれがある。

0005

本発明は、上記点に鑑み、少なくとも低速域において滑り(滑走)を誤検知してしまうことを抑制することを目的とする。

課題を解決するための手段

0006

本願では、車輪の速度を計測する速度計測部(Vs)と、制動力を発生させるブレーキ装置(5A、13、5B、15)と、ブレーキ装置(5A、13、5B、15)の作動を制御するブレーキ制御部(17)であって、ブレーキ装置(5A、13、5B、15)で発生させる制動力の大きさを示すブレーキ指令信号をブレーキ装置(5A、13、5B、15)に向けて出力するブレーキ制御部(17)と、ブレーキ指令信号により示された制動力の大きさをパラメータとして減速度の最大値を決める減速度決定部と、減速度決定部が決定した減速度の最大値(減速度リミット)及び速度計測部(Vs)により計測された計測速度を利用して車輪(5)が線路に対して滑っているか否かを判断する滑り判断部とを備え、ブレーキ制御部(17)は、滑り判断部により滑りが発生したと判断された場合には、予め決められた非粘着時制動制御モードを実行する。

0007

これにより、本発明では、指令制動力の大きさに応じて減速度リミットが決定され、かつ、その決定された減速度リミット及び速度計測部(Vs)により計測された計測速度を利用して車輪(5)が線路に対して滑っているか否かを判断する。

0008

そして、低速域等の制動力のばらつきが発生し易い領域においては、その指令制動力に応じた減速度リミットが利用されて滑り(滑走)が発生したか否か判断されるので、制動力のばらつきの影響を小さくでき得る。したがって、低速域において滑り(滑走)を誤検知してしまうことを抑制できる。

0009

さらに、滑走が発生したと判断(以下、滑走判断ともいう。)された場合には、非粘着時制動制御モードが実行されるので、滑走状態に適した制動を実行することが可能となる。

0010

なお、非粘着時制動制御モードでは、増粘着剤噴射動力車及び被牽引車に対して均等に制動力を負担させる、又は電気式制動装置を停止させた状態で制動力を発生させるモードが実行されることが望ましい。

0011

また、滑り判断部は、減速度リミット及び速度計測部(Vs)により計測された計測速度に基づくパラメータが滑走閾値を越えたか否かに従って滑走を判断し、さらに、滑り判断部は、曲率検知部により検知された曲率(以下、検知曲率という。)が予め決められた所定曲率より大きい場合には、検知曲率が所定曲率以下の場合に比べて滑走閾値を小さくすることが望ましい。

0012

これにより、線路の曲率に応じた滑走判断が可能となるとともに、当該滑走判断に応じた非粘着時制動制御モードを実行することが可能となる。したがって、線路及び線路の側面に接触する車輪のフランジ部の摩耗進行等を抑制できる。

0013

また、ブレーキ制御部(17)は、輪重検知部により検知された接触荷重(以下、検知荷重という。)が予め決められた所定荷重より小さい場合には、軽荷重時制動制御モードを実行可能であり、軽荷重時制動制御モードは、指令制動力に応じて決定される制動力のうち動力車で発生させる制動力と被牽引車で発生させる制動力との割合を、検知荷重が所定荷重以上の場合と異なる割合とすることが望ましい。これにより、適切な制動力を得ることが可能となり得る。

0014

さらに、線路の勾配を検知する勾配検知部を備え、減速度決定部は、勾配検知部が検知した勾配に基づくパラメータ、及び指令制動力に基づくパラメータを利用して減速度リミットを決定する。これにより、より精度良く滑走を検知することが可能となり得る。

0015

因みに、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的構成等との対応関係を示す一例であり、本発明は上記各括弧内の符号に示された具体的構成等に限定されるものではない。

図面の簡単な説明

0016

鉄道車両の模式図である。
ブレーキ装置の模式図である。
A〜Cは滑走検知の説明図である。
本発明の第1実施形態に係るブレーキ制御を示すフローチャートである。
本発明の第2実施形態に係るブレーキ制御を示すフローチャートである。
Aは通常荷重時制動制御モード時にけるM車制動力とT車制動力との割合を示すグラフである。Bは軽荷重時制動制御モード時にけるM車制動力とT車制動力との割合を示すグラフである。
本発明の第3実施形態に係るブレーキ制御を示すフローチャートである。
本発明の第4実施形態に係るブレーキ制御を示すフローチャートである。

実施例

0017

以下に説明する「発明の実施形態」は実施形態の一例を示すものである。つまり、特許請求の範囲に記載された発明特定事項等は、下記の実施形態に示された具体的構成や構造等に限定されるものではない。

0018

本実施形態は、在来線用の鉄道車両に本発明に係るブレーキシステムを適用したものである。少なくとも符号を付して説明した部材又は部位は、「複数」や「2つ以上」等の断りをした場合を除き、少なくとも1つ設けられている。以下、本発明の実施形態を図面と共に説明する。

0019

(第1実施形態)
1.鉄道車両の概略構成
図1に示すように、鉄道車両1の各台車3は複数の車輪5を有する。車体7は空気ばね9を介して各台車3に支持されている。各台車3には主電動機5A及び基礎ブレーキ装置5B等が設けられている。

0020

主電動機5Aは走行用動力を発生する。本実施形態に係る主電動機5Aは、車両制動時発電機として作動することにより制動装置として機能する。当該制動装置は、発電抵抗制動装置又は回生制動装置等その方式は不問である。

0021

発電抵抗制動装置は、発電した電力電気抵抗にて熱とし大気中に放出する方式である。回生制動装置は、発電した電力を架線を介して他の車両、又は車両に搭載された蓄電池キャパシタ等に供給する方式である。

0022

基礎ブレーキ装置5Bは、摩擦力を利用して車輪5に対して制動力を作用させる摩擦制動装置である。基礎ブレーキ装置5Bは、踏面制動装置又はディスク制動装置等、の方式は不問である。

0023

踏面制動装置は、車輪5の踏面に制動子を押し当てる方式である。ディスク制動装置は、車輪5又は車軸(図示せず。)に設けられたブレーキディスクを一対の制動子で挟み込む方式である。

0024

増粘着剤噴射装置11は、セラミック粒子等の増粘着剤を車輪5と線路と接触部に噴射する。これにより、車輪5と線路との間に発生する粘着力(摩擦力)を増大させることができ得る。

0025

車体7にはVVVF(Variable Voltage Variable Frequency)制御装置13及び基礎ブレーキ制御装置15が設けられている。VVVF制御装置13は主電動機5Aの作動を制御する。

0026

具体的には、当該VVVF制御装置13は、主電動機5Aに印加する電圧及び印加電圧周波数等を可変制御することにより、走行用動力及び制動力を制御する。つまり、主電動機5A及びVVVF制御装置13等により電気式制動装置が構成される。

0027

基礎ブレーキ制御装置15は、基礎ブレーキ装置5Bの作動を制御する。具体的には、当該基礎ブレーキ制御装置15は、制動子に作用させる空気圧を調整する。つまり、基礎ブレーキ装置5B及び基礎ブレーキ制御装置15等により摩擦制動装置が構成される。以下、電気式制動装置と摩擦制動装置とを総称する際には、ブレーキ装置と記す。

0028

本実施形態に係る基礎ブレーキ制御装置15には、ブレーキ受量器17が組み込まれている。ブレーキ受量器17にはブレーキ指令及び荷重信号等が入力される。ブレーキ受量器17は、ブレーキ指令信号等を利用して各車輪5に作用させる制動力を演算する。

0029

なお、ブレーキ指令は、ブレーキハンドル(図示せず。)の操作量ノッチ数)に応じて出力される信号である。荷重信号は、車輪5に作用する荷重、つまり乗員も含めた車体7の荷重)を示す信号である。本実施形態では、空気ばね9の空気圧を検出する圧力センサPs(図2参照)から出力された信号である。

0030

ブレーキ受量器17により演算された制動力を示す信号、つまりブレーキ装置で発生させる制動力の大きさを示す「ブレーキ指令信号」は、VVVF制御装置13及び基礎ブレーキ制御装置15それぞれに向けて出力される。

0031

したがって、電気式制動装置、つまり主電動機5A及びVVVF制御装置13は、ブレーキ受量器17からのブレーキ指令信号に従って制動能力を発揮する。摩擦制動装置、つまり基礎ブレーキ装置5B及び基礎ブレーキ制御装置15、ブレーキ受量器17からのブレーキ指令信号に従って制動能力を発揮する。

0032

換言すれば、ブレーキ受量器17はブレーキ装置を制御するブレーキ制御部として機能する。そこで、ブレーキ受量器17をブレーキ制御部17ともいう。ブレーキ制御部17は、ブレーキ指令信号を演算する演算ユニット(図示せず。)等を有するマイクロコンピュータ等を有して構成されている。

0033

ブレーキ制御部17には、図2に示すように、ブレーキ指令、荷重信号(圧力センサPs)、及び車輪5の速度を計測するための車速センサVsの信号が入力されている。ブレーキ制御部17は、車速センサVsからの信号を利用して車輪5の速度(以下、車輪速という。)を計測する。

0034

2.ブレーキ制御部によるブレーキ装置の制御
2.1 制御の概要
<非粘着時制動制御モード>
ブレーキ制御部17は、ROM等の不揮発性記憶部に記憶されたプログラムソフトウェア)に従って、以下の処理を実行することが可能である。

0035

すなわち、ブレーキ制御部17は、ブレーキ指令信号により示された制動力(以下、「指令制動力」という。)の大きさをパラメータとして減速度の最大値(以下、減速度リミットという。)を決める(減速度決定処理)。

0036

その後、ブレーキ制御部17は、減速度リミット及び車輪速を利用して車輪5が線路に対して滑っているか否かを判断する(滑り判断処理)。そして、ブレーキ制御部17は、滑りが発生したと判断した場合には、予め決められた非粘着時制動制御モードにてブレーキ装置の作動を制御する。

0037

非粘着時制動制御モードでは、電気式制動装置を停止させた状態で摩擦制動装置による制動が実行されるとともに、増粘着剤の噴射が実行される。このとき、ブレーキ制御部17は、動力車及び被牽引車に対して均等に制動力を負担させる。

0038

なお、ブレーキ指令信号は、ブレーキ指令、つまりブレーキハンドルの操作量(以下、ブレーキノッチ数という。)によって決定される関数値となるので、指令制動力もブレーキノッチ数という。)の関数値となる。

0039

減速度リミットは、指令制動力をパラメータとして決定される値であるので、本実施形態では、減速度リミットはブレーキノッチ数によって決定される関数値となる。つまり、本実施形態では、ブレーキノッチ数は指令制動力に相当するパラメータとなる。

0040

<滑り判断処理>
滑り判断処理の具体的手法は、図3A〜図4Cに示されるように概ね3種類ある。
第1の手法は、「減速度リミットα」と「車輪速の減速度β」との差が予め設定された閾値より大きくなった場合に、滑走が発生したと判断(以下、滑走判断ともいう。)する手法である(図3A参照)。

0041

第2の手法は、「減速度リミットにより決定される速度(以下、基準軸速度Voという。)」と「車輪速V」との差(以下、滑り量γという。)」が予め設定された閾値より大きくなった場合に滑走判断する手法である(図3B参照)。

0042

第3の手法は、「基準軸速度Vo」に対する「滑り量γ」の割合(=γ/Vo)が予め設定された閾値より大きくなった場合に滑走判断する手法である(図3C参照)。基準軸速度Voは、現時の車輪速を定数項とし、減速度リミットαを経過時間の係数とする一次関数値である。

0043

上記の3種類の閾値(以下、「滑走閾値」という。)は、例えば、予め設定された固定値、又はブレーキノッチ数や現時の車輪速に基づいて決定される値等である。因みに、本実施形態では、第3の手法(滑り率)にて滑り判断処理が実行され、かつ、その閾値は約15%(0.15)である。

0044

2.2 制御の詳細
図4は、ブレーキ装置の制御作動の一例(以下、ブレーキ制御という。)を示すフローチャートである。当該ブレーキ制御は、手動操作又は自動操作遠隔操作も含む。)によりブレーキ装置が作動する際に実行される。なお、ブレーキ制御は、ブレーキ制御部17に予め組み込まれたプログラムに従って実行される。

0045

ブレーキ制御が起動されると、指令制動力(ブレーキノッチ数)及び車輪速が取得されるとともに(S1、S5)、減速度リミットが演算される(S3)。なお、ブレーキノッチ数に対応する減速度リミットは、ブレーキ制御部17に設けられた不揮発性記憶部に予め記憶されている。

0046

次に、基準軸速度Voが演算された後(S7)、滑り率(=γ/Vo)が演算され(S9)、車輪5が線路に対して滑っているか否かが判断される(S11)。滑りが発生したと判断された場合には(S11:YES)、非粘着時制動制御モードが実行される。

0047

滑りが発生していないと判断された場合には(S11:NO)、ブレーキノッチ数に応じた制動力を発生させる通常時制動制御モードが実行される。なお、通常時制動制御モードでは、電気式制動装置及び摩擦制動装置5Bが併用される。具体的には、制動の初期段階では主に電気式制動装置にて減速(制動)される。制動力が不足分する場合には、摩擦制動装置により不足する制動力が補われる。

0048

3.本実施形態に係る鉄道車両用滑走再粘着制御装置の特徴
本実施形態では、指令制動力(ブレーキノッチ数)の大きさに応じて減速度リミットが決定され、かつ、その決定された減速度リミット及び車輪速を利用して車輪5が線路に対して滑っているか否かを判断する。

0049

そして、低速域等の制動力のばらつきが発生し易い領域においては、その指令制動力(ブレーキノッチ数)に応じた減速度リミットが利用されて滑り(滑走)が発生したか否か判断されるので、制動力のばらつきの影響を小さくでき得る。したがって、低速域において滑り(滑走)を誤検知してしまうことを抑制できる。

0050

さらに、滑走が発生したと判断された場合には、非粘着時制動制御モードが実行されるので、滑走状態に適した制動を実行することが可能となる。
本実施形態では、滑り率を利用して滑走が発生したか否かを判断するので、第1の手法又は第2の手法に比べて、天候や線路の線形等の環境要因の影響を考慮した滑走(非粘着)ブレーキ制御が可能となり得る。

0051

つまり、滑り率は無次元化された量であるので、滑り率を用いると、滑走の大きさ(レベル)を数値し易い。このため、天候状態や線路の線形状態等を滑り率に基づいて判断でき得るので、滑り率を利用して適切な制動力を選択・発揮させることが可能となる。延いては、鉄道車両用滑走再粘着制御装置の安全性を更に向上させることが可能となる。

0052

(第2実施形態)
第1実施形態では、滑走閾値が予め決められた固定値であったが、本実施形態は、線路の曲率に基づいて滑走閾値を変更・決定するものである。なお、「滑走閾値の決定」以外は、第1実施形態と同じであるので、以下、「滑走閾値の決定」手法について説明する。

0053

ブレーキ制御部17は、空気ばね9の空気圧(圧力センサPsの検出圧力)を利用して、現在走行している線路の曲率を検知する(曲率検知処理)。曲率検知処理は、ブレーキ制御部17に予め組み込まれたプログラムに従って実行される処理である。

0054

具体的には、曲率検知処理では、台車3の右側に設置された空気ばね9の空気圧と台車3の左側に設置された空気ばね9の空気圧との差を利用して、線路の曲率(以下、検知曲率という。)が推定される。

0055

すなわち、ブレーキ制御部17は、図5に示すように、ブレーキ制御が開始されると、空気ばね9の空気圧を取得して検知曲率を演算した後(S15、17)、滑走閾値を決定する(S19)。

0056

このとき、ブレーキ制御部17は、滑走閾値が予め決められた所定曲率より大きい場合には、検知曲率が所定曲率以下の場合に比べて小さい値を滑走閾値として決定する。つまり、本実施形態では、所定曲率の増大に応じて、滑走閾値は連続的又は階段状に小さくなる。なお、本実施形態において、滑走閾値を階段状に変化させる場合の段数は不問である。

0057

そして、S11では、S19にて決定された滑走閾値にて車輪5が線路に対して滑っているか否かが判断される。これにより、本実施形態では、線路の曲率に応じた滑走判断が可能となるとともに、当該滑走判断に応じた非粘着時制動制御モードを実行することが可能となる。したがって、線路及び線路の側面に接触する車輪のフランジ部の摩耗進行等を抑制できる。

0058

(第3実施形態)
本実施形態は、動力車で発生させる制動力(以下、M車制動力という。)と被牽引車で発生させる制動力(以下、T車制動力という。)との割合を、台車3に作用する荷重に応じて変更するものである。

0059

台車3に作用する荷重(以下、検知荷重という。)は、空気ばね9の空気圧(圧力センサPsの検出圧力)を利用して検知される。本実施形態に係る鉄道車両用滑走再粘着制御装置は、非粘着時制動制御モードとは独立して実行される。

0060

つまり、下記の実行要件が満たされる場合には、非粘着時制動制御モードの実行状態を問わず、本実施形態に係る鉄道車両用滑走再粘着制御装置が実行される。すなわち、ブレーキ制御部17は、検知荷重が予め決められた所定荷重より小さい場合には、軽荷重時制動制御モードを実行する。

0061

軽荷重時制動制御モードでは、指令制動力(ブレーキノッチ数)に応じて決定される制動力のうちM車制動力とT車制動力との割合が、検知荷重が所定荷重以上の場合と異なる割合とされる。これにより、適切な制動力を得ることが可能となり得る。

0062

具体的には、検知荷重が所定荷重以上の場合(通常荷重時制動制御モード)において、ブレーキノッチ数が小さいときには、図6Aに示すように、T車制動力は0又は極めて小さい。検知荷重が所定荷重以上の場合(通常荷重時制動制御モード)において、ブレーキノッチ数が大きくなると、ブレーキノッチ数が小さいときに比べてT車制動力が大きくなる。

0063

検知荷重が所定荷重未満の場合(軽荷重時制動制御モード)においては、図6Bに示すように、ブレーキノッチ数が小さいときであってもT車制動力が発生する。そして、ブレーキノッチ数の増大に応じてT車制動力が大きくなる。

0064

なお、図7は、本実施形態に係るブレーキ装置の制御作動の一例(以下、ブレーキ制御という。)を示すフローチャートである。当該ブレーキ制御を実行するためのプログラムは、ブレーキ制御部17に設けられた不揮発性記憶部に予め記憶されている。

0065

当該ブレーキ制御は、手動操作又は自動操作(遠隔操作も含む。)によりブレーキ装置が作動する際にブレーキ制御部17にて実行される。すなわち、先ず、空気ばね9の空気圧(圧力センサPsの検出圧力)が取得される(S21)。

0066

次に、検知荷重、つまり車輪5と線路との接触荷重が演算され(S23)、検知荷重が所定荷重未満であるか否かが判断される(S25)。検知荷重が所定荷重未満であると判断された場合には(S25:YES)、軽荷重時制動制御モードが実行される(S27)。

0067

検知荷重が所定荷重以上であると判断された場合には(S25:NO)、軽荷重時制動制御モードが実行されず、通常荷重時制動制御モードが実行される。これは、標準で通常荷重時制動制御モードが実行されるからである。

0068

なお、軽荷重時制動制御モードと非粘着時制動制御モードとが同時に実行される場合がある。この際、M車制動力とT車制動力との割合は軽荷重時制動制御モードに従って決定される。

0069

(第4実施形態)
本実施形態は、ブレーキ指令信号により示された指令制動力、つまりブレーキノッチ数に加えて、線路の勾配も考慮して減速度リミットを決定するものである。これにより、より精度良く滑走を検知することが可能となり得る。

0070

すなわち、線路の勾配は、図8のS29に示すように、空気ばね9の空気圧(圧力センサPsの検出圧力)及び車両の加減速度を利用して検知される。車両の加減速度は、車輪速の変化率を利用して検知される。

0071

ブレーキ制御部17の不揮発性記憶部には、ブレーキノッチ数、線路の勾配及び減速度リミットの関係を示す関数が予め記憶されている。ブレーキ制御部17は、当該関数に従って減速度リミットを決定する。なお、本実施形態は、減速度リミットを決定手法以外は、第1実施形態と同じである。

0072

(その他の実施形態)
上述の実施形態では、ブレーキ指令信号により示された指令制動力はブレーキノッチ数を示す値であったが、本発明はこれに限定されるものではなく、ブレーキノッチ数に応じて出力される信号(ブレーキ指令)に基づいて演算される制動力を示す信号をブレーキ指令信号としてもよい。

0073

上述の実施形態では、在来線に本発明を適用したが、本発明はこれに限定されるものではなく、新幹線にも適用することができる。
また、本発明は、特許請求の範囲に記載された発明の趣旨に合致するものであればよく、上述の実施形態に限定されるものではない。

0074

1…鉄道車両
3…台車
5…車輪
5A…主電動機
5B…基礎ブレーキ装置
7… 車体
11…増粘着剤噴射装置
13… VVVF制御装置
15…基礎ブレーキ制御装置
17…ブレーキ受量器(ブレーキ制御部)

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