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技術 沸騰水型原子炉の炉心、燃料集合体およびチャンネルボックスならびにその耐震性を向上させる方法

出願人 株式会社グローバル・ニュークリア・フュエル・ジャパン
発明者 後藤大輔
出願日 2015年7月30日 (4年10ヶ月経過) 出願番号 2015-150200
公開日 2017年2月9日 (3年4ヶ月経過) 公開番号 2017-032324
状態 特許登録済
技術分野 原子炉燃料及び部品の製造
主要キーワード 内側対 たる板 バイパス領域 断面平均 一次近似式 軸方向分布 運転余裕 円管形状
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (14)

課題

基本設計における炉心特性を大きく変更することなく、燃料集合体耐震性を向上させる方法および方法を用いたチャンネルボックス、燃料集合体および炉心を提供する。

解決手段

沸騰水型原子炉の燃料集合体のチャンネルボックスを、内幅D<134(mm)かつ次式を満たす板厚T(mm)のチャンネルボックスに変更する。BWR2、BWR3またはBWR4の炉心用の燃料集合体の場合は、66.10−0.478×D≦T≦111.02−0.813×D、BWR5あるいはABWRの炉心用の燃料集合体の場合は、63.81−0.457×D≦T≦114.88−0.838×D。

概要

背景

日本国内に設置されている沸騰水型原子炉BWR)には、BWR2、BWR3、BWR4、BWR5およびABWRの5炉型が存在する。これらの炉型で使用される燃料集合体の代表的な例を図3に示す。図3(a)に示した燃料集合体11は、縦横方向にそれぞれ8本の燃料棒16を配列した8×8燃料である。燃料集合体11は、核分裂性物質を内包し円管内に密封した複数の燃料棒16と、内部を減速材軽水)が流れる円管形状ウォータロッド17と、燃料棒16およびウォータロッド17を囲む正方角管形状をなすチャンネルボックス15とを備える。図3(b)は別のタイプの燃料集合体12で、縦横方向にそれぞれ9本の燃料棒16を配列した9×9燃料タイプAの燃料集合体である。燃料集合体12も、燃料棒16と2つの円管形状のウォータロッド17とを正方角管形状をなすチャンネルボックス15で包囲する構成となっている。図3(c)はさらに別のタイプの9×9燃料(9×9燃料タイプB)の燃料集合体13で、ウォータロッド17が角管形状となっている。この他にも、燃料集合体には様々な構造が存在し、ウォータロッド17を有しないものや、ウォータロッド17が中央部ではなく偏った位置に配置されているもの、日本国外で使用されている10×10燃料や11×11燃料もある。

原子炉炉心は、上述した外形が角管形状の燃料集合体を、要求される原子炉出力に応じた体数だけ、1〜2cm程度の間隔をあけて正方配列に並べたものである。図4に代表的な炉心の構造を示す。炉心10は、2行2列の4体の燃料集合体14の配列を1組としてその中央に十字型制御棒18を挿入できるようになっている。以上は、上述した5炉型に共通な基本構造であるが、各炉型には、開発された当初に設計された出力密度炉心冷却材流量、制御棒系の構造に応じて、炉心特性が適切になるように、格子形状やチャンネルボックス板厚基本設計が選択されている。表1に各炉型における基本設計を示す(非特許文献1、2)。

ここで、格子形状とは、燃料集合体の中心間距離と、チャンネルボックス内幅とに着目した分類である。すなわち、図5に示すように、燃料集合体の中心間距離とは、縦方向または横方向に隣接する燃料集合体の中心間の距離であり、C/S/N格子では一定だが、D格子では2つの異なる中心間距離(中心間距離1と中心間距離2)が交互に配置されている。チャンネルボックス内幅とは、燃料集合体チャンネルボックスの内側対面間の距離であり、D/C/N格子では約134mm、S格子では約132.5mmとなっている。

また、チャンネルボックス板厚は、BWR2、BWR3、BWR4は約2.0mm、BWR5は約2.5mmである。ABWRのチャンネルボックス板厚は、約2.5mmとなっている。

ところで、原子力発電所立地点により、設計上想定すべき地震動に対する炉心・燃料集合体の応答が、耐震上の設計基準を満たす必要がある。チャンネルボックス軸方向の剛性炉心内での核的な影響は、ほぼチャンネルボックスの断面積によって決まるため、板厚が同じチャンネルボックスであればほぼ同等の耐震強度や炉心運転特性を有することになる。したがって、耐震性を向上させるためには、チャンネルボックスを基本設計よりも厚くすればよい。

ところが、このようにチャンネルボックス板厚を増加すると、炉心内の減速材量が変化するために、炉心の特性に大きな影響が生ずる。このような影響を抑えるためには、炉心特性が適切になるように、格子形状などを新たに設計し直せばよいが、新たな設計には膨大な時間と費用が必要となる。また、設計変更に合わせて製造設備にも大幅な変更が必要となる。また、既存の原子力発電所の耐震基準が、種々の要因により変更されることがあるが、変更のたびにこれまでの設備を大幅に変更することは現実的ではない。

そこで、基本設計における炉心特性を大きく変更することなく、燃料集合体の耐震性を向上させることが可能な技術が求められていた。

概要

基本設計における炉心特性を大きく変更することなく、燃料集合体の耐震性を向上させる方法および方法を用いたチャンネルボックス、燃料集合体および炉心を提供する。沸騰水型原子炉の燃料集合体のチャンネルボックスを、内幅D<134(mm)かつ次式を満たす板厚T(mm)のチャンネルボックスに変更する。BWR2、BWR3またはBWR4の炉心用の燃料集合体の場合は、66.10−0.478×D≦T≦111.02−0.813×D、BWR5あるいはABWRの炉心用の燃料集合体の場合は、63.81−0.457×D≦T≦114.88−0.838×D。

目的

かかる変更により、過度に炉心特性を悪化させることなく、チャンネルボックスの板厚を増加させることができ、好適な安全性、経済性運転性を有するBWR燃料集合体および炉心を提供する

効果

実績

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請求項1

沸騰水型原子炉のうちBWR5またはABWRの炉心装荷される燃料集合体チャンネルボックスであって、前記チャンネルボックスの内側対面間の距離をD(mm)、チャンネルボックスの板厚をT(mm)としたとき、D<134、かつ、63.81−0.457×D ≦ T ≦114.88−0.838×Dを満たす、チャネルボックス

請求項2

沸騰水型原子炉のうちBWR2、BWR3またはBWR4の炉心に装荷される燃料集合体のチャンネルボックスであって、前記チャンネルボックスの内側対面間の距離をD(mm)、チャンネルボックスの板厚をT(mm)としたとき、D<134、かつ、66.10−0.478×D ≦ T ≦111.02−0.813×Dを満たす、チャネルボックス。

請求項3

前記チャンネルボックスの内側対面間の距離Dが132≦D≦133である、請求項1または2に記載の、チャネルボックス。

請求項4

請求項1乃至3に記載のチャネルボックスに包囲された、燃料集合体。

請求項5

請求項4に記載の燃料集合体を装荷した、沸騰水型原子炉の炉心。

請求項6

沸騰水型原子炉のうちBWR5またはABWRの炉心に装荷される燃料集合体の耐震性を向上させる方法であって、前記燃料集合体を包囲するチャンネルボックスの内側対面間の距離をD(mm)および板厚をT(mm)を変更するステップを含み、変更後の前記チャンネルボックスが、D<134、かつ、63.81−0.457×D ≦ T ≦114.88−0.838×Dを満たす、方法。

請求項7

沸騰水型原子炉のうちBWR2、BWR3またはBWR4の炉心に装荷される燃料集合体の耐震性を向上させる方法であって、前記燃料集合体を包囲するチャンネルボックスの内側対面間の距離をD(mm)および板厚をT(mm)を変更するステップを含み、変更後の前記チャンネルボックスが、D<134、かつ、66.10−0.478×D ≦ T ≦111.02−0.813×Dを満たす、方法。

技術分野

0001

本発明は、沸騰水型原子力発電プラントで使用される炉心燃料集合体およびチャンネルボックス、ならびにその耐震性を向上させる方法に関し、特に炉心特性を大きく変更することなく燃料集合体の耐震性を向上させた炉心、燃料集合体およびチャンネルボックス等に関する。

背景技術

0002

日本国内に設置されている沸騰水型原子炉BWR)には、BWR2、BWR3、BWR4、BWR5およびABWRの5炉型が存在する。これらの炉型で使用される燃料集合体の代表的な例を図3に示す。図3(a)に示した燃料集合体11は、縦横方向にそれぞれ8本の燃料棒16を配列した8×8燃料である。燃料集合体11は、核分裂性物質を内包し円管内に密封した複数の燃料棒16と、内部を減速材軽水)が流れる円管形状ウォータロッド17と、燃料棒16およびウォータロッド17を囲む正方角管形状をなすチャンネルボックス15とを備える。図3(b)は別のタイプの燃料集合体12で、縦横方向にそれぞれ9本の燃料棒16を配列した9×9燃料タイプAの燃料集合体である。燃料集合体12も、燃料棒16と2つの円管形状のウォータロッド17とを正方角管形状をなすチャンネルボックス15で包囲する構成となっている。図3(c)はさらに別のタイプの9×9燃料(9×9燃料タイプB)の燃料集合体13で、ウォータロッド17が角管形状となっている。この他にも、燃料集合体には様々な構造が存在し、ウォータロッド17を有しないものや、ウォータロッド17が中央部ではなく偏った位置に配置されているもの、日本国外で使用されている10×10燃料や11×11燃料もある。

0003

原子炉の炉心は、上述した外形が角管形状の燃料集合体を、要求される原子炉出力に応じた体数だけ、1〜2cm程度の間隔をあけて正方配列に並べたものである。図4に代表的な炉心の構造を示す。炉心10は、2行2列の4体の燃料集合体14の配列を1組としてその中央に十字型制御棒18を挿入できるようになっている。以上は、上述した5炉型に共通な基本構造であるが、各炉型には、開発された当初に設計された出力密度炉心冷却材流量、制御棒系の構造に応じて、炉心特性が適切になるように、格子形状やチャンネルボックス板厚基本設計が選択されている。表1に各炉型における基本設計を示す(非特許文献1、2)。

0004

0005

ここで、格子形状とは、燃料集合体の中心間距離と、チャンネルボックス内幅とに着目した分類である。すなわち、図5に示すように、燃料集合体の中心間距離とは、縦方向または横方向に隣接する燃料集合体の中心間の距離であり、C/S/N格子では一定だが、D格子では2つの異なる中心間距離(中心間距離1と中心間距離2)が交互に配置されている。チャンネルボックス内幅とは、燃料集合体チャンネルボックスの内側対面間の距離であり、D/C/N格子では約134mm、S格子では約132.5mmとなっている。

0006

また、チャンネルボックス板厚は、BWR2、BWR3、BWR4は約2.0mm、BWR5は約2.5mmである。ABWRのチャンネルボックス板厚は、約2.5mmとなっている。

0007

ところで、原子力発電所立地点により、設計上想定すべき地震動に対する炉心・燃料集合体の応答が、耐震上の設計基準を満たす必要がある。チャンネルボックス軸方向の剛性炉心内での核的な影響は、ほぼチャンネルボックスの断面積によって決まるため、板厚が同じチャンネルボックスであればほぼ同等の耐震強度や炉心運転特性を有することになる。したがって、耐震性を向上させるためには、チャンネルボックスを基本設計よりも厚くすればよい。

0008

ところが、このようにチャンネルボックス板厚を増加すると、炉心内の減速材量が変化するために、炉心の特性に大きな影響が生ずる。このような影響を抑えるためには、炉心特性が適切になるように、格子形状などを新たに設計し直せばよいが、新たな設計には膨大な時間と費用が必要となる。また、設計変更に合わせて製造設備にも大幅な変更が必要となる。また、既存の原子力発電所の耐震基準が、種々の要因により変更されることがあるが、変更のたびにこれまでの設備を大幅に変更することは現実的ではない。

0009

そこで、基本設計における炉心特性を大きく変更することなく、燃料集合体の耐震性を向上させることが可能な技術が求められていた。

先行技術

0010

HLR−049『沸騰水型原子力発電所炉心燃料格子形状』、平成6年4月、株式会社日立製作
TLR−056『沸騰水型原子力発電所 炉心燃料格子形状』、平成6年4月、株式会社 東芝

0011

沸騰水型原子炉の燃料集合体のチャンネルボックスを、チャンネルボックスの内幅D<134(mm)かつ炉型によって分類された次式を満たす板厚T(mm)のチャンネルボックスに変更する。すなわち、BWR2、BWR3またはBWR4の炉心用の燃料集合体の場合は、66.10−0.478×D ≦ T ≦111.02−0.813×D、BWR5あるいはABWRの炉心用の燃料集合体の場合は、63.81−0.457×D ≦ T ≦114.88−0.838×Dを満たすチャンネルボックスに変更する。

0012

かかる変更により、過度に炉心特性を悪化させることなく、チャンネルボックスの板厚を増加させることができ、好適な安全性、経済性運転性を有するBWR燃料集合体および炉心を提供することが可能となる。

0013

この際、D=132.5mmである既存のS格子用のチャンネルボックスの板厚を増加したものをD/C/N格子のチャンネルボックスとして利用することにより、設計負担や製造設備の変更を抑えつつ、耐震性の高い燃料集合体および炉心を提供することができる。なお、チャンネルボックス内幅の変更は、基本設計から通常0.5mm程度にとどめることが望ましいことから、変更後のチャンネルボックスの内幅は132≦D≦133となる。

図面の簡単な説明

0014

本発明に係るチャンネルボックス内幅Dと板厚Tの関係を示した図である。
本発明に係るチャンネルボックス内幅Dと板厚Tの関係を示した図である。
代表的な燃料集合体の概略構成図である。
代表的な炉心の概略構成図である。
格子形状の説明図である。
チャンネルボックス板厚増加幅ボイド係数絶対値の増加幅の関係を示した図である。
本発明に係る、チャンネルボックス内幅Dと板厚Tの関係を示した図である。
本発明に係る、チャンネルボックス内幅Dと板厚Tの関係を示した図である。
ボイド率軸方向分布の説明図である。
相対減速材密度の軸方向分布の説明図である。
チャンネルボックス板厚増加幅と沸騰領域面積割合の関係を示した図である。
本発明に係る、チャンネルボックス内幅Dと板厚Tの関係を示した図である。
本発明に係る、チャンネルボックス内幅Dと板厚Tの関係を示した図である。

実施例

0015

耐震性を向上させるためにチャンネルボックス板厚を増加すると、炉心の特性に大きな影響を与える。本発明者は、この影響は主に2つの要素からなることを見出した。

0016

まず第1の要素は、炉心の過渡的特性に大きな影響を持つボイド反応度係数の上昇と、圧力損失の増加である。BWR炉心においては、減速材(軽水)を利用して核分裂で発生した中性子減速し、主に熱中性子とした後に次の核分裂反応生起させている。従って、減速材量が減少すると、中性子減速が緩慢になり、熱中性子になる前に核分裂を起こさない反応(U238の共鳴吸収反応など)で中性子が吸収される割合が増加し、炉心の反応度が減少する。従ってチャンネルボックス板厚が増加すれば、燃料集合体間の減速材量が減少して炉心反応度が減少する。

0017

さらに、減速材が十分に存在する場合には、減速材量が多少変化しても炉心の反応度はあまり変化しないが、減速材量が少ない場合には減速材量の変化に対して炉心反応度がより敏感に変化する。従って、チャンネルボックス板厚を増加した場合、初期状態として減速材量は減少しているので、この状態から燃料集合体内の冷却材(減速材)ボイド率が変化すると、炉心反応度の変化が大きくなる。この炉心反応度変化とボイド率変化の比をボイド反応度係数という。ボイド率が大きい側に変化すると減速材量が減少し、炉心反応度が減少するので、ボイド反応度係数(ボイド係数)は一般に負の値となる。従って、チャンネルボックス板厚を増加すると、ボイド反応度係数は(負で)絶対値が増加する。これにより、一般にBWRの運転中における圧力上昇を伴う過渡変化の結果を厳しくしたり、特殊な運転条件における炉心運転状態の不安定現象を助長したりするため、チャンネルボックス板厚を増加する際の問題点となる。

0018

図6に、チャンネルボックス板厚の増加幅とボイド係数絶対値の増加幅の関係を示す。図6において、チャンネルボックス内幅が「標準」と付記された線31は、ABWR(N格子)に、チャンネルボックス内幅が基本設計どおりの約134mmの8×8燃料を装荷した場合について、チャンネルボックス板厚を基本設計である約2.5mmから変化させて、その増加幅に対するボイド係数絶対値の増加幅を相対値(%)で示したものである(したがって原点は基本設計30である)。前述したようにチャンネルボックス板厚が増加するに従い、ボイド係数絶対値も増加する。図中その他の線32〜35は、チャンネルボックス内幅を基本設計の約134mmからそれぞれ−1mmから−4mmまで1mmずつ変化させて約133mm〜約130mmとした場合について、チャンネルボックス板厚増加に対するボイド係数絶対値の増加幅を示したものである。このようにチャンネルボックス内幅を減少させるとボイド係数絶対値は減少する効果がある。

0019

従って、チャンネルボックス板厚を増加させると同時にチャンネルボックス内幅を減少させると、ボイド係数を一定に保つことができる。例えば図6では、各チャンネルボックス内幅に対する直線が、ボイド係数絶対値の増加が0となる横軸と交わった点がこれに相当し、ボイド係数は基本設計とほぼ同じ値に保たれる。このように、ボイド係数の値が基本設計と等しく一定となるようなチャンネルボックス内幅とチャンネルボックス板厚の関係を、各炉型・燃料タイプごとにプロットした結果を、図7および8に示す。

0020

図7は、炉型としてBWR5とABWR、燃料として8×8燃料と9×9燃料タイプAの組み合わせについて示したもので、基本設計24は、チャンネルボックス内幅約134mm、チャンネルボックス板厚約2.5mmである。凡例には、それぞれの組み合わせに対する一次近似式を示す。図から明らかなように、ボイド係数の値が一定となるチャンネルボックスの内幅D(mm)と板厚T(mm)の組み合わせは、炉型や燃料タイプによらず、高い相関関係があり、近似直線よりチャンネルボックス板厚が増加すると、ボイド係数の絶対値が増加する。

0021

ここで、チャンネルボックス内幅を減少すればボイド係数の絶対値を小さくすることができるが、一方で圧力損失が増大する。したがって、耐震性能を向上させるためにチャンネルボックス板厚を厚くする場合、両者のバランスを考慮して設計を行う必要がある。この観点からボイド係数絶対値を基本設計(すなわち最も下側の近似線であるBWR5、8×8燃料の近似直線22上の点)より低下させるまでにチャンネルボックス内幅を減少するような設計は明らかに適切でない。つまり、耐震性能を向上させるために基本設計と異なる板厚とする場合には、チャンネルボックス内幅・板厚が大きい側(すなわち白抜矢印の側)にずれるように設計するのが適当である。すなわち、T≧63.81−0.457×Dとなるように設計するのが適当である。

0022

図8は、炉型としてBWR2、BWR3、BWR4、燃料として8×8燃料と9×9燃料タイプAの組み合わせについて、ボイド係数が基本設計14と同じで一定となる近似直線を示したものである。凡例には、それぞれの組み合わせに対する一次近似式を示す。基本設計14は、チャンネルボックス内幅約134mm、チャンネルボックス板厚約2.0mmである。図8においても、やはりボイド係数一定となる点は燃料タイプによらず、高い相関関係があることがわかる。炉型がBWR2、BWR3、BWR4の場合も、耐震性能を向上させるために基本設計と異なる板厚とする場合には、少なくとも最も下側の近似線である8×8燃料の近似直線12よりもチャンネルボックス内幅・板厚が大きい側(すなわち白抜矢印の側)にずれるように設計するのが適当である。すなわち、T≧66.10−0.478×Dとなるように設計するのが適当である。

0023

チャンネルボックス板厚を増加した場合の影響に関する第2の要素は、炉心内冷却材量の軸方向(上下方向)分布の変化に関する。すなわち、チャンネルボックス板厚を増加すると、減速材が沸騰していない燃料集合体外部の領域が減少する。つまり相対的には、全減速材体積に占める沸騰領域の割合が増加し、炉心内のボイド率分布出力分布に及ぼす影響が大きくなる。図9に炉心下部から上部までの軸方向高さと、ボイド率との関係を示す。図の左端が炉心の燃料有効長下端、右端が燃料有効長上端を示している。炉心下方から流入した冷却材(減速材)のうち、燃料集合体と燃料集合体の間隙バイパス領域)や、燃料集合体内のウォータロッドを流れるものは基本的に沸騰しないが、それ以外の燃料集合体内を流れる冷却材は沸騰し、燃料集合体上方へ流れるにしたがってボイド率は高くなっている。このため、チャンネルボックス板厚を増加することで、下部に比べて上部の反応度のほうが大きく減少し、炉心軸方向出力分布はより下方に歪みやすくなる。このことは炉心の熱的な運転余裕を減少させ、また炉心運転状態の不安定現象を助長する側にも影響する。

0024

図10に、このボイド率分布に対応した軸方向各断面平均の減速材密度の分布を示す。減速材密度はボイド率が0のときの値を1.0として規格化している。図10はABWR(N格子)に8×8燃料を装荷した場合の減速材密度相対分布であり、基本設計であるチャンネルボックス板厚約2.5 mmの場合を実線41で示している。これに対し、チャンネルボックス内幅を変えずにチャンネルボックス板厚を3.5mmとした場合の減速材密度相対分布を破線42で示す。チャンネルボックス板厚を3.5mmとした場合、相対的に燃料集合体上部における減速材密度が減少することから、炉心上部の反応度が下部よりも大きく低下し、炉心の軸方向出力分布は下方に歪むことになる。このことは、炉心下方において燃料棒の単位長さ当たりの出力(線出力密度)を増加し運転余裕が減少することを意味する。また燃料集合体の水力学的定性も悪化する。

0025

チャンネルボックス板厚を増加した場合でも、軸方向の減速材密度相対分布を基本設計と同じに維持するためには、チャンネルボックス内幅を調節して、断面中の全減速材面積に対する沸騰領域の減速材面積割合を基本設計と等しくする必要がある。図11に、チャンネルボックス板厚の増加幅と沸騰領域の減速材面積割合の関係を示す。図11において、チャンネルボックス内幅が「標準」と付記された線51は、ABWR(N格子)に、チャンネルボックス内幅が基本設計どおりの約134mmの8×8燃料を装荷した場合について、チャンネルボックス板厚を基本設計である約2.5mmから変化させて、その増加幅に対する沸騰領域の減速材面積割合を示したものである(基本設計の設計点は点50である)。前述したようにチャンネルボックス板厚が増加するに従い、沸騰領域の減速材面積割合も増加する。図11におけるその他の線52〜55は、チャンネルボックス内幅を基本設計の約134mmからそれぞれ−1mmから−4mmまで1mmずつ変化させて約133mm〜約130mmとした場合について、チャンネルボックス板厚増加に対する沸騰領域の減速材面積割合の変化を示したものである。チャンネルボックス板厚を増加すると沸騰領域の面積割合は増加するが、内幅を減少すれば当然減少するため、この組み合わせによって基本設計と等しい面積割合とすることができる。例えば、図10で示したチャンネルボックス板厚が3.5mm(すなわち、チャンネルボックス板厚増加幅は約1mm)の場合、チャンネルボックス内幅を基本設計より約1.3mm減少させれば、沸騰領域の面積割合は基本設計と等しくなり、減速材密度相対分布は図10の実線41と一致することがわかった。このように、沸騰領域の面積割合が基本設計と等しく一定となるような、チャンネルボックス内幅とチャンネルボックス板厚の関係を図12および図13に示す。

0026

図12は炉型としてBWR5とABWR、燃料として8×8燃料、9×9燃料タイプA、9×9燃料タイプBの組み合わせについて、チャンネルボックス内幅とチャンネルボックス板厚の関係を示したもので、基本設計24は、チャンネルボックス内幅約134mm、チャンネルボックス板厚約2.5mmである。凡例には、それぞれの組み合わせに対する一次近似式を示す。図12から明らかなように、沸騰領域の面積割合が一定となるチャンネルボックスの内幅D(mm)と板厚T(mm)の組み合わせは、炉型や燃料タイプによらず、高い相関関係がある。近似直線よりチャンネルボックス内幅・板厚が大きい側では炉心軸方向出力分布が下方に歪む傾向が大きくなり、炉心の運転性に悪影響を及ぼす。逆にチャンネルボックス内幅・板厚が小さい側(白抜き矢印の方向)では、基本設計に比べて炉心軸方向出力分布が上方に歪む傾向が出てくる可能性がある。

0027

一般にBWR炉心では前述したボイド率分布の影響で、炉心軸方向出力分布が下方に歪む傾向が強く、これを燃料の濃縮度分布、可燃性毒物分布、挿入制御棒の調整などにより調整して下方への歪みの抑えている構成となっていることから、軸方向出力分布が過度に上方に歪まないようにすることは容易である。したがって、耐震性能を向上させるために基本設計と異なる板厚とする場合には、少なくとも最も上側に位置する近似線であるABWR、9×9燃料タイプBの近似直線21より、チャンネルボックス内幅・板厚が小さい側(すなわち白抜矢印の側)にずれるように設計するのが適当である。すなわち、114.88−0.838×Dとなるように設計するのが適当である。

0028

図13は炉型としてBWR2、BWR3、BWR4、燃料として8×8燃料、9×9燃料タイプA、9×9燃料タイプBの組み合わせについて示したものである。基本設計14は、チャンネルボックス内幅約134mm、チャンネルボックス板厚約2.0mmである。凡例には、それぞれの組み合わせに対する一次近似式を示す。図13においても、沸騰領域の面積割合が一定となるチャンネルボックスの内幅D(mm)と板厚T(mm)の組み合わせは、炉型や燃料タイプによらず、高い相関関係がある。炉型がBWR2、BWR3、BWR4の場合も、耐震性能を向上させるために基本設計と異なる板厚とする場合には、少なくとも最も上側に位置する近似線である9×9燃料タイプBの近似直線11より、チャンネルボックス内幅・板厚が小さい側(すなわち白抜矢印の側)にずれるように設計するのが適当である。すなわち、T≦111.02−0.813×Dとなるように設計するのが適当である。

0029

以上、耐震性を向上させるためにチャンネルボックス板厚を増加したときに、炉心の特性に大きな影響を与える2つの要素について、説明を行った。したがって、BWR燃料集合体において基本設計よりもチャンネルボックス板厚を増加させる場合には、上述した2つの条件を同時に満たすこと、すなわちボイド係数が基本設計と同等以上になり、かつ沸騰領域の面積割合が基本設計と同等以下になるような、チャンネルボックス内幅と板厚を選択することにより、適切な運転特性のBWR炉心を維持することができる。

0030

このようにして定義されるチャンネルボックス内幅D(mm)と板厚T(mm)の組み合わせの範囲を、図1(BWR5およびABWRの場合)および図2(BWR2、BWR3、BWR4の場合)に示す。すなわち、図1は、図7図12を重ねあわせ、上限を直線21、下限を直線22とする好適な適用範囲23を斜線で示した。前述のとおり、BWR5およびABWRの場合には、Tの上限である直線21は114.88−0.838×Dと、下限である直線22は63.81−0.457×Dと表すことができるから、適用範囲23の範囲は、63.81−0.457×D≦T≦114.88−0.838×Dと表すことができる。なお、本願発明耐震性向上のために基本設計24よりも板厚Tを増加させる、すなわち内幅Dを小さくするようにチャンネルボックスを変更するであることが前提であるから、D<134である。

0031

同様に、BWR2、BWR3、BWR4の場合を示す図2は、図8図13を重ねあわせて、上限を直線11、下限を直線12とする好適な適用範囲13を斜線で示した。前述のとおり、Tの上限である直線11は111.02−0.813×Dと、Tの下限である直線12は66.10−0.478×Dと表すことができるから、適用範囲13の範囲は、66.10−0.478×D≦T≦111.02−0.813×Dとなる。なお、本願発明は基本設計24よりも板厚Tを増加させる、すなわち内幅Dを小さくするようにチャンネルボックスを変更するであることが前提であるから、D<134である。

0032

次に、図1に示した適用範囲23のチャンネルボックスの第1の実施例を示す。本実施例では、既存のBWR5およびABWRに装荷する燃料集合体のチャンネルボックスを、既存のS格子用の小さい内幅(約132.5mm)のチャンネルボックスの板厚を約3.6mmにしたものに変更する。すなわち、図1において適用範囲23内にある黒四角25の設計点にあたるチャンネルボックスに変更するものである。この実施例では、良好な炉心特性を維持したまま耐震性を向上させることができるだけでなく、チャンネルボックスを除く燃料集合体の寸法としてBWR5・S格子用燃料と同じものを利用できるため、製造上の観点からも有利である。燃料としては、8×8燃料、9×9燃料など、どのような燃料でも適用することができる。

0033

なお、本実施例で用いる約3.6mmの板厚を有するチャンネルボックスは、全周にわたって均一に約3.6mmに板厚に変更しているが、チャンネルボックス4面中央部付近よりも4隅部の板厚を大きくした、非均一な板厚分布としてもよい。4隅部の板厚を厚くすることにより、耐震性能が向上するのみならず、チャンネルボックス内外圧力差によって生じるチャンネルボックスの膨らみを抑制することができる。このような非均一な板厚分布のチャンネルボックスに本願発明を適用する場合には、チャンネルボックスの全周にわたる板厚の平均値を板厚Tとして、適用範囲23を満たすように内幅Dと平均板厚Tを選択すればよい。

0034

同様に、BWR2、BWR3、BWR4に装荷する燃料集合体のチャンネルボックスを、既存のS格子用の小さい内幅(約132.5mm)のチャンネルボックスの板厚を約3.0mmに増加させたチャンネルボックスに変更した第2の実施例を示す。これは、図2に示す適用範囲13内にある黒四角15の設計点にあたる。本実施例の場合も、良好な炉心特性を維持したまま耐震性を向上させることができ、さらに既存のBWR5の設計を利用できるため設計負担が減り、製造上の観点からも有利である。

0035

以上、本願発明にかかる、沸騰水型原子炉の炉心、燃料集合体およびチャンネルボックスならびにその耐震性を向上させる方法や、既存のS格子用のチャンネルボックスを利用した実施例について説明を行ったが、当業者であれば、炉心の設計や要求される耐震性などに応じて、図1、2に示した適用範囲13、23の中から最適な設計点を選択してチャンネルボックスを設計することにより、本願発明を実施できることは、容易に想到できよう。また、上述した説明では、チャンネルボックス内幅とチャンネルボックス板厚の関係を示す各データの一次近似式により、適用範囲の上限と下限を定めたが、2次近似式などの他の近似式により上限と下限を定めてもよいし、さらに多くのデータを求めることにより近似によらずデータ値そのものにより上限と下限を定めてもよい。すなわち、耐震性を向上させるためにチャンネルボックスの板厚を変更する場合には、変更後のチャンネルボックスの内側対面間の距離およびチャンネルボックスの板厚を、変更前の炉心とボイド率が等しくなるチャンネルボックスの内側対面間距離とチャンネルボックス板厚との関係を示す線と、変更前の炉心と沸騰領域の減速材面積割合が等しくなるチャンネルボックスの内側対面間距離とチャンネルボックス板厚との関係を示す線との間に位置するように設定すればよい。

0036

10炉心
11、12、13、14燃料集合体
15チャンネルボックス
16燃料棒
17ウォータロッド
18 制御棒

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