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技術 地球球体を考慮した水中音波伝播経路(音線)関数の決定方法、音線道のり関数の決定方法、音線伝播時間関数の決定方法、水中音速垂直分布関数決定方法、音線関数決定プログラムおよび音線関数決定コンピュータシステム

出願人 日本アビオニクス株式会社
発明者 矢内宗洋
出願日 2015年7月29日 (4年6ヶ月経過) 出願番号 2015-149728
公開日 2017年2月9日 (3年0ヶ月経過) 公開番号 2017-032307
状態 特許登録済
技術分野 音波、超音波を用いた位置、速度等の測定
主要キーワード 逆進性 座標回転角 各離散値 各微小区間 計算区間 垂直分布 数学的帰納法 探査船
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (7)

課題

地球球体を考慮した音線関数を決定する方法の提供。

解決手段

、対象領域を地球と同じ球体として扱えるように、地球中心角Δφの多数の扇形微小区間W0,W1・・・に対象領域を分割し、各微小区間境界における音線の通過点をh1,h2・・・とするとき、地球中心Gと通過点h1,h2・・・でなる三角形について正弦定理を適用し、入射角α0,α1・・・、発出β1β2・・・を求め、通過点h1,h2・・・における音線の深度y1,y2・・・を順次に計算する。そして、深度y0,y1・・・についてフーリエ変換を行い、地球中心角φを変数とる深度yの関数(音線関数)y=f(φ)を取得する。各微小区間を扇形にすることにより、微小区間境界における音線の屈折を球体の海として扱っていることになるから、高精度の音線関数が得られる。関数で規定された音線を取得するので、任意のφに対するyが高速に計算できる。

概要

背景

海水等の水中における深さ方向(垂直方向)の音速分布サンプル・データが与えられた場合に、離散値であるサンプル・データに基づき垂直方向(深さ方向)の音速分布の関数近似的に求める方法が特許文献1の特開昭61−139882「サンプル・データ補間方式」に開示されている。この方法により、音速極大となる深度(垂直方向における水面からの距離)において水平になる音線も計算可能となる等の効果があるとされている。

特許文献2の特開平10−62544号公報には、「音線計算方法」が開示されている。この方法では、音線の計算対象領域を水平方向に一定の距離単位で垂直に短冊状に分割し、分割した各計算区間ごとに、水平方向の音速は一定で、垂直(深度)方向にのみ音速が変化する音速分布を設定し、各計算区間ごとの、音波入射位置、入射角度、音速、および音速分布から、円弧状の音線の到達位置、角度、および伝搬時間を計算し、ある計算区間から次の計算区間の計算へ移るときに、スネルの(屈折の)法則に基づき、音線を屈折させることにより、音線全体を求めている。

これに対し、特許文献3の特開2007−85923号公報記載の発明「音線計算方法、音線計算装置、および音線計算プログラム」は、垂直方向だけでなく水平方向にも音速が変化する媒質(海水)中における音線計算の方法を提案している。この特許文献3の方法では、各計算区間ごとに、当該計算区間における水平方向音速分布(勾配)および垂直音速分布(勾配)を計算し、 それら水平方向音速分布勾配と垂直方向音速分布勾配とをベクトル合成して得られる合成音速を求め、その合成音速の変化を回転座標上で追跡することにより音線を得ている。

概要

地球球体を考慮した音線の関数を決定する方法の提供。、対象領域を地球と同じ球体として扱えるように、地球中心角Δφの多数の扇形微小区間W0,W1・・・に対象領域を分割し、各微小区間境界における音線の通過点をh1,h2・・・とするとき、地球中心Gと通過点h1,h2・・・でなる三角形について正弦定理を適用し、入射角α0,α1・・・、発出β1β2・・・を求め、通過点h1,h2・・・における音線の深度y1,y2・・・を順次に計算する。そして、深度y0,y1・・・についてフーリエ変換を行い、地球中心角φを変数とる深度yの関数(音線関数)y=f(φ)を取得する。各微小区間を扇形にすることにより、微小区間境界における音線の屈折を球体の海として扱っていることになるから、高精度の音線関数が得られる。関数で規定された音線を取得するので、任意のφに対するyが高速に計算できる。

目的

本発明は、かかる課題を解決するために、短い計算時間で垂直方向の音速分布の関数を決定でき、また地球球体を考慮した音線の関数を決定できる地球球体を考慮した水中音波伝播経路(音線)関数の決定方法、音線道のり関数の決定方法、音線伝播時間関数の決定方法、水中音速垂直分布関数決定方法、音線関数決定プログラムおよび音線関数決定コンピュータシステムの提供を目的とする

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

海などの水中の音源から音波が発射されたときにおける該音波の伝播経路である音線関数を決定する方法であって、地球中心G、前記音源およびこの音源からの前記音線の発出方向を含み、地球表面を外縁とする平面を音線伝播平面とするとき、前記地球中心Gから前記音源を通って伸びる直線であるy軸と、前記地球中心Gに関し音線伝播平面上で前記y軸から回転した角度φとで規定されるy-φ回転座標において、前記角度φがそれぞれ微小角度φである多数の扇形微小区間に前記音線伝播平面を分割し、前記音源から発出された音線が前記微小区間の境界スネルの法則に基づき屈折を繰り返して前記水中を伝播するとして、各前記境界における前記音線の通過点深度yi(i=0〜2N-1、 Nは正の整数)を順次に計算し、各前記音線通過点の前記深度yiに基づいて、前記角度φと前記音線の深度yとの関係を表す前記音線関数y = f(φ)を決定することを特徴とする地球が球体であることを考慮した音線関数の決定方法

請求項2

前記深度yiについてフーリエ変換を行うことによりフーリエ級数係数を求め、該係数によるフーリエ級数展開関数でもって前記音線関数y = f(φ)を決定することを特徴とする地球が球体であることを考慮した請求項1に記載の音線関数の決定方法。

請求項3

前記水中における垂直方向音速分布データが一定間隔深度ごと離散値で与えられたとき、該離散値についてフーリエ変換を行い、該フーリエ変換により得られたフーリエ級数係数に基づくフーリエ級数展開関数でもって垂直方向音速分布関数を決定し、前記微小区間の境界でのスネルの法則に基づく屈折条件は、該境界における前記音線通過点の前記深度yiを前記垂直方向音速分布関数に適用することにより求めた前記微小区間における音速でもって決定することを特徴とする地球が球体であることを考慮した請求項1または2に記載の音線関数の決定方法。

請求項4

前記y軸に接する前記微小区間をWi=0の微小区間とし、以降前記Wi=0の微小区間に続く2N-1個の微小区間に順にWi=1,Wi=2,Wi=3・・・Wi=n・・・Wi=2N−1というように付番するとともに(n=0〜2N-1)、前記微小区間Wi=nへの前記音線の入射点を音線通過点hi=nとするとき、該微小区間Wi=nに関する地球中心G、音線通過点hi=n、音線通過点hi=n+1で規定される三角形について正弦定理を適用し、音線通過点hi=n+1の深度yi=n+1を求めるという方法により、2N個の音線通過点hi=0、hi=1、hi=2、hi=3・・・hi=n・・・hi=2N−1(但し、音線通過点hi=0は前記音源)の深度yi=0、yi=1、yi=2、yi=3・・・yi=n・・・yi=2N−1を前記深度yiとして求めることを特徴とする地球が球体であることを考慮した請求項2または3に記載の音線関数の決定方法。

請求項5

海などの水中の音源から音波が発射されたときにおける該音波の伝播経路である音線の道のり関数を決定する方法であって、地球中心G、前記音源およびこの音源からの前記音線の発出方向を含み、地球表面を外縁とする平面を音線伝播平面とするとき、前記地球中心Gから前記音源を通って伸びる直線であるy軸と、前記地球中心Gに関し音線伝播平面上で前記y軸から回転した角度φとで規定されるy-φ回転座標において、前記角度φがそれぞれ微小角度Δφである多数の扇形の微小区間に前記音線伝播平面を分割し、前記音源から発出された音線が前記微小区間の境界でスネルの法則に基づき屈折を繰り返して前記水中を伝播するとして、各前記境界における前記音線の通過点の深度yi(i=0〜2N-1、 Nは正の整数)を順次に計算し、前記y軸に接する前記微小区間をWi=0の微小区間とし、以降前記Wi=0の微小区間に続く2N-1個の微小区間に順にWi=1,Wi=2,Wi=3・・・Wi=n・・・Wi=2N−1というように付番するとともに(n=0〜2N-1)、前記微小区間Wi=nへの前記音線の入射点を音線通過点hi=nとするとき、該微小区間Wi=nに関する地球中心G、音線通過点hi=n、音線通過点hi=n+1で規定される三角形について正弦定理を適用し、音線通過点hi=n+1の深度yi=n+1を求めるという方法により、2N個の音線通過点hi=0、hi=1、hi=2、hi=3・・・hi=n・・・hi=2N−1(但し、音線通過点hi=0は前記音源)の深度yi=0、yi=1、yi=2、yi=3・・・yi=n・・・yi=2N−1を前記深度yiとして求め、前記音線通過点hi=nへの前記音線の入射角をαi=n−1、その音線通過点hi=nからの音線発出角をβi=nとするとき、該音線通過点hi=nにおける音線の屈折についてスネルの法則を適用し、音線発出角βi=nおよび微小区間Wi=nとWi=n+1との境界における入射角αi=nを求め、微小区間Wi=nに関する地球中心G、音線通過点hi=n、音線通過点hi=n+1で規定される三角形について正弦定理を適用し、微小区間Wi=nにおける道のりqi=nを求めるという方法により微小区間Wi=2N−1までの各微小区間の道のりqiを順に求め、更に微小区間Wi=nまでの各微小区間の道のりを累積した累積道のりをsqi=nとすると、微小区間Wi=n+1までの累積道のりsqi=n+1=sqi=n+qi=nなる加算式で求めるという方法により、Wi=0からWi=2N−1までの2N個の微小区間における各微小区間それぞれに関する累積道のりsqiを求め、これら2N個の累積道のりsqiについてフーリエ変換を行うことによりフーリエ級数の係数を求め、該係数によるフーリエ級数展開関数でもって、音源から意図する角度φ(φ= iΔφ)までの音線経路の道のりdの関数d = d(φ)を決定することを特徴とする地球が球体であることを考慮した音線道のり関数の決定方法。

請求項6

海などの水中の音源から音波が発射されたときにおける該音波の伝播経路である音線の伝播時間関数を決定する方法であって、地球中心G、前記音源およびこの音源からの前記音線の発出方向を含み、地球表面を外縁とする平面を音線伝播平面とするとき、前記地球中心Gから前記音源を通って伸びる直線であるy軸と、前記地球中心Gに関し音線伝播平面上で前記y軸から回転した角度φとで規定されるy-φ回転座標において、前記角度φがそれぞれ微小角度Δφである多数の扇形の微小区間に前記音線伝播平面を分割し、前記音源から発出された音線が前記微小区間の境界でスネルの法則に基づき屈折を繰り返して前記水中を伝播するとして、各前記境界における前記音線の通過点の深度yi(i=0〜2N-1、 Nは正の整数)を順次に計算し、前記y軸に接する前記微小区間をWi=0の微小区間とし、以降前記Wi=0の微小区間に続く2N-1個の微小区間に順にWi=1,Wi=2,Wi=3・・・Wi=n・・・Wi=2N−1というように付番するとともに(n=0〜2N-1)、前記微小区間Wi=nへの前記音線の入射点を音線通過点hi=nとするとき、該微小区間Wi=nに関する地球中心G、音線通過点hi=n、音線通過点hi=n+1で規定される三角形について正弦定理を適用し、音線通過点hi=n+1の深度yi=n+1を求めるという方法により、2N個の音線通過点hi=0、hi=1、hi=2、hi=3・・・hi=n・・・hi=2N−1(但し、音線通過点hi=0は前記音源)の深度yi=0、yi=1、yi=2、yi=3・・・yi=n・・・yi=2N−1を前記深度yiとして求め、前記音線通過点hi=nへの前記音線の入射角をαi=n−1、その音線通過点hi=nからの音線発出角をβi=nとするとき、該音線通過点hi=nにおける音線の屈折についてスネルの法則を適用し、音線発出角βi=nおよび微小区間Wi=nとWi=n+1との境界における入射角αi=nを求め、微小区間Wi=nに関する地球中心G、音線通過点hi=n、音線通過点hi=n+1で規定される三角形について正弦定理を適用し、微小区間Wi=nにおける道のりqi=nを求めるという方法により微小区間Wi=2N−1までの各微小区間の道のりqiを順に求め、更に微小区間Wi=nにおける音線の伝播時間ti=nをti=n=qi=n/vi=nの計算で求め(vi=nは微小区間Wi=nにおける音速)、更に微小区間Wi=nまでの各微小区間の伝播時間を累積した累積伝播時間をsti=nとすると、微小区間Wi=n+1までの累積伝播時間sti=n+1=sti=n+ti=nなる加算式で求めるという方法により、Wi=0からWi=2N−1までの2N個の微小区間における各微小区間それぞれに関する累積伝播時間stiを求め、これら累積伝播時間stiについてフーリエ変換を行うことによりフーリエ級数の係数を求め、該係数によるフーリエ級数展開関数でもって、音源から意図する角度φ(φ= iΔφ)までの音線の伝播時間tの関数t = t(φ)を決定することを特徴とする地球が球体であることを考慮した音線伝播時間関数の決定方法。

請求項7

海水等の水中における垂直方向の音速分布データが一定間隔の深度ごとの離散値で与えられたとき、該離散値についてフーリエ変換を行い、該フーリエ変換により得られたフーリエ級数係数に基づくフーリエ級数展開関数でもって垂直方向音速分布関数を決定することを特徴とする水中音速垂直分布関数決定方法。

請求項8

請求項1乃至4のいずれかに記載の音線関数の決定方法のプログラムコンピュータによって実行可能なプログラムとして実施することを特徴とする音線関数決定プログラム。

請求項9

請求項8に記載の音線関数決定プログラムを実行することを特徴とする音線関数決定コンピュータシステム

技術分野

0001

本発明は、地球球体を考慮した水中音波伝播経路音線関数決定方法、音線道のり関数の決定方法、音線伝播時間関数の決定方法、水中音速垂直分布関数決定方法、音線関数決定プログラムおよび音線関数決定コンピュータシステムに関し、特に、地球が球体であることを考慮した音線関数の決定方法等に関する。

背景技術

0002

海水等の水中における深さ方向(垂直方向)の音速分布サンプル・データが与えられた場合に、離散値であるサンプル・データに基づき垂直方向(深さ方向)の音速分布の関数を近似的に求める方法が特許文献1の特開昭61−139882「サンプル・データ補間方式」に開示されている。この方法により、音速極大となる深度(垂直方向における水面からの距離)において水平になる音線も計算可能となる等の効果があるとされている。

0003

特許文献2の特開平10−62544号公報には、「音線計算方法」が開示されている。この方法では、音線の計算対象領域を水平方向に一定の距離単位で垂直に短冊状に分割し、分割した各計算区間ごとに、水平方向の音速は一定で、垂直(深度)方向にのみ音速が変化する音速分布を設定し、各計算区間ごとの、音波入射位置、入射角度、音速、および音速分布から、円弧状の音線の到達位置、角度、および伝搬時間を計算し、ある計算区間から次の計算区間の計算へ移るときに、スネルの(屈折の)法則に基づき、音線を屈折させることにより、音線全体を求めている。

0004

これに対し、特許文献3の特開2007−85923号公報記載の発明「音線計算方法、音線計算装置、および音線計算プログラム」は、垂直方向だけでなく水平方向にも音速が変化する媒質(海水)中における音線計算の方法を提案している。この特許文献3の方法では、各計算区間ごとに、当該計算区間における水平方向音速分布(勾配)および垂直音速分布(勾配)を計算し、 それら水平方向音速分布勾配と垂直方向音速分布勾配とをベクトル合成して得られる合成音速を求め、その合成音速の変化を回転座標上で追跡することにより音線を得ている。

先行技術

0005

特開昭61−139882号公報(P3〜5の実施例の欄)
特開平10−62544号公報
特開2007−85923号公報

発明が解決しようとする課題

0006

上述の特許文献1に記載された方法では、曲線補間装置22により、階段状に変化するサンプル・データ(離散値)それぞれについて順次に曲線補間の計算をする。この曲線補間の計算は、各離散値ごとに順次に行われので、計算時間が長くなる。しかも、その曲線補間計算により得られる関数の信頼性がどの程度であるかは不明確である。

0007

上述の特許文献2に記載された音線計算方法においては、各計算区間ごとに、水平方向の音速は一定で垂直方向にのみ音速が変化する音速分布を設定する。そのため、音速分布が水平方向に階段状に設定されることになり、各計算区間の境界において音速が不連続になるという問題がある。この特許文献2の音線計算方法では、各計算区間の音線距離(音線の入射側および発出側にそれぞれ隣接する両計算区間との境界における音線通過点間の距離に等しい)および音線通過点の深度のデータは得られるが、音線が関数で得られるのではない。そこで、音線通過点(計算区間の境界)では音源からの距離x[=(1つの計算区間の距離)・(分割数)]に応じた音線深度は取得データから直ちに分かる。しかし、計算区間内の任意の距離の音線深度は、直ちには分からない。この場合には、距離xにおける音線の深度は、その都度補間計算を行い求めるか、或いは音線計算の対象領域を音源から当該距離xまでに設定し、その対象領域を改めて複数の計算区間に分割し直し、新たに分割した計算区間について順次に音波の入射位置を計算していく必要がある。そこで、特許文献2の方法では、求めようとする音源からの距離xを異にする複数の点について、正確な音線深度を求めようとすると、計算時間が多大になり、実用的でなくなるので、実際には音線を求める対象領域の距離を制限し、遠距離領域は対象としない、または取得データの間隔を広げる等の対応を行う。また、特許文献2の音線計算方法では、音波伝播空間を直交座標で表して音線を計算しているので、球体である地球の海を音波伝播空間とするとき、遠距離まで伝播する音波について計算した音線は不正確となる。

0008

また、上述の特許文献3に記載された音線計算方法においては、音波伝播空間を直交座標で表して音線を計算しているので、球体である地球の海を音波伝播空間とするとき、遠距離まで伝播する音波について計算した音線は不正確となることは、上記特許文献2の方法について述べたところと同じである。さらに、特許文献3の音線計算方法では、各計算区間ごとに、水平方向および垂直方向の音速分布(勾配)、ベクトル合成、座標回転角音線経路半径水平距離および深度の増分、音線の経路長増分および伝搬時間増分の計算を要するので、計算が更に複雑で、遠距離までの音線を得るには演算時間は相当な長さとなる。

0009

そこで、本発明は、かかる課題を解決するために、短い計算時間で垂直方向の音速分布の関数を決定でき、また地球球体を考慮した音線の関数を決定できる地球球体を考慮した水中音波伝播経路(音線)関数の決定方法、音線道のり関数の決定方法、音線伝播時間関数の決定方法、水中音速垂直分布関数決定方法、音線関数決定プログラムおよび音線関数決定コンピュータシステムの提供を目的とする。

課題を解決するための手段

0010

前述の課題を解決するため、本発明による地球球体を考慮した水中音波伝播経路(音線)関数の決定方法、音線道のり関数の決定方法、音線伝播時間関数の決定方法、水中音速垂直分布関数決定方法、音線関数決定プログラムおよび音線関数決定コンピュータシステムは、主に次のような特徴的な構成を採用している。

0011

(1)本発明による地球が球体であることを考慮した音線関数の決定方法は、
海などの水中の音源から音波が発射されたときにおける該音波の伝播経路である音線の関数を決定する方法であって、
地球中心G、前記音源およびこの音源からの前記音線の発出方向を含み、地球表面を外縁とする平面を音線伝播平面とするとき、
前記地球中心Gから前記音源を通って伸びる直線であるy軸と、前記地球中心Gに関し音線伝播平面上で前記y軸から回転した角度φとで規定されるy-φ回転座標において、前記角度φがそれぞれ微小角度Δφである多数の扇形微小区間に前記音線伝播平面を分割し、前記音源から発出された音線が前記微小区間の境界でスネルの法則に基づき屈折を繰り返して前記水中を伝播するとして、各前記境界における前記音線の通過点の深度yi(i=0〜2N-1、 Nは正の整数)を順次に計算し、各前記音線通過点の前記深度yiに基づいて、前記角度φと前記音線の深度yとの関係を表す前記音線関数y = f(φ)を決定することを特徴とする。
(2)本発明による音線道のり関数の決定方法は、
海などの水中の音源から音波が発射されたときにおける該音波の伝播経路である音線の道のり関数を決定する方法であって、
地球中心G、前記音源およびこの音源からの前記音線の発出方向を含み、地球表面を外縁とする平面を音線伝播平面とするとき、
前記地球中心Gから前記音源を通って伸びる直線であるy軸と、前記地球中心Gに関し音線伝播平面上で前記y軸から回転した角度φとで規定されるy-φ回転座標において、前記角度φがそれぞれ微小角度Δφである多数の扇形の微小区間に前記音線伝播平面を分割し、前記音源から発出された音線が前記微小区間の境界でスネルの法則に基づき屈折を繰り返して前記水中を伝播するとして、各前記境界における前記音線の通過点の深度yi(i=0〜2N-1、 Nは正の整数)を順次に計算し、
前記y軸に接する前記微小区間をWi=0の微小区間とし、以降前記Wi=0の微小区間に続く2N-1個の微小区間に順にWi=1,Wi=2,Wi=3・・・Wi=n・・・Wi=2N−1というように付番するとともに(n=0〜2N-1)、前記微小区間Wi=nへの前記音線の入射点を音線通過点hi=nとするとき、該微小区間Wi=nに関する地球中心G、音線通過点hi=n、音線通過点hi=n+1で規定される三角形について正弦定理を適用し、音線通過点hi=n+1の深度yi=n+1を求めるという方法により、2N個の音線通過点hi=0、hi=1、hi=2、hi=3・・・hi=n・・・hi=2N−1(但し、音線通過点hi=0は前記音源)の深度yi=0、yi=1、yi=2、yi=3・・・yi=n・・・yi=2N−1を前記深度yiとして求め、
前記音線通過点hi=nへの前記音線の入射角をαi=n−1、その音線通過点hi=nからの音線発出角をβi=nとするとき、該音線通過点hi=nにおける音線の屈折についてスネルの法則を適用し、音線発出角βi=nおよび微小区間Wi=nとWi=n+1との境界における入射角αi=nを求め、微小区間Wi=nに関する地球中心G、音線通過点hi=n、音線通過点hi=n+1で規定される三角形について正弦定理を適用し、微小区間Wi=nにおける道のりqi=nを求めるという方法により微小区間Wi=2N−1までの各微小区間の道のりqiを順に求め、更に微小区間Wi=nまでの各微小区間の道のりを累積した累積道のりをsqi=nとすると、微小区間Wi=n+1までの累積道のりsqi=n+1=sqi=n+qi=nなる加算式で求めるという方法により、Wi=0からWi=2N−1までの2N個の微小区間における各微小区間それぞれに関する累積道のりsqiを求め、これら2N個の累積道のりsqiについてフーリエ変換を行うことによりフーリエ級数係数を求め、該係数によるフーリエ級数展開関数でもって、音源から意図する角度φ(φ= iΔφ)までの音線経路の道のりdの関数d = d(φ)を決定することを特徴とする。
(3)本発明による音線伝播時間関数の決定方法は、
海などの水中の音源から音波が発射されたときにおける該音波の伝播経路である音線の伝播時間関数を決定する方法であって、
地球中心G、前記音源およびこの音源からの前記音線の発出方向を含み、地球表面を外縁とする平面を音線伝播平面とするとき、
前記地球中心Gから前記音源を通って伸びる直線であるy軸と、前記地球中心Gに関し音線伝播平面上で前記y軸から回転した角度φとで規定されるy-φ回転座標において、前記角度φがそれぞれ微小角度Δφである多数の扇形の微小区間に前記音線伝播平面を分割し、前記音源から発出された音線が前記微小区間の境界でスネルの法則に基づき屈折を繰り返して前記水中を伝播するとして、各前記境界における前記音線の通過点の深度yi(i=0〜2N-1、 Nは正の整数)を順次に計算し、
前記y軸に接する前記微小区間をWi=0の微小区間とし、以降前記Wi=0の微小区間に続く2N-1個の微小区間に順にWi=1,Wi=2,Wi=3・・・Wi=n・・・Wi=2N−1というように付番するとともに(n=0〜2N-1)、前記微小区間Wi=nへの前記音線の入射点を音線通過点hi=nとするとき、該微小区間Wi=nに関する地球中心G、音線通過点hi=n、音線通過点hi=n+1で規定される三角形について正弦定理を適用し、音線通過点hi=n+1の深度yi=n+1を求めるという方法により、2N個の音線通過点hi=0、hi=1、hi=2、hi=3・・・hi=n・・・hi=2N−1(但し、音線通過点hi=0は前記音源)の深度yi=0、yi=1、yi=2、yi=3・・・yi=n・・・yi=2N−1を前記深度yiとして求め、
前記音線通過点hi=nへの前記音線の入射角をαi=n−1、その音線通過点hi=nからの音線発出角をβi=nとするとき、該音線通過点hi=nにおける音線の屈折についてスネルの法則を適用し、音線発出角βi=nおよび微小区間Wi=nとWi=n+1との境界における入射角αi=nを求め、微小区間Wi=nに関する地球中心G、音線通過点hi=n、音線通過点hi=n+1で規定される三角形について正弦定理を適用し、微小区間Wi=nにおける道のりqi=nを求めるという方法により微小区間Wi=2N−1までの各微小区間の道のりqiを順に求め、更に微小区間Wi=nにおける音線の伝播時間ti=nをti=n=qi=n/vi=nの計算で求め(vi=nは微小区間Wi=nにおける音速)、更に微小区間Wi=nまでの各微小区間の伝播時間を累積した累積伝播時間をsti=nとすると、微小区間Wi=n+1までの累積伝播時間sti=n+1=sti=n+ti=nなる加算式で求めるという方法により、Wi=0からWi=2N−1までの2N個の微小区間における各微小区間それぞれに関する累積伝播時間stiを求め、これら累積伝播時間stiについてフーリエ変換を行うことによりフーリエ級数の係数を求め、該係数によるフーリエ級数展開関数でもって、音源から意図する角度φ(φ= iΔφ)までの音線の伝播時間tの関数t = t(φ)を決定することを特徴とする。
(4)本発明による水中音速垂直分布関数決定方法は、
水中音速垂直分布関数決定方法は、海水等の水中における垂直方向の音速分布データが一定間隔深度ごとの離散値で与えられたとき、該離散値についてフーリエ変換を行い、該フーリエ変換により得られたフーリエ級数係数に基づくフーリエ級数展開関数でもって垂直方向音速分布関数を決定することを特徴とする。
(5)本発明による音線関数決定プログラムは、
上記(1)に記載の方法をコンピュータによって実行可能なプログラムとして実施することを特徴とする。
(6)本発明による音線関数決定コンピュータシステムは、
前記(5)に記載の音線関数決定プログラムを実行することを特徴とする。

発明の効果

0012

本発明によれば、任意の位置における音線の深度が高速に取得でき、しかも地球球体を考慮することにより、真の関数との誤差の小さい関数が得られるようにした水中音波伝播経路(音線)関数の決定方法、音線道のり関数の決定方法、音線伝播時間関数の決定方法、水中音速垂直分布関数決定方法、音線関数決定プログラムおよび音線関数決定コンピュータシステムを提供できる。

図面の簡単な説明

0013

音速v1の領域1と音速v2(v1<v2)の領域2との境界面x上の点Oに音線ARが入射角θ1で入射したとき、音線ARは屈折角θ2で屈折するというスネルの法則を示す図である。
音速vP−1の領域P-1と音速vPの領域Pとの境界面x(水面、変温層など)上の点Oに音線ARが、入射角θP−1で入射し、反射角θP(俯角)で領域P-1へ反射されたとき、音線ARは反射点Oを新たな音源として、発出角θPで領域P-1へ発出されたとして観ることができることを示す図である。
水平面xに対し傾斜角μだけ傾く海底面B上の点Oに、音速vPの領域Pから音線ARが、入射角αで入射し、反射角βで領域Pへ反射されたとき、音線ARは反射点Oを新たな音源として、発出角βで領域Pへ発出されたとして観ることができることを示す図である。
「地球球体を考慮した水中音波伝播経路関数の決定方法」という本発明の一実施形態により、地球中心Gを通る音線伝播平面PAを伝播する音線の関数を決定するために、音線伝播平面PAを微小な角度Δφの扇形の微小区間W0,W1,W2・・・・・・に分割し、これら微小区間W0,W1,W2・・・・・・の境界における音線の通過点h1,h2,h3・・・・・・を決定する過程を示す図である。
本発明のその実施形態により、図4の音線通過点h1,h2,h3・・・・・・の位置データについてフーリエ変換を行い、フーリエ級数展開の係数を求めることにより、中心角φを変数とする音線の深度yの関数y=f(φ)なる音線関数で決定した音線Qを示す図である。
図5および図6に示した音線伝播平面PA、音線Qなどを地球Eの断面斜視図に表した図である。

実施例

0014

以下、本発明による地球球体を考慮した音線の関数を決定する方法の好適な実施形態について添付図を参照して主に説明する。なお、以下には、地球球体を考慮した音線の関数を決定する方法について主に説明するが、かかる関数決定方法をコンピュータ(装置)により実施し、またコンピュータにより実行可能な関数決定プログラムとして実施するようにしてもよいし、あるいは、その関数決定プログラムをコンピュータにより読み取り可能な記録媒体に記録するようにしてもよいことは言うまでもない。また、以下の各図面に付した図面参照符号は、理解を助けるための一例として各要素に便宜上付記したものであり、本発明を図示の態様に限定することを意図するものではないことも言うまでもない。

0015

(海中の音線伝播)
本発明の実施形態について以下に詳しく述べるに当たり、まずこの実施の形態の音線決定方法を地球の海という音波伝播媒質に適用するとき、その海における音線の進路について、図6を参照して説明する。音源から音波が発射されると、音波は音源からあらゆる方向に伝播する。音源からの音波の伝播に指向性があり、音波の発射エネルギーが全周について一様ではないとしても、音波はある程度の角度に広がって伝播する。音源からある1つの方向に発射された音波が伝播する経路曲線みなすことができ、その音波伝播経路は音線と称される。音波伝播媒質(海水など)における温度分布などは一様ではなく、その音波伝播媒質における音速分布も一様ではないのが通常である。寒流暖流とが衝突する海域のような音速分布の勾配(傾き)が水平方向(海面に平行な方向)に関しても大きい領域では、音波の伝播方向、すなわち音線の方向は、音線進行方向に対し水平方向(海面に平行な方向)にも曲がる。しかし、海の着目する範囲において、音速は、海面に平行な方向では変化せず、海面に垂直な方向だけで変化し、音速分布は、海面に平行な方向では勾配がなく、海面に垂直な方向だけに勾配があるとして、音線を扱っても、音線経路に実質上大きな誤差は生じない。このように音速勾配が海面に垂直な方向だけにあると実質的に見做せる音波伝播媒質では、音線は、水平方向(海面に平行な方向)には曲がらず、海面に垂直な方向だけに曲がるので、海面に垂直な平面内で進行することとなる。そこで、音源から1つの方向へ向けて発出された音線は、その方向を含む平面であって、海面に対し垂直な平面を伝播する。海面に対し垂直な平面は、地球中心を通る平面である。本発明では、そのような音線が伝播する平面を音線伝播平面と称することとする。音線伝播平面は、上述のところから、地球中心と、音源と、この音源から発出された音線の方向とで規定される平面である。

0016

図6では音線の一例として、音線Qが音線伝播平面PA上に描いてある。図6の地球Eには、地球中心G、北極Np、南極Sp、赤道Le、グリニッジ子午線m0、経度Azの経線mが描いてある。経線面PMは、地球中心Gおよび経線mを含む平面である。音線伝播平面PAは、音線Qが伝播する平面であり、地球中心Gを通る平面であり、経線面PMに対し角度ψだけ傾いた平面である。点x0は、地球中心Gと音源h0とを通る線(垂直線)が地球Eの表面(海面)と交差する点である。その点x0を通る経線が経線mである。音源h0から発出され、地球中心Gに関し角度φnだけ伝播した音線Qが到達した音線伝播平面PA上の点がhnである。また、垂直線Ghnを延長して地球表面と交差した点がxnである。グリニッジ子午線m0、音線伝播平面PAおよび経線mが赤道Leと交わる点がそれぞれe0,e1およびe2である。なお、図6では、地球Eの内部を表すために、斜視図で描いてあるから、正確に描くとすれば、北極Npや南極Spの位置は地球の大円上端および下端から内側に僅かにずれるが、図が複雑となり、返って分かり難くなるので、概念的理解の容易性優先し、敢えて北極Npや南極Spの位置を地球の大円の上端および下端に描いてある。

0017

音波は、指向性のあるビーム状の放射パターンで音源h0から発射されたとしても、ある広がりをもって伝播する。即ち、音源h0から発出される音線は、水平方向および垂直方向に角度を異にして無数に存在するといえる。ここで、水平方向とは地球表面に平行な方向であり、この音源h0から発出される音線について言えば、点x0における海表面の接線に平行な方向である。また、垂直方向とは垂直線(音源h0の点についえ言えば垂直線x0G)を基準とした俯角(または仰角)で規定される方向である。一般に俯仰角と称される角度は、水平面を基準とする。これに対し、本願明細書・図面においては、その垂直線(水平面に直交する線)を基準とする角度でもって、音線伝搬平面内における音源からの音線の発出方向を規定する。そこで、その垂直線(俯仰角で言えば、仰角90度の線)を基準とする角度を垂直角度(または、垂直方向角度)と称している。それら多数の音線のうちで、水平方向および垂直方向に関し、音源からある角度の方向へ発射された音波の音線を計算(シミュレート)する方法が決定できれば、水平方向および垂直方向について発射角度を異にする任意の方向に音源から発出される音線も同様に計算できる。

0018

そこで、音源h0と地球中心Gとを含む1つの平面において、複数の垂直方向角度でそれぞれ発出された各音線を計算し、計算により得た各音線を画面に表示することにより、その平面における垂直方向(深さ方向)の音線分布を知ることができる。図6に例示されているその平面は音線伝播平面PAである。この平面の水平方向角度(以下では、「水平角度」と記す。)は一定である。その画面は、以下の実施の形態では、横軸を地球表面上の距離x、縦軸を深度yとしている。そのx−y画面に表示された音線分布から、その平面における音線の粗密が分かる。この音線の粗密に基づき、音源h0から発射された音波が到達している領域と、音波が殆ど到達していない領域とが判別できる。

0019

上述のように、音源h0と地球中心Gとを含む1つの平面(例えば図6の音線伝播平面PA)において、1つの垂直角度(俯角または仰角)で発出された音線を計算により決定できれば、任意の垂直角度で発出された音線が計算できる。また、別の水平角度の平面についても、任意の垂直角度で発出された音線が計算できる。そこで、本発明では、ある水平角度にある1つの平面に、ある垂直角度で発出された音線の経路を計算により決定する方法を提供する。本発明の音線決定方法により、あらゆる水平角度においてあらゆる垂直角度で発出される音線の経路を決定することが可能となる。また、音源h0の深度も任意に設定できる。本発明では、音源から一つの平面に発出され、その平面を伝播する音線を扱い、音源から一つの平面に発出され後に水平方向の角度を変えて伝播する音線は対象としていない。この音線が伝搬する平面は、後に図4および図5を参照し、音線伝播平面PAとして更に詳しく説明する。

0020

(スネルの法則)
本発明の理解を容易にするために、屈折におけるスネルの法則について図面を参照して説明する。図1は、音速v1の領域1と音速v2(v1<v2)の領域2との境界面x上の点Oに音線ARが入射角θ1で入射したとき、音線ARは屈折角θ2で屈折するというスネルの法則を示す図である。yは、領域1と領域2との境界面xの法線であり、点Oを通る垂直線である。図1において、スネルの法則は次の数1式で表せる。





以下に説明する実施形態では、海水を伝播する音線を扱うので、領域1と領域2との境界面xは海面に平行な面、yは境界面xに垂直で、地球中心Gを通る垂直線とする。海水においては音速の異なる複数の層が深さ方向に分布する。本実施の形態では、これら各層は海面に平行であるとして音線の計算をする。上記の領域1および2並びに以下に述べる各領域はそれぞれ音速の異なる海水の層または海面に接する空気層である。

0021

(音線決定の基本原理
音線が伝播する海水の領域を水面(海面)から海底まで等しい水深幅でN個(Nは正の整数)設定し、音源のある領域から、上記のスネルの法則を適用し、音線の伝播につて検討する。
いま、数1式を変形し、数2式とする。





領域P(1≦P≦N)に音源があるとし、数2式を帰納的に複数の領域に適用することにより、次の数3式を得る。ここで、数3式は、各領域が平行に隣接している(水面が基準となるため水面に平行)ときに成立する。したがって、数3式は、地球球体を考慮するときには成立しない。

0022

数3式は領域P(1≦P≦N)において音線がθP方向に音速vP で進行し、vPとsin θPの比が常に定数K0となることを示す。K0は定数であり、既知であるから、領域Pの音速 vP が測定でき、又は予め知られているときは、sin θPは、vP / K0の計算で求まる。そこで、特許文献2に開示されているように、音線の計算対象領域を水平方向に一定の距離単位で垂直に短冊状に分割し、分割した各計算区間ごとに、水平方向の音速vPは一定で、垂直(深度)方向にのみ音速vPが変化する音速分布vP(vP1,vP2,・・・・vn)を設定し(nは正の整数)、各計算区間ごとの、音波の入射位置、入射角度、音速、および音速分布から、音線の到達位置、角度、および伝播時間を計算し、ある計算区間から次の計算区間へ計算が移るときに、スネルの法則に基づき、上記数3式に則って音線を屈折させることにより、音線全体を近似的に計算することができる。

0023

但し、この特許文献2に記載された音線決定方法では、上記数3式を逐次に適用することと基本的に同じであり、数3式が成立するには境界面が平面であることが必要であるから、地球が球体であることを考慮する必要のある長距離に亘り伝播する音線を求めると、距離に応じて次第に誤差が大きくなる。本発明は、この地球が球体であることを考慮に入れ、高い精度で音線を決定する方法であり、音速の相違する領域の境界における屈折の計算には上記数3式は用いず、各境界毎の屈折計算により音線を決定する。後に詳しく説明する。

0024

なお、一般にθPについてsin θP = sin (π-θP)が成立するので、音線の進行方向が海底→水面の向きのとき(音線の向きが仰角のとき)だけでなく、水面→海底の向きであるとき(音線の向きが俯角のとき)にも上記数1、数2および数3の式は成立する(ただし、数3式は、境界面が互いに平行な平面であるときには成立するが、境界面が地球球体における如くに球面であるときには成立しないことは前述のとおりである。)。

0025

(音線の反射)
音速vP-1の領域p-1と音速vPの領域pとの境界に、屈折に関する上記数1式を適用する(図1における領域1および2を、それぞれ領域p-1およびpとする。)と下記数4式が得られる。





この数4式において、音速vP,vP−1と入射角θP−1の条件により右辺が1を超えるとき、それを満たすθPは存在しない。このとき、物理的には、全反射海面反射または海底反射うちの何れかの反射(以降、総称して「反射」という)が起きている。音線がある点で反射するとき、音線はその点(以降、「反射点」という)を通る反射面で鏡面反射をしている。

0026

図2は、音速vP−1の領域P-1と音速vPの領域Pとの境界面x(水面、変温層など)上の点Oに音線ARが、入射角θP−1で入射し、反射角θP(俯角)で領域P-1へ反射されたときの音線ARを示している。なお、本明細書では反射を2つの場合に分け、図2の場合の反射を反射1とし、次に説明する図3の場合の反射を反射2としている。本発明では、反射が起きたとき、反射点Oを新たな音源として、音線ARは発出角θPで領域P-1へ発出されたとして扱う。そこで、屈折することを条件とする音線の計算は、音速および入射角が上記反射の条件を満たしたときに終了し、反射点Oを新たな音源とする。図2の反射が生じたとき、発出角θP=π−θP−1で領域P-1へ発出される音線として、新たに屈折計算を開始する。地球を球体として扱う本発明においては、中心を地球中心Gと共有し、反射点Oを通る球面を考えると、その球面における反射点Oでの接平面が反射面となる。

0027

図3は、水平面xに対し傾斜角μだけ傾く海底面B上の点Oに、音速vPの領域Pから音線ARが、入射角αで入射し、反射角βで領域Pへ反射されたとき、音線ARは反射点Oを新たな音源として、発出角βで領域Pへ発出されたとして観ることができることを示す図である。この図3に示す反射2では、反射面が海底面Bである。この反射面は、反射点Oを通り、地球中心Gと反射点Oを通る直線を法線とする平面に対して、μだけ傾斜している。反射面がμだけ傾斜していることを除き、図3の反射2が生じたときの音線計算は、図2に示した反射1の場合と同じように反射を扱って、新たな屈折計算による音線の決定を開始することができる。ここで、反射角βは次の数5式により決定される。

0028

上述の数3式は、反射発生から次の反射発生までの(反射が発生していない)間に適用でき、その間において定数K0 は着目した音線に関する数3式の屈折条件を確定する値となる。この定数K0 は各反射の発生の都度、新条件に基づく値により更新する。なお、上述のとおり、数3式は、各領域が平行に隣接している(水面が基準となるため、各領域の境界は水面に平行)ときには成立するが、地球球体を考慮するときには成立しない。そこで、本発明では、後に詳しく説明するとおり、音速の相違する領域の境界(本発明における扇形の微小区間の境界)における屈折の計算には、上記数3式は用いず、各境界毎の屈折計算により音線を決定する。

0029

(音線確定の要素)
音線は、音源深度と音源からの発出角と屈折条件とにより決定できる。着目する海域の屈折条件は、当該海域の水中音速の垂直分布v1〜2N により確定する[2Nは、次項に述べるとおり、一定深度間隔で水中音速を標本化して取得したときの水中音速の標本数(離散値の個数)]。垂直分布 v1〜2N は計測または予測により取得する。

0030

(水中音速の垂直分布の確定)
水中音速値の計測による入手は、通常、一定深度間隔で標本化した離散値(その入手個数を2N個とする。)となる。本発明では、指定の深度yに対する水中音速v=V(y)を決定できる関数vを求める。v=V(y)の関数は、その2N個の離散値についてフーリエ変換(以後、「FFT」と略記する。)を行い、フーリエ級数の係数を決定し、該係数によるフーリエ級数展開関数(厳密には近似関数)として求める。それら2N個の水中音速値をv0, v1, v2, v3, 〜 v2N-3, v2N-2, v2N-1とし、フーリエ級数の係数をav0, av1, av2, av3, 〜 avN-3, avN-2, avN-1, bv0, bv1, bv2, bv3, 〜 bvN-3, bvN-2, bvN-1とすると、そのFFTは次の数6式で表される。なお、数6式の右辺におけるこれらフーリエ級数の係数は、例えばav0やbv0と表記されているが、v0はaやbの添え字である。同様に、他の係数 av1, av2, av3, 〜 avN-3, avN-2, avN-1, bv1, bv2, bv3, 〜 bvN-3, bvN-2, bvN-1におけるv1,v2,v3, 〜 vN-3, vN-2, vN-1はa又はbの添え字である。

0031

上記数6式の左辺のFFTにより上記式の右辺として得られるフーリエ級数の係数avm(m=0〜N-1)、bvm(m=1〜N-1)を使用し、意図する深度yの水中音速vは次の数7式のフーリエ級数展開関数v = V(y)から求められる。この関数v = V(y)は、垂直音速分布関数と言える。

0032

(フーリエ級数の周期変更
ここで、フーリエ級数の周期変更について説明し、上記数7式におけるDの意味を明らかにする。
一般にフーリエ級数展開された関数f(θ)(θは[rad]と見做す)は、周期T=2π[rad]の周期関数である。 つまり、m、nを整数とするとき、フーリエ級数展開関数f(θ)においては次の数8式が常に成立する。

0033

本発明における解析対象の関数(音線関数)においては、上記の制約入力値θの単位は[rad]であり最短の周期Tが2πである)を前提にできない。
そこで、本発明では、変数の変換により、周期を対象関数の扱いに問題を生じない長さに伸長させる。すなわち、周期Tを2πから2D(D≠0)に伸長する。
この周期Tは次の式により伸長する。
いま、周期2πの関数をf(θ)、周期2Dの関数をg(x)とする。
次の数9式により、2πを2Dに伸長する。そのために、数9式では変数xを導入している。





数9式により、変数をθからxに変換して得た関数g(x)は、周期2Dの関数である。前述の数7式は、数9式における xをyに置き換えた式である。

0034

後述の音線関数の計算においては、各音線通過点における屈折条件はその音線通過点の音速で確定する。各音線通過点における音速は、その音線通過点を通る垂直線上の音速の垂直分布V(y)により求める。この水中音速の垂直分布V(y)を求めるのに使用する2N個の水中音速値v0, v1, v2, v3, 〜 v2N-3, v2N-2, v2N-1は、着目海域内全てにおいて共通であることを前提としても、後述の方法により音線関数は決定できる。しかし、音線伝播方向における海面上の複数の地点での入手や設定が可能であれば、それら複数の地点ごとに取得した独立な水中音速の垂直分布Vx(y)を用いて、音線通過点の音速を決定し、この音速を基に音線関数を求めれば、一層正確に音線を決定できる(Vの添え字xは、音線伝播平面上の海面における位置であって、音線の計算において音速を取得する位置を表し、後に説明する図4図5図6にx0,x1,x2・・・・xn・・・として表れている。)。

0035

以上に説明したところにより、深さに関し離散値v0, v1, v2, v3, 〜 v2N-3, v2N-2, v2N-1で与えられた水中音速の垂直分布は、FFTにより、深度yを変数とする関数v=V(y)により、連続的に求められる。以下に具体的に説明するように、本実施の形態(地球球体を考慮した水中音波伝播経路関数の決定方法)では、その深度方向の音速関数v=V(y)で求めた深度yの音線通過点における音速vを用いて、音線通過点における屈折条件を確定する。

0036

(音線伝播平面)
図4は、「地球球体を考慮した水中音波伝播経路関数の決定方法」という本発明の一実施形態により、地球中心Gを通る音線伝播平面PAを伝播する音線の関数を決定するために、音線伝播平面PAを微小な角度Δφの扇形の微小区間W0,W1,W2・・・・・・Wn−1,Wn,Wn+1,Wn+2に分割し、これら微小区間W0,W1,W2・・・・・・Wn−1,Wn,Wn+1,Wn+2の境界における音線の通過点h1,h2,h3・・・・・・hn−1,hn,hn+1,hn+2を決定する過程を示す図である。図4における地球中心G、音源h0、原点x0、音線伝播平面PA、音線通過点hn、音線伝播平面PAの外縁(海面)上にあってGhn線の延長線上の点xnは図6に表してあるものと同じである。音線伝播平面PAは、音源h0と地球中心Gと、音源h0からの音線の発出方向を含む平面である。音源h0からの音線の発出方向は、図6の経線mから角度ψ傾いた面内にあり、音源h0と地球中心Gを結ぶ垂直線に対する俯角がβ0の方向である。したがって、音源h0からの音線の発出角はβ0である。また、音源h0の深度はy0である。

0037

図4におけるx1,x2・・・・・・xn−1,xn,xn+1,xn+2は、それぞれ地球中心Gと音線通過点h1,h2,h3・・・・・・hn−1,hn,hn+1,hn+2とを通る垂直線が海面と交わる位置である。y0,y1,y2・・・・・・yn−1,yn,yn+1,yn+2は、それぞれ海面の位置x0(原点),x1,x2・・・・・・xn−1,xn,xn+1,xn+2から音線通過点h0(音源),h1,h2・・・・・・hn−1,hn,hn+1,hn+2までの距離、すなわち深度である。p0,p1,p2・・・・・・pn−1,pn,pn+1,pn+2は、それぞれ地球中心Gから音線通過点h0(音源),h1,h2,h3・・・・・・hn−1,hn,hn+1,hn+2までの距離である。α0,α1,α2・・・・・・αn−1,αn,αn+1は、それぞれ音線通過点h1,h2,h3・・・・・・hn−1,hn,hn+1,hn+2における音線の入射角である。以下では、これら入射角を総称して入射角αと記載することがある。β1β2・・・・・・βn−1,βn,βn+1は、それぞれ音線通過点h1,h2,h3・・・・・・hn−1,hn,hn+1における音線の発出角である。以下では、これら発出角を総称して発出角βと記載することがある。q0,q1,q2・・・・・・qn−1,qn,qn+1は、音線通過点h0(音源),h1,h2,h3・・・・・・hn−1,hn,hn+1,hn+2相互間の距離であり、各微小区間W0,W1,W2・・・・・・Wn−1,Wn,Wn+1を音線が通過するときの道のりである。φnは、音源h0から発出され、音線伝播平面PA上を伝播した音線が音線伝播平面PA上の点hnに到達したときにおける、地球中心Gに関する音線の回転角度であり、φn=nΔφである。後述するように、図4座標では、yのプラス(+)方向を原点x0から空へ向かう方向としたので、海面から音線通過点までの深度yは常にマイナス(−)となる。そこで、pn =yn+ R (n≧0)が常に成立する。

0038

前述のとおり、本発明では、音源から一つの音線伝播平面に発出され、その音線伝播平面を伝播する音線を扱い、音源からその一つの音線伝播平面に発出され後に水平方向の角度を変えて伝播する音線は対象としていない。前述のとおり、1つの垂直角度(俯角または仰角)で発出された音線を計算により決定できれば、任意の垂直角度で発出された音線が計算でき、また、別の水平角度の平面(音線伝播平面)についても、任意の垂直角度で発出された音線が計算できるので、ある水平角度にある1つの音線伝播平面に、ある垂直角度で発出された音線の経路を計算により決定する方法を提供できれば、あらゆる水平角度においてあらゆる垂直角度で発出される音線の経路を決定できる、すなわち音線関数の決定が可能となる。

0039

このように、本発明は、着目する音線の平面内の伝播経路の入手方法である。この平面(音線伝播平面)は、前述のとおり、音源、地球中心及び音源から発出される音線の方向を含む平面として定義できる。この定義から、音線伝播平面は、図2および図3を参照して説明した前述の反射面とは直交する。

0040

(y-φ回転座標)
図4は、y−φ回転座標で表してある。y軸は、地球中心Gと音源h0とを通る直線であり、その直線が水面を通る点を原点x0とした。y軸のプラス(+)方向は、原点x0から空へ向かう方向(地球中心Gへ向かう方向とは反対の方向)である。φは、音線伝播平面PAにおける、地球中心Gに関するy軸からの回転角度である。本発明では、地球の海を半径Rの球体であるとして扱い、その海を伝播する音線の関数を求めるために、直交座標ではなく、y-φ回転座標における音線の伝播経路を求めている。以下では、このy-φ回転座標上において、音線関数 y=f(φ)を決定する方法を考える。関数 y=f(φ)が取得できれば、回転角φを入力すれば、音線の深度yが求められるので、この関数は音線深度関数と称することもできる。

0041

(音線関数y = f(φ)の算出)
以降の(1),(2),(3)項で、既知の条件から任意の区間Wnにおける各値を帰納的に決定し、(4)項で地球中心角φに対する音線深度関数y=f(φ)を決定する方法を示す。音源h0のφは0である。区間W0,W1,W2・・・・・・Wn−1,Wn,Wn+1,Wn+2における垂直音速分布関数Vは、それぞれV0,V1,V2・・・・・・Vn−1,Vn,Vn+1,Vn+2とする。そして、これら音速v=V0,V1,V2・・・・・・Vn−1,Vn,Vn+1,Vn+2は、数7式の垂直音速分布関数v = V(y)により予め求められているか、或いは別途与えられているものとする。

0042

(1)区間W0において既知の各諸元の値
y0:音源深度(水面:yn=0、水面下:yn<0、空中:yn>0)
R:地球半径
p0 = y0 + R
ここで、p0は地球中心G−音源h0間の距離(pnは地球中心G−音線通過点hn間の距離。hnは海面位置xnからの音線深度位置)である。
vh0:音源音
区間W0における垂直音速分布関数v=V0(y)は、水深方向の音速測定データに基づき、数7式により決定されているものとする。この関数v=V0(y)において、y=y0を入力することにより、音源深度h0における音速vh0は、vh0=V0(y0)として確定する。もっとも、音源深度h0における音速vh0は、数7式によらず、区間W0に関し、深度yに応じた音速vが別途にデータとして、与えられていても、そのy=h0における音速vを上記音源音速vh0としても、以下の計算は可能である。また、後述する音速vh1・・・vhn,vh(n+1)についても同様である。

0043

本実施の形態では、数7式により、V1(y)〜Vn+2(y)は既に求められているものとすることは上述のとおりである。
β0:音源発出角(垂直上方からの俯角り、既知の値である。)
Δφ:区間中心角
Δφは、区間W0,W1,・・・Wnにおける各中心角であって、任意に設定する既知の値であり、全区間で同一である。
α0:区間W1入射角(垂直下方からの仰角、α0 = β0 - Δφ)
β0 及び Δφが既知であるから、α0は既知の値である。
q0:音源h0から音線通過点h1までの道のり
sq0:累積道のり(sq0 = 0、sqnは音源h0から着目する音線通過点hn+1までの間の音線上の長さ)
st0:累積伝播時間(st0 = 0、stnは音源h0から着目する音線通過点hn+1までの間の音線上の音波伝播時間)

0044

三角形Gh0h1に関する正弦定理(下記数10式)からq0を求める。





以上に述べたところにより、区間W0に関する次の諸元
p0、y0、sq0、st0、vh0、β0、α0、S0、q0
が確定した。

0045

(2)区間W1の各諸元の値
区間W1の各諸元は、上記(1)において求めた区間W0の各諸元を利用して下記により決定される。
三角形Gh0h1に関する正弦定理から、下記数11式により、p1を求める。





ここで、y1 > 0となる場合は全反射として処理する(h1を新たな音源として、以降の音線を求める。)。

0046

下記数12によりsq1およびst1並びにvh1を求める。





更に、スネルの法則から、発出角β1および入射角α1を下記数13式および数14式により求める。





ここで、vh1/K0 > 1となる場合は全反射として処理する。

0047

更に、三角形Gh1h2に関する正弦定理から、下記数15式により、q1を求める。





以上に述べたところにより、区間W1に関する次の諸元
p1、y1、sq1、st1、vh1、β1、α1、S1、q1
が確定した。

0048

(3)区間Wnの各諸元値が既知である場合の区間Wn+1の各諸元値
区間Wnの次の各諸元値が既知とする。
pn、yn、sqn、stn、vhn、βn、αn、Sn、qn
このとき、区間Wn+1の各諸元値は、上記既知のデータを使用し以下の方法により求める。
三角形Ghnhn+1に関する正弦定理から、下記数16式により、pn+1を求める。





ここで、yn+1 > 0となる場合は全反射として処理する。

0049

下記数17式により、sqn+1およびstn+1並びにVh(n+1)を求める。





ここで、Vh(n+1)との記載では、添え字h(n+1)におけるn+1はhの添え字であり、hn+1と表記するべきところである(以下の記載でも同様である。)。
更に、スネルの法則から、発出角βn+1および入射角αn+1を下記数18式および数19式によりそれぞれ求める。





ここで、vh(n+1)/Kn > 1となる場合は全反射として処理する。

0050

更に、三角形Ghn+1hn+2に関する正弦定理から、下記数20式により、qn+1を求める。

0051

かくして、上述の方法により、区間Wnの各諸元値が既知である場合、区間Wn+1の次の各諸元値が決定できた。
pn+1、yn+1、sqn+1、stn+1、vh(n+1)、βn+1、αn+1、Sn+1、qn+1

(4)数学的帰納法による各諸元の決定
前記pn、yn、sqn、stn、vhn、βn、αn、Sn、qnが既知のときのpn+1、yn+1、sqn+1、stn+1、vh(n+1)、βn+1、αn+1、Sn+1、qn+1の値を上記(3)の方法により決定できるので、数学的帰納法によりn≧0(nは0又は正の整数)のすべてのnについて上記各諸元が決定できる。
区間Wn+1における深度yn+1が数16式から求められ、そのときの地球中心角φn+1はφn+1=(n+1)Δφであるから、区間Wn+1の音線通過点hn+1が定まる。このように、各区間の諸元を基に定まる音線通過点hn+1を順次に直線で繋ぐことにより、図4破線Uが作成できる。破線Uは、各区間における音線通過点を連結した線であるので、音線通過点連結線と称することとする。

0052

ここまで、(1),(2)および(3)に説明したところ、ならびに前記数学的帰納法による証明結果に基づき、図4に破線で示す音線通過点連結線Uは求まる。しかし、ここまで述べた計算では、扇形の各微小区間W0,W1,W2・・・・・・Wn−1,Wn,Wn+1,Wn+2の境界においてのみ、音線通過点h1,h2,h3・・・・・・hn−1,hn,hn+1,hn+2が求まるのであって、それら音線通過点相互の間では単に音線通過点を直線で繋いだ線であるから、音線通過点連結線Uは実際の音線とはかなり隔たっている可能性がある。また、このようにして描いた図4の音線通過点連結線Uは、音線通過点を結線した折れ線となり、実際の音線とは相違している。

0053

また、その音線通過点連結線Uは、扇形の各微小区間W0,W1,W2・・・・・・Wn−1,Wn,Wn+1,Wn+2について、音線通過点h1,h2,h3・・・・・・hn−1,hn,hn+1,hn+2を順次に計算して決定していく。そこで、音線通過点hnでは音源からの距離x(=nRΔφ)に応じた音線深度yは取得データから直ちに分かる。しかし、区間内の任意の距離の音線深度yは、直ちには分からない。この場合、従来の方法では、距離xにおける音線の深度は、その都度補間計算を行い求めるか、或いは音線計算の対象領域を音源から当該距離xまでに設定し、その対象領域を改めて複数の微小区間に分割し直し、新たに分割した微小区間について順次に音線通過点を計算していく等の計算を行う必要がある。そこで、求めようとする音源からの距離xを異にする複数の点について、正確な音線深度yを求めようとする、特許文献2の方法と同様に、計算時間が多大になり、実用的でなくなる。

0054

このように、反射点を除き、音線が滑らかな曲線として得られず、任意の(Δφの倍数とは限らない)地球中心角φ(音源からの距離xに対応)を与えたときの深度yを直ちに決定できないのは、1つ前の区間Wnの諸元(データ)を基に区間Wn+1の諸元を計算するという順次計算より図4の音線通過点連結線Uが決定され、y-φ回転座標における音線関数y = f(φ)により決定されていないことによるのである。そこで、本実施の形態による音線関数を決定するために、更にステップを進め、音線関数y = f(φ)を得る方法を次に述べる。

0055

(5)地球中心角φに対する音線深度y=f(φ)
地球中心角φは、音線伝播平面PAにおける地球中心Gに関する角度であり、音源h0の方向がφ=0の方向である。
いま、音線の通過点の番号をiとする(iは図4におけるnに相当する。)。そして、通過点の数が2N個であり(Nは正の整数、i=0〜2N-1)、各通過点をy-φ回転座標における点(φi, yi)で表すものとする。
φi=iΔφ及びyi(i=0〜2N-1)は、上記(1),(2),(3)および(4)に述べたところにおけるnをiに置き換えることにより求められる。このφi=iΔφ及びyi(i=0〜2N-1)を入力とするFFTにより、フーリエ級数展開時の係数aym(m=0〜N-1)、bym(m=1〜N-1)を求め、これら係数によるフーリエ級数展開関数でもって、次に詳述するように、音線深度y=f(φ)の関数が近似的に決定できる。

0056

ここで、「近似的」は次ことを意味する。
フーリエ級数は∞項までの展開したとき元関数と一致する。現実には∞項までの計算結果入手は困難であり、着目した項までの計算結果を求め、その後の項全体の計算結果による誤差が許容範囲内と判断できる場合(例、低域通過フィルタにより着目項以降の計算結果を無視できる大きさ(実質0)にする等)、着目した項までの計算結果を近似結果として採用することにより、等しくはないが同じとしても実用上問題が無い。このことがここ言う近似的の意味である。

0057

FFTにより音線深度y=f(φ)を求めるに当たっては、φの周期は2L[rad]とし、Lは着目範囲により都度決定する。
音源h0を0[rad]とする地球中心角φに対する音線の深度y=f(φ)は、下記数21式および数22式により決定される。





上記で得られるフーリエ級数の係数aym(m=0〜N-1)、bym(m=1〜N-1)を使用し、これら係数によるフーリエ級数展開関数(数22式)を決定する。この数22式のフーリエ級数展開関数が本実施の形態により決定する音線関数であり、意図する中心角φにおける音線深度yが求められる。





なお、音波の逆進性により、同じ条件であれば、音線上の任意の通過点と音源とを入れ替えても、音波は同じ音線上を伝播する(ただし、伝播の向きは反対になる)。

0058

(音線の道のりd = d(φ)の算出)
音線の道のりは、伝播強度減衰等の算出に使用される。
地球中心角φに対する音線の道のりd=d(φ)は、2N個の通過点(φi, sqi)を入力とするFFTにより、フーリエ級数展開時の係数adi(i=0〜N-1)、bdi(i=1〜N-1)を求めることで、決定できる。ここで、d=d(φ)は、音線の道のり、すなわち音線伝播行程の長さであって、距離ではない。また、2N個の通過点(φi, sqi)において、i=0〜2N-1であり、φi=iΔφであり、またsqiは音源から通過点(φi, pi)までの道のりである。

0059

音線の道のりd=d(φ)は次の数23式および数24式により求められる。





上記で得られるフーリエ級数の係数adm(m=0〜N-1)、bdm(m=1〜N-1)を使用し、音源から意図する中心角φまでの音線経路の道のりdを次の式から求める。

0060

(音線の伝播時間t = t(φ)の算出)
地球中心角φに対する音線の伝播時間t=t(φ)は、2N個の通過点(φi, pi) までのstiを入力とするFFTにより、フーリエ級数展開時の係数ati(i=0〜N-1)、bti(i=1〜N-1)を求めることで、下記数25式および数26式により決定できる。ここで、i=0〜2N-1であり、φi=iΔφであり、stiは音源から通過点 (φi, pi)までの伝播時間である。
なお、水中探針儀では、音波の往復の伝播時間に着目するが、音波の逆進性から、下記数26式で取得した値tの2倍の時間が探信から受信までの所要時間となる。





上記で得られるatm(m=0〜N-1)、btm(m=1〜N-1)を使用し、音源から意図する中心角φまでの音線経路に沿う音波伝播時間t(片道)を次の式から求める。

0061

図5は、上に「(5)地球中心角φに対する音線深度y=f(φ)」なる項に説明したところに依って、図4の音線通過点h1,h2,h3・・・・・・の位置データについてFFTを行い、フーリエ級数展開の係数を求めることにより、中心角φを変数とする音線の深度yの関数y=f(φ)なる音線関数を決定し、この関数で表される音線Qを示す図である。前記数22式により求めたy = f(φ)なる関数が本実施形態の方法により決定した音線関数であり、その関数によりシミュレーションをして作成した音線が、図5に符号Qの実線で示してある。

0062

この関数を表した音線Qは、扇形の各微小区間W0,W1,W2・・・・・・Wn−1,Wn,Wn+1,Wn+2の境界では、図4に破線で示した音線通過点連結線Uと同じ音線通過点を通過する。音線通過点h1,h2,h3・・・・・・hn−1,hn,hn+1,hn+2は、図4図5とで同じである。他方、これら通過点の間の音線Qは図4の音線通過点連結線Uより実際の音線に近い。更に、各音線通過点h1,h2,h3・・・・・においては、図4の音線通過点連結線Uは音線通過点を結線した折れ線となっているのに対し、数21式および数22式のFFTにより得た関数をシミュレートして描いた図5の音線Qは、滑らかな連続線となり実際の音線により近いものとなっている。すなわち、数22式の関数で表される音線Qは、実際の音線に対し、入手した観測値(垂直音速分布)に基づく妥当な(真値に最も近い)近似曲線であり、扇形の各微小区間W0,W1,W2・・・・・・Wn−1,Wn,Wn+1,Wn+2の境界の音線通過点h1,h2,h3・・・・・・hn−1,hn,hn+1,hn+2を直線で結んだ音線通過点連結線U(図4および図5に破線で示す)に比べ、高精度な音線である。

0063

(音線の表示)
以上(1)〜(5)に説明した本発明の一実施形態の「地球球体を考慮した水中音波伝播経路関数の決定方法」では、海面上の原点x0における深度y0の音源h0から、経線面PMからψだけ傾斜した平面(音線伝播平面PA)内において、発出角度β0で音線が発出されたとき、音線伝播平面PAにおける地球中心角φでは音線の深度yがどんな値であるかが決定される。原点x0から、地球中心角φにおける海面上の位置xまでの距離(海面上の道のり)をxとすると、x=R・φにより(R:地球半径)xを決定できるので、横軸にx、縦軸にyを取ったxy直交座標の画面に音線を表示できる。ここで、yは前述のとおり、マイナスであるから、xy直交座標では音線のyはx軸より常に下側にある。そこで、海面をx軸と観て、そこから下側を海中と観ることにより、表示された音線は実際的にイメージされる。

0064

(複数の音線)
本実施の形態では、音線関数y=f(φ)が得られる。そこで、既に図6を参照して説明したように、音源の深度y0、音線発出角度β0、音線が伝播する媒体(海水等の水)の屈折条件(深度方向の音速分布によりにより決まる。)を任意に選択して、複数の音線をシミュレートできる。例えば、複数の音線発出角度β0における音線関数をそれぞれ取得し、それら複数の音線を上記xy直交座標の画面に表示することにより、関心領域に音線を集中できる音線発出角度β0や、逆に対象領域には音線が至り難い音線発出角度β0を視覚的に容易に認識することができる。このように、音線確定の条件を多数設定し、それにより得られる多数の音線関数を解析し、関心領域における音線の粗密を求めることもコンピュータプログラムにより行うことができる。また、一つの音線伝播平面PAにおける音線関数に限らず、音線発出方向の水平角度を変更した任意の別の音線伝播平面についても、同様に音線関数を決定できる。水平角度が異なる音線伝播平面では、垂直方向の音速分布が異なることが多いので、音線関数も相違したものとなることが多いが、本発明ではFFTにより音速関数を決定するので、計算区間毎に海上位置xに対する深度yを表したデータだけを求めていた従来の方法に比べ、任意の海上位置x(地球中心角φと地球半径Rとの積)に応じた音線深度yが高速に求められる。

0065

(地球球体を考慮した水中音波伝播経路関数)
本発明では、図4図5および図6を参照して説明したように、音線が伝播する対象領域が地球の海であることを考慮して音線関数(水中音波伝播経路関数)を決定している。そのために、対象領域を地球と同じ球体として扱えるように、対象領域を多数の扇形の微小区間に分割し、各微小区間境界における音線の通過点と地球中心Gとがなす三角形について、屈折角度(入射角αと発出角β)を求め、その三角形について正弦定理を適用し、微小区間における道のりqおよび深度yを計算している。このことは、本発明では、各微小区間の境界における音線の屈折を実際の海におけると同様に扱っていることになるから、この方法により計算した各微小区間の音線通過点の深度yについてFFTを行い、音線関数を取得している(数21式および数22式参照)ので、音線関数は高い精度で決定できる。そして、この精度は、対象領域を分割する微小区間の数に応じて向上する。他方、直交座標平面上に無限に広がる水泳プールのような立方体として対象領域を扱う従来の方法では、対象領域を微小区間に分割しても、それら各微小区間の境界面は互いに平行であるとして境界面における屈折を計算するので、地球球体を考慮しておらず、そのため音線の伝播距離が大きくなるに従い、屈折角度の誤差が累積され、求められる音線、道のり、伝播時間などの精度は次第に低下する。そこで、対象領域を直交座標で表す従来の方法では、対象領域を分割する微小区間の数を増加させても、地球球体を考慮した場合と比較した屈折角の誤差はやはり同様に累積されるので、求めた音線の精度を向上することはできない。

0066

(コンピュータプログラム)
当然ながら、上記(1)〜(5)に説明した実施形態における各計算処理はコンピュータプログラムにより容易に行うことができる。図5に示した音線Qは、コンピュータプログラムによるシミュレーションで取得できる。同様に、水中音速の垂直分布の計算(数7式)や他の処理もコンピュータプログラムにより行うことができる。また、上述の実施の形態で示した各処理は、コンピュータプログラムを実装したコンピュータ(装置)により実施できることは言うまでもない。また、そのコンピュータプログラムは、コンピュータにより読み取り可能な記録媒体に記録するようにしてもよいことは、前述のとおりである。

0067

(音線の道のり及び音波伝播時間)
以上には、本発明により決定される音線関数を中心に述べた。特に、この音線関数により、地球中心角φ[φは音源の海面位置x0(原点)からの海面上の位置xまでの距離xに対応。x=φ・R]に応じた音線の深度yが任意のφについて高速に求まることを詳しく説明した。
本発明では、音線関数が決定できることにより、次の各数値データが取得できる。
ア 上記の音線経路(y = f(φ) 、数22式))
イ 音線上の任意の2点間の道のり[長さ] (d = d(φ) 、数24式)
ウ 音線上の任意の2点間の音波伝播時間(伝播時間t = t(φ)、数26式)
上記道のりd及び音波伝播時間tも、音線深度yと同様に、地球中心角φを変数とした関数で得られるので、任意の地球中心角φが与えられると、高速に算出される。

0068

魚群探知など水中物体探知へ適用したときの有用性
一例として、魚群探知機に本実施の形態を適用すれば、上述の音線分布から、その水平角度における距離xおよび深度yについて、今どの範囲が探索できているか、どの範囲は探索できていないかが高速に分かる。そこで、一層適切な魚群探査のために、探査船が音波を発射するべき位置(音源の位置)、音波の発射方向などを知ることができる。音波の逆進性により、以上に説明した音源h0の位置に受波器を配置したときに受波する音線の分布は、音源h0から音波を発射したときの音線伝播平面上の音線分布と同じになる。そこで、この音線分布に基づき、その受波器が受波できる音源位置はどの領域の確立が高いか、又は低いかが判別でき、効率的な音源探索が可能となる。

0069

以上、本発明の好適な実施形態の構成を説明した。しかし、かかる実施形態は、本発明の単なる例示に過ぎず、何ら本発明を限定するものではないことに留意されたい。本発明の要旨を逸脱することなく、特定用途に応じて種々の変形変更が可能であることが、当業者には容易に理解できよう。

0070

E 地球
G地球中心
Np北極
Sp南極
Le赤道
m0グリニッジ子午線
Az経度
m経線
PM経線面
PA音線伝播平面
Q 音線
ψ 経線面PMに対する音線伝播平面PAの傾き角度
h0音源
x0原点(地球中心Gと音源h0とを通る線(垂直線)が地球Eの表面(海面)と交差する点)
hn 音線伝播平面PA上の点
φn Gx0線からの点hnの角度(地球中心Gに関する角度)
e0 グリニッジ子午線m0が赤道Leと交わる点
e1 音線伝播平面PAが赤道Leと交わる点
e2 経線mが赤道Leと交わる点
AR 音線
v1 領域1における音速
v2 領域2における音速
θ1入射角
θ2屈折角
vP−1 領域P-1における音速
vP 領域Pにおける音速
θP−1 入射角
θP反射角
B海底面
μ 水平面xに対する海底面Bの傾斜角
W0,W1,W2・・・・・扇形の微小区間
Δφ 扇形の微小区間W0,W1,W2・・・・・の地球中心Gに関する角度
h1,h2,h3・・・・ 音線通過点
x1,x2,x3・・・・ 地球中心Gと音線通過点h1,h2,h3・・・・とを通る垂直線が海面と交わる位置
y0,y1,y2・・・・ 海面の位置x0(原点),x1,x2・・・・から音線通過点h0(音源),h1,h2・・・・までの距離(すなわち深度)
p0,p1,p2・・・・ 地球中心Gから音線通過点h0(音源),h1,h2,h3・・・・までの距離
α0,α1,α2・・・・ 音線通過点h1,h2,h3・・・・における音線の入射角
β1,β2,β3・・・・ 音線通過点h1,h2,h3・・・・における音線の発出角
q0,q1,q2・・・・ 音線通過点h0(音源),h1,h2,・・・・相互間の距離(微小区間W0,W1,W2・・・・を音線が通過するときの道)
φn 地球中心Gに関する原点h0から点hnまでの音線の回転角度(φn=nΔφ)
y 原点x0を通り、原点x0から空へ向かう方向をプラスとする垂直線
U 音線通過点連結線

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