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技術 間欠周期構造作成装置および間欠周期構造作成方法

出願人 キヤノンマシナリー株式会社
発明者 二宮孝文
出願日 2015年8月10日 (4年10ヶ月経過) 出願番号 2015-158411
公開日 2017年2月16日 (3年4ヶ月経過) 公開番号 2017-035710
状態 特許登録済
技術分野 レーザ加工 液晶1(応用、原理)
主要キーワード 摺動面内 鋸刃形状 校正テーブル 中心角α 累積照射 一周目 周期構造形成 レーザ照射スポット
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (11)

課題

パターニングの自由度を損なうことなく、周期構造の作成時間の短縮化を図ることができ、生産性に優れた間欠周期構造の作成方法および作成装置を提供する。

解決手段

レーザ集光径繰り返し周波数、及び加工対象物加工閾値に応じて、同一部分におけるオーバーラップ回数が10〜300ショッ卜の間で一定値になるように、2次元ないしは3次元のガルバノスキャナレーザ走査する位置を偏向制御する。これと同時に、周期構造に方向性を付与するための直線偏光レーザ偏光角度を、走査位置の極座標上の偏角に応じて、偏光回転素子を用いて電気的に追従制御する。

概要

背景

加工対象物に一軸のパルスレーザオーラップさせながら照射して、入射光P偏光成分と加工対象物の表面に沿ったP偏光成分の散乱光干渉部分アブレーションによって、入射光の偏光に直交した、レーザ波長程度に微細凹凸溝を作成する方法が知られており、その作成装置が提案されている(特許文献1、非特許文献1)。

潤滑剤下で相対的に摺動する片方の部材に間欠周期構造を形成すると、摩擦低減流体潤滑領域の拡大など、機械的な摺動特性を改善できることが知られている(特許文献2)。また、摺動面周縁に連通して摺動面周縁から潤滑剤の摺動面内方への導入を可能にする周期構造と、周期構造との境界部において摺動方向に圧力勾配を生じさせるレーザ照射しない領域とが、摺動方向に沿って交互に形成されたものも提案されている(特許文献3)。この場合、周期構造の凸部の高さを未加工面の高さよりも低く設定するとともに、前記未加工面の形状を周期構造が連通する摺動面周縁全体からの潤滑剤の引き込みを可能とする鋸刃形状の間欠周期構造は、高負荷容量かつ相手攻撃性緩和できるようにしている。

概要

パターニングの自由度を損なうことなく、周期構造の作成時間の短縮化をることができ、生産性に優れた間欠周期構造の作成方法および作成装置を提供する。レーザ集光径繰り返し周波数、及び加工対象物の加工閾値に応じて、同一部分におけるオーバーラップ回数が10〜300ショッ卜の間で一定値になるように、2次元ないしは3次元のガルバノスキャナレーザ走査する位置を偏向制御する。これと同時に、周期構造に方向性を付与するための直線偏光レーザ偏光角度を、走査位置の極座標上の偏角に応じて、偏光回転素子を用いて電気的に追従制御する。

目的

本発明は、上記の課題に鑑みて、パターニングの自由度を損なうことなく、周期構造の作成時間の短縮化を図ることができ、生産性に優れた間欠周期構造の作成方法および作成装置を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

一軸でかつ加工閾値近傍フルエンス直線偏光パルスレーザオーバーラップさせながら集光照射して、入射光P偏光成分加工対象物の表面に沿ったP偏光成分の散乱光干渉部分アブレーションによって、入射光の偏光に直交した、レーザ波長程度に微細凹凸溝を作成する方法であって、レーザ集光径繰り返し周波数、及び加工対象物の加工閾値に応じて、同一部分におけるオーバーラップの回数が10〜300ショッ卜の間で一定値になるように、2次元ないしは3次元のガルバノスキャナレーザ走査する位置を偏向制御すると同時に、周期構造に方向性を付与するための直線偏光レーザ偏光角度を、走査位置の極座標上の偏角に応じて、偏光回転素子を用いて電気的に追従制御して、自己組織的な周期構造の成長を行うことを特徴とする間欠周期構造の作成方法

請求項2

同心円状の周期構造を作成する間欠周期構造の作成方法であって、偏光角度が走査位置の極座標上の偏角と一致するように、レーザの直線偏光を偏光回転素子を用いて追従制御させることを特徴とする請求項1に記載の間欠周期構造の作成方法。

請求項3

放射状の周期構造を作成する間欠周期構造の作成方法であって、偏光角度が走査位置の極座標上の偏角に対して、π/2(rad)の傾きを保つように、レーザの直線偏光を偏光回転素子を用いて追従制御させることを特徴とする請求項1に記載の間欠周期構造の作成方法。

請求項4

スパイラル状の周期構造を作成する間欠周期構造の作成方法であって、周期構造の斜度をa(rad)としたとき、偏光角度が走査位置の極座標上の偏角に対して、(a+π/2)(rad)の傾きを保つように、レーザの直線偏光を偏光回転素子を用いて追従制御させることを特徴とする請求項1に記載の間欠周期構造の作成方法。

請求項5

前記偏光回転素子が、液晶可変リターダポッケルスセルファラデーローラのいずれかで構成されていることを特徴とする請求項2〜請求項4のいずれか1項に記載の間欠周期構造の作成方法。

請求項6

一軸でかつ加工閾値近傍のフルエンスで直線偏光のパルスレーザをオーバーラップさせながら集光照射して、入射光のP偏光成分と加工対象物の表面に沿ったP偏光成分の散乱光の干渉部分のアブレーションによって、入射光の偏光に直交した、レーザ波長程度に微細な凹凸溝を有する自己組織的な周期構造の成長を行う間欠周期構造の作成装置であって、レーザの集光径、繰り返し周波数、及び加工対象物の加工閾値に応じて、同一部分におけるオーバーラップの回数が10〜300ショッ卜の間で一定値になるように、レーザ走査する位置を偏向制御するための2次元ないしは3次元のガルバノスキャナと、周期構造に方向性を付与するための直線偏光レーザの偏光角度を、走査位置の極座標上の偏角に応じて、偏光回転素子を用いて電気的に追従制御する追従制御手段とを備えたことを特徴とする間欠周期構造の作成装置。

技術分野

0001

本発明は、間欠周期構造作成装置および間欠周期構造作成方法に関するものである。

背景技術

0002

加工対象物に一軸のパルスレーザオーラップさせながら照射して、入射光P偏光成分と加工対象物の表面に沿ったP偏光成分の散乱光干渉部分アブレーションによって、入射光の偏光に直交した、レーザ波長程度に微細凹凸溝を作成する方法が知られており、その作成装置が提案されている(特許文献1、非特許文献1)。

0003

潤滑剤下で相対的に摺動する片方の部材に間欠周期構造を形成すると、摩擦低減流体潤滑領域の拡大など、機械的な摺動特性を改善できることが知られている(特許文献2)。また、摺動面周縁に連通して摺動面周縁から潤滑剤の摺動面内方への導入を可能にする周期構造と、周期構造との境界部において摺動方向に圧力勾配を生じさせるレーザ照射しない領域とが、摺動方向に沿って交互に形成されたものも提案されている(特許文献3)。この場合、周期構造の凸部の高さを未加工面の高さよりも低く設定するとともに、前記未加工面の形状を周期構造が連通する摺動面周縁全体からの潤滑剤の引き込みを可能とする鋸刃形状の間欠周期構造は、高負荷容量かつ相手攻撃性緩和できるようにしている。

0004

特許4054330号公報
特許4263185号公報
特許5619937号公報

先行技術

0005

フェムト秒レーザで形成する表面周期構造」(Laser Focus World,2006年10月)

発明が解決しようとする課題

0006

図10に従来の周期構造の作成装置を示す。この作成装置(レーザ表面加工装置)は、レーザ発生器パルスレーザ光源)11と光学系10とを備えている。この作成装置では、レーザ発生器11は、ミラー12により加工材料Wに向けて折り返され、メカニカルシャッタ13に導かれる。レーザ照射時はメカニカルシャッタ13を開放し、レーザ照射強度は1/2波長板14と偏光ビームスプリッタ16によって調整可能とし、1/2波長板15によって偏光方向を調整し、集光レンズ17によって、XYθステージ19上の加工対象物W表面に集光照射することになる。

0007

すなわち、レーザ発生器11で発振した直線偏光レーザを1/2波長板15に透過させ、1/2波長板15の回転角度によってレーザの偏光方向を決定する。周期構造の凹凸溝はレーザの偏光方向に直交して形成されるため、例えば、摺動部品であれば、その相対的な動きの方向に対して、油膜などの流体力学的な作用が低摩擦特性に最適となる方向に凹凸溝が形成されるような偏光角度に固定する。集光レンズ17は、レーザ照射スポットの大きさを定めてフルエンスを調整するものである。主走査であるθ軸方向にレーザ照射スポットが一定量でオーバーラップするように、主走査ステージを一定速度で回転することで、レーザビームの相対的な走査を行って周期構造を作成していた。周期構造の間欠化はレーザ照射しない領域をあらかじめプログラムで設定しておき、当該箇所はメカニカル
ャッタ13を用いてレーザビームを遮光していた。

0008

前記した主走査で作成した周期構造の帯幅(径方向の幅)はレーザ照射スポット径を超えることはない。レーザ照射スポット径よりも大きな形成幅の周期構造を作成したい場合は、レーザ照射スポットを、その1つ前のパルスによるレーザ照射スポット上に含まれるようにオーバーラップさせながら主走査を行って一周目の周期構造の帯を形成した後に、径方向にレーザ照射スポットを移動させて(副走査を行い)、周速度が同じになるように回転速度を制御しながら主走査を行うことで、必要な形成幅に周期構造を拡張していた。

0009

前記定周速度により、ステージの回転速度は加工位置の径長反比例する。外周にいけばいくほどゆっくり回せばよいのでモータ定格速度に対する余力は増すが、加工対象物が大きくなることで慣性モーメン卜も大きくなる。一般に、加工対象物を搭載した慣性モーメントの大きい回転ステージを、レーザの間欠照射に同期して高速かつ無振動駆動制御することは極めて困難であるため、ワーク側を駆動方式では回転ステージを一定速度でしか動かせなかった。すなわち、レーザ照射しない箇所も周期構造形成と同じ速度で空送りする必要があるため加工時間の口スが大きな問題であった。

0010

周期構造の作成技術は加工対象物に方向性を持たせた微細な凹凸溝を形成することで、表面機能を付与する改質技術であるが、レーザ集光スポットを一方向にオーバーラップ走査した軌跡をもって、パターニングを行うために、作成時間の短縮が重要な課題であった。

0011

本発明は、上記の課題に鑑みて、パターニングの自由度を損なうことなく、周期構造の作成時間の短縮化を図ることができ、生産性に優れた間欠周期構造の作成方法および作成装置を提供する。

課題を解決するための手段

0012

本発明の間欠周期構造の作成方法は、一軸でかつ加工閾値近傍のフルエンスで直線偏光のパルスレーザをオーバーラップさせながら集光照射して、入射光のP偏光成分と加工対象物の表面に沿ったP偏光成分の散乱光の干渉部分のアブレーションによって、入射光の偏光に直交した、レーザ波長程度に微細な凹凸溝を作成する方法であって、レーザの集光径繰り返し周波数、及び加工対象物の加工閾値に応じて、同一部分におけるオーバーラップの回数が10〜300ショッ卜の間で一定値になるように、2次元ないしは3次元のガルバノスキャナレーザ走査する位置を偏向制御すると同時に、周期構造に方向性を付与するための直線偏光レーザの偏光角度を、走査位置の極座標上の偏角に応じて、偏光回転素子を用いて電気的に追従制御して、自己組織的な周期構造の成長を行うものである。

0013

本発明によれば、周期構造に方向性を付与するための直線偏光レーザの偏光角度を、ガルバノスキャナによるレーザ走査位置の極座標上の偏角に応じて、パルスレーザの発振周期と同等以上の応答速度で追従制御を行うことで、加工に伴う加工対象物の機械的な動作を排除することができる。

0014

同心円状の周期構造を作成する間欠周期構造の作成方法であって、偏光角度が走査位置の極座標上の偏角と一致するように、レーザの直線偏光を偏光回転素子を用いて追従制御させることも可能である。

0015

放射状の周期構造を作成する間欠周期構造の作成方法であって、偏光角度が走査位置の極座標上の偏角に対して、π/2(rad)の傾きを保つように、レーザの直線偏光を偏光回転素子を用いて追従制御させることも可能である。

0016

スパイラル状の周期構造を作成する間欠周期構造の作成方法であって、周期構造の斜度をa(rad)としたときに、偏光角度が走査位置の極座標上の偏角に対して、(a+π/2)(rad)の傾きを保つように、レーザの直線偏光を偏光回転素子を用いて追従制御させることも可能である。

0017

前記偏光回転素子を、液晶可変リターダポッケルスセル、又はファラデーローテータのいずれかで構成することができる。液晶可変リターダは、電圧印加により複屈折を連続的に可変することができる素子である。ポッケルスセルは、結晶電界印加することにより結晶の屈折率や異方性が変化するというEO効果(electro optic:電気光学効果)を利用した光学素子である。このポッケルスセルに印加される電界を制御することにより、それを透過する光の偏光面を所望の角度だけ回転させることができる。また、ファラデーローテータは、磁界の強さによって偏光面が回転するファラデー効果を利用した光学素子である。コイルに流す電流で磁界の強さを制御することにより、旋光角度を連続的に可変することができる。

発明の効果

0018

本発明では、加工に伴う加工対象物の機械的な動作を排除できる。これにより、レーザ照射しない間欠周期構造領域の空送り箇所のポジショニングが従来方法より格段に速くなる。このため、従来の作成方法に比べて作成時間を短縮することができ生産性に優れたものとなる。しかも、テクスチャパタニング自由度を損なうことはない。

図面の簡単な説明

0019

本発明の実施形態を示す間欠周期構造の作成装置の簡略全体斜視図である。
間欠周期構造からなる流体導入溝付き鋸刃スパイラルパターンを有する摺動面の簡略図である。
前記摺動面に形成した周期構造の拡大図である。
偏光回転素子の配置を示す斜視図である。
印加電圧に対するレーザ波長800nmのリターダンスの変化を示す簡略図である。
間欠周期構造からなる流体導入溝付き鋸刃スパイラルパターンを有する摺動面を形成するための偏光角度と偏角とリターダンスの関係を示す簡略図である。
レーザ照射の1shot目と100shot目と200shot目それぞれの偏角と偏光角度の関係を示す拡大図である。
放射状の間欠周期構造を付与するための偏光角度と偏角とリターダンスの関係を示す簡略図である。
同心円状の間欠周期構造を付与するための偏光角度と偏角とリターダンスの関係を示す簡略図である。
従来の間欠周期構造の作成装置の簡略全体斜視図である。

実施例

0020

以下本発明の実施の形態を図1図9に基づいて説明する。図1は本発明に係る間欠周期構造の作成装置を示し、作成装置は、ワーク(加工材料)Wの摺動面に、流体導入溝付き鋸刃スパイラルパターンとなる間欠周期構造を作成することができる。この場合、摺動面41aにグレーティング状凹凸の周期構造が形成されている周期構造形成部43と、周期構造が形成されない周期構造未形成部48とが設けられる。すなわち、加工材料Wの摺動面41aに、複数の前記周期構造形成部43を有するリング状の周期構造集合部47と、内径側のリング部49と周方向に沿って所定ピッチで配設される複数の周期構造未形成部48とからなる周期構造未形成集合部44とが形成される。この場合、周期構造未形成部48は鋸刃形状としている。すなわち、周期構造未形成部48は、直線状の底辺48aと円弧状の斜辺48bとを備えた複数個扇形状体からなる。

0021

周期構造形成部43の周期構造は図3電子顕微鏡写真に示すように、微小の凹部45と微小の凸部46とが交互に所定ピッチで配設されてなるものである。パルスレーザ光源に中心波長800nm,パルス幅120fs,繰返し周波数1kHz,パルスエネルギー0.25〜400μJ/pulseのチタンサファイアフェムト秒レーザを使用したときの、炭化ケイ素に形成した周期構造のピッチは800nm程度であり周期構造の深さは250nm程度である。また、図3における周期構造は矢印で示す直線偏光によるものである。周期構造は常に直線偏光に直交して形成される。

0022

周期構造形成部43の凹凸ピッチを10μm以下とし、凹部5の深さを1μm以下とするのが好ましい。この場合、周期構造形成部43の凹部45は、ワークWの外周縁(摺動面周縁)41bに連通(開口)し、ワークWの内周縁41cには開口していない。また、周期構造未形成部48の中心角αを例えば、19degとし、隣合う周期構造未形成部48間の間隔の中心角βを例えば、26degとしている。また、周期構造未形成部48の底辺48aと斜辺48bとのコーナ部48cは、ワークWの外周縁よりも内径寄りに配置されている。周期構造形成部43の凹部5はスパイラル状に湾曲し、その湾曲方向が未形成部48の斜辺48bの湾曲方向に合わされている。

0023

また、この場合、周期構造形成部43の摺動方向上流側に流体導入溝30が設けられている。すなわち、流体導入溝30は、未形成部48の円弧状の斜辺48bに沿って形成される円弧状の凹溝であって、加工対象物Wの外周縁41bに開口し、加工対象物の内周縁1cには開口しない。

0024

流体導入溝30の深さ寸法dとしては、周期構造形成部43の凹部深さT1の3倍以上100倍以下としている。例えば、流体導入溝30の幅寸法W1を0.6mm程度、流体導入溝30の深さ寸法dを3μm程度としている。また、流体導入溝30の深さ寸法dとしては、周期構造形成部43の凸部高さ位置Aと未形成部48の高さ位置Bとの高低差Tの3倍以上100倍以下であってもよい。この場合、凹部深さT1と高低差Tとは、同一であっても、T1>Tであっても、T1<Tであってもよい。

0025

ところで、このように摺動面41aに周期構造形成部43が形成された加工対象物Wに対して、他の部材70の摺動面2aが、潤滑剤を介して重ね合わせた状態で、相対的に摺動するものである。この流体導入溝30を設けることによって、高速・低荷重時において流体導入溝30による動圧が効率的に発生する。なお、流体導入溝30がない場合、周期構造の摺動方向上流側に負圧領域が発生する場合があるが、流体導入溝30を設けることで負圧領域が消滅し、負荷容量を大幅に増加することができる。このため、流体導入溝30を設けることによって、優れた流体混合潤滑特性を備えることになる。

0026

すなわち、流体導入溝30は高速時や低荷重時に動圧が効率的に発生する流体導入溝であり、周期構造部の摺動方向上流側に負圧領域が発生した場合のキャビテーション低減を目的としたものである。

0027

前記流体導入溝30の深さとしては、前記したように、周期構造形成部43の凹部深さT1の3倍以上100倍以下とするのが好ましい。溝深さが油膜厚さと同程度のとき負荷容量が最大となるため、周期構造形成部43による負荷容量は油膜厚さがミクロンオーダになると急激に低下する。このときポンピング効果を有する流体導入溝30の深さをこのように設定することによって、油膜厚さがミクロンオーダになった場合でも、油膜保持に十分な負荷容量を得ることができる。流体導入溝30の深さが周期構造形成部43の凹部深さの3倍未満では、高速・低荷重時の摩擦係数低減効果が小さくなり、負圧領域の解消にも支障がでる。また、流体導入溝30の深さが周期構造形成部43の凹部深さの100
倍を越えると、ミクロンオーダの油膜厚さで負荷容量がほとんど得られなくなる。このため、流体導入溝30の深さを前記した深さに設定すれば、高速・低荷重時の摩擦係数を低減でき、しかも、ミクロンオーダの油膜厚さで負荷容量を得ることができる。

0028

図1に示す間欠周期構造の作成装置は、パルスレーザ光源51と、スキャナミラー57を有するY軸ガルバノスキャナ56と、スキャナミラー59を有するX軸ガルバノスキャナ58と、fθレンズ60とを備える。パルスレーザ光源51とY軸ガルバノスキャナ56との間に、ビームエキスパンダ52と、ミラー53と、偏光回転素子54と、1/4波長板55とが介在されている。

0029

また、偏光回転素子54には、偏光回転素子駆動手段である偏光回転素子駆動回路65が接続され、Y軸ガルバノスキャナ56及びX軸ガルバノスキャナ58には、偏光制御手段である偏光制御回路66及び間欠制御手段である間欠制御回路67が接続されている。

0030

ところで、微細な形状寸法の周期構造をシャープに形成するためには、加工時の熱影響が小さいことが望ましい。このため、レーザ光源51のパルス幅は、ピコ秒又はフェムト秒オーダ超短パルスが好ましい。この実施形態のパルスレーザ光源51には、フェムト秒レーザ光源(例えば、パルス幅:120fs、中心波長800nm、繰り返し周波数:1kHz、パルスエネルギー:0.25〜400μJ/pulseのレーザを発生することが可能な光源)を使用した。そして、加工閾値近傍の照射強度で直線偏光のレーザを照射し、その照射部分をオーバーラップさせながら走査して、自己組織的に形成している。

0031

カルバノスキャナ56、58はモータ回転軸の先端に取り付けたスキャナミラー(軽量ミラー)57、59を用いて、レーザ光を高速かつ高精度に走査する偏向装置である。なお、カルバノスキャナ56、58にはアナログタイプデジタルタイプのものがあるが、本発明においては、いずれのタイプも用いることができる。

0032

カルバノスキャナ56、58を用いて、あらかじめ作成したベクトルデータに基づいてレーザ走査する位置を偏向制御するとともに、間欠制御回路67により所定位置にだけレーザ照射するようにパルスレーザ光源51に内蔵するポッケルスセルの切り出し信号を制御して間欠周期構造を作成した。ポッケルスセルはリン酸重水素化カリウムKDPなどの電気光学結品で構成した変調素子である。

0033

カルバノスキャナ56はY軸の位置を偏向し、カルバノスキャナ58はX軸の位置を偏向する。図1は加工対象物Wの加工対象面平坦な場合の2次元走査の形態である。なお、加工対象面が立体である場合はZ軸用のスキャナを追加配置して3次元走査の形態をとることができる。このため、本願発明においては、カルバノスキャナ56、58として、2次元ないし3次元のものを用いることができる。

0034

fθレンズ60はスキャナの回転角ビームの偏向の関係が線形になるように設計した多群の組合せレンズである。焦点距離は40mmから400mmが望ましい。図1では焦点距離160mmのレンズを用いた。このときのビームの集光径は30μmであった。また、加工対象物は外径50mmの円盤形状の炭化ケイ素からなる。ビームエキスパンダ52は、スキャナ用ミラー57、58のアパーチャに適した大きさにレーザのビーム径を調整するために使用した。ミラー53は偏光回転素子への入射レーザ光軸を調整するためのものである。

0035

偏光回転素子54は電圧印加により複屈折を連続的に可変することができる液晶可変リターダである。液晶素子ホモニアス型である。ホモジニアス型液品素子はITO(Indium Tin Oxide:酸化インジウム錫電極への印加電圧に応じて液品分
子の長軸が電極に対して垂直に立ち上がって配向するため、複屈折が減少してリターダンスが低下する。図4のように、偏光回転素子54は入射するレーザの偏光に対してπ/4傾けて配置しておく。偏光回転素子54のリターダンスによって通過後のレーザは一般に楕円偏光となる。また、あらかじめ1/4波長板55は入射するレーザの偏光に対してSLOW軸を一致させて配置しておく。これにより楕円偏光が1/4波長板55を通過することで元の直線偏光に戻る。

0036

偏光回転素子54によるリターダンスをδとすると直線偏光の回転量θはθ=δ/2となる。印加電圧に対するリターダンスの変化を図5に示す。リターダンスの変化量は印加電圧1Vから4Vで使用レーザ波長の1波長分の2π(rad)である。よって直線偏光の回転量θはπである。周期構造の方向性付与にはπの直線偏光の回転量があればよい。直線偏光の回転量θの分解能を1度として、図5を元に直線偏光の回転量がθ=0からπまでの180点の印加電圧とリターダンスの校正テーブルを偏光回転素子駆動回路65に記憶させた。

0037

図6に間欠周期構造からなる流体導入溝付き鋸刃スパイラルパーンを有する摺動面を形成するための偏光角度と偏角θとリターダンスδの関係を示す。偏光回転素子54に入射するレーザの偏光はπ/2とした。鋸刃スパイラルの斜度a=−π/4のとき、偏角θ=0の出射偏光をπ/4に回転させるためのリターダンスはδ=(θ-a+π/2)×-2で求められる。直交座標系でティーチングするガルバノスキャナによるレーザ走査の現在位置(x,y)から偏角θ=tan-1(y/x)を偏光制御回路66で求めてリターダンスを追従制御させた。

0038

図7にレーザ照射の1shot目と100shot目と200shot目とのそれぞれの偏角と偏光角度の関係を詳細に示す。ここで指定するパラメータは円弧の半径開始点終了点、及び周期構造の斜度である。ガルバノスキャナ56、57はレーザ走査の開始から終了位置までの円弧の軌跡を等速走査するように2軸のベクトルデータを計算して動作させる。同時にレーザ照射の開始位置が(x,0)のとき偏角は0°で出射偏光は45°なので、校正テーブルを元に1shot目のリターダンスを90°に追従させる。

0039

100shot目でレーザ照射位置が偏角1°とすれば、出射偏光を46°に回転するためにリターダンスを92°に追従させる。同様に200shot目でレーザ照射位置が偏角2°とすれば、出射偏光を47°に回転するためにリターダンスを94°に追従させる。

0040

使用レーザ1波長分のリターダンスの10%から90%変化に要する時間を応答速度とすれば、ホモジニアス型液品素子の応答速度は数100Hzである。これは使用したパルスレーザ光源の繰返し周波数1kHzには及ばないものの、偏光ズレの影響は同一部分におけるオーバーラップの回数が10〜300ショッ卜という周期構造形成の構成要件により緩和される。すなわち、書き出しの数ショットが意図する偏光方向とズレていても形成された周期構造の方向性は追従後の偏光が支配的であった。

0041

リターダの応答速度は、液晶可変リターダであれば強誘電液晶素子で10kHzのものが市販されている。さらに、ポッケルスセルやファラデーローテータを偏光回転素子に用いれば数100kHzの応答速度に対応できる。この場合、印加電圧に数kVの高電圧が必要となる。ポッケルスセルは、結晶に電界を印加することにより結晶の屈折率や異方性が変化するというEO効果(electro optic:電気光学効果)を利用した光学素子である。このポッケルスセルに印加される電界を制御することにより、それを透過する光の偏光面を所望の角度だけ回転させることができる。また、ファラデーローテータは、磁界の強さによって偏光面が回転するファラデー効果を利用した光学素子である。コイルに流す電
流で磁界の強さを制御することにより、旋光角度を連続的に可変することができる。

0042

流体導入溝30は周期構造の形成条件よりも4倍の累積照射エネルギーを与えて、深さを周期構造の3倍以上とした。このとき、流体導入溝の底面にはスパイラル状に周期構造が形成されていた。

0043

図8に放射状の間欠周期構造を付与するための偏光角度と偏角とリターダンスの関係を示す。放射状の周期構造を付与するためには、偏光角度が走査位置の極座標上の偏角と常にπ/2(rad)の傾きを保つように、レーザの直線偏光を偏光回転素子を用いて追従制御させる。

0044

図9に同心円状の間欠周期構造を付与するための偏光角度と偏角とリターダンスの関係を示す。同心円状の周期構造を付与するためには、偏光角度が走査位置の極座標上の偏角と常に一致するように、レーザの直線偏光を偏光回転素子を用いて追従制御させる。

0045

このように、本発明では、周期構造に方向性を付与するための直線偏光レーザの偏光角度を、走査位置の極座標上の偏角に応じて、偏光回転素子を用いて電気的に追従制御する追従制御手段とを備えたものである。この追従制御手段として、偏光回転素子制御回路65と、偏光制御回路66と、間欠制御回路67とで構成できる。

0046

本発明によれば、周期構造に方向性を付与するための直線偏光レーザの偏光角度を、ガルバノスキャナによるレーザ走査位置の極座標上の偏角に応じて、パルスレーザの発振周期と同等以上の応答速度で追従制御を行うことで、加工に伴う加工対象物の機械的な動作を排除することができる。これにより、レーザ照射しない間欠周期構造領域の空送り箇所のポジショニングが従来方法より格段に速くなる。このため、従来の作成方法に比べて作成時間を短縮することができ生産性に優れたものとなる。しかも、テクスチャのパタ一ニング自由度を損なうことはない。

0047

以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく種々のパターニングの変形が可能である。また、加工対象物としては、炭素鋼、銅、アルミニウム白金超硬合金等の各種金属や、シリコンウエハや炭化ケイ素などの半導体セラミックスなどであってもよい。

0048

54偏光回転素子
56、58カルバノスキャナ
W 加工対象物

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