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技術 液晶配向剤、液晶配向膜、液晶表示素子、重合体及び酸二無水物

出願人 JSR株式会社
発明者 徳地澄人野口峻一安池伸夫
出願日 2015年8月18日 (4年7ヶ月経過) 出願番号 2015-161227
公開日 2017年2月23日 (3年0ヶ月経過) 公開番号 2017-040722
状態 特許登録済
技術分野 液晶3-2(配向部材) 含窒素連結基の形式による高分子化合物一般
主要キーワード 櫛歯型 押し込み長さ 液垂れ防止 特定溶剤 携帯型ゲーム HRB 桂皮酸構造 導電膜間
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2017年2月23日)のものです。
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課題

液晶配向性が良好であって、残留DC電圧蓄積しにくく、かつ信頼性が良好な液晶表示素子を得ることができる液晶配向剤を提供する。

解決手段

ポリアミック酸ポリアミック酸エステル及びポリイミドよりなる群から選ばれる少なくとも一種であって、かつ下記式(1)で表される化合物由来する部分構造を有する重合体[P]を液晶配向剤に含有させる。(T1及びT2は、それぞれ独立に3価の有機基であり、R1及びR2は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜10の1価の炭化水素基であり、A1及びA2は、それぞれ独立に2価の芳香環基である。Z1は、炭素数1以上の2価のヘテロ原子含有基であり、A1及びA2の少なくとも一方に対してヘテロ原子で結合している。)

概要

背景

液晶表示素子は、テレビモバイル機器、各種モニターなどに広く利用されている。これら液晶表示素子には、液晶セル中の液晶分子配向制御するために液晶配向膜が使用されている。液晶配向膜の材料としては、耐熱性機械的強度液晶との親和性等の各種特性が良好である点から、ポリアミック酸ポリイミドが一般に使用されている。

近年、液晶表示素子の表示性能の更なる向上を図るべく、種々の液晶配向剤が提案されている(例えば、特許文献1〜4参照)。これら特許文献1〜4には、アミド基含有のテトラカルボン酸二無水物を用いて得られるポリアミック酸又はポリイミドを液晶配向剤の重合体成分として使用することが開示されている。

概要

液晶配向性が良好であって、残留DC電圧蓄積しにくく、かつ信頼性が良好な液晶表示素子を得ることができる液晶配向剤を提供する。ポリアミック酸、ポリアミック酸エステル及びポリイミドよりなる群から選ばれる少なくとも一種であって、かつ下記式(1)で表される化合物由来する部分構造を有する重合体[P]を液晶配向剤に含有させる。(T1及びT2は、それぞれ独立に3価の有機基であり、R1及びR2は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜10の1価の炭化水素基であり、A1及びA2は、それぞれ独立に2価の芳香環基である。Z1は、炭素数1以上の2価のヘテロ原子含有基であり、A1及びA2の少なくとも一方に対してヘテロ原子で結合している。)なし

目的

本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、液晶配向性が良好であって、残留DC電圧が蓄積しにくく、かつ信頼性が良好な液晶表示素子を得ることができる液晶配向剤を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

ポリアミック酸ポリアミック酸エステル及びポリイミドよりなる群から選ばれる少なくとも一種であって、かつ下記式(1)で表される化合物由来する部分構造を有する重合体[P]を含有する、液晶配向剤。(式(1)中、T1及びT2は、それぞれ独立に3価の有機基であり、R1及びR2は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜10の1価の炭化水素基であり、A1及びA2は、それぞれ独立に2価の芳香環基である。Z1は、炭素数1以上の2価のヘテロ原子含有基であり、A1及びA2の少なくとも一方に対してヘテロ原子で結合している。)

請求項2

前記Z1は、2個以上のヘテロ原子を有し、A1及びA2のそれぞれに対して、異なるヘテロ原子で結合している、請求項1に記載の液晶配向剤。

請求項3

前記Z1は、窒素原子を有し、前記A1及び前記A2の少なくとも一方に対して窒素原子で結合している、請求項1又は2に記載の液晶配向剤。

請求項4

請求項1〜3のいずれか一項に記載の液晶配向剤を用いて形成された液晶配向膜

請求項5

請求項4に記載の液晶配向膜を具備する液晶表示素子

請求項6

ポリアミック酸、ポリアミック酸エステル及びポリイミドよりなる群から選ばれる少なくとも一種であって、かつ下記式(1)で表される化合物に由来する部分構造を有する重合体。(式(1)中、T1及びT2は、それぞれ独立に3価の有機基であり、R1及びR2は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜10の1価の炭化水素基であり、A1及びA2は、それぞれ独立に2価の芳香環基である。Z1は、炭素数1以上の2価のヘテロ原子含有基であり、A1及びA2の少なくとも一方に対してヘテロ原子で結合している。)

請求項7

下記式(1)で表される酸二無水物。(式(1)中、T1及びT2は、それぞれ独立に3価の有機基であり、R1及びR2は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜10の1価の炭化水素基であり、A1及びA2は、それぞれ独立に2価の芳香環基である。Z1は、炭素数1以上の2価のヘテロ原子含有基であり、A1及びA2の少なくとも一方に対してヘテロ原子で結合している。)

技術分野

0001

本発明は、液晶配向剤液晶配向膜液晶表示素子重合体及び酸二無水物に関する。

背景技術

0002

液晶表示素子は、テレビモバイル機器、各種モニターなどに広く利用されている。これら液晶表示素子には、液晶セル中の液晶分子配向制御するために液晶配向膜が使用されている。液晶配向膜の材料としては、耐熱性機械的強度液晶との親和性等の各種特性が良好である点から、ポリアミック酸ポリイミドが一般に使用されている。

0003

近年、液晶表示素子の表示性能の更なる向上を図るべく、種々の液晶配向剤が提案されている(例えば、特許文献1〜4参照)。これら特許文献1〜4には、アミド基含有のテトラカルボン酸二無水物を用いて得られるポリアミック酸又はポリイミドを液晶配向剤の重合体成分として使用することが開示されている。

先行技術

0004

国際公開第2013/094646号
特開2013−241571号公報
国際公開第2013/024892号
国際公開第2013/024893号

発明が解決しようとする課題

0005

近年では、大画面で高精細液晶テレビ主体となり、またスマートフォンタブレットPC等といった小型の表示端末の普及が進み、液晶パネルに対する高精細化の要求は更に高まりつつある。例えば、液晶表示素子の表示不良の原因の一つとしては、素子内部における残留DC電圧蓄積が挙げられ、液晶表示素子としては、残留DC電圧の蓄積を低減させることが要求される。また、液晶表示素子は、多用途化に伴い、長時間連続して使用されることが想定されるが、こうした長時間の使用時においても信頼性が確保されることが求められている。

0006

本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、液晶配向性が良好であって、残留DC電圧が蓄積しにくく、かつ信頼性が良好な液晶表示素子を得ることができる液晶配向剤を提供することを一つの目的とする。

課題を解決するための手段

0007

本発明者らは、上記のような従来技術の課題を達成するべく鋭意検討した結果、特定構造を有する化合物を含む液晶配向剤を用いて液晶配向膜を作製することにより、上記課題を解決可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、以下の液晶配向剤、液晶配向膜、液晶表示素子、重合体及び酸二無水物が提供される。

0008

[1]ポリアミック酸、ポリアミック酸エステル及びポリイミドよりなる群から選ばれる少なくとも一種であって、かつ下記式(1)で表される化合物に由来する部分構造を有する重合体[P]を含有する、液晶配向剤。

0009

(式(1)中、T1及びT2は、それぞれ独立に3価の有機基であり、R1及びR2は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜10の1価の炭化水素基であり、A1及びA2は、それぞれ独立に2価の芳香環基である。Z1は、炭素数1以上の2価のヘテロ原子含有基であり、A1及びA2の少なくとも一方に対してヘテロ原子で結合している。)

0010

[2]上記[1]の液晶配向剤を用いて形成された液晶配向膜。
[3]上記[2]に記載の液晶配向膜を具備する液晶表示素子。
[4]ポリアミック酸、ポリアミック酸エステル及びポリイミドよりなる群から選ばれる少なくとも一種であって、かつ上記式(1)で表される化合物に由来する部分構造を有する重合体。
[5]上記式(1)で表される酸二無水物。

発明の効果

0011

上記式(1)で表される化合物に由来する部分構造を有する重合体[P]を含む液晶配向剤によれば、溶剤に対する溶解性が良好であり、塗布性に優れた液晶配向膜を得ることができる。また、液晶配向性が良好であって、残留DC電圧が蓄積しにくく、かつ信頼性に優れた液晶表示素子を得ることができる。

0012

以下に、本開示の液晶配向剤に含まれる各成分、及び必要に応じて任意に配合されるその他の成分について説明する。
なお、本明細書において「炭化水素基」とは、鎖状炭化水素基脂環式炭化水素基及び芳香族炭化水素基を含む意味である。「鎖状炭化水素基」とは、主鎖に環状構造を含まず、鎖状構造のみで構成された直鎖状炭化水素基及び分岐状炭化水素基を意味する。ただし、飽和でも不飽和でもよい。「脂環式炭化水素基」とは、環構造としては脂環式炭化水素の構造のみを含み、芳香環構造を含まない炭化水素基を意味する。ただし、脂環式炭化水素の構造のみで構成されている必要はなく、その一部に鎖状構造を有するものも含む。「芳香族炭化水素基」とは、環構造として芳香環構造を含む炭化水素基を意味する。ただし、芳香環構造のみで構成されている必要はなく、その一部に鎖状構造や脂環式炭化水素の構造を含んでいてもよい。「有機基」とは、炭素原子を含む基を意味し、構造中にヘテロ原子を含んでいてもよい。

0013

≪重合体[P]≫
本開示の液晶配向剤は、ポリアミック酸、ポリアミック酸エステル及びポリイミドよりなる群から選ばれる少なくとも一種であって、かつ下記式(1)で表される化合物(以下、「特定酸二無水物」ともいう。)に由来する部分構造を有する重合体[P]を含有する。



(式(1)中、T1及びT2は、それぞれ独立に3価の有機基であり、R1及びR2は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜10の1価の炭化水素基であり、A1及びA2は、それぞれ独立に2価の芳香環基である。Z1は、炭素数1以上の2価のヘテロ原子含有基であり、A1及びA2の少なくとも一方に対してヘテロ原子で結合している。)

0014

上記式(1)において、T1及びT2の3価の有機基としては、3価の炭化水素基、3価の複素環基などが挙げられ、中でも、3価の芳香環基又は脂環式基であることが好ましい。具体的には、置換又は無置換のベンゼン環ナフタレン環シクロペンタン環又はシクロヘキサン環の環部分から3個の水素原子を取り除いた基であることが好ましく、当該環がベンゼン環又はシクロヘキサン環であることがより好ましく、得られる液晶表示素子の信頼性(特に、長期信頼性)の改善効果がより高い点で、ベンゼン環が特に好ましい。3価の有機基が環構造を有する場合、環部分には置換基が導入されていてもよい。当該置換基としては、例えば、ハロゲン原子水酸基、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基等が挙げられる。
R1及びR2の1価の炭化水素基としては、例えばメチル基エチル基プロピル基ブチル基、ペンチル基等のアルキル基;シクロヘキシル基メチルシクロヘキシル基等の脂環式炭化水素基;フェニル基トリル基ベンジル基等の芳香族炭化水素基などが挙げられる。R1及びR2としては、中でも、水素原子又はアルキル基が好ましく、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基であることがより好ましい。

0015

A1及びA2の2価の芳香環基は、置換又は無置換の芳香環の環部分から2個の水素原子を取り除いた基である。当該芳香環としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環等の単環又は多環炭化水素ピリジン環ピリミジン環ピラジン環キノリン環イミダゾール環等の窒素含有複素環、などが挙げられる。A1及びA2は、中でも、1,4−フェニレン基であることが好ましい。なお、2価の芳香環基の環部分は置換基を有していてもよい。当該置換基の具体例は、上記T1及びT2の説明を適用することができる。

0016

Z1の2価のヘテロ原子含有基とは、2価以上のヘテロ原子を有する有機基を意味する。当該ヘテロ原子含有基は、炭素数1以上であって、且つA1及びA2の少なくとも一方に対してヘテロ原子で結合している基であれば、特に限定されない。Z1が有するヘテロ原子としては、例えば、窒素原子酸素原子硫黄原子等が挙げられる。

0017

液晶表示素子の残留DC電圧を十分に低減させる観点から、Z1は、少なくとも1個の窒素原子を有し、該窒素原子でA1又はA2に結合していることが好ましい。こうしたZ1の具体例としては、例えば、−NR10−CO−(R10は、水素原子又は炭素数1〜10の1価の炭化水素基。以下同じ。)、窒素含有複素環構造を有する基(ただし、窒素含有複素環構造が有する窒素原子が、A1及びA2の少なくともいずれかに結合している。)、−NR10−R11−(R11は、炭素数1〜20の2価の炭化水素基。以下同じ。)、−NR10−R11−NR10−、−NR10−CO−R11−、−NR10−R11−COO−等が挙げられる。

0018

ここで、Z1が窒素含有複素環構造を有する基である場合において、当該窒素含有複素環構造としては、例えば、ピペリジン環ピペラジン環、ヘキサメチレンイミン環、イミダゾール環等の窒素含有複素環から2個の水素原子を取り除いた構造が挙げられる。当該窒素含有複素環は、好ましくは、ピペリジン環、ピペラジン環又はヘキサメチレンイミン環である。なお、窒素含有複素環は置換基を有していてもよい。当該置換基の具体例は、上記T1及びT2の説明を適用することができる。
Z1が有する窒素含有複素環構造は、当該構造がA1及びA2に直接結合していてもよいし、2価の連結基を介してA1又はA2に結合していてもよい。この場合の2価の連結基としては、例えば−O−、−CO−、−COO−、−NH−、−NH−CO−、炭素数1〜10のアルカンジイル基等が挙げられる。

0019

これらの中でも、得られる液晶表示素子における残留DC電圧の低減効果が高い点及び信頼性(特に長期信頼性)が高い点で、Z1は、2個以上のヘテロ原子を有し、A1及びA2のそれぞれに対して、異なるヘテロ原子で結合していることが好ましい。なお、この場合、Z1が有する2個以上のヘテロ原子は同じでも異なっていてもよい。こうした基の具体例としては、例えば、−NR10−R11−NR10−、−B1−COO−(B1は、ピペリジン−1,4−ジイル基である。)、ピペラジン−1,4−ジイル基等が挙げられる。中でも特に、Z1は、2個以上の窒素原子を有し、A1及びA2のそれぞれに対して異なる窒素原子で結合していることが、残留DC電圧の低減及び信頼性の観点で好ましい。

0020

特定酸二無水物の具体例としては、例えば下記式(ts−1)〜式(ts−8)のそれぞれで表される化合物等が挙げられる。なお、特定酸二無水物は、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。

0021

(特定酸二無水物の合成)
特定酸二無水物は、有機化学の定法を適宜組み合わせることによって合成することができる。その一例としては、無水トリメリット酸クロリドや1,3−ジオキソオクタハイドロイソベンゾフラン−5−カルボニルクロリド等の酸一無水物クロリドと、R1HN−A1−Z1−A2−NHR2とを、必要に応じて触媒の存在下で、好ましくは有機溶媒中で反応させる方法が挙げられる。なお、特定酸二無水物の合成方法は、上記に限定されるものではない。

0022

<ポリアミック酸>
重合体[P]としてのポリアミック酸(以下、「ポリアミック酸[P]」ともいう。)は、特定酸二無水物を含むテトラカルボン酸二無水物と、ジアミンとを反応させることにより得ることができる。
(テトラカルボン酸二無水物)
ポリアミック酸[P]の合成に使用するテトラカルボン酸二無水物は、特定酸二無水物のみであってもよいが、特定酸二無水物と共に、特定酸二無水物以外のテトラカルボン酸二無水物(以下、「その他の酸二無水物」ともいう。)を併用してもよい。

0023

その他の酸二無水物としては、例えば脂肪族テトラカルボン酸二無水物脂環式テトラカルボン酸二無水物芳香族テトラカルボン酸二無水物などを挙げることができる。これらの具体例としては、脂肪族テトラカルボン酸二無水物として、例えばブタンテトラカルボン酸二無水物などを;
脂環式テトラカルボン酸二無水物として、例えば1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)−3a,4,5,9b−テトラヒドロナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)−8−メチル−3a,4,5,9b−テトラヒドロナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、3−オキサビシクロ[3.2.1]オクタン−2,4−ジオン−6−スピロ−3’−(テトラヒドロフラン−2’,5’−ジオン)、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロ−3−フラニル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、3,5,6−トリカルボキシ−2−カルボキシメチルノルボルナン−2:3,5:6−二無水物、ビシクロ[3.3.0]オクタン−2,4,6,8−テトラカルボン酸2:4,6:8−二無水物、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸2:3,5:6−二無水物、4,9−ジオキサトリシクロ[5.3.1.02,6]ウンデカン−3,5,8,10−テトラオン、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、エチレンジアミン四酢酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、エチレングリコールビスアンヒドロトリメリテート)、1,3−プロピレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)などを;
芳香族テトラカルボン酸二無水物として、例えばピロメリット酸二無水物などを;それぞれ挙げることができるほか、特開2010−97188号公報に記載のテトラカルボン酸二無水物を用いることができる。なお、その他の酸二無水物は、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。

0024

ポリアミック酸[P]の合成に使用するその他の酸二無水物としては、特定酸二無水物と組み合わせにおいて本発明の効果が好適に得られる観点で、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸2:3,5:6−二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)−3a,4,5,9b−テトラヒドロナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)−8−メチル−3a,4,5,9b−テトラヒドロナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、ビシクロ[3.3.0]オクタン−2,4,6,8−テトラカルボン酸2:4,6:8−二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物及びピロメリット酸二無水物よりなる群から選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。

0025

ポリアミック酸[P]の合成に際し、特定酸二無水物の使用割合(2種以上使用する場合にはその合計量)は、特定酸二無水物の使用による改善効果を十分に得る観点から、合成に使用するテトラカルボン酸二無水物の全量に対して、1モル%以上とすることが好ましく、5モル%以上とすることがより好ましく、10モル%以上とすることがさらに好ましい。また、特定酸二無水物の使用割合の上限値は、特に制限されないが、得られる液晶表示素子の信頼性及び残留DC電圧の改善効果を高くする観点から、特定酸二無水物と、その他の酸二無水物とを併用することが好ましい。具体的には、特定酸二無水物の資料割合を、合成に使用するテトラカルボン酸二無水物の全量に対して、80モル%以下とすることが好ましく、70モル%以下とすることがより好ましく、60モル%以下とすることがさらに好ましい。

0026

(ジアミン)
ポリアミック酸[P]の合成に使用するジアミンとしては、例えば脂肪族ジアミン脂環式ジアミン芳香族ジアミンジアミノオルガノシロキサンなどが挙げられる。これらの具体例としては、脂肪族ジアミンとして、例えばメタキシリレンジアミン、1,3−プロパンジアミンテトラメチレンジアミンペンタメチレンジアミンヘキサメチレンジアミン、1,3−ビス(アミノメチルシクロヘキサンなどを;脂環式ジアミンとして、例えば1,4−ジアミノシクロヘキサン、4,4’−メチレンビスシクロヘキシルアミン)などを;

0027

芳香族ジアミンとして、例えばドデカノキシジアミノベンゼン、テトラデカノキシジアミノベンゼン、ペンタデカノキシジアミノベンゼン、ヘキサデカノキシジアミノベンゼン、オクタデカノキシジアミノベンゼン、コレスタニルオキシジアミノベンゼンコレステリルオキシジアミノベンゼン、ジアミノ安息香酸コレスタニル、ジアミノ安息香酸コレステリル、ジアミノ安息香酸ラノスタニル、3,6−ビス(4−アミノベンゾイルオキシコレスタン、3,6−ビス(4−アミノフェノキシ)コレスタン、1,1−ビス(4−((アミノフェニル)メチル)フェニル)−4−ブチルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−((アミノフェニル)メチル)フェニル)−4−ヘプチルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−((アミノフェノキシ)メチル)フェニル)−4−ヘプチルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−((アミノフェニル)メチル)フェニル)−4−(4−ヘプチルシクロヘキシル)シクロヘキサン、N−(2,4−ジアミノフェニル)−4−(4−ヘプチルシクロヘキシル)ベンズアミド、下記式(E−1)



(式(E−1)中、XI及びXIIは、それぞれ独立に、単結合、−O−、*−COO−又は*−OCO−(ただし、「*」はXIとの結合手を示す。)であり、RIは炭素数1〜3のアルカンジイル基であり、RIIは単結合又は炭素数1〜3のアルカンジイル基であり、aは0又は1であり、bは0〜2の整数であり、cは1〜20の整数であり、dは0又は1である。但し、a及びbが同時に0になることはない。)
で表される化合物などの側鎖導入型のジアミン:

0028

p−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4−アミノフェニル−4’−アミノベンゾエート、4,4’−ジアミノアゾベンゼン、1,5−ビス(4−アミノフェノキシ)ペンタン、1,7−ビス(4−アミノフェノキシ)ヘプタン、ビス[2−(4−アミノフェニル)エチルヘキサン二酸、N,N−ビス(4−アミノフェニル)メチルアミン、3,5−ジアミノ安息香酸、2,4−ジアミノ安息香酸、2,5−ジアミノ安息香酸、4,4’−ジアミノビフェニル−3−カルボン酸、1,5−ジアミノナフタレン、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル、2,7−ジアミノフルオレン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4,4’−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ビスアニリン、4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ビスアニリン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、下記式(N−1−1)〜式(N−1−7)



のそれぞれで表される化合物などの側鎖非導入型のジアミン、などを;
ジアミノオルガノシロキサンとして、例えば、1,3−ビス(3−アミノプロピル)−テトラメチルジシロキサンなどを;それぞれ挙げることができるほか、特開2010−97188号公報に記載のジアミンを用いることができる。

0029

上記式(E−1)における「−XI−(RI−XII)d−」で表される2価の基としては、炭素数1〜3のアルカンジイル基、*−O−、*−COO−又は*−O−C2H4−O−(ただし、「*」を付した結合手がジアミノフェニル基と結合する。)であることが好ましい。基「−CcH2c+1」としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基オクチル基、ノニル基、デシル基ドデシル基トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基などを挙げることができ、これらは直鎖状であることが好ましい。ジアミノフェニル基における2つのアミノ基は、他の基に対して2,4−位又は3,5−位にあることが好ましい。

0030

上記式(E−1)で表される化合物の具体例としては、例えば下記式(E−1−1)〜式(E−1−4)のそれぞれで表される化合物などを挙げることができる。

0031

ジアミンは、これらの中でも芳香族ジアミンを好ましく使用することができる。芳香族ジアミンの使用割合は、ポリアミック酸[P]の合成に使用するジアミンの全量に対して、40モル%以上とすることが好ましく、50モル%以上とすることがより好ましく、70モル%以上とすることがさらに好ましい。なお、ジアミンは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。

0032

(ポリアミック酸の合成)
ポリアミック酸は、上記のようなテトラカルボン酸二無水物とジアミンとを、必要に応じて分子量調整剤とともに反応させることによって得ることができる。ポリアミック酸の合成反応に供されるテトラカルボン酸二無水物とジアミンとの使用割合は、ジアミンのアミノ基1当量に対して、テトラカルボン酸二無水物の酸無水物基が0.2〜2当量となる割合が好ましく、0.8〜1.2当量となる割合がより好ましい。
分子量調整剤としては、例えば無水マレイン酸無水フタル酸無水イタコン酸などの酸一無水物、アニリン、シクロヘキシルアミン、n−ブチルアミンなどのモノアミン化合物フェニルイソシアネートナフチルイソシアネートなどのモノイソシアネート化合物等を挙げることができる。分子量調整剤の使用割合は、使用するテトラカルボン酸二無水物及びジアミンの合計100重量部に対して、20重量部以下とすることが好ましく、10重量部以下とすることがより好ましい。

0033

ポリアミック酸の合成反応は、好ましくは有機溶媒中において行われる。このときの反応温度は、−20℃〜150℃が好ましく、0〜100℃がより好ましい。また、反応時間は、0.1〜24時間が好ましく、0.5〜12時間がより好ましい。

0034

反応に使用する有機溶媒としては、例えば非プロトン性極性溶媒フェノール系溶媒アルコールケトンエステルエーテルハロゲン化炭化水素、炭化水素などを挙げることができる。これらの有機溶媒のうち、非プロトン性極性溶媒及びフェノール系溶媒よりなる群(第一群の有機溶媒)から選択される1種以上、又は、第一群の有機溶媒から選択される1種以上と、アルコール、ケトン、エステル、エーテル、ハロゲン化炭化水素及び炭化水素よりなる群(第二群の有機溶媒)から選択される1種以上との混合物を使用することが好ましい。後者の場合、第二群の有機溶媒の使用割合は、第一群の有機溶媒及び第二群の有機溶媒の合計量に対して、好ましくは50重量%以下であり、より好ましくは40重量%以下であり、更に好ましくは30重量%以下である。

0035

特に好ましい有機溶媒は、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミドジメチルスルホキシドγ−ブチロラクトンテトラメチル尿素ヘキサメチルホスホトリアミドm−クレゾールキシレノールハロゲン化フェノール、及び下記に示す特定溶剤よりなる群から選択される1種以上を溶媒として使用するか、あるいはこれらの1種以上と他の有機溶媒との混合物を、上記割合の範囲で使用することが好ましい。有機溶媒の使用量(a)は、テトラカルボン酸二無水物及びジアミンの合計量(b)が、反応溶液の全量(a+b)に対して、0.1〜50重量%になる量とすることが好ましい。

0036

以上のようにして、ポリアミック酸[P]を溶解してなる反応溶液が得られる。この反応溶液はそのまま液晶配向剤の調製に供してもよく、反応溶液中に含まれるポリアミック酸を単離したうえで液晶配向剤の調製に供してもよく、又は単離したポリアミック酸を精製したうえで液晶配向剤の調製に供してもよい。ポリアミック酸を脱水閉環してポリイミドとする場合には、上記反応溶液をそのまま脱水閉環反応に供してもよく、反応溶液中に含まれるポリアミック酸を単離したうえで脱水閉環反応に供してもよく、又は単離したポリアミック酸を精製したうえで脱水閉環反応に供してもよい。ポリアミック酸の単離及び精製は公知の方法に従って行うことができる。

0037

<ポリアミック酸エステル>
重合体[P]としてのポリアミック酸エステル(以下、「ポリアミック酸エステル[P]」ともいう。)は、例えば、[I]上記重合反応により得られたポリアミック酸[P]とエステル化剤とを反応させる方法、[II]テトラカルボン酸ジエステルとジアミンとを反応させる方法、[III]テトラカルボン酸ジエステルジハロゲン化物とジアミンとを反応させる方法、などによって得ることができる。

0038

なお、本明細書において「テトラカルボン酸ジエステル」とは、テトラカルボン酸が有する4個のカルボキシル基のうち2個がエステル化され、残りの2個がカルボキシル基である化合物を意味する。「テトラカルボン酸ジエステルジハロゲン化物」とは、テトラカルボン酸が有する4個のカルボキシル基のうち2個がエステル化され、残りの2個がハロゲン化された化合物を意味する。

0039

方法[I]で使用するエステル化剤としては、例えば水酸基含有化合物アセタール系化合物、ハロゲン化物エポキシ基含有化合物等が挙げられる。これらの具体例としては、水酸基含有化合物として、例えばメタノールエタノールプロパノール等のアルコール類フェノールクレゾール等のフェノール類などを;アセタール系化合物として、例えばN,N−ジメチルホルムアミドジエチルアセタール、N,N−ジエチルホルムアミドジエチルアセタールなどを;ハロゲン化物として、例えば臭化メチル臭化エチル、臭化ステアリル塩化メチル塩化ステアリル、1,1,1−トリフルオロ−2−ヨードエタンなどを;エポキシ基含有化合物として、例えばプロピレンオキシドなどを、それぞれ挙げることができる。

0040

方法[II]で使用するテトラカルボン酸ジエステルは、例えば上記ポリアミック酸の合成で例示したテトラカルボン酸二無水物を、メタノールやエタノール等のアルコール類を用いて開環することにより得ることができる。ただし、使用するテトラカルボン酸二無水物は特定二酸無水物を含む。反応に際しては、テトラカルボン酸誘導体としてテトラカルボン酸ジエステルのみを用いてもよいが、テトラカルボン酸二無水物を併用してもよい。
方法[II]の反応は、有機溶媒中、適当な脱水触媒の存在下で行うことが好ましい。有機溶媒としては、ポリアミック酸[P]の合成に用いられるものとして例示した有機溶媒を挙げることができる。脱水触媒としては、例えば4−(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−4−メチルモルホリニウムハライドカルボニルイミダゾールリン縮合剤などが挙げられる。このときの反応温度は、−20℃〜150℃が好ましく、0〜100℃がより好ましい。反応時間は、0.1〜24時間が好ましく、0.5〜12時間がより好ましい。

0041

方法[III]で使用するテトラカルボン酸ジエステルジハロゲン化物は、例えば上記の如くして得たテトラカルボン酸ジエステルを、塩化チオニル等の適当な塩素化剤と反応させることにより得ることができる。ただし、使用するテトラカルボン酸二無水物は特定酸二無水物を含む。反応に際しては、テトラカルボン酸誘導体としてテトラカルボン酸ジエステルジハロゲン化物のみを用いてもよいが、テトラカルボン酸二無水物を併用してもよい。
方法[III]の反応は、有機溶媒中、適当な塩基の存在下で行うことが好ましい。有機溶媒としては、ポリアミック酸の合成に用いられるものとして例示した有機溶媒を挙げることができる。塩基としては、例えばピリジントリエチルアミン等の3級アミン水素化ナトリウム水素化カリウム水酸化ナトリウム水酸化カリウムナトリウムカリウム等のアルカリ金属類などを好ましく使用することができる。このときの反応温度は、−20℃〜150℃が好ましく、0〜100℃がより好ましい。反応時間は、0.1〜24時間が好ましく、0.5〜12時間がより好ましい。

0042

液晶配向剤に含有させるポリアミック酸エステル[P]は、アミック酸エステル構造のみを有していてもよく、アミック酸構造とアミック酸エステル構造とが併存する部分エステル化物であってもよい。ポリアミック酸エステル[P]を溶解してなる反応溶液は、そのまま液晶配向剤の調製に供してもよく、反応溶液中に含まれるポリアミック酸エステルを単離したうえで液晶配向剤の調製に供してもよく、又は単離したポリアミック酸エステルを精製したうえで液晶配向剤の調製に供してもよい。ポリアミック酸エステルの単離及び精製は公知の方法に従って行うことができる。

0043

[ポリイミド]
重合体[P]としてのポリイミド(以下、「ポリイミド[P]」ともいう。)は、例えば上記の如くして合成されたポリアミック酸[P]を脱水閉環してイミド化することにより得ることができる。

0044

ポリイミド[P]は、その前駆体であるポリアミック酸[P]が有していたアミック酸構造のすべてを脱水閉環した完全イミド化物であってもよく、アミック酸構造の一部のみを脱水閉環し、アミック酸構造とイミド環構造とが併存する部分イミド化物であってもよい。使用するポリイミドは、そのイミド化率が20%以上であることが好ましく、30〜99%であることがより好ましく、40〜99%であることが更に好ましい。このイミド化率は、ポリイミドのアミック酸構造の数とイミド環構造の数との合計に対するイミド環構造の数の占める割合を百分率で表したものである。ここで、イミド環の一部がイソイミド環であってもよい。

0045

ポリアミック酸の脱水閉環は、好ましくはポリアミック酸を加熱する方法により、又はポリアミック酸を有機溶媒に溶解し、この溶液中に脱水剤及び脱水閉環触媒を添加し必要に応じて加熱する方法により行われる。このうち、後者の方法によることが好ましい。

0046

ポリアミック酸の溶液中に脱水剤及び脱水閉環触媒を添加する方法において、脱水剤としては、例えば無水酢酸無水プロピオン酸無水トリフルオロ酢酸などの酸無水物を用いることができる。脱水剤の使用量は、ポリアミック酸のアミック酸構造の1モルに対して0.01〜20モルとすることが好ましい。脱水閉環触媒としては、例えばピリジン、コリジンルチジン、トリエチルアミン等の3級アミンを用いることができる。脱水閉環触媒の使用量は、使用する脱水剤1モルに対して0.01〜10モルとすることが好ましい。脱水閉環反応に用いられる有機溶媒としては、ポリアミック酸[P]の合成に用いられるものとして例示した有機溶媒を挙げることができる。脱水閉環反応の反応温度は、好ましくは0〜180℃であり、より好ましくは10〜150℃である。反応時間は、好ましくは1.0〜120時間であり、より好ましくは2.0〜30時間である。

0047

このようにしてポリイミド[P]を含有する反応溶液が得られる。この反応溶液は、そのまま液晶配向剤の調製に供してもよく、反応溶液から脱水剤及び脱水閉環触媒を除いたうえで液晶配向剤の調製に供してもよく、ポリイミドを単離したうえで液晶配向剤の調製に供してもよく、又は単離したポリイミドを精製したうえで液晶配向剤の調製に供してもよい。これらの精製操作は公知の方法に従って行うことができる。その他、ポリイミドは、ポリアミック酸エステル[P]のイミド化により得ることもできる。

0048

以上のようにして得られる重合体[P]は、ポリアミック酸、ポリアミック酸エステル及びポリイミドよりなる群から選ばれる少なくとも一種であって、かつ下記式(2)で表される部分構造及び下記式(3)で表される部分構造よりなる群から選ばれる少なくとも一種を有する。



(式(2)及び式(3)中、T1、T2、R1、R2、A1、A2及びZ1は、それぞれ上記式(1)と同義である。R3及びR4は、それぞれ独立に、水素原子又は1価の有機基である。)

0049

上記式(2)及び式(3)中のT1、T2、R1、R2、A1、A2及びZ1の具体例及び好ましい例については、上記式(1)での説明を適用することができる。
R3及びR4の1価の有機基としては、例えば、炭素数1〜10の1価の炭化水素基、桂皮酸構造を有する基などが挙げられる。
重合体[P]において、上記式(1)で表される部分構造の含有割合は、重合体[P]を構成する構造単位の全量(重合体[P]の合成に使用した単量体の全量)に対して、0.5〜40モル%であることが好ましく、2.5〜35モル%であることがより好ましく、5〜30モル%であることがさらに好ましい。

0050

液晶配向剤に含有させる重合体[P]は、これを濃度10重量%の溶液としたときに、10〜800mPa・sの溶液粘度を持つものであることが好ましく、15〜500mPa・sの溶液粘度を持つものであることがより好ましい。なお、上記重合体の溶液粘度(mPa・s)は、当該重合体の良溶媒(例えばγ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドンなど)を用いて調製した濃度15重量%の重合体溶液につき、E型回転粘度計を用いて25℃において測定した値である。
重合体[P]のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定したポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)は、好ましくは1,000〜500,000であり、より好ましくは2,000〜300,000である。また、Mwと、GPCにより測定したポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)との比で表される分子量分布(Mw/Mn)は、好ましくは15以下であり、より好ましくは10以下である。このような分子量範囲にあることで、液晶表示素子の良好な配向性及び安定性を確保することができる。

0051

≪その他の成分≫
本開示の液晶配向剤は、本開示の目的及び効果を妨げない範囲内において、上記重合体[P]以外のその他の成分を含有していてもよい。
<その他の重合体>
その他の成分としては、例えば重合体[P]以外の重合体(以下、「その他の重合体」ともいう。)等が挙げられる。その他の重合体は、溶液特性電気特性の改善のために使用することができる。かかるその他の重合体の具体例としては、例えば、上記その他の酸二無水物とジアミンとを反応させて得られるポリアミック酸、該ポリアミック酸のイミド化重合体、該ポリアミック酸のエステル化重合体ポリシロキサンポリエステルポリアミドセルロース誘導体ポリアセタールポリスチレン誘導体ポリスチレンフェニルマレイミド誘導体、ポリ(メタアクリレートなどが挙げられる。
その他の重合体を液晶配向剤に配合する場合、その配合割合は、液晶配向剤中に含まれる重合体[P]とその他の重合体との合計100重量部に対して、50重量部以下とすることが好ましく、40重量部以下とすることがより好ましく、30重量部以下とすることが更に好ましい。

0052

その他の成分としては、上記のほか、例えば分子内に少なくとも一つのエポキシ基を有する化合物、官能性シラン化合物界面活性剤充填剤顔料消泡剤増感剤分散剤酸化防止剤密着助剤帯電防止剤レベリング剤抗菌剤等が挙げられる。なお、これらの配合割合は、配合する各化合物に応じて、本発明の効果を妨げない範囲で適宜設定することができる。

0053

<溶剤>
本開示の液晶配向剤は、重合体[P]及び必要に応じて使用されるその他の成分が、好ましくは適当な有機溶媒中に分散又は溶解してなる液状の組成物として調製される。

0054

使用する溶剤としては、例えばN−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、γ−ブチロラクタム、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノンエチレングリコールモノメチルエーテル乳酸ブチル酢酸ブチル、メチルメトキシプロピオネ−ト、エチルエトキシプロピオネ−ト、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコール−n−プロピルエーテル、エチレングリコール−i−プロピルエーテル、エチレングリコール−n−ブチルエーテル(ブチルセロソルブ)、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテルアセテートジエチレングリコールジメチルエーテルジエチレングリコールジエチルエーテルジエチレングリコールモノメチルエーテルジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートジイソブチルケトンイソアミルプロピオネート、イソアミルイソブチレートジイソペンチルエーテルエチレンカーボネートプロピレンカーボネート等を挙げることができる。これらは、1種を単独で又は2種以上を混合して使用することができる。

0055

本開示の液晶配向剤における固形分濃度(液晶配向剤の溶媒以外の成分の合計重量が液晶配向剤の全重量に占める割合)は、粘性揮発性などを考慮して適宜に選択されるが、好ましくは1〜10重量%の範囲である。すなわち、本開示の液晶配向剤は、後述するように基板表面に塗布され、好ましくは加熱されることにより、液晶配向膜である塗膜又は液晶配向膜となる塗膜が形成される。このとき、固形分濃度が1重量%未満である場合には、塗膜の膜厚が過小となって良好な液晶配向膜が得にくくなる。一方、固形分濃度が10重量%を超える場合には、塗膜の膜厚が過大となって良好な液晶配向膜が得にくく、また、液晶配向剤の粘性が増大して塗布性が低下する傾向にある。

0056

特に好ましい固形分濃度の範囲は、基板に液晶配向剤を塗布する方法によって異なる。例えばスピンナー法による場合には、固形分濃度が1.5〜4.5重量%の範囲であることが特に好ましい。印刷法による場合には、固形分濃度を3〜9重量%の範囲とし、それにより溶液粘度を12〜50mPa・sの範囲とすることが特に好ましい。インクジェット法による場合には、固形分濃度を1〜5重量%の範囲とし、それにより、溶液粘度を3〜15mPa・sの範囲とすることが特に好ましい。本開示の液晶配向剤を調製する際の温度は、好ましくは10〜50℃であり、より好ましくは20〜30℃である。

0057

≪液晶配向膜及び液晶表示素子≫
本開示の液晶配向膜は、上記のように調製した液晶配向剤により形成される。また、本開示の液晶表示素子は、上記液晶配向剤を用いて形成された液晶配向膜を具備する。液晶表示素子の駆動モードは特に限定されず、TN型、STN型、IPS型、FFS型、VA型、MVA型、PSA型などの種々の駆動モードに適用することができる。

0058

本開示の液晶表示素子は、例えば以下の工程1〜工程3を含む方法により製造することができる。工程1は、所望の駆動モードによって使用基板が異なる。工程2及び工程3は各駆動モードに共通である。

0059

<工程1:塗膜の形成>
先ず、基板上に液晶配向剤を塗布し、次いで塗布面を加熱することにより基板上に塗膜を形成する。
(1−1)TN型、STN型、VA型、MVA型又はPSA型の液晶表示素子を製造する場合、パターニングされた透明導電膜が設けられている基板二枚を一対として、それぞれの基板における透明性導電膜の形成面上に液晶配向剤を、好ましくはオフセット印刷法スピンコート法ロールコーター法又はインクジェット印刷法によりそれぞれ塗布する。ここで、基板としては、例えばフロートガラスソーダガラスなどのガラスポリエチレンテレフタレートポリブチレンテレフタレートポリエーテルスルホンポリカーボネート、ポリ(脂環式オレフィン)などのプラスチックからなる透明基板を用いることができる。基板の一面に設けられる透明導電膜としては、酸化スズ(SnO2)からなるNESA膜(米国PPG登録商標)、酸化インジウム−酸化スズ(In2O3−SnO2)からなるITO膜などを用いることができる。パターニングされた透明導電膜を得るには、例えばパターンなし透明導電膜を形成した後にフォトエッチングによりパターンを形成する方法、透明導電膜を形成する際に所望のパターンを有するマスクを用いる方法などによることができる。液晶配向剤の塗布に際しては、基板表面及び透明導電膜と塗膜との接着性を更に良好にするために、基板表面のうち塗膜を形成する面に、官能性シラン化合物、官能チタン化合物などを予め塗布する前処理を施しておいてもよい。

0060

液晶配向剤の塗布後、塗布した配向剤液垂れ防止などの目的で、好ましくは予備加熱プレベーク)が実施される。プレベーク温度は、好ましくは30〜200℃であり、より好ましくは40〜150℃であり、特に好ましくは40〜100℃である。プレベーク時間は好ましくは0.25〜10分であり、より好ましくは0.5〜5分である。その後、溶剤を完全に除去する目的で、また必要に応じて重合体に存在するアミック酸構造を熱イミド化することを目的として焼成ポストベーク)工程が実施される。このときの焼成温度ポストベーク温度)は、好ましくは80〜300℃であり、より好ましくは120〜250℃である。ポストベーク時間は、好ましくは5〜200分であり、より好ましくは10〜100分である。このようにして形成される膜の膜厚は、好ましくは0.001〜1μmであり、より好ましくは0.005〜0.5μmである。

0061

(1−2)IPS型又はFFS型液晶表示素子を製造する場合、櫛歯型にパターニングされた透明導電膜又は金属膜からなる電極が設けられている基板の電極形成面と、電極が設けられていない対向基板の一面とに液晶配向剤をそれぞれ塗布し、次いで各塗布面を加熱することにより塗膜を形成する。このとき使用される基板及び透明導電膜の材質塗布方法、塗布後の加熱条件、透明導電膜又は金属膜のパターニング方法、基板の前処理、並びに形成される塗膜の好ましい膜厚については上記(1−1)と同様である。金属膜としては、例えばクロムなどの金属からなる膜を使用することができる。

0062

上記(1−1)及び(1−2)のいずれの場合も、基板上に液晶配向剤を塗布した後、有機溶媒を除去することによって配向膜となる塗膜が形成される。このとき、液晶配向剤に含有される重合体が、ポリアミック酸であるか、ポリアミック酸エステルであるか又はイミド環構造とアミック酸構造とを有するイミド化重合体である場合には、塗膜形成後に更に加熱することによって脱水閉環反応を進行させ、よりイミド化された塗膜としてもよい。

0063

<工程2:配向付与処理
TN型、STN型、IPS型又はFFS型の液晶表示素子を製造する場合、上記工程1で形成した塗膜に液晶配向能を付与する処理を実施する。これにより、液晶分子の配向能が塗膜に付与されて液晶配向膜となる。配向能付与処理としては、例えばナイロンレーヨンコットンなどの繊維からなる布を巻き付けロールで塗膜を一定方向に擦るラビング処理、塗膜に対して偏光又は非偏光の放射線照射する光配向処理などが挙げられる。一方、VA型液表示素子を製造する場合には、上記工程1で形成した塗膜をそのまま液晶配向膜として使用することができるが、該塗膜に対し配向能付与処理を施してもよい。

0064

光配向処理により塗膜に液晶配向能を付与する場合、塗膜に照射する放射線としては、例えば150〜800nmの波長の光を含む紫外線及び可視光線を用いることができる。放射線が偏光である場合、直線偏光であっても部分偏光であってもよい。また、用いる放射線が直線偏光又は部分偏光である場合には、照射は基板面に垂直の方向から行ってもよく、斜め方向から行ってもよく、又はこれらを組み合わせて行ってもよい。非偏光の放射線を照射する場合、照射の方向は斜め方向とする。
使用する光源としては、例えば低圧水銀ランプ高圧水銀ランプ重水素ランプメタルハライドランプアルゴン共鳴ランプキセノンランプエキシマレーザーなどを使用することができる。好ましい波長領域の紫外線は、光源を、例えばフィルター回折格子などと併用する手段などにより得ることができる。放射線の照射量は、好ましくは100〜50,000J/m2であり、より好ましくは300〜20,000J/m2である。また、塗膜に対する光照射は、反応性を高めるために塗膜を加温しながら行ってもよい。加温の際の温度は、通常30〜250℃であり、好ましくは40〜200℃であり、より好ましくは50〜150℃である。

0065

なお、ラビング処理後の液晶配向膜に対して更に、液晶配向膜の一部に紫外線を照射することによって液晶配向膜の一部の領域のプレチルト角を変化させる処理や、液晶配向膜表面の一部にレジスト膜を形成した上で先のラビング処理と異なる方向にラビング処理を行った後にレジスト膜を除去する処理を行い、液晶配向膜が領域ごとに異なる液晶配向能を持つようにしてもよい。この場合、得られる液晶表示素子の視界特性を改善することが可能である。VA型の液晶表示素子に好適な液晶配向膜は、PSA(Polymer sustained alignment)型の液晶表示素子にも好適に用いることができる。

0066

[工程3:液晶セルの構築
(3−1)上記のようにして液晶配向膜が形成された基板を2枚準備し、対向配置した2枚の基板間に液晶を配置することにより液晶セルを製造する。液晶セルを製造するには、例えば以下の2つの方法が挙げられる。
第一の方法は、従来から知られている方法である。この方法では先ず、それぞれの液晶配向膜が対向するように、間隙セルギャップ)を介して2枚の基板を対向配置する。次いで、2枚の基板の周辺部を、シール剤を用いて貼り合わせ、基板表面及びシール剤により区画されたセルギャップ内に液晶を注入充填した後、注入孔封止することにより、液晶セルを製造する。
第二の方法は、ODF(One Drop Fill)方式と呼ばれる手法である。この方法では、液晶配向膜を形成した2枚の基板のうちの一方の基板上の所定の場所に、例えば紫外光硬化性のシール剤を塗布する。次いで、液晶配向膜面上の所定の数箇所に液晶を滴下した後、液晶配向膜が対向するように他方の基板を貼り合わせ、液晶を基板の全面に押し広げる。その後、基板の全面に紫外光を照射してシール剤を硬化させることにより、液晶セルを製造する。
いずれの方法による場合でも、上記のようにして製造した液晶セルにつき、さらに、用いた液晶が等方相をとる温度まで加熱した後、室温まで徐冷することにより、液晶充填時の流動配向を除去することが望ましい。

0067

シール剤としては、例えば硬化剤及びスペーサーとしての酸化アルミニウム球を含有するエポキシ樹脂などを用いることができる。
液晶としては、ネマチック液晶及びスメクチック液晶を挙げることができ、その中でもネマチック液晶が好ましく、例えばシッフベース系液晶、アゾキシ系液晶、ビフェニル系液晶、フェニルシクロヘキサン系液晶、エステル系液晶、ターフェニル系液晶、ビフェニルシクロヘキサン系液晶、ピリミジン系液晶、ジオキサン系液晶、ビシクロオクタン系液晶、キュバン系液晶などを用いることができる。また、これらの液晶に、例えばコレスチルクロライド、コレステリルノナエート、コレステリルカーボネートなどのコレステリック液晶商品名「C−15」、「CB−15」(メルク社製)として販売されているようなカイラル剤;p−デシロキシベンジリデン−p−アミノ−2−メチルブチルシンナメートなどの強誘電性液晶などを、添加して使用してもよい。

0068

(3−2)PSA型液晶表示素子を製造する場合には、液晶と共に光重合性化合物注入又は滴下する点以外は上記(3−1)と同様にして液晶セルを構築する。その後、一対の基板の有する導電膜間電圧印加した状態で液晶セルに光照射する。ここで印加する電圧は、例えば5〜50Vの直流又は交流とすることができる。また、照射する光としては、例えば150〜800nmの波長の光を含む紫外線及び可視光線を用いることができるが、300〜400nmの波長の光を含む紫外線が好ましい。照射光の光源としては、例えば低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、重水素ランプ、メタルハライドランプ、アルゴン共鳴ランプ、キセノンランプ、エキシマレーザーなどを使用することができる。なお、上記の好ましい波長領域の紫外線は、光源を、例えばフィルター回折格子などと併用する手段などにより得ることができる。光の照射量としては、好ましくは1,000〜200,000J/m2であり、より好ましくは1,000〜100,000J/m2である。

0069

(3−3)光重合性基を有する化合物を含む液晶配向剤を用いて基板上に塗膜を形成した場合、上記(3−1)と同様にして液晶セルを構築し、その後、一対の基板の有する導電膜間に電圧を印加した状態で液晶セルに光照射する工程を経ることにより液晶表示素子を製造する方法を採用してもよい。この方法によれば、PSAモードのメリットを少なく光照射量で実現可能である。印加する電圧は、例えば0.1〜30Vの直流又は交流とすることができる。照射する光の条件については、上記(3−2)の説明を適用することができる。

0070

そして、液晶セルの外側表面に偏光板を貼り合わせることにより、本開示の液晶表示素子を得ることができる。液晶セルの外表面に貼り合わされる偏光板としては、ポリビニルアルコール延伸配向させながらヨウ素を吸収させた「H膜」と称される偏光フィルム酢酸セルロース保護膜で挟んだ偏光板又はH膜そのものからなる偏光板を挙げることができる。

0071

本開示の液晶表示素子は、種々の装置に有効に適用することができ、例えば、時計携帯型ゲームワープロノート型パソコンカーナビゲーションシステムカムコーダー、PDA、デジタルカメラ携帯電話、スマートフォン、各種モニター、液晶テレビ、インフォメーションディスプレイなどの各種表示装置に用いることができる。

0072

以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。

0073

以下の例において、重合体溶液の溶液粘度は以下の方法により測定した。
[重合体溶液の溶液粘度]
重合体溶液の溶液粘度[mPa・s]は、所定の溶媒を用い、重合体濃度10重量%に調製した溶液について、E型回転粘度計を用いて25℃で測定した。
以下では、「式(X)で表される化合物」を単に「化合物(X)」と略すことがある。

0074

<化合物の合成>
[実施例1−1:化合物(ts−1)の合成]
下記スキーム1に従って化合物(ts−1)を合成した。

0075

N4,N4’−ビス−(4−アミノフェニル)−N4,N4’−ジメチルビフェニル−4,4’−ジアミン39.4gをピリジン18mL及びテトラハイドロフラン900mLに溶かしたものを、窒素雰囲気下、テトラハイドロフラン300mLに溶かした無水トリメリット酸クロリド44.7gに対して、0℃で30分かけて滴下した。0℃で1時間撹拌し、次いで室温で4時間撹拌した。反応後、減圧蒸留にて溶媒を除去して化合物(ts−1)、化合物(ts−1a)、及び化合物(ts−1b)の混合物を得た。
続いて、酢酸80g及び無水酢酸80gを加え、100℃で3時間撹拌した。固形物を酢酸、無水酢酸、ノルマルヘキサンで十分に洗浄した後、減圧乾燥することにより目的物である化合物(ts−1)を71.7g得た。

0076

[実施例1−2:化合物(ts−2)の合成]
下記スキーム2に従って化合物(ts−2)を合成した。

0077

4−(4−アミノフェノキシカルボニル)−1−(4−アミノフェニル)ピペリジン31.1gをピリジン18mL及びテトラハイドロフラン900mLに溶かしたものを、窒素雰囲気下、テトラハイドロフラン300mLに溶かした無水トリメリット酸クロリド44.7gに対して、0℃で30分かけて滴下した。0℃で1時間撹拌し、次いで室温で4時間撹拌した。反応後、減圧蒸留にて溶媒を除去して化合物(ts−2)、化合物(ts−2a)、及び化合物(ts−2b)の混合物を得た。
続いて、酢酸80g、及び無水酢酸80gを加え、100℃で3時間撹拌した。固形物を酢酸、無水酢酸、ノルマルヘキサンで十分に洗浄した後、減圧乾燥することにより目的物である化合物(ts−2)を62.7g得た。

0078

[実施例1−3:化合物(ts−3)の合成]
下記スキーム3に従って化合物(ts−3)を合成した。

0079

4,4’−ジアミノベンズアニリド22.7gをピリジン18mL及びテトラハイドロフラン900mLに溶かしたものを、窒素雰囲気下、テトラハイドロフラン300mLに溶かした1,3−ジオキソオクタハイドロイソベンゾフラン−5−カルボニルクロリド47.6gに対して、0℃で30分かけて滴下した。0℃で1時間撹拌し、次いで室温で4時間撹拌した。反応後、減圧蒸留にて溶媒を除去して化合物(ts−3)、化合物(ts−3a)、及び化合物(ts−3b)の混合物を得た。
続いて、酢酸80g、及び無水酢酸80gを加え、100℃で3時間撹拌した。固形物を酢酸、無水酢酸、ノルマルヘキサンで十分に洗浄した後、減圧乾燥することにより目的物である化合物(ts−3)を54.6g得た。

0080

<重合体の合成>
[実施例2−1:重合体(P−1)の合成]
テトラカルボン酸二無水物として化合物(ts−1)50モル部及び1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物50モル部、並びにジアミンとして4,4’−エチレンジアニリン100モル部を、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)に溶解し、室温で6時間反応を行い、ポリアミック酸を20重量%含有する溶液を得た。得られたポリアミック酸(これを「重合体(P−1)」とする。)溶液を少量分取して測定した溶液粘度は450mPa・sであった。

0081

[実施例2−2〜2−4及び合成例1〜6及び8]
使用するテトラカルボン酸二無水物及びジアミンの種類及び量を下記表1のとおり変更した以外は上記実施例2−1と同様にしてポリアミック酸(重合体(P−2)〜(P−4)及び重合体(rP−1)〜(rP−6)、(rP−8))をそれぞれ合成した。
[合成例7]
N4,N4’−ビス−(4−アミノフェニル)−N4,N4’−ジメチルビフェニル−4,4’−ジアミン100モル部をピリジン102モル部及びNMPに溶解し、無水トリメリット酸クロリド102モル部を0℃において数回に分けて添加した。室温で6時間反応を行い、水にて再沈降させたのち、再びNMPに溶解し、ポリアミドイミドを20重量%含有する溶液を得た。得られたポリアミドイミド溶液(これを重合体「Q−7」とする。)を少量分取して測定した溶液粘度は300mPa・sであった。

0082

0083

表1中、酸無水物及びジアミンの数値は、重合体の合成に使用した酸無水物の合計100モル部に対する各化合物の使用割合[モル部]を表す。表1中の略称はそれぞれ以下の意味である。
<テトラカルボン酸二無水物>
a−1:1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物
a−2:ピロメリット酸二無水物
a−3:2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物
a−4:下記式(a−4)で表される化合物
a−5:下記式(a−5)で表される化合物
a−6:下記式(a−6)で表される化合物
a−7:下記式(a−7)で表される化合物
<酸一無水物クロリド>
m−1:無水トリメリット酸クロリド



<ジアミン>
d−1:4,4’−エチレンジアニリン
d−2:4,4’−ジアミノジフェニルエーテル
d−3:4,4’−ジアミノジフェニルメタン
d−4:N4,N4’−ビス−(4−アミノフェニル)−N4,N4’−ジメチルビフェニル−4,4’−ジアミン
d−5:p−フェニレンジアミン
d−6:4,4’−ジアミノベンズアニリド

0084

[実施例3−1]
1.液晶配向剤の調製
重合体成分として、上記実施例2−1で得た重合体(P−1)を含有する溶液に、NMP及びブチルセロソルブ(BC)を加えて十分に撹拌し、溶媒組成がNMP:BC=70:30(重量比)、固形分濃度4.0重量%の溶液とした。この溶液を孔径0.20μmのフィルターを用いてろ過することにより液晶配向剤を調製した。

0085

2.液晶セルの製造
上記で調製した液晶配向剤を、液晶配向膜印刷機(日本写真印刷(株)製)を用いて、ITO膜からなる透明電極付きガラス基板の透明電極面に塗布し、80℃のホットプレート上で1分間加熱(プレベーク)して溶媒を除去した後、230℃のホットプレート上で10分間加熱(ポストベーク)して、平均膜厚0.10μmの塗膜を形成した。この塗膜に対し、レーヨン布を巻き付けたロールを有するラビングマシーンにより、ロール回転数1000rpm、ステージ移動速度20mm/秒、毛足押し込み長さ0.4mmでラビング処理を行い、液晶配向能を付与した。その後、超純水中で90秒間超音波洗浄を行い、次いで100℃クリーンオーブン中で10分間乾燥することにより、液晶配向膜を有する基板を得た。また、上記の操作を繰り返し、液晶配向膜を有する基板を一対(2枚)得た。
次に、上記一対の基板のうちの一方の基板につき、液晶配向膜を有する面の外縁に直径3.5μmの酸化アルミニウム球入りエポキシ樹脂接着剤を塗布した後、ラビング方向が直交するように一対の基板を液晶配向膜面が相対するように重ね合わせて圧着し、接着剤を硬化した。次いで、液晶注入口より一対の基板間にネマチック液晶(メルク社製、MLC−6221)を充填した後、アクリル光硬化型接着剤で液晶注入口を封止することにより、液晶セルを製造した。

0086

3.液晶配向性の評価
上記で製造した液晶セルにつき、5Vの電圧をON・OFF(印加・解除)したときの明暗の変化における異常ドメインの有無を顕微鏡によって倍率50倍で観察した。評価は、異常ドメインが観察されなかった場合を液晶配向性「良好」とし、異常ドメインが観察された場合を液晶配向性「不良」として行った。この液晶表示素子では液晶配向性「良好」であった。

0087

4.長期信頼性の評価
上記で製造した液晶セルに1Vの電圧を60マイクロ秒の印加時間、16.7msecのフレーム周期電圧保持率を測定し、これを初期値HRBFとした。次いで、液晶セルをバックライト点灯下に50日間放置し、放置後の電圧保持率VHRAFを同様にして測定した。得られたVHRAFをVHRBFで除した値を変化率ΔVHR(=VHRAF/VHRBF)とし、この変化率ΔVHRにより長期信頼性を評価した。なお、測定装置は(株)東陽テクニカ製VHR−1を使用した。その結果、この実施例ではΔVHR=0.97であり、液晶セルの長期信頼性は良好であった。

0088

5.残留DC電圧の評価
上記で製造した液晶セルに、75℃の温度条件で2Vの直流電圧を1時間印加し、電圧印加を解除した後、液晶セルに残留する電圧[mV]を測定した。その結果、この実施例の液晶セルは、残留DC電圧=2mVであった。

0089

[実施例3−2〜3−5及び比較例1〜7]
使用する重合体の種類を下記表2に示す通り変更した以外は、上記実施例3−1と同じ溶剤比及び固形分濃度で液晶配向剤をそれぞれ調製した。また、それぞれの液晶配向剤を用いて、実施例3−1と同様にして液晶セルを製造するとともに、得られた液晶セルを用いて、実施例3−1と同じく各種評価を行った。その結果を下記表2に示した。

0090

0091

なお、実施例3−5では、2種類の重合体を使用した。表2中、重合体の括弧内の数値は、液晶配向剤の調製に使用した重合体の全量100重量部に対する各化合物の使用割合を示す。

実施例

0092

表2から明らかなように、重合体[P]を含む液晶配向剤(実施例3−1〜実施例3−5)では、いずれも、溶剤に対する重合体の溶解性が良好であった。また、液晶セルにおいて、液晶配向性が良好であり、長時間に亘るバックライトの照射下に置いても電圧保持率の低下が生じにくかった。また、残留DC電圧についても、実施例のものでは、数〜十数mV程度の低い値を示した。これに対し、重合体[P]を含まない液晶配向剤(比較例1〜7)では、実施例のものに比べて残留DC電圧が高い値を示した。また、長時間に亘りバックライトを照射した場合の電圧保持率の低下が大きかった。さらに、比較例5〜7では、重合体の溶解性が劣り、比較例3〜5,7では、液晶配向性が「不可」の評価であった。

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