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技術 伝搬時間測定装置

出願人 株式会社東海理化電機製作所国立大学法人名古屋工業大学
発明者 古賀健一今井友美岩下明暁菊間信良
出願日 2016年3月2日 (3年11ヶ月経過) 出願番号 2016-040162
公開日 2017年2月16日 (3年0ヶ月経過) 公開番号 2017-038348
状態 特許登録済
技術分野 錠;そのための付属具 未知の時間間隔を測定するもの 伝送一般の監視、試験
主要キーワード 移動平均後 移送器 任意定数 希望値 目標精度 各発振器 所定波形 周囲物体
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (9)

課題

伝搬時間の測定精度を確保することができる伝搬時間測定装置を提供する。

解決手段

伝搬時間測定装置1は、相関行列演算を経て取得した受信信号Srecに対し、まず到来波数推定を実行する。このとき、到来波数推定部42は、雑音信号Snを付加した受信信号Srecに対して、到来波数推定アルゴリズム44を用いて到来波数推定する。時間演算部43は、到来波数推定部42により算出された到来波数と、雑音信号Snを付加しない受信信号Srecとを基に、時間推定アルゴリズム45を用いて伝搬時間Δtを演算する。

概要

背景

従来、通信マスタから端末電波を送信し、その電波を受信した端末から電波を通信マスタに返信させ、通信マスタが受信した電波(受信信号)から伝搬時間を演算する伝搬時間測定装置が周知である(例えば、特許文献1〜4等参照)。特許文献1〜4でも示されるように、この種の伝搬時間測定装置は、車両及び電子キーの間でキー照合無線により行う電子キーシステムへの適用が検討されている。これは、車両及び電子キーの通信中継器によって不正に成立させられ、意図しないところでID照合が成立されてしまうことを防止するためである。

概要

伝搬時間の測定精度を確保することができる伝搬時間測定装置を提供する。伝搬時間測定装置1は、相関行列の演算を経て取得した受信信号Srecに対し、まず到来波数推定を実行する。このとき、到来波数推定部42は、雑音信号Snを付加した受信信号Srecに対して、到来波数推定アルゴリズム44を用いて到来波数推定する。時間演算部43は、到来波数推定部42により算出された到来波数と、雑音信号Snを付加しない受信信号Srecとを基に、時間推定アルゴリズム45を用いて伝搬時間Δtを演算する。

目的

本発明の目的は、伝搬時間の測定精度を確保することができる伝搬時間測定装置を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

互いに異なる周波数連続波を合成して生成された電波通信マスタから端末に送信し、当該電波を前記端末から前記通信マスタに返信させ、前記通信マスタにおいて前記電波の相関行列を求めて、当該相関行列から電波の伝搬時間を測定する伝搬時間測定装置において、前記電波の行き来に要した前記伝搬時間を演算するのに必要な到来波数を求めるにあたり、前記相行列の演算の後に得られる受信信号と、前記相関行列の雑音となり得る雑音信号とを基に、到来波数を推定可能な到来波数推定アルゴリズムを用いて前記到来波数を求める到来波数推定部と、前記雑音信号を前記受信信号に付加して前記到来波数推定アルゴリズムにより求めた前記到来波数と、前記受信信号とを基に、伝搬時間を推定可能な時間推定アルゴリズムを用いて前記伝搬時間を演算する時間演算部とを備えたことを特徴とする伝搬時間測定装置。

請求項2

前記雑音信号は、受信した電波のパラメータに応じた可変値であることを特徴とする請求項1に記載の伝搬時間測定装置。

請求項3

前記雑音信号は、前記相関行列の最大固有値に規定の比率乗算して算出されることを特徴とする請求項2に記載の伝搬時間測定装置。

請求項4

前記端末から送信された電波を前記通信マスタで受信したとき、受信した電波の相関演算を、各連続波の周波数ごとに行う相関演算部を備え、前記通信マスタは、前記相関演算において前記連続波ごとに求まる各相関値を基に前記相関行列を演算し、当該相関行列を基に前記伝搬時間を演算することを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか一項に記載の伝搬時間測定装置。

請求項5

前記連続波は、信号成分として実部及び虚部を有する複素信号であることを特徴とする請求項1〜4のうちいずれか一項に記載の伝搬時間測定装置。

請求項6

互いに異なる周波数の連続波を合成して生成された電波を通信マスタから端末に送信し、当該電波を前記端末から前記通信マスタに返信させ、前記通信マスタにおいて前記電波の相関行列を求めて、当該相関行列から電波の伝搬時間を測定する伝搬時間測定装置において、前記電波の行き来に要した前記伝搬時間を演算するのに必要な到来波数を求めるにあたり、前記相関行列の演算の後に得られる受信信号を基に、到来波数を推定可能な到来波数推定アルゴリズムを用いて前記到来波数を求める到来波数推定部と、前記到来波数推定部により求めた前記到来波数と、前記受信信号とを基に、伝搬時間を推定可能な時間推定アルゴリズムを用いて前記伝搬時間を演算する時間演算部と、前記時間演算部が推定して求めた伝搬時間毎に信号の電力を推定する電力推定部とを備え、前記通信マスタは、前記電力推定部により推定された電力を基に、前記伝搬時間を特定することを特徴とする伝搬時間測定装置。

技術分野

0001

本発明は、通信マスタ端末との間で電波を行き来させ、その電波の伝搬時間を測定する伝搬時間測定装置に関する。

背景技術

0002

従来、通信マスタから端末に電波を送信し、その電波を受信した端末から電波を通信マスタに返信させ、通信マスタが受信した電波(受信信号)から伝搬時間を演算する伝搬時間測定装置が周知である(例えば、特許文献1〜4等参照)。特許文献1〜4でも示されるように、この種の伝搬時間測定装置は、車両及び電子キーの間でキー照合無線により行う電子キーシステムへの適用が検討されている。これは、車両及び電子キーの通信中継器によって不正に成立させられ、意図しないところでID照合が成立されてしまうことを防止するためである。

先行技術

0003

特開平9−170364号公報
特開2003−13644号公報
特開2006−512515号公報
特開2008−515315号公報

発明が解決しようとする課題

0004

ところで、端末から送信される電波を通信マスタが受信するとき、必ずしも1波のみ受信するとは限らず、この電波の反射波も受信してしまう場合がある。このとき、所望波と反射波とを確実に区別することができればよいが、伝搬時間を推定するときに使用するアルゴリズムによっては、電波を切り分け判断することができない場合がある。こうなると、伝搬時間の測定精度が悪化する懸念があり、何らかの対策が必要であった。

0005

本発明の目的は、伝搬時間の測定精度を確保することができる伝搬時間測定装置を提供することにある。

課題を解決するための手段

0006

前記問題点を解決する伝搬時間測定装置は、互いに異なる周波数連続波を合成して生成された電波を通信マスタから端末に送信し、当該電波を前記端末から前記通信マスタに返信させ、前記通信マスタにおいて前記電波の相関行列を求めて、当該相関行列から電波の伝搬時間を測定する構成において、前記電波の行き来に要した前記伝搬時間を演算するのに必要な到来波数を求めるにあたり、前記相行列の演算の後に得られる受信信号と、前記相関行列の雑音となり得る雑音信号とを基に、到来波数を推定可能な到来波数推定アルゴリズムを用いて前記到来波数を求める到来波数推定部と、前記雑音信号を前記受信信号に付加して前記到来波数推定アルゴリズムにより求めた前記到来波数と、前記受信信号とを基に、伝搬時間を推定可能な時間推定アルゴリズムを用いて前記伝搬時間を演算する時間演算部とを備えた。

0007

本構成によれば、雑音信号を付加した受信信号に対して到来波数推定アルゴリズムにより到来波数を求めるようにしたので、到来波数推定アルゴリズムによる演算の時間分解能を、時間推定アルゴリズムの時間分解能に合わせ込むことが可能となる。このため、到来波数推定アルゴリズムと時間推定アルゴリズムとの間で、演算上の到来波数の認識に差が生じ難くなる。その結果、例えば2つの到来波を受信したとき、これらが時間的に接近する状態となっていても、両方のアルゴリズムにおいて到来波を2波あるいは1波などと、同一の到来波数として認識できる。よって、伝搬時間の測定精度を確保することが可能となる。

0008

前記伝搬時間測定装置において、前記雑音信号は、受信した電波のパラメータに応じた可変値であることが好ましい。この構成によれば、雑音信号の最適化が可能となるので、伝搬時間の測定精度の確保に一層有利となる。

0009

前記伝搬時間測定装置において、前記雑音信号は、前記相関行列の最大固有値に規定の比率乗算して算出されることが好ましい。この構成によれば、雑音信号の更なる最適化が可能となるので、伝搬時間の測定精度の確保に一層有利となる。

0010

前記伝搬時間測定装置において、前記端末から送信された電波を前記通信マスタで受信したとき、受信した電波の相関演算を、各連続波の周波数ごとに行う相関演算部を備え、前記通信マスタは、前記相関演算において前記連続波ごとに求まる各相関値を基に前記相関行列を演算し、当該相関行列を基に前記伝搬時間を演算することが好ましい。この構成によれば、伝搬時間の演算時、通信マスタから送信される電波と、端末から返信されてきた電波との間の相関を演算するにあたって、合成する前の連続波ごとに相関を計算する。よって、フーリエ変換の計算を使用しなくても伝搬時間を推定することが可能となるので、フーリエ変換を使用しない分、装置構成を簡素化することが可能となる。

0011

前記伝搬時間測定装置において、前記連続波は、信号成分として実部及び虚部を有する複素信号であることが好ましい。この構成によれば、伝搬時間の測定精度を確保するのに一層有利となる。

0012

前記問題点を解決する伝搬時間測定装置は、互いに異なる周波数の連続波を合成して生成された電波を通信マスタから端末に送信し、当該電波を前記端末から前記通信マスタに返信させ、前記通信マスタにおいて前記電波の相関行列を求めて、当該相関行列から電波の伝搬時間を測定する構成において、前記電波の行き来に要した前記伝搬時間を演算するのに必要な到来波数を求めるにあたり、前記相関行列の演算の後に得られる受信信号を基に、到来波数を推定可能な到来波数推定アルゴリズムを用いて前記到来波数を求める到来波数推定部と、前記到来波数推定部により求めた前記到来波数と、前記受信信号とを基に、伝搬時間を推定可能な時間推定アルゴリズムを用いて前記伝搬時間を演算する時間演算部と、前記時間演算部が推定して求めた伝搬時間毎に信号の電力を推定する電力推定部とを備え、前記通信マスタは、前記電力推定部により推定された電力を基に、前記伝搬時間を特定する。

0013

本構成によれば、時間推定アルゴリズムにより到来波の伝搬時間を求め、伝搬時間毎に信号の電力を推定し、電力値から最終的な推定時間を特定する。ところで、演算により到来波を求めたとき、所望波と反射波との時間差が小さいと、これらを分離して推定できない場合があり、その結果、所望波ではなく、雑音を到来波として認識してしまう可能性がある。そこで、本構成によれば、所望波は雑音よりも電力が大きいことに着目し、電力を要素にして、所望波の伝搬時間を特定する。よって、伝搬時間の測定精度を確保することが可能となる。

発明の効果

0014

本発明によれば、伝搬時間の測定精度を確保することができる。

図面の簡単な説明

0015

第1実施形態の伝搬時間測定装置の構成図。
(a)は時間的に離れている2波の関係図、(b)は時間的に接近している2波の関係図。
RMSE−delta tauの特性図。
(a)〜(c)は雑音信号を異ならせて波数推定値を調整したときのDetection Probability−delta tauの特性図。
(a)〜(c)はDURによる波数推定値の変化を示したDetection Probability−delta tauの特性図。
(a)〜(c)はSNRによる波数推定値の変化を示したDetection Probability−delta tauの特性図。
第2実施形態の伝搬時間測定装置の構成図。
到来波の電力と遅延時間との関係を示すグラフであり、(a)は雑音信号が推定値として選択された図、(b)は所望波及び反射波の合成が推定値として選択された図。

実施例

0016

(第1実施形態)
以下、伝搬時間測定装置の第1実施形態を図1図6に従って説明する。
図1に示すように、通信マスタ1と端末2とには、これら2者間の電波の行き来にかかる時間(伝搬時間Δt)を測定する伝搬時間測定装置3が設けられている。伝搬時間測定装置3は、例えば車両における電子キーのキー照合(ID照合)を無線によって行う電子キーシステムに設けられる。この場合、伝搬時間測定装置3は、車両及び電子キーの間で仮にID照合が成立していても、伝搬時間Δtが閾値以上であれば、不正通信の可能性が高いとして、ID照合成立を不許可とする。

0017

通信マスタ1は、各々異なる周波数の無変調連続波(CW波)として複素信号fk(p)を出力する複数の発振器4n(n=1〜K)を備える。各周波数の複素信号fk(p)は、信号成分として実部及び虚部を有する信号である。なお、「k」は、何番目の周波数かを表す数であり、「K」は、使用する周波数の総数であり、「p」は、離散時間である。

0018

通信マスタ1は、発振器4nから入力した各複素信号fk(p)から実部を取り出す実数取出部5を備える。実数取出部5は、複素信号fk(p)からの実部の取り出しにより、信号real(fk(p))を出力する。なお、real(・)は、複素数から実数部を取り出す関数を示す。これら信号real(fk(p))は、加算器6に入力される。加算器6の後段には、加算器6から出力される合成信号real(F(p))をD/A変換するD/Aコンバータ7と、D/A変換後の合成信号real(F(t))と局部発振器8から出力される発振信号とを乗算するミキサ9と、合成後の信号をフィルタリングするバンドパスフィルタ10と、フィルタリング後の合成信号を送信信号real(F(t))cos(ωt)として送信する送信アンテナ11とが接続されている。なお、「F(p)」及び「F(t)」は、合成された複素信号であり、「t」は、連続時間である。

0019

端末2は、通信マスタ1から送信された送信信号real(F(t))cos(ωt)を伝搬時間Δt遅れた信号で受信する受信アンテナ12と、この受信信号real(F(t−Δt))cos(ωt)をフィルタリングするバンドパスフィルタ13と、フィルタリング後の信号と局部発振器14から出力される発振信号とを乗算するミキサ15と、合成後の信号をフィルタリングするローパスフィルタ16と、フィルタリング後の受信信号real(F(t−Δt))をA/D変換するA/Dコンバータ17とを備える。

0020

端末2は、A/Dコンバータ17から入力する受信信号real(F(p−Δt))に基づく動作を端末2に実行させる信号処理部18を備える。信号処理部18は、受信信号real(F(t−Δt))cos(ωt)が通信マスタ1から受け付けた信号であることを確認すると、この受信信号real(F(t−Δt))cos(ωt)を通信マスタ1に返信する動作を実行する。

0021

端末2は、電波返信時において信号処理部18から入力する信号をD/A変換するD/Aコンバータ19と、D/A変換後の信号と局部発振器20から出力される発振信号とを乗算するミキサ21と、合成後の信号をフィルタリングするバンドパスフィルタ22と、フィルタリング後の信号を送信信号real(F(t−Δt))cos(ωt)として送信する送信アンテナ23とを備える。

0022

通信マスタ1は、端末2から返信された送信信号F(t−Δt)cos(ωt)を伝搬時間Δt遅れた信号で受信する受信アンテナ24を備える。受信アンテナ24の後段は、2経路分岐されている。受信アンテナ24の後段において一方の経路には、受信信号real(F(t−2Δt))cos(ωt)をフィルタリングするバンドパスフィルタ25と、フィルタリング後の信号と局部発振器26から出力される発振信号とを乗算するミキサ27と、合成後の信号のうち低い周波数のみ通過させるローパスフィルタ28と、フィルタリング後の受信信号real(F(t−2Δt))をA/D変換するA/Dコンバータ29とを備える。A/Dコンバータ29からは、受信信号real(F(p−2Δt))が出力される。

0023

受信アンテナ24の後段において他方の経路には、受信信号real(F(t−2Δt))cos(ωt)をフィルタリングするバンドパスフィルタ30と、局部発振器26から出力される発振信号を移送器31によって90°位相を遅らされた信号とフィルタリング後の信号とを乗算するミキサ32と、合成後の信号のうち低い周波数のみ通過させるローパスフィルタ33と、フィルタリング後の信号をA/D変換するA/Dコンバータ34とを備える。A/Dコンバータ34からは、受信信号img(F(p−2Δt))が出力される。なお、img(・)は、複素数から虚部を取り出す関数を示す。

0024

通信マスタ1は、実部及び虚部から複素信号を算出する複素化部35を備える。複素化部35は、A/Dコンバータ29から入力する受信信号real(F(p−2Δt))と、A/Dコンバータ34から入力する受信信号img(F(p−2Δt))とを基に、複素信号F(p−2Δt)を算出する。

0025

通信マスタ1は、それぞれの複素信号fk(p)ごとに複素信号F(p−2Δt)との間の相関を演算する相関演算部36n(n=1〜K)を備える。相関演算部36−1は、複素信号f1(p)と複素信号F(p−2Δt)との相関を演算し、演算結果として相関値c1(p)を出力する。相関演算部36kは、複素信号fk(p)と複素信号F(p−2Δt)との相関を演算し、演算結果として相関値ck(p)を出力する。相関演算部36Kは、複素信号fK(p)と複素信号F(p−2Δt)との相関を演算し、演算結果として相関値cK(p)を出力する。

0026

通信マスタ1は、各相関演算部36n(n=1〜K)から出力された各相関値c1(p)〜cK(p)において複素相関値ckを演算する期待値演算部37と、各複素相関値c1〜cKをベクトル化するベクトル化部38と、ベクトル化後の複素相関値c1〜cKにおいて相関行列を求める相関行列化部39と、算出された相関行列の周波数の平均をとる周波数平均演算部40とを備える。期待値演算部37は、それぞれの相関値c1(p)〜cK(p)ごとに複素相関値ck(=E[ck(p)])を求め、これをベクトル化部38に出力する。複素相関値c1〜cKは、ベクトル化部38、相関行列化部39及び周波数平均演算部40によって演算処理されることにより、伝搬時間Δtを演算するのに必要な受信信号Srecに変換される。なお、E[*]は、期待値演算である。

0027

通信マスタ1は、平均化された周波数、すなわち受信信号Srecを基に伝搬時間Δtを推定する伝搬時間推定部41を備える。伝搬時間推定部41は、入力した受信信号Srecに対し、まずは到来波数推定を行い、推定された到来波数に基づき伝搬時間(遅延時間)Δtを演算する。すなわち、本例の伝搬時間推定部41は、到来波数推定を行う到来波数推定部42と、推定された到来波数を基に伝搬時間Δtを演算する時間演算部43とを備える。

0028

到来波数推定部42は、到来波数推定アルゴリズム44を用いて到来波数を推定する。到来波数推定アルゴリズム44は、例えばAIC法やMDL法のアルゴリズムであることが好ましい。また、本例の到来波数推定部42は、上段から入力した受信信号Srecに対して雑音信号Snを付加し、この信号を基に到来波数推定を実行する。雑音信号Snは、到来波数推定アルゴリズム44の時間分解能を低くするための信号である。また、雑音信号Snは、受信した電波のパラメータに応じた可変値であることが好ましい。時間演算部43は、時間推定アルゴリズム45を用いて伝搬時間Δtを演算する。時間推定アルゴリズム45は、例えばMUSIC法ESPRIT法のアルゴリズムであることが好ましい。

0029

次に、図1図6を用いて、伝搬時間測定装置3の動作を説明する。なお、本例は、端末2側での信号処理は何も行われていないものとして定式化している。また、回路による遅延は存在せず、遅延は電波の伝搬でのみ発生するとして定式化している。

0030

図1に示すように、各発振器4n(n=1〜K)は、各々異なる周波数の複素信号f1(p)〜fK(p)を実数取出部5に出力する。実数取出部5は、各複素信号f1(p)〜fK(p)において実部を取り出し、実数のみから構築される信号real(f1(p))〜real(fK(p))を加算器6に出力する。加算器6は、これら信号real(f1(p))〜real(fK(p))を足し合わせて合成信号real(F(p))とし、これをD/Aコンバータ7に出力する。合成信号real(F(p))は、次式(1)により表される。

0031

合成信号real(F(p))は、D/Aコンバータ7によってD/A変換され、合成信号real(F(t))としてミキサ9に出力される。ミキサ9に入力された合成信号real(F(t))は、局部発振器8から出力された発振信号と乗算され、バンドパスフィルタ10に出力される。バンドパスフィルタ10に入力された合成信号real(F(t))は、所定帯域の信号のみが通過する。バンドパスフィルタ10に通された合成信号real(F(t))は、送信信号real(F(t))cos(ωt)として送信アンテナ11から無線送信される。

0032

送信アンテナ11から送信された送信信号real(F(t))cos(ωt)は、伝搬時間Δt後、端末2に到達する。なお、送信信号real(F(t))cos(ωt)は、複素信号f1(p)〜fK(p)を合成することにより生成された所定波形が繰り返し出現する繰り返し信号である。また、送信信号real(F(t))cos(ωt)は、広帯域信号である。

0033

端末2は、通信マスタ1から送信された送信信号real(F(t))cos(ωt)を、伝搬時間Δt遅れた信号、つまりreal(F(t−Δt))cos(ωt)として受信アンテナ12で受信する。この受信信号real(F(t−Δt))cos(ωt)は、バンドパスフィルタ13を通過後、ミキサ15に出力される。ミキサ15に入力された受信信号real(F(t−Δt))cos(ωt)は、局部発振器14から出力された発振信号と乗算され、ローパスフィルタ16に出力される。ローパスフィルタ16に入力された受信信号は、低帯域のみ通過される。ローパスフィルタ16を通過した受信信号real(F(t−Δt))は、A/Dコンバータ17でA/D変換され、受信信号real(F(p−Δt))として信号処理部18に出力される。

0034

信号処理部18は、A/Dコンバータ17から入力した受信信号real(F(p−Δt))の信号波形を読み取る。このとき、信号処理部18は、受信信号real(F(p−Δt))を正常に読み取ることができると、受信信号real(F(p−Δt))cos(ωt)を返信する動作に移行し、送信信号real(F(p−Δt))をD/Aコンバータ19に出力する。

0035

D/Aコンバータ19に入力された送信信号real(F(p−Δt))は、D/A変換によって送信信号real(F(t−Δt))に変換され、ミキサ21に出力される。ミキサ21に入力された送信信号real(F(p−Δt))は、局部発振器20から出力された発振信号と乗算され、バンドパスフィルタ22に出力される。バンドパスフィルタ22に入力された信号は、所定帯域のみ通過され、これが送信信号real(F(t−Δt))cos(ωt)として送信アンテナ23から無線送信される。

0036

送信アンテナ23から送信された送信信号real(F(t−Δt))cos(ωt)は、伝搬時間Δt後、通信マスタ1に到達する。なお、ここで端末2から送信される送信信号real(F(t−Δt))cos(ωt)は、通信マスタ1から端末2に送信された送信信号real(F(t))cos(ωt)において、波形は同じであるものの位相が所定時間遅れ無線信号である。

0037

送信アンテナ23から返信された送信信号real(F(t−Δt))cos(ωt)は、伝搬時間Δt遅れた信号、つまりreal(F(t−2Δt) )cos(ωt)として通信マスタ1に到達する。この受信信号real(F(t−2Δt))cos(ωt)は、バンドパスフィルタ25,30の各々に入力される。バンドパスフィルタ25に入力された受信信号real(F(t−2Δt))cos(ωt)は、所定帯域のみ通過され、ミキサ27に出力される。ミキサ27に入力された受信信号real(F(t−2Δt))cos(ωt)は、局部発振器26から出力された発振信号と乗算され、ローパスフィルタ28に通される。ローパスフィルタ28を通過した受信信号real(F(t−2Δt))は、A/Dコンバータ29によってA/D変換され、受信信号real(F(p−2Δt))として複素化部35に入力される。

0038

バンドパスフィルタ30に入力された受信信号real(F(t−2Δt))cos(ωt)は、所定帯域のみ通過され、ミキサ32に出力される。ミキサ32に入力された受信信号real(F(t−2Δt))cos(ωt)は、局部発振器26から出力された90°位相遅れの発振信号と乗算され、ローパスフィルタ33に通される。ローパスフィルタ33を通過した信号は、A/Dコンバータ34によってA/D変換され、受信信号img(F(p−2Δt))として複素化部35に入力される。

0039

複素化部35は、A/Dコンバータ29,34から受信信号real(F(p−2Δt))及び受信信号img(F(p−2Δt))を入力すると、これらを複素化することにより、複素信号F(p−2Δt)を算出する。複素化部35は、算出した複素信号F(p−2Δt)を、各各相関演算部36n(n=1〜K)に出力する。

0040

相関演算部36−1は、1番目の発振器4nから入力した複素信号f1(p)と、複素化部35から入力した複素信号F(p−2Δt)との相関を演算し、演算結果である相関値c1(p)を期待値演算部37に出力する。相関演算部36kは、k番目の発振器4kから入力した複素信号fk(p)と、複素化部35から入力した受信信号F(p−2Δt)との相関を演算し、演算結果である相関値ck(p)を期待値演算部37に出力する。相関演算部36Kは、K番目の発振器4Kから入力した複素信号fK(p)と、複素化部35から入力した複素信号F(p−2Δt)との相関を演算し、演算結果である相関値cK(p)を期待値演算部37に出力する。

0041

相関値ck(p)は、次式(2)により表される。なお、次式において「・*」は、複素共役を表す記号である。また、「fk(t)」は、各周波数の複素信号である。

0042

期待値演算部37は、各相関演算部36n(n=1〜K)から入力する相関値c1(p)〜cK(p)を基に、それぞれの相関値c1(p)〜cK(p)ごとに複素相関値c1〜cKを算出する。期待値演算部37は、算出した複素相関値c1〜cKをベクトル化部38に出力する。ベクトル化部38は、期待値演算部37から入力した複素相関値c1〜cKをベクトル化する。相関行列化部39は、ベクトル化された複素相関値c1〜cKを基に相関行列を演算する。周波数平均演算部40は、算出された相関行列から周波数の平均をとり、その平均値を受信信号Srecとして伝搬時間推定部41に出力する。

0043

伝搬時間推定部41において、到来波数推定部42は、周波数平均演算部40から入力した受信信号Srecに雑音信号Snを付加する。そして、到来波数推定部42は、雑音信号Snを付加した受信信号Srecに対し、到来波数推定アルゴリズム44を用いて、到来波数を推定する。到来波数の推定後、時間演算部43は、到来波数推定部42が求めた到来波数と、受信信号Srecとを基に、時間推定アルゴリズム45を用いて到来波の伝搬時間Δtを演算する。

0044

図2(a),(b)に示すように、端末2から電波が返信されるとき、受信アンテナ24で2つの到来波を受信する場合がある。これは、端末2が返信した電波が周囲物体、車体、地面などで反射して受信アンテナ24に届くからである。現在の伝搬時間Δtの推定ロジック(到来波数推定アルゴリズム44、時間推定アルゴリズム45)では、複数(例示は2つ)の到来波(波数推定値)が存在するとき、伝搬時間Δtが小さい到来波を所望波として取り込むようにしている。

0045

ところで、図2(a)に示すように、仮に2波が時間的に十分離れているのであれば、到来波数推定アルゴリズム44又は時間推定アルゴリズム45のどちらであっても、2つの推定値1,2のうち、正しい波数推定値を所望波として選択することができる。しかし、仮に到来波数推定アルゴリズム44の時間分解能が時間推定アルゴリズム45より高いと、到来波数推定アルゴリズム44では2波を区別することができるが、時間推定アルゴリズム45においては2波を1つの波とみなしてしまい、これを1つの推定値1として判断してしまうことがある。こうなると、例えば受信アンテナ24で雑音Z1〜Z4を受信していた場合、これらの何れかが推定値2として認識されてしまう。このとき、推定値1よりも伝搬時間Δtが小さい雑音Z1,Z2が推定値2として選択されると、これが最終的な波数推定値として選ばれてしまい、正しい推定結果を得ることができないことになる。

0046

そこで、本例の場合は、受信信号Srecから到来波数を推定するにあたって、雑音信号Snを付加した受信信号Srecにより到来波数推定アルゴリズム44に従って到来波数推定を行うことにより、仮に接近する複数の到来波を受信アンテナ24で受信しても、波数推定値を1波としか出力しないようにする。こうすれば、時間推定アルゴリズム45に対して到来波数推定アルゴリズム44の方が、時間分解能が低い状態となるので、時間推定アルゴリズム45で雑音を2波目の到来波(ダミー到来波)と認識する状況が生じ難くなり、推定精度が確保されるのである。

0047

波数推定値の調整は、次式(3)を用いて実行される。なお、次式において、「αλ1I」が雑音信号Snに相当する。また、「Rχx+n」は、波数推定に使用する相関行列であり、「Rχx」は、通常の相関行列である。また、「α」は任意定数であり、「I」は単位行列であり、「λ1」は第1固有値である。

0048

式(3)に示すように、推定波数に使用する相関行列に雑音信号αλ1Iを加えると、波数推定値が「1」となる範囲が増える。すなわち、到来波数推定アルゴリズム44の時間分解能を時間推定アルゴリズム45のそれよりも低くするのである。こうすれば、時間推定アルゴリズム45の演算において、2波目の到来波をダミー到来波として推定し難くなるので、伝搬時間Δtの推定精度を確保するのに有利となる。なお、第1固有値の「λ1」は、相関行列(例えばMUSIC法)の固有値のうちの最大のものに相当する。また、本例の場合、雑音信号αλ1Iは、16.5×10−4λ1であることが好ましい。

0049

図3に、雑音信号αλ1Iが「16.5×10−4λ1」のときのRMSE−delta tauの特性図を図示する。なお、「RMSE」は、二乗平均誤差であり、「delta tau」は、直接波遅延波との伝搬時間の差分である。同図に示されるように、二乗平均誤差が希望値Tk以下に収まることが分かった。このことからも、到来波数推定アルゴリズム44に雑音信号αλ1Iを付加して到来波数を求める演算が有効であることが分かる。

0050

図4(a)〜(c)に、雑音信号αλ1Iを異ならせて波数推定値を調整した例を図示する。なお、波数推定値の調整は、相関行列を作るときに何個分のベクトルの平均をとるのかを示すスナップショット数や、相関行列を演算するときのデータ個数に相当する相関演算回数について、所定の特定値に設定した上で行うこととする。同図に示されるように、雑音信号αλ1Iを大きくしていくに従って、波数推定値が「1」と判定される範囲Exが広がっていくことが分かる。ところで、範囲Exを広げすぎると、闇に到来波を1つと判定する領域を広げすぎることとなるので、雑音信号αλ1Iとして好適なのは、本例では16.5×10−4λ1程度であるといえる。

0051

図5(a)〜(c)に、DUR(Desired SignalとUndesired Signalとの比率:所望波と不要波との電力比)による波数推定値の変化を図示する。同図は、基本の諸元に対して2波目の電力を変化させたときの波数推定結果である。同図に示されるように、2波目の電力が増加したとき、波数推定値「1」の範囲が僅かに広がるが、これは時間推定の精度に大きな影響を与える程ではない。よって、仮に2波目の電力が変化しても、時間推定の精度は確保されることが分かる。なお、図示はしないが、基本の諸元に対して2波目の電力を変化させたときのRMSE−delta tau特性も、目標精度を達成できていることを確認している。

0052

図6(a)〜(c)に、SNR(SignalとNoiseとの比率)による波数推定値の変化を図示する。同図は、基本の諸元に対してSNRを変化させたときの端数推定結果である。同図に示されるように、SNRを向上させていくに連れて、波数推定値「1」の範囲が僅かに狭くなるが、これは時間推定の精度に大きな影響を与える程ではない。よって、仮にSN比が変化したとしても、時間推定の精度は確保されることが分かる。なお、図示はしないが、基本の緒元に対してSNRを変化させたときのRMSE−delta tau特性も、目標精度を達成できていることを確認している。

0053

本実施形態の構成によれば、以下に記載の効果を得ることができる。
(1)雑音信号Snを付加した受信信号Srecに対して到来波数推定アルゴリズム44により到来波数を求めるようにしたので、到来波数推定アルゴリズム44による演算の時間分解能を、時間推定アルゴリズム45の時間分解能に合わせ込むことが可能となる。このため、到来波数推定アルゴリズム44と時間推定アルゴリズム45との間で、演算上の到来波数の認識に差が生じ難くなる。その結果、例えば2つの到来波を受信したとき、これらが時間的に接近する状態となっていても、到来波数推定アルゴリズム44及び時間推定アルゴリズム45の両方において到来波を2波あるいは1波などと、同一の到来波数として認識することができる。よって、伝搬時間Δtの測定精度を確保することができる。

0054

(2)雑音信号Snは、受信した電波のパラメータ(本例は相関行列の第1固有値λ1)に応じた可変値である。よって、雑音信号Snの最適化が可能となるので、伝搬時間Δtの測定精度の確保に一層有利となる。

0055

(3)雑音信号Snは、相関行列の最大固有値(第1固有値λ1)に規定の比率を乗算して算出される。よって、雑音信号Snの更なる最適化が可能となるので、伝搬時間Δtの測定精度の確保に一層有利となる。

0056

(4)伝搬時間Δtの演算時、通信マスタ1から送信される電波と、端末2から返信されてきた電波との間の相関を演算するにあたって、合成する前の連続波(複素信号f1(p)〜fK(p))ごとに相関を演算する。よって、フーリエ変換の計算をしなくとも伝搬時間Δtを求めることが可能となるので、その分、伝搬時間測定装置3の構成を簡素化することができる。

0057

(5)連続波は、信号成分として実部及び虚部を有する複素信号fk(p)である。よって、伝搬時間Δtを精度よく測定するのに有利となる。
(6)伝搬時間Δtの演算方法として、送信した電波と受信した電波との位相(位相の変化)から距離を推定する方式(一例はMUSIC法)を用いたので、伝搬時間Δtを精度よく算出するのに有利となる。

0058

(7)本例の伝搬時間測定装置3を電子キーシステムに適用したので、例えば中継器を使用した不正な通信を、ID照合不成立として判定することができる。よって、電子キーシステムのセキュリティ性を確保することができる。

0059

(第2実施形態)
次に、図7及び図8に従って第2実施形態を説明する。なお、本例は、推定値の選択の仕方を変更した実施例である。よって、第1実施形態と同一部分には同じ符号を付して詳しい説明を省略し、異なる箇所のみ詳述する。

0060

図7に示すように、本例の伝搬時間推定部41は、時間演算部43が推定して求めた伝搬時間Δt毎に信号の電力を推定する電力推定部51を備える。また、本例の到来波数推定部42は、雑音信号Snを付加しない受信信号Srecを基に、到来波数推定アルゴリズム44を用いて到来波数を求める。本例の時間演算部43は、到来波数推定部42により求めた到来波数と、受信信号Srecとを基に、時間推定アルゴリズム45を用いて伝搬時間Δtを演算する。電力推定部51は、雑音信号Snを用いずに求めた各々の到来波の伝搬時間Δtから、各到来波の電力値を推定する。

0061

次に、図8を用いて、伝搬時間測定装置3の動作を説明する。
図8(a)に示すように、所望波と反射波(マルチパス)との間の時間差が短いと、分解能が低いため、これら2つの信号を分離して推定することができない場合がある。この場合、近辺の雑音Z1(推定値1)や、所望波及び反射波の合成(推定値2)が推定値として求まり、雑音Z1の方が、合成値よりも時間が小さいと、雑音Z1が最終的な推定値として特定されてしまい、推定精度の悪化に繋がる。これに対処するために、本例では、図8(b)に示すように、雑音Z1よりも所望波の方が信号の電力が大きいことに着目し、推定結果として得られた伝搬時間Δt毎に信号の電力を推定することにより、電力値から推定値を特定する。

0062

到来波の電力を求めるのに必要となる受信信号行列X(ベクトルX)は、次式(4)〜(8)によって求まる。なお、次式(4)に示すXの下付き文字の1〜Mは、周波数のサンプル数である。また、本例の相関行列を「Rxx」とすると、相関行列Rxxは、次式(5)により表される。

0063

0064

0065

0066

0067

なお、式(5),(6)のSは、L個の波源間の相関関係を表す信号行列であり、式(5)のσ2は、内部雑音電力であり、式(6)のFは、複素振幅である。また、式(8)において、f1〜fMは、各到来波の周波数であり、τlは、第l波の伝搬時間Δtである。

0068

各到来波の電力は、次式(9)〜(11)を用いて、逆行列演算一般逆行列演算)により求めることができる。

0069

0070

0071

なお、式(9)において、S(Sの上にバーが付された文字)は、移動平均後フルランクの信号相関行列であり、Rxx(Rxxの上にバーが付された文字)は、移動平均後の相関行列である。

0072

電力推定部51は、式(9)における行列S(Sの上にバーが付された文字)の第l対角成分(l=1,2,…,L)から、第l到来波の受信電力(強度)を得ることができる。このようにして、電力推定部51は、各到来波の電力、すなわち推定値毎に電力を推定し、これら推定値の中から最も電力の大きいものを最終的な推定値として特定する。これにより、所望波のみならず雑音Z1の推定値1を演算により求めたとしても、最終的には所望波の推定値2を取り込むことが可能となる。

0073

本実施形態の構成によれば、第1実施形態に記載の(4)〜(7)に加え、以下の効果を得ることができる。
(8)時間推定アルゴリズム45により到来波の伝搬時間Δtを求め、伝搬時間Δt毎に信号の電力を推定し、電力値から最終的な伝搬時間Δtを特定する。ところで、演算により到来波を求めたとき、所望波と反射波との時間差が小さいと、これらを分離して推定できない場合があり、その結果、所望波(所望波及び反射波の合成)ではなく、雑音Z1を到来波として認識してしまう可能性がある。そこで、本例の場合、所望波は雑音Z1よりも電力が大きいことに着目し、電力を要素にして、所望波の伝搬時間Δtを特定する。よって、よって、伝搬時間Δtの測定精度を確保することができる。

0074

なお、実施形態はこれまでに述べた構成に限らず、以下の態様に変更してもよい。
・第1実施形態において、雑音信号Snは、可変値に限らず、受信した電波のパラメータによらず、一定の値をとる固定値としてもよい。

0075

・第1実施形態において、雑音信号Snは、到来波の信号電力に対し、一定(規定)の比率を乗算して算出されてもよい。
・第1実施形態において、雑音信号Snは、雑音電力に対して、一定(規定)の比率を乗算して算出された値としてもよい。なお、雑音電力は、電波を受信していないときに受信アンテナ24が取り込む熱雑音等の電力のことをいう。

0076

・第2実施形態において、到来波の電力の演算は、実施形態に述べた演算方法に限らず、種々の態様に変更可能である。
・第1実施形態において、雑音信号Snは、前述した種々の算出方法を適宜組み合わせることによって算出されてもよい。

0077

・各実施形態において、伝搬時間測定装置3は、伝搬時間Δtを測定する目的で設けられるものでもよい。
・各実施形態において、端末2の信号処理部18では、通信マスタ1と既知の方法で信号処理が実施されてもよい。これにより、例えば中継器が伝搬時間測定用の信号を通信マスタ1へ直接送信することで伝搬時間を偽装するという手法を防止することができる。

0078

・各実施形態において、連続波は、複素信号として取り扱われることに限定されず、種々の方式の信号に変更可能である。
・各実施形態において、連続波は、それぞれのfk(p)の周波数帯域が重なり合わなければ、無変調波に限らず、種々の変調が施された信号に変更可能である。

0079

・各実施形態において、連続波は、送信の開始から終了まで全て連続する波である必要はなく、適宜中断されてもよい。
・各実施形態において、到来波数推定アルゴリズム44は、MDL法やAIC法に限らず、これら以外の他の方式に変更可能である。

0080

・各実施形態において、時間推定アルゴリズム45は、MUSIC法やESPRIT法に限定されず、これら以外の他の方式に変更可能である。
・各実施形態において、伝搬時間Δtの演算方法は、電波が往復するのにかかる時間を測定できるものであれば、種々の方式が採用可能である。

0081

・各実施形態において、伝搬時間測定装置3の回路構成、すなわち通信マスタ1や端末2の回路構成は、実施形態に述べたような構成に限らず、必要に応じて他に変更可能である。

0082

・各実施形態において、伝搬時間測定装置3は、電子キーシステムに搭載されることに限らず、種々のシステムや装置に適用可能である。
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について、以下に追記する。

0083

(イ)前記伝搬時間測定装置において、各々の前記複素信号から実部を取り出し、前記連続波のこれら実部を合成することにより、送信のための信号を生成する実数取出部と、前記端末から受信した電波を通常の位相で復調することにより、受信信号の実部を生成する第1の復調部と、前記端末から受信した電波を通常の位相に対して90°遅れの位相で復調することにより、受信信号の虚部を生成する第2の復調部と、前記第1の復調部により生成された前記実部と前記第2の復調部により生成された前記虚部とを基に、複素信号を生成する複素化部とを備え、前記相関演算部は、合成前の複素信号と、前記複素化部により生成された複素信号とを基に、各周波数において相関演算を行う。なお、第1の復調部は、実施形態に記載の符号の25〜29の各部材から構成される。第2の復調部は、実施形態に記載の符号の30〜34の各部材から構成される。

0084

(ロ)前記伝搬時間測定装置において、前記通信マスタから前記端末に送信される電波は、一定の周波数帯域を有する信号である。
(ハ)前記伝搬時間測定装置において、前記伝搬時間の演算(推定)は、受信した電波が送信の電波に対し、位相がどれだけ変化していたのかを確認する方式(一例はMUSIC法など)により算出される。

0085

1…通信マスタ、2…端末、3…伝搬時間測定装置、36n…相関演算部、42…到来波数推定部、43…時間演算部、44…到来波数推定アルゴリズム、45…時間推定アルゴリズム、51…電力推定部、Δt…伝搬時間、Srec…受信信号、Sn…雑音信号、λ1…第1固有値(相関行列の最大固有値)、c1(p)〜cK(p)…相関値、f1(p)〜fK(p)…複素信号。

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