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技術 ニッケル非含有ジルコニウム及び/又はハフニウム系バルク非晶質合金

出願人 ザ・スウォッチ・グループ・リサーチ・アンド・ディベロップメント・リミテッド
発明者 アルバン・デュバッハイヴ・ウィンクレトミー・カロッツァーニ
出願日 2016年7月12日 (4年5ヶ月経過) 出願番号 2016-137321
公開日 2017年2月9日 (3年10ヶ月経過) 公開番号 2017-031504
状態 特許登録済
技術分野 機械時計 装身具 非鉄合金の製造
主要キーワード 原子パーセンテージ 剛性部品 ミドルケース 原子パーセント未満 合金前駆体 ガラス形成能力 臨界直径 合計原子
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図面 (3)

課題

時計用途のための、ニッケル非含有、又はニッケル非含有かつベリリウム非含有であるジルコニウム系及び/又はハフニウムバルク非晶質合金を製造する方法の提供。

解決手段

原子%値で:平衡状態を形成し、ジルコニウム及びハフニウムの合計値は52.0〜62.0である、ジルコニウム及び/又はハフニウム基材;銅:16.0〜28.0;鉄:0.5〜10.0;アルミニウム:7.0〜13.0;上記基材がTi、V、Nb、Y、Cr、Mo、Co、Sn、Zn、P、Pd、Ag、Au、Pt、Ta、Ru、Rh、Ir、Os、Hfを含有しない場合にはこれらと、上記基材がZrを含有しない場合にはZrとを含む群から得られる、少なくとも2つの追加の金属(X)(これら追加の金属の合計原子%は6.0超10.0以下である)で形成された、ニッケル非含有バルク非晶質合金。

概要

背景

特に腕時計ケースミドルケース地板ベゼルプッシュタンクラウンバックルブレスレット指輪イヤリング等の構造体に関する、時計学及び宝飾品の分野において、非晶質合金の使用は増加している。

ユーザの皮膚に接触するよう構成される、外装として使用するための構成部品は、特にいくつかの金属、とりわけベリリウム及びニッケルの毒性又はアレルゲン性の影響による特定の制約順守しなければならない。これらの金属の特定の固有の特性にもかかわらず、少なくともユーザの皮膚に接触する可能性がある構成部品に関して、ベリリウム又はニッケルをほとんど又は全く含有しない合金市場流通させるための努力が尽くされている。

ジルコニウム系バルク非晶質合金は1990年代から公知である。非特許文献1、非特許文献2、特許文献1、非特許文献3が上記合金に関する。

「GFA」として知られ、またこれ以降「GFA」と呼ばれ、臨界直径Dc*に関連する、最良ガラス形成能力を有する非晶質合金は、以下の系に見られる:
‐Zr‐Ti‐Cu‐Ni‐Be;及び
‐Zr‐Cu‐Ni‐Al。

最も頻繁に使用される/特性決定される合金の組成原子%)を以下に列挙する:
‐Zr44Ti11Cu9.8Ni10.2Be25(LM1b)
‐Zr65Cu17.5Ni10Al7.5(非特許文献1)
‐Zr52.5Cu17.9Ni14.6Al10Ti5(Vit105)(非特許文献2)
‐Zr57Cu15.4Ni12.6Al10Nb5(Vit106)及びZr58.5Cu15.6Ni12.8Al10.3Nb2.8(Vit106a)(特許文献1)
‐Zr61Cu17.5Ni10Al7.5Ti2Nb2(非特許文献3)。

ニッケルのアレル潜在性により、これらの合金は、腕時計外装部品等、皮膚との接触を伴う用途に使用できない。更に、ベリリウムの毒性によりこれらの合金のうちのいくつかの製造及び機械加工は、特別な予防策を必要とする。これは残念なことである。というのは、これら2つの元素非晶質相を安定化し、高い臨界直径Dc*を有する合金を容易に得られるようにすることができるためである。更にニッケルは、ジルコニウム系非晶質合金の腐食耐性に対してプラスの影響を有する。

しかしながら、ニッケル非含有かつベリリウム非含有ジルコニウム系非晶質合金の臨界直径は一般に、ニッケル及びベリリウムを含有する合金の臨界直径よりも小さく、これは剛性部品を製造するにあたって不利である。従って、十分な臨界直径Dc*を有する合金を開発する必要がある。

概要

時計用途のための、ニッケル非含有、又はニッケル非含有かつベリリウム非含有であるジルコニウム系及び/又はハフニウム系バルク非晶質合金を製造する方法の提供。原子%値で:平衡状態を形成し、ジルコニウム及びハフニウムの合計値は52.0〜62.0である、ジルコニウム及び/又はハフニウム基材;銅:16.0〜28.0;鉄:0.5〜10.0;アルミニウム:7.0〜13.0;上記基材がTi、V、Nb、Y、Cr、Mo、Co、Sn、Zn、P、Pd、Ag、Au、Pt、Ta、Ru、Rh、Ir、Os、Hfを含有しない場合にはこれらと、上記基材がZrを含有しない場合にはZrとを含む群から得られる、少なくとも2つの追加の金属(X)(これら追加の金属の合計原子%は6.0超10.0以下である)で形成された、ニッケル非含有バルク非晶質合金。

目的

上記合金の公知の特性は、例えばZr46Cu46Al8合金をZr42Cu42Al8Ag8合金に変換することによって、上記合金に銀を添加することにより、臨界直径が8mmから12mmに増大することである

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

バルク非晶質合金であって、前記合金は、ニッケルを含有せず、原子パーセント値で以下:‐ジルコニウム及び/又はハフニウムで形成され、前記ジルコニウム及び/又はハフニウムの含有量平衡状態を形成し、ジルコニウム及びハフニウムの合計値は52.0以上62.0以下である、基材;‐銅:16.0以上28.0以下;‐鉄:0.5以上10.0以下;‐アルミニウム:7.0以上13.0以下;‐前記基材がTi、V、Nb、Y、Cr、Mo、Co、Sn、Zn、P、Pd、Ag、Au、Pt、Ta、Ru、Rh、Ir、Os、Hfを含有しない場合にはTi、V、Nb、Y、Cr、Mo、Co、Sn、Zn、P、Pd、Ag、Au、Pt、Ta、Ru、Rh、Ir、Os、Hfと、前記基材がZrを含有しない場合にはZrとを含む群から得られる、Xと呼ばれる少なくとも第1の追加の金属及び第2の追加の金属であって、前記少なくとも2つの追加の金属の合計原子パーセンテージは6.0超10.0以下である、少なくとも第1の追加の金属及び第2の追加の金属からなることを特徴とする、バルク非晶質合金。

請求項2

前記第1の追加の金属及び前記第2の追加の金属は、前記基材がTi、Nb、Pd、Ag、Au、Pt、Ta、Ru、Rh、Ir、Os、Hfを含有しない場合にはTi、Nb、Pd、Ag、Au、Pt、Ta、Ru、Rh、Ir、Os、Hfと、前記基材がZrを含有しない場合にはZrとを含む群から得られ、前記少なくとも2つの追加の金属の合計原子パーセンテージは6.0超10.0以下であることを特徴とする、請求項1に記載のバルク非晶質合金。

請求項3

前記第1の追加の金属及び前記第2の追加の金属は、Ti、Nb、Pd、Ag、Au、Pt、Ta、Ru、Rh、Ir、Osを含む群から得られ、前記少なくとも2つの追加の金属の合計原子パーセンテージは6.0超10.0以下であることを特徴とする、請求項2に記載のバルク非晶質合金。

請求項4

前記合金は更に、スカンジウムイットリウム原子番号57〜71のランタニドを含む群から得られる少なくとも1つの希土類を、原子パーセンテージ値で含み、これらの希土類の合計は0.01以上1.0以下であることを特徴とする、請求項1に記載のバルク非晶質合金。

請求項5

前記合金はニッケル非含有かつベリリウム非含有であることを特徴とする、請求項1に記載のバルク非晶質合金。

請求項6

前記合金はコバルト非含有及び/又はクロム非含有であることを特徴とする、請求項1に記載のバルク非晶質合金。

請求項7

前記合金がイットリウムを含む場合、イットリウムの含有量は0.5超であることを特徴とする、請求項1に記載のバルク非晶質合金。

請求項8

請求項1に記載の非晶質合金製の、時計又は宝飾品構成部品(1)。

請求項9

前記構成部品(1)を形成する前記非晶質合金の臨界直径(Dc*)は、前記構成部品の最大厚さ(E)の1.8倍超であることを特徴とする、請求項8に記載の構成部品(1)。

請求項10

少なくとも1つの請求項8又は9に記載の外装構成部品(1)を含む、腕時計(2)。

請求項11

前記腕時計(2)は、臨界直径(Dc*)が8mm超である請求項1に記載の非晶質合金製の、最大厚さ(E)が4.0〜5.0mmのミドルケースである、前記外装構成部品(1)を含むことを特徴とする、請求項10に記載の腕時計(2)。

技術分野

0001

本発明は、バルク非晶質合金に関する。

0002

本発明は更に、このタイプの合金製時計構成部品に関する。

0003

本発明はまた、少なくとも1つのこのような構成部品を備える腕時計にも関する。

0004

本発明は、特に腕時計ケースミドルケース地板ベゼルプッシュタンクラウンバックルブレスレット指輪イヤリング等の構造体に関する、時計学及び宝飾品の分野に関する。

背景技術

0005

特に腕時計ケース、ミドルケース、地板、ベゼル、プッシュボタン、クラウン、バックル、ブレスレット、指輪、イヤリング等の構造体に関する、時計学及び宝飾品の分野において、非晶質合金の使用は増加している。

0006

ユーザの皮膚に接触するよう構成される、外装として使用するための構成部品は、特にいくつかの金属、とりわけベリリウム及びニッケルの毒性又はアレルゲン性の影響による特定の制約順守しなければならない。これらの金属の特定の固有の特性にもかかわらず、少なくともユーザの皮膚に接触する可能性がある構成部品に関して、ベリリウム又はニッケルをほとんど又は全く含有しない合金市場流通させるための努力が尽くされている。

0007

ジルコニウム系バルク非晶質合金は1990年代から公知である。非特許文献1、非特許文献2、特許文献1、非特許文献3が上記合金に関する。

0008

「GFA」として知られ、またこれ以降「GFA」と呼ばれ、臨界直径Dc*に関連する、最良ガラス形成能力を有する非晶質合金は、以下の系に見られる:
‐Zr‐Ti‐Cu‐Ni‐Be;及び
‐Zr‐Cu‐Ni‐Al。

0009

最も頻繁に使用される/特性決定される合金の組成原子%)を以下に列挙する:
‐Zr44Ti11Cu9.8Ni10.2Be25(LM1b)
‐Zr65Cu17.5Ni10Al7.5(非特許文献1)
‐Zr52.5Cu17.9Ni14.6Al10Ti5(Vit105)(非特許文献2)
‐Zr57Cu15.4Ni12.6Al10Nb5(Vit106)及びZr58.5Cu15.6Ni12.8Al10.3Nb2.8(Vit106a)(特許文献1)
‐Zr61Cu17.5Ni10Al7.5Ti2Nb2(非特許文献3)。

0010

ニッケルのアレル潜在性により、これらの合金は、腕時計外装部品等、皮膚との接触を伴う用途に使用できない。更に、ベリリウムの毒性によりこれらの合金のうちのいくつかの製造及び機械加工は、特別な予防策を必要とする。これは残念なことである。というのは、これら2つの元素非晶質相を安定化し、高い臨界直径Dc*を有する合金を容易に得られるようにすることができるためである。更にニッケルは、ジルコニウム系非晶質合金の腐食耐性に対してプラスの影響を有する。

0011

しかしながら、ニッケル非含有かつベリリウム非含有ジルコニウム系非晶質合金の臨界直径は一般に、ニッケル及びベリリウムを含有する合金の臨界直径よりも小さく、これは剛性部品を製造するにあたって不利である。従って、十分な臨界直径Dc*を有する合金を開発する必要がある。

0012

米国特許第6592689号

先行技術

0013

Zhang, et al., Amorphous Zr-Al-TM (TM=Co, Ni, Cu) Alloys with Significant Supercooled Liquid Region of Over 100 K, Materials Transactions, JIM, Vol. 32, No. 11 (1991) pp. 1005‐1010
Lin, et al., Effect of Oxygen Impurity on Crystallization of an Undercooled Bulk Glass Forming Zr‐Ti‐Cu‐Ni‐Al Alloy, Materials Transactions, JIM, Vol. 38, No. 5 (1997) pp. 473‐477
Inoue, et al., Formation, Thermal Stability and Mechanical Properties of Bulk Glassy Alloys with a Diameter of 20 mm in Zr‐(Ti, Nb) ‐Al‐Ni‐Cu System, Materials Transactions, JIM, Vol. 50, No. 2 (2009) pp. 388‐394

発明が解決しようとする課題

0014

本発明は、時計用途のための、ニッケル非含有、又はニッケル非含有かつベリリウム非含有であるジルコニウム系及び/又はハフニウム系バルク非晶質合金を製造することを提案する。

0015

本発明は、少なくともニッケル非含有、又はニッケル非含有かつベリリウム非含有であるジルコニウム系及び/又はハフニウム系非晶質合金の臨界直径を、高いΔTx値(結晶化温度Txとガラス転移温度Tgとの差)を維持しながら増大させることを提案する。

0016

本発明は、請求項1による、その臨界直径を増大させるために他の元素を添加した、ニッケル非含有ジルコニウム系及び/又はハフニウム系バルク非晶質合金に関する。

0017

本発明は更に、このタイプの合金で作製された時計又は宝飾品構成部品に関する。

0018

本発明の他の特徴及び利点は、添付の図面を参照して以下の詳細な説明を読むと明らかになるであろう。

図面の簡単な説明

0019

図1は、円錐形試料における臨界直径Dc*の測定の概略図である。
図2は、本発明による合金製の時計の概略図である。

実施例

0020

本発明は、特に腕時計ケース、ミドルケース、地板、ベゼル、プッシュボタン、クラウン、バックル、ブレスレット、指輪、イヤリング等の構造体に関する、時計学及び宝飾品の分野に関する。

0021

本発明は、時計用途のための、ニッケル非含有、又はニッケル非含有かつベリリウム非含有であるジルコニウム系及び/又はハフニウム系バルク非晶質合金を製造することを提案し、本発明によるこれらの合金は、ニッケルを含有する又はニッケル及びベリリウムを含有する合金と同様の特性を有するよう考案される。

0022

本発明は、少なくともニッケル非含有、又はニッケル非含有かつベリリウム非含有であるジルコニウム系及び/又はハフニウム系非晶質合金の臨界直径を、高いΔTx値を維持しながら増大させることを提案する。

0023

「Z非含有(Z‐free)」は、合金中のZのレベルが好ましくはゼロであるか、又は不純物のように極めて低く、好ましくは0.1%以下であることを意味する。

0024

「ニッケル非含有合金(nickel‐free alloy)」はここでは、ニッケルを含まない、即ち0.1原子パーセント未満のニッケルを含む合金を意味し、「ニッケル非含有かつベリリウム非含有合金(nickel‐free and beryllium‐free alloy)は、0.1原子パーセント未満のニッケルを含みかつ0.1原子パーセント未満のベリリウムを含む合金を意味する。

0025

従って本発明は、皮膚との接触の問題を引き起こさず、高い臨界直径値Dc*及び高いΔTx値を有しない、ニッケルを置換する又はニッケル及びベリリウムの両方を置換する元素を含む合金の製造を開発することに関する。

0026

従って本発明は、臨界直径Dc*を増大させるために特定の成分を添加した、ニッケル非含有ジルコニウム系及び/又はハフニウム系バルク非晶質合金に関する。

0027

実際に、本発明に関して実施した実験により、非晶質合金製の、所定の厚さEの良好な時計外装構成部品を達成できる可能性が、上記非晶質合金の臨界直径Dc*に密接に関連することが確立された。特に有利な実施形態では、臨界直径Dc*に最大の利点がある。好ましくは臨界直径Dc*は、厚さEの1.8倍超である。より具体的には、臨界直径Dc*は厚さEの2倍付近であり、特に1.8E〜2.2Eである。

0028

様々な群のニッケル非含有組成物が文献において既に公知であるが、臨界直径が小さく、及び/又は腐食耐性が低い。

0029

少なくとも銅及びアルミニウム、特にZr‐Cu‐Al及びZr‐Cu‐Al‐Agを含むジルコニウム合金の群は、文献「Mater Trans, Vol 48, No 7 (2007) 1626‐1630」において開示されている。上記合金の公知の特性は、例えばZr46Cu46Al8合金をZr42Cu42Al8Ag8合金に変換することによって、上記合金に銀を添加することにより、臨界直径が8mmから12mmに増大することである。銅の高いパーセンテージ(Cu/Zr比≒1)により、この群の合金の腐食耐性は極めて低く、またこれらの組成物は、環境温度において経時的に脱色又は黒化する傾向さえ有する。この組成物は鉄を含有しない。

0030

少なくともチタン、銅及びアルミニウム、特にZr‐Ti‐Cu‐Al及びZr‐Ti‐Nb‐Cu‐Alを含むジルコニウム系合金の群は、米国特許第2013032252号から公知である。特に以下の合金が公知である:Zr45-69Ti0.25-8Cu21-35Al7.5-15及びZr45-69(Nb,Ti)0.25-15Cu21-35Al7.5-13(ただし0.25≧Ti≧8)。この組成物は鉄を含有しない。開示されている臨界直径は10mm未満である。この文献に示されている値は常に現実適合するわけではないことを強調しておく。例えば米国特許第2013032252号の場合、最適な組成物はZr60‐62Ti2Cu24‐28Al10‐12付近に見られる。それに対して、以下に記載する操作モードに従って本発明の実験中に生成される、臨界直径10mmを有すると考えられるZr61Ti2Cu26Al11合金の実施形態は、4.5mmの臨界直径Dc*しか生成しなかった。これは、特定の先行技術文献に示される極めて楽観的な結果に対する深い疑念につながる。

0031

少なくともパラジウム、銅及びアルミニウムを含むZr‐Cu‐Pd‐Alタイプのジルコニウム合金の群が、国際公開特許出願第2004022118号から公知であり、この特許文献は、10%のパラジウムを有する組成物を開示しており、上記組成物は従って極めて高価である。臨界直径は極めて小さいままである。この組成物は鉄を含有しない。

0032

少なくともニオブ、銅及びアルミニウムを含むZr‐Nb‐Cu‐Alタイプのジルコニウム合金の群が、国際公開特許出願第013075829号から公知である。この群により、それほど純度が高くない元素を用いた、例えば純ジルコニウムの代わりに工業用ジルコニウムを利用した、非晶質合金の製造が可能となる。結果としてこの組成物は、微量のFe、Co、Hf、Oも含む:Zr64.2-72Hf0.01-3.3(Fe,Co)0.01-0.15Nb1.3-2.4O0.01-0.13Cu23.3-25.5Al3.4-4.2(質量パーセント)。臨界直径は5mm付近である。

0033

少なくともニオブ、銅、パラジウム及びアルミニウムを含むZr‐Nb‐Cu‐Pd‐Alタイプのジルコニウム系合金の群が、文献「J Mech Behav Biomed, Vol 13 (2012) 166‐173」から公知であり、この文献は、Zr45+xCu40-xAl7Pd5Nb3系における非晶質合金の成長に関する。この組成物は鉄を含有しない。本発明の開発中に実施された試験により、これらZr‐Nb‐Cu‐Pd‐Al組成物は腐食耐性を有しないことが実証された。

0034

少なくとも銅、鉄、アルミニウム、銀を含むZr‐Cu‐Fe‐Al‐Agタイプのジルコニウム系合金の群が、文献「MSEA, Vol 527 (2010) 1444‐1447」から公知であり、この文献は、合金(Zr46Cu39.2Ag7.8Al7)100-yFey(ただし0<y<7)に対するFeの影響について研究している。Cu/Zr比は高く、結果として腐食耐性は良好でない。

0035

少なくとも銅、アルミニウム、銀を含むZr‐Cu‐Fe‐Al‐Xタイプ(ただしXは、群 Ti、Hf、V、Nb、Y、Cr、Mo、Fe、Co、Sn、Zn、P、Pd、Ag、Au、Ptの少なくとも1つの元素である)のジルコニウム系合金の群が、合金Zr33-81Cu6-45(Fe,Co)3-15Al5-21‐X0-6に関する国際公開特許出願第2006026882号から公知である。

0036

同一の群が中国特許102534439号からも公知であり、この特許文献はより詳細には、合金Zr60-70Ti1-2.5Nb0-2.5Cu5-15Fe5-15Ag0-10Pd0-10Al7.5-12.5に関する。

0037

記文献の様々な開示において言及されている制限に照らして、本発明の開発は、ニッケル非含有及びベリリウム非含有かつニッケル非含有である非晶質合金の特性、特に臨界直径を改善するための、かなりの試験の実施を要した。

0038

特に時計外装構成部品に関して完璧でなければならない腐食耐性に関して仕様に適合しない、タイプZr‐Cu‐Fe‐Al‐Agの又はタイプZr‐Cu‐Fe‐Al‐Xの合金に関して、これを理論上禁止する教示にもかかわらず、本発明の進歩性は、合金の熱物理特性に対する有利な影響を有する鉄が果たす具体的役割が、好ましくは9mm以上の臨界直径Dc*を有しかつ極めて良好な腐食耐性及び優れた経時的色安定性を有する特定の合金組成物を定義するための基礎として作用し得るかどうかを確立することを追求した。

0039

この目的のために、本発明は、少なくとも0.5%の鉄を含有する合金のみを含む。

0040

実際には、Zr‐Cu‐Fe‐Al系が比較的高い(3元Zr‐Cu‐Al合金よりも高い)ガラス形成能力(glass forming ability:GFA)を有することを文献が教示しているため、この系を始点として選択する。鉄は主に以下の理由で選択された:
‐4つの元素(Zr‐Cu‐Al+Fe)を有するという事実により合金の複雑性が上昇し(秩序構造の形成がより困難となり)、これによって上記合金のGFAが上昇する;
‐一般に、相図の深共晶付近に最適な組成物が見られる。鉄がZrと深共晶を形成することは公知であり、また熱力学的計算によって、鉄が4元系において液相線を低下させることが実証されている。深共晶はZr60Cu25Fe5Al10及びZr62.5Cu22.5Fe5Al10に近い;
‐更に、GFAを上昇させるために、主要元素間の混合のエネルギは負でなければならない(これはZr‐Fe及びAl‐Feの場合に当てはまる)。

0041

しかしながら、Zr‐Cu‐Fe‐Al4元合金の臨界直径は、ミドルケース等の時計の剛性外装構成部品を形成するために十分には大きくない。9mmに近い又はこの値より大きい臨界直径Dc*の目標は、少なくとも高級腕時計製作においてミドルケースの厚さが典型的には5mm付近であるという事実を考慮したものである。

0042

実験の戦略は、以下の主要なステップを用いて、初期状態の4元合金に追加の元素を添加することにより、臨界直径を増大させることからなるものであった:
‐1.好ましくは初期Zr‐Cu‐Fe‐Al4元合金で形成された、ジルコニウム及び/又はハフニウム基材を定義するステップ。例えばZr58Cu27Fe5Al10。ジルコニウムはハフニウム又はジルコニウム‐ハフニウム混合物で置換され得る。
‐2.上記基材がTi、V、Nb、Y、Cr、Mo、Co、Sn、Zn、P、Pd、Ag、Au、Pt、Ta、Ru、Rh、Ir、Os、Hfを含有しない場合にはこれらと、上記基材がZrを含有しない場合にはZrとを含む群から得られる少なくとも2つの(又はそれを超える)元素Xを選択するステップ;Xaという表現において、「a」は全てのXタイプの元素の合計パーセンテージを表す。
‐3.選択されたX元素が(Ti、Nb、Ta)に含まれる場合、これはZrを置換する。実際には、元素(Ti、Nb、Ta)は、元素周期表内でZrと近いこと、及びZrと固溶体を容易に形成することから、化学的にZrに比較的近く、従って上記X元素はZrを置換するために使用される。
‐4.X元素が(Pd、Pt、Ag、Au、Ru、Rh、Ir、Os)に含まれ、従って上記と同様にCuに比較的近い場合、X元素はCuを置換する。
‐5.このようにして得られた合金組成物を維持するステップ。例えば:X1=Nb、X2=Ag、選択された合金はZr58-X1NbX1Cu25-X2AgX2Fe5Al12である。
‐6.異なるX1及びX2含有量を有する合金を製造するステップ。例えばX1=2%及び3%、X2=3.5%及び4.5%である。
‐7.上記合金の特性及び特に臨界直径Dc*を測定し、最適な組成物を識別するステップ。例えばZr56Nb2Cu22.5Ag4.5Fe5Al10。

0043

各実験による合金に関して、純粋な元素(純度99.95%超)を用いて、アーク炉内で約70gの合金前駆体を調製した。次にこの合金前駆体を、遠心鋳造機内で、アルゴン雰囲気下の酸化ケイ素るつぼを用いて再び溶融し、円錐形銅鋳型(最大厚さ11mm、幅20mm、開角度6.3°)中で鋳造した。各円錐の長さの中央において金属組織学的切断を実施して、図1に示すように結晶領域が開始する円錐の厚さに対応する臨界直径Dc*を測定した。

0044

以下の表は、Zr‐Cu‐Fe‐Al‐X系(ここでXは、Ti、Hf、V、Nb、Y、Cr、Mo、Fe、Co、Sn、Zn、P、Pd、Ag、Au、Pt、Ta、Ru、Rh、Ir、Osを含む群からの少なくとも1つの元素である)において実施した試験をまとめたものである。

0045

組成物1、2は公知であり、追加の成分Xを含まず、国際公開特許出願第2006026882号の教示に対応する。

0046

組成物3、4は、文献に開示されていない組成物に関するが、国際公開特許出願第2006026882号に開示されている範囲にある程度包含される。組成物3は、銀である単一の追加の成分Xを含み、臨界直径は組成物1、2の臨界直径よりも良好であるものの、本発明の仕様を満たすには不十分である。組成物4は2つの追加のX成分、ニオブ及び銀を合計6パーセント含み、臨界直径は試料3の臨界直径と同等である。

0047

試験の実施により、臨界直径Dc*を有意に増大させる唯一の手段は、6.3以上のパーセンテージを有することであることが実証された。

0048

組成物5〜12は完全に新規のものであり、従来技術の範囲と重複しない。これらの組成物は、臨界直径Dc*が9.5mm以上である組成物5〜11を含む。組成物12は、X成分の合計パーセンテージ「a」がある特定の値、この場合10原子%よりも高いと、対照的に臨界直径Dc*が組成物5〜11よりも大幅に小さいため、有益な効果を有しないことを示す。

0049

この結果は、X元素の添加によって臨界直径Dc*が増大することと、X元素の効果を最大化するために、理想的には少なくとも2つのX元素を添加するべきであることとを示す。試験は、X元素の合計パーセンテージ「a」が6〜10%である場合に臨界直径Dc*が最大となることを示す。

0050

実験により、少量の希土類の添加が、合金中に存在する酸素の悪影響を低減するために有益であること(脱酸素剤)も示されている。

0051

0052

従って本発明は、第2のバルク非晶質合金に関し、これはニッケル非含有であること、並びに原子パーセント値で以下からなることを特徴とする:
‐ジルコニウム及び/又はハフニウムで形成された基材(上記ジルコニウム及び/又はハフニウムの含有量は平衡状態を形成し、ジルコニウム及びハフニウムの合計値は52.0以上62.0以下である);
‐銅:16.0以上28.0以下;
‐鉄:0.5以上10.0以下;
‐アルミニウム:7.0以上13.0以下;
‐上記基材がTi、V、Nb、Y、Cr、Mo、Co、Sn、Zn、P、Pd、Ag、Au、Pt、Ta、Ru、Rh、Ir、Os、Hfを含有しない場合にはこれらと、上記基材がZrを含有しない場合にはZrとを含む群から得られる、Xと呼ばれる少なくとも第1の追加の金属及び第2の追加の金属(上記少なくとも2つの追加の金属の合計原子パーセンテージ「a」は6.0超10.0以下である)。

0053

好ましくは、合金がYを含む場合、Yの含有量は0.5超である。

0054

より詳細には、第1の追加の金属及び第2の追加の金属は、上記基材がTi、Nb、Pd、Ag、Au、Pt、Ta、Ru、Rh、Ir、Os、Hfを含有しない場合にはこれらと、上記基材がZrを含有しない場合にはZrとを含む群から得られ、上記少なくとも2つの追加の金属の合計原子パーセンテージは6.0超10.0以下である。

0055

より詳細には、第1の追加の金属及び第2の追加の金属は、Ti、Nb、Pd、Ag、Au、Pt、Ta、Ru、Rh、Ir、Osを含む群から得られ、上記少なくとも2つの追加の金属の合計原子パーセンテージは6.0超10.0以下である。

0056

ある特定の変形例では、本発明による合金はジルコニウムのみを含有し、ハフニウムを含有しない。

0057

別の特定の変形例では、本発明による合金はハフニウムのみを含有し、ジルコニウムを含有しない。

0058

より詳細には、本発明による合金はニッケル非含有かつベリリウム非含有である。

0059

現在までに得られた最良の結果は:
‐X=Ag+Nb;
‐X=Ag+Ti;
‐X=Nb+Ag+Pd
を用いて達成された。

0060

ある有利な変形例では、この合金は更に、スカンジウムイットリウム、原子番号57〜71のランタニドを含む群から得られる少なくとも1つの希土類を0.1〜1%含み、これらの希土類の合計は0.01以上1.0以下である。

0061

これらの希土類のうち、より詳細には、Sc、Y、Nd、Gdが最も頻繁に使用されるが、このように限定されない。

0062

更に詳細には、本発明による合金はコバルト非含有及び/又はクロム非含有である。

0063

要するに、本発明による合金は耐腐食性を有し、また安定した色を有する(装用中にったり脱色したりしない)。

0064

以下のリストは、本発明による様々な合金を含む:
Zr52Hf4Nb2Cu21.5Ag5.5Fe5Al10
Zr60Hf2Ta3Cu16Ag5Fe7Al7
Zr56Hf2Ti2Cu21Pd2Fe6Al11
Zr50Hf6Nb2Cu21.5Ag5.5Fe5Al10
Zr40Hf16Nb2Cu21.5Ag5.5Fe5Al10
Zr56Nb1.5Cu21.5Ag3.5Pd1.5Fe3Al13
Zr55Nb3Cu21Ag4.5Pd2.5Fe5Al9
Zr52Ti3.5Nb3.5Cu28Fe5Al8
Zr54Ti5Nb3Cu16Fe10Al12
Zr58.5Ti3.5Ta3Cu20Fe4.5Al10.5
Zr57Ti4.5Cu28Ag2Fe0.5Al8
Zr62Ti2Ta1Cu16Ag4Fe5Al10
Zr54Y2Cu28Ag5Fe3.5Al7.5
Zr54Y1Nb2Cu21.5Ag4.5Pd2Fe5Al10
Zr55Nb2Cu21.5Ag4.5Pt2Fe5Al10
Zr58Cu22.5Ag5Pt2Fe3Co2Al7.5
Zr53Ta3Cu22.5Ag3Au3Fe6Al9.5
Zr57Nb3Cu20Pd3Au2Fe5Al10
Zr58Nb3Cu19Ag2Ru2Fe4.5Al11.5
Zr53Nb2.5Cu24.5Rh4Fe6Al10
Zr56Ti2Cu23Ag3.5Ir1.5Fe3Al11
Zr52Ta2.5Cu24.5Ag3.5Os2.5Fe5Al10
Zr56Nb2Cu21.5Ag5.5Fe5Al8Sn2
Zr55Nb2Cu22.5Ag3.5Pd2Fe4.5Al9Sn1.5
Zr54Ti2.5Cu21Ag5.5Fe5Al10.5Zn1.5
Zr61Nb2Cu16.5Pd2.5Fe8Al8Zn2
Zr54Nb2.5Cu18.5Ag4.5Fe9Al10P1.5
Zr56Nb2Cu21.5Ag3.5Pd2Fe5Al8P2
Zr60Nb3Cu17.5Ag3Fe4Cr2Al10.5
Zr53Nb2Cu24.5Ag2.5Pd2Fe4Cr2Al10
Zr57Ta3Cu20Ag2Fe5Co3Al10
Zr55Ti2.5Nb2.5Cu24.5Fe3.5Co2.5Al9.5
Zr59Nb2Cu18Pd3Fe4.5V2.5Al11
Zr56Ti3Cu22.5Ag4.5Fe2.5V1.5Al10
Zr55Ti2.5Cu24Ag2.5Fe3.5Mo2.5Al10
Zr52Nb2Cu26Ag4.5Fe4Mo1.5Al9Sn1

0065

本発明は更に、このような非晶質合金製の時計又は宝飾品構成部品に関する。

0066

より具体的には、この構成部品を形成する本発明の非晶質合金の臨界直径Dc*は、構成部品1の最大厚さEの1.8倍超である。

0067

本発明はまた、少なくとも1つのこのような外装構成部品1を含む腕時計2にも関する。

0068

より詳細には、腕時計2は、臨界直径Dc*が8mm超である上述のような非晶質合金製の、最大厚さEが4.0〜5.0mmのミドルケースである、上述のような外装構成部品1を含む。

0069

1時計又は宝飾品構成部品
2腕時計
Dc*臨界直径
E 最大厚さ

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