図面 (/)
請求項1
対象物に対する視線の量を示す数値と当該対象物に対する興味を示す数値とが対応付けられた視線情報を入力する入力手段と、前記入力手段によって入力された視線情報の数値が、前記視線の量及び前記興味の次元の空間上に設定される設定領域に含まれるか否かを判断する判断手段と、前記判断手段による判断に応じた出力を行う出力手段と、を備える視線情報処理システム。
請求項2
前記視線の量を示す数値は、前記対象物への視線の時間又は回数を示す数値であり、前記興味を示す数値は、前記視線を向けた人によって前記対象物が選択又は記憶された度合いを示す数値である、請求項1に記載の視線情報処理システム。
請求項3
前記設定領域の設定に用いられる前記視線情報である設定用視線情報を入力して、入力した設定用視線情報に基づいて前記設定領域を設定する設定手段を更に備える請求項1又は2に記載の視線情報処理システム。
請求項4
前記設定手段は、入力した設定用視線情報から前記空間上での回帰式を算出し、算出した回帰式に基づいて前記設定領域を設定する請求項3に記載の視線情報処理システム。
請求項5
前記出力手段は、前記判断手段による判断に応じて予め設定された前記対象物の販売促進を行うための出力を行う請求項1〜4の何れか一項に記載の視線情報処理システム。
請求項6
技術分野
背景技術
先行技術
発明が解決しようとする課題
0004
しかしながら、従来の方法では、視線と興味との関係の適切な解析が行われていなかった。例えば、従来の方法では、消費者の購買行動における心理プロセスを示すAIDMAの法則において、どの段階で問題点が生じているのか充分な知見が得られていなかった。具体的には、購買に至る動機付けの初期段階である注意(Attention)や関心(Interest)の段階で問題があるのか、中間段階である欲求(Desire)の段階で問題があるのかの充分な知見が得られていなかった。即ち、その商品が消費者にそもそも認知されていないのか、消費者に認知されているが選択されていないのかといった知見が得られていなかった。
0005
また、これにより、商品の販売促進をどのように行えばよいかという知見が得られていなかった。例えば、商品のパッケージを改善すればよいのか、商品のブランド力を向上させればよいのかという知見が得られていなかった。
0006
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、視線に基づく適切な知見を得ることができる視線情報処理システム及び視線情報処理方法を提供することを目的とする。
課題を解決するための手段
0007
上記の目的を達成するために、本発明に係る視線情報処理システムは、対象物に対する視線の量を示す数値と当該対象物に対する興味を示す数値とが対応付けられた視線情報を入力する入力手段と、入力手段によって入力された視線情報の数値が、視線の量及び興味の次元の空間上に設定される設定領域に含まれるか否かを判断する判断手段と、判断手段による判断に応じた出力を行う出力手段と、を備える。
0008
本発明に係る視線情報処理システムでは、入力された視線情報の数値が設定領域に含まれるか否かが判断されて、当該判断に応じた出力が行われる。従って、設定領域に応じた視線に基づく知見を得ることができる。例えば、設定領域を、AIDMAの法則における段階に応じたものとしておけば、どの段階での問題があるかという知見を得ることができる。即ち、本発明に係る視線情報処理システムによれば、視線に基づく適切な知見を得ることができる。
0009
視線の量を示す数値は、対象物への視線の時間又は回数を示す数値であり、興味を示す数値は、視線を向けた人によって対象物が選択又は記憶された度合いを示す数値である、こととしてもよい。この構成によれば、より確実に視線情報を入力することができ、より確実に本発明を実施することができる。
0010
視線情報処理システムは、設定領域の設定に用いられる視線情報である設定用視線情報を入力して、入力した設定用視線情報に基づいて設定領域を設定する設定手段を更に備えることとしてもよい。この構成によれば、例えば、実データに基づき設定領域を自動的に設定することができ、その結果、視線に基づく適切な知見を得ることができる。
0011
設定手段は、入力した設定用視線情報から空間上での回帰式を算出し、算出した回帰式に基づいて設定領域を設定することとしてもよい。この構成によれば、設定領域を更に適切なものとすることができ、視線に基づく適切な知見を得ることができる。
0012
出力手段は、判断手段による判断に応じて予め設定された対象物の販売促進を行うための出力を行うこととしてもよい。この構成によれば、視線に基づく知見に基づき、対象物の販売促進を行うことができる。
0013
ところで、本発明は、上記のように視線情報処理システムの発明として記述できる他に、以下のように視線情報処理方法の発明としても記述することができる。これはカテゴリが異なるだけで、実質的に同一の発明であり、同様の作用及び効果を奏する。
0014
即ち、本発明に係る視線情報処理方法は、視線情報処理システムの動作方法である視線情報処理方法であって、対象物に対する視線の量を示す数値と当該対象物に対する興味を示す数値とが対応付けられた視線情報を入力する入力ステップと、入力ステップにおいて入力された視線情報の数値が、視線の量及び興味の次元の空間上に設定される設定領域に含まれるか否かを判断する判断ステップと、判断ステップにおける判断に応じた出力を行う出力ステップと、を含む。
発明の効果
0015
本発明では、設定領域に応じた視線に基づく知見を得ることができる。例えば、設定領域を、AIDMAの法則における段階に応じたものとしておけば、どの段階での問題があるかという知見を得ることができる。即ち、本発明によれば、視線に基づく適切な知見を得ることができる。
図面の簡単な説明
0016
本発明の実施形態に係る視線情報処理システムの構成を示す図である。
視線情報の散布図の例である。
別の視線情報の散布図の例である。
視線情報の取得に用いられる商品棚を示す図である。
視線計測の結果得られる視線計測データの例であるヒートマップを示す図である。
本発明の実施形態に係る視線情報処理システムで実行される処理(視線情報処理方法)を示すフローチャートである。
本発明の実施形態に係る視線情報処理システムの変形例で実行される処理(視線情報処理方法)を示すフローチャートである。
実施例
0018
図1に、本実施形態に係る視線情報処理システム10を示す。視線情報処理システム10は、人の視線に関する情報に基づき、対象物に対する知見を得るためのシステムである。本実施形態では、視線情報処理システム10は、対象物である商品への消費者(人、購入者)の視線に関する情報に基づき、消費者の商品に対する興味についての知見を得るためのものである。具体的には、商品のパッケージに問題があるか否か、商品に係るブランド力(例えば、消費者に購買意欲を生じさせる魅力)があるか否かといった知見を得るためのものである。
0019
対象物である商品は、例えば、店頭や自動販売機等で消費者がパッケージを見て、購入するものである。即ち、購入等に際して、消費者がパッケージを見る商品である。特に、飲料等のパッケージが消費者の購入に大きな影響を及ぼす商品を対象物とする。本実施形態では、対象物である商品は、ビール及びビール系飲料(例えば、発泡酒)である。但し、本発明において対象物は、上記の商品に限られず、消費者が視覚的に認識できるものであればどのような対象物であってもよい。
0020
視線情報処理システム10は、視線情報処理システム10は、PC(パーソナルコンピュータ)又はサーバ装置といったコンピュータを含んで構成される。視線情報処理システム10は、CPU(Central Processing Unit)やメモリ等のハードウェアを備える。これらの構成要素がプログラム等によって動作することによって、後述する視線情報処理システム10の機能が発揮される。
0021
引き続いて、本実施形態に係る視線情報処理システム10の機能について説明する。図1に示すように視線情報処理システム10は、入力部11と、判断部12と、出力部13とを備えて構成される。
0022
入力部11は、商品に対する消費者の視線の量を示す数値と当該商品に対する消費者の興味を示す数値とが対応付けられた視線情報を入力する入力手段である。消費者の視線の量を示す数値は、具体的には、商品へ消費者の視線が向けられていた時間又は回数を示す数値である。消費者の興味を示す数値は、視線を向けた消費者によって商品が選択又は記憶された度合いを示す数値である。視線情報は、消費者の視線の量を示す数値の次元と、消費者の興味を示す数値の次元との2次元空間上の座標とすることができる。例えば、視線情報の例を図2及び図3の散布図に示す。図2及び図3の散布図の各点が、1つの視線情報に相当する。
0023
入力部11によって入力される視線情報は、予め視線情報処理システム10の利用者等によって被験者(消費者)に対する実験を実施することで得ることができる。視線情報を予め取得する方法の一例を説明する。
0024
まず、図4に示すように商品棚(商品陳列棚)を用意し、その商品棚に対象物である商品を陳列する。例えば、図4に示すように24種類の商品を陳列する(図4における各数字が商品の種類を示している)。被験者は、商品棚から離れた位置から商品棚まで移動し、商品棚を見て商品棚から欲しい商品を3本選択する(手に取る)。この際、被験者の視線が商品棚のどの位置(どの商品)に向いているかの視線を計測する。視線の計測は、従来の方法により行われる。例えば、被験者に装着される眼鏡型の視線検出装置であるアイトラッカーを用いることができる。具体的には、アイトラッカーとしてTobii Glassを用いることができ、また視線計測データの解析には、Tobii StudioTMVer.3.1.6を用いることができる。視線の計測は、例えば、被験者が商品棚の3メートル手前の位置に移動してから(商品棚が見えない状態から)、3本目の商品を手に取るまでの間行うようにする。このようにこの実験では、陳列商品に対する購買実験が行われる。なお、商品棚における商品の配置による影響を排除するために、被験者毎に商品陳列を変更してもよい。
0025
視線計測データは、例えば、図5に示すようなヒートマップの形式で得られる。なお、図5(a)〜図5(d)は、それぞれ商品A〜商品Dが選択された場合のヒートマップである。視線計測データによって示される各商品の位置への視線から、各商品へ消費者の視線が向けられていた時間又は回数(注視回数)を示す数値を算出する。なお、各商品へ消費者の視線が向けられていた時間を示す数値は、視線の計測を実施している時間に対する各商品へ消費者の視線が向けられていた時間の割合(当該商品に視線が留まった時間/視線の計測の時間(合計時間))としてもよい。また、各商品へ消費者の視線が向けられていた回数(注視回数)は、例えば、当該商品への視線が向けられてから当該商品から視線が外されるまでを1回としてカウントする。
0026
また、商品棚からの商品の選択後に、被験者に商品のパッケージの一覧表を示す。ここで、一覧表には、商品棚に陳列されていた商品全て又は一部、並びに商品棚に陳列されていない商品のパッケージがのっている。被験者は、一覧表の中から商品棚に陳列されていた商品を回答する。このようにこの実験では、陳列商品に対する被験者の記憶試験も行われる。
0027
上記の実験を複数の被験者に対して行う。各商品へ消費者の視線が向けられていた時間又は回数(注視回数)を示す数値それぞれについて、商品毎に被験者の平均を算出する。算出したそれぞれ平均を商品毎の視線情報の商品に対する消費者の視線の量を示す数値である視線滞留時間(相対値)及び注視回数とする。
0028
商品毎に被験者によって選択された回数の合計を、商品毎の視線情報の、視線を向けた消費者によって商品が選択された本数である選択本数とする。このように、本実施形態では、商品毎の視線情報の、視線を向けた消費者によって商品が選択された度合いを示す数値の例として、上記の選択本数を用いる。また、商品毎に被験者によって記憶された回数(記憶試験で被験者に正解された回数)を全被験者数で割った値を、商品毎の視線情報の、視線を向けた消費者によって商品が記憶された回数の割合である記憶(正答率)の値とする。このように、本実施形態では、商品毎の視線情報の、視線を向けた消費者によって商品が記憶された度合いを示す数値の例として、上記の記憶(正答率)の値を用いる。
0029
上記の例では、消費者の視線の量を示す数値として、視線滞留時間(相対値)及び注視回数の2つの値が得られる。また、消費者の興味を示す数値として、選択本数及び記憶(正答率)の値の2つの値が得られる。視線情報は、これらの組み合わせである。例えば、図2(a)に示す散布図は、視線情報を視線滞留時間(相対値)及び選択本数とした例である。図2(b)に示す散布図は、視線情報を注視回数及び選択本数とした例である。図3(a)に示す散布図は、視線情報を視線滞留時間(相対値)及び記憶(正答率)の値とした例である。図3(b)に示す散布図は、視線情報を注視回数及び記憶(正答率)の値とした例である。なお、視線情報は、上記の図2及び図3の例のように4種類ある必要はなく、少なくとも1つあればよい。
0030
入力部11は、上記のような視線情報を入力する。例えば、入力部11は、視線情報処理システム10の利用者等による視線情報処理システム10に対する視線情報の入力操作を受け付けて視線情報を入力する。あるいは、入力部11は、視線情報処理システム10が記憶している視線情報を読み出して、若しくは他の装置又は他のシステムから送信される視線情報を受信して視線情報を入力してもよい。入力部11は、入力した視線情報を判断部12に出力する。
0031
判断部12は、入力部11から入力された視線情報の数値が、商品に対する消費者の視線の量及び当該商品に対する消費者の興味の次元の2次元空間上に設定される設定領域に含まれるか否かを判断する判断手段である。設定領域は、例えば、図2及び図3の散布図に示される破線で囲まれる領域である。即ち、判断部12は、入力部11から入力された視線情報で示される座標が、設定領域(例えば、破線で囲まれる楕円の領域)に含まれるか否かを判断する。
0032
設定領域は、例えば、視線情報処理システム10の利用者等によって予め設定されており、設定領域を示す情報は判断部12に記憶されている。設定領域は、商品に対する消費者の視線と当該商品に対する消費者の興味との関係に応じて設定される。例えば、設定領域は、視線に基づく商品の課題点に対応するように設定される。設定領域は、1つのみ設定されてもよく、複数設定されてもよい。
0033
具体的には、選択本数を含む選択情報を用いる場合(図2の散布図に示す場合)、視線と選択との関係に応じて設定される。図2に示す左下の設定領域A11a,A11b(視線の量及び選択本数の両方とも比較的低い領域)は、商品の目立ち度が低い(注目されない)ことを示している。従って、この設定領域A11a,A11bに視線情報が含まれる商品については、パッケージに問題がある(例えば、他商品に埋もれた)。右下の設定領域A12a,A12b(視線の量が比較的高いが選択本数が比較的低い領域)は、商品に注目はされたが選択に至らないことを示している。従って、この設定領域A12a,A12bに視線情報が含まれる商品については、パッケージの問題は低く、消費者の迷いまで至ったが、ブランド力がまだ低い。右上の設定領域A13a,A13b(視線の量及び選択本数の両方とも比較的高い領域)は、商品が躊躇なく選択された(迷いなし)ことを示している。従って、この設定領域A13a,A13bに視線情報が含まれる商品については、ブランドの親近性が高く、目指すべき姿である。
0034
また、記憶(正答率)の値を含む選択情報を用いる場合(図3の散布図に示す場合)、視線と記憶との関係に応じて設定される。図3に示す左下の設定領域A21a,A21b(視線の量及び記憶(正答率)の値の両方とも比較的低い領域)は、商品が印象に残らないことを示している。従って、この設定領域A21a,A21bに視線情報が含まれる商品については、パッケージに問題がある(例えば、他商品に埋もれた)。左上の設定領域A22a,A22b(視線の量が比較的低いが記憶(正答率)の値が比較的高い領域)は、商品が記憶には残ったが注目されてないことを示している。従って、この設定領域A22a,A22bに視線情報が含まれる商品については、知名度の高いブランドではあるが興味の対象にならなかった(例えば、ターゲットに問題がある)。右下の設定領域A23a,A23b(視線の量が比較的高いが記憶(正答率)の値が比較的低い領域)は、商品に注目はされたが記憶には残り難いことを示している。従って、この設定領域A23a,A23bに視線情報が含まれる商品については、パッケージの問題は低く興味は引いたが商品の識別性に問題(例えば、商品名や特徴のインパクト)がある。右上の設定領域A24a,A24b(視線の量及び記憶(正答率)の値の両方とも比較的高い領域)は、商品が注視されて記憶にも残りやすいことを示している。従って、この設定領域A24a,A24bに視線情報が含まれる商品については、ブランドの認知度も親近性も高く、日常における接触が強い。
0035
判断部12は、入力部11から入力された視線情報の数値が設定領域に含まれるか否かの判断結果を出力部13に通知する。
0036
出力部13は、判断部12による判断に応じた出力を行う出力手段である。例えば、出力部13は、設定領域に対応させて出力する出力情報を予め記憶しておき、視線情報が含まれると判断された設定領域に対する出力情報を出力する。出力情報としては、例えば、上記の設定領域毎の視線に基づく商品の課題点を示す情報である。具体的には、出力部13は、視線情報処理システム10の利用者が出力結果を参照できるように出力情報を表示して出力する。あるいは、出力部13は、判断部12による判断に応じた情報を他の装置又は他のシステムに送信して出力してもよい。送信する情報は、上記の出力情報としてもよいし、判断部12による判断を示す情報自体としてもよい。以上が、本実施形態に係る視線情報処理システム10の機能である。
0037
引き続いて、図6のフローチャートを用いて、本実施形態に係る視線情報処理システム10で実行される処理(視線情報処理システム10の動作方法)である視線情報処理方法を説明する。
0038
本処理では、まず、入力部11によって視線情報が入力される(S01、入力ステップ)。この視線情報は、上述したように商品毎の情報であり、例えば、予め用意されたものである。入力された視線情報は、入力部11から判断部12に出力される。続いて、判断部12によって、視線情報で示される座標が設定領域に含まれるか否かが判断される(S02、判断ステップ)。判断結果は、判断部12から出力部13に主力される。続いて、出力部13によって、当該判断結果に応じた出力が行われる(S03、出力ステップ)。視線情報処理システム10の利用者は、出力結果を参照することで、例えば、視線に基づく商品の課題点を把握することができる。以上が、視線情報処理システム10で実行される処理である。
0039
本実施形態では、入力された視線情報の数値が設定領域に含まれるか否かが判断されて、当該判断に応じた出力が行われる。従って、設定領域に応じた視線に基づく知見を得ることができる。例えば、本実施形態のように、設定領域を、AIDMAの法則における段階に応じたものとしておけば、どの段階での問題があるかという知見を得ることができる。このように視線を用いて知見を得ることとすれば、従来、人間の感覚的な判断で洗い出されていた問題事項(課題点)が定量的に無意識の行動を含めて抽出できる。即ち、本実施形態によれば、視線に基づく適切な知見を得ることができる。このような知見をマーケティングに利用することで、商品の売り上げの向上を図ることができる。あるいは、このような知見を商品開発やパッケージのデザインに生かすことができる。
0040
また、本実施形態のように視線情報を構成する消費者の視線の量を示す数値を、商品へ消費者の視線が向けられていた時間又は回数を示す数値としてもよい。また、本実施形態のように視線情報を構成する消費者の興味を示す数値を、視線を向けた消費者によって商品が選択又は記憶された度合いを示す数値としてもよい。このような視線情報を用いることとすれば、より確実に視線情報を取得することができ、視線情報処理システム10に入力することができる。従って、より確実に本発明を実施することができる。但し、視線情報は、必ずしも上記の数値である必要はなく、消費者の視線の量を示す数値及び消費者の興味を示す数値であれば、上記以外の数値であってもよい。
0041
引き続いて、本発明の実施形態の変形例を説明する。上述した実施形態では、設定領域は、視線情報処理システム10の利用者等によって予め設定されていることとしたが、視線情報処理システム10が設定領域を設定する機能を備えていてもよい。即ち、視線情報処理システム10は、設定領域を設定する設定部を備えていてもよい。
0042
設定部は、設定領域の設定に用いられる視線情報である設定用視線情報を入力して、入力した設定用視線情報に基づいて設定領域を設定する設定手段である。設定部は、入力した設定用視線情報から、視線情報の座標がプロットされる2次元空間上での回帰式を算出し、算出した回帰式に基づいて設定領域を設定してもよい。即ち、複数の視線情報の相関関係を算出して、相関関係に基づいて設定領域を設定してもよい。具体的には、設定部は、以下のように設定領域を設定する。
0043
設定部は、複数の設定用視線情報を入力する。設定部は、入力部11による視線情報の入力と同様に設定用視線情報とされた視線情報を入力する。なお、入力部11によって入力される視線情報(判断部12の判断対象となる視線情報)と、設定用視線情報とは同一のものであってもよい。この場合、入力した視線情報に基づいて設定部が設定領域を設定して、設定した設定領域を用いて判断部12が判断を行う。
0044
設定部は、設定用視線情報に示される座標から回帰式(近似式)を算出する。ここで、x軸を消費者の視線の量を示す数値(視線滞留時間(相対値)又は注視回数)の軸とし、y軸を消費者の興味を示す数値(選択本数又は記憶(正答率)の値)の軸とする。視線情報の座標を(X,Y)と表す。この場合、回帰式は、例えば、y=ax+bで表される一次式を用いることができる。また、a,bは回帰処理によって算出されたパラメータである。図2及び図3に回帰式R1a,R1b,R2a,R2bを示す。回帰式の算出は、従来の方法、例えば、最小二乗法により行われる。なお、図2(a)、図2(b)、図3(a)、図3(b)にそれぞれ示す視線情報の相関係数(R)は、それぞれ0.74、0.79、0.78、0.73である。
0045
設定部は、予め記憶した設定領域を設定するためのルールに基づいて、入力した設定用視線情報と算出した回帰式とから設定領域を設定する。選択本数を含む選択情報を用いる場合(図2の散布図に示す場合)、設定部は、上述した実施形態と同様に左下の設定領域、右下の設定領域、及び右上の設定領域を設定する。左下の設定領域は、X<X(max)/2かつY<Y(max)/2を満たす領域とする。右下の設定領域は、X≧X(max)/2かつY<aX+bを満たす領域とする。右上の設定領域は、Y≧Y(max)/2かつY≧aX+bを満たす領域とする。
0046
記憶(正答率)の値を含む選択情報を用いる場合(図3の散布図に示す場合)、設定部は、上述した実施形態と同様に左下の設定領域、右下の設定領域、右上の設定領域及び右上の設定領域を設定する。左下の設定領域は、X<X(max)/2かつY<aX+bを満たす領域とする。右下の設定領域は、X≧X(max)/2かつY<aX+bを満たす領域とする。右上の設定領域は、X<X(max)/2かつY≧aX+bを満たす領域とする。右上の設定領域は、Y≧Y(max)/2かつY≧aX+bを満たす領域とする。
0047
なお、上記において、X(max)は、入力した複数の設定用視線情報の消費者の視線の量を示す数値のうち、最大のものである。Y(max)は、入力した複数の設定用視線情報の消費者の興味を示す数値のうち、最大のものである。なお、この場合、上述実施形態とは異なり、設定領域は楕円にはならない。
0048
設定部は、上記のように設定した設定領域を判断部12に通知する。判断部12は、設定部から通知された設定領域を用いて、上述した判断を行う。以上が、視線情報処理システム10が設定部を備える場合の構成である。
0049
上述した実施形態では、視線情報処理システム10に入力する視線情報を用意できればよかったので、視線情報処理システム10は、消費者の視線の計測等の視線情報を生成するためのシステムとは独立して構成することができた。しかしながら、視線情報処理システム10は、視線情報の生成を行う機能を有していてもよい。この場合、視線情報処理システム10は、消費者の視線の計測等を行えることが必要となる。視線情報処理システム10は、消費者が実際に商品に対して視線を向ける箇所、例えば、商品を実際に販売している箇所に設けられる。例えば、視線情報処理システム10(の少なくとも一部)は、商品を販売する自動販売機に設けられる。
0050
この場合、入力部11が、視線情報の生成を行う機能を有していてもよい。例えば、入力部11は、自動販売機の前の、商品を購入しようとした消費者の顔を撮像するカメラ等の撮像手段を有し、撮像された消費者の顔の画像から視線の位置(どの商品に視線が向いているか)を検出(計測、視線解析)する。画像からの視線の位置の検出は、従来の方法を用いて行うことができる。入力部11は、検出した視線の位置、及び予め記憶している各商品が表示されている位置に基づいて、上述した実施形態と同様の商品に対する消費者の視線の量を示す数値を算出する。なお、消費者毎の視線の計測は、例えば、消費者の顔が検出されてから、自動販売機の商品の購入ボタンが押されるまでであることとする。即ち、視線滞留時間(相対値)の算出の際の分母の時間は、消費者の顔が検出されてから、自動販売機の商品の購入ボタンが押されるまでの時間とする。また、注視回数は、消費者の顔が検出されてから、自動販売機の商品の購入ボタンが押されるまでの時間での回数とする。このようにカメラ等を用いて視線を検出することで、視線の検出のために消費者が何らかの装置を装着することが不要となる。
0051
また、入力部11は、当該消費者が自動販売機でどの商品を購入したかを示す情報(上述した実施形態における選択された商品を示す情報に相当する情報)を取得する。
0052
入力部11は、各消費者の視線の量を示す数値及び購入した商品に基づいて、各商品についての視線情報を生成する。例えば、入力部11は、消費者の情報の数(情報を取得した消費者の数)が、視線情報を算出するのに充分な予め設定された数に達したか否かを判断して、充分な数に達していたら視線情報を生成する。また、上述した設定領域の設定は、上記のように視線情報が生成される場合に行われてもよい。
0053
また、この場合にも、消費者に対して上述した記憶試験を行うこととしてもよい。例えば、入力部11は、自動販売機において商品が購入された後に、自動販売機が備えるディスプレイに記憶試験を行う表示(上述した、商品のパッケージの一覧表の表示)を行う。入力部11は、当該表示後、消費者から、自動販売機に表示されていた商品の回答の入力を受け付けて、上述した記憶試験を行う。このように、入力部11は、当該消費者が自動販売機でどの商品を記憶したかを示す情報(上述した実施形態における記憶された商品を示す情報に相当する情報)を取得する。入力部11は、この情報に基づき、視線情報を生成してもよい。
0054
このような記憶試験を行うことで、効率良くデータを蓄積することが可能となる。記憶試験を消費者に行わせるために、記憶試験を行った消費者に対しておまけを提供することとしてもよい。例えば、記憶試験を実施した消費者に対して所定の確率(例えば、1/100の確率)で商品をもう一本プレゼントしたり、次回の購入時に割引(例えば、10円割引)を行ったり、あるいは、所定回数記憶試験を実施した消費者に対しておまけを提供したりしてもよい。消費者の記憶試験の実施に係る情報は、例えば、商品の購入に用いられる電子マネー機能付きのICカードに紐付けておき、当該情報は当該ICカードや当該自動販売機に接続されるオンライン上のデータベースに記憶させておく。以上が、視線情報処理システム10が視線情報の生成を行う機能を有する場合の構成である。
0055
視線情報処理システム10が、実際の商品販売に用いられる場合には、判断部12による判断に応じた出力部13の出力を、商品の販売促進を行うためのものとしてもよい。即ち、出力部13は、判断部12による判断に応じて予め設定された商品の販売促進を行うための出力を行うこととしてもよい。例えば、出力部13は、ディスプレイを備え、当該ディスプレイに自動販売機で販売する商品のパッケージの画像(商品画像)を表示する。出力部13は、予め各商品について複数のパッケージ画像を記憶しておき、それらの何れかを表示する。なお、表示された商品の画像は、消費者の視線が向かう対象となる。
0056
例えば、判断部12による判断が、パッケージに問題があることを示すものであった場合(例えば、視線情報が、図2及び図3の左下の設定領域A11a,A11b,A21a,A21bに含まれると判断されるような場合)、出力部13は、当該商品について別のパッケージ画像を表示する、即ち、このような場合、出力部13は、パッケージ画像を変更する。パッケージ画像を変更することでパッケージの問題が解消でき、商品の販売促進につながる可能性がある。
0057
また、判断部12による判断が、ブランド力が低いことを示すものであった場合(例えば、視線情報が、図2及び図3の右下の設定領域A12a,A12b,A23a,A23bに含まれると判断されるような場合)、出力部13は、予め商品毎に記憶されたブランド力を向上させるための表示を行うこととしてもよい。ブランド力を向上させるための表示は、例えば、当該商品についてのCM(コマーシャルメッセージ)動画の表示である。
0058
判断部12による判断が、特段の問題はないことを示すものであった場合(視線情報が、図2及び図3の右上の設定領域A13a,A13b,A24a,A24bに含まれると判断されるような場合)、出力部13は、特段の表示を行わなくてもよい。あるいは、この場合、特段の問題はないとされた当該商品について、相対的に露出を下げる出力を行うこととしてもよい。例えば、出力部13は、当該商品のパッケージ画像をその他の商品と比べて小さくして表示することとしてもよい。
0059
また、出力部13による販売促進を行うための出力は、商品の価格に関するものであってもよい。例えば、判断部12による判断が、ブランド力が低いことを示すものであった場合、出力部13は、当該商品の価格を下げてもよい(例えば、10円、20円価格を下げてもよい)。また、判断部12による判断が、特段の問題はないことを示すものであった場合、出力部13は、当該商品の価格を上げてもよい(例えば、10円、20円価格を上げてもよい)。価格の上げ下げを行う場合には、出力部13は、例えば、自動販売機内の商品の販売価格を管理している機能部に対して、当該価格の上げ下げを行う制御信号の出力を行う。また、出力部13は、ディスプレイに表示される商品の販売価格を上記の価格の上げ下げに応じて変更する。以上が、出力部13の出力を商品の販売促進を行うためのものとする場合の構成である。
0060
なお、上記の変形例のように自動販売機を利用して視線情報処理システム10を構成する場合には、自動販売機に視線情報処理システム10の機能の全てが設けられていてもよいし、視線情報処理システム10の機能の一部が設けられていてもよい。自動販売機に視線情報処理システム10の機能の一部が設けられる場合、例えば、自動販売機以外の箇所に設けられるサーバと、自動販売機に設けられるクライアントとを含んで視線情報処理システム10が構成されていてもよい。その構成では、サーバとクライアントとは、通信網等を介して互いに通信可能にしておき、各機能部間で情報のやり取りが必要になる場合には、サーバとクライアントとの間で当該情報の送受信を行う。機能配備としては、例えば、クライアントは、上述した機能のうち、入力部11及び出力部13を備え、サーバは、判断部12及び設定部を備える。
0061
引き続いて、図7のフローチャートを用いて、本実施形態の変形例である自動販売機に設けられた視線情報処理システム10で実行される処理(視線情報処理システム10の動作方法)である視線情報処理方法を説明する。
0062
本処理では、消費者が自動販売機で商品を購入する際、入力部11によって、当該消費者の視線解析が行われる(S11、入力ステップ)。また、当該消費者によって商品が購入されると、入力部11によって、当該消費者による商品購入に係る情報(どの商品を購入したかを示す情報)が取得される(S12、入力ステップ)。続いて、入力部11によって、消費者の情報の数が予め設定された数に達しているか否かが判断される(S13)。消費者の情報の数が予め設定された数に達していないと判断された場合(S13のNO)、上記の情報の取得(S11,S12)及び上記の判断(S13)が繰り返し(別の消費者が自動販売機で商品を購入する際に)行われる。
0063
消費者の情報の数が予め設定された数に達していると判断された場合(S13のYES)、入力部11によって、各消費者についてS11及びS12において取得された情報から、視線情報が生成される(S14、入力ステップ)。生成された視線情報は、設定用視線情報として、入力部11から設定部に入力される。また、生成された視線情報は、設定用視線情報として、入力部11から判断部12にも入力される。
0064
続いて、設定部によって、入力された設定用視線情報に基づいて設定領域が設定される(S15、設定ステップ)。設定した設定領域は、設定部から判断部12に通知される。続いて、判断部12によって、視線情報で示される座標が設定領域に含まれるか否かが判断される(S16、判断ステップ)。判断結果は、判断部12から出力部13に主力される。続いて、出力部13によって、当該判断結果に応じた出力が行われる(S17、出力ステップ)。この出力は、例えば、上述したような変更されたパッケージ画像の表示、あるいは商品についてのCM動画の表示である。以上が、視線情報処理システム10の変形例で実行される処理である。
0065
上述したように、視線情報処理システム10において、設定用視線情報に基づき設定領域を設定することとしてもよい。この構成によれば、例えば、実データに基づき設定領域を自動的に設定することができ、その結果、視線に基づく適切な知見を得ることができる。
0066
また、設定領域の設定の際に回帰式を用いることとしてもよい。この構成によれば、設定領域を更に適切なものとすることができ、視線に基づく適切な知見を得ることができる。
0067
また、上述したように出力部13による出力を、判断部12による判断に応じた販売促進を行うものとしてもよい。この構成によれば、視線に基づく知見に基づき、対象物の販売促進を行うことができる。
0068
なお、上記の例では、自動販売機を用いることとしたが、コンビニエンスストアやスーパー等の小売店での商品棚を用いることとしてもおい。この場合、売上げ判断だけでなく、商品目立ち度も含めたリアルタイム商品評価システムとすることができる。例えば、商品棚での商品入れ替えや商品配置転換に活用することができる。
0069
また、本実施形態では、消費者の視線が向けられる対象物を商品のパッケージとしたが、商品が認識できるものであればパッケージ以外であってもよい。例えば、商品に関する広告を対象物としてもよい。より具体的には当該対象物は、商品棚や自動販売機に商品を置く際に商品付近に貼り付ける広告宣伝物であるPOPであってもよい。また、商品棚や自動販売機以外に対する消費者の視線を検出するものであってもよい。例えば、外食メニューを表示するタブレット端末を用いて本発明を実施することにしてもよい。具体的には、居酒屋や寿司屋等で何度も注文する際、見られた(興味を持たれた)のに選ばれていないメニューをアピールすることとしてもよい。このようにすることで、ワントゥワンマーケティングを展開することができる。更に、上記以外でもデジタルサイネージやネットショッピング等においても、本発明を適用することとしてもよい。
0071
10…視線情報処理システム、11…入力部、12…判断部、13…出力部。